JP5510393B2 - 複数段圧縮式冷凍サイクル装置 - Google Patents

複数段圧縮式冷凍サイクル装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5510393B2
JP5510393B2 JP2011120507A JP2011120507A JP5510393B2 JP 5510393 B2 JP5510393 B2 JP 5510393B2 JP 2011120507 A JP2011120507 A JP 2011120507A JP 2011120507 A JP2011120507 A JP 2011120507A JP 5510393 B2 JP5510393 B2 JP 5510393B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
low
stage
compression mechanism
stage compression
refrigeration cycle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011120507A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012247154A (ja
Inventor
大輔 太田
亮 瀧澤
雅巳 谷口
淳 山崎
純一 桂川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP2011120507A priority Critical patent/JP5510393B2/ja
Priority to CN201210162753.3A priority patent/CN102809235B/zh
Publication of JP2012247154A publication Critical patent/JP2012247154A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5510393B2 publication Critical patent/JP5510393B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)
  • Control Of Positive-Displacement Pumps (AREA)

Description

本発明は、複数段の圧縮機構を備えた複数段圧縮式冷凍サイクル装置に関する。
複数段の圧縮機構を備えた複数段圧縮式冷凍サイクル装置の一例として、特許文献1に記載の二段圧縮式冷凍装置が知られている。特許文献1の二段圧縮式冷凍装置は、低段側圧縮機、高段側圧縮機、油分離器、凝縮器、減圧装置、及び蒸発器を環状に接続して冷凍サイクルを構成し、さらに低段側圧縮機と高段側圧縮機は開閉弁を有する油配管にて接続されている。この構成により、高段側圧縮機から流出して油分離器で分離されたオイルを高段側圧縮機に戻し、高段側圧縮機で所定量以上となったオイルを油配管を介して高段側圧縮機から低段側圧縮機に戻すようにする。
特許第315245号公報
上記特許文献1の装置では、上述のように圧縮機を流出したオイルを戻す手段が提案されているが、そもそも圧縮機から流出するオイルを抑制する手段については考慮されていない。また、油分離器で分離されて高段側圧縮機に戻ったオイルが油配管を通って所定量戻るのに時間を要すると、圧縮機内部のオイルが不足した状態での運転が繰り返されることによって、圧縮機の摺動部が磨耗し、故障に至ることがある。
また、特許文献1の装置では、圧縮機内部に溜まっている冷媒が多いときに圧縮機を起動すると、圧縮機から冷媒とオイルが大量に吐出され、油分離器で分離する能力を超え、分離できなかったオイルが下流の冷媒通路に流出することがある。これにより、圧縮機内部のオイルが不足した状態で運転が行われ、圧縮機の摺動部が磨耗し、故障に至ることがある。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、圧縮機からのオイル流出の抑制を図る複数段圧縮式冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明は、密閉容器(1a)内に設けられる低段側圧縮機構(1)と、低段側圧縮機構の吐出側に直列に接続され、密閉容器(2a)内に設けられる高段側圧縮機構(2)と、高段側圧縮機構(2)の吐出側に接続される放熱器(3)と、放熱器(3)の出口側に接続され、放熱器(3)を流出した冷媒を減圧する減圧装置(6)と、減圧装置(6)で減圧された冷媒が流入して蒸発し、低段側圧縮機構(1)吸入側に連通する蒸発器(8)と、低段側圧縮機構(1)及び高段側圧縮機構(2)の回転数を制御する制御装置(50)と、を備える複数段圧縮式冷凍サイクル装置(100)に係る発明であって、
制御装置(50)は、当該複数段圧縮式冷凍サイクル装置(100)を起動する際に、低段側圧縮機構(1)及び高段側圧縮機構(2)の運転を、最大能力を発揮する最大回転数よりも低速の回転数で開始し、段階的に回転数を上昇させ
当該複数段圧縮式冷凍サイクル装置(100)を起動する際に、高段側圧縮機構(2)を低段側圧縮機構(1)よりも先行して起動し、
高段側圧縮機構(2)の起動後、低段側圧縮機構(1)が設けられる密閉容器(1a)内の圧力が予め定めた圧力値を下回っていると判定したときは低段側圧縮機構(1)を起動することを特徴とする。
この発明によれば、複数段圧縮式冷凍サイクル装置を起動する際に、低段側圧縮機構及び高段側圧縮機構の各運転を最大回転数よりも低速の回転数で開始し、段階的に回転数を上昇させて最大回転数にもっていく。この制御によれば、密閉容器内部に冷媒が停留しているときに起動が行われた場合、回転子の回転に伴うオイルの巻き上げを抑制できるとともに、低段側圧縮機構側の内部圧力を緩やかに低下させて、停留中の冷媒の蒸発を抑制することができる。したがって、圧縮機からのオイル流出の抑制を図れ、オイル不足による圧縮機構の摺動部磨耗を防止することができる。
さらにこの発明によれば、高段側圧縮機構を低段側圧縮機構よりも先に起動することにより、低段側圧縮機構側の内部圧力を早く低下させて停留中の冷媒の蒸発を早めることができる。このように停留中の冷媒の蒸発を早めても、低段側圧縮機構は停止しているため、外部にオイルが流出することはない。そして、低段側圧縮機構を起動するタイミングを低段側圧縮機構側の内部圧力が予め定めた圧力値未満であるときとすることにより、実験や経験則から、冷媒蒸発の進行度合いがオイル流出の問題がないレベルに至っていると判断できる圧力レベルを採用して、低段側圧縮機構を起動させることができる。したがって、適切に低段側圧縮機構を起動させることができ、可能な限り早い圧縮機構の立ち上げとオイル流出の抑制とを両立する制御を提供できる。
請求項の発明は、請求項1に記載の発明において、放熱器(3)から流出した冷媒を分流し、分流した一方の冷媒を中間圧に減圧する中間圧用減圧装置(7)と、中間圧用減圧装置(7)によって中間圧に減圧された冷媒と前記分流した他方の冷媒とを熱交換する内部熱交換器(5)と、を備え、
当該中間圧に減圧された冷媒を内部熱交換器(5)で熱交換した後、高段側圧縮機構(2)の吸入側に吸入させることを特徴とする。
この発明によれば、中間圧用減圧装置によって中間圧に減圧された冷媒を放熱器から流出た高圧の冷媒と内部熱交換器で熱交換させることにより、高圧の冷媒から吸熱し、放熱器から流れ出た冷媒を過冷却することで、冷凍能力を向上させることができる。
請求項の発明は、請求項1または2に記載の発明において、高段側圧縮機構(2)から吐出された冷媒からオイルを分離し、高段側圧縮機構(2)の吸入側に戻す油分離器(11)を備えることを特徴とする。
この発明によれば、圧縮機構の容器内から外部に流出してしまったオイルを油分離器によって高段側圧縮機構に戻すことができるため、上記発明の低段側圧縮機構及び高段側圧縮機構の段階的回転数増加の制御を補完して、オイル不足による圧縮機構の摺動部磨耗を防止することができる。
請求項の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、低段側圧縮機構(1)が設けられる密閉容器(1a)の内部と、高段側圧縮機構(2)が設けられる密閉容器(2a)の内部とを連通し、高段側圧縮機構(2)側でオーバーフローしたオイルを低段側圧縮機構(1)側へ供給する均油回路(12)を備えることを特徴とする。
この発明によれば、高段側圧縮機構側にオイルが偏り過ぎないように低段側圧縮機構側にもオイルを供給できるため、上記発明の低段側圧縮機構及び高段側圧縮機構の段階的回転数増加の制御を補完して、オイル不足による圧縮機構の摺動部磨耗を防止することができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示している。
本発明を適用する第1実施形態に係る複数段圧縮式冷凍サイクル装置の構成を示す模式図である。 複数段圧縮式冷凍サイクル装置が備える圧縮機の概略構成の一例を示す模式図である。 第1実施形態における複数段圧縮式冷凍サイクル装置を起動する際の制御方法を説明するための図である。 第1実施形態における複数段圧縮式冷凍サイクル装置を起動する際の他の制御方法を説明するための図である。 第2実施形態における複数段圧縮式冷凍サイクル装置を起動する際の制御方法を説明するための図である。 第3実施形態における複数段圧縮式冷凍サイクル装置を起動する際の制御方法を説明するための図である。 第4実施形態における複数段圧縮式冷凍サイクル装置を起動する際の制御方法を説明するためのフローチャートである。 第5実施形態における複数段圧縮式冷凍サイクル装置を起動する際の制御方法を説明するためのフローチャートである。 第6実施形態に係る複数段圧縮式冷凍サイクル装置の構成を示す模式図である。 第7実施形態に係る複数段圧縮式冷凍サイクル装置の構成を示す模式図である。 第8実施形態に係る複数段圧縮式冷凍サイクル装置の構成を示す模式図である。 第9実施形態に係る複数段圧縮式冷凍サイクル装置の構成を示す模式図である。 その他の形態に係る複数段圧縮式冷凍サイクル装置の構成を示す模式図である。 その他の形態に係る複数段圧縮式冷凍サイクル装置の構成を示す模式図である。
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合わせることも可能である。
(第1実施形態)
本発明を適用した第1実施形態を以下に図1〜図4を参照して説明する。図1は第1実施形態に係る複数段圧縮式冷凍サイクル装置の構成を示す模式図である。
第1実施形態の複数段圧縮式冷凍サイクル装置100は、冷媒圧力を二段に昇圧する二段昇圧式冷凍サイクル装置であり、冷凍機用として好適であり、例えば、コンテナ用冷凍機に用いることができる。複数段圧縮式冷凍サイクル装置100は、図1に示すように、圧縮機として低段側圧縮機1と高段側圧縮機2を備え、放熱器3、内部熱交換器5、第1膨張弁6(減圧装置)、及び蒸発器8を環状に配管接続して構成されている。さらに複数段圧縮式冷凍サイクル装置100は、高段側圧縮機2の吸入側と低段側圧縮機1の吐出側とを接続する配管と放熱器3の出口側配管とを連絡する戻り通路10に、第2膨張弁7(中間圧用減圧装置)を備えている。冷媒は、例えば二酸化炭素を主成分とする熱媒体であり、この場合、複数段圧縮式冷凍サイクル装置100は、高圧側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力以上にまでなる蒸気圧縮式の超臨界冷凍サイクルを構成する。
低段側圧縮機1は、その吐出部が高段側圧縮機2の吸入部に配管接続される低段側圧縮機構であり、低圧冷媒を吸入し、中間圧力になるまで圧縮して高段側圧縮機2に吐出する。高段側圧縮機2は、低段側圧縮機1の吐出側に連結される高段側圧縮機構であり、低段側圧縮機1から吐出された中間圧力の冷媒を吸入し、高圧冷媒になるまで圧縮して放熱器3に吐出する。
低段側圧縮機1及び高段側圧縮機2のそれぞれは、制御装置50によって回転数が自在に制御可能に構成されている。それぞれの圧縮機は、制御装置50によって回転数が制御されることにより、冷媒吐出量を調整することができる。低段側圧縮機1は、インバータ40により周波数が調整された交流電圧が印加されてその電動機部1bの回転速度が制御される。高段側圧縮機2は、インバータ41により周波数が調整された交流電圧が印加されてその電動機部2bの回転速度が制御される。この場合、インバータ40,41は、バッテリまたは電源から直流電源または交流電源の供給を受け、制御装置50により制御される。
図2は、低段側圧縮機1、高段側圧縮機2の概略構成の一例を示す模式図である。例えば、低段側圧縮機1及び高段側圧縮機2は、図2に示すように、同様の構造を有するロータリー圧縮機である。低段側圧縮機1は、密閉容器1aと、密閉容器1aの内部に配置されたインナーロータ式の電動機部1bと、密閉容器1aの内部に配置された圧縮機構部1cと、から主に構成されている。高段側圧縮機2は、密閉容器2aと、密閉容器2aの内部に配置されたインナーロータ式の電動機部2bと、密閉容器2aの内部に配置された圧縮機構部2cと、から主に構成されている。電動機部1b,2bは、密閉容器1aの内部において、圧縮機構部1c,2cよりも上方に位置している。
圧縮機構部1c,2cは、中心軸を中心に回転可能なシャフト1c1,2c1と、シャフト1c1,2c1の偏心軸で嵌合され、シャフト1c1,2c1の回転に伴いシリンダの円筒内部で偏心回転運動を行うローラと、ローラに先端を接しながらシリンダのベーン溝の内部を往復運動するベーンと、シリンダの両端面を挟み持ちシャフト1c1,2c1を回転自在に支えるジャーナル軸受とから構成される。圧縮機構部1c,2cは、シリンダの周囲に形成された支持部により密閉容器1a,2aに固定される。インナーロータ式の電動機部1b,2bは、密閉容器1a,2aの内部に溶接された円筒形状の固定子1b1,2b1と、シャフト1c1,2c1に焼きばめされた円柱形状の回転子1b2,2b2で構成される。固定子1b1,2b1は、中心軸方向に積層された電磁鋼板とコイルで構成される。
低段側圧縮機1及び高段側圧縮機2を流れる作動流体は、吸入管1d,2dからシリンダの吸入孔を通じて、圧縮機構部1c,2cの圧縮室に導かれる。固定子1b1,2b1のコイルに通電して発生した磁界と、回転子1b2,2b2の永久磁石の磁界とが相互に作用して生じたトルクは、回転子1b2,2b2を回転駆動し、シャフト1c1,2c1を介してローラを偏心回転運動させ、圧縮室の容積が変化して作動流体を圧縮する。圧縮された作動流体は、吐出孔の吐出弁が開くと、密閉容器1a,2aの内部を経て、吐出管1e,2eより密閉容器1a,2aの外部に吐出される。
図1に示す複数段圧縮式冷凍サイクル装置100において、蒸発器8にて、送風機9により供給される空気との間で熱交換して気化したガスは低段側圧縮機1に吸入される。低段側圧縮機1によって中間圧力まで加圧されて吐出された冷媒ガスは、戻り通路10に流入して第2膨張弁7で中間圧力に減圧された後、内部熱交換器5で放熱器3を流出した残余の冷媒と熱交換して加熱された冷媒と混合した後、高段側圧縮機2に吸入される。
高段側圧縮機2によって吐出圧力まで加圧された高圧の冷媒ガスは、放熱器3に流入し、送風機4により供給される空気との熱交換により放熱して冷却される。放熱器3を流出した冷媒は、その一部が戻り通路10に流入し、残余の冷媒は第1膨張弁6に向かって流れるように分流する。戻り通路10に流入した冷媒は、第2膨張弁7で中間圧力に減圧された後、放熱器3を流出した残余の冷媒と内部熱交換器5で熱交換される。第1膨張弁6に向かって流れる残余の冷媒は、第2膨張弁7で中間圧力に減圧された冷媒と内部熱交換器5で熱交換することにより冷却されてから第1膨張弁6に流入する。そして、第1膨張弁6で減圧された冷媒は、蒸発器8で蒸発して送風機9により供給される空気から吸熱し、低段側圧縮機1に吸入される。
なお、送風機4及び送風機9のそれぞれは、制御装置50によってファンモータ4a,9aの回転数が制御されることで放熱器3、蒸発器8に供給する空気の風量を調整可能に構成されている。
制御装置50は、主に複数段圧縮式冷凍サイクル装置100の作動を制御する装置であり、リモートコントローラ上の各種スイッチからの信号、冷媒圧力、冷媒温度、空気温度等を検出する各種検出器等からの通信信号が入力される入力回路と、入力回路からの信号を用いて各種演算を実行するマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータによる演算にしたがって低段側圧縮機1、高段側圧縮機2、ファンモータ4a,9a等の作動を制御する通信信号を出力する出力回路と、を備えている。マイクロコンピュータは、記憶手段としてROMまたはRAMを内蔵し、あらかじめ設定された制御プログラムや更新可能な制御プログラムを有している。
複数段圧縮式冷凍サイクル装置では、冷凍サイクル装置が停止した状態で放置されると、周囲温度変化等の影響によって、圧縮機内部へ冷媒が溜まる、いわゆる寝込む状態となる。この状態で圧縮機内部は、潤滑作用を有するオイルと冷媒とが混合した状態になる。図2に破線で示したラインは、圧縮機内部での、冷媒及びオイルの混合液体の液面を示しており、当該液面は圧縮機構部1c,2cが濡れる位置まで満たされている。
この冷媒が寝込む状態が進んで顕著になると、圧縮機内部の液量が増加し、圧縮機内部に貯留する混合液体の液面が、図2の二点鎖線で示すように、電動機部1b,2bに達するようになる。この状態で複数段圧縮式冷凍サイクル装置を起動すると、電動機部1b,2bの回転子1b2,2b2の回転によって、冷媒と混ざっているオイルが巻き上げられ、巻き上げられたオイルは上方の吐出管1e,2eから圧縮機の外部へ流出し、サイクル内の冷媒通路に存在するようになる。
さらに、複数段圧縮式冷凍サイクル装置では、前述する所定の中間圧力が得られる出力で低段側圧縮機を起動した場合(図3(a)の破線で図示する「従来の起動方法」の圧縮機回転数)、低段側圧縮機内部の圧力は、起動前の、高段側圧縮機内部の圧力と低段側圧縮機内部の圧力とがバランスする状態から、急激に低下するようになる。この急激な圧力低下により、低段側圧縮機内部に貯留する冷媒が蒸発して、混合液に含まれるオイルを巻き上げることになる。圧縮機内部の冷媒が蒸発することにより、混合液体の液面が波立ち、さらに蒸発が起こりやすくなり、オイルがミストとなって圧縮機外部に流出しやすくなる。したがって、このような低段側圧縮機内部の圧力低下現象によっても、圧縮機外部へのオイル流出が発生するのである。なお、この場合の圧縮機内部の圧力低下は、図3(b)の破線で図示するようになる。以上のように、圧縮機外部へのオイル流出により、圧縮機内部のオイルが不足した状態で運転が行われると、圧縮機の摺動部が磨耗し、故障を引き起こすことになる。
そこで、本実施形態の複数段圧縮式冷凍サイクル装置100では、圧縮機外部へのオイル流出を抑制するために、特徴的な制御を行っている。以下に複数段圧縮式冷凍サイクル装置100を起動する際の制御方法について、図3を参照して説明する。図3(a)に破線で示すように、従来の圧縮機の起動方法は、圧縮機の起動の際に、冷凍サイクル装置を運転するために必要とする所定の出力レベル(定常運転時の出力レベル)で運転を開始する。したがって、圧縮機の回転数は、急激に立ち上がり、すぐに当該所定の出力レベルを発揮する回転数Nm(定常運転時の目標回転数)に達し、以後一定の回転数で運転を継続する。このような従来の起動方法では、図3(b)に破線で示すように、各圧縮機内部の圧力は、動作時間t=0のときのバランスする状態から急激な傾き(変化率)をもって、低段側圧縮機1の場合は低下し、高段側圧縮機2の場合は上昇するようになる。この低段側圧縮機1の内部圧力の低下により、上述したように、混合液に含まれるオイルの巻き上げ現象が発生して、圧縮機外部へのオイルが流出するのである。
複数段圧縮式冷凍サイクル装置100は、圧縮機の起動の際に、冷凍サイクル装置を運転するために必要とする所定の出力レベル(定常運転時の出力レベル)に到達するまでの間に、当該所定の出力レベルを発揮する回転数Nmよりも小さい回転数N1、N2を段階的に(ステップ状に)経てから回転数Nmに達するように、低段側圧縮機1及び高段側圧縮機2を制御する。つまり、図3(a)に実線で示すように、低段側圧縮機1及び高段側圧縮機2は、第1の回転数N1を第1の所定時間継続し、次に第2の回転数N2に増速してこれを第2の所定時間継続し、そして最終的な回転数Nmに到達するように、制御装置50によって制御される。
このような段階的回転数増加による特徴的な起動方法では、図3(b)に実線で示すように、圧縮機回転数の緩やかな立ち上がりにより、各圧縮機内部の圧力は、動作時間t=0のときのバランスする状態から、従来の起動方法よりも緩やかな傾き(変化率)をもって、低段側圧縮機1の場合は低下し、高段側圧縮機2の場合は上昇するようになる。この低段側圧縮機1の内部圧力の緩やかな低下によって、圧縮機内部での冷媒の蒸発が抑制されるので、混合液に含まれるオイルの巻き上げ現象を抑制し、圧縮機外部へのオイル流出を低減することができる。
また、複数段圧縮式冷凍サイクル装置100を起動する際の制御方法は、図4に実線で図示する回転数制御によるものであってもよい。この回転数制御によれば、図3に実線で図示する起動方法と同様の作用効果を奏する。この起動方法では、圧縮機の出力を交互にON、OFFすることにより、回転数がパルス状に変移するようになる。制御装置50は、OFF時間に対するON時間を変化させることやON時間での回転数値を変化させることによって、ON、OFF切り替え時間における平均回転数を調整することができる。このパルス状の回転数変移によれば、第1の回転数N1に相当する平均回転数となり、図3で図示する段階的な回転数制御と同様の回転数制御を提供することができる。
以下に、第1実施形態の複数段圧縮式冷凍サイクル装置100がもたらす作用効果について説明する。複数段圧縮式冷凍サイクル装置100によれば、制御装置50は、複数段圧縮式冷凍サイクル装置100を起動する際に、低段側圧縮機1及び高段側圧縮機2の運転を、最大能力を発揮する最大回転数よりも低速の回転数で開始し、段階的に回転数を上昇させ、最大回転数に達するように制御する。
この制御によれば、複数段圧縮式冷凍サイクル装置100を起動する際に、低段側圧縮機1及び高段側圧縮機2の各運転を最大回転数よりも低速の回転数で開始し、段階的に回転数を上昇させて最大回転数にもっていく。これにより、密閉容器1a,2a内部に冷媒が停留しているときに起動が行われた場合、回転子1b2,2b2の回転に伴うオイルの巻き上げを抑制できるとともに、低段側圧縮機1の内部圧力を緩やかに低下させて、停留中の冷媒の蒸発を抑制することができる。したがって、低段側圧縮機1からのオイル流出の抑制を図れ、オイル不足による圧縮機の摺動部磨耗を防止することができる。
また、本実施形態の起動制御によれば、低段側圧縮機1の内部圧力を低下させるための、外部のポンプや減圧装置を必要としないで、圧縮機外部へのオイル流出を抑制することができる。したがって、従来のサイクル構成に対して部品増加等によるコスト上昇を防止することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、圧縮機外部へのオイル流出を抑制するために、複数段圧縮式冷凍サイクル装置100の起動の際に行う圧縮機に係る特徴的な制御について、第1実施形態と異なる制御を説明する。第2実施形態は、以下に特に説明しない実施形態、例えば、構成、各部の作動、作用効果等については第1実施形態と同様である。
以下、第2実施形態の複数段圧縮式冷凍サイクル装置100を起動する際の制御方法について、図5を参照して説明する。複数段圧縮式冷凍サイクル装置100は、低段側圧縮機1及び高段側圧縮機2の起動の際に、それぞれの圧縮機について、個別に回転数制御を実施する。すなわち、低段側圧縮機1については、冷凍サイクル装置を運転するために必要とする所定の出力レベル(定常運転時の出力レベル)に到達するまでの間に、当該所定の出力レベルを発揮する回転数Nmよりも小さい回転数NL1、NL2を段階的に(ステップ状に)経てから回転数Nmに達するように制御する。また高段側圧縮機2については、冷凍サイクル装置を運転するために必要とする所定の出力レベルに到達するまでの間に、当該所定の出力レベルを発揮する回転数Nmよりも小さい回転数NH1、NH2を段階的に(ステップ状に)経てから回転数Nmに達するように制御する。
つまり、図5(a)に実線で示すように、低段側圧縮機1は、第1の回転数NL1を予め定めた第1の低段用所定時間継続し、次に第2の回転数NL2に増速してこれを予め定めた第2の低段用所定時間継続し、そして最終的な回転数Nmに到達するように、制御装置50によって制御される。高段側圧縮機2は、第1の回転数NH1を予め定めた第1の高段用所定時間継続し、次に第2の回転数NH2に増速してこれを予め定めた第2の高段用所定時間継続し、そして最終的な回転数Nmに到達するように、制御装置50によって制御される。このように、NL1とNH1は異なる回転数であり、NL2とNH2は異なる回転数となるように設定されている。また、第1の低段用所定時間と第1の高段用所定時間は、同一であってもよいし、異なる時間であってもよい。同様に第2の低段用所定時間と第2の高段用所定時間は、同一であってもよいし、異なる時間であってもよい。
このような低段側圧縮機1と高段側圧縮機2の回転数を同一でなく個別に制御する特徴的な起動方法によれば、図5(b)に実線で示すように、各圧縮機内の圧力変動を任意に制御できるため、各圧縮機内部の圧力は、動作時間t=0のときのバランスする状態から、さらに緩やかな傾き(変化率)をもって、低段側圧縮機1の場合は低下させ、高段側圧縮機2の場合は上昇させることができる。この低段側圧縮機1の内部圧力のさらなる緩やかな低下によって、圧縮機内部での冷媒の蒸発を抑制できるので、混合液に含まれるオイルの巻き上げ現象を抑制し、圧縮機外部へのオイル流出の低減が図れる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、圧縮機外部へのオイル流出を抑制するために、複数段圧縮式冷凍サイクル装置100の起動の際に行う圧縮機に係る特徴的な制御について、第1実施形態と異なる制御を説明する。第3実施形態は、以下に特に説明しない実施形態、例えば、構成、各部の作動、作用効果等については第1実施形態と同様である。
以下、第3実施形態の複数段圧縮式冷凍サイクル装置100を起動する際の制御方法について、図6を参照して説明する。複数段圧縮式冷凍サイクル装置100は、低段側圧縮機1及び高段側圧縮機2の起動の際に、それぞれの圧縮機について、第2実施形態に記載の「個別の回転数制御」に加え、複数段圧縮式冷凍サイクル装置100の駆動開始時に高段側圧縮機2のみを駆動し、低段側圧縮機1は所定の停止時間t2、停止し、t2経過後に駆動開始する制御を実施する。この所定の停止時間t2が経過したか否かを判定することは、低段側圧縮機1の停止終了条件が成立したか否かを判定することである。したがって、所定の停止時間t2が経過することは、低段側圧縮機1の停止終了条件が成立したことになる。
すなわち、図6(a)に実線で示すように、低段側圧縮機1については、複数段圧縮式冷凍サイクル装置100の駆動開始から所定の停止時間t2が経過してから駆動開始して第1の回転数NL1に増速し、時間t4が経過すると第2の回転数に増速するように制御装置50によって制御する。高段側圧縮機2については、複数段圧縮式冷凍サイクル装置100の駆動開始とともに、第1の回転数NH1で立ち上げ、この回転数を駆動開始から所定時間t1が経過してから第2の回転数NH2に増速し、駆動開始から時間t3が経過すると最終的な回転数Nmに増速するように制御装置50によって制御する。このときNL1とNH1、及びNL2とNH2は、異なる回転数でもよいし、同一の回転数であってもよい。
このような圧縮機の回転数制御による特徴的な起動方法によれば、高段側圧縮機2を低段側圧縮機1に先行させて駆動開始することで、低段側圧縮機1内の冷媒圧力を低下させることができ、低段側圧縮機1を駆動する前に低段側圧縮機1内の寝込んだ冷媒をすばやく蒸発させることができる。この蒸発過程では、低段側圧縮機1は停止しているため、オイルを巻き上げるようなことはない。これにより、低段側圧縮機1は、圧縮機内の寝込んだ冷媒が蒸発した後に起動するため、冷媒蒸発によるオイル流出を抑制し、圧縮機外部へのオイル流出の低減が図れる。
また、低段側圧縮機1の停止終了条件の成立時を、予め定めた低段側圧縮機1の停止時間t2の経過時とすることにより、実験や経験則に基づいて適正に決定した停止時間を採用して、低段側圧縮機1を起動させることができる。したがって、可能な限り早い圧縮機構の立ち上げとオイル流出の抑制とを両立する制御を提供できる。
(第4実施形態)
第4実施形態では、圧縮機外部へのオイル流出を抑制するために、複数段圧縮式冷凍サイクル装置100の起動の際に行う圧縮機に係る特徴的な制御について、第3実施形態と異なる制御を説明する。第4実施形態で説明する制御では、第3実施形態の制御に加えて、所定の停止時間t1が経過する前に、低段側圧縮機1の停止処理終了条件が成立した場合には、停止時間t1の経過を待たずに低段側圧縮機1の停止処理を解除して、低段側圧縮機1を第1の回転数NL1で立ち上げるようにする。第4実施形態は、以下に特に説明しない実施形態、例えば、構成、各部の作動、作用効果等については第1実施形態及び第3実施形態と同様である。
以下、第4実施形態の複数段圧縮式冷凍サイクル装置100を起動する際の制御方法について、図7のフローチャートを参照して説明する。本制御は、低段側圧縮機1及び高段側圧縮機2を最終的な回転数で駆動するまでの起動制御であり、複数段圧縮式冷凍サイクル装置100の起動指令があると開始する。まず、ステップ10で高段側圧縮機2について第1の低速運転(第1の回転数NH1に立ち上げる運転)を開始する処理を実行し、ステップ20で低段側圧縮機1について停止処理を実行する。
次にステップ30で、低段側圧縮機1の停止処理終了条件が成立したか否かを判定する。この停止処理終了条件が成立した場合とは、低段側圧縮機1内部の圧力が予め定めた圧力未満となった場合である。この所定の圧力は、実験データ及び経験則から、この圧力未満になったときに低段側圧縮機1内部の冷媒の蒸発が完了したと想定される圧力に設定される。つまり、所定の圧力未満とは、実験や経験則から、冷媒蒸発の進行度合いがオイル流出の問題がないレベルに至っていると判断できる圧力ベルである。
次にステップ30で、停止処理終了条件が成立していると判定すると、ステップ40で低段側圧縮機1について第1の低速運転(第1の回転数NL1に立ち上げる運転)を開始する処理を実行する。
一方、ステップ30で停止処理終了条件がまだ成立していないと判定すると、次にステップ35で複数段圧縮式冷凍サイクル装置100の起動後、所定の停止時間t1が経過したか否かを判定する。ステップ35でt1がまだ経過していないと判定すると、再びステップ30に戻る。ステップ35でt1が経過していると判定すると、ステップ40で低段側圧縮機1について第1の低速運転(第1の回転数NL1に立ち上げる運転)を開始する処理を実行する。
このように、低段側圧縮機1について所定の停止時間t1の経過前であっても、ステップ30で停止処理終了条件が成立していると判定した場合は、低段側圧縮機1の起動前に低段側圧縮機1内部の冷媒の蒸発が完了したと想定できるため、低段側圧縮機1を所定の停止時間t1の経過前に起動するのである。この制御によれば、圧縮機外部へのオイルの流出を抑制するとともに、低段側圧縮機1の定常運転を早めることができる。したがって、オイル不足による圧縮機の損傷、故障を防止するとともに、所望の能力を早期に発揮できる複数段圧縮式冷凍サイクル装置100を提供できる。
ステップ40で低段側圧縮機1を第1の低速運転で起動すると、ステップ50で複数段圧縮式冷凍サイクル装置100の起動後、所定時間t2が経過したか否かを判定する。この処理はt2が経過するまで繰り返される。ステップ50で、2が経過したと判定すると、ステップ60に進み、高段側圧縮機2を第2の低速運転(第2の回転数NH2に増速する運転)に増速する処理を実行する。
次にステップ70で複数段圧縮式冷凍サイクル装置100の起動後、所定時間t3が経過したか否かを判定する。この処理はt3が経過するまで繰り返される。ステップ70でt3が経過したと判定すると、ステップ80に進み、低段側圧縮機1を上限速度に増速する処理を実行する。
さらにステップ90で複数段圧縮式冷凍サイクル装置100の起動後、所定時間t4が経過したか否かを判定する。この処理はt4が経過するまで繰り返される。ステップ90でt4が経過したと判定すると、ステップ100に進み、高段側圧縮機2を上限速度に増速する処理を実行し、本制御を終了する。
(第5実施形態)
第5実施形態では、圧縮機外部へのオイル流出を抑制するために、複数段圧縮式冷凍サイクル装置100の起動の際に行う圧縮機に係る特徴的な制御について、第1実施形態と異なる制御を説明する。第5実施形態は、以下に特に説明しない実施形態、例えば、構成、各部の作動、作用効果等については第1実施形態と同様である。
以下、第5実施形態の複数段圧縮式冷凍サイクル装置100を起動する際の制御方法について、図8を参照して説明する。複数段圧縮式冷凍サイクル装置100においては、圧縮機の起動の際に、冷凍サイクル装置を運転するために必要とする所定の出力レベル(定常運転時の出力レベル)に到達するまでの間に、ゆっくりと増速させる第1の増速運転域と、第1の増速運転域よりも回転数増加率が大きい第2の増速運転域とを経て、当該所定の出力レベルを発揮する回転数Nmに達するように、低段側圧縮機1及び高段側圧縮機2を制御装置50によって制御する。
具体的には、図8(a)に実線で示すように、第1の増速運転域は、回転数0から回転数N1に時間t1を要して非常にゆっくりと増速させる運転域であり、第2の増速運転域は、回転数N1から回転数N2に時間t2を要して第1の増速運転域よりも早く増速させる運転域である。すなわち、第1の増速運転域は、N1/t1となる回転数増加率であり、第2の増速運転域は、(N2−N1)/(t2−t1)となる回転数増加率である。
このように回転数の増速変化率が最初に小さい運転域で開始し、その後に大きな運転域を経て、最終的な回転数Nmにもってくる特徴的な起動方法では、図8(b)に実線で示すように、圧縮機回転数の緩やかな立ち上がりにより、各圧縮機内部の圧力は、動作時間t=0のときのバランスする状態から、従来の起動方法よりも緩やかな傾き(変化率)をもって、低段側圧縮機1の場合は低下し、高段側圧縮機2の場合は上昇するようになる。この低段側圧縮機1の内部圧力の緩やかな低下によって、圧縮機内部での冷媒の蒸発が抑制されるので、混合液に含まれるオイルの巻き上げ現象を抑制し、圧縮機外部へのオイル流出を低減することができる。
(第6実施形態)
第6実施形態に係る複数段圧縮式冷凍サイクル装置100Aは、第1実施形態の複数段圧縮式冷凍サイクル装置100に対して、油分離器11とオイル戻り通路11aとを備える形態である。第6実施形態は、以下に特に説明しない実施形態、例えば、構成、各部の作動、作用効果等については第1実施形態と同様である。図9は、第6実施形態に係る複数段圧縮式冷凍サイクル装置100Aの概略構成を示す模式図である。
図9に示すように、油分離器11は、高段側圧縮機2の吐出部と放熱器3の入口部の間に設けられ、オイル戻り通路11aは、油分離器11で分離した冷媒ガス中のオイルを高段側圧縮機2の吸入部に戻す通路である。高段側圧縮機2で高圧に加圧された冷媒ガスは、油分離器11によってガス中のオイルを分離した後、放熱器3に入り冷却される。
油分離器11で分離されたオイルは、オイル戻り通路11aを通って高段側圧縮機2の吸入側に戻り、低段側圧縮機1で中間圧力に加圧された冷媒と、放熱器3で放熱した後、第2膨張弁7で中間圧力に減圧されて戻り通路10を通って戻ってきた冷媒と混ざり合って、高段側圧縮機2に吸入される。したがって、本実施形態の冷凍サイクル装置よれば、高段側圧縮機2の内部に所定量のオイルを確保することができるのである。したがって、圧縮機構の容器内から外部に流出してしまったオイルを油分離器11によって高段側圧縮機2に戻すことができるため、前述の低段側圧縮機1及び高段側圧縮機2における段階的回転数増加の制御を補完する構造により、オイル不足による圧縮機構の摺動部磨耗を防止できる。
(第7実施形態)
第7実施形態に係る複数段圧縮式冷凍サイクル装置100Bは、第6実施形態の複数段圧縮式冷凍サイクル装置100Aに対して、均油回路12を備える形態である。第7実施形態は、以下に特に説明しない実施形態、例えば、構成、各部の作動、作用効果等については第1実施形態及び第6実施形態と同様である。図10は、第7実施形態に係る複数段圧縮式冷凍サイクル装置100Bの概略構成を示す模式図である。
図10に示すように、均油回路12は、低段側圧縮機1内部と高段側圧縮機2内部とを接続する連通路を構成する。当該連通路の高段側圧縮機2との接続部は、高段側圧縮機2内部において調整すべき液面高さとなる高さ位置に設定されている。これにより、高段側圧縮機2の内部でオーバーフローしたオイルは、均油回路12を構成する連通路によって高段側圧縮機2の外部に流出し、低段側圧縮機1の内部に供給される。これにより、高段側圧縮機2における余分なオイル量を低段側圧縮機1に返油できる構造により、低段側圧縮機1と高段側圧縮機2のオイルバランスを良好な状態に保つことが可能になる。したがって、高段側圧縮機2側にオイルが偏り過ぎないように低段側圧縮機1側にもオイルを供給できるため、前述の低段側圧縮機1及び高段側圧縮機2における段階的回転数増加の制御を補完する構造により、オイル不足による圧縮機構の摺動部磨耗を防止できる。
(第8実施形態)
第8実施形態に係る複数段圧縮式冷凍サイクル装置100Cは、第1実施形態の複数段圧縮式冷凍サイクル装置100の1個の低段側圧縮機1の代わりに、直列に接続された第1の低段側圧縮機1Aと第2の低段側圧縮機1Bを備える形態である。第8実施形態は、以下に特に説明しない実施形態、例えば、構成、各部の作動、作用効果等については第1実施形態と同様である。図11は、第8実施形態に係る複数段圧縮式冷凍サイクル装置100Cの概略構成を示す模式図である。
図11に示すように、第1の低段側圧縮機1Aは、その吐出部が高段側圧縮機2の吸入部に配管接続されており、第2の低段側圧縮機1Bは、その吐出部が第1の低段側圧縮機1Aの吸入部に配管接続されている。第2の低段側圧縮機1Bは、蒸発器8を流出した低圧冷媒を吸入し、第1の中間圧力になるまで圧縮して第1の低段側圧縮機1Aに吐出する。第1の低段側圧縮機1Aは、第2の低段側圧縮機1Bから吐出された第1の中間圧力の冷媒を吸入し、第1の中間圧力よりも高圧である第2の中間圧力になるまで圧縮して高段側圧縮機2に吐出する。高段側圧縮機2は、第1の低段側圧縮機1Aから吐出された第2の中間圧力の冷媒を吸入し、高圧冷媒になるまで圧縮して放熱器3に吐出する。
第1の低段側圧縮機1A及び第2の低段側圧縮機1Bのそれぞれは、制御装置50によって回転数が自在に制御可能に構成されている。それぞれの圧縮機は、制御装置50によって回転数が制御されることにより、冷媒吐出量を調整することができる。第1の低段側圧縮機1Aは、インバータ40Aにより周波数が調整された交流電圧が印加されてその電動機部の回転速度が制御される。第2の低段側圧縮機1Bは、インバータ40Bにより周波数が調整された交流電圧が印加されてその電動機部の回転速度が制御される。この場合、インバータ40A,40Bは、バッテリまたは電源から直流電源または交流電源の供給を受け、制御装置50により制御される。
(第9実施形態)
第9実施形態に係る複数段圧縮式冷凍サイクル装置100Dは、図12に示すように、第8実施形態の複数段圧縮式冷凍サイクル装置100Cにおいて直列接続された第1の低段側圧縮機1Aと第2の低段側圧縮機1Bを、並列に接続するサイクル構成を備える形態である。図12は、第9実施形態に係る複数段圧縮式冷凍サイクル装置100Dの概略構成を示す模式図である。第9実施形態の複数段圧縮式冷凍サイクル装置100Dは、上記以外の実施形態、例えば、構成、各部の作動、作用効果等については第8実施形態と同様である。
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
上記実施形態において、低段側圧縮機1及び高段側圧縮機2はロータリー圧縮機としているが、本願発明に適用可能な複数段の圧縮機は上記実施形態で説明する圧縮機に限定するものではない。すなわち、本願発明に適用可能な複数段圧縮を可能とする各圧縮機は、圧縮機内部に貯留するオイルの液面が回転子の回転によって巻き上げられて外部に吐出される可能性のある構造を備える圧縮機であればよい。
上記実施形態において、低段側圧縮機1及び高段側圧縮機2は、インバータ等により周波数が調整された交流電圧が印加されてその電動機部の回転速度が制御される圧縮機であるが、このような圧縮機の他、低段側圧縮機1及び高段側圧縮機2は、例えば一定出力運転を行う圧縮機において、駆動源をON、OFFさせることにより断続運転を可能とするものであってもよい。
上記実施形態において、第1膨張弁6及び第2膨張弁7は、その開度が固定されている固定式の絞り弁としているが、制御装置50からの制御信号に基づいて開度が自在に調整可能な(例えば全開から全閉まで可変することが可能な)減圧装置としてもよい。この場合には、例えば、膨張弁は、例えばパルス電流が供給されることにより正逆回転するパルスモータと、パルスモータによって駆動される弁体とを有し、その開度をパルスモータに供給されるパルス電流の極性及びパルス数に基づいて制御することができる。
また、複数段圧縮式冷凍サイクル装置100の冷媒通路を流れる作動冷媒は、二酸化炭素に限定されるものではなく、例えばフロン等の他の冷媒であってもよい。
上記の第5実施形態は、上記の第2〜第4実施形態、第6〜第9実施形態の少なくとも一実施形態と組み合わせることが可能である。
本発明と同様の目的を達成できる手段として、図13に示す複数段圧縮式冷凍サイクル装置100Eがある。複数段圧縮式冷凍サイクル装置100Eは、複数段圧縮式冷凍サイクル装置100に対して、低段側圧縮機1の内部と、低段側圧縮機1の吸入側及び蒸発器8間の通路とを接続する連絡通路13aを備え、さらに連絡通路13aに減圧装置13を備える。この構成において、複数段圧縮式冷凍サイクル装置100Eの起動の際には、低段側圧縮機1を駆動した後、減圧装置13の開度を制御して通路を狭めることにより低段側圧縮機1の内部を減圧する。これにより、低段側圧縮機1内部の貯留冷媒(寝込んだ冷媒)の蒸発が促進することになる。寝込み冷媒の蒸発が完了すると、その後に高段側圧縮機2の駆動を開始するようにすればよい。したがって、高段側圧縮機2の起動前に、低段側圧縮機1内部の寝込み冷媒を排出することが可能になる。
また、本発明と同様の目的を達成できる手段として、図14に示す複数段圧縮式冷凍サイクル装置100Fがある。複数段圧縮式冷凍サイクル装置100Fは、複数段圧縮式冷凍サイクル装置100に対して、低段側圧縮機1の内部と、低段側圧縮機1の吸入側及び蒸発器8間の通路とを接続する連絡通路14aを備え、さらに連絡通路14aにポンプ14を備える。この構成において、複数段圧縮式冷凍サイクル装置100Fの起動の際には、ポンプ14を駆動することにより、低段側圧縮機1の内部を減圧する。これにより、低段側圧縮機1内部の貯留冷媒(寝込んだ冷媒)の蒸発が促進することになる。寝込み冷媒の蒸発が完了すると、その後に低段側圧縮機1及び高段側圧縮機2の駆動を開始するようにすればよい。
1…低段側圧縮機(低段側圧縮機構)
2…高段側圧縮機(高段側圧縮機構)
3…放熱器
5…内部熱交換器
6…第1膨張弁(減圧装置)
7…第2膨張弁(中間圧用減圧装置)
8…蒸発器
11…油分離器
12…均油回路
50…制御装置
100…複数段圧縮式冷凍サイクル装置

Claims (4)

  1. 密閉容器(1a)内に設けられる低段側圧縮機構(1)と、
    前記低段側圧縮機構の吐出側に直列に接続され、密閉容器(2a)内に設けられる高段側圧縮機構(2)と、
    前記高段側圧縮機構(2)の吐出側に接続される放熱器(3)と、
    前記放熱器(3)の出口側に接続され、前記放熱器(3)を流出した冷媒を減圧する減圧装置(6)と、
    前記減圧装置(6)で減圧された冷媒が流入して蒸発し、前記低段側圧縮機構(1)吸入側に連通する蒸発器(8)と、
    前記低段側圧縮機構(1)及び前記高段側圧縮機構(2)の回転数を制御する制御装置(50)と、
    を備える複数段圧縮式冷凍サイクル装置(100)であって、
    前記制御装置(50)は、当該複数段圧縮式冷凍サイクル装置(100)を起動する際に、前記低段側圧縮機構(1)及び前記高段側圧縮機構(2)の運転を、最大能力を発揮する最大回転数よりも低速の回転数で開始し、段階的に回転数を上昇させ
    当該複数段圧縮式冷凍サイクル装置(100)を起動する際に、前記高段側圧縮機構(2)を前記低段側圧縮機構(1)よりも先行して起動し、
    前記高段側圧縮機構(2)の起動後、前記低段側圧縮機構(1)が設けられる前記密閉容器(1a)内の圧力が予め定めた圧力値を下回っていると判定したときは前記低段側圧縮機構(1)を起動することを特徴とする複数段圧縮式冷凍サイクル装置。
  2. さらに、前記放熱器(3)から流出した冷媒を分流し、分流した一方の冷媒を中間圧に減圧する中間圧用減圧装置(7)と、
    前記中間圧用減圧装置(7)によって中間圧に減圧された冷媒と前記分流した他方の冷媒とを熱交換する内部熱交換器(5)と、を備え、
    前記中間圧用減圧装置(7)によって中間圧に減圧された冷媒を前記内部熱交換器(5)で熱交換した後、前記高段側圧縮機構(2)の吸入側に吸入させることを特徴とする請求項1に記載の複数段圧縮式冷凍サイクル装置。
  3. 前記高段側圧縮機構(2)から吐出された冷媒からオイルを分離し、前記高段側圧縮機構(2)の吸入側に戻す油分離器(11)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の複数段圧縮式冷凍サイクル装置。
  4. 前記低段側圧縮機構(1)が設けられる前記密閉容器(1a)の内部と、前記高段側圧縮機構(2)が設けられる前記密閉容器(2a)の内部とを連通し、前記高段側圧縮機構(2)側でオーバーフローしたオイルを前記低段側圧縮機構(1)側へ供給する均油回路(12)を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の複数段圧縮式冷凍サイクル装置。
JP2011120507A 2011-05-30 2011-05-30 複数段圧縮式冷凍サイクル装置 Expired - Fee Related JP5510393B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011120507A JP5510393B2 (ja) 2011-05-30 2011-05-30 複数段圧縮式冷凍サイクル装置
CN201210162753.3A CN102809235B (zh) 2011-05-30 2012-05-23 多级压缩式制冷循环装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011120507A JP5510393B2 (ja) 2011-05-30 2011-05-30 複数段圧縮式冷凍サイクル装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012247154A JP2012247154A (ja) 2012-12-13
JP5510393B2 true JP5510393B2 (ja) 2014-06-04

Family

ID=47233021

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011120507A Expired - Fee Related JP5510393B2 (ja) 2011-05-30 2011-05-30 複数段圧縮式冷凍サイクル装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5510393B2 (ja)
CN (1) CN102809235B (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20160272047A1 (en) * 2013-03-21 2016-09-22 Carrier Corporation Capacity modulation of transport refrigeration system
WO2015045247A1 (ja) * 2013-09-30 2015-04-02 三菱重工業株式会社 ヒートポンプシステム、及び、ヒートポンプ式給湯器
WO2017047354A1 (ja) * 2015-09-15 2017-03-23 株式会社デンソー 複数段圧縮式冷凍サイクル装置
JP2018119777A (ja) * 2017-01-25 2018-08-02 株式会社デンソー 冷凍サイクル装置
DE102017004369A1 (de) * 2017-05-05 2018-11-08 Wabco Gmbh Verfahren zum Betreiben einer Druckregelanlage mit einem mehrstufigen Kompressor, sowie Druckregelanlage
JP6696484B2 (ja) * 2017-07-17 2020-05-20 株式会社デンソー 車載冷凍装置
CN110887265B (zh) * 2019-11-25 2021-01-12 珠海格力电器股份有限公司 内循环叠加热泵系统、控制方法及热泵烘干机
WO2022249288A1 (ja) 2021-05-25 2022-12-01 三菱電機株式会社 冷凍サイクル装置
CN115060016B (zh) * 2022-08-18 2022-11-04 泰美科环境仪器(昆山)有限公司 一种卸载流量调节的节能控制方法、装置和制冷系统

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0526524A (ja) * 1991-07-19 1993-02-02 Sanyo Electric Co Ltd 二段圧縮式冷凍装置
JPH07301460A (ja) * 1995-04-28 1995-11-14 Matsushita Electric Ind Co Ltd 空気調和機の制御方法
JP4069733B2 (ja) * 2002-11-29 2008-04-02 三菱電機株式会社 空気調和機
JP2006125794A (ja) * 2004-11-01 2006-05-18 Hitachi Home & Life Solutions Inc 冷凍サイクル装置
JP2007147228A (ja) * 2005-11-30 2007-06-14 Daikin Ind Ltd 冷凍装置
JP2007298188A (ja) * 2006-04-27 2007-11-15 Daikin Ind Ltd 冷凍装置
WO2009028193A1 (ja) * 2007-08-28 2009-03-05 Daikin Industries, Ltd. 冷凍装置
JP5608991B2 (ja) * 2009-03-12 2014-10-22 ダイキン工業株式会社 冷凍装置及びその運転方法
WO2010143343A1 (ja) * 2009-06-12 2010-12-16 パナソニック株式会社 冷凍サイクル装置

Also Published As

Publication number Publication date
CN102809235B (zh) 2015-04-08
JP2012247154A (ja) 2012-12-13
CN102809235A (zh) 2012-12-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5510393B2 (ja) 複数段圧縮式冷凍サイクル装置
JP4859694B2 (ja) 多段圧縮機
JP4949768B2 (ja) スクリュー圧縮機
JP5176574B2 (ja) ターボ圧縮機及び冷凍機
US8966920B2 (en) Refrigeration system
US20160222965A1 (en) Scroll-type compressor
JP5721676B2 (ja) 補助動力発生装置及びこの装置の運転方法
TWI568982B (zh) freezer
JP2009186028A (ja) ターボ冷凍機
JP5971633B2 (ja) 冷凍サイクル装置
JP2011214778A (ja) 冷凍装置
JP2009186030A (ja) ターボ冷凍機
WO2021140566A1 (ja) 冷凍サイクル装置
JP4738219B2 (ja) 冷凍装置
JP5330776B2 (ja) 多段圧縮機
JP5877331B2 (ja) スクロール圧縮機を備えた冷凍装置
WO2015104822A1 (ja) 冷凍サイクル装置
JP2019132524A (ja) 空気調和機
JP4798145B2 (ja) ターボ冷凍機
JP4952599B2 (ja) ターボ冷凍機
JP5484604B2 (ja) 冷凍空調装置
KR20070066294A (ko) 냉동시스템
JP2019132525A (ja) 空気調和機
JP2011237086A (ja) 冷凍空調装置
JP2001124422A (ja) 多段圧縮冷凍装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130213

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130612

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130625

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130822

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140225

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140310

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5510393

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees