以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。また、図面には、図面相互の関係を明確にする等の目的で、便宜的に、D1軸、D2軸及びD3軸からなる直交座標系を付すことがある。実施形態に係る水晶発振器は、いずれの方向が上方又は下方とされてもよいが、以下では、便宜的にD3軸方向の正側を上方として、上面又は下面等の用語を用いることがある。また、便宜上、導体層の表面に(すなわち断面でない面に)ハッチングを付すことがある。
(水晶発振器の概略構成)
図1は、本発明の実施形態に係る水晶発振器1(以下、「水晶」は省略)の概略構成を示す分解斜視図である。図2は、図1のII−II線における断面図である。
発振器1は、例えば、全体として、概略、薄型の直方体状とされる電子部品であり、その寸法は適宜に設定されてよい。例えば、比較的小さいものでは、長辺又は短辺の長さは1mm以上2mm以下であり、厚さは0.5mm以上0.8mm以下である。
発振器1は、例えば、水晶振動子3(以下、「水晶」は省略)と、振動子3に実装される集積回路素子5(以下、「IC5」)と、振動子3が実装される実装枠体7とを有している。また、図2に示すように、発振器1は、IC5を振動子3に実装するためのIC用バンプ9と、振動子3を実装枠体7に実装するための振動子用バンプ11と、IC5を封止するためのアンダーフィル12とを有している。
振動子3は、交流電圧が印加されるとその内部で固有振動を生じる。IC5は、発振回路(振動子を除く)を含んで構成されており、振動子3に電圧を印加して、振動子3内の固有振動を利用して発振信号を生成する。実装枠体7は、例えば、回路基板61(図3(b)参照)に接続され、振動子3のパッケージを介して、回路基板61とIC5との間において電気信号を仲介する。これらの具体的な構成は、例えば、以下のとおりである。
振動子3は、例えば、水晶振動素子13(以下、「水晶」は省略)と、振動素子13を収容する素子搭載部材15と、素子搭載部材15を密閉する蓋部材17とを有している。なお、素子搭載部材15及び蓋部材17によって、振動子3のパッケージである容器体19(符号は図2)が構成されている。
振動素子13は、例えば、水晶片21(圧電片)と、水晶片21に電圧を印加するための1対の励振電極23と、振動素子13を素子搭載部材15に実装するための1対の引出電極25とを有している。
水晶片21は、例えば、概ね長方形の板状に形成されている。水晶片21は、例えば、ATカット水晶片からなる。1対の励振電極23は、例えば、水晶片21の両主面の中央側に層状に設けられている。1対の引出電極25は、例えば、1対の励振電極23から引き出されて水晶片21の長手方向の一端側部分に設けられている。1対の励振電極23及び1対の引出電極25は、例えば、振動素子13の両主面のいずれが実装側とされてもよいように、水晶片21の長手方向に延びる不図示の中心線に関して180°回転対称の形状に形成されている。
素子搭載部材15は、例えば、絶縁性の基体27と、基体27に設けられた各種の導体(例えば金属)とを有している。各種の導体は、例えば、振動素子13を素子搭載部材15に搭載するための1対の素子搭載パッド29、振動子3を実装枠体7に実装するための複数(本実施形態では4つ)の振動子端子31、IC5を振動子3に実装するための複数(本実施形態では6つ)のIC用パッド33(図2)、及びこれらの端子及びパッドを接続する不図示の接続導体である。
基体27は、例えば、セラミックによって一体的に形成されており、その形状は、振動素子13を収容する凹部27rを有した箱状である。基体27は、例えば、平板状の基板部27aと、基板部27aに重ねられた枠部27bとを有しており、これにより、凹部27rが構成されている。
1対の素子搭載パッド29は、例えば、凹部27rの底面(基板部27aの枠部27b側の主面)に層状に設けられている。複数の振動子端子31は、例えば、基板部27aの枠部27bとは反対側の主面の4隅に層状に設けられている。複数のIC用パッド33は、例えば、基板部27aの枠部27bとは反対側の主面において、複数の振動子端子31に囲まれた領域内に2列で配列されている。不図示の接続導体は、例えば、基板部27aの主面に形成された層状導体、及び基板部27aを貫通するビア導体によって構成されている。
これらの端子又はパッドの平面形状及び面積は適宜に設定されてよい。ただし、振動子端子31は、振動子3を小型化しつつも接合面積を大きくする観点から、素子搭載部材15の下面外縁まで広がることによって、面積が大きくされていることが好ましい。すなわち、振動子端子31は、平面視において、その外縁の一部が素子搭載部材15の下面外縁(例えば角部を構成する2辺)と一致していることが好ましい。
振動素子13は、1対の引出電極25と1対の素子搭載パッド29とが1対の素子用バンプ35(図2)によって接合されることによって、素子搭載部材15に片持ち梁のように固定されるとともに、素子搭載部材15に電気的に接続される。なお、素子用バンプ35は、例えば、熱硬化性樹脂に導電性フィラーを混ぜた導電性接着剤からなる。
蓋部材17は、例えば、金属からなる。蓋部材17は、素子搭載部材15の枠部27bと接合され、これにより、凹部27rは密閉される。凹部27r内は、例えば、真空とされ、又は、適宜なガス(例えば窒素)が封入される。
蓋部材17及び素子搭載部材15の接合は適宜な方法によりなされてよい。例えば、枠部27bの蓋部材17側の面には、金属からなる枠状の第1接合用パターン37が形成される。一方、蓋部材17の枠部27b側の面には、金属からなる枠状の第2接合用パターン39が形成される。そして、両者がシーム溶接によって接合されることにより、蓋部材17及び素子搭載部材15は互いに接合される。
IC5は、例えば、概略薄型直方体状に形成されており、一方の主面に複数(本実施形態では6つ)のIC端子41を有している。IC端子41と、素子搭載部材15に設けられたIC用パッド33とがIC用バンプ9によって接合されることにより、IC5は、素子搭載部材15に固定されるとともに、素子搭載部材15に電気的に接続される。
IC端子41の数及び役割は、発振器1に要求される機能等に応じて適宜に設定されてよい。例えば、6つのIC端子41のうち、1つは基準電位をIC5に供給するためのものであり、1つは電源電圧(基準電位とは異なる電位)をIC5に供給するためのものであり、2つはIC5から振動素子13に電圧を印加するためのものであり、1つは発振信号の周波数を調整するための制御信号をIC5に入力するためのものであり、1つは発振信号をIC5から出力するためのものである。
既に述べたように、IC5は、発振回路を含んで構成されている。発振回路は、例えば、帰還型のものである。また、IC5は、温度センサ、及び、温度センサの検出した温度に基づいて発振信号の温度変化を補償する温度補償回路を含んでいてもよい。IC5は、パッケージングされたものであってもよいし、ベアチップであってもよい。
実装枠体7は、例えば、絶縁基板43と、絶縁基板43に設けられた各種の導体(例えば金属)と、この導体の短絡防止等を目的とした上面ソルダーレジスト49及び下面ソルダーレジスト51とを有している。各種の導体は、例えば、振動子3を実装枠体7に実装するための複数(本実施形態では4つ)の振動子用パッド45、実装枠体7(発振器1)を回路基板61に実装するための複数(本実施形態では4つ)の外部端子47、及び複数の振動子用パッド45と複数の外部端子47とを接続する接続導体48(図2)である。
絶縁基板43は、例えば、ガラスエポキシ材よりなる。絶縁基板43(実装枠体7)には、当該絶縁基板43を上面から下面へ貫通するIC用開口43hが形成されている。絶縁基板43の外縁及びIC用開口43hの平面形状は適宜に設定されてよい。例えば、これらの平面形状は概略矩形である。平面視において、絶縁基板43の外縁がなす領域は、例えば、振動子3よりも広く、振動子3は絶縁基板43の外縁がなす領域に収まっている。ただし、絶縁基板43の外縁は、平面視において振動子3の外縁と概ね一致していてもよい。
複数の振動子用パッド45は、例えば、絶縁基板43の上面の4隅側に層状に設けられており、IC用開口43hを囲んでいる。別の観点では、複数の振動子用パッド45は、絶縁基板43の内縁と外縁との間に位置している。振動子用パッド45の外縁は、例えば、絶縁基板43の内縁及び外縁から離れている。振動子用パッド45の外縁の形状は、適宜に設定されてよく、例えば、矩形(図示の例)又は円形である。また、当該形状は、IC用開口43hの縁部に概ね沿って延びる外縁(切り欠き)を有する形状であってもよい。
複数の外部端子47は、例えば、絶縁基板43の下面の4隅に層状に設けられており(図3(b)に示す実装枠体7の底面図を参照)、IC用開口43hを囲んでいる。別の観点では、複数の外部端子47は、絶縁基板43の内縁と外縁との間に位置している。複数の外部端子47の外縁は、例えば、絶縁基板43の内縁及び/又は外縁に一致する部分を有していてもよいし、一致する部分を有していなくてもよい。なお、外部端子47の面積を確保する観点からは、外部端子47は、絶縁基板43の内縁から外縁まで広がっていることが好ましい。外部端子47の外縁の形状は、適宜に設定されてよく、例えば、矩形(図示の例)若しくは円形である。また、当該形状は、IC用開口43hの縁部に概ね沿って延びる外縁(切り欠き)を有する形状であってもよい。
接続導体48は、例えば、振動子用パッド45の直下かつ外部端子47の直上において絶縁基板43を上面から下面へ貫通する孔部に充填された貫通導体によって構成されている。なお、接続導体48の、振動子用パッド45及び外部端子47に対する平面視における位置は適宜に設定されてよいが、例えば、振動子用パッド45及び外部端子47の概ね中央に位置している。
ソルダーレジスト(49、51)は、一般には、顔料等を含んだ熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)からなる。ただし、本願においては、ソルダーレジストの用語は、広く絶縁性樹脂からなる皮膜を指すものとし、例えば、顔料を含んでいなくてもよいものとする。上面ソルダーレジスト49は、例えば、複数の振動子用パッド45を露出させつつ、絶縁基板43の上面を覆っている。下面ソルダーレジスト51は、例えば、複数の外部端子47を露出させつつ、絶縁基板43の下面を覆っている。
図示の例では、絶縁基板43の側面及びIC用開口43hの内周面にはソルダーレジストは設けられていない。ただし、これらの面にもソルダーレジストが設けられてもよい。IC用開口43hの実質的な容積を大きくする観点からは、図示の例のように、IC用開口43hの内周面には、ソルダーレジストが設けられないことが好ましい。
振動子3は、複数の振動子端子31と振動子用パッド45とが振動子用バンプ11によって接合されることにより、実装枠体7に対して固定されるとともに、電気的に接続される。振動子用パッド45は、IC用開口43hを囲むように配置されているから、振動子3は、IC用開口43hを上面側から覆うように実装枠体7に実装される。なお、平面視において、振動子3の面積は、例えば、IC用開口43hの面積よりも大きく、IC用開口43hはその全体が振動子3に覆われる。
また、振動子3に実装されたIC5は、少なくとも一部がIC用開口43hに収容される。なお、図2では、IC5の天面(D3軸方向負側の面)は、絶縁基板43の下面よりも内部側(D3軸方向正側)に位置しているが、当該天面は、絶縁基板43の下面と概略面一とされてもよい。
IC用バンプ9及び振動子用バンプ11は、例えば、半田によって構成されている。半田は、鉛フリー半田であってもよい。
IC用バンプ9において、IC用パッド33及びIC端子41に対する接着面積は適宜に設定されてよいが、例えば、IC用バンプ9は、IC用パッド33及びIC端子41の概ね全体に密着している。振動子3の基体27とIC5の本体との間には、IC用パッド33、IC用バンプ9及びIC端子41の厚みに相当する隙間が構成されている。
振動子用バンプ11において、振動子用パッド45及び振動子端子31に対する接着面積は適宜に設定されてよいが、例えば、振動子用バンプ11は、振動子用パッド45及び振動子端子31の概ね全体に密着している。振動子3の基体27と実装枠体7の絶縁基板43との間には、振動子端子31、振動子用バンプ11及び振動子用パッド45の厚みに相当する隙間が構成されている。
アンダーフィル12は、例えば、熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)からなる。アンダーフィル12は、樹脂よりも熱膨張係数が低いフィラー(例えばSiO2からなる)を含んでいてもよい。
アンダーフィル12は、振動子3とIC5との間に介在してこれらに密着している。なお、アンダーフィル12は、振動子3とIC5との間に空間を生じることなく充填されていることが好ましい。なお、アンダーフィル12は、IC5の側面を適宜な高さまで覆うように設けられてもよいし、IC5を側面だけでなく天面も覆うように設けられてもよい。
また、アンダーフィル12は、IC5の周囲に広がった部分がIC用開口43hの内周面に到達しており、さらには、振動子3と実装枠体7との間に介在してこれらに密着している。アンダーフィル12は、例えば、IC用開口43hの全周に亘って振動子3と実装枠体7とに密着している。従って、IC用開口43hは、振動子3と実装枠体7との隙間を介しては外部へ通じていない。アンダーフィル12は、振動子3の外縁まで到達していなくてもよいし、振動子3の外縁まで到達していてもよいし(図示の例)、さらには、実装枠体7の外縁まで到達していてもよい。なお、アンダーフィル12によって振動子3と実装枠体7との接合を補強する観点からは、アンダーフィル12は、振動子3の外縁まで、振動子3及び実装枠体7に密着していることが好ましい。
素子搭載部材15においては、不図示の接続導体によって、6つのIC用パッド33のうちの2つと、1対の素子搭載パッド29とが接続されている。これにより、IC用パッド33に実装されたIC5と、素子搭載パッド29に実装された振動素子13とが電気的に接続されている。ひいては、IC5により振動素子13に電圧を印加して発振信号を生成することが可能となっている。
また、素子搭載部材15においては、不図示の接続導体によって、6つのIC用パッド33のうち残りの4つと、4つの振動子端子31とが接続されている。これにより、IC用パッド33に実装されたIC5と、振動子端子31が接合された振動子用パッド45を有する実装枠体7とが電気的に接続されている。ひいては、振動子用パッド45と接続されている4つの外部端子47に対する電気信号の入出力によって、IC5に対して電気信号を入出力することが可能となっている。
なお、上述した各種の端子及びパッドは、2種以上の導体層が積層されて構成されていてもよい。例えば、端子及びパッドは、Cu等の導電性が比較的高い材料からなる導体層と、その表面を覆うAu等の貴金属からなる導体層とを有していてもよい。
(振動子用バンプ及びその周辺部分の詳細)
図3(a)は、図1の領域IIIaを拡大して示す平面図である。図4は、図2の領域IVの拡大図である。
上面ソルダーレジスト49は、例えば、振動子用パッド45をその全周に亘って途切れなく囲んでいる。また、上面ソルダーレジスト49は、例えば、振動子用パッド45に重なっておらず、さらには、振動子用パッド45の全周に亘って振動子用パッド45の外縁から離れている。すなわち、上面ソルダーレジスト49は、振動子用パッド45を露出させるパッド用開口49aを有しており、パッド用開口49aの内周面は振動子用パッド45の外縁から離れている。なお、上面ソルダーレジスト49は、例えば、パッド用開口49aが形成された領域を除いては、絶縁基板43の上面全体を覆っている。
振動子用パッド45の外縁とパッド用開口49aの内周面とが離れていることから、絶縁基板43の上面のうち一部(環状の露出領域43a)は、振動子用パッド45と上面ソルダーレジスト49との間において、これらから露出している。露出領域43aの外縁の形状及び幅は適宜に設定されてよい。例えば、露出領域43aの外縁は、振動子用パッド45の外縁と概ね相似形であり、ひいては、露出領域43aの幅は、全周に亘って概ね一定である。ただし、露出領域43aの外縁の形状は、振動子用パッド45の外縁の形状と異なっていてもよい。露出領域43aの幅は、上面ソルダーレジスト49の厚みよりも小さくてもよいし、大きくてもよい。露出領域43aの幅は、例えば、振動子用パッド45の最大径の5%以上25%以下、又は30μm以上100μm以下である。
上面ソルダーレジスト49の厚みは、例えば、振動子用パッド45の厚みよりも厚くされている。例えば、上面ソルダーレジスト49の厚みは、振動子用パッド45の厚みの2倍以上20倍以下である。又は、振動子用パッド45の厚さが10μm以上40μm以下であるのに対して、上面ソルダーレジスト49の厚さは、これよりも5μm以上厚く、15μm以上100μm以下である。
振動子用バンプ11は、例えば、上面ソルダーレジスト49のパッド用開口49aに充填されている。すなわち、振動子用バンプ11は、振動子用パッド45の上面及び側面の全体、露出領域43aの全体並びにパッド用開口49aの内周面の全体に密着している。また、別の観点では、振動子用バンプ11は、振動子用パッド45を振動子用バンプ11に埋もれさせつつ露出領域43aに密着している。
なお、振動子用バンプ11が全体(全面)に密着しているといっても、製造誤差等に起因して、意図せずに密着していない部分があってもよい。例えば、露出領域43aとパッド用開口49aの内周面とがなす角部に対して、その先端まで完全に(微視的に)振動子用バンプ11を充填することは現実的に困難である。従って、この角部の先端に、不可避な微小な空洞がある場合も、振動子用バンプ11が露出領域43aの全面及びパッド用開口49aの内周面の全面に密着している状態に含まれる。露出領域43aと振動子用パッド45の側面とがなす角部についても同様である。また、角部に限らず、密着すべき面のごく一部に意図しない空洞(気泡)が生じてしまっている場合も、全面に密着している状態に含まれる。
また、振動子用パッド45が振動子用バンプ11に埋もれている状態は、振動子用パッド45の上面と側面との角部が振動子用バンプ11の表面から突出していない状態である。換言すれば、少なくとも振動子用パッド45の外縁付近において、振動子用バンプ11の、露出領域43aに対して密着している面からの厚みは、振動子用パッド45の厚みよりも厚い。また、埋もれているという場合、振動子用パッド45の側面と振動子用バンプ11とは必ずしも密着していなくてもよい。振動子用パッド45は、比較的薄くてもよく、この場合、振動子用パッド45の側面と振動子用バンプ11との密着は明らかでなくてよい。
振動子用バンプ11の厚み(露出領域43aからの厚み)は、例えば、上面ソルダーレジスト49の厚みよりも厚く、振動子用バンプ11は、上面ソルダーレジスト49の上面から突出して振動子端子31に密着している。振動子用バンプ11の厚みは、例えば、上面ソルダーレジスト49の厚みの1.1倍以上3倍以下である。又は、振動子用バンプ11の厚みは、上面ソルダーレジスト49の厚みが15μm以上100μm以下であるのに対して、5μm以上厚く、20μm以上200μm以下である。
(外部端子及びその周辺部分の詳細)
図3(b)は、実装枠体7の底面図である。
既述のように、外部端子47は、例えば、絶縁基板43の4隅に配置されており、下面ソルダーレジスト51は、例えば、外部端子47の配置位置を除いて、絶縁基板43の下面全面を覆っている。別の観点では、下面ソルダーレジスト51は、平面視において、複数の外部端子47を互いに隔てるように形成されている。また、下面ソルダーレジスト51は、平面視において、複数の外部端子47とIC用開口43hとを隔てている。下面ソルダーレジスト51は、例えば、外部端子47に重なっていない。また、下面ソルダーレジスト51は、外部端子47の側面(外縁)に接している。なお、下面ソルダーレジスト51は、上面ソルダーレジスト49のように、外部端子47の外縁から離れていてもよい。この場合の幅は、例えば、上面ソルダーレジスト49と同様でよい。
図4に示すように、外部端子47の厚みは、例えば、下面ソルダーレジスト51の厚みよりも厚くされている。例えば、外部端子47の厚みは、下面ソルダーレジスト51の厚みの2倍以上20倍以下である。又は、下面ソルダーレジスト51の厚さが10μm以上50μm以下であるのに対して、外部端子47の厚さは、これよりも10μm以上厚く、20μm以上600μm以下である。
ただし、外部端子47の厚みは、例えば、絶縁基板43の厚みよりも薄くされている。例えば、外部端子47の厚みは、絶縁基板43の厚みの1/50以上1/2以下である。又は、絶縁基板43の厚さが0.8mm以上1.2mm以下であるのに対して、外部端子47の厚さは、これよりも200μm以上薄く、20μm以上600μm以下である。
このように外部端子47の厚みは、例えば、下面ソルダーレジスト51の厚みよりも厚く、絶縁基板43の厚みよりも薄い。具体的には、例えば、外部端子47の厚みは、下面ソルダーレジスト51の厚みの2倍以上かつ絶縁基板43の厚みの1/2以下である。
外部端子47は、下面ソルダーレジスト51よりも厚いことから、その側面(側面のうちD3軸負側の領域)は、外部端子47の全周に亘って露出する。従って、発振器1が実装される回路基板61の発振器用パッド63と、外部端子47とを接合する発振器用バンプ65は、外部端子47の全周に亘って外部端子47の側面に密着可能である。なお、発振器用バンプ65は、外部端子47の下面(D3軸負側の面)にのみ密着していてもよい。
外部端子47の面積は、例えば、振動子用パッド45の面積よりも大きい。ただし、両者の面積は互いに同一であってもよい。また、外部端子47は、振動子用パッド45よりも厚い。例えば、外部端子47の厚さは、振動子用パッド45の厚さの2倍以上20倍以下である。又は、振動子用パッド45の厚さが10μm以上40μm以下であるのに対して、外部端子47の厚さは、これよりも10μm以上厚く、20μm以上600μm以下である。
上面ソルダーレジスト49は、例えば、下面ソルダーレジスト51よりも厚い。例えば、上面ソルダーレジスト49の厚みは、下面ソルダーレジスト51の厚みの2倍以上10倍以下である。又は、下面ソルダーレジスト51の厚さが10μm以上50μm以下であるのに対して、上面ソルダーレジスト49の厚さは、これよりも5μm以上厚く、15μm以上100μm以下である。
(発振器の製造方法)
図5(a)は、水晶発振器1の製造方法の手順を示すフローチャートである。
ステップST1では、振動子3が作製される。この作製方法は、公知の方法と同様とされてよい。例えば、水晶ウェハに対してエッチング及び導電材料の成膜等を行って振動素子13を作製する。セラミックグリーンシートに対して打ち抜き加工及び導電ペーストの塗布等を行ってこれを同時焼成し、素子搭載部材15を作製する。そして、ディスペンサによって素子用バンプ35を配置した素子搭載部材15に振動素子13を実装して、蓋部材17を素子搭載部材15に接合する。
ステップST2では、IC7を振動子3に実装する。すなわち、IC用バンプ9によってIC7のIC端子41と振動子3のIC用パッド33とを接合する。この実装方法も公知の方法と同様とされてよい。例えば、ディスペンサによってIC用バンプ9をIC用パッド33に供給し、その上にIC7を配置して、IC7及び振動子3をリフロー炉に通す。
ステップST3では、ステップST1及びST2と並行して、実装枠体7が多数個取りされる母基板71(図6参照)が作製される。この作製方法は、各種の絶縁体及び導体の具体的な形状及び寸法を除いては公知の方法と同様とされてよい。
ステップST4では、引き続きステップST1及びST2と並行して、振動子用バンプ11が振動子用パッド45上に配置される。配置方法は公知の方法と同様とされてよい。例えば、スクリーン印刷によって半田ペーストを振動子用パッド45上に配置する。その後、一旦、半田ペーストを加熱して溶融させ、冷却して固化させることにより、振動子用バンプ11の形状を整えてもよい。また、ディスペンサ等によって溶融した半田が振動子用バンプ11に供給されてもよい。
ステップST5では、IC5が実装された振動子3を、振動子用バンプ11が配置された母基板71(実装枠体7)に実装する。実装方法は公知の方法と同様でよい。例えば、まず、IC5がIC用開口43hに収容されるように、複数の振動子3を母基板71中の複数の実装枠体7上に配置する。その後、複数の振動子3が配置された母基板71をリフロー炉に通して、振動子用バンプ11を溶融した後に固化させる。
ステップST6では、IC用開口43hを介して未硬化状態のアンダーフィル12をIC5と振動子3との間等に充填する。充填方法は公知の方法と同様でよい。例えば、ディスペンサによって未硬化状態のアンダーフィル12をIC用開口43hへ供給する。このとき、十分な量のアンダーフィル12を供給することによって、アンダーフィル12は振動子3と母基板71(実装枠体7)との間にも充填される。
ステップST7では、複数の振動子3(及びIC5)が実装された母基板71を切断して個片化する。これにより、複数の発振器1が作製される。切断方法としては、レーザーを用いるもの、又はダイシングブレードを用いるものなど、適宜な方法が採用されてよい。
図5(b)は、ステップST3の母基板作製工程の手順の一部を示すフローチャートである。
ステップST11では、絶縁基板43が多数個取りされる絶縁母基板73(図6参照)を準備する。例えば、基材としてのガラス布に絶縁材としてのエポキシ樹脂を含浸させ、その後、熱処理によって硬化させる。
ステップST12では、絶縁基板43が多数個取りされる絶縁母基板73に外部端子47を形成する。例えば、マスクを介した導体層の蒸着、又は全面に形成した導体層のマスクを介したエッチングによって外部端子47となる導体層75(図6参照)を形成する。ステップST11において導体層(例えば銅箔)付きの母基板を形成し、その導体層をエッチングして導体層75を形成してもよい。
ステップST13では、下面ソルダーレジスト51を形成する。例えば、下面ソルダーレジスト51となる感光性樹脂を絶縁母基板73に全面塗布し、その感光性樹脂を露光及び現像によってパターニングすることによって形成される。また、このようなフォトリソグラフィーに代えて、例えば、下面ソルダーレジスト51となる熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂をスクリーン印刷によってパターン印刷することによって下面ソルダーレジスト51が形成されてもよい。
なお、図5(b)では図示を省略したが、ステップST11とST12との間などの適宜な時期に、絶縁母基板73に対して、打ち抜き加工、刃具による切削、又はマスクを介したエッチングが行われ、IC用開口43h及び接続導体48用の孔部が形成される。接続導体48用の孔部には、例えば、電解めっきによって接続導体48となる金属が充填される。また、ステップST11の後の適宜な時期に、ステップST12及びST13と同様に、振動子用パッド45及び上面ソルダーレジスト49が形成される。
本実施形態では、外部端子47及び下面ソルダーレジスト51は互いに重なっていないから、ステップST12及びST13は順序が逆であってもよい。振動子用パッド45及び上面ソルダーレジスト49の形成順についても同様である。
振動子用パッド45、外部端子47、上面ソルダーレジスト49及び下面ソルダーレジスト51の厚みの調整は、公知の調整方法と同様になされてよい。例えば、振動子用パッド45及び外部端子47の厚みは、蒸着を行う時間によって調整されてよい。また、例えば、上面ソルダーレジスト49及び下面ソルダーレジスト51の厚みは、蒸着を行う時間又はスクリーンメッシュの寸法(厚み及び/若しくは開口率)によって調整されてよい。
(振動子用バンプの形成)
振動子用バンプ11は、適宜な時期に露出領域43a及びパッド用開口49aの内周面に密着してよい。換言すれば、適宜な時期にパッド用開口49aに充填されたような形状とされてよい。
例えば、上記の密着は、ステップST4における振動子用バンプ11の配置時になされてよい。より具体的には、例えば、スクリーン印刷によって半田ペーストが配置される場合、半田ペーストが一旦加熱処理されて振動子用バンプ11の形状が整えられるときに、振動子用バンプ11は、重力及び/又は濡れ等の作用によって、パッド用開口49aに充填されたような形状とされてよい。
スクリーン印刷の際には、振動子用バンプ11が露出領域43a及びパッド用開口49aまで広がりやすくなるように、比較的大きい体積で半田ペーストが配置される。例えば、半田バンプは、平面上で溶融されれば、表面張力によって概ね半球状となるから、この半球を想定したときに、パッド用開口49aの内部形状の全部が半球に収まるように振動子用バンプ11(半田ペースト)の体積が設定される。半田ペーストの体積の確保は、例えば、印刷の際に半田ペーストがパッド用開口49aからはみ出さないように、半田ペーストの厚みを大きくすることによってなされる。半田ペーストの面積は、振動子用パッド45の面積以下であってもよいし、当該面積を超えていてもよい。
また、ステップST4において、スクリーン印刷ではなく、ディスペンサなどによって溶融状態の半田を振動子用パッド45上に供給する場合においては、その供給時に振動子用バンプ11を露出領域43a及びパッド用開口49aの内周面に密着させてよい。例えば、溶融状態の半田を振動子用パッド45上に供給していくと、半田は、振動子用パッド45上から露出領域43a上に広がり、さらにはパッド用開口49aの内周面の下端側に到達する。さらに半田を供給して、半田がパッド用開口49aに満たされ、かつ半田の頂面がパッド用開口49aの上面よりも上方に位置しているときに供給を停止する。
また、振動子用バンプ11の露出領域43a及びパッド用開口49aの内周面に対する密着は、ステップST4に代えて又は加えて、ステップST5(振動子3の実装枠体7への実装)においてなされてもよい。例えば、ステップST4で半田ペーストが振動子用パッド45上に配置され、加熱処理によって形状が整えられていない場合、ステップST5で半田ペーストが初めて溶融する。これにより、上述したステップST4での密着と同様に、振動子用バンプ11が露出領域43a及びパッド用開口49aの内周面に対して密着してよい。
また、ステップST5では、ステップST4とは異なり、振動子用バンプ11に対して振動子3及びIC5の重みが振動子用バンプ11に加えられる。従って、溶融した振動子用バンプ11は、自重、濡れ及び表面張力によって形成される形状よりも潰れることになる。この潰れによって、振動子用バンプ11が露出領域43a及びパッド用開口49aの内周面に密着してもよい。
この場合、振動子用バンプ11の体積は、ステップST4で密着が完了する場合に比較して、小さくてもよい。例えば、振動子用バンプ11の体積は、パッド用開口49aの容積と同等以上であればよい。また、ステップST5の開始直前における振動子用バンプ11は、半田ペーストの状態であってもよいし、溶融半田が固化した状態であってもよいし、露出領域43a及びパッド用開口49aの内周面に全く密着していなくてもよいし、一部に密着していてもよい。
(個片化工程)
図6は、ステップST7の個片化工程における母基板71を示す側面図(一部に断面を含む)である。なお、この図においては、便宜上、上面ソルダーレジスト49及びアンダーフィル12等の一部の部材の図示を省略している。
実装枠体7が多数個取りされる母基板71は、その下面がダイシングテープ77に密着された状態で切断される。ダイシングテープ77は、公知の構成と同様でよく、例えば、樹脂からなる基材の表面に粘着剤が塗布された構成である。切断方法は、既述のように、適宜な方法とされてよいが、図6では、ダイシングブレード81を用いる態様を例示している。
母基板71(実装枠体7)においては、導体層75(外部端子47)が下面ソルダーレジスト51よりも厚いから、導体層75の下面(D3軸負側の面)がダイシングテープ77に密着する。この密着した状態は、母基板71の切断が行われている間、維持される。従って、切断くずが導体層75の下面に付着するおそれは極めて低い。
母基板71は、複数の実装枠体7となる領域と、その間の捨て代79とを有している。別の観点では、絶縁母基板73は、複数の絶縁基板43となる領域と、その間の捨て代とを有している。なお、特に図示しないが、捨て代79は、母基板71の外周部にも存在している。母基板71は、捨て代79が除去されることによって切断される。
導体層75(外部端子47)は、例えば、複数の実装枠体7となる領域と捨て代79とに亘って形成されている。従って、母基板71の切断においては、導体層75も切断される。これにより、外部端子47は、絶縁基板43の外縁と一致する外縁を有する形状とされる。なお、導体層75は、図示の例のように、捨て代79を挟んで隣り合う実装枠体7の外部端子47に亘って広がっていてもよいし、捨て代79に広がりつつも、実装枠体7毎に分離していてもよい。
なお、特に図示しないが、上面ソルダーレジスト49及び下面ソルダーレジスト51も、実装枠体7となる領域だけでなく、捨て代79に広がっていてよい。また、この場合において、これらソルダーレジストは、捨て代79を挟んで隣り合う実装枠体7に亘って広がっていてもよいし、捨て代79に広がりつつも、実装枠体7毎に分離していてもよい。
以上のとおり、本実施形態に係る発振器1の製造方法は、母基板作製工程(ST3)、振動子実装工程(ST5)及び個片化工程(ST7)を有している。母基板作製工程は、実装枠体7が多数個取りされる母基板71を作製する工程である。実装枠体7は、絶縁基板43と、絶縁基板43の下面に層状に設けられた外部端子47と、外部端子47を露出させつつ絶縁基板43の下面を覆う下面ソルダーレジスト51とを有している。振動子実装工程は、複数の振動子3を母基板71における複数の実装枠体7の上面に実装する工程である。個片化工程は、複数の振動子3が実装された母基板71の下面をダイシングテープ77に密着させた状態で母基板71を切断して個片化する工程である。母基板作製工程では、外部端子47(導体層75)が下面ソルダーレジスト51よりも厚くなるように外部端子47及び下面ソルダーレジスト51を形成する。個片化工程では、外部端子47の下面をダイシングテープ77に密着させた状態で母基板71を切断する。
従って、既に述べたように、切断くずが外部端子47の下面に付着するおそれは極めて低い。これにより、切断くずによって導通不良又は短絡が生じるおそれが低減され、ひいては、発振器1を実装した電子機器の信頼性が向上する。また、発振器1の製造者又は発振器1の購入者においては、外部端子47から切断くずを除去するための処理を行う必要がない。その一方で、外部端子47を厚く形成することは、導体層を蒸着させる時間を長くすることなどによって可能であり、新たな工程は必ずしも必要なく、製造方法の複雑化を避けることが可能である。また、例えば、本実施形態に係る製造方法によって作製された発振器1は、後述する種々の効果を奏することが可能である。
また、本実施形態では、外部端子47の厚さは、下面ソルダーレジスト51の厚みより厚くなっており、例えば、下面ソルダーレジスト51の厚さの2倍以上であり、かつ絶縁基板43の厚さの0.5倍以下である。
従って、例えば、まず、外部端子47を確実にダイシングテープ77に密着させることができる。具体的には、例えば、外部端子47及び下面ソルダーレジスト51の厚さの差が小さいと、製造時のばらつきによって外部端子47がダイシングテープ77に密着しないおそれがある。しかし、外部端子47が下面ソルダーレジスト51の2倍以上であるような場合においては、そのようなおそれは極めて低い。一方、外部端子47が厚いと、例えば、外部端子47となる材料を蒸着させる時間が長期化するが、絶縁基板43の厚さの半分以下であれば、外部端子47から切断くずを除去する工程を加えることに比較すれば、十分に許容範囲である。
また、本実施形態の母基板作製工程では、母基板71の複数の実装枠体7となる領域とその間の捨て代79とに亘って外部端子47となる導体層75を形成し、個片化工程では、導体層75も切断する。
従って、例えば、外部端子47は、絶縁基板43の縁部まで広がった形状で形成されることになり、面積が広く確保される。その一方で、外部端子47は、ダイシングテープ77に下方から密着されていることから、外部端子47の切断の際に絶縁基板43から下方へ剥離するおそれが低減される。
また、別の観点では、本実施形態に係る発振器1は、実装枠体7、振動子3及びIC5を有している。実装枠体7は、平面視でIC用開口43hを有している絶縁基板43と、絶縁基板43の下面に層状に設けられている外部端子47と、外部端子47を露出させつつ絶縁基板43の下面を覆っている下面ソルダーレジスト51と、を有している。振動子3は、IC用開口43hを覆うように実装枠体7の上面に実装されている。IC5は、振動子3の下面に実装され、IC用開口43h内に位置している。外部端子47の厚さは、下面ソルダーレジスト51の厚さの2倍以上である。
このように外部端子47が下面ソルダーレジスト51よりも厚い場合においては、例えば、発振器1を実装するための発振器用バンプ65は、外部端子47の側面に密着して、フィレット状部分(裾野状部分)を形成できる。その結果、発振器用バンプ65が外部端子47の下面(D3軸負側の面)のみに密着する場合に比較して接合強度が向上する。また、例えば、実装枠体7はIC用開口43hを有する形状であることから、発振器1を小型化すると、外部端子47の面積を確保することが困難になるが、上記のような接合強度の向上によって、外部端子47の面積縮小を補償することができる。また、例えば、外部端子47が厚くなった分だけ、振動子3を発振器1が実装される回路基板61から離し、振動子3にとっての浮遊容量を低減し、発振器1の周波数特性を安定化させることができる。また、実施形態に係る発振器1は、ダイシングテープ77を外部端子47に密着させる製造方法によって製造可能であり、この製造方法は、上述した種々の効果を奏する。
また、本実施形態では、実装枠体7は、絶縁基板43の上面に層状に形成されており、振動子3が実装される振動子用パッド45と、振動子用パッド45を露出させつつ絶縁基板43の上面を覆っている上面ソルダーレジスト49と、を有している。上面ソルダーレジスト49は、振動子用パッド45よりも厚い。
従って、絶縁基板43の下面側においては、導体層(外部端子47)をソルダーレジスト(51)よりも厚くして、上述した効果を得る一方で、絶縁基板43の上面側においては、下面側とは逆に、ソルダーレジスト(49)を導体層(振動子用パッド45)よりも厚くして、種々の効果を得ることができる。例えば、上面側においては、振動子用バンプ11の厚みを確保しやすい。具体的には、例えば、振動子用バンプ11が振動子3の重みで潰れたとしても、振動子3の下面(基体27(又は振動子端子31))が上面ソルダーレジスト49に当接し、パッド用開口49a内に振動子用バンプ11の厚み乃至は体積が確保される。また、例えば、振動子用バンプ11は、パッド用開口49aの内周面によって広がりが規制され、ひいては、広がることによって薄くなることが抑制される。また、例えば、実装枠体7はIC用開口43hを有する形状であることから、発振器1を小型化すると、振動子用パッド45の面積を確保することが困難になり、ひいては、振動子用バンプ11の体積乃至は厚みが小さくなるが、上記のような振動子用バンプ11の体積乃至は厚みの確保によって、振動子用パッド45の面積縮小を補償することができる。また、例えば、振動子用バンプ11の厚みを確保できることによって、振動子3と実装枠体7との距離を確保して、振動子3にとっての浮遊容量を低減し、発振器1の周波数特性を安定化させることができる。また、例えば、平面透視において振動子用パッド45及び外部端子47は互いに重なるように配置されているから、下面側において外部端子47が設けられずに実装枠体7の強度が相対的に低くなっている領域(下面ソルダーレジスト51の領域)において、上面ソルダーレジスト49を厚くして実装枠体7の強度を高くしていることになり、全体として実装枠体7の強度が向上する。
また、本実施形態では、外部端子47は、振動子用パッド45よりも厚く、上面ソルダーレジスト49は、下面ソルダーレジスト51よりも厚い。
従って、例えば、絶縁基板43の下面側に導体(金属)を相対的に多く、絶縁基板43の上面側にソルダーレジストを相対的に多く配置することになる。その結果、例えば、振動子3と導体との距離を確保して振動子3にとっての浮遊容量を低減し、振動子3の周波数特性を安定化させ、その一方で、絶縁基板43の上面側及び下面側の双方において実装枠体7の強度を向上させることができる。
(変形例)
図7は、変形例に係る発振器201を示す、図4に相当する断面図である。
発振器201は、外部端子の構成のみが実施形態と相違する。具体的には、変形例に係る実装枠体207の外部端子247は、第1導体層248A及び第2導体層248Bを有している。なお、実施形態に係る外部端子47も、複数層の導体層から構成されてよいことは、既に述べたとおりである。また、第1導体層248A及び第2導体層248Bそれぞれも、複数の導体層から構成されてよい。
第1導体層248Aの厚さ及び材料は、適宜に設定されてよく、振動子用パッド45の厚さ及び材料と同様であってもよいし、異なっていてもよい。好ましくは、第1導体層248Aの厚さ及び材料は、振動子用パッド45の厚さ及び材料と同様である。第1導体層248Aは、例えば、Cu等の導電性が比較的高い導体のみから構成されてもよいし、Cu等の表面を覆うAu等の貴金属が設けられて構成されてもよい。
第2導体層248Bの厚さ及び材料は、適宜に設定されてよく、振動子用パッド45又は第1導体層248Aの厚さ及び材料と同様であってもよいし、異なっていてもよい。好ましくは、第2導体層248Bの厚さは、第1導体層248Aの厚さよりも厚い(図示の例)。第2導体層248Bは、例えば、Cu等の導電性が比較的高い導体のみから構成されてもよいし、Cu等の表面を覆うAu等の貴金属が設けられて構成されてもよい。
外部端子247全体としての形状及び寸法は、実施形態の外部端子47の形状及び寸法と同様でよい。従って、外部端子247は、実施形態と同様に、下面ソルダーレジスト51よりも厚い。外部端子247の高さに占める第1導体層248A及び第2導体層248Bの割合は、適宜に設定されてよい。例えば、第1導体層248Aの厚さは、下面ソルダーレジスト51の厚さ以下であり、第2導体層248Bが設けられていることによって、外部端子247は、下面ソルダーレジスト51よりも厚くなっている。
変形例に係る発振器201の製造方法は、母基板作製工程(ST3)における、外部端子247(外部端子247となる導体層)の形成方法のみが実施形態に係る発振器1の製造方法と相違する。具体的には、以下のとおりである。
図8は、発振器201に係る母基板作製工程の一部の手順を示すフローチャートである。
変形例に係る発振器201の製造方法においては、まず、ステップST21〜ST23において、初期段階の母基板が作製される。この初期段階の母基板は、実施形態の母基板71において、外部端子47(導体層75)に代えて、第1導体層248Aのみが形成されたものである。
具体的には、例えば、絶縁基板43が多数個取りされる絶縁母基板73が準備され(ステップST21)、絶縁母基板73に第1導体層248Aが形成され(ステップST22)、絶縁母基板73に下面ソルダーレジスト51が形成される(ステップST23)。ステップST21及びST23は、図5のステップST11及びST13と同様である。ステップST22も、導体層(実施形態では外部端子47(導体層75)、変形例では第1導体層248A)の厚さを除いては、ステップST12と同様である。また、図示を省略しているが、第2導体層248Bを除く他の部分(振動子用パッド45、上面ソルダーレジスト49等)も形成される。
その後、外部端子247のうち第1導体層248Aのみが形成された初期段階の母基板は、例えば、初期段階の母基板を作製した製造者から、最終的に発振器1を作製する製造者へ流通される(ステップST24)。流通における搬送手段は問わない。また、ステップST24は、流通に限らず、同一会社において、一の工場(建物)から他の工場(建物)へ母基板を搬送するものであってもよい。
そして、初期段階の母基板を購入した製造者によって、初期段階の母基板に第2導体層248Bが形成される(ステップST25)。これにより、第1導体層248A及び第2導体層248Bからなる外部端子247(切断されて外部端子247となる導体層)が形成され、ひいては、実施形態の母基板71と同様の母基板(便宜上、以下、符号71を用いる)が完成する。ステップST25は、導体の厚さ等を除いては、ステップST12又はST22と同様である。
外部端子247の形成後は、実施形態と同様に、振動子用バンプ11の配置(ステップST4)、振動子3の実装(ステップST5)、アンダーフィル12の充填(ステップST6)及び母基板71の切断(ステップST7)等が行われる。
このような変形例に係る発振器1の製造方法においても、外部端子247が下面ソルダーレジスト51よりも厚く形成され、外部端子247がダイシングテープ77に密着された状態で母基板71を切断することによって、実施形態と同様の効果が奏される。例えば、外部端子247に切断くずが付着するおそれが低減される。
また、この変形例では、母基板作製工程は、外部端子247の一部を構成する第1導体層248Aを形成する第1導体層形成工程(ステップST22)と、(一般には第1導体層形成工程の後に行われる)下面ソルダーレジスト51を形成するソルダーレジスト形成工程(ステップST23)と、第1導体層形成工程及びソルダーレジスト形成工程の後、外部端子247の他の一部を構成する第2導体層248Bを第1導体層248A上に形成する第2導体層形成工程(ステップST25)と、を有している。
従って、例えば、導体層(第1導体層248A)の厚さがソルダーレジスト(下面ソルダーレジスト51)の厚さと同等の一般的な母基板(第2導体層248Bが設けられていない母基板)を利用して、最終的に、外部端子247の厚みが下面ソルダーレジスト51よりも厚い母基板71を実現することができる。その結果、例えば、汎用性のある母基板を利用でき、生産性が向上する。また、通常、母基板を自ら作製せずに母基板を購入している発振器の製造者においても、外部端子が下面ソルダーレジスト51よりも厚い母基板71を特注することなく母基板71を実現することができる。
なお、上記のような効果は、特に、第1導体層248Aの厚みが下面ソルダーレジスト51の厚み以下であり、第1導体層248A及び第2導体層248Bの合計の厚みが下面ソルダーレジスト51の厚みよりも厚いときに顕著となる。
また、この変形例においては、母基板全体を作製する母基板作製工程を圧電デバイスの製造方法の一部として捉えずに、第2導体層248Bを形成する第2導体層形成工程以降を圧電デバイスの製造方法の一部として捉えてもよい。
なお、以上の実施形態及び変形例において、水晶発振器1は圧電デバイスの一例であり、実装枠体7及び207は実装体の一例であり、水晶振動子3は圧電素子及び圧電振動子の一例であり、IC5は電子素子の一例であり、IC用開口43hは開口の一例であり、振動子用パッド45はパッドの一例である。
本発明は、以上の実施形態及び変形例に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
圧電デバイスは、発振器に限定されない。例えば、電子素子は、発振回路を含んでおらず、圧電デバイスは、振動子3と実装枠体7とを有していても、依然として振動子であってもよい。この場合、例えば、振動素子13が電子素子(IC5)を介さずに外部端子47に接続され、圧電デバイスが実装される回路基板61に設けられた発振回路によって振動子3に電圧が印加される。
別の観点では、電子素子は発振回路を含むICに限定されない。例えば、電子素子は、温度センサ(例えばサーミスタ)であってもよい。すなわち、圧電デバイスは、温度センサ付振動子であってもよい。温度センサは、例えば、素子搭載部材15の配線及び実装枠体7の配線を介して外部端子47に接続され、ひいては、圧電デバイスが実装される回路基板61に設けられた、振動子3の特性の温度補償を行うための回路に接続される。
また、圧電デバイスは、回路基板等に実装される電子部品の一部であってよい。例えば、圧電デバイスは、恒温槽内に収容されて恒温槽付デバイスに含まれてよい。また、圧電デバイス(圧電振動子)は、水晶を用いるものに限定されず、例えば、セラミックを用いるものであってもよい。
圧電デバイスが発振器である場合において、その用途乃至は機能は適宜に設定されてよい。例えば、圧電発振器は、クロック用発振器であってもよいし、電圧制御型発振器(例えばVCXO)であってもよいし、温度補償型発振器(例えばTCXO)であってもよいし、恒温槽付発振器(例えばOCXO)の恒温槽内の発振器であってもよい。外部端子、振動子用パッド、振動子端子、IC用パッド及びIC端子の数及びその配置は、圧電発振器に要求される機能に応じて適宜に設定されてよい。
圧電振動子の具体的構成は、適宜に変更されてよい。例えば、圧電振動素子(13)は、2本の振動腕を有する音叉型のものであってもよいし、矩形の圧電片の対角線上に1対の引出電極が形成されるものであってもよい。また、例えば、素子搭載部材(15)は、枠部が金属によって構成されるものであってもよい。
実装枠体(7)は、振動子(3)に比較して十分に広くされ、その上面に振動子と並んで他の素子(例えば発振回路を含む集積回路素子)が実装されてもよい。また、本発明に係る圧電デバイスの製造方法においては、実装体は、開口を有していなくてもよく(枠体でなくてもよく)、ひいては、電子素子(振動子3)の下面に実装されて開口に配置される電子素子(IC5)は設けられなくてもよい。
下面ソルダーレジストは、種々の目的で設けられてよい。例えば、下面ソルダーレジストは、複数の外部端子を隔ててこれらの短絡を抑制することを目的としていてもよいし、絶縁基板の下面に設けられた配線(実施形態では設けられていない)を覆うことを目的としてもよいし、及び/又は絶縁基板の保護若しくは補強を目的としていてもよい。下面ソルダーレジストの平面形状は、その目的等に照らして適宜なものとされてよく、絶縁基板の下面のうちの外部端子の配置領域を除く全面に設けられていなくてもよい。
上面ソルダーレジストは、設けられなくてもよく、また、パッド(振動子用パッド45)の厚さ以下の厚さであってもよい。上面ソルダーレジストは、下面ソルダーレジストと同様に、種々の目的で設けられてよく、その平面形状も適宜に設定されてよい。例えば、上面ソルダーレジストは、パッドを囲んでいなくてもよい(パッド用開口49aを有していなくてもよい。)。また、上面ソルダーレジストは、パッドの外縁に重ねっていたり、当接したりしていてもよい。
ただし、上面ソルダーレジストは、バンプ(振動子用バンプ11)の体積乃至は厚みを確保する機能を発揮する観点からは、パッド(振動子用パッド45)の概ね全体を囲んでいる(パッド用開口49aが形成されている)ことが好ましい。ただし、この場合であっても、上面ソルダーレジストは、必ずしも完全に途切れなくパッドを囲んでいる必要はない。例えば、30μm以下の幅又はパッドの中心回りの角度で6°以下の途切れがあってもよい。
上面ソルダーレジストがパッド(45)よりも厚く、かつパッドを囲んでいる(パッド用開口49aが形成されている)場合において、パッドに配置されるバンプ(振動子用バンプ11)は、パッド用開口の全体に充填されていなくてもよい。例えば、バンプは、パッド用開口の下方側においてのみパッド用開口の内周面に密着したり、パッド用開口の内周面に密着していなかったりしてもよい。また、バンプがパッド用開口の全体に充填されている場合において、バンプは、パッド用開口の外側に溢れて、圧電素子(振動子3)の下面と上面ソルダーレジストの上面との間に挟まれた部分を有していてもよいし、圧電素子の下面が上面ソルダーレジストの上面に当接していてもよい。いずれにせよ、バンプの厚み乃至は体積が確保される等の効果が奏される。
外部端子及びパッド(振動子用パッド45)の厚さの相対関係並びに下面ソルダーレジスト及び上面ソルダーレジストの厚さの相対関係も例示したものに限定されない。例えば、パッドの厚みは、外部端子の厚み以上であってもよいし、上面ソルダーレジストの厚みは下面ソルダーレジストの厚み以下であってもよい。
アンダーフィルは設けられなくてもよい。また、アンダーフィルが設けられる場合において、アンダーフィルは、素子用の開口(IC用開口43h)から、振動子と実装枠体との間にまで広がっていなくてもよい。換言すれば、素子用開口と実装枠体の側面外部とは、振動子と実装枠体との隙間を介して連通されていてもよい。この場合、例えば、素子用開口から外部へ熱を逃がしやすい。
実装体(実装枠体7)のパッド(振動子用パッド45)と外部端子(47)とを接続する接続導体(48)は、実装枠体の孔部に充填された貫通導体に限定されない。例えば、接続導体は、実装枠体の上面においてパッドから延び、素子用開口(43h)の内周面を経由して実装枠体の下面へ至る配線によって構成されていてもよい。また、この場合に、下面ソルダーレジスト及び/又は上面ソルダーレジストは、接続導体を覆ってもよい。
製造方法は適宜に変形されてよい。例えば、電子素子(IC5)は、圧電素子(振動子3)が実装体(実装枠体7)の母基板に実装された後に振動子に実装されてもよく、また、この場合、電子素子は、母基板の切断の前及び後のいずれにおいて振動子に実装されてもよい。また、例えば、圧電素子を母基板(実装体が多数個取りされる母基板とは別の母基板)から切り出して個片化する態様においては、その母基板に含まれる状態の圧電素子に電子素子が実装されてもよい。また、圧電素子を母基板から切り出す場合においては、圧電素子の母基板と、実装体の母基板とをバンプによって貼り合わせて、その後に切断を行ってもよい。
本願発明に係る製造方法は、外部端子に切断くずが付着することに着目してなされている。ただし、その製造方法から導かれた本願発明に係る発振器は、必ずしも本願発明に係る製造方法によって作製されたものに限定されない。別の観点からの種々の効果(例えば、圧電素子にとっての浮遊容量の低減又は外部端子における接合強度の向上)が奏されるからである。