以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
また、図面には、図面相互の関係を明確にする等の目的で、便宜的に直交座標系xyzを付すことがある。x軸、y軸及びz軸は、部材の形状等に基づいて便宜的に定義されており、圧電体(水晶)の電気軸、機械軸及び光軸を意味するものではない。
<第1実施形態>
(水晶発振器の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る水晶発振器1(以下、「水晶」は省略)の概略構成を示す分解斜視図である。図2は、図1のII−II線における断面図である。
発振器1は、例えば、全体として、概略、薄型の直方体状とされる電子部品であり、その寸法は適宜に設定されてよい。例えば、比較的小さいものでは、長辺又は短辺の長さが1〜2mmであり、厚さが0.2〜0.4mmである。
発振器1は、例えば、水晶振動子3(以下、「水晶」は省略)と、振動子3に実装される集積回路素子5と、振動子3が実装される配線基板7とを有している。
振動子3は、交流電圧が印加されるとその内部で固有振動を生じる。集積回路素子5は、発振回路を含んで構成されており、振動子3に電圧を印加して、振動子3内の固有振動を利用して発振信号を生成する。配線基板7は、不図示の回路基板等に接続され、振動子3のパッケージを介して、回路基板と集積回路素子5との間において電気信号を仲介する。これらの具体的な構成は、例えば、以下のとおりである。
振動子3は、例えば、水晶振動素子9(以下、「水晶」は省略)と、振動素子9を収容する素子搭載部材11と、素子搭載部材11を密閉する蓋部材13とを有している。なお、素子搭載部材11及び蓋部材13によって、振動子3のパッケージが構成されている。
振動素子9は、例えば、水晶片15と、水晶片15に電圧を印加するための1対の励振電極17と、振動素子9を素子搭載部材11に実装するための1対の引出電極19とを有している。
水晶片15は、例えば、概ね長方形の板状に形成されている。水晶片15は、例えば、ATカット水晶片からなる。1対の励振電極17は、例えば、水晶片15の両主面の中央側に層状に設けられている。1対の引出電極19は、例えば、1対の励振電極17から引き出されて水晶片15の長手方向の一端側部分に設けられている。1対の励振電極17及び1対の引出電極19は、例えば、振動素子9の両主面のいずれが実装側とされてもよいように、水晶片15の長手方向に延びる不図示の中心線に対して180°回転対称の形状に形成されている。
素子搭載部材11は、例えば、絶縁性の基体21と、基体21に設けられた各種の導体(例えば金属)とを有している。各種の導体は、例えば、振動素子9を素子搭載部材11に搭載するための1対の素子搭載パッド23、振動子3を配線基板7に実装するための複数(本実施形態では4つ)の振動子端子25、及び、集積回路素子5を振動子3に実装するための複数(本実施形態では6つ)のIC用パッド26(図2)である。
基体21は、例えば、セラミックからなり、振動素子9を収容する凹部21rを有している。基体21は、例えば、平板状の基板部21aと、基板部21aに重ねられた枠部21bとを有しており、これにより、凹部21rが構成されている。
1対の素子搭載パッド23は、例えば、凹部21rの底面(基板部21aの枠部21b側の主面)に層状に設けられている。複数の振動子端子25は、例えば、基板部21aの枠部21bとは反対側の主面の4隅に層状に設けられている(図3(b)参照)。複数のIC用パッド26は、例えば、基板部21aの枠部21bとは反対側の主面において、複数の振動子端子25に囲まれた領域内に2列で配列されている(図3(b)参照)。
振動素子9は、1対の引出電極19と1対の素子搭載パッド23とが1対のバンプ27(図2)によって接合されることによって、素子搭載部材11に片持ち梁のように固定されるとともに、素子搭載部材11に電気的に接続される。なお、バンプ27は、例えば、導電性接着剤からなる。
蓋部材13は、例えば、金属からなる。蓋部材13は、素子搭載部材11の枠部21bと接合され、これにより、凹部21rは密閉される。凹部21r内は、例えば、真空とされ、又は、適宜なガス(例えば窒素)が封入される。
蓋部材13及び素子搭載部材11の接合は適宜な方法によりなされてよい。例えば、枠部21bの蓋部材13側の面には、金属からなる枠状の第1接合用パターン29が形成される。一方、蓋部材13の枠部21b側の面には、金属からなる枠状の第2接合用パターン31が形成される。そして、両者がシーム溶接によって接合されることにより、蓋部材13及び素子搭載部材11は互いに接合される。
集積回路素子5は、例えば、概略薄型直方体状に形成されており、一方の主面に複数(本実施形態では6つ)のIC端子33を有している。IC端子33と、素子搭載部材11に設けられた既述のIC用パッド26とがバンプ35(図2)によって接合されることにより、集積回路素子5は、素子搭載部材11に固定されるとともに、素子搭載部材11に電気的に接続される。
IC端子33の数及び役割は、発振器1に要求される機能等に応じて適宜に設定されてよい。例えば、6つのIC端子33のうち、1つは基準電位を集積回路素子5に供給するためのものであり、1つは電源電圧(基準電位とは異なる電位)を集積回路素子5に供給するためのものであり、2つは集積回路素子5から振動素子9に電圧を印加するためのものであり、1つは発振信号の周波数を調整するための制御信号を集積回路素子5に入力するためのものであり、1つは集積回路素子5による発振信号の生成又は停止を指示するイネーブル・ディセーブル信号を集積回路素子5に入力するためのものである。
既に述べたように、集積回路素子5は、発振回路を含んで構成されている。発振回路は、例えば、帰還型のものである。また、集積回路素子5は、温度センサ、及び、温度センサの検出した温度に基づいて発振信号の温度変化を補償する温度補償回路を含んでいてもよい。集積回路素子5は、パッケージングされたものであってもよいし、ベアチップであってもよい。
配線基板7は、例えば、リジッド式のプリント配線基板と同様の構成とされてよい。例えば、配線基板7は、絶縁基板37と、絶縁基板37に設けられた各種の導体(例えば金属)とを有している。各種の導体は、例えば、振動子3を配線基板7に実装するための複数(本実施形態では4つ)の振動子用パッド41、配線基板7を不図示の回路基板に実装するための複数(本実施形態では4つ)の外部端子43、及び、複数の振動子用パッド41と複数の外部端子43とを接続する複数(本実施形態では4つ)の接続導体45である。なお、特に図示しないが、配線基板7は、外部端子43及び振動子用パッド41を露出させつつ絶縁基板37を覆うソルダーレジストを有していてもよい。
絶縁基板37は、例えば、ガラスエポキシ材よりなる。絶縁基板37(配線基板7)は、第1主面37aと、その背面の第2主面37bと、厚み方向(z方向。第1主面37aから第2主面37bへ)貫通する開口部37hと、開口部37hの周囲にて厚み方向に貫通する複数(本実施形態では4つ)の貫通孔37eを有している。絶縁基板37の平面形状は適宜に設定されてよい。例えば、絶縁基板37の外形は矩形である。
複数の振動子用パッド41は、例えば、第1主面37aの4隅側に層状に設けられており、開口部37hを囲んでいる。複数の外部端子43は、例えば、第2主面37bの4隅に層状に設けられており、開口部37hを囲んでいる。複数の接続導体45は、例えば、複数の貫通孔37eの内周面に層状に設けられている。複数の接続導体45(複数の貫通孔37e)は、例えば、絶縁基板37の主面の4隅側に設けられており、開口部37hを囲んでいる。
振動子3は、素子搭載部材11に設けられた既述の複数の振動子端子25と、振動子用パッド41とがバンプ47(図2)によって接合されることにより、配線基板7に対して固定されるとともに、電気的に接続される。振動子用パッド41は、開口部37hを囲むように配置されているから、振動子3は、開口部37hを第1主面37a側から覆うように配線基板7に実装される。なお、振動子3の面積は、例えば、開口部37hの面積よりも大きく、平面視において開口部37hは振動子3に収まる。
また、振動子3に実装された集積回路素子5は、開口部37hに収容される。なお、図2では、集積回路素子5の天面(z方向負側の面)は、第2主面37bよりも内部側(z方向正側)に位置しているが、当該天面は、第2主面37bと概略面一とされてもよい。
集積回路素子5と振動子3との間にはアンダーフィル49(図2)が充填されている。アンダーフィル49は、例えば、熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)からなる。アンダーフィル49は、樹脂よりも熱膨張係数が低いフィラー(例えばSiO2からなる)を含んでいてもよい。アンダーフィル49は、集積回路素子5の側面を適宜な高さまで覆うように設けられてもよいし、集積回路素子5を側面だけでなく天面も覆うように設けられてもよい。
素子搭載部材11(振動子3)の基体21は、振動子端子25、バンプ47及び振動子用パッド41の厚みに相当する隙間を介して配線基板7の絶縁基板37と対向している。アンダーフィル49は、開口部37h(及び複数の貫通孔37e)内から、基体21と絶縁基板37との隙間へ広がっていてもよいし、広がっていなくてもよい。また、広がっている場合、アンダーフィル49は、前記の隙間を開口部37h(及び複数の貫通孔37e)の全周に亘って塞いでもよいし、塞いでいなくてもよい(開口部37hと振動子3の外部とが連通されていてもよい。)。
素子搭載部材11においては、6つのIC用パッド26のうちの2つと、1対の素子搭載パッド23とが接続されている。これにより、IC用パッド26に実装された集積回路素子5と、素子搭載パッド23に実装された振動素子9とが電気的に接続されている。ひいては、集積回路素子5により振動素子9に電圧を印加して発振信号を生成することが可能となっている。
また、素子搭載部材11においては、6つのIC用パッド26のうち残りの4つと、4つの振動子端子25とが接続されている。これにより、IC用パッド26に実装された集積回路素子5と、振動子端子25が接合された振動子用パッド41を有する配線基板7とが電気的に接続されている。ひいては、振動子用パッド41と接続導体45を介して接続された配線基板7の4つの外部端子43に対する電気信号の入出力によって、集積回路素子5に対して電気信号を入出力することが可能となっている。
図3(a)及び図3(b)は、上記のような素子搭載部材11における接続の一例を説明するための図である。具体的には、図3(a)は、基板部21aを振動素子9から見た平面図であり、図3(b)は、基板部21aを集積回路素子5側から見た平面図である。
図3(a)に示すように、1対の素子搭載パッド23からは1対の第1接続パターン51が延び、1対の第1ビア導体53に接続されている。図3(b)に示すように、1対の第1ビア導体53は、基板部21aを厚み方向に貫通しており、1対の第2接続パターン55に接続されている。1対の第2接続パターン55は、2つのIC用パッド26に接続されている。また、図3(b)に示すように、残りの4つのIC用パッド26は、4つの第3接続パターン57を介して4つの振動子端子25に接続されている。
第1接続パターン51、第2接続パターン55及び第3接続パターン57は、層状に形成されている。第1接続パターン51は、一部が枠部21bと重なっていてもよい。1対の第2接続パターン55の中途が幅広に形成されているのは、発振器1の製造過程において、振動素子9の特性を検査する検査装置のプローブを当接させるためである。第2ビア導体59は、基準電位が付与される振動子端子25と導体からなる蓋部材13とを接続するためのものであり、枠部21bも厚み方向に貫通している。
図4(a)は、配線基板7の第1主面37a側の平面図であり、図4(b)は、配線基板7の第2主面37b側の平面図である。なお、これらの図では、集積回路素子5も想像線(2点鎖線)で示している。
接続導体45が設けられる貫通孔37eは、開口部37hと繋がっている。換言すれば、貫通孔37eは、絶縁基板37において、開口部37hを構成する縁部を切り欠いた切り欠き部によって構成されている。従って、開口部37hは、貫通孔37eによって実質的に拡張されている。なお、貫通孔37eは、配線基板7の側面からは離れており、平面視において配線基板7の側面を構成する縁部の切り欠きとはなっていない。
開口部37hの平面形状は適宜に設定されてよい。例えば、開口部37hの平面形状は、矩形状(角部が面取りされたもの含む)、矩形の短辺が弧状とされた長円状、楕円状又は円状である。図4では、楕円状の場合を例示している。
開口部37hの大きさ(及び形状)は、例えば、平面視において集積回路素子5が収まるように設定されている。ただし、上述のように、開口部37hは、貫通孔37eによって実質的に拡張されているから、開口部37hの大きさは、貫通孔37eが設けられていないと仮定した場合に、集積回路素子5が開口部37hに収まらない大きさであってもよい。図4では、開口部37hの大きさが、貫通孔37eが設けられていないと仮定したときに、集積回路素子5が開口部37hに収まるが、集積回路素子5の角部と開口部37hの内周面とのクリアランスが確保できない大きさである場合を例示している。貫通孔37eが設けられておらず、かつ、集積回路素子5と開口部37hの内周面とのクリアランスが確保できない場合、振動子3に実装された集積回路素子5を開口部37hに収容することができず、振動子端子25と振動子用パッド41との距離がより長くなり、バンプ47によって電気的に接続させることが困難となる虞がある。
貫通孔37eの平面形状は適宜に設定されてよい。例えば、貫通孔37eの平面形状は、矩形状(角部が面取りされたもの含む)、矩形の短辺が弧状とされた長円状、楕円状又は円状とされてよい。また、貫通孔37eの平面形状は、本実施形態のように、上記のような矩形等の形状のうちの一部が開口部37hによって削除された形状とされてよい(別の観点では貫通孔37eは開口部37hと重なってよい)。図4では、貫通孔37eの平面形状が、円の一部が開口部37hによって削除された形状である場合を例示している。
また、貫通孔37eの平面形状が、円等の形状のうちの一部が開口部37hによって削除された形状である場合、その削除される位置及び大きさ(換言すれば残る形状)も適宜に設定されてよい。例えば、貫通孔37eが円形の一部が削除された形状である場合、残った弧の中心角は、90°未満であってもよいし、90°以上であってもよいし、180°以上であってもよい。図4では、中心角が180°超の場合を例示している。
貫通孔37eの大きさは適宜に設定されてよい。例えば、貫通孔37eの大きさは、接続導体45の面積を十分に確保する観点、及び/又は、集積回路素子5と配線基板7とのクリアランスを十分に確保する観点から設定されてもよい。各貫通孔37eの面積(開口部37hによって削除されずに残った面積)は、例えば、開口部37hの面積よりも小さい。
貫通孔37eと振動子3及び集積回路素子5等との相対的な位置及び大きさ等も適宜に設定されてよい。例えば、貫通孔37eは、振動子用パッド41よりも開口部37h側に位置しており、ひいては、その全体が振動子3と重なる。また、例えば、貫通孔37eは、集積回路素子5の矩形の1対の対辺に平行に見て(例えばx方向に見て)、集積回路素子5と4つの貫通孔37eとが一部において重なるように設けられている。さらに、貫通孔37eは、他の1対の対辺に平行に見て(y方向に見て)、集積回路素子5と4つの貫通孔37eとが一部において重なるように設けられている。
振動子用パッド41及び外部端子43の平面形状は適宜に設定されてよい。例えば、これらの平面形状は、矩形状(角部が面取りされたものを含む)、又は、矩形に位置決めのための形状が形成されたもの(例えば矩形の一の角部を面取りした5角形)とされてよい。また、本実施形態のように、振動子用パッド41及び外部端子43の平面形状は、上記のような矩形等の形状のうち、開口部37h側の一部が貫通孔37eによって削除された形状とされてよい(別の観点では振動子用パッド41及び外部端子43は貫通孔37eと重なってよい)。図4では、矩形の一の角部が貫通孔37eによって削除された形状を例示している。
振動子用パッド41の面積(貫通孔37eを除く)は、例えば、バンプ47による振動子端子25との接合に十分な大きさとされる。同様に、外部端子43の面積(貫通孔37eを除く)は、例えば、不図示のバンプによる不図示の回路基板との接合に十分な大きさとされる。
接続導体45は、例えば、貫通孔37eの内周面の全体に亘って成膜されている。ただし、接続導体45は、開口部37hの内周面には形成されていない(図1)。なお、振動子用パッド41に接合されるバンプ47、及び/又は、外部端子43に接合されるバンプは、その一部が接続導体45に接合されてもよい。
(水晶発振器の製造方法)
以上の構成を有する水晶発振器の製造方法を説明する。なお、以下の説明では、製造過程の進行に伴って部材の形状等が変化しても、便宜上、完成後の発振器1の符号を用いることがある。
まず、図1の分解斜視図に示した各部材、すなわち、配線基板7、集積回路素子5、素子搭載部材11、振動素子9及び蓋部材13が準備される。これらの各部材の製造方法は、配線基板7の製造方法(後述)、及び、具体的な形状等を除けば、公知の方法と同様でよい。
次に、各部材が接合される。すなわち、振動素子9の素子搭載部材11に対する接合、蓋部材13の素子搭載部材11に対する接合、集積回路素子5の素子搭載部材11に対する接合、及び、素子搭載部材11の配線基板7に対する接合が行われる。
これらの接合順は、蓋部材13の素子搭載部材11に対する接合が振動素子9の素子搭載部材11に対する接合よりも後である限り、どのような接合順も可能である。また、第2接続パターン55の一部を拡幅して形成した測定パッド(本実施形態では集積回路素子5が重なる)を介して振動素子9の特性を検査し、これに応じて励振電極17の重さを調整する場合においては、集積回路素子5の素子搭載部材11に対する接合は、振動素子9の素子搭載部材11に対する接合よりも後、且つ、蓋部材13の素子搭載部材11に対する接合よりも前である。
次に、未硬化状態のアンダーフィル49が開口部37h(及び/又は貫通孔37e)を介して集積回路素子5と振動子3との間に充填される。充填は、例えば、ディスペンサによって行われる。
図5(a)及び図5(b)は、配線基板7の製造方法を説明するための、図4(a)に相当する平面図である。
まず、絶縁基板37が多数個取りされる母基板を用意する。このような母基板は、公知の方法と同様に形成されてよい。
次に、図5(a)に示すように、母基板の各絶縁基板37に相当する部分において、複数の貫通孔37eを形成する。貫通孔37eの形成は、例えば、刃具(例えばドリル)による切削、又は、マスクを介したエッチングによって行われる。このとき、貫通孔37eが円形であれば、ドリルによって貫通孔37eを形成することができ、貫通孔37eの形成が容易である。
次に、図5(b)に示すように、複数の貫通孔37e内に接続導体45を形成する。また、絶縁基板37の主面に振動子用パッド41及び外部端子43を形成する。これらの導体は、例えば、マスクを介したスパッタリング乃至は無電解めっき等によって形成される。
次に、図4(a)及び図4(b)に示すように、開口部37hを形成する。開口部37hの形成は、例えば、打ち抜き加工、刃具による切削、又は、マスクを介したエッチングによって行われる。この際、開口部37hは、貫通孔37eの一部に重なるように形成される。これにより、複数の貫通孔37eと開口部37hとは繋がり、また、貫通孔37eは、円形の一部が削除された形状となる。
また、複数の貫通孔37e及び開口部37hを形成した後に接続導体45を形成するのではなく、複数の貫通孔37eの形成後、且つ、開口部37hの形成前に接続導体45を形成していることから、複数の貫通孔37eは開口部37hを介して互いに繋がっているものの、複数の接続導体45は、互いに接続されていない。
その後、絶縁基板37が多数個取りされる母基板がダイシングされる。なお、ダイシングは、振動子3を絶縁基板37に実装する前に行われてもよいし、振動子3が絶縁基板37に実装され、発振器1が構成された後に行われてもよい。
なお、接続導体45、振動子用パッド41及び外部端子43は、同時に形成される必要はない。また、振動子用パッド41及び外部端子43の形成は、貫通孔37eの形成前としたり、開口部37hの形成後としたりすることも可能である。
以上のとおり、本実施形態では、発振器1は、厚み方向に貫通する開口部37hを有する配線基板7と、第1主面37aに開口部37hを覆うように実装された振動子3と、開口部37h内に配置され、振動子3に実装された集積回路素子5と、を有している。配線基板7は、開口部37hを有する絶縁基板37と、第1主面37aに設けられ、振動子3が実装された振動子用パッド41と、第2主面37bに設けられた外部端子43と、振動子用パッド41と外部端子43とを接続する接続導体45と、を有している。絶縁基板37は、その側面から内側へ離れた位置にて厚み方向に貫通する貫通孔37eを有している。接続導体45は、貫通孔37eに設けられている。
従って、例えば、振動子3のパッケージ(素子搭載部材11及び蓋部材13)と、配線基板7との組み合わせによって、発振器1のパッケージを構成することができる。その結果、例えば、配線基板7の変更乃至は交換によって簡便に外部端子43の配置及び大きさを変更することができる。また、例えば、振動子及び集積回路素子の双方を配線基板に実装して発振器を構成する場合に比較して、開口部37hに集積回路素子5が収容されるので、小型化が図られる。
さらに、接続導体45が絶縁基板37の側面から内側へ離れた貫通孔37eに設けられていることからも、種々の効果が奏される。例えば、絶縁基板の側面に接続導体が設けられている場合に比較して、他の部品の端子と接続導体45とが余剰な半田等によって意図せず接続されてしまうおそれが低減される。また、例えば、配線基板7の適宜な位置に貫通孔37eを設けて接続導体45を配置できることから、配線基板7においてデッドスペースになっている領域を有効利用することができる。
本実施形態とは異なり、絶縁基板の側面に接続導体が設けられている場合、接続導体は、例えば、以下のように形成される。まず、絶縁基板37が多数個取りされる母基板において、絶縁基板の4隅又は縁部となる位置に貫通孔が形成される。次に、その貫通孔の内周面に接続導体となる金属膜が形成される。その後、母基板がダイシングされる。これにより、貫通孔は分割されてキャスタレーション(平面視における凹部)となる。また、金属膜は、キャスタレーションの内面に形成された接続導体となる。
上記のような絶縁基板の側面に接続導体を設ける構成においては、ダイシングの際の熱及び応力によって、接続導体となる金属膜が延ばされるとともに引きちぎられ、バリが生じるおそれがある。バリが生じると、例えば、発振器を検査用のソケットに装着するときに、バリがソケットの内周面に当接して、発振器のソケットへの装着を阻害するおそれがある。その結果、発振器の外部端子とソケットの端子との接触不良が生じ、生産性が低下するおそれがある。
しかし、本実施形態では、接続導体45となる導電膜(金属膜)は、母基板のダイシングよっては切断されないことから、開口部37hの形成にあたって、適宜な形成方法又は適宜な条件を選択することによって、バリが生じるおそれを低減できる。また、仮に、接続導体45にバリが生じたとしても、バリは絶縁基板37の側面から外側へ突出しないから、バリによって発振器1のソケットへの装着が阻害されるおそれは低減される。その結果、生産性が向上する。
また、本実施形態では、貫通孔37eは、平面視において振動子3と重なる領域に位置している。
従って、例えば、振動子3、集積回路素子5及び接続導体45を配線基板7の内側へ集約して、配線基板7の小型化を図ることができる。当該効果は、特に、振動子3が電子素子(本実施形態では集積回路素子5)に比較して大きい場合に有効である。また、例えば、貫通孔37eにアンダーフィル49が充填されない場合には、貫通孔37eを介して振動子3又は振動子3と配線基板7との隙間への空気の流れを生じさせ、振動子3の放熱又は加熱を行ったり、貫通孔37e内に設けられた接続導体45を介して振動子3の放熱又は加熱を行ったりすることが可能となる。すなわち、熱的に応用性が向上する。
また、本実施形態では、貫通孔37eは、平面視において開口部37hと繋がっている。
従って、例えば、振動子3、集積回路素子5及び接続導体45の配線基板7の内側への集約が一層図られる。また、例えば、貫通孔37eを形成した後、貫通孔37eの一部を削除するように開口部37hを形成することによって、貫通孔37eの形状及び大きさを適宜なものとすることができる。例えば、平面視において、最終的な貫通孔37eの面積に対して、一部削除前の貫通孔37eの径を大きくすることができる。その結果、例えば、貫通孔37eに対する接続導体45の成膜が容易化される。
また、本実施形態では、上記のように貫通孔37eが開口部37hと繋がっていることに加えて、接続導体45が貫通孔37eの内周面に層状に形成されている。
従って、例えば、キャスタレーションが絶縁基板の側面に設けられたときと同等の面積を絶縁基板37に確保しつつ、貫通孔37eによって実質的に開口部37hが拡張される。その結果、例えば、開口部37h内の電子素子(本実施形態では集積回路素子5)を大きくしたり、及び/又は、開口部37h内の電素素子の数を多くしたりすることが可能となる。すなわち、電子素子の選択の自由度が向上する。また、例えば、アンダーフィル49によって配線基板7と振動子3との隙間が塞がれないようにアンダーフィル49を開口部37hに供給する場合において、余剰なアンダーフィル49を貫通孔37eに収容させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、貫通孔37eが開口部37hと繋がり、接続導体45が層状であることに加えて、平面視において集積回路素子5は矩形であり、4つの貫通孔37eが集積回路素子5の4隅側に位置している。
従って、例えば、集積回路素子5と配線基板7とのクリアランスの確保が難しい4隅側において、ピンポイントに開口部37hを実質的に拡張できる。その結果、例えば、配線基板7の開口面積を小さくして配線基板7の強度を確保しつつ、上述した集積回路素子5の選択の自由度向上の効果をより確実に得ることができる。
特に、本実施形態では、矩形の1対の対辺に平行に見て、集積回路素子5と4つの貫通孔37eとが一部において重なっていることから、当該1対の対辺に平行な方向において、貫通孔37eによってクリアランスが確実に確保される。加えて、本実施形態では、矩形の他の1対の対辺に平行に見て、集積回路素子5と4つの貫通孔37eとが一部において重なっていることから、平面視においていずれの方向においても、貫通孔37eによってクリアランスが確実に確保される。このように貫通孔37eによってクリアランスを確実に確保することで、振動子3に実装された集積回路素子5を開口部37hに確実に収容することができる。従って、振動子端子25と振動子用パッド41との距離を最短とすることができ、バンプ47によって確実に電気的に接続させることが可能となる。
また、本実施形態の発振器1の製造方法は、第1主面37a及び第2主面37bを有する絶縁基板37に厚み方向に貫通する貫通孔37eを形成するステップ(図5(a))と、第1主面37aに振動子用パッド41を形成するステップ(図5(b))と、第2主面37bに外部端子43を形成するステップと、振動子用パッド41及び外部端子43に接続される導電体を貫通孔37eの内部に形成するステップ(図5(b))と、平面視において貫通孔37eに重なる開口部37hを形成することによって導電体の一部を除去し、振動子用パッド41と外部端子43とを接続する接続導体45を形成するステップ(図4(a)及び図4(b))と、開口部37hを覆うように振動子3を振動子用パッド41に実装するステップと、開口部37hに収容されるように集積回路素子5を振動子3に実装するステップと、を有している。
従って、既に述べたように、開口部37hと貫通孔37eとが繋がっている一方で、貫通孔37e内の接続導体45が開口部37hの内周面に形成されていない配線基板7を簡便に形成することができる。
<第2実施形態>
図6(a)及び図6(b)は、第2実施形態に係る発振器の配線基板207を示す、図4(a)及び図4(b)に相当する平面図である。なお、第2実施形態に係る発振器の構成は、配線基板207の構成を除いては、第1実施形態に係る発振器1の構成と同様である。また、第2実施形態に係る配線基板207についても、特に断りがない事項については、第1実施形態の配線基板7と同様である。
第2実施形態に係る配線基板207は、第1実施形態の配線基板7と同様に、開口部237h及び複数の貫通孔237eを有する絶縁基板237と、絶縁基板237の第1主面237aに設けられ、振動子3が実装される振動子用パッド241と、絶縁基板237の第2主面237bに設けられ、不図示の回路基板に接続される外部端子243と、貫通孔237eに設けられ、振動子用パッド241と外部端子243とを接続する接続導体245とを有している。
ただし、配線基板207は、例えば、以下の点において、第1実施形態の配線基板7と異なっている。まず、貫通孔237eは、平面視において開口部237hと繋がっていない。また、貫通孔237eは、振動子用パッド241に対して開口部237h側ではなく、開口部237hとは反対側に位置している。また、貫通孔237eは、振動子用パッド241と重なっていないか、若しくは、比較的少ない量で振動子用パッド241と重なっている。また、接続導体245は、第1主面237aの貫通孔237eの周囲にフランジ部245fを有しており、当該フランジ部245fは、配線を介さずに直接に振動子用パッド241と接続されている。なお、図6では不図示であるが、振動子3は、貫通孔237eの一部又は全部と重なってもよいし、重ならなくてもよい。
以上の第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、振動子3のパッケージ(素子搭載部材11及び蓋部材13)と、配線基板207との組み合わせによって、発振器のパッケージが構成されることから、パッケージが小型であり、また、設計変更が容易である。また、例えば、接続導体245が絶縁基板237の側面から内側へ離れた貫通孔237eに設けられていることから、接続導体245と他の部品との意図しない接続のおそれの低減、接続導体245のバリが検査を阻害するおそれの低減等の効果が奏される。
以上の実施形態において、水晶発振器1は圧電デバイスの一例であり、水晶振動子3は圧電振動子の一例であり、集積回路素子5は電子素子の一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
圧電デバイスは、振動子と発振回路とを有する発振器に限定されない。別の観点では、振動子に実装され、配線基板の開口部に収容される電子素子は、発振回路を含む集積回路素子に限定されない。例えば、圧電デバイスは、発振回路を有さず、狭義の振動子3と、適宜な電子素子と、を有する広義の振動子であってもよい。なお、この場合、素子搭載部材11において、振動素子9が搭載される1対の素子搭載パッド23は、電子素子用のパッド(実施形態ではIC用パッド26)ではなく、振動子端子25のいずれか2つに接続される。また、開口部には、例えば、サーミスタ及び/又はヒータが実装され、素子搭載部材11を介して振動子端子25に接続されてよい。また、圧電デバイスは、水晶を用いるものに限定されず、例えば、セラミックを用いるものであってもよい。
圧電デバイスが発振器である場合において、その用途乃至は機能は適宜に設定されてよい。例えば、圧電発振器は、クロック用発振器であってもよいし、電圧制御型発振器(例えばVCXO)であってもよいし、温度補償型発振器(例えばTCXO)であってもよいし、恒温槽付発振器(例えばOCXO)の恒温槽内の発振器であってもよい。外部端子、振動子用パッド、振動子端子、IC用パッド及びIC端子の数及びその配置は、圧電発振器に要求される機能に応じて適宜に設定されてよい。
圧電振動子の具体的構成は、適宜に変更されてよい。例えば、圧電振動素子は、2本の振動腕を有する音叉型のものであってもよいし、矩形の平板状の対角線上に1対の引出電極が形成されるものであってもよい。また、例えば、素子搭載部材は、枠部が金属によって構成されるものであってもよい。
配線基板は、主面だけでなく、内部に主面に平行な導体層を有していてもよい。また、配線基板は、平面視において振動子と概略同等の大きさを有する構成のものに限定されない。すなわち、配線基板は、振動子のパッケージとで、いわゆるH型のパッケージのような形状を構成するものに限定されない。例えば、配線基板は、比較的広い面積を有し、第1主面に振動子と並列に適宜な電子素子が実装されるものであってもよい。また、例えば、配線基板は、開口部を覆うように第2主面にヒータ等の電子部品が実装されるものであってもよい。
貫通孔の数、位置、形状及び大きさ等は、実施形態に示した以外にも適宜に設定されてよく、また、第1及び第2実施形態が組み合わされてもよい。例えば、貫通孔は、開口部の周囲に沿って振動子用パッドと並ぶように配置されてもよい。また、例えば、第1実施形態のように開口部と繋がる貫通孔においても、第2実施形態のように振動子用パッドと隣接又は離間していてもよいし、この場合に、第2実施形態のようにフランジ部が振動子用パッドと直接に接続されてもよいし、第2実施形態とは異なり、第1主面上の配線によって接続導体と振動子用パッドとが接続されていてもよい。また、実施形態では、複数の貫通孔(及び複数の接続導体)は、互いに同一の形状及び大きさとされるとともに、線対称乃至は回転対称の位置に配置されたが、そのようにされる必要はない。
接続導体は、貫通孔の内周面に形成された導電膜に限定されず、貫通孔の内部に充填された導体であってもよい。なお、この場合においても、貫通孔は、開口部と繋がっていてもよく、また、図5と同様に、接続導体となる導体が貫通孔に充填された後、貫通孔に重なる開口部が形成されてもよい。