JP5508716B2 - 非天然アミノ酸、および非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾するための促進剤 - Google Patents

非天然アミノ酸、および非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾するための促進剤 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
〔関連出願〕
本出願は、「非天然アミノ酸、および非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾するための促進剤」と題された、米国仮特許出願第60/734,589号明細書(2005年11月8日出願)の利益を主張するものである。
〔発明の分野〕
カルボニル部分を含んでいる分子(非天然アミノ酸、および非天然アミノ酸を含んでいる作用物質など)を修飾するための促進剤。
〔発明の背景〕
非遺伝的にコードされたアミノ酸(すなわち「非天然アミノ酸」)を、タンパク質に組み込むことにより、天然に生じる官能基(リジンのイプシロン位のNH、システインのスルヒドリル基(SH)、ヒスチジンのイミノ基など)に代わる有用な代替物を提供できる化学官能基を導入することができる。特定の化学官能基は、20の共通な遺伝的にコードされているアミノ酸において見られる官能基に挿入されるが、このとき首尾よく効率的に反応して、非天然アミノ酸に組み込まれ得る官能基と安定な結合を形成することが知られている。
次の化学官能基を選択的に導入する方法が、現在利用可能である。(i)タンパク質において発見されず、(ii)20の共通な遺伝的にコードされているアミノ酸に発見される官能基の全てに化学的に挿入され、(iii)安定な共有結合を形成するために特定の官能基を含んでいる試薬と、効率よく選択的に反応するために用いられ得る、化学官能基。
〔発明の要旨〕
本明細書には、ヒドロキシアミンを含む化合物とカルボニル含有化合物との反応のための促進剤を含んでいる方法、組成物、技術、および戦略が、記載されている。この促進剤の使用としては、オキシム含有化合物の合成に対する使用が見出されている。いくつかの実施形態では、促進剤は、カルボニル含有化合物と結合を形成する。したがって、この新規化合物は、ヒドロキシアミン含有化合物との反応性がより良好である。本明細書には、ヒドロキシアミン含有化合物と、カルボニル含有化合物との反応を調節することができる化合物が記載されている。また、本明細書には、ヒドロキシアミン含有化合物とカルボニル含有化合物との反応に関する活性化障壁を低減することができる化合物が記載されている。また、本明細書には、ヒドロキシアミン含有化合物とカルボニル含有化合物が含まれる反応に含まれるときに、オキシム含有化合物の形成速度を増加する化合物が、記載されている。ヒドロキシアミン含有化合物、カルボニル含有化合物、およびオキシム含有化合物には、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドが含まれる。カルボニル含有化合物は、芳香族ケトン部分を含んでいる化合物である。この芳香族ケトン部分を含んでいる化合物には、アミノ酸およびポリペプチドが含まれる。例えば、パラ−アセチルフェニルアラニン(pAcF)は、芳香族ケトン部分を含んでいるアミノ酸である。
1態様は、ヒドロキシアミン含有化合物とカルボニル含有化合物との間の反応速度を速めて、オキシム含有化合物を形成する化合物(本明細書では、促進剤と記載する)に関する。1実施形態では、ヒドロキシアミン含有化合物は、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドであり、カルボニル含有化合物は、所望の機能性を備えている。さらなる実施形態では、生じたオキシム含有化合物は、上記所望の基の1つ(すなわち所望の機能性)を備えている。関連する態様では、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドにおけるヒドロキシアミン含有部分と、所望の基(所望の機能性)を含んでいるカルボニル含有化合物との間の反応速度を速めて、所望の基を含むオキシム含有非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾された非天然アミノ酸を形成するために上記化合物が使用される。他の関連する態様では、反応混合物は、(i)促進剤、(ii)ヒドロキシアミン含有非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾された非天然アミノ酸ポリペプチド、および(iii)所望の基を含むカルボニル含有化合物を、含んでいる。他の関連する態様では、オキシム含有非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾された非天然アミノ酸は、所望の基を含んでおり、そのようなオキシム含有化合物は、促進剤の存在下において、ヒドロキシアミン含有非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドと、所望の基を含むカルボニル含有化合物とから形成される。1実施形態では、カルボニル基は、アルデヒドではない。別の実施形態では、カルボニル基は、芳香族ケトンである。
別の実施形態では、カルボニル含有化合物は、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾された非天然アミノ酸アミノ酸ポリペプチドであり、ヒドロキシアミン含有化合物は、所望の機能性を備えている。さらなる実施形態では、オキシム含有化合物は、上記基のうちの1つを含んでいる。関連する態様では、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾された非天然アミノ酸アミノ酸におけるカルボニル含有部分と、所望の基を含むヒドロキシアミン含有化合物との間の反応速度を速めて、所望の基を含むオキシム含有非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾された非天然アミノ酸アミノ酸を形成するために上記化合物が使用される。別の関連する態様では、反応混合物は、(i)促進剤、(ii)カルボニル含有非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾された非天然アミノ酸ポリペプチド、および(iii)所望の基を含むヒドロキシアミン含有化合物を、含有している。他の関連する態様では、オキシム含有非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾された非天然アミノ酸は、所望の基を含んでおり、そのようなオキシム含有化合物は、促進剤の存在下において、カルボニル含有非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドと、所望の基を含むヒドロキシアミン含有化合物とから形成される。1実施形態では、カルボニル基は、アルデヒドではない。別の実施形態では、カルボニル基は、芳香族ケトンである。
さらに他の態様は、少なくとも1つの適切な促進剤の選抜により、カルボニル含有化合物およびヒドロキシアミン含有化合物との反応を最適化して、オキシム含有化合物を形成する方法に関する。1実施形態では、そのような最適化には、異なる促進剤、促進剤の異なるモル比、またはそれらの組み合わせに基づいて、オキシム含有化合物の収率を比較する工程が含まれる。さらなる実施形態では、オキシム含有化合物の収率を、クロマトグラフィーにより監視する。別の実施形態では、上記最適化には、異なる促進剤、促進剤の異なるモル比、またはそれらの組み合わせに基づいて得られる副産物の量を比較する工程が含まれる。さらなる実施形態では、副産物の量を、クロマトグラフィーにより監視する。さらなる実施形態では、上記最適化には、反応条件(pHおよび温度など)をさらに変更する工程が含まれる。1実施形態では、カルボニル基はアルデヒドではない。別の実施形態では、カルボニル基は芳香族ケトンである。
1態様では、非天然アミノ酸は、本明細書に記載の促進剤の存在下において形成されたオキシム結合に基づいている。さらに、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸はポリペプチドに組み込まれる(すなわち、この実施形態は、非天然アミノ酸ポリペプチドである)。さらに、または追加の実施形態では、本明細書に記載の促進剤の存在下において形成されるオキシム結合を、誘導体化分子との反応により生じるような官能基が、非天然アミノ酸の側鎖に設けられている。さらに、または追加の実施形態では、本明細書に記載の促進剤の存在下において形成された非天然アミノ酸ポリペプチド(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)は、誘導体化分子と反応することができ、これにより、オキシム含有非天然アミノ酸ポリペプチドが生じる。さらに、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸は、カルボニル、ジカルボニル、またはヒドロキシアミンの側鎖を有しているアミノ酸から選択される。さらに、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸は、ケトンまたはアルデヒドから選択されるカルボニルまたはジカルボニルの側鎖を含んでいる。別の実施形態では、非天然アミノ酸は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、適切に官能基化された共反応剤による処置に基づいて、オキシムを形成することができる官能基を含んでいる。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある。さらに、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸は、天然アミノ酸と構造において類似しているが、上記官能基のうちの1つを含んでいる。別の、またはさらなる実施形態では、非天然アミノ酸は、フェニルアラニンまたはチロシン(芳香族アミノ酸)に類似しているが、もう1つ別の実施形態では、非天然アミノ酸はアラニンおよびロイシン(疎水性アミノ酸)である。1実施形態では、非天然アミノ酸は、天然アミノ酸とは異なる特性を有している。1実施形態では、そのような異なる特性は、側鎖の化学反応性である。さらなる実施形態では、異なる化学反応性により、ポリペプチドのユニットである非天然アミノ酸の側鎖は反応することができるが、同じポリペプチドにおける天然に生じるアミノ酸ユニットの側鎖は反応することができない。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、天然に生じるアミノ酸の側鎖に対して化学的に直交である。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、求電子物質含有部分を含んでいる。さらなる実施形態では、本明細書に記載の促進剤の存在下において、オキシムで誘導体化されたタンパク質を生成するために、非天然アミノ酸の側鎖における求電子物質含有部分が、求核攻撃される。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある。本段落における上記実施形態の何れかでは、非天然アミノ酸は、遊離した分子として存在して存在してもよいし、任意の長さのポリペプチドに組み込まれてもよい。後者の場合は、ポリペプチドに、天然に生じるアミノ酸、または非天然アミノ酸がさらに組み込まれていてもよい。1実施形態では、カルボニル基はアルデヒドではない。別の実施形態では、カルボニル基は芳香族ケトンではない。
1態様は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、オキシム結合に基づく誘導体化された非天然アミノ酸ポリペプチドを製造するためのヒドロキシアミンで置換された(ヒドロキシアミン置換)分子に関する。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある。さらなる実施形態では、ヒドロキシアミン置換分子は、カルボニルまたはジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドを誘導体化するために用いられる。この誘導体化は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、誘導体化分子とカルボニルまたはジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドとの間に、オキシム結合を形成することによって行われる。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある。さらなる実施形態では、上記カルボニル、またはジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドは、ケト含有非天然アミノ酸ポリペプチドである。さらに、または追加の実施形態では、上記カルボニル、またはジカルボニル含有非天然アミノ酸は、ケトンまたはアルデヒドから選択される側鎖を含んでいる。さらに、または追加の実施形態では、上記ヒドロキシアミン置換分子は、所望の機能性を含んでいる。さらに、または追加の実施形態では、上記ヒドロキシアミン置換分子は、ヒドロキシアミン置換ポリエチレングリコール(PEG)分子である。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、天然アミノ酸の側鎖に対して化学的に直交である。これにより、本明細書に記載の促進剤の存在下において、非天然アミノ酸とヒドロキシアミン置換分子とを選択的に反応させることができる。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、ヒドロキシアミン含有分子と選択的に反応する求電子物質含有部分を含んでいる。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖における求電子物質含有部分は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、オキシムで誘導体化されたタンパク質を生成するために求核攻撃される。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある。本段落に記載の実施形態に関連するさらに別の態様では、修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドは、本明細書に記載の促進剤の存在下において、誘導体化分子と非天然アミノ酸ポリペプチドとの反応から生じる。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある。さらなる実施形態には、すでに修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドが、さらに任意に修飾されたものが含まれる。1実施形態では、カルボニル基はアルデヒドではない。別の実施形態では、カルボニル基は芳香族ケトンである。
別の態様では、オキシム結合に基づいて、誘導体化された非天然アミノ酸ポリペプチドを製造するためのカルボニル、またはジカルボニルで置換された(カルボニルまたはジカルボニル置換)分子に関する。ここで、上記オキシム結合は、本明細書に記載の促進剤の存在下において形成される。なお、上記反応は、本明細書に記載の促進剤が無い場合に効率が低いことがある。さらなる実施形態では、カルボニルまたはジカルボニル置換分子は、本明細書に記載の促進剤の存在下におけるオキシム結合の形成により、ヒドロキシアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドを誘導体化するために用いられる。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある。さらなる実施形態では、カルボニルまたはジカルボニル置換分子は、アルデヒドで置換された(アルデヒド置換)分子、またはケトンで置換された(ケトン置換)部分である。さらなる実施形態では、カルボニルまたはジカルボニル置換分子は、所望の機能性を含んでいる。さらに、または追加の実施形態では、アルデヒド置換分子は、アルデヒド置換ポチエチレングリコール(PEG)分子である。さらに、または追加の実施形態では、ケトン置換分子は、ケトン置換ポチエチレングリコール(PEG)分子である。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、天然に生じるアミノ酸の側鎖に対して化学的に直交である。これにより、本明細書に記載の促進剤の存在下において、非天然アミノ酸とカルボニルまたはジカルボニル置換分子とを選択的に反応させることができる。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、カルボニル、またはジカルボニル含有分子と選択的に反応する部分(ヒドロキシアミン基など)を含んでいる。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖における求電子物質含有部分は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、オキシムで誘導体化されたタンパク質を生成するために求核攻撃され得る。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある。本段落に記載の実施形態に関連するさらに別の態様では、修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドは、本明細書に記載の促進剤の存在下において、誘導体化分子と非天然アミノ酸ポリペプチドとの反応から生じる。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある。さらなる実施形態には、すでに修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドが、さらに任意に修飾されたものが含まれる。1実施形態では、カルボニル基はアルデヒドではない。別の実施形態では、カルボニル基は芳香族ケトンである。
別の態様では、1官能性リンカー、2官能性リンカー、および多官能性リンカーは、本明細書に記載の促進剤の存在下において形成されるオキシム結合に基づいて、誘導体化された非天然アミノ酸ポリペプチドを生成するためのものである。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある。1実施形態では、本明細書に記載の促進剤の存在下において、分子リンカー(2官能性および多官能性)を用いて、カルボニル、またはジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドを、他の分子に連結することができる(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。別の実施形態では、本明細書に記載の促進剤の存在下において、分子リンカー(2官能性および多官能性)を用いて、ヒドロキシアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドを、他の分子に連結することができる(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。別の実施形態では、カルボニル、またはジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドは、ケトおよび/またはアルデヒドの側鎖を含んでいる。ヒドロキシアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドを利用する1実施形態では、分子リンカーは、その末端においてカルボニル基、またはジカルボニル基を含んでいる。さらなる実施形態では、カルボニル、またはジカルボニルは、アルデヒド基またはケト基から選ばれる。さらに、または追加の実施形態では、ヒドロキシアミン置換リンカー分子は、ヒドロキシアミン置換ポリエチレングリコール(PEG)リンカー分子である。さらに、または追加の実施形態では、カルボニルまたはジカルボニル置換リンカー分子は、カルボニルまたはジカルボニル置換ポリエチレングリコール(PEG)リンカー分子である。本明細書における文言「他の分子」としては、例えば、タンパク質、他の非分岐鎖状のポリマー、他の分岐鎖状のポリマー、低分子、および「所望の機能性」として識別される基が挙げられる。さらに、または追加の実施形態では、ヒドロキシアミン含有分子リンカーは、全ての末端に同じか、または同等の基を含んでいる。これによれば、本明細書に記載の促進剤の存在下における、カルボニル、またはジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドとの反応により(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)、生じる産物を、カルボニル、またはジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドのホモマルチマー化(ホモ多量体化)することができる。さらなる実施形態では、ホモマルチマー化は、ホモ2量体化である。さらに、または追加の実施形態では、カルボニル、またはジカルボニル含有分子リンカーは、全ての末端に同じか、同等の基を含んでいる。これによれば、本明細書に記載の促進剤の存在下における、ヒドロキシアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドとの反応により(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)、生じる産物を、ヒドロキシアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドのホモマルチマー化(ホモ多量体化)することができる。さらなる実施形態では、ホモマルチマー化は、ホモ2量体化である。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、天然アミノ酸の側鎖に対して化学的に直交である。これにより、本明細書に記載の促進剤の存在下において、非天然アミノ酸とヒドロキシアミン置換リンカー分子とを選択的に反応させることができる(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、天然アミノ酸の側鎖に対して化学的に直交である。これにより、本明細書に記載の促進剤の存在下において、非天然アミノ酸と、カルボニルまたはジカルボニル置換リンカー分子とを選択的に反応させることができる(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、ヒドロキシアミン含有リンカー分子と選択的に反応する求電子物質含有部分を含んでいる(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖における求電子物質含有部分は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、ヒドロキシアミン含有リンカー分子によって求核攻撃されて、オキシムで誘導体化されたタンパク質が生成する(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。本段落に記載の実施形態に関連するさらに別の態様では、修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドは、本明細書に記載の促進剤の存在下において、リンカー分子と非天然アミノ酸ポリペプチドとの反応から生じる。さらなる実施形態には、すでに連結された(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドが、さらに任意に修飾されたものが含まれる。1実施形態では、カルボニル基はアルデヒドではない。別の実施形態では、カルボニル基は芳香族ケトンである。
1態様は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、カルボニル、またはジカルボニルとヒドロキシアミンとを縮合して、オキシムに基づく産物を生成することにより、タンパク質を誘導体化する方法に関する(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。この態様には、カルボニル、またはジカルボニル含有反応物質とヒドロキシアミン含有反応物質との縮合により、オキシムで誘導体化されたタンパク質の付加化合物を生成することに基づいてタンパク質を誘導体化する方法が含まれる。さらに、または追加の実施形態は、ヒドロキシアミンで官能基化されたポリエチレングリコール(PEG)分子により、ケト含有タンパク質を誘導体化する方法に関する。さらに、または追加の態様では、ヒドロキシアミン置換分子は、タンパク質、他の分岐鎖状のポリマー、他の分岐のポリマー、低分子、および「所望の機能性」として識別される基を含んでいてもよい。1実施形態では、1実施形態では、カルボニル基はアルデヒドではない。別の実施形態では、カルボニル基は芳香族ケトンである。
別の態様は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、ケトで置換された(ケト置換)タンパク質を誘導体化するためのヒドロキシアミン置換分子の化学合成方法に関する(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。1実施形態では、ヒドロキシアミン置換分子は、ペプチド、他の非分岐鎖状のポリマー、他の分岐鎖状のポリマー、低分子、および「所望の機能性」として識別される基を含んでいてもよい。1実施形態は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、カルボニル基、またはジカルボニル基含有非天然アミノ酸ポリペプチド(ケト含有非天然アミノ酸ポリペプチドなど)の誘導体化に適したヒドロキシアミン置換分子を調製するための方法に関する(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。さらに、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸は、タンパク質のインビボでの翻訳の間に、部位特異的に組み込まれる。さらに、または追加の実施形態では、ヒドロキシアミン置換分子により、カルボニル基、またはジカルボニル基の求核攻撃により、部位特異的な様式によりオキシムで誘導体化されるポリペプチドが生成される。これによれば、カルボニル基、またはジカルボニル基含有非天然アミノ酸の部位特異的な誘導体化が可能になる。上記オキシムで誘導体化されるポリペプチドは、本明細書に記載の促進剤の存在下において、形成されるが、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある。さらに、または追加の実施形態では、ヒドロキシアミン置換分子を調製する方法により、部位特異的に誘導体化された多種多様なポリペプチドを得るための手段が提供される。さらに、または追加の実施形態では、ヒドロキシアミンで官能基化されたポリエチレングリコール(PEG)分子の合成方法に関する。
別の態様では、ヒドロキシアミン含有2官能性リンカーを用いて、本明細書に記載の促進剤の存在下において、カルボニルまたはジカルボニル置換非天然アミノ酸ポリペプチドを化学的に誘導体化する方法に関する(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。1実施形態では、方法は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、オキシム結合を生成させるために、ヒドロキシアミン置換リンカーに、カルボニルまたはジカルボニル置換タンパク質を、縮合反応により連結する方法である(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。さらに、または追加の実施形態では、カルボニルまたはジカルボニル置換非天然アミノ酸は、ケト置換非天然アミノ酸である。さらに、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、ヒドロキシアミン含有2官能性リンカーを用いて、部位特異的に、および/または3次元構造を正確に制御しながら誘導体化される。1実施形態では、上記方法を用いて、分子リンカー(1官能性、2官能性、および多官能性)を、カルボニル、またはジカルボニル含有(ケト含有)非天然アミノ酸ポリペプチドに結合させる。リンカーの末端の少なくとも1つは、本明細書に記載の促進剤の存在下において、カルボニル、またはジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドに、オキシム結合を介して連結することができるヒドロキシアミン基を含んでいる(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。さらに、または追加の実施形態では、上記リンカーを用いて、カルボニル、またはジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドを他の分子(タンパク質、他の分岐鎖状のポリマー、他の分岐のポリマー、低分子、および「所望の機能性」として識別される基など)に連結する。1実施形態では、カルボニル基はアルデヒドではない。別の実施形態では、カルボニル基は、芳香族ケトンである。
いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、水溶性ポリマーに結合される。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)部分を含んでいる。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は、2官能性ポリマーである。いくつかの実施形態では、2官能性ポリマーは、第2ポリペプチドと結合する。いくつかの実施形態では、第2ポリペプチドは、第1ポリペプチドと同一である。他の実施形態では、第2ポリペプチドは、異なるポリペプチドである。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、ポリ(エチレングリコール)部分を含んでいる水溶性ポリマーに結合される少なくとも2つのアミノ酸を含んでいる。
いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、非天然アミノ酸ポリペプチドの受容体に対する親和性を増加させる置換、付加または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、非天然アミノ酸ポリペプチドの安定性を増加させる置換、付加、または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、非天然アミノ酸ポリペプチドの水溶性を増加させる置換、付加、または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、宿主細胞において製造される非天然アミノ酸ポリペプチドの溶解性を増加させる置換、付加、または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、置換、付加、または欠失されていない非天然アミノ酸ポリペプチドと比べて、プロテアーゼ耐性、血中半減期安定性、免疫原性、および/または発現を増加させる置換、付加、または欠失を含んでいる。
いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、部分アンタゴニスト、またはインバースアゴニストである。いくつかの実施形態では、アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、部分アンタゴニスト、またはインバースアゴニストは、水溶性ポリマーに結合される非天然アミノ酸を含んでいる。いくつかの実施形態では、水ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)部分を含んでいる。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーに結合される非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドは、対応する受容体の2量体化を抑制するものである。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーに結合される非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドは、該ポリペプチドと結合パートナーとの結合を調節するものである。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーに結合される非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドは、該ポリペプチドの1以上の特性または活性を調節するものである。
また、本明細書には、水溶性ポリマーと結合した非天然アミノ酸ポリペプチドを作製する方法が記載されている。いくつかの実施形態では、この方法は、非天然アミノ酸を含んでいる単離したポリペプチドと、本明細書に記載の促進剤の存在下において上記非天然アミノ酸と反応する部分を含んでいる水溶性ポリマーとを接触させる工程を含んでいる。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある。いくつかの実施形態では、組み込まれた非天然アミノ酸は、水溶性ポリマーに対する反応性を示す(また該水溶性ポリマーは、20の共通アミノ酸の何れかと反応しない)。1実施形態では、該水溶性ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)部分を含んでいる。該ポリマーの分子量の範囲は広くてもよく、例えば、約100Da〜約100,000Daの間であってもよい。また、該ポリマーの分子量は、約100Da〜約100,000Daの間であってもよく、この範囲には、例えば、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、1,000Da、900Da、800Da、700Da、600Da、500Da、400Da、300Da、200Da、および100Daなどが含まれる。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約100Da〜約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約100Da〜約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約1,000Da〜約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約5,000Da〜約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約10,000a〜約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は、分岐鎖状のポリマーである。分岐鎖状のポリ(エチレングリコール)(PEG)の分子量は、約1,000a〜約100,000Daの間であってもよく、この範囲には、例えば、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、および1,000Daなどが含まれる。いくつかの実施形態では、分岐鎖状のPEGの分子量は、約1,000a〜約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、分岐鎖状のPEGの分子量は、約1,000a〜約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、分岐鎖状のPEGの分子量は、約5,000a〜約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、分岐鎖状のPEGの分子量は、約5,000a〜約20,000Daの間である。
また、本明細書には、本明細書に記載の非天然アミノ酸の少なくとも1つ、および薬学的に許容可能な担体を含んでいる組成物が記載されている。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸は水溶性ポリマーに結合される。また、本明細書には、薬学的に許容可能な担体、および少なくとも1つのアミノ酸が非天然アミノ酸に置換されているポリペプチドを含んでいる薬学的組成物が、記載されている。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸は糖類部分を含んでいる。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、糖類部分を介してポリペプチドに結合する。また、本明細書には、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドのプロドラッグが記載されている。さらに、本明細書には、そのようなプロドラッグと薬学的に許容可能な担体とを含んでいる組成物が、開示されている。また、本明細書には、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドの代謝産物が記載されている。そのような代謝産物は、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドの活性と補足的に、または相乗的に働く所望の活性を有していてもよい。また、本明細書には、所望の代謝産物を生物(該代謝産物を必要とする生物など)に提供するための、本明細書に記載の非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドの使用が記載されている。
また、本明細書には、本明細書に記載の非天然アミノ酸のライブラリー、本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドのライブラリー、または、本明細書に記載の修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドのライブラリー、あるいは、それらを組み合わせたライブラリーが記載されている。ライブラリーのメンバーは、本明細書に記載の促進剤の存在下において、形成されたオキシム結合を含んでいる(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。
また、本明細書には、(i)本明細書に記載のライブラリーを、所望の活性についてスクリーニングする方法、(ii)本明細書に記載のライブラリーをスクリーニングするために、アレイを用いる方法、または、(iii)化合物および/もしくはポリペプチドおよび/もしくはポリヌクレオチドを、所望の活性についてスクリーニングする方法が記載されている。また、本明細書には、ライブラリーのスクリーニングから、新規な治療薬を開発および発見するための上記活性の使用、ならびに該治療薬(自体)の使用が記載されている。
また、本明細書には、低分子の接合を促進する方法が、記載されている。該接合としては、例えば、ある試薬におけるヒドロキシアミン基と、もう1つ別の試薬におけるカルボニル基との接合であって、両試薬は非天然アミノ酸ではない接合が挙げられる。つまり、本明細書に記載の促進剤は、非天然アミノ酸および非天然アミノ酸ポリペプチドのさらなる官能基化に限定されるのではなく、任意の2つの試薬間におけるオキシム結合の形成を促進するために用いることができる。例えば、この実施形態には、ヒドロキシアミン含有試薬とカルボニル含有試薬とから、ダイナミックライブラリーを形成/構築するための促進剤の使用が含まれる。当然、上記ダイナミックライブラリーには、非天然アミノ酸が含まれるが、これに限定されない。
また、本明細書には、ポリペプチドの治療半減期、血中半減期、または循環時間を増加させる方法が記載されている。上記方法は、天然に生じるポリペプチドにおける任意の1以上のアミノ酸を、非天然アミノ酸に置換する工程、および/または、天然に生じるポリペプチドへ非天然アミノ酸を付加する工程、および/または、本明細書記載の促進剤の存在下において形成されるオキシム結合を介して天然に生じるポリペプチドと水溶性ポリマーと結合する工程を含んでいる(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)
また、本明細書には、治療が必要な患者を、有効量の薬学的組成物および薬学的に許容可能な担体を用いて治療する方法が記載されている。該薬学的組成物は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、形成されるオキシム結合を含んでいる非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドを含有している(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸は、水溶性ポリマーと結合される。
上記の態様または実施形態の何れかにおいて、促進剤の使用は、1つの促進剤または複数の促進剤の使用を含んでいる。さらに、上記の態様または実施形態の何れかにおいて、促進剤のカルボニル含有化合物に対するモル比には、約0.5:1〜5000:1の間の値が含まれる。また上記モル比としては、例えば、4000:1、3000:1、2000:1、1000:1、500:1、400:1、300:1、200:1、100:1、50:1、40:1、30:1、20:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、および0.5:1が挙げられる。また、上記の態様または実施形態の何れかにおいて、促進剤のヒドロキシアミン含有化合物に対するモル比には、約0.5:1〜5000:1の間の値が含まれる。また、上記モル比としては、4000:1、3000:1、2000:1、1000:1、500:1、400:1、300:1、200:1、100:1、50:1、40:1、30:1、20:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、および0.5:1が挙げられる。さらに、上記の態様または実施形態の何れかにおいて、促進剤は、生じるオキシム含有化合物から真空中で実質的に除去することができる化合物を含んでいる。また、上記の態様または実施形態の何れかにおいて、促進剤は、アミン部分、セミカルバジド部分、ヒドラジン部分、ヒドラジド部分を含んでいる化合物を含有している。
さらに、上記の態様または実施形態の何れかにおいて、促進剤は、2官能性芳香族アミン、オキソアミン誘導体、および、下記の構造を有する化合物から成る群から選択される。
Figure 0005508716
(ここで、R、R、およびRは、L−H、L−アルキル、L−アリール、L−ヘテロアリール、L−アルケニル、L−アルキニル、L−アルコキシ、およびL−アルキルアミンから成る群から選ばれ、Lは結合を示し、C(=O)、C(=NH)、C(=NH)−NH、SO、およびSOである)。
さらなる実施形態では、促進剤は、2官能性芳香族アミンである。さらなる実施形態では、芳香族アミンは、下記の2官能性芳香族アミンの群から選択される。
Figure 0005508716
さらなる実施形態では、促進剤は、オキソアミン誘導体である。さらなる実施形態では、オキソアミン誘導体は、下記のオキソアミン誘導体の群から選択される。
Figure 0005508716
さらなる実施形態では、促進剤は、下記の化合物から成る群から選択される化合物を含んでいる。
Figure 0005508716
(ここで、R、R、およびRは、L−H、L−アルキル、L−アリール、L−ヘテロアリール、L−アルケニル、L−アルキニル、L−アルコキシ、およびL−アルキルアミンから成る群から選ばれ、Lは結合を示し、C(=O)、C(=NH)、C(=NH)−NH、SO、およびSOである)。また、上記の態様または実施形態の何れかにおいて、促進剤は、図5、図9または図10に示される化合物から選ばれ、例えば、図5の化合物6,8,10,7,および20が挙げられる。また、上記の態様または実施形態の何れかにおいて、促進剤は、カルボニル含有基との反応によりヒドラゾンを形成することができる作用物質を含んでいる。また、上記の態様の何れかにおいて、促進剤の活性は、ケトン部分の反応速度と、生じる中間体の安定性とに依存する。また、上記の態様または実施形態の何れかにおいて、促進剤、カルボニル含有化合物、およびヒドロキシアミン含有化合物を含んでいる反応混合物のpHは、約2.0〜10の間、約2.0〜9.0の間、約2.0〜8.0、約3.0〜7.0の間、約4.0〜6.0の間、3.0〜10.0の間、約4.0〜10.0の間、約3.0〜9.0の間、約3.0〜8.0の間、約2.0〜7.0の間、約3.0〜6.0の間、約4.0〜9.0の間、約4.0〜8.0の間、約4.0〜7.0の間、約4.0〜6.5の間、約4.5〜6.5の間、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、および約7.0である。ところで、本明細書に記載の任意のpH範囲について、低いpHの値と高いpHの値とに言及する「約〜の間」という文言における「約」は、低いpHと高いpHとの両方に適用されることを意味していることに注意されたい。例えば、「約3.0〜10.0の間」は、「約3.0〜約10.0の間」と同じ意味である。さらに、特に断らない限りは、本明細書に示された任意の範囲について、次のことを理解されたい。すなわち、「約」は下限値の前に示されており、上限値の前を示されていないとき(あるいは、「約」が、上限値の前に置かれているが、下限値の前に置かれていないとき)、「約」という言葉は、範囲における上限値および下限値の両方の前に示されていることを意味していると理解されたい。
さらに、上記の態様または実施形態の何れかにおいて、用語「促進剤」は、下記の特性を少なくとも1つ有している化合物である。(a)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との間のオキシム含有化合物を形成する反応速度を上昇させる特性(反応速度の増加は促進剤の非存在下における反応に相関する);(b)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との間のオキシム含有化合物を形成する反応の活性化エネルギーを減少させる特性(活性化エネルギーの減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(c)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応から生じるオキシム含有化合物の収量を増加させる特性(収量の増加は促進剤の非存在下における反応に相関する);(d)ヒドロキシルアミン含有化合物と反応するカルボニル含有化合物のオキシム含有化合物を形成する温度を低下させる特性(温度の低下は促進剤の非存在下における反応に相関する);(e)オキシム含有化合物を形成するカルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物の反応に必要な時間を減少させる特性(時間の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(f)オキシム含有化合物の形成に必要な試薬量を減少させる特性(試薬量の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(g)オキシム含有化合物を形成するカルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応から生じる副生成物を減少させる特性(副生成物の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(h)促進剤の存在下においてオキシムを形成する反応を行っても、ポリペプチドの三次構造は回復不可能な破壊を受けないという特性(そのような三次構造を破壊することを目的とした場合は、当然除かれる);(i)真空中でオキシム含有化合物から分離され得る特性;および(j)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応を調節する特性。さらなる実施形態では、促進剤は、上記特性のうち少なくとも2つ、上記特性のうち3つ、上記特性のうち4つ、上記特性のうち5つ、上記特性のうち6つ、上記特性のうち7つ、上記特性のうち8つ、上記特性のうち9つ、または上記特性の全てを有する。さらなる実施形態では、促進剤は上記特性を1つも有しない。
本明細書記載の方法および組成物は、本明細書に記載の特性の方法論、プロトコール、細胞株、コンストラクト、および試薬に限定されず、変更されてもよいことを理解されたい。また、本明細書で用いられている専門用語は、特性の実施形態のみを記載するために用いられているのであって、本明細書に記載の方法および組成物の限定は意図されていないことを理解されたい。なお、本明細書に記載の方法および組成物は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる、「a」、「an」および「the」という単数形の形態は、内容から明らかに分かるものを除いて、複数形の形態も含んでいる。
特に定義されない限り、本明細書で用いられた全ての技術用語および科学用語は、本明細書に記載の本発明が属する技術における当業者の一人によって、一般的に理解される意味と同じ意味を有している。本明細書に記載の方法、装置、および材料と、同等または類似の任意のものを、本明細書に記載の発明の実施または試験に用いることができるが、好ましい方法、装置、および材料が、本明細書に記載されている。
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」および「アルキルチオ(またはチオアルコキシ)」は、従来の意味において用いられ、酸素原子、アミノ基、または硫黄原子のそれぞれを介して、分子の残基に結合するアルキル基のことをいう。
用語「アルキル」は、それ自体または別の置換基の一部として、特に断りの無い限り、直鎖状、分岐鎖状、または環状の炭化水素の遊離基(ラジカル)、あるいはそれらの組み合わせを意味する。また、それらは、完全飽和、単不飽和、またはポリ不飽和であってもよい。また、それらは、炭素数が指定された2価の遊離基および多価の遊離基を含んでいてもよい。すなわち、C1−10は、1から10の炭素を意味する。飽和炭化水素の遊離基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、およびシクロプロピルメチル、ならびにn−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、およびn−オクチルなどの同族体と異性体とが挙げられる。不飽和アルキル基は、1以上の2重または3重結合を有しているものである。不飽和アルキルとしては、例えば、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタンジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニル、ならびに、高級同族体および異性体などが挙げられる。また、用語「アルキル」は、特に断りの無い限り、下記においてより詳細に定義されるアルキルの誘導体(ヘテロアルキルなど)を含むことを意図している。炭化水素基に限定されないアルキル基のことを、「ホモアルキル」という。
用語「アルキレン」は、それ自体または別の置換基の一部として、アルカンから誘導された2価の遊離基を意味する。アルキレンとしては、例えば、−CHCH−および−CHCHCHCH−という構造が挙げられる。また、アルキレンには、以下の「ヘテロアルキレン」として定義される基が含まれる。通常、アルキル(またはアルキレン)基は、1から24までの炭素原子を有している。なお、本明細書に記載の方法および組成物の特定の実施形態では、これらの基は、10以下の炭素原子を有している。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、アルキル基またはアルキレン基における鎖がより短いもののことであり、一般的に、8以下の炭素原子を有している。
用語「アミノ酸」は、天然に生じるアミノ酸、および非天然アミノ酸、ならびに、天然に生じるアミノ酸と同様の様式において機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模擬体のことをいう。天然にコードされるアミノ酸は、20の共通アミノ酸、ピロリジン、およびセレノシステインである。上記20の共通アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンである。アミノ酸類似体は、天然に生じるアミノ酸と基本的な化学構造(すなわち、炭素が、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合している構造)が同じである化合物のことをいい、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムなどが挙げられる。上記類似体では、R基が修飾されている(ノルロイシンなど)か、またはペプチド骨格が修飾されているが、基本的な化学構造が天然に生じるアミノ酸と同じである。
アミノ酸が本明細書に示されるときは、IUPAC−IUB生物化学命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)から推薦されている公知の3文字表記、または1文字表記のどちらかが用いられてもよい。同様に、ヌクレオチドは、共通に受け入れられている1文字暗号により示されてもよい。
「アミノ末端修飾基」は、ポリペプチドのアミノ末端に結合することができる任意の分子のことをいう。同様に、「カルボキシ末端修飾基」は、ポリヌクレオチドのカルボキシ末端に結合することができる任意の分子のことをいう。末端修飾基としては、例えば、水溶性ポリマー、血清アルブミンなどのペプチドまたはタンパク質、あるいは、ペプチドの血中半減期を増加させる他の部分などが挙げられる。
「抗体断片」は、抗体の形態が、全長以外の任意の他の形態のことを意味する。本明細書でいう抗体断片は、全長の抗体中に存在するより小さい構成要素である抗体、および操作された抗体を含んでいる。抗体断片としては、例えば、Fv、Fc、Fab、および(Fab’
、一本鎖Fv(scFv)、2重特異性抗体、3重特異性抗体、4重特異性抗体、2官能性ハイブリッド抗体、CDRl、CDR2、CDR3、各CDRの組み合わせ、可変領域、フレームワーク領域、定常領域、重鎖、軽鎖、および可変領域、ならびに、代用の骨格を有する非抗体分子、および2重特異性抗体などが挙げられる。(「Maynard & Georgiou, 2000, Annu. Rev. Biomed. Eng. 2:339-76」、「Hudson, 1998, Curr. Opin. Biotechnol. 9:395-402」)。別の機能的な構造は、ペプチドリンカーにより共有結合された、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の可変領域から構成される一本鎖Fv(scFv)である(「S-z Huら, 1996, Cancer Research, 56, 3055-3061」)。これら低タンパク質(Mr25,000)では、一般的に、1つのポリペプチドにおいて抗原に対する親和性と特異性とが保たれており、より大きい抗原特異的分子を構成する有用な基礎的要素となり得る。特に注意しない限り、用語「抗体」に関する記述および権利範囲には、具体的に、「抗体断片」が含まれる。
用語「アリール」は、特に断りの無い限り、ポリ不飽和芳香族炭化水素の置換基を意味する。この置換基は、(i)単環、または(ii)一緒に融合もしくは共有結合した複環であり、例えば、1から3までの環が挙げられる。用語「ヘテロアリール」は、N、OおよびSから選択される1から4までのヘテロ原子を含んでいるアリール基(環)のことである。上記ヘテロアリールでは、窒素原子および硫黄原子が、必要に応じて酸化されたり、窒素原子が必要に応じて4級化されたりしている。ヘテロアリール基を、ヘテロ原子を介して分子の残基に結合させることができる。アリール基およびヘテロアリール基としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル(purinyl)、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリルが挙げられる。上記の各アリール環系およびヘテロアリール環系のための置換基は、以下に記載の許容可能な置換基から選択される。
簡潔には、他の用語と一緒に用いたときの用語「アリール」(アリールオキシ、アリールチオキシ、アラルキルなど)は、上記において定義したようなアリール環およびヘテロアリール環の両方を含む。したがって、用語「アラルキル」または「アルカリル」は、アリール基がアルキル基と結合している遊離基を含むことを意味し、例えば、ベンジル、フェネチル、およびピリジルメチルなどが挙げられる。また、上記アルキル基が、炭素原子が酸素原子により置換されているアルキル基である場合は、「アラルキル」または「アルカリル」としては、例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、および3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなどが挙げられる。
「2官能性ポリマー」は、他の部分(アミノ酸の側鎖など)と特異的に反応して、共有または非共有結合を形成することができる官能基を2つ別々に含んでいるポリマーのことをいう。2官能性リンカーでは、一方の官能基は、特定の生物活性を有する構成要素における基と反応し、もう一方の官能基は第2の生物活性を有する構成要素における基と反応する。この2官能性リンカーを用いて、第1の生物活性を有する構成要素、2官能性リンカーおよび第2の生物活性を有する構成要素を含んでいる接合体を形成してもよい。様々な化合物をペプチドに結合させるための多くの手法およびリンカー分子が公知である。例えば、「欧州特許出願公開第188,256号明細書、米国特許第4,671,958号明細書、米国特許第4,659,839号明細書、米国特許第4,414,148号明細書、米国特許第4,699,784号明細書、米国特許第4,680,338号明細書、および米国特許第4,569,789号明細書を参照のこと。これらは参照によって、本明細書に組み込まれる。「多官能性ポリマー」は、他の部分(アミノ酸の側鎖など)と特異的に反応して、共有または非共有結合を形成することができる官能基を2以上別々に含んでいるポリマーのことをいう。2官能性ポリマーまたは多官能性ポリマーは、任意の所望の長さ、もしくは分子量であってもよいし、さらに、化合物に結合する1以上の分子と、該化合物もしくは該化合物に結合する分子との間に特定の間隔または立体構造を提供してもよい。
本明細書で用いられる用語「生物活性分子(生物学的に活性な分子)」、「生物活性部分」、または「生物活性剤」は、生物に関する生物学的な系、経路、分子、または相互作用における任意の物理特性もしくは生物化学特性に影響を与えることができる任意の物質のことを意味する。上記生物としては、例えば、ウィルス、細菌、バクテリオファージ、トランスポゾン、プリオン、昆虫、真菌、植物、動物、およびヒトが挙げられる。特に、本明細書で用いられるような生物活性分子には、ヒトまたは他の動物における疾患の診断、回復、鎮静、治療、または予防を意図される任意の物質、あるいは、ヒトまたは動物の身体的もしくは精神的な健康状態を増強するための任意の物質が含まれるが、これらに限定されない。生物活性分子としては、例えば、ペプチド、タンパク質、酵素、低分子薬物、ハードドラッグ、ソフトドラッグ、炭水化物、無機原子または分子、染料、脂質、ヌクレオシド、放射性核種、オリゴヌクレオチド、毒素、細胞、ウィルス、リポソーム、微粒子、およびミセルなどが挙げられる。本明細書に記載の方法および組成物と一緒に使用するための生物活性剤の種類としては、薬物、プロドラッグ、核種、造影剤、ポリマー、抗生物質、殺菌剤、抗ウィルス剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、心・血管作動薬、抗不安剤、ホルモン、成長因子、ステロイド剤、および細菌由来の毒素などが挙げられる。
本明細書で用いられるような「共フォールディング」は、具体的には、互いに相互作用する少なくとも2つのポリペプチドを用いて、折りたたまれていないか、不適切に折りたたまれたポリペプチドを、自然の適切に折りたたまれたポリペプチドへ変形させる、リフォールディング処理、反応または方法のことをいう。
本明細書で用いられるような「比較ウィンドウ」は、20から600までから成る群から選択される連続した位置の数のうちの何れか1つの部分を参照することを含んでいる。また、上記連続した数は、一般的には、約50から約200であり、より一般的には約100から150である。2つの配列を最適に整列した後に、配列を参照配列と、連続した部位において同数で比較してもよい。比較のために配列を整列させる方法は、公知である。比較のための配列の最適な整列を、例えば、(i)「Smith and Waterman (1970) Adv. Appl. Math. 2:482c」の局所的相同性アルゴリズム(local homology algorithm)、(ii)「Needleman and Wunsch (1970) J. MoI. Biol. 48:443」の相同性整列アルゴリズム(homology alignment algorithm)、(iii)「Pearson and Lipman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444」の類似性に関する検索方法、(iv)これらアルゴリズムのコンピューターによる実施(GAP, BESTFIT, FASTA, and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI)、あるいは、(v)手動による整列と目視検査と(例えば、「Ausubelら, Current Protocols in Molecular Biology (1995 supplement) 」を参照のこと)によって、実施することができる。
配列同一性および配列類似性の百分率を決定するために適したアルゴリズムとしては、例えば、BLASTとBLAST2.0とが挙げられる。これらは、「Altschulら (1997) Nuc. Acids Res. 25:3389-3402」および「Altschulら (1990) J. MoI. Biol. 215:403-410」にそれぞれ記載されている。BLAST解析を実行するためのソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)を介して、公的に利用することができる。BLASTアルゴリズムのパラメーター、W、TおよびXにより、整列(アライメント)の感度と速度とが決定される。ヌクレオチド配列用のBLASTNプログラムは、初期値として、11のワード長(W)、期待値(E)または10、M=5、N=4、および両方の鎖の比較を使用している。アミノ酸配列用のBLASTPプログラムは、初期値として、3のワード長、10の期待値(E)、および50のBLOSUM62得点集団(「Henikoff & Henikoff (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915」を参照のこと)の整列(B)、10の期待値(E)、M=5、N=4および両方の鎖の比較を用いている。BLASTアルゴリズムは、通常、「低い複雑性」のためのフィルタを使用することなく実施される。
また、BLASTアルゴリズムにより、2つの配列間における類似性を統計解析(例えば、「Karlin & Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5787 (1993) 」を参照のこと)することができる。BLASTアルゴリズムによって与えられる類似性の測定の1つは、2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の間における適合が偶然に生じる可能性の指標を与える最小総和確率(P(N))である。例えば、参照核酸に対する試験核酸の比較において最小総和確率が約0.2未満、約0.01未満または約0.001未満であるならば、核酸は、参照配列と類似していると考えられる。
用語「保存的に修飾されたバリアント」は、アミノ酸および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸に関して、「保存的に修飾されたバリアント」は、同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸配列のことか、または核酸配列が、アミノ酸配列をコードしない場合は、本質的に同一の配列のことをいう。遺伝コードの縮重により、多くの機能的に同一の核酸が、任意の所定のタンパク質をコードしている。例えば、GCA、GCC、GCGおよびGCUのコドンは、全てアラニンのアミノ酸をコードしている。したがって、コドンによりアラニンが特定される全ての位置では、コードされるポリペプチドを変化させることなく、コドンを対応するコドンの何れかに変化させることができる。このような核酸の変種は「サイレント変種」であり、保存的に修飾された変種の1種である。当業者は、核酸における各コドンを修飾することにより、機能上同一の分子が得られることを認識する(なお、このときのコドンには、AUG(メチオニンに対する通常唯一のコドン)およびTGG(トリプトファンに対する通常唯一のコドン)は除かれる)。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変種は、記載された各配列に潜在的に含まれる。
アミノ酸配列に関して言えば、当業者は、コードされる配列において1アミノ酸または数%のアミノ酸を、変更、付加、または欠失する、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失、または付加は、それら変更が、アミノ酸の欠失、アミノ酸の付加、またはアミノ酸の置換(化学的に類似のアミノ酸との置換)になる場合において、「保存的に修飾されたバリアント」であると理解する。機能的に類似のアミノ酸を示す保存的な置換の一覧は、当業者にとって公知である。そのような保存的に修飾されたバリアントは、本明細書に記載の方法および組成物における多形態バリアント、種間の同族体、および対立遺伝子に加えられるとともに、それらを排除するものではない。
以下の8群のそれぞれは、互いに保存的な置換となるアミノ酸を含んでいる(例えば、「Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties (W H Freeman & Co.; 2nd edition(December 1993))」を参照のこと):
(1)アラニン(A)およびグリシン(G);
(2)アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E);
(3)アスパラギン(N)およびグルタミン(Q);
(4)アルギニン(R)およびリジン(K);
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)およびバリン(V);
(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)およびトリプトファン(W);
(7)セリン(S)およびスレオニン(T);ならびに、
(8)システイン(C)およびメチオニン(M)。
用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、それら自身または他の用語との組み合わせにおいて、特に断らない限りは、それぞれ「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環化型を表す。したがって、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、飽和した環結合、部分的に不飽和した環結合、および完全に不飽和した環結合を含んでいる。さらに、ヘテロシクロアルキルについて言えば、ヘテロ原子は、ヘテロ環が分子の残基に結合する位置を占有することができる。シクロアルキルとしては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、およびシクロヘプチルなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキルとしては、例えば、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、および2−ピペラジニルなどが挙げられる。さらに、上記用語は、2環構造、および3環構造も含んでいる。同様に、用語「ヘテロシクロアルキレン」は、それ自身、または他の置換基の一部として、ヘテロシクロアルキルに由来する2価の遊離基を意味し、用語「シクロアルキレン」は、それ自身、または他の置換基の一部として、シクロアルキルに由来する2価の遊離基を意味する。
本明細書で用いられるような「変性剤」は、タンパク質の可逆的なアンホールディングを引き起こす任意の化合物または材料として定義される。変性剤の強さは、特定の変性剤の特性と濃度との両方により決定される。適切な変性剤としては、例えば、カオトロピック性物質、界面活性剤、有機物質、水混和性溶媒、リン脂質、またはそれら作用物質の2以上の組み合わせが挙げられる。適切なカオトロピック性物質としては、例えば、尿素、グアニジン、およびチオシアン酸ナトリウムが挙げられる。有用な界面活性剤としては、例えば、強界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンエステル(TweenまたはTritonといった界面活性剤など)、サルコシル(Sarkosyl)など)、非イオン性の弱い界面活性剤(ジギトニンなど)、陽イオン性の弱い界面活性剤(N−>2,3−(ジオレイオキシ)−プロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムなど)、イオン性の弱い界面活性剤(コール酸ナトリウム、またはデオキシコール酸ナトリウムなど)、両性イオン性の弱い界面活性剤(スルホベタイン(Zwittergent)、3−(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ−l−プロパンサルフェート(CHAPS)、および3−(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ−2−ヒドロキシ−l−プロパンスルホネート(CHAPSO)など)が挙げられる。有機物質、水混和性溶媒(アセトニトリルなど)、低級アルカノール(特にC−Cのアルカノール(エタノールまたはイソプロパノールなど))、または低級アルカンジオール(特に、C−Cのアルカンジオール(エチレングリコールなど)を、変性剤として用いてもよい。本明細書に記載の方法、および組成物において有用なリン脂質は、例えば、天然に生じるリン脂質(ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、およびホスファチジルイノシトール、または合成リン脂質誘導体もしくはバリアント(ジヘキサノイルホスファチジルコリンまたはジヘプタノイルホスファチジルコリンなど)が挙げられる。
本明細書で用いられるような用語「所望の機能性」は、以下の群の何れか1つまたは全てのことをいう。ポリエチレングリコールの誘導体、光架橋剤、細胞毒性化合物、薬物、親和性標識物、放射性核種、ビオチンの誘導体、量子ドット、ナノ伝達物質、放射線伝達物質、光親和性標識物、反応性化合物、樹脂、第2タンパク質もしくはポリペプチドもしくはポリペプチド類似体、抗体もしくは抗体断片、金属キレート剤、補足因子、脂肪酸、炭化水素、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、アンチセンスポリヌクレオチド、糖類(サッカリド)、水溶性デンドリマー、シクロデキストリン、生体材料、ナノ粒子、スピン標識物、蛍光団、金属含有部分、放射性部分、新規な官能基、他の分子と共有的もしくは非共有的に相互作用する基、光を閉じ込める部分(photocaged moiety)、化学線興奮性部分、リガンド、光異性化部分、ビオチン、ビオチン類似体、重元素を取り込んでいる成分、化学的に開裂可能な基、光開裂可能な基、延長された側鎖、炭素と連結された糖、酸化還元反応活性剤、アミノチオ酸、毒性部分、同位体標識された部分、生物物理的なプローブ、燐光性の基、化学発光性の基、高電子密度の基、磁性のある基、挿入基、発色団、エネルギー転移剤、生物活性剤、検出標識物、低分子、抑制性リボ核酸、および上記物質の物質の任意の組み合わせ。
本明細書で用いられるような用語「ジカルボニル」は、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)−、および−C(S)−から成る群から選択される少なくとも2つの部分を含んでいる基(例えば、1,2−ジカルボニル基、1,3−ジカルボニル基、および1,4−ジカルボニル基)のこと、少なくとも1つのケト基および/または少なくとも1つのアルデヒド基、および/または少なくとも1つのエステル基、および/または、少なくとも1つのカルボン酸基、および/または少なくとも1つのチオエステル基を含んでいる基のことをいう。上記ジカルボニル基としては、例えば、ジケトン、ケトアルデヒド、ケト酸、ケトエステル、およびケトチオエステルが挙げられる。さらに、上記基は、直鎖状、分岐鎖状、または環状の分子の一部であってもよい。ジカルボニル基における2つの部分は、同じであっても、異なってもよいし、2つの部分のどちらかにおいて、例えば、エステル、ケトン、アルデヒド、チオエステル、またはアミドを製造する置換基を含んでいてもよい。
本明細書で用いられるような用語「有効量」は、投与される(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドの量であって、治療される疾患、病気、または疾患の1以上の症状をある程度軽減する量のことをいう。本明細書に記載の(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドを含んでいる組成物を、予防的治療、治療の増強、および/または、治療上の処置のために投与することができる。
用語「増強する」は、所望の効果の程度、量、効力、または持続期間の何れかを、増加または引き延ばすことを意味する。つまり、治療剤の効果を増強する事に関して、用語「増強する」は、症状に対する他の治療剤の効果の効力または持続期間のどちらかを増加または引き延ばす能力のことをいう。本明細書で用いられるような「増強性有効量」は、所望の系における別の治療剤の効果を増強するのに十分な量のことをいう。患者に使用されたとき、この使用について有効な量は、疾病、病気、または疾患の重症度および治療単位(course)、薬歴、患者の健康状態、および薬物への反応性、ならびに治療を担当する医師の判断に依存する。
本明細書で用いられるような用語「真核生物」は、系統発生領域(phylogenetic domain)の真核生物(Eucarya)に属する生物のことをいう。真核生物としては、例えば、動物(哺乳類、昆虫、爬虫類、鳥類など)、繊毛虫類、植物(単子葉植物、双子葉植物、藻類など)、真菌、酵母、鞭毛虫、微胞子虫目、原生生物などが挙げられる。
技術的に、および本明細書において用いられるような用語「官能基」、「活性部分」、「活性基」、「脱離基」、「反応部位」、「化学反応基」、および「化学反応部分」は、識別可能で、定義可能な分子の一部またはユニットのことをいう。これらの用語は、ある機能または活性を行使するとともに、他の分子と反応する分子の一部を示すために、本明細書および化学技術においてある程度同義である。
用語「ハロゲン」には、フッ素、塩素、ヨウ素、および臭素が含まれる。
用語「ヘテロアルキル」は、それ自身または他の用語と組み合わせて、特に断りの無い限り、既定された数の炭素原子と、少なくとも1つのヘテロ原子から成る安定な直鎖状、分岐鎖状、または環状の炭化水素の遊離基、あるいはそれらの組み合わせを意味する。上記ヘテロ原子は、N、O、SiおよびSから選択され、窒素原子および硫黄原子が、必要に応じて酸化されたり、窒素原子が必要に応じて4級化されたりしている。O、N、およびS、ならびにSiのヘテロ原子の位置は、ヘテロアルキル基の任意の内部、または、アルキル基が分子の残基と結合する位置であってもよい。例えば、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH−S(O)−CH3、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−Si(CH、−CH−CH=N−OCH、および−CH=CH−N(CH)−CHが挙げられるが、これらに限定されない。2以下のヘテロ原子は、隣接していてもよく、例えば、−CH−NH−OCH、および−CH−O−Si(CH3)が挙げられる。同様に、用語「ヘテロアルキレン」は、それ自身または他の置換基の一部として、ヘテロアルキルに由来する2価の遊離基を意味し、例えば、−CH−CH−S−CH−CH−、および−CH−S−CH−CH−NH−CH−が挙げられる。ヘテロアルキレン基では、同種または異種のヘテロ原子を、鎖の末端の一方または両方に配置することができる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ、およびアミノオキシアルキレンなどが挙げられる)。さらに、アルキレンおよびヘテロアルキレンの連結基では、連結基の配向性は、連結基の一般式が書かれた方向によって示されるわけではない。例えば、一般式−C(O)R’−は、−C(O)R’−および−R’C(O)−の両方を表している。
2以上の核酸またはポリペプチド配列に対する用語「同一」、または「同一性」の百分率は、同じである2以上の配列またはサブ配列のことをいう。(i)配列を比較ウィンドウに対して最も対応するように比較および整列させたとき、あるいは、(ii)(a)配列を、以下の配列比較アルゴリズム(または当業者が利用可能な他のアルゴリズム)のうちの1つを用いるか、もしくは(b)手動による整列と目視検査とによって測定されるような指定領域について比較および整列させたとき、それら配列が、ある百分率で同じであるアミノ酸残基または核酸を有する場合(すなわち特定の領域に対して約60%の同一性、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%の同一性を有する場合)、配列は「実質的に同一」であるといえる。また、この定義は、試験配列の相補性のことでもある。同一性は、少なくとも約50アミノ酸またはヌクレオチドの長さである領域を超えて、あるいは、75〜100アミノ酸またはヌクレオチドの長さである領域を超えて存在することができるし、あるいは、特に指定されない場合では、同一性は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの全長の配列に渡って、存在することができる。
配列比較では、通常、1つの配列を参照配列として、試験配列を比較するために用いる。配列比較アルゴリズムを用いたとき、試験配列および参照配列を、コンピューターに入力し、その後、配置を指定する。また、必要に応じて、配列アルゴリズムプログラムにおけるパラメーターを指定する。初期のプログラムパラメーターを用いてもよいし、別のパラメーターを指定してもよい。それから、配列比較アルゴリズムにより、プログラムのパラメーターに基づいて、参照配列に対する試験配列の配列同一性の百分率を計算する。
核酸またはタンパク質に適用されるときの用語「単離される」は、核酸またはタンパク質が、天然の状態では結合している細胞の構成要素のいくつかを少なくとも有さない、あるいは、核酸分子またはタンパク質が、インビボもしくはインビトロにおいて製造されたときの濃度よりも、濃縮されることを示す。それは、均質な状態であってもよい。単離される物質は、乾燥状態、半乾燥状態、または溶液(水溶液など)であってもよい。また、単離される物質は、追加の薬学的に許容可能な担体および/または賦形剤を含んでいる薬学的組成物の成分であってもよい。純度と均質性とは、通常、分析化学的手法(ポリアクリルアミドゲル電気泳動、または高速液体クロマトグラフィーなど)を用いて決定される。調製物の大部分を占めるタンパク質は、実質的に精製される。特に、単離される遺伝子は、興味のある遺伝子以外の遺伝子に隣接し、タンパク質をコードする翻訳領域から分離される。用語「精製される」は、拡散またはタンパク質が電気泳動ゲルにおいて実質的に1つのバンドで検出されることを示する。特に、核酸またはタンパク質が、少なくとも85%の純度、少なくとも90%の純度、少なくとも95%の純度、少なくとも99%の純度またはそれ以上であることを意味する。
本明細書で用いられる用語「連結」または「リンカー」は、化学反応の結果、標準的に形成される基または結合のことであり、通常、共有連結または共有結合である(そのような連結またはリンカーを作製する処理は、連結する/連結された、または結合する/結合された、および、当業者に認識される他の同義語というような言葉で、本明細書では記載される)。加水分解に安定な連結は、連結が実質的に水中において安定であり、(例えば、長期間、ことによると無期限の生理的条件下において)有用なpHの値において水と反応しないことを意味する。加水分解に不安定または分解性の連結は、連結が水中または水溶液中(例えば、血液)において分解されることを意味する。酵素に不安定または分解性の連結は、連結が1以上の酵素により分解され得ることを意味する。当業者に理解されているように、PEGおよびそれに関連するポリマーは、分解性の連結を、ポリマーの骨格、または、ポリマーの骨格と該ポリマー分子の末端にある1以上の官能基との間のリンカー基に含み得る。例えば、生物活性剤によりPEGカルボン酸または活性型のPEGカルボン酸とアルコール基との反応によって、形成されるエステル連結は、一般的に、生理条件下において加水分解され、生物活性剤を放出する。他の加水分解に分解性の連結としては、カーボネート連結、アミンとアルデヒドとの反応から生じるイミン連結、アルコールとリン酸基との反応により形成されるリン酸エステル結合、ヒドラジドとアルデヒドとの反応生成物であるヒドラゾン連結、アルデヒドとアルコールとの反応生成物であるアセタール連結、ギ酸塩とアルコールとの反応生成物であるオルソエステル連結、(例えば、PEGなどのポリマーの末端における)アミン基とペプチドのカルボキシル基とにより形成されるペプチド連結、および、(例えばポリマーの末端における)ホスホラミジーテ(phosphoramidite)基とオリゴヌクレオチドの5’ヒドロキシル基とにより形成されるオリゴヌクレオチド連結が挙げられる。
本明細書で用いられるような用語「培養基」は、任意の宿主細胞を支持し得るまたは含み得る任意の培地、溶液、固体物、半固体物、または剛性の支持体を含んでいる。上記宿主細胞としては、例えば、細菌の宿主細胞、酵母の宿主細胞、昆虫の宿主細胞、植物の宿主細胞、真核生物の宿主細胞、哺乳類の宿主細胞、CHO細胞、原核生物の細胞、E. coli,もしくはPseudomonasの宿主細胞、および細胞含有物が挙げられる。したがって、上記用語は、宿主細胞が成長した培養基(例えばポリペプチドが分泌された培養基)を包含し、そのような培養基は、増殖工程の前であってもよいし、後であってもよい。また、上記用語は、宿主細胞のライセートを含むバッファまたは試薬を包含してもよい。この場合、ポリペプチドが細胞内に製造されるので、ポリペプチドを放出させるために、宿主細胞は、溶解されるか、破壊される。
本明細書に開示の(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドの「代謝産物」は、(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドが代謝されるときに形成される、(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドの誘導体のことである。用語「活性代謝産物」は、(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドが代謝されるときに形成される(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドの生物学的に活性な誘導体(生物活性誘導体)のことをいう。用語「代謝された」は、特定の物質が生物によって変化させられる処理の総体のことをいう。上記処理としては、例えば、加水分解反応、および酵素により促進剤される反応が挙げられる。また、代謝に対する情報を、「The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th Edition, McGraw-Hill (1996)」から得ることができる。(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドを、宿主に投与して、宿主の組織試料を分析することにより、または(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドを、肝細胞と一緒にインビトロにおいてインキュベーションして、生じる化合物を分析することにより、本明細書に開示の(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドの代謝産物を、同定することができる。
本明細書で用いられるような用語「修飾された」は、ポリペプチドにおいて翻訳後修飾が存在することをいう。「(修飾された)」の形態の用語は、検討されるポリペプチドが、必要に応じて修飾されることを意味する。すなわち、検討中のポリペプチドは、修飾され得るか、または修飾され得ない。
本明細書で用いられるような用語「調節された血中半減期」は、未修飾の形態と比べたときの修飾されたポリペプチドの循環半減期における正の変化または負の変化のことをいう。血中半減期は、ポリペプチドを投与した後の様々な時点の血液試料を採取して、各試料における該ポリペプチドの濃度を決定することにより測定される。血清中の濃度と時間との相互関係から、血中半減期を計算することができる。血中半減期が少なくとも約2倍に増加することが望ましいが、例えば、投与計画を満足するか、または毒性効果を避けることができる場合には、それよりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、増加は、少なくとも約3倍であるか、少なくとも約5倍であるか、または少なくとも約10倍である。
本明細書で用いられるような用語「調節された治療半減期」は、未修飾の形態と比べたときの修飾されたポリペプチドの治療的有効量の半減期における正の変化または負の変化のことをいう。投与後の様々な時点における、ポリペプチドの薬物動態的または薬力学的性質を測定することにより治療半減期は測定される。治療半減期が増加すると、投与計画または総用量において特定の利益がもたらされることや、あるいは、望ましくない効果を避けることができる。いくつかの実施形態では、治療半減期が増加することにより、効力を増加させることや、修飾された分子の標的に対する結合が増加もしくは減少させることや、酵素(プロテアーゼなど)により分子の破壊を増加もしくは減少させることや、あるいは未修飾の分子における作用の別のパラメーターあるいは機構を増加もしくは減少させることができる。
本明細書で用いられるような用語「非真核生物」は、真核生物ではない生物のことをいう。例えば、非真核生物は、系統発生領域の真正細菌(Escherichia coli, Thermus thermophilus, Bacillus stearothermophilus, Pseudomonas fluorescens, Pseudomonas aeruginosa, Pseudomonas putidaなどが挙げられるが、これらに限定されない)、または、系統発生領域の古細菌(例えば、Methanococcus jannaschii, Methanobacterium thermoautotrophicum, Halobacterium(Haloferax volcaniiおよびHalobacterium種のNRC-1など), Archaeoglobus fulgidus, Pyrococcus furiosus, Pyrococcus horikoshii, Aeuropyrum pernixなど)に属している。
「非天然アミノ酸」は、天然に生じる20の共通アミノ酸のうちの1つ、セレノシステイン、もしくはピロリジンではないアミノ酸のことをいう。用語「非天然アミノ酸」と同義として用いられてもよい別の用語は、「非天然にコードされるアミノ酸」、「天然ではないアミノ酸」、「非天然に生じるアミノ酸」、ならびに、それらの様々にハイフンで繋げられたもの、およびハイフンで繋げられていないものである。また、用語「非天然にコードされるアミノ酸」としては、天然にコードされるアミノ酸(20の共通アミノ酸、またはピロリジンおよびセレノシステインなどが含まれるが、これらに限定されない)の修飾(例えば翻訳後修飾)によって天然に生じるが、翻訳複合体により成長中のポリペプチド鎖に組み込まれないアミノ酸が挙げられるが、これに限定されない。上記非天然に生じるアミノ酸としては、N−アセチルグルコサミニル−L−セリン、N−アセチルグルコサミニル−L−トレオニン、およびO−ホスホチロシンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「核酸」は、デオキシリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、またはリボヌクレオチド、およびそれらの一本鎖または2本鎖の形態のポリマーのことをいう。具体的に限定されない限り、上記用語は、天然のヌクレオチドの公知の類似体を含有する核酸を含む。ここで、上記類似体は、参照の核酸と同様の特性を有し、かつ天然に生じるヌクレオチドと同様の方法で代謝される。特に具体的に他のものに限定されない限り、上記用語は、オリゴヌクレオチドの類似体(PNA(ペプチド核酸(peptidonucleic acid))、アンチセンス技術に用いられるDNAの類似体(ホスホチオエート、およびホスホロアミデートなど)など)のこともいう。特に他に示さない限り、特定の核酸配列は、該核酸の保存的に修飾されたバリアント(縮重コドンの置換体など)、および相補的配列、ならびに明確に示された配列を当然に含む。具体的には、1以上の選択された(または全ての)コドンの3番目の位置を、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換される配列を作製することにより、縮重コドンの置換体を、得ることができる(「Batzerら Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991)」、「Ohtsukaら J. Biol. Chem. 260:2605- 2608 (1985)」、および「Rossoliniら, Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994)」)。
タンパク質のリフォールディングに関して本明細書で用いられるような「酸化剤」は、酸化される化合物から電子を除去することができる、任意の化合物または材料として定義される。適切な酸化剤としては、酸化型グルタチオン、システイン、シスタミン、酸化型ジチオスレイトール、酸化型エリスリトール(oxidized erythreitol)、および酸素が挙げられる。多種多様な酸化剤は、本明細書に記載の方法および組成物における使用に適切である。
本明細書で用いられるような用語「ポリアルキレングリコール」は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、およびそれらの誘導体のことをいう。用語「ポリアルキレングリコール」は、直鎖状のポリマーおよび分岐鎖状のポリマー、ならびに0.1kDa〜100kDaの間の平均分子量を含む。他の典型的な実施形態では、ポリアルキレングリコールは、例えば、商業的な供給業者のカタログ(Shearwater Corporationのカタログ「Polyethylene and Derivatives for Biomedical Applications」(2001)など)に記載されたものである。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーのことであり、本明細書では同義で用いられる。すなわち、ポリペプチドに関する記述は、ペプチドに関する記述およびタンパク質に関する記述に、等しく適用される。また同様に、逆のことも言える。上記用語は、天然に生じるアミノ酸ポリマー、および1以上のアミノ酸残基が非天然アミノ酸であるアミノ酸ポリマーに適用される。本明細書で用いられるような上記用語は、任意の長さ(全長のタンパク質など)のアミノ酸鎖を含んでおり、アミノ酸残基は共有のペプチド結合により連結されている。
用語「翻訳後修飾」は、天然または非天然アミノ酸の任意の修飾であって、上記アミノ酸がポリペプチド鎖に組み込まれた後に、上記アミノ酸に生じる修飾のことをいう。この用語は、例えば、インビボの共翻訳修飾、インビトロの共翻訳修飾(無細胞翻訳系など)、インビボの翻訳後修飾、およびインビトロの翻訳後修飾などを含んでいる。
「プロドラッグ」は、インビボにおいて親薬物に変換される作用物質のことをいう。いくつかの状況において、プロドラッグは、親薬物よりも簡便に投与されることがあるため、プロドラッグが有用である場合がある。プロドラッグは、例えば、経口投与により体内に吸収され利用され得るが、一方、親薬物はそうではない。また、プロドラッグは、薬学的組成物における可溶性を、親薬物よりも改善してもよい。プロドラッグは、薬理学的に不活性な(活性が減少している)活性薬物の誘導体を含んでいる。プロドラッグは、薬物の特性(整理化学的特性、生物薬剤学的特性、薬物動態的特性)を操作することにより、所望の作用部位に到達する薬物または生物活性分子の量を調整するために設計されてもよい。プロドラッグは、体内において、酵素的反応または非酵素的反応により活性薬物へと変換される。プロドラッグにより、生理化学的特性が改善されることがある(例えば、可溶性が良好になったり、送達の特徴が増強されたり(特定の細胞、組織、臓器またはリガンドを特異的に標的とすることなど)、薬物の治療価が改善されたりする)。
予防のための適用では、(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドを含んでいる組成物は、特定の疾病、疾患、または病気を発症しやすい患者、あるいは、特定の疾病、疾患、または病気の危険性のある患者に投与される。そのような量は、「予防的有効量」として定義される。この場合、正確な量は、患者の健康状態、および体重などに依存する。また、当業者は、一般的な実験(例えば、用量増加、臨床試験)により、上記予防的有効量を決定することが考慮される。
用語「保護された」は、ある反応条件下において化学的に反応性の官能基の反応を防止する部分、または「保護基」が存在することをいう。保護基は、保護される化学的に反応性の基の種類に応じて変えることができる。例えば、化学的に反応性の基が、アミンまたはヒドラジドである場合、保護基を、tert−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)および9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)から成る群から選ぶことができる。化学的に反応性の基が、チオールである場合、保護基は、オルソピリジルジスルフィドであってもよい。化学的に反応性の基が、カルボン酸(ブタン酸またはプロピオン酸など)またはヒドロキシル基である場合、保護基は、ベンジル基またはアルキル基(メチル、エチル、またはtert−ブチル)であってもよい。また、公知の他の保護基(例えば、光解離性基(NvocおよびMeNvocなど))も、本明細書に記載の方法および組成物と一緒に用いてもよいし、あるいは、本明細書に記載の方法および組成物に用いてもよい。
一例を挙げると、封鎖基/保護基は、以下の化合物から選択されてもよい。
Figure 0005508716
他の保護基は、「Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999」に記載されている。なおこの文献の全ては、参照によって本明細書に組み込まれる。
「組み換え宿主細胞」、または「宿主細胞」は、挿入方法(例えば、直接の取り込み、形質導入、f−交配、または組み換え宿主細胞を作製するための他の公知の方法)に関係無く、外因性のポリペプチドを含んでいる細胞のことをいう。外因性のポリペプチドを、非統合型のベクター(プラスミド)として維持してもよいし、あるいは、宿主のゲノムに統合してもよい。
タンパク質のリフォールディングに関して本明細書で用いられるような「還元剤」は、還元状態においてスルヒドリル基を維持し、かつ分子内または分子間のジスルフィド結合を減少させる任意の化合物もしくは材料として定義される。適切な還元剤としては、例えば、ジチオスレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール、ジチオエリスリトール、システイン、システアミン(2−アミノエタンチオール)、および還元型グルタチオンが挙げられる。多種多様な還元剤は、本明細書に記載の方法および組成物における使用に適切である。
本明細書で用いられるような「リフォールディング」は、ジスルフィド結合含有ポリペプチドを、ジスルフィド結合に関して、不適切に折りたたまれた状態、あるいは折りたたまれていない状態から、天然にもしくは適切に折りたたまれた立体構造に変形させる任意の処理、反応または方法のことである。
語句「〜に対する選択的な(または特異的な)ハイブリダイズ」は、特定のヌクレオチド配列が複合混合物(全細胞、DNAライブラリー、またはRNAライブラリーなど)に存在するときに、分子が、特定のヌクレオチド配列に、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件下においてのみ、結合すること、2本鎖を形成すること、またはハイブリダイズすることをいう。
語句「ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件」は、技術的に知られているような低イオン強度および高温度の条件下における、DNA、RNA、またはPNA、他の核酸模擬体、あるいはそれらの組み合わせの配列のハイブリダイゼーションのことをいう。通常、ストリンジェントな条件下では、プローブは、核酸の複合混合物(全細胞、DNAライブラリー、またはRNAライブラリーなど)において標的のサブ配列にハイブリダイズするが、該複合混合物に存在する他の配列とはハイブリダイズしない。ストリンジェントな条件は、配列に依存する。また、環境が異なれば、ストリンジェントな条件も異なる。配列が長ければ、より高い温度において特異的にハイブリダイズする。「Tijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology- Hybridization with Nucleic Probes, “Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays” (1993)」には、核酸のハイブリダイゼーションが幅広く網羅されている。一般的に、ストリンジェントな条件は、既定のイオン強度、pHにおいて、特異的な配列の熱融解温度(T)よりも約5−10℃低いように選択される。Tは、(既定のイオン強度、pH、および核酸の濃度において)標的に相補的なプローブの50%が、平衡状態において標的配列にハイブリダイズする温度である(標的配列は、過剰に存在するので、Tでは、プローブの50%が平衡状態において占有される)。ストリンジェントな条件は、pHが7.0−8.3において塩濃度が約1.0Mのナトリウムイオン濃度よりも低く、通常、約0.01−1.0Mのナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、温度は、短いプローブ(10〜50ヌクレオチドなど)については少なくとも約30℃であり、長いプローブ(50ヌクレオチドよりも長い)については少なくとも約60℃である。また、ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤を添加することにより達成されてもよい。選択的なまたは特異的なハイブリダイゼーションのためには、陽性シグナルが、バックグラウンドの少なくとも2倍であってもよいし、必要に応じて、バックグラウンドのハイブリダイゼーションの10倍であってもよい。ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件の典型としては、以下の条件であり得る。50%ホルムアミド、5×SSC、および1%SDSにおいて、42℃でインキュベーションするか、または5×SSC、1%SDSにおいて65℃でインキュベーションし、0.2×SSCおよび0.1%SDSにより、65℃で洗浄する。上記洗浄は、5分、15分、30分、60分、120分またはそれ以上実施することができる。
本明細書で用いられるような用語「被検体」は、治療、観察または実験の対象である動物のことをいい、いくつかの実施形態では、哺乳類であり、他の実施形態では、ヒトである。
用語「実質的に精製された」は、天然に生じている環境(すなわち、組み換えにより製造されるポリペプチドの場合は、自然状態の細胞または宿主細胞)において発見されるようなタンパク質を伴う、または該タンパク質と相互作用する構成要素が、実質的にもしくは本質的に有し得ないポリペプチドに関する。細胞内の材料を実質的に有し得ないポリペプチドは、該ポリペプチドに含まれるタンパク質が乾燥重量で約30%よりも少ない、約25%よりも少ない、約20%よりも少ない、約15%よりも少ない、約10%よりも少ない、約5%よりも少ない、約4%よりも少ない、約3%よりも少ない、約2%よりも少ない、または約1%よりも少ないものである。
ポリペプチドまたはそのバリアントが、宿主細胞によって組み換えにより製造されるとき、該タンパク質は、細胞の乾燥重量に対して約30%、約25%、約20%、約15%、約10%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%あるいはそれ以下の重量で存在し得る。ポリペプチド、またはそのバリアントが、宿主細胞によって組み換えにより製造されるとき、該タンパク質は、細胞の乾燥重量に対して約5g/L、約4g/L、約3g/L、約2g/L、約1g/L、約750mg/L、約500mg/L、約250mg/L、約100mg/L、約50mg/L、約10mg/L、または約1mg/Lあるいはそれ以下で培地に存在し得る。したがって、本明細書に記載の方法により製造されたときの「実質的に精製された」ポリペプチドは、適切な方法(SDS/PAGE分析、RP−HPLC、SEC、およびキャピクセルラリー電気泳動など)により決定されたときに、純度が少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%であり、具体的には、純度が少なくとも約75%、80%、85%であり、より具体的には純度が少なくとも約90%、純度が少なくとも約95%、純度が少なくとも約99%またはそれ以上である。
用語「置換基」は、特に限定されないが「不干渉性置換基」を含む。「不干渉性置換基」は、安定な化合物を産出する基である。適切な不干渉性置換基または遊離基としては、例えば、ハロ、C−C10のアルキル、C−C10のアルケニル、C−C10のアルキニル、C−C10のアルコキシ、C−C12のアラルキル、C−C12のシクロアルキル、C−C12のシクロアルケニル、フェニル、置換フェニル、トルオイル、キシレニル、ビフェニル、C−C12のアルコキシアルキル、C−C12のアルコキシアリール、C−C12のアリールオキシアルキル、C−C12のオキシアリール、C−Cのアルキルスルフィニル、C−C10のアルキルスルフォニル、−(CH−O−(C−C10のアルキル)(ここで、mは1から8である)、アリール、置換アリール、置換アルコキシ、フルオロアルキル、ヘテロ環式の遊離基、置換ヘテロ環式の遊離基、ニトロアルキル、−NO、−CN、−NRC(O)−(C−C10のアルキル)、−C(O)−(C−C10のアルキル)、C−C10のアルクチオアルキル、−C(O)O−(C−C10のアルキル)、−OH、−SO、=S、−COOH、−NR、カルボニル、−C(O)−(C−C10のアルキル)−CF3、−C(O)−CF3、−C(O)NR2、−(C−C10のアリール)−S−(C−C10のアリール)、−C(O)−(C6−C10のアリール)、−(CH−O−(CH−O−(C−C10のアルキル)(ここで各mは1〜8である)、−C(O)NR、−C(S)NR、−SONR、−NRC(O)NR、−NRC(S)NR、およびそれらの塩などが挙げられる。上記に挙げた干渉性置換基または遊離基における各R基は独立して、H、アルキルもしくは置換アルキル、アリールもしくは置換アリール、またはアルカリルから成る群から選択される。置換基が、左から右に書くという従来の化学式により記載されている場合、それらは、化学的に同一の置換基(右から左に書かれた構造)を同じく含んでいる。例えば、−CHO−は−OCH−と同じである。
アルキルおよびヘテロアルキルの遊離基(例えば、たいてい、アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルとして称される基)の置換基は、0から(2m’+1)の範囲の数を有する(M’は上記遊離基における炭素原子の総数)−OR、=0、=NR、=N−0R、−NR、−SR、−ハロゲン、−SiR、−OC(O)R、−C(O)R、−COR、−CONR、−OC(O)NR、−NRC(O)R、−NR−C(O)NR、−NR(O)R、−NR−C(NR)=NR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)NR、−NRSOR、−CNおよび、−NOなどから選択される様々な1以上の基であってもよい。上記に挙げた干渉性置換基または遊離基における各R基は独立して、H、置換もしくは置換されていないヘテロアルキル、置換もしくは置換されていないアリール(1−3のハロゲンで置換アリールなど)、置換もしくは置換されていないアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、あるいはアラルキル基から成る群から選択される。2つのR基が同じ窒素原子に結合するとき、それらは、窒素原子と一緒に連結して5−,6−,7−員環を形成し得る。例えば、−NRは、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルなどを含む。置換基に対する上記検討によれば、当業者の一人は、用語「アルキル」が、水素原子以外の基と結合した炭素原子を含む基(例えば、ハロアルキル(−CFおよび−CHCFなど)、およびアシル(−C(O)CH、−C(O)CF、および−C(O)CHOCHなど))を包含することを理解する。
アルキル遊離基について記載された置換基と同様に、アリールおよびヘテロアリール基に関する置換基は、特に限定されないが、0から芳香環系の開放原子価の総数の範囲の数を有する−OR、=0、=NR、=N−0R、−NR、−SR、−ハロゲン、−SiR、−OC(O)R、−C(O)R、−COR、−CONR、−OC(O)NR、−NRC(O)R、−NR−C(O)NR、−NR(O)R、−NR−C(NR)=NR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)NR、−NRSOR、−CN、−NO、−R、−N、−CH(Ph)、フルオロ(C1−)アルコキシ、およびフルオロ(C1−)アルキルなどから選択される様々な1以上の基であってもよい。上記に挙げた置換基における各R基は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびヘテロアリールから成る群から選択される。
治療への適用では、(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドを含有する組成物を、疾病、病気、または疾患の症状を回復するか、該症状の進行を少なくとも部分的に停止するのに十分な量で、疾病、病気、または疾患を既に患っている患者に投与する。そのような量は、「治療的有効量」として定義され、疾病、病気、または疾患の重症度および治療単位、薬歴、患者の健康状態、および薬物への反応性、ならびに治療を担当する医師の判断に依存する。また、当業者は、一般的な実験(例えば、用量増加、臨床試験)により、上記治療的有効量を決定することが考慮される。
用語「治療」は、予防的治療および/または治療的治療に関して用いられる。
本明細書で用いられるような用語「水溶性ポリマー」は、水溶液に可溶である任意のポリマーのことをいう。水溶性ポリマーとポリペプチドとの結合により、例えば、以下のような変化が生じる。すなわち、非修飾の形態と比べた血中半減期の増加または調節、あるいは治療半減期の増加または調節、免疫原性の調節、物理的会合性質(凝集および多量体形成など)の調節、受容体結合性の変化、1以上の結合パートナーに対する結合性の変化、および、受容体の2量体化および多量体化の変化など。水溶性ポリマーは、それ自身生物活性を有していてもよいし、有していなくてもよい。適切なポリマーとしては、特に限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、モノC1−C10アルコキシ、またはそれらのアリールオキシ誘導体(これらは、米国特許第5,252,714号明細書に記載されている(この文献は参照により本明細書に組み込まれる))、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアミノ酸、ジビニルエーテル無水マレイン酸、N−(2−ヒドロキシプロピル)−メタクリルアミド、デキストラン、デキストラン誘導体(デキストラン サルフェートなど)、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール、ヘパリン、ヘパリンの断片、多糖類(ポリサッカリド)、オリゴ糖(オリゴサッカリド)、グリカン、セルロールおよびセルロース誘導体(メチエルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなど)、デンプンおよびデンプン誘導体、ポリペプチド、ポリアルキレングリコールおよびその誘導体、ポリアルキレングリコールのコポリマーおよびその誘導体、ポリビニルエチルエーテル、およびアルファ−ベータ−ポリ[(2−ヒドロキシエチル)−DL−アスパルトアミド(aspartamide)など、ならびに、それらの混合物が含まれる。上記水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールおよび血清アルブミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、水ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)部分を含んでいる。該ポリマーの分子量の範囲は広くてもよく、例えば、約100Da〜約100,000Daの間であってもよい。また、該ポリマーの分子量は、約100Da〜約100,000Daの間であってもよく、この範囲には、例えば、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、1,000Da、900Da、800Da、700Da、600Da、500Da、400Da、300Da、200Da、および100Daなどが含まれる。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約100Da〜約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約100Da〜約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約1,000Da〜約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約5,000Da〜約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約10,000a〜約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は、分岐鎖状のポリマーである。分岐鎖状のポリ(エチレングリコール)(PEG)の分子量は、約1,000a〜約100,000Daの間であってもよく、この範囲には、例えば、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、および1,000Daなどが含まれる。いくつかの実施形態では、分岐鎖状のPEGの分子量は、約1,000a〜約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、分岐鎖状のPEGの分子量は、約1,000a〜約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、分岐鎖状のPEGの分子量は、約5,000a〜約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、分岐鎖状のPEGの分子量は、約5,000a〜約20,000Daの間である。
他に示されない限り、従来技術の範囲内における、質量分析、NMR、HPLC、タンパク質化学、生物化学、組み換えDNA技術、および薬理学に関する従来の方法が用いられる。本明細書で示された化合物(上記化合物の何れかを製造するための試薬、非天然アミノ酸、および(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチド)には、同位体標識された化合物が含まれる。この同位体標識された化合物は、1以上の原子が、天然に通常発見される原子質量、または原子質量番号とは異なる原子質量、または原子質量番号を有する原子によって置換されていること以外は、本明細書で示された様々な一般式および構造によって表される化合物と同一である。示された化合物に組み込まれ得る同位体としては、例えば、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素および塩素の同位体が挙げられ、より具体的には、それぞれ、H、H、13C、15N、18O、17O、35S、18F、36CLなどである。本明細書に記載の同位体標識された特定の化合物(例えば、Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれた化合物)を、薬物および/または基質の組織分布アッセイに用いることができる。さらに、同位体(重水素(すなわちH)など)で置換することによって、代謝安定性がより良好になることに起因する治療上の利点(例えば、インビボにおける半減期が増加することや、必要な用量が減少すること)を得ることができる。
本明細書に記載の化合物(上記化合物の何れかを製造するための試薬、非天然アミノ酸、および(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチド)のいくつかは、不斉炭素を有しており、このため、鏡像異性体またはジアステレオマーとして存在することができる。ジアステレオマーの混合物を、公知の方法(例えば、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶)によって、それぞれの物理的、化学的違いに基づいて、各ジアステレオマーに分離することができる。鏡像異性体を、鏡像異性体の混合物を、以下のような方法により、より分離することができる。すなわち、鏡像異性体の混合物を、適切な光学活性化合物(アルコールなど)と反応させることによりジアステレオマーの混合物に変換し、該ジアステレオマーを分離し、そして、各ジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換する(加水分解など)ことにより分離することができる。上記の異性体(ジアステレオマー、鏡像異性体、およびそれらの混合物)の全ては、本明細書に記載の組成物の一部として考慮される。
さらに、または追加の実施形態では、本明細書に記載の化合物(上記化合物の何れかを製造するための試薬、非天然アミノ酸、および(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドなど)は、プロドラッグの形態で用いられる。さらに、または追加の実施形態では、本明細書に記載の化合物(上記化合物の何れかを製造するための試薬、非天然アミノ酸、および(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドなど)は、必要とする生物への投与により代謝されて、所望の効果(所望の治療効果など)を奏するのに用いられる代謝産物が製造される。さらに、または追加の実施形態では、本発明は、非天然アミノ酸および(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドの活性型代謝産物である。
本明細書に記載の方法および製剤には、非天然アミノ酸、および(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドのN酸化物、結晶性形状(多形態としても知られる)、または薬学的に許容可能な塩の使用が含まれる。いくつかの状況では、非天然アミノ酸、および(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドは、互変異性体として存在してもよい。全ての互変異性体は、本明細書に記載の非天然アミノ酸、および(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドの範囲に含まれる。また、本明細書に記載の非天然アミノ酸、および(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドは、溶媒和していない形態であってもよいし、薬学的に許容可能な塩(水およびエタノールなど)と一緒に溶媒和した形態であってもよい。また、本明細書に記載の非天然アミノ酸、および(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドの溶媒した形態も、本明細書に開示されていると考えられる。
当業者は、本明細書の化合物(上記化合物の何れかを製造するための試薬、非天然アミノ酸、および(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドなど)のいくつかが、いくつかの互変異性体の形態で存在することができると、認識する。そのような互変異性体の形態は、本明細書に記載の組成物の一部であると考えられる。また、例えば、任意の化合物(上記化合物の何れかを製造するための試薬、非天然アミノ酸、および(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドなど)エノール−ケトールの形態の全ては、本明細書に記載の組成物の一部であると考えられる。
本明細書の化合物(上記化合物の何れかを製造するための試薬、非天然アミノ酸、および(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドなど)のいくつかは、酸性であり、薬学的に許容可能な陽イオンとの塩を形成してもよい。本明細書の化合物(上記化合物の何れかを製造するための試薬、非天然アミノ酸、および(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドなど)のいくつかは、塩基性であり、このため、薬学的に許容可能な陰イオンと塩を形成してもよい。上記塩(2塩(di−salts)を含む)は、本明細書に記載の組成物の範囲に含まれる。また、上記塩を従来の方法により調製することができる。例えば、酸性の物質と塩基性の物質とを水性の反応媒質、非水性の反応媒質、または部分的に水性の反応媒質の何れかにおいて接触させることにより、塩を調製することができる。塩は、以下の技術のうちの少なくとも1つを用いて、回収される。すなわち、ろ過、溶媒の蒸発、または水溶液の場合は、凍結乾燥である。
塩としては、例えば、(1)無機酸または有機酸と一緒に形成された酸付加塩、(2)親化合物に存在する酸性のプロトンが、金属イオンによって置換されるか、または有機塩基に配位するときに形成される塩が挙げられる。上記無機酸としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。上記有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトニック酸(glucoheptonic acid)、4,4−メチレンビス−(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第3級ブチル酢酸(tertiary butylacetic acid)、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、およびムコン酸などが挙げられる。上記金属イオンとしては、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、またはアルミニウムイオンなどが挙げられる。許容可能な有機塩基としては、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、およびN−メチルグルカミンなどが挙げられる。許容可能な無機塩基としては、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、および水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
塩への参照は、塩の溶媒付加形態、または結晶形態(特に、溶媒和物、または多形態)が含まれることを理解されたい。溶媒和物は、化学量論的または非化学量論的な量の溶媒を含んでいる。また、溶媒和物は、結晶化の過程の間に形成されることが多い。水和物は、溶媒が水のときに形成され、アルコラートは、溶媒がアルコールのときに形成される。多形態には、化合物の基本的な組成は同じで、結晶の凝集配置が異なるものが含まれる。各多形態は、一般的に、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学および電気的特性、安定性、ならびに、可溶性を有している。様々な要因(再結晶溶媒、結晶化速度、および保存温度)により、単結晶を優先的に形成することができる。
本明細書で言及された刊行物および特許の全ては、これらに記載の本発明と一緒に用いられ得るコンストラクトならびに方法論などを開示および記載することを目的として、参照によって本明細書に組み込まれる。また、上記コンストラクトおよび方法論などは、一例を挙げると、下記の特許出願の全てが、開示される;米国仮特許出願第60/638,418号明細書、米国仮特許出願第60/696,210号明細書、米国仮特許出願第60/638,527号明細書、米国仮特許出願第60/696,302号明細書、米国仮特許出願第60/639,195号明細書、米国仮特許出願第60/696,068号明細書、米国仮特許出願第60/755,338号明細書、米国仮特許出願開第60/755,711号明細書、米国仮特許出願第60/755,018号明細書、米国仮特許出願第60/743,041号明細書、米国仮特許出願第60/743,040号明細書、米国仮特許出願第60/734,589号明細書、米国許出願公開第11/313,956号明細書、米国許出願公開第11/313,306;および米国許出願公開第11/313,305。本明細書において検討される刊行物は、本出願の前の開示のみを提供するものである。本明細書では、先行発明の長所または他の如何なる理由によって、本発明らが、上記開示よりも先行している資格を与えられないことを、承認していると解釈されることはない。
〔図面の簡単な説明〕
本発明の方法および組成物の特徴と利点とは、例証のための実施形態について説明する下記の詳細な説明および添付の図面を参照することによって、さらに理解され得る。実施形態では、我々の方法、組成物、装置、および器具の原理が利用されている。
図1は、本明細書に記載の方法、組成物、戦略および技術のある態様の関係を示す略図である。
図2は、2kのホモ2官能性のヒドロキシアミンPEGリンカーを用いて実施した、scFv108の1ステップの2量体化反応をSDS−PAGEにより分析した非限定的な例を示す図である。この2量体化反応では、scFvとリンカーとのモル比が異なっている。1)scFvrリンカー=1.6:1(酢酸ヒドラジド有り);2)scFv:リンカー=2:1(酢酸ヒドラジド有り);3)scFv:リンカー=2.4:1(酢酸ヒドラジド有り);4)scFv:リンカー=2:1(酢酸ヒドラジド無し);5)scFv:リンカー=2:1(酢酸ヒドラジド有り)(PEGリンカー無し)。
図3は、scFv−pAcFと30KモノヒドロキシアミンPEGとの接合体をSDS−PAGEにより分析した非限定的な例を示す図である。1)基準である出発scFv−pAcFの100%;2)基準である出発scFv−pAcFの20%;3)基準である出発scFv−pAcFの10%;4)scFv:PEG=1:3(20mMの酢酸ヒドラジド有り);5)scFv:PEG=1:3(酢酸ヒドラジド無し);6)scFv:PEG=1:5(20mMの酢酸ヒドラジド有り);7)scFv:PEG=1:5(酢酸ヒドラジド無し)。
図4は、酢酸ヒドラジドの濃度が異なるときの、scFv−pAcFと30KモノヒドロキシアミンPEGとの接合体をSDS−PAGEにより分析した非限定的な例を示す図である。1)scFv−pAcF:PEG=1:2(5mMの酢酸ヒドラジド);2)scFv−pAcF:PEG=1:2(20mMの酢酸ヒドラジド);3)scFv−pAcF:PEG1:2(80mM酢酸ヒドラジド);4)scFv−pAcF:PEG=1:5(酢酸ヒドラジド無し);5)基準である出発scFv−pAcFの10%;6)基準である出発scFv−pAcFの20%;7)基準である出発scFv−pAcFの100%。
図5は、本明細書に記載の方法、反応、および合成において用いられることができる促進剤の非限定的な例を示す図である。
図6は、異なる促進剤の存在下におけるオキシムの形成を比較した、SDS−PAGE分析の非限定的な例を示す図である。レーンの数字は、図5における促進剤の数字に対応する最後のレーンは、促進剤の無い対照反応である。
図7は、促進剤7および20の存在下における、hGH−pAcFと30KモノヒドロキシアミンPEGとの接合体をSDS−PAGEにより分析した非限定的な例を示す図である。1)hGH−pAcF:PEG=1:2(促進剤7有り);2)hGH−pAcF:PEG=1:2(促進剤20有り);3)hGH−pAcF:PEG=1:2(促進剤無し);4)hGH−pAcF:PEG=1:5(促進剤無し)。
図8は、促進剤である酢酸ヒドラジドの濃度を変えてインキュベーションしたときの、hGHのLCMS分析の非限定的な例を示す図である。A)全LCMSの追跡;B)hGHの質量スペクトル(促進剤無し);C)hGHの質量スペクトル(200mMの酢酸ヒドラジド(促進剤)有り)。
図9は、本明細書に記載の方法、反応、および合成において用いられることができる促進剤の非限定的な例を示す図である。
図10(a)は、促進剤の存在下においてケトンのモデルとヒドロキシアミンのモデルとからオキシムのモデルを形成する非限定的な反応を示す図である。図10(b)は、本明細書に記載の方法、反応、および合成において用いられることができる促進剤の非限定的な例を示す図である。
図11は、本明細書に記載の様々な促進剤の存在または非存在下において実施される、モデル反応に関するオキシムの収率の非限定的な組を示す図である。
〔発明の詳細な説明〕
〔1.はじめに〕
近年、タンパク質科学における新たな技術全体では、タンパク質の部位特異的修飾に関する多くの制限を克服する見込みがあるとの報告がなされている。特に、新たな要素が、原核生物の大腸菌(E.coli)(例えば、「L. Wangら, Science 292:498-500 (2001)」)、および真核生物のSacchromyces cerevisiae(S. cerevisiae)(例えば、「J.Chinら, Science 301:964-7(2003)」を参照のこと)のタンパク質生合成機構に加えられている。これにより、インビボにおいて、非天然アミノ酸をタンパク質に組み込むことが可能になった。これまでにない化学的、生理学的または生物学的特性を有する多数の新たなアミノ酸が、この手法によって、アンバー・コドン、TAGに反応して、E.coliおよび酵母においてタンパク質へ高い忠実性で効率的に組み込まれた。例えば、「J.W.Chinら, Journal of the American Chemical Society 124:9026-9027(2002)」(その全体を参照のために示す);「J.W.Chin,& P.G.Schultz, ChemBioChem 3(11):1135-1137(2002)(その全体を参照のために示す);「J.W.Chinら, PNAS United States of America 99:11020-11024(2002)(その全体を参照のために示す);および、「L. Wang,& P.G.Schultz, Chem. Comm.,1:1-11(2002)」(その全体を参照のために示す)を参照のこと。また、上記新たなアミノ酸としては、例えば、光親和性標識されたアミノ酸、光異性化性(photoisomerizable)アミノ酸ならびに光架橋性(photocrosslinking)アミノ酸(「Chin, J.Wら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A 99:11020-11024(2002)」、および「Chin, J.Wら, J. Am. Chem. Soc. 124:9026-27(2002)」などを参照のこと);ケトアミノ酸、およびグリコシル化アミノ酸が挙げられる。これらの研究では、(1)タンパク質中に存在せず、(2)20の共通の遺伝的にコードされるアミノ酸(例えば、“天然”アミノ酸)において存在する全ての官能基に対して化学的に不活性であり、(3)使用したときに、選択的かつ効率よく反応して安定な共有結合を形成し得る化学官能基を選択的且つ定期的に導入できることが証明された。
天然アミノ酸に存在しない化学官能基は、ケトンならびにアルデヒドのようなカルボニル基、およびヒドロキシルアミン基を含む。ヒドロキシルアミン部分は、比較的安定したオキシムを形成するために、ケトンおよびアルデヒドのようなカルボニル基と反応する。この対合(カルボニル基とヒドロキシルアミンとの)によって、非天然アミノ酸ポリペプチドをさらに機能的にするための手段を提供する。例えば、そのような対合の例を以下に示す:
Figure 0005508716
例えば、ヒドロキシルアミン部分またはカルボニル基のどちらか一方が非天然アミノ酸ポリペプチドに組み込まれ、対合に関するもう一方の構成要素を含む試薬と反応させた場合には、非天然アミノ酸ポリペプチドはオキシム基の形成を経て、試薬によって機能化され得る。タンパク質機能化反応に適合するとはいえ、例えば、より少ない量の反応物質を用いることができ、反応終了までの時間の短縮が可能になるように、標準的なオキシムの形成が、より効率的にされてもよい。したがって、促進剤(acelerant)の開発は、非常に価値がある。
〔2.概要〕
図1は、本明細書に記載される組成物、方法および技術の1実施形態である。カルボニル含有化合物は、オキシム含有化合物を形成するためにヒドロキシルアミン含有化合物との反応に選ばれる。カルボニル含有化合物は、非天然アミノ酸、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコールなど)、試薬、リンカー基、より一層の機能性を有する基、およびそれらの混合物を含む;本公開では、さらなる機能性を有する基の数々の例を提供する。ヒドロキシルアミン含有化合物は、非天然アミノ酸、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコールなど)、試薬、リンカー基、さらなる機能性を有する基、およびそれらの混合物を含む;本公開では、さらなる機能性を有する基の数々の例を提供する。オキシム含有化合物は、非天然アミノ酸、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコールなど)、試薬、リンカー基、さらなる機能性を有する基、およびそれらの混合物を含む;本公開では、さらなる機能性を有する基の数々の例を提供する。ヒドロキシルアミン含有化合物とカルボニル含有化合物との反応混合物に促進剤が加えられる。ここで、促進剤は次の特性のうち少なくとも1つを有する:(a)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との間のオキシム含有化合物を形成する反応速度を上昇させる特性(反応速度の増加は促進剤の非存在下における反応に相関する);(b)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との間のオキシム含有化合物を形成する反応の活性化エネルギーを減少させる特性(活性化エネルギーの減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(c)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応から生じるオキシム含有化合物の収量を増加させる特性(収量の増加は促進剤の非存在下における反応に相関する);(d)ヒドロキシルアミン含有化合物と反応するカルボニル含有化合物のオキシム含有化合物を形成する温度を低下させる特性(温度の低下は促進剤の非存在下における反応に相関する);(e)オキシム含有化合物を形成するカルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物の反応に必要な時間を減少させる特性(時間の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(f)オキシム含有化合物の形成に必要な試薬量を減少させる特性(試薬量の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(g)オキシム含有化合物を形成するカルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応から生じる副生成物を減少させる特性(副生成物の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(h)促進剤の存在下においてオキシムを形成する反応を行っても、ポリペプチドの三次構造は回復不可能な破壊を受けないという特性(そのような三次構造を破壊することを目的とした場合は、当然除かれる);(i)真空中でオキシム含有化合物から分離され得る特性;および(j)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応を調節する特性。さらなる実施形態において、促進剤は上述した特性の何れも有していない。状況に応じて、本明細書に記載の促進剤の多様性は試験され、促進剤は、上述した特性のうち少なくとも1つ保有するものに基づいて選ばれる。状況に応じて、反応特性(例えば、オキシム含有化合物の収率)は次の少なくとも1つによって、さらに最適化されてもよい:(a)促進剤量を変更すること、(b)カルボニル含有化合物量を変更すること、(c)ヒドロキシルアミン含有化合物量を変更すること、(d)反応温度を変更すること、(e)反応のpHを変更すること、(f)反応混合物中の溶媒を変更すること。状況に応じて、添加される促進剤は最適された反応条件において試験されるか、選択および最適化工程が入れ替えられるか、または反復法において選択および最適化工程が繰り返される。カルボニル含有化合物およびヒドロキシルアミン含有化合物は、オキシム含有化合物を形成するために促進剤存在下において反応する。状況に応じて、反応の進行は、例えば、クロマトグラフィーを含む検出手段によって観察される。オキシム含有化合物は、促進剤存在下におけるカルボニル含有化合物およびヒドロキシルアミン含有化合物の反応から得られる。オキシム含有化合物は、状況に応じて、分離、精製および特徴づけをすることが可能である。促進剤は、様々な方法によってオキシム含有化合物から取り除くことができる。その方法の一例としては、ろ過、真空における技術、クロマトグラフィー、膜を基盤としたバイオ分離、電気泳動、オキシム含有化合物の沈殿、蒸留、またはそれらの組み合わせを含んでいる。このように、本明細書に記載される1実施形態において、促進剤はオキシム含有材料から真空中で取り除くことができる;一方、本明細書に記載される別の実施形態において、促進剤は上述した方法のうち何れか(またはいくつかの組み合わせ)によって取り除くことができる。分離および沈殿は、反応混合物中の材料から、少なくともいくばくかのオキシムを含有していない化合物の除去の表れである。
一段階において、本明細書に記載されるのは、促進剤存在下において形成されるオキシム基を有する非天然アミノ酸または修飾された非天然アミノ酸の少なくとも1つから成るポリペプチドを作成および使用するための手段(方法、組成物、技術)である(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。該非天然アミノ酸は、所望の機能性を有するがこれに限定されるものではなく、さらなる機能性を有していてもよい。
また、本明細書に記載されるのは、促進剤存在下において形成されるオキシム部分を有するか、またはオキシム部分を含むために修飾され得る非天然アミノ酸である(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。この態様に含まれるのは、該非天然アミノ酸の製造方法、精製方法、特徴づけの方法および使用方法である。本明細書に記載される別の態様では、該非天然アミノ酸のうち少なくとも1つをポリペプチドへ組み込む方法、戦略および技術である。また、この態様に含まれるのは、該非天然アミノ酸の少なくとも1つを含んでいるポリペプチドの製造方法、精製方法、特性化方法および使用方法である。また、この態様に含まれるのは、ポリヌクレオチド(DNAおよびRNAなど)の組成物、ならびに製造方法、精製方法、特性化方法および使用方法である。ポリヌクレオチドは、少なくとも一部に最小に見ても非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドを製造するために用いることができる。非天然アミノ酸は、オキシム含有非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するための促進剤の存在下において、(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)反応され得るものであり、修飾されている該ポリペプチドを含んでいる。また、この態様に含まれるのは、細胞の組成物、ならびに製造方法、精製方法、特性化方法および使用方法である。該細胞は、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドを、少なくとも部分的に製造するために用いることができる、該ポリヌクレオチドを発現することが可能な細胞である。
また、本明細書に記載の方法、組成物、戦略および技術の範囲内に含まれるのは、試薬と、ポリヌクレオチドの一部である非天然アミノ酸(カルボニル基またはジカルボニル基、ヒドロキシルアミン基、もしくはその保護形態を含んでいる)と反応させて、上記翻訳後修飾された物質の何れかを生成するための促進剤である。一般的に、反応の結果生じる、翻訳後修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドは、少なくとも1つのオキシム基を含んでいてもよい;反応の結果生じる修飾されたオキシム含有非天然アミノ酸ポリペプチドは、その後さらに修飾反応を受けてもよい。また、この態様に含まれるのは、該促進剤の選択方法、製造方法、最適化方法、精製方法、特徴づけ方法および使用方法である。促進剤は、該非天然アミノ酸の該翻訳の修飾された物質の何れかと共に用いることができる。
非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10つ、またはそれ以上のオキシム基を含有している(もしくはその保護形態またはマスクされた形態)非天然アミノ酸を含むことができる。ここで、少なくとも1つのオキシム基は、本明細書に記載の促進剤存在下において生成される。さらに、該オキシム含有非天然アミノ酸ポリペプチドは、状況に応じて、カルボニル基またはジカルボニル基、ヒドロキシルアミン基、もしくはその保護形態を少なくとも1つ含有している非天然アミノ酸ポリペプチドを含んでもよい。非天然アミノ酸は、同一であっても異なるものであってもよく、タンパク質中において、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20またはそれ以上異なる部位があってもよい。このタンパク質は、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20またはそれ以上異なる非天然アミノ酸を含んでいる。1実施形態において、天然型のタンパク質に存在する特定のアミノ酸のうちの、すべてではないが少なくとも1つは、非天然アミノ酸と置換される。
本明細書に記載の非天然アミノ酸の方法および組成物は、官能基、置換基または、所望の機能性などを有する多種多様な物質と、所望の機能性などを含むその他の物質との接合体を提供する。なお、官能基の場合は、少なくとも1つの接合体が、本明細書に記載される促進剤の存在下において形成されるオキシム基によって、非天然アミノ酸と化学結合されることが条件である。
本明細書に記載される組成物、方法、技術および戦略の別の実施形態は、上述の(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドの何れかを研究または使用する方法である。例えば、この態様に含まれるのは、治療、診断、基礎分析、産業、化粧品、植物生物学、環境、エネルギー生産、および/または軍事用途である。これら用途は、(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドまたはタンパク質を構成するポリペプチドから、利益を得るであろう。
〔3.少なくとも1つの促進剤存在下でのポリペプチドの非天然アミノ酸成分における翻訳後の修飾〕
方法、組成物、技術および戦略は、インビボにおけるタンパク質の翻訳の間、部位特異的に非天然アミノ酸を組み込むために発展している。天然アミノ酸と直交である側鎖を有する非天然アミノ酸を組み込むことによって、この技術は組換えタンパク質の部位特異的誘導体化を可能にする。その結果、本明細書に記載される方法、組成物、技術および戦略の主な効果は、誘導体化されたタンパク質が、直ちに、規定された相同産物(homogenous product)として調製され得るということである。しかしながら、促進剤に関連する本明細書に記載される方法、組成物、反応混合物、技術および戦略は、インビボにおけるタンパク質翻訳技術によって形成される非天然アミノ酸ポリペプチドだけに限定されるものではない。しかしながら、例えば、発現されたタンパク質ライゲーション、化学合成、リボザイムに基づく技術(例えば、本明細書に標記された「代替システムにおける発現」という項目を参照のこと)を含む技術によって形成される非天然アミノ酸ポリペプチドを含む。便宜上、非天然アミノ酸ポリペプチド上にオキシム結合を形成するための促進剤の使用に対して用いられるときの用語「翻訳後の修飾」には、本明細書に記載されたり、当業者に知られていたりするような任意の技術(インビボおよびインビトロにおける何れかの技術を含む)によって形成される非天然アミノ酸ポリペプチドが含まれる。
組換えタンパク質の中に非天然アミノ酸を組み込む能力は、誘導体化のために導入することができる化学物質を広範囲に広げる。より具体的に言うと、ポリペプチドの非天然アミノ酸部位にオキシム結合を形成するタンパク質の誘導体化は、様々な効果をもたらす。第一に、天然のアミノ酸は、一般的にオキシム結合を形成しない。このため、オキシム結合を形成するように設計された試薬は、ポリペプチドの非天然アミノ酸成分と部位特異的に反応することがある(当然ながら、非天然アミノ酸および類似の試薬はオキシム結合を形成するように設計されているということを想定している)。したがって、タンパク質を部位特異的に誘導体化する能力は、従来技術を用いて生成される誘導体化されたタンパク質の混合物に相反する単一の相同産物(homogenous product)を提供する。第二に、オキシム付加体は生物学的条件下において安定である。このことから、オキシム置換によって誘導体化されたタンパク質は、治療用に有効な候補であるということが示唆される。第三に、得られるオキシム結合の安定性は、形成されているオキシム結合への非天然アミノ酸の同一性、例えば、官能基および/または構造)に基づいて操作されてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸ポリペプチドへのオキシム結合は、1時間に満たない分解半減期を有しており、別の実施形態においては1日未満、別の実施形態においては2日未満、別の実施形態においては1週間未満、および別の実施形態においては1週間以上の分解半減期を有している。さらなる実施形態において、得られるオキシムは弱酸性条件の下、少なくとも2週間安定している。別の実施形態において、得られるオキシムは弱酸性条件の下、少なくとも5日間安定している。別の実施形態において、非天然アミノ酸ポリペプチドはpH約2〜8において少なくとも1日間安定している;別の実施形態において、pH約2〜6;別の実施形態では、pH約2〜4において安定している。本明細書に記載される戦略、方法、組成物および技術を用いる別の実施形態において、当業者の一人は、(例えば、持続放出のような治療上の利用、診断上の利用、産業上の利用、または軍事利用のために)当業者が必要とする分解半減期を有するオキシム結合を非天然アミノ酸ポリペプチドに合成することができる。
オキシム含有非天然アミノ酸または非天然アミノ酸ポリペプチドは、(a)カルボニル含有非天然アミノ酸またはカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドと、ヒドロキシルアミン含有試薬との反応、または(b)ヒドロキシルアミン含有非天然アミノ酸またはヒドロキシルアミン含有非天然アミノポリペプチドと、カルボニル含有試薬との反応から得られる。オキシム含有非天然アミノ酸または非天然アミノ酸ポリペプチドの形成は、反応混合物への促進剤の付加によって強化され得る。促進剤は、次の特性のうち少なくとも1つを有する化合物である:(a)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との間のオキシム含有化合物を形成する反応速度を上昇させる特性(反応速度の増加は促進剤の非存在下における反応に相関する);(b)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との間のオキシム含有化合物を形成する反応の活性化エネルギーを減少させる特性(活性化エネルギーの減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(c)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応から生じるオキシム含有化合物の収量を増加させる特性(収量の増加は促進剤の非存在下における反応に相関する);(d)ヒドロキシルアミン含有化合物と反応するカルボニル含有化合物のオキシム含有化合物を形成する温度を低下させる特性(温度の低下は促進剤の非存在下における反応に相関する);(e)オキシム含有化合物を形成するカルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物の反応に必要な時間を減少させる特性(時間の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(f)オキシム含有化合物の形成に必要な試薬量を減少させる特性(試薬量の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(g)オキシム含有化合物を形成するカルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応から生じる副生成物を減少させる特性(副生成物の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(h)促進剤の存在下においてオキシムを形成する反応を行っても、ポリペプチドの三次構造は回復不可能な破壊を受けないという特性(そのような三次構造を破壊することを目的とした場合は、当然除かれる);(i)真空中でオキシム含有化合物から分離され得る特性;および(j)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応を調節する特性。さらなる実施形態において、促進剤は、上記特性のうち少なくとも2つ、上記特性のうち3つ、上記特性のうち4つ、上記特性のうち5つ、上記特性のうち6つ、上記特性のうち7つ、上記特性のうち8つ、上記特性のうち9つ、または上記特性の全てを有する。さらなる実施形態において、促進剤は上述の特性の何れも有していない。
促進剤の使用とは、単一の促進剤または複数の促進剤の使用を含む。さらに、促進剤のカルボニル含有化合物に対するモル比は、約0.5:1から5000:1の間の値、例えば、4000:1,3000:1,2000:1,1000:1,500:1,400:1,300:1,200:1,100:1,50:1,40:1,30:1,20:1,10:1,9:1,8:1,7:1,6:1,5:1,4:1,3:1,2:1,1:1,0.9:1,0.8:1,0.7:1,0.6:1,および0.5:1を含む。さらに、促進剤は、生じるオキシム含有化合物から、真空で実質的に取り除くことができる化合物を含む。さらに、促進剤は、ジアミン部分(moiety)、セミカルバジド部分、ヒドラジン、またはヒドラジン部分を含んでいる化合物を含む。
さらに、上述の態様または形態の何れかにおける促進剤は、2官能性芳香族アミン、オキソアミン誘導体、および以下の構造を有している化合物から成る群から選ばれる:
Figure 0005508716
(ここで、R,RおよびRは、L−H,L−アルキル,L−アリール,L−ヘテロアリール,L−アルケニル,L−アルキニル,L−アルコキシ,およびL−アルキルアミンから成る群から選ばれる。Lは結合を示し、C(=O),C(=NH),C(=NH)−NH,SO,およびSOである)。
さらなる実施形態において、促進剤は2官能性芳香族アミンである。さらなる実施形態において、2官能性芳香族アミンは次の2官能性芳香族アミンの群から選ばれる:
Figure 0005508716
さらなる実施形態において、促進剤はオキソアミン誘導体である。さらなる実施形態において、オキソアミン誘導体は、次のオキソアミン誘導体の群から選ばれる:
Figure 0005508716
さらに、促進剤は次の化合物から成る群から選ばれる化合物を含む:
Figure 0005508716
(なお、R,RおよびRは、L−H,L−アルキル,L−アリール,L−ヘテロアリール,L−アルケニル,L−アルキニル,L−アルコキシ,およびL−アルキルアミンから成る群から選ばれ、Lは結合を示し、C(=O),C(=NH),およびC(=NH)−NHである)。さらに、上述の態様または形態の何れかにおいて、促進剤は図5、図9または図10に示される化合物から選択され、例えば、図5の化合物6,8,10,7および20などが挙げられる。上述の態様または実施形態の何れかにおいて、促進剤はカルボニル含有基との反応によってヒドラゾンを形成することができる試薬を含む。さらに、上述の何れかの態様において、促進剤活性は、ケトン部分(moiety)との反応速度および、得られる中間体の安定性に依存する。さらに、上述の態様または形態の何れかにおいて、促進剤、カルボニル含有化合物およびヒドロキシルアミン含有化合物を含んでいる反応混合物のpHは、約2.0から10の間;約2.0から9.0の間;約2.0から8.0の間;約3.0から7.0の間;約4.0から6.0の間;約3.0から10.0の間;約4.0から10.0の間;約3.0から9.0の間;約3.0から8.0の間;約2.0から7.0の間;約3.0から6.0の間;約4.0から9.0の間;約4.0から8.0の間;約4.0から7.0の間;約4.0から6.5の間;約4.5から6.5の間;約4.0;約4.5;約5.0;約5.5;約6.0;約6.5;および約7.0である。
上述の非天然アミノ酸ポリペプチドは、これに限定されるものではないが、新しい治療法、診断法、促進剤酵素、工業用酵素、結合タンパク質(抗体および抗体フラグメントを含むがこれに限定されるものではない)に有用である。また、これに限定されないが、タンパク質の構造および機能の研究にとって有用である。例えば、「Dougherty,Unnatural Amino Acid as Probes of Protein Structure and Function,Current Opinion in Chemical Biology,4:645-652(2000)」を参照のこと。上述した非天然アミノ酸ポリペプチドの別の使用法としては、例えば、基礎分析、化粧品、植物生物学、環境、エネルギー生産、および/または軍事用途である。しかしながら、上述の非天然アミノ酸ポリペプチドは、新たなまたは修正された機能性を組み込むように、さらなる修飾を受けてもよい。これには、ポリペプチドの治療効果の操作、ポリペプチドの安全面の改良、ポリペプチドの薬物動態、薬理および/または薬効の調節(例えば、水溶性の上昇、生体利用効率、血清半減期の増加、治療半減期の増加、免疫原性の調節、生物活性の調節、または循環時間の延長)、ポリペプチドへの付加機能性の提供、ポリペプチドへの標識、ラベル、または検出シグナルの組み込み、ポリペプチドの遊離性の緩和、および上述した修飾のいくつかの組み合わせが含まれる。
本明細書に記載の方法、組成物、戦略および技術は、ポリペプチドまたはタンパク質の特定のタイプ、クラスまたはファミリーに限定されるものではない。実際には、実質的にポリペプチドは本明細書に記載の非天然アミノ酸のうち少なくとも1つを含む。例えば、ポリペプチドは、次のものから成る群から選ばれる治療タンパク質と相同であってもよい:アルファ−1アンチトリプシン、アンギオスタチン、抗溶血性因子(antihemolytic factor)、抗体、抗体フラグメント、アポリポタンパク質、アポタンパク質、心房性ナトリウム利尿因子(atrial natriuretic factor)、心房性ナトリウム利尿ポリペプチド(atrial natriuretic polypeptide)、心房性ペプチド(atrial peptide)、C−X−Cケモカイン、T39765、NAP−2、ENA−78、gro−a、gro−b、gro−c、IP−10、GCP−2、NAP−4、SDF−1、PF4、MIG、カルシトニン、c−キットリガンド、サイトカイン、CCケモカイン、モノサイトケモアトラクタントタンパク質−1(monocyte chemoattractant protein-1)、モノサイトケモアトラクタントタンパク質−2(monocyte chemoattractant protein-2)、モノサイトケモアトラクタントタンパク質−3(monocyte chemoattractant protein-3)、モノサイト炎症タンパク質−1アルファ、モノサイト炎症タンパク質−iベータ、RANTES、1309、R83915、R91733、HCC1、T58847、D31065、T64262、CD40、CD40リガンド、c−キットリガンド、コラーゲン、コロニー刺激因子(CSF)、補体ファクター5a、補体インヒビター、補体レセプター1、サイトカイン、上皮好中球活性ペプチド−78(epithelial neutrophil activating peptide)、MIP−16、MCP−1、上皮細胞増殖因子(EGF)、上皮好中球活性ペプチド、エリスロポエチン(EPO)、毒素除去剤(exfoliating toxin)、ファクター9、ファクター7、ファクター8、ファクター10、線維芽細胞増殖因子(FGF)、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、4らせん構造タンパク質、G−CSF、glp−1、GM−CSF、グルコセレブロシダーゼ(glucocerebrosidase)、ゴナドトロピン、成長因子、成長因子レセプター、grf、ヘッジホッグタンパク質、ヘモグロビン、肝細胞成長因子(hGF)、ヒルジン、ヒト成長ホルモン(hGF)、ヒト血清アルブミン、ICAM−1、ICAM−1レセプター、LFA−1、LFA−1レセプター、インスリン、インスリン様成長因子(IGF)、IGF−1、IGF−2、インターフェロン(IFN)、IFN−アルファ、IFN−ベータ、IFN−ガンマ、インターフェロン様分子またはIFNファミリーの何れか、インターロイキン(IL)、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、ケラチノサイト成長因子(KGF)、ラクトフェリン、白血病抑制因子(leukemia inhibitory factor)、ルシフェラーゼ、ニュートリン(neurturin)、ニュートロフィル抑制因子(NIF)(neurtrophil inhibitory factor)、オンコスタチンM、骨形成タンパク質、癌遺伝子産物、パラシトニン(paracitonin)、副甲状腺ホルモン、PD−ECSF、PDGF、ペプチドホルモン、プレイオトロピン(pleiotropin)、タンパク質A、タンパク質G、pth、ピロゲニックエキソトキシンA(pyrogenic exotoxin)、ピロゲニックエキソトキシンB、ピロゲニックエキソトキシンC、pyy、レラキシン(relaxin)、レニン、SCF、小型生合成タンパク質、水溶性補体レセプター1、水溶性1−CAM1、水溶性インターロイキンレセプター、水溶性TNFレセプター、ソマトメジン、ソマトスタチン、ソマトトロフィン、ストレプトキナーゼ、スーパーアンチゲン(superantigen)、ブドウ球菌エンテロトキシン、FLT、SEA、SEB、SEC1、SEC2、SEC3、SED、SEF、ステロイドホルモンレセプター、スーパーオキシドジスムターゼ、毒素性ショック症候群毒素(toxic shock syndrome toxin)、チモシンアルファ1、組織プラスミノゲン活性化因子、腫瘍増殖因子(TGF)、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子アルファ、腫瘍壊死因子ベータ、腫瘍壊死因子レセプター(TNFR)、VLA−4タンパク質、VCAM−1タンパク質、血管内皮(細胞)増殖因子(VEGF)、ウロキナーゼ、mos、ras、raf、met、p53、tat、fos、myc、jun、myb、rel、エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、テストステロンレセプター、アルドステロンレセプター、LDLレセプター、およびコルチコステロン。非天然アミノ酸ポリペプチドは、成長ホルモンのスーパーファミリー遺伝子の何れかのポリペプチド部材と相同であってもよい。
該修飾は、所望の機能性を含むがこれに限定されるものではなく、ポリペプチドの構成要素である非天然アミノ酸へのさらなる機能性の組み込みを含む。
したがって、例えば、以下のアミノ酸の何れか1つを含んでいる非天然アミノ酸ポリペプチドは、本明細書に記載の方法および組成物を用いて、本明細書に記載される促進剤の存在下においてさらに修飾されてもよい:
(a)
Figure 0005508716
(ここで:
Aは任意に存在し、存在する場合には、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは任意に存在し、存在する場合には、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)k(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−C(O)N(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−,−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−,−N(R’)C(O)N(R’)−,−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選ばれるリンカーであり、各R’は独立してH、アルキル、または置換アルキルである);
Jは、
Figure 0005508716
である;
RはH、アルキル、置換アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキル;
各R”は独立してH、アルキル、置換アルキルまたは保護基であり、また、1つ以上のR”基が存在する場合には、2つのR”は選択的にヘテロシクロアルキルを形成する;
は任意に存在し、存在している場合にはH、アミノ保護基、レジン(resin)である;および、
は任意に存在し、存在している場合にはOH、エステル保護基、レジンである;
およびRのそれぞれは、独立してH、ハロゲン、低級アルキル、または置換低級アルキルであるか、あるいは、RおよびRまたは2つのR基は、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意で形成する;
または、−A−B−J−R基は、二環式あるいは三環式のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを共に形成しており、ジカルボニル基を含むカルボニル基、保護されたジカルボニル基を含む保護されたカルボニル基、またはマスクされたジカルボニル基を含むマスクされたカルボニル基のうち、少なくとも1つを含んでいる;
または、−J−R基は、単環あるいは二環式のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを共に形成しており、ジカルボニル基を含むカルボニル基、保護されたジカルボニル基を含む保護されたカルボニル基、またはマスクされたジカルボニル基を含むマスクされたカルボニル基のうち、少なくとも1つを含んでいる);
(b)
Figure 0005508716
(ここで:
Rはアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである;
は任意に存在し、存在している場合にはH、アミノ保護基、レジンである;また、
は任意に存在し、存在している場合にはOH、エステル保護基、レジンである;および、
各Rは独立して、H,ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)R’、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’から成る群から選ばれる。なお、kは1,2、または3であり、各R’は独立してH、アルキル、置換アルキルである。
(c)
Figure 0005508716
(ここで:
Aは任意に存在し、存在する場合には、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンである;
Bは任意に存在し、存在する場合には、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)k(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選ばれるリンカーである。各R’は独立してH,アルキル、または置換アルキルである;
Kは、−NRまたは−N=CRである;
Rは、H,アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである;
は任意に存在し、存在している場合にはH、アミノ保護基、レジンである;また、
は任意に存在し、存在している場合にはOH、エステル保護基、レジンである;
およびRのそれぞれは、独立してH、ハロゲン、低級アルキル、または置換低級アルキルであるか、あるいは、RおよびRまたは2つのR基は、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意で形成する;
およびRのそれぞれは、独立してH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、および置換アラルキル、から成る群から選ばれ、−C(O)R”、−C(O)R”、−C(O)N(R”)の各R”は、独立して水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または置換アラルキル;またはRおよびRは、L−Xであり、Xは所望の機能性から成る群から選ばれる;および、Lは任意に存在し、存在している場合にはアルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選ばれるリンカー(linker)である。各R’は独立してH,アルキル、または置換アルキルである;
(d)
Figure 0005508716
(ここで、
Aは任意に存在し、存在する場合には、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンである;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである;
は任意に存在し、存在している場合にはH、アミノ保護基、レジン、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドである;
はC、S、またはS(O)である;およびLはアルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)、なお、各R’は独立してH、アルキルまたは置換アルキルである;または、
(e)
Figure 0005508716
(ここで、
Aは任意に存在し、存在する場合には、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンである;
MはC(R)−、
Figure 0005508716
である。なお、(a)はA基と結合することを表し、(b)は、カルボニル基と結合することを表し、RおよびRは独立して、H,ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキルからから選ばれるか、あるいはRおよびRまたは2つのR基は、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意で形成する;
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである;
は結合を示し、C(R)(R)、O、またはSであり、RはH、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである;
は任意に存在し、存在している場合には、H、アミノ保護基、レジン、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドである;および、
は任意に存在し、存在している場合には、OH、エステル保護基、レジン、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドである。
本明細書に記載される方法および組成物の一態様では、少なくとも1つの非天然アミノ酸を有する少なくとも1つのタンパク質を含む組成物を含むが、これに限定されるものではなく、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10つ、またはそれ以上の非天然アミノ酸を有するタンパク質であってもよい。これらは、翻訳後に修飾される。翻訳後に修飾される非天然アミノ酸は、同様であっても異なっていてもよい。翻訳後に修飾される非天然アミノ酸が、異なっている場合は、例えば、タンパク質中において、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20またはそれ以上異なる部位があってもよく、このタンパク質は、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20またはそれ以上異なる翻訳後修飾された非天然アミノ酸を含んでいる。別の態様において、タンパク質に存在する特定のアミノ酸のうちの、すべてではないが少なくとも1つは、翻訳後修飾された非天然アミノ酸と置換される。1つ以上の翻訳後に修飾された非天然アミノ酸を有する特定のタンパク質について言えば、翻訳後に修飾された非天然アミノ酸は、同質のものまたは異なるものであってもよい(タンパク質は、翻訳後に修飾された非天然アミノ酸のうち2つまたはそれ以上の異なるタイプを含むか、あるいは、同質の翻訳後に修飾された非天然アミノ酸うち2つを含むことができるが、これに限定されるものではない)。翻訳後に修飾された非天然アミノ酸を2つ以上有する特定のタンパク質について言えば、翻訳後に修飾された非天然アミノ酸は、同種、異種であってもよく、異種の翻訳後に修飾された非天然アミノ酸の少なくとも1つを有する同じ種類のうち、複数の翻訳後に修飾された非天然アミノ酸の組み合わせであってもよい。
〔A.少なくとも1つの促進剤の存在下において、非天然アミノ酸を翻訳後に修飾する方法:ヒドロキシルアミン含有試薬とカルボニル含有非天然アミノ酸との反応〕
天然アミノ酸の側鎖は、高い求電子部位が不足している。したがって、例えば、ケトンのようなカルボニルまたはジカルボニル基を含むアミノ酸を含んでいる求電子物質含有側鎖を有する非天然アミノ酸の組み込みは、カルボニルまたはジカルボニル基の求核攻撃によって、この側鎖の部位特異的誘導体化を可能にする。求電子物質を攻撃するのがヒドロキシルアミンである場合には、オキシム誘導体化タンパク質が生成される。誘導体化および/またはさらなる修飾をする方法は、誘導体化工程の前または誘導体化工程後に精製されているポリペプチドによって行なわれてもよい。さらに、誘導体化工程は、例えば、pH約2〜8の間、またはpH約4〜8の間を含む、弱酸性から弱塩基性条件の下で生じる可能性がある。
カルボニル含有非天然アミノ酸またはカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドと、ヒドロキシルアミン含有試薬との反応から得られる、オキシム含有非天然アミノ酸または非天然アミノ酸ポリペプチドの形成は、反応混合物への促進剤の付加によって強化され得る。促進剤は次の特性のうち少なくとも1つを有する:(a)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との間のオキシム含有化合物を形成する反応速度を上昇させる特性(反応速度の増加は促進剤の非存在下における反応に相関する);(b)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との間のオキシム含有化合物を形成する反応の活性化エネルギーを減少させる特性(活性化エネルギーの減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(c)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応から生じるオキシム含有化合物の収量を増加させる特性(収量の増加は促進剤の非存在下における反応に相関する);(d)ヒドロキシルアミン含有化合物と反応するカルボニル含有化合物のオキシム含有化合物を形成する温度を低下させる特性(温度の低下は促進剤の非存在下における反応に相関する);(e)オキシム含有化合物を形成するカルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物の反応に必要な時間を減少させる特性(時間の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(f)オキシム含有化合物の形成に必要な試薬量を減少させる特性(試薬量の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(g)オキシム含有化合物を形成するカルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応から生じる副生成物を減少させる特性(副生成物の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(h)促進剤の存在下においてオキシムを形成する反応を行っても、ポリペプチドの三次構造は回復不可能な破壊を受けないという特性(そのような三次構造を破壊することを目的とした場合は、当然除かれる);(i)真空中でオキシム含有化合物から分離され得る特性;および(j)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応を調節する特性。さらなる実施形態において、促進剤は、上記特性のうち少なくとも2つ、上記特性のうち3つ、上記特性のうち4つ、上記特性のうち5つ、上記特性のうち6つ、上記特性のうち7つ、上記特性のうち8つ、上記特性のうち9つ、または上記特性の全てを有する。さらなる実施形態において、促進剤は上述の特性のいずれも有していない。
促進剤の使用は、単一の促進剤または複数の促進剤の使用を含む。さらに、促進剤のカルボニル含有化合物に対するモル比は、約0.5:1から5000:1までの間の値を含むものであり、例えば、4000:1,3000:1,2000:1,1000:1,500:1,400:1,300:1,200:1,100:1,50:1,40:1,30:1,20:1,10:1,9:1,8:1,7:1,6:1,5:1,4:1,3:1,2:1,1:1,0.9:1,0.8:1,0.7:1,0.6:1,および0.5:1を含む。さらに、促進剤のヒドロキシルアミン含有化合物に対するモル比は、約0.5から5000:1までの間の値、例えば、4000:1,3000:1,2000:1,1000:1,500:1,400:1,300:1,200:1,100:1,50:1,40:1,30:1,20:1,10:1,9:1,8:1,7:1,6:1,5:1,4:1,3:1,2:1,1:1,0.9:1,0.8:1,0.7:1,0.6:1,および0.5:1を含む。さらに、促進剤は、得られるオキシム含有化合物から真空で実質的に取り除くことが可能な化合物を含む。さらに、促進剤は、ジアミン部分(moiety)、セミカルバジド部分、ヒドラジン、またはヒドラジド部分を含んでいる化合物を含む。
さらに、上述の態様または形態の何れかにおいて、促進剤は2官能性芳香族アミン、オキソアミン誘導体、および以下の構造を有している化合物から成る群から選ばれる:
Figure 0005508716
(ここで、R、RおよびRは、L−H、L−アルキル、L−アリール、L−ヘテロアリール、L−アルケニル、L−アルキニル、L−アルコキシ、およびL−アルキルアミンから成る群から選ばれ、Lは結合を示し、C(=O)、C(=NH)、C(=NH)−NH、SO、およびSOである。
さらなる実施形態において、促進剤は2官能性芳香族アミンである。さらなる実施形態において、芳香族アミンは次の2官能性芳香族アミンの群から選ばれる:
Figure 0005508716
さらなる実施形態において、促進剤はオキソアミン誘導体である。さらなる実施形態において、オキソアミン誘導体は次のオキソアミン誘導体の群から選ばれる:
Figure 0005508716
さらに、促進剤は次の化合物から成る群から選ばれる:
Figure 0005508716
(なお、R、RおよびRは、L−H,L−アルキル,L−アリール,L−ヘテロアリール,L−アルケニル,L−アルキニル,L−アルコキシ,およびL−アルキルアミンから成る群から選ばれ、Lは結合を示し、C(=O)、C(=NH)、およびC(=NH)−NHである)。さらに、上述の態様または形態において、促進剤は、例えば、図5の化合物6、8、10、7および20を含む、図5、図9または図10において示される化合物から選ばれる。上述の態様または形態の何れかにおいて、促進剤は、カルボニル含有群との反応によってヒドラゾンを形成することができる試薬を含む。さらに、上述の態様において、促進剤活性は、ケトン部分との反応速度、および得られる中間体の安定性に依存している。さらに、上述の態様または形態において、促進剤カルボニル含有化合物およびヒドロキシルアミン含有化合物を含む反応混合物のpHは、約2.0から10の間;約2.0から9.0の間;約2.0から8.0の間;約3.0から7.0の間;約4.0から6.0の間;約3.0から10.0の間;約4.0から10.0の間;約3.0から9.0の間;約3.0から8.0の間;約2.0から7.0の間;約3.0から6.0の間;約4.0から9.0の間;約4.0から8.0の間;約4.0から7.0の間;約4.0から6.5の間;約4.5から6.5の間;約4.0;約4.5;約5.0;約5.5;約6.0;約6.5;および約7.0である。
ヒドロキシルアミン置換分子とカルボニルジカルボニル含有タンパク質との反応に基づいたタンパク質誘導体化方法は、明確な効果を有する。第一に、ヒドロキシルアミンは、オキシム付加体を生成するために、pH約2から8の間(および、さらなる実施形態においては、pH約4から8の間で)において、カルボニル含有またはジカルボニル含有化合物によって縮合される。これら条件の下、天然アミノ酸の側鎖は反応しない。第二に、選択可能な該化学反応により、組換えタンパク質を部位特異的に誘導体化することができる:誘導体化されたタンパク質は、規定された相同産物として、直ちに調製され得る。第三に、本明細書に記載のカルボニルまたはジカルボニル含有タンパク質と、本明細書に記載のヒドロキシルアミンとを反応させるのに必要とされる穏やかな条件では、一般的にポリペプチドの三次構造をひどく壊さない(言うまでもなく、反応の目的が該三次構造を壊す場合は除く)。最後に、ヒドロキシルアミン基アミノは、E.coliによって代謝されるように見えるが、カルボニルまたはジカルボニル含有分子とヒドロキシルアミンとの縮合は、生物学的環境下で安定であるオキシム付加体を生成する。
例えば、以下の非天然アミノ酸は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、本明細書に記載のヒドロキシルアミン含有試薬と反応すると、オキシム含有非天然アミノ酸またはポリペプチドが形成されるカルボニルまたはジカルボニル含有アミノ酸の一種である。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある。
Figure 0005508716
ここで、
Aは任意に存在し、存在する場合には、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンである;
Bは任意に存在し、存在する場合には、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−、から成る群から選ばれるリンカーである。各R’は独立してH、アルキル、または置換アルキルである;
Jは、
Figure 0005508716
である;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである;
各R”は独立したH、アルキル、置換アルキルまたは保護基であり、R”が1つ以上存在する場合には、2つのR”は状況に応じてヘテロシクロアルキルを形成する;
は任意に存在し、存在している場合には、H、アミノ保護基、レジンである;また、
は任意に存在し、存在している場合には、OH、エステル保護基、レジンである;
およびRのそれぞれは、独立してH、ハロゲン、低級アルキル、または置換低級アルキルであるか、あるいは、RおよびRまたは2つのR基は、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意で形成する;
または、−A−B−J−R基は、二環式あるいは三環式のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを共に形成しており、ジカルボニル基を含むカルボニル基、保護されたジカルボニル基を含む保護されたカルボニル基、またはマスクされたジカルボニル基を含むマスクされたカルボニル基のうち、少なくとも1つを含んでいる;
または、−J−R基は、単環あるいは二環式のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを共に形成しており、ジカルボニル基を含むカルボニル基、保護されたジカルボニル基を含む保護されたカルボニル基、またはマスクされたジカルボニル基を含むマスクされたカルボニル基のうち、少なくとも1つを含んでいる;
上述した目的のため、例えば一般式(I)の化合物は以下の構造を有する化合物を含む:
Figure 0005508716
ここで:
Rは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである;
は任意に存在し、存在している場合には、H、アミノ保護基、レジンである;また、
は任意に存在し、存在している場合には、OH、エステル保護基、レジン;および、
各Rは独立して、H,ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−(O)R’、−C(O)N(R’)、および−S(O)R’から成る群から選ばれる。なお、kは1,2、または3であり、各R’は独立してH、アルキル、置換アルキルである。
上述した目的のため、例えば一般式(I)の化合物は以下の構造を有する化合物を含む:
Figure 0005508716
ここで:
Aは任意に存在し、存在する場合には、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンである;
Rは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである;
は任意に存在し、存在している場合には、H、アミノ保護基、レジン、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドである;
は任意に存在し、存在している場合には、OH、エステル保護基、レジン、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドである;
はC、S、またはS(O)であり;また、Lは結合、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)である。なお、各R’は独立してH、アルキルまたは置換アルキルである。
さらに、上述した目的のため、例えば一般式(I)の化合物は、一般式(XXXX)の構造を有する化合物を含む:
Figure 0005508716
ここで:
Aは任意に存在し、存在する場合には、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンである;
Mは−C(R)−、
Figure 0005508716
である。なお、(a)はA基と結合することを表し、(b)は、それぞれのカルボニル基と結合することを表し、RおよびRは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキルから選ばれるか、あるいはRおよびRあるいは2つのR基または2つのR基は、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意で形成する;
Rは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである;
は結合、C(R)(R)、O、またはSであり、RはH、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである;
は任意に存在し、存在している場合には、H、アミノ保護基、レジン、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチド;および、
は任意に存在し、存在している場合には、OH、エステル保護基、レジン、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドである。
該カルボニルまたはジカルボニル含有非天然アミノ酸を含むポリペプチドの一種は、カルボニルまたはジカルボニル含有非天然アミノ酸がポリペプチドに位置する限り、実質的に限定されない。これは、ヒドロキシルアミン試薬がカルボニルまたはジカルボニル基と反応することが可能であり、ポリペプチドの三次構造を壊すような、得られる修飾された非天然アミノ酸を生成できないためである(言うまでもなく、例えば、該破壊が反応の目的である場合は除く)。
例えば、以下のヒドロキシルアミン含有試薬は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、本明細書に記載のカルボニルまたはジカルボニル含有非天然アミノ酸と反応すると、オキシム含有非天然アミノ酸が形成されるヒドロキシルアミン含有試薬の一種である。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある:
Figure 0005508716
ここで、
各Xは独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−ON(R”)、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−C(O)SR”、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−S−S−(アリールまたは置換アリール)、−C(O)R”、−C(O)R”、または−C(O)N(R”)である。なお、各R”は独立した水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキルまたは置換アラルキルである;
または、各Xは独立して、所望の機能性から成る群から選ばれる;
各Lは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−(アルキレンまたは置換アルキレン)NR’C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−O−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−N(R’)C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選ばれる。;
は任意に存在し、存在している場合には、−C(R’)−N(R’)−C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−であり、pには0、1または2が入る;
各R’は、独立してH、アルキルまたは置換アルキルである;
Wは、−N(Rであり、各Rは独立してHまたはアミノ保護基であり;また、nは1〜3である;ただし、L−L−Wは、非天然アミノ酸または(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドのカルボニル基(ジカルボニルを含んでいる)と反応することが可能な少なくとも1つのヒドロキシルアミン基を共に供給するものである。
1実施形態において、ヒドロキシルアミン誘導体化試薬は、カルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドおよび促進剤のバッファ(緩衝液)(pH2〜8)へ加えられる。得られるオキシム含有非天然アミノ酸ポリペプチドは、HPLC、FPLCまたはサイズエクスクルーション(size-exclusion)クロマトグラフィーによって精製される。
さらなる、または別の実施形態において、一般式(I)の化合物の一般式(XIX)の化合物に対するモル比は、約1:2、1:1、1.5:1、1.5:2、2:1、1:1.5、2:1.5、または1.5:1〜2:1の間である。
1実施形態において、複数のリンカーを有する化学物質は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、オキシム結合を形成するために、カルボニルまたはジカルボニル置換非天然アミノ酸ポリペプチドと部位特異的に反応することができる(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。1実施形態において、本明細書に記載のリンカー法は、少なくとも1つのリンカー末端(1つ、2つ、または多官能性の)上にヒドロキシルアミン機能性を含んでいるリンカーを利用できる。ケト置換タンパク質とヒドロキシルアミン誘導体化リンカーとの縮合により、安定したオキシム結合が生成される。2つおよび/または多機能性のリンカー(例えば、1以上の他の連結化学物質を有するヒドロキシルアミン)を用いることにより、異種の分子(例えば、他のタンパク質、ポリマーまたは小分子)と非天然アミノ酸ポリペプチドとを部位特異的に結合することができる。しかしながら、1官能性リンカー(すべての末端がヒドロキシルアミンで置換されている)を用いることにより、非天然アミノ酸ポリペプチドを部位特異的にダイマー化、またはオリゴマー化が促進される。本明細書に記載のインビボにおける翻訳技術とこのリンカー戦略とを組み合わせることによって、化学合成されたタンパク質の三次元構造を特定することができるようになる。
〔B.少なくとも1つの促進剤存在下における、非天然アミノ酸ポリペプチドを翻訳後に修飾する方法:カルボニル含有試薬とヒドロキシルアミン含有非天然アミノ酸との反応〕
上述した翻訳後の修飾技術および組成物は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、修飾されたオキシム含有非天然アミノ酸ポリペプチドを製造するために、カルボニルまたはジカルボニル含有試薬と反応するヒドロキシルアミン含有非天然アミノ酸と共に用いられてもよい(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。
ヒドロキシルアミン含有非天然アミノ酸またはヒドロキシルアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドと、カルボニル含有試薬との反応から得られるオキシム含有非天然アミノ酸または非天然アミノ酸ポリペプチドの構造は、反応混合物への促進剤の付加によって強化され得る。促進剤は、下記の特性を少なくとも1つ有している化合物である。(a)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との間のオキシム含有化合物を形成する反応速度を上昇させる特性(反応速度の増加は促進剤の非存在下における反応に相関する);(b)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との間のオキシム含有化合物を形成する反応の活性化エネルギーを減少させる特性(活性化エネルギーの減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(c)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応から生じるオキシム含有化合物の収量を増加させる特性(収量の増加は促進剤の非存在下における反応に相関する);(d)ヒドロキシルアミン含有化合物と反応するカルボニル含有化合物のオキシム含有化合物を形成する温度を低下させる特性(温度の低下は促進剤の非存在下における反応に相関する);(e)オキシム含有化合物を形成するカルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物の反応に必要な時間を減少させる特性(時間の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(f)オキシム含有化合物の形成に必要な試薬量を減少させる特性(試薬量の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(g)オキシム含有化合物を形成するカルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応から生じる副生成物を減少させる特性(副生成物の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(h)促進剤の存在下においてオキシムを形成する反応を行っても、ポリペプチドの三次構造は回復不可能な破壊を受けないという特性(そのような三次構造を破壊することを目的とした場合は、当然除かれる);(i)真空中でオキシム含有化合物から分離され得る特性;および(j)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応を調節する特性。促進剤は、上記特性のうち少なくとも2つ、上記特性のうち3つ、上記特性のうち4つ、上記特性のうち5つ、上記特性のうち6つ、上記特性のうち7つ、上記特性のうち8つ、上記特性のうち9つ、または上記特性の全てを有する。さらなる実施形態において、促進剤は上記特性の何れも有していない。
促進剤の使用は、単一の促進剤または複数の促進剤の使用を含む。さらに、促進剤のカルボニル含有化合物に対するモル比は、約0.5:1から5000:1の間の値を含むものであり、例えば、4000:1,3000:1,2000:1,1000:1,500:1,400:1,300:1,200:1,100:1,50:1,40:1,30:1,20:1,10:1,9:1,8:1,7:1,6:1,5:1,4:1,3:1,2:1,1:1,0.9:1,0.8:1,0.7:1,0.6:1,および0.5:1を含む。さらに、促進剤のヒドロキシルアミン含有化合物に対するモル比は、約0.5:1から5000:1の間の値を含むものであり、例えば、4000:1,3000:1,2000:1,1000:1,500:1,400:1,300:1,200:1,100:1,50:1,40:1,30:1,20:1,10:1,9:1,8:1,7:1,6:1,5:1,4:1,3:1,2:1,1:1,0.9:1,0.8:1,0.7:1,0.6:1,および0.5:1を含む。さらに、促進剤は、得られるオキシム含有化合物から真空で実質的に取り除くことが可能な化合物を含む。さらに、促進剤は、ジアミン部分、セミカルバジド部分、ヒドラジン、またはヒドラジド部分を含んでいる化合物を含む。
さらに、上述の態様または形態の何れかにおいて、促進剤は2官能性芳香族アミン、オキソアミン誘導体、および以下の構造を有する化合物から成る群から選ばれる:
Figure 0005508716
(ここで、R、RおよびRは、L−H、L−アルキル、L−アリール、L−ヘテロアリール、L−アルケニル、L−アルキニル、L−アルコキシ、およびL−アルキルアミンから成る群から選ばれ、Lは結合を示し、C(=O)、C(=NH)、C(=NH)−NH、SO、およびSOである)。
さらなる実施形態において、促進剤は2官能性芳香族アミンである。さらなる実施形態において、芳香族アミンは次の2官能性芳香族アミンの群から選ばれる:
Figure 0005508716
さらなる実施形態において、促進剤はオキソアミン誘導体である。さらなる実施形態において、オキソアミン誘導体は次のオキソアミン誘導体の群から選ばれる:
Figure 0005508716
さらに、促進剤は以下の化合物から成る群から選ばれる:
Figure 0005508716
(ここで、R、RおよびRは、L−H,L−アルキル,L−アリール,L−ヘテロアリール,L−アルケニル,L−アルキニル,L−アルコキシ,およびL−アルキルアミンから成る群から選ばれ、Lは結合を示し、C(=O),C(=NH)、およびC(=NH)−NHである)。さらに、上述の態様または形態において、促進剤は、例えば、図5の化合物6,8,10,7および20を含む、図5、図9または図10において示される化合物から選ばれる。上述の態様または形態の何れかにおいて、促進剤は、カルボニル含有群との反応によってヒドラゾンを形成することができる試薬を含む。さらに、上述の態様において、促進剤活性は、ケトン部分との反応速度、および得られる中間体の安定性に依存している。さらに、上述の態様または形態において、促進剤カルボニル含有化合物およびヒドロキシルアミン含有化合物を含む反応混合物のpHは、約2.0から10の間;約2.0から9.0の間;約2.0から8.0の間;約3.0から7.0の間;約4.0から6.0の間;約3.0から10.0の間;約4.0から10.0の間;約3.0から9.0の間;約3.0から8.0の間;約2.0から7.0の間;約3.0から6.0の間;約4.0から9.0の間;約4.0から8.0の間;約4.0から7.0の間;約4.0から6.5の間;約4.5から6.5の間;約4.0;約4.5;約5.0;約5.5;約6.0;約6.5;および約7.0である。
カルボニルまたはジカルボニル置換分子とヒドロキシルアミン含有タンパク質との反応に基づいたタンパク質誘導体化方法は、明確な効果を有する。第一に、ヒドロキシルアミンは、オキシム付加体を生成するために、pH約2から8の間(および、さらなる実施形態においては、pH約4から8の間で)において、カルボニル含有またはジカルボニル含有化合物による縮合を受ける。これら条件の下、天然アミノ酸の側鎖は反応しない。第二に、選択可能な該化学反応は、組換えタンパク質の部位特異的誘導体化を可能にする:誘導体化されたタンパク質は、規定された相同産物(homogeneous products)として、直ちに調製され得る。第三に、本明細書に記載のヒドロキシルアミン含有ポリペプチドと、本明細書に記載のカルボニルまたはジカルボニル含有試薬とを反応させるのに必要とされる穏やかな条件では、一般的にポリペプチドの三次構造をひどく壊さない(言うまでもなく、反応の目的が該三次構造を壊す場合は除く)。最後に、ヒドロキシルアミン基アミノは、E.coliによって代謝されるように見えるが、カルボニルまたはジカルボニル含有分子と、ヒドロキシルアミンとの縮合は、生物学的環境下で安定であるオキシム付加体を生成する。
例えば、以下の非天然アミノ酸は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、本明細書に記載のカルボニル含有またはジカルボニル含有試薬と反応すると、オキシム含有非天然アミノ酸またはポリペプチドが形成されるヒドロキシルアミン含有アミノ酸の一種である。なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある:
Figure 0005508716
ここで、
Aは任意に存在し、存在する場合には、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンである;
Bは任意に存在し、存在する場合には、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−,−O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選ばれるリンカーである。各R’は独立してH、アルキル、または置換アルキルである;
Kは−NHである;
は任意に存在し、存在している場合には、H、アミノ保護基、レジン、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチド;および、
は任意に存在し、存在している場合には、OH、エステル保護基、レジン、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチド;
およびRのそれぞれは、独立してH、ハロゲン、低級アルキル、または置換低級アルキルであるか、あるいは、RおよびRまたは2つのR基は、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意で形成する。
該ヒドロキシルアミン含有非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドの一種は、ポリペプチドに位置する限り実質的に限定されるものではない。これは、カルボニルまたはジカルボニル含有試薬がヒドロキシルアミン群と反応することが可能であり、ポリペプチドの三次構造を壊すような、得られる修飾された非天然アミノ酸を生成しないためである(言うまでもなく、例えば、該破壊が反応の目的である場合は除く)。
例えば、以下のカルボニル含有またはジカルボニル含有試薬は、本明細書に記載の促進剤の存在下において、本明細書に記載のヒドロキシルアミン含有非天然アミノ酸と反応すると、オキシム含有非天然アミノ酸またはポリペプチドが形成されるカルボニルまたはジカルボニル含有試薬の一種である。(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある):
Figure 0005508716
ここで、
各Xは独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−ON(R”)、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−C(O)SR”、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−S−S−(アリールまたは置換アリール)、−C(O)R”、−C(O)R”、または−C(O)N(R”)である。なお、各R”は独立した水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキルまたは置換アラルキルである;
また、各Xは独立して、所望の機能性から成る群から選ばれる;
各Lは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−(アルキレンまたは置換アルキレン)NR’C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−O−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−N(R’)C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−である。;
は任意に存在し、存在している場合には、−C(R’)−N(R’)−C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−であり、pには0、1または2が入る;
各R’は、独立してH、アルキルまたは置換アルキルである;
Wは、−J−Rであり、Jは、
Figure 0005508716
である;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルであり;各R”は、独立したH、アルキル、置換アルキルまたは保護基である。また、R”基が1つ以上存在する場合には、2つのR”は任意でヘテロシクロアルキルを形成する;および、nは1〜3である;
ただし、L−L−Wは、非天然アミノ酸または(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドで、ヒドロキシルアミン基と反応することが可能なカルボニル基(ジカルボニルを含んでいる)の少なくとも1つを共に供給するものである。
1実施形態において、カルボニル誘導体化試薬は、ヒドロキシルアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドのバッファ(pH2〜8)および促進剤へ加えられる。反応の結果生じるオキシム含有非天然アミノ酸ポリペプチドは、HPLC、FPLCまたはサイズエクスクルーション(size-exclusion)クロマトグラフィーによって精製される。
さらなる、または別の実施形態において、一般式(XIV)の化合物に対する一般式(XIX)の化合物のモル比は、約1:2;1:1;1.5:1;1.5:2;2:1;1:1.5;2:1.5;または1.5:1〜2:1の間である。
1実施形態において、複数のリンカーを有する化学物質は、ヒドロキシルアミン置換非天然アミノ酸ポリペプチドと部位特異的に反応することができる。1実施形態において、本明細書に記載のリンカー法は、少なくとも1つのリンカー末端上にカルボニルまたはジカルボニル機能性(1つ、2つまたは複数の機能的な)を有しているリンカーを使用する。ヒドロキシルアミン置換タンパク質によるカルボニルまたはジカルボニル誘導体化リンカーの縮合は、安定したオキシム結合を生成する。2つおよび/または複数の機能的リンカー(例えば、別の結合反応を1つまたはそれ以上有するカルボニルまたはジカルボニル)は、非天然アミノ酸ポリペプチドと異種の分子(例えば、その他のタンパク質、ポリマーまたは小分子)の部位特異的結合を許容する。その一方で、1つの機能的リンカー(すべての末端で置換されるカルボニルまたはジカルボニル)は、非天然アミノ酸ポリペプチドの部位特異的ダイマーまたはオリゴメリゼーション(oligomerization)を容易にする。本明細書に記載のインビボにおける翻訳技術により、このリンカー戦略を組み合わせることによって、化学合成されたタンパク質の三次元構造を特定することができるようになる。
〔C.少なくとも1つの促進剤の存在下における機能性追加の例:非天然アミノ酸ポリペプチドに結合した高分子ポリマー〕
本明細書に記載の天然アミノ酸ポリペプチドへの多種の修飾は、本明細書に記載された組成物、方法、技術および戦術を用いることにより効果をもたらすことができる。これらの修飾は、本明細書に記載の促進剤の存在下で形成されるオキシム結合を介したポリペプチドの天然アミノ酸構成要素へのさらなる機能性(特に限定されないが、所望の機能性が含まれる)組み込みを含む。(なお、上記反応は、本明細書に記載の促進剤が無い場合に効率が低いことがある)。本明細書に記載の組成物、方法、技術および戦術の説明のための単なる例として、以下の記述では、高分子ポリマーの非天然アミノ酸ポリペプチドへの追加について焦点が当てられているが、そこに記載の組成物、方法、技術および戦術が、他の機能性(上記に挙げられたものなど)の追加についても適用できると理解される。なお、この適用は、必要に応じて、また当業者が、本明細書の開示により実施することができる適切な修飾を伴っていることがある。
(a)ヒドロキシルアミン含有の非天然アミノ酸ポリペプチドおよびカルボニル含有試薬の反応から、または(b)カルボニル含有の非天然アミノ酸ポリペプチドおよびヒドロキシルアミン含有試薬の反応から生じた非天然アミノ酸ポリペプチドと、オキシム結合を介して結合した高分子ポリマーの形成は、反応混合物への促進剤の添加により促進することが可能である。そのような促進剤は、以下の特性の少なくとも1つをもつ化合物である:(a)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との間のオキシム含有化合物を形成する反応速度を上昇させる特性(反応速度の増加は促進剤の非存在下における反応に相関する);(b)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との間のオキシム含有化合物を形成する反応の活性化エネルギーを減少させる特性(活性化エネルギーの減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(c)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応から生じるオキシム含有化合物の収量を増加させる特性(収量の増加は促進剤の非存在下における反応に相関する);(d)ヒドロキシルアミン含有化合物と反応するカルボニル含有化合物のオキシム含有化合物を形成する温度を低下させる特性(温度の低下は促進剤の非存在下における反応に相関する);(e)オキシム含有化合物を形成するカルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物の反応に必要な時間を減少させる特性(時間の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(f)オキシム含有化合物の形成に必要な試薬量を減少させる特性(試薬量の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(g)オキシム含有化合物を形成するカルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応から生じる副生成物を減少させる特性(副生成物の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(h)促進剤の存在下においてオキシムを形成する反応を行っても、ポリペプチドの三次構造は回復不可能な破壊を受けないという特性(そのような三次構造を破壊することを目的とした場合は、当然除かれる);(i)真空中でオキシム含有化合物から分離され得る特性;および(j)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応を調節する特性。さらなる実施形態では、促進剤は、上記特性のうち少なくとも2つ、上記特性のうち3つ、上記特性のうち4つ、上記特性のうち5つ、上記特性のうち6つ、上記特性のうち7つ、上記特性のうち8つ、上記特性のうち9つ、または上記特性の全てを有する。さらなる実施形態では、促進剤は上記特性を1つも有しない。
促進剤の使用には単一の促進剤または複数の促進剤の使用が含まれる。加えて、促進剤のカルボニル含有化合物に対するモル比は約0.5:1から5000:1の間の値を含み、例として4000:1、3000:1、2000:1、1000:1、500:1、400:1、300:1、200:1、100:1、50:1、40:1、30:1、20:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、および0.5:1を含む。さらに、促進剤のヒドロキシルアミン含有化合物に対するモル比は約0.5:1から5000:1の間の値を含み、例として4000:1、3000:1、2000:1、1000:1、500:1、400:1、300:1、200:1、100:1、50:1、40:1、30:1、20:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、および0.5:1を含む。さらに、促進剤は生成したオキシム含有化合物から真空で実質的に分離できる化合物を含む。さらに、促進剤はジアミン部分、セミカルバザイド部分、ヒドラジンまたはヒドラジド部分を含有する化合物を含む。
さらに、前述の態様および実施形態の何れかにおいて、促進剤は、2官能性芳香族アミン、オキソアミン誘導体および以下の構造を有する化合物から成る群から選択される:
Figure 0005508716
(ここでR、RおよびRは、L−H,L−アルキル,L−アリール,L−ヘテロアリール,L−アルケニル,L−アルキニル,L−アルコキシ,およびL−アルキルアミンから成る群から選ばれ、Lは結合を示し、C(=O)、C(=NH)、C(=NH)−NH、SO、およびSOである)。
さらなる実施形態において、促進剤は2官能性芳香族アミンである。さらなる実施形態において、芳香族アミンは以下の2官能性芳香族アミンから成る群から選択される:
Figure 0005508716
さらなる実施形態において、促進剤はオキソアミン誘導体である。さらなる実施形態においてオキソアミン誘導体は以下のオキソアミン誘導体の群から選択される:
Figure 0005508716
さらに、促進剤は以下の化合物から成る群から選択される化合物を含む:
Figure 0005508716
(ここで、R、RおよびRは、L−H,L−アルキル,L−アリール,L−ヘテロアリール,L−アルケニル,L−アルキニル,L−アルコキシ,およびL−アルキルアミンから成る群から選ばれ、Lは結合を示し、C(=O)、C(=NH)およびC(=NH)−NHである)。さらに、全ての発明の態様または実施形態において、促進剤は、図5、図9または図10に示される化合物から選択され、例えば、図5の6、8、10、7および20の化合物を全て含む。上記の態様または実施形態の何れかにおいて、反応促進物はヒドラジンとカルボニルを含有する基との反応から形成できる試薬を含む。さらに、前述の態様の何れかにおいて促進剤の活性はケトンの一部との反応割合および生じる中間体の安定性に依存する。さらに、前述の態様または実施形態の何れかにおいて、促進剤、カルボニル含有化合物およびヒドロキシルアミン含有化合物を含む反応混合物のpHは約2.0から10の間である;約2.0から9.0の間である;約2.0から8.0の間である;約3.0から7.0の間である;約4.0から6.0の間である;約3.0から10.0の間である;約4.0から10.0の間である;約3.0から9.0の間である;約3.0から8.0の間である;約2.0から7.0の間である;約3.0から6.0の間である;約4.0から9.0の間である;約4.0から8.0の間である;約4.0から7.0の間である;約4.0から6.5の間である;約4.0から6.5の間である;約4.5から6.5の間である;約4.0である;約4.5である;約5.0である;約5.5である;約6.0である;約6.5である;約7.0である。
多種多様な高分子ポリマーおよびその他の分子は、非天然アミノ酸ポリペプチド(または類似する天然アミノ酸ポリペプチド)の生物学的特性を制御するために、本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドと結合することができ、および/または非天然アミノ酸ポリペプチド(またはその非天然アミノ酸に対応する天然アミノ酸ポリペプチド)に新たな生物学的特性を与えることができる。これらの高分子ポリマーは非天然アミノ酸に結合したオキシムを介して、非天然アミノ酸ポリペプチドに結合することができる。
水溶性のポリマーは、本明細書に記載した非天然アミノ酸ポリペプチドに結合することができる。水溶性ポリマーは、オキシム結合により非天然アミノ酸に結合してもよい。ある場合には、本明細書に記載した非天然アミノ酸ポリペプチドは、水溶性のポリマーに結合した1つ以上の非天然アミノ酸または1つ以上の水溶性ポリマーに結合した天然アミノ酸から成る。親水性ポリマーを、生物活性分子へ共有結合させることは、水溶性(生理環境中のような)の上昇、生物学的利用能、血中半減期の増加、治療半減期、免疫原性の制御、生物活性の制御、またはタンパク、ペプチドおよび特に疎水性分子を含む生物活性分子の循環時間の伸長のための1つの方法であるといえる。加えて、そのような疎水性ポリマーの重要な特徴は、生体親和性、毒性の欠如および免疫原性の欠如を含む。好ましくは、最終精製製品の治療的使用のため、ポリマーは製薬に適していることが望まれる。
好適な疎水性ポリマーの例は以下のものを含む:ポリアルキルエーテルおよびアルコキシキャップされたその類似体(例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレン/プロピレングリコールおよびメトキシまたはエトキシキャップされたそれらの類似体、特にポリオキシエチレングリコール、後者はポリエチレングリコールまたはPEGとして知られている);ポリビニルアルキルエステル;ポリオキサゾリン、ポリアルキルオキサゾリンおよびポリヒドロキシルアルキルオキサゾリン;ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミドおよびポリヒドロキシアルキルアクリルアミド(例えば、ポリヒドロキシプロピルメタアクリルアミドおよびその誘導体);ポリヒドロキシアルキルアクリレート;ポリシアル酸およびその類似体;疎水ペプチド配列;デキストランおよびデキストラン誘導体を含むポリサッカライドおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルデキストラン、デキストラン硫酸塩、アミノデキストラン;セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース;キチンおよびその誘導体、例えば、キトサン、スクシニルキトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン;ヒアルロン酸およびその誘導体;でんぷん;アルギン酸塩;コンドロイチン硫酸塩;アルブミン;プルランおよびカルボニルメチルプルラン;ポリアミノ酸およびその誘導体、例えば、ポリグルタミン酸、ポリリジン、ポリアスパラギン酸、ポリアスパラギン酸アミド;以下のようなマレイン酸無水物共重合体:スチレンマレイン酸無水物共重合体、ジビニルエチルエーテルマレイン酸無水物共重合体;ポリビニルアルコール;それらの共重合体;それらのターポリマー;それらの混合物;および前述の誘導体。水溶性ポリマーは、全ての直鎖状、二股状または分岐鎖状の構造を含んでよく、またこれらに限定されない。ある実施形態において、2から約300の末端を有する水溶性のポリマー骨格は特に有用である。複数の機能的ポリマー誘導体は、限定されないが、2つの末端を有する直鎖状のポリマーであり、それぞれの末端には官能基が結合しており、その官能基は同一または異なっていてもよい。ある実施形態において、水溶性ポリマーはポリ(エチレングリコール)部分を含む。ポリマーの分子量は広い範囲であってよく、限定されないが、約100Daから100,000Daの間であってよく、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da,70,000Da,65,000Da,60,000Da,55,000Da,50,000Da,45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、1,000Da、900Da、800Da、700Da、600Da、500Da、400Da、300Da、200Da、および100Daである。ある実施形態において、ポリマーの分子量は約100Daと50,000Daの間である。ある実施形態において、ポリマーの分子量は約100Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、ポリマーの分子量は約1000Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、ポリマーの分子量は約5,000Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、ポリマーの分子量は約10,000Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、ポリ(エチレングリコール)分子は分岐鎖状のポリマーである。分岐鎖状のPEGの分子量は約1,000Daと約100,000Daの間であってよく、限定されないが、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Daおよび1,000Daを含む。ある実施形態において、分岐鎖状のPEGの分子量は約1,000Daと50,000Daの間である。ある実施形態において、分岐鎖状のPEGの分子量は1,000Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、分岐鎖状のPEGの分子量は5,000Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、分岐鎖状のPEGの分子量は1,000Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、分岐鎖状のPEGの分子量は5,000Daと20,000Daの間である。当業者は上述の実質的な水溶性の骨格のリストは、余すところがなく、ただ実例であり、上述の特質を有する全てのポリマー材料は、本明細書に記載した方法および組成物を使用するために好適であるように意図されている。
上述したように、ある親水性ポリマーの例はポリ(エチレングリコール)、省略してPEGであり、薬学的、人工の移植物、および生体適合性、毒性の欠如および免疫原性の欠如が重要なその他の用途に広く使用されている。本明細書に記載したポリマー:ポリペプチドのポリペプチド実施形態では、親水性ポリマーの例としてPEGが用いられているが、他の親水性ポリマーが、上記実施形態において同様に利用してもよいと理解されたい。
PEGはよく知られている水溶性のポリマーで市販または技術的によく知られている方法(Sandler and Karo, Polymer Synthesis, Academic Press, New York,Vol.3,pages 138−161, Academic Press, New York,Vol.3,pages 138−161)を用いてエチレングリコールの開環重合により作成できる。PEGは通常、透明、無色、無臭、水溶性、熱に対して安定であり、さらに、多くの化学薬品に対して不活性であったり、加水分解または劣化しなかったり、一般的に毒性がない。ポリ(エチレングリコール)は生体適合性があると考えられており、つまりPEGは生きた組織または器官を傷つけずに共存することができる。さらに具体的には、PEGは実質的に非免疫原性であり、つまり、PEGはインビボでの免疫反応を起す傾向がない。インビボにおいて、生物学的に活性な薬剤(生物活性薬剤)のような、所望の機能をもつ分子を結合させた場合、PEGは薬剤を包み(マスクし)、全ての免疫反応を減少または消失することができ、器官は試薬の存在を容認することができる。PEGは重大な免疫反応をほとんど起こさず、凝固の原因とならず、その他の望ましくない効果を有しない。
「PEG」という用語は、広く全てのポリエチレングリコール分子を含み、大きさやPEGの末端の修飾に関連せず、非天然アミノ酸ポリペプチドへの結合を以下の一般式により表すことができる:
XO-(CH2CH2O)n-CH2CH2-Y
ここで、nは2から10,000であり、XはHまたは末端修飾で、限定されないが、C1−4アルキル、保護基、または末端官能基を含む。PEGという用語は、限定されないが、2官能性のPEG、分岐鎖状のPEG、PEG誘導体、二股状のPEG、分岐鎖状のPEG(それぞれのPEG鎖は、約1kDaから約100kDa、約1kDaから約50kDa、または1kDaから約20kDaの分子量を有する)、垂れ下がったPEG(すなわち、ポリマー骨格に垂れ下がった1つ以上の官能基を有するPEGまたは同類のポリマー)、または分解可能な結合を有するPEGを含む、全ての形態のポリ(エチレングリコール)を含む。ある実施形態において、nが約20から2000のPEGは、本明細書に記載した方法および組成物の使用に好適である。ある実施形態において、水溶性ポリマーはポリ(エチレングリコール)部分を含んでいる。ポリマーの分子量は広い範囲であってよく、限定されないが、約100Daおよび約100,000Daまたはそれ以上を含む。ポリマーの分子量は、約100Daから100,000Daの間であってよく、限定されないが、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da,70,000Da,65,000Da,60,000Da,55,000Da,50,000Da,45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、1,000Da、900Da、800Da、700Da、600Da、500Da、400Da、300Da、200Da、および100Daを含む。ある実施形態において、ポリマーの分子量は約100Daと50,000Daの間である。ある実施形態において、ポリマーの分子量は100Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、ポリマーの分子量は1,000Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、ポリマーの分子量は5,000Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、ポリマーの分子量は10,000Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、ポリ(エチレングリコール)分子は分岐鎖状のポリマーである。分岐鎖状のPEGの分子量は約1,000Daと約100,000Daの間であってよく、限定されないが、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Daおよび1,000Daを含む。ある実施形態において、分岐鎖状のPEGの分子量は約1,000Daと50,000Daの間である。ある実施形態において、分岐鎖状のPEGの分子量は1,000Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、分岐鎖状のPEGの分子量は5,000Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、分岐鎖状のPEGの分子量は5,000Daと20,000Daの間である。広い範囲のPEG分子は、限定されないが、Shearwater Polymers Inc,カタログ、Nektar Therapeuticsカタログに記載され、本願に引用して援用する。
文献に記載された末端官能基の具体例は、限定されないが、N−スクシニジル炭酸塩(例えば、米国特許出願5,281,698号明細書、5,468,478号明細書を参照のこと)、アミン(例えば、「BuckmannらMakromol.Chen.182:1379(1981)」,「ZalipskyらEur.Polym.J.19:1177(1983)」を参照のこと),ヒドラジン(例えば、「AndreszらMakromol.Chem.179:301(1978)」を参照のこと)、スクシニジルプロピオン酸塩およびスクシニジルブタン酸塩(例えば、「Olsonらポリ(エチレングリコール)Chemistry&Biological Applications, pp170−181」, 「Harris&Zalipsky Eds. ACS, Washington, D.C. 1997」、米国特許出願5,672,662号明細書を参照のこと)、スクシニジルコハク酸(例えば、「Abuchowski ら Cancer Biochem.Biophys.7:175(1984)」および「Joppich ら Makromol.Chem.180:1381(1979)」、スクシニジルエステル(例えば、米国特許出願4,670,417号明細書を参照のこと)、ベンゾトリアゾール炭酸塩(例えば、米国特許出願5,650,234号明細書を参照のこと)、グリシジルエーテル(例えば、「Pitha ら Eur.J Biochem.94:11(1979)」、「Elling らBiotech.Appl.Biochem.13:354(1991)」)、オキシアルボニルイミダゾール(例えば、「Beauchamp らAnal.Biochem.131:25(1983)」、「Tondelli ら J.Controlled Release 1:251(1985)」を参照のこと)、p−ニトロフェニル炭酸塩(例えば、「Veronese, らAppl.Biochem.Biotech., 11:141(1985)」および「Sartore らAppl.Biochem.Biotech.,27:45(1991)」を参照のこと)、アルデヒド(例えば、「Harris らJ.Polym.Sci.Chem.Ed.22:341(1984)」、米国特許出願5,824,784号明細書、米国特許出願5,252,714号明細書)、マレイミド(例えば、「Goodson ら Bio/Technology 8:343(1990)」、「Romani らin Chemistry of peptides and Proteins 2:29(1984)」、および「Kogan, Synthetic Comn.22:2417(1992)」を参照のこと)、オルトピリジル−二硫化物(例えば、「WoghirenらBioconj.Chem.4:314(1993)」を参照のこと)、アクリルオル(例えば、「SawhneyらMacromolecules,26:581(1993)」を参照のこと)、ビニルスルホン(例えば、米国特許出願5,900,461号明細書を参照のこと)。上記の文献および特許は、本願に引用して援用する。
ある場合において、PEGの1つの末端がヒドロキシまたはメトキシを有して終結している、すなわちXがHまたはCHである(「メトキシPEG」)。あるいは、PEGは反応基を有して終結してもよい。これによれば、2官能性ポリマーが形成される。典型的な反応基はそれらの反応基を含むことができ、20個の一般アミノ酸(限定されないが、マレイミド基、活性化炭酸塩(限定されないが、p−ニトロフェニルエステルを含む)、活性化エステル(限定されないが、N−ヒドロキシサクシンイミド、p−ニトロフェニルエステルを含む)およびアルデヒドを含む)に見られる機能基との反応に通常用いられ、20個の一般アミノ酸を不活性化するが、本明細書に記載された促進剤の存在下においてオキシム基を形成する、非天然アミノ酸の存在下における相補機能基と特に反応する(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。
上記の一般式Yで示される、PEGのもう一方の末端が直接的または間接的に非天然アミノ酸を介してポリペプチドに結合していることは著名である。Yがヒドロキシル基の場合、ポリペプチド中のヒドロキシルアミン含有PEG試薬はカルボニル−またはジカルボニル−含有の非天然アミノ酸と反応することができ、本明細書に記載した促進剤の存在下においてオキシム結合を介してポリペプチドに結合したPEG基を形成する(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。Yがカルボニルまたはジカルボニル基の場合、カルボニル−またはジカルボニル含有のPEG試薬はポリペプチド中のヒドロキシルアミン含有の非天然アミノ酸と反応することができ、本明細書に記載した促進剤の存在下においてオキシム結合を介してポリペプチドに結合したPEG基を形成する(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。
ヘテロ2官能性誘導体も、ポリマーのそれぞれの末端に異なる分子を接続させる時に特に有用である。例えば、オメガ−N−アミノ−N−アゾPEGは、アルデヒド、ケトン、活性化エステル、活性化炭酸塩などのような活性化した親電子的基を有する分子のPEGの1つの末端およびもう一方のPEGの末端にアセチレン基を有する分子への結合を許容する。
ある実施形態において、強い求核基(限定されないが、ヒドロキシルアミン)は本明細書に記載した促進剤の存在下において、オキシムを形成する非天然アミノ酸中に存在するケトン基を含むカルボニル基と反応できる(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。場合によっては、その結果生じたオキシム基は、適した還元剤で処理することで、より還元することができる。また、強い求核基は非天然アミノ酸を介してポリペプチドに組み込まれ、本明細書に記載した促進剤の存在下においてオキシムを形成する水溶性ポリマー中に存在するケトン基を含むカルボニル基と好適に反応する(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある)。一般的に、PEG分子の少なくとも1つの末端は非天然アミノ酸と反応するのに好適である。
ポリマー骨格は直鎖状鎖または分岐鎖状であってもよい。分岐鎖状のポリマー骨格は一般的に知られている。一般的に、分岐鎖状のポリマーは中央の分岐幹の一部および中央の分岐幹に結合した多数の直鎖状のポリマー鎖を有する。PEGは、グリセロール、グリセロールオリゴマー、ペンタエリスリトールおよびソルビトールのような多数のポリオールにエチレンオキサイドを加えることで生成可能である分岐鎖状の形態で用いられる。分岐中央の一部は、リジンのような、数種のアミノ酸に由来する。分岐鎖状のポリ(エチレングリコール)はR(−PEG−OH)として表すことができ、Rはグリセロール、グリセロールオリゴマーまたはペンタエリスリトールのような中心の一部に由来し、mは腕の本数を表す。米国特許出願5,932,462号明細書、5,643,575号明細書、5,229,490号明細書、4,289,872号明細書、米国特許出願公開2003/0143596号明細書、国際公開第96/21469号パンフレット、および国際公開第93/21259号パンフレットなどの文献に(それぞれ全体を本願に引用し援用する)記載されている、複数の腕を有するPEG分子を、ポリマー骨格としても使用できる。
分岐鎖状のPEGは、PEG(−YCHZによって表される二股状のPEGも形成できる。ここで、Yは結合基であり、nは100−1,000であり(すなわち、平均的な分子量は約5kDaから40kDaの間である)、Zは定義された長さの原子鎖によりCHに結合した活性化末端基である。さらに他の分岐鎖状の形態、垂れ下がったPEG(pendant PEG)は、PEG鎖の末端よりむしろPEG骨格の間に反応基(カルボニル基など)を有する。
PEGの望ましい特徴を最大限引き出すために、生物活性分子に結合したPEGポリマーの全分子量と水和状態とは、該生物活性分子に起因する有利な特性(水溶性および半減期の増加など)が与えられるために十分高い必要がある。
本明細書に記載の方法および組成物を用いて、ポリマー:タンパク質接合体という実質的に同種の調製物を生成してもよい。本明細書で用いられているように「実質的に同種」とは、ポリマー:タンパク質接合体が、全てのタンパク質の半分よりも多く観察されることを意味する。ポリマー:タンパク質接合体は生物活性を有する。本明細書に提供された「実質的に同種の」PEG化ポリペプチド調製物は、同種の調製物の利点(例えば、ロット間薬物動態学の予測可能性を臨床適用することが簡単になること)を示すほど十分同種なものであるといえる。
本明細書において、親水性ポリマー:ポリペプチド/タンパク質接合体に用いられるような「治療的有効量」という用語は、患者に有用である量を意味する。その量は、個人により様々であり、患者の全ての身体的特徴および疾患または病気の根本にある原因を含む要因の数に依存する。本構成要素の臨床的に効果のある量は、公共に利用可能な材料および製品を用いて、当業者により容易に確認されると考えられる。一例として、臨床的に効果のある量は、貧血患者のヘマトクリットが増加する量、がん患者の腫瘍の大きさが減少する量、糖尿病患者のインスリンレベルか増加する量、または慢性の痛みに苦しんでいる患者の痛みを減少させる量であってよい。
本明細書に記載された(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドに結合する水溶性ポリマーの数は(すなわち、PEG化またはグリコシル化の伸長)、インビボでの半減期のような、薬理学的、薬物動態学的または薬力学的特性の変化(限定されないが、増加または減少)を提供することに適当である。ある実施形態では、ポリペプチドの半減期は、無修飾ポリペプチドよりも少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90パーセント、2倍、5倍、10倍、50倍または少なくとも約100倍以上増加する。
ある実施形態において、カルボニル−またはジカルボニル含有非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドは、PEG骨格に直接結合した末端ヒドロキシルアミン部分を含んでいるPEG誘導体により、促進剤の存在下において、修飾されている(つまり、オキシム結合が形成されている(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある))。ある実施形態において、ヒドロキシルアミン末端PEG誘導体は以下の構造を有する:
RO-(CH2CH2O)n-O-(CH2)m-O-NH2
ここで、Rは単一アルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2から10であり、nは100−1,000である(すなわち、平均的な分子量は約5kDaから約40kDaの間である)。ポリマーの分子量は広い範囲であってよく、限定されないが、約100Daおよび約100,000Daまたはそれ以上を含む。ポリマーの分子量は、約100Daから100,000Daの間であってよく、限定されないが、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da,70,000Da,65,000Da,60,000Da,55,000Da,50,000Da,45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、1,000Da、900Da、800Da、700Da、600Da、500Da、400Da、300Da、200Da、および100Daを含む。ある実施形態において、ポリマーの分子量は約100Daと50,000Daの間である。ある実施形態において、ポリマーの分子量は100Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、ポリマーの分子量は1,000Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、ポリマーの分子量は5,000Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、ポリマーの分子量は10,000Daと40,000Daの間である。
他の実施形態において、カルボニル−またはジカルボニル含有アミノ酸を含んでいるポリペプチドは、アミノ結合でPEG骨格に結合した末端ヒドロキシルアミン部分を含んでいるPEG誘導体により修飾されている(つまり、オキシム結合が形成されている(なお、本明細書に記載の促進剤が無い場合には、上記反応の効率が低いことがある))。ある実施形態において、ヒドロキシルアミン末端PEG誘導体は以下の構造を有する:
[RO-(CH2CH2O)n-O-(CH2)2-C(O)-NH-CH2-CH2]2CH-X-(CH2)m-O-NH2
ここで、Rは単一アルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、Xは任意のNH、O、S、C(O)もしくは何もなしであり、mは2から10であり、nは100から1,000である。分岐鎖状のPEGの分子量は約1,000Daと約100,000Daの間であってよく、限定されないが、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Daおよび1,000Daを含む。ある実施形態において、分岐鎖状のPEGの分子量は約1,000Daと50,000Daの間である。ある実施形態において、分岐鎖状のPEGの分子量は1,000Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、分岐鎖状のPEGの分子量は5,000Daと40,000Daの間である。ある実施形態において、分岐鎖状のPEGの分子量は5,000Daと20,000Daの間である。
PEGの機能化および結合の種々の評論および研究論文が利用可能である。例えば、「Haris,Macromol.Chem.Phys.C25:325-373(1985)」、「Scouten, Metods in Enzymology 135:30−65(1987)」、「WongらEnzyme Microb.Technol.14:866−874(1992)」、「DelgadoらCritical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 9:249−304(1992)」、「Zalipsky, Bioconjugate Chem.6:150−165(1995)」を参照のこと。ポリマーの活性化の方法は、国際公開第94/17039号パンフレット,米国特許出願5,324,844号明細書、国際公開第94/18247号パンフレット、国際公開第94/04193号パンフレット,米国特許出願5,219,564号明細書、米国特許出願5,122,614号明細書, 国際公開第90/13540号パンフレット、米国特許出願5,281,698号明細書、および国際公開第93/15189号パンフレットなどを参照することができ、活性化ポリマーと、限定されないが、凝固因子V III(国際公開第94/15625号パンフレット)、ヘモグロビン(国際公開第94/09027号パンフレット)、酸素運搬分子(米国特許出願4,412,989号明細書)、リボヌクレアーゼおよびスーパーオキシドジスムターゼ(「VeroneseらApp.Biochem.Biotech.11:141-52(1985)」)を含む酵素間の共役にはそれぞれ上記を参照できる。
必要であれば、本明細書に記載したPEG化された非天然アミノ酸ポリペプチドは、当業者に公知の1つ以上の手段により精製できる疎水性クロマトグラフィーから得られ、以下に限定されないが、アフィニティークロマトグラフィー;アニオン−、またはカチオン−交換クロマトグラフィー(限定されないが、DEAE SEPHAROSEを含む);シリカクロマトグラフィー;逆相HPLC;ゲルろ過(限定されないが、SEPHADEX G-75の使用を含む);疎水相互作用クロマトグラフィー;サイズ排除クロマトグラフィー、金属キレートクロマトグラフィー;限外ろ過/ダイアフィルトレーション;エタノール沈殿;硫酸アンモニウム沈殿;クロマト分画;置換クロマトグラフィー;電気泳動法(限定さえれないが、等電点電気泳動を含む)、不等溶解(限定されないが、硫酸アンモニウム沈殿を含む)、または抽出を含む。正確な分子量は球形タンパク基準(Preneta AZ,PROTEIN PURIFICATION METHODS,A PRACTICAL APPROACH(Harris&Angal,Eds.)IRL Press 1989,293-306)との比較によるGPCにより計算されてよい。非天然アミノ酸ポリペプチドの純度:共役PEGはタンパク分解(限定されないが、トリプシン切断を含む)に続く質量分析により評価されてよい(「Pepinsky RB, らJ.Pharmacol.&Exp.Ther.297(3):1059-66(2001)」)。
〔D.ポリペプチドダイマーおよびマルチマーを含む、結合基および用途の使用〕
非天然アミノ酸ポリペプチドへの直接的な所望の機能性の付加に加えて、ポリペプチドの一部の非天然アミノ酸は、第一に多官能性(例えば、2官能性、3官能性、4官能性)リンカー分子で修飾されてもよく、順にさらに修飾される。すなわち、ポリペプチド中の少なくとも1つのアミノ酸と反応する多官能性リンカー分子の一方の末端の少なくとも1つと、該多官能性リンカーのもう一方の末端の少なくとも1つは、さらなる機能付与に利用できる。もし、全ての多官能性リンカーの末端が同一であれば、次に(化学量論的条件に依存して)非天然アミノ酸ポリペプチドのホモマルチマーが形成されてよい。もし多官能性リンカーの末端が独特な化学反応性を有しておれば、少なくとも多官能性リンカーの一方の末端の少なくとも1つは、非天然アミノ酸ポリペプチドへ結合する反応を起こし、他の末端は、例えば、唯一の例として望ましい機能性を含む、異なる機能性で、続いて反応できる。
多官能性リンカーは一般化された構造を有する:
Figure 0005508716
(ここで:
Xはそれぞれ独立して、NH、−C(=O)R、SR´または−J−R、ここで、RはHまたはOR´であり、
ここで、Jは、
Figure 0005508716
であり;
RはH、アルキル、置換アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルである;それぞれR´´は任意にヘテロシクロアルキルを形成する;
それぞれR´は独立してH、アルキルまたは置換アルキルである;
それぞれLは独立して、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、kが1、2または3である−S(O)−、−S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R´)−、−NR´−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)N(R´)−、−CON(R´)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−(アルキレンまたは置換アルキレン)NR´C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)、−O−CON(R´)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−CSN(R´)−、−CSN(R´)−、CSN(R´)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R´)CO−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R´)C(O)O−、−N(R´)C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)N(R´)−、−N(R´)C(O)N(R´)−、−N(R´)C(O)N(R´)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R´)C(S)N(R´)−、−N(R´)S(O)N(R´)−、−N(R´)−N=、−C(R´)=N−、−C(R´)=N−N(R´)−、−C(R´)=N−N=、−C(R´)−N=N−、および−C(R´)−N(R´)−N(R´)−;
は任意に、存在する場合は、−C(R´)NR´−C(O)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−であり、pは0、1または2である;
WはNH、−C(=O)R、−SR´または−J−Rであり;nは1から3である。
ただし、XおよびL−L1−Wは共に独立して、それぞれ少なくとも以下の1つを提供する。(a)非天然アミノ酸または(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドにおけるカルボニル(ジカルボニルを含む)基と反応可能なヒドロキシルアミン基;(b)非天然アミノ酸または(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドにおけるヒドロキシルアミンと反応可能なカルボニル基(ジカルボニル基を含む);または(c)非天然アミノ酸または(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドにおけるオキシム基と交換反応可能なカルボニル基(ジカルボニル基を含む)。
さらなる他の説明のための実施形態では、一般式(I)または一般式(XIV)の化合物と多官能性リンカーの一般式(XIX)のモル比は、約1:2、1:1、1.5:1、1.5:2、2:1、1:1.5、2:1.5であり、または1.5:1〜2:1の間である。
例えば、ヒドロキシルアミン基のような2つの同一の末端を有する2官能性ホモリンカーは、オキシム結合の形成を介してポリペプチドと結合を形成するために用いることができ、そのような結合したポリペプチドの形成は少なくとも1つの促進剤の存在下で行われる(しかし、オキシム結合も促進剤の非存在下において緩やかな反応速度で起こる)。本明細書に記載の促進剤のポリペプチドダイマーおよびマルチマーの形成における使用は、極めて大きな利益を提供することが期待できる。なぜなら、リンカーと第一のポリペプチドの化学量論的割合、またはリンカー(第1ポリペプチド)接合体と第二のポリペプチドは、促進剤の非存在下(または、さらに、促進剤のモル比の増加として、前述の反応物の割合は化学量論となる)よりも促進剤の存在下における化学量論的割合に近くなる。化学量論的割合(またはモル比)は、試薬費用(ポリペプチドおよび共役分子を含む)および精製の難易度のためにポリペプチドの修飾において重要な因子である。このように、ここで提供された促進剤の使用は、ポリペプチドダイマーもしくはマルチマー、またはポリペプチドに結合する望ましい全ての基もしく機能性を含む、非天然アミノ酸ポリペプチドの修飾から生じるコストおよび不要物の削減に使用することができる。
そのようなリンカーは、2つのオキシム結合形成のため、カルボニルまたはジカルボイル含有の非天然アミノ酸ポリペプチドの形成に使用してもよく、その一方または両方は少なくとも1つの促進剤の存在下で形成される(しかし、オキシム結合も、促進剤の非存在下において緩やかな反応速度で起こると考えられる)。また、もしそのようなリンカーが保護されており、そのためそのような部分的に保護されたリンカーは、保護されていないヒドロキシルアミン末端に、オキシム結合を介してカルボニルまたはジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドを結合するのに用いられ、他の保護末端は脱保護に続いてさらなる結合反応に用いることができる。また、試薬の化学量論的割合の巧みな取り扱いによって、望ましいヘテロダイマーが同じホモダイマーで汚染されたとしても、同様の結果(ヘテロダイマー)を提供してもよい。
そのようなリンカーは、ヒドロキシルアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドのホモダイマーの形成にも用いられ、2つのオキシム結合を形成し、その一方または両方は、少なくとも1つの促進剤の存在下で形成される(しかし、オキシム結合は促進剤の非存在下において緩やかな反応速度で起こってもよい)。また、もしそのようなリンカーの1つの末端が保護されていれば、そのような部分的保護リンカーは、非保護のカルボニル末端に、オキシム結合を介してヒドロキシルアミン含有の非天然アミノ酸ポリペプチドを結合するのに用いられ、他の保護末端は脱保護に続いてさらなる結合反応に用いることができる。また、試薬の化学量論的割合の巧みな取り扱いによって、望ましいヘテロダイマーが同じホモダイマーで汚染されたとしても、同様の結果(ヘテロダイマー)を提供してもよい。
1つ以上の末端反応基の型を有するそれぞれのリンカーである、多官能性ヘテロリンカー、すなわち、ヒドロキシルアミン、オキシムおよびチオエステル基は、少なくとも1つのオキシム結合の形成を介して結合ポリペプチドを形成することに用いることができる。そのようなリンカーを用いて、この明細書を通して論じられたオキシムに基づく化学反応を促進する促進剤による、非天然アミノ酸ポリペプチドのヘテロダイマーを形成してもよい。
本明細書に記載の方法および組成物は、ホモダイマー、ヘテロダイマー、ホモマルチマー、またはヘテロマルチマー(すなわち、トリマー、テトラマーなど)のようなポリペプチドの組み合わせも提供する。一例のみをあげると、後述の記載はGHスーパーファミリーの1員に焦点をあてている。しかし、この項に記載された方法、技術および構成要素は、ダイマーおよびマルチマーの形成に利用できる全ての他のポリペプチドに適用できる。一例のみをあげると:アルファ−1アンチトリプシン、アンギオステイン、抗溶血性因子、抗体、抗体フラグメント、アポリポプロテイン、アポプロテイン、心房性ナトリウム利尿因子、心房性ナトリウム利尿ペプチド、心房性ペプチド、C−X−Cケモカイン、T39765、NAP−2、ENA−78、gro−a、gro−b、gro−c、IP−10、GCP−2、NAP−4、SDF−1、PF4、MIG、カルシトニン、c−kitリガンド、サイトカイン、CCケモカイン、単球遊走因子−1、単球遊走因子−2、単球遊走因子−3、単球炎症性因子−1アルファ、単球炎症性因子−iベータ、RANTES、1309、R83915、R91733、HCCl、T58847、D31065、T64262、CD40、CD40リガンド、c−kitリガンド、コラーゲン、コロニー刺激因子(CSF)、補体因子5a、補体抑制因子、補体受容体1、サイトカイン、上皮性好中球活性化ペプチド−78、MIP−16、MCP−1、上皮細胞増殖因子(EGF)、上皮性好中球活性化ペプチド、エリスロポエチン(EPO)、角質除去毒素(exfoliating toxin)、血液凝固IX因子、血液凝固VII因子、血液凝固VIII因子、血液凝固X因子、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、4へリックス束タンパク(four−helical bundle protein)、G−CSF、glp−1、GM−CSF、グルコセレブロシダーゼ、ゴナドトロピン、成長因子、成長因子受容体、grf、ヘッジホッグタンパク、ヘモグロビン、肝細胞増殖因子(hGF)、ヒルジン、ヒト成長因子(hGF)、ヒト血清アルブミン、ICAM−1、ICAM−1受容体、LFA−1、LFA−1受容体、インスリン、インスリン様成長因子(IGF)、IGF−I、IGF−II、インターフェロン(IFN)、IFN−アルファ、INF−ベータ、IFN−ガンマ、全てのインターフェロン様分子またはIFNファミリーの1員、インターロイキン(IL)、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、ケラチノサイト成長因子(KGF)、ラクトフェリン、白血病抑制因子、ルシフェラーゼ、ニュートリン(neurturin)、好中球抑制因子(NIF)、オンコスタチンM、骨形成タンパク質、癌遺伝子産物、パラシトニン、上皮小体ホルモン、PD−ECSF、PDGF、ペプチドホルモン、プレイオトロフィン(pleiotropin)、プロテインA、プロテインG、pth、発熱性外毒素A、発熱性外毒素B、発熱性外毒素C、pyy、レラキシン、レニン、SCF、小生合成タンパク(small biosynthetic protein)、水溶性補体受容体I、水溶性I−CAM、水溶性インターロイキン受容体、水溶性TNF受容体、ソマトメジン、ソマトスタチン、ソマトトロフィン、ストレプトキナーゼ、超抗原、ブドウ球菌エンテロトキシン、FLT、SEA、SEB、SEC1、SEC2、SEC3、SED、SEE、ステロイドホルモン受容体、スーパーオキシドジスムターゼ、トキシックショック症候群毒素、サイモシンアルファ1、組織プラスミノゲン活性化因子、腫瘍増殖因子(TGF)、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子アルファ、腫瘍壊死因子ベータ、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)、VLA−4タンパク、VCAM−1タンパク、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、ウロキナーゼ、mos、ras、raf、met、p53、tat、fos、myc、jun、myb、rel、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、テストステロン受容体、アルドステロン受容体、LDL受容体およびコルチコステロン。非天然アミノ酸ポリペプチドは、成長ホルモンのスーパーファミリーの任意のポリペプチド1員と同種であってよい。
従って、本明細書に記載の方法、技術および構成要素に含まれるのは、他のスーパーファミリーの1員またはその変異体または非GHのスーパーファミリーの1員またはその変異体である全ての他のポリペプチドであり、どちらも直接的にポリペプチド骨格に結合するか、リンカーを介して結合した1つ以上の非天然アミノ酸を含むGHのスーパーファミリーの1員ポリペプチドである。モノマーに比べてその分子量が増加するため、GHのファミリーの1員のダイマーまたはマルチマーは、単量のGHのスーパーファミリーの1員と比べて、新規のまたは望ましい特性、限定されないが、異なる薬理的、薬物動態学的、薬力学的、治療上の半減期の調節、または血漿中の半減期の調節を示すと考えられる。ある実施形態において、本明細書に記載のGHのスーパーファミリーの1員のダイマーは、GHのスーパーファミリーの1員の受容体の二量体化を調節する。他の実施形態において、本明細書に記載のGHのスーパーファミリーの1員のダイマーまたはマルチマーは、GHのスーパーファミリーの1員の受容体拮抗剤、作用薬、または調節分子として作用する。
ある実施形態において、本明細書に記載の方法および構成要素は、水溶性ポリマーとの反応により形成された1つ以上のGHのスーパーファミリーの1員を含むマルチマーを提供し、以下の構造を有する:
R-(CH2CH2O)n-O-(CH2)m-X
ここでnは約5から3,000であり、mは2から10であり、Xはヒドロキシルアミンもしくはカルボニル−またはジカルボニル含有の一部であり、Rはキャッピング基、官能基または離脱基であり、Xと同一または異なっている。Rは、例えば、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アルコキシル、N−ヒドロキシスクシニミジルエステル、1−ベンゾトリアゾリルエステル、N−ヒドロキシスクシニミジル炭酸塩、1−ベンゾトリアゾリル炭酸塩、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、活性化スルホン、アミン、アミノキシ、保護されたアミン、ヒドラジド、保護されたヒドラジド、保護されたチオール、カルボン酸、保護されたカルボン酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、エポキサイド、グリオキサール、ディオンズ(diones)、メシラート、トシレートおよびトレシレート、アルケンならびにケトンである。
この明細書を通して詳述された化学反応を使用するために、当事者は、次の(1),(2)の官能基を有するリンカーを設計することができる。すなわち、(1)本明細書に開示の促進剤の存在下において、非天然アミノ酸ポリペプチドとオキシム基を形成できる少なくとも1つの官能基、(2)他の公知の化学反応(有機化学の技術分野において公知の技求核/求電子基礎化学反応など)が利用可能な(1)の官能基とは別の官能基。
(a)ヒドロキシルアミン含有の非天然アミノ酸ポリペプチドとカルボニル含有試薬の反応、または(b)カルボニル含有の非天然アミノ酸ポリペプチドとヒドロキシルアミン含有試薬の反応からの、少なくとも1つのオキシム基を介して共に結合したポリペプチドダイマーまたはマルチマーの形成は、反応混合物への促進剤の添加により促進することができる。そのような促進剤は、少なくとも1つの以下の特性を有する化合物である:(a)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との間のオキシム含有化合物を形成する反応速度を上昇させる特性(反応速度の増加は促進剤の非存在下における反応に相関する);(b)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との間のオキシム含有化合物を形成する反応の活性化エネルギーを減少させる特性(活性化エネルギーの減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(c)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応から生じるオキシム含有化合物の収量を増加させる特性(収量の増加は促進剤の非存在下における反応に相関する);(d)ヒドロキシルアミン含有化合物と反応するカルボニル含有化合物のオキシム含有化合物を形成する温度を低下させる特性(温度の低下は促進剤の非存在下における反応に相関する);(e)オキシム含有化合物を形成するカルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物の反応に必要な時間を減少させる特性(時間の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(f)オキシム含有化合物の形成に必要な試薬量を減少させる特性(試薬量の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(g)オキシム含有化合物を形成するカルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応から生じる副生成物を減少させる特性(副生成物の減少は促進剤の非存在下における反応に相関する);(h)促進剤の存在下においてオキシムを形成する反応を行っても、ポリペプチドの三次構造は回復不可能な破壊を受けないという特性(そのような三次構造を破壊することを目的とした場合は、当然除かれる);(i)真空中でオキシム含有化合物から分離され得る特性;および(j)カルボニル含有化合物とヒドロキシルアミン含有化合物との反応を調節する特性。さらなる実施形態では、促進剤は、上記特性のうち少なくとも2つ、上記特性のうち3つ、上記特性のうち4つ、上記特性のうち5つ、上記特性のうち6つ、上記特性のうち7つ、上記特性のうち8つ、上記特性のうち9つ、または上記特性の全てを有する。さらなる実施形態では、促進剤は上記特性を1つも有しない。
促進剤の使用には単一の促進剤または複数の促進剤の使用が含まれる。加えて、促進剤のカルボニル含有化合物に対するモル比は約0.5:1から5000:1の間の値を含み、例として4000:1、3000:1、2000:1、1000:1、500:1、400:1、300:1、200:1、100:1、50:1、40:1、30:1、20:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、および0.5:1を含む。さらに、促進剤とヒドロキシルアミン含有化合物のモル比は約0.5:1から5000:1の間の値を含み、例として4000:1、3000:1、2000:1、1000:1、500:1、400:1、300:1、200:1、100:1、50:1、40:1、30:1、20:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、および0.5:1を含む。さらに、促進剤は生成したオキシム含有化合物から真空で実質的に分離できる化合物を含む。さらに、促進剤はジアミン部分、セミカルバザイド部分、ヒドラジンまたはヒドラジド部分を含有する化合物を含む。
さらに、前述の態様および実施形態の何れかにおいて、促進剤は、2官能性芳香族アミン、オキソアミン誘導体および以下の構造を有する化合物から成る群から選択される:
Figure 0005508716
(ここで、R,RおよびRは、L−H,L−アルキル,L−アリール,L−ヘテロアリール,L−アルケニル,L−アルキニル,L−アルコキシ,およびL−アルキルアミンから成る群から選ばれ、Lは結合を示し、C(=O)、C(=NH)、C(=NH)−NH、SO、およびSOである)。
さらなる実施形態において、促進剤は2官能性芳香族アミンである。さらなる実施形態において2官能性芳香族アミンは以下の2官能性芳香族アミンの群から選択される:
Figure 0005508716
さらなる実施形態において、促進剤はオキソアミン誘導体である。さらなる実施形態においてオキソアミン誘導体は、以下のオキソアミン誘導体から成る群から選択される:
Figure 0005508716
さらに、促進剤は以下の化合物から成る群から選択される化合物を含む:
Figure 0005508716
(ここで、R,RおよびRは、L−H,L−アルキル,L−アリール,L−ヘテロアリール,L−アルケニル,L−アルキニル,L−アルコキシ,およびL−アルキルアミンから成る群から選ばれ、Lは結合を示し、C(=O)、C(=NH)およびC(=NH)−NHである)。
さらに、上記の態様または実施形態の何れかにおいて、促進剤は、図5、図9または図10に示される化合物から選択され、例えば、図5の6、8、10、7および20の化合物を全て含む。前述の態様または実施形態の何れかにおいて、反応促進物はヒドラジンとカルボニルを含有する基との反応から形成できる試薬を含む。さらに、前述の態様の何れかにおいて促進剤の活性はケトンの一部との反応割合および生じる中間体の安定性に依存する。さらに、前述の態様または実施形態の何れかにおいて、促進剤、カルボニル含有化合物およびヒドロキシルアミン含有化合物を含む反応混合物のpHは約2.0から10の間である;約2.0から9.0の間である;約2.0から8.0の間である;約3.0から7.0の間である;約4.0から6.0の間である;約3.0から10.0の間である;約4.0から10.0の間である;約3.0から9.0の間である;約3.0から8.0の間である;約2.0から7.0の間である;約3.0から6.0の間である;約4.0から9.0の間である;約4.0から8.0の間である;約4.0から7.0の間である;約4.0から6.5の間である;約4.0から6.5の間である;約4.5から6.5の間である;約4.0である;約4.5である;約5.0である;約5.5である;約6.0である;約6.5である;約7.0である。
(その他の系における発現)
非天然アミノ酸を、非組み換え宿主細胞、突然変異細胞または無細胞系においてタンパクに導入するには数々の方法が用いられている。これらの系は、本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドの作成にも好適に用いられる。リジン、システインおよびチロシンのような反応性の高い側鎖は、リジンからN−アセチル−リジンの変換の際の結果生じる。化学合成、非天然アミノ酸を組み込む直接的な方法をも提供する。ペプチド断片の酵素学的なライゲーションと自然な化学的ライゲーションの近年の発展により、大きなタンパクを作成することが可能となった。例えば、「P.E.Dawson and S.B.H.Kent,Annu.Rev.Biochem,69:923(2000)」を参照のこと。化学的ペプチドライゲーションおよび自然化学的ライゲーションについては米国特許出願6,184,344号明細書,米国特許出願公開2004/0138412号明細書,米国特許出願公開2003/0208046号明細書、国際公開第02/098902号パンフレット、および国際公開03/042235号パンフレットに記載されており、参照のためにここに示す。一般的な、インビトロでの望ましい非天然アミノ酸と化学的にアシル化した抑制tRNAの生合成方法は、事実上全ての大きさの多様なタンパクに、100以上の非天然アミノ酸を部位特異的に結合することに用いられている。例えば、「V.W.Cornish,D.Mendel and P.G.Schultz,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,1995,34:621(1995)」、「C.J.Noren, S.J.Anthony-Cahill, M.C.Griffith, P.G.Schultz, A general method for site-specific incorporation of non-natural amino acids into proteins, Science 244:182-188(1989)」、および「J.D.Bain, C.G.Glabe, T.A.Dix,A.R.Chamberlin, E.S.Diala, Biosynthtic site-specific incorporation of a non-natural amino acid into a polypeptide, J.Am.Chem.Soc.111:8013-8014(1989)」を参照のこと。広範な領域の官能基が、タンパクの安定性、タンパクの折りたたみ、酵素機構およびシグナル伝達系の研究のためにタンパクに導入されている。
インビボでの方法で、選択圧混合という用語は、野生型合成酵素の混合物の発見することで発展した。例えば、「N.Budisa, C.Minks, S.Alefelder, W.Wenger, F.M.Dong, L.Moroder and R.Huber, FASEB J., 13:41(1999)」を参照のこと。細胞に特徴のある天然アミノ酸を供給する代謝経路が止められている栄養要求性菌株は、天然アミノ酸の濃度が限られた最小培地で、標的の遺伝子が抑制されている間成長する。成長期の安定の初期において、天然アミノ酸は劣化し、非天然アミノ酸類似体と変換される。組み換えタンパクの発現誘導は、非天然アミノ酸類似体を含有するタンパクの蓄積を招く。例えば、この方策を用いれば、o、mおよびp−フルオロフェニルアラニンはタンパクに組み込まれ、UVスペクトルにおいて2本の特徴的なピークを示し、容易に同定できる。例えば、「C.Minks, R.Huber, L.Moroder and N.Budisa,Anal.Biochem., 284:29(2000)」参照のこと。トリフルオロメチオニンは19FNMRを用いてキトオリゴ糖との相互作用を研究するために、バクテリオファージT4のメチオニンと置き換えられてきた。例えば、「H.Duewel, E.Daub, V.Robinson and J.F.Honek,Biochemistry,36:3404(1997)」を参照のこと、およびトリフロロロイシンはロイシンの代わりに組み込まれることで、ロイシンジッパータンパクの熱や化学的な安定性を上昇させる。例えば、「Y.Tang, G.Ghirlanda, W.A.Petka, T.Nakajima, W.F.DeGrado and D.A.Tirrell, Angew.Chem.Int.Ed.Engl., 40:1494(2001)」参照のこと。その上、セレノメチオニンおよびテルロメチオニンは、X線結晶解析の溶解相を促進させるために、多様な組み換えタンパクに組み込まれる。例えば、「W.A.Hendrickson, J.R.Horton and D.M.Lemaster, EMBO J.,9:1665(1990)」、「J.O.Boles, K.Lewinski, M.Kunkle, J.D.Odom, B.Dunlap, L.Lebioda and M.Hatada,Nat.Struct.Biol.,1:283(1994)」、「N.Budisa, B.Steipe, P.Demange, C.Eckerskorn, J.Kellermann and R.Huber, Eur.J.Biochem.,230:788(1995)」、および「N.Budisa, W.Karnbrock, S.Steinbacher, A.Humm, L.Prade, T.Neuefeind, L.Moroder and R.Huber, J.Mol.Biol.,270:616(1997)」を参照のこと。アルケンまたはアルキン官能基を有するメチオニンの類似体は、化学的手段によりタンパクの付加修飾を許容するために、効率良く組みかえられてきた。例えば「J.D.van Hest and D.A.Tirrell, FEBS Lett.,428:68(1998)」、「J.C.van Hest, K.L.Kiick and D.A.Tirrell, J.Am.Chem.Soc.,122:1282(2000)」、および「K.L.Kiick and D.A.Tirrell, Tetrahedron,56:9487(2000)」、米国特許出願6,586,207号明細書、および米国特許出願公開第2002/0042097号明細書を参照のこと。なお、これらは参照のためにここに示す。
この方法の成功は、アミノアシル−tRNA合成酵素による非天然アミノ酸の認識に依存しており、一般的に、タンパク翻訳の厳守を保証するために高い選択性が要求される。この方法の範囲を広げる1つの方法として、アミノアシル−tRNA合成酵素の基質特異性を緩めることで、限られた数の場合において成功している。例えば、Ala294のGlyへのEscherichia coliのフェニルアラニン−tRNA合成酵素(PheRS)による置換は基質結合部位の大きさが増大し、p−Cl−フェニルアラニン(p−Cl−Phe)によるtRNAPheのアシル化を招く。「M.Ibba, P.Kast and H.Hennecke,Biochemistry,33:7107(1994)」を参照のこと。この変異PheRSを有するEscherichia coli株は、フェニルアラニンの代わりにp−Cl−フェニルアラニンまたはp−Br−フェニルアラニンの組み込みを可能にする。例えば、「M.Ibba and H.Hennecke, FEBS Lett.,364:272(1995)」、および「N.Sharma, R.Furter, P.Kast and D.A.Tirrell, FEBS Lett.,467:37(2000)」を参照のこと。同様に、Escherichia coliのチロシル−tRNA合成酵素のアミノ酸結合部位の近傍の点変異Phe130Serは、チロシンよりもアザチロシンに効率良く組み換えられる。「F.Hamano-Takaku, T.Iwama, S.Saito-Yano, K.Takaku, Y.Monden, M.Kitabatake, D.Soll and S.Nishimura, J.Biol.Chem.,275:40324(2000)」。
インビボにおけるタンパクへの非天然アミノ酸の組み換の別の方法は、校正機構を有する合成酵素を修飾することである。これらの合成酵素は区別することができず、そのため同属の天然アミノ酸に構造的に類似のアミノ酸を活性化する。この間違いは離れた部位において修正され、間違えられたアミノ酸はタンパク翻訳の厳密さを維持するため、tRNAからアシル基を除去される。もし、合成酵素の校正活性が無効であれば、誤って活性化された構造的類似体は、編集機能から逃れ、組み込まれる。この手法は、近年バリル−tRNA合成酵素(ValRS)と共に公開されている。「V.Doring, H.D.Mootz, L.A.Nangle, T.L.Hendrickson, V.de Crecy-Lagard, P.Schimmel and P.Marliere,Science,292:501(2001)」を参照のこと。ValSはtRNAValとCys、Thr,またはアミノブチレート(Abu)を誤ってアミノアシル化できる;これらの同族でないアミノ酸は、編集部位により続いて加水分解される。Escherichia coliのランダム突然変異生成の後、選択されたEscherichia coli変異株はValRSno編集部位に変異を有する。この編集に欠陥を有するValRSはtRNAValとCysを間違って変換する。なぜなら、AbuはCysと立体的に似ており(AbuにおいてはCysの−SH基が−CHに交換されている)、Abuの存在下において、このEscherichia coli変異体株が成長する場合、ValRS変異体もAbuをタンパクに組み込む。質量分析は、天然タンパクのそれぞれのバリン位置において約24%のバリンかAbuにより変換されていることが示される。
固相合成および半合成法は、多くの非天然アミノ酸含有タンパク合成も可能にしている。例えば、以下の刊行物および引用文献を挙げる:「Crick, F.H.C., Barrett, L.Brenner, S.Watts-Tobin, R.general nature of the genetic code for proteins.Nature,192:1227-1232(1961)」、「Hofmann,K., Bohn, H.Studies on polypeptides. XXXVI. the effect of pyrazole-imidazole replacement on the S-proteinactivating potency of an polypeptide fragment, J.Am Chem,88(24):5914-5919(1966)」、「Kaiser, E.T.Synthetic approaches to biologically active peptides and proteins including enzymes, Acc Chem Res,22:47-54(1989)」、「Nakatsuka, T.,Sasaki, T.,Kaiser, E.T.Peptide segment coupling catalyzed by the semisynthetic enzyme tiosubtilsin,J Am Chem Soc,109:3808-3810(1987)」、「Schnolzer, M.,Kent, S B H.Constructing proteins by dovetailing unprotected synthetic peptides:backbone-engineered HIV protease,Science,256(5054):221-225(1992)」、「Chaiken,I.M.Semisynthetic peptides and proteins, CRC Crit Rev Biochem,11(3):255-301(1981)」、「Offord, R.E.protein engineering by chemical means?protein Eng.,1(3):151-157(1987)」、および「Jackson, D.Y., Burnier, J., Quan, C., Stanley, M., Tom, J., Wells、J.A.Adesigned Peptide Ligase for Yotal Synthesis of Ribonuclease A with Non-natural Catalytic Residues,Science,266(5183):243(1994)」を参照のこと.
化学的修飾は、共同因子、スピンラベルおよびオリゴヌクレオチドを含む非天然側鎖の多様性をインビトロでタンパク導入するために用いられてきた。例えば、「COREY, D.R., Schultz, P.G.Generation of a hybrid sequence-specific single-strand deoxyribonuclease,Science,238(4832):1401-1403(1987)」、「Kaiser, E.T., Lawrence D.S., Rokita, S.E. the chemical modification of enzymatic specificity, Annu Rev Biochem,54:565-595(1985)」、「Kaiser, E.T., Lawrence, D.S.Chemical mutation of enzyme active sites, Science,226(4674):505-511(1984)」、「Neet, K.E., Nanci A, Koshland, D.E.Properties of thiol-subtilisin, J Biol.Chem,243(24):6392-6401(1968)」、「Polgar, L.et M.L.Bender.A new enzyme containing a synthetically formed active site. Thiol-subtilsin.J.Am Chem Soc,88:3153-3154(1966)」、および、「Pollack, S.J., Nakayama, G.Schultz, P.G.Introduction of nucleophles and spectroscopic probes into antibody combining site, Science, 242(4881):1038-1040(1988)」を参照のこと。
また、化学的に修飾されたアミノアシル−tRNAsを用いる生合成方法はインビトロにおいて種々の生物物理学的なプローブを合成されたタンパクに導入するために用いられてきた。以下の刊行物および引用文献を参照のこと:「Brunner, J.New Photolabeling and crosslinking methods, Annu.Rev Biochem,62:483-514(1993)」、および「Kreig, U.C., Walter, P., Hohnson, A.E.Photoceoss linking of the signal sequence of nascent preprolactin of the 54-kilodalton polypeptide of the signal recognition particle,Proc.Natl.Acad.Sci,83(22):8604-8608(1986)」を参照のこと。
以前に、インビトロにおいて、化学的にアミノアシル化された、望まれたアンバーノンセンス変異を含む遺伝子にプログラムされたタンパク合成反応への抑制tRNAs添加により、非天然アミノ酸はタンパク内で部位特異的な組み換えが可能であることが示された。
これらの試みを用い、多くの共通アミノ酸と近似した構造類似体を置き換えることができる。例を挙げれば、特徴のあるアミノ酸要求性の株を用いた、フェニルアラニンとフルオロフェニルアラニンである。例えば、「Noren, C.J., Anthony-Cahill, Griffith, M.C., Schultz, P.G. A general method for site-specific incorporation of non-natural amino acid into proteins, Science, 244: 182-188(1989) 」、「 M.W.Nowak, らScience 268:439-42(1995) 」、「 Bain, J.D., Glabe, C.G., Dix, T.A., Chamberlin, A.R., Diala, E.S. Biosynthetic site-specific Incorporation of a non-natural amino acid into a polypeptide, J.Am Chem Soc, 111: 8014(1989) 」、「 N. Budisa らFASEB J. 13:41-51(1999) 」、「 Ellman, J.A.,Mendel, D., Anthony-Cahill, S., Noren, C.J., Schultz, P.G. Biosynthetic method for introducing non-natural amino acid site-specifically into proteins, Methods in Enz., vol. 202, 301-336(1992) 」、および「Mendel, D., Cornish, V.W. & Schultz, P.G. Site-Directed Mutagenesis with an Expanded Genetic Code, Annu Rev Biophys. Biomol Struct.24, 435-62(1995)」。
以下の特許は、タンパクおよび他のポリペプチドに、非天然アミノ酸を組み込むインビボでの方法のために、全て参照のために示し、その方法は適当な合成酵素/tRNAsを形成する:米国特許出願7,045,337号明細書および7,083,970号明細書。
例えば、抑制tRNAは終始コドンUAGを認識するために作成され、非天然アミノ酸を化学的にアミノアシル化する。従来の部位直接的な変異は、タンパク遺伝子中の重要な部位で終止コドンTAGを導入していた。例えば、「Sayers, J.R., Schmidt, W.Eckstein, F.5’-3’ Exonucleases in phosphorotioate-based olignoucleotide-directed Mutagenesis, Nucleic Acids Res, 16(3):791-802(1988)」を参照のこと。アシル化した抑制tRNAおよび変異遺伝子が、インビトロの転写/翻訳系で結合した場合、非天然アミノ酸は、特定の部位でアミノ酸を含むタンパクを与えるUAGコドンへの反応を組み込まれる。[H]−Pheを用いた実験およびα−ヒドロキシ酸との実験により、UAGコドンにより部位特異的に望ましいアミノ酸のみが組み換えられ、このアミノ酸はタンパクの他のどの部位にも置き換えられない。例えば、「Norenら supra; Kobayashi ら(2003) Nature Structural Biology 10(6): 425-432」、および「 Ellman, J.A., Mendel, D., Schultz, P.G.Site-specific incorporation of novel backbone structures into proteins, Science,255(5041): 197-200(1992)」を参照のこと。
tRNAは全ての方法または技術により所望のアミノ酸でアミノアシル化されてよい(特に限定されないが、化学的または酵素的アミノアシル化を含む)。
アミノアシル化はアミノアシルtRNA合成酵素またはその他の酵素分子により達成され、限定されないがリボザイムを含む。なお、「リボザイム」という用語は、「触媒RNA」と同義である。Cechらは(「Cech, 1987, Science, 236: 1532-1539)」、「 McCorkleら1987, Concepts Biochem. 64:221-226」促進剤として働くことができる、自然発生RNAs(リボザイム)の存在を示した。しかし、これらの天然RNA促進剤リボ核酸は、切断およびスプライシングの間にリボ核酸残基にのみ示されるにも関わらず、近年におけるリボザイムの技術的発展は、様々な化学反応への促進剤反応の可能性を広げてきた。これまでの研究において、自身の(2´)3´−末端にアミノアシルRNA結合を促進剤することができるRNA分子(「Illangakekareら 1995 Science 267: 643-647」)およびアミノ酸をあるRNA分子から他の分子へ転移することができるRNA分子(「Lohse ら1996, Nature 381: 442-444」)を同定してきた。
この明細書において参照のために示した米国特許国際出願2003/0228593号明細書には、リボザイムの構築法およびそれらの天然に符号化されたまたは非天然のアミノ酸とtRNAsのアミノアシル化の使用法を記述した。tRNAをアミノアシル化できる酵素分子の基質固定形態(限定されないが、リボザイムを含む)は、アミノアシル化された産物の効率的な親和性精製を可能にしてよい。好適な基質の例は、アガロース、セファロースおよび磁気ビーズが挙げられる。産物およびアミノアシル化のためのリボザイムの基質固定形態の使用は、明細書中に参照のために示した「Chemistry and Biology 2003, 10:1077-1084」および米国特許出願公開第2003/0228593号明細書に記載されている。
化学的アミノアシル化方法は、アミノアシル化における合成酵素の使用を避けるために、限定されないが、Hechtら(「Hecht, S. M. Ace. Chem. Res. 1992, 25, 545」、「 Heckler, T. G.; Roesser, J. R.; Xu, C; Chang, P.; Hecht, S. M. Biochemistry 1988, 27, 7254」、「 Hecht, S. M.; Alford, B. L.; Kuroda, Y.; Kitano, S. J. Biol. Chem. 1978, 253, 4517」)およびSchultz, Chamberlin, Doughertyら(「Cornish, V. W.; Mendel, D.; Schultz, P. G. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1995, 34, 621」、「 Robertson, S. A.; Ellman, J. A.; Schultz, P. G. J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 2722」、「 Noren, C.J., Anthony-Cahill, S. J.; Griffith, M. C; Schultz, P. G. Science 1989, 244, 182」、「 Bain, J. D.; Glabe, C. G.; Dix, T. A.; Chamberlin, A. R. J. Am. Chem. Soc. 1989, 111, 8013」、「 Bain, J. D.らNature 1992, 356, 537」、「 Gallivan, J. P.; Lester, H. A.; Dougherty, D. A. Chem. Biol. 1997, 4, 740」、「 Turcattiら J. Biol. Chem. 1996, 271, 19991」、「 Nowak, M. W.ら Science, 1995, 268, 439」、「 Saks, M. E.ら J. Biol. Chem. 1996, 271, 23169」、「 Hohsaka, T.ら J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 34」)を挙げる。そのような方法または他の化学的アミノアシル化方法は明細書で記載されたtRNA分子のアミノアシル化に用いられてもよい。
触媒RNAを発生させる方法は、無作為に選ばれたリボザイムの離れたプールを形成する工程、所望のアミノアシル化活性についてプールを選抜する工程、所望されたアミノアシル化活性を示すそれらのリボザイムの配列を選抜する工程を含んでいてもよい。
リボザイムは、GGUモチーおよびU−rich領域のような、アシル化活性を促進するモチーフおよび/または領域を含んでいる。例えば、U−rich領域はアミノ酸基質の認識を促進でき、GGUモチーフはtRNAの3´末端と塩基対を形成できる。これらが共同すると、GGUおよびモチーフおよびU−rich領域はアミノ酸とtRNAとの両方の同時認識を、同時に促進する。これによりtRNAの3´末端のアミノアシル化が促進される。
リボザイムは、活性化クローンに見られる共通配列の組織的技術により、tRNAAsn CCCGと共役した、部分的に無作為に選択されたr24miniを用いてインビトロで選択することで産生できる。明細書において参照のために示された、米国特許出願第2003/0228593号明細書に記載されている「Fxリボザイム」と命名された方法により得られた典型的なリボザイムは、多様なアミノアシル−tRNAを同族の非天然アミノ酸と変換する合成反応の多目的な促進剤として働く。
アミノアシル化したtRNAsリボザイムは、アミノアシル化tRNAsの効率的な親和性精製のために基質上に固定化できる。好適な例は、アガロースセファロースおよび磁気ビーズである(これらに限定されない)。リボザイムはRNAの化学的構造を生かして樹脂に固定化することができ、そのようなRNAのリボース上の3´−cis−diolは過ヨウ素酸塩と酸化させ、樹脂上のRNAの固定化を促進し、対応するジアルデヒドを得ることができる。安価なヒドラシド樹脂を含む多くの型の樹脂が用いられてよく、アミノ化の減少は樹脂およびリボザイム間の相互作用(付加逆の結合)を作る。アミノアシル−tRNAsの合成は、このオンカラムアミノアシル化技術により、顕著に促進された。「Kourouklis ら Methods 2005; 36: 239-4」にカラムベースのアミノアシル化システムが記載されている。
アミノアシル化tRNAの単離は多様な方法で達成できる。ある好適な方法は、カラムからアミノアシル化tRNAを、10mM EDTAを含む酢酸ナトリウム溶液、50mM N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N´−(3−プロパンスルホン酸)、12.5mM KCl、pH7.0、10mM EDTA、またはEDTAバッファ(pH7.0)のようなバッファにより溶出することである。
アミノアシル化したtRNAを、翻訳反応に添加することにより、翻訳反応によって作成されるポリペプチドの所望の位置に、アミノ酸(tRNAのアミノアシル化に用いられたアミノ酸)を組み込むことができる。翻訳系の例は、本明細書に記載のアミノアシル化されたtRNAsを用いることができ、細胞溶解物に限定されない。細胞溶解物は、投入したtRNAからポリペプチドのインビトロでの翻訳のために必須な構成要素を提供する。そのような構成要素の例は、限定されないが、リボソーマルタンパク、rRNA、アミノ酸、tRNAs、GTP、ATP、翻訳開始および伸長因子ならびに翻訳に関わりのある付加的な因子を含む。加えて、翻訳系は、ひとまとまりの翻訳または区分された翻訳であってよい。ひとまとまりの翻訳系は単一の区画において反応要素を結合し、一方区分された翻訳系は反応産物から翻訳反応要素を離し、翻訳の効率を抑制する。そのような翻訳系は市販されている。
さらに、連結した転写/翻訳系が用いられてもよい。連結した転写/翻訳系は投入したDNAと対応したmRNAの両方の転写ができ、反応の構成要素によって順に翻訳される。市販されている連結した転写/翻訳系の例は、Rapid Translation System(RTS,Roche Inc.)である。この系は、リボソームおよび翻訳因子のような翻訳要素を提供するために、E.Coli溶解物を含有する混合物を含む。加えて、RNAポリメラーゼは、投与したDNAを翻訳に用いるmRNAの鋳型への転写に含まれる。RTSは、供給/消費される構成要素を含む区画と転写/翻訳区画の間の仲介する膜経由で、反応構成要素の区分化に用いることができる。
tRNAのアミノアシル化は、他の試薬により生成されてよく、転写酵素、合成酵素、促進剤抗体、多官能性タンパクのようなものを含む(これらに限定されない)。
「Stephan in Scientist 2005 Oct 10; pages 30-33」において、タンパクに非天然アミノ酸を組み込む付加的方法が記載されている。「Luら in Mol Cell. 2001 Oct; 8(4): 759-60」においてタンパクが非天然アミノ酸を含有する合成ペプチドに化学的に結合する方法が記載されている(タンパク結合)。
マイクロインジェクション技術はタンパクに非アミノ酸への組み込みにも使用されている。例えば、「M. W. Nowak, P. C. Kearney, J. R. Sampson, M. E. Saks, C. G. Labarca, S. K. Silverman, W. G. Zhong, J. Thorson, J. N. Abelson, N. Davidson, P. G. Schultz, D. A. Dougherty and H. A. Lester, Science. 268:439 (1995)」、および「 D. A. Dougherty, Curr. Opin. Chem. Biol.. 4:645 (2000)」を参照のこと。アフリカツメガエル卵母細胞は、インビトロで作成した2つのRNA種を共導入された:目的タンパクとUAG終止コドンを関連するアミノ酸位置に付記したmRNAおよび所望の非天然アミノ酸でアミノアシル化されたアンバー抑制tRNAである。その卵母細胞の翻訳機構は、それゆえ、UAGにより特定された位置の非天然アミノ酸を挿入する。この方法は、一般的にインビトロにおける発現系とは異なっている、インビボでの膜内在性タンパクの構造−機能研究を可能にした。蛍光共鳴エネルギー転移によるタキキニンニューロキニン−2受容体への蛍光アミノ酸の結合を含む例を以下に挙げる。例えば、「G. Turcatti, K. Nemeth, M. D. Edgerton, U. Meseth, F. Talabot, M. Peitsch, J. Knowles, H. Vogel and A. Chollet, J. Biol. Chem.. 271:19991 (1996); the incorporation of biotinylated amino acids to identify surface-exposed residues in ion channels」を参照のこと。例えば、「J. P. Gallivan, H. A. Lester and D. A. Dougherty, Chem. Biol., 4:739 (1997); the use of caged tyrosine analogs to monitor conformational changes in an ion channel in real time, see, e.g., J. C. Miller, S. K. Silverman, P. M. England, D. A. Dougherty and H. A. Lester, Neuron, 20:619 (1998) and the use of alpha hydroxy amino acids to change ion channel backbones for probing their gating mechanisms」を参照のこと。例えば、「P. M. England, Y. Zhang, D. A. DoughertyおよびH. A. Lester, Cell, 96:89 (1999)」、および「T. Lu, A. Y. Ting, J. Mainland, L. Y. Jan, P. G. Schultz and J. Yang, Nat. Neurosci.. 4:239 (2001)」を参照のこと。
インビボにおけるタンパクへの非天然アミノ酸の直接の組み込みの能力は、多種多様な有用性を提供する。例えば、高収量の変異タンパク、技術的容易性、細胞内において変異タンパクの研究の可能性または生きた器官の可能性ならびにこれらの変異タンパクの治療上の処置および診断上の使用などが挙げられる。タンパクへ様々な大きさ、酸性度、求核性、疎水性および他の特性を有する非天然アミノ酸を含有する能力は、大きく我々の、タンパクの機能を確認し、新規な性質を有する新たなタンパクまたは器官を作り出すために、タンパクの構造を合理的および体系的に操作する能力を非常に向上させた。
パラ−F−Pheを部位特異的に組み込むある試みでは、酵母のアンバー抑制tRNAPheCUA/フェニルアラニル−tRNA合成酵素の対が、p−F−Pheに抵抗性を示すPhe栄養要求性のEscherichia Coli株に使用された。例えば、「R.Futer, Protein Sci., 7:419(1998)」を参照のこと。
本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドの発現を得るために、無細胞(インビトロでの)翻訳系を用いることも可能である。翻訳系は細胞系または無細胞系を用いてよく、原核生物または真核生物であってよい。細胞性翻訳系としては、例えば、全細胞調製物(透過性細胞など)、または細胞培養物が挙げられる。該細胞性翻訳系では、所望の核酸配列がmRNAに転写され、翻訳される。無細胞性翻訳系は市販されており、多くの異なる型および系がよく知られている。無細胞系の例は、Eschrichia coli溶解物のような原核生物溶解物ならびに小麦胚芽抽出物、昆虫細胞溶解物、ウサギ網状赤血球溶解物、ウサギ卵母細胞およびヒト細胞溶解物のような真核生物溶解物が挙げられる(これらに限定されない)。真核生物抽出物または溶解物は、生成するタンパクが糖化、リン酸化またはその他の修飾をされている場合に好適である。なぜなら、多くのそのような修飾は真核生物系でのみ可能であるからである。これらの抽出物および溶解物のあるものは市販されている(Promega; Madison,Wis.; Stratagene; La Jolla,Calif.; Amersham; Arlington Heights,III.; GIBCO/BRL; Grand Island, N.Y.)。イヌの膵臓抽出物のようなミクロゾール膜を含む膜質の抽出物は、分泌タンパクの翻訳の利用にも好適である。鋳型としてのmRNA(インビトロ翻訳)または鋳型(としてのDNAのインビトロでの転写および翻訳を連結する)の両方を含む、このような系において、インビトロの系はリボソームにより方向をつけられる。相当な努力が無細胞タンパク発現系の発展に用いられてきた。例えば、「Kim, D.M.およびJ.R. Swartz, Biotechnology and Bio engineering, 74 :309-316 (2001)」、「 Kim, D.M. and J.R. Swartz, Biotechnology Letters, 22, 1537-1542, (2000) 」、「Kim, D.M., およびJ.R. Swartz, Biotechnology Progress, 16, 385-390, (2000) 」、「 Kim, D.M., およびJ.R. Swartz, Biotechnology and Bioengineering, 66, 180-188, (1999) 」、および「Patnaik, R.およびJ.R. Swartz, Biotechniqiies 24, 862-868, (1998)」、 米国特許出願6,337,191号明細書、 米国特許出願2002/0081660号明細書、 国際公開第00/55353号パンフレット、国際公開第90/05785号パンフレットを参照のためにここで引用する。mRNAペプチド融合技術を含む、その他の手法が非天然アミノ酸ポリペプチドの発現に用いられてもよい。例えば、「R. RobertsおよびJ. Szostak, Proc. Natl Acad. Sci (USA) 94:12297-12302 (1997) 」、「 A. FrankelらによるChemistry & Biology 10:1043-1050 (2003) 」を参照のこと。この手法においては、ピューロマイシンに結合したmRNA鋳型はリボソームにおいてペプチドに翻訳される。もし、1つ以上のtRNA分子が修飾されていれば、非天然アミノ酸はよりペプチドに組み込まれる。最後のmRNAコドンは読まれれば、ピューロマイシンはペプチドのC末端を捕捉する。もし、mRNAペプチド結合の生成がインビトロの試験において興味深い特徴を有することが明らかとなれば、mRNA配列からその性質を容易に明らかにすることができる。この方法において、当業者は1つ以上の非天然アミノ酸を含む非天然アミノ酸ポリペプチドのライブラリーを、所望の特性を有するポリペプチドの同定のためにふるいにかけてよい。最近になって、精製された構成要素のインビトロにおけるリボソーム翻訳は、非天然アミノ酸に置換ペプチドの合成を可能にすることが報告された。例えば、「A. ForsterらのProc. Natl Acad. Sci. (USA) 100:6353 (2003)」を参照のこと。
再構成された翻訳系も使用されてもよい。精製された翻訳因子の混合物は、溶解物の組み合わせまたは開始因子−1(IF−1)、IF−2、IF−3(αまたはβ)、伸長因子T(EF−Tu)または終結因子のような精製された翻訳因子を補った溶解物と同様に、mRNAをタンパクに翻訳することにも用いられてきた。ここで参照のために引用する「Current Protocols in Molecular Biology (F. M. Ausubelら editors, Wiley Interscience, 1993)」 に記載されているように、無細胞系はDNAが系に導入され、mRNAに転写され、翻訳される転写/翻訳系とも連動してよい。真核生物の転写系においてRNAの転写は、異核RNA(hnRNA)または5´末端キャップ(7−メチルグアノシン)および3´末端ポリAテイル成熟mRNAの形態にあり、これは特定の翻訳系において有用である。例えば、キャップされたmRNAsは、網状赤血球溶解物系において高効率に翻訳される。
(実施例1:促進剤の存在下におけるオキシム形成の促進)
カルボニル含有化合物(非天然アミノ酸ポリペプチド)は、スキーム1Aに示される。アミノ酸パラ−アセチルフェニルアラニンのケト基は、比較的安定なオキシムの形成のためにヒドロキシルアミン含有化合物と反応し、タンパクに組み込まれる。この反応は非常に特異的である。促進剤の存在下においてより迅速な反応が観察される(スキーム1B)。
Figure 0005508716
(実施例2:30K PEG−pAcFk共役を利用した、潜在的な促進剤の選別)
35番目のチロシンをパラ−アセチルフェニルアラニンで置換したヒト成長因子(hGH)を用いて、図5に示される20種の化合物を選別した。hGHのバッファを、PD10カラムを用いて、hGH反応バッファ(20 mM NaOAc, 20 mg/ml glycine, 5 mg/ml Mannitol, 1 mM EDTA, pH 4.0)に変えた。そして、Centrocon(10K MWCO)を用いて、10mg/mlに濃縮した。hGH(10μl)を、3.6μlのモノヒドロキシルアミン30K PEG(2.5mM)、3μlの潜在的促進剤(hGH反応バッファ中で200mM)と混合し、30μlの最終体積に調整した。hGH:PEGのモル比は1:2であった。反応混合物を28℃で16時間および36時間インキュベートし、SDS−PAGEにより分析した(図6)。図6に示したゲルのそれぞれのレーンは、図5に示したような試験化合物を示す。それぞれのゲルの最後のレーンはコントロール反応とした(促進剤非存在)。化合物6、7、8、10および20は促進剤であった。これら化合物のうちの2種(化合物7および20(酢酸ヒドラジド)(図5に示す))は、促進剤であり、高いhGHタンパク濃度(8mg/ml)の反応条件下においてさらに評価された。反応混合物を28℃で16時間インキュベートし、その結果を図7に示すようにSDS−PAGEにより分析した。レーン1はhGF:PEGのモル比1:2および50mMの反応促進化合物7を有する反応混合物である。レーン2はhGH:PEGのモル比1:2および50mMの反応促進化合物20を有する反応混合物である。レーン3は、hGH:PEGのモル比1:2および促進剤非存在下の反応混合物である。レーン4は、hGH:PEGのモル比1:2および促進剤非存在下の反応混合物である。16時間後、両化合物は反応を促進剤することを示した。
(実施例3:促進剤との培養後における、hGHのLCMC分析)
hGH反応バッファにおいて、野生型hGH(5.8mg/ml)を、様々な濃度の促進剤酢酸ヒドラジド(200mM、100mM、50mM、25mM、12.5mM、6.25mMおよび0mM)と、28℃で48時間インキュベートした。促進剤を透析することで分離した(10k MWCO)。生成したタンパク溶液をLCMS(図8)により分析した。図8Bは促進剤非存在下のhGHの質量スペクトルを示す。図8Cは200mMの促進剤酢酸ヒドラジドとhGHの質量スペクトルを示す。
タンパク結合のための促進剤は、好ましくは、タンパクに対しての任意の悪影響(断片化、沈殿および所望でない共有結合修飾など)を与えない。非断片化は、促進剤7および20(図5に示す)を用いた場合に、scFvおよびhGHの両方を用いた全ての条件においてSDS−PAGE分析およびタンパク沈殿により観察された。例えば、200mM以上の促進剤(酢酸ヒドラジド)と野生型hGHとを48時間インキュベーションした後では、LCMSにより、共有結合修飾は全く検出されなかった。全ての条件において、測定したhGHの分子量は同一であり、理論値22256と一致した。
(実施例4:scFv−pAcFの一段階二量化)
259番目のアミノ酸(scFv108 259−pAcF)がパラ−アセチルフェニルアラニンで置換された単鎖Fv(scFv)108タンパクを、以下の結合反応に使用した。保存バッファ中のscFv108 259−pAcFのバッファを、PD10カラムを用いて反応バッファ(150 mM NaCl, 20 mM NaOAc, 5 mM EDTA, pH 4.0)に交換した。タンパク溶解液を0.5mMに調整した。それから、ヒドロキシルアミンホモ2官能性2KPEGリンカー2.5mM保存液と混合し、促進剤として酢酸ヒドラジドを添加した。最終反応混合物は147μMホモ2官能性2K PEGリンカー、対応する濃度のpAcF−置換scFVおよび47mM酢酸ヒドラジドから構成された。反応混合物を28℃でインキュベーションし、異なる時点(6時間、20時間、44時間)で、SDS−PAGEにより分析された。
ホモ2官能性2K PEGリンカーとの1段階反応をより効率的および実用的にするために、促進剤を用いて二量体化過程を促進した。促進剤なしでは、20時間後に、二量体はほとんどSDS−PAGEを用いて検出されなかった。6時間、20時間および44時間のゲルのレーン4は、促進剤酢酸ヒドラジド非存在下において、scFv:PEGリンカー比が2.0:1のモル比である反応混合物を示す。一方、47mM酢酸ヒドラジドの存在下において、二量体生成物は6時間後に現れた。図2に示すように、異なるタンパクとリンカーのモル比、1.6:1、2.0:1および2.4:1、は最もよい接合条件を細かく調べるために行った。6時間、20時間および44時間のゲルのレーン1は、scFv:リンカー比が1.6:1のモル比で、酢酸ヒドラジドの存在する反応混合物を示す。6時間、20時間および44時間のゲルのレーン2は、scFv:リンカー比が2.0:1のモル比で、酢酸ヒドラジドの存在する反応混合物を示す。6時間、20時間および44時間のゲルのレーン3は、scFv:リンカー比が2.4:1のモル比で、酢酸ヒドラジドの存在する反応混合物を示す。コントロールとして、scFv108は47mM酢酸ヒドラジドとホモ2官能性PEGリンカーの非存在下で44時間培養した。二量体は観察されなかった。6時間、20時間および44時間のゲルのレーン5は、PEGリンカーなしで、scFvおよび促進剤の混合物を示す。この結果は、促進剤、酢酸ヒドラジドはscFv間の分子内ジスルフィド結合の形成を促進しないことを示している。ホモ2官能性PEGリンカーの存在下において、二量体はPEGリンカーおよびタンパク間のオキシム形成を通じて産生される。
(実施例5:モノヒドロキシルアミン30K PEGおよびscFv−pAcF抱合)
上記で言及した反応バッファ(10μl)中のscFv108 259−pAcF0.5M保存溶液を、多量のヒドロキシルアミン30K PEG 2.5mM保存溶液、2.2μlの200mM酢酸ヒドラジド保存溶液および反応バッファと混合した。22μlの最終容量反応混合物は異なるscFv:PEG(1:3または1:5)のモル比を有する。モノヒドロキシルアミン30K PEGおよびscFvの接合における酢酸ヒドラジドの加速効果を、促進剤の存在下および非存在下においてタンパクおよびPEGのモル比1:3および1:5において評価した。反応混合物を28℃でインキュベーションし、SDS−PAGEにより異なる時点(20時間、40時間)で分析した。レーン1,2および3は、それぞれ100%、20%および10%の開始scFv−pAcFを示す。20時間および40時間のゲルのレーン4は、20mMの酢酸ヒドラジド存在下で1:3のscFv:PEGモル比の反応混合物を示す。20時間および40時間のゲルのレーン5は、scFv:リンカー比が1:3のモル比で、促進剤非存在の反応混合物を示す。20時間および40時間のゲルのレーン6は、scFv:リンカー比が1:5のモル比で、20mM酢酸ヒドラジド存在下の反応混合物を示す。20時間および40時間のゲルのレーン7は、scFv:リンカー比が1:5のモル比で、促進剤非存在の反応混合物を示す。接合の結果によれば、酢酸ヒドラジドが接合反応を促進することを証明した。促進剤存在下における1:3のタンパク:PEGのモル比の反応は、促進剤非存在下における1:5のタンパク:PEGのモル比の反応よりも早く経過する。
同様に、scFv:30K PEGモノヒドロキシルアミンのモル比が1:2において、異なる濃度の促進剤酢酸ヒドラジド(5mM、20mM、80mM)の接合に対する効率性を評価した(図4)。反応混合物を28℃でインキュベーションした。レーン1は5mM酢酸ヒドラジド存在下の反応混合物を示す(scFv:30K PEGモノヒドロキシルアミンが1:2のモル比)。レーン2は20mM酢酸ヒドラジド存在下の反応混合物を示す(scFv:30K PEGモノヒドロキシルアミンが1:2のモル比)。レーン3は80mM酢酸ヒドラジド存在下の反応混合物を示す(scFv:30K PEGモノヒドロキシルアミンが1:2のモル比)。レーン4は5mM酢酸ヒドラジド存在下の反応混合物を示す(scFv:30K PEGモノヒドロキシルアミンが1:5のモル比)。レーン5、6および7は、それぞれ10%、20%および100%の開始scFv−pAcfを示す。SDS−PAGE分析によれば、高濃度の促進剤により、接合がより速くなることが示された。80mM促進剤存在下における1:2のscFv:PEGのモル比の接合は、促進剤非存在下における1:5のscFv:PEGのモル比の接合よりも速い。
(実施例6:小分子における、促進されたオキシム形成の研究)
アセトフェノン(0.5mM)を4.0のpHに緩衝された水溶液中においてエチルヒドロキシルアミン(1mM)と反応させた。一連の促進剤(20mM)をこの反応混合物に添加し、オキシム形成の割合および収率を同定する各促進剤の効果を決定した(図10(a)参照のこと)。この典型的な反応において用いられた促進剤はを図10(b)に示す。分画は反応混合物から分離され、2時間、5時間、9時間および24時間後に高速液体クロマトグラフィーによって分析された。加えて、これらの試料のそれぞれにUV/Vis分光法を用いて、ケトンのピーク吸光度をオキシムのピーク吸光度と比較した。図11は、反応後2時間および9時間の結果を表す。図11によれば、全ての促進剤により、オキシム形成の割合が増加している。しかし、最も高い収率をもたらしたのは、促進剤1および7(図10(b))であった。さらに、促進剤1は長い反応時間後に最大の収率をもたらす。特別な理論に結合することなしに、促進剤の活性は、ケトンとの反応速度およびヒドラゾン中間体の安定性の両方に明らかに依存する。
本明細書に記載された実施例および実施形態は説明のためのみに理解され、その多様な修飾または変更は、当業者によって示唆され、添付の特許請求の範囲および本出願の精神と範囲とに含まれる。本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願は、全ての目的のためにその全体が参照によって組み込まれる。
本明細書に記載の方法、組成物、戦略および技術のある態様の関係を示す略図である。 2kのホモ2官能性のヒドロキシアミンPEGリンカーを用いて実施した、scFv108の1ステップの2量体化反応をSDS−PAGEにより分析した非限定的な例を示す図である。 scFv−pAcFと30KモノヒドロキシアミンPEGとの接合体をSDS−PAGEにより分析した非限定的な例を示す図である。 酢酸ヒドラジドの濃度が異なるときの、scFv−pAcFと30KモノヒドロキシアミンPEGとの接合体をSDS−PAGEにより分析した非限定的な例を示す図である。 本明細書に記載の方法、反応、および合成において用いられることができる促進剤の非限定的な例を示す図である。 異なる促進剤の存在下におけるオキシムの形成を比較した、SDS−PAGE分析の非限定的な例を示す図である。 促進剤7および20の存在下における、hGH−pAcFと30KモノヒドロキシアミンPEGとの接合体をSDS−PAGEにより分析した非限定的な例を示す図である。 促進剤である酢酸ヒドラジドの濃度を変えてインキュベーションしたときの、hGHのLCMS分析の非限定的な例を示す図である。 本明細書に記載の方法、反応、および合成において用いられることができる促進剤の非限定的な例を示す図である。 図10(a)は、促進剤の存在下においてケトンのモデルとヒドロキシアミンのモデルとからオキシムのモデルを形成する非限定的な反応を示す図である。図10(b)は、本明細書に記載の方法、反応、および合成において用いられることができる促進剤の非限定的な例を示す図である。 本明細書に記載の様々な促進剤の存在または非存在下において実施される、モデル反応に関するオキシムの収率の非限定的な組を示す図である。

Claims (9)

  1. (i)式(I)
    Figure 0005508716

    (ここで:
    は、アリーレンまたは置換アリーレンであり;
    Bは不在であり;
    Jは、
    Figure 0005508716

    であり;
    RはH、アルキル、置換アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルであり;
    は任意に存在し、存在している場合にはH、アミノ保護基、レジン(resin)、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
    は任意に存在し、存在している場合にはOH、エステル保護基、レジン、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;および
    およびRのそれぞれは、独立してH、ハロゲン、低級アルキル、または置換低級アルキルであるか、あるいは、RおよびRまたは2つのR基は、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意で形成する)
    構造を有している化合物、
    (ii)ヒドロキシアミン部分を含んでいる化合物、ならびに、
    (iii)以下の構造:
    Figure 0005508716

    Figure 0005508716

    (ここで、R、RおよびRは、L−H、L−アルキル、L−アリール、L−ヘテロアリール、L−アルケニル、L−アルキニル、L−アルコキシおよびL−アルキルアミンから成る群から選ばれ、Lは結合を示し、C(=O)、C(=NH)、C(=NH)−NH、SO、およびSOである)
    を有している化合物であってオキシム結合を形成するための化合物から成る群から選ばれる促進剤、
    を含んでいる反応混合物。
  2. 上記RおよびRのそれぞれは、独立してHである、請求項1に記載の反応混合物。
  3. 上記ヒドロキシアミン部分を含んでいる化合物が、さらにポリマー部分を含んでいる、請求項1に記載の反応混合物。
  4. 上記ポリマー部分が、水溶性ポリマー部分である、請求項3に記載の反応混合物。
  5. 上記Aが、アリーレンである、請求項1に記載の反応混合物。
  6. 上記アリーレンが、フェニルである、請求項5に記載の反応混合物。
  7. 上記Jが、
    Figure 0005508716

    である、請求項1に記載の反応混合物。
  8. 上記ヒドロキシアミン部分を含んでいる化合物が、次の構造:
    Figure 0005508716

    (ここで、各Lは独立して、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−(アルキレンまたは置換アルキレン)NR’C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−O−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−N(R’)C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から選択されるリンカーであり、各R’は独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)を有している、請求項3に記載の反応混合物。
  9. 上記水溶性ポリマー部分が、PEG基である、請求項4に記載の反応混合物。
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