JP2004260695A - 水晶振動子とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電体を高精度に薄板化し水晶振動子の高周波化を容易にする圧電デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】課題を解決するために本発明は、所望の周波数を厚みすべり振動モード励振し、表裏両主面上に励振用電極を有する振動領域と、該振動領域の周囲に該振動領域の厚さよりも厚い補強部を一体で形成した矩形状の水晶振動板を用いた水晶振動子において、該補強部の少なくとも一箇所に該水晶振動板の表裏両主面に貫通する孔を有し、該孔に引き出し電極を配置したことにより課題を解決する。
【選択図】 図3
【解決手段】課題を解決するために本発明は、所望の周波数を厚みすべり振動モード励振し、表裏両主面上に励振用電極を有する振動領域と、該振動領域の周囲に該振動領域の厚さよりも厚い補強部を一体で形成した矩形状の水晶振動板を用いた水晶振動子において、該補強部の少なくとも一箇所に該水晶振動板の表裏両主面に貫通する孔を有し、該孔に引き出し電極を配置したことにより課題を解決する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に小型でかつ高周波の基本波で振動する水晶振動子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今の移動体・情報通信機器等に用いられる振動子やフィルタなどの圧電デバイスは機器の小型化、デジタル化への展開とあいまって、高周波数、広帯域化という基本仕様が高機能化する傾向にある。
【0003】
特に、移動体通信分野では通信網が高密度化するなど、多重通信時代が到来することに対し、これら高密度の通信網では従来より効率の良いフィルタリングとフィルタ特性の広帯域化の要求とが望まれている。
【0004】
上記のような高周波を発振させるためには、水晶振動子の板厚を薄く加工することは必須な条件であり、従来の水晶振動子の加工方法の代表例では、研磨技術やエッチング技術などの薄板化技術を向上させることで、高周波化と広帯域化に対応する現状にある。
【0005】
一方近年においては、移動体通信機器等の機器類の著しい小型化に伴い、これらの機器に用いられる水晶振動子などの電子部品についても更なる小型化が求められている。また、水晶振動子については、小型化と同時に、CPU等の動作周波数の高周波化に対応するための、発振周波数の高周波化も求められている。
【0006】
通常、水晶振動子における厚みすべり共振周波数は、水晶板の振動領域の厚さ及び振動領域の両主面上に形成された電極膜の質量によって変化する。厚みすべり水晶振動子の製造工程では、水晶板の表裏主面上に金、銀、または合金による励振用電極膜を形成した後で、励振用電極上に、励振用電極の形状内に収まるよう金属膜を蒸着により付着させて、所望の共振周波数を得ている。
【0007】
従来の技術の一例として、水晶振動子内に搭載される水晶振動板の平面、即ち水晶振動板は厚みすべり振動モードをする領域と、この振動領域の周囲に振動領域よりも厚い補強部を一体構造で形成してある。なお、補強部は、振動領域の両主面に対し、一方の主面側において補強部との段差を有し、また、他方の主面側において補強部の平面と同一面とするように形成されている。
【0008】
上述の振動子において、振動領域の両主面ほぼ中央部には、基本波励振電極膜が形成されている。また、励振用電極から補強部を通り、水晶振動板の一方の端部に形成された水晶振動子の電極と電機的に接続する引き出し電極が形成されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−32456号公報
【特許文献2】
特開2003−46367号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記の振動子の製造方法を代表する手法に、化学薬品を用いたエッチング処理により、水晶材料から水晶振動子を得る方法がある。従来の一般的な振動子の加工方法では、ATカット板の水晶振動子を両面研磨機(俗に言うラッピングマシン)を用いて厚み研磨加工を行っていたが、被加工物が研磨加工中および被加工物の取り扱い(研磨作業中の被加工物を取り出すとき)に被加工物に割れ、欠けが生じる。高周波の振動子を得るために板厚自体も極薄く、更には、被加工物の外形寸法も2ミリ角と非常に小さく振動子の形状が複雑であることから、取り扱いが非常に難しい現状にあり加工ができなくなったことからエッチング手法による製造方法を使用するものである。
【0011】
そして、最近では振動子自体の価格の低下や、製造費用の大幅な削減も要求されることから、製造工程での作業効率の改善が急がれている。加えて、振動子自体が小型、軽薄の上に、製造歩留まりの向上など、製造工程の抜本的な改善と工夫が要求されている。
【0012】
本発明は、このような従来の水晶振動子の製造方法の課題を考慮し、水晶振動子を高精度に薄板化し水晶振動子の高周波化を容易にする圧電デバイスの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を解決するために本発明は、所望の周波数を厚みすべり振動モード励振し、表裏両主面上に励振用電極を有する振動領域と、該振動領域の周囲に該振動領域の厚さよりも厚い補強部を一体で形成した矩形状の水晶振動板を用いた水晶振動子において、該補強部の少なくとも一箇所に該水晶振動板の表裏両主面に貫通する孔を有し、該孔に引き出し電極を配置したことを特徴とする水晶振動子である。
【0014】
また、その振動子の製造方法として、水晶ウエハを洗浄する工程と、該ウエハの表裏にプロテクト膜を形成する工程と、パターンニングする工程と、該ウエハをエッチングして振動子形状と振動部と孔部を形成する工程と、前記プロテクト膜を剥離する工程と、前記ウエハの該水晶振動板の周波数確認と周波数調整をする工程と、前記ウエハを洗浄する工程と、前記ウエハの該水晶振動板の振動部と該孔部とに電極を形成する成膜工程と、前記ウエハから個々の振動子をダイシングにより分離切り離す工程と、を含むことを特徴とする水晶振動子の製造方法により、従来のエッチング処理で加工していた振動子の抜本的な工程改善を行うものである。
【0015】
要するに本発明は、従来のエッチング処理で得られる振動子の、取り数を大幅に向上、改善するために、水晶ウエハ上でのエッチング処理による加工と、水晶ウエハからの個々の振動子を分離する工程にダイシング処理を用いることで生じる、振動子部の電極と引き出し電極の接続部の接続の信頼性を強化することを狙ったものである。
【0016】
従って、該孔部への成膜は該孔部を導通部として該振動部と接続する引き出し電極であることを特徴とし、前記孔部を分離して、各々の該孔部に引き出し電極を形成するなどの工夫も凝らされた形状を有することで、従来に掲げる課題を改善するものである。
【0017】
【背景】
本発明の背景には、従来からエッチング処理による振動子の形成を改善することを目的とするものであり、従来の水晶ウエハ上に振動子を配置する概念図を図6に平面図として描画する。図6からも分かるように、従来ではウエハ上に振動子を複数個配置する際に、個々の振動子をエッチングで外形を抜く形式で処理することから、個々の振動子間にはエッチングを施すための「取りしろ」を必要とすることで、一枚の水晶ウエハから振動子を得る取り数を考えると無駄を生じてしまう。
【0018】
また、従来では、エッチング処理で個々の振動子外形を得ることから、振動部とその振動部からの引き出し電極の形成は、振動子の外形側面に引き出し電極を蒸着することが可能であった。
【0019】
本発明では、一枚の水晶ウエハから振動子を無駄なく得るために、振動子間の隙間を最小にまで減らし、かつ、引き出し電極を効率良く蒸着により形成するための水晶振動子の形状とその製造方法を特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従ってこの発明の実施例を説明する。なお、各図において同一の符号は同様の対象を示すものとする。図1は本発明の一実施例を示した水晶振動子の斜視図である。なお、本実施例に示す振動子は、水晶ウエハ1の厚みは80μmで、振動部3の厚みは10μmを例とし、発振周波数は150〜250MHzを想定する。
【0021】
図1では、水晶振動子の内部に搭載される水晶振動板2は、厚みすべり振動モードをする振動領域3と、この振動領域3の周囲に振動領域3の厚さよりも厚い補強部4を一体構造で形成してあり、補強部4は、振動領域3の両主面に対し、一方の主面3a側において補強部4との段差を有し、また、他方の主面3b側において補強部4の平面と同一面とするように形成されている。なお、図1には一方の主面に段差を設けているが、両面に段差を有した形状であっても問題は無い。
【0022】
この振動領域3の両主面ほぼ中央部には、振動領域3において厚みすべり振動モードの基本波を励振するための励振用電極膜5が形成されている。この励振用電極5の外形寸法は、スプリアス発振などの不具合を発生させず、且つエネルギー閉じ込めの効果を最大限得てCI値をなるべく小さくする寸法に設計されている。
【0023】
そして本発明の特徴である補強部の少なくとも一箇所に該水晶振動板の表裏両主面に貫通する孔6を有して、励振用電極5から補強部4を通り、水晶振動板の一方の端部に形成された、水晶振動子の電極(5)と電気的に接続する引き出し電極7が形成されている。
【0024】
この貫通する孔6は、水晶振動子の表裏を連続して引き出し電極7を形成することで導通することは言うまでもないが、同時に水晶振動子を固着し保持することによる応力の緩和についても機能する。そして、孔6形状については、一例としては振動子の幅方向にひとつを形成しているが、複数個の孔6をあけて引き出し電極7の表裏導通を図る、分離、分割して形成することであっても同様の効果を奏することは言うまでもない。上記の孔6の形状と引き出し電極7の関係については、図2でその一例と応用を図示する。
【0025】
一方、本発明の振動子を得る製造工程としては次の工程が考えられる。なお、以下の流れは図3にフロー図として示す。所望の周波数を厚みすべり振動モード励振し、表裏両主面上に励振用電極を有する振動領域と、該振動領域の周囲に該振動領域の厚さよりも厚い補強部を一体で形成した矩形状の水晶振動板を用いた水晶振動子を得るために、水晶ウエハ1を洗浄し、該ウエハ1の表裏にプロテクト膜を形成する工程と、パターンニングする工程と、該ウエハ1をエッチングして振動子形状と振動部3と孔部6を形成する工程と、前記プロテクト膜を剥離する工程と、前記ウエハ1の該水晶振動板の周波数確認と周波数調整をする工程と、前記ウエハ1を洗浄する工程と、前記ウエハ1の該水晶振動板の振動部3と該孔部6とに同時に電極を形成する成膜工程と、前記ウエハ1から個々の振動子を切断(ダイシング)により分離切り離す工程後に、前記振動部3の周波数を検査し水晶振動子を得ることを特徴とする。
【0026】
そして、前述に説明する水晶振動子の形状で示すように、孔部6への成膜は該孔部を導通部として振動部3と接続する引き出し電極7であり、孔部6が分離した形状でその各々の孔部6に引き出し電極7を形成しても構わない。なお、成膜は金、銀、アルミ金属材料を蒸着したり、スパッタリングなどで形成するものである。
【0027】
以上のように、従来のエッチング処理で得られる振動子の取り数を大幅に向上、改善するために、水晶ウエハ1上でのエッチング処理による加工と、水晶ウエハ1からの個々の振動子を分離する工程に切断(ダイシング)処理を用い、かつダイシングによる振動子部からの電極と引き出し電極7の接続部の接続の断線、破損を防いだ水晶振動子の形状と製造方法により、特に引き出し電極7の表裏の導通と言う信頼性を強化することを改善することができる。
【0028】
そして、図4に示すように水晶ウエハ1に対する、振動子の配置(取り数)を密集させ、ウエハ1から振動子を個々に分割する際にダイシングで行うことで、従来に比べ大幅に製造コストを削減することができる。なお、図4(a)はウエハ1を含めた全体の振動子の配置概念図(電極は図示しない)で、図4(b)は個々の振動子に注目し拡大した概念図である。なお、実施例では半導体基板などのダイシング手法により、振動子を個々に分割するが、レーザビームなど他の切断手段を用いても構わない。
【0029】
また、図5に本発明での水晶振動板2をベースに実装した概念図を斜視図で示す。例えばベース材料にセラミック材料を用いて、水晶振動板と導通と固着をとる電極部分をメタライズ処理で形成し、バンプあるいは導電性接着剤(図示せず)で導通と固着を図ったものである。図5からも分かるように、水晶振動板2の側面には引き出し電極部が無くても、水晶振動板2に形成する孔部6により、振動領域の表裏各主面(3a、3b)からの引き出し電極7との導通を取ることができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によって、水晶振動子内に搭載する水晶振動板に形成する励振用電極と引き出し電極を確実に形成することができる。また、エッチング処理により振動子を形成する場合の「振動子の取れ数」を改善することで、振動子の製造コストを改善すると同時に、製品歩留まりの向上と製品品質の信頼性の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の振動子の形状示す斜視図である。
【図2】本発明の振動子の表裏への引き出し電極について着目した要部斜視図である。
【図3】本発明の製造フローを示すフロー図である。
【図4】本発明のウエハ上に振動子を形成するパターン図と、ウエハから切断(ダイシング)により個々の振動子を切断する概念を示す平面図である。
【図5】本振動子をベースに実装したときの概念図である。
【図6】従来の振動子の形状を示す平面図である。
【符号の説明】
1 水晶ウエハ
2 水晶振動板
3 振動領域(振動部)
3a、3b 振動領域の表裏各主面
4 補強部
5 励振用電極膜
6 孔(孔部)
7 引き出し電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に小型でかつ高周波の基本波で振動する水晶振動子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今の移動体・情報通信機器等に用いられる振動子やフィルタなどの圧電デバイスは機器の小型化、デジタル化への展開とあいまって、高周波数、広帯域化という基本仕様が高機能化する傾向にある。
【0003】
特に、移動体通信分野では通信網が高密度化するなど、多重通信時代が到来することに対し、これら高密度の通信網では従来より効率の良いフィルタリングとフィルタ特性の広帯域化の要求とが望まれている。
【0004】
上記のような高周波を発振させるためには、水晶振動子の板厚を薄く加工することは必須な条件であり、従来の水晶振動子の加工方法の代表例では、研磨技術やエッチング技術などの薄板化技術を向上させることで、高周波化と広帯域化に対応する現状にある。
【0005】
一方近年においては、移動体通信機器等の機器類の著しい小型化に伴い、これらの機器に用いられる水晶振動子などの電子部品についても更なる小型化が求められている。また、水晶振動子については、小型化と同時に、CPU等の動作周波数の高周波化に対応するための、発振周波数の高周波化も求められている。
【0006】
通常、水晶振動子における厚みすべり共振周波数は、水晶板の振動領域の厚さ及び振動領域の両主面上に形成された電極膜の質量によって変化する。厚みすべり水晶振動子の製造工程では、水晶板の表裏主面上に金、銀、または合金による励振用電極膜を形成した後で、励振用電極上に、励振用電極の形状内に収まるよう金属膜を蒸着により付着させて、所望の共振周波数を得ている。
【0007】
従来の技術の一例として、水晶振動子内に搭載される水晶振動板の平面、即ち水晶振動板は厚みすべり振動モードをする領域と、この振動領域の周囲に振動領域よりも厚い補強部を一体構造で形成してある。なお、補強部は、振動領域の両主面に対し、一方の主面側において補強部との段差を有し、また、他方の主面側において補強部の平面と同一面とするように形成されている。
【0008】
上述の振動子において、振動領域の両主面ほぼ中央部には、基本波励振電極膜が形成されている。また、励振用電極から補強部を通り、水晶振動板の一方の端部に形成された水晶振動子の電極と電機的に接続する引き出し電極が形成されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−32456号公報
【特許文献2】
特開2003−46367号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記の振動子の製造方法を代表する手法に、化学薬品を用いたエッチング処理により、水晶材料から水晶振動子を得る方法がある。従来の一般的な振動子の加工方法では、ATカット板の水晶振動子を両面研磨機(俗に言うラッピングマシン)を用いて厚み研磨加工を行っていたが、被加工物が研磨加工中および被加工物の取り扱い(研磨作業中の被加工物を取り出すとき)に被加工物に割れ、欠けが生じる。高周波の振動子を得るために板厚自体も極薄く、更には、被加工物の外形寸法も2ミリ角と非常に小さく振動子の形状が複雑であることから、取り扱いが非常に難しい現状にあり加工ができなくなったことからエッチング手法による製造方法を使用するものである。
【0011】
そして、最近では振動子自体の価格の低下や、製造費用の大幅な削減も要求されることから、製造工程での作業効率の改善が急がれている。加えて、振動子自体が小型、軽薄の上に、製造歩留まりの向上など、製造工程の抜本的な改善と工夫が要求されている。
【0012】
本発明は、このような従来の水晶振動子の製造方法の課題を考慮し、水晶振動子を高精度に薄板化し水晶振動子の高周波化を容易にする圧電デバイスの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を解決するために本発明は、所望の周波数を厚みすべり振動モード励振し、表裏両主面上に励振用電極を有する振動領域と、該振動領域の周囲に該振動領域の厚さよりも厚い補強部を一体で形成した矩形状の水晶振動板を用いた水晶振動子において、該補強部の少なくとも一箇所に該水晶振動板の表裏両主面に貫通する孔を有し、該孔に引き出し電極を配置したことを特徴とする水晶振動子である。
【0014】
また、その振動子の製造方法として、水晶ウエハを洗浄する工程と、該ウエハの表裏にプロテクト膜を形成する工程と、パターンニングする工程と、該ウエハをエッチングして振動子形状と振動部と孔部を形成する工程と、前記プロテクト膜を剥離する工程と、前記ウエハの該水晶振動板の周波数確認と周波数調整をする工程と、前記ウエハを洗浄する工程と、前記ウエハの該水晶振動板の振動部と該孔部とに電極を形成する成膜工程と、前記ウエハから個々の振動子をダイシングにより分離切り離す工程と、を含むことを特徴とする水晶振動子の製造方法により、従来のエッチング処理で加工していた振動子の抜本的な工程改善を行うものである。
【0015】
要するに本発明は、従来のエッチング処理で得られる振動子の、取り数を大幅に向上、改善するために、水晶ウエハ上でのエッチング処理による加工と、水晶ウエハからの個々の振動子を分離する工程にダイシング処理を用いることで生じる、振動子部の電極と引き出し電極の接続部の接続の信頼性を強化することを狙ったものである。
【0016】
従って、該孔部への成膜は該孔部を導通部として該振動部と接続する引き出し電極であることを特徴とし、前記孔部を分離して、各々の該孔部に引き出し電極を形成するなどの工夫も凝らされた形状を有することで、従来に掲げる課題を改善するものである。
【0017】
【背景】
本発明の背景には、従来からエッチング処理による振動子の形成を改善することを目的とするものであり、従来の水晶ウエハ上に振動子を配置する概念図を図6に平面図として描画する。図6からも分かるように、従来ではウエハ上に振動子を複数個配置する際に、個々の振動子をエッチングで外形を抜く形式で処理することから、個々の振動子間にはエッチングを施すための「取りしろ」を必要とすることで、一枚の水晶ウエハから振動子を得る取り数を考えると無駄を生じてしまう。
【0018】
また、従来では、エッチング処理で個々の振動子外形を得ることから、振動部とその振動部からの引き出し電極の形成は、振動子の外形側面に引き出し電極を蒸着することが可能であった。
【0019】
本発明では、一枚の水晶ウエハから振動子を無駄なく得るために、振動子間の隙間を最小にまで減らし、かつ、引き出し電極を効率良く蒸着により形成するための水晶振動子の形状とその製造方法を特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従ってこの発明の実施例を説明する。なお、各図において同一の符号は同様の対象を示すものとする。図1は本発明の一実施例を示した水晶振動子の斜視図である。なお、本実施例に示す振動子は、水晶ウエハ1の厚みは80μmで、振動部3の厚みは10μmを例とし、発振周波数は150〜250MHzを想定する。
【0021】
図1では、水晶振動子の内部に搭載される水晶振動板2は、厚みすべり振動モードをする振動領域3と、この振動領域3の周囲に振動領域3の厚さよりも厚い補強部4を一体構造で形成してあり、補強部4は、振動領域3の両主面に対し、一方の主面3a側において補強部4との段差を有し、また、他方の主面3b側において補強部4の平面と同一面とするように形成されている。なお、図1には一方の主面に段差を設けているが、両面に段差を有した形状であっても問題は無い。
【0022】
この振動領域3の両主面ほぼ中央部には、振動領域3において厚みすべり振動モードの基本波を励振するための励振用電極膜5が形成されている。この励振用電極5の外形寸法は、スプリアス発振などの不具合を発生させず、且つエネルギー閉じ込めの効果を最大限得てCI値をなるべく小さくする寸法に設計されている。
【0023】
そして本発明の特徴である補強部の少なくとも一箇所に該水晶振動板の表裏両主面に貫通する孔6を有して、励振用電極5から補強部4を通り、水晶振動板の一方の端部に形成された、水晶振動子の電極(5)と電気的に接続する引き出し電極7が形成されている。
【0024】
この貫通する孔6は、水晶振動子の表裏を連続して引き出し電極7を形成することで導通することは言うまでもないが、同時に水晶振動子を固着し保持することによる応力の緩和についても機能する。そして、孔6形状については、一例としては振動子の幅方向にひとつを形成しているが、複数個の孔6をあけて引き出し電極7の表裏導通を図る、分離、分割して形成することであっても同様の効果を奏することは言うまでもない。上記の孔6の形状と引き出し電極7の関係については、図2でその一例と応用を図示する。
【0025】
一方、本発明の振動子を得る製造工程としては次の工程が考えられる。なお、以下の流れは図3にフロー図として示す。所望の周波数を厚みすべり振動モード励振し、表裏両主面上に励振用電極を有する振動領域と、該振動領域の周囲に該振動領域の厚さよりも厚い補強部を一体で形成した矩形状の水晶振動板を用いた水晶振動子を得るために、水晶ウエハ1を洗浄し、該ウエハ1の表裏にプロテクト膜を形成する工程と、パターンニングする工程と、該ウエハ1をエッチングして振動子形状と振動部3と孔部6を形成する工程と、前記プロテクト膜を剥離する工程と、前記ウエハ1の該水晶振動板の周波数確認と周波数調整をする工程と、前記ウエハ1を洗浄する工程と、前記ウエハ1の該水晶振動板の振動部3と該孔部6とに同時に電極を形成する成膜工程と、前記ウエハ1から個々の振動子を切断(ダイシング)により分離切り離す工程後に、前記振動部3の周波数を検査し水晶振動子を得ることを特徴とする。
【0026】
そして、前述に説明する水晶振動子の形状で示すように、孔部6への成膜は該孔部を導通部として振動部3と接続する引き出し電極7であり、孔部6が分離した形状でその各々の孔部6に引き出し電極7を形成しても構わない。なお、成膜は金、銀、アルミ金属材料を蒸着したり、スパッタリングなどで形成するものである。
【0027】
以上のように、従来のエッチング処理で得られる振動子の取り数を大幅に向上、改善するために、水晶ウエハ1上でのエッチング処理による加工と、水晶ウエハ1からの個々の振動子を分離する工程に切断(ダイシング)処理を用い、かつダイシングによる振動子部からの電極と引き出し電極7の接続部の接続の断線、破損を防いだ水晶振動子の形状と製造方法により、特に引き出し電極7の表裏の導通と言う信頼性を強化することを改善することができる。
【0028】
そして、図4に示すように水晶ウエハ1に対する、振動子の配置(取り数)を密集させ、ウエハ1から振動子を個々に分割する際にダイシングで行うことで、従来に比べ大幅に製造コストを削減することができる。なお、図4(a)はウエハ1を含めた全体の振動子の配置概念図(電極は図示しない)で、図4(b)は個々の振動子に注目し拡大した概念図である。なお、実施例では半導体基板などのダイシング手法により、振動子を個々に分割するが、レーザビームなど他の切断手段を用いても構わない。
【0029】
また、図5に本発明での水晶振動板2をベースに実装した概念図を斜視図で示す。例えばベース材料にセラミック材料を用いて、水晶振動板と導通と固着をとる電極部分をメタライズ処理で形成し、バンプあるいは導電性接着剤(図示せず)で導通と固着を図ったものである。図5からも分かるように、水晶振動板2の側面には引き出し電極部が無くても、水晶振動板2に形成する孔部6により、振動領域の表裏各主面(3a、3b)からの引き出し電極7との導通を取ることができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によって、水晶振動子内に搭載する水晶振動板に形成する励振用電極と引き出し電極を確実に形成することができる。また、エッチング処理により振動子を形成する場合の「振動子の取れ数」を改善することで、振動子の製造コストを改善すると同時に、製品歩留まりの向上と製品品質の信頼性の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の振動子の形状示す斜視図である。
【図2】本発明の振動子の表裏への引き出し電極について着目した要部斜視図である。
【図3】本発明の製造フローを示すフロー図である。
【図4】本発明のウエハ上に振動子を形成するパターン図と、ウエハから切断(ダイシング)により個々の振動子を切断する概念を示す平面図である。
【図5】本振動子をベースに実装したときの概念図である。
【図6】従来の振動子の形状を示す平面図である。
【符号の説明】
1 水晶ウエハ
2 水晶振動板
3 振動領域(振動部)
3a、3b 振動領域の表裏各主面
4 補強部
5 励振用電極膜
6 孔(孔部)
7 引き出し電極
Claims (4)
- 所望の周波数を厚みすべり振動モード励振し、表裏両主面上に励振用電極を有する振動領域と、該振動領域の周囲に該振動領域の厚さよりも厚い補強部を一体で形成した矩形状の水晶振動板を用いた水晶振動子において、
該補強部の少なくとも一箇所に該水晶振動板の表裏両主面に貫通する孔を有し、該孔に引き出し電極を配置したことを特徴とする水晶振動子。 - 所望の周波数を厚みすべり振動モード励振し、表裏両主面上に励振用電極を有する振動領域と、該振動領域の周囲に該振動領域の厚さよりも厚い補強部を一体で形成した矩形状の水晶振動板を用いた水晶振動子の製造方法において、
ウエハの表裏にプロテクト膜を形成する工程と、パターンニングする工程と、該ウエハをエッチングして振動子形状と振動部と孔部を形成する工程と、前記プロテクト膜を剥離する工程と、前記ウエハの該水晶振動板の周波数確認と周波数調整をする工程と、前記ウエハを洗浄する工程と、前記ウエハの該水晶振動板の振動部と該孔部とに同時に電極を形成する成膜工程と、前記ウエハから個々の振動子を切断により分離切り離す工程と、を含むことを特徴とする水晶振動子の製造方法。 - 請求項2の記載において、該孔部への成膜は該孔部を導通部として該振動部と接続する引き出し電極であることを特徴とする水晶振動子の製造方法。
- 請求項1と請求項2に記載の孔部は分離しており、各々の該孔部に引き出し電極を形成したことを特徴とする水晶振動子とその製造方法。
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