JP2014007693A - 振動素子、振動子、電子デバイス、電子機器、及び移動体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧電振動素子1は、矩形の振動部12、及び振動部12と一体化された厚肉の厚肉部13を有する圧電基板10と、励振電極25a、25bと、リード電極27a、27bと、を備えている。厚肉部13は、第1の厚肉部14と、第1の厚肉部14との一端に連設する第2の厚肉部15、を備えている。第1の厚肉部14は、厚みが変化する第1の傾斜部14bと、四角柱状の第1の厚肉部本体14aと、を備え、第1の厚肉部14には少なくとも一つのスリット20が設けられている。
【選択図】図1
Description
特許文献1には、主面の一部に凹陥部を形成して高周波化を図った所謂逆メサ構造のATカット水晶振動子が開示されている。水晶基板のZ’軸方向の長さが、X軸方向の長さより長い、所謂Z’ロング基板を用いている。
特許文献3、4には、矩形状で薄肉の振動部において、三辺に各々厚肉の支持部が連設され、前記薄肉の振動部の一辺が露出した構造を有する逆メサ構造のATカット水晶振動子が開示されており、水晶振動片は水晶基板のX軸方向の長さがZ’軸方向の長さより長い、所謂Xロング基板が用いられている。
しかしながら、特許文献5においては、L字状の厚肉部を得るために、特許文献5の図1(c)、(d)に記載されているように線分αと、線分βに沿って厚肉部を削除しているが、当該削除はダイシング等の機械加工で削除することを前提としているため、切断面にチッピングやクラック等のダメージを負い、超薄部が破損してしまう問題がある。また、振動領域にスプリアスの原因となる不要振動の発生やCI値の増加等の問題が発生する。
特許文献7には、水晶基板の両主面であって表裏面で対向するように凹陥部を形成することにより、高周波化を図った逆メサ構造のATカット振動子が開示されている。水晶基板にはXロング基板が用いられ、凹陥部に形成された振動領域の平坦性が確保された領域に励振電極が設けられ構造が提案されている。
特許文献10には、水晶基板の長手方向(X軸方向)の両端部、及び電極のX軸方向の両端部の形状を共に半楕円状とし、且つ楕円の長軸対短軸の比(長軸/短軸)を、ほぼ1.26とした水晶振動子が開示されている。
特許文献11には、楕円の水晶基板上に楕円の励振電極を形成した水晶振動子が開示されている。長軸対短軸の比は、1.26:1が望ましいが、製造寸法のバラツキ等を考慮すると、1.14〜1.39:1の範囲程度が実用的であるという。
ところで、圧電振動子の小型化を図る際に、接着剤に起因する残留応力により、電気的特性の劣化や周波数エージング特性に不良が生じることがある。特許文献13には、矩形平板状のATカット水晶振動子の振動部と支持部との間に、切り欠きやスリットを設けた水晶振動子が開示されている。このような構造を用いることにより、残留応力が振動領域へ広がるのを抑制できるという。
特許文献14には、マウント歪(応力)を改善(緩和)するために、逆メサ型圧電振動子の振動部と支持部との間に切り欠きやスリットを設けた振動子が開示されている。
特許文献15には、逆メサ型圧電振動子の支持部にスリット(貫通孔)を設けることにより、表裏面の電極の導通を確保した圧電振動子が開示されている。
また、特許文献17には、逆メサ型ATカット水晶振動子の薄肉の振動部と、厚肉の保持部との連設部、即ち傾斜面を有する残渣部に、スリットを設けることにより、スプリアスを抑圧する振動子が開示されている。
また、電極膜のオーミックロスを防ぐために膜厚を厚くすると、主振動の他に多くのインハーモニック・モードが閉じ込めモードとなり、近接するスプリアスCI値比を満たせないという問題があった。
そこで、本発明は上記問題の少なくとも一部を解決するためになされたもので、高周波化(100〜500MHz帯)を図ると共に、主振動のCI値を低減し、スプリアスCI値比等の電気的要求を満たした圧電振動素子、圧電振動子、電子デバイス、及び本発明の圧電振動子を用いた電子機器を提供することにある。
また、圧電デバイスとして圧電発振器、温度補償型圧電発振器等を構成することが可能であり、周波数再現性、エージング特性、周波数温度特性に優れた電子デバイス(圧電デバイス)を構成することができるという効果がある。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る圧電振動素子1の構成を示す概略図である。図1(a)は圧電振動素子1の平面図であり、(b)はP−P断面を+X軸方向からみた断面図であり、(c)はQ−Q断面を−Z’軸方向からみた断面図であり、(d)、(e)、及び(f)はスリット形状の変形例を示すQ−Q断面図である。
また、振動領域とは、振動エネルギーが閉じ込められている領域であり、周縁部とは、振動部12内において振動領域の周縁の領域を言う。
同様に、第2の厚肉部15は、振動部12の辺12bに連設され、振動部12の辺12bに連接する一方の端縁(内側端縁)から他方の端縁(外側端縁)に向かって離間するにつれて厚みが漸増する第2の傾斜部15bと、第2の傾斜部15bの前記他方の端縁(外側端縁)に連接する厚肉四角柱状の第2の厚肉部本体15aと、を備えている。
なお、第1の厚肉部本体14a、第2の厚肉部本体15aとは、Y’軸方向の厚みが一定の領域をいう。
このように、第1の厚肉部14は、X軸の+X方向に設けられており、第2の厚肉部15は、Z’軸の+Z’方向に設けられている。
また、図1(e)に示すように、第1の厚肉部本体14aの表面側から形成されて底部を有する第3のスリット20cで構成されてもよい。また、図1(f)に示すように、第1の厚肉部本体14aの裏面側から形成されて底部を有する第4のスリット20dが設けられている構成でもよい。
また、スリット20a,20b,20c,20dの底部の厚みは、振動部12の厚みより厚くてもよいし、薄くてもよい。
ここで説明したスリット20(20a,20b,20c,20d)の形状は、以降説明する他の実施形態、変形例、および応用例においても適用可能である。
圧電基板10は、図1(a)に示すように、Y’軸に平行な方向(以下、「Y’軸方向」という)を厚み方向として、X軸に平行な方向(以下、「X軸方向」という)を長辺とし、Z’軸に平行な方向(以下、「Z’軸方向」という)を短辺とする矩形の形状を有する。
なお、圧電基板10は矩形状に限定されるものではなく、正方形、その他の四角形状であってもよいし五角形以上の多角形でも良い。また、振動部の一辺は、直線的なものに限定されず曲率を有するものであっても良いし、振動部の外形が多角形の場合、前記一辺と接続される他の一辺との間の角部に別の辺が設けられていても良い。
また、本発明に係る圧電基板は、角度θが略35°15′のATカットに限定されるものではなく、厚みすべり振動を励振するBTカット等の圧電基板にも広く適用できるのは言うまでもない。
表面側に形成した励振電極25aから延出したリード電極27aは、振動部12の表面上から第2の傾斜部15bと、第2の厚肉部本体15aとを経由して、第1の厚肉部本体14aの表面に形成されたパッド電極29aに導通接続されている。また、裏面側に形成された励振電極25bから延出したリード電極27bは、圧電基板10の裏面の端縁部を経由して、第1の厚肉部本体14aの裏面に形成されたパッド電極29bと導通接続されている。
また、図1の実施形態例では、圧電基板10の表裏面に対向して夫々パッド電極29a、29bを形成する例を示した。圧電振動素子1をパッケージに収容する際に、後述するように、圧電振動素子1を裏返し、パッド電極29aとパッケージの素子搭載パッドとを導電性接着剤で機械的に固定・電気的に接続し、パッド電極29bとパッケージの電極端子とをボンディングワイヤーを用いて電気的に接続する。このように圧電振動素子1を支持する部位が一点になると、導電性接着剤に起因して生じる応力を小さくすることが可能である。
即ち、圧電振動素子1をパッケージに導電性接着剤により接着・固定する場合には、まず第1の厚肉部本体14aのパッド電極(被支持部)29aに導電性接着剤を塗布し、これをパッケージ等の素子搭載パッドに載置し、加重をかける。導電性接着剤を硬化させるために高温で所定の時間保持する。高温状態では第1の厚肉部本体14a、及びパッケージも共に膨張し、接着剤も一時的に軟化するので、第1の厚肉部本体14aには応力は生じない。導電性接着剤が硬化し、第1の厚肉部本体14a、及びパッケージが冷却してその温度が常温(25℃)に戻ると、導電性接着剤、パッケージ、及び第1の厚肉部本体14aの各線膨張係数の差により、硬化した道電性接着剤から生じる応力が生じる。この応力は、第1の厚肉部本体14aから第2の厚肉部15へ、第1の傾斜部14b、及び第2の傾斜部15bから振動部12へと広がる。この応力の広がりを防止するために、応力緩和用のスリット20を設けている。
このように、スリット20を第1の傾斜部14bと、第1の厚肉部本体14aの境界部(連接部)に沿って配置したので、第1の厚肉部本体14aのパッド電極29aの面積を広く確保することができ、塗布する導電性接着剤の径を大きくすることができる。これに対して、スリット20が第1の厚肉部本体14aのパッド電極29a寄りに配置されると、パッド電極29aの面積が狭くなり、導電性接着剤の径を小さくしなければならない。その結果、導電性接着剤内に含まれる導電フィラーの絶対量も減り、導電性が悪化し、圧電振動素子1の共振周波数が安定しなくなり周波数変動(通称、F飛び)が発生しやすくなる虞がある。
従って、スリット20は、第1の傾斜部14bと、第1の厚肉部本体14aの境界部(連接部)へ寄せて配置することが好ましい。
導電性接着剤としては、シリコーン系、エポキシ系、ポリイミド系、ビスマレイミド系等が一般に用いられているが、脱ガスによる圧電振動素子1の周波数経年変化を考慮に入れて、ポリイミド系の導電性接着剤を用いた。
ポリイミド系の導電性接着剤は硬いので、離れた二カ所を支持する(2点支持)よりも一カ所支持の方が、発生する応力の大きさを低減できる。このため、100〜500MHzの高周波数帯、例えば490MHzの電圧制御型圧電発振器(Voltage Controlled Crystal Oscillator:VCXO)用の圧電振動素子1には、一カ所支持(一点支持)構造を用いた。
また、図1に示した圧電基板10の外形は、X軸方向の長さがZ’軸方向の長さより長い、所謂Xロングとした。これは、圧電基板10が導電性接着剤等で接着・固定される際に応力が生じるが、周知のように、ATカット水晶基板のX軸方向の両端に圧力を加えたときの周波周変化と、Z’軸方向の両端に同じ圧力を加えたときの周波周変化と、を比べると、Z’軸方向の両端に圧力を加えたときの方が、周波数変化が小さい。つまり、支持点はZ’軸方向に沿って設ける方が応力による周波数変化は小さくなり、好ましい。
リード電極27aは、圧電基板10の表面に想定される励振電極25aの端縁から延在され、第2の厚肉部15の表面を経由し、第1の厚肉部本体14aの略中央部の表面に設けられたパッド電極29aに連設するように形成する。また、リード電極27bは、圧電基板10の裏面に想定される励振電極25bの端縁から延在され、裏面(フラット面)の周縁に沿って、第1の厚肉部本体14aの略中央部の裏面に設けられたパッド電極29bに連設するように形成する。
リード電極27a、27bは、圧電基板10の表裏面上に、夫々クロム(Cr)の薄膜から成る第1層と、この第1層の上面に積層された金(Au)の薄膜から成る第2層と、を備えている。リード電極27aの一部27AのR−R断面を拡大した図を、図3(a)中左側の破線円27Aの中に示す。第1の厚肉部本体14aの表面側(上面側)にクロムの薄膜27cを下地とし、この上に金の薄膜27gを積層成膜して、リード電極27aを構成する。リード電極27bについても積層内容は同様である。
リード電極27a、27b、及びパッド電極29a、29bは、同一工程で形成されるため、膜厚の一例は、第1層のクロム(Cr)の薄膜が100Å(1Å=0.1nm(ナノメートル))、金(Au)の薄膜が2000Åと厚く形成されている。このため、リード電極27a、27b、及びパッド電極29a、29bのオーミックロスは生ぜず、ボンディング強度も十分である。
なお、クロム(Cr)薄膜と金(Au)薄膜との間に、他の金属膜を挟んだ構成でもよい。
ここで、励振電極25a、25bの形成においては、前工程で先に形成したリード電極27a、27bと少なくとも一部が重なり合うように励振電極25a、25bを形成する。例えば、図3(b)に示すように、励振電極25aは、端部から延在されたリード電極の一部分27dを有している。リード電極の一部分27dが、リード電極27aの表面に重なり合うように構成されている。このように構成することにより、励振電極25aとリード電極27aとを電気的に確実に接続することができ、導通不良をきたすことを防止することができる。裏面側(フラット面側)に形成する励振電極25bについても同様な構成としている。
又は、前工程で先に形成するリード電極27bの一部分が、励振電極25bの領域に入り込む(重なり合う)ように形成してもよい。その際、共振周波数を決定するプレートバック量は、振動部12の表面側である一方の主面に形成される励振電極25aの質量効果のみに依存しているので、プレートバック量が設計値から変化しないように、リード電極27bの一部分が、励振電極25aと圧電基板10を挟んで平面視で重ならないように、励振電極25aの外形よりも外縁側に位置するように構成する。
励振電極25a、25bの構成の一例は、ニッケル(Ni)の薄膜から成る第1層と、この第1層の上面に積層された金(Au)の薄膜から成る第2層と、を備えている。励振電極25a、25bの一部、破線円のU−U断面図を図3(b)中右側の破線円内に示す。振動部12の表裏面の一層目にニッケル(Ni)の薄膜25nが、二層目に金(Au)の薄膜25gが、積層して成膜されている。膜厚の一例は、第1層のニッケル(Ni)の薄膜が70Åであり、金(Au)の薄膜が600Åである。
なお、ニッケル(Ni)薄膜と、金(Au)薄膜との間に他の金属膜を挟んだ構成でもよい。
上記の膜厚は一例であり、この数値に限定するものではない。励振電極25a、25bに、エネルギー閉じ込め理論と、薄膜のオーミックロスとを考慮して、最適の膜厚のニッケル(Ni)及び金(Au)の積層膜を用いた。また、リード電極27a、27b、及びパッド電極29a、29bの膜厚は、薄膜のオーミックロスと、ボンディング強度とを考慮して、必要な厚さのクロム(Cr)と金(Au)の積層膜を用いた。
励振電極25a、25b、リード電極27a、27b、及びパッド電極29a、29bの製造方法については後述する。
図5に示す実施形態例は、表面側の励振電極25aが楕円形であり、裏面側の励振電極25bは、励振電極25aの面積より十分に大きな四角形である。水晶の場合、弾性定数の異方性によりX軸方向の変位分布と、Z’軸方向の変位分が異なり、変位分布をX−Z’面に平行な面で切った切断面は、楕円形になる。そのため、楕円形状の励振電極25aを用いた場合が最も効率よく、圧電振動素子1を駆動できる。即ち、圧電振動素子1の容量比γ(=C0/C1、ここで、C0は静電容量、C1は直列共振容量)を最小にできる。また、励振電極25aは長円形であってもよい。
図6は、第2実施形態に係る圧電振動素子2の構成を示す概略図である。図6(a)は圧電振動素子2の平面図であり、(b)はP−P断面を+X軸方向からみた断面図であり、(c)はQ−Q断面を−Z’軸方向からみた断面図である。
圧電振動素子2が、図1に示す圧電振動素子1と異なる点は、応力緩和用のスリット20を設ける位置にある。本形態では、スリット20は、薄肉の振動部12の辺12aの端縁より離間した第1の傾斜部14b内に形成されている。振動部12の辺12aに沿って、スリット20の一方の端縁が辺12aに接するように、第1の傾斜部14b内にスリット20を形成するのではなく、第1の傾斜部14bの両端縁より離間してスリット20を設けている。つまり第1の傾斜部14bには、振動部12の辺12aの端縁と連接する極細の傾斜部14bbが残されている。換言すれば、辺12aとスリット20との間に極細の傾斜部14bbが形成されている。
図7は、第3実施形態に係る圧電振動素子3の構成を示す概略図である。図7(a)は圧電振動素子3の平面図であり、(b)はP−P断面を+X軸方向からみた断面図であり、(c)はQ−Q断面を−Z’軸方向からみた断面図である。
圧電振動素子3が、図1に示す圧電振動素子1と異なる点は、第1の厚肉部本体14aの面内に第1のスリット20eを設けると共に、第1の傾斜部14bの面内に第2のスリット20fを形成して、2個の応力緩和用のスリットを設けた点である。第1の厚肉部本体14aの面内、及び第2の傾斜部14bの面内に夫々個別のスリットを形成する目的は、第1の厚肉部14内に、2個のスリットを設けたことにより、導電性接着剤の硬化時に発生する応力の広がりをよりよく抑圧することができる。詳細については上記で既に説明しているので、ここでは省略する。
図1に示した実施形態例の圧電振動素子1と異なる点は、パッド電極29a、29bが配置される位置である。圧電振動素子1”のパッド電極29a、29bは第1の厚肉部本体14aの表面に、互いに離れて設けられている。パッド電極29bは、裏面に形成されたリード電極27bと導通するように、圧電基板10の端縁に跨って導体薄膜が形成されている。表面側のパッド電極29a、29bに導電性接着剤を塗布し、これを反転してパッケージの素子搭載パッドに載置する際に、容易に導通が図られるように、パッド電極29a、29bが構成されている。
または、導電性接着剤の硬度が比較的硬い場合には、導電性接着剤を塗布する「2カ所(2点)」の中心間距離を狭めることにより、2点の中心間で生じる実装に係る歪み(応力)を低減させる手法もある。また一方、導電性接着剤の硬度が比較的柔らかい、シリコーン系接着剤を用いることにより、導電性接着剤に緩衝性を持たせ、2点の中心間で生じる実装に係る歪み(応力)を低減させる手法もある。
工程S1では、両面がポリッシュ加工された所定の厚さ、例えば80μmの水晶ウエハー10Wを、十分に洗浄し、乾燥した後、表裏面にスパッタリング等により、クロム(Cr)を下地にし、その上に金(Au)を積層した金属膜(耐蝕膜)Mを夫々成膜する。
工程S2では、表裏面の金属膜Mの上に夫々フォトレジスト膜(レジスト膜と称す)Rを両面に塗布する。
工程S3では、露光装置とマスクパターンを用いて、表面の振動部12(凹陥部)に相当する部位のレジスト膜Rを露光する。感光したレジスト膜Rを現像して、感光したレジスト膜を剥離すると、表面の振動部12に相当する位置の金属膜Mが露出する。レジスト膜Rから露出した金層膜Mを王水等の溶液を用いて溶かして除去すると、表面の振動部12に相当する位置の水晶面が露出する。
工程S5では、所定の溶液を用いて両面のレジスト膜Rを剥離し、更に露出した両面の金属膜Mを、王水等を用いて除去する。この段階で水晶ウエハー10Wは、表面(片面)の振動部12に相当する位置に形成された凹陥部が、格子状に規則的に並んだ状態となる。
工程S7では、工程S6で形成された金属膜M(Cr+Au)の両面に夫々レジスト膜Rを塗布する。
工程S8では、露光装置と所定のマスクパターンを用いて、圧電基板10の外形とスリット20(図示されず)に相当する部位の各レジスト膜Rを表裏両面から感光し、現像して、各レジスト膜Rを剥離する。更に、露出した金属膜Mを王水等の溶液で溶かして除去する。
なお、X軸に直交する断面の外形を示したが、Z’軸に直交する断面の外形も両面エッチングにより加工されて、図1に示すような形状となる。
工程S10が終了した後、水晶ウエハー10Wに格子状に規則的に並んだ各圧電基板10の振動部12の厚さを、例えば光学的手法を用いて計測する。計測した各振動部12の厚さが所定の厚さより厚い場合には、夫々厚さの微調整を行って所定の厚さの範囲に入るようにする。
工程S11では、水晶ウエハー10Wの表裏全面にスパッタリング等でクロム(Cr)薄膜を成膜し、その上に金(Au)薄膜を積層して、金属膜Mを成膜する。
次に工程S12では、金属膜Mの上に夫々レジストを塗布し、レジスト膜Rを成膜する。
工程S13では、リード電極27a、27b、及びパッド電極29a,29b用のマスクパターンMkを用いて、表裏面上のリード電極27a、27b、及びパッド電極29a,29bに相当する部位のレジスト膜Rを露光する。
次の工程S14では、レジスト膜Rを現像し、不要なレジスト膜Rを剥離する。この剥離により露出した金属膜Mを王水等の溶液で溶かして除去する。リード電極27a、27b、及びパッド電極29a,29bに相当する位置上のレジスト膜Rはそのまま残しておく。
工程S16では、感光したレジスト膜Rを現像して不要なレジスト膜Rを、溶液を用いて剥離する。
次の工程S17では、レジスト膜Rが剥離して露出した金属膜Mを王水等の溶液で溶かして除去する。工程S18では、符号C(リード電極、及びパッド電極用の金属膜Mとレジスト膜R)を金属膜Mとレジスト膜Rに戻して表わす。
工程S19では、金属膜M上に残った不要なレジスト膜Rを剥離すると、各圧電基板10上には金属膜M(Ni+Au)の励振電極25a、25bと、金属膜M(Cr+Au)のリード電極27a、27b、及び図示しないパッド電極29a、29bが形成されている。
その後、水晶ウエハー10Wに連接する支持細片を折り取りすることにより、分割された圧電振動素子が得られる。
そこで、本願発明者は、圧電基板をフォトリソグラフィー技法とウェットエッチング技法を用いて製造するに当たり、エッチングシミュレーションと試作実験、並びにナノレベルでの表面分析と観察を繰り返し、圧電振動子は以下の態様となることが判明したので、以下詳細に説明をする。
図12(a)は、図10の工程S5に相当する水晶ウエハー10Wの平面図である。この段階では、水晶ウエハー10Wの一方の面に凹陥部11が格子状で且つ規則的に形成されている。図12(b)は、X軸方向の断面図であり、凹陥部11の各壁面は垂直の壁面ではなく傾斜面を呈している。つまり、−X軸方向の壁面X1は傾斜面を形成し、+X軸方向の壁面X2は傾斜面を形成している。X軸に直交する溝を形成すると、溝の±X軸方向の壁面X3は楔型を呈する。
凹陥部11が形成された面に電極を設ける場合は、+X軸方向に形成される壁面X2の垂直の壁面に注意する必要がある。電極膜の断裂が起り易いので避ける方が望ましい。
図13(a)は、水晶ウエハー10Wの平面図である。図13(b)〜(e)は、水晶ウエハー10WのZ’軸方向の断面を+X軸方向より見た断面図である。
図13(b)に示すように、+Z’軸方向の壁面Z1は傾斜面を形成し、−Z’軸方向の壁面Z2は傾斜面を形成する。Z’軸に直交する溝部を形成すると、溝部の断面の壁面Z3は楔型を呈する。
図13(c)〜(e)は、凹陥部11の壁面Z1、Z2、及び溝部の壁面Z3の拡大図である。図13(c)に示すように、+Z’軸方向の壁面Z1は、水晶ウエハー10Wの平面に対し比較的緩やかな傾斜でエッチングされる。
図13(d)に示すように、−Z’軸方向の壁面Z2は、水晶ウエハー10Wの平面に対し急な傾斜面Z2aでエッチングされるが、その後は緩やかな傾斜面Z2bでエッチングが進行し、その後はより緩やかな傾斜面Z2cとなる。
図13(e)は、Z’軸方向に直交して形成した溝部の断面図で、楔型断面の壁面Z3となる。この溝部の壁面Z3は、+Z’軸方向の壁面Z1と、−Z’軸方向の傾斜面Z2aと、傾斜面Z2bとで形成されるため、ほぼ楔型の断面を呈する。
更に、緩やかな傾斜面Z2c、及び厚肉部17と、壁面X1、及び厚肉部16と、を共に削除することを前提として製造方法を確立した。このため、振動部12となる平坦な超薄部の面積を、先行技術として掲げた、従来の如きX軸に沿って振動領域の両端に存在する厚肉部を備えた構造に比べて大きく確保することを実現した。
その結果、振動領域に励振される厚み滑り振動モードにおいて、弾性定数の異方性により振動変位分布がX軸方向に長径を有する楕円状となることを十分に考慮して、設計することが可能となり、長軸対短軸の比を、1.26:1が望ましいところ、製造寸法のバラツキ等を考慮して、1.14〜1.39:1の範囲程度となるような設計が十分に可能となった。
また、傾斜面A1、A2共に、端面と、圧電基板10の表面とが交わる付近には、図12(b)、(d)に示すような+X軸方向に形成される壁面X2のような垂直の壁面は現出していない。この理由は、凹陥部11を形成するのに必要なエッチング時間に比べて、傾斜面A1と傾斜面A2の形成時間は、圧電基板(水晶基板)10を表裏からエッチングを開始し、表裏が貫通するまでエッチングするので、エッチング時間が十分に長いためにオーバーエッチングの作用により、垂直の壁面が現出しないのである。
傾斜面A1を構成する傾斜面a1、a2は、X軸に対してほぼ対称関係にあり、傾斜面A2を構成する傾斜面b1、b2、b3、b4では、傾斜面b1とb4、傾斜面b2とb3とが、各々X軸に対してほぼ対称関係にあることが判明した。更に、傾斜面a1、a2のX軸に対する傾斜角度αと、傾斜面b1、b4のX軸に対する傾斜角度βとは、β<αの関係にある。
また、図3に示すように、励振電極25a、25と、リード電極27a、27b及びパッド電極29a、29bとは、夫々異種構成の金属材料が用いられ、且つ適切な膜厚で構成されているため、主振動のCI値が小さく、主振動のCI値に対する近接したスプリアスのCI値の比、即ちCI値比の大きな圧電振動素子が得られるという効果がある。
また、図1、図3に示すように、励振電極25a、25bはニッケルと金の積層膜で形成され、リード電極27a、27b、及びパッド電極29a、29bはクロムと金の積層膜で形成されているため、主振動のCI値が小さく、主振動のCI値に対する近接したスプリアスのCI値の比、即ちCI値比の大きな、ボンディングに十分耐えられる圧電振動素子が得られるという効果がある。
また、圧電基板10に水晶ATカット水晶基板を用いることにより、フォトリソグラフィー技術、及びエッチング技法に関する実績・経験が活用できるので、圧電基板の量産が可能であるのみならず、高精度の圧電基板が得られ、CI値が小さく、CI値比の大きな圧電振動素子の量産が可能になるという効果がある。
圧電振動子5は、図15に示すように、例えば圧電振動素子1と、圧電振動素子1を収容するパッケージとを備えている。パッケージは、矩形の箱状に形成されているパッケージ本体40と、金属、セラミック、ガラス等から成る蓋部材49とから成る。なお、以下の説明では、便宜上、図15(b)においてパッケージ本体40に対して蓋部材49の設置されている方向を上方向(上面側)として記載する。
パッケージ本体40は、第1の基板41と、第2の基板42と、第3の基板43とを積層して形成されており、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミック・グリーンシートを成形し、箱状とした後で、焼結して形成される。実装端子45は、第1の基板41の外部底面に複数形成されている。第3の基板43は中央部が除去された環状体であり、第3の基板43の上部周縁に例えばコバール等の金属シールリング44が形成されている。
第3の基板43と第2の基板42とにより、圧電振動素子1を収容する凹部(キャビティー)が形成される。第2の基板42の上面の所定の位置には、導体46により実装端子45と電気的に導通する素子搭載パッド47が設けられている。素子搭載パッド47の位置は、圧電振動素子1を載置した際に第1の厚肉部本体14aに形成したパッド電極29aに対応するように配置されている。
アニール処理を施した後、励振電極25a、25bに質量を付加するか、又は質量を減じて周波数調整を行う。パッケージ本体40の上面に形成したシールリング44上に、蓋部材49を載置し、真空中、又は窒素N2ガスの雰囲気中で蓋部材49をシーム溶接して密封し、圧電振動子5が完成する。又は、パッケージ本体40の上面に塗布した低融点ガラスに蓋部材49を載置し、溶融して密着する方法もある。この場合もパッケージのキャビティー内は真空にするか、又は窒素N2ガス等の不活性ガスで充填して、圧電振動子5が完成する。なお、本明細書中に記載している真空とは、減圧雰囲気、或いは低真空の状態を指している。
また図9に示すように、パッド電極29a、29bを同一面上に間隔を離して形成した圧電振動素子1”を用いて圧電振動子5を構成してもよい。この場合、圧電振動素子1”は、パッド電極29a、29bに夫々導電性接着剤30を塗布して、反転してパッケージ本体40に形成された素子搭載パッド47に載置し、加重をかけて、支持・固定を図るようにした構造である。低背化に適した構造であるが、被支持部がパッド電極29a、29bの2点となるので、導電性接着剤30に起因する応力が少し大きくなる虞がある。
以上の圧電振動子5の実施形態例では、パッケージ本体40に積層板を用いた例を説明したが、パッケージ本体40に単層セラミック板を用い、蓋体に絞り加工を施したキャップを用いて圧電振動子を構成してもよい。
また、図3の実施形態例に示すように、励振電極25a、25bの電極材料と、リード電極27a、27b、及びパッド電極29a、29bの電極材料と、を異ならせ、又それらの膜厚も夫々の機能に最適なように構成した圧電振動素子1、2、3を用いているため、主振動のCI値が小さく、主振動のCI値に対する近接したスプリアスのCI値の比、即ちCI値比の大きな圧電振動素子1、2、3が得られるという効果がある。
パッケージは、パッケージ本体40aと、蓋部材49とを備えている。パッケージ本体40aは、上面側に圧電振動素子1を収容するキャビティー31が形成され、外部下面側にサーミスターThを収容する凹部32が形成されている。キャビティー31の内底面の端部に素子搭載用パッド47が設けられ、素子搭載用パッド47は導体46で実装端子45と導通接続されている。圧電振動素子1のパッド電極29aに導電性接着剤30を塗布し、これを反転し、素子搭載用パッド47に載置する。上下反転して上面側になったパッド電極29bと電極端子48とをボンディングワイヤーBWで接続する。
パッケージ本体40aの上部には、コバール等からなるシールリング44が焼成されており、このシールリング44に蓋部材49を載置し、抵抗溶接機等を用いて溶接し、キャビティー31を気密封止する。キャビティー31内は真空にしてもよいし、不活性ガスを封入してもよい。裏面の凹部32に半田ボール等を用いてサーミスターThの端子を接続して、電子デバイス6を完成する。
また、圧電振動素子1とサーミスターThとをパッケージ本体40aに収容した例を説明したが、パッケージ本体40aに収容する電子部品としては、サーミスター、コンデンサー、リアクタンス素子、半導体素子のうち少なくとも一つを収容して電子デバイスを構成することが望ましい。
また、本発明の圧電振動素子と上記の電子部品とで電子デバイスを構成することにより、高周波、且つ小型の電子デバイスが構成できるので、多方面の用途に利用できるという効果がある。
また、電子部品に可変容量素子、サーミスター、インダクター、コンデンサーのうちの何れかを用いて電子デバイス(圧電デバイス)を構成すると、要求仕様により適した電子デバイスが、小型、且つ低コストで実現できるという効果がある。
圧電振動素子1のパッド電極29aに導電性接着剤(ポリイミド系)30を塗布し、これを反転してパッケージ本体40bの素子搭載パッド47aに載置し、パッド電極29aと素子搭載パッド47aとの導通を図る。上下反転して上面側になったパッド電極29bは、パッケージ本体40bの他の電極端子48とボンディングワイヤーBWにて接続する。
IC部品51をパッケージ本体40bの所定の位置に固定し、IC部品51の端子と、パッケージ本体40bの電極端子55とをボンディングワイヤーBWにて接続し導通を図る。また、電子部品52は、パッケージ本体40bの所定の位置に載置し、金属バンプ等を用いて接続する。
パッケージ本体40bを真空、あるいは窒素等の不活性気体で満たし、パッケージ本体40bを蓋部材49で密封して圧電発振器(電子デバイス)7を完成する。
パッド電極29bとパッケージ本体40bの電極端子48とをボンディングワイヤーBWで接続する工法は、圧電振動素子1を支持する部位が一点になり、導電性接着剤30に起因して生じる応力を小さくする。また、パッケージ本体40bに収容するに当たり、圧電振動素子1を上下反転して、より大きな励振電極25bを上面にしたので、圧電発振器(電子デバイス)7の周波数微調が容易となる。
本発明の実施形態例に係る電子デバイスの、変形例である圧電発振器7’は、圧電振動素子1と、IC部品51、及び電子部品52とを分離し、圧電振動素子1を単独で気密封止しているために、圧電発振器7’の周波数エージング特性が優れている。
また、圧電デバイスとして圧電発振器、温度補償型圧電発振器等を構成することが可能であり、周波数再現性、エージング特性、周波数温度特性に優れた圧電発振器を構成することができるという効果がある。
次いで、本発明の一実施形態に係る圧電振動素子1を用いた圧電振動子5を適用した電子機器について、図19〜図23に基づき、詳細に説明する。
図19の模式図に示すように、本実施形態の圧電振動子5を電子機器8に用いることにより、高周波で周波数安定度に優れ、S/N比の良好な基準周波数源を備えた電子機器が構成できるという効果がある。
デジタルスチールカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部100が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部100は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCD等を含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部100に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。また、このデジタルスチールカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなデジタルスチールカメラ1300には、圧電振動子5が内蔵されている。
図23は移動体の一例としての自動車を概略的に示す斜視図である。自動車106には本発明に係る圧電振動子5が搭載されている。例えば、同図に示すように、移動体としての自動車106には、ジャイロ素子2を用いた振動子1を内蔵してタイヤ109などを制御する電子制御ユニット108が車体107に搭載されている。また、圧電振動子5は、他にもキーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システム、等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)に広く適用できる。
圧電振動素子の実装に起因した応力を更に軽減、抑圧する手法として、以下に示すごとき構造を採用することができる。
図24(a)の変形例における圧電基板10は、振動領域を有する薄肉の振動部12と、振動部12の周縁に設けられ、振動部12よりも厚い厚肉部13とを備えた圧電基板10である。厚肉部13は、第1の厚肉部本体14a、および第2の厚肉部本体15aを含み、第1の厚肉部本体14a、および第2の厚肉部本体15aの振動部12側の内壁には第1の傾斜部14b、および第2の傾斜部15bが設けられている。第1の厚肉部本体14aは、縁辺の方向に設けられた緩衝部Sを介して第1の傾斜部14bとマウント部Fが並んで延設されている。緩衝部Sは、マウント部Fと第1の傾斜部14bとの間にスリット20を有している。マウント部Fは、緩衝部Sと厚肉部13との並ぶ方向に対して直交方向の両端部に、面取り部21を有している。
厚肉部13は、第1の厚肉部本体14a、および第2の厚肉部本体15aを含み、第1、および第2の厚肉部本体14a、15aの振動部12側の内壁には第1、および第2の傾斜部14b、15bが設けられている。第1の厚肉部本体14aは、縁辺の方向に設けられた緩衝部Sを介して第1の傾斜部14bとマウント部Fが並んで延設されている。緩衝部Sは、マウント部Fと第1の傾斜部14bとの間にスリット20を有している。
マウント部Fは、緩衝部Sと厚肉部13との並ぶ方向に対して直交方向(以下直交方向という)の両端部に切欠き部22を有している。スリット20の長手方向(延伸方向)は、前記直交方向と平行である。また、マウント部Fの前記直交方向の幅は、スリットの長手方向の幅より狭く形成されている。スリットの長手方向の両端部は、マウント部Fの両端部よりも緩衝部Sの前記直交方向の外周寄りに設けられている。
なお、図24、図25においては、厚肉部13の第1、および第2の厚肉部本体14a、15aの内壁に第1、および第2の傾斜部14b、15bが図示されている一方で、また厚肉部13の外側の側壁面には図14に示した如き傾斜面が図示されていないが、これらの傾斜部、傾斜面は図14に示しているように対応する部位に形成されることになる。
なお、図24、図25中の各符号は、上述した実施形態の同じ符号が示す部位と対応している。
更に、図26(a)は圧電振動素子1Aの平面図であり、同図(b)は圧電振動素子1Aのパッド電極29a(マウント部F)の拡大平面図を示し、同図(c)はパッド電極29a(マウント部F)の断面図を示している。このパッド電極29a(マウント部F)においては、接着強度を向上させるために表面を凹凸状とすることによって接着面積を広げている。
Claims (15)
- 振動領域を含む振動部、及び当該振動部と一体化され、前記振動部よりも厚みが厚い厚肉部を含む基板と、
前記振動領域に設けられている励振電極と、
を含み、
前記厚肉部は、
前記振動部の一辺に沿って設けられている第1の厚肉部と、
前記一辺と接続している他の一辺に沿って設けられている第2の厚肉部と、
を含み、
前記第1の厚肉部と前記第2の厚肉部とは、夫々の一端が連設され、
前記第1の厚肉部の一方の主面は前記振動部の一方の主面よりも突設され、
前記第1の厚肉部の他方の主面と前記振動部の他方の主面とは同一面であり、
前記第2の厚肉部の一方の主面は前記振動部の一方の主面よりも突設され、
前記第2の厚肉部の他方の主面と前記振動部の他方の主面とは同一面であり、
前記第1の厚肉部は、
前記振動部の第1の外縁に連接している一方の端縁から他方の端縁に向かって離間するにつれて厚みが増加している第1の傾斜部と、
当該第1の傾斜部の前記他方の端縁に連接している第1の厚肉部本体と、
を含み、
前記第1の厚肉部には、
少なくとも一つのスリットが設けられていることを特徴とする振動素子。 - 請求項1において、
前記基板は、
水晶の結晶軸である電気軸としてのX軸と、機械軸としてのY軸と、光学軸としてのZ軸と、からなる直交座標系の前記X軸を中心として、
前記Z軸を前記Y軸の−Y方向へ傾けた軸をZ’軸とし、
前記Y軸を前記Z軸の+Z方向へ傾けた軸をY’軸とし、
前記X軸と前記Z’軸とを含む平面を主面とし、
前記Y’軸に沿った方向を厚みとする水晶基板であることを特徴とする振動素子。 - 請求項2において、
前記第1の厚肉部の前記一方の主面、および前記第2の厚肉部の前記一方の主面は、前記振動部の前記一方の主面から前記Y’軸の+Y方向に突設していることを特徴とする振動素子。 - 請求項2において、
前記第2の厚肉部は、前記Z’軸の+Z’方向に設けられていることを特徴とする振動素子。 - 請求項2において、
前記第1の厚肉部は、前記X軸の+X方向に設けられていることを特徴とする振動素子。 - 請求項1において、
前記スリットは、
前記第1の傾斜部と、前記第1の厚肉部本体との境界部に沿って、前記第1の厚肉部本体に設けられていることを特徴とする振動素子。 - 請求項1において、
前記スリットは、
前記第1の傾斜部内に前記振動部の一辺から離間して配置されていることを特徴とする振動素子。 - 請求項1において、
前記スリットは、
前記第1の厚肉部本体に配置された第1のスリットと、
前記第1の傾斜部内に前記振動部の一辺から離間して設けられている第2のスリットと、
を含むことを特徴とする振動素子。 - 請求項8において、
前記第1のスリットは、
前記第1の傾斜部と、前記第1の厚肉部本体との境界部に沿って、前記第1の厚肉部本体に設けられていることを特徴とする振動素子。 - 請求項1乃至9の何れか一項に記載の振動素子と、
該振動素子が収容されているパッケージと、を備えていることを特徴とする振動子。 - 請求項1乃至9の何れか一項に記載の振動素子と、
電子部品と、
前記振動素子および前記電子部品が収容されているパッケージと、を備えていることを特徴とする電子デバイス。 - 請求項11において、
前記電子部品は、
可変容量素子、サーミスター、インダクター、コンデンサーのうちの何れかであることを特徴とする電子デバイス。 - 請求項11又は12において、
前記振動素子を駆動する発振回路をパッケージに備えていることを特徴とする電子デバイス。 - 請求項10に記載の振動子を備えていることを特徴とする電子機器。
- 請求項10に記載の振動子を備えていることを特徴とする移動体。
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