JP2004304448A - 水晶振動板 - Google Patents
水晶振動板 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004304448A JP2004304448A JP2003093908A JP2003093908A JP2004304448A JP 2004304448 A JP2004304448 A JP 2004304448A JP 2003093908 A JP2003093908 A JP 2003093908A JP 2003093908 A JP2003093908 A JP 2003093908A JP 2004304448 A JP2004304448 A JP 2004304448A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- quartz
- vibration region
- axis direction
- thickness
- dimension
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)
Abstract
【課題】圧電体を高精度に薄板化し水晶振動板の高周波化を容易にする水晶振動子の経時変化に伴う周波数の変化率を改善することを目的とする。
【解決手段】課題を解決するために本発明は、所望の周波数を厚みすべり振動モード励振し、表裏両主面上に励振用電極を有する振動領域と、該振動領域の周囲に該振動領域の厚さよりも厚い補強部を一体で形成した矩形状の水晶振動板において、前記水晶振動板外形の中心と、該振動領域の中心を合致させ、X軸方向Wx寸法、X軸方向に垂直方向をLz寸法とし、前記振動領域の寸法をそれぞれX軸方向W寸法、X軸方向に垂直方向をL寸法としたとき、この辺比が該水晶振動板の該振動領域部分の板厚みTに対してL/T=160〜140、W/T=120〜100の条件を満たす関係により課題を解決する。
【選択図】 図1
【解決手段】課題を解決するために本発明は、所望の周波数を厚みすべり振動モード励振し、表裏両主面上に励振用電極を有する振動領域と、該振動領域の周囲に該振動領域の厚さよりも厚い補強部を一体で形成した矩形状の水晶振動板において、前記水晶振動板外形の中心と、該振動領域の中心を合致させ、X軸方向Wx寸法、X軸方向に垂直方向をLz寸法とし、前記振動領域の寸法をそれぞれX軸方向W寸法、X軸方向に垂直方向をL寸法としたとき、この辺比が該水晶振動板の該振動領域部分の板厚みTに対してL/T=160〜140、W/T=120〜100の条件を満たす関係により課題を解決する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に小型でかつ高周波の基本波で振動する水晶振動板の形状に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今の移動体・情報通信機器等に用いられる振動子やフィルタなどの圧電デバイスは機器の小型化、デジタル化への展開とあいまって、高周波数、広帯域化という基本仕様が高機能化する傾向にある。
【0003】
特に、移動体通信分野では通信網が高密度化するなど、多重通信時代が到来することに対し、これら高密度の通信網では従来より効率の良いフィルタリングとフィルタ特性の広帯域化の要求とが望まれている。
【0004】
上記のような高周波を発振させるためには、図5に示す形状のような形状を持つ水晶振動子の板厚を薄く加工することは必須な条件であり、従来の水晶振動子の加工方法の代表例では、研磨技術やエッチング技術などの薄板化技術を向上させることで、高周波化と広帯域化に対応する現状にある。
【0005】
一方近年においては、移動体通信機器等の機器類の著しい小型化に伴い、これらの機器に用いられる水晶振動子などの電子部品についても更なる小型化が求められている。また、水晶振動子については、小型化と同時に、CPU等の動作周波数の高周波化に対応するための、発振周波数の高周波化も求められている。
【0006】
通常、水晶振動子における厚みすべり共振周波数は、水晶板の振動領域の厚さ及び振動領域の両主面上に形成された電極膜の質量によって変化する。厚みすべり水晶振動子の製造工程では、水晶板の表裏主面上に金、銀、または合金による励振用電極膜を形成した後で、励振用電極上に、励振用電極の形状内に収まるよう金属膜を蒸着により付着させて、所望の共振周波数を得ている。
【0007】
従来の技術の一例として、水晶振動子内に搭載される水晶振動板の平面、即ち水晶振動板は厚みすべり振動モードをする領域と、この振動領域の周囲に振動領域よりも厚い補強部を一体構造で形成してある。なお、補強部は、振動領域の両主面に対し、一方の主面側において補強部との段差を有し、また、他方の主面側において補強部の平面と同一面とするように形成されている。
【0008】
上述の振動子において、振動領域の両主面ほぼ中央部には、基本波励振電極膜が形成されている。また、励振用電極から補強部を通り、水晶振動子の一方の端部に形成された水晶振動板の電極と電気的に接続する引き出し電極が形成されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−32456号公報
【特許文献2】
特開2003−46367号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記の振動子の製造方法を代表する手法に、化学薬品を用いたエッチング処理により、水晶材料から水晶振動板を得る方法がある。従来の一般的な振動子の加工方法では、ATカット板の水晶振動板を両面研磨機(俗に言うラッピングマシン)を用いて厚み研磨加工を行っていたが、被加工物が研磨加工中および被加工物の取り扱い(研磨作業中の被加工物を取り出すとき)に被加工物に割れ、欠けが生じる。高周波の振動子を得るために板厚自体も極薄く、更には、被加工物の外形寸法も2ミリ角と非常に小さく振動子の形状が複雑であることから、取り扱いが非常に難しい現状にあり加工ができなくなったことからエッチング手法による製造方法を用いるものである。
【0011】
一般的に、エネルギー閉じ込め型の水晶振動子を設計するときには、無限平面状態と近似して行うことが望まれる。その状態に近似させるためには、振動領域(寸法)を振動領域部の厚みの50倍以上とる必要がある。また、従来技術に記述する水晶振動板の製造には、その形状を得るためにエッチング手法を用いるが、エッチング処理によって水晶材料の結晶の異方性が生じ、従来の水晶振動板と比較し振動領域の有効寸法が小さくなる傾向がある。その結果、振動領域部分の平坦度が劣化することを起因により周波数特性の悪化が懸念される。従って、従来の水晶振動板の外形寸法に対する振動領域の有効寸法を大きく設計することも望まれている。
【0012】
上述する寸法辺比の関係から、要するに、水晶振動板の外形寸法と振動領域寸法と板厚との関係から、特に水晶振動子の経時変化による周波数特性変化率の改善が要求されている。
【0013】
本発明は、このような従来の水晶振動板の課題を考慮し、水晶振動板を高精度に薄板化し水晶振動板の高周波化を容易にする圧電デバイスを提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を解決するために本発明は、所望の周波数を厚みすべり振動モード励振し、表裏両主面上に励振用電極を有する振動領域と、該振動領域の周囲に該振動領域の厚さよりも厚い補強部を一体で形成した矩形状の水晶振動板において、前記水晶振動板外形の中心と、該振動領域の中心を合致させ、前記水晶振動板のX軸方向Wx寸法、X軸方向に垂直方向をLz寸法とし、前記振動領域の寸法をそれぞれX軸方向W寸法、X軸方向に垂直方向をL寸法としたとき、この辺比が該水晶振動板の該振動領域部分の板厚みTに対してL/T=160〜140、W/T=120〜100の条件を満たすことを特徴とする水晶振動板である。
【0015】
要するに本発明は、従来のような振動領域と補強部の板厚みのことなる形状を有する水晶振動板の場合には、これらの寸法や厚みの関係に起因した、水晶振動板の周波数特性変化率に関する経時変化の善し悪しを、発明者が実験的に検証したもので、本発明の水晶振動板の形状の辺比により、水晶振動板の固定部に生じる歪み量を改善することにより課題を解決するものであり、課題を解決できる水晶振動板を構成する寸法辺比を得たものである。
【0016】
【背景】
基本波の発振周波数で150MHz以上の周波数を得る水晶振動板の形状としては、従来の技術に記載するような水晶振動板の一部分の厚み(振動領域)を薄くした構造が一般的に用いられている。この場合、例えば図5の従来の水晶振動板の形態のように、振動領域を大きく設計したものの、水晶振動板をパッケージに実装する際に、水晶振動板の固定部分からの歪みの影響を受け、特に経時変化での周波数変化率が劣化する現象を確認している。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従ってこの発明の実施例を説明する。なお、各図において同一の符号は同様の対象を示すものとする。図1は本発明の一実施例を示した水晶振動板の平面図と側面図である。なお、本実施例に示す振動子は、水晶振動板1の厚みは80μmで、振動部2の厚みは6〜10μmを例とし、発振周波数は150〜250MHzを想定する。
【0018】
図1では本発明の水晶振動板1の平面図(図1(a))、Lz方向から見た側面図(図1(b))、Wx方向から見た側面図(図1(c))で、水晶振動板1の内部に搭載される水晶振動板1は、厚みすべり振動モードをする振動領域2と、この振動領域2の周囲に振動領域2の厚さよりも厚い補強部3を一体構造で形成してあり、補強部3は、振動領域2の両主面に対し、一方の主面2a側において補強部3との段差を有し、また、他方の主面2b側において補強部3の平面と同一面とするように形成されている。なお、図1には一方の主面に段差を設けているが、両面に段差を有した形状であっても問題は無い。
【0019】
この振動領域2の両主面ほぼ中央部には、振動領域2において厚みすべり振動モードの基本波を励振するための励振用電極膜4が形成されている。この励振用電極5の外形寸法は、スプリアス発振などの不具合を発生させず、且つエネルギー閉じ込めの効果を最大限得てCI値をなるべく小さくする寸法に設計されている。
【0020】
そして本発明の特徴である水晶振動板1の外形の中心と、該振動領域の中心を合致させ、X軸方向Wx寸法、X軸方向に垂直方向をLz寸法とし、前記振動領域の寸法をそれぞれX軸方向W寸法、X軸方向に垂直方向をL寸法としたとき、この辺比が該水晶振動板1の該振動領域部分の板厚みTに対してL/T=160〜140、W/T=120〜100の条件を満たす関係にすることで、経時変化における周波数変化率を大幅に改善することを発明者は実験的に検証したものである。
【0021】
図2は本発明の実験経過を確認するための水晶振動板形状を比較するもので、水晶振動板全体の外形寸法(Wxは1.8mm、Lzは3.5mm)と、振動領域の寸法を平面で描画した図である。なお、図2では励振用電極膜4の詳細図示していないが、図1に準じた形態で励振用電極膜4を形成するものである。図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)と最適な結果を得るために寸法辺比を振ったものであり、それぞれの水晶振動板1全体の外形寸法に対して振動領域の寸法を変化させたことを示したものである。そして、図3には図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)の各々の寸法で構成した水晶振動板1の(経時)周波数変化を示したものであり、図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)に対応して、それぞれ図3(a)、図3(b)、図3(c)、図3(d)のグラフで周波数変化率を示したものである。
【0022】
図3は縦軸に周波数変化率のバラツキ(Δf/f:×10−6)を示し、横軸には経時変化(時間)を示した加速エージングを行った結果示すグラフである。経時変化として23時間、42時間、61時間、296時間、531時間、1006時間、1576時間、2291時間の経時時間を示したものである。この周波数バラツキと経時変化の特性グラフからも分かるように、本発明の水晶振動板1のX軸方向Wx寸法、X軸方向に垂直方向をLz寸法とし、前記振動領域の寸法をそれぞれX軸方向W寸法、X軸方向に垂直方向をL寸法としたとき、この辺比が該水晶振動板1の該振動領域部分の板厚みTに対してL/T=160〜140、W/T=120〜100の条件を満たす関係で構成した水晶振動板1により、経時変化に伴う水晶振動板1全体の温度変化率のバラツキ量を改善することができる。
【0023】
改善できる理由付けとしては、水晶振動板1の形状における、振動領域を構成する寸法で、特に水晶振動板1を固定する部分における歪みによる影響を、水晶振動板1全体の剛性(辺比の関係により)を高めたことから、経時変化に伴う水晶振動板1に与える影響を低減できたものと考えられる。
【0024】
また、図4に示すように、L/T=160〜140、W/T=120〜100としての最適条件値の根拠として、少ない試験片の水晶振動板1での結果ではあるが、Z方向寸法比での経時変化(図4(a))とX方向寸法比での経時変化(図4(b))で、周波数の変化率(Δf/f:×10−6)が5×10−6以内に着目したときの寸法辺比となる。図3のグラフでは図3(c)と図3(d)の水晶振動板1の形状(図2(c)と図2(d))に対応する。
【0025】
なお、寸法辺比(L寸法、W寸法)は、次の式で算出している。単位はmm。L寸法/板厚(T=10μmの場合)
L/T=1.6/0.001〜1.4/0.001=160〜140
W/T=1.2/0.001〜1.0/0.001=120〜100
【0026】
【発明の効果】
本発明により、小型化する所望の周波数を厚みすべり振動モード励振し、表裏両主面上に励振用電極を有する振動領域と、該振動領域の周囲に該振動領域の厚さよりも厚い補強部を一体で形成した矩形状の水晶振動板の経時変化に伴う周波数特性の変化率を大幅に改善することで、水晶振動板のコストを低減すると同時に、製造工程における製造歩留まりの向上と水晶振動板の品質改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水晶振動板の形状示す平面図と側面図である。
【図2】本発明の水晶振動板と従来の水晶振動板の振動領域の寸法の違いを説明する平面図である。
【図3】図2に示す振動領域寸法の差異で発生する経時変化の周波数変化率を示す特性グラフである。
【図4】本発明の寸法辺比の良好な数値状態を示すグラフである。
【図5】従来の水晶振動板の形状を示す平面図である。
【符号の説明】
1 水晶振動板
2 振動領域(振動部)
2a、2b 振動領域の表裏各主面
3 補強部
4 励振用電極膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に小型でかつ高周波の基本波で振動する水晶振動板の形状に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今の移動体・情報通信機器等に用いられる振動子やフィルタなどの圧電デバイスは機器の小型化、デジタル化への展開とあいまって、高周波数、広帯域化という基本仕様が高機能化する傾向にある。
【0003】
特に、移動体通信分野では通信網が高密度化するなど、多重通信時代が到来することに対し、これら高密度の通信網では従来より効率の良いフィルタリングとフィルタ特性の広帯域化の要求とが望まれている。
【0004】
上記のような高周波を発振させるためには、図5に示す形状のような形状を持つ水晶振動子の板厚を薄く加工することは必須な条件であり、従来の水晶振動子の加工方法の代表例では、研磨技術やエッチング技術などの薄板化技術を向上させることで、高周波化と広帯域化に対応する現状にある。
【0005】
一方近年においては、移動体通信機器等の機器類の著しい小型化に伴い、これらの機器に用いられる水晶振動子などの電子部品についても更なる小型化が求められている。また、水晶振動子については、小型化と同時に、CPU等の動作周波数の高周波化に対応するための、発振周波数の高周波化も求められている。
【0006】
通常、水晶振動子における厚みすべり共振周波数は、水晶板の振動領域の厚さ及び振動領域の両主面上に形成された電極膜の質量によって変化する。厚みすべり水晶振動子の製造工程では、水晶板の表裏主面上に金、銀、または合金による励振用電極膜を形成した後で、励振用電極上に、励振用電極の形状内に収まるよう金属膜を蒸着により付着させて、所望の共振周波数を得ている。
【0007】
従来の技術の一例として、水晶振動子内に搭載される水晶振動板の平面、即ち水晶振動板は厚みすべり振動モードをする領域と、この振動領域の周囲に振動領域よりも厚い補強部を一体構造で形成してある。なお、補強部は、振動領域の両主面に対し、一方の主面側において補強部との段差を有し、また、他方の主面側において補強部の平面と同一面とするように形成されている。
【0008】
上述の振動子において、振動領域の両主面ほぼ中央部には、基本波励振電極膜が形成されている。また、励振用電極から補強部を通り、水晶振動子の一方の端部に形成された水晶振動板の電極と電気的に接続する引き出し電極が形成されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−32456号公報
【特許文献2】
特開2003−46367号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記の振動子の製造方法を代表する手法に、化学薬品を用いたエッチング処理により、水晶材料から水晶振動板を得る方法がある。従来の一般的な振動子の加工方法では、ATカット板の水晶振動板を両面研磨機(俗に言うラッピングマシン)を用いて厚み研磨加工を行っていたが、被加工物が研磨加工中および被加工物の取り扱い(研磨作業中の被加工物を取り出すとき)に被加工物に割れ、欠けが生じる。高周波の振動子を得るために板厚自体も極薄く、更には、被加工物の外形寸法も2ミリ角と非常に小さく振動子の形状が複雑であることから、取り扱いが非常に難しい現状にあり加工ができなくなったことからエッチング手法による製造方法を用いるものである。
【0011】
一般的に、エネルギー閉じ込め型の水晶振動子を設計するときには、無限平面状態と近似して行うことが望まれる。その状態に近似させるためには、振動領域(寸法)を振動領域部の厚みの50倍以上とる必要がある。また、従来技術に記述する水晶振動板の製造には、その形状を得るためにエッチング手法を用いるが、エッチング処理によって水晶材料の結晶の異方性が生じ、従来の水晶振動板と比較し振動領域の有効寸法が小さくなる傾向がある。その結果、振動領域部分の平坦度が劣化することを起因により周波数特性の悪化が懸念される。従って、従来の水晶振動板の外形寸法に対する振動領域の有効寸法を大きく設計することも望まれている。
【0012】
上述する寸法辺比の関係から、要するに、水晶振動板の外形寸法と振動領域寸法と板厚との関係から、特に水晶振動子の経時変化による周波数特性変化率の改善が要求されている。
【0013】
本発明は、このような従来の水晶振動板の課題を考慮し、水晶振動板を高精度に薄板化し水晶振動板の高周波化を容易にする圧電デバイスを提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を解決するために本発明は、所望の周波数を厚みすべり振動モード励振し、表裏両主面上に励振用電極を有する振動領域と、該振動領域の周囲に該振動領域の厚さよりも厚い補強部を一体で形成した矩形状の水晶振動板において、前記水晶振動板外形の中心と、該振動領域の中心を合致させ、前記水晶振動板のX軸方向Wx寸法、X軸方向に垂直方向をLz寸法とし、前記振動領域の寸法をそれぞれX軸方向W寸法、X軸方向に垂直方向をL寸法としたとき、この辺比が該水晶振動板の該振動領域部分の板厚みTに対してL/T=160〜140、W/T=120〜100の条件を満たすことを特徴とする水晶振動板である。
【0015】
要するに本発明は、従来のような振動領域と補強部の板厚みのことなる形状を有する水晶振動板の場合には、これらの寸法や厚みの関係に起因した、水晶振動板の周波数特性変化率に関する経時変化の善し悪しを、発明者が実験的に検証したもので、本発明の水晶振動板の形状の辺比により、水晶振動板の固定部に生じる歪み量を改善することにより課題を解決するものであり、課題を解決できる水晶振動板を構成する寸法辺比を得たものである。
【0016】
【背景】
基本波の発振周波数で150MHz以上の周波数を得る水晶振動板の形状としては、従来の技術に記載するような水晶振動板の一部分の厚み(振動領域)を薄くした構造が一般的に用いられている。この場合、例えば図5の従来の水晶振動板の形態のように、振動領域を大きく設計したものの、水晶振動板をパッケージに実装する際に、水晶振動板の固定部分からの歪みの影響を受け、特に経時変化での周波数変化率が劣化する現象を確認している。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従ってこの発明の実施例を説明する。なお、各図において同一の符号は同様の対象を示すものとする。図1は本発明の一実施例を示した水晶振動板の平面図と側面図である。なお、本実施例に示す振動子は、水晶振動板1の厚みは80μmで、振動部2の厚みは6〜10μmを例とし、発振周波数は150〜250MHzを想定する。
【0018】
図1では本発明の水晶振動板1の平面図(図1(a))、Lz方向から見た側面図(図1(b))、Wx方向から見た側面図(図1(c))で、水晶振動板1の内部に搭載される水晶振動板1は、厚みすべり振動モードをする振動領域2と、この振動領域2の周囲に振動領域2の厚さよりも厚い補強部3を一体構造で形成してあり、補強部3は、振動領域2の両主面に対し、一方の主面2a側において補強部3との段差を有し、また、他方の主面2b側において補強部3の平面と同一面とするように形成されている。なお、図1には一方の主面に段差を設けているが、両面に段差を有した形状であっても問題は無い。
【0019】
この振動領域2の両主面ほぼ中央部には、振動領域2において厚みすべり振動モードの基本波を励振するための励振用電極膜4が形成されている。この励振用電極5の外形寸法は、スプリアス発振などの不具合を発生させず、且つエネルギー閉じ込めの効果を最大限得てCI値をなるべく小さくする寸法に設計されている。
【0020】
そして本発明の特徴である水晶振動板1の外形の中心と、該振動領域の中心を合致させ、X軸方向Wx寸法、X軸方向に垂直方向をLz寸法とし、前記振動領域の寸法をそれぞれX軸方向W寸法、X軸方向に垂直方向をL寸法としたとき、この辺比が該水晶振動板1の該振動領域部分の板厚みTに対してL/T=160〜140、W/T=120〜100の条件を満たす関係にすることで、経時変化における周波数変化率を大幅に改善することを発明者は実験的に検証したものである。
【0021】
図2は本発明の実験経過を確認するための水晶振動板形状を比較するもので、水晶振動板全体の外形寸法(Wxは1.8mm、Lzは3.5mm)と、振動領域の寸法を平面で描画した図である。なお、図2では励振用電極膜4の詳細図示していないが、図1に準じた形態で励振用電極膜4を形成するものである。図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)と最適な結果を得るために寸法辺比を振ったものであり、それぞれの水晶振動板1全体の外形寸法に対して振動領域の寸法を変化させたことを示したものである。そして、図3には図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)の各々の寸法で構成した水晶振動板1の(経時)周波数変化を示したものであり、図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)に対応して、それぞれ図3(a)、図3(b)、図3(c)、図3(d)のグラフで周波数変化率を示したものである。
【0022】
図3は縦軸に周波数変化率のバラツキ(Δf/f:×10−6)を示し、横軸には経時変化(時間)を示した加速エージングを行った結果示すグラフである。経時変化として23時間、42時間、61時間、296時間、531時間、1006時間、1576時間、2291時間の経時時間を示したものである。この周波数バラツキと経時変化の特性グラフからも分かるように、本発明の水晶振動板1のX軸方向Wx寸法、X軸方向に垂直方向をLz寸法とし、前記振動領域の寸法をそれぞれX軸方向W寸法、X軸方向に垂直方向をL寸法としたとき、この辺比が該水晶振動板1の該振動領域部分の板厚みTに対してL/T=160〜140、W/T=120〜100の条件を満たす関係で構成した水晶振動板1により、経時変化に伴う水晶振動板1全体の温度変化率のバラツキ量を改善することができる。
【0023】
改善できる理由付けとしては、水晶振動板1の形状における、振動領域を構成する寸法で、特に水晶振動板1を固定する部分における歪みによる影響を、水晶振動板1全体の剛性(辺比の関係により)を高めたことから、経時変化に伴う水晶振動板1に与える影響を低減できたものと考えられる。
【0024】
また、図4に示すように、L/T=160〜140、W/T=120〜100としての最適条件値の根拠として、少ない試験片の水晶振動板1での結果ではあるが、Z方向寸法比での経時変化(図4(a))とX方向寸法比での経時変化(図4(b))で、周波数の変化率(Δf/f:×10−6)が5×10−6以内に着目したときの寸法辺比となる。図3のグラフでは図3(c)と図3(d)の水晶振動板1の形状(図2(c)と図2(d))に対応する。
【0025】
なお、寸法辺比(L寸法、W寸法)は、次の式で算出している。単位はmm。L寸法/板厚(T=10μmの場合)
L/T=1.6/0.001〜1.4/0.001=160〜140
W/T=1.2/0.001〜1.0/0.001=120〜100
【0026】
【発明の効果】
本発明により、小型化する所望の周波数を厚みすべり振動モード励振し、表裏両主面上に励振用電極を有する振動領域と、該振動領域の周囲に該振動領域の厚さよりも厚い補強部を一体で形成した矩形状の水晶振動板の経時変化に伴う周波数特性の変化率を大幅に改善することで、水晶振動板のコストを低減すると同時に、製造工程における製造歩留まりの向上と水晶振動板の品質改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水晶振動板の形状示す平面図と側面図である。
【図2】本発明の水晶振動板と従来の水晶振動板の振動領域の寸法の違いを説明する平面図である。
【図3】図2に示す振動領域寸法の差異で発生する経時変化の周波数変化率を示す特性グラフである。
【図4】本発明の寸法辺比の良好な数値状態を示すグラフである。
【図5】従来の水晶振動板の形状を示す平面図である。
【符号の説明】
1 水晶振動板
2 振動領域(振動部)
2a、2b 振動領域の表裏各主面
3 補強部
4 励振用電極膜
Claims (1)
- 所望の周波数を厚みすべり振動モード励振し、表裏両主面上に励振用電極を有する振動領域と、該振動領域の周囲に該振動領域の厚さよりも厚い補強部を一体で形成した矩形状の水晶振動板において、
前記水晶振動板外形の中心と、該振動領域の中心を合致させ、前記水晶振動板のX軸方向Wx寸法、X軸方向に垂直方向をLz寸法とし、前記振動領域の寸法をそれぞれX軸方向W寸法、X軸方向に垂直方向をL寸法としたとき、この辺比が該水晶振動板の該振動領域部分の板厚みTに対してL/T=160〜140、W/T=120〜100の条件を満たすことを特徴とする水晶振動板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003093908A JP2004304448A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 水晶振動板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003093908A JP2004304448A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 水晶振動板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004304448A true JP2004304448A (ja) | 2004-10-28 |
Family
ID=33406592
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003093908A Pending JP2004304448A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 水晶振動板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004304448A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010187307A (ja) * | 2009-02-13 | 2010-08-26 | Seiko Instruments Inc | Atカット水晶振動子およびその製造方法 |
JP2013207536A (ja) * | 2012-03-28 | 2013-10-07 | Seiko Epson Corp | 振動素子、振動子、電子デバイス、および電子機器 |
CN104079260A (zh) * | 2013-03-29 | 2014-10-01 | 精工爱普生株式会社 | 振动元件、振子、振荡器、电子设备以及移动体 |
-
2003
- 2003-03-31 JP JP2003093908A patent/JP2004304448A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010187307A (ja) * | 2009-02-13 | 2010-08-26 | Seiko Instruments Inc | Atカット水晶振動子およびその製造方法 |
JP2013207536A (ja) * | 2012-03-28 | 2013-10-07 | Seiko Epson Corp | 振動素子、振動子、電子デバイス、および電子機器 |
CN104079260A (zh) * | 2013-03-29 | 2014-10-01 | 精工爱普生株式会社 | 振动元件、振子、振荡器、电子设备以及移动体 |
CN104079260B (zh) * | 2013-03-29 | 2018-04-03 | 精工爱普生株式会社 | 振动元件、振子、振荡器、电子设备以及移动体 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9923544B2 (en) | Piezoelectric vibration element, manufacturing method for piezoelectric vibration element, piezoelectric resonator, electronic device, and electronic apparatus | |
US7598826B2 (en) | Piezoelectric thin film device having a drive section with a weighted portion | |
US7902721B2 (en) | Crystal resonator | |
JP2003318685A (ja) | 水晶振動子の製造方法 | |
JP2003110388A (ja) | 圧電振動素子とその製造方法、および圧電デバイス | |
US7888849B2 (en) | Piezoelectric resonator and method for producing the same | |
JP4665849B2 (ja) | 圧電振動デバイスの製造方法 | |
JP2008206000A (ja) | 圧電振動片、圧電デバイスおよび圧電振動片の製造方法 | |
JP2004304448A (ja) | 水晶振動板 | |
JP4196641B2 (ja) | 超薄板圧電デバイスとその製造方法 | |
JP2004260695A (ja) | 水晶振動子とその製造方法 | |
JP4472381B2 (ja) | 水晶振動子の製造方法 | |
JP2001230654A (ja) | 圧電振動素子およびその製造方法 | |
JPS61218215A (ja) | 圧電薄膜共振子 | |
JP2000040938A (ja) | 超高周波圧電デバイス | |
JP4641111B2 (ja) | 圧電デバイス素子の製造方法 | |
JP2001257560A (ja) | 超薄板圧電振動素子の電極構造 | |
JP3456213B2 (ja) | 矩形状atカット水晶片、水晶振動体および水晶振動子 | |
JP2006339749A (ja) | 水晶振動子の製造方法、及びその水晶振動子 | |
Iwata | Measured resonance characteristics of a 2-GHz-fundamental quartz resonator | |
JP2001326554A (ja) | 圧電振動子 | |
JP2003318697A (ja) | Atカット水晶振動子 | |
JP2002368573A (ja) | 超薄板圧電振動子及びその製造方法 | |
JP2004207913A (ja) | 水晶振動子 | |
JP2003309446A (ja) | 圧電振動子 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060301 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090130 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20090212 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090624 |