JP5510417B2 - 振動基板の製造方法 - Google Patents
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Description
また、導電性接着剤によって水晶基板面に突起を形成し、この突起を利用してパッケージ側の引出電極との間を導電性接着剤により接続固定する場合には、突起の位置、形状、寸法精度を安定させることが困難であるため、接着用の導電性接着剤が周辺にはみ出して上記と同様な不具合をもたらすという問題が起きる。
また、上面が平坦なセラミック製底板の上面に搭載した金属製シールリングの内側に形成されるキャビティ内に配置された内部端子(素子搭載用パッド)上に、導電性接着剤を用いて水晶振動素子を片持ち状態で支持した場合に、内部端子と水晶振動素子との間で加圧された導電性接着剤の一部が外周へはみ出すことによってシールリングと内部端子とを短絡させることにより圧電デバイスの電気的特性が変動する虞があった。
本発明の第2の形態に係る振動基板の製造方法は、前記凹部又は前記貫通穴が、複数から構成されていることを特徴とする。
本発明の第3の形態に係る振動基板の製造方法は、前記凹部又は前記貫通穴が、前記凸部により包囲されていることを特徴とする。
本発明の第4の形態に係る振動基板の製造方法は、前記第1のエッチング工程では、前記凹部を形成し、前記第1のエッチング工程の後に、少なくとも前記凸部に対応する領域と前記振動領域に対応する領域の前記原板の主表面上を第2のレジストで覆う第2のマスク工程と、前記第2のレジストによりマスクされていない前記原板の前記凹部に対応する領域をエッチングすることにより、前記凹部の内底面を貫通させて前記貫通穴を形成する第2のエッチング工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の第5の形態に係る振動基板の製造方法は、前記第2のマスク工程は、前記原板の表裏の主面上を前記第2のレジストで覆うことを特徴とする。
本発明の第6の形態に係る振動基板の製造方法は、前記第1のマスク工程の前に、少なくとも前記被接続領域に対応する範囲の前記原板の主表面上を第3のレジストで覆う第3のマスク工程と、前記第3のレジストによりマスクされていない領域の前記原板をエッチングすることにより、前記振動領域に対応する領域の厚みを薄肉化する第3のエッチング工程と、を含むことを特徴とする。
[適用例1]適用例1に係る圧電基板は、振動領域と、該振動領域と連設一体化された被接続領域と、を備えた圧電基板であって、前記被接続領域の一面には、凹部、或いは貫通穴から成る接着剤収容部を形成したことを特徴とする。
振動領域から離間した基板端縁(被接続領域)の面に導電性接着剤の一部を受け入れるための接着剤収容部を形成したので、パッケージ側の素子搭載用パッドと圧電振動素子との間で導電性接着剤が加圧された時に、従来構造であれば加圧によって外周方向にはみ出す筈の余剰接着剤が接着剤収容部内に充填された状態となる。このため、はみ出した接着剤が圧電振動素子の振動領域に付着して共振周波数を変動させたり、或いは近傍に位置する導体に付着して素子搭載用パッドとの間を短絡させる不具合がなくなる。また、接着剤の使用量を減らす必要がないため、パッケージによる圧電振動素子の支持強度を高めることができる。即ち、接着剤量が増大することにより、落下時の衝撃によって圧電振動素子に対して、接着剤による保持部を中心として上下方向(厚さ方向)へモーメントが発生したとしても、その応力を十分に吸収緩和することが可能となる。
接着剤収容部を構成する凹部の形状、個数、配置等は種々選定可能である。貫通穴を形成することにより減圧下でない雰囲気中で素子搭載用パッド上に圧電振動素子を接着する際にも接着剤収容部内に気泡などが残ることがなくなる。このため、安定した接続強度を維持することができる。
圧電基板の被接続領域を予め振動領域よりも厚肉に構成しておき、この厚肉部の一面に接着剤収容部を形成する。
凹部、或いは貫通穴から成る接着剤収容部の外周を環状部(環状凸部)により包囲することにより、接着剤が外周方向へ流出することを防止し易くなる。
接着剤収容部は必ずしも環状部によって包囲された凹部等でなくてもよい。例えば、素子搭載用パッド上に塗布された接着剤が圧電振動素子の振動領域側に流出することを阻止する凸部を形成することにより、反対側に形成される被凸面を接着剤収容部としてもよい。
上記構成を備えた圧電振動素子を使用することにより種々のタイプの圧電振動子を構築することが可能となる。
図1(a)乃至(f)は本発明の一実施形態に係る圧電デバイスの一例としての水晶振動子の外観斜視図、縦断面図、金属蓋を除去した状態の平面図、要部縦断面図、(d)のA−A断面図、及び水晶振動素子単独の底面図である。
この水晶振動子(圧電振動子)1は、セラミック等の絶縁材料から成るパッケージ(絶縁容器)2の上面に形成されたキャビティ3の内底面に配置した内部端子(素子搭載用パッド)4上に導電性接着剤5を用いて水晶振動素子(圧電振動素子)10の一端部(被接続領域11b)を片持ち状態で支持し、キャビティ3の外枠上面に金属蓋(蓋部材)15を固定することによりキャビティ3を気密封止した構成を備えている。パッケージ外底面には、内部端子4等と導通した実装端子6、及び接地された実装端子6が配置されている。パッケージ2内には、実装端子6の何れかと内部端子4との間に所定の配線を施すための接続導体7、或いは何れかの実装端子6と接地部との間を接続する接続導体7が形成されている。
水晶振動素子10を構成する水晶基板11は、励振電極12が形成される振動領域11aと、振動領域11aと連設一体化された厚肉の被接続領域(厚肉部)11bと、を備えている。この例では、被接続領域11bは水晶振動素子側の2つのパッド13aと対応した位置に夫々一対一で対応するように合計2個設けられている。被接続領域11bの下面には、エッチングにより凹部、或いは貫通穴から成る接着剤収容部20が形成されている。即ち、接着剤収容部20が形成された被接続領域11bの下面、及び接着剤収容部20の内壁には、リード電極13の端部に位置するパッド13aを構成する金属膜が形成されている。
なお、例えば、図1(f)中に示すように被接続領域11bの一辺の寸法を0.2mm、他辺の寸法を0.3mmとした場合に、振動領域11aの厚みは60μm、被接続領域11bの厚みは100μmとする一方、凹部としての接着剤収容部の深さは60μmか、それよりも深くすることにより、より多くの接着剤を収容できるように構成する。
接着剤収容部20を凹部とした場合には導電性接着剤5が凹部の内奥部にまで入り込むことができずに凹部内奥部に空間(気泡)が形成される虞があるが、接着剤収容部20の天井面に貫通穴を形成したり、側壁に貫通穴を形成することにより(つまり、接着剤収容部20を貫通穴とすることにより)、接着剤を凹部の内奥部にまで浸透させることができる。なお、減圧下で導電性接着剤による接着を実施する場合には凹部の内奥部にまで接着剤を浸透させることができる。接着剤収容部20の側壁に貫通穴を形成する場合には、貫通穴を振動領域側や近接配置された導体側とは異なった位置に設けることにより、貫通穴から流出した接着剤が問題を惹起することがないように配慮する。
なお、上記実施形態では、接着剤収容部20を、4個の正方形の凹部、或いは貫通穴から構成したがこれは一例に過ぎず、どのような形状の凹部、或いは貫通穴であってもよいし、個数に制限はない。
まず、図2(a)及び(b)は厚肉の被接続領域11bの接着面(内部端子との対向面)に形成する凹部、或いは貫通穴から成る接着剤収容部20の構成を示す底面図及び断面図であり、この実施形態に係る接着剤収容部20は、幅の狭い長方形の凹部、或いは貫通穴を2本(或いは2本以上)平行に配置した構成を備えている。この実施形態の接着剤収容部によれば、図1の構成例の接着剤収容部よりも多い量の接着剤を収容することが可能となる。
水晶基板の面積が小さくなるとエッチング対象箇所となる被接続領域11bの面積も狭くなる。そのような場合に、図4に示した如く水晶基板の異方性を利用して幅の狭い凹部でありながら深いために接着剤収容量の多い接着剤収容部を形成することができる。
図5(a)では厚さがtである平板状の水晶原板30を用意し、(b)では水晶原板30片面上の被接続領域11bに相当する範囲に、凹部となる領域を除いた凸面21(環状部22を含む)となる部分に沿ってフォトレジスト膜31を塗布する。(c)ではこの状態でフォトレジスト膜31によりマスクされていない水晶基板面をエッチングすることにより振動領域11aとなる範囲と、凹部となる範囲を厚さt’となるまで加工する。
なお、t’>t1とすれば、凹部としての接着剤収容部の深さが図5(c)の場合よりも深くなるので、より多くの接着剤を収容することができる。また、t’<t1とすれば、被接続領域内の薄肉部が図5(c)の場合よりも厚くなるため、被接続領域の破損が生じにくくなる。
接着剤収容部20を貫通穴とする場合には、振動領域、及び凸面21及び環状部22をマスクした状態で、凹部の内底面が貫通するまでエッチングすればよい。もしくは被接続領域11bの下面側にもフォトレジスト膜31を塗布して、表裏両面から同時にエッチングを行えば、より短時間で貫通穴を形成することができる。
図6(a)では厚さがtである平板状の水晶原板30を用意し、(b)では水晶原板30の片面上の被接続領域11bに相当する範囲に全面的にフォトレジスト膜31を塗布する。(c)ではマスクされていない振動領域11aの片面を所要の厚さt’’となるまでエッチングすることにより、振動領域11aだけを薄肉化した水晶原板30を形成する。(d)では水晶原板30の被接続領域11bに対して、凹部20となる領域を除いた凸面21(環状部22を含む)となる部分に沿ってフォトレジスト32を塗布する。(e)ではこの状態でフォトレジスト32によりマスクされていない被接続領域11bの基板面をエッチングすることにより振動領域11aが厚さt’となるまで加工する。
接着剤収容部20を貫通穴とする場合には、振動領域、及び凸面21及び環状部22をマスクした状態で、凹部の内底面が貫通するまでエッチングすればよい。もしくは被接続領域11bの下面側にもフォトレジスト膜32を塗布して、表裏両面から同時にエッチングを行えば、より短時間で貫通穴を形成することができる。
なお、図2乃至図4に示した他の実施形態に係る水晶基板11についても、図5或いは図6と同等の工程によって加工することができる。
上記工程によって製造された水晶基板11を用いて水晶振動素子10を製造する場合には、水晶基板11の両主面に励振電極12、リード電極13を形成する。
この水晶振動子は、セラミックから成る平板状の底板40の上面の周縁に沿って形成したメタライズ膜41上に環状のシールリング42を導電性接着手段より立設固定すると共に、底板上に設けた内部端子43に対して導電性接着剤45により水晶振動素子10の一端部(被接続領域11b)下面を接着することにより片持ち支持したものである。この水晶振動子を構成するパッケージ2は、底板40と、メタライズ膜41と、シールリング42と、を備えている。
この実施形態に係る水晶振動子は、水晶振動素子10(水晶基板11)の形状に特徴を有している。即ち、この実施形態に係る水晶振動素子10(水晶基板11)は、パッケージ2側に設けた内部端子(素子搭載用パッド)4上に水晶振動素子の被接続領域11bを接着する際に内部端子上に塗布された導電性接着剤5が水晶振動素子の振動領域11a側に流出することがないように接着剤堰き止め用の凸部50を形成することにより、凸部50の反対側に位置する非凸面51を接着剤収容部として利用した構成が特徴的である。
なお、上記実施形態では凸部50の直線状に構成したが、屈曲、或いは湾曲した形状として導電性接着剤の保持力を高めるようにしてもよい。
この水晶発振器60は、断面がH型のパッケージ(絶縁容器)61の上部キャビティ62内に水晶振動素子10を搭載すると共に、下部キャビティ63内に発振回路、温度補償回路等を構成するIC部品(ベアチップ)64を収容した構成を備えている。
水晶発振器60は厚肉の被接続領域11bの下面に接着剤収容部20を備えており、内部端子(素子搭載用パッド)4に対して導電性接着剤5によって接着固定されている。上部キャビティ62は金属蓋(蓋部材)15により気密封止されている。
下部キャビティ63を形成する外枠の下面には実装端子65が配置されている。下部キャビティ63の天井面にはIC部品64をフリップチップ実装するためのIC搭載用パッド66が形成されている。
なお、上記構成例は一例に過ぎず、IC部品をパッケージに組み付ける際の組付け構造は種々変形可能である。例えば、水晶振動子のキャビティ内にIC部品を収容することも可能である。
圧電振動子の一例として水晶振動子を例示したが、本発明は水晶以外の圧電材料を用いた圧電デバイス一般に適用することができる。
また、本発明に係る接着剤収容部を備えた圧電振動素子(圧電基板)の構造は、図示説明した如き平板状(短冊状)のタイプのみならず、振動領域が二股に分岐した音叉型、或いは厚肉の圧電基板の中央部に凹陥部を設けたタイプ等々、あらゆるタイプの圧電振動素子に適用することができる。
Claims (6)
- 振動領域と、
前記振動領域の周縁に沿って一体化された一対の被接続領域と、
前記一対の被接続領域の間に設けられ、前記振動領域と等しい厚みの凹陥部と、を備え、
前記一対の被接続領域は、前記振動領域の水晶X軸方向に位置するとともに、水晶ZZ’軸方向に並んで配置され、
各前記被接続領域が、前記振動領域の厚みよりも厚い凸部と、前記水晶X軸方向及び前記水晶ZZ’軸方向の両方向に傾斜して延在して設けられ、接着剤の収容部となる凹部又は貫通穴と、を有するATカット水晶板からなる振動基板を、原板を加工して製造する振動基板の製造方法であって、
少なくとも前記凸部に対応する領域の前記原板の主表面上を第1のレジストで覆う第1のマスク工程と、
前記第1のレジストによりマスクされていない前記原板の前記凹部又は貫通穴に対応する領域と前記振動領域に対応する領域をエッチングする第1のエッチング工程と、を含むことを特徴とする振動基板の製造方法。 - 前記凹部又は前記貫通穴が、複数から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の振動基板の製造方法。
- 前記凹部又は前記貫通穴が、前記凸部により包囲されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の振動基板の製造方法。
- 前記第1のエッチング工程では、前記凹部を形成し、
前記第1のエッチング工程の後に、
少なくとも前記凸部に対応する領域と前記振動領域に対応する領域の前記原板の主表面上を第2のレジストで覆う第2のマスク工程と、
前記第2のレジストによりマスクされていない前記原板の前記凹部に対応する領域をエッチングすることにより、前記凹部の内底面を貫通させて前記貫通穴を形成する第2のエッチング工程と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の振動基板の製造方法。 - 前記第2のマスク工程は、前記原板の表裏の主面上を前記第2のレジストで覆うことを特徴とする請求項4に記載の振動基板の製造方法。
- 前記第1のマスク工程の前に、
少なくとも前記被接続領域に対応する範囲の前記原板の主表面上を第3のレジストで覆う第3のマスク工程と、
前記第3のレジストによりマスクされていない領域の前記原板をエッチングすることにより、前記振動領域に対応する領域の厚みを薄肉化する第3のエッチング工程と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか一項に記載の振動基板の製造方法。
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