以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
また、図面には、図面相互の関係を明確にする等の目的で、便宜的に直交座標系xyzを付すことがある。x軸、y軸及びz軸は、部材の形状等に基づいて便宜的に定義されており、圧電体(水晶)の電気軸、機械軸及び光軸を意味するものではない。実施形態に係る発振器は、いずれの方向が上方とされてもよいが、便宜的に、z軸方向の正側を上方として、下面等の用語を用いることがある。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る水晶発振器1(以下、「水晶」は省略)の概略構成を示す分解斜視図である。図2は、図1のII−II線における断面図である。
発振器1は、例えば、全体として、概略、薄型の直方体状とされる電子部品であり、その寸法は適宜に設定されてよい。例えば、長辺又は短辺の長さは、1mm〜3mmであり、厚さは0.5mm〜1mmである。
発振器1は、例えば、水晶振動子3(以下、「水晶」は省略)と、振動子3に実装される集積回路素子5と、振動子3が実装される配線基板7と、振動子3を収容するカバー8とを有している。
振動子3は、交流電圧が印加されるとその内部で固有振動を生じる。集積回路素子5は、発振回路を含んで構成されており、振動子3に電圧を印加して、振動子3内の固有振動を利用して発振信号を生成する。配線基板7は、不図示の回路基板等に接続され、振動子3のパッケージを介して、回路基板と集積回路素子5との間において電気信号を仲介する。カバー8は、発振器1の周囲の雰囲気と振動子3との間の断熱に寄与する。これらの具体的な構成は、例えば、以下のとおりである。
振動子3は、例えば、水晶振動素子9(以下、「水晶」は省略)と、振動素子9を収容する素子搭載部材11と、素子搭載部材11を密閉する蓋部材13とを有している。なお、素子搭載部材11及び蓋部材13によって、振動子3のパッケージ14が構成されている。
振動素子9は、例えば、水晶片15と、水晶片15に電圧を印加するための1対の励振電極17と、振動素子9を素子搭載部材11に実装するための1対の引出電極19とを有している。
水晶片15は、例えば、概ね長方形の板状に形成されている。水晶片15は、例えば、ATカット水晶片からなる。1対の励振電極17は、例えば、水晶片15の両主面の中央側に層状に設けられている。1対の引出電極19は、例えば、1対の励振電極17から引き出されて水晶片15の長手方向の一端側部分に設けられている。1対の励振電極17及び1対の引出電極19は、例えば、振動素子9の両主面のいずれが実装側とされてもよいように、水晶片15の長手方向に延びる不図示の中心線に対して180°回転対称の形状に形成されている。
素子搭載部材11は、例えば、絶縁性の基体21と、基体21に設けられた各種の導体(例えば金属)とを有している。各種の導体は、例えば、振動素子9を素子搭載部材11に搭載するための1対の素子搭載パッド23、振動子3を配線基板7に実装するための複数(本実施形態では4つ)の振動子端子25、及び、集積回路素子5を振動子3に実装するための複数(本実施形態では6つ)のIC用パッド26(図2)である。
基体21は、例えば、セラミックからなり、振動素子9を収容する凹部21rを有している。基体21は、例えば、平板状の基板部21aと、基板部21aに重ねられた枠部21bとを有しており、これにより、凹部21rが構成されている。
1対の素子搭載パッド23は、例えば、凹部21rの底面(基板部21aの枠部21b側の主面)に層状に設けられている。複数の振動子端子25は、例えば、基板部21aの枠部21bとは反対側の主面の4隅に層状に設けられている(図3(b)参照)。複数のIC用パッド26は、例えば、基板部21aの枠部21bとは反対側の主面において、複数の振動子端子25に囲まれた領域内に2列で配列されている(図3(b)参照)。
振動素子9は、1対の引出電極19と1対の素子搭載パッド23とが1対のバンプ27(図2)によって接合されることによって、素子搭載部材11に片持ち梁のように固定されるとともに、素子搭載部材11に電気的に接続される。なお、バンプ27は、例えば、導電性接着剤からなる。
蓋部材13は、例えば、金属からなる。蓋部材13は、素子搭載部材11の枠部21bと接合され、これにより、凹部21rは密閉される。凹部21r内は、例えば、真空とされ、又は、適宜なガス(例えば窒素)が封入される。
蓋部材13及び素子搭載部材11の接合は適宜な方法によりなされてよい。例えば、枠部21bの蓋部材13側の面には、金属からなる枠状の第1接合用パターン29が形成される。一方、蓋部材13の枠部21b側の面には、金属からなる枠状の第2接合用パターン31が形成される。そして、両者がシーム溶接によって接合されることにより、蓋部材13及び素子搭載部材11は互いに接合される。
集積回路素子5は、例えば、概略薄型直方体状に形成されており、一方の主面に複数(本実施形態では6つ)のIC端子33を有している。IC端子33と、素子搭載部材11に設けられた既述のIC用パッド26とがバンプ35(図2)によって接合されることにより、集積回路素子5は、素子搭載部材11に固定されるとともに、素子搭載部材11に電気的に接続される。
IC端子33の数及び役割は、発振器1に要求される機能等に応じて適宜に設定されてよい。例えば、6つのIC端子33のうち、1つは基準電位GNDを集積回路素子5に供給するためのものであり、1つは電源電圧Vcc(基準電位とは異なる電位)を集積回路素子5に供給するためのものであり、2つは集積回路素子5から振動素子9に電圧を印加するためのものであり、1つは集積回路素子5により生成した発振信号Voutを出力するためのものであり、1つは発振信号の周波数を調整するための制御信号Vconを集積回路素子5に入力するためのものである。制御信号Vconに代えて、集積回路素子5による発振信号の生成又は停止を指示するイネーブル・ディセーブル信号が入力されてもよい。
既に述べたように、集積回路素子5は、発振回路を含んで構成されている。発振回路は、例えば、帰還型のものである。また、集積回路素子5は、温度センサ、及び、温度センサの検出した温度に基づいて、温度変化による振動素子9の特性変化を補償する温度補償回路を含んでいてもよい。温度補償回路は、例えば、特に図示しないが、振動素子9と基準電位部(グランド部)との間に配置される可変容量素子と、温度センサの検出する温度に応じた電圧を可変容量素子に印加する補償信号発生回路とを有している。温度に応じて振動素子9の負荷容量が変化することにより、温度変化による振動素子9の特性変化が補償される。これにより、発振信号の周波数が安定する。集積回路素子5は、パッケージングされたものであってもよいし、ベアチップであってもよい。
配線基板7は、例えば、リジッド式のプリント配線基板と同様の構成とされてよい。例えば、配線基板7は、絶縁基板37と、絶縁基板37に設けられた各種の導体(例えば金属)と、絶縁基板37を適宜に覆うソルダーレジスト39とを有している。各種の導体は、例えば、振動子3を配線基板7に実装するための複数(本実施形態では4つ)の振動子用パッド41、配線基板7を不図示の回路基板に実装するための複数(本実施形態では4つ)の外部端子43(そのうち一つにGの付加符号を付すことがある。)、及び、複数の振動子用パッド41と複数の外部端子43とを接続する複数(本実施形態では4つ)の接続導体45である。
絶縁基板37は、例えば、ガラスエポキシ材よりなる。絶縁基板37(配線基板7)は、第1主面37aと、その背面の第2主面37bと、厚み方向(z方向。第1主面37aから第2主面37bへ)貫通する開口部37hと、開口部37hの周囲にて厚み方向に貫通する複数(本実施形態では4つ)の貫通孔37eを有している。なお、以下では、配線基板7の主面を37a及び37bの符号で参照することがある。
絶縁基板37の外縁、開口部37h及び貫通孔37eの平面形状は適宜に設定されてよい。例えば、絶縁基板37の外縁の平面形状は矩形である。開口部37hの平面形状は、例えば、矩形状(角部が面取りされたもの含む。図1の例)、矩形の短辺が弧状とされた長円状、楕円状又は円状である。貫通孔37eの平面形状は例えば円形である。
複数の振動子用パッド41は、例えば、第1主面37aの4隅側に層状に設けられており、開口部37hを囲んでいる。複数の外部端子43は、例えば、第2主面37bの4隅に層状に設けられており、開口部37hを囲んでいる。複数の接続導体45は、例えば、複数の貫通孔37eの内周面に層状に設けられている。複数の接続導体45(複数の貫通孔37e)は、例えば、絶縁基板37の主面の4隅側に設けられており、開口部37hを囲んでいる。
ソルダーレジスト39は、例えば、第1主面37aにおいて、振動子用パッド41及び接続導体45を囲むように、第1主面37aの概略全体に亘って設けられている。これにより、振動子用パッド41上に配置されるバンプ47(図2)によって振動子用パッド41同士が短絡されるおそれが低減される。
複数の貫通孔37eは、例えば、振動子用パッド41に対して開口部37hとは反対側に位置している。接続導体45は、例えば、第1主面37aの貫通孔37eの周囲にフランジ部を有しており、当該フランジ部は、配線を介さずに直接に振動子用パッド41と接続されている。なお、貫通孔37eは、振動子用パッド41と重なっていないか、若しくは、比較的少ない量で振動子用パッド41と重なっている。また、複数の貫通孔37eは、例えば、外部端子43に重なる位置に設けられている。接続導体45は、例えば、貫通孔37eの内周面に設けられた部分が直接に外部端子43に接続されている。
振動子3は、素子搭載部材11に設けられた既述の複数の振動子端子25と、振動子用パッド41とがバンプ47(図2)によって接合されることにより、配線基板7に対して固定されるとともに、電気的に接続される。振動子用パッド41は、開口部37hを囲むように配置されているから、振動子3は、開口部37hを第1主面37a側から覆うように配線基板7に実装される。なお、振動子3の面積は、例えば、開口部37hの面積よりも大きく、平面視において開口部37hは振動子3に収まる。
また、振動子3に実装された集積回路素子5は、開口部37hに収容される。なお、図2では、集積回路素子5の天面(z方向負側の面)は、第2主面37bよりも内部側(z方向正側)に位置しているが、当該天面は、第2主面37bと概略面一とされてもよい。
集積回路素子5と振動子3との間にはアンダーフィル49(図2)が充填されている。アンダーフィル49は、例えば、熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)からなる。アンダーフィル49は、樹脂よりも熱膨張係数が低いフィラー(例えばSiO2からなる)を含んでいてもよい。アンダーフィル49は、集積回路素子5の側面を適宜な高さまで覆うように設けられてもよいし、集積回路素子5を側面だけでなく天面も覆うように設けられてもよい。
素子搭載部材11(振動子3)の基体21は、振動子端子25、バンプ47及び振動子用パッド41の厚みに相当する隙間を介して配線基板7の絶縁基板37と対向している。従って、配線基板7の第2主面37b側と、基体21の外周側(カバー8の内部)とは、開口部37h及び前記の隙間を介して連通可能である。この連通路は、アンダーフィル49によって塞がれていてもよいし、塞がれていなくてもよい。
カバー8は、例えば、概ね直方体の箱状に形成されており、その開口を下に向けて配線基板7及び振動子3に被せられることにより、振動子3を収容している。図2に示すように、カバー8と振動子3(パッケージ14)とは、例えば、その全体に亘って接触していない。すなわち、カバー8は、振動子3の側方の4つの第1隙間G1、及び、振動子3の上方の第2隙間G2(以下、これらを区別せずに隙間Gということがある。)を介して振動子3を囲んでいる。隙間Gが構成されていることによって、発振器1の周囲の雰囲気と振動子3との間の断熱性が向上する。
隙間Gは、密閉されていてもよいし、密閉されてなくてもよい。本実施形態では、貫通孔37eが設けられていることによって隙間Gは密閉されていない。ただし、例えば、貫通孔37eに導体を充填し(後述する図5参照)、且つ、開口部37h、及び、基体21と絶縁基板37との隙間をアンダーフィル49で塞ぐことにより、隙間Gを密閉してもよい。
隙間Gが密閉されている場合、その内部は真空(大気圧よりも減圧された状態)であってもよいし、真空でなくてもよい。また、隙間Gに気体が封入されている場合、気体は、空気であってもよいし、窒素等の適宜なガスであってもよい。なお、隙間Gが密閉されていない場合、及び、隙間Gに気体が封入されている場合、カバー8は、気体層を介して振動子3を囲んでいることになる。
本実施形態では、振動子3の外形及びカバー8の内部は、概略直方体状であるから、各隙間Gの厚さ(振動子3とカバー8との距離。G1及びG2を付した矢印参照。)は、各隙間Gにおいて概ね一定である。複数の隙間Gの厚さは、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。隙間Gの具体的な厚さは適宜に設定されてよい。
隙間Gが密閉されていないことにより、又は、隙間Gに空気が封入されていることにより、カバー8が空気層を介して振動子3を囲んでいる場合、空気層(隙間G)の厚さは、30mm以下であることが好ましい。空気層が30mm以下であれば、粘性抵抗によって対流が生じにくく、空気層による断熱効果の向上が期待される。30mmという数値は、建築物のペアガラスの技術分野において実証されている。さらに、発振器1の小型化の観点からは、隙間Gは1mm以下であることが好ましい。
また、隙間Gに窒素(N2)が封入されていることにより、カバー8が窒素層を介して振動子3を囲んでいる場合においても、窒素層(隙間G)の厚さは、30mm以下であることが好ましい。窒素は、空気の8割を占め、その粘度は空気の粘度と近いことから(例えば、20℃及び1気圧において、空気の粘度は18.2×10−6Pa・s、窒素の粘度は17.6×10−6Pa・s)、上記と同様の効果が期待される。
また、空気及び窒素以外の気体が隙間Gに封入されている場合においても、上記と同様に、対流が生じにくいように適宜にその気体層の厚さが設定されてよい。例えば、空気よりも粘度が高い気体であり、且つ、気体層の厚さが30mm以下であれば、上記と同様の効果が期待できる。
カバー8の材料は適宜なものとされてよい。例えば、カバー8は、金属等の導体によって構成されてもよいし、セラミック、ガラス、高分子樹脂等の絶縁体によって構成されてもよいし、金属と絶縁体との積層体によって構成されてもよい。金属が用いられた場合、カバー8にシールド機能を期待することができる。また、絶縁体が用いられた場合、一般に、絶縁体は導体よりも断熱性が高いから、カバー8による断熱効果の向上が期待される。
カバー8は、例えば、その側面部分(壁部)の下部が配線基板7に固定されている。固定は、例えば、接合、ねじによる締結、カバー8の爪部の配線基板7のスリットへの挿入、又は、これらの組み合わせによって実現されてよい。安価に堅固に固定する観点からは接合が好ましい。
接合は、(絶縁性の)接着剤によってなされてもよいし、半田等の導電性の接合材によってなされてもよいし、溶接であってもよい。また、既に述べたように、隙間Gは、密閉されてもよいし、密閉されなくてもよいから、接合は、カバー8の全周に亘ってなされてもよいし、全周に亘ってなされなくてもよい(離散的になされてもよい)。
図1及び図2に示す例では、導電性接合材61によってカバー8の全周に亘ってカバー8を配線基板7に接合した場合を例示している。なお、配線基板7の第1主面39aには、導電性接合材61と配線基板7との接合を強化するために、導体からなり、複数の振動子用パッド41を囲むように延びる環状の接合用パッド63が設けられている。カバー8の側面部分の下面にも、同様の接合用パッドが設けられてもよい。
また、図1及び図2は、カバー8が導体によって構成され、基準電位が付与されている場合を例示している。例えば、図2において紙面右側に示す外部端子43Gは、基準電位が付与される端子であり、この外部端子43Gと上述した接合用パッド63とは、配線基板7の導体(例えば接続導体45)を介して電気的に接続されている。
素子搭載部材11においては、6つのIC用パッド26のうちの2つと、1対の素子搭載パッド23とが接続されている。これにより、IC用パッド26に実装された集積回路素子5と、素子搭載パッド23に実装された振動素子9とが電気的に接続されている。ひいては、集積回路素子5により振動素子9に電圧を印加して発振信号を生成することが可能となっている。
また、素子搭載部材11においては、6つのIC用パッド26のうち残りの4つと、4つの振動子端子25とが接続されている。これにより、IC用パッド26に実装された集積回路素子5と、振動子端子25が接合された振動子用パッド41を有する配線基板7とが電気的に接続されている。ひいては、接続導体45を介して振動子用パッド41と接続された配線基板7の4つの外部端子43に対する電気信号の入出力によって、集積回路素子5に対して電気信号を入出力することが可能となっている。
図3(a)及び図3(b)は、上記のような素子搭載部材11における接続の一例を説明するための図である。具体的には、図3(a)は、基板部21aを振動素子9から見た平面図であり、図3(b)は、基板部21aを集積回路素子5側から見た平面図である。
図3(a)に示すように、1対の素子搭載パッド23からは1対の第1接続パターン51が延び、1対の第1ビア導体53に接続されている。図3(b)に示すように、1対の第1ビア導体53は、基板部21aを厚み方向に貫通しており、1対の第2接続パターン55に接続されている。1対の第2接続パターン55は、2つのIC用パッド26に接続されている。また、図3(b)に示すように、残りの4つのIC用パッド26は、4つの第3接続パターン57を介して4つの振動子端子25に接続されている。
第1接続パターン51、第2接続パターン55及び第3接続パターン57は、層状に形成されている。第1接続パターン51は、一部が枠部21bと重なっていてもよい。1対の第2接続パターン55の中途が幅広に形成されているのは、発振器1の製造過程において、振動素子9の特性を検査する検査装置のプローブを当接させるためである。第2ビア導体59は、基準電位が付与される振動子端子25と導体からなる蓋部材13とを接続するためのものであり、枠部21bも厚み方向に貫通している。
以上のとおり、本実施形態では、発振器1は、配線基板7、振動子3、集積回路素子5及びカバー8を有している。配線基板7は、第1主面37aに設けられた振動子用パッド41、第2主面37bに設けられ、振動子用パッド41に電気的に接続された外部端子43、厚さ方向に貫通する開口部37hを有している。振動子3は、振動素子9、及び、振動素子9を収容するパッケージ14を有し、開口部37hを覆うように振動子用パッド41に実装されている。集積回路素子5は、開口部37h内に配置され、パッケージ14に実装されている。カバー8は、隙間Gを介して振動子3を囲むように第1主面37aに被せられている。
従って、まず、パッケージ14及び配線基板7によって、振動素子9及び集積回路素子5の保護、及び、これらの不図示の回路基板等へ実装が可能とされる。すなわち、パッケージ14及び配線基板7は、振動素子9及び集積回路素子5を互いに逆向きにパッケージングする、いわゆるH型パッケージを構成する。一方、カバー8は、そのH型パッケージの全体を収容するのではなく、そのうちのパッケージ14のみを収容するように配線基板7に被せられる。別の観点では、配線基板7は、H型パッケージの一部でありながら、断熱のための槽をカバー8とで構成する。従って、H型パッケージ全体を収容する槽を設ける場合に比較して、小型化が図られる。
本実施形態では、前述のように配線基板7を振動子3に実装することで、断面形状がH型パッケージと同様な構成となるようにしたまま、カバー8の固定が容易化される。例えば、配線基板7が多数個取りされる母基板に対して、複数の振動子3の実装及びカバー8の固定を一回の実装工程で行うことができる。これに比較して、例えば、打ち抜き加工されたセラミックグリーンシートを積層し、その積層体の焼成によって、H型パッケージが多数個取りされる母基板を形成する場合を考える。この場合、通常、積層前に全ての層においては、個々のH型パッケージになる予定の部分同士が繋がっていなければならないから、積層前の打ち抜き加工によって、本実施形態の素子搭載部材11の側面に相当する部分を形成することはできない。その結果、母基板が焼成されたとき、カバー8を固定すべき部分(配線基板7の第1主面37aの外周部に相当する部分)は、素子搭載部材11に相当する層から上方に露出していない。その結果、カバー8を固定すべき部分を形成するための何らかの加工が必要になる。以上のように、H型パッケージを用いて配線基板7を構成していることにより、カバー8によってH型パッケージの一部のみを収容する構成が現実的なものとなっている。別の観点では、通常のH型パッケージからはその一部のみを収容するカバー8は想到できない。
また、本実施形態では、発振器1は、熱発生部材が振動子(被収容圧電デバイス)3および集積回路素子(電子素子)5のみである。よって、本実施形態において、発振器1は、振動素子9の温度を調整するような熱源、例えば、ヒータを有していない。
従って、発振器1は、ヒータが設けられている場合(この場合も本願発明に含まれる)、すなわち、恒温槽が設けられている場合に比較して、小型である。なお、ヒータが設けられていなくても、周囲の雰囲気の温度変化が振動素子9の特性に及ぼす影響は低減される。具体的には、例えば、まず、振動子3は、カバー8によって発振器1の周囲の雰囲気が直接的に接するおそれが低減される。その結果、例えば、周囲の雰囲気の温度変化に起因する振動子3の温度変化が緩和される。ひいては、発振信号の周波数が安定する。
なお、上記の温度変化の緩和の効果は、特に、発振器1を収容する機器の筐体内にファンがあり、発振器1の周囲に気体の流れがあるときに顕著となる。また、発振信号の周波数の安定化は、例えば、発振器1がGPSに用いられている場合において有効である。すなわち、基準信号が安定化されることによって、位置情報の精度向上が期待される。
また、本実施形態では、例えば、隙間Gには、空気又は窒素からなり、振動子3を囲む、厚み30mm以下の気体層が構成されている。
従って、例えば、既に述べたように、空気又は窒素の対流が生じることを低減することができる。その結果、例えば、発振器1の周囲の雰囲気の温度変化に起因する振動子3の温度変化を緩和することができる。なお、気体が空気であれば、例えば、特別な気体を用意する必要がなく、また、必ずしも隙間Gは密閉されなくてもよい。従って、例えば、コスト削減が期待される。また、気体が窒素であれば、導体の酸化抑制が期待され、また、窒素は他の不活性ガス等に比較して比較的安価である。
また、本実施形態では、上記の気体層の構成に代えて、隙間Gは、真空とされていてもよい。
この場合、気体が隙間Gに大気圧以上の圧力で存在する場合に比較して、隙間Gによる断熱効果を向上させることができる。ただし、例えば、大気圧と同等の圧力の気体層を構成する場合に比較して、密閉性の向上及びカバー8の内外の圧力差に抗するための強度が必要であることから、コストの面では、気体層を構成することが好ましい。
また、本実施形態では、カバー8と配線基板7とは、振動子3を囲む全周に亘って接合されている。
従って、例えば、カバー8の隙間Gは密閉され、発振器1の周囲の雰囲気が隙間Gに流れ込むおそれが低減される。その結果、例えば、発振器1の周囲の雰囲気の温度変化に起因する振動子3の温度変化を緩和することができる。加えて、例えば、配線基板7に撓みが生じるおそれがカバー8によって低減される。その結果、例えば、配線基板7の撓みによる振動子端子25と振動子用パッド41との剥離が低減される。また、例えば、カバー8により配線基板7の撓みが低減されることによって、振動素子9の振動に起因して配線基板7が振動するおそれが低減される。配線基板7の振動低減によって、振動子3の発振信号の周波数が安定するとともに、不要な振動が発振器1の周囲の電子部品に加えられるおそれも低減される。
また、本実施形態では、カバー8は、金属からなり、複数の外部端子43のうち基準電位が付与される外部端子43Gと電気的に接続されている。
従って、例えば、既に述べたように、カバー8をシールドとしても利用することができる。その結果、例えば、ノイズの侵入が低減され、発振信号の周波数が安定することが期待される。カバー8は、振動子3を囲んでいることから、振動子3に対するノイズ、又は、振動子3からのノイズを遮断できる面積が大きく、シールドとして好適である。
また、本実施形態では、カバー8は、金属から構成されることに代えて、無機材料から構成されてもよい。
この場合、ガラスやセラミック等の無機材料はフォノンによる熱伝導が支配的であり、金属材料のように熱伝導性の高い伝導電子による熱伝導形式でないため、金属材料を用いた場合と比較しカバー8の断熱性を高めることができる。従って、断熱性の高いカバー8によって、発振器1の周囲の雰囲気の温度の伝達が低減される。その結果、例えば、隙間Gの温度変化が抑制され、ひいては、振動子3の温度変化が抑制される。また、配線基板7からカバー8への熱の伝達も低減される。
また、本実施形態では、振動子3に実装される電子素子は、温度変化による振動素子9の特性変化を補償する補償回路を含む集積回路素子5である。
従って、振動子3の温度変化が緩和された状況下で補償回路が動作する。その結果、補償回路の時間遅れ等に起因する、周波数の目標周波数に対するオーバーシュート又はアンダーシュートの発生が低減される。
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係る発振器201を示す、図1に相当する分解斜視図である。なお、発振器201の構成は、配線基板207の構成を除いては、第1実施形態に係る発振器1の構成と同様である。また、第2実施形態に係る配線基板207についても、特に断りがない事項については、第1実施形態の配線基板7と同様である。
第2実施形態に係る配線基板207は、第1実施形態の配線基板7と同様に、開口部237h及び複数の貫通孔237eを有する絶縁基板237と、絶縁基板237の第1主面237aに設けられ、振動子3が実装される振動子用パッド241と、絶縁基板237の第2主面237bに設けられ、不図示の回路基板に接続される外部端子243と、貫通孔237eに設けられ、振動子用パッド241と外部端子243とを接続する接続導体245とを有している。
ただし、配線基板207は、例えば、以下の点において、第1実施形態の配線基板7と異なっている。まず、貫通孔237eは、平面視において、振動子用パッド241に対して開口部237h側に位置し、且つ、開口部237hと繋がっている。また、貫通孔237eは、振動子用パッド241と重なっており、接続導体245は、貫通孔237eの内周面に形成された部分が直接に振動子用パッド241と接続されている。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、振動子3(パッケージ14)とカバー8との隙間G(図2参照)は密閉されていてもよいし、密閉されていなくてもよい。隙間Gを密閉する場合、例えば、アンダーフィル49(図2参照)によって開口部237h及び貫通孔237eを塞げばよい。
なお、図4では図示していないが、第1実施形態と同様に、ソルダーレジスト39が設けられてもよいし、接合パッド63は、基準電位が付与される外部端子43と電気的に接続されていてもよい。
以上の第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。例えば、パッケージ14及び配線基板7によってH型パッケージを構成し、その一部のみを収容するようにカバー8を設けることにより、発振器201は、小型ながら、周囲の雰囲気の温度変化が振動素子9の特性に及ぼす影響を低減でき、また、製造が容易である。
また、第2実施形態では、接続導体245を設けるための貫通孔237eによって開口部237hを拡張し、集積回路素子5と開口部237hとのクリアランスを確保することができるので、小型化が一層期待される。また、開口部237hと貫通孔237eとをアンダーフィル49によって共に塞ぐことができ、構成及び製造方法が簡素化されることが期待される。
<変形例>
図5は、第1実施形態の変形例に係る発振器301を示す、図2に相当する断面図である。
第1実施形態の説明では、隙間Gが密閉されていない状態の発振器1を図示した。図5では、隙間Gが密閉されている状態を図示している。すなわち、図5では、接続導体345が貫通孔37eに充填されている。
なお、以上の実施形態及び変形例において、水晶発振器1、201及び301は、それぞれ圧電デバイスの一例であり、振動子3は被収容圧電デバイスの一例であり、水晶振動素子9は圧電素子の一例であり、集積回路素子5は電子素子の一例であり、振動子用パッド41はデバイス用パッドの一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
被収容圧電デバイスは、振動子に限定されない。例えば、被収容圧電デバイスは、圧電基板と、その上面に設けられた励振電極と、励振電極を収容するカバーとを有する弾性波デバイスであってもよい。なお、この弾性波デバイスにおいては、圧電基板の上面部分と励振電極とによって圧電素子が構成され、圧電基板の他の部分とカバーとによってパッケージが構成される。
また、被収容圧電デバイスが圧電振動子である場合において、当該圧電振動子及びカバーを含む圧電デバイス全体は、圧電振動子と発振回路とを有する発振器に限定されない。別の観点では、圧電振動子に実装され、配線基板の開口部に収容される電子素子は、発振回路を含む集積回路素子に限定されない。例えば、圧電デバイス全体は、発振回路を有さず、狭義の振動子3と、適宜な電子素子と、を有する広義の圧電振動子であってもよい。なお、この場合、素子搭載部材11において、振動素子9が搭載される1対の素子搭載パッド23は、電子素子用のパッド(実施形態ではIC用パッド26)ではなく、振動子端子25のいずれか2つに接続される。また、開口部には、例えば、サーミスタ及び/又はヒータが実装され、素子搭載部材11を介して振動子端子25に接続されてよい。また、被収容圧電デバイスは、水晶を用いるものに限定されず、例えば、セラミックを用いるものであってもよい。
被収容圧電デバイスを含む圧電デバイス全体が発振器である場合において、その用途乃至は機能は適宜に設定されてよい。例えば、圧電発振器は、クロック用発振器であってもよいし、電圧制御型発振器(例えばVCXO)であってもよいし、温度補償型発振器(例えばTCXO)であってもよいし、恒温槽付発振器(例えばOCXO)の恒温槽内の発振器であってもよい。外部端子、振動子用パッド、振動子端子、IC用パッド及びIC端子の数及びその配置は、圧電発振器に要求される機能に応じて適宜に設定されてよい。
圧電振動子の具体的構成は、適宜に変更されてよい。例えば、圧電振動素子は、2本の振動腕を有する音叉型のものであってもよいし、矩形の平板状の対角線上に1対の引出電極が形成されるものであってもよい。また、例えば、素子搭載部材は、枠部が金属によって構成されるものであってもよい。
配線基板は、主面だけでなく、内部に主面に平行な導体層を有していてもよい。また、配線基板は、平面視において振動子と概略同等の大きさを有する構成のものに限定されない。すなわち、配線基板は、振動子のパッケージとで、いわゆるH型のパッケージのような形状を構成するものに限定されない。例えば、配線基板は、比較的広い面積を有し、第1主面に振動子と並列に適宜な電子素子が実装されるものであってもよい。また、例えば、配線基板は、開口部を覆うように第2主面にヒータ等の電子部品が実装されるものであってもよい。
振動子用パッドと外部端子とを接続する接続導体の構成は、実施形態に示したものに限定されない。例えば、接続導体は、配線基板の外側に形成されたキャスタレーション(平面視における凹部)の内面に設けられた導体層であってもよい。
本願発明の圧電デバイスは、好ましい態様において、ヒータを有していない。ここで、ヒータは、例えば、加熱を主たる目的として設けられているものを指す。すなわち、加熱以外の作用を主たる目的とする素子が発熱し、その熱が意図的に又は意図せずに圧電素子の特性に影響を与えていたとしても、当該素子はヒータではない。例えば、集積回路素子(発振回路を含むもの又はドライバ等)、又は、インピーダンス整合のための抵抗体若しくはインダクタは、圧電振動素子を加熱できるように圧電振動素子に隣接して設けられたとしても、ヒータではない。従って、実施品において、上記のような副次的に加熱作用を奏する素子が設けられていることをもって、実施品が本願発明の好ましい態様の技術範囲に属さないということにはならない。逆に、例えば、先行技術において、加熱を主たる目的としてヒータが設けられている場合において、当該ヒータが副次的にインピーダンス整合に寄与したとしても、当該先行技術に本願発明の好ましい態様が開示されている(ヒータが設けられていない)ことにはならない。
なお、恒温槽付圧電デバイスは、通常、ヒータを有していることから、本願発明の好ましい態様の圧電デバイスがヒータを有していないことについて特に言及したが、同様に、本願発明の好ましい態様の圧電デバイスは、冷却手段、又は、加熱及び冷却の双方を行う手段も有していない。すなわち、本願発明の好ましい態様は、加熱及び冷却の少なくとも一方を行う温調手段を有していない。これらの手段に該当するか否かも、上記のヒータと同様である。