JP2001230654A - 圧電振動素子およびその製造方法 - Google Patents
圧電振動素子およびその製造方法Info
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Abstract
べり振動を主振動とする圧電振動子において、素子寸法
が小さくなり励振用電極面積が小さくなっても共振イン
ピーダンスが小さく、かつ電極膜の断線が生じにくい圧
電振動素子およびその製造方法を提供することを目的と
する。 【解決手段】 圧電振動子1の中央付近の表裏面で交差
するように励振用電極2の振動子長手方向端部で振動子
厚みに段差を設けて疑似メサ構造とするものである。
Description
酸リチウムを用いた圧電振動子や圧電フィルタなどの圧
電振動素子およびその製造方法に関するものである。
た圧電振動素子として、各種電子機器などのクロック源
として用いられる圧電振動子や、通信機器の周波数抽出
用などに用いられる圧電フィルタがある。特に、電気エ
ネルギーと機械エネルギーの変換効率を表す電気機械結
合係数が水晶などと比べて大きいタンタル酸リチウムを
用いた圧電振動素子は、VCO(電圧制御発振器)や広
帯域の帯域通過フィルタとして利用される。これらの圧
電振動素子の使用される周波数域は近年高周波化してお
り、主振動として厚みすべりなどの厚み振動が用いられ
る。厚み振動を用いた圧電振動素子の共振周波数は板の
厚みに反比例するため、高周波化に伴い板の厚みは薄く
なる。
に示すような、圧電振動子11の主面表裏の励振用電極
12が交差する振動子中央部で振動エネルギーが閉じ込
められるために最も振動変位が大きく振動子端部に向か
うほど減衰するエネルギー閉じ込め現象を利用したもの
が多い。この原理について、主振動の相対変位を振動伝
搬方向にわたって計算した結果である図9を用いて説明
する。図9において、振動子構造が振動伝搬方向に対し
て対称形であるならば振動変位の分布は振動伝搬方向に
対して中央で対称になるので、振動子と変位分布につい
て半分しか描いていない。図9において、Hは振動子厚
み、Lは振動子伝搬方向寸法、L1は励振用電極の振動
伝搬方向寸法である。以下、横軸は振動子中央部から端
部に向かう距離を表わし、縦軸は振動子中央部での振動
変位を1とした時の相対変位を表示した図を相対変位分
布図と呼ぶことにする。先に述べたように、エネルギー
閉じ込め現象を利用すれば、振動は励振用電極下にほと
んど分布し、無電極部では指数関数的に減衰するので、
エネルギー閉じ込め型振動子の相対変位分布図は図9の
ように振動子中央部の変位を1とした時、中央部から遠
ざかるにつれて小さくなる。ここで、振動子長手方向寸
法Lを十分にとらない場合、振動子端部における振動変
位の減衰が十分ではなく、振動子端部で起こる反射波な
どにより不要振動が生じ、共振インピーダンスが増加す
るため共振の先鋭度を表す機械的品質係数Qが低下する
などの悪影響を与える。例えば特公昭63−57967
号公報では、タンタル酸リチウムのX板を用いたストリ
ップ型厚みすべり振動子のQを高くするために、振動子
長手方向寸法Lと振動子厚みHとの比L/Hを14以上
としている。ここでストリップ形状とは、振動子断面が
矩形で振動子が短冊状をしていることを表している。
くなると振動子厚みが小さくなり、それに伴って振動子
幅寸法なども小さくなる。タンタル酸リチウムのX板を
用いた厚みすべり振動子において共振周波数を100M
Hzとすると振動子厚みは約20μmとなる。振動子幅寸
法と振動子長手方向寸法はそれぞれ不要振動が主振動に
悪影響を及ぼさないように選択される。例えば、振動子
幅寸法Wと振動子厚みHとの比W/Hを2とすると振動
子幅寸法は約40μmと非常に小さいものであり、W/
Hを5としても高々100μm程度にしかならない。W
/Hをさらに大きくすると、振動子幅寸法に起因する不
要振動の高次モードが多く出現するため主振動の共振特
性に悪影響を及ぼすことになり、W/Hをむやみに大き
くすることは現実的でない。一方、励振用電極の長手方
向寸法L1については、L1と振動子厚みHとの比L1
/Hを大きくしすぎると主振動の非調和高次モードが発
生し、主振動の共振特性に悪影響を及ぼす。タンタル酸
リチウムのX板を用いた厚みすべり振動子においては、
非調和高次モードが悪影響を及ぼさないためのL1/H
の上限は約4以下とされているので、振動子厚みが約2
0μmの場合励振用電極の長手方向寸法は最大でも約8
0μm程度となる。
振動子、すなわち振動子断面が矩形で振動子全幅にわた
って励振用電極が形成されているような振動子の場合、
振動子厚みが約20μmの振動子において不要振動が主
振動の共振特性に悪影響を及ぼさないようにするために
は、仮にW/Hを5として振動子全幅にわたって励振用
電極を形成しL1/Hを4としても、励振用電極の面積
は100μm×80μm程度と極めて小さく、その結果
主振動の共振インピーダンスも大きくなってしまう。こ
のように、従来からあるストリップ型振動子では、高周
波化に伴って共振インピーダンスが大きくならざるを得
ないという問題があった。
を小さくするために、以下のことを考慮する。すなわ
ち、エネルギー閉じ込め型圧電振動子では振動エネルギ
ーは励振用電極下にほとんど集中するものの、一部は減
衰しながら振動子端部に向かって伝搬する。振動子の機
械的振動が圧電効果によって電荷に変換され電気エネル
ギーとして取り出されるわけであるから、共振インピー
ダンスを小さくするためには励振用電極下にできるだけ
多くの電荷を集めればよい。言い換えれば、励振用電極
下にできるだけ多くの振動エネルギーを集中させればよ
いわけであるから、エネルギー閉じ込め効果を大きくす
ればよいことになる。
には励振用電極質量を大きくすればよいことが一般に知
られているが、質量を増やしすぎると電極質量そのもの
が振動を阻害するロス成分となるため共振インピーダン
スを増大させてしまう。その他にエネルギー閉じ込め効
果を増やす方法として、図10のように圧電振動子11
の厚み方向断面形状をレンズ形状とするコンベックス構
造や、図11のように圧電振動子11中央部よりも振動
子端部の厚みを小さくして階段形状としたメサ構造とす
る方法がある。図10(a)および図11(a)は圧電
振動子11の主面表裏ともに相当形状となったものをそ
れぞれバイコンベックス構造、バイメサ構造と呼ばれ、
図10(b)および図11(b)は圧電振動子11の主
面片側のみが相当形状となったものをそれぞれプラノコ
ンベックス構造、プラノメサ構造と呼ばれる。タンタル
酸リチウムのX板を用い振動子長手方向がY軸から時計
方向に+50°の方向を向いている厚みすべり振動子に
おいて、振動子長手方向についての相対変位分布を振動
子断面が矩形のストリップ構造の場合とプラノメサ構造
の場合のそれぞれについて計算した結果を図12に示
す。ただし、二つの構造において励振用電極の材料、膜
厚、寸法、および励振用電極部の振動子厚みは同じとし
ている。励振用電極端部における相対変位は図12から
わかるように(a)のストリップ構造の時よりも(b)
のプラノメサ構造の時の方が小さく、言い換えればプラ
ノメサ構造の方が振動エネルギーを励振用電極下により
多く集中させることが出来る。よって、プラノメサ構造
の方が機械的振動により発生した電荷をより多く励振用
電極下に集中させることが出来るため、共振インピーダ
ンスを小さくすることが出来る。
動子においては、高周波化により振動子厚みが小さくな
り、それに伴って振動子幅寸法や振動子長手方向寸法が
小さくなるため励振用電極面積が小さくなり共振インピ
ーダンスが増加してしまうといった課題があった。
で、振動子断面が矩形のストリップ型振動子よりも励振
用電極下により多くの振動エネルギーを閉じ込めること
ができるため共振インピーダンスが小さく、また励振用
電極下や外部引出用電極下に段差が無いため電極膜の断
線が生じにくい圧電振動素子およびその製造方法を提供
することを目的とする。
に本発明は、振動子中央付近表裏で交差するように形成
された励振用電極の振動子長手方向端部で振動子厚みに
段差形状を設けて疑似メサ構造とするものである。上記
構造をとることで、振動子断面が矩形のストリップ型振
動子よりも励振用電極下により多くの振動エネルギーを
閉じ込めることができるため共振インピーダンスが小さ
く、また励振用電極下や外部引出用電極下に段差が無い
ため電極膜の断線が生じにくくなる。
は、圧電材料にタンタル酸リチウムを用い振動子厚み方
向がX軸と0°±5°の角度をなし振動子長手方向がY
軸から時計方向に+50°±5°の方向を向いている厚
みすべり振動を主振動とする圧電振動素子において、振
動子中央付近の表裏面で交差するように設けられた励振
用電極の振動子長手方向端部で振動子厚みに段差形状を
設けて疑似メサ構造とするもので、振動子断面が矩形の
ストリップ型振動子よりも励振用電極下により多くの振
動エネルギーを閉じ込めることができるため共振インピ
ーダンスが小さく、また励振用電極下や外部引出用電極
下に段差が無いため電極膜の断線が生じにくいという作
用を有する。
励振用電極の振動子長手方向端部における段差H1と励
振用電極交差部分の振動子厚みHとの比H1/Hが、
0.0001以上0.05以下であるもので、前記作用
と同様の作用を有する。
動子長手方向端部における段差を振動子主面片側のみに
設けて疑似プラノメサ構造とするもので、振動子長手方
向での励振用電極端部における段差が振動子主面片側の
みにしか無いため、当該構造を形成する工程を簡便化で
き、かつ振動子の機械的強度も優れるという作用を有す
る。
において振動子主面に不活性イオンを衝突せしめ励振用
電極厚みを減少させ振動子の共振周波数を上昇させると
同時に、励振用電極の振動子長手方向端部に段差を設け
るもので、周波数調整と段差形成を同時に行えるため工
程の簡略化と短縮化が可能になるという作用を有する。
振動素子について、図面を参照しながら説明する。
振動素子の斜視図、図2は同断面図である。
の表裏面に段差を有するものである。圧電振動子1は、
段差部近傍の表面と裏面に相対向する励振用電極2を有
している。さらに、圧電振動子1の端部には、接続用電
極3を有するとともに、この接続用電極3と励振用電極
2とを電気的に接続する外部引出用電極4を備えてい
る。以上のように、励振用電極2および外部引出用電極
4の下に段差を有するつまり、圧電振動子1の中央付近
の表裏面で交差するように設けられた励振用電極2の振
動子長手方向端部で振動子厚みに段差を有する圧電振動
素子の構造を疑似メサ構造という。
振動伝搬方向に対して対称形をしているメサ型振動子と
同様に、振動子断面が矩形のストリップ型振動子よりも
エネルギー閉じ込め効果が大きいために共振インピーダ
ンスを小さくすることが出来る。図3に従来技術で説明
したストリップ型圧電振動素子と本実施の形態による疑
似メサ構造の圧電振動素子を作製し、共振インピーダン
スを測定した結果を示す。ただし、励振用電極の材料、
膜厚、寸法、および励振用電極部の振動子厚みは同じと
しているので振動素子の共振周波数は両者ともほぼ同じ
となる。図3に示すように、ストリップ型振動素子より
も疑似バイメサ型振動素子の方が共振インピーダンスが
小さく、エネルギー閉じ込め効果が大きくなっているこ
とがわかる。このような効果は、図2における振動子厚
みHと段差H1の比H1/Hが0.0001より大きく
なるため、H1/Hは0.0001以上であることが望
ましい。しかし、H1/Hをあまり大きくしすぎると不
要振動の一種である振動子長手方向屈曲振動と主振動と
の結合度合いが大きくなり、主振動の特性を悪化させて
しまう。H1/Hが0.05以下であれば主振動と不要
振動との結合の影響はほとんど無いまま、共振インピー
ダンスを小さくすることが出来る。
に形成した疑似プラノメサ型振動子とした場合において
も、同様の効果が得られる。さらに、疑似メサ構造は従
来のメサ構造と異なり、励振用電極下や外部引出用電極
下に段差が無いため電極膜の断線が生じにくいという利
点がある。
は、図4(a)のように圧電振動子5の主面に、図4
(b)のように段差6を形成して疑似メサ構造とした後
に、図4(c)のように励振用電極や外部引出用電極な
どの電極7を形成する方法か、あるいはその逆に図5
(a)のように圧電振動子5の表面および裏面に励振用
電極や外部引出用電極などの電極7を形成した後に、図
5(b)に示すように振動子5の主面に段差6を形成す
る方法がある。このように疑似メサ型振動子の製造方法
において段差を形成する工程は、励振用電極や外部引出
用電極などの電極7を形成する工程の前でも後でもよ
く、疑似メサ型振動子の工程フローは選択肢が広い。そ
れに対し従来型のメサ型振動子では、振動伝搬方向でほ
ぼ対称形をしており励振用電極や外部引出用電極の下に
段差があるため、段差を形成する工程は励振用電極や外
部引出用電極を形成する工程よりも前になくてはならな
い。
振周波数精度が高くなければならないこともあり、その
場合振動子の共振周波数を調整する周波数調整工程が必
要となる。厚みすべり振動子の共振周波数は振動子厚み
と励振用電極質量により決定されるが、励振用電極を形
成した後で振動子厚みを調整することは不可能であるた
め、通常は励振用電極上に電極膜などを追加で付加する
か、励振用電極の膜厚を薄くするように除去するなどし
て励振用電極質量を増減させることで周波数調整を行
う。励振用電極膜厚を薄くする方法として、最初励振用
電極膜厚を目標値より厚く形成しておき、図6のように
イオンガンなどから放出されるイオン原子8を圧電振動
子5の主面全体に照射すれば電極材料がエッチングある
いはスパッタリングされることで電極7の膜厚が薄くな
ると同時に、電極7の無いタンタル酸リチウムの面もエ
ッチングあるいはスパッタリングされることで、図7の
ように厚み方向断面形状は電極7の端部で段差6を有す
る疑似プラノメサ構造となる。この時のイオン原子の種
類として、アルゴンなどの不活性イオンで加工する場合
は電極やタンタル酸リチウムを物理的にスパッタリング
する効果が大きく、またフッ素系ガス、塩素系ガスなど
のプラズマ中で加工する場合は化学的エッチングの効果
が大きくなるため、適当なガス種、ガス圧を選択するこ
とで電極材料とタンタル酸リチウムとの加工レート比を
任意に選択することができる。なお以上の説明では電極
などを薄くするためにイオン原子を照射したが、これら
イオン原子の代わりに微少な砥粒を高速に吹き付けるよ
うなサンドブラスト法を用いても同様の効果が得られ
る。
形のストリップ型振動子よりも励振用電極下により多く
の振動エネルギーを閉じ込めることができるため共振イ
ンピーダンスが小さく、また励振用電極下や外部引出用
電極下に段差が無いため電極膜の断線が生じにくいとい
う有利な効果が得られる。
斜視図
子と本実施の形態による疑似メサ構造の圧電振動素子と
における共振インピーダンスの比較を説明する図
製造方法を説明する図
明する図
対変位を説明する図
サ構造の圧電振動素子における相対変位分布図
Claims (4)
- 【請求項1】 圧電材料にタンタル酸リチウムを用い振
動子厚み方向がX軸と0°±5°の角度をなし振動子長
手方向がY軸から時計方向に+50°±5°の方向を向
いている厚みすべり振動を主振動とする圧電振動素子に
おいて、振動子中央付近の表裏面で交差するように設け
られた励振用電極の振動子長手方向端部で振動子厚みに
段差形状を設けて疑似メサ構造とする圧電振動素子。 - 【請求項2】 励振用電極の振動子長手方向端部におけ
る段差H1と励振用電極交差部分の振動子厚みHとの比
H1/Hが、0.0001以上0.05以下である請求
項1記載の圧電振動素子。 - 【請求項3】 励振用電極の振動子長手方向端部におけ
る段差を振動子主面片側のみに設ける疑似プラノメサ構
造とする圧電振動素子。 - 【請求項4】 周波数調整工程において振動子主面に不
活性イオンを衝突せしめ励振用電極厚みを減少させ振動
子の共振周波数を上昇させると同時に、励振用電極の振
動子長手方向端部に段差を設ける圧電振動素子の製造方
法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000037812A JP2001230654A (ja) | 2000-02-16 | 2000-02-16 | 圧電振動素子およびその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2000037812A Pending JP2001230654A (ja) | 2000-02-16 | 2000-02-16 | 圧電振動素子およびその製造方法 |
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