JP2002033640A

JP2002033640A - 圧電デバイス

Info

Publication number: JP2002033640A
Application number: JP2000216599A
Authority: JP
Inventors: Jun Watanabe; 潤渡辺
Original assignee: Toyo Communication Equipment Co Ltd
Current assignee: Toyo Communication Equipment Co Ltd
Priority date: 2000-07-17
Filing date: 2000-07-17
Publication date: 2002-01-31

Abstract

(57)【要約】【課題】高周波圧電振動子あるいは高周波二重モード
圧電フィルタを小型にする手段を得る。【解決手段】凹陥部を形成した圧電基板に対向電極を
配置して構成した圧電振動子であって、圧電基板をエッ
チングして凹陥部を形成する際に生じる傾斜部とそれに
連なる少なくとも１つの囲繞部とを切断して小型高周波
圧電振動子とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は高周波圧電デバイス
に関し、特に小型化した高周波圧電デバイスに関する。

【０００２】

【従来の技術】高周波圧電デバイス、特に水晶振動子あ
るいは水晶基板を用いた二重モード圧電フィルタ（以
下、二重モードフィルタと称す）は、小型、軽量、堅牢
であると共に優れた周波数温度特性を有することから、
近年では携帯電話の端末に広く使用されている。図５
（ａ）、（ｂ）はそれぞれ水晶薄板を用いた二重モード
フィルタの構成を示す平面図と、Ｑ−Ｑにおける断面図
である。一方の主表面に凹陥５０を形成した水晶基板５
１の平面側のほぼ中央に、電極５２、５３を近接配置す
ると共に、該電極５２、５３からそれぞれ水晶基板５１
の端部に向けてリード電極５２ａ、５３ａを延在し、水
晶基板５１の厚肉部に設けた電極パッド５２ｂ、５３ｂ
にそれぞれ接続する。一方、水晶基板５１の凹陥側には
全面電極５４を付着して高周波の二重モードフィルタを
構成する。なお、図５に示す水晶基板５１は、例えば厚
さ約８０μｍのＡＴカット水晶基板の一方の主表面をフ
ォトリソ技法とウエットエッチング手法を用いて凹陥せ
しめ、該凹陥部（薄肉部）５０を所望の厚さ、例えば１
０μｍ程度の薄板状（振動部）とすると共に、薄肉部の
周囲を支持する厚肉の環状囲繞部を薄肉部と一体的に形
成して、薄肉部の機械的強度を保持した水晶基板として
いる。

【０００３】図５（ａ）に示す水晶基板５１上には複数
の厚み滑り振動モードが励起されるが、電極５２、５３
により、零次対称振動モード（Ｓ₀）と零次反対称振動
モード（Ａ₀）とが強勢に励振され、適当な終端を施す
ことにより、２つの振動モード（共振周波数ｆ_s、ｆ_a）
を用いた二重モードフィルタが構成される。ここで、共
振周波数ｆ_s、ｆ_aは水晶基板５１の凹陥部（振動部）５
０の厚さ、電極５２、５３の周波数低下量及び２つの電
極５２、５３間の間隙に依存し、二重モードフィルタの
通過帯域幅は２つの共振周波数の差（ｆ_a−ｆ_s）のほぼ
２倍となることがよく知られている。

【０００４】図６（ａ）は、図５に示した高周波水晶基
板５１を形成する過程を説明するための図であって、大
きなＡＴカット水晶基板（ウエハ）６１の全面に金の薄
膜を、蒸着装置あるいはスパッタ装置等を用いて付着す
ると共に、該薄膜の上にレジスト膜を塗布し、該レジス
ト膜をマスクを介して露光し、剥離剤を用いて剥離する
と、所望の形状がマトリスク状に並んだ金の薄膜が形成
される。該金の薄膜を王水等で溶解して、水晶基板を露
出させた後、基板６１をフッ化アンモニウムを主成分と
するエッチング液に浸漬してエッチングすると、図６
（ａ）に示すように凹陥部を有する個々の基板がマトリ
クス状の並んだウエハ６１が得られる。図６（ｂ）はウ
エハ６１上に形成された個々の高周波基板６２を拡大し
た断面図であって、薄肉部６３と該薄肉部６３を保持す
る環状囲繞部６４とから構成されているが、詳細に調べ
ると薄肉部６３は平坦部（振動部）６５と傾斜部６６か
らなり、環状囲繞部６４の凹陥側は傾斜角の互いに異な
る側壁６７、６８からなっている。例えば、厚さｔとし
て80μmの水晶基板１に開口部寸法Ｗ０を1.392mmと設定
して、薄肉部６５の厚さが10μmになるまでエッチング
すると、薄肉部６５のＺ’軸方向寸法Ｗ１は0.9744mm、
一方の側壁面６７の傾斜部分Ｚ’軸方向寸法Ｗ２は0.06
96mm、他方の側壁面６８の傾斜部分と傾斜部６６とをあ
わせたＺ’軸方向寸法Ｗ３は0.348mmとなる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図６
（ｂ）に示す高周波水晶基板を小型化しようとすると、
環状囲繞部の幅寸法と開口部の寸法Ｗ０とを小さくする
必要があるが、ＡＴカット水晶基板は異方性結晶である
から固有のエッチングパターンがあり、傾斜部６６と側
壁６８とのＺ’軸方向の寸法Ｗ３、側壁６７のＺ’軸方
向の寸法Ｗ２は凹陥部のＸ軸方向のエッチング量に比例
するため、開口部の寸法Ｗ０を小さくしてもエッチング
により掘り下げる深さが同一であれば、Ｗ２、Ｗ３の寸
法は上述の値と変わらず相対的に平坦部６５の寸法Ｗ１
が寸法Ｗ０の縮小率以上に小さくなり、小型化が極めて
難しいという問題があった。本発明は上記問題を解決す
るためになされたものであって、小型化した高周波圧電
デバイスを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係る高周波圧電デバイスの請求項１記載の発
明は、一方の面に凹陥部を形成した圧電基板の平面側に
電極を形成し、該電極からリード電極を前記基板の端部
まで延在すると共に、凹陥側には全面電極を備えた圧電
振動子において、前記圧電基板をエッチングする際に形
成される凹陥部の傾斜部を振動領域である平坦部との境
界から切断すると共に、環状囲繞部の少なくとも１つを
平坦部との境界から切断したことを特徴とする高周波圧
電振動子である。請求項２記載の発明は、一方の面に凹
陥部を形成した圧電基板の平面側に２つの電極を近接し
て形成し、該電極からそれぞれリード電極を前記基板の
端部まで延在すると共に、凹陥側には全面電極を備えた
二重モード圧電フィルタにおいて、前記圧電基板をエッ
チングする際に形成される凹陥部の傾斜部を振動領域で
ある平坦部から切断すると共に、環状囲繞部の少なくと
も１つを平坦部との境界から切断したことを特徴とする
高周波二重モード圧電フィルタである。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下本発明を図面に示した実施の
形態に基づいて詳細に説明する。図１（ａ）は本発明に
係る高周波圧電振動子の構成を示す斜視図、同図（ｂ）
はＱ−Ｑに沿った断面図、同図（ｃ）、（ｄ）は傾斜部
及び囲繞部Ｓと、囲繞部Ｔとを切断するための説明用平
面図および断面図である。一方の面に凹陥部を形成した
水晶基板１の平面側に電極２を形成し、該電極２からリ
ード電極２ａを水晶基板１の端部に設けたパッド電極２
ｂまで延在すると共に、凹陥側には全面電極３を付着し
て高周波水晶振動子素子を形成する。さらに、図１
（ｃ）、（ｄ）の平面図及び断面図に示すように、凹陥
の傾斜部及び囲繞部Ｓを振動領域である平坦部Ｈとの境
界αから切断すると共に、リード電極２ａに平行な一方
の囲繞部Ｔを平坦部Ｈとの境界βに沿ってダイシング等
を用いて切断すると、図１（ａ）の斜視図に示すように
薄肉の振動部とこれを支える略Ｌ字状の厚肉の支持部と
を一体的に構成した高周波圧電振動子が得られる。この
実施例の特徴は振動領域ではない傾斜部と保持部である
環状囲繞部の一部とを切断することにより高周波圧電振
動子の小型化を図ったことである。

【０００８】図２は、図１に示した本発明の高周波圧電
振動子を形成する工程の一例を示した図である。図２
（ａ）はウエハ１１の表裏面に金の薄膜を付着した後、
フォトリソグラフィ技法を用いて、表面の膜を所定の間
隔毎に剥離する。そして、剥離したウエハをエッチング
液に所定の時間浸漬すると、図２（ｂ）に示すように、
水晶面が露出した部分がエッチングされて凹陥部を形成
する。この凹陥部が形成されたあと、凹陥側には全面電
極１５を、裏面の平面側はフォトリソグラフィ技法を用
いて所望の電極１４を形成すると、図２（ｃ）に示すよ
うな断面図となる。そして、図２（ｄ）に示すラインＣ
で切断することにより、図２（ｅ）に示す高周波圧電振
動子素子が得られる。図２（ｆ）は平面側が上になるよ
うに反転した斜視図である。

【０００９】図３は本発明に係る第２の実施例の構成を
示す図で、同図（ａ）は斜視図、同図（ｂ）はＱ−Ｑに
おける断面図、同図（ｃ）は傾斜部及び囲繞部を切断す
るための説明用平面図である。一方の主表面に凹陥部を
形成した水晶基板１の平面側に２つの電極３２、３３を
近接して配置し、該電極３２、３３からそれぞれリード
電極３２ａ、３３ａを水晶基板１の端部に設けたパッド
電極３２ｂ、３３ｂまで延在すると共に、凹陥側には全
面電極３４を付着して高周波二重モードフィルタ素子を
形成する。図１の場合と同様に、凹陥部に形成された振
動領域でない傾斜部及び囲繞部Ｓを振動領域である平坦
部Ｈとの境界αから切断すると共に、環状囲繞部の一部
Ｔを平坦部Ｈとの境界βから切断して小型高周波二重モ
ードフィルタを形成する。

【００１０】図４は本発明に係る第３の実施例の高周波
圧電振動子の構成を示す図で、同図（ａ）は斜視図、同
図（ｂ）はＱ−Ｑにおける断面図、同図（ｃ）は傾斜部
及び囲繞部を切断するための説明図である。図１のもの
と異なるところはリード電極４２ａと平行な囲繞部を共
にβ１、β２に沿って切断し、薄肉の振動部とこれを支
える一条の略Ｉ字状の厚肉支持部とを一体的に構成した
ことにより、さらに高周波水晶振動子の小型化を図った
ことである。これにより薄肉の振動部の強度は若干低下
するものの、さらなる小型化が実現できる。また、この
実施例を二重モードフィルタ及び三重モードフィルタに
も適用できることは言うまでもない。

【００１１】以上ではＡＴカット水晶基板を用いて本発
明を説明したが、他の切断角度の水晶基板を用いてもよ
いことは説明するまでもない。また、水晶以外のタンタ
ル酸リチウム、ランガサイト、四硼酸リチウム等に本発
明を適用すれば小型の圧電デバイスが可能となる。ま
た、上記実施例ではいずれも境界α、βにて切断を行っ
ているが、薄肉部がＩ字もしくはＬ字状の厚肉部によっ
て一体的に支持されていれば、適宜切断面をα、β以外
の位置に設定してもよいことは言うまでもない。

【００１２】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成した
ので、請求項１の発明によれば、高周波圧電振動子の形
状を大幅に小さくできるという優れた効果がある。ま
た、請求項２の発明によれば、高周波二重モード圧電フ
ィルタの形状を大幅に小さくできるという優れた効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は本発明に係る高周波圧電振動子の構成
を示す斜視図、（ｂ）は断面図、（ｃ）及び（ｄ）は傾
斜部及び囲繞部の一部の切断を説明するための平面図で
ある。

【図２】（ａ）〜（ｅ）は本発明の高周波圧電振動子を
形成する工程を説明する断面図、（ｆ）は斜視図であ
る。

【図３】（ａ）は本発明に係る第２の実施例の高周波二
重モード圧電フィルタの構成を示す斜視図、（ｂ）は断
面図、（ｃ）は傾斜部及び囲繞部の一部の切断を説明す
るための平面図である。

【図４】（ａ）は本発明に係る第３の実施例の高周波圧
電振動子の構成を示す斜視図、（ｂ）は断面図、（ｃ）
は傾斜部及び囲繞部の一部の切断を説明するための平面
図である。

【図５】（ａ）は従来の高周波二重モード圧電フィルタ
の構成を示す平面図、（ｂ）はＱ−Ｑにおける断面図で
ある。

【図６】（ａ）は大きなＡＴカット水晶基板（ウエハ）
にマトリクス状に形成した高周波圧電基板の構成を示す
斜視図、（ｂ）は個片の高周波圧電基板の凹陥部の形状
を示す断面図である。

【符号の説明】１、４１・・圧電基板２、１４、１５、３２、３３、４２・・電極２ａ、３２ａ、３３ａ、４２ａ・・リード電極２ｂ、３２ｂ、３３ｂ、４２ｂ・・パッド電極１１・・ウエハ１２、１３・・薄膜Ｈ・・平坦部Ｓ・・傾斜部及び囲繞部Ｔ・・囲繞部 α、β、β１、β２・・切断線

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】薄肉の振動部と、該振動部の外縁の一部
を支持する略Ｌ字状の厚肉の支持部とを備え、前記振動
部と支持部とは圧電材料にて一体的に構成されているこ
とを特徴とする圧電デバイス。
【請求項２】薄肉の振動部と、該振動部の外縁の一部
を支持する一条の略Ｉ字状の厚肉の支持部とを備え、前
記振動部と支持部とは圧電材料にて一体的に構成されて
いることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項３】前記振動部の一方の主表面と前記支持部
の一方の主面が同一平面となるように構成され、当該平
面と対向する面に全面電極を形成したことを特徴とする
請求項１又は２記載の圧電デバイス。