JP5510183B2 - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents
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Description
別の実施形態の窒化物半導体発光素子は、n側半導体層、活性層及びp側半導体層を順に有する窒化物半導体発光素子において、前記n側半導体層と前記活性層の間にn側半導体層側から順に、Inx1Ga1−x1N(0<X1≦1)からなる第1層とIny1Ga1−y1N(0≦Y1<1、X1>Y1)からなる第2層とを含む第1超格子構造と、Inx2Ga1−x2N(X1=X2)からなる第1層とIny2Ga1−y2N(Y1=Y2)からなる第2層とを含む第2超格子構造とを有し、前記第1超格子構造の第2層の膜厚と第2超格子構造の第2層の膜厚は同じであり、第1超格子構造の第1層の膜厚は前記第2超格子構造の第1層の膜厚よりも大きく、前記第1超格子構造の第2層の膜厚は、前記第1超格子構造の第1層の1.05倍以上1.5倍以下程度の膜厚である。
図1は、実施形態にかかる窒化物半導体発光素子の一例を示す断面図である。基板10上に、n側半導体層20、活性層30及びp側半導体層40が形成されている。n側半導体層20上にはn側電極60が形成され、p側半導体層40上にはp側電極41が形成されている。
つまり、第1層(21a及び22a)はInを含み、第2層(21b及び22b)は第1層よりもInが少ない。また、第1超格子構造の第1層21aと第2超格子構造の第1層22aの組成は同じであり、第1超格子構造の第2層21bと第2超格子構造の第2層22bの組成は同じである。
ここで、本実施形態の窒化物半導体発光素子では、第1超格子構造の第1層21aの膜厚と第2超格子構造の第1層22aの膜厚は同じであり、第1超格子構造の第2層21bの膜厚は、第2超格子構造の第2層22bの膜厚よりも小さく形成されている。
なお、本明細書において、「超格子構造」は、第1層及び第2層を交互に複数積層したものであり、単一の第1層と単一の第2層を1ペアと数える。
基板上に複数の窒化物半導体層を形成すると、各々の層の組成、成長レート、成長温度等の違いに起因して上に成長される層に歪みが生じる。特に活性層に生じた歪みは、発光効率及び出力を低下させる原因となる。そこで、活性層よりもn側半導体層側にInGaN層とGaN層の超格子構造を設けることで活性層への歪みを緩和することができる。
しかし、活性層における歪みを緩和するために、超格子構造のInGaN層のIn混晶を大きくしたり、膜厚を厚くしたり、超格子構造のペア数を増やすなどしてn側半導体層側でのInの量が増加すると、順方向電圧を低下させることができるものの転位や結晶欠陥が増大し、発光出力も低下してしまう。そこで、超格子構造のGaN層の膜厚を厚くすることによって転位や結晶欠陥を埋めて活性層の結晶性を良好にすることができ出力を上げることができる。しかし、GaN層を厚くすると抵抗が高くなり、順方向電圧が高くなってしまう。つまり、超格子構造において、InGaNの割合が多くなりすぎると発光出力が低下し、GaNの割合が多くなりすぎると順方向電圧が高くなってしまい、発光出力と順方向電圧の両方を良好にすることが難しい。
そこで、本実施形態では、第1超格子構造21及び第2超格子構造22のうち、n側半導体層側に設けられる第1超格子構造の第2層(Inの少ない層)21bの膜厚を、活性層側に設けられる第2超格子構造の第2層22bと比較して薄くすることでInGaNの割合を大きくし、n側半導体層側で抵抗が高くならないような構造として電流を流れやすくすることができ、順方向電圧を低く抑えることができる。また、第2超格子構造22により、GaNの割合を大きくしてIn量の増加により発生する転位や結晶欠陥を埋めることで結晶性を回復させて出力の低下を防ぐことができる。このようにして、n側半導体層側ではInGaNの割合を大きくすることで順方向電圧を低下させ、活性層側ではGaNの割合の多い超格子構造により出力の低下を抑制することができる。その結果、大電流投入時に周囲温度が上昇しても、窒化物半導体発光素子の温度上昇が少なく、発光出力を維持することができる。
(第1超格子構造21)
第1超格子構造21は、Inx1Ga1−x1N(0<X1≦1)からなる第1層21aと、Iny1Ga1−y1N(0≦Y1<1、X1>Y1)からなる第2層21bとを有する。第1層21aは、InGaNであることが好ましい。そのIn混晶比としては1%以上5%以下程度が挙げられる。第2層21bの組成としては、第1層よりも少ないIn混晶比であればよく、GaN又はInGaNで形成される。なかでもGaNで形成されることが好ましい。このような組成で超格子構造が設けられることによって、活性層への歪みを緩和することができる。
第1層21a及び第2層21bは、不純物がドープされていてもよいしアンドープでもよい。本明細書における「アンドープ」は、1×1017cm3以下とする。
第1超格子構造21の総膜厚としては、10.5nm以上76nm以下程度が挙げられる。第1超格子構造21のペア数としては、5ペア以上15ペア以下程度が挙げられる。このような超格子構造とすることで、活性層に歪みが発生するのを抑制しつつも、活性層へ好適に電流を流すことができ、大電流投入時の順方向電圧を低く抑えることができる。
また、第1超格子構造21は、第1層21aと第2層21bいずれの層から始まってもよいし、いずれの層で終わってもよい。
第2超格子構造22では、Inx2Ga1−x2N(0<X2≦1、X1=X2)からなる第1層22aと、Iny2Ga1−y2N(0≦Y2<1、X2>Y2、Y1=Y2)からなる第2層22bとを含んでいる。第1層22aの組成としては、第1超格子構造の第1層と同様に、InGaNであることが好ましい。そのIn混晶比としては1%以上5%以下程度が挙げられる。第2層22bの組成としては、第1超格子構造の第2層と同様に、第1層よりも少ないIn混晶比であればよい。そのなかでもGaNで形成されることが好ましい。第1層22a及び第2層22bは、不純物がドープされていてもよいしアンドープでもよい。
第2超格子構造22の総膜厚としては、11nm以上105nm以下程度が挙げられる。第2超格子構造22のペア数としては、5ペア以上15ペア以下程度が挙げられる。このような第2超格子構造22とすることで、Inを含む超格子構造により発生した転位や結晶欠陥を埋めることができ、活性層への応力を緩和することができ、出力の低下を抑制することができる。
また、第2超格子構造22は、第1層22aと第2層22bいずれの層から始まってもよいし、いずれの層で終わってもよい。
基板10は、窒化物半導体を成長させることができる基板であればよく、具体的には、スピネル、炭化珪素、シリコン、ZnS、ZnO、GaAs、ダイヤモンド、ニオブ酸リチウム、ガリウム酸ネオジウム等が挙げられる。C面、M面、A面及びR面のいずれかを主面とするサファイアもしくは窒化物半導体基板(GaN、AlN等)を用いることが好ましい。また、基板は、その表面に0°以上10°以下程度のオフ角を有していてもよい。その表面に任意の形状の凹凸を形成してもよい。また、窒化物半導体層を成長させる前にバッファ層や下地層等を形成してもよい。また、研磨等により薄くしたり、最終的に除去してもよい。
窒化物半導体層の成長方法としては、MOCVD(有機金属化学気相成長法)、HVPE(ハイドライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー法)など、窒化物半導体の成長方法として知られている方法を用いることができる。
n側半導体層20としては、例えば、電極を設けるためのn側コンタクト層を設けることができる。具体的には、n型のGaN又はAlGaNとすることができる。一般的には、SiドープGaNからなるn型層をn側コンタクト層として用いることが多い。
また、クラッド層など種々の機能の層を適宜に設けることが可能である。
また、クラッド層など種々の機能の層を適宜に設けることが可能である。
本実施形態では、第1超格子構造の第1層の膜厚を第2超格子構造の第1層の膜厚よりも厚く形成するものである。この実施形態でも第1の実施形態と同様の作用によって、大電流投入時の順方向電圧を低く抑えることができ、出力の低下を抑制することができる。
本実施形態においては、第1超格子構造の第1層21aの膜厚を第2超格子構造の第1層22aの膜厚よりも厚く形成する。具体的には、第1超格子構造の第1層の膜厚を2nm以上6nm以下程度で形成し、第2超格子構造の第1層22aの膜厚を0.5nm以上3nm以下程度で形成することが好ましい。第1層21a及び22aをこのような膜厚で設けることで、結果的に、第1超格子構造におけるGaN層の割合を第2超格子構造と比較して減らすことができるので、抵抗が高くなるのを抑制でき、大電流投入時の順方向電圧を低く抑えることができる。
(実施例1)
図1に示したような窒化物半導体発光素子は、以下のようにして製造することができる。
成長面に凹凸の形成されたサファイア基板10をMOVPE反応容器内にセットし、以下のように窒化物半導体層を順に成長させる。
バッファ層:アンドープAl0.2Ga0.8N 膜厚250Å
下地層:アンドープGaN 膜厚6.5μm
第1のn側半導体層:SiドープGaN 膜厚2μm
第2のn側半導体層:アンドープAlN 膜厚30Å
第3のn側半導体層(n側コンタクト層):SiドープGaN 膜厚2μm
第4のn側半導体層:アンドープGaN 膜厚150nm
第5のn側半導体層:SiドープGaN 膜厚10nm
第6のn側半導体層:アンドープGaN 膜厚150nm
第7のn側半導体層:SiドープGaN 膜厚30nm
第8のn側半導体層:アンドープGaN 膜厚5nm
第1超格子構造21:アンドープIn0.02Ga0.98N 1nmの第1層21a及びアンドープGaN 1.6nmの第2層21bを1ペアとしてこれを5回繰り返した
第2超格子構造22:アンドープIn0.02Ga0.98N 1nmの第1層22a及びアンドープGaN 2.1nmの第2層22bを1ペアとしてこれを15回繰り返した
活性層30:SiドープGaNからなる膜厚5nmの障壁層で始まり、In0.3Ga0.7Nよりなる膜厚3nmの井戸層とアンドープGaNからなる膜厚5nmの障壁層を1ペアとしてこれを9回繰り返した
第1のp側半導体層:MgドープAlGaN 膜厚15nm
第2のp側半導体層:アンドープGaN 膜厚150nm
第3のp側半導体層:MgドープGaN(Mg低濃度) 膜厚150nm
第4のp側半導体層(p側コンタクト層):MgドープGaN(Mg高濃度) 膜厚15nm
p側電極50及びn側電極60を形成し、ウエハを所定形状に分割して窒化物半導体発光素子を得る。
このように、この実施例の窒化物半導体発光素子は、大電流投入時の順方向電圧を低く抑えることができる。
本実施例は、図2に示したような窒化物半導体発光素子であり、その製造方法としては、第1超格子構造及び第2超格子構造の膜厚を変更した以外は実施例1と実質的に同様である。
具体的には、以下のように形成する。
第1超格子構造の第1層21a 1.5nm
第1超格子構造の第2層21b 2nm
第2超格子構造の第1層22a 1nm
第2超格子構造の第2層22b 2nm
本実施例では、実施例1と同等の効果が得られる。
20:n側半導体層
21:第1超格子構造
21a:第1層
21b:第2層
22:第2超格子構造
22a:第1層
22b:第2層
30:活性層
40:p側半導体層
50:p側電極
60:n側電極
Claims (6)
- n側半導体層、活性層及びp側半導体層を順に有する窒化物半導体発光素子において、
前記n側半導体層と前記活性層の間にn側半導体層側から順に、Inx1Ga1−x1N(0<X1≦1)からなる第1層とIny1Ga1−y1N(0≦Y1<1、X1>Y1)からなる第2層とを含む第1超格子構造と、Inx2Ga1−x2N(X1=X2)からなる第1層とIny2Ga1−y2N(Y1=Y2)からなる第2層とを含む第2超格子構造とを有し、
前記第1超格子構造の第1層の膜厚と第2超格子構造の第1層の膜厚は同じであり、第1超格子構造の第2層の膜厚は前記第2超格子構造の第2層の膜厚よりも小さく、
前記第1超格子構造の第2層の膜厚は、前記第1超格子構造の第1層の1.05倍以上1.5倍以下程度の膜厚である窒化物半導体発光素子。 - n側半導体層、活性層及びp側半導体層を順に有する窒化物半導体発光素子において、
前記n側半導体層と前記活性層の間にn側半導体層側から順に、Inx1Ga1−x1N(0<X1≦1)からなる第1層とIny1Ga1−y1N(0≦Y1<1、X1>Y1)からなる第2層とを含む第1超格子構造と、Inx2Ga1−x2N(X1=X2)からなる第1層とIny2Ga1−y2N(Y1=Y2)からなる第2層とを含む第2超格子構造とを有し、
前記第1超格子構造の第2層の膜厚と第2超格子構造の第2層の膜厚は同じであり、第1超格子構造の第1層の膜厚は前記第2超格子構造の第1層の膜厚よりも大きく、
前記第1超格子構造の第2層の膜厚は、前記第1超格子構造の第1層の1.05倍以上1.5倍以下程度の膜厚である窒化物半導体発光素子。 - 前記第1超格子構造は前記第2超格子構造よりも膜厚が薄い請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記第1層と前記第2層とを1ペアとする前記第1超格子構造のペア数は、前記第2超格子構造のペア数よりも少ない請求項1乃至3のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記第1超格子構造の第2層の膜厚は、前記第2超格子構造の第2層の膜厚の0.5倍以上0.8倍以下である請求項1、3、4のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
- 前記第2層はGaNである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
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