以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。また、図面には、図面相互の関係を明確にする等の目的で、便宜的に、D1軸、D2軸及びD3軸からなる直交座標系を付すことがある。実施形態に係る水晶発振器は、いずれの方向が上方又は下方とされてもよいが、以下では、便宜的にD3軸方向の正側を上方として、上面又は下面等の用語を用いることがある。また、便宜上、導電層等の表面に(すなわち断面でない面に)ハッチングを付すことがある。
(水晶発振器の概略構成)
図1は、本発明の実施形態に係る水晶発振器1(以下、「水晶」は省略)の概略構成を示す分解斜視図である。図2は、図1のII−II線における断面図である。
発振器1は、例えば、全体として、概略、薄型の直方体状とされる電子部品であり、その寸法は適宜に設定されてよい。例えば、比較的小さいものでは、長辺又は短辺の長さは1mm以上2mm以下であり、厚さは0.5mm以上0.8mm以下である。
発振器1は、例えば、水晶振動子3(以下、「水晶」は省略)と、振動子3に実装される集積回路素子5(以下、「IC5」)と、振動子3が実装される実装枠体7とを有している。また、図2に示すように、発振器1は、IC5を振動子3に実装するためのIC用バンプ9と、振動子3を実装枠体7に実装するための振動子用バンプ11と、IC5を封止するためのアンダーフィル12とを有している。
振動子3は、交流電圧が印加されるとその内部で固有振動を生じる。IC5は、発振回路(振動子を除く)を含んで構成されており、振動子3に電圧を印加して、振動子3内の固有振動を利用して発振信号を生成する。実装枠体7は、不図示の回路基板等に接続され、振動子3のパッケージを介して、回路基板とIC5との間において電気信号を仲介する。これらの具体的な構成は、例えば、以下のとおりである。
振動子3は、例えば、水晶振動素子13(以下、「水晶」は省略)と、振動素子13を収容する素子搭載部材15と、素子搭載部材15を密閉する蓋部材17とを有している。なお、素子搭載部材15及び蓋部材17によって、振動子3のパッケージである容器体19が構成されている。
振動素子13は、例えば、水晶片21(圧電片)と、水晶片21に電圧を印加するための1対の励振電極23と、振動素子13を素子搭載部材15に実装するための1対の引出電極25とを有している。
水晶片21は、例えば、概ね長方形の板状に形成されている。水晶片21は、例えば、ATカット水晶片からなる。1対の励振電極23は、例えば、水晶片21の両主面の中央側に層状に設けられている。1対の引出電極25は、例えば、1対の励振電極23から引き出されて水晶片21の長手方向の一端側部分に設けられている。1対の励振電極23及び1対の引出電極25は、例えば、振動素子13の両主面のいずれが実装側とされてもよいように、水晶片21の長手方向に延びる不図示の中心線に関して180°回転対称の形状に形成されている。
素子搭載部材15は、例えば、絶縁性の基体27と、基体27に設けられた各種の導体(例えば金属)とを有している。各種の導体は、例えば、振動素子13を素子搭載部材15に搭載するための1対の素子搭載パッド29、振動子3を実装枠体7に実装するための複数(本実施形態では4つ)の振動子端子31、IC5を振動子3に実装するための複数(本実施形態では6つ)のIC用パッド33(図2)、及びこれらの端子及びパッドを接続する不図示の接続導体である。
基体27は、例えば、セラミックによって一体的に形成されており、その形状は、振動素子13を収容する凹部27rを有した箱状である。基体27は、例えば、平板状の基板部27aと、基板部27aに重ねられた枠部27bとを有しており、これにより、凹部27rが構成されている。
1対の素子搭載パッド29は、例えば、凹部27rの底面(基板部27aの枠部27b側の主面)に層状に設けられている。複数の振動子端子31は、例えば、基板部27aの枠部27bとは反対側の主面の4隅に層状に設けられている。複数のIC用パッド33は、例えば、基板部27aの枠部27bとは反対側の主面において、複数の振動子端子31に囲まれた領域内に2列で配列されている。不図示の接続導体は、例えば、基板部27aの主面に形成された層状導体、及び基板部27aを貫通するビア導体によって構成されている。
これらの端子又はパッドの平面形状及び面積は適宜に設定されてよい。ただし、振動子端子31は、振動子3を小型化しつつも接合面積を大きくする観点から、素子搭載部材15の下面外縁まで広がることによって、面積が大きくされていることが好ましい。すなわち、振動子端子31は、平面視において、その外縁の一部が素子搭載部材15の下面外縁(例えば角部を構成する2辺)と一致していることが好ましい。
振動素子13は、1対の引出電極25と1対の素子搭載パッド29とが1対の素子用バンプ35(図2)によって接合されることによって、素子搭載部材15に片持ち梁のように固定されるとともに、素子搭載部材15に電気的に接続される。なお、素子用バンプ35は、例えば、熱硬化性樹脂に導電性フィラーを混ぜた導電性接着剤からなる。
蓋部材17は、例えば、金属からなる。蓋部材17は、素子搭載部材15の枠部27bと接合され、これにより、凹部27rは密閉される。凹部27r内は、例えば、真空とされ、又は、適宜なガス(例えば窒素)が封入される。
蓋部材17及び素子搭載部材15の接合は適宜な方法によりなされてよい。例えば、枠部27bの蓋部材17側の面には、金属からなる枠状の第1接合用パターン37が形成される。一方、蓋部材17の枠部27b側の面には、金属からなる枠状の第2接合用パターン39が形成される。そして、両者がシーム溶接によって接合されることにより、蓋部材17及び素子搭載部材15は互いに接合される。
IC5は、例えば、概略薄型直方体状に形成されており、一方の主面に複数(本実施形態では6つ)のIC端子41を有している。IC端子41と、素子搭載部材15に設けられたIC用パッド33とがIC用バンプ9によって接合されることにより、IC5は、素子搭載部材15に固定されるとともに、素子搭載部材15に電気的に接続される。
IC端子41の数及び役割は、発振器1に要求される機能等に応じて適宜に設定されてよい。例えば、6つのIC端子41のうち、1つは基準電位をIC5に供給するためのものであり、1つは電源電圧(基準電位とは異なる電位)をIC5に供給するためのものであり、2つはIC5から振動素子13に電圧を印加するためのものであり、1つは発振信号の周波数を調整するための制御信号をIC5に入力するためのものであり、1つは発振信号をIC5から出力するためのものである。
既に述べたように、IC5は、発振回路を含んで構成されている。発振回路は、例えば、帰還型のものである。また、IC5は、温度センサ、及び、温度センサの検出した温度に基づいて発振信号の温度変化を補償する温度補償回路を含んでいてもよい。IC5は、パッケージングされたものであってもよいし、ベアチップであってもよい。
実装枠体7は、例えば、リジッド式のプリント配線基板と同様の構成とされてよい。例えば、実装枠体7は、絶縁基板43と、絶縁基板43に設けられた各種の導体(例えば金属)とを有している。各種の導体は、例えば、振動子3を実装枠体7に実装するための複数(本実施形態では4つ)の振動子用パッド45、実装枠体7(発振器1)を不図示の回路基板に実装するための複数(本実施形態では4つ)の外部端子47、及び複数の振動子用パッド45と複数の外部端子47とを接続する不図示の接続導体である。なお、特に図示しないが、実装枠体7は、外部端子47及び振動子用パッド45を露出させつつ絶縁基板43を覆うソルダーレジストを有していてもよい。
絶縁基板43は、例えば、ガラスエポキシ材よりなる。絶縁基板43(実装枠体7)には、当該絶縁基板43を上面から下面へ貫通する開口43hが形成されている。絶縁基板43の外縁及び開口43hの平面形状は適宜に設定されてよい。例えば、これらの平面形状は矩形である。平面視において、絶縁基板43の外縁がなす領域は、例えば、振動子3よりも広く、振動子3は絶縁基板43の外縁がなす領域に収まっている。
複数の振動子用パッド45は、例えば、絶縁基板43の上面の4隅側に層状に設けられており、開口43hを囲んでいる。複数の外部端子47は、例えば、絶縁基板43の下面の4隅に層状に設けられており、開口43hを囲んでいる。複数の振動子用パッド45と複数の外部端子47とを接合する不図示の接続導体は、開口43hの内周面に層状に形成されていてもよいし、絶縁基板43を上下に貫通するビア導体又はスルーホール導体によって構成されていてもよい。
振動子用パッド45及び外部端子47の平面形状及び面積は適宜に設定されてよい。ただし、これらは、実装枠体7を小型化しつつも接合面積を大きくする観点から、絶縁基板43の内縁(開口43h)から外縁まで広がることによって、面積が大きくされていることが好ましい。すなわち、振動子用パッド45又は外部端子47は、その外縁の一部が絶縁基板43の内縁(開口43hの角部の点でもよい)及び外縁に一致することが好ましい。なお、図示の例では、振動子用パッド45及び外部端子47の平面形状は、実装枠体7の幅全体に広がり、開口43hによって一の角部が切り欠かれた矩形である。
振動子3は、複数の振動子端子31と振動子用パッド45とが振動子用バンプ11によって接合されることにより、実装枠体7に対して固定されるとともに、電気的に接続される。振動子用パッド45は、開口43hを囲むように配置されているから、振動子3は、開口43hを上面側から覆うように実装枠体7に実装される。なお、平面視において、振動子3の面積は、例えば、開口43hの面積よりも大きく、開口43hはその全体が振動子3に覆われる。
また、振動子3に実装されたIC5は、開口43hに収容される。なお、図2では、IC5の天面(D3軸方向負側の面)は、絶縁基板43の下面よりも内部側(D3軸方向正側)に位置しているが、当該天面は、絶縁基板43の下面と概略面一とされてもよい。
IC用バンプ9及び振動子用バンプ11は、例えば、半田によって構成されている。半田は、鉛フリー半田であってもよい。
IC用バンプ9のIC用パッド33及びIC端子41に対する接着面積は適宜に設定されてよいが、例えば、IC用バンプ9は、IC用パッド33及びIC端子41の概ね全体に密着している。振動子3の基体27とIC5の本体との間には、IC用パッド33、IC用バンプ9及びIC端子41の厚みに相当する隙間が構成されている。
振動子用バンプ11の振動子用パッド45及び振動子端子31に対する接着面積は適宜に設定されてよいが、例えば、振動子用バンプ11は、振動子用パッド45及びIC端子41の概ね全体に密着している。振動子3の基体27と実装枠体7の絶縁基板43との間には、振動子端子31、振動子用バンプ11及び振動子用パッド45の厚みに相当する隙間が構成されている。
アンダーフィル12は、例えば、熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)からなる。アンダーフィル12は、樹脂よりも熱膨張係数が低いフィラー(例えばSiO2からなる)を含んでいてもよい。
アンダーフィル12は、振動子3とIC5との間に介在してこれらに密着している。なお、アンダーフィル12は、振動子3とIC5との間に空間を生じることなく充填されていることが好ましい。なお、アンダーフィル12は、IC5の側面を適宜な高さまで覆うように設けられてもよいし、IC5を側面だけでなく天面も覆うように設けられてもよい。
また、アンダーフィル12は、IC5の周囲に広がった部分が開口43hの内周面に到達しており、さらには、振動子3と実装枠体7との間に介在してこれらに密着している。アンダーフィル12は、例えば、開口43hの全周に亘って振動子3と実装枠体7とに密着している。従って、開口43hは、振動子3と実装枠体7との隙間を介しては外部へ通じていない。アンダーフィル12は、振動子3の外縁まで到達していなくてもよいし、振動子3の外縁まで到達していてもよいし、図示の例のように、実装枠体7の外縁まで到達していてもよい。なお、アンダーフィル12によって振動子3と実装枠体7との接合を補強する観点からは、アンダーフィル12は、振動子3の外縁まで、振動子3及び実装枠体7に密着していることが好ましい。
素子搭載部材15においては、不図示の接続導体によって、6つのIC用パッド33のうちの2つと、1対の素子搭載パッド29とが接続されている。これにより、IC用パッド33に実装されたIC5と、素子搭載パッド29に実装された振動素子13とが電気的に接続されている。ひいては、IC5により振動素子13に電圧を印加して発振信号を生成することが可能となっている。
また、素子搭載部材15においては、不図示の接続導体によって、6つのIC用パッド33のうち残りの4つと、4つの振動子端子31とが接続されている。これにより、IC用パッド33に実装されたIC5と、振動子端子31が接合された振動子用パッド45を有する実装枠体7とが電気的に接続されている。ひいては、振動子用パッド45と接続されている4つの外部端子47に対する電気信号の入出力によって、IC5に対して電気信号を入出力することが可能となっている。
(振動子用バンプの形状の詳細)
図3(a)は図2の領域IIIaの拡大図である。また、図3(b)は比較例を示す図3(a)に相当する図である。
本実施形態の振動子用バンプ11と、比較例に係る振動子用バンプ111との比較から理解されるように、本実施形態では、振動子用バンプ11が、実装枠体7の側面7a(絶縁基板43の側面及び振動子用パッド45の側面)に連続する側面11aを有していることを1つの特徴としている。
ここでいう連続は、段差を殆ど生じずに両面が隣接していることをいう。後述するように、実装枠体7の側面7a及び振動子用バンプ11の側面11aは、実装枠体7及び振動子用バンプ11が共に切断されることによって形成され、これにより連続する。従って、実装枠体7及び振動子用バンプ11を共に切断しても生じる段差は無視されてよい。その具体的な大きさは、切断方法及び利用される機器構成によって異なるが、例えば、10μm未満の段差、又は振動子用パッド45の最大径の1%未満の段差は無視されてよい。
振動子用バンプ11の側面11aが切断面であるか否かは、側面11aを適宜な顕微鏡を用いて観察することによって特定可能である。例えば、レーザー又はダイシングブレードによる切断が行われると、それぞれに特有の条痕が残る。側面11a及び実装枠体7の側面7aに亘って同様、類似又は連続した条痕が構成されていれば、より確実に切断面であることが特定される。
側面11aは、具体的には、例えば、側面7aと概ね一平面を構成している(面一である。)。この一平面は、例えば、概ね実装枠体7の上下面に対して直交している。ただし、側面11a及び側面7aが構成する面は、実装枠体7の上下面に対して傾斜していたり、湾曲していたり、屈曲していたりしてもよい。このような傾斜、湾曲又は屈曲は、意図的なものであってもよいし、加工精度に起因して生じてしまうものであってもよい。
また、本実施形態の振動子用バンプ11は、比較例の振動子用バンプ111に比較して厚く形成されている。これは、後述するように、側面11aを有するような構成とすると、厚みを確保しやすくなることからである。そして、本実施形態では、振動子用バンプ11が厚く確保されていることによって、振動子3と実装枠体7との距離が確保されている。
(水晶発振器の製造方法)
以上の構成を有する水晶発振器1の製造方法を説明する。なお、以下の説明では、便宜上、製造過程の進行に伴って部材の形状等が変化しても、その変化の前後で同一の名称及び符号を用いることがある。
(製造方法の手順の概略)
図4は、水晶発振器1の製造方法の手順を示すフローチャートである。
ステップST1では、振動子3が作製される。この作製方法は、公知の方法と同様とされてよい。例えば、水晶ウェハに対してエッチング及び導電材料の成膜等を行って振動素子13を作製する。セラミックグリーンシートに対して打ち抜き加工及び導電ペーストの塗布等を行ってこれを同時焼成し、素子搭載部材15を作製する。そして、ディスペンサによって素子用バンプ35を配置した素子搭載部材15に振動素子13を実装して、蓋部材17を素子搭載部材15に接合する。
ステップST2では、IC7を振動子3に実装する。すなわち、IC用バンプ9によってIC7のIC端子41と振動子3のIC用パッド33とを接合する。この実装方法も公知の方法と同様とされてよい。例えば、ディスペンサによって半田バンプをIC用パッド33に供給し、その上にIC7を配置して、IC7及び振動子3をリフロー炉に通す。
ステップST3では、ステップST1及びST2と並行して、実装枠体7が多数個取りされる母基板51(図5(a)参照)が作製される。この作製方法は、振動子用パッド45となるパッド構成パターン53(図5(a)参照)の具体的な形状を除いては公知の方法と同様とされてよい。
例えば、絶縁基板43が多数個取りされる母基板に対して、マスクを介した導電層の蒸着、又は全面に形成した導体層のマスクを介したエッチングによって、パッド構成パターン53及び外部端子47等の導電層を形成する。また、例えば、絶縁基板43が多数個取りされる母基板に対して、打ち抜き加工、刃具による切削、又はマスクを介したエッチングによって開口43hを形成する。なお、導電層の形成と開口43hの形成とはいずれが先であってもよく、また、開口43hの形成と、スルーホールのような貫通孔の形成とは、別個に行われてもよいし、同時に行われてもよい。
ステップST4では、引き続きステップST1及びST2と並行して、振動子用バンプ11となるバンプ構成接合部61(図6(a)参照)がパッド構成パターン53上に配置される。配置方法は公知の方法と同様とされてよい。例えば、スクリーン印刷によって半田ペーストをパッド構成パターン53上に配置する。その後、一旦、半田ペーストを加熱して溶融させ、冷却して固化させることにより、バンプ構成接合部61の形状を整えてもよい。
ステップST5では、IC5が実装された振動子3を、バンプ構成接合部61が配置された母基板51に実装する。実装方法は公知の方法と同様でよい。例えば、複数の実装枠体7となる複数の実装体領域55(図5(a)参照)上に、IC5が開口43hに収容されるように配置する。その後、複数の振動子3が配置された母基板51をリフロー炉に通して、バンプ構成接合部61を溶融した後に固化させる。
ステップST6では、開口43hを介して未硬化状態のアンダーフィル12をIC5と振動子3との間等に充填する。充填方法は公知の方法と同様でよい。例えば、ディスペンサによって未硬化状態のアンダーフィル12を開口43hへ供給する。このとき、十分な量のアンダーフィル12を供給することによって、アンダーフィル12は振動子3と母基板51(実装枠体7)との間にも充填される。
ステップST7では、複数の振動子3(及びIC5)が実装された母基板51を切断して個片化する。これにより、複数の発振器1が作製される。切断方法としては、レーザーを用いるもの、又はダイシングブレードを用いるものなど、適宜な方法が採用されてよい。
(パッド構成パターン)
図5(a)は、ステップST3で作製される母基板51の一部を示す上面図である。また、図5(b)は、比較例に係る図5(a)に相当する図である。
母基板51は、点線で区画して示すように、複数の実装枠体7となる複数の実装体領域55と、当該複数の実装体領域55間の捨て代領域57とを有している。捨て代領域57は、複数の実装体領域55間の複数の境界線59(スクライブライン)を含み、また、図示しないが、母基板51の外周部も構成している。
実装体領域55の平面形状は、実装枠体7の平面形状と同様である。複数の実装体領域55は、例えば、一定のピッチで縦横に配列されている。別の観点では、複数の境界線59は、一定の幅で直線状に縦横に延びている。なお、縦に延びる境界線59の幅と、横に延びる境界線59の幅とは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
境界線59の幅は、通常、生産性を高くするために極力小さくされる。本実施形態においても、そのように境界線59の幅が設定されてよい。この場合の幅は、切断方法にもよるが、例えば、100μm以下である。また、境界線59の幅は、後述する本実施形態の効果が好適に得られるように比較的大きく設定されてもよい。例えば、境界線59の幅は、200μm以上、又は振動子用パッド45の最大径の50%以上とされてよい。なお、図5(a)等では、本実施形態の特徴部分を分かり易く図示するために、境界線59の幅を極めて大きくしている。
図5(a)及び図5(b)の比較から理解されるように、本実施形態では、振動子用パッド45となるパッド構成パターン53(ハッチングで示す)を、振動子用パッド45よりも広く形成している。すなわち、本実施形態では、パッド構成パターン53は、実装体領域55と捨て代領域57とに亘って形成されており、パッド構成パターン53のうち一部(実装体領域55上に位置する部分)が振動子用パッド45となる。一方、比較例では、パッド構成パターン153は、実装体領域55のみに形成されており、振動子用パッド45の平面形状と基本的に同一の平面形状を有する。
パッド構成パターン53の捨て代領域57における形状自体は、個片化後の実装枠体7には現れない。従って、当該形状は、例えば、後述する振動子用バンプ11(バンプ構成接合部61)を好適に形成する効果を考慮して適宜に設定されてよい。図示の例では、パッド構成パターン53は、開口43h側の角部に振動子用パッド45が位置する概ね矩形(開口43hによる切り欠きを除く)である。
また、パッド構成パターン53の面積は、例えば、後述する振動子用バンプ11(バンプ構成接合部61)を好適に形成する効果を考慮して適宜に設定されてよい。例えば、捨て代領域57の広さに対して最大限広くされてよい。具体的には、例えば、パッド構成パターン53は、実装体領域55から境界線59の幅方向へ、10μm以上、又は境界線59の幅の10%以上広がっていてよい。なお、捨て代領域57の幅と、パッド構成パターン53の捨て代領域57上の広さとは、いずれが先に決定されてもよいし、両者の効果(生産性及び後述の効果)を総合的に考慮して同時に決定されてもよい。
(振動子用バンプの形成)
図6(a)〜図6(c)は、製造過程における発振器1を模式的に示す断面図であり、図5(a)のVI−VI線に対応している。
図6(a)は、ステップST4とステップST5との間に相当している。すなわち、母基板51のパッド構成パターン53の上には、振動子用バンプ11となるバンプ構成接合部61が配置されており、また、その上から振動子3が配置される。
このとき、バンプ構成接合部61は、パッド構成パターン53に対して比較的広い範囲で形成されている。従って、バンプ構成接合部61は、パッド構成パターン53と同様に、実装体領域55だけでなく、境界線59上にも位置している。
なお、バンプ構成接合部61がスクリーン印刷によって配置される場合、バンプ構成接合部61は、例えば、印刷された時点で実装体領域55及び境界線59に亘って配置されている。すなわち、バンプ構成接合部61は、印刷後、加熱及び冷却によって形状が整えられるときに、パッド構成パターン53を濡らすように広がることによって薄くなりながら境界線59上に位置するのではない。
また、バンプ構成接合部61は、例えば、半球状となっている。このような形状は、例えば、バンプ構成接合部61がスクリーン印刷によって供給される場合、印刷後、バンプ構成接合部61が加熱されて溶融されたときに表面張力によって生じる。なお、そのような処理が行われずに、バンプ構成接合部61は、概ね柱状とされていてもよい。
図6(b)は、ステップST5が完了したときに相当している。すなわち、バンプ構成接合部61は、振動子3が載置された状態で、加熱されて溶融し、その後、冷却されて固化することによって、振動子端子31とパッド構成パターン53とを接合している。
バンプ構成接合部61は、接合後も、接合前に引き続いて、パッド構成パターン53の広い範囲に対して広がっており、ひいては、境界線59上に位置している。また、バンプ構成接合部61は、溶融状態のときに、振動子端子31及びパッド構成パターン53を濡らそうとする力と表面張力とが作用することから、いわゆるフィレット形状を形成する(図3(a)も参照)。すなわち、バンプ構成接合部61は、振動子端子31側及び/又はパッド構成パターン53側に、薄くなりながら広がる裾野状部分を含む。
図6(c)は、ステップST7に相当している。すなわち、振動子3が実装され、アンダーフィル12の充填がなされた母基板51を切断して個片化している。
切断は、母基板51の境界線59を除去するようにして行われる。例えば、レーザーを用いる場合においては、集光されたレーザー光L1が境界線59上に照射されるとともに、矢印y1で示すように、適宜なアシストガスが境界線59上に吹き付けられる。除去される幅、並びに切断面の形状及び傾斜等は、レーザー光L1のスポット径及び焦点距離等によって調整可能である。また、特に図示しないが、ダイシングブレードを用いる場合においては、概ね境界線59と同等の厚みを有するダイシングブレードによって境界線59が切削される。切断面の形状及び傾斜は、ダイシングブレードの回転軸に交差する面(切断面に当接する面)の形状及び傾斜によって決定される。
ここで、パッド構成パターン53及びバンプ構成接合部61は、その一部が境界線59上に位置している。従って、母基板51は、パッド構成パターン53及びバンプ構成接合部61ごと切断される。その結果、パッド構成パターン53及びバンプ構成接合部61は、一部(境界線59における部分)が除去されて、振動子用パッド45及び振動子用バンプ11となる。また、このようにして形成された振動子用バンプ11は、実装枠体7の側面7a(絶縁基板43の側面及び振動子用パッド45の側面)と連続した側面11a(切断面)を有することになる。なお、アンダーフィル12が境界線59まで広がっている場合においては、アンダーフィル12も、母基板51の切断に伴って境界線59における部分が除去されて、切断面が形成される。
なお、以下では、便宜上、切断前後で部材を区別することをせずに、パッド構成パターン53及び振動子用パッド45を振動子用パッド(45,53)といい、振動子用バンプ11及びバンプ構成接合部61を振動子用バンプ(11,61)ということがある。
図7(a)は、バンプ構成接合部61が配置された母基板51の一部を示す上面図である。図7(b)は、図7(a)のVIIb−VIIb線における断面図である。図7(c)及び図7(d)は、比較例を示す図7(a)及び図7(b)に相当する図であり、図7(d)は、図7(c)のVIId−VIId線における断面図である。図7(a)及び図7(c)では、便宜上、パッド構成パターン53及び153並びにバンプ構成接合部61及び161にハッチングを付している。
図7(a)と図7(c)との比較から理解されるように、実施形態のパッド構成パターン53は、実装体領域55だけでなく、捨て代領域57にも広がっていることから、実装体領域55のみに広がっている比較例のパッド構成パターン153よりも面積が広い。ひいては、実施形態のバンプ構成接合部61は、比較例のバンプ構成接合部161よりも、広い面積に亘って配置される。
その結果、図7(b)と図7(d)との比較から理解されるように、実施形態のバンプ構成接合部61は、比較例のバンプ構成接合部161よりも体積が大きくなる。また、バンプ構成接合部61の厚さh1は、バンプ構成接合部161の厚さh2よりも厚くなる。具体的には、例えば、バンプ構成接合部61及び161のいずれも、溶融されて形状が整えられたときに表面張力によって半球状となり、このとき、裾野が広い振動子用バンプ11の方が半球の半径が大きくなる。
また、図3(a)及び図3(b)に示したように、振動子3を実施形態の母基板51又は比較例の母基板151に実装した後も、実施形態の振動子用バンプ11は比較例の振動子用バンプ111よりも厚くなる。ひいては、実施形態においては、比較例よりも振動子3と実装枠体7との距離が確保される。その一方で、切断後の平面視における発振器1の大きさは、実施形態と比較例とで同等である。
以上のとおり、本実施形態では、発振器1は、下面に振動子端子31を有している振動子3と、上面に振動子端子31と対向する振動子用パッド45を有している実装枠体7と、振動子端子31と振動子用パッド45との間に介在してこれらを接合している導電性の振動子用バンプ11と、を有している。振動子用バンプ11は、実装枠体7の側面7aと連続する切断面(側面11a)を有している。
また、別の観点では、発振器1の製造方法は、振動子3、実装枠体7及びこれらを接合する導電性の振動子用バンプ(11,61)を有する発振器1の製造方法であって、実装枠体7が多数個取りされる母基板51を作製する母基板作製工程(ST3)と、母基板51の上面に複数の振動子用バンプ(11,61)を配置するバンプ配置工程(ST4)と、母基板51に配置された複数の振動子用バンプ(11,61)上に複数の振動子3を配置して複数の振動子3を母基板51に実装する振動子実装工程(ST5)と、複数の振動子3が実装された母基板51を切断して複数の発振器1に個片化する個片化工程(ST7)と、を有している。母基板作製工程では、複数の実装枠体7となる複数の実装体領域55とその間の捨て代領域57とに亘って母基板51の上面に複数の振動子用パッド(45,53)を形成する。バンプ配置工程では、複数の実装体領域55と捨て代領域57とに亘って複数の振動子用パッド(45,53)上に複数の振動子用バンプ(11,61)を配置する。個片化工程では、複数の振動子用バンプ(11,61)ごと母基板51を切断する。
従って、例えば、上述したように、発振器1の製造過程においては、バンプ構成接合部61は、最終的な形状(振動子用バンプ11の形状)よりも裾野が広くされ、その結果、厚くされることが可能である。これにより、振動子3と実装枠体7との距離を確保することが容易化される。ひいては、例えば、実装枠体7が発振器1の周波数特性に及ぼす影響を緩和したり、振動子用バンプ11の厚みのばらつきに起因する周波数特性のばらつきを低減したりすることが容易化される。
また、例えば、振動子用バンプ11が厚くなることによって、振動子用バンプ11が破断しにくくなり、接合強度が向上する。また、例えば、比較例の振動子用バンプ111では、裾野(フィレット形状)の最も外側の厚さは0に近づくが、実施形態の振動子用バンプ11では、裾野の最も外側においても側面11a(切断面)の高さに相当する厚さが確保され、ひいては、ある程度の強度が確保される。また、例えば、発振器1の製造過程において、パッド構成パターン53上に配置されるバンプ構成接合部61の体積を大きくできるから、振動子端子31を濡らすのに十分な量の体積を確保しやすい。その結果、接合強度が向上する。振動子3の4隅(側面同士がなす角部)に凹部が形成されて振動子端子31に接続されたスルーホール導体が配置されているような場合においては、このスルーホール導体を濡らす量を確保することも容易化される。また、例えば、パッド構成パターン53は、振動子端子31に対して、より外側に広がることになるから、実装体領域55を囲むように配列された複数(4つ)のバンプ構成接合部61の表面張力によって振動子端子31を実装体領域55の中央に位置決めさせる作用(セルフアライメント)が強くなる。
また、本実施形態では、実装枠体7は、上面から下面へ貫通している開口43hを有している。振動子3は、開口43hの上面側を覆っている。発振器1は、開口43hに収容され、振動子3の下面に実装されたIC5を有している。
別の観点では、本実施形態では、発振器1の製造方法は、振動子実装工程(ST5)の前に、複数の振動子3の下面に複数のIC5を実装する集積回路素子実装工程(ST2)を更に有している。母基板作製工程(ST3)では、複数の実装体領域55に複数の開口43hを形成する。振動子実装工程(ST5)では、複数のIC5が複数の開口43hに収容されるように複数の振動子3を複数の実装体領域55上に実装する。
従って、例えば、開口43hが形成されていることによって、振動子用バンプ(11、61)の体積を確保しにくく、また、振動子用バンプ(11、61)には、振動子3の重みだけでなく、IC5の重みも加えられる。すなわち、課題の欄で述べた不都合が生じやすい。しかし、上述したように、本実施形態では振動子用バンプ(11、61)の厚みが確保されやすいから、そのような不都合が解消される。すなわち、上述した効果が効果的に発揮される。
また、本実施形態では、発振器1は、IC5と振動子3との間に介在してこれらに密着しているとともに、振動子3と実装枠体7との間に介在してこれらに密着しているアンダーフィル12を更に有している。
別の観点では、本実施形態では、発振器1の製造方法は、振動子実装工程(ST5)の後かつ個片化工程(ST7)の前に、複数の開口43hを介して、複数のIC5と複数の振動子3との間、複数の振動子3と複数の実装体領域55との間にアンダーフィル12を充填するアンダーフィル充填工程(ST6)を更に有している。
ここで、振動子3と実装体領域55との隙間は、上述のようにバンプ構成接合部61の厚みが厚くなっていることによって、大きくなっている。従って、アンダーフィル12は、振動子3と実装体領域55との間に流れ込みやすい。その結果、振動子3の広い範囲に亘って、アンダーフィル12を振動子3及び実装枠体7に密着させることができる。ひいては、アンダーフィル12による振動子3と実装枠体7との接合強度が向上する。
また、本実施形態では、振動子3は、板状の水晶片21、及び水晶片21の両主面に位置する1対の励振電極23を有している振動素子13と、振動素子13を収容しており、前記1対の励振電極23に電気的に接続されている1対の振動子端子31を有している容器体19と、を有している。
従って、振動子3は、容器体19によって振動素子13のパッケージングまでされており、基本的にそれ自体で利用可能である。発振器1は、そのような振動子3を用いていることから汎用部品の組み合わせで実現でき、コスト削減が期待される。その一方で、発振器1は、振動素子13と実装枠体7との距離が確保されて周波数特性が安定している完成度の高い部品となる。
なお、以上の実施形態において、水晶発振器1は圧電デバイスの一例であり、水晶振動子3は圧電素子の一例であり、振動子端子31は端子の一例であり、実装枠体7は実装体の一例であり、振動子用パッド(45,53)はパッドの一例であり、集積回路素子5は電子素子の一例であり、水晶片21は圧電片の一例であり、振動子用バンプ(11,61)はバンプの一例であり、振動子用バンプ11の側面11aはバンプの切断面の一例であり、振動子実装工程(ST5)は圧電素子実装工程の一例であり、IC実装工程(ST2)は電子素子実装工程の一例である。
(変形例)
図8(a)は、変形例に係る母基板251の一部を示す上面図であり、図5(a)に相当している。
母基板251において、振動子用パッド45となるパッド構成パターン253は、実施形態におけるパッド構成パターン53を隣り合うもの同士でつなげたような形状となっている。換言すれば、1つのパッド構成パターン253は、隣り合う実装体領域55と、その間の境界線259(捨て代領域257)に亘って設けられており、2以上(図示の例では4つ)の振動子用パッド45となる。
図8(b)は、図8(a)のパッド構成パターン253に配置されるバンプ構成接合部の例を示す平面図であり、図7(a)と同様の図(範囲は異なる)である。
この例では、バンプ構成接合部261は、1つのパッド構成パターン253に対して1つ設けられている。換言すれば、1つのバンプ構成接合部261は、隣り合う実装体領域55と、その間の境界線259(捨て代領域257)に亘って設けられており、2以上(図示の例では4つ)の振動子用バンプ211(バンプ構成接合部261のうち実装体領域55に重なる部分)となる。
図8(c)は、図8(a)のパッド構成パターン253に配置されるバンプ構成接合部の他の例を示す平面図であり、図8(b)に相当する図である。
この例では、バンプ構成接合部61は、実施形態と同様に、パッド構成パターン253に含まれる複数の振動子用パッド45それぞれに対して1つずつ設けられている。換言すれば、1つのバンプ構成接合部61は、1つの実装体領域55と、当該実装体領域55に隣接する境界線259(捨て代領域257)に亘って設けられており、1つの振動子用バンプ11となる。なお、図8(b)から理解されるように、図8(c)の互いに隣接するバンプ構成接合部61は、製造ばらつき等によって互いに短絡してしまっても問題ない。
このような変形例においても、実施形態と同様に、振動子用バンプ211又は11の厚みを確保することが容易等の効果が奏される。さらに、パッド構成パターン253を振動子用パッド45毎に分ける必要がないから、境界線259の幅を狭くすることができる。その結果、1枚の母基板251から切り出せる実装枠体7の数が増加し、生産性が向上する。
なお、実施形態の母基板51は、例えば、隣り合う発振器1同士がパッド構成パターン53によって短絡されていないことから、母基板51の状態で、外部端子47にプローブを当接させて発振器1の検査を行うことができる等のメリットがある。
本発明は、以上の実施形態及び変形例に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
圧電デバイスは、発振器に限定されないし、圧電素子は、振動子に限定されない。例えば、圧電素子は、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)素子であってもよい。すなわち、圧電デバイスは、SAWデバイスであってもよい。また、圧電デバイスは、回路基板等に実装される電子部品の一部であってよい。例えば、圧電デバイスは、恒温槽内に収容されて恒温槽付デバイスに含まれてよい。また、圧電デバイス(圧電素子)は、水晶を用いるものに限定されず、例えば、セラミックを用いるものであってもよい。
圧電デバイスが発振器である場合において、その用途乃至は機能は適宜に設定されてよい。例えば、圧電発振器は、クロック用発振器であってもよいし、電圧制御型発振器(例えばVCXO)であってもよいし、温度補償型発振器(例えばTCXO)であってもよいし、既述のように恒温槽付発振器(例えばOCXO)の恒温槽内の発振器であってもよい。外部端子、振動子用パッド、振動子端子、IC用パッド及びIC端子の数及びその配置は、圧電発振器に要求される機能に応じて適宜に設定されてよい。
圧電素子が振動子である場合において、その具体的構成は、適宜に変更されてよい。例えば、圧電振動素子(13)は、2本の振動腕を有する音叉型のものであってもよいし、矩形の圧電片の対角線上に1対の引出電極が形成されるものであってもよい。また、例えば、素子搭載部材(15)は、枠部が金属によって構成されるものであってもよい。
圧電素子は、電子素子を介さずに、圧電デバイスの外部の回路に接続されてもよい。例えば、圧電素子が振動子3である場合において、振動素子13が実装される素子搭載パッド29と振動子端子31とがIC5等を介さずに素子搭載部材15内の接続導体によって直接的に接続され、ひいては、振動素子13がIC5等を介さずに外部端子47に接続されてもよい。別の観点では、圧電デバイスは、振動子3と実装枠体7とを有していても、依然として振動子であってもよい。なお、この場合、例えば、圧電デバイスが実装される回路基板に設けられた発振回路によって振動子3に電圧が印加される。
このように圧電素子が電子素子を介さずに圧電デバイスの外部の回路に接続されてよいことからも理解されるように、圧電デバイスにおいて電子素子(IC5)は設けられなくてもよい。また、電子素子が設けられる場合において、電子素子は、集積回路素子に限定されない。例えば、電子素子は、温度センサ(例えばサーミスタ)であってもよい。この温度センサは、例えば、素子搭載部材15の配線及び実装枠体7の配線を介して、圧電デバイスの外部に設けられた、圧電素子(振動子3)の特性の温度補償を行うための回路に接続される。
圧電デバイスの全体形状は、概略H型となるものに限定されない。例えば、実装体(実装枠体7)は、開口43hが設けられなくてもよい。また、例えば、実装体は、圧電素子(振動子3)に比較して十分に広くされ、その上面に圧電素子(振動子3)と並んで他の素子(例えば発振回路を含む集積回路素子)が実装されてもよい。この場合であっても、例えば、平面視において、圧電素子の複数の端子のうち1つが実装体の1辺又は2辺に隣接している場合、本願発明を適用できる。
切断面を有するバンプ(振動子用バンプ11)は、平面視において圧電素子(振動子3)の角部及び/又は実装体(実装枠体7)の角部に位置していなくてもよい。例えば、バンプは、平面視において圧電素子及び実装体の1辺の中央に位置していてもよい。この場合であっても、バンプは、製造過程において、捨て代領域のうちの1本の境界線に広がるように配置されることによって、1つの切断面を有する。また、バンプが有する切断面の数は、2つに限定されず、前記のように1つであってもよいし(バンプが実装体の角部に隣接する場合に1つの切断面とすることも可能である)、また、合計2つのバンプで圧電素子の両端を支持するような構成においては、3つの切断面も可能である。
アンダーフィルは設けられなくてもよい。また、アンダーフィルが設けられる場合において、アンダーフィルは、開口から、圧電素子(振動子3)と実装体(実装枠体7)との間にまで広がっていなくてもよい。換言すれば、開口と実装体の側面外部とは、圧電素子と実装体との隙間を介して連通されていてもよい。この場合、例えば、開口から外部へ熱を逃がしやすい。
製造工程の順番は、母基板の切断前に圧電素子(振動子3)が母基板に実装されるのであれば、適宜に変えられてよい。例えば、IC5は、振動子3が母基板51に実装された後に振動子3に実装されてもよく、また、この場合、IC5は、母基板の切断の前及び後のいずれにおいて振動子3に実装されてもよい。また、例えば、圧電素子(振動子3)を母基板(実装体が多数個取りされる母基板とは別の母基板)から切り出して個片化する態様においては、その母基板に含まれる状態の圧電素子に電子素子(IC5)が実装されてもよい。
また、圧電素子を母基板から切り出す場合においては、圧電素子の母基板と、実装体の母基板とをバンプによって貼り合わせて、その後に切断を行ってもよい。この場合、実装体のパッドだけでなく、圧電素子の端子(振動子端子31)も圧電素子の母基板の捨て代領域まで広がっていてもよい。別の観点では、バンプは、実装体の側面と連続する切断面だけでなく、圧電素子の側面と連続する切断面を有していてもよい。
なお、圧電素子の端子を圧電素子の母基板の捨て代領域まで広げる場合においては、実装体の母基板ではなく、圧電素子の母基板にバンプを配置して、その上に、複数の実装体又は実装体の母基板を配置することも考えられる。圧電素子の母基板に複数の実装体が配置される場合においては、バンプは、圧電素子の側面と連続する切断面を有し、実装体の側面と連続する切断面を有さない。
本願発明は、バンプ(振動子用バンプ11)によって規定されている圧電素子と実装体との距離が圧電デバイスの特性に影響を及ぼすことに着目してなされている。ただし、その着目の結果得られた本願発明は、バンプの厚さが圧電デバイスの特性に影響を及ぼすような態様のものに限定されない。別の観点からの種々の効果(例えば、バンプにおける接合強度の向上又はアンダーフィルの充填容易化)が奏されるからである。
同様に、本願発明は、パッド(パッド構成パターン53)が捨て代領域に広がっていることによって、パッドが捨て代領域に広がっていない場合に比較してバンプが厚くされるものに限定されない。例えば、バンプ(バンプ構成接合部61)は、印刷時に実装体領域のみに配置され、その後、薄くなりながら捨て代領域に広がってもよい。この場合、例えば、バンプが逃げる領域が捨て代領域に確保されることになり、バンプが意図しない方向へ流れて短絡が生じるおそれが低減されるという効果が生じる。