JP2009522275A - 非天然アミノ酸およびポリペプチドを含んでいる組成物、それらに関する方法、ならびに、それらの使用 - Google Patents

非天然アミノ酸およびポリペプチドを含んでいる組成物、それらに関する方法、ならびに、それらの使用 Download PDF

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Abstract

本明細書には、非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでいる非天然アミノ酸ポリペプチド、および当該非天然アミノ酸ポリペプチドを作製する方法が記載されている。非天然アミノ酸は、それ自体またはポリペプチドの一部であるとき、機能性基として可能な多様なものを含むことができるが、通常は少なくとも1つのヘテロ環基、アルドールに基づく基、ジカルボニル基、および/またはジアミン基を有することができる。また、本明細書には、さらに翻訳後修飾された非天然アミノ酸ポリペプチド、上記修飾をするための方法、ならびに上記ポリペプチドを精製する方法も開示されている。通常、修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、少なくとも1つのヘテロ環基、アルドールに基づく基、ジカルボニル基、および/またはジアミン基を含んでいる。さらに、上記非天然アミノ酸ポリペプチドおよび修飾型非天然ポリペプチドを使用する方法(治療的使用、診断的使用、および他の生物工学的使用など)が開示されている。

Description

発明の詳細な説明
〔関連出願〕
本出願は、米国仮特許出願第60/755,338号明細書(2005年12月30日出願)、米国仮特許出願第60/755,711号明細書(2005年12月30日出願)、および米国仮特許出願第60/755,018号明細書(2005年12月30日出願)の利益を主張するものである(なお、それらの全体は参照によって本明細書に組み込まれる、)。
〔発明の分野〕
本明細書には、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドを作製、精製、特徴づけ、ならびに使用するための、化合物、組成物、技術、および戦略が記載されている。
〔発明の背景〕
非遺伝的にコードされたアミノ酸(つまり、非天然アミノ酸)を、タンパク質に組み込むことができれば、天然に生じる官能基(リジンのイプシロン位の−NH、システインのスルフィドリル(−SH)、ヒスチジンのイミノ基など)に代わる有益な化学官能基を導入することができる。20の一般的な遺伝的にコードされたアミノ酸において見られる官能基に対して不活性であるが、非天然アミノ酸に組み込まれ得る官能基と首尾よく効率的に反応して、安定な連結を形成する特定の化学官能基が知られている。
タンパク質には発見されず、20の一般的な遺伝的にコードされたアミノ酸に見られる官能基の全てに対して化学的に不活性であり、特定の官能基を含んでいる試薬と効率的かつ選択的に反応して、安定な連結を形成し得る化学官能基を選択的に導入する方法は、現在利用可能である。
〔発明の要旨〕
本明細書には、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドを作製、精製、特徴づけ、ならびに使用するための、方法、組成物、技術、および戦略が記載されている。一態様では、方法、組成物、技術および戦略は、非天然アミノ酸および/または非天然アミノ酸ポリペプチドを誘導体化するものである。一実施形態では、そのような方法、組成物、技術、および戦略は、化学的誘導体化に関し、別の実施形態では、生物的誘導体化に関し、別の実施形態では、物理的誘導体化に関し、別の実施形態では、誘導体化の組み合わせに関する。さらなる、または追加の実施形態では、上記誘導体化は、位置選択的である。さらなる、または追加の実施形態では、上記誘導体化は、位置特異的である。さらなる、または追加の実施形態では、上記誘導体化は、非天然アミノ酸含有試薬および誘導体化試薬の両方において、化学量論的、またはほぼ化学量論的である。さらなる、または追加の実施形態では、上記誘導体化は、室温(ambient temperature)において迅速である。さらなる、または追加の実施形態では、上記誘導体化は、水溶液中において起こる。さらなる、または追加の実施形態では、上記誘導体化は、約2から約10のpHにおいて起こる。さらなる、または追加の実施形態では、上記誘導体化の約3から約8のpHにおいて起こる。さらなる、または追加の実施形態では、上記誘導体化は、約2から約9のpHにおいて起こる。さらなる、または追加の実施形態では、上記誘導体化は、約4から約9のpHにおいて起こる。さらなる、または追加の実施形態では、上記誘導体化は、約4のpHにおいて起こる。さらに別の実施形態では、上記誘導体化は、約8のpHにおいて起こる。さらなる、または追加の実施形態では、上記誘導体化は、非天然アミノ酸含有試薬および誘導体化試薬の両方において、化学量論的、ほぼ化学量論的、または化学量論様的である。さらなる、または追加の実施形態では、化学量論的、ほぼ化学量論的、または化学量論様に、所望の基を非天然アミノ酸ポリペプチドに組み込むことができる方法が、提供される。さらなる、または追加の実施形態では、化学量論的、ほぼ化学量論的、または化学量論様に、所望の基を非天然アミノ酸ポリペプチドに組み込むことができる戦略、反応混合物、合成条件が提供される。
一態様では、非天然アミノ酸は、ジカルボニル基の反応性に基づいて、ペプチドおよびタンパク質を化学的に誘導体化するためのものである。上記ジカルボニル基としては、例えば、少なくとも1つのケトン基、および/または少なくとも1つのアルデヒド基、および/または少なくとも1つのエステル基、および/または少なくとも1つのカルボン酸、および/または少なくとも1つのチオエステル基を含んでいる基が挙げられる。また、上記ジカルボニル基は、1,2−ジカルボニル基、1,3−ジカルボニル基、または1,4−ジカルボニル基であってもよい。さらなる、または追加の態様では、非天然アミノ酸は、ジアミン基の反応性に基づいて、ペプチドおよびタンパク質を化学的に誘導体化するためのものである。上記ジアミン基としては、例えば、ヒドラジン基、アミジン基、イミン基、1,1−ジアミン基、1,2−ジアミン基、1,3−ジアミン基、および1,4−ジアミン基が挙げられる。さらなる、または追加の実施形態では、上記非天然アミノ酸の少なくとも1つが、ポリペプチドに組み込まれる(すなわち、上記実施形態では、そのようなポリペプチドは、非天然アミノ酸ポリペプチドである)。さらなる、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、当該側鎖と誘導体化分子との反応により連結が生じるように、官能基化されている。上記連結には、窒素含有ヘテロ環などのヘテロ環に基づく連結、および/または、アルドールに基づく連結が含まれる。さらなる、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、連結を含有する非天然アミノ酸ポリペプチドを生成するように、誘導体化分子と反応することができる(上記連結には、窒素含有ヘテロ環などのヘテロ環に基づく連結、および/または、アルドールに基づく連結が含まれる)。さらなる、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸は、ジカルボニルの側鎖および/またはジアミンの側鎖を有するアミノ酸から選択される。さらなる、または追加の実施形態では、上記は、マスクされた側鎖を含んでいる。当該マスクされた側鎖には、マスクされたジアミン基および/またはマスクされたジカルボニル基が含まれる。さらなる、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸は、ケト−アミン(ケトンとアミンとを含んでいる基)、ケト−アルキン(ケトンとアルキンとを含んでいる基)、およびエン−ジオン(ジカルボニル基とアルケンとを含んでいる基)から選択される基を含んでいる。
さらなる、または追加の実施形態では、上記非天然アミノ酸は、ジカルボニルの側鎖を含んでおり、カルボニルは、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、またはチオエステルなどのエステルから選択されるものである。別の実施形態では、非天然アミノ酸は、適切な官能基化試薬により処置されることによって、窒素含有ヘテロ環などのヘテロ環を形成することができる官能基を含んでいる。さらなる、または追加の実施形態では、上記非天然アミノ酸の構造は、上記官能基の少なくとも1つを含んでいること以外は、天然アミノ酸に類似している。別の、またはさらなる実施形態では、上記非天然アミノ酸は、フェニルアラニンまたはチロシン(芳香族アミノ酸)に類似しており、異なる実施形態では、非天然アミノ酸は、アラニンおよびロイシン(疎水性アミノ酸)に類似している。一実施形態では、上記非天然アミノ酸は、天然アミノ酸の性質とは異なる性質を有している。一実施形態では、上記異なる性質は、側鎖の化学反応性であり、さらなる実施形態では、この異なる化学反応性によれば、非天然アミノ酸の側鎖はポリペプチドのユニットである間に、同じポリペプチド内の天然に生じるアミノ酸ユニットの側鎖が反応を受けないにもかかわらず、当該反応を受けることができる。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、天然に生じるアミノ酸の化学的性質に直交な化学的性質を有している。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、求電子物質含有部分を含んでいる。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖における求電子物質含有部分が、求核攻撃を受けることによって、ヘテロ環により誘導体化された(ヘテロ環誘導体化型)タンパク質を生成することができる。本段落における上記実施形態の何れかでは、非天然アミノ酸は、ポリペプチドから分離した分子として存在していてもよいし、任意の長さのポリペプチドに組み込まれていてもよい。後者の場合、ポリペプチドは、それから、天然に生じるアミノ酸または非天然アミノ酸をさらに組み込んでもよい。
別の態様では、ジアミン置換(ジアミンで置換された)分子は、窒素含有ヘテロ環連結などのヘテロ環連結に基づいて、誘導体化された非天然アミノ酸ポリペプチドを製造するためのものである。なお、ジアミン基は、ヒドラジン、アミジン、イミン、1,1−ジアミン、1,2−ジアミン、1,3−ジアミン、および1,4−ジアミン基から選択される。さらなる実施形態では、ジアミン置換分子は、誘導体化分子とジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドとの間に、窒素含有ヘテロ環連結などのヘテロ環連結を形成することによって、ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドを誘導体化するために用いられる。さらなる実施形態では、上記ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドは、ジケトン含有非天然アミノ酸ポリペプチドである。さらなる、または追加の実施形態では、ジカルボニル含有非天然アミノ酸は、側鎖を含んでおり、カルボニルは、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、またはチオエステルなどのエステルから選択される。さらなる、または追加の実施形態では、上記ジアミン置換分子は、所望の機能性基から選択される基を含んでいる。さらなる、または追加の実施形態では、上記ジアミン置換分子は、ジアミン置換ポリエチレングリコール(PEG)分子である。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、非天然アミノ酸がジアミン置換分子と選択的に反応することができるという、天然に生じるアミノ酸の化学的性質に対して直交な化学的性質を有している。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、ジアミン含有分子と選択的に反応する求電子物質含有部分を含んでいる。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖における求電子物質含有部分が、求核攻撃を受けることにより、ヘテロ環誘導体化型タンパク質(窒素含有ヘテロ環誘導体化型タンパク質)が生成する。本段落に記載の実施形態に関するさらなる態様では、修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、誘導体化分子と非天然アミノ酸ポリペプチドとの反応から生じるものである。さらなる実施形態には、すでに修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドが、さらに任意に修飾されたものが含まれる。
別の態様では、ジカルボニル置換分子は、窒素含有ヘテロ環連結などのヘテロ環連結に基づいて、誘導体化された非天然アミノ酸ポリペプチドを製造するためのものである。さらなる実施形態では、ジカルボニル置換分子は、窒素含有ヘテロ環基などのヘテロ環基の形成を介して、ジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドを誘導体化するために用いられる。さらなる実施形態では、ジカルボニル置換分子は、ジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドと一緒に、約4から約8の範囲のpHにおいて、窒素含有ヘテロ環基などのヘテロ環基を形成することができる。さらなる実施形態では、ジカルボニル置換分子は、誘導体化分子とジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドとの間に、窒素含有ヘテロ環連結などのヘテロ環連結を形成することによって、ジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドを誘導体化するために用いられる。さらなる実施形態では、ジカルボニル置換分子は、ジケトン置換分子である、別の態様では、ケトアルデヒド置換分子であり、別の態様では、ケト酸置換分子であり、別の態様では、ケトチオエステル置換分子などのケトエステル置換分子である。さらなる実施形態では、上記ジカルボニル置換分子は、所望の機能性基から選択される基を含んでいる。さらなる、または追加の実施形態では、上記アルデヒド置換分子は、アルデヒド置換ポリエチレングリコール(PEG)分子である。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、非天然アミノ酸がカルボニル置換分子と選択的に反応することができるという、天然に生じるアミノ酸の化学的性質に対して直交な化学的性質を有している。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、ジカルボニル含有部分と選択的に反応する部分(ジアミン基など)を含んでいる。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖における求核物質部分が求電子攻撃を受けることによって、窒素含有ヘテロ環誘導体化型タンパク質などのヘテロ環誘導体化型タンパク質が生成される。本段落に記載の実施形態に関するさらなる態様では、修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、誘導体化分子と非天然アミノ酸ポリペプチドとの反応から生じるものである。さらなる実施形態には、すでに修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドが、さらに任意に修飾されたものが含まれる。
別の態様では、1官能性リンカー、2官能性リンカーおよび多官能性リンカーは、窒素含有ヘテロ環連結などのヘテロ環連結、および/またはアルドール連結に基づいて、誘導体化された非天然アミノ酸ポリペプチドを生成するためのものである。一実施形態では、(2官能性および多官能性の)分子リンカーは、ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドを他の分子に接続するために用いられ得る。別の実施形態では、(2官能性および多官能性の)分子リンカーは、ジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドを他の分子に接続するために用いられ得る。別の実施形態では、ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドは、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、エステル、またはチオエステルの側鎖を含んでいる。ジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドを利用する実施形態では、上記分子リンカーは、その末端の1つにカルボニル基を含んでおり、さらなる実施形態では、当該カルボニル基は、アルデヒド基、エステル、チオエステル、またはケトン基から選択される。さらなる、または追加の実施形態では、上記ジアミン置換リンカー分子は、ジアミン置換ポリエチレングリコール(PEG)リンカー分子である。さらなる、または追加の実施形態では、上記ジカルボニル置換リンカー分子は、ジカルボニル置換ポリエチレングリコール(PEG) リンカー分子である。さらなる実施形態では語句「他の分子」には、例えば、タンパク質、他のポリマーおよび低分子が含まれる。さらなる、または追加の実施形態では、上記ジアミン含有分子リンカーは、全ての末端に同一のまたは同等な基を含んでおり、このため、ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドとの反応により、ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドのホモマルチマーが生じる。さらなる実施形態では、上記ホモマルチマーは、ホモダイマーである。さらなる、または追加の実施形態では、上記ジカルボニル含有分子リンカーは、全ての末端に同一のまたは同等な基を含んで折り、このため、ジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドとの反応により、ジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドのホモマルチマーが生じる。さらなる実施形態では、上記ホモマルチマーは、ホモダイマーである。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、非天然アミノ酸がジアミン置換リンカー分子と選択的に反応することができるという、天然に生じるアミノ酸の化学的性質に対して直交な化学的性質を有している。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、非天然アミノ酸がジカルボニル置換リンカー分子と選択的に反応することができるという、天然に生じるアミノ酸の化学的性質に対して直交な化学的性質を有している。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、ジアミン含有リンカー分子と選択的に反応する求電子物質含有部分を含んでいる。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖における求電子物質含有部分が、ジアミン含有リンカー分子から求核攻撃を受けることにより、窒素含有ヘテロ環誘導体化型タンパク質などのヘテロ環誘導体化型タンパク質が生じる。本段落に記載の実施形態に関するさらなる態様では、連結された修飾型または非修飾型 非天然アミノ酸ポリペプチドは、リンカー分子と非天然アミノ酸ポリペプチドとの反応から生じるものである。さらなる実施形態には、すでに連結された修飾型または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドが、さらに任意に修飾されたものが含まれる。
一態様では、本発明の方法は、ジカルボニル反応物質およびジアミン反応物質との反応を介してタンパク質を誘導体化することにより、窒素含有ヘテロ環誘導体化型タンパク質などのヘテロ環誘導体化型タンパク質を生成する方法である。この態様には、ジカルボニル含有反応物質およびジアミン含有反応物質の縮合に基づいて、タンパク質を誘導体化することにより、窒素含有ヘテロ環誘導体化型タンパク質などのヘテロ環誘導体化型タンパク質付加物を生成する方法が含まれる。追加の、またはさらなる実施形態では、本発明の方法は、ジケトン含有タンパク質またはケトアルデヒド含有タンパク質、またはケト酸含有タンパク質、またはケトエステル含有タンパク質、またはケトチオエステル含有タンパク質を、ジアミンで官能基化されたポリエチレングリコール(PEG)分子により誘導体化する方法である。さらに追加の、またはさらなる態様では、ジアミン置換分子は、タンパク質、他のポリマーおよび低分子を含んでいてもよい。
別の態様では、本発明の方法は、ジカルボニル置換タンパク質を誘導体化するためのジアミン置換分子を化学合成する方法である。一実施形態では、ジアミン置換分子は、ペプチド、(分枝状または非分枝状の)他のポリマー、および低分子を含んでいてもよい。一実施形態では、本発明の方法は、ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドの誘導体化に適切なジアミン置換分子を調製する方法である(なお、上記ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドとしては、例えば、ジケトン含有非天然アミノ酸ポリペプチド、ケトアルデヒド含有非天然アミノ酸ポリペプチド、ケト酸含有非天然アミノ酸ポリペプチド、ケトエステル含有非天然アミノ酸ポリペプチド、および/またはケトチオエステル含有非天然アミノ酸ポリペプチドが挙げられる。さらなる、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸は、タンパク質のインビボでの翻訳の間に、部位特異的に組み込まれる。さらなる、または追加の実施形態では、ジアミン置換分子は、ジカルボニル含有非天然アミノ酸の各カルボニル基に対して求核攻撃をすることにより、当該ジカルボニル含有非天然アミノ酸を部位特異的に誘導体化することができる。これにより、部位特異的な様式で、窒素ヘテロ環誘導体化型ポリペプチドなどのヘテロ環誘導体化型ポリペプチドが形成される。さらなる、または追加の実施形態では、ジアミン置換分子を調製する方法は、部位特異的に誘導体化された多種多様なポリペプチドを得る手段を提供する。さらなる、または追加の実施形態では、本発明の方法は、ジアミンで官能基化されたポリエチレングリコール(PEG)分子を合成する方法である。
別の態様では、本発明の方法は、ジアミン置換非天然アミノ酸ポリペプチドを誘導体化するためのジカルボニル置換分子を化学合成する方法である。一実施形態では、上記ジカルボニル置換分子は、ジケトン置換分子、ケトアルデヒド置換分子、ケト酸置換分子、ケトエステル置換分子、および/またはケトチオエステル置換分子である。別の実施形態では、上記ジカルボニル置換分子は、タンパク質、(分枝状および非分枝状の)ポリマー、および低分子を含んでいる。さらなる、または追加の実施形態では、上記方法は、タンパク質のインビボでの翻訳の間に、非天然アミノ酸を部位特異的に組み込むことを可能にする方法を補完するものである。さらなる、または追加の実施形態では、本発明の方法は、部位特異的に誘導体化された非天然アミノ酸ポリペプチドを提供するための、ジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドとの反応に適切なジカルボニル分子を調製する一般的な方法である。さらなる、または追加の実施形態では、本発明の方法は、ジカルボニル置換ポリエチレングリコール(PEG)分子を合成する方法である。
別の態様では、ジアミン含有2官能性リンカーを用いて、ジカルボニル置換非天然アミノ酸ポリペプチドを化学的に誘導体化する方法である。一実施形態では、窒素含有ヘテロ環連結などのヘテロ環連結を生成する縮合反応を介して、ジアミン置換リンカーを、ジカルボニル置換タンパク質に付着する方法である。さらなる、または追加の実施形態では、上記ジカルボニル置換非天然アミノ酸は、ジケトン置換非天然アミノ酸、ケトアルデヒド置換非天然アミノ酸、ケト酸置換非天然アミノ酸、ケトエステル置換非天然アミノ酸、および/またはケトチオエステル置換非天然アミノ酸である。さらなる、または追加の実施形態では、上記非天然アミノ酸ポリペプチドは、ジアミン含有2官能性リンカーを用いて、部位特異的に、および/または3次元構造を正確に制御することにより誘導体化される。一実施形態では、上記方法は、(1官能性、2官能性、および多官能性の)分子リンカーをジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドに付着するために用いられる。上記リンカーの末端の少なくとも1つは、ジアミン基を含んでおり、これによれば、当該分子リンカーを、窒素含有ヘテロ環連結などのヘテロ環連結を介して、ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドに連結することができる。なお、上記ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドとしては、例えば、ジケトン含有非天然アミノ酸ポリペプチド、ケトアルデヒド含有非天然アミノ酸ポリペプチド、ケト酸含有非天然アミノ酸ポリペプチド、ケトエステル含有非天然アミノ酸ポリペプチド、および/またはケトチオエステル含有非天然アミノ酸ポリペプチドが挙げられる。さらなる、または追加の実施形態では、上記リンカーは、ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドを他の分子(タンパク質、(分枝状および非分枝状の)ポリマーおよび低分子など)に連結するために用いられる。
いくつかの実施形態では、上記非天然アミノ酸ポリペプチドは、水溶性ポリマーに連結される。いくつかの実施形態では、上記水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール部分を含んでいる。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール分子は、2官能性ポリマーである。いくつかの実施形態では、上記2官能性ポリマーは、第2ポリペプチドに連結される。いくつかの実施形態では、上記第2ポリペプチドは、第1ポリペプチドと同一であり、別の実施形態では、上記第2ポリペプチドは、第1ポリペプチドと異なっている。いくつかの実施形態では、上記非天然アミノ酸ポリペプチドは、ポリ(エチレングリコール)部分を含んでいる水溶性ポリマーに連結している、アミノ酸を少なくとも2つ含んでいる。
いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、受容体に対する非天然アミノ酸ポリペプチドの親和性を増加させる、置換、付加または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、非天然アミノ酸ポリペプチドの安定性を増加させる、置換、付加、または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、非天然アミノ酸ポリペプチドの水溶性を増加させる、置換、付加、または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、宿主細胞において製造された非天然アミノ酸ポリペプチドの溶解度を増加させる、置換、付加、または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、置換、付加、または欠失が無いときのアミノ酸ポリペプチドと比べて、プロテアーゼ耐性、血中半減期、免疫原性、および/あるいは発現が調節されている、置換、付加、または欠失を含んでいる。
いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、部分アンタゴニスト、またはインバースアゴニストである。いくつかの実施形態では、アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、部分アンタゴニスト、またはインバースアゴニストは、水溶性ポリマーと連結している非天然アミノ酸を含んでいる。いくつかの実施形態では、水ポリマーは、ポリエチレングリコール部分を含んでいる。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーと連結している非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドは、例えば、対応する受容体の2量体化を阻害するものであり得る。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーと連結している非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドは、該ポリペプチドの結合パートナー、リガンド、または受容体に対する結合を調節する。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーと連結している非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドは、該ポリペプチドの1つ以上の性質または活性を調節する。
いくつかの実施形態では、セレクターコドンは、アンバーコドン、オーカーコドン、オパールコドン、ユニークコドン、レアコドン、非天然コドン、5塩基コドンおよび4塩基コドンから成る群から選択される。
また、本明細書には、水溶性ポリマーに連結した非天然アミノ酸ポリペプチドを作製する方法も記載されている。いくつかの実施形態では、上記方法は、非天然アミノ酸を含んでいる単離されたポリペプチドと、該非天然アミノ酸と反応する部分を含んでいる水溶性ポリマーとを接触させる工程を含んでいる。いくつかの実施形態では、組み込まれている非天然アミノ酸は、20の一般アミノ酸の何れかと非反応性である水溶性ポリマーと反応性である。いくつかの実施形態では、水ポリマーは、ポリエチレングリコール部分を含んでいる。ポリマーの分子量は、ポリマーの分子量は、広範囲であり得る(例としては、約100Daから約100,000Daまたはそれ以上の間が挙げられるが、これらに限定されない)。ポリマーの分子量は、約100Daから約100,000Daの間(約100,000Da,約95,000Da,約90,000Da,約85,000Da,約80,000Da,約75,000Da,約70,000Da,約65,000Da,約60,000Da,約55,000Da,約50,000Da,約45,000Da,約40,000Da,約35,000Da,約30,000Da,約25,000Da,約20,000Da,約15,000Da,約10,000Da,約9,000Da,約8,000Da,約7,000Da,約6,000Da,約5,000Da,約4,000Da,約3,000Da,約2,000Da,約1,000Da,約900Da,約800Da,約700Da,約600Da,約500Da,約400Da,約300Da,約200Da,および約100Daが含まれるが、これらに限定されない)であり得る。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約100Daから約500,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約100Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約2,000Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約10,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール分子は、分枝状ポリマーである。分枝鎖状PEGの分子量は、約1,000Daから約100,000Daの間(約100,000Da,約95,000Da,約90,000Da,約85,000Da,約80,000Da,約75,000Da,約70,000Da,約65,000Da,約60,000Da,約55,000Da,約50,000Da,約45,000Da,約40,000Da,約35,000Da,約30,000Da,約25,000Da,約20,000Da,約15,000Da,約10,000Da,約9,000Da,約8,000Da,約7,000Da,約6,000Da,約5,000Da,約4,000Da,約3,000Da,約2,000Da,および約1,000Daが含まれるが、これらに限定されない)であり得る。いくつかの実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は、約1,000Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は、約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は、約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は、約5,000Daから約20,000Daの間である。別の実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は、約2,000Daから約50,000Daの間である。
また、本明細書には、本明細書に記載の非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでいるポリペプチドと、薬学的に許容可能な担体とを含んでいる組成物も記載されている。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸は、水溶性ポリマーと連結している。また、本明細書には、薬学的に許容可能な担体と、アミノ酸の少なくとも1つが非天然アミノ酸で置換されたポリペプチドとを含んでいる薬学的組成物も記載されている。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸は、サッカライド部分を含んでいる。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、サッカライド部分を介して、ポリペプチドと連結している。また、本明細書には、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および/または修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドのプロドラッグが記載されている。また、本明細書には、上記プロドラッグ、および薬学的に許容可能な担体を含んでいる組成物が記載されている。また、本明細書には、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および/または修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドの代謝産物が記載されている。上記代謝産物は、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および/または修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドの活性を補充するか、または当該活性と協調的に働く、所望の活性を有していてもよい。また、本明細書には、所望の代謝産物を生物(当該代謝産物必要とする患者など)に提供するための、本明細書に記載の非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および/または修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドの使用が記載されている。
また、本明細書には、セレクターコドンを含んでいるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する細胞も記載されている。いくつかの実施形態では、上記細胞は、非天然アミノ酸をポリペプチドに置換するための、直交化RNAシンテターゼおよび/または直交化tRNAを含んでいる。いくつかの実施形態では、細胞は細胞培養物であり、別の実施形態では、両生類、爬虫類、鳥類および哺乳類などの多細胞生物の一部である。細胞の実施形態の何れかでは、さらなる実施形態は、非天然アミノ酸ポリペプチドを製造するための、ポリヌクレオチドの発現を含んでいる。他の実施形態では、生物は、非天然アミノ酸ポリペプチド(修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドなど)を製造すために、本明細書に記載の非天然アミノ酸を利用することができるものである。他の実施形態では、生物は、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および/または修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドを含んでいる生物である。上記生物は、単細胞生物、多細胞生物(両生類、爬虫類、鳥類、および哺乳類など)を含んでいる。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、インビトロにおいて製造される。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、細胞ライセートにおいて製造される。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、リボソームにおける翻訳によって製造される。
また、本明細書には、非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドを作製する方法が記載されている。いくつかの実施形態では、上記方法は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、直交化RNAシンテターゼ、および/または直交化tRNAを含んでいる細胞を、ポリペプチドが発現できる条件下において培養する工程と、上記細胞および/または培地から上記ポリヌクレオチドを精製する工程とを含んでいる。
また本明細書には、本明細書に記載の非天然アミノ酸のライブラリー、本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドのライブラリー、または、本明細書に記載の修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドのライブラリー、あるいは、それらを組み合わせたライブラリーが記載されている。また、本明細書には、少なくとも1つの非天然アミノ酸、少なくとも1つの非天然アミノ酸ポリペプチド、および/または、少なくとも1つの修飾型非天然アミノ酸を含んでいるアレイが記載されている。また、本明細書には、セレクターコドンを含んでおり、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを少なくとも1つ含んでいるアレイが記載されている。本明細書に記載のアレイは、生物における非天然アミノ酸ポリペプチドの製造をスクリーニングするために用いられ得る。このスクリーニングは、上記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの転写を検出するか、または該ポリペプチドの翻訳を検出することにより実施される。
または、本明細書には、本明細書に記載のライブラリーを、所望の活性についてスクリーニングする方法、あるいは、本明細書に記載のアレイを用いて、本明細書に記載のライブラリーをスクリーニングする方法、あるいは、化合物および/またはポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの他のライブラリーを、所望の活性についてスクリーニングする方法が記載されている。また、本明細書には、新規治療剤を開発および発見するためのライブラリーのスクリーニングから得られた上記活性のデータの使用、ならびに、上記治療剤自体が記載されている。
また、本明細書には、ポリペプチドの治療半減期、血中半減期、または循環時間を増加させる方法が記載されている。いくつかの実施形態では、上記方法は、天然に生じるポリペプチド中の1つ以上の任意のアミノ酸を少なくとも1つの非天然アミノ酸と置換する工程、および/または、該ポリペプチドに水溶性ポリマーを連結する工程を含んでいる。
また、本明細書には、有効量の薬学的組成物を用いて、治療を必要とする患者を治療する方法が記載されている。該薬学的組成物は、非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドと、薬学的に許容可能な担体とを含んでいる。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸は、水溶性ポリマーと連結している。
さらなる、または代わりの実施形態では、疾患、病気、または疾病を治療する方法は、治療的有効量の非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含み、上記非天然アミノ酸ポリペプチドは、ヘテロ環含有非天然アミノ酸、カルボニル含有非天然アミノ酸、ジカルボニル含有非天然アミノ酸、ジアミン含有非天然アミノ酸、ケトアルキン含有非天然アミノ酸、またはケトアミン含有非天然アミノ酸から成る群から選択される、非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでいる、方法である。他の実施形態では、上記非天然アミノ酸は、本明細書に記載されるようなポリペプチドに生合成によって組み込まれている。他の実施形態では、上記非天然アミノ酸は、本明細書に記載されるようなポリペプチドに合成によって組み込まれている。さらなる、または代わりの実施形態では、上記非天然アミノ酸ポリペプチドは、一般式I−一般式LXVIIのアミノ酸から選択される非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでいる。
さらなる、または代わりの実施形態では、疾患、病気、または疾病を治療する方法は、治療的有効量の非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、上記非天然アミノ酸ポリペプチドは、ヘテロ環含有非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでおり、生じるヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドの生物学的利用性が、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドの生物学的利用性よりも、増加している、方法である。
さらなる、または代わりの実施形態では、疾患、病気、または疾病を治療する方法は、治療的有効量の非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含み、上記非天然アミノ酸ポリペプチドは、ヘテロ環含有非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでおり、生じるヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドの安全性プロフィールが、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドの安全性プロフィールよりも、増加している、方法である。
さらなる、または代わりの実施形態では、疾患、病気、または疾病を治療する方法は、治療的有効量の非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含み、上記非天然アミノ酸ポリペプチドは、ヘテロ環含有非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでおり、生じるヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドの水溶性が、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドの水溶性よりも、増加している、方法である。
さらなる、または代わりの実施形態では、疾患、病気、または疾病を治療する方法は、治療的有効量の非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含み、上記非天然アミノ酸ポリペプチドは、ヘテロ環含有非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでおり、生じるヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドの治療半減期が、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドの治療半減期よりも、増加している、方法である。
さらなる、または代わりの実施形態では、疾患、病気、または疾病を治療する方法は、治療的有効量の非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含み、上記非天然アミノ酸ポリペプチドは、ヘテロ環含有非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでおり、生じるヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドの血中半減期が、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドの血中半減期よりも、増加している、方法である。
さらなる、または代わりの実施形態では、疾患、病気、または疾病を治療する方法は、治療的有効量の非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含み、上記非天然アミノ酸ポリペプチドは、ヘテロ環含有非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでおり、生じるヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドの循環時間が、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドの循環時間よりも、伸びている、方法である。
さらなる、または代わりの実施形態では、疾患、病気、または疾病を治療する方法は、治療的有効量の非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含み、上記非天然アミノ酸ポリペプチドは、ヘテロ環含有非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでおり、生じるヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドの生物活性が、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドの生物活性と比べて、調節されている、方法である。
さらなる、または代わりの実施形態では、疾患、病気、または疾病を治療する方法は、治療的有効量の非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含み、上記非天然アミノ酸ポリペプチドは、ヘテロ環含有非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでおり、生じるヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドの免疫原性が、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドの免疫原性と比べて、調節されている、方法である。
また、本明細書には、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法が記載されている。上記方法は、ポリペプチドおよび薬学的に許容可能な担体を投与する工程を含んでいる。
さらなる、または代わりの実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、ヘテロ環含有非天然アミノ酸、カルボニル含有非天然アミノ酸、ジカルボニル含有非天然アミノ酸、ジアミン含有 非天然アミノ酸、ケトアルキン含有非天然アミノ酸、またはケトアミン含有非天然アミノ酸から成る群から選択される非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでいるポリペプチドを投与する工程を含んでいる。他の実施形態では、上記非天然アミノ酸は、本明細書に記載されているようなポリペプチドに生合成によって組み込まれている。他の実施形態では、上記非天然アミノ酸は、本明細書に記載されるようなポリペプチドに合成によって組み込まれている。さらなる、または代わりの実施形態では、上記非天然アミノ酸ポリペプチドは、一般式(I)−一般式(LXVII)のアミノ酸から選択される非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでいる。
さらなる、または代わりの実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、ヘテロ環含有非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでいるポリペプチドを投与する工程を含んでおり、生じるヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドの生物学的利用性が、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドの生物学的利用性よりも、増加している、方法である。
さらなる、または代わりの実施形態では、 患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、ヘテロ環含有非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでいるポリペプチドを投与する工程を含んでおり、生じるヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドの安全性プロフィールが、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドの安全性プロフィールよりも、増加している、方法である。
さらなる、または代わりの実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、ヘテロ環含有非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでいるポリペプチドを投与する工程を含んでおり、生じるヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドの水溶性が、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドの水溶性よりも、増加している、方法である。
さらなる、または代わりの実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、ヘテロ環含有非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでいるポリペプチドを投与する工程を含んでおり、生じるヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドの治療半減期が、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドの治療半減期よりも、増加している、方法である。
さらなる、または代わりの実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、ヘテロ環含有非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでいるポリペプチドを投与する工程を含んでおり、生じるヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドの血中半減期が、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドの血中半減期よりも、増加している、方法である。
さらなる、または代わりの実施形態では、 患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、ヘテロ環含有非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでいるポリペプチドを投与する工程を含んでおり、生じるヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドの循環時間が、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドの循環時間よりも、伸びている、方法である。
さらなる、または代わりの実施形態では、 患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、ヘテロ環含有非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでいるポリペプチドを投与する工程を含んでおり、生じるヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドの生物活性が、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドの生物活性と比べて、調節されている、方法である。
さらなる、または代わりの実施形態では、 患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、ヘテロ環含有非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでいるポリペプチドを投与する工程を含んでおり、生じるヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドの免疫原性が、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドの免疫原性と比べて、調節されている、方法である。
本明細書に記載の方法および組成物は、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコール、細胞株、コンストラクト、および試薬に限定されるものではなく、変更され得ることを理解されたい。また、本明細書で用いられている専門用語は、特定の実施形態のみを記載するために用いられているのであって、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本明細書に記載の方法および組成物の範囲の限定を意図していないことを理解されたい。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる、「a」、「an」および「the」という単数形の形態は、内容から明らかに分かるものを除いて、複数形の形態も含んでいる。
特に定義されない限り、本明細書で用いられた全ての技術用語および科学用語は、本明細書に記載の本発明が属する技術における当業者の一人によって、一般的に理解される意味と同じ意味を有している。本明細書に記載の方法、装置、および材料と、同等または類似の任意のものを、本明細書に記載の発明の実施または試験に用いることができるが、好ましい方法、装置、および材料を記載する。
本明細書に述べられた全ての出版物および特許は、目下記載される発明に関連して用いられ得る、出版物に記載されたコンストラクトや方法論などを記載および開示することを目的として、それらの全体が参照のために本明細書に組み込まれる。本明細書において検討された出版物は、本出願の出願日よりも前の開示のみを提供するものである。本明細書では、先行発明の長所または他の如何なる理由によって、本発明らが、上記開示よりも先行している資格を与えられないことを、承認していると解釈されることはない。
用語「アルドールに基づく連結」または「混合アルドールに基づく連結」は、あるカルボニル化合物と、別のカルボニル化合物のエノラート/エノールとの酸触媒縮合または塩基触媒縮合から、生成されたβ−ヒドロキシカルボニル化合物(アルドール)に関する(上記カルボニル化合物は、同一であってもよいし、異なっていてもよい)。
本明細書で用いられるような用語「親和性標識」は、可逆的もしくは不可逆的に別の分子と結合して、これを修飾もしくは破壊するか、またはこれと一緒に化合物を形成する標識のことをいう。例えば、親和性標識には、酵素およびその基質、または抗体およびその抗原が含まれる。
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、および「アルキルチオ(あるいはチオアルコキシ)」は、従来の意味において用いられ、酸素原子、アミノ基、または硫黄原子のそれぞれを介して、分子に連結するアルキル基のことをいう。
用語「アルキル」は、それ自体または別の分子の一部として、特に断りの無い限り、炭素原子数が指定された(すなわち、C1−10は、1から10の炭素を意味する)、2価の遊離基および多価の遊離基を含んでいてもよいし、完全飽和、単不飽和、またはポリ不飽和であってもよい、直鎖状、分枝鎖状、または環状の炭化水素の遊離基(ラジカル)、あるいはそれらの組み合わせを意味する。飽和炭化水素の遊離基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、およびシクロプロピルメチル、ならびにn−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、およびn−オクチルなどの同族体と異性体とが挙げられる。不飽和アルキル基は、1つ以上の2重結合または3重結合を有しているものである。不飽和アルキル基としては、例えば、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタンジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニル、ならびに、高級同族体および異性体などが挙げられるが、これらに限定されない。また、用語「アルキル」は、特に断りの無い限り、下記においてより詳細に定義されるアルキルの誘導体(「ヘテロアルキル」、「ハロアルキル」および「ホモアルキル」など)を含むことを意味している。
用語「アルキレン」は、それ自体または別の分子の一部として、アルカンから誘導された2価の遊離基を意味し、典型的なものとしては、(−CH−)(nは、1から約24であり得る)が挙げられる。そのような基としては、例えば、10以下の炭素原子を有する基(−CHCH−および−CHCHCHCH−など)が挙げられる。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、一般的に、8以下の炭素原子を有する、鎖がより短いアルキル基またはアルキレン基のことである。また、用語「アルキレン」は、特に断りの無い限り、「ヘテロアルキレン」として以下に記載される基を含むことを意味している。
用語「アミノ酸」は、天然に生じるアミノ酸、および非天然アミノ酸、ならびに、天然に生じるアミノ酸と同じように機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模擬体のことをいう。天然にコードされたアミノ酸は、20の一般アミノ酸、ピロリジン、およびセレノシステインである。上記20の一般アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンである。アミノ酸類似体は、天然に生じるアミノ酸と基本的な化学構造(例えば、α炭素が、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合している構造)が同じである化合物のことをいう。上記類似体では、R基が修飾されていてもよいし(ノルロイシンなど)、またはペプチド骨格が修飾されていてもよいが、天然に生じるアミノ酸と同じ基本的な化学構造が保たれている。アミノ酸類似体の非限定的な例としては、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムなどが挙げられる。
アミノ酸が本明細書に示されるときは、IUPAC−IUB生物化学命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)から推薦されている公知の3文字表記、または1文字表記のどちらかが用いられ得る。同様に、ヌクレオチドは、共通に受け入れられている1文字コードにより示され得る。
「アミノ末端修飾基」は、末端アミン基に付着することができる任意の分子のことをいう。例えば、そのような末端アミン基は、高分子の末端に存在し得る。該高分子には、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、およびポリサッカライドが含まれるが、これらに限定されない。末端修飾基には、様々な水溶性ポリマー、ペプチド、またはタンパク質が含まれるが、これらに限定されない。例えば、末端修飾基には、ポリエチレングリコール、または血清アルブミンが含まれる。末端修飾基は、高分子の治療特性を修飾する(ペプチドの血中半減期を増加させるなど)ために使用され得る。
「抗体断片」は、全長の形態以外の任意の形態の抗体を意味する。本明細書における抗体断片には、全長の抗体内に存在するより小さい構成要素である抗体、および操作された抗体が含まれる。抗体断片には、Fv、Fc、Fab、および(Fab’)、一本鎖Fv(scFv)、2重特異性抗体、3重特異性抗体、4重特異性抗体、2官能性ハイブリッド抗体、CDRl、CDR2、CDR3、各CDRの組み合わせ、可変領域、フレームワーク領域、定常領域、重鎖、軽鎖、可変領域、ならびに、代替的な骨格を有する非抗体分子、2特異性抗体などが挙げられるが、これらに限定されない(「Maynard & Georgiou, 2000, Annu. Rev. Biomed. Eng. 2:339-76」; 「Hudson, 1998, Curr. Opin. Biotechnol. 9:395-402」)。別の機能的な構造体は、一本鎖Fv(scFv)である。一本鎖Fvは、ペプチドリンカーにより共有的に接続されている免疫グロブリンの重鎖と軽鎖とから構成されているものである(「S-z Huら, 1996, Cancer Research, 56, 3055-3061」)。これらの低分子(Mr25,000)タンパク質は、通常、1ポリペプチド内の抗原に対する特異性と親和性とを保持しており、より大きい抗原特異的分子を構成する有用な基礎的要素となり得る。特に断りの無い限り、用語「抗体」が用いられている記載および請求項は、明らかに「抗体断片」を含んでいる。
本明細書で用いられるような用語「芳香族」または「アリール」は、共役π電子系を有する環を少なくとも1つ有する閉環構造体のことをいい、炭素環式アリール基とヘテロシクロアリール基(あるいは「ヘテロアリール基」または「ヘテロシクロ芳香族基」)を含んでいる。炭素環式芳香族基またはヘテロシクロ芳香族基は、5から20の環原子を含んでいてもよい。上記用語には、共有結合により連結した単環基、または、融合した多環基(つまり、隣接する1組の炭素原子を共有する環)が含まれる。芳香族基は、置換されていても、あるいは置換されていなくてもよい。「芳香族基」または「アリール基」の非限定的な例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、アントラセニル、およびフェナントラセニルが挙げられる。上記各アリール環系およびヘテロアリール環系のための置換基は、以下に記載の許容可能な置換基の群から選択される。
要するに、他の用語と組み合わせて用いられるときの用語「芳香族」または「アリール」(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アラルキルが挙げられるが、これらに限定されない)には、上記で定義したようなアリール環およびヘテロアリール環が含まれる。したがって、用語「アラルキル」または「アルカリル」は、アリール基がアルキル基に付着している遊離基を含むことを意味し、例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。なお、上記アルキル基(メチレン基が含まれるが、これに限定されない)には、炭素原子がヘテロ原子(酸素原子など)で置換されたアルキル基が含まれる。上記アリール基としては、例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で用いられるような用語「アリーレン」は、2価のアリール遊離基のことをいう。「アリーレン」には、例えば、フェニレン、ピリジニレン、ピリミジニレン、およびチオフェニレンが含まれる。アリーレン基のための置換基は、本明細書に記載の許容可能な基から選択される。
「2官能性リンカー」とも称される「2官能性ポリマー」は、他の部分と特異的に反応して、共有連結または非共有連結を形成することができる2つの官能基を含んでいるポリマーのことをいう。上記部分には、天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸の側鎖の基、または該天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸を含んでいるペプチドの側鎖の基が含まれるが、これらに限定されない。例えば、2官能性リンカーでは、一方の官能基は第1ペプチド上の基と反応するものであり、もう一方の官能基は第2ペプチド上の基と反応するものであってもよい。これによれば、第1ペプチド、2官能性リンカーおよび第2ペプチドを含む接合体が形成される。様々な化合物をペプチドに付着させる多くの手法およびリンカー分子は、知られている。例えば、欧州特許出願第188,256号明細書、米国特許第4,671,958号明細書、米国特許第4,659,839号明細書、米国特許第4,414,148号明細書、米国特許第4,699,784号明細書、米国特許第4,680,338号明細書、および米国特許第4,569,789号明細書を参照のこと(これらは、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる)。また、「多官能性リンカー」とも称される「多官能性ポリマー」は、他の部分と反応することができる2つ以上の官能基を含んでいるポリマーのことをいう。上記部分には、共有連結あるいは非共有連結を形成するための、天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸の側鎖の基、または該天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸を含んでいるペプチドの側鎖の基(アミノ酸の側鎖の基など)が含まれてもよいが、これらに限定されない。2官能性ポリマーまたは多官能性ポリマーは、任意の所望の長さもしくは分子量を有していてもよいし、化合物に連結している1つ以上の分子と、該化合物もしくはそれが結合している分子との間に特定の所望の空間または立体構造を提供するように選択されてもよい。
本明細書で用いられるときの用語「生物学的利用性」は、基質またはその活性部分が、薬剤の投薬形態から送達され、作用部位または全身循環において利用可能になる割合および程度のことをいう。生物学的利用性の増加は、基質またはその活性部分が、薬剤の投薬形態から送達され、作用部位または全身循環において利用可能になる割合および程度が増加することをいう。例えば、血中の基質またはその活性部分の濃度が、他の基質または活性部分と比べて増加しているとき、生物学的利用性が増加しているといってもよい。生物学的利用性の増加を評価する方法の非限定的な例が、実施例21−25に記載されている。この方法は、任意のポリペプチドの生物学的利用性を評価するために用いられてもよい。
本明細書で用いられるときの用語「生物活性分子(生物学的に活性な分子)」、「生物活性部分」、または「生物活性剤(生物学的に活性な剤)」は、生物に関する生物学的な系、経路、分子、または相互作用における任意の物理性質もしくは生物化学性質に影響を与えることができる任意の物質を意味する。上記生物としては、例えば、ウイルス、細菌、バクテリオファージ、トランスポゾン、プリオン、昆虫、真菌、植物、動物、およびヒトが挙げられるが、これらに限定されない。特に、本明細書で用いられるような生物活性分子には、ヒトまたは他の動物における疾患の診断、回復、鎮静、治療、または予防を対象とした任意の物質、あるいは、ヒトまたは動物の身体的もしくは精神的な健康状態を増強するための任意の物質が含まれるが、これらに限定されない。生物活性分子としては、例えば、ペプチド、タンパク質、酵素、低分子薬物、ハードドラッグ、ソフトドラッグ、炭水化物、無機原子または分子、色素、脂質、ヌクレオシド、放射性核種、オリゴヌクレオチド、毒素、細胞、ウイルス、リポソーム、微粒子、およびミセルなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の方法および組成物と一緒に使用するのに適切な生物活性剤の種類としては、薬物、プロドラッグ、放射性核種、造影剤、ポリマー、抗生物質、殺菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、心・血管作動薬、抗不安剤、ホルモン、成長因子、ステロイド剤、および細菌由来の毒素などが挙げられるが、これらに限定されない。
「生物活性の調節」は、ポリペプチドの反応性の増加または減少、ポリペプチドの選択性の変更、ポリペプチドの基質選択性の増強または減少のことを意味する。修飾された生物活性の分析は、非天然ポリペプチドの生物活性と、天然ポリペプチドの活性とを比較することにより実施され得る。
本明細書で用いられるような用語「生体材料」は、生物に由来する材料のことをいい、例えば、バイオリアクターならびに/または組み換え方法および手法から得られた材料が挙げられるが、これに限定されない。
本明細書で用いられるような用語「生物物理学的プローブ」は、分子の構造変化を検出または監視することができるプローブのことをいう。上記分子には、タンパク質が含まれるが、これに限定されない。また、「生物物理学的プローブ」は、タンパク質と他の巨大分子との相互作用を検出もしくは監視するために用いられてもよい。生物物理学的プローブとしては、例えば、スピン標識、蛍光団、および光活性化可能な基が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で用いられるような用語「生合成」は、翻訳系(細胞翻訳系または無細胞翻訳系)を利用する任意の方法(例えば、以下の構成要素:ポリヌクレオチド、コドン、tRNA、およびリボソームの少なくとも1つの使用が挙げられる)のことをいう。例えば、非天然アミノ酸は、本明細書、「非天然アミノ酸含有ポリペプチドのインビボでの生成」、および非限定的な実施例20に記載の方法および技術を用いて、非天然アミノ酸ポリペプチドに「生合成によって組み込まれ得る」。さらに、非限定的な実施例20には、非天然アミノ酸ポリペプチドに「生合成によって組み込まれ得る」有用な非天然アミノ酸を選択する方法が記載されている。
本明細書で用いられるような「ビオチン模擬体」とも称される用語「ビオチン類似体」は、アビジンおよび/またはストレプトアビジンに高い親和性でもって結合する、ビオチン以外の任意の分子のことである。
本明細書で用いられるような用語「カルボニル」は、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)2−および−C(S)−から成る群から選択される部分を含んでいる基のことをいい、特に限定されないが、少なくとも1つのケトン基、および/または少なくとも1つのアルデヒド基、および/または少なくとも1つのエステル基、および/または少なくとも1つのカルボン酸基、および/または少なくとも1つのチオエステル基を含んでいる基を包含している。そのようなカルボニル基には、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、エステル、およびチオエステルが含まれる。また、それらの基は、直鎖状分子、分枝状分子、または環状分子の一部であってもよい。
用語「カルボキシ末端修飾基」は、末端カルボキシ基に付着することができる任意の分子のことをいう。例えば、そのような末端カルボキシ基は、高分子の末端に存在し得る。該高分子には、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、およびポリサッカライドが含まれるが、これらに限定されない。末端修飾基には、様々な水溶性ポリマー、ペプチド、またはタンパク質が含まれるが、これらに限定されない。例えば、末端修飾基には、ポリエチレングリコール、または血清アルブミンが含まれる。末端修飾基は、高分子の治療特性を修飾する(ペプチドの血中半減期を増加させるなど)ために使用され得る。
本明細書で用いられるような「化学的に不安定な基」としても称される用語「化学的に切断可能な基」は、酸、塩基、酸化剤、還元剤、化学的開始剤、またはラジカル開始剤に暴露されることにより、破壊または切断される基のことをいう。
本明細書で用いられるような用語「化学発光性の基」は、加熱を伴わない化学反応の結果、発光する基のことをいう。例えば、ルミノール(5−アミノ−2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン)を、過酸化水素(H)などの酸化剤と、塩基および金属触媒の存在下において反応させることにより、励起状態の産物(3−アミノフタラート(3−APA))が産出される。
本明細書で用いられるような用語「発色団」は、可視の波長、紫外の波長、赤外の波長の光を吸収する分子のことをいう。
本明細書で用いられるような用語「共同因子」は、大分子の作用に必須の原子または分子のことをいう。共同因子には、無機イオン、補酵素、タンパク質、または、酵素の活性に必要な他の因子が含まれるが、これらに限定されない。例えば、共同因子としては、ヘモグロビン中にあるヘム、クロロフィル中にあるマグネシウム、およびタンパク質にとっての金属イオンが挙げられる。
本明細書で用いられるような「共フォールディング」は、互いに相互作用する少なくとも2つの分子を用いて、折りたたまれていないか、不適切に折りたたまれた分子を、未変性の適切に折りたたまれた分子へ変形させる、リフォールディングの処理、反応または方法のことをいう。例えば、「共フォールディング」は、互いに相互作用する少なくとも2つのポリペプチドを用いて、折りたたまれていないか、不適切に折りたたまれたポリペプチドを、未変性の適切に折りたたまれたポリペプチドへ変形させる、リフォールディングの処理、反応または方法である。上記ポリペプチドは、天然アミノ酸および/または少なくとも1つの非天然アミノ酸を含んでいてもよい。
本明細書で用いられるような「比較ウィンドウ」は、2つの配列を最適に整列させた後に、配列を同数の連続的な位置の参照配列とを比較するために用いられる、連続的な位置のうちの何れか1つの区分(セグメント)に関する。そのような連続的な位置には、約20から約600の配列ユニット(約50から約200の配列ユニットおよび約100から約150の配列ユニットが含まれるが、これに限定されない)から成る群が含まれるが、これらに限定されない。例えば、そのような配列には、配列ユニット(天然アミノ酸および非天然アミノ酸が含まれるが、これに限定されない)を有する、非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチド、およびポリペプチドが含まれる。また、例えば、そのような配列には、対応する配列ユニットであるヌクレオチドを有するポリヌクレオチドが含まれる。比較のために配列を整列させる方法は、技術的に公知である。比較のための配列の最適な整列を、例えば、(i)「Smith and Waterman (1970) Adv. Appl. Math. 2:482c」の局所的相同性アルゴリズム(local homology algorithm)、(ii)「Needleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:443」の相同性整列アルゴリズム(homology alignment algorithm)、(iii)「Pearson and Lipman (1988) Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 85:2444」の類似性方法に関する検索、(iv)これらアルゴリズムのコンピューターによる実施(「Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI」におけるGAP,BESTFIT,FASTAおよびTFASTA)、あるいは(v)手動による整列と目視検査と(例えば、「Ausubelら, Current Protocols in Molecular Biology (1995 supplement)」を参照のこと)によって、実施することができる。
配列同一性および配列類似性の百分率を決定するために用いられるアルゴリズムとしては、例えば、BLASTおよびBLAST2.0のアルゴリズムが挙げられる。これらは、「Altschulら (1997) Nuc. Acids Res. 25:3389-3402」および「Altschulら (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410」にそれぞれ記載されている。BLAST解析を実行するためのソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センターを介して、公的に利用することができる。BLASTアルゴリズムのパラメーター、W、TおよびXにより、整列(アライメント)の感度と速度とが決定される。ヌクレオチド配列用のBLASTNプログラムは、初期値として、11のワード長(W)、期待値(E)または10、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較を使用する。アミノ酸配列用のBLASTPプログラムは、初期値として、3のワード長、10の期待値(E)、および50のBLOSUM62得点集団(「Henikoff & Henikoff (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915」を参照のこと)の整列(B)、10の期待値(E)、M=5、N=−4、ならびに両方の鎖の比較を使用する。BLASTアルゴリズムは、通常、「低い複雑性」のためのフィルタを使用することなく実施される。
また、BLASTアルゴリズムにより、2つの配列間における類似性を統計解析することができる(例えば、「Karlin and Altschul, (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5787」を参照のこと)。BLASTアルゴリズムから提供される類似性の尺度の1つは、最小総和確率(P(N))である。この最小総和確率は、2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の間における適合が偶然に生じる確率を示すものである。例えば、参照核酸に対する試験核酸の比較において最小総和確率が、約0.2未満、約0.01未満、または約0.001未満であるならば、核酸は、参照配列と類似していると考えられる。
用語「保存的に修飾されたバリアント」は、天然および非天然のアミノ酸と天然および非天然核酸配列、ならびにそれらの組み合わせに適用される。特定の核酸配列に関して、「保存的に修飾されたバリアント」は、同一または本質的に同一な天然および非天然のアミノ酸をコードする核酸配列のことか、または天然および非天然の核酸配列が、天然および非天然のアミノ酸配列をコードしない場合は、本質的に同一の配列のことをいう。例えば、遺伝コードの縮重により、多くの機能的に同一の核酸が、任意の所定のタンパク質をコードしている。例えば、GCA、GCC、GCGおよびGCUのコドンは、全てアラニンのアミノ酸をコードしている。したがって、コドンによりアラニンが特定される全ての位置では、コードされるポリペプチドを変化させることなく、記載された対応するコドンの何れかにコドンを変化させることができる。このような核酸の変種は「サイレント変種」であり、保存的に修飾された変種の1つである。よって、例えば、天然または非天然のポリペプチドをコードする、本明細書における全ての天然または非天然の核酸配列は、該天然または非天然の核酸のサイレント変種として可能性のある全てのものを表している。当業者の一人は、機能的に同一の分子が得られるように、天然または非天然の核酸における各コドンを修飾することができると認識している(なお、このときのコドンには、AUG(メチオニンに対する通常唯一のコドン)およびTGG(トリプトファンに対する通常唯一のコドン)は除かれる)。したがって、天然および非天然のポリペプチドをコードする天然および非天然の核酸の各サイレント変種は、記載された各配列に潜在的に含まれる。
アミノ酸配列に関して言えば、コードされた配列において1つの天然および非天然のアミノ酸、または数%の天然および非天然のアミノ酸を、変更、付加、または欠失する、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の配列に対する個々の置換、欠失、または付加は、上記変更が、化学的に類似のアミノ酸による天然および非天然アミノ酸の置換、アミノ酸の付加、またはアミノ酸の欠失になるとき、「保存的に修飾されたバリアント」である。機能的に類似の天然アミノ酸を示す保存的な置換の一覧は、技術的に公知である。そのような保存的に修飾されたバリアントは、本明細書に記載の方法および組成物における多形態バリアント、種間の同族体、および対立遺伝子に加えられるとともに、それらを排除するものではない。
機能的に類似のアミノ酸を示す保存的な置換の一覧は、当業者に公知である。以下の8群のそれぞれは、互いに保存的な置換となるアミノ酸を含んでいる(例えば、「Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties (W H Freeman & Co.; 2nd edition(December 1993))」を参照のこと):
(1)アラニン(A)およびグリシン(G);
(2)アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E);
(3)アスパラギン(N)およびグルタミン(Q);
(4)アルギニン(R)およびリジン(K);
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)およびバリン(V);
(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)およびトリプトファン(W);
(7)セリン(S)およびトレオニン(T);ならびに、
(8)システイン(C)およびメチオニン(M)。
用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、それら自体または他の用語との組み合わせにおいて、特に断らない限りは、それぞれ「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環化型を表す。したがって、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルには、飽和環連結、部分的不飽和環連結、および完全不飽和環連結が含まれる。さらに、ヘテロシクロアルキルでは、ヘテロ原子を、ヘテロ環が分子の残部に付着する位置に配置することができる。ヘテロ原子には、酸素、窒素、または硫黄が含まれてもよいが、これらに限定されない。シクロアルキルとしては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、およびシクロヘプチルなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキルとしては、例えば、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、および2−ピペラジニルなどが挙げられる。また、上記用語は、2環構造および3環構造などの多環構造を含んでいる。同様に、用語「ヘテロシクロアルキレン」は、それ自体または他の分子の一部として、ヘテロシクロアルキルに由来する2価の遊離基を意味し、用語「シクロアルキレン」は、それ自体または他の分子の一部として、シクロアルキルに由来する2価の遊離基を意味する。
本明細書で用いられるような用語「シクロデキストリン」は、少なくとも6つから8つのグルコース分子の環形態から成る環状の炭水化物のことをいう。環の外側の部分は、水溶性基を含んでおり、環の中心には、低分子を収容することができる比較的に非極性の空洞が形成されている。
本明細書で用いられるような用語「細胞毒性」は、細胞を害する化合物のことをいう。
本明細書で用いられるような「変性剤」は、ポリマーの可逆的なアンホールディングを引き起こす任意の化合物または材料のことをいう。例えば、「変性剤」は、タンパク質の可逆的なアンフォールディングを引き起こしてもよい。変性剤の強さは、特定の変性剤の性質と濃度との両方により決定される。変性剤としては、例えば、カオトロピック性物質、界面活性剤、有機溶媒、水混和性溶媒、リン脂質、またはそれらの組み合わせが挙げられる。適切なカオトロピック性物質としては、例えば、尿素、グアニジン、およびチオシアン酸ナトリウムが挙げられる。界面活性剤には、例えば、強界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンエステル(TweenまたはTritonといった界面活性剤など)、またはサルコシル(Sarkosyl)など)、非イオン性の弱い界面活性剤(ジギトニンなど)、陽イオン性の弱い界面活性剤(N−>2,3−(ジオレイオキシ)−プロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムなど)、イオン性の弱い界面活性剤(コール酸ナトリウム、またはデオキシコール酸ナトリウムなど)、あるいは、両性イオン性の界面活性剤(スルホベタイン(Zwittergent)、3−(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ−1−プロパンサルフェート(CHAPS)、および3−(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)など)が含まれてもよいが、これらに限定されない。有機溶媒および水混和性溶媒には、例えば、特に限定されないが、アセトニトリル、低級アルカノール(特にC−Cのアルカノール(エタノールまたはイソプロパノールなど))、または低級アルカンジオール(特に、C−Cのアルカンジオール(エチレングリコールなど)が含まれており、これらを、変性剤として用いてもよい。リン脂質としては、例えば、天然に生じるリン脂質(ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、およびホスファチジルイノシトールなど)、または合成リン脂質誘導体もしくはバリアント(ジヘキサノイルホスファチジルコリンまたはジヘプタノイルホスファチジルコリンなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で用いられるような用語「所望の機能性基」は、標識;色素、ポリマー;水溶性ポリマー;ポリエチレングリコールの誘導体;光架橋剤;細胞毒性化合物;薬物;親和性標識;光親和性標識;反応性化合物;樹脂;第2のタンパク質もしくはポリペプチドもしくはポリペプチド類似体;抗体もしくは抗体断片;金属キレート剤、共同因子、脂肪酸;炭水化物;ポリヌクレオチド、DNA;RNA;アンチセンスポリヌクレオチド;サッカライド、水溶性デンドリマー、シクロデキストリン、生体材料、ナノ粒子;スピン標識、蛍光団;金属含有部分;放射性部分、新規官能基;他の分子と共有結合的または非共有結合的に相互作用する基;光ケージド部分;化学線により励起可能な部分;リガンド;光異性化可能な部分;ビオチン;ビオチンの類似体;重原子を組み込んでいる部分;化学的に切断可能な基;光切断可能な基;伸長した側鎖;炭素連結した糖、酸化還元活性化剤、アミノチオ酸、毒性部分;同位体標識されている部分;生物物理学的プローブ、燐光性の基;化学発光性の基;電子密度の高い基、磁性基;挿入基、発色団;エネルギー伝達剤;生物活性剤(なお、当該生物活性剤は、治療活性を有する治療剤を含んでいてもよく、非天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾型非天然アミノ酸は、付着している上記治療剤と共治療剤(co-therapeutic agent)として働くか、または上記治療剤を生物内の所望の部位に送達する手段として働く);検出可能な標識;低分子、阻害性リボ核酸;放射性ヌクレオチド;中性子捕獲剤;ビオチンの誘導体;量子ドット;ナノ伝達物質;放射性伝達物質;抗体酵素、活性錯体活性化剤、ウイルス、アジュバント、アグリカン、アレルゲン、アンギオスタチン、抗ホルモン、酸化防止剤、アプタマー、ガイドRNA、サポニン、シャトルベクター、ミモトープ、巨大分子、受容体、逆ミセル、およびこれらのあらゆる組み合わせから選択される任意の基のことをいう。
本明細書で用いられるような用語「ジアミン」は、少なくとも2つのアミン官能基を含んでいる基/分子のことをいう。ジアミンとしては、特に限定されないが、ヒドラジン基、アミジン基、イミン基、1,1−ジアミン基、1,2−ジアミン基、1,3−ジアミン基、および1,4−ジアミン基が挙げられる。また、それらの基は、直鎖状分子、分枝状分子、または環状分子の一部であってもよい。
本明細書に用いられるような用語「検出可能な標識」は、分析技術を用いて、観察可能であってもよい標識のことをいう。なお、分析技術としては、例えば、蛍光、化学発光、電子スピン共鳴、紫外/可視吸収分光法、質量分析法、核磁気共鳴、磁気共鳴、および電気化学的方法が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に用いられるような用語「ジカルボニル」は、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)−、および−C(S)−から選択される少なくとも2つの部分を含んでいる基のことをいい、例えば、1,2−ジカルボニル基、1,3−ジカルボニル基、および1,4−ジカルボニル基、ならびに、少なくとも1つのケトン基、および/または少なくとも1つのアルデヒド基、および/または少なくとも1つのエステル基、および/または少なくとも1つのカルボン酸基、および/または少なくとも1つのチオエステル基を含んでいる基が挙げられるが、これらに限定されない。上記ジカルボニル基には、ジケトン、ケトアルデヒド、ケト酸、ケトエステル、およびケトチオエステルが含まれる。また、上記基は、直鎖状分子、分枝状分子、または環状分子の一部であってもよい。ジカルボニル基における2つの部分は、同一であってもよいし、異なっていてもよいし、また、2つの部分のどちらかに、エステル、ケトン、アルデヒド、チオエステル、またはアミドなどを生じる置換基を含んでいてもよい。
本明細書で用いられるような用語「薬物」は、疾病または病気の予防、診断、緩和、治療、または回復に用いられる任意の物質のことをいう。
本明細書で用いられるような用語「色素」は、発色団を含んでいる、可溶性で着色性の物質のことをいう。
本明細書で用いられるような用語「有効量」は、投与される化合物または薬剤の量であって、治療される疾病または病気の1つ以上の症状をある程度軽減するのに十分な量のことをいう。この結果、疾病の兆候、症状もしくは原因の減少および/または緩和、あるいは生物系における他の任意の所望の変化がもたらされる。投与される薬剤または化合物は、特に限定されないが、天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾型天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドを含んでいる。予防的処置、治療効果の増強、および/または治療的処置のために、上記天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾型天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドを含んでいる組成物を投与することができる。任意の個々の場合における適切な「有効」量を、用量増加試験などの技術を用いて、決定してもよい。
本明細書で用いられるような用語「電子密度の高い基」は、電子ビームが照射されたときに、電子を散乱する基のことをいう。そのような基には、モリブデン酸アンモニウム、次硝酸ビスマスヨウ化カドミウム、99%、カルボヒドラジド、塩化第2鉄6水和物、ヘキサメチレンテトラミン、98.5%、無水インジウム3塩化物、硝酸ランタン、酢酸鉛3水和物、クエン酸鉛3水和物、硝酸鉛、過ヨウ素酸、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化カリウム、ルテニウムレッド、硝酸銀、プロテイン銀ストロング(Ag含有量:8.0−8.5%)、シルバーテトラフェニルポリフィリン(S−TPPS)、塩化金酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、硝酸タリウム、チオセミカルバジド(TSC)、酢酸ウラニル、硝酸ウラニル、および硫酸バナジルが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で用いられるような「エネルギー伝達剤」は、別の分子からエネルギーを寄与または受容することができる分子のことをいう。例えば、蛍光共鳴エネルギー移転(FRET)は、蛍光ドナー分子の励起状態のエネルギーが、非励起状態のアクセプター分子に非照射的に移転された後、該アクセプター分子が、寄与されたエネルギーをより長波長の蛍光として放出するという、双極子間作用である。
「増強する」または「増強」は、所望の効果を効力または持続時間について、増加もしくは延長することを意味する。例えば、治療剤の効果の「増強」は、疾病、疾患または病気の治療の間に、治療剤の効果を効力または持続時間について、増加もしくは延長できることをいう。本明細書で用いられるような「増強有効量」は、疾病、疾患または病気の治療のときに、治療剤の効果を増強するのに十分な量のことをいう。患者に使用される場合、この使用に関する有効量は、疾病、疾患または病気の重症度および治療単位(course)、薬歴、患者の健康状態、および薬物への反応性、ならびに治療を担当する医師の判断に依存する。
本明細書で用いられるような用語「真核生物」は、系統発生領域(phylogenetic domain)の真核生物(Eucarya)に属する生物のことをいう。真核生物としては、例えば、動物(哺乳類、昆虫、爬虫類、鳥類など)、繊毛虫類、植物(単子葉植物、双子葉植物および藻類など)、真菌、酵母、鞭毛虫、微胞子虫目、および原生生物などが挙げられる。
本明細書で用いられるような用語「脂肪酸」は、約C6以上の長さの炭化水素の側鎖を有するカルボン酸のことをいう。
本明細書で用いられるような用語「蛍光団」は、励起によって光子を放出することにより、蛍光を放つ分子のことをいう。
本明細書で用いられるような用語「官能基」、「活性部分」、「活性化基」、「脱離基」、「反応部位」、「化学反応基」、および「化学反応部分」は、化学反応が起こる分子の一部またはユニットのことをいう。上記用語は、化学技術的にある程度同義であり、ある機能または活性を行使するとともに、他の分子と反応する分子の一部を示すために本明細書において用いられる。
用語「ハロゲン」には、フッ素、塩素、ヨウ素、および臭素が含まれる。
本明細書で用いられるような用語「ハロアシル」は、ハロゲン部分を含んでいるアシル基のことをいい、例えば、−C(O)CH,−C(O)CF,−C(O)CHOCHなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で用いられるような用語「ハロアルキル」は、ハロゲン部分を含んでいるアルキル基のことをいい、例えば、−CFおよび−CHCFなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で用いられるような用語「ヘテロアルキル」は、アルキル基および少なくとも1つのヘテロ原子から成る直鎖状、分枝状または環状の炭化水素遊離基、あるいはそれらの組み合わせのことをいう。上記ヘテロ原子は、O、N、SiおよびSから成る群から選択される原子である。なお、窒素原子および硫黄原子は、必要に応じて酸化されていてもよいし、ヘテロ原子である窒素原子は、必要に応じて4級化されていてもよい。ヘテロ原子であるO、N、SおよびSiは、ヘテロアルキル基の内部の任意の位置、または、アルキル基が分子の残部と付着する位置に配置されてもよい。例えば、−CH−CH−O−CH,−CH−CH−NH−CH,−CH−CH−N(CH)−CH,−CH−S−CH−CH,−CH−CH2,−S(O)−CH,−CH−CH−S(O)−CH,−CH=CH−O−CH,−Si(CH,−CH−CH=N−OCH,および−CH=CH−N(CH)−CHが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、2以下のヘテロ原子は、隣接していてもよく、例えば、−CH−NH−OCH、および−CH−O−Si(CHが挙げられる。
用語「ヘテロ環に基づく連結」、または「ヘテロ環連結」は、ジカルボニル基とジアミン基との反応から形成される部分のことをいう。生じた反応産物は、ヘテロアリール基、またはヘテロシクロアルキル基を含むヘテロ環である。生じたヘテロ環基は、非天然アミノ酸または非天然アミノ酸ポリペプチドと別の官能基との間の化学連結として機能する。一実施形態では、ヘテロ環連結には、窒素含有ヘテロ環連結が含まれる。当該窒素含有ヘテロ環連結としては、例えば、ピラゾール連結、ピロール連結、インドール連結、ベンゾジアゼピン連結、およびピラザロン(pyrazalone)連結が挙げられる。
同様に、用語「ヘテロアルキレン」は、ヘテロアルキルに由来する2価の遊離基のことをいい、例えば、−CH−CH−S−CH−CH−、および−CH−S−CH−CH−NH−CH−が挙げられる。ヘテロアルキレン基では、同一のまたは異なるヘテロ原子を、鎖の末端の一方または両方に配置することができる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ、およびアミノオキシアルキレンなどが挙げられる)。さらに、アルキレンおよびヘテロアルキレンの連結基では、連結基の配向性は、連結基の一般式が書かれた方向によって示されるわけではない。例えば、一般式−C(O)R’−は、−C(O)R’−および−R’C(O)−の両方を表す。
本明細書で用いられるような用語「ヘテロアリール」または「ヘテロシクロ芳香族」は、N、O、およびSから選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ含んでいるアリール基のことをいう。なお、窒素原子および硫黄原子は、必要に応じて酸化されていてもよいし、ヘテロ原子である窒素原子は、必要に応じて4級化されていてもよい。ヘテロアリール基は、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残部に付着していてもよい。ヘテロアリール基としては、例えば、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル(purinyl)、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリルが挙げられる。
本明細書で用いられるような用語「ホモアルキル」は、炭化水素基であるアルキル基のことをいう。
本明細書で用いられるような用語「同一」は、同じである2つ以上の配列またはサブ配列に関する。また、本明細書で用いられるような用語「実質的に同一」は、配列を、(i)比較ウィンドウに対して最も対応するように比較および整列させたとき、あるいは、(ii)(a)比較アルゴリズムを用いるか、もしくは(b)手動による整列と目視検査とによって、測定されるような指定領域について比較および整列させたとき、同じである配列ユニットについてある百分率を有する2つ以上の配列に関する。例えば、配列ユニットが、指定領域に渡って、約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一、または約95%同一であるならば、2つ以上の配列は「実質的に同一」であり得る。そのような百分率は、2つ以上の配列の「同一性の百分率」を記載するものである。配列の同一性は、長さが少なくとも約75−100の配列ユニットである領域に渡って、または長さが約50の配列ユニットである領域に渡って、あるいは、指定されない場合は、配列全体に渡って、存在し得る。また、この定義は、試験配列の相補体にも関する。例えば、2つ以上のポリペプチド配列は、アミノ酸残基が同じであるとき、同一であり、また、2つ以上のポリペプチド配列は、アミノ酸残基が、指定領域に渡って、約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一、または約95%同一であるならば、「実質的に同一」である。同一性は、長さが少なくとも約75−約100アミノ酸である領域に渡って、または長さが約50アミノ酸である領域に渡って、あるいは、指定されない場合は、ポリペプチド配列の配列全体に渡って、存在し得る。また、例えば、2つ以上のポリヌクレオチド配列は、核酸残基が同じであるとき同一であり、2つ以上のポリヌクレオチド配列は、核酸残基が、指定領域に渡って、約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一、または約95%同一であるならば、「実質的に同一」である。同一性は、長さが少なくとも約75−約100の核酸である領域に渡って、または長さが約50の核酸である領域に渡って、あるいは、指定されない場合は、ポリヌクレオチド配列の配列全体に渡って、存在し得る。
配列比較では、通常、1つの配列を、試験配列が比較される参照配列として採用する。配列比較アルゴリズムを用いるとき、試験配列と参照配列とを、コンピューターに入力し、必要であればサブ配列の座標を指定してから、配列アルゴリズムプログラムのパラメーターを指定する。プログラムの初期パラメーターを用いてもよいし、あるいは、代わりのパラメーターを設定してもよい。その後、配列比較アルゴリズムは、プログラムのパラメーターに基づいて、参照配列に対する試験配列の配列同一性の百分率を計算する。
本明細書で用いられるような用語「免疫原性」は、治療薬物の投与に反応する抗体のことをいう。治療用非天然アミノ酸ポリペプチドに対する免疫原性は、生体液における抗非天然アミノ酸ポリペプチド抗体を検出する定量的および定性的アッセイを用いて、得ることができる。上記アッセイには、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、発光免疫測定法(LIA)、および蛍光免疫測定法(FIA)が含まれるが、これらに限定されない。治療用非天然アミノ酸ポリペプチドに対する免疫原性の分析は、治療用非天然アミノ酸ポリペプチドの投与に対する抗体反応を、治療用天然アミノ酸ポリペプチドの投与に対する抗体反応と比較する工程を含んでいる。
本明細書で用いられるような「挿入基」とも称される用語「挿入剤」は、分子の分子内空間、または分子間の分子内空間に、挿入することができる化学物質のことをいう。例えば、挿入剤または挿入基は、DNAの2重螺旋の積層された塩基へと挿入する分子であってもよい。
本明細書で用いられるような用語「単離」は、興味のある構成要素の、興味の無い構成要素からの分離または除去をいう。単離された物質は、乾燥状態もしくは半乾燥状態のどちらか、または溶液(水溶液など)に対して溶解した状態であってもよい。単離された構成要素は、均質な状態であってもよいし、あるいは単離された構成要素は、薬理学的に許容可能な担体および/または賦形剤をさらに含んでいる薬学的組成物の一部であってもよい。純度と均質性とは化学的技術を用いて決定され得る。該化学的技術としては、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、または高速液体クロマトグラフィーなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、興味のある構成要素が単離され、調製物に優勢種として存在するとき、該構成要素は、実質的に精製されているとして本明細書に記載される。本明細書で用いられるような用語「精製」は、興味のある構成要素の純度が、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%またはそれ以上であることに関してもよい。例えば、核酸またはタンパク質が、天然の状態において結合している細胞の構成要素の少なくともいくつかから遊離しているとき、または、核酸もしくはタンパク質が、それらのインビボまたはインビトロの産物の濃度よりも高く縮合されているとき、該核酸またはタンパク質は単離されているといえる。また、例えば、遺伝子は、該遺伝子に隣接し、興味のある遺伝子以外のタンパク質をコードする翻訳領域から分離されているとき、単離されているといえる。
本明細書で用いられるような用語「標識」は、化合物の物理的分布を検出および/または監視することができるために、化合物に組み込まれ、容易に検出される物質のことをいう。
本明細書で用いられるような用語「連結」は、リンカーの官能基と別の分子との間の化学反応から形成された、結合もしくは化学部分のことをいう。上記結合には、共有連結および非共有結合が含まれてもよいが、これらに限定されない。また、上記化学部分には、エステル、カーボネート、イミン、リン酸エステル、ヒドラゾン、アセタール、オルソエステル、ペプチド連結、およびオリゴヌクレオチド連結が含まれてもよいが、これらに限定されない。加水分解に安定な連結は、連結が実質的に水中において安定であり、(例えば、生理的条件下において長期間、ことによると無期限に)有用なpH値において水と反応しないことを意味する。加水分解に不安定または分解性の連結は、連結が水中または水溶液中(例えば、血液)において分解可能であることを意味する。酵素に不安定または分解性の連結は、連結が1つ以上の酵素により分解され得ることを意味する。例えば、PEGおよびそれに関連するポリマーは、分解性の連結を、ポリマーの骨格、またはポリマーの骨格と該ポリマー分子の末端にある1つ以上の官能基との間のリンカー基に含んでいてもよい。そのような分解性の連結には、PEGカルボン酸または活性型PEGカルボン酸と生物活性剤のアルコール基との反応によって形成されるエステル連結が含まれるが、これに限定されない。上記エステル基は、一般的に、生理条件下において加水分解され、生物活性剤を放出するものである。他の加水分解可能な連結としては、例えば、カーボネート連結、アミンとアルデヒドとの反応から生じるイミン連結、アルコールとリン酸基との反応により形成されるリン酸エステル連結、ヒドラジドとアルデヒドとの反応生成物であるヒドラゾン連結、アルデヒドとアルコールとの反応生成物であるアセタール連結、ギ酸塩とアルコールとの反応生成物であるオルソエステル連結、(例えば、PEGなどのポリマーの末端における)アミン基とペプチドのカルボキシル基とにより形成されるペプチド連結、および(例えばポリマーの末端における)ホスホラミジーテ(phosphoramidite)基とオリゴヌクレオチドの5’ヒドロキシル基とにより形成されるオリゴヌクレオチド連結が挙げられる。
本明細書で用いられるような「培養基」は、細胞ならびに/あるいは該細胞から発現および/または分泌された産物の、成長や収集に用いられる任意の培地のことをいう。そのような「培養基」には、任意の宿主細胞を支持し得るまたは含み得る、溶液、固体、半固体、または剛性の支持体が含まれるが、これらに限定されない。また、上記宿主細胞には、例えば、細菌の宿主細胞、酵母の宿主細胞、昆虫の宿主細胞、植物の宿主細胞、真核生物の宿主細胞、哺乳類の宿主細胞、CHO細胞、原核生物の宿主細胞、E. coliまたはPseudomonasの宿主細胞、および細胞含有物が挙げられる。上記「培養基」は、特に限定されないが、宿主細胞が成長し、ポリペプチドが分泌された培養基を包含している。さらに、そのような培養基は、増幅工程の前もしくは後の培養基を含んでいる。また、上記「培養基」には、宿主細胞のライセートを含むバッファまたは試薬が包含される。例えば、細胞内に製造されたポリペプチドおよび宿主細胞は、該ポリペプチドが放出されるために、溶解または破壊される。
本明細書で用いられるような用語「代謝産物」は、化合物が代謝されたときに形成される当該化合物の誘導体のことをいう。例えば、代謝産物は、天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾型天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドが、代謝されたときに形成される、天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾型天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドの誘導体のことをいう。用語「薬学的に活性な代謝産物」または「活性代謝産物」は、化合物が代謝されたときに形成される当該化合物の生物学的に活性な誘導体のことをいう。例えば、「薬学的に活性な代謝産物」または「活性代謝産物」は、天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾型天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドが、代謝されたときに形成される、天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾型天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドの生物学的に活性な誘導体のことをいう。
本明細書で用いられるような用語「代謝」は、生物が特定の物質を変化させるための過程の総体に関する。そのような過程には、加水分解反応、および酵素により触媒される反応が含まれるが、これらに限定されない。代謝についてのさらなる情報は、「The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th Edition, McGraw-Hill (1996)」から入手され得る。例えば、(1)天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾型天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドを、宿主に投与して、該宿主からの組織試料を分析するか、あるいは、(2)天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾型天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドを、インビトロにおいて肝細胞と一緒にインキュベートして、生じた化合物を分析することによって、天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾型天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドの代謝産物を同定してもよい。
本明細書で用いられるような用語「金属キレート剤」は、金属と一緒に金属錯体を形成する分子のことをいう。例えば、そのような分子は、中心の金属イオンと2以上の配位結合を形成してもよいし、さらに環構造を形成してもよい。
本明細書で用いられるような用語「金属含有部分」は、金属イオン、金属原子または金属粒子を含む基のことをいう。そのような部分には、シスプラチン、キレートされた金属イオン(ニッケル、鉄およびプラチナなど)、および金属ナノ粒子(ニッケル、鉄、およびプラチナなど)が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で用いられるような用語「重原子を組み込んでいる部分」は、通常は、炭素よりも重い原子のイオンを組み込んでいる基のことをいう。そのようなイオンまたは原子には、シリコン、タングステン、金、鉛、およびウランが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で用いられるような用語「修飾された(または修飾型)」は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、天然アミノ酸ポリペプチド、または非天然アミノ酸ポリペプチドに変更が存在することをいう。天然アミノ酸、非天然アミノ酸、天然アミノ酸ポリペプチド、または非天然アミノ酸ポリペプチドを合成後に修飾することによって、あるいは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、天然アミノ酸ポリペプチド、または非天然アミノ酸ポリペプチドを翻訳と同時に、もしくは翻訳後修飾することによって、そのような変更または修飾を得てもよい。「修飾型もしくは非修飾型」の形態は、話題になっている天然アミノ酸、非天然アミノ酸、天然アミノ酸ポリペプチド、または非天然アミノ酸ポリペプチドが、必要に応じて修飾されていること、つまり、話題としている天然アミノ酸、非天然アミノ酸、天然アミノ酸ポリペプチド、または非天然アミノ酸ポリペプチドが、修飾されていてもよいし、もしくは修飾されていなくてもよいということを意味する。
本明細書で用いられるような用語「調節された血中半減期」は、未修飾の形態と比べたときの、修飾型生物活性分子の循環半減期における正の変化または負の変化のことをいう。例えば、修飾型生物活性分子としては、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、天然アミノ酸ポリペプチド、または非天然アミノ酸ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、血中半減期は、生物活性分子または修飾型生物活性分子を投与した後の様々な時点の血液試料を採取して、各試料における上記生物活性分子または修飾型生物活性分子の濃度を決定することにより測定される。血清中の濃度と時間との相互関係から、血中半減期を計算することができる。例えば、調節された血中半減期は、投与計画を改善すること、または毒性効果を避けることが可能になり得るように、血中半減期が増加されていてもよい。血清におけるそのような増加は、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍である。血中半減期の増加を評価する方法の非限定的な例が、実施例33に記載されている。この方法は、任意のポリペプチドの血中半減期を評価するために使用してもよい。
本明細書で用いられるような用語「調節された治療半減期」は、未修飾の形態と比べたときの、修飾型生物活性分子の治療的有効量の半減期の正の変化または負の変化のことをいう。例えば、修飾型生物活性分子としては、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、天然アミノ酸ポリペプチド、または非天然アミノ酸ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。治療半減期は、投与後の様々な時点における上記分子の薬物動態学的性質および/または薬力学的性質を測定することにより測定される。治療半減期が増加すると、特定の有利な投与計画もしくは特定の有利な総用量を利用することや、あるいは、望ましくない効果を避けることができる。例えば、治療半減期の増加は、効力の増加、標的に対する修飾された分子の結合の増加もしくは減少、未修飾の分子における作用の別のパラメーターまたは機構の増加もしくは減少、あるいは酵素(プロテアーゼなど)による分子の破壊の増加もしくは減少に起因する。治療半減期の増加を評価する方法の非限定的な例が、実施例33に記載されている。この方法は、任意のポリペプチドの治療半減期を評価するために使用してもよい。
本明細書で用いられるような用語「ナノ粒子」は、粒径が約500nmから約1nmである粒子のことをいう。
本明細書で用いられるような用語「ほぼ化学量論的」は、化学反応に参加している化合物のモル比が、約0.75から約1.5であることをいう。
本明細書で用いられるような用語「非真核生物」は、真核生物ではない生物のことをいう。例えば、非真核生物は、系統発生領域の真正細菌(Escherichia coli, Thermus thermophilus, Bacillus stearothermophilus, Pseudomonas fluorescens, Pseudomonas aeruginosa, またはPseudomonas putidaなどが挙げられるが、これらに限定されない)、または、系統発生領域の古細菌(例えば、Methanococcus jannaschii, Methanobacterium thermoautotrophicum, Archaeoglobus fulgidus, Pyrococcus furiosus, Pyrococcus horikoshii, Aeuropyrum pernix, またはHalobacterium(Haloferax volcaniiおよびHalobacterium種のNRC-1など)など)に属していてもよい。
「非天然アミノ酸」は、20の一般アミノ酸のうちの1つ、セレノシステイン、もしくはピロリジンではないアミノ酸のことをいう。用語「非天然アミノ酸」と同義的に用いてもよい他の用語は、「非天然にコードされたアミノ酸」、「天然ではないアミノ酸」、「非天然に生じたアミノ酸」、およびそれらの様々にハイフンで繋げられたもの、およびハイフンで繋げられていないものである。用語「非天然アミノ酸」には、天然にコードされたアミノ酸(20の一般アミノ酸、またはピロリジンおよびセレノシステインなどが含まれるが、これらに限定されない)の修飾(例えば翻訳後修飾)によって天然に生じるが、それ自体は翻訳複合体により成長中のポリペプチド鎖に天然に組み込まれないアミノ酸が含まれるが、これに限定されない。天然にコードされていない天然に生じるアミノ酸としては、N−アセチルグルコサミニル−L−セリン、N−アセチルグルコサミニル−L−トレオニン、およびO−ホスホチロシンなどが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、用語「非天然アミノ酸」には、天然に生じないが、合成によって入手され得るか、もしくは非天然アミノ酸の修飾によって入手され得るアミノ酸が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で用いられる用語「核酸」は、デオキシリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、またはリボヌクレオチド、およびそれらの一本鎖または2本鎖の形態のポリマーのことをいう。例えば、上記核酸および核酸のポリマーには、(i)参照核酸と同様の結合性質を有し、かつ天然に生じるヌクレオチドと同様の方法で代謝される、天然ヌクレオチドの類似体、(ii)、オリゴヌクレオチドの類似体(PNA;ペプチド核酸(peptidonucleic acid))、アンチセンス技術に用いられるDNAの類似体(ホスホチオエート、およびホスホロアミデートなど)(iii)それらの保存的に修飾されたバリアント(縮重コドンの置換体など)、相補的配列、および明確に示された配列、が含まれるが、これらに限定されない。例えば、1つ以上の選択された(または全ての)コドンの3番目の位置を、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作製することにより、縮重コドンの置換体を得ることができる(「Batzerら Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991)」、「Ohtsukaら J. Biol. Chem. 260:2605- 2608 (1985)」および、「Rossoliniら, Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994)」)。
本明細書で用いられるような用語「酸化剤」は、酸化される化合物から電子を除去することができる、化合物または材料のことをいう。例えば、酸化剤には、酸化型グルタチオン、システイン、シスタミン、酸化型ジチオスレイトール、酸化型エリスリトール(oxidized erythreitol)、および酸素が含まれるが、これらに限定されない。多種多様な酸化剤は、本命最初に記載の方法および組成物における使用に適切である。
本明細書で用いられるような用語「薬学的に許容可能」は、化合物の生物活性または性質を妨げることがなく、比較的無毒な物質に関する。つまり、上記物質は、望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、または当該物質が含まれている組成物の構成要素の何れかと有害な相互作用をすることなく、各個に投与され得る。なお、上記物質には、塩、担体または希釈剤が含まれるがこれらに限定されない。
本明細書で用いられるような用語「光親和性標識」は、露光されることにより、標識が親和性の対象とする分子と連結を形成する基を有する標識のことをいう。例えば、上記連結は、共有連結であってもよいし、非共有連結であってもよい。
本明細書で用いられるような用語「光ケージド部分」は、ある波長光が照射されることにより、他のイオンまたは分子と共有結合または非共有結合する基のことをいう。
本明細書で用いられるような用語「光切断可能な基」は、露光されることにより、破壊される基のことをいう。
本明細書で用いられるような用語「光架橋剤」は、露光されることにより、2つ以上の単量体分子または多量体分子と反応して共有連結または非共有連結を形成する、2つ以上の官能基を含んでいる化合物のことをいう。
本明細書で用いられるような用語「光異性体化可能な部分」は、光の照射により、ある異性体から別の異性体へ変化する基のことをいう。
本明細書で用いられるような用語「ポリアルキレングリコール」は、直鎖状または分枝状のポリエーテルポリオール重合体(polymeric polyether polyol)のことをいう。そのようなポリアルキレングリコールには、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、およびそれらの誘導体が含まれるが、これらに限定されない。他の典型的な実施形態は、例えば、商業的な供給業者のカタログ(Shearwater Corporationのカタログ「“Polyethylene Glycol and Derivatives for Biomedical Applications”(2001)」など)に記載されている。例えば、上記ポリエーテルポリオール重合体の平均分子量は、約0.1kDaから約100kDaの間である。例えば、上記ポリエーテルポリオール重合体には、特に限定されないが、約100Daから約100,000Daの間が含まれる。上記ポリマーの分子量は、約100Daから約100,000Daの間(約100,000Da,約95,000Da,約90,000Da,約85,000Da,約80,000Da,約75,000Da,約70,000Da,約65,000Da,約60,000Da,約55,000Da,約50,000Da,約45,000Da,約40,000Da,約35,000Da,約30,000Da,約25,000Da,約20,000Da,約15,000Da,約10,000Da,約9,000Da,約8,000Da,約7,000Da,約6,000Da,約5,000Da,約4,000Da,約3,000Da,約2,000Da,約1,000Da,約900Da,約800Da,約700Da,約600Da,約500Da,約400Da,約300Da,約200Da,および約100Daが含まれるが、これらに限定されない)であり得る。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は、約100Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は、約100Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は、約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は、約2,000Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は、約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は、約10,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は、分枝状ポリマーである。分枝鎖状PEGの分子量は、約1,000Daから約100,000Daの間(約100,000Da,約95,000Da,約90,000Da,約85,000Da,約80,000Da,約75,000Da,約70,000Da,約65,000Da,約60,000Da,約55,000Da,約50,000Da,約45,000Da,約40,000Da,約35,000Da,約30,000Da,約25,000Da,約20,000Da,約15,000Da,約10,000Da,約9,000Da,約8,000Da,約7,000Da,約6,000Da,約5,000Da,約4,000Da,約3,000Da,約2,000Daおよび約1,000Daが含まれるが、これらに限定されない)であり得る。いくつかの実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は、約1,000Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は、約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は、約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は、約5,000Daから約20,000Daの間である。いくつかの実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は、約2,000Daから約50,000Daの間である。
本明細書で用いられるような用語「ポリマー」は、繰り返されているサブユニットから構成される分子のことをいう。そのような分子には、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ポリサッカライド、またはポリアルキレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーのことをいい、これら用語は本明細書では同義で用いられる。つまり、ポリペプチドに対する記述は、ペプチドの記載およびタンパク質の記載に等しく適用され、また、その逆の場合もあり得る。上記用語は、天然に生じるアミノ酸ポリマーだけでなく、1つ以上のアミノ酸残基が非天然アミノ酸であるアミノ酸ポリマーに適用される。また、上記「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」には、アミノ酸残基がペプチド結合により連結されている、アミノ酸鎖の長さが任意のもの(例えば全長のタンパク質)が含まれる。
用語「翻訳後修飾」は、天然または非天然アミノ酸が翻訳によりペプチド鎖に組み込まれた後に生じる、天然または非天然アミノ酸の任意の修飾のことをいう。そのような修飾には、インビボの共翻訳修飾、インビトロの共翻訳修飾(無細胞翻訳系など)、インビボの翻訳後修飾、およびインビトロの翻訳後修飾が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で用いられるような用語「プロドラッグ」または「薬学的に許容可能なプロドラッグ」は、薬物の生物活性または性質を妨げることがなく、比較的無毒であり、インビボまたはインビトロにおいて親薬物へと変換される薬剤のことをいう(つまり、上記物質は、望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、または当該物質が含まれている組成物の構成要素の何れかと有害な相互作用をすることなく、各個に投与され得る。)。プロドラッグは、一般的には、薬物の前躯体である。当該前躯体は、被検体に投与されて吸収された後に、代謝経路による変換などのいくつかの過程を経て活性なもしくはより活性な種に変換されるものである。上記プロドラッグには、当該プロドラッグの活性を抑える、および/または、当該プロドラッグに溶解性もしくは他のいくつかの性質をもたらす化学基が存在する。上記化学基が上記プロドラッグから切断および/または修飾されると、活性な薬物が生じる。プロドラッグは、体内において酵素反応または非酵素反応を経て活性な薬物に変換される。プロドラッグでは、生理化学的性質が改善されていてもよい(プロドラッグの溶解度の向上、送達特性の増強(特定の細胞、組織、臓器、またはリガンドを特異的に標的にすることなど)、および上記薬物の治療価値の改善など)。上記プロドラッグの利点としては、(i)親薬物と比べて投与が容易であること、(ii)プロドラッグは、経口投与されることによって、生物的に利用できることがあるが、親薬物はそうではないこと、ならびに(iii)プロドラッグの薬学的組成物における溶解度が、親薬物と比べて、改善され得ることなどが挙げられるが、これらに限定されない。プロドラッグには、活性型薬物の薬理学的に不活性な誘導体、または活性型薬物の活性が減少している誘導体が含まれる。生理化学的性質、生物薬剤学的性質、薬物動態学的性質などの薬物の性質を操作することによって、所望の作用部位に到達する薬物または生物活性分子の量が調節されるように、生物活性プロドラッグを設計してもよい。プロドラッグの非限定的な例は、エステル体(「プロドラッグ」)として投与される非天然アミノ酸ポリペプチドである。上記エステル体は、水溶性が移動性に不利に働く細胞膜を容易に通過し、水溶性が有利に働く細胞内において、代謝によって活性体であるカルボン酸に加水分解される。部位特異的な組織への薬物移送を増強する調製剤として使用するために、プロドラッグを可逆的な薬物誘導体として設計してもよい。
本明細書で用いられるような用語「予防的有効量」は、治療される疾病、病気または疾患の症状の1つ以上をある程度、軽減し得る、少なくとも1つの非天然アミノ酸ポリペプチド、または少なくとも1つの修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドを含んでいる組成物の患者に適用される量のことをいう。そのような予防的適用では、そのような量は、患者の健康状態および体重などに依存し得る。当業者は、上記予防的有効量を、定石の実験(用量増加臨床試験など)により決定すると考えられる。
本明細書で用いられるような用語「保護」は、「保護基」、すなわち、ある反応条件下において化学的に反応性の官能基(化学反応官能基)の反応を阻止する部分が存在することをいう。保護される化学反応基の種類に依存して、保護基は変更され得る。例えば、(i)化学反応基がアミンまたはヒドラジドである場合、保護基は、tert−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)および9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)から成る群から選択されてもよいし、(ii)化学反応基がチオールである場合、保護基は、オルソピリジルジスルフィドであってもよいし、(iii)化学反応基がカルボン酸(ブタン酸またはプロピオン酸など)またはヒドロキシル基である場合、保護基は、ベンジル基またはアルキル基(メチル、エチル、またはtert−ブチル)であってもよい。
例えば、封鎖基/保護基は、以下の化合物から選択されてもよい。
Figure 2009522275
また、保護基には、感光性基(NvocおよびMeNvocなど)、および技術的に公知の他の保護基が含まれるが、これらに限定されない。他の保護基は、「Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999」に記載されている。なおこの文献の全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
本明細書で用いられるような用語「放射性部分」は、自発的に放射線を放つ核を有する基のことをいう。上記放射線は、ヘリウムの核であるアルファ粒子、電子であるベータ粒子、または高エネルギー光子であるガンマ粒子などである。
本明細書で用いられるような用語「反応性化合物」は、適切な条件下において、別の原子、分子または化合物と反応性である化合物のことをいう。
「宿主細胞」とも称される用語「組み換え宿主細胞」は、外因性のポリヌクレオチドを含む細胞のことをいう。外因性のポリヌクレオチドを細胞に挿入するために用いられる方法としては、特に限定されないが、直接取り込み、形質導入、f−交配、または組み換え宿主細胞を作成する技術的に公知の他の方法などが挙げられる。例えば、そのような外因性のポリヌクレオチドは、非統合型のベクター(プラスミドなど)であってもよいし、あるいは、宿主のゲノムに統合されるものであってもよい。
本明細書で用いられるような「酸化還元活性化剤」は、別の分子を酸化または還元する分子のことをいう。なお、別の分子の酸化または還元により、酸化還元活性化剤は、還元または酸化される。例えば、酸化還元活性化剤は、フェロセン、キノン、Ru2+/3+錯体、Co2+/3+錯体、およびOs2+/3+錯体が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で用いられるような用語「還元剤」は、還元される化合物に電子を追加することができる化合物もしくは材料のことをいう。還元剤としては、例えば、ジチオスレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール、ジチオエリスリトール、システイン、システアミン(2−アミノエタンチオール)、および還元型グルタチオンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、スルヒドリル基を還元状態に維持し、分子内または分子間のジスルフィド結合を減少させるために、上記還元剤を用いてもよい。
本明細書で用いられるような「リフォールディング」は、不適切に折りたたまれた状態、あるいは折りたたまれていない状態から、未変性の立体構造もしくは適切に折りたたまれた立体構造に変形させる任意の処理、反応または方法のことを記述するものである。例えば、リフォールディングによって、ジスルフィド結合含有ポリペプチドは、ジスルフィド結合に関して、不適切に折りたたまれた状態、あるいは折りたたまれていない状態から、未変性の立体構造もしくは適切に折りたたまれた立体構造に変形させられる。上記ジスルフィド結合含有ポリペプチドは、天然アミノ酸ポリペプチドであってもよいし、非天然アミノ酸ポリペプチドであってもよい。
本明細書で用いられるような用語「樹脂」は、高分子量で不溶性のポリマービーズのことをいう。例えば、そのようなビーズを、固相ペプチド合成の支持体として、あるいは精製前に分子が付着する部位として用いてもよい。
本明細書で用いられるような用語「サッカライド」は、一連の炭水化物のことをいい、例えば、糖、モノサッカライド、オリゴサッカライド、およびポリサッカライドが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で用いられるような用語「安全性」または「安全性プロフィール」は、薬物が投与された回数に対する、薬物投与に関係し得る副作用のことをいう。例えば、何度も投与されたときに、ごく僅かな副作用が生じるか、副作用が生じない薬物は、優れた安全性プロフィールを有するといえる。安全性プロフィールを評価する方法の非限定的な例は、実施例26に記載されている。この方法を、任意のポリペプチドの安全性プロフィールを評価するために使用してもよい。
本明細書で用いられるような語句「〜に対する選択的なハイブリダイズ」または「〜に対する特異的なハイブリダイズ」は、特定のヌクレオチド配列が複合混合物(全細胞、DNAライブラリー、またはRNAライブラリーなど)に存在するときに、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件下において、特定のヌクレオチド配列にのみ、分子が結合すること、2本鎖を形成すること、またはハイブリダイズすることをいう。
本明細書で用いられる用語「スピン標識」は、電子スピン共鳴分光法により検出することができ、別の分子に付着することができる、不対の電子スピンを示す原子または原子の基(すなわち安定な常磁性の基)を含んでいる分子のことをいう。そのようなスピン標識分子には、ニトリル遊離基、または窒素酸化物が含まれるが、これらに限定されない。また、上記スピン標識は、シングルスピン標識であってもよいし、ダブルスピン標識であってもよい。
本明細書で用いられるような用語「化学量論的」は、化学反応に参加している化合物のモル比が、約0.9から約1.1であることをいう。
本明細書で用いられるような用語「化学量論様」は、反応条件または添加物の存在の変化により、化学量論的またはほぼ化学量論的になる化学反応のことに関する。上記反応条件の変化には、温度の上昇、またはpHの変化が含まれるが、これらに限定されない。上記添加剤には、促進剤が含まれるが、これに限定されない。
語句「ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件」は、低イオン強度および高温度の条件下における、DNA、RNA、PNA、または他の核酸模擬体、あるいはそれらの組み合わせの配列のハイブリダイゼーションのことをいう。例えは、ストリンジェントな条件下では、プローブは、核酸の複合混合物(全細胞、DNAライブラリー、またはRNAライブラリーなど)中のプローブが標的とするサブ配列とハイブリダイズし得るが、該複合混合物中の他の配列とはハイブリダイズしない。ストリンジェントな条件は、配列に依存する。また、環境が異なれば、ストリンジェントな条件も異なる。例えば、配列が長くなるほど、特異的にハイブリダイズするための温度は高くなる。ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件には、(i)既定のイオン強度とpHとにおいて、特異的な配列の熱融解温度(T)よりも約5−10℃低いこと、(ii)pHが約7.0から約8.3であるときに、塩濃度が約0.01Mから約1.0Mであり、温度が、短いプローブ(例えば約10から約50ヌクレオチドのプローブ)については少なくとも約30℃であり、長いプローブ(例えば50ヌクレオチドよりも長いプローブ)については少なくとも約60℃であること、(iii)ホルムアミドなどの不安定化剤の添加、(iv)50%ホルムアミド、5×SSC、および1%SDSにおいて、42℃でインキュベーションするか、または5×SSC、約1%SDSにおいて65℃でインキュベーションし、0.2×SSCおよび約0.1%SDS中において、65℃で、約5分から約120分の間洗浄することが含まれるが、これらに限定されない。例えば、バックグラウンドに対して陽性シグナルが少なくとも約2倍であるとき、選択的もしくは特異的なハイブリダイゼーションが検出できたといえるが、これに限定されない。核酸のハイブリダイゼーションの豊富な指針は、「Tijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology- Hybridization with Nucleic Probes, ‘Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays’ (1993)」に見られる。
本明細書で用いられるような用語「被検体」は、治療、観察もしくは実験の対象である動物のことをいう。例えば、被検体は、ヒトなどを含む哺乳類であってもよいが、これに限定されない。
本明細書で用いられるような用語「実質的な精製」は、普通は精製前の興味のある構成要素と付いているか、または相互作用している他の構成要素から、興味のある構成要素が実質的もしくは本質的に遊離していてもよいことをいう。例えば、興味のある構成要素の調製物が、(乾燥重量で)約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満の不純な構成要素を含んでいるとき、興味のある構成要素は「実質的に精製されている」といってもよい。したがって、「実質的に精製されている」興味のある構成要素は、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%またはそれ以上の純度を有していてもよい。例えば、組み換え技術により製造される天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然アミノ酸ポリペプチドの場合、天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然アミノ酸ポリペプチドは、自然の細胞または宿主細胞から精製されてもよい。例えば、天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然アミノ酸ポリペプチドは、それらの調製物が(乾燥重量で)約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満の不純物を含んでいるとき、「実質的に精製された」といってもよい。例えば、天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然アミノ酸ポリペプチドは、宿主細胞によって組み換え製造されるとき、天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然アミノ酸ポリペプチドは、細胞の乾燥重量の約30%、約25%、約20%、約15%、約10%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%またはそれ以下で存在していてもよい。例えば、天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然アミノ酸ポリペプチドは、宿主細胞によって組み換え製造されるとき、天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然アミノ酸ポリペプチドは、培地に、細胞の乾燥重量の約5g/L、約4g/L、約3g/L、約2g/L、約1g/L、約750mg/L、約500mg/L、約250mg/L、約100mg/L、約50mg/L、約l0mg/L、約1mg/Lまたはそれ以下で存在していてもよい。例えば、「実質的に精製されている」天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然アミノ酸ポリペプチドは、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、またはそれ以上の純度を有していてもよい。上記純度は、特に限定されないが、SDS/PAGE分析、RP−HPLC、SEC、およびキャピラリー電気泳動などの適切な方法によって、決定される。
「不干渉性置換基」とも称される用語「置換基」は、分子上の別の基を置き換えるために用いられ得る。そのような基には、ハロ、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C10アルコキシ、C−C12アラルキル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、フェニル、置換フェニル、トルオイル、キシレニル、ビフェニル、C−C12アルコキシアルキル、C−C12アルコキシアリール、C−C12アリールオキシアルキル、C−C12オキシアリール、C−Cアルキルスルフィニル、C−C10アルキルスルフォニル、−(CH−O−(C−C10アルキル)(mは1から8である)、アリール、置換アリール、置換アルコキシ、フルオロアルキル、ヘテロ環遊離基、置換ヘテロ環遊離基、ニトロアルキル、−NO、−CN、−NRC(O)−(C−C10アルキル)、−C(O)−(C−C10アルキル)、C−C10アルキルチオアルキル、−C(O)O−(C−C10アルキル)、−OH、−SO、=S、−COOH、−NR、カルボニル、−C(O)−(C−C10アルキル)−CF、C(O)−CF、−C(O)NR、−(C−C10アリール)−S−(C−C10アリール)、−C(O)−(C−C10アリール)、−(CH−O−(CH−O−(C−C10アルキル)(各mは1から8である)、−C(O)NR、−C(S)NR、−SONR、−NRC(O)NR、−NRC(S)NR、およびそれらの塩などが挙げられる。上記の各R基には、H、アルキルまたは置換アルキル、アリールまたは置換アリール、あるいはアルカリルが含まれるが、これらに限定されない。置換基が、左から右に書くという従来の化学式により記載されている場合、該置換基は、右から左に書かれた構造に由来する化学的に同一の置換基を同じく含んでいる。例えば、−CHO−は−OCH−と同じである。
例えば、アルキルおよびヘテロアルキル遊離基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルとして称される基など)のための置換基には、−OR、=O、=NR、=N−OR、−NR、−SR、−ハロゲン、−SiR、−OC(O)R、−C(O)R、−COR、−CONR、−OC(O)NR、−NRC(O)R、−NR−C(O)NR、−NR(O)R、−NR−C(NR)=NR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)NR、−NRSOR、−CN、および−NOが含まれるが、これらに限定されない。上記の各R基には、水素、置換または非置換のヘテロアルキル基、置換または非置換のアリール基(1−3のハロゲンで置換されたアリール基など)、置換あるいは非置換のアルキル基、アルコキシ基もしくはチオアルコキシ基またはアラルキル基が含まれるが、これらに限定されない。2つのR基が同じ窒素原子に付着しているとき、それらは窒素原子と結合して、5員環、6員環、または7員環を形成することができる。例えば、−NRは、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルなどを包含することを意味する。
例えば、アリール基およびヘテロアリール基のための置換基には、特に限定されないが、−OR、=O、=NR、=N−OR、−NR、−SR、−ハロゲン、−SiR、−OC(O)R、−C(O)R、−COR、−CONR、−OC(O)NR、−NRC(O)R、−NR−C(O)NR、−NR(O)R、−NR−C(NR)=NR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)NR、−NRSOR、−CN、−NO、−R、−N、−CH(Ph)、フルオロ(C−C)アルコキシ、およびフルオロ(C−C)アルキルが含まれ、上記置換基の数は、0から芳香環系の開放原子価の総数の範囲である。上記の各R基には、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールおよびヘテロアリールが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で用いられるような用語「治療的有効量」は、疾病、病気もしくは疾患をすでに患っている患者に投与される、少なくとも1つの非天然アミノ酸ポリペプチド、および/または少なくとも1つの修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドを含んでいる組成物の量であって、治療される上記疾病、病気もしくは疾患の症状の1つ以上を回復するか、該症状の進行を少なくとも部分的に停止するか、あるいは該症状をある程度緩和するのに十分な量のことをいう。上記組成物の有効性は、状態(疾病、病気、または疾患の重症度および治療単位、薬歴、患者の健康状態、および薬物への反応性など)、ならびに治療を担当する医師の判断に依存する。例えば、治療的有効量を、定石の実験(用量増加臨床試験など)により決定してもよい。
本明細書で用いられるような用語「チオアルコキシ」は、酸素原子を介して分子に連結する硫黄含有アルキル基のことをいう。
用語「熱融解温度」またはTmは、(既定のイオン強度、pH、および核酸の濃度において)標的に相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度である。
本明細書で用いられるような用語「毒性部分」は、危害または死をもたらし得る化合物のことをいう。
本明細書で用いられるような用語「治療する」、「治療すること」、または「治療」は、疾病または病気の症状の軽減、柔和もしくは改善、さらなる症状の予防、症状の根本的な代謝の原因の改善もしくは予防、疾病もしくは病気の阻害(例えば、疾病もしくは病気の発達の抑制)、疾病もしくは病気の緩和、疾病もしくは病気の回復の誘導、疾病もしくは病気によって引き起こされた状態の緩和、あるいは疾病もしくは病気の症状の停止が含まれる。用語「治療する」、「治療すること」、または「治療」には、予防的処置および/または治療的処置などが含まれる。
本明細書で用いられるような用語「水溶性ポリマー」は、水溶性の溶媒に可溶性である任意のポリマーのことをいう。そのような水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポチエチレングリコールプロピオンアルデヒド、またはそれらのC−C10のモノアルコキシもしくはモノアリールオキシ誘導体(これらは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,252,714号明細書に記載されている)、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアミノ酸、ジビニルエーテル無水マレイン酸、N−(2−ヒドロキシプロピル)−メタクリルアミド、デキストラン、デキストラン誘導体(デキストラン サルフェートなど)、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール、ヘパリン、ヘパリンの断片、ポリサッカライド、オリゴサッカライド、グリカン、セルロースおよびセルロース誘導体(メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなど)、血清アルブミン、デンプンおよびデンプン誘導体、ポリペプチド、ポリアルキレングリコールおよびその誘導体、ポリアルキレングリコールのコポリマーおよびその誘導体、ポリビニルエチルエーテル、およびアルファ−ベータ−ポリ[(2−ヒドロキシエチル)−DL−アスパルトアミド(aspartamide)など、ならびに、それらの混合物が挙げられる。例えば、そのような水溶性ポリマーを天然アミノ酸ポリペプチドもしくは非天然アミノ酸ポリペプチドに結合させることにより、例えば、以下のような変化が生じてもよい。すなわち、未修飾の形態のものと比べたときの、水溶性の増加、血中半減期の増加もしくは調節または治療半減期の増加もしくは調節、生物学的利用性の増加、生物活性の調節、循環時間の延長、免疫原性の調節、物理的会合特性(凝集および多量体形成など)の調節、受容体結合性の変更、1つ以上の結合パートナーに対する結合性の変更、および、受容体の2量体化および多量体化の変更など。また、上記水溶性ポリマーは、それ自体生物活性を有していても、有していなくてもよい。
他に指示しない限り、当業者に公知の質量分析法、NMR、HPLC、タンパク質化学、生物化学、組み換えDNA技術、および薬理学の従来方法が採用される。
本明細書に示された化合物(特に限定されないが、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド、ならびに上記化合物を製造するための試薬が含まれる)には、同位体で標識された化合物が含まれる。この同位体で標識された化合物は、1つ以上の原子が、天然に一般的に発見される原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を有する原子で置換されていることを除いて、本明細書に示された様々な式および構造にて詳述されている化合物と同一である化合物のことである。本化合物に組み込まれ得る同位体には、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素、および塩素の同位体が含まれ、例えば、それぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Clなどが挙げられる。本明細書に記載の特定の同位体で標識された化合物(例えば、Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれた化合物)は、組織分布アッセイの基質および/または薬物に有用である。さらに、重水素(つまりH)などの同位体で置換することにより、インビボの半減期の増加もしくは必要用量の減少などの代謝安定性が向上し、これによって、特定の治療的利点を得ることができる。
本明細書における化合物(特に限定されないが、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド、ならびに上記化合物を製造するための試薬が含まれる)のいくつかは、不斉炭素を有しているため、鏡像異性体またはジアステレオマーとして存在することができる。ジアステレオマーの混合物を、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶などの公知の方法により、物理化学的な違いに基づいて、それぞれのジアステレオマーに分けることができる。鏡像異性体の混合物を適切な光活性化合物(アルコールなど)と反応させて、該混合物をジアステレオマーの混合物に変換し、ジアステレオマーを分けてから、それぞれのジアステレオマーを対応する純粋な鏡像異性体に変換する(例えば加水分解する)ことにより、鏡像異性体を分けることができる。全ての上記異性体(ジアステレオマー、鏡像異性体、およびそれらの混合物など)は、本明細書に記載の組成物の一部として、考慮される。
別の、またはさらなる実施形態では、本明細書に記載の化合物(特に限定されないが、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド、ならびに上記化合物を製造するための試薬が含まれる)は、プロドラッグの形態にて用いられる。別の、またはさらなる実施形態では、本明細書に記載の化合物(特に限定されないが、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド、ならびに上記化合物を製造するための試薬が含まれる)は、所望の効果(所望の治療効果など)を引き起こすために使用される代謝産物を製造する必要がある生物に投与されることにより、代謝される。さらなる、または別の実施形態では、非天然アミノ酸および修飾型もしくは非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドの活性代謝産物である。
本明細書に記載の方法および製剤には、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドのN酸化物、結晶の形状(多形体としても知られている)、または薬学的に許容可能な塩の使用が含まれる。ある実施形態では、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、互変異性体として存在してもよい。全ての互変異性体は、本明細書に示された非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドの範囲に含まれる。さらに、本明細書に示された非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、薬学的に許容可能な溶媒(水およびエタノールなど)と一緒になった溶媒和物の形態で存在してもよいし、薬学的に許容可能な溶媒と一緒になっていない非溶媒和の形態で存在してもよい。また、本明細書に示された非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドの溶媒和物の形態も、本明細書に開示されていると考慮される。
本明細書における上記化合物(特に限定されないが、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド、ならびに上記化合物を製造するための試薬が含まれる)のいくつかは、互変異性体のいくつかの形態にて存在してもよい。そのような互変異性体の全ては、本明細書に記載の組成物の一部として考慮される。また、例えば、本明細書における任意の化合物(特に限定されないが、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド、ならびに上記化合物を製造するための試薬が含まれる)のエノール−ケトの全形態も、本明細書に開示の組成物の一部として考慮される。
本明細書における化合物(特に限定されないが、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド、ならびに上記化合物のどれか1つを製造するための試薬が挙げられる)のいくつかは、酸性であり、薬学的に許容可能な陽イオンと塩を形成し得る。本明細書における上記化合物(特に限定されないが、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド、ならびに上記化合物を製造するための試薬が挙げられる)のいくつかは、塩基性であり得、したがって、薬学的許容可能な陰イオンと塩を形成し得る。二塩などの全ての塩が、本明細書に記載の組成物の範囲に含まれる。また当該塩を従来の方法によって調製することができる。例えば、酸性物質と塩基性物質とを、水性の媒体、非水性の媒体、または部分的に水性の媒体において、接触させることにより、塩を調製することができる。また、塩は、(ろ過する、非溶媒により沈殿させた後にろ過する、溶媒を蒸発させる、あるいは、水溶液の場合に凍結乾燥するという)技術の少なくとも1つを用いて、回収される。
親化合物である非天然アミノ酸ポリペプチドに存在する酸性プロトンが、金属イオンで置換されるか、有機塩基に配位結合するときに、本明細書に開示の非天然アミノ酸の薬学的に許容可能な塩が形成されてもよい(なお、上記金属イオンとしては、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、またはアルミニウムイオンなどが挙げられる)。また、開示されている非天然アミノ酸ポリペプチドの塩の形態を、出発物質の塩、または中間体の塩を用いて調製することができる。遊離塩基の形態である本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドと、薬学的に許容可能な無機酸または有機酸とを反応させることによって、本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドを、薬学的に許容可能な酸付加塩(薬学的に許容可能な塩の一種)として調製してもよい。これの代わりに、遊離酸の形態である本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドと、薬学的に許容可能な無機塩機または有機塩基とを反応させることによって、本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドを、薬学的に許容可能な塩基付加塩(薬学的に許容可能な塩の一種)として調製してもよい。
薬学的に許容可能な塩としては、例えば、(1)無機酸または有機酸から形成される酸付加塩、(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオンで置換されたとき、または有機塩基に配位結合するときに形成される塩が挙げられる。上記無機酸としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、およびリン酸などが挙げられる。上記有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトニック酸(glucoheptonic acid)、4,4’−メチレンビス−(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第3級ブチル酢酸(tertiary butylacetic acid)、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、およびムコン酸などが挙げられる。上記金属イオンとしては、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、またはアルミニウムイオンなどが挙げられる。上記有機塩基として許容可能なものは、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、およびN−メチルグルカミンなどが挙げられる。無機塩基として許容可能なものは、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、および水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
特に限定されないが、イオン交換クロマトグラフィー、イオンクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動、誘導結合プラズマ、原子吸光分光学、または質量分析法あるいはそれらの任意の組み合わせを含む様々な方法を用いて、非天然アミノ酸ポリペプチドの薬理学的に許容可能な塩の対応する対イオンを、分析および同定をしてもよい。また、上記非天然アミノ酸ポリペプチドの薬理学的に許容可能な塩の治療活性を、実施例87−91に記載の技術および方法を用いて試験してもよい。
塩を参照するとき、当該塩には、塩の溶媒付加形態の塩または結晶形態の塩(特に、溶媒和物または多形態)が含まれることを理解するべきである。溶媒和物は、化学量論的または非化学量論的な量の溶媒を含んでいる。また、溶媒和物は、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒との結晶化の過程の間に形成されることが多い。水和物は、溶媒が水のときに形成され、アルコラートは、溶媒がアルコールのときに形成される。多形態には、化合物の基本的な組成は同じであるが、結晶の凝集配置が異なるものが含まれる。各多形態は、一般的に、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学特性、電気的特性、安定性、ならびに、可溶性を有している。様々な要因(再結晶溶媒、結晶化速度、および保存温度など)により、単結晶を優先的に形成することができる。
非天然アミノ酸ポリペプチドの薬理学的に許容可能な塩の多形態、および/または溶媒和物のスクリーニングと特徴づけとは、特に限定されないが、熱分析、X線回折、分光法、蒸気吸着、および顕微鏡検査を含む様々な技術を用いて、実施され得る。熱分析法は、熱化学分解、または、多形転位などの熱物理的変遷を解析するものである。上記熱分析法を用いて、多形態間の関係の分析、重量損失の決定、ガラス転位温度の発見、または適合可能な賦形剤の研究が行われる。上記方法には、示差走査熱量測定法(DSC)、変調型示差走査熱量測定法(MDSC)、熱重量分析法(TGA)、熱重量および赤外分析法(TG/IR)(Thermogravi-metric and Infrared analysis)が含まれるが、これらに限定されない。X線回折法には、特に限定されないが、単結晶回折法、粉末回折法、およびシンクロトロン放射光を用いた回折法が含まれる。用いられる様々な分光技術には、例えば、ラマン分光法、FTIR、UVIS、およびNMR(液体および固体の状態)が含まれる。様々な顕微鏡検査技術には、特に限定されないが、偏光顕微鏡、エネルギー分散型X線分析(EDX)を有する走査電子顕微鏡(SEM)、EDXを有する環境制御型走査電子顕微鏡(ガスまたは水蒸気雰囲気)、赤外分光顕微鏡、ラマン分光顕微鏡が含まれる。
〔図面の簡単な説明〕
以下の詳細な説明では、我々の方法、組成物、装置および器具の原理を利用した実施形態が説明のために記載されている。詳細な説明と添付の図面とを参照することによって、本方法および本組成物の特徴および利点が、さらに理解され得る。
図1は、本明細書に記載の方法、組成物、戦略および技術のある態様の関係を示す非限定的な略図である。
図2は、本明細書に記載のジアミン含有非天然アミノ酸の様々な非限定的な具体例を示す図である。
図3は、本明細書に記載のジカルボニル含有非天然アミノ酸の様々な非限定的な具体例を示す図である。
図4は、本明細書に記載のケトアルキン含有非天然アミノ酸の様々な非限定的な具体例を示す図である。
図5は、本明細書に記載の非天然アミノ酸を作製するために用いられる合成方法の非限定的な具体例を示す図である。
図6は、本明細書に記載の非天然アミノ酸を作製するために用いられる合成方法の非限定的な具体例を示す図である。
図7は、本明細書に記載の非天然アミノ酸を作製するために用いられる合成方法の非限定的な具体例を示す図である。
図8は、本明細書に記載の非天然アミノ酸を作製するために用いられる合成方法の非限定的な具体例を示す図である。
図9は、修飾型ヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するための、ジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドとジカルボニル含有試薬との翻訳後修飾の非限定的な具体例を示す図である。
図10は、修飾型ヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するための、ジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドとジカルボニル含有試薬との翻訳後修飾の非限定的な具体例を示す図である。
図11において、Aは、本明細書に記載のヘテロ環連結の形成に関する非限定的な具体例を示す図である。
図11において、Bは、本明細書に記載のマスクされたジカルボニル含有非天然アミノ酸、および脱保護によるヘテロ環連結の形成に関する非限定的な具体例を示す図である。
図12は、修飾型ヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するための、ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドとジアミン含有試薬との翻訳後修飾の非限定的な具体例を示す図である。
図13は、修飾型ヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するための、ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドとジアミン含有試薬との翻訳後修飾の非限定的な具体例を示す図である。
図14は、本明細書に記載の組成物、方法、技術、および戦略を用いた、タンパク質修飾の非限定的な具体例を示す図である。
図15は、本明細書に記載の組成物、方法、技術、および戦略を用いた、タンパク質修飾の非限定的な具体例を示す図である。
図16は、本明細書に記載の組成物、方法、技術、および戦略を用いた、タンパク質修飾の非限定的な具体例を示す図である。
図17は、本明細書に記載の組成物、方法、技術、および戦略を用いた、タンパク質のPEG化の非限定的な具体例を示す図である。
図18は、非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾して、PEGを含有するヘテロ環連結型非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するために使用することができる、PEG含有試薬の合成の非限定的な具体例を示す図である。
図19は、非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾して、PEGを含有するヘテロ環連結型非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するために使用することができる、PEG含有試薬の合成の非限定的な具体例を示す図である。
図20は、非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾して、PEGを含有するヘテロ環連結型非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するために使用することができる、2官能性PEG含有試薬の合成の非限定的な具体例を示す図である。
図21は、非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾して、ヘテロ環連結型非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するために使用することができる、2官能性リンカーの合成の非限定的な具体例を示す図である。
図22は、非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾して、PEGを含有するヘテロ環連結型非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するために使用することができる、3官能性PEG含有試薬の合成の非限定的な具体例を示す図である。
図23は、本明細書に記載の組成物、方法、技術、および戦略を用いて、非天然アミノ酸ポリペプチドをPEG基に連結することによって、タンパク質をPEG化することを示す非限定的な具体例である。
図24は、2官能性リンカー基の使用の非限定的な具体例を示す図である。図24では、本明細書に記載の組成物、方法、技術、および戦略を用いて、PEGリンカーにより、非天然アミノ酸ポリペプチドが修飾および連結されることが示されている。
図25は、2官能性リンカー基の使用の非限定的な具体例を示す図である。図25では、本明細書に記載の組成物、方法、技術、および戦略を用いて、リンカーにより、非天然アミノ酸ポリペプチドが修飾および連結されることが示されている。
図26は、3官能性リンカー基の使用の非限定的な具体例を示す図である。図26では、本明細書に記載の組成物、方法、技術、および戦略を用いて、上記リンカーがPEG化され、またPEGリンカーにより、非天然アミノ酸ポリペプチドが修飾および連結されることが示されている。
図27は、2官能性リンカー基の使用の非限定的な具体例を示す図である。図27では、本明細書に記載の組成物、方法、技術、および戦略を用いることにより、非天然アミノ酸ポリペプチドが修飾されて、PEG基に連結されることが示されている。
図28は、ピラゾール含有化合物の合成の非限定的な具体例を示す図である。
図29は、本明細書に記載の組成物、方法、技術、および戦略を用いることにより、PEG基に連結した非天然アミノ酸ポリペプチドの合成の非限定的な具体例を示す図である。
〔発明の詳細な説明〕
<I.序文>
近年、タンパク質科学において、タンパク質の部位特異的修飾に関連する多くの制限を打開する見込みがある全体的に新しい技術が、報告されている。より詳細には、インビボにおいてタンパク質への非天然アミノ酸の組み込みを可能にする新しい構成要素が、原核生物であるEschrichia coli(E. coli)(例えば、「L.Wangら(2001),Science292:498-500」)、および真核生物であるSacchromyces cerevisiae(S. cerevisiae)(例えば、「J.ChinらScience 301: 964-7(2003)」)のタンパク質生合成機構に、加えられている。新規な化学的、物理的または生物学的な性質を有する多数の新たなアミノ酸(例としては、光親和性標識物および光異性化可能なアミノ酸、ケトアミノ酸、ならびにグリコシル化アミノ酸が挙げられるが、これに限定されない)が、E. coliおよび酵母において、この方法論を用いてアンバーコドン、TAGに応じて、タンパク質の中に効率的に、かつ高い忠実性を有して組み込まれる。例えば、「J.W.Chinら, Journal of the American Chemical Society 124:9026-9027(2002)」(その全体が引用によって組み込まれる);「J.W.Chin,& P.G.Schultz, ChemBioChem 3(11):1135-1137(2002)(その全体が引用によって組み込まれる);「J.W.Chinら, PNAS United States of America 99:11020-11024(2002)(その全体が参照によって組み込まれる);および、「L. Wang,& P.G.Schultz, Chem. Comm.,1:1-11(2002)」(その全体が参照によって組み込まれる)を参照のこと。これらの研究では、(1)タンパク質中に存在せず、(2)20の遺伝的にコードされた一般アミノ酸において存在する全ての官能基に対して化学的に不活性であり、(3)使用したときに、選択的かつ効率よく反応して安定な共有連結を形成し得る、化学官能基を選択的且つ定石通りに導入できることが証明された。
<II.概要>
図1は、本明細書に記載の組成物、方法、技術、および戦略の非限定的な例である。ある水準において、本明細書には、ジカルボニル、ジアミン、ケトアルキン、ケトアミン、またはヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)を有する少なくとも1つの非天然アミノ酸、または修飾型非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドを作り出し、かつ使用するための、ツール(方法、組成物、技術)が記載されている。ジカルボニル基の例としては、ジケトン、ケトアルデヒド、ケト酸、ケトエステル、およびケトチオエステルが挙げられるが、これに限定されず、かつジアミン基の例としては、ヒドラジン、アミジン、イミン、1,1−ジアミン基、1,2−ジアミン基、1,3−ジアミン基、1,4−ジアミン基が挙げられるが、これらに限定されない。そのような非天然アミノ酸は、さらなる機能性基(例としては、所望の機能性基が挙げられるが、これに限定されない)を含み得る。なお、上述した様々な機能性基は、ある機能性基の一員を別の機能性基の一員として分類できないことを意味するわけではない。実際には、特定の事情により、重複は存在する。ほんの一例として、水溶性ポリマーとポリエチレングリコールの誘導体とは重複しているが、重複は完全ではない。従って、両方の機能性基が上記において挙げられている。
図1に示されるように、一態様では、本明細書に記載の方法、組成物および技術を用いて修飾されるべきポリペプチドを選択および設計する方法である。新たなポリペプチドは、(多数のポリペプチドが、設計、合成、特徴づけおよび/または試験され得る場合に)高速処理スクリーニング処理として、または研究者の興味に基づいて(ほんの一例として挙げられる)、新規に設計され得る。また、新たなポリペプチドは、公知の、または部分的に特徴づけられたポリペプチドの構造に基づいて設計され得る。ほんの一例として、成長ホルモンスーパーファミリー(後を参照のこと)は、科学団体による熱心な研究対象であり、新たなポリペプチドは、この遺伝子ファミリーの(複数または1つの)一員の構造に基づいて設計され得る。どのアミノ酸を置換および/または修飾するかという選択に関する原理は、本明細書に別々に記載されている。また、どの修飾を採用するかという選択が、本明細書に記載されており、かつ実験者または末端消費者の必要に合わせて使用され得る。当該必要の例としては、ポリペプチドの治療的有効性の操作、ポリペプチドの安全性プロフィールの向上、ポリペプチドの薬物動態学的性質の調整、ポリペプチドの薬理学的性質の調整、および/またはポリペプチドの薬力学的性質の調整(例えば、ほんの一例として、水溶性の増強、生物学的利用性、血中半減期の増強、治療半減期の増強、免疫原性の調節、生物活性の調節、または循環時間の延長)が挙げられ得るが、これらに限定されない。また、そのような修飾には、ポリペプチドに対する付加的な機能性基の付与、タグ、標識もしくは検出可能なシグナルのポリペプチドへの組み込み、ポリペプチドの単離性質の緩和、および上述した修飾のあらゆる組み合わせが含まれる。
また、本明細書には、ジアミン、ジカルボニル、ケトアルキン、ケトアミン、またはヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)を含むように修飾されているか、修飾され得る非天然アミノ酸が記載されている。ジカルボニルの例としては、ジケトン、ケトアルデヒド、ケト酸、ケトエステル、およびケトチオエステルが挙げられるが、これに限定されず、ジアミンの例としては、ヒドラジン、アミジン、イミン、1,1−ジアミン基、1,2−ジアミン基、1,3−ジアミン基、1,4−ジアミン基が挙げられるが、これらに限定されない。この態様には、そのような非天然アミノ酸を製造、精製、特徴づけ、および使用する方法が含まれる。他の態様において、本明細書には、そのような非天然アミノ酸の少なくとも1つをポリペプチドに組み込む、方法、戦略、および技術が記載されている。また、この態様には、そのような非天然アミノ酸の少なくとも1つを含有するポリペプチドを、製造、精製、特徴づけ、および使用する方法が含まれる。また、この態様には、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含有するポリペプチドを少なくとも部分的に製造するために使用され得るオリゴヌクレオチド(例としては、DNAおよびRNAが挙げられる)を、製造、精製、特徴づけ、および使用する方法ならびに組成物が含まれる。また、この態様には、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含有するポリペプチドを少なくとも部分的に製造するために使用され得るオリゴヌクレオチドを発現し得る細胞を、製造、精製、特徴づけ、および使用する方法ならびに組成物が含まれる。
従って、本明細書には、ジアミン、ジカルボニル、ケトアルキン、ケトアミン、またはヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)を有する少なくとも1つの非天然アミノ酸、または修飾型非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドが、提供され、かつ記載されている。ジカルボニル修飾型非天然アミノ酸は、ジケトン、ケトアルデヒド、ケト酸、ケトエステル、およびケトチオエステルを含み得るが、これに限定されず、かつジアミン修飾型非天然アミノ酸は、ヒドラジン、アミジン、イミン、1,1−ジアミン基、1,2−ジアミン基、1,3−ジアミン基、1,4−ジアミン基を含み得るが、これらに限定されない。ある種の実施形態では、ジアミン、ジカルボニル、ケトアルキン、ケトアミン、またはヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)を有する少なくとも1つの非天然アミノ酸または修飾型非天然アミノ酸を有する、ポリペプチドは、ポリペプチド上におけるある位置に少なくとも1つの翻訳同時(co-translational)修飾または翻訳後修飾を含む。そのような実施形態では、ジカルボニル修飾型非天然アミノ酸は、ジケトン、ケトアルデヒド、ケト酸、ケトエステル、およびケトチオエステルをさらに含み得るが、これらに限定されず、かつジアミン修飾型非天然アミノ酸は、ヒドラジン、アミジン、イミン、1,1−ジアミン基、1,2−ジアミン基、1,3−ジアミン基、1,4−ジアミン基を、さらに含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、翻訳同時修飾または翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミテート付加、リン酸化、および糖脂質連結修飾など)は、細胞機構を介して生じ、多くの場合において、そのような細胞機構に基づく翻訳同時修飾または翻訳後修飾は、ポリペプチド上の天然に生じるアミノ酸の部位において生じる。しかし、ある種の実施形態では、細胞機構に基づく翻訳同時修飾または翻訳後修飾は、ポリペプチド上の非天然アミノ酸部位に生じる。
他の実施形態では、翻訳後修飾は細胞機構を利用しないが、その代わりに、機能性基は、本明細書に記載の化学方法論、または特定の反応に好適な他の化学方法論を利用して、第1反応基を含んでいる非天然アミノ酸の少なくとも1つに第2反応基を含んでいる分子(例としては、機能性基が挙げられるが、これに限定されない)を付着させることによって供給される。上記第1反応基を含んでいる非天然アミノ酸としては、例えば、ジカルボニル、ジケトン、ケトアルデヒド、ケト酸、ケトエステル、ケトチオエステル、ジアミン、ヒドラジン、アミジン、イミン、1,1−ジアミン基、1,2−ジアミン基、1,3−ジアミン基、1,4−ジアミン基またはヘテロ環(例としては、窒素含有ヘテロ環)官能基を含む非天然アミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。ある種の実施形態では、翻訳同時修飾または翻訳後修飾は、真核細胞または原核細胞において、インビボにおいてなされる。ある種の実施形態では、翻訳同時修飾または翻訳後修飾は、細胞機構を利用せずに、インビトロにおいてなされる。また、この態様には、上記翻訳後修飾型非天然アミノ酸の少なくとも1つを含むポリペプチドを、製造、精製、特徴づけ、および使用する方法が含まれる。
また、本明細書に記載の方法、組成物、戦略、および技術の範囲に含まれるのは、あらゆる上述した翻訳後修飾を生じるような、ポリペプチドの一部である非天然アミノ酸と反応可能な試薬である(なお、上記非天然アミノ酸は、ジカルボニル基、ジケトン、ケトアルデヒド、ケト酸、ケトエステル、ケトチオエステル、ケトアルキン、ケトアミン、ジアミン、ヒドラジン、アミジン、イミン、1,1−ジアミン基、1,2−ジアミン基、1,3−ジアミン基、1,4−ジアミン基、またはこれらの保護された形態のいずれかを含んでいる)。一般に、生じる翻訳後修飾型非天然アミノ酸は、少なくとも1つのヘテロ環(例としては、窒素含有ヘテロ環が挙げられる)、またはアルドールに基づく基を含み;生じる修飾ヘテロ環非天然アミノ酸、またはアルドールに基づく非天然アミノ酸は、その後に修飾反応を受けてもよい。また、この態様には、そのような非天然アミノ酸のあらゆるそのような翻訳後修飾が可能なそのような試薬を、製造、精製、特徴づけ、および使用する方法が含まれる。
ある種の実施形態では、タンパク質は、ある宿主細胞によってインビボにおいてなされる少なくとも1つの翻訳同時修飾、または翻訳後修飾を含み、当該翻訳後修飾は、通常、他の宿主細胞種によってなされないものである。ある種の実施形態では、タンパク質は、真核細胞によってインビボにおいてなされる少なくとも1つの翻訳同時修飾、または翻訳後修飾を含み、当該翻訳同時修飾、または翻訳後修飾は、通常、非真核細胞によってなされないものである。そのような翻訳同時修飾、または翻訳後修飾の例としては、グリコシル化、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミテート付加、リン酸化、および糖脂質連結修飾などが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、翻訳同時修飾、または翻訳後修飾は、GalNAc−アスパラギン連結よるアスパラギンに対するオリゴサッカライド(例としては、当該オリゴサッカライドが(GlcNAc−Man)2−Man−GluNAc−GluNAcなどを含んでいることが挙げられるが、これらに限定されない)の付着を含む。他の実施形態では、翻訳同時修飾、または翻訳後修飾は、GalNAc−セリン、GalNAc−トレオニン、GlcNAc−セリン連結、またはGlcNAc−トレオニン連結による、セリンまたはトレオニンに対するオリゴサッカライド(例としては、Gal−GalNAc、Gal−GlcNAcなどが挙げられるが、これらに限定されない)の付着を含む。分泌シグナル配列の例としては、原核生物の分泌シグナル配列、細菌発現用に5’末端が最適化された真核生物の分泌シグナル配列、新規な分泌シグナル配列、ペクチン酸塩脱離酵素分泌シグナル、Omp A分泌シグナル配列、ファージの分泌シグナルが挙げられるが、これらに限定されない。分泌シグナル配列の例としては、STII(原核生物)、Fd GIIIおよびM13(ファージ)、Bgl2(酵母)、ならびにトランスポゾン由来のシグナル配列blaが挙げられるが、これらに限定されない。ある種の実施形態では、タンパク質またはポリペプチドは、分泌配列もしくは局在化配列、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジン配列、および/またはGST融合などを含んでいてもよい。また、この態様には、少なくとも1つのそのような翻訳同時修飾、または翻訳後修飾を含むそのようなポリペプチドを、製造、精製、特徴づけ、および使用する方法が含まれる。他の実施形態では、グリコシル化非天然アミノ酸ポリペプチドは、非グリコシル化形態において製造される。非天然アミノ酸のそのような非グリコシル化形態は、以下の方法から製造されてもよい。すなわち、(1)単離された、または実質的に精製された、もしくは精製されていないグリコシル化された非天然アミノ酸ポリペプチドからオリゴサッカライド基を化学的もしくは酵素的に除去する工程を含んでいる方法、(2)グリコシル化しない宿主において非天然アミノ酸ポリペプチドを製造する工程を含んでいる方法(そのような宿主には、原核生物、上記ポリペプチドをグリコシル化しないように操作されているか、あるいは突然変異させられた真核細胞が含まれる)、(3)通常は上記ポリペプチドをグリコシル化する真核細胞によって、上記非天然アミノ酸ポリペプチドが製造される細胞培養液に、グリコシル化阻害剤を導入する工程を含んでいる方法、(4)あるいはあらゆる上記方法の組み合わせ。また、本明細書には、標準的にグリコシル化される非天然アミノ酸ポリペプチドのための上記グリコシル化されていない形態のものが含まれる。ここで、「標準的なグリコシル化」は、天然に生じるポリペプチドがグリコシル化される条件下にて製造されるときの、ポリペプチドのグリコシル化を意味する。勿論、標準的にグリコシル化される非天然アミノ酸ポリペプチドのための上記グリコシル化されていない形態のものは、未精製の形態のものであってもよいし、実質的に精製された形態のものであってもよいし、あるいは単離された形態のものであってもよい。
非天然アミノ酸ポリペプチドは、ジカルボニル基、ジケトン、ケトアルデヒド、ケト酸、ケトエステル、ケトチオエステル、ジアミン、ヒドラジン、アミジン、イミン、1,1−ジアミン基、1,2−ジアミン基、1,3−ジアミン基、1,4−ジアミン基、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)、アルドールに基づく基、またはこれらの保護された形態のものを有する非天然アミノ酸を、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、あるいは10以上含んでいてもよい。非天然アミノ酸は、同一であっても異なっていてもよく、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の異なる非天然アミノ酸を含んでいる1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の異なる場所が、タンパク質に存在し得る。特定の実施形態では、天然発生型のタンパク質に存在する特定のアミノ酸の少なくとも1つ(ただし、全てではない)が非天然アミノ酸で置換されている。
本明細書において与えられ、かつ記載される方法および組成物は、ジカルボニル基、ジケトン、ケトアルデヒド、ケト酸、ケトエステル、ケトチオエステル、ジアミン、ヒドラジン、アミジン、イミン、1,1−ジアミン基、1,2−ジアミン基、1,3−ジアミン基、1,4−ジアミン基、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)、アルドールに基づく基、またはこれらの保護された形態を含む非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでいるポリペプチドを、包含する。少なくとも1つの上記非天然アミノ酸をポリペプチドに導入することによって、例えば、特に限定されないが20の一般的に生じるアミノ酸とは反応しないが、1つ以上の非天然アミノ酸との特異的な化学反応に関与する接合化学反応を、活用することができる。一度、組み込まれると、それから、アミノ酸側鎖は、天然にコードされたアミノ酸に存在する特定の官能基、または置換体に好適な通常の当業者に公知の化学方法論を利用することによって、修飾され得る。
本明細書に記載の非天然アミノ酸の方法および組成物は、他の物質(例としては、機能性基が挙げられる)と、広範な官能基、置換体、または部分を有する物質の接合体を提供する。
ある種の実施形態では、本明細書に記載の非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、リンカーおよび試薬(例としては、一般式(I)−一般式(LXVII)の化合物が挙げられる)は、穏やかな酸性条件下(例としては、約2から約8のpHが挙げられるが、これに限定されない)において、水溶液中で安定である。他の実施形態では、そのような化合物は、穏やかな酸性条件下において、少なくとも約2週間、安定である。他の実施形態では、そのような化合物は、穏やかな酸性条件下において少なくとも約5日間、安定である。
組成物、方法、技術および戦略の他の態様において、本明細書には、あらゆる上述の修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド、または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドを、研究する方法、または使用する方法が記載されている。この態様には、ほんの一例として、修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド、または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドを含んでいるポリペプチドによって利益を受ける、治療的な、診断的な、アッセイに基づく、産業的な、美容の、植物生物学の、環境的な、エネルギー生産の、消費者製品のおよび/または軍事的な利用が含まれる。
<III.ポリペプチドにおける非天然アミノ酸の位置>
本明細書に記載の方法および組成物は、ポリペプチドへの1つ以上の非天然アミノ酸の組み込みを包含する。1つ以上の非天然アミノ酸は、ポリペプチドの活性に影響しない、1つ以上の特定の位置に組み込まれ得る。これは、「保存的な」置換(例としては、疎水性の非天然アミノ酸もしくは天然アミノ酸を用いた疎水性アミノ酸の置換、大きな非天然アミノ酸もしくは天然アミノ酸を用いた大きなアミノ酸の置換、親水性の非天然アミノ酸もしくは天然アミノ酸を用いた親水性アミノ酸の置換が挙げられるが、これらに限定されない)、および/または活性に不要な位置における非天然アミノ酸の挿入を行うことによって達成され得る。
広範な生物学的および構造的手法は、ポリペプチド内における非天然アミノ酸を用いた置換を目的とした所望の部位の選択に採用され得る。ポリペプチド鎖のあらゆる部位は、非天然アミノ酸を組み込むための選択に好適である。当該選択は、合理的な設計に基づいていてもよいし、あらゆる目的、または特に所望ではない目的に関する無作為の選択によってもよい。所望の部位の選択は、あらゆる所望の性質、または活性を有する非天然アミノ酸ポリペプチド(さらに修飾され得るか、非修飾のままであり得る)の製造に基づき得る。当該あらゆる所望の性質または活性の例としては、アゴニスト、スーパーアゴニスト、部分アゴニスト(partial agonist)、インバースアゴニスト、アンタゴニスト、受容体結合修飾物質、受容体活性修飾物質、パートナーとの結合に対する結合の修飾物質、結合パートナー活性修飾物質、結合パートナー高次構造修飾物質、ダイマー形成もしくはマルチマー形成、本来の分子と比較して活性もしくは性質に対して変化がないこと、またはポリペプチドの物理的もしくは化学的な性質(例えば、可溶性、凝集、または安定性)を操作することなどが挙げられる。例えば、ポリペプチドの生物活性に必要なポリペプチドにおける位置は、例としては、点突然変異分析、アラニン走査、または相同物スキャニング法が挙げられる方法を用いて同定され得る。例としては、アラニン走査突然変異誘導法、または相同物スキャニング突然変異誘導法などの方法によって、生物活性に重要であるとして同定された残基以外の残基は、ポリペプチドに求められる所望の活性に依存して、非天然にコードされたアミノ酸を用いた置換にとって良好な候補物であり得る。また代替可能に、生物活性に重要であるとして同定された部位は、この場合もやはり、ポリペプチドに求められる所望の活性に依存して、非天然にコードされたアミノ酸を用いた置換にとって良好な候補物であり得る。他の代替可能物は、ポリペプチドの各位置における、非天然アミノ酸を用いた連続する置換を簡単に行い、かつポリペプチドの活性に関する影響を観察するためのものである。非天然アミノ酸を用いたあらゆるポリペプチドへの置換に関する位置を選択するあらゆる手段、技術、または方法が、本発明における使用に好適である。
また、欠失を含むポリペプチドの天然に生じる突然変異体の構造および活性を調査して、非天然アミノ酸による置換に対して耐性があると思われるタンパク質の領域を決定することができる。非天然アミノ酸による置換に対して耐性がないと思われる残基が排除されると、残りの位置のそれぞれにおいて計画される置換の影響を、関連するポリペプチド、ならびにあらゆる会合するリガンドまたは結合タンパク質の3次元構造から調査することができる。多くのポリペプチドのX線結晶学的な、およびNMRの構造は、タンパク質および核酸の大分子の3次元構造データを含む集中化されたデータベースである、Protein Data Bank (PDB、www.rcsb.org)において利用可能である。その上に、3次元構造データが利用できない場合には、モデルは、ポリペプチドの2次構造および3次構造の調査から作製されてもよい。このようにして、非天然アミノ酸により置換され得るアミノ酸位置の同定は、容易に行われ得る。
非天然アミノ酸の組み込みの例示的な部位としては、(1)受容体に結合する可能性のある領域、または結合タンパク質もしくはリガンドと結合する領域以外の部位、(2)完全にもしくは部分的に溶媒に露出し得る部位、(3)近くの残基との水素結合相互作用がないか、もしくは最小である部位、(4)近くの反応性残基に最小限で露出され得る部位、および/または(5)特定のポリペプチドとその会合受容体、リガンドもしくは結合タンパク質との3次元結晶構造から予想したときに、柔軟性が高い領域内であり得る部分が含まれるが、これらに限定されない。
広範な非天然アミノ酸は、ポリペプチドにおける任意の位置に対して置換され得るか、または任意の位置に組み込まれ得る。ほんの一例として、特定の非天然アミノ酸は、会合するリガンド、受容体、および/または結合タンパク質とポリペプチドとの3次元結晶構造の調査、保存的な置換に関する好ましさに基づく組み込みを目的として選択され得る。
一実施形態では、上記方法は、第1反応基を含んでいる非天然アミノ酸をポリペプチドへ組み込む工程、および上記ポリペプチドと第2反応基を含んでいる分子(例としては、所望の機能性基が挙げられるが、これに限定されない)とを接触させる工程とを含んでいる。ある種の実施形態では、第1反応基がカルボニル部分またはジカルボニル部分であり、かつ第2反応基がジアミン部分であり、これによってヘテロ環連結が形成される。ある種の実施形態では、第1反応基がジアミン部分であり、かつ第2反応基がカルボニル部分またはジカルボニル部分であり、これによってヘテロ環連結が形成される。
いくつかの場合において、非天然アミノ酸の置換または組み込みは、他の化学的、物理学的、薬理学的、および/または生物学的性向に影響するためにポリペプチド内における、他の付加、置換または欠失と組み合わせられる。いくつかの場合において、他の付加、置換または欠失は、ポリペプチドの安定性(例としては、タンパク質分解性分解に対する耐性が挙げられるが、これに限定されない)を増強し得るか、適切な受容体、リガンドおよび/または結合タンパク質に対するポリペプチドの親和性を増強し得る。いくつかの場合において、他の付加、置換または欠失は、E. coliまたは他の宿主細胞において発現されるときに(例として挙げられるが、これに限定されない)、ポリペプチドの可溶性を増強し得る。いくつかの実施形態では、天然にコードされるアミノ酸、または非天然アミノ酸による置換用の部位が選択され、これに加えて、E. coliまたは他の組み換え宿主細胞において発現した後のポリペプチドの可溶性を増強させることを目的とする、非天然アミノ酸の組み込み用の他の部位が選択される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、会合するリガンド、結合タンパク質および/または受容体分子に対する親和性を調節するか(例としては、増強または低減するが、これらに限定されない)、受容体ダイマー化を調節するか、受容体ダイマーを安定化するか、循環半減期を調節するか、放出または生物学的利用性を調節するか、精製を容易にするか、または投与の特定の経路を改善または変更するかのいずれかである、他の付加、置換または欠失を含んでいる。同様に、ポリペプチドは、化学的もしくは酵素的な切断配列、プロテアーゼ切断配列、反応性基、抗体結合ドメイン(例としては、FLAGまたはポリ−Hisが挙げられるが、これらに限定されない)、または検出(例としては、GFPが挙げられるが、これに限定されない)か、精製か、組織もしくは細胞膜を介する輸送か、プロドラッグの放出もしくは活性化か、サイズの低下か、もしくはポリペプチドの他の特徴かのいずれかを改善する、他の親和性に基づく配列(例としては、FLAG、ポリ−His、GSTなどが挙げられるが、これらに限定されない)もしくは親和性に基づく連結される分子(例としては、ビオチンが挙げられるが、これに限定されない)を含んでいてもよい。
<IV.例としての成長ホルモンスーパーファミリー>
本明細書に記載の方法、組成物、戦略および技術は、ポリペプチドまたはタンパク質の特定の種類、分類またはファミリーに限定されない。実際に、ほとんどあらゆるポリペプチドが、本明細書に記載の少なくとも1つの修飾型非天然アミノ酸、または非修飾型非天然アミノ酸を含むように、設計または修飾され得る。ほんの一例として、当該ポリペプチドは、以下の物質から成る群から選択される治療的なタンパク質と相同であり得る:アルファ−1 抗トリプシン、アンギオスタチン、抗溶血性因子、抗体、抗体断片、アポリポタンパク質、アポタンパク質、心房性ナトリウム利尿因子、心房性ナトリウム利尿ポリペプチド、心房性ペプチド、C−X−Cケモカイン、T39765、NAP−2、ENA−78、gro−a、gro−b、gro−c、IP−10、GCP−2、NAP−4、SDF−1、PF4、MIG、カルシトニン、c−kitリガンド、サイトカイン、CCケモカイン、単球化学誘引物質タンパク質−1、単球化学誘引物質タンパク質−2、単球化学誘引物質タンパク質−3、単球炎症性タンパク質−1 アルファ、単球炎症性タンパク質−i ベータ、ランテス(RANTES)、1309、R83915、R91733、HCC1、T58847、D31065、T64262、CD40、CD40リガンド、c−kitリガンド、コラーゲン、コロニー刺激因子(CSF)、補体因子 5a、補体阻害剤、補体受容体 1、サイトカイン、上皮性好中球活性ペプチド−78、MIP−16、MCP−1、上皮成長因子(EGF)、上皮性好中球活性ペプチド、赤血球生成促進因子(EPO)、剥離性トキシン、ファクター IX、ファクター VII、ファクター VIII、ファクター X、繊維芽細胞成長因子(FGF)、フィブリノゲン、フィブロネクチン、4−ヘリカルバンドルタンパク質(four-helical bundle protein)、G−CSF、glp−1、GM−CSF、グルコセレブロシダーゼ、ゴナドトロピン、成長因子、成長因子受容体、grf、ヘッジホッグタンパク質、ヘモグロビン、肝細胞成長因子(hGF)、ヒルジン、ヒト成長ホルモン(hGH)、ヒト血清アルブミン、ICAM−1、ICAM−1 受容体、LFA−1、LFA−1 受容体、インシュリン、インシュリン様成長因子(IGF)、IGF−I、IGF−II、インターフェロン(IFN)、IFN−アルファ、IFN−ベータ、IFN−ガンマ、あらゆるインターフェロン様分子もしくはIFNファミリーの一員、インターロイキン(IL)、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、ケラチノサイト成長因子(KGF)、ラクトフェリン、白血病抑制因子、ルシフェラーゼ、ニュールチュリン(neurturin)、好中球阻害因子(NIF)、オンコスタチンM、骨形成タンパク質、癌遺伝子産物、パラシトニン(paracitonin)、副甲状腺ホルモン、PD−ECSF、PDGF、ペプチドホルモン、プレイオトロピン(pleiotropin)、プロテインA、プロテインG、pth、発熱性外毒素 A、発熱性外毒素 B、発熱性外毒素 C、pyy、レラキシン、レニン、SCF、生合成低分子タンパク質、可溶性補体受容体 I、可溶性I−CAM 1、可溶性インターロイキン受容体、可溶性TNF受容体、ソマトメジン、ソマトスタチン、ソマトトロピン、ストレプトキナーゼ、超抗原、ブドウ球菌性エンテロトキシン、SEA、SEB、SEC1、SEC2、SEC3、SED、SEE、ステロイドホルモン受容体、スーパーオキシドジスムターゼ、毒素性ショック症候群トキシン、チモシンアルファ 1、組織プラスミノゲン活性化因子、腫瘍成長因子(TGF)、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子アルファ、腫瘍壊死因子ベータ、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)、VLA−4 タンパク質、VCAM−1 タンパク質、血管内皮成長因子(VEGF)、ウロキナーゼ、mos、ras、raf、met、p53、tat、fos、myc、jun、myb、rel、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、テストステロン受容体、アルドステロン受容体、LDL受容体、およびコルチコステロン(以下において、「所望のポリペプチド」と記載する)。
従って、成長ホルモンスーパーファミリーについての以下の記述は、説明を目的とし、しかもほんの一例として提供され、かつ本明細書に記載の方法、組成物、戦略および技術の範囲を制限するようなものではない。さらに、本出願におけるGHポリペプチドへの言及は、GHスーパーファミリーにおけるあらゆる構成要素の例として総称を使うことを意味する。従って、GHポリペプチドまたはタンパク質に関して本明細書に記載の修飾および化学反応が、本明細書に特に載せられているものを含めた、GHスーパーファミリーのあらゆる構成要素に等しく適用され得ることは、理解される。
以下のタンパク質:成長ホルモン、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、エリスロポエチン(EPO)、トロンボポエチン(TPO)、インターロイキン−2(IL−2)、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12(p35サブユニット)、IL−13、IL−15、オンコスタチン M、繊毛状の神経栄養因子、白血病抑制因子、アルファ インターフェロン、ベータ インターフェロン、イプシロン インタフェロン、ガンマ インターフェロン、オメガ インターフェロン、タウ インターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、およびカージオトロフィン−1(cardiotrophin-1)(CT−1)(「GHスーパーファミリー」)は、成長ホルモン(GH)スーパーファミリーの遺伝子によってコードされるタンパク質を含む(「Bazan, F., Immunology Today 11: 350-354 (1990)」; 「Bazan, J. F. Science 257: 410-413 (1992)」; 「Mott, H. R. and Campbell, I. D., Current Opinion in Structural Biology 5: 114-121 (1995)」; 「Silvennoinen, O. and Ihle, J. N., SIGNALLING BY THE HEMATOPOIETIC CYTOKINE RECEPTORS (1996)」)。今後、遺伝子のクローニングおよび配列決定を経て、当該遺伝子ファミリーの更なる構成要素が同定されるであろうということが、予想される。GHスーパーファミリーの各一員は、それらのアミノ酸またはDNA配列の同一性が通常、限られているにもかかわらず、類似した二次および三次構造を有する。共通の構造的特徴により、遺伝子ファミリーの新しい構成要素を、迅速に同定することができる。共通の構造的特徴によって、遺伝子ファミリーの新しい構成要素を迅速に同定することができる。また、本明細書に記載されていたり、参照により組み込まれていたりする非天然アミノ酸に関する方法、および組成物に、当該共通の構造的特徴を同様に適用可能である。
多くのサイトカイン(例としては、G−CSF(「Zinkら, FEBS Lett.314:435 (1992)」; 「Zinkら, Biochemistry 33:8453 (1994); Hillら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5167 (1993)」)、GM−CSF(「Diederichs, K.,ら Science 154: 1779-1782 (1991)」; 「Walterら, J. MoI. Biol. 224:1075-1085 (1992)」)、IL−2(「Bazan, J. F. and McKay, D. B. Science 257: 410-413 (1992)」)、IL−4(「Redfieldら, Biochemistry 30: 11029-11035 (1991)」; 「Powersら, Science 256:1673-1677 (1992)」)、およびIL−5(「Milburnら, Nature 363: 172-176 (1993)」)が挙げられる)の構造は、X線回折およびNMR調査によって決定されている。そして、上記多くのサイトカインの構造は、有意な一次配列の相同性がないにもかかわらず、GH構造を有する顕著な保存を示す。インターフェロンは、モデリングおよび他の研究(「Leeら, J. Interferon Cytokine Res. 15:341 (1995)」; 「Murgoloら, Proteins 17:62 (1993)」; 「Radhakrishnanら, Structure 4:1453 (1996)」; 「Klavsら, J. Mol. Biol. 274:661 (1997) 」)に基づいて、当該ファミリーの一員であると考えられる。エリスロポエチンは、モデリングおよび突然変異誘導法の研究(「Boisselら, J. Biol. Chem. 268: 15983-15993 (1993)」; 「Wenら, J. Biol. Chem. 269: 22839-22846 (1994) 」)に基づいて、当該ファミリーの一員であると考えられる。インターフェロン(INF)(例えば、アルファ、ベータ、オメガ、タウ、イプシロン、およびガンマ インターフェロン)だけでなく、多数の更なるサイトカインおよび成長因子(例としては、繊毛状の神経栄養因子(CNTF)、白血病抑制因子(LIF)、トロンボポエチン(TPO)、オンコスタチン M、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、IL−3、IL−6、IL−7、IL−9、IL−12、IL−13、IL−15、および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)が挙げられる)は、当該ファミリーに属する(「Mott and Campbell, Current Opinion in Structural Biology 5: 114-121 (1995)」; 「Silvennoinen and Ihle (1996) SIGNALLING BY THE HEMATOPOIETIC CYTOKINE RECEPTORS」において概説された)。現在、上記のサイトカインおよび成長因子のすべては、一つの大きい遺伝子ファミリーを構成すると考えられている。
共有する類似した二次および三次構造に加えて、当該ファミリーの一員は、細胞内シグナル伝達経路を活性化するために、細胞表面受容体をオリゴマー形成する必要があるという性質を共有する。GHおよびEPOなどが含まれるいくつかのGHファミリーの一員は、一種類の受容体に結合し、かつそれのホモダイマーを形成させる。IL−2、IL4、およびIL−6などが含まれる他のファミリーの一員は、2種類以上の受容体に結合し、かつその受容体のヘテロダイマーまたはそれよりも高次の集合体を形成させる(「Davisら, (1993) Science 260: 1805-1808」; 「Paonessaら, (1995) EMBO J. 14: 1942-1951」; 「Mott and Campbell, Current Opinion in Structural Biology 5: 114-121 (1995)」)。突然変異誘発の研究は、GHのように、これらの他のサイトカインおよび成長因子が、複数、通常2つの受容体結合部位を含み、かつそれらの同種の受容体に連続的に結合することを示している(「Mott and Campbell, Current Opinion in Structural Biology 5: 114-121 (1995)」; 「Matthewsら, (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 9471-9476」)。GHのように、これらの他のファミリーの一員にとっての主要な受容体結合部位は、主として4つのアルファヘリックスおよびA−Bループに存在する。受容体結合に関与する、ヘリカルバンドルにおける特定のアミノ酸は、当該ファミリーの一員の間で異なる。GHスーパーファミリーの一員と相互作用する細胞表面受容体のほとんどは、構造的に関連し、第2の大きな複数の遺伝子のファミリーを構成する。例えば、参照によって組み込まれる米国特許出願第6,608,183号明細書を参照のこと。
GHスーパーファミリーの多様な一員の突然変異に関する研究から、通常、アルファヘリックスに結合したループが、受容体結合に関与しない傾向があるという一般的な結論が得られた。特に、短いB−Cループは、すべてではないがほとんどのファミリーの一員において、受容体結合に必須ではないと思われる。従って、GHスーパーファミリーの各一員において、該B−Cループは、本明細書に記載されているような非天然アミノ酸で置換され得る。また、A−Bループ、C−Dループ(およびGHスーパーファミリーのインターフェロン/IL−10のような一員のD−Eループ)は、非天然アミノ酸で置換され得る。また、ヘリックスAに近接した、および最後のヘリックスに遠位のアミノ酸は、受容体結合に関与しない傾向があるので、非天然アミノ酸を導入するための部位とであり得る。いくつかの実施形態では、ループ構造内のあらゆる場所(例えば、上記A−B、B−C、C−D、またはD−Eループの最初の1、2、3、4、5、6、7、またはそれ以上のアミノ酸)で、非天然アミノ酸は置換される。いくつかの実施形態では、上記A−B、B−C、C−D、またはD−Eループの最後の1、2、3、4、5、6、7、またはそれ以上のアミノ酸において、非天然アミノ酸は置換される。
EPO、IL−2、IL−3、IL−4、IL−6、IFN、GM−CSF、TPO、IL−10、IL−12、p35、IL−13、IL−15、およびベータ インターフェロンなどを含むGHファミリーの特定の一員は、N−連結および/またはO−連結の糖を含む。上記タンパク質におけるグリコシル化部位は、ほぼ例外なくループ領域に生じ、かつアルファヘリックスバンドルには生じない。ループ部位は、一般的に受容体結合に関与せず、かつ該部位は糖基による共有結合性の結合のための部位であるので、該部位は、非天然アミノ酸の置換を上記タンパク質に導入するための有用な部位であり得る。タンパク質においてN−およびO−連結のグリコシル化部位を含んでいるアミノ酸は、これらのアミノ酸が表面に露出しているので、非天然アミノ酸置換のための部位となり得る。従って、天然のタンパク質は、これらの部位において該タンパク質に付着する嵩高い糖基を許容でき、かつグリコシル化部位は、受容体結合部位から離れて位置する傾向がある。
今後、GH遺伝子ファミリーの更なる構成要素が、おそらく発見されるであろう。GHスーパーファミリーの新しい構成要素は、予想されるタンパク質配列の、コンピューターを使った二次および三次構造解析を経て同定され得る。GHスーパーファミリーの各一員は、通常、非螺旋形のアミノ酸(ループ部位)によって結合される、4つか5つの両親媒性のヘリックスを持つ。該タンパク質は、細胞からの分泌を促進するために、該タンパク質のN末端に疎水性のシグナル配列を含んでいる。また上記のような後日発見されたGHスーパーファミリーの一員は、本明細書に記載の方法および組成物の中に含まれる。
<V.非天然アミノ酸>
本明細書に記載の方法および組成物に使用される非天然アミノ酸は、以下の4つの性質の少なくとも1つを有する:
(1)非天然アミノ酸の側鎖における少なくとも1つの官能基が、(i)遺伝的にコードされる20の一般アミノ酸(すなわち、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン)の化学反応性に対して直交な、もしくは(ii)非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドに存在する天然に生じるアミノ酸の化学反応性に対して少なくとも直交な、特性および/または活性および/または反応性の少なくとも1つを有する;
(2)導入された非天然アミノ酸は、遺伝的にコードされた20の一般アミノ酸に対して実質的に化学的に不活性である;
(3)上記非天然アミノ酸は、(好ましくは天然に生じるアミノ酸と相応の安定性を有しているか、または典型的な生理的条件下において)ポリペプチドに安定に組み込まれてもよく、さらに好ましくはそのような組み込みは、インビボの系によって生じてもよい;ならびに、
(4)非天然アミノ酸は、(i)ジカルボニル基、ジケトン基、ケトアルデヒド基、ケト酸基、ケトエステル基、ケトチオエステル基、ケトアルキン基、ケトアミン基、ジアミン、アルドールに基づく基、ジアミン基、ヒドラジン基、アミジン基、イミン基、1,1−ジアミン基、1,2−ジアミン基、1,3−ジアミン基、1,4−ジアミン基、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環基など)を含んでいるか、または(ii)試薬と反応することによって、ジカルボニル基、ジケトン基、ケトアルデヒド基、ケト酸基、ケトエステル基、ケトチオエステル基、ケトアルキン基、ケトアミン基、ジアミン、アルドールに基づく基、ジアミン基、ヒドラジン基、アミジン基、イミン基、1,1−ジアミン基、1,2−ジアミン基、1,3−ジアミン基、1,4−ジアミン基、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)に変換され得る官能基を含んでいる(なお、上記変換は、非天然アミノ酸を含むポリペプチドの生物学的性質を破壊しない条件下において行われることが好ましい(もちろん、生物学的性質のそのような破壊が修飾/変換の目的である場合を除く)。また、上記変換は、約4から約10の間のpH、約3から約8の間のpH、約2から約9の間のpH、または約4から約9の間のpHにおける水性条件下において起こることが好ましい。また、上記変換では、非天然アミノ酸における反応性部位が求電子性部位である場合が好ましい)。本明細書に記載の組成物および方法とともに使用し得る非天然アミノ酸に関する性質を満たすアミノ酸の、例証的な非限定的な例が、図2−4に示されている。あらゆる多くの非天然アミノ酸は、ポリペプチドに導入され得る。また、非天然アミノ酸は、保護もしくはマスクされた、ジカルボニル基、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)、ケトアルキン、ケトアミン、アルドールに基づく基、ジアミン基、または保護された基もしくはマスクされた基の脱保護の後に、ジカルボニル基、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)、ケトアルキン、ケトアミン、アルドールに基づく基、もしくはジアミン基に変換され得る保護もしくはマスクされた基を含み得る。
本明細書に記載の組成物、および方法に使用し得る非天然アミノ酸の例としては、光活性化可能な架橋剤を含んでいるアミノ酸、スピンラベルしたアミノ酸、蛍光アミノ酸、金属結合アミノ酸、金属含有アミノ酸、放射性アミノ酸、新規な官能基を有するアミノ酸、他の分子と共有結合的または非共有結合的に相互作用するアミノ酸、光ケージドアミノ酸および/または光異性化可能なアミノ酸、ビオチンまたはビオチン類似体を含んでいるアミノ酸、グリコシル化アミノ酸(例えば、サッカライド置換されたセリン)、他の炭水化物を用いて修飾したアミノ酸、ケト含有アミノ酸、ポリエチレングリコールまたはポリエーテルを含んでいるアミノ酸、重原子置換アミノ酸、化学切断可能および/または光切断可能なアミノ酸、天然アミノ酸と比べて延長された側鎖を有するアミノ酸(例としては、ポリエーテルまたは長鎖炭化水素(例としては、約5以上のまたは10以上の炭素が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これに限定されない)、炭素連結型の糖含有アミノ酸、酸化還元活性アミノ酸、アミノチオ酸含有アミノ酸、ならびに1つ以上の毒性部分を含んでいるアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸は、サッカライド部分を含んでいる。そのようなアミノ酸の例としては、N−アセチル−L−グルコサミニル−L−セリン、N−アセチル−L−ガラクトサミニルL−セリン、N−アセチル−L−グルコサミニル−L−トレオニン、N−アセチル−L−グルコサミニル−L−アスパラギン、およびO−マンノサミニル−L−セリンが挙げられる。また、そのようなアミノ酸の例としては、天然に生じるアミノ酸とサッカライドとの間におけるN−またはO−連結が、通常には天然に見られない共有連結(例としては、アルケン、オキシム、チオエーテル、アミド、ヘテロ環(例としては、窒素含有ヘテロ環が挙げられる)、およびジカルボニルなどが挙げられるが、これらに限定されない)によって置き換えられている例が挙げられる。また、そのようなアミノ酸の例としては、天然に生じるタンパク質に通常は見られないサッカライド(例えば、2−デオキシ−グルコース、および2−デオキシガラクトースなど)が挙げられる。
そのようなポリペプチドへの非天然アミノ酸の組み込みを介して、ポリペプチドに組み込まれる化学部分は、多様な利点およびタンパク質の操作を提供する。例えば、固有の非天然アミノ酸(例としては、フェニルアジド側鎖が挙げられるが、これに限定されない)は、例えば、タンパク質のインビボおよびインビトロにおける効率的な光架橋を可能にする。光活性化非天然アミノ酸の例としては、p−アジド−フェニルアラニンおよびp−ベンゾイル−フェニルアラニンが挙げられるが、これらに限定されない。それから、光活性化非天然アミノ酸を有するポリペプチドは、光活性化基供給の(photoreactive group-providing)一時的な制御の励起によって、自由自在に架橋され得る。非限定的な例において、非天然アミノ酸のメチル基は、核磁気共鳴および振動分光法(例として挙げられるが、これらに限定されない)を利用して、局所的な構造および動態のプローブとして、光異性化標識(例としては、メチル基が挙げられるが、これに限定されない)を用いて置換され得る。
‐A.非天然アミノ酸(ジアミン基、ジアミン様基、マスクされたジアミン基および保護されたジアミン基)の構造および合成‐
求核性反応基を有するアミノ酸は、特に求電子付加性反応を介して分子を連結する多様な反応を可能にする。そのような求核性反応基の例としては、ジアミン基(例としては、ヒドラジン基、アミジン基、イミン基、1,1−ジアミン基、1,2−ジアミン基、1,3−ジアミン基、および1,4−ジアミン基が挙げられる)、ジアミン様基(ジアミン基と類似の反応性を有し、かつジアミン基と構造的に類似する基)、マスクされたジアミン基(容易にジアミン基に変換され得る)、または保護されたジアミン基(脱保護によってジアミン基と類似の反応性を有する)が挙げられる。そのようなアミノ酸には、一般式(I):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−C(O)R’’−、S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは、H、アルキルまたは置換アルキルである);
Jは、
Figure 2009522275
であり(RおよびRは独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、またはアミン保護基から選択され;
は、結合、任意に置換されたC1−4アルキレン、任意に置換されたC1−4アルケニレン、または任意に置換されたヘテロアルキルであり;
は、任意に置換されたC1−4アルキレン、任意に置換されたC1−4アルケニレン、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり;
任意の置換基のそれぞれは独立して、低級アルキル、置換低級アルキル、低級シクロアルキル、置換低級シクロアルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、アルキニル、低級ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、低級ヘテロシクロアルキル、置換低級ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または置換アラルキルから選択され);
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成するか;
または、−A−B−J−R基は、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、またはマスクされたジアミン基を含んでいる、2環式のまたは3環式のシクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成するか;
または、−B−J−R基は、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、またはマスクされたジアミン基を含んでいる、2環式のまたは3環式のシクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成するか;
−J−Rは、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、またはマスクされたジアミン基を含んでいる、単環式のまたは2環式のシクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成し;
−A−B−J−Rにおけるアミン基の少なくとも1つは、任意に保護されたアミンである)。
一態様では、本発明の化合物は、構造1または2:
Figure 2009522275
を含んでいる化合物、あるいはその活性な代謝産物、塩、または薬学的に許容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物である(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
は、結合またはCHであり;Tは、CHであり;
(任意の置換基のそれぞれは独立して、低級アルキル、置換低級アルキル、低級シクロアルキル、置換低級シクロアルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、アルキニル、低級ヘテロアルキル、置換低級ヘテロアルキル、低級ヘテロシクロアルキル、置換低級ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または置換アラルキルから選択される);
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成するか;
または−A−B−ジアミン含有部分は、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、またはマスクされたジアミン基を含んでいる、2環式のシクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成するか;
あるいは、−B−ジアミン含有部分は、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、またはマスクされたジアミン基を含んでいる、2環式または3環式の、シクロアルキル、シクロアリールもしくはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成し;
−A−B−ジアミン含有部分におけるアミン基の少なくとも1つは、任意に保護されたアミン基である)。
一実施形態では、構造1または2の化合物におけるAは、フェニレン、ピリジニレン、ピリミジニレンまたはチオフェニレンから成る群から選択される、置換もしくは非置換の低級アルキレン、または置換もしくは非置換のアリーレンである。他の実施形態では、構造1または2の化合物におけるBは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、または−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−である。他の実施形態では、構造1または2の化合物におけるBは、−O(CH)−、−NHCH−、−C(O)−(CH)−、CONH−(CH)−、−SCH−、−S(=O)CH−、または−S(O)CH−である。他の実施形態では、構造1または2の化合物におけるRは、H、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、N−アセチル、テトラフルオロアセチル(TFA)、またはベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。請求項1の化合物におけるRは、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドである。他の実施形態では、構造1または2の化合物におけるRは、OH、O−メチル、O−エチル、またはO−t−ブチルである。他の実施形態では、構造1または2の化合物におけるRは、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドである。他の実施形態では、構造1または2の化合物における、Rはポリヌクレオチドである。他の実施形態では、構造1または2の化合物における、Rはリボ核酸(RNA)である。さらなる実施形態では、構造1または2の化合物におけるRはtRNAである。他の実施形態では、構造1または2の化合物におけるtRNAは、セレクターコドンを特異的に認識する。他の実施形態では、構造1または2の化合物におけるセレクターコドンは、アンバーコドン、オーカーコドン、オパールコドン、ユニークコドン、レアコドン、非天然コドン、5塩基コドンおよび4塩基コドンから成る群から選択される。さらなる実施形態では、構造1または2の化合物におけるRはサプレッサーtRNAである。
一般式(I)の構造を有するアミノ酸の非限定的な例としては、以下の:
Figure 2009522275
が挙げられる。また、そのような非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよいし、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、ポリサッカライド、もしくはポリヌクレオチドに組み込まれてもよいし、および/または任意に翻訳後修飾されてもよい。
ある種の実施形態では、一般式(I)の化合物は、穏やかな酸性条件下において少なくとも1ヶ月間、水溶液において安定である。ある種の実施形態では、一般式(I)の化合物は、穏やかな酸性条件下において少なくとも2週間、水溶液において安定である。ある種の実施形態では、一般式(I)の化合物は、穏やかな酸性条件下において少なくとも5日間、水溶液において安定である。ある種の実施形態では、そのような酸性条件は、約2から約8のpHである。
一般式(I)の化合物のある種の実施形態では、Bは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、C(R’)=NN(R’)−、−N(R’)CO−、C(O)−、−C(R’)=N−、C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、CON(R’)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、または−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−である。一般式(I)の化合物のある種の実施形態では、Bは、−O(CH)−、−CH=N−、CH=NNH−、−NHCH−、−NHCO−、C(O)−、C(O)(CH)−、CONH(CH)−、−SCH−、S(=O)CH−、または−S(O)CH−である。一般式(I)の化合物のある種の実施形態では、Rは、C1−6アルキルまたはシクロアルキルである。一般式(I)の化合物のある種の実施形態では、Rは、CH、CH(CH3)、またはシクロプロピルである。一般式(I)の化合物のある種の実施形態では、Rは、H、tert−ブチロキシカルボニル(Boc)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、N−アセチル、テトラフルオロアセチル(TFA)、またはベンジロキシカルボニル(Cbz)である。一般式(I)の化合物のある種の実施形態では、Rは、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドである。一般式(I)の化合物のある種の実施形態では、Rは、OH、O−メチル、O−エチル、またはO−t−ブチルである。一般式(I)の化合物のある種の実施形態では、Rは、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドである。一般式(I)のある種の実施形態では、Rは、ポリヌクレオチドである。一般式(I)の化合物のある種の実施形態では、Rは、リボヌクレオチド(RNA)である。一般式(I)の化合物のある種の実施形態では、Rは、tRNAである。一般式(I)の化合物のある種の実施形態では、tRNAは、セレクターコドンを特異的に認識する。一般式(I)のある種の実施形態では、セレクターコドンは、アンバーコドン、オーカーコドン、オパールコドン、ユニークコドン、レアコドン、非天然コドン、5塩基コドン、および4塩基コドンから成る群から選択される。一般式(I)の化合物のある種の実施形態では、Rは、サプレッサーtRNAである。
また、一般式(I)の構造を有するアミノ酸の例としては、一般式(II):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が挙げられる(Rのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)R’(kは1、2または3である)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’から成る群から選択され、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである)。
さらなる、または付加的な実施形態では、本発明の化合物は、構造3または4:
Figure 2009522275
に対応する化合物である(Rのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’’)、−C(O)N(R’’)、−OR’’、および−S(O)R’’から成る群から選択され、kは1、2、または3であり、R’’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)。
また、一般式(II)の構造を有するアミノ酸の非限定的な例として、以下の:
Figure 2009522275
が挙げられる。また、そのような非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよいし、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、ポリサッカライド、もしくはポリヌクレオチドに組み込まれてもよいし、および/または任意に翻訳後修飾されてもよい。
また、一般式(I)の構造を有するアミノ酸は、一般式(III):
Figure 2009522275
の構造を有する保護された形態であり得る(Protは、アミン保護基(特に限定されないが、
Figure 2009522275
が含まれる)である)。いくつかの実施形態では、J基の少なくとも1つのアミン基が保護され得るか、他の実施形態では両方のアミン基が保護される。
さらに、一般式(III)の構造を有する保護されたアミノ酸の例としては、一般式(IV):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
一般式(IV)の構造を有する保護されたアミノ酸の非限定的な例としては、
Figure 2009522275
が挙げられる。また、上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよいし、非天然アミノ酸ポリペプチド、ポリマー、ポリサッカライド、もしくはポリヌクレオチドに組み込まれてもよいし、および/または任意に翻訳後修飾されてもよい。
他の実施形態では、ポリペプチドは、構造1または2を有する化合物の少なくとも1つを組み込んでいるポリペプチドである。
他の実施形態では、上記ポリペプチドは、所望のポリペプチドの群から選択される治療タンパク質と相同なタンパク質である。
ジアミン含有非天然アミノ酸のさらなる非限定的な例が、図2に示されている。ジアミン含有アミノ酸の非限定的な合成例は、本明細書に記載され、かつ図7および8に表されている。
‐B.非天然アミノ酸(ジカルボニル基、ジカルボニル様基、マスクされたジカルボニル基、および保護されたジカルボニル基)の構造および合成‐
求電子反応性基を有するアミノ酸は、特に求核付加反応を介して分子を連結する多様な反応を可能にする。そのような求電子反応性基の例としては、ジカルボニル基(例としては、ジケトン基、ケトアルデヒド基、ケト酸基、ケトエステル基、およびケトチオエステル基が挙げられる)、ジカルボニル様基(ジカルボニル基と類似の反応性を有し、かつジカルボニル基と構造的に類似している)、マスクされたジカルボニル基(容易にジカルボニル基に変換され得る)、または保護されたジカルボニル基(脱保護によってジカルボニル基と同様の反応性を有する)が挙げられる。そのようなアミノ酸に、一般式(V):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級へテロシクロアルキレン、置換低級へテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
Kは、
Figure 2009522275
であり(Tは、結合、任意に置換されたC1−4アルキレン、任意に置換されたC1−4アルケニレン、または任意に置換されたヘテロアルキルであり、任意の置換基のそれぞれは独立して、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級へテロシクロアルキレン、置換低級へテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンから選択され);
は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択され(R’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
は、
Figure 2009522275
であり(Xのぞれぞれは独立して、−O−、−S−、−N(H)−、−N(R)−、−N(Ac)−、および−N(OMe)−から成る群から選択され;Xは、−OR、−OAc、−SR、−N(R)、−N(R)(Ac)、−N(R)(OMe)、またはNであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである);
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、H、ハロゲン、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであるか;
または、−A−B−K−R基は、少なくとも1つのカルボニル基(ジカルボニル基など)、保護されたカルボニル基(保護されたジカルボニル基など)、またはマスクされたカルボニル基(マスクされたジカルボニル基など)を含んでいる、2環式のまたは3環式の、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成するか;
−K−R基は、少なくとも1つのカルボニル基(ジカルボニル基など)、保護されたカルボニル基(保護されたジカルボニル基など)、またはマスクされたカルボニル基(マスクされたジカルボニル基など)を含んでいる、単環式のまたは2環式の、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成する)。
さらに、一般式(V)の構造を有するアミノ酸の例としては、一般式(VI):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が挙げられる(Mは、結合、−C(R)(R)−、−O−、−S−、−C(R)(R)−C(R)(R)−、−C(R)(R)−O−、−C(R)(R)−S−、−O−C(R)(R)−、−S−C(R)(R)、−C(R)=C(R)−、または−C(R)=C(R)−であり;
およびRは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルから選ばれるか、
またはRおよびRもしくは2つのR基もしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成する)。
一般式(VI)の構造を有するアミノ酸の例としては、一般式(VII):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が挙げられる(Rのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)R’、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’から成る群から選択され、kは1、2または3であり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)。
また、一般式(VII)の構造を有するアミノ酸には、一般式(VIII)および一般式(IX):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる。なお、一般式(VIII)または一般式(IX)の構造を有する非限定的なアミノ酸には、以下の:
Figure 2009522275
が含まれる)。また、そのような非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよいし、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、ポリサッカライド、もしくはポリヌクレオチドに組み込まれてもよいし、および/または任意に翻訳後修飾されてもよい。
別のジカルボニル含有アミノ酸には、一般式(X):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級へテロシクロアルキレン、置換低級へテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
は、
Figure 2009522275
であり、(a)は、B基に対する結合を示し、(b)は、それぞれのカルボニル基に対する結合を示し;
は、結合、C(R)(R)、O、またはSであり;
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであるか、またはRおよびR、もしくは2つのR基もしくは2つのR基は、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成する)。
一般式(X)の構造を有するアミノ酸には、一般式(XI)および一般式(XII):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Rのそれぞれは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)R’、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’;kは1、2または3であり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである)。
その上に、一般式(XI)および一般式(XII)の構造を有するアミノ酸には、一般式(XIII)および一般式(XIV):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる。
また、一般式(XIV)の構造を有するアミノ酸には、以下の:
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる。そのような非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよいし、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、ポリサッカライド、もしくはポリヌクレオチドに組み込まれてもよいし、任意に翻訳後修飾されてもよい。
別のジカルボニル含有アミノ酸には、一般式(XV):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Bは、任意であり、かつ存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−C(O)R’’−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−NS(O)2−、−OS(O)2−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択されるリンカーであり(R’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
は、結合、−C(R)(R)−、−O−、−S−、−C(R)(R)−C(R)(R)−、−C(R)(R)−O−、−C(R)(R)−S−、−O−C(R)(R)−、−S−C(R)(R)、−C(R)=C(R)−、または−C(R)=C(R)−であり;
は、結合、C(R)(R)、O、またはSであり;
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、もしくは置換シクロアルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基もしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成し;
のそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)R’、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’から成る群から選択され、kは1、2または3であり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルであり;nは0から8である)。
また、一般式(XV)の構造を有するアミノ酸には:
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる。そのような非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよいし、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、ポリサッカライド、もしくはポリヌクレオチドに組み込まれてもよいし、任意に翻訳後修飾されてもよい。
(保護されたカルボニル基を有するアミノ酸)
保護されたカルボニル基を少なくとも1つ有するアミノ酸には、一般式(XVI):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級へテロシクロアルキレン、置換低級へテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは、H、アルキルまたは置換アルキルである);
は、結合、−C(R)(R)−、−O−、−S−、−C(R)(R)−C(R)(R)−、−C(R)(R)−O−、−C(R)(R)−S−、−O−C(R)(R)−、−S−C(R)(R)、−C(R)=C(R)−、または−C(R)=C(R)−であり;
は、結合、C(R)(R)、O、またはSであり;
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基もしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成し、
は、特に限定されないが、
Figure 2009522275
(Xのそれぞれは独立して、O、S、NH、NR’、N−Ac、およびN−OMeから成る群から選択され、Xは、O−R、O−Ac、SR、S−Ac、N(R’)(R’)、N(R’)(Ac)、N(R’)(OMe)、またはNである)を含む、カルボニル保護基である)。
一般式(XVI)の構造を有するアミノ酸には、一般式(XVII)、一般式(XVIII)、および一般式(XIX):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Rのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)R’、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’から成る群から選択され、kは1、2または3であり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)。
さらに、保護されたカルボニルを有するアミノ酸には、一般式(XXI)、一般式(XXII)、一般式(XXIII)、一般式(XXIV)、および一般式(XXV):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Xは、O、S、NH、NR’、N−Ac、またはN−OMeであり;Rのそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)。
さらに、保護されたカルボニル基を含むアミノ酸には:
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる。そのような非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよいし、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、ポリサッカライド、もしくはポリヌクレオチドに組み込まれてもよいし、任意に翻訳後修飾されてもよい。
さらに、保護されたカルボニル基を少なくとも1つ有するアミノ酸には、一般式(XXVI):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
Qは、
Figure 2009522275
であり;
は、
Figure 2009522275
((a)は、B基との結合を示し、かつ(b)それぞれのカルボニル基との結合を示す)であり;
は、結合、C(R)(R)、OまたはSであり;
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルから選ばれるか、またはRおよびRもしくは2つのRもしくは2つのRは、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成し、
は、特に限定されないが、
Figure 2009522275
(Xのそれぞれは独立して、O、S、NH、NR’、N−Ac、およびN−OMeから成る群から選択され、Xは、O−R、O−Ac、SR、S−Ac、N(R’)(R’)、N(R’)(Ac)、N(R’)(OMe)、またはNである)を含む、カルボニル保護基である)。
一般式(XXVI)の構造を有するアミノ酸には、一般式(XXVII)、一般式(XXVIII)、および一般式(XXIX):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Rのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)R’、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’から成る群から選択され、kは1、2または3であり、かつR’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)。
さらに、保護されたカルボニルを有するアミノ酸には、以下の一般式(XXX):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Bは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(kは、1、2、または3である)、S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−NS(O)−、−OS(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−C(R’)=N−、C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択されるリンカーであり(R’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
は、結合、−C(R)(R)−、−O−、−S−、−C(R)(R)−C(R)(R)−、−C(R)(R)−O−、−C(R)(R)−S−、−O−C(R)(R)−、−S−C(R)(R)、−C(R)=C(R)−、または−C(R)=C(R)−であり;
は、結合、C(R)(R)、O、またはSであり;
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、もしくはシクロアルキル、置換シクロアルキルから選ばれるか、またはRおよびRもしくは2つのRもしくは2つのRは、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成し;
は、特に限定されないが、
Figure 2009522275
(Xのそれぞれは独立して、O、S、NH、NR’、N−Ac、およびN−OMeから成る群から選択され、Xは、O−R、O−Ac、SR、S−Ac、N(R’)(R’)、N(R’)(Ac)、N(R’)(OMe)、またはNである)を含む、カルボニル保護基であり;
のそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)R’、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’から成る群から選択され、kは1、2または3であり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルであり;nは0から8である)。
保護されたカルボニル基を有するアミノ酸には、以下の一般式(XXX):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる。そのような非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよいし、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、ポリサッカライド、もしくはポリヌクレオチドに組み込まれもよいし、任意に翻訳後修飾されてもよい。
カルボニル含有アミノ酸、またはジカルボニル含有アミノ酸の合成方法は、当業者に公知である。さらに、カルボニル含有アミノ酸、またはジカルボニル含有アミノ酸の多様な合成について、引用によってその全体が本明細書に組み込まれる米国仮出願第60/638,418号明細書に記載されている。p−アセチル(+/−)−フェニルアラニン、およびm−アセチル−(+/−)−フェニルアラニンは、これも引用によってその全体が本明細書に組み込まれる「Zhang、Z., et al., Biochemistry 42: 6735- 6746 (2003)」に記載されている。
ジカルボニル含有アミノ酸のさらなる非限定的な例が、図3に示されている。ジカルボニル含有アミノ酸の非限定的な合成例が、図5および図6に示されている。
いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドは、反応性のカルボニル官能基またはジカルボニル官能基を生成するように、化学的に修飾される。例えば、接合反応に有用なアルデヒド機能性基は、隣接するアミノ基およびヒドロキシ基を有する機能性基から生成され得る。生物学的に活性な分子がポリペプチドである場合、例えば、N−末端のセリンまたはトレオニン(通常に存在し得るか、化学的または酵素的な消化を介して露出され得る)が、過ヨウ素酸塩を用いた穏やかな酸化的開裂条件においてアルデヒド機能性基を生成するために使用され得る。例えば、「Gaertnerら., Bioconjug. Chem. 3: 262-268 (1992) 」;「Geoghegan, K. & Stroh, J., Bioconjug. Chem. 3:138-146 (1992) 」;「Gaertner et al., J. Biol. Chem. 269:7224-7230 (1994) 」を参照のこと。しかし、当該分野において公知の方法は、ポリペプチドまたはタンパク質のN−末端におけるアミノ酸に限られる。
また、例えば、ヒドロキシル基とアミノ基とが隣接している非天然アミノ酸は、「マスクされた」アルデヒド機能性基として、ポリペプチドに組み込まれ得る。例えば、5−ヒドロキシリジンは、イプシロンアミンに隣接するヒドロキシ基を有する。アルデヒドを生成する反応条件は、典型的に、ポリペプチド内の他の部位における酸化を避けるために、穏やかな条件下における、過剰なモル濃度のメタ過ヨウ素酸塩の添加を含んでいる。酸化反応のpHは、典型的に約7.0である。典型的な反応は、緩衝化されたポリペプチドの溶液に対して約1.5モル濃度のナトリウム化ヨウ素酸塩を添加した後に、暗所における10分間のインキュベーションを含んでいる。例えば、米国特許第6,423,685号明細書を参照のこと。
‐C.非天然アミノ酸(ケトアルキン基、ケトアルキン様基、マスクされたケトアルキン基、および保護されたケトアルキン基)の構造および合成‐
ジカルボニル様の反応性を有する反応性基を含む、アミノ酸は、求核付加反応を介した分子の連結を可能にする。そのような求核性反応基の例としては、ケトアルキン基、ケトアルキン様基(ケトアルキン基と類似の反応性を有し、かつケトアルキン基と構造的に類似である基)、マスクされたケトアルキン基(容易にケトアルキン基に変換され得る)、または保護されたケトアルキン基(脱保護によってケトアルキン基と類似の反応性を有する)が挙げられる。そのようなアミノ酸には、一般式(XXXI):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
Gは、
Figure 2009522275
であり;
は、特に限定されないが、
Figure 2009522275
(Xのぞれぞれは独立して、−O−、−S−、−N(H)−、−N(R)−、−N(Ac)−、および−N(OMe)−から成る群から選択され;Xは、−OR、−OAc、−SR、−N(R)、−N(R)(Ac)、−N(R)(OMe)、またはNであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである)を含む、カルボニル保護基であり;
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成する)。
一般式(XXXI)の構造を有するアミノ酸には、一般式(XXXII)および一般式(XXXIV):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Rのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)R’、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’から成る群から選択され、kは1、2または3であり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)。
ケトアルキン含有非天然アミノ酸のさらなる非限定的な例が、図4に示されている。
‐D.非天然アミノ酸(ケトアミン基、ケトアミン様基、マスクされたケトアミン基、および保護されたケトアミン基)の構造および合成‐
ジカルボニル様反応性を有する反応性基を含む、アミノ酸は、求核付加反応を介した分子の連結を可能にする。そのような反応性基の例としては、ケトアミン基、ケトアミン様基(ケトアミン基と類似の反応性を有し、かつ構造的にケトアミン基と類似である基)、マスクされたケトアミン基(容易にケトアミン基に変換され得る)、保護されたケトアミン基(脱保護によってケトアミン基と類似の反応性を有する)、が挙げられる。そのようなアミノ酸には、一般式(XXXIV):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
Gは、
Figure 2009522275
であり;
は、任意に置換されたC1−4アルキレン、任意に置換されたC1−4アルケニレン、または任意に置換されたヘテロアルキルであり;
は、特に限定されないが、
Figure 2009522275
(Xのぞれぞれは独立して、−O−、−S−、−N(H)−、−N(R’)−、−N(Ac)−、および−N(OMe)−から成る群から選択され;Xは、−OR、−OAc、−SR’、−N(R’)、−N(R’)(Ac)、−N(R’)(OMe)、またはNであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)を含む、カルボニル保護基であり;
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、または置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成する)。
一般式(XXXIV)の構造を有するアミノ酸には、一般式(XXXV)、および一般式(XXXVI):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Rのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)R’(kは1、2または3である)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’から成る群から選択され、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである)。
‐E.非天然アミノ酸(ヘテロ環含有アミノ酸)の構造および合成‐
本明細書に記載のある種の実施形態では、非天然アミノ酸は、ヘテロ環式基、マスクされたヘテロ環式基(容易にヘテロ環式基に変換され得る)、または保護されたヘテロ環式基(容易にヘテロ環式基に脱保護され得る)を含んでいる側鎖を有する、非天然アミノ酸である。そのようなアミノ酸には、一般式(XXXVII)の構造:
Figure 2009522275
を有するアミノ酸が含まれる(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
Qは、任意に置換されたヘテロ環、または任意に置換されたヘテロアリールであり(任意の置換基のそれぞれは独立して、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンから選択される);
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基は、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成し;
は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)であるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキルである);
または、RはL−Xである(Xは、所望の機能性基から成る群から選択され;
Lは、任意であり、存在するときは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは、1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−O−N=CR’−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択されるリンカーであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである))。
一般式(XXXVII)の構造を有する上記非天然アミノ酸の形成には、(i)ジカルボニル含有試薬とジアミン含有非天然アミノ酸との反応、もしくはケトアルキン含有試薬とジアミン含有非天然アミノ酸との反応、(ii)ジアミン含有試薬のいずれかとジカルボニル含有非天然アミノ酸との反応、もしくはケトアミン含有試薬とジカルボニル含有非天然アミノ酸との反応、(iii)ジアミン含有試薬とケトアルキン含有非天然アミノ酸との反応、または(iv)ジカルボニル含有試薬とケトアミン含有非天然アミノ酸との反応が挙含まれるが、これらに限定されない。
上記反応を用いた本明細書に記載の非天然アミノ酸の修飾は、以下のあらゆる、またはすべての利点を有する。第1に、ジアミンは、約5から約8のpHの範囲において、ジカルボニル含有化合物と縮合することにより、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)が生成する(なお、上記pHの範囲は、さらなる実施形態では、約4から約10のpHの範囲であり、他の実施形態では約3から約8のpHの範囲であり、他の実施形態では約4から約9のpHの範囲であり、さらなる実施形態では約4から約9のpHの範囲であり、他の実施形態では約4のpHの範囲であり、さらに別の実施形態では約8のpHの範囲である)。これらの条件において、天然に生じるアミノ酸の側鎖は、不活性である。第2に、そのような選択的な化学的性質は、組み換えタンパク質の部位特異的誘導体化を可能にし;誘導体化されたタンパク質は、明らかに均質な産物として直ちに調製され得る。第3に、本明細書に記載のジカルボニ含有ポリペプチドと本明細書に記載のジアミンとの反応を行うために必要な穏やかな条件は、一般的に、ポリペプチドの3次元構造を不可逆的に破壊しない(もちろん、反応の目的が、そのような3次元構造の破壊である場合を除く)。第4に、反応は室温において、素早く起こる。このため、高温において不安定な、多種類のポリペプチドまたは試薬の利用が可能になる。第5に、反応は水性条件において、素早く起こる。このため、非水性溶液と(あらゆる程度に)適合しないポリペプチドまたは試薬の使用が可能になる。第6に、反応は、試薬に対するポリペプチドまたはアミノ酸の割合が、化学量論的、化学量論様、またはほぼ化学量論的であるときでさえ、容易に起こる。このため、有効量の反応産物を得るために、過剰の試薬またはポリペプチドを加える必要がない。第7に、生じたヘテロ環は、反応物質のジアミン部分およびジカルボニル部分の設計に依存して、位置選択的および/または位置特異的に製造され得る。最後に、ジカルボニル含有分子とジアミンとの縮合により、生物学的条件において安定なヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)連結が生成する。
(i)ジカルボニル含有試薬とジアミン含有非天然アミノ酸との反応、またはケトアルキン含有試薬とジアミン含有非天然アミノ酸との反応
ジアミン基を含む非天然アミノ酸は、接合体(例としては、PEGまたは他の水溶性ポリマーとの接合体が挙げられるが、これらに限定されない)を形成するための、多様な求電子性基との反応を可能にする。ジアミン基の求核性により、ジアミン基が、カルボニルまたはジカルボニル機能性基、または様々な化学反応性を有する他の官能基を含んでいる分子と、水溶液中で穏やかな条件下において効率よく選択的に反応することができ、対応するイミン連結が形成される。さらに、カルボニル基またはジカルボニル基の独自の反応性は、他のアミノ酸側鎖の存在下において選択的な修飾を可能にする。例えば、「Cornish, V. W.ら, J. Am. Chem. Soc. 118:8150-8151 (1996) 」;「Geoghegan, K. F. & Stroh, J. G., Bioconjug. Chem. 3:138-146 (1992) 」;「Mahal, L. K.ら, Science 276:1125-1128 (1997) 」を参照のこと。
一般式(XXXVII)の構造を有する、ヘテロ環側鎖を含んでいる上記アミノ酸には、一般式(XXXVIII)、および一般式(XXXIX):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Zは、結合、CR、O、S、NR’、CR−CR、CR−O、O−CR、CR−S、S−CR、CR−NR’、NR’−CRであり;
は、結合、任意に置換されたC1−4アルキレン、任意に置換されたC1−4アルケニレン、任意に置換されたヘテロアルキル、−O−、−S−、−C(O)−、−C(S)−、−N(R’)−から成る群から選択され;
R’は、H,アルキル、または置換アルキルであり;
のそれぞれは独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)であるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキルである);
または、RはL−Xであり(Xは、所望の機能性基から成る群から選択され;
Lは、任意であり、存在するときは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは、1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−O−N=CR’−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択されるリンカーであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである);
および各Rは独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)から成る群から選択されるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または置換アラルキルである);
または、隣接する任意の2つのR基は、任意に置換された5から8員環のヘテロ環、シクロアルキルまたはアリール環を一緒になって形成し;上記任意の置換基は、ハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、アリール、ハロアリール、およびヘテロアリールから選択され;
ヘテロ環構造における、上記ZとZとの環原子の総数は、3以下である。
さらに、以下の一般式(XL)、一般式(XLI)、および一般式(XLII):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Rのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)R’、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’から成る群から選択され、kは1、2または3であり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)。
また、一般式(XL)、一般式(XLI)、および一般式(XLII)の構造を有するアミノ酸には、:
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる。
(ii)ジアミン含有試薬またはケトアミン含有試薬のいずれかとのジカルボニル含有非天然アミノ酸との反応
求電子性基を有する非天然アミノ酸は、特に求核付加反応を介して分子を連結するための多様な反応を可能にする。そのような求電子反応基の例としては、ジカルボニル基(例としては、ジケトン基、ケトアルデヒド基、ケト酸基、ケトエステル基、およびケトチオエステル基が挙げられる)、ジカルボニル様基(ジカルボニル基と類似の反応性を有し、かつジカルボニル基と構造的に類似である)、マスクされたジカルボニル基(容易にジカルボニル基に変換され得る)、または保護されたジカルボニル基(脱保護によってジカルボニルと類似の反応性を有する)が挙げられる。ジカルボニル基を含む非天然アミノ酸は、接合体(例としては、PEGまたは他の水溶性ポリマーとの接合体が挙げられるが、これらに限定されない)を形成するための多様な求核性基との反応を可能にする。ジカルボニル基の求電子性は、ジカルボニル基が、アミン基、ジアミン基、ケトアミン基、または類似の化学反応性を有する他の官能基を含む多様な分子との反応を、許容する。
従って、本明細書に記載のある種の実施形態では、非天然アミノ酸は、ヘテロ環基、マスクされたヘテロ環基(容易にヘテロ環に変換され得る)、または保護されたヘテロ環基(脱保護によって他の化学反応に対する反応性を有する)を含んでいる側鎖を有する、非天然アミノ酸である。ここで、そのようなヘテロ環基は、アミン、ジアミン、ケトアミン、または類似の化学反応性を有する他の官能基を含む多様な分子と、ジカルボニル含有非天然アミノ酸との反応によって形成される。
一般式(XXXVII)の構造を有する上記アミノ酸には、一般式(XLIII)、一般式(XLIV)、一般式(XLV)、一般式(XLVI)、一般式(XLVII)、および一般式(XLVIII):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Zは、結合、CR、CR−CR、CR−O、O−CR、S−CR、NR−CR、CR−S、CR−NRであり;
は、任意に置換されたC1−3アルキレン、任意に置換されたC1−3アルケニレン、任意に置換されたヘテロアリール、およびNから成る群から選択され;
は、
Figure 2009522275
であり((a)は、B基に対する結合を示し、(b)は、ヘテロ環基内のそれぞれの位置に対する結合を示す);
は、
Figure 2009522275
であり((a)は、B基に対する結合を示し、(b)は、ヘテロ環基内のそれぞれの位置に対する結合を示す);
は、
Figure 2009522275
であり((a)は、B基に対する結合を示し、(b)は、ヘテロ環基内のそれぞれの位置に対する結合を示す);
は、結合、C(R)(R)、O、またはSであり、Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、および置換アラルキルである);
ヘテロ環構造における、上記ZとZとの環原子の総数は、3以下であるか、または、ヘテロ環構造における、上記ZとZとの環原子の総数は、3以下であるか;
は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)であるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキルである);
または、RはL−Xである(Xは、所望の機能性基から成る群から選択され;
Lは、任意であり、存在するときは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは、1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−O−N=CR’−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択されるリンカーであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである))。
また、一般式(XLIII)、一般式(XLIV)、一般式(XLV)、一般式(XLVI)、一般式(XLVII)、一般式(XLVIII)の構造を有するアミノ酸には、以下の一般式(XLIX)、一般式(L)、一般式(LI)、一般式(LII)、一般式(LIII)、および一般式(LIV):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Rは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’から成る群から選択され、kは1、2または3である)。
さらに一般式(XXXVII)の構造を有するアミノ酸には、:
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Rは独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)から成る群から選択され、R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、および置換アラルキルである)。
また、ケトアミンとジカルボニル含有アミノ酸との反応によって形成される、ヘテロ環基の側鎖を有する非天然アミノ酸も含まれる。そのようなアミノ酸には、一般式(LV)、および一般式(LVI):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基は、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成し;
は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)であるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキルである);
または、RはL−Xであり(Xは、所望の機能性基から成る群から選択され;
Lは、任意であり、存在するときは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは、1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−O−N=CR’−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択されるリンカーであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである);
は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)から成る群から選択される(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または置換アラルキルである))。
また、一般式(LV)、または一般式(LVI)の構造を有するアミノ酸には:
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる。
ジアミン含有試薬とジカルボニル含有アミノ酸との反応を介した、ヘテロ環含有アミノ酸の非限定的な合成例は、図11に表されている。
(iii)ジアミン含有試薬とケトアルキン含有非天然アミノ酸との反応
ジカルボニル様の反応性を有する反応性基を含む非天然アミノ酸は、求核付加反応を介した分子の連結を可能にする。そのような求電子反応性基の例としては、ケトアルキン基、ケトアルキン様基(ケトアルキンと類似の反応性を有し、かつケトアルキンと構造的に類似である)、マスクされたケトアルキン基(容易にケトアルキン基に変換され得る)、または保護されたケトアルキン基(脱保護によってケトアルキン基と類似の反応性を有する)が挙げられる。ケトアルキン基を含む非天然アミノ酸は、PEGまたは他の水溶性ポリマーとの(例として挙げられるが、これらに限定されない)接合体を形成するための、多様な基(例えば、ジアミン基であるが、これに限定されない)との反応を可能にする。
従って、本明細書に記載のある種の実施形態では、非天然アミノ酸は、ヘテロ環、マスクされたヘテロ環(容易にヘテロ環に変換され得る)、または保護されたヘテロ環(脱保護によって他の化学反応に関する反応性を有する)を含んでいる側鎖を有する、非天然アミノ酸である。ここで、そのようなヘテロ環基は、アミン、ジアミン類似の反応性を有する他の官能基を含む多様な分子との、ケトアルキン含有非天然アミノ酸の反応によって形成される。
一般式(XXXVII)の構造を有するそのようなアミノ酸には、一般式(LVII)から一般式(LX):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Zは、結合、CR、CR−CR、CR−O、O−CR、S−CR、NR−CR、CR−S、CR−NRであり;
は、結合、任意に置換されたC1−4アルキレン、任意に置換されたC1−4アルケニレン、任意に置換されたヘテロアルキル、−O−、−S−、−C(O)−、−C(S)−、および−N(R’)−から成る群から選択され;
は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、および置換アラルキルである);
は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)であるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキルである);
または、RはL−Xである(Xは、所望の機能性基から成る群から選択され;
Lは、任意であり、存在するときは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは、1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−O−N=CR’−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択されるリンカーであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである))。
ジアミン含有試薬とケトアルキン含有非天然アミノ酸との反応を介した、ヘテロ環含有非天然アミノ酸の非限定的な合成例は、図13に表されている。
(iv)ジカルボニル含有試薬とケトアミン含有非天然アミノ酸との反応
ジカルボニル様反応性を有する反応性基を含む非天然アミノ酸は、求核付加反応を介した分子の連結を可能にする。そのような反応性基の例としては、ケトアミン基、ケトアミン様基(ケトアミン基と類似の反応性を有し、かつケトアミン基と構造的に類似する)、マスクされたケトアミン基(容易にケトアミン基に変換され得る)、保護されたケトアミン基(脱保護によってケトアミンと類似の反応性を有する)が挙げられる。ケトアミン基を含む非天然アミノ酸は、PEGまたは他の水溶性ポリマーとの(例として挙げられるが、これらに限定されない)接合体を形成するための、多様な基(例えば、ジカルボニル基であるが、これに限定されない)との反応を可能にする。
従って、本明細書に記載のある種の実施形態では、非天然アミノ酸は、ヘテロ環基、マスクされたヘテロ環基(容易にヘテロ環に変換され得る)、または保護されたヘテロ環基(脱保護によってヘテロ環基と類似の反応性を有する)を含んでいる側鎖を有する、非天然アミノ酸である。ここで、そのようなヘテロ環基は、ジカルボニル、または類似の化学反応性を有する他の官能基を含む多様な分子と、ケトアミン含有非天然アミノ酸との反応によって形成される。
一般式(XXXVII)の構造を有する上記アミノ酸には、一般式(LXII)、一般式(LXIII):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Rは、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または置換アラルキルである);
は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)であるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキルである);
または、RはL−Xであり(Xは、所望の機能性基から成る群から選択され;
Lは、任意であり、存在するときは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは、1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−O−N=CR’−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択されるリンカーであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである))。
‐F.非天然アミノ酸(エン−ジオン含有アミノ酸)の構造および合成‐
求電子反応性基を有する非天然アミノ酸は、特に求核付加反応を介して分子を連結するための多様な反応を可能にする。そのような求電子反応性基の例としては、ジカルボニル基(例としては、ジケトン基、ケトアルデヒド基、ケト酸基、ケトエステル基、およびケトチオエステル基が挙げられるが、これらに限定されない)、ジカルボニル様基(ジカルボニル基と類似の反応性を有し、かつジカルボニル基と構造的に類似である)、マスクされたジカルボニル基(容易にジカルボニル基に変換され得る)、または保護されたジカルボニル基(脱保護によってジカルボニル基と類似の反応性を有する)が挙げられる。ジカルボニル基を含む非天然アミノ酸は、接合体(例としては、PEGまたは他の水溶性ポリマーとの接合体が挙げられるが、これらに限定されない)を形成するための、多様な求核性基との反応を可能にする。ジカルボニル基の求電子性によって、ジカルボニル基が、アルドール反応、またはアルドール型反応において反応することができ、「アルドールに基づく連結」、または「混合アルドールに基づく連結」が形成される。
従って、本明細書に記載のある種の実施形態では、非天然アミノ酸は、アルドール反応、混合アルドール反応、またはアルドール型反応に関するジカルボニルによって作り出される基を含んでいる側鎖を有する、非天然アミノ酸である。そのようなアミノ酸には、一般式(LXIV):
Figure 2009522275
の構造を有するアミノ酸が含まれる(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成し;
は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)であるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキルである);
または、RはL−Xである(Xは、所望の機能性基から成る群から選択され;
Lは、任意であり、存在するときは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは、1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−O−N=CR’−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択されるリンカーであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである);
は、結合、C(R)(R)、O、またはSであり、かつRは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである)。
また、以下の一般式(LV)から一般式(LVII):
Figure 2009522275
に係るアミノ酸が含まれる。
‐G.非天然アミノ酸の細胞の取り込み‐
細胞による非天然アミノ酸の取り込みは、タンパク質への取り込みを目的として(例として挙げられるが、これに限定されない)、非天然アミノ酸を設計および選択するときに考慮される1つの課題である。例えば、α−アミノ酸の高い電荷密度は、これらの化合物が細胞透過性ではあり得ないことを示唆する。天然アミノ酸は、タンパク質に基づく輸送系の収集を介して真核細胞に取り込まれる。非天然アミノ酸が少しでも細胞によって取り込まれるならば、これを評価する急速なスクリーニングが行われ得る。例えば、引用によってその全体が本明細書に組み入れられる、「Protein Arrays」と題された米国特許出願公開第2004/198637号明細書、および「Liu, D.R. & Schultz, P.G. (1999) Progress toward the evolution of an organism with an expanded genetic code. PNAS United States 96:4780-4785 」における、例えば、毒性アッセイを参照のこと。取り込みは、多様なアッセイを用いて容易に分析されるが、細胞性の取り込み経路に受け容れられる非天然アミノ酸の設計ための代替案は、インビボにおいてアミノ酸を作り出す生合成経路を提供することである。
典型的に、本明細書に記載されているような、細胞性の取り込みを介して製造される非天然アミノ酸は、効率的なタンパク質の生合成に十分な濃度(例としては、天然細胞の量が挙げられるが、これに限定されない)に製造されるが、他のアミノ酸の濃度に影響する、または細胞性の資源を使い果たす程ではない。この方法において製造される典型的な濃度は、約10mMから約0.05mMである。
‐H.非天然アミノ酸の生合成‐
多くの生合成経路が、アミノ酸および他の化合物を製造するために細胞にすでに存在している。特定の非天然アミノ酸用の生合成方法は、天然に(例としては、細胞内が挙げられるが、これに限定されない)は存在し得ないが、本明細書に記載の方法および組成物は、そのような方法を提供する。例えば、非天然アミノ酸用の生合成経路は、新しい酵素の添加、または存在する宿主細胞経路の修飾によって宿主細胞において生成され得る。追加の新しい酵素としては、天然に生じる酵素または人工的に発展させた酵素であり得る。例えば、p−アミノフェニルアラニンの生合成(「In vivo incorporation of unnatural amino acids」と題された国際公開第2002/085923号パンフレットにおける一例に示されるように)は、他の生物に由来する公知の酵素の組み合わせの追加を基にしている。これらの酵素に関する遺伝子は、当該遺伝子を含んでいるプラスミドを用いた細胞の形質転換によって真核細胞に導入され得る。細胞において発現した場合に、当該遺伝子は、所望の化合物を合成する酵素経路を提供する。任意に添加されるこの種の酵素の例は、本明細書に規定される。さらに別の酵素の配列は、例えば、ジーンバンクに見出される。また、人工的に発展させた酵素は、同じようにして細胞の中に加えられ得る。このようにして、細胞性機構、および細胞資源は、非天然アミノ酸を製造するために操作される。
種々の方法が、生合成経路に使用するための、または存在する経路を発展させるための新規な酵素の製造に利用可能である。例えば、Maxygen, Inc.によって開発されたような(例として挙げられるが、これに限定されない)、反復的な組み換え(www.maxigen.comにおけるワールドワイドウェブ上において購入可能である)は、新規の酵素および経路の開発に、使用され得る。例えば、「Stemmer (1994), Rapid evolution of a protein in vitro by DNA shuffling, Nature 370(4):389- 391」、および「Stemmer, (1994), DNA shuffling by random fragmentation and reassembly: In vitro recombination for molecular evolution, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 91:10747-10751」を参照のこと。同様に、Genencorによって開発されたDesignPath(登録商標)(genencor.comにおけるワールドワイドウェブ上において購入可能である)は、代謝経路設計(例としては、細胞において非天然アミノ酸を作り出す経路の設計が挙げられるが、これに限定されない)に任意に使用される。この技術は、新しい遺伝子の組み合わせ(例としては、機能的なゲノミクスを介して同定された遺伝子が挙げられるが、これに限定されない)、ならびに分子進化および設計を用いて、宿主生物に存在する経路を再構築する。また、Diversa Corporationは、非天然アミノ酸を生合成的に製造する新規経路を作り出すための(例として挙げられるが、これに限定されない)、遺伝子および遺伝子経路のライブラリーを迅速にスクリーニングする技術を提供する(diversa.comにおけるワールドワイドウェブ上において購入可能である)。
典型的に、本明細書に記載の設計された生合成経路を用いて製造された非天然アミノ酸は、タンパク質の効率的な生合成に十分な濃度(例としては、天然の細胞における量が挙げられるが、これに限定されない)に製造されるが、他のアミノ酸の濃度に影響する、または細胞性の資源を使い果たす程ではない。この方法においてインビボにおいて製造される通常の濃度は、約10mMから0.05mMである。特定の経路に関して所望される酵素の製造に使用される遺伝子を含んでいるプラスミドを用いて、細胞が形質転換され、かつ非天然アミノ酸が製造されると、インビボにおける選択は、リボソームタンパク質の合成および細胞増殖の両方に対して、非天然アミノ酸の製造をさらに最適化するために、任意に使用される。
‐I.別の合成方法論‐
本明細書に記載の非天然アミノ酸は、当該技術について説明されている方法論を用いて、または本明細書に記載の技術を用いて、またはこれらの組み合わせによって合成され得る。補足として、所望の官能基を作り出すために組み合わせられ得る、多様な出発物質となる求電子物質および求核物質を提供する表を以下に示す。なお、与えられる情報は例示的であり、かつ本明細書に記載されている合成技術を制限するものではないことを意図されている。
Figure 2009522275
一般的に、炭素求電子物質は、補完的な求核物質(例としては、炭素求核物質が挙げられる)による作用に影響を受けやすく、ここで、作用する求核物質は、求核物質と求電子物質との間に新しい結合を形成するために炭素求電子物質に対して電子対をもたらす。
非限定的な炭素求核物質の例としては、アルキル、アルケニル、アリールおよびアルキニルのグリニャール(Grignard)、有機リチウム、有機亜鉛、アルキル−、アルケニル−、アリール−およびアルキニル−スズ試薬(有機スズ化合物(organostannanes))、アルキル−、アルケニル−、アリール−およびアルキニル−ボラン試薬(有機ホウ素化合物および有機ボロネート(organoboronate))が挙げられるが、これらに限定されず、これらの炭素求核物質は、水または極性有機溶媒において動力学的に安定であるという利点を有する。他の炭素求核物質の非限定的な例としては、リンイリド、エノール、エノラート試薬が挙げられ、これらの炭素求核物質は、有機合成化学の当業者によく知られている前駆体から比較的に容易に生成されるという利点を有する。炭素求電子物質との接合に使用されるときに、炭素求核物質は、炭素求核物質と炭素求電子物質との間に新たな炭素−炭素結合を生み出す。
炭素求電子物質に対するカップリングに好適な非炭素求核物質の非限定的な例としては、1級アミンおよび2級アミン、チオール、チオレート(thiolate)およびチオエーテル、アルコール、アルコキシド、アジド、ならびにセミカルバジドなどが挙げられる。炭素求電子物質との接合に使用されるとき、これらの非炭素求核物質は、典型的に、異種原子連結(C−X−C)を生じる(Xは異種原子(例えば、酸素または窒素)である)。
<VI.非天然アミノ酸を有するポリペプチド>
便宜上、この項に記載されている化合物の形態、性質および他の特性は、一般的に、および/または特定の例を用いて、記載されている。しかし、この項に記載されている形態、性質および他の特性は、この項に与えられている一般的な記載または特定の例に、単に制限されるべきではないが、むしろこの項に記載されている形態、性質および他の特性は、一般式(I)−一般式(LXVII)の範囲内に収まるすべての化合物(例としては、あらゆる下位の式が挙げられる)か、本書面における明細書、特許請求の範囲および図面に記載されている一般式(I)−一般式(LXVII)の範囲内に収まる特定の化合物に対して十分に等しく適用される。
本明細書に記載されている組成物および方法は、ポリペプチドへの少なくとも1つの非天然アミノ酸の組み込みを提供する。非天然アミノ酸は、ポリペプチドにおけるあらゆる位置(例としては、ポリペプチドのあらゆる末端位置、またはあらゆる内部位置が挙げられる)に存在し得る。ポリペプチドに非天然アミノ酸を組み込む目的の1つが、ポリペプチドの活性および/または三次元構造の破壊ではない限り、非天然アミノ酸は、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドの活性および/または三次元構造と比較して、ポリペプチドの活性および/または三次構造を破壊しないことが好ましい。さらに、ポリペプチドへ非天然アミノ酸の組み込むことによって、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドと比較して、ポリペプチドの活性および/またはポリペプチドの三次構造がある程度に、当該活性および/または三次構造の破壊を完全に引き起こすことなく、修飾され得る。例えば、ポリペプチドの活性の修飾には、ポリペプチドの治療有効性の操作、ポリペプチドの安全性プロフィールの改善、ポリペプチドの薬物動態学的性質、薬理学的性質および/または薬力学的性質の調節(例えば、水溶性の増加、生物学的利用性、血中半減期の増加、治療半減期の増加、免疫原性の調節、生物活性の調節、または循環時間の延長)、ポリペプチドへのさらなる機能性基の付与、ポリペプチドへのタグ、標識または検出可能なシグナルの組み込み、ポリペプチドの単離性質の簡単化、ならびに上述した修飾のあらゆる組み合わせが挙げられる。活性および/または三次構造の上記修飾は、しばしば上記組み込みをもたらすことの目的の1つであるが、当然にポリペプチドへの非天然アミノ酸の組み込みはまた、相同な天然に生じるアミノ酸ポリペプチドと比較して、ポリペプチドの活性および/または三次構造にほとんど影響を与えなくてもよい。同様に、非天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチドを含んでいる組成物、当該ポリペプチドおよびポリペプチド組成物を作製する方法、当該ポリペプチドおよびポリペプチド組成物を精製、単離、および特徴づける方法、ならびに当該ポリペプチドおよびポリペプチド組成物を使用する方法は、この開示内容の範囲内にあることが考慮される。さらに、本明細書に記載されている非天然アミノ酸ポリペプチドはまた、他のポリペプチド(単なる一例としては、非天然アミノ酸ポリペプチドまたは天然に生じるアミノ酸ポリペプチドが挙げられる)と連結され得る。
本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドは、生合成的または非生合成的に製造され得る。生合成的によって、翻訳系(細胞性の、または非細胞性の)を利用したあらゆる方法(例としては、以下の構成要素:ポリヌクレオチド、コドン、tRNA、およびリボソームの少なくとも1つの使用が挙げられる)を意図される。非生合成的によって、翻訳系を利用しないあらゆる方法を意図され、この方法は、固体ペプチド合成方法(solid state synthetic method)、固相ペプチド合成方法、少なくとも1つの酵素を利用する方法、および少なくとも1つの酵素を利用しない方法にさらに分られてもよく、その上に、あらゆるこの小区分は重複していてもよく、かつ多くの方法はこれらの小区分の組み合わせを利用し得る。
本明細書に記載の方法、組成物、戦略、および技術は、特定の種類、分類、またはファミリーのポリペプチドまたはタンパク質に限定されない。実際に、ほとんどあらゆるポリペプチドは、本明細書に記載の非天然アミノ酸を含み得る。ほんの一例として、ポリペプチドは、所望のポリペプチドから成る群から選択される治療タンパク質と相同であり得る。関連のある、またはさらなる実施形態では、また、非天然アミノ酸ポリペプチドは、成長ホルモンスーパーファミリーのあらゆるポリペプチド構成要素と相同であり得る。
非天然アミノ酸は、この開示内容の他の場所に記載されているようにさらに修飾され得るか、非天然アミノ酸はそれ以上修飾されることなく使用され得る。ポリペプチドへの非天然アミノ酸の組み込みは、多様な目的(例としては、タンパク質構造および/または機能の変化の修正、大きさの変更、酸性度の変更、求核性の変更、水素結合の変更、疎水性の変更、プロテアーゼ標的部位の接触性の変更、部分に対する標的化の変更(例としては、タンパク質アレイ用が挙げられるが、これに限定されない)などが挙げられるが、これらに限定されない)のためになされ得る。非天然アミノ酸を含むタンパク質は、増強された、またはまさに完全に新しい、触媒性または生物物理学的性質を有する。ほんの一例として、以下の性質がタンパク質への非天然アミノ酸の包含によって修飾され得る:毒性、体内分布、構造的性質、分光の性質、化学的および/または光化学的性質、触媒能、半減期(例としては、血中半減期が挙げられるが、これに限定されない)、ならびに共有結合的なまたは非共有結合的な(例として挙げられるが、これらに限定されない)他の分子との反応性など。少なくとも1つの非天然アミノ酸を含むタンパク質を有する、組成物は、新規の治療、診断、触媒酵素、工業的触媒、結合タンパク質(例としては、抗体が挙げられるが、これに限定されない)、ならびにタンパク質の構造および機能(例として挙げられるが、これらに限定されない)の研究に有用である(例として挙げられるが、これらに限定されない)。例えば、「Dougherty, (2000) Unnatural Amino Acids as Probes of Protein Structure and Function, Current Opinion in Chemical Biology. 4:645-652.」を参照のこと。
さらに、ポリペプチドの非天然アミノ酸成分の側鎖は、ポリペプチドに対して広範な付加的な機能性基を提供することができる。例えば、特に限定されないが、ポリペプチドの非天然アミノ酸部分の側鎖は、以下の所望の機能性基のいずれかを含み得る。
一態様では、組成物は、少なくとも1つ(例としては、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、またはそれ以上が挙げられるが、これらに限定されない)の非天然アミノ酸を有する少なくとも1つのポリペプチドを含む。非天然アミノ酸は、同じであり得る、または異なり得る。さらに、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の異なる、または同じ非天然アミノ酸を含んでいる1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の異なる部位がポリペプチドに存在し得る。他の態様において、組成物は、ポリペプチドを含んでおり、当該ポリペプチドは、ポリペプチドに存在する特定の天然アミノ酸の少なくとも1つ(ただし、全てではない)が非天然アミノ酸により置換されているものである。2つ以上の非天然アミノ酸を有する所定のタンパク質に関して、非天然アミノ酸は、同一であり得るか、または異なり得る(例えば、ほんの一例として、当該ポリペプチドが2種類以上の非天然アミノ酸を含み得るか、または2つの同じ非天然アミノ酸を含み得る)。3つ以上の非天然アミノ酸を有する所定のタンパク質に関して、非天然アミノ酸は、同じであり得るか、または異なり得るか、少なくとも1つの異なる非天然アミノ酸と、複数の同種の非天然アミノ酸との組み合わせであり得る。
本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドの実施形態は、固相ペプチド合成方法を介して(例えば、固体樹脂上において)、液相ペプチド合成方法によって、および/または酵素の補助なしで、化学的に合成され得るが、本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドの他の実施形態は、細胞膜、細胞抽出物、もしくはライセートの系を介した、またはインビボの系を介した(例えば、原核細胞または真核細胞の細胞機構を用いた)、合成を可能にする。さらなるまたは付加的な実施形態では、本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドの重要な特徴の1つは、それらがリボソームを利用して合成され得ることである。本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドの、さらなるまたは付加的な実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、酵素の補助なしで固体樹脂の組み合わせによって、リボソームの補助を介して、インビトロの系を介して、インビボの系を介して、またはこれらのあらゆる組み合わせで合成され得る。
リボソームおよび/またはインビボの系を介した、非天然アミノ酸ポリペプチドの合成は、固体樹脂上において、または酵素の補助なしで合成された非天然アミノ酸ポリペプチドとは異なる、利点および特性を有する。これらの利点または特性は、異なる不純物プロフィールを含み、リボソームを利用した系および/またはインビボの系は、利用した生物学的に由来する不純物(例としては、宿主細胞タンパク質、膜部分および脂質が挙げられるが、これらに限定されない)を有するのに対し、固体樹脂を利用したおよび/または酵素の補助なしの系からの不純物プロフィールは、合成手法に使用された、有機溶媒、保護基、樹脂材料、カップリング試薬および他の化学物質を含む。その上に、リボソームの使用および/またはインビボの系を介して合成された、非天然アミノ酸ポリペプチドの同位体の型は、供給原料の同位体の型を正確に反映し、一方において、固体樹脂上においておよび/または酵素の補助なしで合成された、非天然アミノ酸ポリペプチドの同位体の型は、合成に使用されたアミノ酸の同位体の型を正確に反映する。さらに、リボソームおよび/またはインビボの系の使用を介して合成された非天然アミノ酸ポリペプチドは、アミノ酸のD−異性体が実質的にない、および/またはポリペプチドの構造に内部システインアミノ酸を組み込むことができる、および/または内部アミノ酸欠失ポリペプチドをまれに提供する。一方において、固体樹脂を介しておよび/または酵素の補助なしで合成された非天然アミノ酸ポリペプチドは、高い含有量のアミノ酸のD−異性体、低い含有量の内部システイン、および/または高い割合の内部アミノ酸欠失ポリペプチドを有する。さらに、当業者は、固体樹脂を介しておよび/または酵素の補助なしで合成された非天然アミノ酸ポリペプチドから、リボソームおよび/またはインビボの系の使用によって合成された非天然アミノ酸ポリペプチドを区別することができる。
<VII.核酸およびオリゴヌクレオチドを含んでいる、組成物および方法>
‐A.本明細書における使用のための一般的な組み換え核酸方法‐
本明細書に記載の方法および組成物の多くの実施形態では、所望のポリペプチド(ほんの一例としては、GHポリペプチドが挙げられる)をコードする核酸は、単離され、クローン化され、かつしばしば組み換え法を用いて変更される。そのような実施形態は、タンパク質の発現に、またはバリアント、誘導体、発現カセット、もしくは他の発現カセットに由来する他の配列の生成の間に(例として挙げられるが、これらに限定されない)、使用される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドをコードする配列は、異種のプロモーターに作動可能に連結される。
また、本明細書には、非天然アミノ酸ポリペプチドを製造可能な細胞が記載されている。ポリペプチドにおける少なくとも1つの非天然アミノ酸は、ジカルボニル、ジアミン、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)連結、アルドールに基づく連結を有する側鎖を含んでいる。上記細胞は、本明細書に記載の方法またはその改変方法により、上記非天然アミノ酸を製造するが、少なくとも1つの非天然アミノ酸を生合成的に製造する。少なくとも1つの非天然アミノ酸ポリペプチドを生合成する細胞は、本明細書に記載の技術、方法、組成物および戦略、またはこれらの改変版を用いて製造され得る。
非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドをコードする核酸配列は、親ポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて合成され、それから、関連のあるアミノ酸残基の導入(例えば、組み込みまたは置換)をもたらすか、除去する(例えば、欠失または置換)ように核酸を変更し得る。核酸配列は、従来の方法に従った部位特異的突然変異誘発法によって、簡便に修飾され得る。代替可能に、核酸配列は、化学合成によって(例としては、オリゴヌクレオチド合成器を用いることによって、が挙げられるが、これらに限定されない)、調製されてもよく、オリゴヌクレオチドは、所望のアミノ酸配列に基づいて、かつ好ましくは、組み換えポリペプチドが産生される宿主細胞に有利に働くこれらのコドンの選択に基づいて設計される。例えば、所望のポリペプチドの一部をコードする多様な小さいオリゴヌクレオチドは、PCR、ライゲーションまたはライゲーション連鎖反応によって、合成および組立られ得る。例えば、「Baranyら, Proc. Natl. Acad. ScL 88: 189-193 (1991) 」;米国特許第6,521,427号明細書を参照のこと。
本明細書に記載の非天然アミノ酸の方法および組成物は、組み換え遺伝学の分野においてよくある技術を利用する。本明細書に記載の非天然アミノ酸の方法および組成物に使用する通常の方法を開示する、基本的なテキストの例としては、「Sambrookら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3rd 5 ed. 2001)」;「Kriegler, Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (1990)」;および「Current Protocols in Molecular Biology (Ausubelら, eds., 1994)」が挙げられる。
分子生物学的技術について説明するテキストの例としては、「Berger and Kimmel, Guide to Molecular Cloning Techniques. Methods in Enzymology volume 152 Academic Press, Inc., San Diego, CA (Berger)」「Sambrookら, Molecular Cloning - A Laboratory Manual (2nd Ed.). Vol. 1-3. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989 (「Sambrook」)」「Current Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubelら, eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc., (supplemented through 1999) (「Ausubel」)」が挙げられる。これらのテキストは、突然変異誘発法、ベクターの使用、プロモーター、ならびに、例えば、特に限定されないが、直交化tRNA、直交シンテターゼ、これらの対、および非天然アミノ酸を含むタンパク質を製造するためのセレクターコドンを含む、ポリヌクレオチドの生成に関する、多くの他の関連する話題について述べている。
多様な種類の突然変異誘発法は、多様な目的のため(例としては、新規シンテターゼまたはtRNAを製造するため、tRNA分子を突然変異するため、シンテターゼをコードするポリヌクレオチドを突然変異するため、tRNAのライブラリーを製造するため、シンテターゼのライブラリーを製造するため、セレクターコドンを製造するため、興味のあるタンパク質またはポリペプチドに非天然アミノ酸をコードするセレクターコドンを挿入するためが挙げられるが、これらに限定されない)に、本明細書に記載の非天然アミノ酸に関する方法および組成物において使用される。突然変異誘発の例としては、部位特異的突然変異誘発法、無作為の点突然変異誘発法、相同性組み換え、DNAシャッフリングまたは他の反復的な突然変異誘発法方法、キメラコンストラクション、鋳型を含むウラシルを用いた突然変異誘発法、オリゴヌクレオチド定方向突然変異誘発法、ホスホロチオネート修飾DNA突然変異誘発法、ギャップドデュプレックスDNA(gapped duplex DNA)を用いた突然変異誘発法など、またはこれらのあらゆる組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。付加的な適切な方法の例としては、点不適合修復、修復欠損のある宿主株を用いた突然変異誘発法、制限選択および制限精製、欠失突然変異誘発法、全体の遺伝子合成による突然変異誘発法、および二本鎖破壊修復などが挙げられる。また、キメラコンストラクションに関与する(例として挙げられるが、これに限定されない)、突然変異誘発法は、本明細書に記載のアミノ酸に関する方法および組成物に含まれる。一実施形態では、突然変異誘発法は、天然に生じる分子、または変更もしくは突然変異された天然に生じる分子の、公知の情報(例としては、配列、配列比較、物理的な性質、または結晶構造などが挙げられるが、これらに限定されない)によって誘導され得る。
本明細書に見られるテキストおよび例は、これらの手法および他の関連する手法について説明している。付加的な情報が、引用された以下の公報および参考文献に見られる:「Lingら, Approaches to DNA mutagenesis: an overview, Anal Biochem. 254(2): 157-178 (1997); Dale ら, OUgonucleotide-directed random mutagenesis using the phosphorothioate method, Methods Mol. Biol. 57:369-374 (1996)」;「 Smith, In vitro mutagenesis, Ann. Rev- Genet. 19:423-462(1985)」;「 Botstein & Shortle, Strategies and applications of in vitro mutagenesis, Science 229:1193-1201(1985)」;「 Carter, Site-directed mutagenesis, Biochem. J. 237:1-7 (1986)」;「 Kunkel, The efficiency of oligonucleotide directed mutagenesis, in Nucleic Acids & Molecular Biology (Eckstein, F. and Lilley, D.M.J. eds., Springer Verlag, Berlin) (1987)」;「 Kunkel, Rapid and efficient site-specific mutagenesis without phenotypic selection, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:488-492 (1985)」;「 Kunkel ら, Rapid and efficient site-specific mutagenesis without phenotypic selection, Methods in Enzymol. 154, 367-382 (1987)」;「 Bass ら, Mutant Trp repressors with new DNA- binding specificities, Science 242:240-245 (1988); Methods in Enzymol. 100: 468-500 (1983); Methods in Enzymol. 154: 329-350 (1987)」;「 Zoller & Smith, Oligonucleotide-directed mutagenesis using M13-derived vectors: an efficient and general procedure for the production of point mutations in any DNA fragment, Nucleic Acids Res. 10:6487- 6500 (1982)」;「 Zoller & Smith, Oligonucleotide-directed mutagenesis of DNA fragments cloned into M13 vectors, Methods in Enzymol. 100:468-500 (1983)」;「 Zoller & Smith, Oligonucleotide-directed mutagenesis: a simple method using two oligonucleotide primers and a single-stranded DNA template, Methods in Enzymol. 154:329-350 (1987)」;「 Taylor ら, The use of phosphorothioate-modified DNA in restriction enzyme reactions to prepare nicked DNA, Nucl. Acids Res. 13: 8749-8764 (1985)」;「 Taylor ら, The rapid generation of Oligonucleotide-directed mutations at high frequency using phosphorothioate-modified DNA, Nucl. Acids Res. 13: 8765-8785 (1985)」;「 Nakamaye & Eckstein, Inhibition of restriction endonuclease Nci I cleavage by phosphorothioate groups and its application to oligonucleotide-directed mutagenesis, Nucl. Acids Res. 14: 9679-9698 (1986)」;「 Sayers ら, 5'-3' Exonucleases in phosphorothioate-based oligonucleotide-directed mutagenesis, Nucl. Acids Res. 16:791-802 (1988)」;「 Sayers ら, Strand specific cleavage of phosphorothioate-containing DNA by reaction with restriction endonucleases in the presence of ethidium bromide, (1988) Nucl. Acids Res. 16: 803-814」;「 Kramer ら, The gapped duplex DNA approach to oligonucleotide-directed mutation construction, Nucl. Acids Res. 12: 9441-9456 (1984)」;「 Kramer & Fritz Oligonucleotide-directed construction of mutations via gapped duplex DNA, Methods in Enzymol. 154:350- 367 (1987)」;「 Kramer ら, Improved enzymatic in vitro reactions in the gapped duplex DNA approach to oligonucleotide-directed construction of mutations, Nucl. Acids Res. 16: 7207 (1988)」;「 Fritz ら, Oligonucleotide- directed construction of mutations: a gapped duplex DNA procedure without enzymatic reactions in vitro, Nucl. Acids Res. 16: 6987-6999 (1988)」;「 Kramer ら, Point Mismatch Repair, Cell 38:879-887 (1984)」;「 Carter ら, Improved oligonucleotide site-directed mutagenesis using M13 vectors, Nucl. Acids Res. 13: 4431-4443 (1985)」;「 Carter, Improved oligonucleotide-directed mutagenesis using M13 vectors, Methods in Enzymol. 154. 382-403 (1987)」;「 Eghtedarzadeh & Henikoff, Use of oligonucleotides to generate large deletions, Nucl Acids Res. 14: 5115 (1986)」;「 Wells ら, Importance of hydrogen-bond formation in stabilizing the transition state of subtilisin, Phil. Trans. R. Soc. Lond. A 317: 415-423 (1986)」;「 Nambiar ら, Total synthesis and cloning of a gene coding for the ribonuclease S protein, Science 223: 1299-1301 (1984)」;「 Sakmar and Khorana, Total synthesis and expression of a gene for the alpha-subumt of bovine rod outer segment guanine nucleotide-bmding protein (transducin), Nucl. Acids Res. 14. 6361-6372 (1988)」;「 Wells ら, Cassette mutagenesis: an efficient method for generation of multiple mutations at defined sites, Gene 34-315-323 (1985)」;「 Grundstroem ら, Oligonucleotide-directed mutagenesis by microscale 'shot-gun' gene synthesis, Nucl. Acids Res. 13: 3305-3316 (1985)」;「 Mandecki, Ohgonucleotide-directed double-strand break repair in plasmids of Escherichia coli. a method for site-specific mutagenesis, Proc Natl Acad. Sci. USA. 83:7177-7181 (1986)」;「 Arnold, Protein engineering for unusual environments, Current Opinion in Biotechnology 4:450-455 (1993)」;「 Sieber, ら, Nature Biotechnology, 19:456-460 (2001). W. P. C. Stemmer, Nature 370, 389-91 (1994)」、および「I A Lorimer, I Pastan, Nucleic Acids Res. 23, 3067-8 (1995)。そのような多くの方法に関する付加的な詳細は、多様な突然変異誘発法方法とともに異常処理に対する有用な調整についても説明している、「Methods in Enzymology Volume 154」に見られ得る。
また、本明細書に記載されている方法および組成物は、直交化tRNA/RS対を介した非天然アミノ酸のインビボにおける組み込みに対する、真核宿主細胞、非真核宿主細胞、および生物の使用を包含する。宿主細胞は、本明細書に記載されているポリペプチドに対応するポリヌクレオチド、または本明細書に記載されているポリペプチドに対応するポリヌクレオチドを含んでいるコンストラクト(例としては、本明細書に記載されているポリペプチドに対応するベクター(例えば、クローニングベクターまたは発現ベクターであり得る)が挙げられるが、これに限定されない)を用いて、遺伝子組み換えされる。上記遺伝子組み換えの例としては、形質転換、形質導入またはトランスフェクトが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、直交化tRNA、直交化tRNAシンテターゼ、および誘導体化されるタンパク質にとってのコーディング領域は、所望の宿主細胞において機能的である遺伝子発現制御エレメントと動作可能に連結される。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、細菌、ウイルス、裸のポリヌクレオチド、または接合されたポリヌクレオチドの形態であり得る。ベクターは、標準的な方法(例としては、エレクトロポレーション(「Frommら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82, 5824 (1985) 」)、ウイルスベクターによる感染、および/または小さなビーズもしくは粒子のいずれかの中か表面上における核酸を用いた低分子による高速弾丸侵入(high velocity ballistic penetratrion)(「Kleinら, Nature 327.70-73 (1987) 」))によって細胞および/または微生物に導入される。
操作された宿主細胞は、スクリーニング段階、プロモーターの活性化、または形質転換体の選択といった活動に適するように修飾された、従来の培養液において培養され得る。これらの細胞は、遺伝子導入生物の中に、任意に培養され得る。(例えば、その後に核酸を単離するための)細胞の単離および培養などに関する他の有用な文献の例としては、「Freshney (1994) Culture of Animal Cells, a Manual of Basic Technique, third edition, Wiley- Liss, New York」、およびこれらに引用されている参考文献、「Payneら (1992) Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems John Wiley & Sons, Inc. New York, NY」、「Gamborg and Phillips (eds) (1995) Plant Cell. Tissue and Organ Culture: Fundamental Methods Springer Lab Manual, Springer- Verlag (Berlin Heidelberg New York)」、ならびに「Atlas and Parks (eds) The Handbook of Microbiological Media (1993) CRC Press, Boca Raton, FL」が挙げられる。
細胞に標的の核酸を導入する多様なよく知られている方法は利用可能であり、これらの方法のいずれかを、本明細書に記載されている方法および組成物に使用することができる。これら方法の例としては、DNAを含む細菌の原形質体と受容細胞の融合、エレクトロポレーション、粒子衝撃法(projectile bombardment)、およびウイルスベクターを用いた感染(以下にさらに詳しく述べる)などが挙げられる。細菌細胞は、本明細書に記載されているポリペプチドに対応するDNAコンストラクトを含んでいるプラスミドの数を増幅するために使用され得る。細菌は、対数増殖期まで成長され、当該細菌内のプラスミドは、当該分野に周知の多様な方法によって単離される(例えば、Sambrookを参照のこと)。また、細菌からのプラスミドの精製を目的とするキットが、市販されている(例えば、EasyPrep(登録商標)、FlexiPrep(登録商標)(いずれもPharmacia Biotechが提供している);StrataClean(登録商標)(Stratageneが提供している);およびQIAprep(登録商標)(Qiagenが提供している)を参照のこと)。それから、単離され、かつ精製されたプラスミドは、他のプラスミドを製造するためにさらに操作されるか、細胞のトランスフェクトに使用されるか、または生体に感染させるために関連するベクターに組み込まれる。典型的なベクターは、転写ターミネーターおよび翻訳ターミネーター、転写開始配列および翻訳開始配列、ならびに特定の標的核酸の発現を制御するために有用なプロモーターを含んでいる。ベクターは、少なくとも1つの独立したターミネーター配列、真核生物、または原核生物、またはその両方の系(例としては、シャトルベクターが挙げられるが、これに限定されない)において、カセットの複製を許容する配列、ならびに原核生物および真核細胞の両方の系にとっての選択マーカーを含む、通常の発現カセットを任意に含んでいる。ベクターは、原核生物、真核生物、またはその両方における複製および組み込みに好適である。「Gillam & Smith, Gene 8:81 (1979)」;「Robertsら, Nature. 328:731 (1987)」;「Schneider, E.ら, Protein Expr. Purif. 6(l)-10-14 (1995)」;(すべて上述の)「Ausubel」、「Sambrook」、「Berger」を参照のこと。クローニングに有用な細菌およびバクテリオファージの一覧表が、提供される(例えば、ATCCによって公開されている「The ATCC Catalogue of bacteria and bacteriophage (1992) Ghernaら (eds)」)。また、配列決定、クローニング、ならびに分子生物学の他の態様、および基礎をなす理論的な考察のための、別の基本的手法は、「Watsonら (1992) Recombinant DNA Second Edition Scientific American Books, NY. 」に見られる。また、本質的にあらゆる核酸(および標準的かまたは非標準的な、ほとんどあらゆる標識核酸)は、あらゆる多様な市販の出所(例えば、the Midland Certified Reagent Company(Midland, TX mcrc.com),The Great American Gene Company(Ramona、CA、ワールドワイドウェブのgenco.comにおいて利用可能である)、ExpressGen Inc.(Chicago,IL,ワールドワイドウェブのexpressgen.comにおいて利用可能である)、Operon Technologies Inc.(Alameda, CA)および多くの他社)が提供して、特別にまたは通常に注文され得る。
‐B.セレクターコドン‐
本明細書に記載されている方法および組成物に包含されるセレクターコドンは、タンパク質の生合成機構の遺伝学的なコドンの枠組みを拡張する。例えば、セレクターコドンの例としては、固有の3塩基コドン、ナンセンスコドン(例えば、終止コドン(例としては、アンバーコドン(UAG)、またはオパールコドン(UGA)が挙げられるが、これらに限定されない))、非天然コドン、4塩基以上のコドン、またはレアコドン(rare codon)などが挙げられるが、これらに限定されない。所望の遺伝子またはポリヌクレオチドに導入され得るセレクターコドンの数は、広範である(例としては、所望のポリペプチドの部分を少なくともコードする単一のポリヌクレオチドにおける1以上、2以上、3以上、4、5、6、7、8、9、10以上が挙げられるが、これらに限定されない)。
一実施形態では、本方法は、インビボにおいて1つ以上の非天然アミノ酸を組み込むための、終止コドンであるセレクターコドンの使用を含んでいる。例えば、終止コドン(例としては、UAGが挙げられるが、これに限定されない)を認識する、O−tRNAは製造され、当該O−tRNAは所望の非天然アミノ酸によりO−RSによってアミノアシル化される。このO−tRNAは、天然に生じる宿主のアミノアシル−tRNAシンテターゼによって認識されないものである。従来の部位特異的な突然変異誘発法は、興味のあるポリペプチドにおける興味のある部位に、終止コドン(例としては、UAGが挙げられるが、これに限定されない)を導入するために使用され得る。例えば、「Sayers, J.R.,ら (1988), 5’-3’ Exonuclease in phosphorothioate-based oligonucleotide-directed mutagenesis. Nucleic Acids Res. 16(3):791-802」を参照のこと。O−RS、O−tRNAおよび興味のあるポリペプチドをコードする核酸がインビボにおいて組み合わせられると、非天然アミノ酸はUAGコドンに応じて組み込まれ、その結果、特定の位置に非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドが生じる。
また、非天然アミノ酸は、レアコドンによりコードされ得る。例えば、インビボでのタンパク質合成反応においてアルギニン濃度が低下すると、アルギニンのレアコドンであるAGGは、アラニンによりアシル化される合成tRNAによるAlaの挿入に有効であることが証明されている。例えば、「Maら, Biochemistry. 32:7939 (1993)」を参照のこと。この場合において、上記合成tRNAは、Escherichia coliにおいて微量種として存在する天然に生じるtRNA Argと競合する。いくつかの生物は、すべてのトリプレットコドンを使用するわけではない。Micrococcus luteusの割り当てられていないコドンAGAは、インビトロの転写/翻訳の抽出物における、アミノ酸の挿入に使用されている。例えば、「Kowal and Oliver, Nucl. Acid. Res., 25:4685 (1997) 」を参照のこと。本明細書に記載の構成要素は、インビボにおいてこれらのレアコドンを使用するために生成され得る。
インビボにおける非天然アミノ酸の組み込みは、真核細胞を有意に乱すことなくなされ得る。例えば、UAGコドンに関する抑圧効率は、O−tRNAと、真核細胞の放出因子との間の競合に依存するので、抑圧効率は、例えば、特に限定されないがO−tRNAおよび/またはO−RSの発現レベルの増加によって修飾され得る。なお、上記O−tRNAには、アンバーサプレッサーtRNAが含まれるが、これに限定されない。また、上記放出因子は、終止コドンと結合し、リボソームから成長しているペプチドの放出を開始するものであり、例としては、eRFが挙げられるが、これに限定されない。
また、セレクターコドンは、延長されたコドン(延長コドン)(例としては、4塩基以上のコドン(例えば、4塩基、5塩基、6塩基以上のコドン)が挙げられるが、これらに限定されない)を含んでいる。4塩基コドンの例としては、AGGA、CUAG、UAGA、およびCCCUなどが挙げられるが、これらに限定されない。5塩基コドンの例としては、AGGAC、CCCCU、CCCUC、CUAGA、CUACU、およびUAGGCなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載されている方法および組成物の特徴は、フレームシフト抑圧に基づく、延長コドンの使用を含む。4塩基以上のコドンは、同じタンパク質に1つまたは複数の非天然アミノ酸(例として挙げられるが、これらに限定されない)を挿入可能である。例えば、アンチコドンループ(少なくとも8−10ntのアンチコドンループなど)を有する、突然変異されたO−tRNA(例としては、特別なフレームシフトサプレッサーtRNAが挙げられるが、これに限定されない)の存在下において、4塩基以上のコドンが単一のアミノ酸として読まれる。他の実施形態では、アンチコドンループは、少なくとも4塩基コドン、少なくとも5塩基コドン、または少なくとも6塩基コドン(例として挙げられるが、これらに限定されない)を翻訳可能である。見込みのある4塩基コドンが256あるので、複数の非天然アミノ酸は、4塩基以上のコドンを用いて、同じ細胞において翻訳され得る。「Andersonら, (2002) Exploring the Limits of Codon and Anticodon Size, Chemistry and Biology. 9:237-244」;「Magliery, (2001) Expanding the Genetic Code: Selection of Efficient Suppressors of Four-base Codons and Identification of ‘Shifty’ Four-base Codons with a Library Approach in Escherichia coli, J. Mol. Biol. 307: 755-769」を参照のこと。
例えば、4塩基コドンは、インビトロ生合成方法を用いた、タンパク質への非天然アミノ酸の組み込みに使用されている。例えば、「Maら, (1993) Biochemistry. 32:7939-7945」、および「Hohsakaら, (1999) J. Am. Chem. Soc. 121: 34-40」を参照のこと。CGGGおよびAGGUは、化学的にアシル化された2つのフレームシフトサプレッサーtRNAを用いて、インビトロにおいて、ストレプトアビジンに2−ナフチルアラニンおよびリジンNBD誘導体を同時に組み込むために使用された。例えば、「Hohsakaら, (1999) J. Am. Chem. Soc. 121: 12194-12195」を参照のこと。Moorらは、インビトロの研究にて、UAGNコドンを抑圧するというNCUAアンチコドンを有するtRNALeu誘導体の能力を調べた(NはU、A、GまたはCであり得る)。そして、UCUAアンチコドンを有するtRNALeuにより、4塩基のUAGAが、13から26%の効率でもって、0または−1フレームにおける解読がほとんどなく、解読され得ることを発見した。例えば、「Mooreら, (2000) J. Mol. Biol., 298:195-205」を参照のこと。一実施形態では、レアコドンまたはナンセンスコドンに基づく延長コドンは、本明細書に記載の方法および組成物に、使用され得る。これによれば、他の望ましくない部位におけるミスセンスのリードスルーと、フレームシフト抑圧とを減少することができる。
また、所定の系に関して、内在性の系が天然塩基コドンを使用しない(または稀にしか使用しない)場合に、セレクターコドンは、天然の3塩基コドンの1つを含むことができる。例えば、これには、天然の3塩基コドンを認識するtRNAが欠如している系、および/または3塩基コドンがレアコドンである系が含まれる。
セレクターコドンは、非天然塩基対を任意に含んでいる。これらの非天然塩基対は、存在する遺伝アルファベットをさらに拡張する。塩基対を1つ追加することにより、3塩基コドンの数が64から125まで増加する。第3の塩基対の性質の例としては、安定かつ選択的な塩基対形成、ポリメラーゼによる高い忠実度を伴ったDNAへの効率的な酵素的組み込み、および新生の非天然塩基対の合成後における効率的な連続するプライマー伸張が挙げられる。本方法および本組成物に適合し得る非天然塩基対の記述の例としては、例えば、「Hiraoら, (2002) An unnatural base pair for incorporating amino acid analogues into protein, Nature Biotechnology, 20:177-182」が挙げられ、かつまた、「Wu, Y.,ら (2002) J. Am. Chem. Soc. 124:14626-14630」を参照のこと。他の関連する公報は、以下に載せられている。
インビボにおける使用法に関して、非天然ヌクレオシドは、膜透過性であり、かつリン酸化されて、対応する3リン酸塩を形成する。その上に、増加した遺伝情報は、安定であり、かつ細胞性の酵素によって破壊されない。Bennerおよびその他によるこれまでの試みは、もっとも注目すべき例であるイソ−C:イソ−G対という、基準のWatson−Crick対における水素結合様式とは異なる、水素結合様式を巧く活用した。例えば、「Switzerら, (19S9) J. Am. Chem. Soc, 111 :8322-8322」;および「 Piccirilliら, (1990) Nature, 343:33-37」;「Kool, (2000) Curr. Opin. Chem. Biol., 4:602-608」を参照のこと。これらの塩基は、通常、ある程度に天然塩基と誤対合し、かつ酵素的に修復され得ない。Koolおよび共同研究者は、塩基間の疎水性パッキング相互作用が水素結合と入れ替わって、塩基対の形成を生じることができることを証明した。例えば、「Kool, (2000) Curr. Opin. Chem. Biol., 4:602-608」、および「Guckian and Kool, (1998) Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 36, 2825-2828」を参照のこと。上述した条件のすべてを満たす非天然塩基対を開発する試みにおいて、Schultz、Romesbergおよび共同研究者は、一連の非天然疎水性塩基を体系的に合成し、かつ研究している。PICS:PICS自己対は、天然塩基対より安定であることが見出されており、かつEscherichia coliのDNAポリメラーゼ Iのクレノー酵素(KF)によって、DNAに効率的に組み込まれ得る。例えば、「McMinnら, (1999) J. Am. Chem. Soc. 121: 11585-11586」;および「Ogawaら, (2000) J. Am. Chem. Soc. 122:3274-3278」を参照のこと。3MN:3MN自己対は、生物学的機能に対して十分な効率性および選択性を伴って、KFによって合成され得る。例えば、「Ogawaら, (2000) J Am. Chem. Soc, 122:8803-8804」を参照のこと。しかし、両方の塩基は、さらなる複製に対してターミネーターとして作用する。近年、突然変異体DNAポリメラーゼは、PICS:PICS自己対の複製に使用され得るように、発展されている。その上に、7AI.自己対は、複製され得る。例えば、「Taeら, (2001) J. Am. Chem. Soc. 123:7439-7440」を参照のこと。また、Cu(II)との結合によって安定な対を形成する新規な金属塩基対であるDipic:Pyが、開発されている。例えば、「Meggersら, (2000) J. Am. Chem. Soc 122:10714-10715」を参照のこと。延長コドンおよび非天然コドンは、天然コドンに対して本来的に直交であるので、本明細書に記載されている非天然アミノ酸に関する方法は、この性質を活かして非天然アミノ酸用の直交化tRNAを生成し得る。
また、翻訳回避系(translational bypassing system)が、所望のポリペプチドにおける非天然アミノ酸の組み込みに使用され得る。翻訳回避系において、大きな配列が遺伝子に組み込まれるが、この配列はタンパク質に翻訳されない。当該配列は、リボソームに当該配列を跳び越し、かつ挿入の下流にある翻訳を再開させる合図としての機能を果たす構造を含んでいる。
ある種の実施形態では、本明細書に記載の方法および/または組成物における興味のあるタンパク質またはポリペプチド(またはこれらの一部)は、核酸によってコードされている。典型的に、核酸は、少なくとも1のセレクターコドン、少なくとも2のセレクターコドン、少なくとも3のセレクターコドン、少なくとも4のセレクターコドン、少なくとも5のセレクターコドン、少なくとも6のセレクターコドン、少なくとも7のセレクターコドン、少なくとも8のセレクターコドン、少なくとも9のセレクターコドン、少なくとも10またはそれ以上のセレクターコドンを含んでいる。
興味のあるタンパク質またはポリペプチドをコードする遺伝子は、例えば、非天然アミノ酸の組み込みための1つ以上のセレクターコドンを含めるために、当業者に公知の方法、および本明細書の「突然変異誘発法および他の分子生物学技術」の項目に記載されている方法を用いて、突然変異誘発され得る。例えば、興味のあるタンパク質に関する核酸は、1つ以上の非天然アミノ酸の組み込みを提供するために、1つ以上のセレクターコドンを含むように突然変異誘発される。本明細書に記載されている方法および組成物は、あらゆる変形(例えば、非天然アミノ酸を含んでいる突然変異体、あらゆるタンパク質の型が挙げられるが、これらに限定されない)を包含する。同様に、本明細書に記載されている方法および組成物は、対応する核酸(すなわち、1つ以上の非天然アミノ酸をコードするか、1つ以上の非天然アミノ酸をインビボにおいて組み込みを可能にするセレクターコドンを1つ以上有する任意の核酸)を含んでいる。
興味のあるタンパク質(ほんの一例として、GHポリペプチドが挙げられる)をコードする核酸分子は、ポリペプチドのあらゆる所望の位置にシステインを導入する突然変異誘発を容易にし得る。システインは、反応性分子、水溶性ポリマー、タンパク質、または多種多様な他の分子を、興味のあるタンパク質に導入するために広く使用される。ポリペプチドの所望の位置にシステインを組み込む好適な方法は、当該技術においてよく知られており(例えば、引用によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,608,183号明細書に記載の方法)、標準的な技術である。そのようなシステイン導入技術およびシステイン利用技術の使用は、本明細書に記載の非天然アミノ酸導入技術および非天然アミノ酸利用技術と併せて、使用され得る。
<VIII.非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドのインビボにおける生成>
便宜上、この項に記載されている非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドのインビボ生成は、一般的におよび/または特定の例を用いて記載されている。しかし、この項に記載されている非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドのインビボ生成は、この項に与えられている一般的な記載または特定の例に制限されるべきではないが、むしろこの項に記載されている非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドのインビボ生成は、一般式(I)−一般式(LXVII)の範囲内に収まるすべての化合物(例としては、あらゆる下位の式が挙げられる)か、本書面における明細書、特許請求の範囲および図面に記載されている一般式(I)−一般式(LXVII)の範囲内に収まる特定の化合物に対して十分に等しく適用する。
本明細書に記載のポリペプチドは、修飾型tRNAおよび修飾tRNAシンテターゼを用いて、天然に生じる系にコードされないアミノ酸を加えるか、または置換することにより、インビボにおいて生成され得る。
天然に生じる系にコードされないアミノ酸を使用するtRNAおよびtRNAシンテターゼを製造する方法は、引用によって本明細書に組み込まれる、「In vivo incorporation of unnatural amino acids」と題された米国特許第7,045,337号明細書、および「Methods and compositions for the production of orthogonal tRNA-aminoacyl tRNA synthetase pairs」と題された米国特許第7,083,970号明細書に記載されている。これらの方法は、翻訳系に対して内在性のシンテターゼおよびtRNAと独立して機能する(そして、このためにときに「直交」と呼ばれる)翻訳機構の生成に関与する。一実施形態では、翻訳系は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み;当該ポリヌクレオチドが対応するDNAから転写されたmRNAであってもよい(あるいは上記mRNAは、RNAウイルスベクターから生じ得るmRNAであってもよい);さらに、当該ポリヌクレオチドは、非天然アミノ酸の組み込み用に予定された部位と対応するセレクターコドンを含んでいる。翻訳系は、非天然アミノ酸用のtRNAをさらに含んでいるか、または必要に応じて含んでいる(当該tRNAは、上述したセレクターコドンに特異的であるか、上述したセレクターコドンを特異的に認識する);さらなる実施形態では、非天然アミノ酸がアミノアシル化される。非天然アミノ酸の例としては、本明細書に記載の一般式(I)−一般式(LXVII)の何れか1つの構造を有する非天然アミノ酸が挙げられる。さらなるまたは付加的な実施形態では、翻訳系はtRNAに特異的なアミノアシルシンテターゼを含み、かつ他のさらなる実施形態では、翻訳系は直交化tRNAおよび直交化アミノアシルtRNAシンテターゼを含む。さらなるまたは付加的な実施形態では、翻訳系は、以下:上述したポリヌクレオチド(例えば、ほんの一例として、DNAの形態において)を含んでいるプラスミド、上述したポリヌクレオチド(例えば、ほんの一例として、DNAの形態において)を含んでいるゲノムDNA、または上述したポリヌクレオチドが組み込まれている(さらなる実施形態では、組み込みが安定な組み込みである)ゲノムDNAのうちの少なくとも1つを含んでいる。翻訳系のさらなるまたは付加的な実施形態では、セレクターコドンは、アンバーコドン、オーカーコドン、オパールコドン、ユニークコドン、レアコドン、非天然コドン、5塩基コドンおよび4塩基コドンから成る群から選択される。翻訳系のさらなるまたは付加的な実施形態では、tRNAはサプレッサーtRNAである。さらなるまたは付加的な実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、リボソームによって合成される。
さらなるまたは付加的な実施形態では、翻訳系は直交化tRNA(O−tRNA)および直交化アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を含んでいる。典型的に、O−RSは、少なくとも1つの非天然アミノ酸を有するO−tRNAを、翻訳系において優先的にアミノアシル化し、かつO−tRNAは、当該系において他のtRNAによって認識されない少なくとも1つのセレクターコドンを認識する。従って、翻訳系は、当該系において製造されたタンパク質に非天然アミノ酸を、コードされるセレクターコドンに応じて挿入し、これによってコードされるポリペプチドにおける位置にアミノ酸を「置換する」。
広範な直交化tRNAおよびアミノアシルtRNAは、ポリペプチドに特定の合成アミノ酸を挿入することについて、当該技術分野において説明されており、かつ一般的に本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドを製造する、本明細書に記載の方法に好適である。例えば、ケト特異的O−tRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼは、「Wang, L.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100(1):56-61 (2003) 」、および「Zhang, Z.ら, Biochem. 42(22):6735-6746 (2003)」に記載されている。典型的なO−RSまたはこれらの一部は、「In vivo incorporation of unnatural amino acids」と題された米国特許第7,045,337号明細書、および「Methods and compositions for the production of orthogonal tRNA- aminoacyl tRNA synthetase pairs」と題された米国特許第7,083,970号明細書に開示のアミノ酸配列を含んでおり、ポリヌクレオチドにコードされている(上記文献の全体が、引用によって本明細書に組み込まれる)。また、O−RSとともに使用するための対応するO−tRNA分子は、「In vivo incorporation of unnatural amino acids」と題された米国特許第7,045,337号明細書、および「Methods and compositions for the production of orthogonal tRNA- aminoacyl tRNA synthetase pairs」と題された米国特許第7,083,970号明細書に記載されている(上記文献の全体が、引用によって本明細書に組み込まれる)。その上に、「Mehlら in J. Am. Chem. Soc. 2003; 125:935-939」、および「Santoroら Nature Biotechnology 2002 Oct; 20:1044-1048」には、ポリペプチドへp−アミノフェニルアラニンを組み込むための、スクリーニング方法、およびアミノアシルtRNAシンテターゼ、およびtRNA分子について議論している(上記文献の全体が、引用によって本明細書に組み込まれる)。
本明細書に記載さている方法に使用する、例示的なO−tRNAの例としては、引用によって本明細書に組み込まれる、「Methods and compositions for the production of orthogonal tRNA- aminoacyl tRNA synthetase pairs」と題された米国特許第7,083,970号明細書に開示されているような配列番号1−3のヌクレオチド配列が挙げられる。特定の非天然アミノ酸に対して特異的なO−tRNA/アミノアシルtRNシンテターゼ対の別の例は、「In vivo incorporation of unnatural amino acids」と題された米国特許第7,045,337号明細書に記載されている(上記文献の全体が、引用によって本明細書に組み込まれる)。S. cerevisiaeにおいてケト含有アミノ酸およびアジド含有アミノ酸の両方を組み込む、O−RSおよびO−tRNAは、「Chin, J. W.ら, Science 301: 964-967 (2003) 」に記載されている。
O−tRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼの使用は、非天然アミノ酸をコードする特異的なコドンの選択に関与する。あらゆるコドンが使用され得るが、一般的にO−tRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼが発現されている細胞においてまれにしか使用されないか、または決して使用されないコドンを選択することが好ましい。ほんの一例として、例示的なコドンとしては、ナンセンスコドン(例えば、終止コドン(アンバー、オーカー、およびオパール)、4塩基以上のコドン、ならびにまれにしか使用されない、または使用されない他の天然の3塩基コドン)が挙げられる。
特異的なセレクターコドンは、当該分野に公知の突然変異誘発方法(例としては、部位特異的突然変異誘発法、カセット突然変異誘発法、制限選択突然変異誘発法などが挙げられるが、これらに限定されない)を用いて、配列をコードするポリヌクレオチドにおける適切な位置に組み込まれ得る。
タンパク質の生合成機構の構成要素(例えば、非天然アミノ酸を組み込むために使用され得るO−RS、O−tRNAおよびO−tRNA/O−RS対)を生成する方法は、「Wang, L.,ら Science 292: 498-500 (2001)」;「Chin, J. W.ら, J. Am. Chem. Soc. 124:9026-9027 (2002) 」;「Zhang, Z.ら, Biochemistry 42: 6735-6746 (2003) 」に記載されている。非天然アミノ酸のインビボにおける組み込みのための方法および組成物は、「In vivo incorporation of unnatural amino acids」と題された米国特許第7,045,337号明細書に記載されている(上記文献の全体が、引用によって本明細書に組み込まれる)。また、生物のインビボにおける翻訳系に使用する直交化tRNA−tRNAシンテターゼ対を選択する方法は、「In vivo incorporation of unnatural amino acids」と題された米国特許第7,045,337号明細書、および「Methods and compositions for the production of orthogonal tRNA- aminoacyl tRNA synthetase pairs」と題された米国特許第7,083,970号明細書に記載されている(上記文献の全体が、引用によって本明細書に組み込まれる)。その上に、その全体が引用によって本明細書に組み込まれる、「Site Specific Incorporation of Keto Amino Acids into proteins」と題された国際公開第04/035743号パンフレットには、ケトアミノ酸の組み込み用の直交化RSおよびtRNA対について記載されている。引用によって本明細書に組み込まれる、「Expanding the Eukaryotic Genetic Code」と題された国際公開第04/094593号パンフレットには、真核宿主細胞における非天然にコードされたアミノ酸の組み込み用の直交化RSおよびtRNA対について記載されている。
少なくとも1つの組み換え直交化アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を製造する方法は、(a)第1生物からの少なくとも1つのアミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)に由来するRS(必要に応じてRSの突然変異体)のライブラリーを生成する工程、(b)非天然アミノ酸と天然アミノ酸との存在下において、直交化tRNA(O−tRNA)をアミノアシル化するメンバーについて、RS(必要に応じてRSの突然変異体)のライブラリーを選択(および/またはスクリーニング)して、活性型RS(必要に応じてRSの突然変異体の活性型)のプールを提供する工程、および/または、(c)非天然にコードされたアミノ酸の非存在下において、O−tRNAを優先的にアミノアシル化する活性型RS(RSの突然変異体の活性型など)のプールを選択して、少なくとも1つの組み換えO−RSを提供する工程を含んでおり、上記少なくとも1つの組み換えO−RSは、非天然にコードされたアミノ酸を用いてO−tRNAを優先的にアミノアシル化する、方法である。上記第1生物は、例えば、原核生物(Methanococcus jannaschii, Methanobacterium thermoautotrophicum, Halobacterium, Escherichia coli, A. fulgidus, P. furiosus, P. horikoshii, A. pernix, またはT. thermophilusなど)、あるいは、真核生物である。上記(c)工程では、必要に応じて、陰性選択により、活性型RS(RSの突然変異体の活性型など)のプールを選択してもよい。
一実施形態では、RSは、不活性型RSである。活性型RSを突然変異させることにより、不活性型RSを生成することができる。例えば、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、または少なくとも約10、あるいはそれ以上のアミノ酸を、異なるアミノ酸(アラニンなど)に突然変異させることにより、不活性型RSを生成することができる。
技術的に公知の様々な技術を用いて、RSの突然変異体のライブラリーを生成することができる。そのような技術として、例えば、(1)RSについてのタンパク質の3次元構造に基づく合理的設計、または(2)無作為的技術もしくは合理的設計技術におけるRSヌクレオチドの突然変異誘発法が挙げられる。例えば、部位特異的突然変異誘発法、ランダム突然変異誘発法、多様性を生成する組み換え突然変異誘発法、キメラコンストラクト、合理的設計、および本明細書に記載の方法または技術的に公知の方法によって、RSの突然変異体を生成することができる。
一実施形態では、非天然にコードされたアミノ酸と天然アミノ酸との存在下において、活性型メンバー(例えば、直交化tRNA(O−tRNA)をアミノアシル化する活性型メンバー)について、RS(必要に応じてRSの突然変異体)のライブラリーを選択(および/またはスクリーニング)する工程は、(i)少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる陽性選択またはスクリーニングマーカーと、RS(必要に応じてRSの突然変異体)のライブラリーとを複数の細胞へ導入する段階、(ii)選択剤の存在下において、複数の細胞を成長させる段階、ならびに(iii)選択および/またはスクリーニング剤の存在下において、陽性選択またはスクリーニングマーカーにおける少なくとも1つのセレクターコドンを抑圧することによって、生存する(または特定の反応を示す)細胞を同定して、活性型RS(必要に応じてRSの突然変異体の活性型)のプールを含んでいる陽性選択された細胞の一部(subset)を提供する段階を含んでいる。上記陽性選択および/またはスクリーニングマーカーは、例えば、抗生物質耐性遺伝子である。上記セレクターコドンは、例えば、アンバーコドン、オーカーコドン、オパールコドン、ユニークコドン、レアコドン、非天然コドン、5塩基コドンおよび4塩基コドンである。また、必要に応じて、選択剤および/またはスクリーニング剤の濃度を、変更することができる。
1態様では、陽性選択マーカーは、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子であり、セレクターコドンは、該CAT遺伝子におけるアンバー終止コドンである。さらに別の選択マーカーとしては、特に限定されないが、ネオマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、または技術的に公知および技術的に説明されている任意の地様可能な耐性遺伝子が挙げられる。必要に応じて、陽性選択マーカーは、β−ラクタマーゼであり、セレクターコドンは、該β−ラクタマーゼ遺伝子におけるアンバー終止コドンである。別の態様では、陽性スクリーニングマーカーは、蛍光もしくは発光スクリーニングマーカー、または親和性に基づくスクリーニングマーカー(細胞表面マーカーなど)を含んでいる。
一実施形態では、活性型RS(必要に応じてRSの突然変異体の活性型)について、上記プールを陰性選択またはスクリーニングする工程は、特に限定されないが、(i)陽性選択またはスクリーニングからの活性型RS(必要に応じてRSの突然変異体の活性型)のプールと一緒に、少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる陰性選択またはスクリーニングマーカーを、第2生物の複数の細胞に導入する段階、ならびに(ii)非天然アミノ酸とスクリーニングまたは選択剤とが補充された第1培養基では、生存するか、もしくは特定のスクリーニング反応を示すが、非天然アミノ酸と選択またはスクリーニング剤とが補充されていない第2培養基では、生存しないか、もしくは特定のスクリーニング反応を示さない、細胞を同定して、少なくとも1つの組み換えO−RSを有する生存細胞またはスクリーニングされた細胞を提供する段階を含んでいる(なお、上記活性型RS(必要に応じてRSの突然変異体の活性型)には、特に限定されないが、非天然アミノ酸の非存在下において、O−tRNAを優先的にアミノアシル化するものが含まれる)。上記陰性選択および/またはスクリーニングマーカーは、例えば、抗生物質耐性遺伝子(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子など)である。例えば、CAT同定のプロトコールは、必要に応じて、適切なO−RS組み換え体を決定するときの陽性選択および/または陰性スクリーニングとしての役割を果たす。例えば、必要に応じて、少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいるCATを含み、1つ以上の非天然アミノ酸を含んでいるか、または含んでいない成長プレート上において、クローンのプールは複製される。したがって、非天然アミノ酸を含んでいるプレートにおいて、排他的に成長するコロニーは、組み換えO−RSを含んでいると見なされる。1態様では、選択(および/またはスクリーニング)剤の濃度は、変更される。いくつかの態様では、第1生物と第2生物とは、異なっている。よって、第1生物および/または第2生物は、原核生物、真核生物、哺乳類、Escherichia coli、菌類、酵母、古細菌、真正細菌、植物、昆虫、原生生物などを、必要に応じて含んでいる。他の実施形態では、スクリーニングマーカーは、蛍光または発光スクリーニングマーカー、または親和性に基づくスクリーニングマーカーを含んでいる。
別の実施形態では、活性型RS(必要に応じてRSの突然変異体の活性型)について、プールをスクリーニングまたは選択する工程(陰性選択する工程など)は、特に限定されないが、(i)陽性選択の工程(b)からの、RSの突然変異体の活性型のプールを単離する段階、(ii)少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる陰性選択またはスクリーニングマーカーと、活性型RS(必要に応じてRSの突然変異体の活性型)のプールとを、第2生物の複数の細胞へ導入する段階、ならびに、(iii)非天然アミノ酸が補充されていない第1培養基では、生存するか、もしくは特定のスクリーニング反応を示すが、上記非天然アミノ酸が補充されている第2培養基では、生存しないか、もしくは特定のスクリーニング反応を示さない細胞を同定して、上記非天然アミノ酸に特異的な組み換えO−RSを少なくとも1つ有する生存細胞またはスクリーニングされた細胞を提供する段階を含んでいる。上記少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる陰性選択またはスクリーニングマーカーは、例えば、少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる毒性マーカー遺伝子(リボヌクレアーゼであるバルナーゼの遺伝子など)である。1態様では、少なくとも1つのセレクターコドンは、約2つ以上のセレクターコドンを含んでいる。そのような実施形態は、必要に応じて、少なくとも1つのセレクターコドンが2つ以上のセレクターコドンを含んでおり、第1生物と第2生物とが異なっているということを含んでいてもよい。第1生物と第2生物とは、それぞれ、原核生物、真核生物、哺乳類、Escherichia coli、菌類、酵母、古細菌、真正細菌、植物、昆虫、原生生物などを、必要に応じて含んでいる。また、いくつかの態様は、陰性選択マーカーが、リボヌクレアーゼであるバルナーゼの遺伝子(該遺伝子は少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる)を含んでいるということを包含している。他の態様では、スクリーニングマーカーは、必要に応じて蛍光または発光スクリーニングマーカー、または親和性に基づくスクリーニングマーカーを含んでいるということを包含している。本明細書における実施形態では、スクリーニングおよび/または選択は、必要に応じて、スクリーニングおよび/または選択のストリンジェンシーが変更されることを含んでいる。
一実施形態では、少なくとも1つの組み換え直交化アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を製造する方法は、(d)少なくとも1つの組み換えO−RSを単離する工程、(e)少なくとも1つの組み換えO−RSに由来するO−RS(必要に応じてO−RSの突然変異体)の第2組を生成する工程、ならびに、(f)O−tRNAを優先的にアミノアシル化する能力を含んでいるO−RSの突然変異体が得られるまで、上記(b)工程と(c)工程とを繰り返す工程を、さらに含んでいてもよい。必要に応じて、(d)工程‐(f)工程は、繰り返される(例えば少なくとも約2回)。1態様では、少なくとも1つの組み換えO−RSに由来するO−RSの突然変異体の第2組は、突然変異誘発法によって生成されてもよい。該突然変異誘発法としては、例えば、ランダム突然変異誘発法、部位特異的突然変異誘発法、組み換え、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
上記方法における、陽性選択/スクリーニングの(b)工程、陰性選択/スクリーニングの(c)工程、または陽性および陰性選択/スクリーニングの(b)工程と(c)工程との両方などを含んでいる選択/スクリーニング工程のストリンジェンシーは、必要に応じて、選択/スクリーニングのストリンジェンシーを変更する段階を含んでいる。別の実施形態では、陽性選択/スクリーニングの(b)工程、陰性選択/スクリーニングの(c)工程、または陽性および陰性選択/スクリーニングの(b)工程と(c)工程との両方は、レポーターを使用する段階を含んでおり、該レポーターは、蛍光活性化細胞分類(FACS)により検出されるか、または発光により検出されるものである。必要に応じて、上記レポーターは、ファージディスプレイ、または細胞表面などに提示される。また、上記レポーターは、非天然アミノ酸またはその類似体に関する親和性または触媒活性に基づいて選択される。一実施形態では、シンテターゼの突然変異体は、ファージディスプレイ、または細胞表面に提示される。
組み換え直交化tRNA(O−tRNA)を製造する方法は、特に限定されないが、(a)第1生物からの少なくとも1つのtRNA(サプレッサーtRNAなど)に由来するtRNAの突然変異体のライブラリーを生成する工程、(b)第1生物からのRSの非存在下において、第2生物からのアミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)により、アミノアシル化されるtRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)について、上記ライブラリーをスクリーニングまたは選択(陰性選択など)して、tRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)のプールを提供する工程、ならびに(c)導入された直交化RS(O−RS)によりアミノアシル化されるメンバーについて、tRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)のプールを選択またはスクリーニングして、少なくとも1つの組み換えO−tRNAを提供する工程を含んでおり、上記少なくとも1つの組み換えO−tRNAは、セレクターコドンを認識するとともに、第2生物からのRSにより効率的に認識されず、O−RSにより優先的にアミノアシル化される、方法である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのtRNAは、サプレッサーtRNAであり、ならびに/あるいは、天然のユニークな3塩基コドン、および/もしくは非天然塩基を含んでいるか、またはナンセンスコドン、レアコドン、非天然コドン、少なくとも4塩基を含んでいるコドン、アンバーコドン、オーカーコドン、またはオパール終止コドンである。一実施形態では、組み換えO−tRNAの直交性は、改善されている。いくつかの実施形態では、O−tRNAが、修飾の必要なく、第2生物から第1生物へ必要に応じて移入されることが好ましい。様々な実施形態では、第1生物と第2生物とは、同じであるか、異なっている。さらに、第1生物と第2生物とは、必要に応じて、原核生物(Methanococcus jannaschii, Methanobacteium thermoautotrophicum, Escherichia coli, Halobacteriumなど)、真核生物、哺乳類、菌類、酵母、古細菌、真正細菌、植物、昆虫、原生生物などから選択される。さらに、組み換えtRNAは、必要に応じて、非天然アミノ酸によりアミノアシル化されるものであり、該非天然アミノ酸は、天然にまたは遺伝子操作によって、インビボにおいて生合成されるものである。非天然アミノ酸は、必要に応じて、少なくとも第1生物または第2生物の成長培養基に、必要に応じて加えられる。非天然アミノ酸は、非天然アミノ酸ポリペプチドへの組み込みが可能になるような適切な細胞内濃度に達することができる。
1態様では、アミノアシルtRNAシンテターゼによりアミノアシル化される、tRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)について、上記ライブラリーをスクリーニングまたは選択(陰性選択など)する工程((b)工程)は、(i)少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる毒性マーカー遺伝子と、tRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)のライブラリーとを、第2生物からの複数の細胞へ導入する段階、ならびに、(ii)少なくとも1つの直交化tRNAまたは非機能的なtRNAを含んでいるtRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)のプールを含有している生存細胞を選択する段階を含んでいる。また、上記毒性マーカー遺伝子の代わりに、毒物もしくは静止剤の製造を引き起こす遺伝子、または生物にとって必須の遺伝子を用いてもよい(ただし、これらマーカー遺伝子は、少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる)。例えば、細胞密度比の比較アッセイを用いて、生存細胞を選択することができる。
別の態様では、毒性マーカー遺伝子は、2つ以上のセレクターコドンを含んでいてもよい。上記方法の別の実施形態では、毒性マーカー遺伝子は、リボヌクレアーゼであるバルナーゼの遺伝子であり、該リボヌクレアーゼであるバルナーゼの遺伝子は、少なくとも1つのアンバーコドンを含んでいる。必要に応じて、リボヌクレアーゼであるバルナーゼの遺伝子は、2つ以上のアンバーコドンを含んでいてもよい。
別の実施形態では、導入された直交化RS(O−RS)により、アミノアシル化されるメンバーについて、tRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)のプールを選択またはスクリーニングする工程は、O−RSと一緒に陽性選択またはスクリーニングマーカー遺伝子と、tRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)のプールとを、第2細胞からの複数の細胞へ導入する段階、ならびに、抗生物質などの選択またはスクリーニング剤の存在下において成長した、生存細胞またはスクリーニングされた細胞を同定して、少なくとも1つの組み換えtRNAを有する細胞のプールを提供する段階を含んでいてもよい。該少なくとも1つの組み換えtRNAは、O−RSによりアミノアシル化され、陽性マーカー遺伝子によりコードされた翻訳産物へ、少なくとも1つのセレクターコドンに応じて、アミノ酸を挿入するものである。上記陽性選択またはスクリーニングマーカー遺伝子は、薬剤耐性遺伝子、生物に必須の遺伝子、または毒物の解毒を引き起こす遺伝子を含んでいる。薬剤耐性遺伝子としては、例えば、少なくとも1つのセレクターコドン(少なくとも1つのアンバー終止コドンなど)を含んでいるβ−ラクタマーゼ遺伝子が挙げられる。別の実施形態では、選択またはスクリーニング剤の濃度が、変更される。
特異的なO−tRNA/O−RSの対を生成する方法が提供される。該方法は、特に限定されないが、(a)第1生物からの少なくとも1つのtRNAに由来するtRNAの突然変異体のライブラリーを生成する工程、(b)第1生物からRSの非存在下において、第2生物からのアミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)により、アミノアシル化されるtRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)について、上記ライブラリーを陰性選択またはスクリーニングして、tRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)のプールを提供する工程、ならびに(c)導入された直交化RS(O−RS)によりアミノアシル化されるメンバーについて、tRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)のプールを選択またはスクリーニングして、少なくとも1つの組み換えO−tRNAを提供する工程を含んでいる。少なくとも1つの組み換えO−tRNAは、セレクターコドンを認識し、第2生物からのRSにより効率的に認識されず、そして、O−RSにより優先的にアミノアシル化される。また、上記方法は、(d)第3生物からの少なくとも1つのアミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)に由来するRS(必要に応じてRSの突然変異体)のライブラリーを生成する工程、(e)非天然アミノ酸と天然アミノ酸との存在下において、少なくとも1つの組み換えO−tRNAを優先的にアミノアシル化するメンバーについて、RSの突然変異体のライブラリーを選択またはスクリーニングして、活性型RS(必要に応じてRSの突然変異体の活性型)のプールを提供する工程、ならびに(f)非天然アミノ酸の非存在下において、少なくとも1つの組み換えO−tRNAを優先的にアミノアシル化する活性型RS(必要に応じてRSの突然変異体の活性型)について、上記プールを陰性選択またはスクリーニングして、少なくとも1つの特異的O−tRNA/O−RSの対を提供する工程を含んでおり、上記少なくとも1つの特異的O−tRNA/O−RSの対は、非天然アミノ酸に対して特異的な少なくとも1つの組み換えO−RSと、少なくとも1つの組み換えO−tRNAとを含んでいる、方法である。本明細書に記載の方法によって製造される特異的O−tRNA/O−RSの対は、本明細書に記載の方法および本発明の範囲に含まれる。特異的O−tRNA/O−RSの対には、例えば、mutRNATyr−mutTyrRSの対(mutRNATyr−SS12TyrRSの対など)、mutRNALeu−mutLeuRSの対、mutRNAThr−mutThrRSの対、またはmutRNAGlu−mutGluRSの対などが含まれる。さらに、上記方法は、第1生物および第3生物が、同じであること(例えばMethanococcus jannaschiiであること)を含んでいる。
また、本明細書に記載の方法には、第2生物のインビボの翻訳系に使用するための直交化tRNA−tRNAシンテターゼの対を選択する方法が含まれる。この方法は、特に限定されないが、第1生物から単離されたか、または第1生物に由来するアミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)およびtRNAと、マーカー遺伝子とを、第2生物からの細胞の第1組に導入する工程、上記マーカー遺伝子とtRNAとを、第2生物からの複製した細胞の組に導入する工程、ならびに、上記複製した細胞の組では生存できないが、上記第1組では生存する細胞について選択するか、上記複製した細胞の組では特定のスクリーニング反応を示さないが、上記第1組では特定のスクリーニング反応を示す細胞をスクリーニングする工程を含んでおり、上記第1組と複製した細胞の組とは、選択またはスクリーニング剤の存在下において成長させられ、生存細胞またはスクリーニングされた細胞は、第2生物のインビボの翻訳系に使用するための直交化tRNA−tRNAシンテターゼの対を含んでいる、方法である。一実施形態では、比較および選択またはスクリーニングする工程は、インビボでの相補性試験(complementation assay)を含んでいる。選択またはスクリーニング剤の濃度は、変更可能である。
本明細書に記載の生物は、様々な生物および様々な組み合わせを含んでいる。一実施形態では、上記生物は、必要に応じて、原核生物である。該原核生物としては、例えば、Methanococcus jannaschii, Methanobacterium thermoautotrophicum, Halobacterium, Escherichia coli, A. fulgidus, P. furiosus, P. horikoshii, A. pernix, またはT. thermophilusなどが挙げられる。代わりに、上記生物は、真核生物である。該真核生物としては、例えば、植物(例えば、単子葉植物または双子葉植物などの複雑な生物)、藻類、原生生物、菌類(酵母など)、または動物(例えば哺乳類、昆虫、節足動物)などが挙げられる。
‐A.非真核生物および真核生物における発現‐
このセクションで開示する技術は、本明細書に記載した非天然アミノ酸ポリペプチドの非真核生物および真核生物における発現に適用できる。
クローン化されたポリヌクレオチドの高レベルの発現量を得るために、所望のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、転写を導く強力なプロモーター、転写/翻訳ターミネーター、さらにタンパク質をコードする核酸用であれば、翻訳開始に関するリボソーム結合部位を含んでいる、発現ベクターにサブクローニングする。適切な細菌性プロモーターは、例えば「Sambrookら」および「Ausubelら」に記載されている。
ポリペプチドの発現のための細菌性発現系は、限定されないが、例えば、大腸菌(E. coli)、バシラス属(Bacillus sp)、蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)、 緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、有機溶媒耐性細菌(Pseudomonas putida)、およびサルモネラ属(Salmonella)(PalvaらGene 22:229-235 (1983); MosbachらNature 302:543-545 (1983))が好適に利用できる。前記の発現系のためのキットは市販されている。哺乳類細胞、酵母および昆虫細胞における真核生物の発現系は市販されている。万一、直交化tRNAおよびアミノアシルtRNAシンテターゼ(本明細書の別の場所に記載)が、ポリペプチドを発現するために用いられた場合、発現のための宿主細胞は、直交成分を使用する能力に基づいて選択される。典型的な宿主細胞は、グラム陽性菌(限定されないが、タンパク質生産菌(B. brevis)もしくは古草菌(B. subtilis)、ストレプトミセス(Streptomyces)を含む)、またはグラム陰性菌(大腸菌、もしくは蛍光菌、緑膿菌、有機溶媒耐性細菌)、同様に酵母、および他の真核細胞を含む。本明細書に記載されたように、O−tRNA/O−RS対を含む細胞を用いることができる。
本明細書に記載された真核宿主細胞または非真核宿主細胞は、大量に使用可能な非天然アミノ酸を含むポリペプチドを合成する能力を提供する。一態様において、組成物に任意に含有される、非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドの量は、特に限定されないが、少なくとも約10マイクログラム、少なくとも約50マイクログラム、少なくとも約75マイクログラム、少なくとも約100マイクログラム、少なくとも約200マイクログラム、少なくとも約250マイクログラム、少なくとも約500マイクログラム、少なくとも約1ミリグラム、少なくとも約10ミリグラム、少なくとも約100ミリグラム、少なくとも約1グラム、またはそれ以上であるか、あるいは、またはインビボにおいてポリペプチドを製造する方法により達成され得る量である(組換えタンパク質の製造および精製の詳細は、本明細書において提供される)。他の態様において、ポリペプチドは、限定されないが、細胞ライセート、緩衝液、薬学的な緩衝液、または他の液体懸濁液(限定されないが、約1nLから約100Lまで、またはそれ以上の全ての体積を含む)の組成物中に以下に挙げる濃度で任意に存在する(例えば、限定されないが、1Lにつき少なくとも約10マイクログラムのポリペプチド、1Lにつき少なくとも約50マイクログラムのポリペプチド、1Lにつき少なくとも約75マイクログラムのポリペプチド、1Lにつき少なくとも約100マイクログラムのポリペプチド、1Lにつき少なくとも約200マイクログラムのポリペプチド、1Lにつき少なくとも約250マイクログラムのポリペプチド、1Lにつき少なくとも約500マイクログラムのポリペプチド、1Lにつき少なくとも約1ミリグラムのポリペプチド、1Lにつき少なくとも約10ミリグラムのポリペプチド、またはそれ以上)。少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む真核細胞におけるタンパク質の大量生産(限定されないが、インビトロ翻訳を含む通常可能な他の方法よりもさらに多くのものを含む)は、本明細書に記載した方法、技術、および組成物の特徴である。
本明細書に記載された真核宿主細胞または非真核宿主細胞は、大量に使用可能な非天然アミノ酸を含むポリペプチドを生合成する能力を提供する。例えば、非天然アミノ酸を含むポリペプチドを、限定されないが、以下の濃度で細胞抽出物、細胞ライセート、培養液、緩衝液などに含まれるタンパク質として製造することができる(少なくとも約10μg/L、少なくとも約50μg/L、少なくとも約75μg/L、少なくとも約100μg/L、少なくとも約200μg/L、少なくとも約250μg/L、少なくとも約500μg/L、少なくとも約1mg/L、少なくとも約2mg/L、少なくとも約3mg/L、少なくとも約4mg/L、少なくとも約5mg/L、少なくとも約6mg/L、少なくとも約7mg/L、少なくとも約8mg/L、少なくとも約9mg/L、少なくとも約10mg/L、少なくとも約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900mg/L、約1g/L、約5g/L、約10g/L、またはそれ以上)。
1.発現系、培養および単離
このセクションで開示される技術は、本明細書に記載された非天然アミノ酸ポリペプチドの発現系、培養、および単離に適用できる。非天然アミノ酸ポリペプチドは、限定されないが、酵母、昆虫細胞、哺乳類細胞および細菌を含む、何種類もの好適な発現系を用いて発現されてよい。典型的な発現系の詳細は、本明細書において提供される。
本明細書で用いられるような用語「酵母」は、興味のあるポリペプチドを発現させることができる様々な酵母のうちの何れかを含んでいる。そのような酵母としては、子嚢胞子を生じる酵母(ascosporogenous yeasts (Endomycetales))、担子胞子を生じる酵母(basidiosporogenous yeasts)、および不完全真菌(Blastomycetes)の群に属する酵母などが挙げられるが、これらに限定されない。上記子嚢胞子を生じる酵母は、2つのファミリー(SpermophthoraceaeおよびSaccharomycetaceae)に分けられる。後者は、4つのサブファミリー(Schizosaccharomycoideae(Schizosaccharomyces属など), Nadsonioideae, Lipomycoideae, およびSaccharomycoideae(Pichia属、Kluyveromyces属、およびSaccharomyces属など))から構成されている。担子胞子を生じる酵母には、Leucosporidium属、Rhodosporidium属、Sporidiobolus属、Filobasidium属、およびFilobasidiella属が含まれる。不完全真菌(Blastomycetes)の群に属する酵母は、2つのファミリーSporobolomycetaceae(Sporobolomyces属およびBullera属など)、およびCryptococcaceae(Candida属など)に分けられる。
一実施形態では、Pichia属, Kluyveromyces属, Saccharomyces属, Schizosaccharomyces属, Hansenula属, Torulopsis属,およびCandida属(特に限定されないが、例えば、P. pastoris, P. guillerimondii, S. cerevisiae, S. carlsbergensis, S. diastaticus, S. douglasii, S. kluyveri, S, norbensis, S. oviformis, K. lactis, K. fragilis, C. albicans, C. maltosa, およびH. polymorpha)の種は、本明細書に記載した、方法、技術および組成物に使用される。
非天然アミノ酸ポリペプチドの発現に好適な酵母の選択は、当業者の技術範囲内である。発現のために選択される酵母宿主では、好適な宿主は、限定されないが、例えば、良好な選択能力、低いタンパク分解活性、および全体の頑健さを含んでよい。酵母は、一般的に様々な供給源から入手でき、例えば、限定されないが、Yeast Genetic Stock Center, Department of Biophysics and Medical Physics, University of California (Berkeley, CA)、および the American Type Culture Collection (「ATCC」) (Manassas, VA)などから入手できる。
用語「酵母宿主」または「酵母宿主細胞」は、組み換えベクターまたは他のトランスファーDNAを受け入れることができるか、または受け入れることができた酵母を含んでいる。この用語は、組み換えベクターまたは他のトランスファーDNAを受け入れた元々の酵母宿主細胞の子孫を含んでいる。1つの親細胞の子孫は、元々の親細胞と、形態、ゲノムDNA、または全DNAの補体(complement)において、必ずしも完全に一致していなくてもよいことを理解されたい。これは、偶発的な突然変異、または計画的な突然変異が発生するからである。親細胞の子孫は、関連する特性(非天然アミノ酸ポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列の存在など)により特徴付けられる親細胞と十分に類似しており、このような子孫は、ここの定義により意図される子孫に含まれる。
発現ベクターおよび形質転換ベクター(染色体外レプリコンまたは組み込みベクターなど)は、多くの酵母宿主を形質転換するために開発された。例えば、発現ベクターは、S. cerevisiae (「Sikorskiら, GENETICS (1989) 122:19」、「Itoら, J. BACTERIOL. (1983) 153:163」、「Hinnenら, PROC. NATL. ACAD. SCI. USA (1978) 75:1929」)、C. albicans (「Kurtzら, MOL. CELL. BIOL. (1986) 6:142」)、C. maltosa (「Kunzeら, J. BASIC MICROBIOL. (1985) 25:141」)、H. polymorpha (「Gleesonら, J. GEN. MICROBIOL. (1986) 132:3459」、「Roggenkampら, MOL. GENETICS AND GENOMICS (1986) 202:302」)、K. fragilis (「Dasら, J. BACTERIOL. (1984) 158:1165」)、K. lactis (「De Louvencourtら, J. BACTERIOL. (1983) 154:737」、「Van den Bergら, BIOTECHNOLOGY (NY) (1990) 8:135」)、 P. guillerimondii (「Kunzeら, J. BASIC MICROBIOL. (1985) 25:141」)、 P. pastoris (「米国特許第5,324,639号明細書、米国特許第4,929,555号明細書、および米国特許第4,837,148号明細書、「Creggら, MOL. CELL. BIOL. (1985) 5:3376」、Schizosaccharomyces pombe (「Beachら, NATURE (1982) 300:706」)、および Y. lipolytica; A. nidulans (「Balanceら, BlOCHEM. BIOPHYS. RES. COMMUN. (1983) 112:284-89」、「Tilburnら, GENE (1983) 26:205-221」、および「Yeltonら, PROC. NATL. ACAD. SCI. USA (1984) 81:1470-74」)、 A. niger (「Kelly and Hynes, EMBO J. (1985) 4:475-479」)、T. reesia (欧州特許出願公開第0244234号明細書)、および、糸状菌(例えばNeurospora、Penicillium、Tolypocladium(国際公開第91/00357号パンフレット)など)のために開発された。なお、各文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
酵母ベクターの制御配列は、当業者に公知であり、例えば、以下に列挙した遺伝子のプロモーター領域が挙げられるが、これらに限定されない。すなわち、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)(欧州特許出願公開第0284044号明細書)、エノラーゼ、グルコキナーゼ、グルコース‐6リン酸イソメラーゼ、グリセルアルデヒド‐3‐リン酸‐デヒドロゲナーゼ(GAPまたはGAPDH)、ヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、3‐ホスホグリセリン酸ムターゼ、およびピルビン酸キナーゼ(PyK)(欧州特許出願公開第0329203号明細書)がなど挙げられる。また、ホスファターゼをコードしている酵母のPHO5遺伝子も、有用なプロモーター配列を提供し得る(Miyanoharaら, PROC. NATL. ACAD. SCI. USA (1983) 80:1)。酵母宿主と一緒に使用するための他の適切なプロモーター配列には、3‐ホスホグリセリン酸キナーゼ(「Hitzemanら, J. BIOL. CHEM. (1980) 255:(4): 12073-12080」)、および他の解糖系の酵素(ピルビン酸デカルボキシラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、およびホスホグルコースイソメラーゼ(「Hollandら, BIOCHEMISTRY (1978) 17(23): 4900-4907」、「Hessら, J. ADV. ENZYME REG. (1969) 7:149-167」)が含まれてもよい。成長条件により転写を制御できるという利点をさらに有する酵母の誘導性プロモーターは、以下に列挙するタンパク質のプロモーター領域を含んでいてもよい。すなわち、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロームC、酸性ホスファターゼ、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド‐3‐リン酸デヒドロゲナーゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、およびマルトースとガラクトースの利用に関与する酵素である。また、酵母発現に使用するための適切なベクターおよびプロモーターは、欧州特許出願公開第0073657号明細書に記載されている。
また、酵母エンハンサーを、酵母プロモーターと一緒に用いてもよい。さらに、合成プロモーターを、酵母プロモーターとして機能させてもよい。例えば、酵母プロモーターの上流活性化配列(UAS)を、別の酵母プロモーターの転写活性化領域に連結させて、合成混成プロモーターを作製してもよい。上記混成プロモーターとしては、例えば、GAPの転写活性化領域に連結されたADH調節配列が挙げられる。米国特許第4,880,734号明細書、および米国特許第4,876,197号明細書を参照のこと。なお、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。混成プロモーターの他の例としては、ADH2、GAL4、GAL10、またはPHO5遺伝子の調節配列と、解糖系酵素の遺伝子(GAPまたはPyKなど)の転写活性化領域との組み合わせから成るプロモーターが挙げられる。欧州特許出願公開0164556号明細書を参照のこと。さらに、酵母プロモーターは、天然に存在するものであって、酵母のRNAポリメラーゼに結合し、転写を開始させることができる酵母を起源としないプロモーターを含んでいてもよい。
酵母発現ベクターの一部を構成してもよい他の制御要素はとしては、ターミネーター(例えば、GAPDHまたはエノラーゼ遺伝子に由来するもの(「Hollandら, J. BlOL. CHEM. (1981) 256:1385」))が挙げられる。さらに、2μプラスミドの起点に由来する複製起点は、酵母に適切である。酵母に用いるための適切な選抜遺伝子は、酵母プラスミドに存在するtrp1遺伝子である。「Tschumperら, GENE (1980) 10:157」、「Kingsmanら, GENE (1979) 7:141」を参照のこと。trp1遺伝子は、トリプトファンにおいて成長することができない酵母の突然変異株についての選抜マーカーを提供する。同様にLeu2欠損酵母株(ATCC20,622または38,626)は、Leu2遺伝子を生じる公知のプラスミドにより補完される。
外因性DNAを酵母宿主に導入する方法は、アルカリ性陽イオンを用いて処理されたスフェロプラストまたは無傷の酵母宿主細胞を形質転換する工程を含んでいるが、これに限定されない。例えば、酵母の形質転換を、「Hsiaoら, PROC. NATL. ACAD. SCI. USA (1979) 76:3829」および「Van Solingenら, J. BACT. (1977) 130:946」に記載の方法にしたがって、実施することができる。しかし、他の方法(核注入、エレクトロポレーション、または原形質融合などによってDNAを細胞に導入する方法)も用いることができる。この方法は、例えば「SAMBROOKら, MOLECULAR CLONING: A LAB. MANUAL (2001)」に記載されている。続いて、酵母宿主細胞を当業者に公知の標準技術を用いて培養してもよい。
酵母宿主細胞における異種タンパク質を発現させる他の方法は、以下の文献に記載されている。米国特許出願公開第2002/0055169号明細書、米国特許第6,361,969号明細書、米国特許第6,312,923号明細書、米国特許第6,183,985号明細書、米国特許第6,083,723号明細書、米国特許第6,017,731号明細書、米国特許第5,674,706号明細書、米国特許第5,629,203号明細書、米国特許第5,602,034号明細書、および米国特許第5,089,398号明細書、米国再発行特許発明第RE37,343号明細書、および米国再発行特許発明第RE35,749号明細書、国際公開第99/07862号パンフレット、国際公開第98/37208号パンフレット、および国際公開第98/26080号パンフレット、欧州特許出願公開第0946736号明細書、欧州特許出願公開第0732403号明細書、欧州特許出願公開第0480480号明細書、欧州特許出願公開第0460071号明細書、国際公開第90/10277号明細書、欧州特許出願公開第0340986号明細書、欧州特許出願公開第0329203号明細書、欧州特許出願公開第0324274号明細書、および欧州特許出願公開第0164556明細書。また、「Gellissenら, ANTONIE VAN LEEUWENHOEK (1992) 62(l-2):79-93」、「Romanosら, YEAST (1992) 8(6):423-488」、「Goeddel, METHODS IN ENZYMOLOGY (1990) 185:3-7」を参照のこと。上記文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
当業者に公知である標準の給飼バッチ発酵方法(feed batch fermentation method)を用いた増殖段階の間に、酵母宿主株を発酵槽において成長させてもよい。上記発酵方法を、特定の酵母宿主の炭素利用経路、または発現制御の様式の違いを考慮して、変更してもよい。例えば、Saccharomyces酵母宿主の発酵は、1つのグルコース飼料、窒素源の複合体(カゼイン加水分解物など)、および複合ビタミン栄養補助物を必要としてもよい。これに対し、メチロトローフ酵母であるP. pastorisは、グリセロール、メタノール、および微量の無機化合物飼料を要求してもよく、最適な成長および発現については単純なアンモニウム(窒素)塩だけを要求する。例えば、米国特許第5,324,639号明細書、「Elliottら, J. Protein CHEM. (1990) 9:95」、および「Fieschkoら, BIOTECH. BIOENG. (1987) 29:1113」を参照のこと。なお、これら文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
しかし、上記発酵方法は、用いられる酵母宿主株とは無関係な特定の共通の特徴を有していてもよい。例えば、成長制限栄養素(通常は炭素)を、発酵槽に増幅段階の間に添加して、最大限の成長を引き出してもよい。さらに、発酵方法は、一般的に、十分な量の炭素、窒素、基本塩、リン、および他の微量栄養素(ビタミン、微量無機物、および塩など)を含むように調製された発酵培養液を用いてもよい。Pichiaに用いるのに適切な発酵培養液としては、例えば、米国特許第5,324,639号明細書、および米国特許第5,231,178号明細書に記載の発酵培養液を用いることができる。なお、これら文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
(バキュロウィルス感染昆虫細胞)
用語「昆虫宿主」または「昆虫宿主細胞」は、組み換えベクターまたは他のトランスファーDNAを受け入れることができるか、または受け入れることができた昆虫のことをいう。この用語は、形質転換された元々の昆虫宿主細胞の子孫も含む。1つの親細胞の子孫は、元々の親細胞と、形態、ゲノムDNA、または全DNAの補体において、必ずしも完全に一致していなくてもよいことを理解されたい。これは、偶発的な突然変異、または計画的な突然変異が発生するからである。親細胞の子孫は、関連する特性(興味のあるポリペプチドをコードしているポリペプチドが存在しているなど)により特徴付けられる親細胞と十分に類似しており、このような子孫は、ここの定義により意図される子孫に含まれる。
所望のポリペプチドの発現のための適切な昆虫細胞の選抜は、当業者に公知である。また、いくつかの昆虫種は、公知であり、市販されている。そのような昆虫種としては、例えば、Aedes aegypti、Bombyx mori、Drosophila melanogaster、Spodoptera frugiperda、およびTrichoplusia niが挙げられる。発現のための昆虫宿主の選抜において、適切な宿主は、取り分け、分泌能力に優れ、タンパク質分解活性が低く、そして全体的に強健である宿主であってもよい。昆虫は、一般的に、様々な供給源から入手することができ、例えば、「Insect Genetic Stock Center, Department of Biophysics and Medical Physics, University of California (Berkeley, CA)」、および「the American Type Culture Collection (「ATCC」) (Manassas, VA)」から入手することができるが、これらに限定されない。
一般的に、バキュロウィルス‐感染昆虫の発現系の要素には、トランスファーベクター、野生型バキュロウィルス、適切な昆虫宿主細胞、および成長培養液が含まれる。上記トランスファーベクターは、通例、細菌のプラスミドであり、このプラスミドは、バキュロウィルスのゲノムの断片と、発現される異種遺伝子の挿入に便利な制限酵素認識部位とを含んでいる。また、上記野生型バキュロウィルスは、トランスファーベクター中のバキュロウィルスに特異的な断片に相同な配列を有しており、これにより、異種遺伝子のバキュロウィルスゲノムへの相同組み換えが可能になる。ベクター、細胞へのトランスフェクション、プラークの採集、または培養液中での細胞の成長などに用いられる材料、方法および技術は公知であり、記載されているこれらの技術を利用することができる。
異種遺伝子を、トランスファーベクターに挿入した後、該ベクターおよび野生型ウィルスゲノムを、昆虫宿主細胞にトランスフェクションする。この昆虫宿主細胞において、ベクターとウィルスゲノムとが、組み換えを起こす。パッケージングされた組み換えウィルスを発現させる。そして組み換えプラークを同定して精製する。バキュロウィルス/昆虫細胞発現系のための材料と方法とは、キットの様式で、例えばInvitrogen Corp. (Carlsbad, CA)から市販されている。これらの技術は、一般的に当業者に公知であり、「SUMMERS AND SMITH, TEXAS AGRICULTURAL EXPERIMENT STATION BULLETIN NO. 1555 (1987)」に十分記載されている。なお、この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。また、「RICHARDSON, 39 METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY: BACULOVIRUS EXPRESSION PROTOCOLS (1995)」、「AUSUBELら, CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY 16.9-16.11 (1994)」、「KLNG AND POSSEE, THE BACULOVIRUS SYSTEM: A LABORATORY GUIDE (1992)」および「O’REILLYら, BACULOVIRUS EXPRESSION VECTORS: A LABORATORY MANUAL (1992)」を参照のこと。
バキュロウィルス/昆虫細胞発現系を用いた、様々な異種タンパク質の製造は、以下の引用文献に記載され、該技術は、本明細書に記載した非天然アミノ酸ポリペプチドを製造するために適合可能である。例えば、米国特許第6,368,825号明細書、米国特許第6,342,216号明細書、米国特許第6,338,846号明細書、米国特許第6,261,805号明細書、米国特許第6,245,528号明細書、米国特許第6,225,060号明細書、米国特許第6,183,987号明細書、米国特許第6,168,932号明細書、米国特許第6,126,944号明細書、米国特許第6,096,304号明細書、米国特許第6,013,433号明細書、米国特許第5,965,393号明細書、米国特許第5,939,285号明細書、米国特許第5,891,676号明細書、米国特許第5,871,986号明細書、米国特許第5,861,279号明細書、米国特許第5,858,368号明細書、米国特許第5,843,733号明細書、米国特許第5,762,939号明細書、米国特許第5,753,220号明細書、米国特許第5,605,827号明細書、米国特許第5,583,023号明細書、米国特許第5,571,709号明細書、米国特許第5,516,657号明細書、米国特許第5,290,686号明細書、国際公開第02/06305号パンフレット、国際公開第01/90390号パンフレット、国際公開第01/27301号パンフレット、国際公開第01/05956号パンフレット、国際公開第00/55345号パンフレット、国際公開第00/20032号パンフレット、国際公開第99/51721号パンフレット、国際公開第99/45130号パンフレット、国際公開第99/31257号パンフレット、国際公開第99/10515号パンフレット、国際公開第99/09193号パンフレット、国際公開第97/26332号パンフレット、国際公開第96/29400号パンフレット、国際公開第96/25496号パンフレット、国際公開第96/06161号パンフレット、国際公開第95/20672号パンフレット、国際公開第93/03173号パンフレット、国際公開第92/16619号パンフレット、国際公開第92/02628号パンフレット、国際公開第92/01801号パンフレット、国際公開第90/14428号パンフレット、国際公開第90/10078号パンフレット、国際公開第90/02566号パンフレット、国際公開第90/02186号パンフレット、国際公開第90/01556号パンフレット、国際公開第89/01038号パンフレット、国際公開第89/01037号パンフレット、国際公開第88/07082号パンフレットを参照のこと。なお、各文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
バキュロウィルス/昆虫細胞発現系に有用なベクターは、公知であり、例えば、バキュロウィルスのAutographacalifornica核多角体ウィルス(AcNPV)に由来する昆虫の発現およびトランスファーベクターが挙げられる(なお、この例示したベクターは、ヘルパー非依存性のウィルスベクターである)。この系に由来するウィルス発現ベクターでは、異種遺伝子の発現を誘導するために、ウィルスの強力なポリへドリン遺伝子プロモーターが用いられる。一般的には、「O’Reillyら, BACULOVIRUS EXPRESSION VECTORS: A LABORATORY MANUAL (1992)」を参照のこと。
外来の遺伝子をバキュロウィルスのゲノムに挿入する前に、上記要素(プロモーター、リーダー(必要に応じて)、興味のあるコード配列、および転写終結配列を含んでいる)を、通常は中間置換コンストラクト(Intermediate transplacement construct)(トランスファーベクター)に組み立てる。中間置換コンストラクトはしばしば、細菌のような宿主中で安定して維持され得る染色体外エレメント(例えば、プラスミド)のような、レプリコン中に維持される。レプリコンは1つの複製系を有し、このため、クローニングおよび増幅に適切な宿主中に維持され得る。より具体的には、プラスミドは、ポリヘドリンポリアデニル化シグナル(「Millerら ANN. REV. MICROBIOL. (1988) 42:177」)、および、E.coliにおいて選抜および増殖されるための原核生物のアンピシリン耐性(amp)遺伝子と複製起点とを含有する。
AcNPVへ外来遺伝子を導入するために一般的に使用されるトランスファーベクターの1つは、pAc373である。当業者に公知のその他の多くのベクターもまた設計されており、例えば、pVL985が挙げられる。このベクターでは、ポリヘドリン開始コドンがATGからATTに変えられ、ATTの下流の32塩基対にBamHIクローニング部位が導入されている(「Luckow and Summers, VIROLOGY 170:31 (1989)」を参照のこと)。他の市販されているベクターとしては、例えば、PBlueBac4.5/V5-His, pBlueBacHis2, pMelBac, pBlueBac4.5 (Invitrogen Corp., Carlsbad, CA)が挙げられる。
異種遺伝子を挿入した後、トランスファーベクターおよび野生型バキュロウィルスのゲノムを、昆虫細胞宿主に共トランスフェクションする。異種DNAをバキュロウィルスの所望の部位に導入するための方法は、公知である。例えば、「SUMMERS AND SMITH, TEXAS AGRICULTURAL EXPERIMENT STATION BULLETIN NO. 1555 (1987)」、「Smithら, MOL. CELL. BIOL. (1983) 3:2156」、「Luckow and Summers, VIROLOGY (1989) 170:31-39」を参照のこと。例えば、2重交差型相同組み換えによって、ポリへドリン遺伝子などの遺伝子に、挿入できる。また、所望のバキュロウィルス遺伝子中に設けられた、制限酵素認識部位に挿入してもよい。例えば、「Millerら, BIOESSAYS (1989) 11(4):91」を参照のこと。
トランスフェクションを、エレクトロポレーションにより達成してもよい。「TROTTER AND WOOD, 39 METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY (1995)」、「Mann and King, J. GEN. VIROL. (1989) 70:3501」を参照のこと。また、その代わりに、リポソームを用いて、昆虫細胞に組み換え発現ベクターとバキュロウィルスとをトランスフェクションしてもよい。例えば、「Liebmanら., BIOTECHNIQUES (1999) 26(1):36」、「Gravesら, BIOCHEMISTRY (1998) 37:6050」、「Nomuraら, J. BIOL. CHEM. (1998) 273(22):13570」、「Schmidtら, タンパク質 EXPRESSION AND PURIFICATION (1998) 12:323」、「Siffertら, NATURE GENETICS (1998) 18:45」、「TILKINSら, CELL BIOLOGY: A LABORATORY HANDBOOK 145-154 (1998)」、「Caiら, タンパク質 EXPRESSION AND PURIFICATION (1997) 10:263」、「Dolphinら, NATURE GENETICS (1997) 17:491」、「Kostら, GENE (1997) 190:139」、「Jakobssonら, J. BlOL. CHEM. (1996) 271:22203」、「Rowlesら, J. BIOL. CHEM. (1996) 271(37):22376」、「Revereyら, J. BIOL. CHEM. (1996) 271(39) :23607- 10」、「Stanleyら, J. BlOL. CHEM. (1995) 270:4121」、「Siskら, J. VlROL. (1994) 68(2):766」、および「Pengら, BIOTECHNIQUES (1993) 14(2):274」を参照のこと。市販されているリポソームとしては、例えば、セルフェクチン(Cellfectin(登録商標))、およびリポフェクチン(Lipofectin(登録商標))(Invitrogen, Corp., Carlsbad, CA)が挙げられる。また、リン酸カルシウムトランスフェクションを用いてもよい。「TROTTER AND WOOD, 39 METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY (1995)」、「Kitts, NAR (1990) 18(19):5667」、および「Mann and King, J. GEN. VIROL. (1989) 70:3501」を参照のこと。
バキュロウィルス発現ベクターは、たいていは、バキュロウィルスプロモーターを含んでいる。バキュロウィルスプロモーターは、バキュロウィルスのRNAポリメラーゼが結合でき、コード配列(例えば、構造遺伝子)をmRNAへと下流(3’)へ転写開始する任意のDNA配列である。プロモーターは、たいていはコード配列の5’末端近傍に配置される転写開始領域を有している。この転写開始領域は、通常、RNAポリメラーゼ結合部位と転写開始部位とを含んでいる。また、バキュロウィルスのプロモーターは、エンハンサーと呼ばれる2次ドメインを有していてもよい。この2次ドメインは、存在する場合は、上記構造遺伝子から遠位に存在する。また、発現は、調節されてもよいし、恒常的であってもよい。
ウィルス感染サイクルの後期に多量に転写される構造遺伝子は、特に有用なプロモーター配列を提供する。例えば、ウィルスポリヘドリンタンパク質をコードしている遺伝子由来の配列(「FRIESENら, The Regulation of Baculovirus Gene Expression in THE MOLECULAR BIOLOGY OF BACULOVIRUSES (1986)」、欧州特許出願公開第0127839号明細書、および欧州特許出願公開第0155476号明細書)、およびp10タンパク質をコードしている遺伝子由来の配列(「Vlakら, J. GEN. VlROL. (1988) 69:765」)が含まれる。
新しく形成されたバキュロウィルス発現ベクターは、感染性の組み換えバキュロウィルスへとパッケージングされる。その後、成長したプラークを当業者に公知の方法により精製してもよい。「Millerら, BIOESSAYS (1989) 4:91」、「SUMMERS AND SMITH, TEXAS AGRICULTURAL EXPERIMENT STATION BULLETIN NO. 1555 (1987)」を参照のこと。
組み換えバキュロウィルス発現ベクターは、いくつかの昆虫細胞へ感染させるために開発された。例えば、取り分け、Aedes aegypti(ATCC番号CCL−125)、Bombyx mori(ATCC番号CRL−8910)、Drosophila melanogaster(ATCC番号1963)、Spodoptera frugiperda、およびTriclioplusia niのための組み換えバキュロウィルスが開発された。国際公開第89/046,699号パンフレット、「Wright, NATURE (1986) 321:718」、「Carbonellら, J. VlROL. (1985) 56:153」、「Smithら, MOL. CELL. BIOL. (1983) 3:2156」を参照のこと。一般的には、「Fraserら, IN VITRO CELL. DEV. BIOL (1989) 25:225」を参照のこと。より具体的には、バキュロウィルス発現ベクターの系に用いられる細胞株としては、通常、Sf9(Spodoptera frugiperda)(ATCC番号CRL−1711)、Sf21(Spodoptera frugiperda)(Invitrogen Corp.,カタログ番号11497-013 (Carlsbad, CA))、Tri-368(Trichopulsia ni)、およびHigh-Five(登録商標)BTI-TN-5B1-4(Trichopulsia ni)が挙げられるが、これらに限定されない。
バキュロウィルス/発現における異種ポリペプチドの直接発現と融合発現とのための細胞および培養液は、市販されている。また、細胞培養技術は、当業者に公知である。
(E.Coli、Pseudomonas種、および他の原核生物)
細菌における発現技術は、当業者に公知である。細菌宿主において使用するための多種多様なベクターが、利用可能である。これらベクターは、1コピーベクターであってもよいし、または、多コピーベクターであってもよい。多コピーベクターは、コピー数が少なくてもよい(低多コピーベクター)し、多くてもよい(高多コピーベクター)。クローニングベクターおよび/または発現ベクターが、提供されてもよい。ベクター、多くの市販のベクター、ベクターの手引書、ベクターの制限酵素地図、および特徴に関する文献が多く発行されているので、本明細書では、これ以上論じる必要は無い。よく知られているように、ベクターは、通常は選抜を可能にするマーカーを含んでいる。このマーカーにより、細胞毒性剤への耐性、原栄養性、または免疫が提供され得る。また、ベクターの多くは、異なる特徴を提供するマーカーを複数有している。
細菌プロモーターは、細菌のRNAポリメラーゼが結合でき、コード配列(例えば、構造遺伝子)をmRNAへと下流(3’)へ転写開始できる任意のDNA配列である。プロモーターは、たいていはコード配列の5’末端近傍に配置される転写開始領域を有している。この転写開始領域は、通常、RNAポリメラーゼ結合部位と転写開始部位とを含んでいる。また、細菌のプロモーターは、オペレーターと呼ばれる2次ドメインを有していてもよい。この2次ドメインは、RNA合成が開始される隣接したRNAポリメラーゼ結合部位に重複してもよい。オペレーターにより、負に調節される(誘導性の)転写を実施することができる。すなわち、遺伝子リプレッサータンパク質が、オペレーターに結合することにより、特定の遺伝子の転写を阻害してもよい。恒常的発現は、負の調節要素(オペレーターなど)が無いときに起こり得る。さらに、正の調節が、遺伝子アクチベータータンパク質の結合配列によりもたらされてもよい。該結合配列は、存在する場合は、通常RNAポリメラーゼ結合配列よりも遠位(5’)に存在する。遺伝子アクチベータータンパク質としては、例えば、カタボライト活性化タンパク質(CAP)が挙げられる。このCAPにより、Escherichia coli(E. coli)のlacオペロンの転写開始が促進される(「Raibaudら, ANNU. REV. GENET. (1984) 18:173」)。したがって、発現を、正または負のどちらかに調節することにより、転写を増強または減少させてもよい。
代謝経路の酵素をコードしている配列は、特に有用なプロモーターを提供する。この配列としては、例えば、ガラクトース、ラクトース(lac)(「Changら, NATURE (1977) 198:1056」)、およびマルトースなどの糖代謝酵素に由来するプロモーター配列が挙げられる。別の例としては、トリプトファン(trp)などの生合成酵素に由来するプロモーター配列が挙げられる(「Goeddelら, Nuc. ACIDS RES. (1980) 8:4057」、「Yelvertonら, NUCL. ACIDS RES. (1981) 9:731」、米国特許第4,738,921号明細書、欧州公開第036776号明細書、および欧州公開第121775号明細書)。なお、これら文献は、参照により本明細書に組み込まれる。また、β‐ガラクトシダーゼ(bla)のプロモーター系(「Weissmann (1981) “The cloning of interferon and other mistakes.” In Interferon 3 (Ed. I. Gresser) 」)、バクテリオファージ・ラムダのPL(「Shimatakeら, NATURE (1981) 292:128」)、およびT5(米国特許第4,689,406号明細書)のプロモーター系も、有用なプロモーター配列を提供する(なお、これら文献は、参照により本明細書に組み込まれる)。強力なプロモーター(T7プロモーターなど)を用いて、ポリペプチドの製造を高レベルに誘導してもよい。そのようなベクターの例は、当業者に公知であり、pET29のシリーズ(Novagen)、および国際公開99/05297号明細書に記載のpPOPベクターなどが挙げられる(なお、上記文献は、参照により本明細書に組み込まれる)。これら発現系により、ポリペプチドが、宿主において、宿主細胞の生存能力または成長パラメーターに支障をきたすことなく、高レベルで製造される。
また、天然に生じない合成プロモーターも、細菌プロモーターとして機能する。例えば、1つの細菌またはバクテリオファージのプロモーターの転写活性化配列を、別の細菌またはバクテリオファージのプロモーターのオペロン配列に連結して、合成混成プロモーターを作製してもよい(米国特許第4,551,433号明細書(なお、この文献は、参照により本明細書に組み込まれる))。例えば、tacプロモーターは、trpプロモーター配列と、lacリプレッサーにより調節されるlacオペロン配列とを含む混成trp‐lacプロモーターである(「Amannら, GENE (1983) 25:167」、「de Boerら, PROC. NATL. ACAD. SCI. (1983) 80:21」)。さらに、細菌プロモーターは、細菌のRNAポリメラーゼに結合し、転写を開始することができる非細菌起源の天然に生じるプロモーターを含んでいてもよい。また、非細菌起源の天然に生じるプロモーターを、適合するRNAポリメラーゼに結合させることにより、原核生物においていくつかの遺伝子を高レベルで製造することができる。バクテリオファージのT7RNAポリメラーゼ/プロモーター系は、共役型プロモーター系の例である(「Studierら, J. MOL. BIOL. (1986) 189:113」、「Taborら, Proc Natl. Acad. Sci. (1985) 82:1074」)。さらに、混成プロモーターは、バクテリオファージプロモーターと、E. coliのオペレーター領域とを含んでいてもよい(欧州公開第267851号明細書)。
また、官能性プロモーター配列に加えて、効率的なリボソーム結合部位が、外来遺伝子を原核細胞において発現させるために有効である。E. coliでは、リボソーム結合部位は、シャイン‐ダルガルノ(SD)配列と呼ばれ、開始コドン(ATG)と、該開始コドンから3から11ヌクレオチド上流に位置した、長さ3から9ヌクレオチドの配列とを含んでいる(「Shineら, NATURE (1975) 254:34」)。SD配列は、SD配列とE. coliの16S rRNAの3’との間で塩基対を形成することにより、mRNAとリボソームとの結合を促進すると考えられる(「Steitzら “Genetic signals and nucleotide sequences in messenger RNA”, In Biological Regulation and Development: Gene Expression (Ed. R. F. Goldberger, 1979)」)。真核性遺伝子および原核性遺伝子を、弱いリボソーム結合部位により発現すること(Sambrookら 「Expression of cloned genes in Escherichia coli」, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 1989)。
用語「細菌宿主」または「細菌宿主細胞」は、組み換えベクターまたは他のトランスファーDNAを受け入れることができるか、またはできた細菌のことをいう。この用語は、トランスフェクションされた元々の細菌宿主細胞の子孫を含む。1つの親細胞の子孫は、元々の親細胞と、形態、ゲノムDNAまたは全DNAの補体において、必ずしも完全に一致していなくてもよいことを理解されたい。これは、偶発的な突然変異、または計画的な突然変異が発生するからである。親細胞の子孫は、関連する特性(所望のポリペプチドをコードしているポリペプチドが存在しているなど)により特徴付けられる親細胞と十分に類似しており、このような子孫は、ここの定義により意図される子孫に含まれる。
ポリペプチドの発現に適切な細菌宿主の選抜は、当業者に公知である。発現のための細菌宿主の選抜において、好適な宿主は、限定されないが、少なくとも以下の特性の1つ、お好ましくは、少なくとも2つの以下の特性を含んでよい(取り分け、封入体形成能力に優れていること、タンパク質分解活性が低いこと、分泌力が優れていること、可溶性タンパク質の製造が良好であること、および全体的に強健であること)。細菌宿主は、一般的に、様々な供給源から入手することができ、例えば、「Bacterial Genetic Stock Center, Department of Biophysics and Medical Physics, University of California (Berkeley, CA)」、および「the American Type Culture Collection (「ATCC」) (Manassas, VA)」から入手することができるが、これらに限定されない。K株に由来する細菌(W3110など)、またはB株に由来する細菌(BL21など)が、一般的に産業的/製薬的な発酵に用いられる。これらの株は、成長パラメーターが、極めてよく知られており、強健であるから特に有用である。さらに、これらの株は非病原菌性であるから、安全性と環境の観点から商業的に重要である。本明細書に記載され、本発明の範囲に含まれる方法の一実施形態では、限定されないが、E. coli宿主は、BL21、DH10Bまたはそれらの誘導体を含む。本発明の方法の別の一実施形態では、E. coli宿主は、限定されないが、プロテアーゼが欠失した株(OMP−、およびLON−など)である。他の実施形態では、宿主細胞株は、Pseudomonas種(Pseudomonas fluorescens, Pseudomonas aeruginosa, およびPseudomonas putidaなど)である。Pseudomonas発現株の実施例は、P.fluorescens次亜種1、MB101株(Dow Chemical)である。
(細胞または細胞株発現系)
細胞または細胞株発現系は、非天然アミノ酸ポリペプチドをコードする遺伝子を発現可能な、細胞、細胞株、および遺伝子組み換え生物(両生類、爬虫類、鳥および哺乳類を含む)のことをいう。加えて、遺伝子組み換え生物の発現は、分泌型または排泄型(例えば、収集可能な、乳液中または卵中)のポリペプチドの製造を含むことができる。また必要であれば、発現した非天然アミノ酸ポリペプチドは、通常用いられる方法、および本明細書に記載された方法を用いた抽出、およびさらなる精製が可能である。
実用的な宿主細胞および/または細胞株の例は、限定されないが、ベロ細胞(Vero cells)、ヒーラ細胞(HeLa cells)、コス細胞(COS cells)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)(cell lines of Chinese hamster ovary (CHO))、W138細胞、BHK細胞、COS-7細胞、293細胞、HepG2細胞、Balb/3T3細胞、RIN細胞、MT2細胞、マウスNS0細胞ならびに他の骨髄腫細胞株、ハイブリドーマ(hybndoma)、ヘテロハイブリドーマ細胞株(heterohybπdoma cell lines)、リンパ球、繊維芽細胞、Sp2/0細胞、およびMDCK細胞株を含む。無血清培地に適用できる細胞株も利用でき、そのような細胞株は、血清タンパク質が存在しないために、細胞培地からの分泌タンパク精製を容易にする。そのような例としては、限定されないが、無血清EBNA-I細胞株(Phamら(2003) Biotechnol Bioeng 84.332-42)が挙げられる。加えて、挿入された配列の発現を調節する、または遺伝子産物を所望のように修飾および処理する宿主細胞が選ばれてよい。そのようなタンパク質産物の修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(processing)(例えば、切断)は、タンパク質の機能にとって重要である。異なる宿主細胞、細胞株、宿主系、または生体組織は、翻訳後プロセシングおよびタンパク質の修飾の独特および固有の機構を有する。外来のタンパク質発現の正確な修飾およびプロセシングを保証するために、適切な細胞、細胞株、宿主系、または生体組織が選択できる。
多くの選択系が用いられてよく、限定されないが、それぞれtk-細胞、hgprt-細胞、aprt-細胞、またはdhfr-細胞内の、ヘルペスシンプレックスウイルス・チミジンキナーゼ(herpes simplex virus thymidine kinase)、ヒポキサンチン−グアニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(hypoxanthme-guanme phosphoribosyltransferase)、アデニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(adenine phosphoribosyltransferase)、および/またはジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子が挙げられる。また、抗代謝産物抵抗性は、以下の遺伝子の選択に基づいて用いることができる(ミコフェノール酸への抵抗性を与えるgpt遺伝子;アミノグリコサイドG418への抵抗性を与えるneo遺伝子;およびハイグロマイシンへの抵抗性を与えるhygro遺伝子)。付加的な選択系は、通常知られる技術であり、限定されないが、宿主細胞種、所望の翻訳後修飾、ベクター選択、製造の規模、製造の費用、および精製の容易さなどを含む多様な製造の検討事項に依存して利用されてよい。
組み換え宿主細胞株が、確立されれば(すなわち、発現コンストラクトが、宿主細胞に導入され、適切な発現コンストラクトを有する宿主細胞が単離されれば)、組み換え宿主細胞株は、興味のあるポリペプチドの製造に適切な条件下において培養される。組み換え宿主細胞株の培養方法は、利用される発現コンストラクトの性質と、宿主細胞の特性とに依存する。組み換え宿主株は、通常公知の方法を用いて培養される。組み換え宿主細胞は、通常、炭素、窒素および無機塩の吸収可能な供給源を含む液体培養液にて培養される。さらに、該液体培養液は、必要に応じて、ビタミン、アミノ酸、成長因子、および当業者に公知の他のタンパク質性の培養補助物を含んでいてもよい。また、宿主細胞の培養のための液体培養液は、望ましくない微生物の成長を阻害するための抗生物質、または抗真菌剤、ならびに/あるいは発現ベクターを含む宿主細胞を選抜するための抗生物質などの化合物を含んでいてもよい。
組換え宿主細胞は、バッチまたは継続的な形式で、どちらの場合も、細胞の収穫(所望のポリペプチドが細胞内で蓄積する場合)、または培養上清の収穫として培養されてよい。原核生物宿主細胞における製造については、バッチ培養および細胞の収穫が好ましい。タンパク質の発現は、細胞または細胞株発現系を介して達成され、細胞は、限定されないが、大量培養において浮遊して増殖する非足場依存性細胞、または繁殖に固体基盤への接着を要求する足場依存細胞(すなわち、細胞増殖の単層型)のように、インビトロにおいて多くの様態で繁殖可能である。樹立された継代細胞株の非足場依存的培養または浮遊培養は、細胞産物の大量製造に、最も広く用いられている手法である。この場合も、細胞型および繁殖様式は、上記に記載される製造の多様な検討事項に基づいて選択されてよい。
一実施形態では、本明細書に記載された非天然アミノ酸ポリペプチドは、組換え技術を用いた系で発現後精製される。ポリペプチドは、技術的に公知の多様な方法を用いて宿主細胞、および培地から精製される。通常、細菌性宿主細胞で製造される多くのポリペプチドは、ほとんど溶解しないか、または不溶性である(封入体の形態である)。一実施形態では、アミノ酸置換基は、従来技術と同様に本明細書で開示された方法を利用するために、組換え技術を用いて製造されたポリペプチドの溶解性を上昇させる目的のために選択されたポリペプチド中に容易に作製されてよい。不溶性ポリペプチドの場合、ポリペプチドは、遠心分離法、またはろ過を用いて宿主細胞ライセートから収集されてもよい。さらに、そのような収集の前に、細胞はホモジナイズされてもよい。ほとんど溶解しないポリペプチドの場合、限定されないが、ポリエチレンイミン(PEI)を含む化合物が部分的溶解性ポリペプチドの沈殿を誘導するために加えられてよい。沈殿したポリペプチドは、遠心分離またはろ過によって好適に集められてよい。組換え宿主細胞は、細胞内から封入体を放出するために、当業者に通常知られている多様な方法を用いて、破裂またはホモジナイズされてもよい。宿主細胞の破裂またはホモジナイズは、以下に挙げる公知の技術を用いて実行されてよい(例えば、限定されないが、酵素による細胞破壊、超音波処理、加圧式細胞破砕装置または高圧放出破裂装置(high pressure release disruptionなど)。本発明に記載され、および包含された一実施形態では、高圧放出技術は、ポリペプチド封入体を放出するためE.coli宿主細胞の破裂に用いられる。ポリペプチドの封入体の取り扱いに際して、可溶化、機械的切断またはタンパク質分解のような要素により封入体を失うことなく生産量を最大にするために、ホモジナイズの時間を最小にすることが好ましい。
不溶化または沈殿したポリペプチドは、その後、技術的に公知の全ての好適な可溶化試薬を用いて可溶化されてよい。一例を挙げれば、該ポリペプチドは尿素または塩酸グアニジンで可溶化されてよい。可溶化されたポリペプチドの量は、好適に取り扱える大きさのバッチを用いて製造することができるように、最小限であるべきである。この要素は、組換え宿主が、バッチ中(数千リットルの容量で)において増えてもよい場合に、商業的大量生産に重要であり得る。加えて、商業用大量生産においてポリペプチドが製造された場合(特にヒトに対する製薬学的使用において)では、機械および容器、またはポリペプチド産物自体を傷つける強い化学薬品は、可能であれば避けるべきである。本明細書に記載され、含有される方法において、穏やかな変性試薬である尿素は、強い変性試薬である塩酸グアニジンの代わりにポリペプチド封入体を可溶化するために用いることができる。尿素の使用は、効率的なポリペプチド封入体の可溶化の間に、ポリペプチドの生産および精製過程において利用されるステンレス鋼設備への損傷の危険を顕著に減らす。
溶解性ポリペプチドの場合では、ペプチドは、ペリプラズム空間(periplasmic space)または培養液中に分泌されてよい。加えて、可溶性ペプチドは、宿主細胞の細胞質に存在してよい。可溶性ペプチドは、精製工程の実行に先行して縮合されてよい。標準的な技術は、限定されないが、本明細書に記載されたものが含まれ(一例を挙げれば、細胞ライセートまたは培地)、可溶性ペプチド型で縮合するために使用されてよい。加えて、標準的な技術は、限定されないが、本明細書に記載されたものが含まれ、宿主細胞を破裂、および宿主細胞の細胞質またはペリプラズム空間から可溶性ペプチドを放出するために用いられてよい。
ポリペプチドが融合タンパクとして製造される場合は、融合配列は好ましくは除去される。除去可能な融合配列は、限定されないが、酵素学的または化学的切断が含まれる方法で達成されてよく、酵素学的切断が好ましい。融合配列の酵素学的除去は、技術的に公知の方法を用いて達成されてよい。融合配列の除去のための酵素の選択は、融合配列の特性、および酵素の選択により特定される反応条件により決定される。化学的切断は、限定されないが、臭化シアン、TEVプロテアーゼおよび他の試薬を含む試薬を用いて達成されてよい。切断されたポリペプチドは、公知の方法により切断された融合配列から任意に精製される。そのような方法は、融合配列およびポリペプチドの特性および性質により決定される。精製方法は、限定されないが、サイズ排除(size‐exclusion)クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーもしくは透析、またはそれらの全ての組み合わせを含み得る。
また、該ポリペプチドは、タンパク質溶液からDNAを除去して精製される。DNAは、限定されないが、沈殿またはイオン交換クロマトグラフィーを含む、技術的に公知な全ての好適な方法により除去されてよい。一実施形態では、DNAは、限定されないが硫酸プロタミンのような核酸沈殿試薬による沈殿により除去される。該ポリペプチドは、限定されないが、遠心分離およびろ過を含む、公知の通常の方法を用いて分離されてよい。宿主核酸分子の除去は、ポリペプチドが人の治療に用いられる場面において重要な要素であり、本明細書に記載された方法は宿主細胞DNAを薬学的に承認可能な量に減少する。
また、小規模発酵方法または大規模発酵方法を、タンパク質の発現(例えば、限定されないが、発酵槽、振とうフラスコ、流動層バイオリアクター、中空糸バイオリアクター、ローラーボトル培養システムおよび攪拌槽バイオリアクターシステム)に用いられてよい。これらの方法は、それぞれ、バッチ、フェド−バッチ(Fed−batch)または連続モード工程を実行することができる。
本明細書において記載された、ヒト型の非天然アミノ酸ポリペプチドは、一般的に技術的に通常の方法を用いて回収できる。例えば、培地または細胞ライセートを遠心またはろ過することにより、細胞残屑を除去することができる。上清は、所望の容量に縮合もしくは希釈されてもよく、またはさらに精製するための調製物を調整するのに好適な緩衝液にダイアフィルトレーションされてもよい。本明細書に記載された非天然アミノ酸ポリペプチドのさらなる精製は、限定されないが、脱アミド化物および原型に対応した短縮型のポリペプチドバリアントの分離を含む。
全ての以下に挙げる典型的な手段が、本明細書に記載した非天然アミノ酸ポリペプチドの精製のために用いることができる(アフィニティクロマトグラフィー;陰イオン−、または陽イオン−交換クロマトグラフィー(限定されないが、DEAE SEPHAROSEを含む);シリカクロマトグラフィー;逆相HPLC;ゲルろ過(限定されないが、SEPHADEX G‐75の使用を含む);疎水性相互作用クロマトグラフィー;サイズ排除クロマトグラフィー、金属キレートクロマトグラフィー;限外ろ過/ダイアフィルトレーション;エタノール沈殿;硫酸アンモニウム沈殿;クロマト分画;置換クロマトグラフィー;電気泳動法(限定されないが、等電点電気泳動を含む)、不等溶解(限定されないが、硫酸アンモニウム沈殿を含む)、SDS−PAGE、抽出、またはそれらの全ての組み合わせ)。
本明細書に記載した組成物および方法の範囲内に含まれるポリペプチドは、限定されないが、非天然アミノ酸を含むポリペプチド、非天然アミノ酸を含むポリペプチドに対する抗体、非天然アミノ酸を含むポリペプチドの結合パートナーを含み、当業者により通常使用される方法により部分的または実質的に均質になるように精製されてよい。したがって、本明細書に記載されたポリペプチドは、以下に挙げる当業者に公知の全ての方法により回収および精製されてよい(例えば、限定されないが、硫酸アンモニウムもしくはエタノール沈殿、酸もしくは塩基抽出、カラムクロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、陽イオンもしくは陰イオン交換クロマトグラフィー、リン酸セルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、水酸燐灰石クロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、ゲル電気泳動およびそれらの全ての組み合わせ)。正しく折りたたまれた成熟タンパク質の作製が望まれる場合は、タンパク質のリフォールディング工程が使用できる。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、アフィニティクロマトグラフィー、または他の好適な方法が高い精製度が望まれる精製最終工程に使用できる。一実施形態では、非天然アミノ酸に対して作製された抗体(または、非天然アミノ酸を含むポリペプチド)は、限定されないが、非天然アミノ酸を1つ以上含むポリペプチドの親和性に基づく精製のための精製試薬として用いられる。部分的または均一に、所望のように一度精製されれば、ポリペプチドは、限定されないが、分析要素、治療、予防、診断、研究用試薬、および/または抗体を製造するための免疫原として広範囲の用途に任意に用いられる。
本明細書において記載した他の引用文献に加えて、多様な精製/タンパク質のフォールディング方法が技術的に知られている(例えば、限定されないが、「R. Scopes, Protein Purification、Springer- Verlag, N.Y. (1982)」、「Deutscher, Methods in Enzymologv Vol. 182: Guide to Protein Purification. Academic Press, Inc. N.Y. (1990)」、「Sandana (1997) Bioseparation of Proteins. Academic Press, Inc.」、「Bollagら(1996) Protein Methods. 2nd Edition Wiley-Liss, NY」、「Walker (1996) The Protein Protocols Handbook Humana Press, NJ, Harris and Angal (1990) Protein Purification Applications」、「A Practical Approach IRL Press at Oxford, Oxford, England」、「Harris amd Angal Protein Purification Methods: A Practical Approach IRL Press at Oxford, Oxford, England」、「Scopes (1993) Protein Purification: Principles and Practice 3rd Edition Springer Verlag, NY」、「Janson and Ryden (1998) Protein Purification: Principles. High Resolution Methods and Applications. Second Edition Wiley- VCH, NY」、および 「Walker (1998) Protein Protocols on CD-ROM Humana Press, NJ」、ならびに、それら引用文献に引用されている引用文献)。
真核細胞または非真核細胞を用いて少なくとも1つの非天然アミノ酸を含むポリペプチドを製造することの利点は、通常、ポリペプチドは、天然の構造に折りたたまれることである。しかし、合成、発現および/または精製後において、本明細書に記載した方法および組成物の特定の実施形態では、ポリペプチドは、適切なポリペプチドの所望の構造と異なる構造を有してよい。本明細書に記載した方法および組成物の一態様において、発現タンパク質は任意に変性し、続いて復元する。この任意の変性および復元は、限定されないが、挿入部分のポリペプチドへのシャペロンの追加、およびカオトロピック試薬(限定されないが、例えば、グアニジンHCl)での可溶化、ならびにプロテインジスルフィドイドメラーゼの利用を含む技術的に公知の方法を用いて達成される。
一般的には、発現したポリペプチドを変性し、かつ還元してから、ポリペプチドを好ましい立体構造になるようにリフォールディングすることが望まれる。一例を挙げれば、そのようなリフォールディングは、グアニジン、尿素、DTT、DTE、および/またはシャペロンを目的の翻訳産物に添加することで達成されてよい。タンパク質の変性および復元は当業者に公知である(上記の引用文献、および、「Debinskiら(1993) J. Biol. Chem., 268: 14065-14070」、「KreitmanならびにPastan (1993) Bioconjug. Chem.,4: 581-585」、ならびに「Buchnerら(1992) Anal. Biochem., 205: 263-270」を参照のこと)。例えば、Debinskiらは、グアニジン−DTE中の封入体タンパク質の変性および還元について記載している。タンパク質は、特に限定されないが、酸化型グルタチオンおよびL−アルギニンを含む酸化還元緩衝液中において、リフォールディングされることが可能である。リフォールディング試薬は、1つ以上のポリペプチドまたは他の発現産物と接触するように流入されるか、または移動させられることができる(なお、逆もまた可能である)。
原核生物における非天然アミノ酸の製造の場合では、そのように製造されたポリペプチドは誤って折りたたまれる可能性があり、そのため生物活性を失うか、または生物活性が減少する。タンパク質の生物活性は、「リフォールディング」により復元してもよい。一実施形態では、誤って折りたたまれたポリペプチドは、可溶化(ここで、ポリペプチドは不溶性でもある)、アンフォールディングおよびポリペプチド鎖の使用の減少、例えば、1つ以上のカオトロピック試薬(限定されないが、尿素および/またはグアニジンを含む)ならびにジスルフィド結合を還元することができる還元剤(限定されないが、ジチオスレイトール(DTT)または2−メルカプトエタノール(2−ME)を含む)によりリフォールディングされる。中程度のカオトロピック剤の濃度では、続いてジスルフィド結合の再構成を可能にする酸化剤(限定されないが、酸素、システインまたはシスタミンを含む)が加えられる。折りたたまれていないか、または誤って折りたたまれたポリペプチドは、技術的に公知の標準的な方法(それぞれ本明細書において参照のために引用する、米国特許第4,511,502号明細書、米国特許第4,511,503号明細書、および米国特許第4,512,922号明細書に記載されているような方法)を用いてリフォールディングさてよい。また、ポリペプチドは、ヘテロダイマーまたはヘテロマルチマーを形成するように、他のタンパク質と共フォールディングされてもよい。リフォールディングさた後、または共フォールディングされた後、該ポリペプチドは任意にさらに精製される。
非天然アミノ酸ポリペプチドの精製は、限定されないが、本明細書に記載した、例えば、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、およびそれらの全ての組み合わせを含む多様な技術を用いて達成されてよい。また、追加の精製は、精製タンパク質の乾燥および沈殿の工程を含み得る。
精製後、非天然アミノ酸ポリペプチドは異なる緩衝液に交換され、および/または限定されないが、ダイアフィルトレーションおよび透析を含む技術的に公知の多様な全ての方法により縮合される。単一の精製タンパク質として提供されるhGFは、凝集および沈殿している可能性がある。特定の実施形態では、精製された非天然アミノ酸ポリペプチドは、少なくとも90%の純度(逆相高速液体クロマトグラフィー、RP−HPLC、またはドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、SDS−PAGEにより測定した)であり得る。特定の実施形態において、精製された非天然アミノ酸ポリペプチドは、少なくとも95%の純度、または少なくとも98%の純度、または少なくとも99%の純度またはそれ以上の純度であり得る。非天然アミノ酸ポリペプチドの純度の正確な絶対値に関係なく、非天然アミノ酸ポリペプチドは、医薬品としての使用、または限定されないが、PEGのような水溶性ポリマーと接合を含むさらなる処理に十分な純度である。
特定の実施形態では、他の活性成分またはタンパク質(賦形剤、運搬体、ならびに安定化剤、血清アルブミンなど以外)の非存在下において、非天然アミノ酸ポリペプチド分子は、治療剤として用いられてよく、および、特定の実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、他のポリペプチドまたはポリマーと複合体を形成してよい。
2.非天然アミノ酸ポリペプチドの精製
(一般的な精製方法)
このセクションに記載した技術は、本明細書に記載した非天然アミノ酸の一般的な精製に適用できる。
多様な単離工程のいずれかが、細胞溶解抽出物、培養培地、封入体、宿主細胞のペリプラズム空間、宿主細胞の細胞質、または他の材料(所望のポリペプチドまたは全ての単離工程(限定されないが、アフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)、逆相クロマトグラフィー(「RP−HPLC」)、膨張層吸着、または全ての組み合わせおよび/またはそれらの復元および全ての適正な種類を含む)により生じた、所望のポリペプチドまたは全てのポリペプチド混合物を含む)が用いられてよい。
本明細書に記載した技術を実行するのに使用される装置および他の必須な材料は、市販されている。ポンプ、フラクション・コレクタ、モニター、記録装置、および全システムは、例えば、Applied Biosystems (Foster City, CA)、 Bio-Rad Laboratories, Inc. (Hercules, CA)、およびAmersham Biosciences, Inc. (Piscataway, NJ)から販売されている。クロマトグラフィーの材料は、限定されないが、交換マトリックス材料、媒体、および緩衝液を含み、前記のような会社から販売されている。
本明細書に記載したカラムクロマトグラフィーにおける平衡、および他の工程(洗浄および溶出)は、ポンプのような特定の装置を用いることでより早く達成され得る。市販されているポンプは、限定されないが、HILOAD(登録商標) Pump P-50、Peristaltic Pump P-1、Pump P-901、およびPump P-903 (Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)を含む。
フラクション・コレクタの例は、RediFrac Fraction Collector、FRAC-100ならびにFRAC-200 Fraction Collectors、およびSUPERFRAC(登録商標) Fraction Collector (Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)を含む。また、ミキサーは、pHおよび直線的な濃度勾配を形成するのに好適である。市販されているミキサーは、Gradient Mixer GM-1およびIn-Line Mixers (Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)を含む。
クロマトグラフィーの工程は、全ての市販のモニターを用いて観察されてよい。該モニターは、情報の収集に用いられてよい(UV、 蛍光、 pH、および伝導度など)。検出器の例は、UV-1、UVICORD(登録商標) S II、Monitor UV-M II、Monitor UV-900、Monitor UPC-900、Monitor pH/C-900、およびConductivity Monitor (Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)を含む。実際に、全システムは市販されている(various AKTA(登録商標) systems from Amersham Biosciences (Piscataway, NJ))。
本明細書に記載した方法および組成物の一実施形態では、例えば、得られた精製ポリペプチドを尿素中で最初に変性して、その後、還元剤(例えば、DTT)を含む好適なpHのTRIS緩衝液に希釈することにより、上記ポリペプチドを還元および変性してもよい。他の実施形態では、該ポリペプチドは、濃度範囲が約2Mから約9Mである尿素中において変性された後、pHの範囲が約5.0から約8.0であるTRIS緩衝液により希釈される。この実施形態のリフォールディング混合物は、続いてインキュベートされてよい。一実施形態では、リフォールディング混合物は室温で4時間から24時間インキュベートされる。還元および変性したポリペプチドは、続いてさらに単離または精製されてよい。
本明細書において規定されたように、最初のポリペプチド混合物のpHは、全てのその後の単離工程が実施される前に調整されてもよい。加えて、最初のポリペプチド混合物または全てのその後に生じた混合物は、公知の技術を用いて縮合されてよい。さらに、最初のポリペプチド混合物またはその後に生じた混合物を含む溶出緩衝液は、当業者によく知られた技術を用いて次の単離工程に好適な緩衝液に交換されてよい。
(イオン交換クロマトグラフィー)
このセクションで開示した技術は、本明細書に記載した非天然アミノ酸のイオン交換クロマトグラフィーに適用できる。
一実施形態では、任意の付属工程として、イオン交換クロマトグラフィーは、最初のポリペプチド混合物について実施されてよい。一般的には、ION EXCHANGE CHROMATOGRAPHY: PRINCIPLES AND METHODS (Cat. No. 18-1114-21, Amersham Biosciences (Piscataway, NJ)) を参照のこと。市販されているイオン交換クロマトグラフィーは、HITRAP(登録商標)、 HIPREP(登録商標)、およびHILOALD(登録商標) Columns (Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)を含む。これらのカラムはAmersham Biosciences, Piscataway, NJから販売されており、強陰イオン交換を利用するカラムとして、例えば、Q SEPHAROSE(登録商標) Fast Flow、 Q SEPHAROSE(登録商標) High Performance、およびQ SEPHAROSE(登録商標) XLが挙げられる;強陽イオン交換を利用するカラムとして、SP SEPHAROSE(登録商標) High Performance、 SP SEPHAROSE(登録商標) Fast Flow、およびSP SEPHAROSE(登録商標) XLが挙げられる;弱い陰イオン交換を利用するカラムとしてDEAE SEPHAROSE(登録商標) Fast Flowが挙げられる;および弱い陽イオン交換を利用するカラムとして、CM SEPHAROSE(登録商標) Fast Flow が挙げられる。陰イオンまたは陽イオン交換カラムクロマトグラフィーは、精製されたポリペプチドを実質的に単離するために、精製過程のどの段階でもポリペプチドについて実施されてよい。陽イオン交換クロマトグラフィー工程は、全ての好適な陽イオン交換マトリックスを用いて実施されてよい。使用可能な陽イオン交換マトリックスは、限定されないが、繊維、多孔性、非多孔性、微粒剤、ビーズ、または交差した陽イオン交換マトリックス材料を含む。そのような陽イオン交換マトリックス材料は、限定されないが、セルロース、アガロース、デキストラン、ポリアクリルアミド、ポリビニル、ポリスチレン、シリカ、ポリエーテル、または前記いずれかの混成物を含む。陽イオン交換マトリックスへのポリペプチドの吸着に続いて、実質的に精製されたポリペプチドは、マトリックスからポリペプチドを移動させるために、十分に高いpHまたはイオン強度を有する緩衝液をマトリックスと接触することで抽出されてよい。実質的に精製されたポリペプチドの高いpH抽出に用いられる好適な緩衝液は、限定されないが、クエン酸塩、リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、HEPESおよびMES緩衝液を含む(前記緩衝液の濃度範囲は少なくとも約5mMから約100mMである)。
(逆相クロマトグラフィー)
このセクションで開示される技術は、本明細書に記載した非天然アミノ酸ポリペプチドの逆相クロマトグラフィーに適用できる。
RP−HPLCは、技術的に公知な以下に挙げる好適な手順にしたがって、タンパク質を精製するために実行されてよい。例えば、「PearsonらANAL BlOCHEM. (1982) 124:217-230 (1982)」、「RivierらJ. CHROM. (1983) 268:112-119」、および「KunitaniらJ. CHROM. (1986) 359:391-402」を参照のこと。 RP−HPLCは、実質的に精製されたポリペプチドを単離するために、ポリペプチドに対して実行されてよい。この点で、多様な長さのアルキル官能性を有するシリカ誘導体樹脂は、限定されないが、少なくとも約Cから約C30、少なくとも約Cから約C20、または少なくとも約Cから約C18樹脂が用いられてよい。また、ポリマー樹脂が用いられてよい。例えば、スチレンポリマー樹脂であるTosoHaas Amberchrome CG1000sd樹脂が用いられてよい。シアノまたは広い多様なアルキル鎖長の重合体樹脂が用いられてよい。その上、RP−HPLCカラムは、エタノールのような溶媒で洗浄されてよい。イオン対試薬(ion pairing agent)および有機変性を含む、メタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、またはエタノールのような好適な抽出緩衝液は、RP−HPLCカラムからポリペプチドを抽出するために用いられてよい。最も一般に用いられるイオン対試薬は、限定されないが、酢酸、ギ酸、過塩素酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、無水ヘプタフルオロ酢酸、トリエチレンアミン、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム酢酸塩が含まれる。抽出は、単離時間の減少およびピーク幅を減少するために好ましい濃度勾配条件で1つ以上の濃度勾配または定組成条件を用いて実施されてよい。他の方法は、異なる溶媒濃度範囲で2種の濃度勾配の使用を含む。本明細書の使用に好適な抽出緩衝液の例は、限定されないが、アンモニウム酢酸塩およびアセトニトリル溶液を含み得る。
(疎水性相互作用クロマトグラフィー精製技術)
このセクションで開示される該技術は、本明細書に記載した、非天然アミノ酸ポリペプチドの疎水性相互作用クロマトグラフィー精製に適用できる。
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、ポリペプチドに対して実行されてよい。一般的に、本明細書に参照のために引用する、HYDROPHOBIC INTERACTION CHROMATOGRAPHY HANDBOOK PRINCIPLES AND METHODS (Cat. No. 18-1020-90, Amersham Biosciences (Piscataway, NJ) を参照のこと。好適なHICマトリックスは、限定されないが、アルキル−またはアリール置換マトリックスであり、例えば、ブチル−、ヘキシル−、オクチル−、またはフェニル置換マトリックス(例えば、アガロース、交差結合アガロース、セファロース、セルロース、シリカ、デキストラン、ポリスチレン、ポリ(メタクリル樹脂)マトリックス、および混合モード樹脂(限定されないが、ポリエチレンアミン樹脂またはブチルもしくはフェニル置換ポリ(メタクリル樹脂)マトリックスを含む)を含み得る。市販されている疎水性相互作用カラムクロマトグラフィーカラムとしては、限定されないが、HITRAP(登録商標)、HIPREP(登録商標)、およびHILOAD(登録商標)カラム (Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)を含む。精製を実行する前に、HICカラムは、当業者に公知の標準的な緩衝液(例えば、酢酸/塩化ナトリウム溶液または硫酸アンモニウムを含むHEPES)を用いて容易に平衡化されてよい。硫酸アンモニウムは、HICカラムに試料を吸着させるための緩衝液として用いられてよい。ポリペプチドの吸着後、次に該カラムは標準的な緩衝液および条件で望ましくない材料を除去するが、ポリペプチドをHICカラムに残したまま洗浄されてよい。ポリペプチドは約3倍から約10倍のカラム容量の標準的な緩衝液(EDTAを含むHEPES緩衝液など)、および平衡緩衝液よりも低い硫酸アンモニウム濃度、または酢酸/塩化ナトリウム緩衝液で抽出されてよい。減少する直線の塩勾配、例えばリン酸カリウムの濃度勾配は、ポリペプチド分子を抽出するためにも用いられる。続いて、該抽出物は、例えば、ろ過(ダイアフィルトレーションまたは限外ろ過など)を用いて縮合される。ダイアフィルトレーションは、ポリペプチドの抽出に用いられる塩の除去に利用されてよい。
(他の精製技術)
このセクションで開示した技術は、本明細書の非天然アミノ酸ポリペプチドの他の精製技術に適用できる。
さらに他の単離方法の使用(例えば、ゲルろ過(本明細書において参照のために引用するGEL FILTRATION: PRINCIPLES AND METHODS (Cat. No. 18-1022-18, Amersham Biosciences, Piscataway, NJ) )、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(好適なマトリックスは、限定されないが、HA-Ultrogel、High Resolution (Calbiochem) 、CHT Ceramic Hydroxyapatite (BioRad) 、Bio-Gel HTP Hydroxyapatite (BioRad) )、HPLC、拡大されたベッド吸着(expanded bed adsorption)、 限外ろ過、ダイアフィルトレーション、凍結乾燥など)は、全ての過剰の塩を除去、および次の単離工程または最終的な製剤の形成にも好適な緩衝液に交換するために、最初のポリペプチド混合物、またはそれ以後に生じたそれらの混合物について実行されてよい。実質的に精製されたポリペプチドを含むポリペプチド産物は、限定されないが、本明細書に記載した様々な技術を用いて本明細書に記載した各工程において観察されてよい。また、そのような技術は、最後の単離工程の後、実質的に精製されたポリペプチドの生産量を評価することに用いられてよい。一例を挙げれば、ポリペプチドの生産量は、多様なアルカリ鎖長を有する逆相高速液体クロマトグラフィーカラム(例えば、シアノRP−HPLC、C18RP−HPLC;同様に陽イオン交換HPLCおよびゲルろ過HPLC)を用いて観察されてよい。
また、アフィニティ精製技術は、非天然アミノ酸ポリペプチド調製物の精製または精製度を向上するためにも用いられてよい。アフィニティ精製は、精製の特異性を増加させるために、抗体、受容体、レクチン、および/または他の分子を利用する。タンパク質調製物は、標的タンパク質または標的タンパク質に見出される、もしくは含まれるエピトープに特異的な抗体または分子を含むマトリックスを通される。保持された標的タンパク質は、その後、高度に精製されたタンパク質調製物として回収するために抽出される。非天然アミノ酸ポリペプチドを製造するための発現コンストラクトは、mycエピトープ、GST融合、またはHisタグのような親和性タグを加える改変をされてもよく、それぞれmyc抗体、グルタチオン樹脂、またはニッケル樹脂に対応して親和的に精製されてよい。記載した抗体、リガンド、および親和性タグの使用は、例示であり、アフィニティ精製の選択に限定されず、非天然アミノ酸ポリペプチドに用いることができる。多様なアフィニティ分子およびマトリックス(すなわち:カラム、ビーズ、懸濁液など)が使用されてよく、技術的によく知られている。
精製度は、例えば、SDS−PAGEまたはウエスタンブロットおよびELISA分析を用いてポリペプチドを測定するような標準的な技術を用いて決定されてよい。例えば、ポリクローナル抗体は、酵母の発酵および陽イオン交換の回復のネガティブコントロールから単離されたタンパク質に対して、作製されてよい。該抗体は、宿主細胞タンパク質の混入の存在を調べるためにも用いられてよい。
特定の実施形態では、各精製工程後のポリペプチドの生産量は、各精製工程における出発物質中のポリペプチドの少なくとも約30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.9%、または少なくとも99.99%である。
RP−HPLC機材であるVydac C4 (Vydac)は、シリカゲル粒子から成り、表面にC4アルキル鎖を有する。タンパク質性の不純物からのポリペプチドの分離は、疎水性相互作用の強度の違いに基づく。抽出は、トリフルオロ酢酸で希釈されたアセトニトリル濃度勾配で実行される。HPLCの前段階は、ステンレススチールカラム(約2.8リットルから約3.2リットルのVydac C4シリカゲルで満たされる)を用いて実行される。Hydroxyapatite Ultrogel抽出物は、トリフロロ酢酸を加えることで酸化され、およびVydac C4カラムに吸着される。洗浄および抽出のために、希釈されたトリフロロ酢酸中のアセトニトリル濃度勾配が用いられる。分画は集められ、すぐにリン酸緩衝液で中和される。ポリペプチド分画は、IPC限界内で集められる。
DEAEセファロース(Pharmacia)機材は、セファロースビーズの表面に共有結合した、ジエチルアミノエチル(DEAE)−基から成る。DEAE基へのポリペプチドの結合は、イオン性の相互作用により仲介される。アセトニトリルおよびトリフルオロ酢酸は、保持されることなくカラムを通り抜ける。これらの物質が洗い流された後、微量不純物は、低いpHの酢酸緩衝液で洗浄されることで除去される。次に、カラムは中性のリン酸緩衝液で洗浄され、およびポリペプチドはイオン強度を増強した緩衝液で抽出される。該カラムは、DEAE Sepharose fast flowを詰められている。該カラム容量は、約3mgから約10mgポリペプチド/ml(ゲル)の範囲でポリペプチドの確かな吸着に適合されている。該カラムは、水および平衡緩衝液(リン酸ナトリウム/リン酸カリウム)で洗浄される。HPLC抽出物の集められた分画は吸着され、カラムは平衡緩衝液で洗浄される。続いて該カラムは、平衡緩衝液での洗浄後、洗浄緩衝液(酢酸ナトリウム緩衝液)で洗浄される。その後、ポリペプチドはカラムから抽出緩衝液(塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム/リン酸カリウム)で抽出され、主な抽出プロフィールに従って、単一画分に集められる。DEAEセファロースカラムの抽出は、指定された伝導度に適合される。精製した製剤原料は、テフロン容器に無菌ろ過され、−70℃で保存される。
多種多様な方法および手段(限定されないが、タンパク質の染色方法と連動したSDS−PAGE、免疫染色、質量分析、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、液体クロマトグラフィー/質量分析、等電点電気泳動法、陰イオン交換分析、クロマト分画、および円偏光二色性)は、1つ以上の非天然アミノ酸を含むポリペプチドの生産量および純度を評価するために用いることができる。例えば、タンパク質を特徴付ける前記の方法および手段には、限定されないが、ブラフォード分析、SDS-PAGE、および銀染色SDS−PAGE、クマシー染色SDS−PAGEが含まれる。付加的な方法は、限定されないが、外毒素を除去する工程を含む。外毒素は、例えば、大腸菌のようなグラム陰性宿主細胞の外膜に局在するリポポリサッカライド類(LPS)である。外毒素のレベルを減少させる方法は、限定されないが、シリカ支持体を用いた精製技術、ガラス粉末またはヒドロキシアパタイト、逆相クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、これらの方法の組み合わせなどが含まれる。改良または付加的な方法は、標的ポリペプチドから共に移動するタンパク質のような汚染物質の除去を要求してもよい。外毒素レベルの測定方法は当業者に公知であり、限定されないが、Limulus Amebocyte Lysate (LAL) 分析が含まれる。
特定の実施形態では、一般式(I)−一般式(LXVII)のアミノ酸は、一般式(I)−一般式(LXVII)の範囲内に含まれる全ての部分一般式((sub-formula)または特定の化合物を含み、生合成的にポリペプチドに組み込まれてよく、その結果非天然アミノ酸ポリペプチドが作製される。他の実施形態では、該アミノ酸はポリペプチド内の特定の部位に組み込まれる。他の実施形態では、該アミノ酸は翻訳系を用いてポリペプチドに組み込まれる。他の実施形態では、該翻訳系は以下(i)および(ii)を含む:(i)ポリペプチドをコードし、前もって設計された上記アミノ酸の組み込み部位に対応するセレクターコドンを含むポリヌクレオチド、および(ii)アミノ酸を含み、セレクターコドンに特異的であるtRNA。そのような翻訳系の他の実施形態では、ポリヌクレオチドは翻訳系において製造されたmRNAである。該翻訳系の他の実施形態では、翻訳系はポリヌクレオチドを含むプラスミドまたはファージを含む。該翻訳系の他の実施形態では、翻訳系は、ポリヌクレオチドを含むゲノムDNAを包含する。該翻訳系の他の実施形態では、該ポリヌクレオチドは安定にゲノムDNA中に統合される。該翻訳系の他の実施形態では、該翻訳系は、アンバーコドン、オーカーコドン、オパールコドン、ユニークコドン、レアコドン、非天然コドン、5塩基コドン、および4塩基コドンから成る群から選択されるセレクターコドンに特異的なtRNAを含む。該翻訳系の他の実施形態では、該tRNAはサプレッサーtRNAである。該翻訳系の他の実施形態では、該翻訳系は、上記アミノ酸をアミノアシル化するtRNAを含む。該翻訳系の他の実施形態では、該翻訳系はtRNAに特異的なアミノアシルシンテターゼを含む。該翻訳系の他の実施形態では、該翻訳系は直交化tRNAおよび直交するアミノアシルtRNA合成酵素を含む。該翻訳系の他の実施形態では、該ポリペプチドはリボソームで合成され、さらなる実施形態では、該翻訳系は細菌性細胞、古細菌性細胞、および真核細胞から成る群から選択される細胞を含むインビボ翻訳系である。他の実施形態では、該細胞はEscherichia coli細胞、酵母細胞、Pseudomonas種由来細胞、哺乳離細胞、植物細胞、または昆虫細胞である。該翻訳系の他の実施形態では、該翻訳系は、細菌性細胞、古細菌性細胞、または真核細胞からの細胞抽出物を含むインビトロ翻訳系である。他の実施形態では、該細胞抽出物は、Escherichia coli細胞、Pseudomonas種由来細胞、酵母細胞、哺乳類細胞、植物細胞、または昆虫細胞である。他の実施形態では、少なくともポリペプチドの一部は、固相もしくは液相ペプチド合成またはそれらの組み合わせにより合成され、一方、他の実施形態では、他のポリペプチドへの該ポリペプチドのライゲーション(ligating)をさらに含む他の実施形態では、一般式(I)−一般式(LXVII)のアミノ酸は、全ての部分式または一般式(I)−一般式(LXVII)の範囲内に含まれる特定の化合物を含み、所望のポリペプチドから成る群から選択される治療用タンパク質と同一のタンパク質であるポリペプチド中に生化学的に組み込まれてよい。
‐B.インビボ翻訳後修飾‐
真核細胞において少なくとも1つの非天然アミノ酸を有する標的のポリペプチドを製造することにより、該ポリペプチドは、真核性の翻訳後修飾を含んでよい。特定の実施形態では、ポリペプチドは、インビボにおいて真核細胞によって作製された少なくとも1つの非天然アミノ酸および少なくとも1つの翻訳後修飾を含む。ここで翻訳後修飾は、原核細胞によっては作製されない。例えば、翻訳後修飾は、限定されないが、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミチン酸塩付加、リン酸化、糖脂質連結修飾、およびグリコシル化などを含む。一態様では、翻訳後修飾は、オリゴサッカライド(限定されないが、(GlcNAc−Man)Man−GlcNAc−GlcNAc)のGlcNAc−アスパラギン連結によるアスパラギンへの付着を含む。表1に真核性タンパク質のN連結型オリゴサッカライドの例を挙げる(ここに示していない付加的な残基も存在する)。他の態様では、該翻訳後修飾は、GalNAc−セリン連結もしくはGalNAc−トレオニン連結またはGlcNAc−セリンもしくはGlcNAc−トレオニン連結による、オリゴサッカライド(限定されないが、Gal‐GalNAcおよびGal‐GlcNAcなどを含む)のセリンまたはトレオニンへの付着を含む。
Figure 2009522275
さらに他の態様において、翻訳後修飾は、前駆体(以下に限定されないが、カルシトニン前駆体、カルシトニン遺伝子関連ペプチド前駆体、プレプロ甲状腺ホルモン、プレプロインスリン、プロインスリン、プレプロオピオメラノコルチンおよびプロオピオメラノコルチンなどを含む)のタンパク分解過程、多サブユニットタンパク質の集合または巨大分子集合、細胞における他の部位(以下に限定されないが、ゴルジ体、核、リソソーム、ペルオキシソーム、もしくは葉緑体などのような細胞小器官または分泌経路を介することを含む)への転換を含む。特定の実施形態では、タンパク質は、分泌配列もしくは局在化配列、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジンタグ、またはGST融合などを含んでいる。
非天然アミノ酸の利点は、付加的な分子を加えるために用いることができる付加的な化学部分を有することである。これらの修飾は、真核細胞または非真核細胞においてインビボまたはインビトロで作製することができる。したがって、特定の実施形態では、翻訳後修飾は、非天然アミノ酸を介してなされるものである。例えば、翻訳後修飾は求核電子反応を介してなされるものであり得る。タンパク質の修飾の選択に用いられる大部分の反応は、限定されないが、ヒスチジン側鎖またはシステイン側鎖とα−ハロケトンの反応を含む、求核電子反応の相手間における共有結合の形成を含む。これらの場合の選択性は、タンパク質中の求核残基の数および近接性により決定される。本明細書に記載したポリペプチド、または本明細書に記載した方法を用いて製造されるポリペプチドは、限定されないが、インビトロおよびインビボにおけるジアミンとの非天然ジカルボニルアミノ酸の反応を含む、さらに他の選択的な反応を用いることができる。説明のための実例は、以下の引用文献に見出される(Cornishら(1996) J. Am. Chem. Soc. 118:8150-8151;Mahalら(1997) Science. 276:1125-1128;Wangら(2001) Science 292:498-500;Chinら(2002) Am. Chein. Soc. 124:9026-9027;Chinら(2002) Proc. Natl. Acad. Sci., 99:11020-11024;Wangら(2003) Proc. Natl. Acad. Sci., 100:56-61;Zhangら(2003) Biochemistry. 42:6735-6746;およびChinら(2003) Science. 300:964-967)。該反応は、蛍光プローブ、架橋剤、サッカライド誘導体および細胞障害性分子を含む多くの試薬を用いて、事実上全てのタンパク質の選択的標識化を可能にする。また、本明細書に参考のために示された、「Glycoタンパク質 synthesis」と題された米国特許第6,927,042号明細書(2003年1月16日出願)を参照のこと。また、アジドアミノ酸を含む翻訳後修飾は、限定されないが、シュタウジンガーライゲーション(Staudinger ligation)(限定されないが、トリアリルホスフィン試薬を含む)により作製できる。例えば、Kiickら(2002) Incorporation of azides into recombinant タンパク質 for chemoselective modification by the Staudinger ligtation, PNAS 99(l):19-24を参照のこと。
IX.非天然アミノ酸ポリペプチドを製造のための選択可能な系
非組み換え宿主細胞、突然変異誘発された宿主細胞または細胞を使用しない系においてタンパク質に非天然アミノ酸を導入するために、種々の戦略が採用される。このセクションにおいて開示した予備システムは、本明細書に記載した非天然アミノ酸ポリペプチドの製造に適応できる。Lys、CysおよびTyrのような活性のある側鎖を有するアミノ酸の誘導体は、リジンのN‐アセチル‐リジンへの転換の結果として生じる。また、化学合成は、非天然アミノ酸を組み込むために複雑ではない方法を提供する。近年に発展した、ペプチド断片の酵素によるライゲーション、および本来の化学的なライゲーションを用いて、より長いタンパク質を作製することが可能である。例えば、「P. E. Dawson and S. B. H. Kent, Annu. Rev. Biochem, 69:923 (2000) 」を参照のこと。化学的なペプチド合成および本来の化学的なライゲーションは、米国特許第6,184,344号明細書、米国特許出願公開第2004/0138412号明細書、米国特許出願公開第2003/0208046号明細書、国際公開第02/098902号パンフレットおよび国際公開第03/042235号パンフレットに記載されている(なお、これらは参照によって本明細書に組み込まれる)。一般的な、インビトロの生合成方法では、所望の非天然アミノ酸で化学的にアシル化されるサプレッサーtRNAが、タンパク質の生合成を支援することが可能なインビボ抽出物に添加される。この方法を用いて、100を越える非天然アミノ酸を、事実上任意の大きさの様々なタンパク質に、部位特異的に組み込むために用いられてきた。例えば、「V. W. Cornish, D. Mendel and P. G. Schultz, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 1995, 34:621-633 (1995)」、「C. J. Noren, S. J. Anthony-Cahill, M.C. Griffith, P.G. Schultz, A general method for site- specific incorporation of unnatural amino acids into proteins Science 244:182-188 (1989)」、および「J. .D. Bain, C. G. Glabe, T.A. Dix, A.R. Chamberlin, E.S. Diala, Biosynthetic site-specific incorporation of a non-natural amino acid into a polypeptide, J. Am. Chem. Soc. 111:8013- 8014 (1989)」を参照のこと。広い範囲の官能基が、タンパク質の安定性、タンパク質の折りたたみ、酵素機序、およびシグナル伝達の研究用のタンパク質に導入されてきた。
選択圧力組み込み(selective pressure incorporation)と呼ばれるインビボにおける方法は、野生型シンテターゼの乱雑さを利用するために開発された。例えば、「N. Budisa, C. Minks, S. Alefelder, W. Wenger, F. M. Dong, L. Moroder and R. Huber, FASEB J.. 13:41 (1999)」を参照のこと。細胞に特定の天然アミノ酸を供給する適切な代謝経路が断たれている栄養要求性株は、制限された濃度の天然アミノ酸を含む最少培地において培養されると同時に標的遺伝子の発現が抑制されている。安定した増殖期において、天然アミノ酸が使い果たされて、非天然アミノ酸と置き換えられる。組み換えタンパク質の発現誘導は、結果として、非天然の類似体を含むタンパク質の蓄積を生じる。例えば、この戦略を用いて、o、mおよびp−フルオロフェニルアラニンが、タンパク質に組み込まれ、容易に同定され得るUVスペクトルにおける2つの特徴的なピークを示し(例えば、「C. Minks,R . Huber, L. Moroder and N. Budisa, Anal. Biochem., 284:29-34 (2000)」を参照のこと)、トリフルオロメチオニンが、19F NMRによってチトオリゴサッカライドとの相互作用を研究するためのバクテリオファージ T4 リゾチームにおいて、メチオニンとの置換に使用され(例えば、「H. Duewel, E. Daub, V. Robinson and J. F. Honek, Biochemistry, 36:3404-3416 (1997) 」を参照のこと)、トリフルオロロイシンがロイシンの代わりに組み込まれた結果として、ロイシンジッパータンパク質の向上した熱安定性および化学安定性を生じる(例えば、「Y. Tang, G. Ghirlanda, W. A. Petka, T. Nakajima, W. F. DeGrado and D. A. Tirrell, Angew. Chem. Int. Ed. Engl, 40:1494-1496 (2001) 」を参照のこと)。さらに、セレノメチオニンおよびテルルメチオニンは、種々の組み換えタンパク質に組み込まれて、X線結晶学における相の溶解を容易にする。例えば、「W. A. Hendrickson, J. R. Horton and D. M. Lemaster, EMBO J., 9(5):1665-1672 (1990)」、「J. O. Boles, K. Lewinski, M. Kunkle, J. D. Odom, B. Dunlap, L. Lebioda and M. Hatada, Nat. Struct. Biol, 1:283-284 (1994)」、「N. Budisa, B. Steipe, P. Demange, C. Eckerskorn, J. Kellermann and R. Huber, Eur. J. Biochem., 230:788-796 (1995)」、および「N. Budisa, W. Karnbrock, S. Steinbacher, A. Humm, L. Prade, T. Neuefeind, L. Moroder and R. Huber, J. Mol Biol, 270:616-623 (1997) 」を参照のこと。また、アルケンまたはアルキン作用性を有するメチオニン類似体は、効率的に組み込まれて、化学的方法によるタンパク質の付加的な修飾を可能にする。例えば、「J. C. van Hest and D. A. Tirrell, FEBS Lett., 428:68-70 (1998)」、「J. C.. van Hest, K. L. Kiick and D. A. Tirrell, J. Am. Chem. Soc, 122:1282 (2000)」、および、「K. L. Kiick and D. A. Tirrell, Tetrahedron, 56:9487-9493 (2000) 」、米国特許第6,586,207号明細書および米国特許出願公開第2002/0042097号明細書を参照のこと(なお、これらは参照によって本明細書に組み込まれる)。
この方法の成功は、通常、タンパク質翻訳の忠実度を保障するために高い感度を要求するアミノアシル‐tRNAによる、非天然アミノ酸類似体の認識に依存している。この方法の範囲を拡張する1つの方法としては、限られた数の場合における実現をもたらすアミノアシル‐tRNAシンテターゼの基質特異性を緩和することである。例えば、Escherichia coliのフェニルアラニル‐tRNAシンテターゼ(PheRS)におけるGlyによるAla294の置換は、基質結合ポケットの大きさを向上させ、かつp‐Cl‐フェニルアラニン(p‐Cl‐Phe)によるtRNAのアシル化を生じる。「M. Ibba, P. Kast and H. Hennecke, Biochemistry, 33:7107-7112 (1994) 」を参照のこと。この突然変異体PheRSを含んでいるEscherichia coli株は、フェニルアラニンの代わりにp‐Cl‐フェニルアラニンまたはp‐Br‐フェニルアラニンの取り込みを許容する。例えば、「M. Ibba and H. Hennecke, FEBS Lett., 364:272-275 (1995)」、および「N. Sharma, R. Furter, P. Kast and D. A. Tirrell, FEBS Lett., 467:37-40 (2000)」を参照のこと。同様に、Escherichia coliチロシル‐tRNAシンテターゼのアミノ酸結合部位の近くにあるPhe130Serの点変異体は、アザチロシンがチロシンよりも高効率に組み込まれることを可能にする。例えば、「F. Hamano-Takaku, T. Iwama, S. Saito-Yano, K. Takaku, Y. Monden, M. Kitabatake, D. Soil and S. Nishimura, J. Biol. Chem., 275(51):40324-40328 (2000) 」を参照のこと。
インビボにおいてタンパク質に非天然アミノ酸を組み込む他の戦略は、校正機構を有するシンテターゼを改変することである。これらのシンテターゼは、識別が不可能なので、同種の天然アミノ酸と構造的に類似しているアミノ酸を活性化する。この誤りは、タンパク質翻訳の忠実度を維持するために、tRNAから間違って入ったアミノ酸を脱アシル化する別の部位において補正される。シンテターゼの校正活性は、校正機能を逃れて組み込まれる可能性のある、間違って活性化される構造的な類似体を無効にする。この提案は、バリル‐tRNAシンテターゼ(ValRS)を用いて最近、証明されている。例えば、「V. Doling, H. D. Mootz, L. A. Nangle, T. L. Hendrickson, V. de Crecy-Lagard, P. Schimmel and P. Marliere, Science, 292:501-504 (2001) 」を参照のこと。ValRSは、Cys、Thrまたはアミノブチレート(Abu)を用いてtRNAValを間違ってアミノアシル化し、これらの非同種のアミノ酸は、続いて構成領域によって加水分解される。Escherichia coli染色体のランダム変異誘発の後に、ValRSの校正部位に突然変異を有するEscherichia coli突然変異株が、選択される。この校正に欠損のあるValRSは、tRNAにCysを間違って挿入する。Abuが構造的にCys(Cysの‐SH基は、Abuにおける‐CHと置換されている)と似ているので、ValRS突然変異体も、この突然変異体がAbu存在下において増殖するとき、タンパク質にAbuを組み込む。質量分析解析は、約24%のバリンが通常のタンパク質におけるバリンの位置おいてAbuによって置換されている。
また、固層合成成法および固相半合成法は、新規のアミノ酸を含む多くのタンパク質の合成を可能にする。例えば、以下の公開文献および引用文献:「Crick, F.H.C., Barrett, L. Brenner, S. Watts-Tobin, R. General nature of the genetic code for proteins. Nature, 192:1227-1232 (1961)」、「Hofmann, K., Bohn, H. Studies on polypeptides. XXXVI. The effect of pyrazole-imidazole replacements on the S-protein activating potency of an S-peptides fragment, J. Am Chem, 88(24): 5914-5919 (1966)」、「Kaiser, E.T. Synthetic approaches to biologically active peptides and proteins including enyzmes, Acc Chem Res, 22:47-54 (1989)」、「Nakatsuka, T., Sasaki, T., Kaiser, E.T. Peptide segment coupling catalyzed by the semisynthetic enzyme thiosubtilisin, J Am Chem Soc, 109:3808-3810 (1987)」、「Schnolzer, M., Kent, S B H. Constructing proteins by dovetailing unprotected synthetic peptides: backbone- engineered HIV protease, Science, 256:221-225 (1992)、「Chaiken, I.M. Semisynthetic peptides and proteins, CRC Crit Rev Biochem, 11(3):255-301 (1981)、「Offord, R.E. Protein engineering by chemical means? Protein Eng., 1(3):151-157 (1987)」、および「Jackson, D.Y., Burnier, J., Quan, C., Stanley, M., Tom, J., Wells, J. A. A Designed Peptide Ligase for Total Synthesis of Ribonuclease A with Unnatural Catalytic Residues, Science, 266,243-247 (1994)」を参照のこと。
化学的な修飾は、補足因子、スピン標識、およびオリゴヌクレオチドを含む種々の非天然の側鎖を、インビトロにおいてタンパク質に導入するために使用される。例えば、「Corey, D.R., Schultz, P.G. Generation of a hybrid sequence-specific single-stranded deoxyribonuclease, Science, 238: 1401-1403 (1987)」、「Kaiser, E.T., Lawrence D.S., Rokita, S.E. The chemical modification of enzymatic specificity, Annu Rev Biochem, 54:565-595 (1985)」、「Kaiser, E.T., Lawrence, D.S. Chemical mutation of enyzme active sites, Science, 226:505-511 (1984)」、「Neet, K.E., Nanci A, Koshland, D.E. Properties of thiol- subtilisin, J Biol. Chem, 243 (24): 6392-6401 (1968)」、「Polgar, L. et M. L. Bender. A new enzyme containing a synthetically formed active site. Thiol-subtilisin. J. Am Chem Soc, 88:3153-3154 (1966)」、および「Pollack, S. J., Nakayama, G. Schultz, P.G. Introduction of nucleophiles and spectroscopic probes into antibody combining sites, Science, (242):1038-1040 (1988)」を参照のこと。
化学修飾されたアミノアシル‐tRNAを用いる生物合成方法を用いて、インビトロにおいて合成されたタンパク質に、いくつかの生物物理学的プローブが組み込まれてきた。以下の刊行物、および、該刊行物において引用されている参考文献を参照のこと。「Brunner, J. New Photolabeling and crosslinking methods, Annu. Rev Biochem, 62:483-514 (1993)」、および「Krieg, U.C., Walter, P., Hohnson, A.E. Photocrosslinking of the signal sequence of nascent preprolactin of the 54- kilodalton polypeptide of the signal recognition particle, Proc. Natl. Acad. Sci, 83(22):8604- 8608 (1986)」。
以前から、非天然アミノ酸を、インビトロにおいてタンパク質に、部位特異的に組み込めることが示されている。これは、化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAを、所望のアンバーナンセンス突然変異を含んでいる遺伝子を用いてプログラムされたタンパク質合成反応に加えることにより実施されている。これらのアプローチを特定のアミノ酸について栄養要求性の株に対して用いることにより、20の一般アミノ酸の多くを、構造的に近縁な相同物に置換することができる(例えば、フルオロフェニルアラニンをフェニルアラニンと置換することができる)。例えば、「Noren, C. J., Anthony-Cahill, Griffith, M.C., Schultz, P.G. A general method for site-specific incorporation of unnatural amino acids into proteins, Science, 244: 182-188 (1989)」、「M.W. Nowakら, Science 268:439-42 (1995)」、「Bain, J.D., Glabe, C.G., Dix, T.A., Chamberlin, A.R., Diala, E. S. Biosynthetic site-specific Incorporation of a non-natural amino acid into a polypeptide, J. Am Chem Soc, 111:8013-8014 (1989)」、「N. Budisaら, FASEB J. 13:41-51 (1999); Ellman, J.A., Mendel, D., Anthony-Cahill, S., Noren, C. J., Schultz, P.G. Biosynthetic method for introducing unnatural amino acids site-specifically into proteins. Methods in Enz., vol. 202, 301-336 (1992)」、および、「Mendel, D., Cornish, V.W. & Schultz, P.G. Site- Directed Mutagenesis with an Expanded Genetic Code, Annu Rev Biophys. Biomol Struct. 24, 435-62 (1995)」を参照のこと。
例えば、終止コドン(UAG)を認識するサプレッサーtRNAが調製されて、該サプレッサーtRNAが、非天然アミノ酸により化学的にアミノアシル化されている。従来の部位特異的突然変異誘発法を用いて、終止コドン(TAG)が、タンパク質の遺伝子における興味のある部位に導入されている(例えば、「Sayers, J.R., Schmidt, W. Eckstein, F. 5’ -3’ Exonucleases in phosphorothioate-based olignoucleotide-directed mutagensis, Nucleic Acids Res, 16(3):791- 802 (1988)」を参照のこと)。アシル化されたサプレッサーtRNAと突然変異遺伝子とが、インビトロの転写/翻訳系において組み合わされたとき、非天然アミノ酸が、UAGコドンに応じて組み込まれた。これにより、アミノ酸を特定の位置に含んでいるタンパク質が得られた。[H]‐Pheを用いた実験、およびα‐ヒドロキシ酸を用いた実験により、所望のアミノ酸だけが、UAGコドンにより特定された位置に組み込まれること、ならびに、このアミノ酸は、タンパク質の他のどの部位にも組み込まれないことが実証された(例えば、「上記Norenらの文献」、「Kobayashiら, (2003) Nature Structural Biology 10(6):425-432」、および「Ellman, J.A., Mendel, D., Schultz, P.G. Site-specific incorporation of novel backbone structures into proteins, Science, 255:197-200 (1992)」を参照のこと)。
また、マイクロインジェクション技術は、非天然アミノ酸をタンパク質に組み込むために用いられてきた。例えば、M W. Nowak、 P. C. Kearney、J. R. Sampson、M. E. Saks、C. G. Labarca、S. K. Silverman、W. G. Zhong、J. Thorson、J. N Abelson、N. Davidson、P. G. Schultz、D. A. DoughertyおよびH. A. Lester、 Science, 268:439-442 (1995);およびD. A. Dougherty, Curr. Opin. Chem. Biol, 4-645 (2000) を参照のこと。アフリカツメガエル卵母細胞は、インビトロで作製された2種のRNA種(興味の対象のアミノ酸位置にUAG終止コドンを有する標的タンパク質をコードするmRNA、および所望の非天然アミノ酸でアミノアシル化されたアンバーサプレッサーtRNA)を同時注入された。卵母細胞の翻訳機構は、続いて、UAGにより指定された位置に非天然アミノ酸を挿入する。この方法は、一般的にインビトロ発現系に従順でない、膜内在性タンパク質のインビボにおける構造−機能研究を可能にした。例には、限定されないが、蛍光共鳴エネルギー移動により距離を測定するためのタキキニンニューロキニン−2受容体への蛍光アミノ酸の組み込み(例えば、G. Turcatti, K. Nemeth, M. D. Edgerton, U. Meseth, F Talabot, M Peitsch, J. Knowles, H VogelおよびA Chollet, J. Biol Chem , 271(33):19991-19998 (1996)を参照のこと);イオンチャネルの表面に露出した残基の同定のためのビオチン化アミノ酸の組込み(例えば、J. P Gallivan, H. A. Lester and D. A. Dougherty, Chem. Biol., 4(10):739-749 (1997)を参照のこと)、リアルタイム(real time)でイオンチャネルの構造変化を観察するためのケージドチロシン類似体(caged tyrosine analogs)の使用(例えば、J. C. Miller, S. K. Silverman, P. M. England, D. A. DoughertyおよびH. A. Lester, Neuron, 20 619-624 (1998) ;およびそれらの通門機序を確かめるためにイオンチャネル基幹を改変するためのアルファヒドロキシアミノ酸の使用を含む。例えば、P. M England, Y. Zhang, D. A. DoughertyおよびH. A. Lester, Cell, 96:89-98 (1999);およびT. Lu, A. Y. Ting, J. Mainland, L Y Jan, P G. Schultz and J Yang, Nat Neurosci., 4(3):239-246 (2001)を参照のこと。
インビボにおいて、非天然アミノ酸を直接タンパク質に組み込む能力は、限定されないが、変異体タンパク質の高収率化、技術的な容易性、細胞もしくはおそらく生体における変異体タンパク質の研究の可能性、および治療上の処置におけるこれらの変異体タンパク質の使用を含む広く多様な利点を提供する。多様な大きさの非天然アミノ酸、酸性度、求核性、疎水性、およびタンパク質の他の特性を含む該能力は、理性的および体系的にタンパク質の構造を操作するために、タンパク機能を調べ、新規の特性を有する新しいタンパク質または生物を創るといった、我々の能力を大きく拡大する。
パラ−F−Pheを部位特異的に組み込むといったある試みでは、酵母アンバーサプレッサーtRNAPheCUA/フェニルアラニル−tRNA合成酵素対は、p−F−Phe抵抗性、Phe栄養要求性Escherichia coli株において用いられる。例えば、R. Furter, Protein Sci., 7:419-426 (1998)を参照のこと。
また、所望のポリヌクレオチドの発現を得るために、インビトロの無細胞翻訳系を用いることが可能であってもよい。翻訳系は、細胞翻訳系または無細胞翻訳系であってもよく、原核生物または真核生物であってもよい。細胞翻訳系は、限定されないが、固定化細胞または細胞培養のような全細胞調製を含む。ここで、所望の核酸配列は、mRNAに転写され、該mRNAは翻訳される。無細胞翻訳系は、市販されており、多くの異なる種類および系がよく知られている。無細胞系の例は、限定されないが、原核生物ライセート(Escherichia coliライセートなど)、および真核生物ライセート(小麦胚芽抽出物など)、昆虫細胞ライセート、ウサギ網状赤血球、ウサギ卵母細胞ライセート、およびヒト細胞ライセートを含む。真核生物抽出物またはライセートは、生じたタンパク質がグリコシル化、リン酸化またはその他の修飾をされる際に好ましい。なぜなら、多くの該修飾は真核生物系のみ可能であるためである。これらの抽出物およびライセートの数種は、市販されている (Promega; Madison, Wis.; Stratagene; La Jolla, Calif.; Amersham; Arlington Heights, 111.; GIBCO/BRL; Grand Island, N.Y.)ミクロゾール膜含有のイヌ膵臓抽出物のような膜抽出物も好適であり、分泌タンパク質を翻訳するために利用できる。これらの系は、鋳型としてのmRNA(インビトロでの翻訳)か、または鋳型としてのDNA(インビトロでの転写と翻訳との組み合わせ)のどちらかを含んでいることが可能であり、これらの系では、インビトロの合成は、リボソームにより管理される。無細胞のタンパク質発現系を開発するために、相当な努力が費やされた。例えば、「Kim, D.M. and J.R. Swartz, Biotechnology and Bioengineering, 74 :309-316 (2001)」、「Kim, D.M. and J.R. Swartz, Biotechnology Letters, 22, 1537-1542, (2000)」、「Kim, D.M., and J.R. Swartz, Biotechnology Progress, 16, 385-390, (2000)」、「Kim, D.M., and J.R. Swartz, Biotechnology and Bioengineering, 66, 180-188, (1999)」、および「Patnaik, R. and J.R. Swartz, Biotechniques 24(5), 862-868, (1998)」、米国特許第6,337,191号明細書、米国特許出願公開第2002/0081660号明細書、国際公開第00/55353号パンフレット、国際公開第90/05785号パンフレットを参照のこと。なお、これらの文献は、参照により本明細書に組み込まれる。非天然アミノ酸を含むポリペプチドの発現に適用され得る他の手法には、限定されないが、mRNA‐ペプチド融合技術が含まれる。例えば、「R. Roberts and J. Szostak, Proc. Natl Acad. Sci. (USA) 94:12297-12302 (1997)」、「A. Frankelら, Chemistry & Biology 10:1043-1050 (2003)」を参照のこと。この手法では、ピューロマイシンに連結されたmRNAの鋳型が、リボソームにおいてペプチドに翻訳される。1つ以上のtRNAが、修飾されている場合、同様に非天然のアミノ酸をペプチドに組み込むことができる。mRNAの最後のコドンを読んだ後に、ピューロマイシンにより、ペプチドのC末端が捕らえられる。生じたmRNA‐ペプチド接合体が、インビトロ分析において、興味深い特性を有していることを発見された場合、mRNAの配列から該接合体を、容易に同定することができる。このようにして、1つ以上の非天然にコードされるアミノ酸を含むポリペプチドのライブラリーをスクリーニングして、所望の特性を有するポリペプチドを同定することができる。最近では、精製要素を用いたインビトロのリボソームによる翻訳により、非天然にコードされるアミノ酸で置換されたペプチドを合成できることが、報告された。例えば「A. Forsterら, Proc. Natl Acad. Sci. (USA) 100(11):6353-6357 (2003) 」を参照のこと。
さらに、再構成翻訳系を使用してもよい。また、精製された翻訳因子の混合物も、精製された翻訳因子を添加されたライセートの組み合わせまたはライセートと同様、mRNAをタンパク質に翻訳することができる。上記翻訳因子としては、開始因子‐1(IF‐1)、IF‐2、IF‐3、伸長因子T(EF‐Tu)、またはターミネーターなどが挙げられる。また、無細胞系と、転写/翻訳系とを組み合わせてもよい。この転写/翻訳系では、「Current Protocols in Molecular Biology (F. M. Ausubelら editors, Wiley Interscience, 1993) 」に記載されているように、DNAが該系に導入されて、mRNAに転写され、このmRNAが翻訳される。なお、上記文献は、これによって、参照により明確に組み込まれる。真核生物の転写系において転写されたRNAは、異核RNA(hnRNA)の形態であってもよいし、5’末端にキャップ(7‐メチルグアノシン)および、3’末端にポリAを有する成熟mRNAであってもよい。成熟mRNAは、特定の翻訳系において有利になり得る。例えば、キャップされたmRNAは、網状赤血球ライセートの系において高効率で翻訳される。
本発明のtRNAを、所望のアミノ酸を用いて、任意の方法または技術によりアミノアシル化してもよい。該アミノアシル化としては、化学的アミノアシル化または酵素的アミノアシル化などが挙げられるが、これらに限定されない。
アミノアシル化を、アミノアシルtRNAシンテターゼにより、または他の酵素分子(リボザイムなど)により実施してもよい。用語「リボザイム」は、「触媒RNA」と同義である。Cechおよびその同僚(「Cech, 1987, Science, 236:1532- 1539」、「McCorkleら, 1987, Concepts Biochem. 64:221-226」)は、天然に生じるRNAが、触媒として作用することを実証した(リボザイム)。しかし、これらの天然のRNA触媒は、リボ核酸基質に対して切断およびスプライシングの作用をすることが示されただけであったが、リボザイムの人工進化に対する最近の発展により、触媒のレパートリーが、様々な化学反応に拡張されている。研究により、アミノアシル‐RNA結合を、自身の(2’)3’‐末端上に触媒することができるRNA分子(Illangakekareら 1995 Science 267:643-647)、および1つのRNA分子からもう1つ別のRNA分子にアミノ酸を転移することができるRNA分子が同定された(Lohseら 1996, Nature 381:442-444)。
米国特許出願公開2003/0228593号明細書には、リボザイムをコンストラクトする方法、および、天然にコードされたアミノ酸、または非天然にコードされるアミノ酸を用いたtRNAのアミノアシル化におけるその使用が開示されている(なお、上記文献は、参照により本明細書に組み込まれる)。tRNAをアミノアシル化することができる酵素分子(リボザイムなど)を基板に固相化することにより、アミノアシル化された産物を効率的に親和性精製することができる。適切な基板としては、例えば、アガロース、セファロース、および磁気ビーズが挙げられる。アミノアシル化するための基板に固相化された形体のリボザイムの製造、および使用は、「Chemistry and Biology 2003, 10:1077-1084」、および米国特許出願公開第2003/0228593号明細書に記載されている(なお、これら文献は参照により本明細書に組み込まれる)。
シンテターゼを用いることなく、アミノアシル化する化学的アミノアシル化の方法には、特に限定されないが、以下の方法が含まれる。(1)Hechtおよびその同僚により導入された方法(「Hecht, S. M. Acc. Chem. Res. 1992, 25, 545」、「Heckler, T. G.; Roesser, J. R.; Xu, C.; Chang, P.; Hecht, S. M. Biochemistry 1988, 27, 7254」、「Hecht, S. M.; Alford, B. L.; Kuroda, Y.; Kitano, S. J. Biol. Chem. 1978, 253, 4517」)、ならびに(2)Schultz, Chamberlin, Dougherty、および(2)他の研究者により導入された方法(「Cornish, V. W.; Mendel, D.; Schultz, P. G. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1995, 34, 621」、「Robertson, S. A.; Ellman, J. A.; Schultz, P. G. J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 2722」、「Noren, C. J.; Anthony-Cahill, S. J.; Griffith, M. C.; Schultz, P. G. Science 1989, 244, 182」、「Bain, J. D.; Glabe, C. G.; Dix, T. A.; Chamberlin, A. R. J. Am. Chem. Soc. 1989, 111, 8013」、「Bain, J. D.ら Nature 1992, 356, 537」、「Gallivan, J. P.; Lester, H. A.; Dougherty, D. A. Chem. Biol. 1997, 4, 740」、「Turcattiら, J. Biol. Chem. 1996, 271, 19991」、「Nowak, M. W.ら Science, 1995, 268, 439」、「Saks, M. E.ら J. Biol. Chem. 1996, 271, 23169」、「Hohsaka, T.ら J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 34」)。上記方法または他の化学的アミノアシル化方法を用いて、本発明のtRNAをアミノアシル化してもよい。
触媒RNAを作製するための方法は、無作為化されたリボザイム配列の別々になったプールを作製する工程、該プールに対して定方向進化(directed evolution)を実施する工程、所望のアミノアシル化活性をスクリーニングする工程、および所望のアミノアシル化活性を示すリボザイムの配列を選抜する工程を含んでいてもよい。
リボザイムは、アシル化活性を促進するモチーフおよび/または領域(GGUモチーフおよびUに富む領域(U-rich region)など)を含んでいてもよい。例えば、Uに富む領域は、アミノ酸基質の認識を促進できることや、GGUモチーフは、tRNAの3’末端と塩基対を形成できることが報告されている。そこで、これらを組み合わせることにより、GGUモチーフおよびUに富む領域は、アミノ酸とtRNAとの両方の同時に認識することを、同時に促進する。これにより、tRNAの3’末端のアミノアシル化が促進される。
tRNAAsnCCCGと接合している部分的に無作為化されたr24miniを用いたインビトロの選抜を行い、その後、活性クローンに見出されるコンセンサス配列を体系的に操作することによって、リボザイムを作製することができる。この方法により得られる典型的なリボザイムは、「Fx3リボザイム」と呼ばれ(米国特許出願公開第2003/0228593号明細書に記載されている(この文献の内容は、参照によって本明細書に組み込まれる))、同種の非天然アミノ酸により作用を受ける様々なアミノアシル‐tRNAを合成するための多目的酵素として働く。
基板上への固相化を用いて、アミノアシル化されたtRNAの親和性精製を効率的に実施することができる。適切な基板としては、例えば、アガロース、セファロース、および磁気ビーズが挙げられるが、これらに限定されない。リボザイムを、RNAの化学的構造の長所を活かして、樹脂に固相化することができる。例えば、RNAのリボースにおける3’‐シス‐ジオールを、過ヨウ素酸塩により酸化して、対応するジアルデヒドを作製することにより、樹脂上へのRNAの固相化が促進される。様々な種類の樹脂(安価なヒドラジド樹脂など)を用いることができる。還元アミノ化により、樹脂とリボザイムとの間の相互作用を、不可逆連結にすることができる。アミノアシル‐tRNAの合成を、このオン‐カラムアミノアシル化(on-column aminoacylation)により著しく促進することができる。Kourouklisら(Methods 2005; 36:239-4)は、カラムに基づくアミノアシル化の系を開示している。
アミノアシル化tRNAの単離は、様々な方法により実施することができる。適切な方法の1つは、カラムから緩衝液によりアミノアシル化tRNAを溶出することである。該緩衝液としては、10mM EDTAを含む酢酸ナトリウム溶液、50mM N‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジン‐N’‐(3‐プロパンスルホン酸)、12.5mM KClを含む緩衝液(pH7.0)、10mM EDTAあるいは、(iii)単純にEDTAにより緩衝化された水(pH7.0)などが挙げられる。
アミノアシル化tRNAを翻訳反応に添加することにより、tRNAのアミノアシル化に用いたアミノ酸を、上記翻訳反応により作製されるポリペプチドの所望の位置に組み込むことができる。本発明のアミノアシル化tRNAは、翻訳系において使用してもよい。この翻訳系としては、例えば細胞ライセートが挙げられるが、これに限定されない。細胞ライセートには、投入したmRNAからポリペプチドをインビトロにおいて翻訳するのに必要な反応要素が含まれている。上記反応要素としては、例えば、リボソームタンパク質、rRNA、アミノ酸、tRNA、GTP、ATP、翻訳開始因子、翻訳伸長因子、および翻訳に関わる他の因子が挙げられるが、これらに限定されない。また、翻訳系は、バッチ翻訳または区画化翻訳であってもよい。バッチ翻訳系では、反応要素が1つの区画において混合される。これに対し、区画化翻訳系では、翻訳効率を阻害し得る反応産物から翻訳反応要素が分離される。上記翻訳系は市販されている。
また、共役型転写/翻訳系を用いてもよい。共役型転写/翻訳系により、投入DNAから対応するmRNAへの転写と、反応要素によるその後の翻訳とを実施することができる。市販されている共役型転写/翻訳系としては、例えば、迅速翻訳系(Rapid Translation System (RTS, Roche Inc.))が挙げられる。この系には、翻訳要素(リボソームおよび翻訳因子など)を提供するE. coliライセートを含有する混合物が含まれている。また、翻訳に用いられるmRNAの鋳型を、投入DNAから転写するためのRNAポリメラーゼが含まれている。RTSでは、各反応区画(供給/消費区画、および転写/翻訳区画など)の間に設けられた膜により反応要素を区画化することができる。
tRNAのアミノアシル化を、他の作用物質(トランスフェラーゼ、ポリメラーゼ、触媒抗体、多機能タンパク質など)により実施してもよい。
StephanはScientist 2005 Oct 10; pages 30-33にタンパク質に非天然にコードされたアミノ酸を組み込む付加的な方法を記載した。LuらはMoI Cell. 2001 Oct;8(4):759-69にタンパク質が、非天然アミノ酸を含む合成ポリペプチドに化学的に連結される方法を記載した。
<X.非天然アミノ酸構成要素のポリペプチドの翻訳後修飾>
便宜上、本明細書に記載したポリペプチドの非天然アミノ酸組成物の翻訳後修飾は、一般的におよび/または具体例を記載している。しかし、本明細書に記載したポリペプチドの非天然アミノ酸組成物の翻訳後修飾は、提供した一般的な記述または具体例のみに限定されるべきではなく、それどころか本明細書に記載したポリペプチドの非天然アミノ酸組成物の翻訳後修飾は、本明細書、請求項および図面に記載された、一般式(I)−一般式(LXVII)の範囲内に含まれる任意の部分式または特定の組成物を含む、一般式(I)−一般式(LXVII)の範囲内に含まれる、全ての組成物に同様に好適に適用される。
方法、組成物、技術および戦略は、タンパク質のインビボでの翻訳の間における非天然アミノ酸の部位特異的な組み込みを発展させてきた。天然に生じるアミノ酸の側鎖の化学的性質に直交な化学的性質の側鎖を有する非天然アミノ酸を組み込むことにより、この技術は、組み換えタンパク質の部位特異的な誘導体化を可能にする。結果として、本明細書に記載した方法、組成物、技術および戦略の主な利点は、誘導体化されたタンパク質を、定義された均質な生産物として調製することができる。しかし、本明細書に記載した方法、組成物、反応混合物、技術、および戦略は、インビボにおけるタンパク質の翻訳技術により形成された非天然アミノ酸ポリペプチドに限定されず、全ての技術により形成された非天然アミノ酸ポリペプチド、例えば、発現タンパク質のライゲーション、化学的合成、およびリボザイムに基づく技術(例えば、本明細書の「代替系における発現(Expression in Alternate Systems)」と題されたセクションを参照のこと。)をも含む。
組換えタンパク質中に非天然アミノ酸を組み込む能力は、翻訳後の誘導体化のために導入することができる化学物質の種類を拡大する。該誘導体化はインビボで起こるか、またはインビトロで起こる。より具体的に言うと、ポリペプチドの一部の非天然アミノ酸において、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を形成するためのジカルボニルおよびジアミンの反応を利用するポリペプチドの誘導体化は、様々な利点をもたらす。第1に、天然に生じたアミノ酸は(a)ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を形成するジアミンと反応可能なジカルボニル基を含まない。また、天然に生じたアミノ酸は(b)ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を形成するジカルボニル基と反応可能なジアミン基を含まない。よって、該連結を形成するように設計された試薬は、ポリペプチドの構成要素である非天然アミノ酸と部位特異的に反応する(当然ながら、非天然アミノ酸および対応する試薬は該連結を形成するように設計されているということを想定している)。したがって、タンパク質を部位特異的に誘導体化する能力によって、従来技術を用いて製造される誘導体化されたタンパク質の混合物とは相反する、単一の均一性の産物が提供される。第2に、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)は、生物学的条件下において安定である。このことから、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)によって誘導体化されたタンパク質は、治療用に有効な候補であることが示唆される。第3に、得られるヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)の安定性は、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)が形成された非天然アミノ酸の個性(すなわち、官能基および/または構造)に基づいて操作されることが可能である。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドに形成されたヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)の分解半減期は、約1時間未満であり、別の実施形態ではは約1日未満であり、別の実施形態では約2日未満であり、別の実施形態では約1週間未満であり、別の実施形態では約1週間よりも長い。さらなる実施形態では、得られるヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)は弱酸性条件の下、少なくとも約2週間安定している。別の実施形態では、得られるヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)は弱酸性条件の下、少なくとも約5日間安定している。別の実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは約2から約8のpHにおいて少なくとも1日間安定している;別の実施形態では、約2から約6のpH;別の実施形態では、約2から約4のpHにおいて安定している。本明細書に記載される戦略、方法、組成物および技術を用いる別の実施形態では、当業者の一人は、(例えば、持続放出のような治療上の利用、診断上の利用、産業上の利用、または軍事利用のために)当業者が必要とする分解半減期を有するヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を、非天然アミノ酸ポリペプチドに合成することができる。
上述の非天然アミノ酸ポリペプチドは、これに限定されるものではないが、新しい治療法、診断法、促進剤酵素、工業用酵素、結合タンパク質(抗体および抗体フラグメントを含むがこれに限定されるものではない)に有用である。また、これに限定されないが、タンパク質の構造および機能の研究にとって有用である。例えば、Dougherty, (2000) Unnatural Amino Acid as Probes of Protein Structure and Function,Current Opinion in Chemical Biology,4:645-652を参照のこと。上述した非天然アミノ酸ポリペプチドの別の使用法としては、例えば、基礎分析、化粧品、植物生物学、環境、エネルギー生産、および/または軍事用途である。しかしながら、上述の非天然アミノ酸ポリペプチドは、新たなまたは修正された官能性を組み込むように、さらなる修飾を受けてもよい。これには、ポリペプチドの治療有効性の操作、ポリペプチドの安全性プロフィールの改善、ポリペプチドの薬物動態学的性質、薬理学的性質および/または薬力学的性質の調節(例えば、水溶性の増加、生物学的利用性、血中半減期の増加、治療半減期の増加、免疫原性の調節、生物活性の調節、または循環時間の延長)、ポリペプチドへのさらなる機能性基の付与、ポリペプチドへのタグ、標識または検出可能なシグナルの組み込み、ポリペプチドの単離性質の簡単化、ならびに上述した修飾のあらゆる組み合わせが挙げられる。
一実施形態では、本発明の方法は、カルボニル含有非天然アミノ酸、ジカルボニル含有非天然アミノ酸、ジアミン含有非天然アミノ酸、ケトアミン含有非天然アミノ酸、およびケトアルキン含有非天然アミノ酸から成る群から選択される少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む、相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを利用する工程を含む、ポリペプチドの単離を簡単化する方法である。他の実施形態では、該非天然アミノ酸は、本明細書に記載したように、生合成的にポリペプチドに組み込まれる。さらなる別の実施形態では、該非天然アミノ酸ポリペプチドは、一般式(I)−一般式(LXVII)のアミノ酸から選択された少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む。
本明細書に記載の方法、組成物、戦略および技術は、ポリペプチドまたはタンパク質の特定のタイプ、クラスまたはファミリーに限定されるものではない。実際には、ポリペプチドは本明細書に記載の非天然アミノ酸のうち少なくとも1つを含んでよい。例えば、ポリペプチドは、所望のポリペプチドから成る群から選ばれる治療タンパク質と相同であってもよい。非天然アミノ酸ポリペプチドは、成長ホルモンスーパーファミリーのポリペプチドの一員と相同であってもよい。
該修飾は、所望の機能性基を含むがこれに限定されるものではなく、ポリペプチドの構成要素である非天然アミノ酸へのさらなる機能性基の組み込みを含む。
本明細書に記載した非天然アミノ酸ポリペプチドは、他の官能基に転換されてもよい部分を含み得る。ここで、該部分は、限定されないが、カルボニル、ジカルボニル、ジアミン、ケトアミンまたはケトアルキンを含む。該非天然アミノ酸ポリペプチドは、本明細書に記載した非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドを、作製、精製、特徴づけ、および使用するための、方法、組成物、技術、および戦略に用いられてもよく、または利用されてもよい。該部分へ他の官能基の化学的転換は、例えば、ヘテロ環部分は、本明細書に記載した技術を用いて達成される。また、該化学的転換は例えば、参照のために引用する「March, Advanced Organic Chemistry 5th Ed., (Wiley 2001)」;および「Carey and Sundberg, Advanced Organic Chemistry 4th Ed., VoIs. A and B (Plenum 2000, 2001)」に記載された技術を用いて達成される。
したがって、例えば、以下のアミノ酸の何れか1つを含んでいる非天然アミノ酸ポリペプチドは、本明細書に記載の方法および組成物を用いて、さらに修飾されてもよい:
(a)
Figure 2009522275
(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは、H、アルキルまたは置換アルキルである);
Jは、
Figure 2009522275
である;
は独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキルまたはアミン保護基であり;
は独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキルまたはアミン保護基であり;
は、結合、任意に置換されたC1−4アルキレン、任意に置換されたC1−4アルケニレン、または任意に置換されたヘテロアルキルであり;
は、任意に置換されたC1−4アルキレン、任意に置換されたC1−4アルケニレン、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり;
任意の置換基のそれぞれは独立して低級アルキル、置換低級アルキル、低級シクロアルキル、置換低級シクロアルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、アルキニル、低級ヘテロアルキル、置換へテロアルキル、低級へテロシクロアルキル、置換低級ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキルまたは置換アラルキルから選択され;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルであり;
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成するか;
または、−A−B−J−R基は、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、またはマスクされたジアミン基を含んでいる、2環式のまたは3環式のシクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成するか;
または、−B−J−R基は、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、またはマスクされたジアミン基を含んでいる、2環式のまたは3環式のシクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成するか;
−J−Rは、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、またはマスクされたジアミン基を含んでいる、単環式のまたは2環式のシクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成し;
−A−B−J−Rにおけるアミン基の少なくとも1つは、任意に保護されたアミンである);
(b)
Figure 2009522275
(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級へテロシクロアルキレン、置換低級へテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
Kは、
Figure 2009522275
であり(Tは、結合、任意に置換されたC1−4アルキレン、任意に置換されたC1−4アルケニレン、または任意に置換されたヘテロアルキルであり、任意の置換基のそれぞれは独立して、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級へテロシクロアルキレン、置換低級へテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンから選択され);
は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択され;
は、
Figure 2009522275
であり(Xのぞれぞれは独立して、−O−、−S−、−N(H)−、−N(R)−、−N(Ac)−、および−N(OMe)−から成る群から選択され;Xは、−OR、−OAc、−SR、−N(R)、−N(R)(Ac)、−N(R)(OMe)、またはNであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである);
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルであり;
は、H、ハロゲン、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであるか;
または、−A−B−K−R基は、少なくとも1つのカルボニル基(ジカルボニル基など)、保護されたカルボニル基(保護されたジカルボニル基など)、またはマスクされたカルボニル基(マスクされたジカルボニル基など)を含んでいる、2環式のまたは3環式の、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成するか;
−K−R基は、少なくとも1つのカルボニル基(ジカルボニル基など)、保護されたカルボニル基(保護されたジカルボニル基など)、またはマスクされたカルボニル基(マスクされたジカルボニル基など)を含んでいる、単環式のまたは2環式の、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成する);
(c)
Figure 2009522275
(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級へテロシクロアルキレン、置換低級へテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
は、
Figure 2009522275
であり、(a)は、B基に対する結合を示し、(b)は、それぞれのカルボニル基に対する結合を示し;
は結合、C(R)(R)、O、またはSであり;
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであるか、またはRおよびR、もしくは2つのR基もしくは2つのR基は、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成する);
(d)
Figure 2009522275
(Bは、任意であり、かつ存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−NS(O)2−、−OS(O)2−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択されるリンカーであり(R’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
は、結合、−C(R)(R)−、−O−、−S−、−C(R)(R)−C(R)(R)−、−C(R)(R)−O−、−C(R)(R)−S−、−O−C(R)(R)−、−S−C(R)(R)、−C(R)=C(R)−、または−C(R)=C(R)−であり;
は、結合、C(R)(R)、O、またはSであり;
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、もしくは置換シクロアルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基もしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成し;
のそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)R’(kは1、2または3である)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’から成る群から選択され、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルであり;nは0から8である);および、
(e)
Figure 2009522275
(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
Gは、
Figure 2009522275
であり;
は、特に、限定されないが、
Figure 2009522275
(Xのぞれぞれは独立して、−O−、−S−、−N(H)−、−N(R)−、−N(Ac)−、および−N(OMe)−から成る群から選択され;Xは、−OR、−OAc、−SR、−N(R)、−N(R)(Ac)、−N(R)(OMe)、またはNであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである)を含む、カルボニル保護基であり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRのそれぞれ独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基は、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成する);
(f)
Figure 2009522275
(ここで:
Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
Gは、
Figure 2009522275
であり;
は、任意に置換されたC1−4アルキレン、任意に置換されたC1−4アルケニレン、または任意に置換されたヘテロアルキルであり;
は、特に限定されないが、
Figure 2009522275
(Xのぞれぞれは独立して、−O−、−S−、−N(H)−、−N(R)−、−N(Ac)−、および−N(OMe)−から成る群から選択され;Xは、−OR、−OAc、−SR、−N(R)、−N(R)(Ac)、−N(R)(OMe)、またはNであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)を含む、カルボニル保護基であり;
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルであり;
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、または置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成する)。
本明細書に記載される方法および組成物の一態様では、組成物は、翻訳後修飾された非天然アミノ酸を少なくとも1つ有するポリペプチドを少なくとも1つ含んでいる(例えば、特に限定されないが、上記ポリペプチドは、翻訳後修飾された非天然アミノ酸を、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10つ、またはそれ以上有している)。翻訳後修飾される非天然アミノ酸は、同一であっても異なっていてもよく、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の異なる翻訳後修飾された非天然アミノ酸を含んでいる1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の異なる場所が、ポリペプチドに存在し得る。別の態様において、タンパク質に存在する特定のアミノ酸のすべてではないが少なくとも1つは、翻訳後修飾された非天然アミノ酸と置換される。1つ以上の翻訳後修飾された非天然アミノ酸を有する特定のタンパク質について言えば、翻訳後修飾された非天然アミノ酸は、同質のものまたは異なるものであってもよい(ポリペプチドは、2種類以上の異なる翻訳後修飾された非天然アミノ酸を含むか、あるいは、同じ翻訳後修飾された非天然アミノ酸を2つ含むことができるが、これに限定されるものではない)。翻訳後修飾された非天然アミノ酸を2つよりも多く有する特定のタンパク質について言えば、翻訳後修飾された非天然アミノ酸は、同種、異種であってもよく、同種の翻訳後修飾された非天然アミノ酸の複数と、少なくとも1つの異なる翻訳後修飾された非天然アミノ酸との組み合わせであってもよい。
(非天然アミノ酸ポリペプチドを翻訳後修飾する方法)
図14および図17は、本明細書に記載した方法および技術を用いた非天然アミノ酸ポリペプチドの翻訳後修飾の具体例である。これら、および他の翻訳後修飾は以下に記載する。
‐A.非天然アミノ酸ポリペプチドの翻訳後修飾方法:ジカルボニル含有非天然アミノ酸のジアミン含有試薬での反応‐
天然に生じたアミノ酸の側鎖は、高い求電子性部位を欠損している。そのため、求電子物質含有側鎖を有する非天然アミノ酸を組み込みむことにより、少なくとも1つのカルボニル基の求核攻撃を介して、当該側鎖を部位特異的に誘導体化することができる。ここで、上記求電子性基は、例えば、ジカルボニル基(例えばジケトン基、ケトアルデヒド基、ケトエステル基、ケト酸基、またはケトチオエステル基など)を含むアミノ酸を含む。攻撃する求核物質がジアミンである場合、窒素含有ヘテロ環誘導体化タンパク質を含むヘテロ環誘導体化タンパク質が生じる。誘導体化方法および/またはさらなる修飾方法は、誘導体化工程の前、または誘導体化工程の後に精製されたポリペプチドにより実施されてもよい。加えて、誘導体化方法および/またはさらなる修飾方法は、そのような修飾の前または後に精製された合成ポリマー、ポリサッカライド、またはポリヌクレオチドにより実施されてもよい。さらには、誘導体化工程は、弱酸性から弱塩基性条件の下で行うことができる(一例として、約2から約8の間のpH、約4から約8の間のpH、約3から約8の間のpH、約2から約9の間のpH、約4から約9の間のpH、約4から約10の間のpHが含まれる。)。
ジカルボニル含有タンパク質とジアミン置換分子との反応に基づく誘導化方法は、明確な効果を有する。第1に、ジアミンは、約5から約8のpHの範囲において、ジカルボニル含有化合物と縮合することにより、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)が生成する(なお、上記pHの範囲は、さらなる実施形態では、約4から約10の範囲のpHであり、さらなる実施形態では約3から約8のpHの範囲であり、さらなる実施形態では約2から約9の範囲のpHであり、別の実施形態では約4から約9の範囲のpHである)。これらの条件において、天然に生じるアミノ酸の側鎖は、不活性である。第2に、そのような選択的な化学的性質は、組み換えタンパク質の部位特異的誘導体化を可能にし;誘導体化されたタンパク質は、明らかに均質な産物として直ちに調製され得る。第3に、本明細書に記載のジカルボニ含有ポリペプチドと本明細書に記載のジアミンとの反応を行うために必要な穏やかな条件は、一般的に、ポリペプチドの3次元構造を不可逆的に破壊しない(もちろん、反応の目的が、そのような3次元構造の破壊である場合を除く)。第4に、反応は室温において、素早く起こる。このため、高温において不安定な、多種類のポリペプチドまたは試薬の利用が可能になる。第5に、反応は水性条件において、素早く起こる。このため、非水性溶液と(あらゆる程度に)適合しないポリペプチドまたは試薬の使用が可能になる。第6に、反応は、試薬に対するポリペプチドまたはアミノ酸の割合が、化学量論的、化学量論様、またはほぼ化学量論的であるときでさえ、容易に起こる。このため、有効量の反応産物を得るために、過剰の試薬またはポリペプチドを加える必要がない。第7に、生じたヘテロ環が、反応物質のジアミン部分およびジカルボニル部分の設計に依存して、位置選択的および/または位置特異的に製造され得る。最後に、ジカルボニル含有分子とジアミンとの縮合により、生物学的条件において安定なヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)連結が生成する。
例えば、以下に挙げる非天然アミノ酸ポリペプチドは、さらにジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾するために用いられる、本明細書に記載のジアミン含有試薬と反応するジカルボニル含有アミノ酸の典型である:
(a)
Figure 2009522275
(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級へテロシクロアルキレン、置換低級へテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
Kは、
Figure 2009522275
であり(Tは、結合、任意に置換されたC1−4アルキレン、任意に置換されたC1−4アルケニレン、または任意に置換されたヘテロアルキルであり、任意の置換基のそれぞれは独立して、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級へテロシクロアルキレン、置換低級へテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンから選択され);
は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択され(R’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
は、
Figure 2009522275
であり(Xのぞれぞれは独立して、−O−、−S−、−N(H)−、−N(R)−、−N(Ac)−、および−N(OMe)−から成る群から選択され;Xは、−OR、−OAc、−SR、−N(R)、−N(R)(Ac)、−N(R)(OMe)、またはNであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである);
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、H、ハロゲン、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであるか;
または、−A−B−K−R基は、少なくとも1つのカルボニル基(ジカルボニル基など)、保護されたカルボニル基(保護されたジカルボニル基など)、またはマスクされたカルボニル基(マスクされたジカルボニル基など)を含んでいる、2環式のまたは3環式の、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成するか;
−K−R基は、少なくとも1つのカルボニル基(ジカルボニル基など)、保護されたカルボニル基(保護されたジカルボニル基など)、またはマスクされたカルボニル基(マスクされたジカルボニル基など)を含んでいる、単環式のまたは2環式の、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成する)。
当該ジカルボニル含有非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドの種類としては、ジカルボニル含有非天然アミノ酸のポリペプチド内の位置が、ジアミン試薬がジカルボニル基と反応することが可能であり、且つ、ポリペプチドの三次構造を破壊するような、修飾型非天然アミノ酸を生成することができない位置である限り、実質的に制限されるものではない(当然、該破壊が反応の目的である場合を除く)。
例えば、以下に挙げるジアミン含有試薬は、さらにジカルボニルを含有する非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾するために用いられる、本明細書に記載のジカルボニルを含有する非天然アミノ酸と反応するジアミン含有アミノ酸の典型である:
Figure 2009522275
(Xのそれぞれは、独立してH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−ONR”、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−C(O)SR”、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−S−S−(アリールまたは置換アリール)、−C(O)R”、−C(O)R”、または−C(O)N(R”)であり、R”のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または置換アラルキルであるか;
または、Xのそれぞれは独立して所望の機能性基から成る群から選択され;
Lのそれぞれは独立して、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−NR’C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−O−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−N(R’)C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択され;
は任意であり、存在する場合は、−C(R’)−NR’−C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−であり、pは0、1または2であり;
R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、置換アルキルまたはアミノ保護基であり;
Wは、
Figure 2009522275
であり、
およびZは独立して、結合、任意に置換されたC−Cアルキレン、任意に置換されたC−Cアルケニレン、任意に置換されたヘテロアルキル、−O−、−S−、−C(O)−、−C(S)−、および−N(R’)−から成る群から選択され;
nは1から3である)。
一般式(LVVIII)を有する化合物の一実施形態では、該化合物は一般式(LXIX):
Figure 2009522275
を有する。
一般式(LXIX)を有する化合物の一実施形態では、該化合物は:
Figure 2009522275
から成る群から選択される。
他の実施形態では、上記m−PEGまたはPEG基は、約5kDaから約30kDaの範囲の分子量を有する。他の実施形態では、上記m−PEGまたはPEGは、約2kDaから約50kDaの範囲の分子量を有する。他の実施形態では、上記m−PEGまたはPEGは、約5kDaの分子量を有する。
一般式(LXIX)を有する化合物の一実施形態では、該化合物は一般式(LXX):
Figure 2009522275
を有する。
一般式(LXIX)を有する化合物の一実施形態では、該化合物は一般式(LXXI):
Figure 2009522275
を有する。
一般式(XXII)を有する化合物の他の実施形態では、上記m−PEG基は、約5kDaから約30kDaの範囲の分子量を有する。他の実施形態では、上記m−PEGまたはPEGは、約5kDaから約30kDaの範囲の分子量を有する。他の実施形態では、上記m−PEGまたはPEGは、約2kDaから約50kDaの範囲の分子量を有する。他の実施形態では、上記m−PEGまたはPEGは、約5kDaの分子量を有する。
一般式(LXIX)を有する化合物の特定の実施形態では、該化合物は一般式(LXXII):
Figure 2009522275
を有する。
一般式(LXIX)を有する化合物の特定の実施形態では、該化合物は一般式(LXXIII):
Figure 2009522275
を有する。
また、一般式(XXII)を有する化合物の他の実施形態では、上記m−PEG基は、約5kDaから約30kDaの範囲の分子量を有する。
一般式(LXIX)を有する化合物の他の実施形態では、化合物は、
Figure 2009522275
の構造を有する。
ポリペプチド上のジカルボニル含有非天然アミノ酸へジアミンを共役する方法の具体的な実施形態は、図12、図15および図16に示される。これらの具体的な実施形態では、ジアミン誘導体化試薬は、ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチド緩衝溶液(約2から約9のpH)に添加される。反応は室温で進行し、生じたヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドは、HPLC、FPLCまたはサイズ排除クロマトグラフィーにより精製されてよい。
他の実施形態では、複数のリンカーを有する化学物質は、ジカルボニル置換非天然アミノ酸ポリペプチドと部位特異的に反応できる。一実施形態では、本明細書に記載のリンカー法では、少なくとも1つのリンカー末端(1官能性、2官能性、または多官能性)上にジアミン機能性基を含んでいるリンカーが利用される。ジカルボニル置換タンパク質とジアミン誘導体化リンカーとの縮合により、安定なヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)が生じる。ヘテロ官能性リンカーとしても知られている、2官能性および/または多官能性リンカー(例えば、1つ以上の他の連結化学物質を有するジアミン)は、非天然アミノ酸ポリペプチドへの異なる分子(例えば、他のタンパク質、ポリマー、または低分子)の部位特異的な接続を可能にする。その上、ホモ官能性リンカーとしても知られている単官能性リンカー(全ての末端がジアミン置換されている)は、非天然アミノ酸ポリペプチドの部位特異的なダイマー化、またはオリゴマー化を促進する。本明細書に記載したインビボにおける翻訳技術とこのリンカー戦略とを組み合わせることによって、化学合成されたタンパク質の三次元構造を特定することができるようになり得る。
‐B.非天然アミノ酸ポリペプチドの翻訳後修飾方法:ジカルボニル含有非天然アミノ酸とケトアミン含有試薬との反応‐
前記の翻訳後修飾技術および組成物を用いて、ケトアミン含有試薬とジカルボニル含有非天然アミノ酸とを反応させて、修飾されたヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドを製造してもよい。
例えば、上記セクションAに記載したジカルボニル含有非天然アミノ酸は、ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドをさらに修飾するために用いることができる、本明細書に記載したケトアミン含有試薬とも反応できる。
例えば、以下に挙げるケトアミン含有試薬は、さらにジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾するために用いることができる、本明細書に記載されたジカルボニル含有非天然アミノ酸と反応するケトアミン含有試薬の典型である:
Figure 2009522275
Xのそれぞれは独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−ON(R”)、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−C(O)SR”、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−S−S−(アリールまたは置換アリール)、−C(O)R”、−C(O)R”、または−C(O)N(R”)である。なお、各R”は独立した水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキルまたは置換アラルキルであるか;
または、Xのそれぞれは独立して、所望の機能性基から成る群から選ばれ;
Lのそれぞれは独立して、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−(アルキレンまたは置換アルキレン)NR’C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−O−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−N(R’)C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選ばれ;
は任意であり、存在する場合は、−C(R’)−N(R’)−C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−であり、pには0、1または2であり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、置換アルキル、またはアミノ保護基であり;
Wは、
Figure 2009522275
であり、
Gは、
Figure 2009522275
であり、
は結合、C(R)(R)、OまたはSであり、RはH、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、特に限定されないが、
Figure 2009522275
(Xのそれぞれは独立して、−O−、−S−、−N(H)−、−N(R’’)−、−N(Ac)−、および−N(OMe)−から成る群から選択され;Xは、−OR’’、−OAc、−SR’’、−N(R’’)、−N(R’’)(Ac)、−N(R’’)(OMe)、またはNであり、R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルであり、nは1から3である)を含むカルボニル保護基である)。
いくつかの実施形態では、複数のリンカーを有する化学物質は、ジカルボニル置換非天然アミノ酸ポリペプチドと部位特異的に反応できる。一実施形態では、本明細書に記載のリンカー法は、少なくとも1つのリンカー末端(1官能性、2官能性、または多官能性の)上にケトアミン機能性基を含んでいるリンカーを利用する。ジカルボニル置換タンパク質とのケトアミン誘導体化リンカーの縮合は、安定なヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を生じる。ヘテロ官能性リンカーとしても知られている、2官能性および/または多官能性リンカー(例えば、1つ以上の他の化学物質と結合しているケトアミン)は、非天然アミノ酸ポリペプチドへの異なる分子(例えば、他のタンパク質、ポリマー、または低分子)の部位特異的な接続を可能にする。その上、ホモ官能性リンカーとしても知られている単官能性リンカー(全ての末端がジアミン置換されている)は、非天然アミノ酸ポリペプチドの部位特異的にダイマー化、またはオリゴマー化を促進する。本明細書に記載したインビボにおける翻訳技術とこのリンカー戦略とを組み合わせることによって、化学合成されたタンパク質の三次元構造を特定することができるようになり得る。
‐C.非天然アミノ酸ポリペプチドの翻訳後修飾方法:ジアミン含有非天然アミノ酸とジカルボニル含有試薬の反応‐
前記した翻訳後修飾技術および組成物を用いて、ジカルボニル含有試薬とジアミン含有非天然アミノ酸とを反応させて、修飾されたヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドを製造してもよい。
ジアミン含有タンパク質とジカルボニル置換分子との反応に基づく誘導化方法は、明確な効果を有する。第1に、ジアミンは、約4から約10の範囲のpHにおいて、ジカルボニル含有化合物と反応することにより、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)が生成する(なお、上記pHの範囲は、さらなる実施形態では、約4から約10のpHの範囲であり、他の実施形態では約3から約8のpHの範囲であり、他の実施形態では約2から約9の範囲のpHであり、さらなる実施形態では約4から約9の範囲のpHである)。これらの条件において、天然に生じるアミノ酸の側鎖は、不活性である。第2に、そのような選択的な化学的性質は、組み換えタンパク質の部位特異的誘導体化を可能にし;誘導体化されたタンパク質は、明らかに均質な産物として直ちに調製され得る。第3に、本明細書に記載のジカルボニル含有試薬と本明細書に記載のジアミン含有ポリペプチドとの反応を行うために必要な穏やかな条件は、一般的に、ポリペプチドの3次元構造を不可逆的に破壊しない(もちろん、反応の目的が、そのような3次元構造の破壊である場合を除く)。第4に、反応は室温において、素早く起こる。このため、高温において不安定な、多種類のポリペプチドまたは試薬の利用が可能になる。第5に、反応は水性条件において、素早く起こる。このため、非水性溶液と(あらゆる程度に)適合しないポリペプチドまたは試薬の使用が可能になる。第6に、反応は、試薬に対するポリペプチドまたはアミノ酸の割合が、化学量論的、化学量論様、またはほぼ化学量論的であるときでさえ、容易に起こる。このため、有効量の反応産物を得るために、過剰の試薬またはポリペプチドを加える必要がない。第7に、生じたヘテロ環が、反応物質のジアミン部分およびジカルボニル部分の設計に依存して、位置選択的および/または位置特異的に製造され得る。最後に、ジカルボニル含有試薬とジアミン含有アミノ酸との反応により、生物学的条件において安定なヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)連結が生成する。
例えば、以下に挙げる非天然アミノ酸は、さらにジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾するために用いることができる、本明細書に記載されたジカルボニル含有試薬と反応するジアミン含有アミノ酸の典型である:
Figure 2009522275
(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは、H、アルキルまたは置換アルキルである);
Jは、
Figure 2009522275
であり;
は独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキルまたはアミン保護基から選択され;
は独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキルまたはアミン保護基から選択され;
は、結合、任意に置換されたC1−4アルキレン、任意に置換されたC1−4アルケニレン、または任意に置換されたヘテロアルキルであり;
は、任意に置換されたC1−4アルキレン、任意に置換されたC1−4アルケニレン、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり;
任意の置換基のそれぞれは独立して、低級アルキル、置換低級アルキル、低級シクロアルキル、置換低級シクロアルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、アルキニル、低級ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、低級ヘテロシクロアルキル、置換低級ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または置換アラルキルから選択され;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成するか;
または、−A−B−J−R基は、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、またはマスクされたジアミン基を含んでいる、2環式のまたは3環式のシクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成するか;
または、−B−J−R基は、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、またはマスクされたジアミン基を含んでいる、2環式のまたは3環式のシクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成するか;
−J−Rは、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、またはマスクされたジアミン基を含んでいる、単環式のまたは2環式のシクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成する)。
当該ジアミン含有非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドの種類としては、ジアミン含有非天然アミノ酸のポリペプチド内の位置が、ジカルボニル含有試薬がジアミン基と反応することが可能であり、且つ、ポリペプチドの三次構造を破壊するような、修飾型非天然アミノ酸を生成することができない位置である限り、実質的に制限されるものではない(当然、該破壊が反応の目的である場合を除く)。
例えば、以下に挙げるジカルボニル含有試薬は、さらにジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾するために用いることができる、本明細書に記載されたジアミン含有非天然アミノ酸と反応するジアミン含有アミノ酸の典型である:
Figure 2009522275
Xのそれぞれは独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−ON(R”)、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−C(O)SR”、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−S−S−(アリールまたは置換アリール)、−C(O)R”、−C(O)R”、または−C(O)N(R”)である。なお、各R”は独立した水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキルまたは置換アラルキルであるか;
または、Xのそれぞれは独立して、所望の機能性基から成る群から選ばれ;
Lのそれぞれは独立して、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−(アルキレンまたは置換アルキレン)NR’C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−O−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−N(R’)C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選ばれ;
は任意であり、存在する場合は、−C(R’)−NR’−C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−であり、pには0、1または2であり;
R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、置換アルキル、またはアミノ保護基であり;
Wは、
Figure 2009522275
であり、R’のそれぞれは独立してHであり;
Gのそれぞれは独立して、
Figure 2009522275
であり;
は、結合、CR、O、S、NR’、CR−CR、CR−O、O−CR、CR−S、S−CR、CR−NR’、NR’−CRであり;
は、結合、C(R)(R)、O、またはSであり、Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、特に限定されないが、
Figure 2009522275
(Xのそれぞれは独立して、−O−、−S−、−N(H)−、−N(R’’)−、−N(Ac)−、および−N(OMe)−から成る群から選択され;Xは、−OR、−OAc、−SR’、−N(R’’)、−N(R’’)(Ac)、−N(R’’)(OMe)、またはNであり、R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである)を含む、カルボニル保護基であり;
は、
Figure 2009522275
であり、nは1から3である)。
ポリペプチドにおけるジアミン含有非天然アミノ酸へジカルボニル含有試薬を共役する方法の具体的な実施形態は、図9および図10に示される。この具体的な実施形態では、ジカルボニル誘導体化試薬は、ジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチド緩衝溶液(約3から約8のpH)に添加される。反応は室温で進行し、ヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドは、HPLC、FPLCまたはサイズ排除クロマトグラフィーにより精製されてよい。
他の実施形態では、複数のリンカーを有する化学物質は、ジアミン置換非天然アミノ酸ポリペプチドと部位特異的に反応できる。一実施形態では、本明細書に記載のリンカー法は、少なくとも1つのリンカー末端(1官能性、2官能性、または多官能性の)上にジカルボニル官能性を含んでいるリンカーを利用する。ジアミン置換タンパク質とのジカルボニル誘導体化リンカーの縮合は、安定なヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を生じる。ヘテロ官能性リンカーとしても知られている、2官能性および/または多官能性リンカー(例えば、1つ以上の他の連結化学物質を有するジカルボニル)は、非天然アミノ酸ポリペプチドへの異なる分子(例えば、他のタンパク質、ポリマー、または低分子)の部位特異的な結合を可能にする。その上、ホモ官能性リンカーとしても知られている単官能性リンカー(全ての末端がジカルボニル置換されている)は、非天然アミノ酸ポリペプチドの部位特異的にダイマー化、またはオリゴマー化を促進する。本明細書に記載したインビボにおける翻訳技術とこのリンカー戦略とを組み合わせることによって、化学合成されたタンパク質の三次元構造を特定することができるようになり得る。
‐D.非天然アミノ酸ポリペプチドの翻訳後修飾方法:ジアミン含有非天然アミノ酸とケトアルキン含有試薬の反応‐
前記した翻訳後修飾技術および組成物を用いて、ケトアルキン含有試薬とジアミン含有非天然アミノ酸とを反応させて、修飾されたヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドを製造してもよい。例えば、上記セクションCに記載したジアミン含有非天然アミノ酸は、ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドをさらに修飾するために用いることができる、本明細書に記載したケトアルキン含有試薬とも反応できる。
例えば、以下に挙げるケトアルキン含有試薬は、ジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドをさらに修飾するために用いることが可能な、本明細書のセクションCに記載されたジアミン含有非天然アミノ酸と反応するケトアルキン含有試薬の典型である:
Figure 2009522275
Xのそれぞれは、独立してH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−ONR”、、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−C(O)SR”、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−S−S−(アリールまたは置換アリール)、−C(O)R”、−C(O)R”、または−C(O)N(R”)、ここで各R”は独立して水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または置換アラルキルであるか;
または、Xのそれぞれは独立して所望の機能性基から成る群から選択され;
Lのそれぞれは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−NR’C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−O−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−N(R’)C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択され;
は任意であり、存在する場合は、−C(R’)−NR’−C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−であり、pは0、1または2であり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルであり;
Wは、
Figure 2009522275
であり;
Gは、
Figure 2009522275
であり;
は、特に限定されないが、
Figure 2009522275
(Xのそれぞれは独立して、−O−、−S−、−N(H)−、−N(R’’)−、−N(Ac)−、および−N(OMe)−から成る群から選択され;Xは、−OR、−OAc、−SR’、−N(R’’)、−N(R’’)(Ac)、−N(R’’)(OMe)、またはNであり、R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルであり、nは1から3である)を含む、カルボニル保護基である)。
他の実施形態では、複数のリンカーを有する化学物質は、ジアミン置換非天然アミノ酸ポリペプチドと部位特異的に反応できる。一実施形態では、本明細書に記載のリンカー法は、少なくとも1つのリンカー末端(1官能性、2官能性、または多官能性の)上にケトアルキン官能性を含んでいるリンカーを利用する。ジアミン置換タンパク質とのケトアルキン誘導体化リンカーの縮合は、安定なヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を生じる。2官能性および/または多官能性リンカー(例えば、1つ以上の他の連結化学物質を有するケトアルキン)は、非天然アミノ酸ポリペプチドへの異なる分子(例えば、他のタンパク質、ポリマー、または低分子)の部位特異的な接続を可能にする。その上、ホモ官能性リンカーとしても知られている単官能性リンカー(全ての末端がケトアルキン置換されている)は、非天然アミノ酸ポリペプチドのダイマー化、またはオリゴマー化を部位特異的に促進する。本明細書に記載したインビボにおける翻訳技術とこのリンカー戦略とを組み合わせることによって、化学合成されたタンパク質の三次元構造を特定することができるようになり得る。
‐E.非天然アミノ酸ポリペプチドの翻訳後修飾方法:ケトアルキン含有非天然アミノ酸とジアミン含有試薬の反応‐
前記した翻訳後修飾技術および組成物を用いて、ジアミン含有試薬とケトアルキン含有非天然アミノ酸とを反応させて、修飾されたヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドを製造してもよい。
ケトアルキン含有タンパク質とジアミン置換分子の反応に基づく誘導化方法は、明確な効果を有する。第1に、ケトアルキンは、約4から約10の範囲のpHにおいて、ジアミン含有化合物と反応することにより、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)が生成する。これらの条件において、天然に生じるアミノ酸の側鎖は、不活性である。第2に、そのような選択的な化学的性質は、組み換えタンパク質の部位特異的誘導体化を可能にし;誘導体化されたタンパク質は、明らかに均質な産物として直ちに調製され得る。第3に、本明細書に記載のケトアルキン含有ポリペプチドと本明細書に記載のジアミン含有試薬との反応を行うために必要な穏やかな条件は、一般的に、ポリペプチドの3次元構造を不可逆的に破壊しない(もちろん、反応の目的が、そのような3次元構造の破壊である場合を除く)。第4に、反応は室温において、素早く起こる。このため、高温において不安定な、多種類のポリペプチドまたは試薬の利用が可能になる。第5に、反応は水性条件において、素早く起こる。このため、非水性溶液と(あらゆる程度に)適合しないポリペプチドまたは試薬の使用が可能になる。第6に、反応は、試薬に対するポリペプチドまたはアミノ酸の割合が、化学量論的、化学量論様、またはほぼ化学量論的であるときでさえ、容易に起こる。このため、有効量の反応産物を得るために、過剰の試薬またはポリペプチドを加える必要がない。第7に、生じたヘテロ環が、反応物質のジアミン部分およびジカルボニル部分の設計に依存して、位置選択的および/または位置特異的に製造され得る。最後に、ケトアルキン含有アミノ酸とジアミン含有試薬との反応により、生物学的条件において安定なヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)連結が生成する。
例えば、以下に挙げる非天然アミノ酸は、さらにケトアルキン含有非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾するために用いることが可能な、本明細書に記載されたジアミン含有試薬と反応するケトアルキン含有アミノ酸の典型である:
Figure 2009522275
(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
Gは、
Figure 2009522275
であり;
は、特に限定されないが、
Figure 2009522275
(Xのぞれぞれは独立して、−O−、−S−、−N(H)−、−N(R)−、−N(Ac)−、および−N(OMe)−から成る群から選択され;Xは、−OR、−OAc、−SR、−N(R)、−N(R)(Ac)、−N(R)(OMe)、またはNであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである)を含む、カルボニル保護基であり;
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルであり;
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成する)。
一実施形態では、複数のリンカーを有する化学物質は、ケトアルキン置換非天然アミノ酸ポリペプチドと部位特異的に反応できる。一実施形態では、本明細書に記載のリンカー法は、少なくとも1つのリンカー末端(1官能性、2官能性、または多官能性の)上にジアミン機能性基を含んでいるリンカーを利用する。ケトアルキン置換タンパク質とのジアミン誘導体化リンカーの縮合は、安定なヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を生じる。2官能性および/または多官能性リンカー(例えば、1つ以上の他の連結化学物質を有するジアミン)は、非天然アミノ酸ポリペプチドへの異なる分子(例えば、他のタンパク質、ポリマー、または低分子)の部位特異的な接続を可能にする。その上、ホモ官能性リンカーとしても知られている単官能性リンカー(全ての末端がジアミン置換されている)は、非天然アミノ酸ポリペプチドの部位特異的にダイマー化、またはオリゴマー化を促進する。本明細書に記載したインビボにおける翻訳技術とこのリンカー戦略とを組み合わせることによって、化学合成されたタンパク質の三次元構造を特定することができるようになり得る。
‐F.非天然アミノ酸ポリペプチドの翻訳後修飾方法:ケトアミン含有非天然アミノ酸とジカルボニル含有試薬の反応‐
前記した翻訳後修飾技術および組成物を用いて、ジカルボニル含有試薬とケトアミン含有非天然アミノ酸とを反応させて、修飾されたヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドを製造してもよい。。
ケトアミン含有タンパク質とジカルボニル置換分子の反応に基づく誘導化方法は、明確な効果を有する。第1に、ケトアミンは、約4から約10の範囲のpHにおいて、ジカルボニル含有化合物と縮合することにより、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)が生成する(なお、上記pHの範囲は、さらなる実施形態では、約4から約10であり、他の実施形態では約3から約8であり、他の実施形態では約2から約9であり、さらなる実施形態では約4から約9であり、他の実施形態では約4であり、さらに別の実施形態では約8である)。これらの条件において、天然に生じるアミノ酸の側鎖は、不活性である。第2に、そのような選択的な化学的性質は、組み換えタンパク質の部位特異的誘導体化を可能にし;誘導体化されたタンパク質は、明らかに均質な産物として直ちに調製され得る。第3に、本明細書に記載のジカルボニ含有試薬と本明細書に記載のケトアミン含有ポリペプチドとの反応を行うために必要な穏やかな条件は、一般的に、ポリペプチドの3次元構造を不可逆的に破壊しない(もちろん、反応の目的が、そのような3次元構造の破壊である場合を除く)。第4に、反応は室温において、素早く起こる。このため、高温において不安定な、多種類のポリペプチドまたは試薬の利用が可能になる。第5に、反応は水性条件において、素早く起こる。このため、非水性溶液と(あらゆる程度に)適合しないポリペプチドまたは試薬の使用が可能になる。第6に、反応は、ポリペプチドまたはアミノ酸と試薬との割合が、約1:1、または約ほぼ1:1であるときでさえ、容易に起こる。このため、有効量の反応産物を得るために、過剰の試薬またはポリペプチドを加える必要がない。第7に、生じたヘテロ環が、反応物質のケトアミン部分およびジカルボニル部分の設計に依存して、位置選択的および/または位置特異的に製造され得る。最後に、ジカルボニル含有試薬とケトアミン含有アミノ酸との反応により、生物学的条件において安定なヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)連結が生成する。
例えば、以下に挙げる非天然アミノ酸は、さらにケトアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾するために用いることが可能な、本明細書に記載されたジカルボニル含有試薬と反応するケトアミン含有アミノ酸の典型である:
Figure 2009522275
(Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
Gは、
Figure 2009522275
であり;
は、任意に置換されたC1−4アルキレン、任意に置換されたC1−4アルケニレン、または任意に置換されたヘテロアルキルであり;
は、特に限定されないが、
Figure 2009522275
(Xのぞれぞれは独立して、−O−、−S−、−N(H)−、−N(R)−、−N(Ac)−、および−N(OMe)−から成る群から選択され;Xは、−OR、−OAc、−SR、−N(R)、−N(R)(Ac)、−N(R)(OMe)、またはNであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)を含む、カルボニル保護基であり;
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルであり;
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
およびRは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、または置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成する)。
一実施形態では、複数のリンカーを有する化学物質は、ケトアミン置換非天然アミノ酸ポリペプチドと部位特異的に反応できる。一実施形態では、本明細書に記載のリンカー法は、少なくとも1つのリンカー末端(1官能性、2官能性、または多官能性の)上にジカルボニル機能性基を含んでいるリンカーを利用する。ケトアミン置換タンパク質とのジカルボニル誘導体化リンカーの縮合は、安定なヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を生じる。2官能性および/または多官能性リンカー(例えば、1つ以上の他の連結化学物質を有するジカルボニル)は、非天然アミノ酸ポリペプチドへの異なる分子(例えば、他のタンパク質、ポリマー、または低分子)の部位特異的な接続を可能にする。その上、ホモ官能性リンカーとしても知られている単官能性リンカー(全ての末端がジカルボニル置換されている)は、非天然アミノ酸ポリペプチドの部位特異的にダイマー化、またはオリゴマー化を促進する。本明細書に記載したインビボにおける翻訳技術とこのリンカー戦略とを組み合わせることによって、化学合成されたタンパク質の三次元構造を特定することができるようになり得る。
‐G.機能性基付加の例:非天然アミノ酸ポリペプチドと結合した高分子ポリマー‐
本明細書に記載した非天然アミノ酸への多様な修飾は、本明細書に記載した組成物、方法および戦略を用いて、達成され得る。これらの修飾は、限定されないが、所望の機能性基を含むポリペプチドの非天然アミノ酸へのさらなる機能性基の組み込みを含む。本明細書に記載した組成物、方法、技術、および戦略の限定されない具体的な例のように、以下の記載は、高分子ポリマーを非天然アミノ酸ポリペプチドに付加することに焦点を当てているが、そのような記載における組成物、方法、技術および戦略を、別の機能性基(例えば、特に限定されないが上記機能性基)の付加に、(必要に応じて、当業者が本明細書の開示から作製することができる適切な修飾を伴って)適用できることを理解されたい。
広く多様な高分子ポリマーおよび他の分子は、非天然アミノ酸ポリペプチド(または関連する天然アミノ酸ポリペプチド)の生物学的特性を調節する、および/または非天然アミノ酸ポリペプチド(または関連する天然アミノ酸ポリペプチド)に新規の生物学的特性をもたらすために、本明細書に記載した非天然アミノ酸ポリペプチドに結合することができる。これらの高分子ポリマーは、非天然アミノ酸、もしくは非天然アミノ酸の任意の官能性置換基、または非天然アミノ酸に付加された任意の置換基もしくは官能基を介して非天然アミノ酸ポリペプチオドに結合することができる。
水溶性ポリマーは、本明細書に記載したポリペプチド(天然または合成)、ポリヌクレオチド、ポリサッカライド、または合成ポリマーに組み込まれた非天然アミノ酸に結合できる。水溶性ポリマーは、ポリペプチドまたは非天然アミノ酸の任意の官能基もしくは置換基、あるいは非天然アミノ酸に付加された任意の官能基もしくは置換基に組み込まれた非天然アミノ酸を介して結合してよい。ある場合では、本明細書に記載した非天然アミノ酸ポリペプチドは、水溶性ポリマーに結合した1つ以上の非天然アミノ酸、および水溶性ポリマーに連結した1つ以上の天然に生じたアミノ酸を含んでいる。生物学的に活性な分子への疎水性ポリマーの共有結合は、生物学的に活性な分子(タンパク質、ペプチド、および著しく疎水性の分子を含む)の水溶性(例えば、生理学的環境における水溶性)の増加、生物学的利用性、血中半減期の増加、治療半減期の増加、免疫原生の調節、または循環時間の延長のための1種の手段を表す。該親水性のポリマーの付加的な特記事項は、生体適合性、毒性の欠如、および免疫原性の欠如を含む。最終生産調製物の治療的使用のために、ポリマーは薬学的に許容可能なものであることが好ましい。
好適な疎水性ポリマーの例は以下のものを含む:ポリアルキルエーテルおよびアルコキシキャップされたその類似体(例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレン/プロピレングリコールおよびメトキシまたはエトキシキャップされたそれらの類似体、特にポリオキシエチレングリコール、後者はポリエチレングリコールまたはPEGとして知られている);ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルキルエステル;ポリオキサゾリン、ポリアルキルオキサゾリンおよびポリヒドロキシルアルキルオキサゾリン;ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミドおよびポリヒドロキシアルキルアクリルアミド(例えば、ポリヒドロキシプロピルメタアクリルアミドおよびその誘導体);ポリヒドロキシアルキルアクリレート;ポリシアル酸およびその類似体;疎水ペプチド配列;デキストランおよびデキストラン誘導体を含むポリサッカライドおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルデキストラン、デキストラン硫酸塩、アミノデキストラン;セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース;キチンおよびその誘導体、例えば、キトサン、スクシニルキトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン;ヒアルロン酸およびその誘導体;でんぷん;アルギン酸塩;コンドロイチン硫酸塩;アルブミン;プルランおよびカルボニルメチルプルラン;ポリアミノ酸およびその誘導体、例えば、ポリグルタミン酸、ポリリジン、ポリアスパラギン酸、ポリアスパラギン酸アミド;以下のようなマレイン酸無水物共重合体:スチレンマレイン酸無水物共重合体、ジビニルエチルエーテルマレイン酸無水物共重合体;ポリビニルアルコール;それらの共重合体;それらのターポリマー;それらの混合物;および前述の誘導体。水溶性ポリマーは、全ての直鎖状、分岐状または分枝状の構造を含んでよく、またこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、約2から約300の末端を有する水溶性のポリマー骨格は特に有用である。複数の機能的ポリマー誘導体は、限定されないが、2つの末端を有する直鎖状のポリマーであり、それぞれの末端には官能基が結合しており、その官能基は同一または異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーはポリ(エチレングリコール)部分を含む。ポリマーの分子量は広い範囲であってよく、限定されないが、約100Daから約100,000Daまたはそれ以上の間であってよい。ポリマーの分子量は、約100Daから約100,000Daの間であってよく、限定されないが、約100,000Da,約95,000Da,約90,000Da,約85,000Da、約80,000Da,約75,000Da,約70,000Da,約65,000Da,約60,000Da,約55,000Da,約50,000Da,約45,000Da,約40,000Da,約35,000Da,約30,000Da,約25,000Da,約20,000Da,約15,000Da,約10,000Da,約9,000Da,約8,000Da,約7,000Da,約6,000Da,約5,000Da,約4,000Da,約3,000Da,約2,000Da,約1,000Da,約900Da,約800Da,約700Da,約600Da,約500Da,約400Da,約300Da,約200Daおよび約100Daを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は約100Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は約100Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は約1000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は約2000Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は約10,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は分枝状ポリマーである。分枝鎖状PEGの分子量は約1,000Daと約100,000Daの間であってよく、限定されないが、約100,000Da,約95,000Da,約90,000Da,約85,000Da,約80,000Da,約75,000Da,約70,000Da,約65,000Da,約60,000Da,約55,000Da,約50,000Da,約45,000Da,約40,000Da,約35,000Da,約30,000Da,約25,000Da,約20,000Da,約15,000Da,約10,000Da,約9,000Da,約8,000Da,約7,000Da,約6,000Da,約5,000Da,約4,000Da,約3,000Da,約2,000Daおよび約1,000Daを含む。いくつかの実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は約1,000Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は約5,000Daから約20,000Daの間である。いくつかの実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は約2,000Daから約50,000Daの間である。当業者は上述の実質的な水溶性の骨格のリストは、余すところがなく、単なる例であり、上述の特質を有する全てのポリマー材料は、本明細書に記載した方法および組成物を使用するために好適であると意図されている。
上述したように、ある親水性ポリマーの例はポリ(エチレングリコール)、省略してPEGであり、薬学的、人工の移植物、および生体適合性、毒性の欠如および免疫原性の欠如が重要なその他の用途に広く使用されている。本明細書に記載したポリマー:ポリペプチドの実施形態では、親水性ポリマーの例としてPEGが用いられているが、他の親水性ポリマーを上記実施形態では同様に利用してもよいと理解されたい。
PEGはよく知られている水溶性のポリマーであり、市販または技術的によく知られている方法(Sandler and Karo, Polymer Synthesis, Academic Press, New York,Vol.3,pages 138−161, Academic Press, New York,Vol.3,pages 138−161)を用いてエチレングリコールの開環重合により作製され得る。PEGは通常、透明、無色、無臭、水溶性、熱に対して安定であり、さらに多くの化学薬品に対して不活性であり、加水分解または劣化せず、一般的に毒性がない。ポリ(エチレングリコール)は生体適合性があると考えられている(つまりPEGは生きた組織または器官を害せずに共存することができる)。さらに具体的には、PEGは実質的に非免疫原性である(つまり、PEGはインビボでの免疫反応を起こす傾向がない)。インビボにおいて、生物活性剤のような、所望の機能を有する分子に付着させた場合、PEGは当該生物活性剤をマスクし、全ての免疫反応を減少または消失することができるので、生物は当該生物活性剤の存在を容認することができる。PEGは重大な免疫反応をほとんど起こさず、凝固の原因とならず、その他の望ましくない効果を有しない。
「PEG」という用語は、広く全てのポリエチレングリコール分子を含み、大きさやPEGの末端の修飾に関連せず、非天然アミノ酸ポリペプチドへの連結を以下の一般式により表すことができる:
XO−(CHCHO)−CHCH−Y
nは約2から約10,000であり、XはHまたは末端修飾であり、特に限定されないが、C1−4アルキル、保護基、または末端官能基を含む。PEGという用語は、限定されないが、2官能性PEG、マルチアームドPEG、PEG誘導体、分岐状PEG、分枝状PEG(それぞれのPEG鎖は、約1kDaから約100kDa、約1kDaから約50kDa、または1kDaから約20kDaの分子量を有する)、垂れ下がったPEG(すなわち、ポリマー骨格に垂れ下がった1つ以上の官能基を有するPEGまたは同類のポリマー)、または分解可能な連結を有するPEGを含む、全ての形態のポリ(エチレングリコール)を包含する。一実施形態では、nが約20から約2000のPEGは、本明細書に記載した方法および組成物の使用に好適である。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーはポリ(エチレングリコール)部分を含んでいる。ポリマーの分子量は広い範囲であってよく、限定されないが、約100Daおよび約100,000Daまたはそれ以上を含む。ポリマーの分子量は、約100Daから約100,000Daの間であってよく、限定されないが、約100,000Da、約95,000Da、約90,000Da、約85,000Da、約80,000Da、約75,000Da、約70,000Da、約65,000Da、約60,000Da、約55,000Da、約50,000Da、約45,000Da、約40,000Da、約35,000Da、約30,000Da、約25,000Da、約20,000Da、約15,000Da、約10,000Da、約9,000Da、約8,000Da、約7,000Da、約6,000Da、約5,000Da、約4,000Da、約3,000Da、約2,000Da、約1,000Da、約900Da、約800Da、約700Da、約600Da、約500Da、約400Da、約300Da、約200Da、および約100Daを含む。一実施形態では、ポリマーの分子量は約100Daから約50,000Daの間である。一実施形態では、ポリマーの分子量は約100Daから約40,000Daの間である。一実施形態では、ポリマーの分子量は約1,000Daから約40,000Daの間である。一実施形態では、ポリマーの分子量は約2,000Daから約50,000Daの間である。一実施形態では、ポリマーの分子量は約5,000Daから約40,000Daの間である。一実施形態では、ポリマーの分子量は約10,000Daから約40,000Daの間である。一実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は分枝状ポリマーである。分枝鎖状PEGの分子量は約1,000Daと約100,000Daの間であってよく、限定されないが、約100,000Da、約95,000Da、約90,000Da、約85,000Da、約80,000Da、約75,000Da、約70,000Da、約65,000Da、約60,000Da、約55,000Da、約50,000Da、約45,000Da、約40,000Da、約35,000Da、約30,000Da、約25,000Da、約20,000Da、約15,000Da、約10,000Da、約9,000Da、約8,000Da、約7,000Da、約6,000Da、約5,000Da、約4,000Da、約3,000Da、約2,000Da、約1,000Daを含む。一実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は約1,000Daから約50,000Daの間である。一実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は約1,000Daから約40,000Daの間である。一実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は約5,000Daから約40,000Daの間である。一実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は約5,000Daから約20,000Daの間である。他の実施形態では、分枝鎖状PEGの分子量は約2,000Daから約50,000Daの間である。広い範囲のPEG分子は、限定されないが、Shearwater Polymers Inc,カタログ、Nektar Therapeuticsカタログに記載され、本願に引用して援用する。
文献に記載された末端官能基の具体例は、限定されないが、N−スクシニジル炭酸塩(例えば、米国特許出願5,281,698号明細書、5,468,478号明細書を参照のこと)、アミン(例えば、「BuckmannらMakromol.Chen.182:1379(1981)」,「ZalipskyらEur.Polym.J.19:1177(1983)」を参照のこと),ヒドラジド(例えば、「AndreszらMakromol.Chem.179:301(1978)」を参照のこと)、スクシニジルプロピオン酸塩およびスクシニジルブタン酸塩(例えば、「Olsonらポリ(エチレングリコール)Chemistry&Biological Applications, pp170−181」, 「Harris&Zalipsky Eds. ACS, Washington, D.C. 1997」、米国特許出願5,672,662号明細書を参照のこと)、スクシニジルコハク酸(例えば、「Abuchowski ら Cancer Biochem.Biophys.7:175(1984)」および「Joppich ら Makromol.Chem.180:1381(1979)」、スクシニジルエステル(例えば、米国特許出願4,670,417号明細書を参照のこと)、ベンゾトリアゾール炭酸塩(例えば、米国特許出願5,650,234号明細書を参照のこと)、グリシジルエーテル(例えば、「Pitha ら Eur.J Biochem.94:11(1979)」、「Elling らBiotech.Appl.Biochem.13:354(1991)」)、オキシカルボニルイミダゾール(例えば、「Beauchamp らAnal.Biochem.131:25(1983)」、「Tondelli ら J.Controlled Release 1:251(1985)」を参照のこと)、p−ニトロフェニル炭酸塩(例えば、「Veronese, らAppl.Biochem.Biotech., 11:141(1985)」および「Sartore らAppl.Biochem.Biotech.,27:45(1991)」を参照のこと)、アルデヒド(例えば、「Harris らJ.Polym.Sci.Chem.Ed.22:341(1984)」、米国特許出願5,824,784号明細書、米国特許出願5,252,714号明細書)、マレイミド(例えば、「Goodson ら Bio/Technology 8:343(1990)」、「Romani らin Chemistry of ペプチドおよび タンパク質 2:29(1984)」、および「Kogan, Synthetic Comn.22:2417(1992)」を参照のこと)、オルトピリジル−二硫化物(例えば、「WoghirenらBioconj.Chem.4:314(1993)」を参照のこと)、アクリルオル(例えば、「SawhneyらMacro分子,26:581(1993)」を参照のこと)、ビニルスルホン(例えば、米国特許出願5,900,461号明細書を参照のこと)である。上記の文献および特許は、本願に引用して援用する。
ある場合において、PEGの1つの末端がヒドロキシまたはメトキシを有して終結している、すなわちXがHまたはCHである(「メトキシPEG」)。あるいは、PEGは官能基を有して終結してもよい。これによれば、2官能性ポリマーが形成される。典型的な官能基はそれらの官能基を含むことができ、20個の一般アミノ酸(限定されないが、マレイミド基、活性化炭酸塩(限定されないが、p−ニトロフェニルエステルを含む)、活性化エステル(限定されないが、N−ヒドロキシサクシンイミド、p−ニトロフェニルエステルを含む)およびアルデヒドを含む)に見られる官能基との反応に通常用いられ、20個の一般アミノ酸を不活性化するが、非天然アミノ酸の存在下における相補官能基と特に反応する(限定されないが、ジアミン基およびジカルボニル基を含む)。
ここで留意すべきは、上記の一般式(Y)で示されるPEGの他の末端は、非天然アミノ酸を介して、直接的または間接的にポリペプチド(合成、または天然)、ポリヌクレオチド、ポリサッカライドまたは合成ポリマーに接合することである。Yがジアミン基である場合、続いて、ジアミン含有PEG試薬は、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を介してポリペプチドに連結したPEG基を形成するために、ポリペプチド中のジカルボニル含有非天然アミノ酸と反応できる。Yがジアミン基である場合、続いて、ジアミン含有PEG試薬は、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を介してポリペプチドに連結したPEG基を形成するために、ポリペプチド中のケトアルキン含有非天然アミノ酸と反応できる。Yがジカルボニル基である場合、続いて、ジカルボニル含有PEG試薬は、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を介してポリペプチドに連結したPEG基を形成するために、ポリペプチド中のジアミン含有非天然アミノ酸と反応できる。Yがジカルボニル基である場合、続いて、ジカルボニル含有PEG試薬は、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を介してポリペプチドに連結したPEG基を形成するために、ポリペプチド中のケトアミン含有非天然アミノ酸とも反応できる。Yがケトアルキン基である場合、続いて、ケトアルキン含有PEG試薬は、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を介してポリペプチドに連結したPEG基を形成するために、ポリペプチド中のジアミン含有非天然アミノ酸と反応できる。Yがケトアミン基である場合、続いて、ケトアミン含有PEG試薬は、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を介してポリペプチドに連結したPEG基を形成するために、ポリペプチド中のジカルボニル含有非天然アミノ酸と反応できる。好適な反応条件の例として、精製方法および試薬が本明細書に記載されており、添付の図(図17)は、i)PEG基に連結したヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するためのジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドとジアミン含有PEG試薬との反応;ii)PEG基に連結したヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するためのジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドとジカルボニル含有PEG試薬との反応;およびiii)PEG基に連結したヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するためのケトアルキン含有非天然アミノ酸ポリペプチドとジアミン含有PEG試薬との反応を示す。加えて、図23はタンパク質のPEG化の限定されない実施例であり、ジアミン含有PEG試薬は、タンパク質に組み込まれたジカルボニル含有非天然アミノ酸と反応し、その結果、ヘテロ環連結を形成する。
本明細書に記載した組成物、方法、技術、または戦略に用いてもよいPEG試薬の種類または分類を限定するものではない、一例として、図18は、ジアミン含有PEG試薬の合成方法の具体例、またはジアミン含有PEG試薬の保護形態、もしくはジアミン含有PEG試薬のマスクされた形態を表す。加えて、図19は、ジカルボニル含有PEG試薬を形成するための合成方法の具体例、またはジアミン含有PEG試薬の保護形態、もしくはジアミン含有PEG試薬のマスクされた形態を表す。さらに、図20は、2官能性PEG試薬を形成する合成方法の具体例、またはPEG試薬の2官能性保護形態、もしくは2官能性PEG試薬のマスクされた形態を表し、一方、図21は、2官能性リンカーを形成する合成方法の具体例、または2官能性リンカーの保護形態、もしくは2官能性リンカーのマスクされた形態を表す。加えて、図22は、3官能性PEG試薬を形成するための合成方法の具体例、または3官能性PEG試薬の保護形態、もしくは3官能性PEG試薬のマスクされた形態を表す。
ヘテロ2官能性誘導体も、ポリマーのそれぞれの末端に異なる分子を付着させる時に特に有用である。例えば、オメガ−N−アミノ−N−アゾPEGは、アルデヒド、ケトン、活性化エステル、活性化炭酸塩などのような活性化した求電子性基を有する分子のPEGの1つの末端およびもう一方のPEGの末端にアセチレン基を有する分子への付着を許容する。
いくつかの実施形態では、求核物質(限定されないが、ジアミンを含む)が、非天然アミノ酸に存在するジカルボニル基と反応することにより、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)が形成する。いくつかの場合、当該ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)は、好適な薬剤により処理されることによって、さらに反応を受けてもよい。また、求核物質は非天然アミノ酸を介してポリペプチドに組み込まれ、水溶性ポリマー中に存在するジカルボニル基と好適に反応する。一般的に、PEG分子の少なくとも1つの末端は非天然アミノ酸と反応するのに好適である。
従って、いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸を含むポリペプチドは、非天然アミノ酸の側鎖を介して、水溶性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))に連結される。本明細書において記載した非天然アミノ酸についての方法および組成物は、PEGによりタンパク質を選択的に修飾するための、高性能な方法を提供する。当該方法は、セレクターコドンに応じて、非天然アミノ酸をタンパク質に選択的に組み込む工程、およびその後に、適切な反応性のPEG誘導体により上記アミノ酸を修飾する工程を含んでいる。上記非天然アミノ酸としては、例えば、特に限定されないが、20の天然に組み込まれるアミノ酸に見られない官能基または置換基を含んでいるアミノ酸が挙げられる。公知の広く多様な化学的方法論は、水溶性ポリマーをタンパク質に組み込むための本明細書に記載した非天然アミノ酸についての方法および組成物と使用するのに適している。
ポリマー骨格は直鎖状鎖または分枝鎖状であってもよい。分枝鎖状のポリマー骨格は一般的に知られている。一般的に、分枝鎖状のポリマーは中央の分枝幹の一部および中央の分枝幹に連結した多数の直鎖状のポリマー鎖を有する。PEGは、グリセロール、グリセロールオリゴマー、ペンタエリスリトールおよびソルビトールのような多数のポリオールにエチレンオキサイドを加えることで生成可能である分枝鎖状の形態で用いられる。分枝中央の一部は、リジンのような、数種のアミノ酸に由来する。分枝鎖状のポリ(エチレングリコール)はR(−PEG−OH)として表すことができ、Rはグリセロール、グリセロールオリゴマーまたはペンタエリスリトールのような中心部分に由来し、mは腕の本数を表す。米国特許出願5,932,462号明細書、5,643,575号明細書、5,229,490号明細書、4,289,872号明細書、米国特許出願公開2003/0143596号明細書、国際公開第96/21469号パンフレット、および国際公開第93/21259号パンフレットなどの文献に(それぞれ全体を本願に引用し援用する)記載されている、複数の腕を有するPEG分子を、ポリマー骨格としても使用できる。
分枝鎖状のPEGは、PEG(−YCHZによって表される分岐状PEGの形態であってもよい。Yは連結基であり、Zは定義された長さの原子鎖によりCHに連結した活性化末端基である。さらに他の分枝鎖状の形態、ペンダントPEG(Pendant PEG)は、PEG鎖の末端よりむしろPEG骨格の間に反応基(カルボキシル基など)を有する。
これらのPEGの形態に加えて、ポリマーは骨格中に弱い連結、または分解可能な連結を作成できる。例えば、PEGは、ポリマー骨格中に、加水分解されやすいエステル連結を作成できる。本明細書に示すように、この加水分解は、ポリマーを低分子量の断片に切断する。
−PEG−CO−PEG− +HO → PEG−COH+HO−PEG−
当業者に理解されているように「ポリエチレングリコールまたはPEG」という用語は、限定されないが、本明細書に開示された技術を含む、技術的に公知の全ての形態を表し、または含む。該ポリマーの分子量の範囲は、例えば、約100Daから約100,000Daの間であってよく、限定されないが、約100,000Da、約95,000Da、約90,000Da、約85,000Da、約80,000Da、約75,000Da、約70,000Da、約65,000Da、約60,000Da、約55,000Da、約50,000Da、約45,000Da、約40,000Da、約35,000Da、約30,000Da、約25,000Da、約20,000Da、約15,000Da、約10,000Da、約9,000Da、約8,000Da、約7,000Da、約6,000Da、約5,000Da、約4,000Da、約3,000Da、約2,000Da、約1,000Da、約900Da、約800Da、約700Da、約600Da、約500Da、約400Da、約300Da、約200Da、および約100Daなどが含まれる。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約100Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約100Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約2,000Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、約10,000aから約40,000Daの間である。
PEGの望ましい特徴を最大限引き出すために、生物活性分子に付着したPEGポリマーの全分子量と水和状態とは、PEGポリマーの付着に一般的に起因する有利な特性(水溶性および半減期の増加など)が与えられ、親分子の生物活性に有害な影響を与えない程度に、十分高い必要がある。
本明細書に記載の方法および組成物を用いて、ポリマー:タンパク質接合体という実質的に均質な調製物を製造してもよい。本明細書で用いられているような「実質的に均質」とは、ポリマー:タンパク質接合体が、全てのタンパク質の半分よりも多く観察されることを意味する。ポリマー:タンパク質接合体は生物活性を有する。本明細書に提供された「実質的に均質な」PEG化ポリペプチド調製物は、均質な調製物の利点(例えば、ロット間薬物動態学の予測可能性を臨床適用することが簡単になること)を示すほど十分均質なものであるといえる。
また、ポリマー:タンパク質接合分子の混合物を調製することを当業者は選択してもよい。本明細書により提供された利点は、当業者が、混合物中に含まれるモノポリマー:タンパク質接合体の割合を選択してよいことである。従って、もし所望するのであれば、当業者は、様々なタンパク質と、様々な数の付着したポリマー部分(すなわち、ジ−、トリ−、テトラ−など)との混合物を調製し、上記接合体と、本明細書に記載の方法を用いて調製されたモノーポリマー:タンパク質接合体とを組み合わせて、所望の割合のモノ−ポリマー:タンパク質を有する混合物を作製してもよい。
タンパク質分子に対するポリエチレングリコール分子の割合は、その反応液中の濃度によって様々である。一般的に、未反応のタンパク質またはポリマーの余剰分が最小となる、反応効率性の観点から、最適な比率は、選択されたポリエチレングリコールの分子量、および好適な官能基の数によって好適に決定されてよい。分子量に関連して、一般的にポリマーの分子量が大きくなれば、タンパク質に付着しているポリマー分子の数が少なくなる。同様に、ポリマーの分枝は、これらの数値を最適化する際に配慮されるべきである。一般的に、分子量が大きくなれば(または分枝が増えれば)、ポリマー:タンパク質の比率は高くなる。
本明細書において、親水性ポリマー:ポリペプチド/タンパク質接合体に用いられるような「治療的有効量」という用語は、患者に有用である量を意味する。その量は、個人により様々であり、患者の全ての身体的特徴および疾患または病気の根本にある原因を含む要因の数に依存する。本組成物の治療的有効量は、公的に利用可能な材料および製品を用いて、当業者により容易に確認されると考えられる。
本明細書に記載された修飾型または非修飾型の非天然アミノ酸ポリペプチドに連結する水溶性ポリマーの数は(すなわち、PEG化またはグリコシル化の伸長)、インビボでの半減期のような、薬理学的特性、薬物動態学的特性または薬力学的特性の変化(限定されないが、増加または減少)を提供することに適当である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドの半減期は、非修飾ポリペプチドよりも少なくとも約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90パーセント、約2倍、約5倍、約10倍、約50倍または少なくとも約100倍以上増加する。
一実施形態では、カルボニル−またはジカルボニル含有非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドは、PEG骨格に直接連結した末端ジアミン部分を含んでいるPEG誘導体により修飾される。他の実施形態では、ケトアミン含有非天然アミノ酸を含むポリペプチドは、PEG骨格に直接連結した末端ジアミン部分を含むPEG誘導体により修飾される。
いくつかの実施形態では、ジアミン末端PEG誘導体は以下の構造を有する:
RO−(CHCHO)−O−(CH−CH−NH−NH
Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは約2から約10であり、nは約100から約1,000である(すなわち、平均的な分子量は約5kDaから約40kDaの間である)。ポリマーの分子量は、約100Daから約100,000Daの間であり、例えば、特に限定されないが、約100,000Da、約95,000Da、約90,000Da、約85,000Da、約80,000Da、約75,000Da、約70,000Da、約65,000Da、約60,000Da、約55,000Da、約50,000Da、約45,000Da、約40,000Da、約35,000Da、約30,000Da、約25,000Da、約20,000Da、約15,000Da、約10,000Da、約9,000Da、約8,000Da、約7,000Da、約6,000Da、約5,000Da、約4,000Da、約3,000Da、約2,000Da、約1,000Da、約900Da、約800Da、約700Da、約600Da、約500Da、約400Da、約300Da、約200Da、および約100Daである。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約100Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約100Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約10,000Daから約40,000Daの間である。
一実施形態では、ジカルボニル含有非天然アミノ酸を含むポリペプチドは、PEG骨格に直接連結している末端ケトンアミン部分を含むPEG誘導体で修飾される。
いくつかの実施形態では、ケトンアミン末端PEG誘導体は以下の構造を有する:
RO−(CHCHO)−O−(CH−C(O)−CH−NH
Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは約2から約10であり、nは約100から約1,000である(すなわち、平均的な分子量は約5kDaから約40kDaの間である)。ポリマーの分子量は、約100Daから約100,000Daの間であってもよく、例えば、特に限定されないが、約100,000Da、約95,000Da、約90,000Da、約85,000Da、約80,000Da、約75,000Da、約70,000Da、約65,000Da、約60,000Da、約55,000Da、約50,000Da、約45,000Da、約40,000Da、約35,000Da、約30,000Da、約25,000Da、約20,000Da、約15,000Da、約10,000Da、約9,000Da、約8,000Da、約7,000Da、約6,000Da、約5,000Da、約4,000Da、約3,000Da、約2,000Da、約1,000Da、約900Da、約800Da、約700Da、約600Da、約500Da、約400Da、約300Da、約200Da、および約100Daである。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約100Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約100Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約2,000Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約10,000Daから約40,000Daの間である。
他の実施形態では、ジアミン含有非天然アミノ酸を含むポリペプチドは、PEG骨格に直接連結している末端ジカルボニル部分を含むPEG誘導体で修飾される。他の実施形態では、ケトアミン含有非天然アミノ酸を含むポリペプチドは、PEG骨格に直接連結している末端ジカルボニル部分を含むPEG誘導体で修飾される。
いくつかの実施形態では、ジカルボニル末端PEG誘導体は以下の構造を有する:
RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)(CH−C(O)−CH−C(O)−R
Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは約2から約10であり、nは約100から約1,000である(すなわち、平均的な分子量は約5kDaから約40kDaの間である)。ポリマーの分子量は、約100Daから約100,000Daの間であってもよく、例えば、特に限定されないが、約100,000Da、約95,000Da、約90,000Da、約85,000Da、約80,000Da、約75,000Da、約70,000Da、約65,000Da、約60,000Da、約55,000Da、約50,000Da、約45,000Da、約40,000Da、約35,000Da、約30,000Da、約25,000Da、約20,000Da、約15,000Da、約10,000Da、約9,000Da、約8,000Da、約7,000Da、約6,000Da、約5,000Da、約4,000Da、約3,000Da、約2,000Da、約1,000Da、約900Da、約800Da、約700Da、約600Da、約500Da、約400Da、約300Da、約200Da、および約100Daである。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約100Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約100Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約2,000Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約10,000Daから約40,000Daの間である。
他の実施形態では、ジアミン含有アミノ酸を含むポリペプチドは、PEG骨格に直接連結している末端ケトアルキン部分を含むPEG誘導体で修飾される。
いくつかの実施形態では、ケトアルキン末端PEG誘導体は以下の構造を有する:
Figure 2009522275
Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは約2から約10であり、nは約100から約1,000である(すなわち、平均的な分子量は約5kDaから約40kDaの間である)。ポリマーの分子量は、約100Daから約100,000Daの間であってもよく、例えば、特に限定されないが、約100,000Da、約95,000Da、約90,000Da、約85,000Da、約80,000Da、約75,000Da、約70,000Da、約65,000Da、約60,000Da、約55,000Da、約50,000Da、約45,000Da、約40,000Da、約35,000Da、約30,000Da、約25,000Da、約20,000Da、約15,000Da、約10,000Da、約9,000Da、約8,000Da、約7,000Da、約6,000Da、約5,000Da、約4,000Da、約3,000Da、約2,000Da、約1,000Da、約900Da、約800Da、約700Da、約600Da、約500Da、約400Da、約300Da、約200Da、および約100Daである。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約100Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約100Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約2,000Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約10,000Daから約40,000Daの間である。
他の実施形態では、カルボニル、またはジカルボニル含有アミノ酸を含むポリペプチドは、末端ジアミン部分を含む分枝状PEG誘導体で修飾される。分枝状PEGの各鎖は約10kDaから約40kDaの範囲の分子量を有し、他の実施形態では、約5kDaから約20kDaの範囲を有する。分枝状ポリマーの分子量は広い範囲であってよく、限定されないが、約100Daから約100,000Daまたはそれ以上の間を含む。上記ポリマーの分子量は、約100Daから約100,000Daの間であってよく、限定されないが、約100,000Da、約95,000Da、約90,000Da、約85,000Da、約80,000Da、約75,000Da、約70,000Da、約65,000Da、約60,000Da、約55,000Da、約50,000Da、約45,000Da、約40,000Da、約35,000Da、約30,000Da、約25,000Da、約20,000Da、約15,000Da、約10,000Da、約9,000Da、約8,000Da、約7,000Da、約6,000Da、約5,000Da、約4,000Da、約3,000Da、約2,000Da、約1,000Da、約900Da、約800Da、約700Da、約600Da、約500Da、約400Da、約300Da、約200Da、および約100Daを含む。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約100Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約100Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約2,000Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約10,000Daから約40,000Daの間である。
他の実施形態では、ジアミン含有非天然アミノ酸を含むポリペプチドは、末端ジカルボニル部分を含む分枝状PEG誘導体で修飾される。分枝状ポリマーの分子量は広い範囲であってよく、限定されないが、約100Daから約100,000Daまたはそれ以上の間を含む。上記ポリマーの分子量は、約100Daから100,000Daの間であってよく、限定されないが、約100,000Da、約95,000Da、約90,000Da、約85,000Da、約80,000Da、約75,000Da、約70,000Da、約65,000Da、約60,000Da、約55,000Da、約50,000Da、約45,000Da、約40,000Da、約35,000Da、約30,000Da、約25,000Da、約20,000Da、約15,000Da、約10,000Da、約9,000Da、約8,000Da、約7,000Da、約6,000Da、約5,000Da、約4,000Da、約3,000Da、約2,000Da、約1,000Da、約900Da、約800Da、約700Da、約600Da、約500Da、約400Da、約300Da、約200Da、および約100Daを含む。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約100Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約100Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約2,000Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約10,000Daから約40,000Daの間である。
他の実施形態では、ケトアミン含有非天然アミノ酸を含むポリペプチドは、末端ジカルボニル部分を含む分枝状PEG誘導体で修飾される。分枝状ポリマーの分子量は広い範囲であってよく、限定されないが、約100Daから約100,000Daまたはそれ以上の間を含む。上記ポリマーの分子量は、約100Daから100,000Daの間であってよく、限定されないが、約100,000Da、約95,000Da、約90,000Da、約85,000Da、約80,000Da、約75,000Da、約70,000Da、約65,000Da、約60,000Da、約55,000Da、約50,000Da、約45,000Da、約40,000Da、約35,000Da、約30,000Da、約25,000Da、約20,000Da、約15,000Da、約10,000Da、約9,000Da、約8,000Da、約7,000Da、約6,000Da、約5,000Da、約4,000Da、約3,000Da、約2,000Da、約1,000Da、約900Da、約800Da、約700Da、約600Da、約500Da、約400Da、約300Da、約200Da、および約100Daを含む。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約100Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約100Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約2,000Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約10,000Daから約40,000Daの間である。
他の実施形態では、ケトアルキル含有非天然アミノ酸を含むポリペプチドは、末端ジアミン部分を含む分枝状PEG誘導体で修飾される。分枝状ポリマーの分子量は広い範囲であってよく、限定されないが、約100Daから約100,000Daまたはそれ以上の間を含む。上記ポリマーの分子量は、約100Daから100,000Daの間であってよく、限定されないが、約100,000Da、約95,000Da、約90,000Da、約85,000Da、約80,000Da、約75,000Da、約70,000Da、約65,000Da、約60,000Da、約55,000Da、約50,000Da、約45,000Da、約40,000Da、約35,000Da、約30,000Da、約25,000Da、約20,000Da、約15,000Da、約10,000Da、約9,000Da、約8,000Da、約7,000Da、約6,000Da、約5,000Da、約4,000Da、約3,000Da、約2,000Da、約1,000Da、約900Da、約800Da、約700Da、約600Da、約500Da、約400Da、約300Da、約200Da、および約100Daを含む。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約100Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約100Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約2,000Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態では、上記ポリマーの分子量は約10,000Daから約40,000Daの間である。
他の実施形態では、ジカルボニル含有アミノ酸を含むポリペプチドは、分枝構造を有する少なくとも1つのPEG誘導体により修飾される。いくつかの実施形態では、ジアミン基を含む該PEG誘導体は末端以下の構造を有する:
RO−(CHCHO)−O−(CH−CH−NH−NH
Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、Xは任意にNH、O、S、C(O)であるか、または存在せず、mは約2から約10であり、nは約100から約1,000である。
他の実施形態では、ジカルボニル含有アミノ酸を含むポリペプチドは、分枝構造を有する少なくとも1つのPEG誘導体で修飾される。いくつかの実施形態では、ケトアミン基を含む該PEG誘導体は末端以下の構造を有する:
RO−(CHCHO)−O−(CH−C(O)−CH−NH
Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、Xは任意にNH、O、S、C(O)であるか、または存在せず、mは約2から約10であり、nは約100から約1,000である。
他の実施形態では、ジアミン含有アミノ酸を含むポリペプチドは、分枝構造を有する少なくとも1つのPEG誘導体で修飾される。いくつかの実施形態では、ジカルボニル基を含む該PEG誘導体は末端以下の構造を有する:
RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)(CH−C(O)−CH−C(O)−R
Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、Xは任意にNH、O、S、C(O)であるか、または存在せず、mは約2から約10であり、nは約100から約1,000である。
他の実施形態では、ジアミン含有アミノ酸を含むポリペプチドは、分枝構造を有する少なくとも1つのPEG誘導体で修飾される。いくつかの実施形態では、ケトアルキン基を含む該PEG誘導体は末端以下の構造を有する:
Figure 2009522275
Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、Xは任意にNH、O、S、C(O)であるか、または存在せず、mは約2から約10であり、nは約100から約1,000である。
他の実施形態では、ケトアミン含有アミノ酸を含むポリペプチドは、分枝構造を有する少なくとも1つのPEG誘導体で修飾される。いくつかの実施形態では、ジカルボニル基を含む該PEG誘導体は末端以下の構造を有する:
RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)(CH−C(O)−CH−C(O)−R
Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、Xは任意にNH、O、S、C(O)であるか、または存在せず、mは約2から約10であり、nは約100から約1,000である。
他の実施形態では、ケトアルキル含有アミノ酸を含むポリペプチドは、分枝構造を有する少なくとも1つのPEG誘導体で修飾される。いくつかの実施形態では、ジアミン基を含む該PEG誘導体は末端以下の構造を有する:
RO−(CHCHO)−O−(CH−CH−NH−NH
Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、Xは任意にNH、O、S、C(O)であるか、または存在せず、mは約2から約10であり、nは約100から約1,000である。
PEGの官能基化および接合の種々の評論および研究論文が利用可能である。例えば、「Haris,Macromol.Chem.Phys.C25:325-373(1985)」、「Scouten, Metods in Enzymology 135:30−65(1987)」、「WongらEnzyme Microb.Technol.14:866−874(1992)」、「DelgadoらCritical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 9:249−304(1992)」、「Zalipsky, Bioconjugate Chem.6:150−165(1995)」を参照のこと。
ポリマーの活性化の方法は、国際公開第94/17039号パンフレット、米国特許出願5,324,844号明細書、国際公開第94/18247号パンフレット、国際公開第94/04193号パンフレット,米国特許出願5,219,564号明細書、米国特許出願5,122,614号明細書,国際公開第90/13540号パンフレット、米国特許出願5,281,698号明細書、および国際公開第93/15189号パンフレットなどを参照することができ、活性化ポリマーと、限定されないが、凝固因子V III(国際公開第94/15625号パンフレット)、ヘモグロビン(国際公開第94/09027号パンフレット)、酸素運搬分子(米国特許出願4,412,989号明細書)、リボヌクレアーゼおよびスーパーオキシドジスムターゼ(「VeroneseらApp.Biochem.Biotech.11:141-52(1985)」)を含む酵素間の共役にはそれぞれ上記を参照できる。
必要であれば、疎水性クロマトグラフィーから得られた、本明細書に記載のPEG化された非天然アミノ酸ポリペプチドは、当業者に公知の1つ以上の手段により精製され得る。そのような手段には、以下に限定されないが、アフィニティクロマトグラフィー;陰イオン−、または陽イオン−交換クロマトグラフィー(限定されないが、DEAE SEPHAROSEを含む);シリカクロマトグラフィー;逆相HPLC;ゲルろ過(限定されないが、SEPHADEX G-75の使用を含む);疎水相互作用クロマトグラフィー;サイズ排除クロマトグラフィー、金属キレートクロマトグラフィー;限外ろ過/ダイアフィルトレーション;エタノール沈殿;硫酸アンモニウム沈殿;クロマト分画;置換クロマトグラフィー;電気泳動法(限定されないが、等電点電気泳動を含む)、不等溶解(限定されないが、硫酸アンモニウム沈殿を含む)、または抽出が含まれる。見かけの分子量は球形タンパク基準(Preneta AZ, PROTEIN PURIFICATION METHODS,A PRACTICAL APPROACH(Harris&Angal,Eds.)IRL Press 1989,293-306)との比較によるGPCにより計算されてよい。(非天然アミノ酸ポリペプチド):PEGの接合体の純度は、タンパク分解(限定されないが、トリプシン切断を含む)をした後、質量分析をすることによって評価されてよい(「Pepinsky RB, らJ.Pharmacol.&Exp.Ther.297(3):1059-66(2001)」)。
本明細書に記載された、ポリペプチドの非天然アミノ酸に連結した水溶性ポリマーは、さらに無制限に誘導体化、または置換することができる。
‐G.血清アルブミンに対する親和性の向上‐
多様な分子が、血中の半減期を調節するために、本明細書に記載したポリペプチドの非天然アミノ酸に融合することができる。いくつかの実施形態では、分子は、動物の内在性血清アルブミンの親和性を向上するために、本明細書に記載した修飾型または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドに連結、または融合している。
例えば、数々の場合では、ポリペプチドの融合および組換え融合およびアルブミン結合配列が作製される。典型的なアルブミン結合配列は、限定されないが、連鎖球菌タンパク質G由来のアルブミン結合ドメイン(例えば、「MakridesらJ. Pharmacol. Exp. Ther. 277(l):534-542 (1996)」、および「Sjolanderら J, Immunol. Methods 201:115-123 (1997)」を参照のこと)、またはアルブミン結合ペプチド(例えば、「Dennisら J. Biol. Chem. 277(38):35035-35043 (2002)」に記載されるようなアルブミン結合ドメイン)を含む。
他の実施形態では、本明細書に記載された修飾型または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、脂肪酸によりアシル化される。数々の場合では、脂肪酸は血清アルブミンとの結合を促進する(例えば、Kurtzhalsら Biochem. J. 312:725-731 (1995) を参照のこと。)。
他の実施形態では、本明細書に記載された修飾型または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、血清アルブミンと直接融合する(限定されないが、ヒト血清アルブミンを含む)。技術的に普通の当業者は、多様な他の分子が、血清アルブミンまたは他の血清組成物への結合を調節するために、本明細書に記載した修飾型または非修飾型ポリペプチドに連結できることを認識する。
‐H.本明細書に記載した非天然アミノ酸ポリペプチドのグリコシル化‐
本明細書に記載した方法および組成物は、サッカライド残基を有する1つ以上の非天然アミノ酸を組み込んだポリペプチドを含む。サッカライド残基は、天然(限定されないが、N−アセチルグルコサミンを含む)、または非天然(限定されないが、3−フルオロガラクトースを含む)であってよい。サッカライドは、N−またはO−グリコシド連結により(限定されないが、N−アセチルガラクトース−L−セリンを含む)、または非天然の連結(限定されないが、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)または対応するC−またはS−連結型グリコシドを含む)により、非天然アミノ酸に連結してもよい。
サッカライド(限定されないが、グリコシル化を含む)部分は、インビボまたはインビトロで非天然アミノ酸ポリペプチドに加えられる。いくつかの実施形態では、ジカルボニル含有非天然アミノ酸を含むポリペプチドは、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を介して連結された、対応するグリコシル化ポリペプチドを生じるために、ジアミン基で誘導体化されたサッカライドにより修飾される。別の実施形態では、ジアミン含有非天然アミノ酸を含むポリペプチドは、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を介して連結した対応するグリコシル化ポリペプチドを生じるために、ジカルボニル基で誘導体化されたサッカライドにより修飾される。一度、非天然アミノ酸に接合すると、サッカライドは、非天然アミノ酸ポリペプチドに結合したオリゴサッカライドを生じるために、糖転移酵素および他の酵素との処理によりさらに合成されてよい。例えば、H. Liuら J. Am. Chem. Soc. 125: 1702-1703 (2003) を参照のこと。
‐I.ポリペプチドダイマーおよびマルチマーを含む、連結基の使用および応用‐
非天然アミノ酸ポリペプチドへの直接的な機能性基の付加に加えて、ポリペプチドの非天然アミノ酸部分は、多官能性リンカー分子(例えば、2官能性リンカー分子、3官能性リンカー分子、4官能性リンカー分子)により、第1に修飾されてもよい。そして、上記多官能性リンカー分子は、その後、さらに修飾される。多官能性リンカー分子の少なくとも1つの末端、およびポリペプチド中の少なくとも1つの非天然アミノ酸および当該多官能性リンカーの少なくとも1つの他の末端は、さらなる官能基化に好適である。もし、多官能性リンカーの全ての末端が同一であれば、続いて、(化学量論的条件に依存して)非天然アミノ酸ポリペプチドのホモマルチマーが形成されてよい。もし、多官能性リンカーの末端が独特の化学反応性を有していれば、続いて、多官能性リンカー基の少なくとも1つの末端は、非天然アミノ酸ポリペプチドに結合しており、他の末端は、その後異なる機能性基(例えば、所望の機能性基を含む)と反応することができる。
多官能性リンカー基は、一般構造体を有する:
Figure 2009522275
ここで:
Xのぞれぞれは、独立して、
Figure 2009522275
であり;
Jは、
Figure 2009522275
であり;
は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、またはアミン保護基であり;
は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、またはアミン保護基であり;
は、結合、任意に置換されたC1−4アルキレン、任意に置換されたC1−4アルケニレン、または任意に置換されたヘテロアルキルであり;
は、任意に置換されたC−Cアルキレン、任意に置換されたC−Cアルケニレン、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり;
任意の置換基のそれぞれは、独立して、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンから成る群から選択され;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルであり;
Kは、
Figure 2009522275
であり;
Gは、
Figure 2009522275
であり;
R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルであり;
およびTは独立して、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
LおよびMは独立して、結合、H、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、もしくは置換アラルキレンであるか、またはLおよびMは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルあるいはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成してもよく;
は、結合、C(R)(R)、O、またはSであり;
は、
Figure 2009522275
であり、Xのそれぞれは独立して、−O−、−S−、−N(H)−、−N(R)−、−N(Ac)−、および−N(OMe)−から成る群より選択され;Xは、−OR’、−OAc、−SR、−N(R’)、−N(R’)(Ac)、−N(R’)(OMe)、またはNであり、
Lのそれぞれは独立して、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−(アルキレンまたは置換アルキレン)−NR’C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−O−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−N(R’)C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択され;
は任意であり、存在する場合は、−C(R’)−NR’−C(O)O−(アルキレンまたは置換アルキレン)−であり、pは0、1または2であり;
Wは、
Figure 2009522275
であり;nは1から3である。
図20は、2種の同じ末端(すなわち、ジアミン基)を有する2官能性ホモリンカーの合成の具体例を表す。該リンカーは、2つのヘテロ環連結を形成するジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドのホモダイマーを形成するために使用されてよい。または、該リンカーの1つの末端が保護されていれば、部分的に保護された該リンカーにおける保護されていないジアミン末端を、ヘテロ環連結を介して、ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドに、結合させることができる。この場合、もう一方の保護された末端は、脱保護された後に、さらに連結反応に利用可能である。また、試薬の量を化学量論的な量に注意深く操作することにより、同一の結果物(ヘテロダイマー)を提供し得る(ただし、所望のヘテロダイマーが、数種のホモダイマーにより汚染される虞はある)。
図24は、2官能性ホモリンカーを介した2種のタンパク質を結合することによる、タンパク質のダイマー化の具体例を表す。なお、リンカーは、例えばPEGリンカーである。
図21は、2つの異なる末端(例えば、ジアミン基およびヒドロキシルアミン基)を有するヘテロ2官能性リンカーの合成の具体例を表す。また、図25および図27は、多工程合成において、PEG基を非天然アミノ酸ポリペプチドに接合するためのヘテロ2官能性リンカーの使用の具体例を表す。第1工程において、この説明図に描かれているように、カルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドは、オキシム含有非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するために、ヒドロキシルアミン含有2官能性リンカーと反応する。しかし、2官能性リンカーは、第2工程において、ヘテロ環連結を介するPEG化された非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するために、ジカルボニル含有PEG試薬と反応するジアミン官能性基を残したままである。
図22は、3官能性基(例えば、ジアミン基および2つのヒドロキシルアミン基)を有するリンカーである、3官能性リンカーの合成の具体例を表す。また、図26は、多工程合成において、PEG基を非天然アミノ酸ポリペプチドダイマーに接合するための3官能性リンカー使用の具体例を表す。第1工程では、この説明図に描かれているように、カルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドは、オキシム含有非天然アミノ酸ポリペプチドダイマーを形成するために、多官能性のヒドロキシルアミン部分と反応する。しかし、3官能性リンカーは、第2工程において、PEG化された非天然アミノ酸ポリペプチドダイマーとヘテロ環連結を形成するために、ジカルボニル含有PEG試薬と反応するジアミン官能基を残している。
本明細書に記載した方法および組成物は、ホモダイマー、ヘテロダイマー、ホモマルチマー、またはヘテロマルチマー(すなわち、トリマー、テトラマーなど)のようなポリペプチドの組み合わせをも提供してよい。例えば、以下の記載はGHスーパーファミリーの一員に焦点をあてる。しかし、本セクションに記載した方法、技術、および組成物は、現実に、例えば、ダイマーおよびマルチマーの形成に利益を提供できる、所望のポリペプチドを含む任意の他のポリペプチドでも適応できる。
したがって、本明細書に記載した方法、技術、および組成物の範囲には、1つ以上の非天然アミノ酸を含んでいるGHスーパーファミリーの一員のポリペプチドと、(i)別のGHスーパーファミリーの一員もしくはそのバリアント、または、(ii)非GHスーパーファミリーの一員もしくはそのバリアントとが、ポリペプチドの骨格もしくいはリンカーを介して結合したものが含まれる。モノマーと比べた分子量の増加によって、GHスーパーファミリーの一員のダイマーまたはマルチマー接合体は、限定されないが、モノマーのGHスーパーファミリーの一員に対して、異なった薬理学的性質、薬物動態学的性質、薬力学的性質、治療半減期の調節、または血中半減期を含む、新規の特性または所望の特性を示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載したGHスーパーファミリーの一員のダイマーは、GHスーパーファミリーの一員の受容体のダイマー化を調節する。他の実施形態では、本明細書に記載したGHスーパーファミリーの一員のダイマーまたはマルチマーは、GHスーパーファミリーの一員の受容体のアンタゴニスト、アゴニスト、またはモジュレーターとして作用する。
いくつかの実施形態では、GHスーパーファミリーの一員のポリペプチドは、例えば、特に限定されないが、Asn−Lysアミド連結またはCys−Cysジスルフィド連結を介して、直接的に連結する。いくつかの実施形態では、GHスーパーファミリーの一員のポリペプチド、および/または連結した非GHスーパーファミリーの一員のポリペプチドは、ダイマー化を促進するための、異なる非天然アミノ酸を含んでいる。上記ポリペプチドは、対応するヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)の形成を介して反応する。ダイマーとしては、特に限定されないが、ジアミン含有非天然アミノ酸を含んでいる第2GHスーパーファミリーの一員のポリペプチドと接合した、ジカルボニル含有非天然アミノ酸を含んでいる、第1GHスーパーファミリーの一員のポリペプチド、および/または、連結した非GHスーパーファミリーの一員のポリペプチドなどが挙げられる。
また、2つのGHスーパーファミリーの一員のポリペプチド、および/または連結した非GHスーパーファミリーの一員は、リンカーを介して連結している。任意のヘテロ−またはホモ−2官能性リンカーを用いて、2つのGHスーパーファミリーの一員のポリペプチド、および/または連結した非GHスーパーファミリーの一員のポリペプチドを連結することができる。上記ポリペプチドの一次配列は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。ある場合では、GHスーパーファミリーの一員のポリペプチド、および/または非GHスーパーファミリーの一員のポリペプチドを一緒に繋ぐために用いられるリンカーは、2官能性PEG試薬であってもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載した方法および組成物は、a)ポリマー骨格の少なくとも第1の末端上に、アジド、アルキン、ヒドラジン、ジアミン、ヒドラジド、ヒドロキシルアミン、またはカルボニル(ジカルボニルを含む)含有部分を含み、b)ポリマー骨格の第2の末端上に、少なくとも第2官能基を含む、ダンベル構造を有する水溶性2官能性リンカーを提供する。第2官能基は、第1官能基と同一または異なることが可能である。いくつかの実施形態では、第2官能基は第1官能基と反応しない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載した方法および組成物は、分枝状の分子構造の少なくとも1つの枝を含む水溶性化合物を提供する。例えば、分枝状の分子構造は樹木状であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載した方法および組成物は、以下の構造式を有する水溶性活性化ポリマーとの反応により形成される、1つ以上のGHスーパーファミリーの一員を含むマルチマーを提供する:
R−(CHCHO)−O−(CH−X
nは約5から約3,000であり、mは約2から約10であり、Xはアジド含有部分、アルキン含有部分、ヒドラジン含有部分、ジアミン含有部分、ヒドラジド含有部分、ヒドロキシルアミン含有部分、アセチル含有部分、またはカルボニル(ジカルボニルを含む)含有部分であり、Rは、Xと同一であっても、または異なっていてもよいキャップ基、官能基、もしくは離脱基である。例えば、Rは、以下から成る群から選択される官能基であってもよい(ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アルコキシル、N−ヒドロキシスクシニミジルエステル、1−ベンゾトリアゾリルエステル、N−ヒドロキシスクシニミジル炭酸塩、1−ベンゾトリアゾリル炭酸塩、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、アクティブスルホン(active sulfon)、アミン、アミノオキシ、保護されたアミン、ヒドラジド、保護されたヒドラジド、保護されたチオール、カルボン酸、保護されたカルボン酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシラート、トシレート、ならびにトレシレート(tresylate)、アルケン、およびケトン)。さらなる実施形態では、リンカー基は、転写因子を連結するために用いることができる。遺伝子は、コードされたタンパク質の発現を効率よく開始するために複数の転写因子を要求する。非天然アミノ酸により合成された転写因子は上記したようなリンカーを介して連結されることができ、標的遺伝子の人工的な活性化を促進するために用いられる。連結された転写因子は、通常の活性化シグナルカスケードの非存在下において、標的DNAに結合することができ、RNAポリメラーゼの動員を促進する。したがって、要求されたシグナルがなくとも、遺伝子が発現する。さらなる実施形態では、細胞受容体のリガンドは、受容体を効果的に活性化するために、連結され得る。血小板由来成長因子(PDGF)は、その受容体に結合するためのダイマーを形成する。非天然アミノ酸を含むPDGFは、ダイマー形成の際に、上記したようなリンカーを介して連結されることができ、PDGF受容体に対する効果的な結合を提供するために投与される。連結したタンパク質を含むさらなる実施形態では、連結した抗体を含む。同一のまたは隣接した標的における固有のエピトープに、それぞれ特異的な2種の異なる抗体は、刺激、結合、または中和を促進するために連結され得る。例えば、HIVのgp120および関連したgp40に見られる2種の異なるエピトープを、連結することにより、標的をより効率的に中和することができる。同様に、連結された抗体を用いて、細胞表面の受容体を刺激することができる。例えば、T細胞受容体のCD3に対する抗体、およびCD4に対する抗体を連結することにより、受容体の活性化に必要な刺激を提供することができる。さらなる実施形態は、核酸に連結したペプチドを含む。例えば、細胞表面に結合する細胞受容体のリガンドまたはタンパク質は、所望の標的に投与される治療用核酸に連結することができる。連結したリガンドは、核酸の取り込みを促進しする。その後、取り込まれた核酸は細胞内に発現させられ、当該核酸の治療効果が発揮される。同様に、ペプチドは、核酸のパッケージングまたは凝縮を促進するために、核酸に連結してもよい。
リンカーの官能基は、同一である必要はないし、ジアミン基である必要はない。本明細書を通して詳述された化学的性質を用いて、技術的に通常の当業者は、非天然アミノ酸ポリペプチドを有するヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)を形成できる少なくとも1つの官能基中のリンカーを設計できる;リンカーにおける他の官能基は、有機化学の技術的に公知の求核/求電子性基礎化学を含む他の公知の化学的性質を利用できる。
‐J.官能性付加の実施例:ポリペプチドの単離特性の緩和‐
天然に生じたアミノ酸または非天然アミノ酸ポリペプチドは、限定されないが、溶解性、またはポリペプチドの結合特性を含む多くの理由のため、試料から単離されることが難しいことがあり得る。例えば、治療に使用するためのポリペプチドの調製において、該ポリペプチドは、ポリペプチドの過剰生産を行うことができる組み換え系から単離することができる。しかし多くの場合、ポリペプチドの溶解性または結合特性のために、所望の純度を達成することは困難であると判明することがある。本明細書に記載した方法、組成物、技術および戦略は、この状況に対する解決方法を提供する。
本明細書に記載した方法、組成物、技術および戦略を用いて、当業者は、所望のポリペプチドと相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを含むヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)を作製できる。ここで、非天然アミノ酸ポリペプチドを含むヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)は、単離特性を亢進されている。一実施形態では、相同の非天然アミノ酸ポリペプチドが生合成的に製造される。さらなるまたは追加の実施形態では、非天然アミノ酸は、本明細書に記載した1つの非天然アミノ酸を、その構造に組み込む。さらなるまたは追加の実施形態では、末端または内部部分に組み込まれ、さらに部位特異的に組み込まれる。
一実施形態では、生合成的に作製された、製造された非天然アミノ酸は、既に所望の亢進された単離特性を有する。さらなる、または追加の実施形態では、亢進された単離特性を提供する基に対するヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を含む。さらなる、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸はさらに、修飾されたヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するように、修飾され、上記修飾により、亢進された単離特性を提供する基が、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)に提供される。いくつかの実施形態では、該基は、直接非天然アミノ酸に連結され、他の実施形態では、該基は、非天然アミノ酸へのリンカー基を介して連結されている。好ましくは、亢進された単離特性を与えられた基は、非天然アミノ酸ポリペプチド中の非天然アミノ酸に部位特異的に連結され、利用される反応条件下では、天然に生じたアミノ酸には連結されない。
さらなる態様において、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、一般式(XXXVIII)または一般式(XXXIX):
Figure 2009522275
の構造を有する、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチド、あるいはその活性な代謝産物、塩、または薬学的に許容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物を投与する工程を含んでおり、
Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチド;
およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成し;
は、結合、CR、O、S、NR’、CR−CR、CR−O、O−CR、CR−S、S−CR、CR−NR’、NR’−CRであり;
は、結合、−C(O)−、−C(S)−、任意に置換されたC−Cアルキレン、任意に置換されたC−Cアルケニレン、および任意に置換されたヘテロアルキルから成る群から選択され;
および各Rは独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)から成る群から選択されるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または置換アラルキルである);
または、隣接する任意の2つのR基は、任意に置換された5から8員環のヘテロ環、シクロアルキルまたはアリール環を一緒になって形成し;任意の置換基は、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、アリール、ハロアリール、およびヘテロアリールであり;
上記ZとZとの環原子の総数は、3以下であり;
は独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)であるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキルである);
または、RはL−Xである(Xは、所望の機能性基から成る群から選択され;
Lは、任意であり、存在するときは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは、1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−O−N=CR’−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択されるリンカーであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)、方法である。
さらなる実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、非天然アミノ酸が、ポリペプチド内の特定の部位に組み込まれる、方法である。他の実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、非天然アミノ酸が、翻訳系を用いてポリペプチドに組み込まれる、方法である。
さらなる他の実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、非天然アミノ酸が、翻訳後修飾系を用いて組み込まれる、方法である。他の実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、翻訳系は以下の(i)および(ii)を含んでいる、方法である:
(i)ポリペプチドをコードし、非天然アミノ酸が組み込むまれる、予め設計された部位に対応するセレクターコドンを含んでいる、ポリヌクレオチド、および、
(ii)非天然アミノ酸を含み、上記セレクターコドンに対して特異的なtRNA。
さらなる実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、ポリヌクレオチドが翻訳系において製造されたmRNAである、方法である。さらなる実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、翻訳系がプラスミドDNAもしくはファージDNA、またはポリヌクレオチドを含む染色体DNAを含んでいる、方法である。さらなる追加の実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、ポリヌクレオチドが安定に染色体DNAに統合される、方法である。
さらなる実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、翻訳系は、アンバーコドン、オーカーコドン、オパールコドン、ユニークコドン、レアコドン、非天然コドン、5塩基コドン、および4塩基コドンから成る群から選択されるセレクターコドンに特異的なtRNAを含んでいる、方法である。
さらなる実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、ここで、翻訳系は、直交化tRNAおよび直交化アミノアシルtRNA合成酵素を含む。
さらなる実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、ポリペプチドはリボソームによって合成される、方法である。さらなる実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、翻訳系は、原核生物、真核生物、哺乳類、Escherichia coli、Pseudomonas種、真菌、酵母、古細菌、真正細菌、植物、昆虫、および原生生物から成る群から選択される細胞を含むインビボ翻訳系である、方法である。
さらなる実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、翻訳系は、細菌性細胞、古細菌細胞、または真核細菌に由来する細胞抽出物を含むインビトロ翻訳系である、方法である。さらなる実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、ポリペプチドの非天然アミノ酸は、約2およびpH約8の間のpHの水溶液において、約1ヶ月安定である、方法である。さらなる実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、非天然アミノ酸は、少なくとも約2週間安定である、方法である。さらなる実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、非天然アミノ酸は、少なくとも約5日間安定である、方法である。
さらなる実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、ポリペプチドは、所望のポリペプチドから成る群から選択される治療用タンパク質と相同なタンパク質である、方法である。
さらなる実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、有効量の相同な非天然アミノ酸ポリペプチドを投与する工程を含んでおり、非天然アミノ酸は、一般式((XLI)または一般式((XLII):
Figure 2009522275
を有する、方法である(Rのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’から成る群から選択され、kは1、2または3であり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)。
さらなる実施形態では、患者の中に存在するポリペプチドを検出する方法は、相同な非天然アミノ酸ポリペプチドの有効量の投与を含み、非天然アミノ酸は、
Figure 2009522275
の構造を有する、方法である。
さらなる、または追加の実施形態では、生じた非天然アミノ酸ポリペプチドは、GHスーパーファミリーの一員と相同であるが、このセクションに記載した方法、技術、および組成物は、例えば、所望のポリペプチドを含む向上した単離特性から利益を得ることができる他のあらゆるポリペプチドに現実的に適応できる。
さらなる、または追加の実施形態では、向上した単離特性を与える基は、ポリペプチドの水溶性を亢進する;他の実施形態では、該基は、ポリペプチドの結合性質を向上する;他の実施形態では、該基は、ポリペプチドに新規の結合性質を与える(例えば、ビオチン基またはビオチン−結合基)。該基が、ポリペプチドの水溶性を向上する実施形態では、該基は、本明細書に記載した水溶性ポリマー(例えば、本明細書に記載した任意のPEGポリマー基など)から選択される。
‐K.機能性基の付加の例:ポリペプチドの存在の検出‐
天然に生じた、または非天然アミノ酸ポリペプチドは、限定されないが、容易にポリペプチドに結合する試薬または標識が存在しないことなどの、多くの理由により試料(インビボ試料またはインビトロ試料を含む)中の検出が困難であることがあり得る。本明細書に記載した方法、組成物、技術、および戦略は、この状況に対する解決方法を提供する。
本明細書に記載した方法、組成物、技術、および戦略を用いて、当業者は、所望のポリペプチドに相同なヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドを製造することができ、当該ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドによって、インビボ試料およびインビトロ試料中のポリペプチドの検出が可能になる。一実施形態では、相同な非天然アミノ酸ポリペプチドは、生合成的に製造される。さらなる、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸は、末端または内部の部位に組み込まれ、さらに部位特異的に組み込まれる。
一実施形態では、製造された非天然アミノ酸ポリペプチドは、生合成的に作製され、所望の検出特性を既に有する。さらなる、追加の実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、少なくとも以下から成る群から選択される1つの非天然アミノ酸を含む(向上した検出特性を提供するための、カルボニル含有非天然アミノ酸、ジカルボニル含有非天然アミノ酸、ジアミン含有非天然アミノ酸、ケトアミン含有非天然アミノ酸、ケトアルキン含有非天然アミノ酸、およびヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有アミノ酸)。他の実施形態では、該非天然アミノ酸は、本明細書に記載したように、生合成的にポリペプチドに組み込まれる。さらなる、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸ポリペプチドは、一般式(I)−一般式(LXVII)のアミノ酸から選択された少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む。さらなる、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸は、向上した検出特性を提供する基に対するヘテロ環連結を含む。さらなる、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸は、修飾されたヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するように、さらに修飾される。ここで、該修飾は、向上した検出特性を提供する基をヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)に提供する。いくつかの実施形態では、該基は、直接非天然アミノ酸に連結しており、他の実施形態では、該基は、リンカー基を介して非天然アミノ酸に連結している。特定の実施形態では、該基は、単一の化学反応により非天然アミノ酸に連結される。他の実施形態では、非天然アミノ酸に該基を接続するためには一連の化学反応が要求される。好ましくは、向上した検出特性を与える基は、非天然アミノ酸ポリペプチド中の非天然アミノ酸に部位特異的に連結され、利用される反応条件下では、天然に生じたアミノ酸に連結しない。
さらなる、または追加の実施形態では、生じた非天然アミノ酸ポリペプチドは、GHスーパーファミリーの一員と同一であるが、このセクションに記載した方法、技術、および組成物は、例えば、所望のポリペプチドを含むインビボ試料およびインビトロ試料中に検出される必要のある、現実的に他のあらゆるポリペプチドに適用することができる。
さらなる、または追加の実施形態では、向上した検出特性を与える基は、以下から成る群から選択される(標識;色素;親和性標識;光親和性標識;スピン標識;蛍光団;放射性部分;重原子を組み込んでいる部分;同位体標識されている部分;生物物理学的プローブ;燐光性の基;化学発光性の基;電子密度の高い基;磁性基;発色団;エネルギー伝達剤;検出可能な標識;およびそれらの任意の組み合わせ)。
一実施形態では、抗体は、放射性標識を含むように設計され、その抗体は癌性細胞の独特の抗原を認識する。放射性標識は、抗体内に位置する非天然アミノ酸に付着する。抗体は非天然アミノ酸を介して放射性標識により標識され、標識された抗体を精製した後、標識された抗体により認識可能な癌を有する疑いのある被検体に投与される。標識された抗体の投与に続き、患者における標識された抗体の存在または局在から、癌性組織の存在が確認され得る。当業者は、この系によって好適な抗原および癌性細胞種を特定することができる。同様に、当業者は非天然アミノ酸を介して抗体に付着する放射性標識の種類に基づいて好適な検出技術を特定することができる。標識された抗体の投与は、患者内の癌、対象中の転移および/または対象内における癌治療の有効性の検出を可能にする。
他の実施形態では、細胞表面上の抗原に結合するペプチドは、被検体にペプチドを投与した後に、該ペプチドを追跡することに使用可能な色素(特に限定されないが、蛍光色素など)を含むように、操作される。色素は、ペプチド中に局在した非天然アミノ酸を介してペプチドに付着し、当該ペプチドが被検体に投与される。ペプチドのリガンドへの局在または結合は、当業者により容易に特定可能な撮像または検出技術で達成される。
さらなる他の実施形態では、金属基または金属含有部分は、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質中に局在した非天然アミノ酸を介して、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に付着している。好適に標識されたペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、当業者に公知の技術による検出および撮像のための所望の対象に投与される。これらの標識されたペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質、多様な疾患、代謝経路、生理学的構造、または細胞成分は撮像することができる。当業者は、検出または撮像の方法と同様に、標識に好適な標的を特定することができる。例えば、核磁気共鳴画像(MRI)は、被検体内の標識されたペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の存在を検出するために用いることができる。
‐L.機能性基の付加の例:ポリペプチドの治療特性の向上‐
天然に生じた、または非天然アミノ酸ポリペプチドは、特定の疾患、疾病、または病気の患者に対して特定の治療効果を提供することができる。該治療効果は、例えば、ポリペプチドの安全性プロフィール、およびポリペプチドの薬物動態学的性質、薬理学的性質、ならびに/または薬力学的性質(例えば、水溶性、生物学的利用性、血中半減期、治療半減期、免疫原性、生物活性、または循環時間)を含む多くの要素に依存する。加えて、細胞毒性化合物もしくは薬物などの機能性基を、ポリペプチドに提供することも有利であり得る。また、本明細書に記載のホモマルチマーおよびヘテロマルチマーを形成するように、別のポリペプチドを付着することが望ましい。該修飾は、好ましくは活性および/または本来のポリペプチドの三次構造を破壊しないものである。本明細書に記載した方法、組成物、技術、および戦略は、これらの問題に対する解決方法を提供する。
本明細書に記載した方法、組成物、技術、および戦略を用いて、当業者は、所望のポリペプチドに対して相同なヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドを製造可能である。ここで、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドは、亢進された治療特性を有する。一実施形態では、相同な非天然アミノ酸ポリペプチドは、生合成的に製造される。さらなる、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸は、本明細書に記載した1つの非天然アミノ酸の構造中に組み込まれる。さらなる、追加の実施形態では、非天然アミノ酸は、末端または内部に組み込まれ、さらに部位特異的に組み込まれる。
一実施形態では、生合成的に製造された、非天然に生じたアミノ酸は、既に所望の向上した治療特性を有する。さらなる、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸は、向上した治療特性を提供する基に対するヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)を含む。さらなる、または追加の実施形態では、非天然アミノ酸は、修飾されたヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するように、さらに修飾される。ここで、その修飾により、向上した治療特性を提供する基を、ヘテロ環連結(窒素含有ヘテロ環連結など)が提供される。いくつかの実施形態では、該基は、直接非天然アミノ酸に連結し、および他の実施形態では、該基は、非天然アミノ酸に、リンカー基を介して連結する。特定の実施形態では、該基は、非天然アミノ酸に対して単一の化学反応により連結する。他の実施形態では、非天然アミノ酸を該基に連結させるためには、一連の化学反応が要求される。好ましくは、治療特性の向上を与える基は、部位特異的に非天然アミノ酸ポリペプチド中の非天然アミノ酸に連結し、利用した反応条件下では、天然に生じたアミノ酸に連結しない。
さらなる、または追加の実施形態では、生じた非天然アミノ酸ポリペプチオドは、GHスーパーファミリーの一員と相同である。しかし、このセクションに記載した方法、技術、および組成物は、例えば、所望のポリペプチドを含む、向上した治療特性から利益を得ることができる他のあらゆるポリペプチドにも現実的に適応できる。
さらなる、または追加の実施形態では、向上した治療特性を与える基は、ポリペプチドの水溶性を向上する;他の実施形態では、基は、ポリペプチドの結合性質を向上する;他の実施形態では、基は、ポリペプチドへの新規の結合性質を提供する(例えば、ビオチン基、またはビオチン結合基を含む)。基がポリペプチドの水溶性を向上する実施形態では、基は、本明細書に記載した水溶性ポリマー(例えば、PEGポリマー基を含む)から選択される。さらなる、または追加の実施形態では、基は細胞毒性化合物であるのに対して、他の実施形態では、基は薬物である。さらなる実施形態では、連結した薬物または細胞毒性化合物は、薬物または細胞毒性化合物を所望の治療場所に送るために、非天然アミノ酸ポリペプチドから切断される。他の実施形態では、基は、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドなどの第2ポリペプチドである。また、上記第2ポリペプチドは、例えば、第1非天然アミノ酸と同じアミノ酸構造を有するポリペプチドをさらに含んでいる。
さらなる、または追加の実施形態では、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドは、修飾されたヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドである。さらなる、または追加の実施形態では、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドの生体適合性は、相同な天然に生じたアミノ酸ポリペプチドのものと比較して、増加している。さらなる、または追加の実施形態では、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドの安全性プロフィールは、相同な天然に生じたアミノ酸ポリペプチドのものと比較して、増加している。さらなる、または追加の実施形態では、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドの水溶性は、相同な天然に生じたアミノ酸ポリペプチドのものと比較して、増加している。さらなる、または追加の実施形態では、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドの治療半減期は、相同な天然に生じたアミノ酸ポリペプチドのものと比較して、増加している。さらなる、または追加の実施形態では、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドの血中半減期は、相同な天然に生じたアミノ酸ポリペプチドのものと比較して、増加している。さらなる、または追加の実施形態では、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドの循環時間は、相同な天然に生じたアミノ酸ポリペプチドのものと比較して、延長している。さらなる、または追加の実施形態では、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドの生物活性は、相同な天然に生じたアミノ酸ポリペプチドのものと比較して、調節さている。さらなる、または追加の実施形態では、ヘテロ環(窒素含有ヘテロ環など)含有非天然アミノ酸ポリペプチドの免疫原性は、相同な天然に生じたアミノ酸ポリペプチドのものと比較して、増加している。
<XI.修飾型ポリペプチドの治療的利用>
便宜上、このセクションに記載した修飾型または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、一般的に具合例と(共に)記載される。しかし、このセクションに記載した修飾型または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、このセクションで提供された一般的な記述、または具体例のみに限定されるべきではなく、本明細書における明細書、請求項、および図面に記載した一般式(I)−一般式(LXVII)の範囲内のどの部分式または特定の化合物をも含む、一般式(I)−一般式(LXVII)の範囲内の少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む、全ての修飾型または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドに同様に適応される。
本明細書に記載の修飾型または非修飾型非天然アミノ酸(これらのホモ多量体およびヘテロ多量体を含む)は、以下に限定されないが、治療的利用、診断的利用、分析の主成分としての利用、産業的利用、美容的利用、植物生物学的利用、環境利用、エネルギー生産への利用および/または軍事的利用を含む複数の利用を見出す。非限定的な説明として、修飾型または非修飾型非天然アミノ酸の以下の治療的利用が提供される。
本明細書に記載されている修飾型または非修飾型非天然アミノ酸は、広範囲の疾患に有用である。本明細書に記載の修飾型または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド産物の投与は、ヒトにおける市販のポリペプチド調製物によって示されるあらゆる活性を生じる。修飾型または非修飾型非天然アミノ酸の平均量は、変化してもよく、かつ特に、有資格医師の推薦および処方に基づくべきである。修飾型または非修飾型非天然アミノ酸の正確な量は、処置される条件の正確な種類、処置される患者の条件、および組成物における他の成分といった要因に依存する選択の問題である。興味のある量は、修飾型または非修飾型非天然アミノ酸を用いた治療に基づく当該分野における当業者によって容易に決定され得る。
‐A.投与および薬学的組成物‐
本明細書に記載されているような非天然アミノ酸、修飾型非天然アミノ酸、または非修飾型非天然アミノ酸(以下に限定されないが、1つ以上の非天然アミノ酸を含んでいるシンテターゼ、タンパク質などを含む)は、例えば好適な薬学的担体と組み合わせられて、治療的利用に対して任意に採用される。そのような組成物は、例えば、本明細書記載されているような、治療的有効量の非天然アミノ酸、修飾型非天然アミノ酸、または非修飾型非天然アミノ酸、ならびに薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含んでいる。そのような担体または賦形剤は、特に限定されないが、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、ブドウ糖、水、グリセロール、エタノールおよび/またはこれらの組み合わせを含む。製剤は、投与形態に適合するように作製される。通常、タンパク質の投与方法は、当該分野において周知であり、かつ本明細書に記載されているような、非天然アミノ酸、修飾型非天然アミノ酸、または非修飾型非天然アミノ酸の投与に対して適用され得る。
本明細書に記載されているような、1つ以上の非天然アミノ酸、修飾型非天然アミノ酸、または非修飾型非天然アミノ酸を含んでいる治療的組成物は、当該分野における当業者に周知の方法に従って、有効性、および組織代謝の確認、ならびに用量の評価のために、適切なインビトロおよび/またはインビボの疾患動物モデルにおいて、任意に試験されてもよい。特に、用量は、天然アミノ酸相同物に対する非天然アミノ酸相同物の活性、安定性または他の好適な測定(以下に限定されないが、天然アミノ酸ポリペプチドに対する1つ以上の非天然アミノ酸を含む(修飾)ポリペプチドの比較を含む)、すなわち、関連性アッセイによって最初に決定されてもよい。
投与は、血液または組織細胞と最終的に接触する分子の導入に通常に使用されるあらゆる経路による。本明細書に記載されているように、非天然アミノ酸、修飾型非天然アミノ酸、または非修飾型非天然アミノ酸は、1つ以上の薬学的に許容可能な担体を任意に用いて、あらゆる好適な方法において投与される。本明細書に記載されているような、非天然アミノ酸、修飾型非天然アミノ酸、または非修飾型非天然アミノ酸の患者に対する投与の好適な方法が利用可能であり、且つ2つ以上の経路が特定の組成物の投与に使用されてもよいが、特定の経路は、多くの場合において、他の経路より即効性、且つ効果的な作用または反応を提供し得る。
薬学的に許容可能な担体は、投与される特定の組成物だけでなく、当該組成物の投与に使用される特定の方法によって部分的に決定される。従って、本明細書に記載の薬学的組成物の種々の好適な製剤がある。
非天然アミノ酸ポリペプチドは、タンパク質またはポリペプチドにとって好適な、以下に限定されないが、非経口的(例えば、以下に限定されないが、皮下、または静脈内、または注入もしくは点滴の他のあらゆる形態を含む注入)を含む従来のあらゆる経路によって投与され得る。ポリペプチド薬学的組成物(本明細書に記載の種々のポリペプチドを含む)は、以下に限定されないが、経口的な、静脈内の、腹腔内の、筋肉内の、経皮的な、皮下的な、局所的な、舌下の、または直腸の手段を含む多くの経路によって投与され得る。また、本明細書に記載されているような、修飾型または非修飾型非天然アミノ酸、または非修飾型非天然アミノ酸を含んでいる組成物は、リポソームを介して投与されてもよい。そのような投与経路および適切な製剤は、単独に、または薬学的な担体といった他の好適な成分組み合わせて、使用されてもよい。
また、本明細書に記載されているような、単独の、または他の好適な成分と組み合わせの、非天然アミノ酸、または修飾型または非修飾型非天然アミノ酸は、吸入を介して投与される噴霧製剤(すなわち、それらは「噴霧化」可能である)に作製されていてもよい。噴霧製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、および窒素といった加圧された許容可能な噴霧剤に入れられていてもよい。
例えば、関節内(関節)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、および皮下といった非経口的な投与に好適な製剤は、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、および意図される受容者の血液と等張性の製剤を提供する溶質を含み得る、水性および非水性の無菌等張性注入溶液、ならびに可溶化剤、増粘剤、安定化剤、および防腐剤を含み得る水性および非水性の無菌懸濁液を含む。パッケージされた核酸の製剤は、アンプルおよびバイアルといった、単位用量または多用量の密封された容器に存在していてもよい。
経口投与および静脈投与は、投与の好ましい方法である。特に、現在利用されている製剤に従って、天然アミノ酸相同治療物(以下に限定されないが、EPO、IFN、GH、GM−CFS、IFNs、インターロイキン、抗体、および/またはあらゆる治療的に実現するタンパク質を含む)に対する使用における投与の経路は、本明細書に記載されているような、非天然アミノ酸、修飾型または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドにとって、好ましい投与経路および製剤を提供する。
本明細書に記載の組成物および方法に即して、患者に投与される用量は、やがて患者に有益な治療的反応を有するために十分な量である。当該用量は、特定の製剤の有効性、および採用された修飾型または非修飾型非天然アミノ酸の活性、安定性、または血清半減期、および患者の状態だけでなく、処置される患者の体重または体表面積によって決定される。また、当該用量の大きさは、特定の製剤の投与に伴って生じるあらゆる有害な副作用の存在、性質および程度によって決定される。
疾患(以下に限定されないが、がん、遺伝性疾患、糖尿病、またはAIDSなどを含む)の処置または予防において投与される製剤の効果的な量の決定において、医師は、循環血漿レベル、製剤の毒性、疾患の進行および/または関連する場合には、抗非天然アミノ酸ポリペプチド抗体の産生を調べる。
例えば、70キログラムの体重の患者に投与される用量は、通常、現在使用されている治療タンパク質の用量と等しい範囲において、該当する組成物の変化した活性または血清半減期に関して調製される。本明細書に記載の薬学的組成物は、抗体投与、ワクチン投与、細胞毒性薬、天然アミノ酸ポリペプチド、核酸、ヌクレオチド類縁物質、生体反応修飾因子の投与などを含む、あらゆる周知の従来の治療によって、処置条件を補うことができる。
投与に関して、本明細書に記載の薬学的組成物は、該当する製剤のLD−50もしくはED−50、および/または非天然アミノ酸、修飾型または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドのあらゆる副作用の観察によって決定される割合において、以下に限定されないが、患者の大部分のおよび全般的な健康に適合されることを含むような、種々の濃度に投与される。投与は、単一用量または分割用量を介して達成されてもよい。
製剤の注入を受けた患者が発熱、悪寒または筋肉痛を生じるのであれば、彼/彼女は、アスピリン、イブプロフェン、アセトアミノフェンまたは他の痛み/熱制御薬を受ける。注入に対して、発熱、筋肉痛および悪寒といった反応を経験する患者は、後の注入の30分前に、アスピリン、アセトアミノフェン、または以下に限定されないが、ジフェンヒドラミンを含む、いずれかを用いて前投与される。メペリジンは、解熱剤および抗ヒスタミン剤にすぐに反応しないより深刻な悪寒および筋肉痛に使用される。細胞注入は、反応の深刻さに依存して、遅くされる、または中断される。
本明細書に記載されるように、非天然アミノ酸、または修飾型または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、哺乳類の対象に対して直接に投与されてもよい。投与は、対象に対するポリペプチドの導入に通常に使用されるあらゆる経路による。本明細書に記載されているように、非天然アミノ酸、または修飾型または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、経口投与、直腸投与、局所投与、吸入投与(以下に限定されないが、噴霧剤を介する投与を含む)、口腔投与(以下に限定されないが、舌下投与を含む)、膣投与、非経口投与(以下に限定されないが、皮下投与、筋肉内投与、皮内投与、関節内投与、胸膜内投与、腹腔内投与、大脳内投与、動脈内投与、または静脈内投与を含む)、局所投与(すなわち、肌の表面および気道の表面を含む粘膜の表面の両方)、経皮投与に好適なものを含むが、あらゆる任意の場合においてもっとも好適な経路は、処置される条件の性質および深刻さに依存する。投与は、局所または全身のいずれかであってもよい。製剤は、アンプルまたはバイアルといった単一用量または多用量を密閉した容器に存在していてもよい。本明細書に記載されているように、非天然アミノ酸、または修飾型または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、薬学的に許容可能な担体を用いた、単一用量の注入可能な形態(以下に限定されないが、溶液、懸濁液または乳剤を含む)における混合物に調製されてもよい。また、本明細書に記載されているように、非天然アミノ酸、または修飾型または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、連続的な注入(以下に限定されないが、浸透圧ポンプのようなミニポンプを用いて)、単一の急速投与、持続的放出する蓄積製剤によって投与されてもよい。
投与に好適な製剤は、水性溶液および非水性溶液、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤および溶質を含有する等張性の無菌溶液、ならびに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、および防腐剤を含有する、水性無菌懸濁液および非水性無菌懸濁液を含む。溶液および懸濁液は、上述した種類の無菌の粉剤、顆粒剤および錠剤から調製されてもよい。
フリーズドライ(freeze-drying)は、標的タンパク質調製物からの水の除去に役立つ、タンパク質を提供するために通常に採用される技術である。フリーズドライ、または凍結乾燥は、乾燥される材料がまず凍結され、かつそれから氷または凍結溶質が減圧環境において除去される過程である。賦形剤が、フリーズドライ過程の間に安定性を増強するために、および/または保存に関する凍結乾燥産物の安定性を向上するために前凍結乾燥された製剤に含まれてもよい。「Pikal, M. Biopharm. 3(9)26-30 (1990)」および「Arakawaら Pharm. Res. 8(3):285-291 (1991)」。
また、調合薬の噴霧乾燥は、当該分野における通常の当業者に周知である。例えば、「Broadhead, J.ら, “The Spray Drying of Pharmaceuticals,” in Drug Dev. Ind. Pharm, 18 (11 & 12), 1169-1206 (1992) 」を参照すればよい。低分子調合薬に加えて、種々の生物学的な材料が噴霧乾燥され、且つこれらは、酵素、血清、血漿、微生物および酵母を含む。噴霧乾燥は、1段階過程において、純度の高い、ほこりのないまたは凝集された粉に液体の薬学的調製物に転換することができるので、有用な技術である。基本的な技術は、以下の4つの段階:(a)供給溶液を噴霧に霧化すること;(b)噴霧−空気接触;(c)噴霧の乾燥;および(d)乾燥気体から乾燥された産物の分離を包含する。米国特許第6,235,710号明細書および米国特許第6,001,800号明細書は、噴霧乾燥による組み換えエリスロポエチンの調製について説明しており、これらは引用によって本明細書に組み入れられる。
本明細書に記載の薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体を含んでいてもよい。薬学的に許容可能な担体は、投与される特定の組成物と同様に、組成物を投与するために使用される特定の方法によって、部分的に決定される。従って、本明細書に記載の非天然アミノ酸、または修飾型または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドにとって、薬学的組成物(任意の薬学的に許容可能な担体、賦形剤または安定剤)の好適な製剤は、広範囲である(例えば、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995)」、「Hoover, John E., Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975」、「Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N. Y., 1980」、および「Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins, 1999)」 を参照のこと。)好適な担体は、コハク酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、HEPES、クエン酸塩、イミダゾール、酢酸塩、ジカルボン酸塩および他の有機酸を含有する緩衝液;以下に限定されないが、アスコルビン酸を含む酸化防止剤;以下に限定されないが、10残基未満のポリペプチドを含む低分子量ポリペプチド;以下に限定されないが、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンを含むタンパク質;以下に限定されないが、ポリビニルピロリドンを含む親水性ポリマー;以下に限定されないが、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、ヒスチジンもしくはヒスチジン誘導体、メチオニン、グルタミンまたはリジンを含むアミノ酸;以下に限定されないが、トレハロース、スクロース、グルコース、マンノースまたはデキストリンを含むモノサッカライド、ジサッカライドおよび他の炭水化物;以下に限定されないが、EDTAを含むキレート剤;以下に限定されないが、亜鉛、コバルトまたは銅を含む2価の金属イオン;以下に限定されないが、マンニトールまたはソルビトールを含む糖アルコール;以下に限定されないが、ナトリウムを含む塩形成対イオン;および/または、以下に限定されないが、Tween(登録商標)(以下に限定されないが、Tween80(ポリソルベート 80))およびTween20(ポリソルベート 20)、Pluronics(登録商標)および他のプルロン酸(pluronic acids)、以下に限定されないがプルロン酸 F68(ポリキサマー 188)を含む、以下に限定されない、そして他のプルロン酸、またはPEGを含む非イオン性の界面活性剤を含む。好適な界面活性剤は、例えば、以下に限定されないが、ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)(すなわち、PEO−PPO−PEO)、またはポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)(すなわち、PPO−PEO−PPO)、またはこれらの組み合わせに基づくポリエーテルを含む。PEO−PPO−PEOおよびPPO−PEO−PPOは、Pluronics(登録商標)、R−Pluronics(登録商標)、Tetronics(登録商標)およびR−Tetronics(登録商標)という登録商標名において市販されており(BASF Wyandotte Corp., Wyandotte, Mich.)、かつ引用によってその全体が本明細書に組み入れられる米国特許第4,820,352号明細書にさらに記載されている。他のエチレン/ポリプロピレンブロックポリマーは、好適な界面活性剤であり得る。界面活性剤または界面活性剤の組み合わせは、以下に限定されないが、攪拌の結果生じる負荷を含む負荷に対して、PEG化された非天然アミノ酸を安定化するために使用されてもよい。上述のいくつかは、「充填剤」と呼ばれてもよい。また、いくつかは、「張性修飾剤」と呼ばれてもよい。抗菌性保存剤は、生成物の安定性および抗菌的な有効性にも適用されてよい;好適な保存剤は、限定されないが、ベンジルアルコール、ベンズアルコニウム塩化物、メタクレゾール、メチル/プロピルパラベン、クレゾール、およびフェノール、またはそれらの組み合わせを含む。
また、本明細書に記載されているような、PEGなどの水溶性ポリマーに連結されたものを含む、非天然アミノ酸、または修飾型または非修飾型非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、持続型の系の一部によって、または持続型の系の一部として投与されてもよい。持続型組成物は、以下に限定されないが、成型品の形態(以下に限定されないが、薄膜または微小カプセルを含む)における半透過性のポリマー基質を含む。持続型基質は、ポリ(2−ヒドロキシエチル メタクリレート)(「Langerら, J. Biomed. Mater. Res., 15: 267-277 (1981)」および「Langer, Chem. Tech., 12: 98-105 (1982)」)、エチレンビニル酢酸塩(上述の「Langerら」)またはポリ−D−(−)−3−ヒドロキシブチル酸(欧州特許出願公開第133,988号明細書)、ポリラクタイド(米国特許第3,773,919号明細書および欧州特許出願公開第58,481号明細書)、ポリグリコリド(グリコール酸の重合体)、ポリラクタイドコグリコリド(酪酸およびグリコール酸の共重合体)ポリ無水物、L−グルタミン酸およびガンマ−エチル−L−グルタミン酸塩(「Sidmanら, Biopolymers, 22, 547-556 (1983)」)、ポリ(オルト)エステル、ポリペプチド、ヒアルロン酸、コラーゲン、コンドロイチン硫酸塩、カルボン酸、脂肪酸、リン脂質、ポリサッカライド、核酸、ポリアミノ酸、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシンといったアミノ酸、ポリヌクレオチド、ポリビニルプロピレン、ポリビニルピロリドンならびにシリコンといった生物学的適合性材料を含む。また、持続型の組成物は、リポソームに閉じ込められた組成物であってもよい。当該組成物を含有するリポソームは、独国特許出願公開第3,218,121号明細書;「Eppsteinら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 82: 3688-3692 (1985)」;「Hwangら, Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A., 77: 4030-4034 (1980)」;欧州特許出願公開第52,322号明細書;欧州特許出願公開第36,676号明細書;欧州特許出願公開第143,949号明細書;日本国特許出願公開第83−118008号明細書;米国特許第4,485,045号明細書;米国特許第4,619,794号明細書;米国特許第5,021,234号明細書;米国特許第4,544,545号明細書;および欧州特許出願公開第102,324号明細書によって周知の方法によって調製される。上述したすべての参考文献および特許文献は、引用によって本明細書に組み入れられる。
リポソームに閉じ込められたポリペプチドは、例えば、独国特許出願公開第3,218,121号明細書;「Eppsteinら, Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A., 82: 3688-3692 (1985)」;「Hwangら, Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A., 77: 4030-4034 (1980)」;欧州特許出願公開第52,322号明細書;欧州特許出願公開第36,676号明細書;欧州特許出願公開第143,949号明細書;日本国特許出願公開第83−118008号明細書;米国特許第4,485,045号明細書;米国特許第4,619,794号明細書;米国特許第5,021,234号明細書;米国特許第4,544,545号明細書;および欧州特許出願公開第102,324号明細書に記載されている方法によって調製されてもよい。リポソームの組成および大きさは、当該分野の通常の当業者によって経験的に容易に決定され得ることは、周知である。例えば、「Park JW,ら, Proc. Natl. Acad. ScL USA 92:1327-1331 (1995) 」;「Lasic D and Papahadjopoulos D (eds): MEDICAL APPLICATIONS OF LIPOSOMES (1998)」;「Drummond DC,ら, Liposomal drug delivery systems for cancer therapy, in Teicher B (ed): CANCER DRUG DISCOVERY AND DEVELOPMENT (2002)」;「Park JW,ら, Clin. Cancer Res. 8:1172-1181 (2002) 」;「Nielsen UB,ら, Biochim. Biophys. Acta 1591(1-3): 109-118 (2002)」;および「Mamot C,ら, Cancer Res. 63: 3154-3161 (2003)」に記載されているようなリポソームのいくつかの例。上述したすべての参考文献および特許文献は、引用によって本明細書に組み入れられる。
本明細書に記載の組成物、製剤および方法に従って、患者に投与される用量は、ゆっくり時間をかけて被検体に有益な反応を生じさせるために十分な量であるべきである。通常、本明細書に記載されているように、非天然アミノ酸、または修飾型または非修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドの、用量ごとに非経口的に投与される薬学的に効果的な量は、患者の体重に対して、約0.01μg/kg/日から約100μg/kgまたは約0.05mg/kgから1mg/kgの範囲であるが、これは、治療的な自由裁量に依存する。また、用量の頻度は、治療的な自由裁量に依存し、ヒトにおける使用にとってよいと認めた市販の産物よりも高い頻度、または低い頻度であってもよい。通常、本明細書に記載されているように、一例として、PEG化(PEGylated)ポリペプチドを含む、ポリマー:ポリペプチド接合体は、上述したあらゆる投与の経路によって投与されてもよい。
<XII.修飾ポリペプチドの構造−機能関連性>
本明細書に記載されているように、修飾型または非修飾型の非天然アミノ酸ポリペプチド(例としては、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含んでいるシンテターゼ、タンパク質などが挙げられるが、これらに限定されない)は、それが含まれているポリペプチド上における異なる物理的、および化学的な特性を与える。そのような特性の有用性は、非天然アミノ酸の構造、非天然アミノ酸における修飾の構造、またはその両方に依存し、かつ試験ポリペプチドの構造−機能関連性を評価する実験的なモデルを介して評価され得る。
所定の実験的なモデルにおいて、非天然アミノ酸は、所望のポリペプチドまたはタンパク質における非天然アミノ酸に対して、置換される。非天然アミノ酸を含有するポリペプチドまたはタンパク質の発現の後に、タンパク質は、代替のR基のライブラリーにより誘導体化される。これらのR基は、ポリペプチドまたはタンパク質内に含まれる非天然アミノ酸と反応する。R基のライブラリーは、置き換えられるアミノ酸のR基に対するそれらの構造的または化学的な類似性によって選ばれる。タンパク質内の非天然アミノ酸に対する新規なR基の付加に続いて、それから、タンパク質は、適切な試験系内において機能または活性に関して、選別される。ほんの一例として、フェニルアラニンはタンパク質内において、非天然アミノ酸と置き換えられる。それから、フェニルアラニンのR基と類似の特性を有する代替のR基のライブラリーが、非天然アミノ酸に付加される。付加される非天然のR基に付加される単一の代替のR基の例としては、類似の化学的および構造的な特性(例として挙げられるが、これらに限定されない)を与える環、ヘテロ環、または他の化学的な部分が挙げられる。それから、誘導体化されたタンパク質は、新たに置換された非天然アミノ酸の付加に関連する1つまたは複数の機能に関して、当業者によって容易に決定される適切な実験的なモデルにおいて試験することによって、選別される。実験的なモデルの例としては、基礎アッセイ、細胞フリーアッセイ、細胞に基づくアッセイ、組織培養モデル、および動物モデルが挙げられるが、これに限定されない。
さらなる実施形態では、インドールは、薬物開発におけるファルマコフォアに関して、または検出に有用な蛍光核として、非天然アミノ酸上に置換される。そのような付加を容易にするために、インドールに基づくR基またはインドール合成に好適なR基が、最適化された2段階反応を用いて、室温における水性緩衝液におけるインドール形成を導くことによって、非天然アミノ酸に付加される。この反応に続いて、誘導体化されたタンパク質は、所望の活性に関して選別される。
ほんの一例として、ポンペ病の緩和に対する、酸性アルファグルコシダーゼ酵素(GAA)における非天然アミノ酸置換の効果は、ポンペ病用のマウスのモデルにおいて評価され得る。酵素内の選ばれた部位に多様なアミノ酸置換を含む、GAA分子のライブラリーが、本明細書に開示されている発明を介して作り出され、かつ発現される。それから、非天然アミノ酸含有酵素は、本明細書に開示されているように、非修飾の、または翻訳後修飾された形態のいずれかにおいて、ポンペ病用のマウスモデル(GAAに関して遺伝的に欠失がある(GAA−/−)ように育種されているマウス)における活性について評価され得る。非天然アミノ酸含有アミノ酸は、静脈内、経口的、または効率的なタンパク質の輸送および吸収を可能にするあらゆる他の投与経路に投与され得る。投与、酵素半減期、およびポンペ病の緩和の効率は、マウスにおけるグリコーゲンの分解および/または除去か、GAAの血清中濃度の評価か、心肥大の変化または低下か、心筋障害か、骨格筋障害か、当業者によって容易に同定され、かつモニターされる他の印のいずれかによって評価され得る。
本明細書に記載の修飾型または非修飾型の非天然アミノ酸ポリペプチドは、広範な工業的用途に有用である。本明細書に記載の修飾型または非修飾型の非天然アミノ酸ポリペプチド産物の使用は、工業的用途において市販されているポリペプチドの調製によって証明されたあらゆる活性を結果として生じる。
ほんの一例として、エタノールの生産用の酵素は、非天然アミノ酸を用いて修飾され、かつ機能の変化について評価され得る。多様な非天然アミノ酸置換を含む、アルコールデヒドロゲナーゼIIおよびピルビン酸カルボキシラーゼ酵素のライブラリーは、本明細書に開示されている発明を介して、作り出され、かつ発現され得る。それから、非天然アミノ酸修飾酵素は、非天然アミノ酸置換の結果によってまたは結果として与えられたエタノール生産の効率の変化について、選別され得る。基質に対する親和性、および変換率(例として挙げられるが、これに限定されない)の増加は、当該分野においてよく知られている技術によって選別され、かつエタノールの工業的な製造に適用され得る。
本明細書に開示されている発明の工業的な適用のさらなる例としては、除草剤および殺虫剤の環境的な浄化が挙げられる。通常に使用される除草剤であるアトラジンの汚染土壌からの除去は、アトラジンの代謝に従ってアトラジンを無毒化する酵素によって促進される。非天然アミノ酸置換を含む、修飾されたアトラジンクロロヒドロラーゼ酵素のライブラリーは、本明細書に開示されている発明を介して作り出され、かつ発現され得る。それから、非天然アミノ酸修飾アトラジンクロロヒドロラーゼのライブラリーは、環境だけでなく、非天然アミノ酸置換の結果によってまたは結果として与えられたアトラジン代謝のあらゆる新しい様式に見られるアトラジンの脱塩素化能の変化について選別され得る。これまでに記載されているように、酵素効率の変化は、当該分野においてよく知られている技術(例としては、アトラジンまたは中間物質の物質代謝の増加が挙げられるが、これに限定されない)を介して評価され得る。
〔実施例〕
(実施例1:
Figure 2009522275
の合成)
使用される合成は、以下の反応手順:
Figure 2009522275
に記載されている。
(a)
Figure 2009522275
の合成
0℃のピリジン(50mL)における1−p−トリルヒドラジン(5.0g、31mmol)の溶液に対して、AcO(30mL、318mmol)が加えられた。混合物は、室温において一昼夜、攪拌され、それからMeOH(100mL)を用いて抑制された。溶媒が減圧下において除去された後に、残余物は、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、20−50%のEtOAc/ヘキサン)によって生成されて、無色の油状物(6.72g、87%)が生じた:1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.28 (d, / = 8.4 Hz, 2H), 7.24 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 2.47 (s, 6H), 2.40 (s, 3H), 2.14 (s, 3H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 171.8, 169.5, 139.1, 138.8, 130.4, 126.4, 25.4, 22.3, 21.3。
(b)
Figure 2009522275
の合成
CCl(300mL)におけるN−p−トリルアセトヒドラジン(6.4g、25.8mmol)の溶液に対して、N−臭化コハク酸イミド(5.1g、28.7mmol)が加えられた。混合物は還流しながら過熱された。2,2−アゾビスイソブチロニトリル2,2’−(AIBN、0.2g、1.2mmol)が加えられた。生じた混合物は、36時間、還流しながら攪拌され、かつ室温まで冷却された。混合物は、HOおよび塩水を用いて洗浄され、無水NaSO上において乾燥され、ろ過され、濃縮されて、褐色の油状物としての臭化物(8.62g)を生じた。粗製産物は、精製することなく、次の段階に直接に使用された。
(c)
Figure 2009522275
の合成
EtOH(80mL)におけるEtONa(2.3g、32.1mmol)の溶液に対して、ジエチル 2−アセトアミドマロネート(6.3g、29.0mmol)が加えられた。生じた混合物は、0℃において20分間、攪拌された。N’,N’−ジアセチル−N−(4−(ブロモメチル)フェニル)アセトヒドラジド(8.62g、26.4mmol)が、一度に加えられた。混合物は、一昼夜、80℃に加熱され、それから室温まで冷却された。クエン酸(10g、50mmol)が反応混合物に加えられた。ほとんどの溶媒が除去された後に、残余物はEtOAc(500mL)を用いて希釈された。混合物は、HOおよび塩水を用いて洗浄され、無水NaSO上において乾燥され、ろ過され、かつ濃縮された。残余物は、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、15−80%のEtOAc/ヘキサン)によって精製されて、黄色の油状物としてのジエチル 2−(4−(アセトアミド)ベンジル)−2−アセトアミドマロネート(4.17g、35%)を生じた:1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.23 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.03 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.57 (s, IH), 4.29-4.20 (m, 4H), 3.65 (m, 2H), 2.41 (s, 6H), 2.08 (s, 3H), 2.01 (s, 3H), 1.27 (t, J = 3.6 Hz, 6H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 171.7, 169.3, 169.2, 167.4, 140.3, 136.4, 131.3, 126.2, 67.2, 63.0, 37.4, 25.3, 23.2, 22.3, 14.2。
(d)
Figure 2009522275
の合成
ジオキサミン(15mL)におけるジエチル2−(4−(アセトアミド)ベンジル)−2アセトアミドマロネート(572mg、1.24mmol)に対して、HCl(12N、15mL)が加えられた。生じた混合物は、一昼夜、還流しながら過熱され、かつ減圧下において濃縮された。残余物に対してMeOH(1mL)が加えられた。エーテル(200mL)が加えられて、固体としての産物(231mg、81%)を沈降した:1H NMR (500 MHz, D2O) δ 7.28 (d, J= 8.5 Hz, 2H), 7.00 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 4.21 (dd,J= 7.4, 5.7 Hz, IH), 3.26 (dd, J = 9.2, 5.7 Hz, IH), 3.15 (dd, J = 14.7, 7.4 Hz, IH); 13C NMR (125 MHz, D2O) δ 171.5, 142.9, 130.3, 129.0, 115.7, 54.1, 34.7。
(実施例2:
Figure 2009522275
の合成)
使用される合成は、以下の手順:
Figure 2009522275
に記載されている。
(a)
Figure 2009522275
の合成
0℃のNaOH(40mL、25%)溶液に対して、エーテル(60mL)が加えられる。爆破防御物が反応フラスコの前に置かれた。生じた混合物に対して、3部のN−ニトロソ−N−メチル尿素(6.0g、57.9mmol)が3分間に渡って加えられた。反応物質は、10分間、0℃において攪拌された。それから、ジエチルエーテル層および水酸化ナトリウム層が分離された。有機層は、開始材料が完全に分散する(TLCによってモニターされた)まで、5分間に渡ってポーションワイズ(potionwise)(約6回の添加)によって、無水THF(20mL)におけるN−Boc−4−ヒドロキシメチルフェニルアラニン(7.5g、25.4mmol)の溶液に対して加えられた。それから、氷酢酸の液滴が加えられて、反応が抑制された。回転蒸発によって有機溶媒が除去された後に、酢酸エチルが添加された。有機層は、連続的に飽和NaHCO、HO、および塩水を用いて洗浄され、それから無水MgSO上において乾燥され、ろ過され、かつ濃縮されて、白色の粉末としての産物(5.9g、75%)を生じた:1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.27 (d, 7= 8.0 Hz, 2H), 7.09 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 5.01 (d, J= 7.9 Hz, IH), 4.63 (s, 2H), 4.55 (dt, J= 7.7, 6.2 Hz, IH), 3.69 (s, 3H), 3.10 (dd, J = 13.8, 5.7 Hz, IH), 3.02 (dd, J = 13.8, 6.0 Hz, IH), 2.02 (br s, IH), 1.40 (s, 9 H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) 5172.5, 155.3, 139.9, 135.5, 129.6, 127.4, 80.1, 65.0, 54.6, 52.4, 38.1, 28.4。
(b)
Figure 2009522275
の合成
0℃においてCHCl(400mL)におけるアルコール(6.0g、19.4mmol)およびピリジン(12mL、150mmol)の攪拌された溶液に対して、Dess-Martinペリオジナン(periodinane)(14.2g、33.4mmol)が加えられた。混合物は、一昼夜、室温において攪拌された。それから、反応は、飽和Na−NaHCO水溶液(1:1、300mL)の添加によって抑制され、かつCHClを用いて抽出された。有機層は、HOと塩水を用いて混合および洗浄され、それから、無水NaSO上において乾燥され、ろ過され、かつ減圧下において濃縮された。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、1:100−1:1のヘキサン:EtOAc)による残余物の精製によって白色の固体としてのアルデヒド産物(5.48g、92%)を生じた:1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.98 (s, IH), 7.81 (d, J= 7.8 Hz, 2H), 7.30 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 5.04 (d, J = 7.8 Hz, IH), 4.62 (dt, J = 7.2, 6.2 Hz, IH), 3.71 (s, 3H), 3.21 (dd, J= 13.7, 5.7 Hz, IH), 3.10 (dd, J = 13.7, 6.4 Hz, IH), 1.40 (s, 9H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 192.1, 172.1, 155.2, 143.7, 135.5, 130.3, 130.1, 80.4, 54.4, 52.6, 38.9, 28.5。
(c)
Figure 2009522275
の合成
ヘキサン(150mL)における上述のアルデヒド(3.07g、10mmol)溶液に対して、t−ブチルカルバゼート(butylcarbazate)が加えられた。生じた混合物は、1時間、還流しながら過熱され、かつ濃縮された。残余物に対して、BH・THF(1M、10mL、10mmol)が加えられた。混合物は、15分間、室温において抽出され、かつ飽和NaHCO溶液の添加によって抑制された。混合物はEtOAcを用いて抽出された。有機層は、HOおよび塩水を用いて洗浄され、それから無水NaSO上において乾燥され、ろ過され、かつ減圧下において濃縮された。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、2:1−1:2のヘキサン:EtOAc)による残余物の精製によって、白色の固体としての産物(3.1g、73%)を生じた。
(d)
Figure 2009522275
の合成
0℃のジオキサン(10mL)における上述のメチルエステル(1.3g、3.1mmol)の溶液に対して、LiOH(10mL、1N)が加えられた。混合物は、1時間、同じ温度において攪拌され、かつクエン酸溶液(5%、200mL)の添加によって抑制された。混合物はEtOAcを用いて抽出された。有機層は、HOおよび塩水を用いて洗浄され、それから無水NaSO上において乾燥され、ろ過され、かつ濃縮されて、固体としての酸(1.08g、86%)を生じた。
(e)
Figure 2009522275
の合成
0℃のCHCl(10mL)における上述の酸(1.0g、2.4mmol)の溶液に対して、トリフルオロ酢酸(20mL)が加えられた。反応混合物は、2時間、0℃において攪拌され、かつ減圧下において濃縮された。残余物に対して、MeOH(1mL)が添加され、続いてHCl(2.0mL、4N)が添加された。エーテルが添加されて、固体としての産物(200mL)を沈降した。
(0.4g、80%)
(実施例3)
この実施例は、図5に表されるジカルボニル含有アミノ酸の合成を詳細に説明する。ジカルボニル含有アミノ酸は、図5に記載されるように産生された。
(実施例4)
この実施例は、図6に表されるジカルボニル含有アミノ酸の合成を詳細に説明する。ジカルボニル含有アミノ酸は、図6に記載されるように産生された。
(実施例5)
この実施例は、図7に表されるジアミン含有アミノ酸の合成を詳細に説明する。ジアミン含有アミノ酸は、図7に記載されるように産生された。
(実施例6)
この実施例は、図8に表されるジアミン含有アミノ酸の合成を詳細に説明する。ジアミン含有アミノ酸は、図8に記載されるように産生された。
(実施例7:ジカルボニル含有アミノ酸およびジアミン含有試薬からのピラゾールの形成)
Figure 2009522275
トリス緩衝液(pH8.5、10mM)におけるメチルヒドラジン(0.15mL)の溶液に対して、ジケトンが加えられた。混合物は、3時間、室温において攪拌され、それからクエン酸(5%)の添加によって抑制された。生じた混合物はEtOAcを用いて抽出された。有機層は、HOおよび塩水を用いて洗浄され、それから無水NaSO上において乾燥され、ろ過され、かつ濃縮された。残余物は、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、10:1−1:1のヘキサン:EtOAc)によって精製されて、白色の固体としての産物(異性体の比(〜3:1)、117mg、81%)を生じた。
(実施例8)
この実施例は、図9に表されるように、ジカルボニル含有試薬を用いたジアミン含有アミノ酸の修飾を詳細に説明する。
(実施例9)
この実施例は、図10に表されるように、ジカルボニル含有試薬を用いたジアミン含有アミノ酸の修飾を詳細に説明する。
(実施例10)
この実施例は、図12に表されるように、ジアミン含有試薬を用いたジカルボニル含有アミノ酸の修飾を詳細に説明する。
(実施例11)
この実施例は、図18に表されるように、ジアミン機能付与PEGリンカーの合成を詳細に説明する。
(実施例12)
この実施例は、図19に表されるように、ジカルボニル機能付与PEGリンカーの合成を詳細に説明する。
(実施例13)
この実施例は、図20に表されるように、ジアミン2機能付与PEGリンカーの合成を詳細に説明する。
(実施例14)
この実施例は、図21に表されるように、ヘテロ2機能付与リンカーの合成を詳細に説明する。
(実施例15)
この実施例は、図22に表されるように、3機能付与PEGリンカーの合成を詳細に説明する。
(実施例16)
この実施例は、図23に表されるように、ジアミン含有PEG試薬を用いたhGHのPEG化を詳細に説明する。
(実施例17)
この実施例は、図24に表されるように、ジアミン含有2機能性PEGリンカーを用いたhGHポリペプチドのダイマライゼーションを詳細に説明する。
(実施例18)
この実施例は、図25に表されるように、ヘテロ2機能性付与リンカーを用いたhHGのPEG化を詳細に説明する。
(実施例19)
この実施例は、図26に表されるように、ヒドロキシルアミン含有3機能性リンカーを用いたhGHポリペプチドのダイマライゼーションに続く、hGHダイマーのPEG化を詳細に説明する。
(実施例20)
この実施例は、E.coliにおける修飾型ポリペプチドのクローニングおよび発現を詳細に説明する。直交化tRNA(O−tRNA)および直交化アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を含んでいる、導入された翻訳系は、非天然アミノ酸を含むポリペプチドの発現に使用された。O−RSは、非天然アミノ酸によりO−tRNAを優先的にアミノアシル化する。さらに、翻訳系は、コードされたセレクターコドンに応じて、ポリペプチドに非天然アミノ酸を挿入した。非天然アミノ酸の組み込みに有用なO−tRNAおよびO−RSのアミノ酸配列および核酸配列は、引用によって本明細書に組み込まれる、「In Vivo Incorporation of Unnatural Amino Acids」と題された、米国特許出願公開第10/126,927、および「Methods and Compositions for the Production of Orthogonal tRNA- Aminoacyl tRNA Synthetase Pairs」と題された、米国特許出願公開第10/126,931に記載されている。また、以下のO−RSおよびO−tRNAの配列が使用され得る。
Figure 2009522275
修飾された遺伝子および直交化アミノアシルtRNAシンテターゼ/tRNA対(所望の非天然アミノ酸に特異的な)を含むプラスミドによって、E.coliを形質転換することにより、ポリペプチドへの非天然アミノ酸の部位特異的な組み込みが可能になった。約0.01から約100mMの間の非天然アミノ酸を含む培地において37℃において成長された、形質転換されたE.coliは、高い忠実性および効率を伴って修飾型ポリペプチドを発現した。非天然アミノ酸を含むHisタグ付きポリペプチドは、封入体および凝集体として、E. coli宿主細胞によって産生される。凝集体は、可溶化され、6MのグアジニンHClの変性条件下において親和性精製された。リフォールディングが、約pH8.0の約50mMのTRIS−HCl、および約40μMのCuSO、約2%(w/v)のサルコシル(Sarkosyl)において、一昼夜の4℃における透析によって実施された。それから、材料は、約pH8.0の20mMのTRIS−HCl、および約100mMのNaCl、および約2mMのCaClに対して透析され、続いてHisタグが除去された。「Boisselら, (1993) 268:15983-93」を参照のこと。ポリペプチドの精製方法は、当該分野においてよく知られており、SDS−PAGE、ウェスタンブロッティング解析、またはエレクトロスプレーイオン化イオントラップ質量分析などによって確かめられた。
以下の実施例は、治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドのインビトロおよびインビボにおける活性を、治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチドのインビトロおよびインビボにおける活性に対して、測定および比較する方法を説明する。
(実施例21:細胞結合アッセイ)
2つ組の細胞(3×l0)は、多様な濃度の非標識のGH、hGHまたはGM−CSF(容積:10μl)の存在もしくは非存在、および125I−GH(約100,000cpmまたは1ng)の存在の下に、PBS/1%BSA(100μl)中で、0℃で90分間、インキュベートされた(総容積:120μl)。それから、細胞は、再懸濁され、かつ350μlのプラスティックの遠心チューブにおいて、200μlの氷冷FCS上に層状にされ、遠心分離(1000g;1分)された。ペレットは、チューブの末端を切除することによって回収され、ペレットおよび上清は、ガンマカウンター(Packard)において別々に計算された。
特異的な結合(cpm)は、競合物の非存在下における総結合(2つ組みの平均値)から、100倍以上の過剰量の非標識GH(非特異的結合)の存在下における結合(cpm)を引いたものとして、決定された。非特異的結合は、使用された細胞種のそれぞれについて測定された。実験は、125I−GHの同じ調製物を用いて別の日に実施され、かつ内部整合性を示す必要がある。125I−GHは、GH受容体産生細胞に対する結合を示した。当該結合は、非標識の天然GHまたは天然hGHによって用量依存的に阻害されたが、GM−CSFまたは他の陰性対照によって阻害されなかった。天然GHと類似している天然125I−GHの結合と競合するhGHの能力は、受容体が両方の形態を十分に等しく認識することを示唆している。
(実施例22:ヘテロ環連結を介したhGHのPEG化のインビボにおける研究)
PEG−hGH、非修飾型hGHおよび緩衝液溶液は、マウスまたはラットに投与された。その結果、体重が顕著に増加することが示された非修飾型hGHと比較して、本発明のPEG化hGHは、優れた活性および延長された半減期を示した。
(実施例23:接合されたhGHおよびこれらのバリアントと、非接合のhGHおよびこれらのバリアントとのインビボにおける半減期の測定)
すべての動物実験は、実験動物管理公認協会(AAALAC)に認可された設備において、かつセントルイス大学の所内動物実験委員会によって承認された手法の下に行われた。ラットは、12時間の明暗周期の室内において、別々にケージに収納された。動物は、認定されたピューリナげっ歯類固形試料(Purina rodent chow) 5001および水を自由に入手可能であった。下垂体切除されたラットに対しては、飲み水に、さらに5%のグルコースを含有させた。
(実施例24:薬物動態研究)
PEG化突然変異体hGHのそれぞれの性質は、動物実験に入る前に、3回のアッセイによって評価された。(ヘテロ環連結を介してPEG化された)PEG−hGHの純度は、非還元条件におけるMES SDSランニング(running)緩衝液(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いた、4−12%のNuPAGE Bis−Trisゲルの実施によって調べられた。ゲルはクーマシーブルーにより染色された。PEG−hGHのバンドは、濃度測定スキャン(densitometry scan)に基づいて、95%以上の純度であった。PEG−hGHのそれぞれにおけるエンドトキシンの濃度は、Charles River Laboratories (Wilmington, MA)から提供されるKTAキットを用いた、動的LALアッセイによって試験され、かつ用量ごとに5EU以下であった。PEG−hGHの生物活性は、IM−9 pSTAT5を用いて評価され、かつEC50値が、15nM以下であることを確認した。
PEG修飾型成長ホルモン化合物の薬物動態的性質は、Charles River Laboratoriesから得られたオスのSDラット(261−425g)において、互いに、かつ非PEG化成長ホルモンに対して、比較された。カテーテルは、血液回収のために、頚動脈に外科的に取り付けられた。カテーテルの取り付けが上手くいった後に、動物は投与の前に処理群(1群ごとに3から6)に割り当てられた。動物は、0.41−0.55ml/kgの投与容積において1mg/kgの化合物を用いて、皮下に投与された。血液試料は、体内に導入された留置カテーテルを介して種々の時点において、EDTA被覆マイクロチューブに回収された。血漿は、遠心分離後に回収され、かつ分析まで−80℃において保存された。化合物の濃度は、BioSource International (Camarillo, CA)またはDiagnostic Systems Laboratories (Webster, TX)のいずれかから提供される、抗体サンドイッチ成長ホルモン(antibody sandwich growth hormone)ELISAキットを用いて測定された。濃度は、投与された類縁物に対応する標準を用いて算出された。薬物動態学的パラメーターは、モデリングプログラム WinNonlin (Pharsight, version 4.1)を用いて測定された。リニアアップ/ログダウン(linear-up/log-down)台形積分を用いた非区画分析(noncompartmental analysis)が使用され、かつ濃度データが均一に加重された。
血漿濃度は、ラットへの単回皮下投与の後に、定まった間隔に得られた。ラット(群ごとにn=3−6)は、1mg/kgのタンパク質を単回で大量瞬時投与された。gGH野生型タンパク質(WHO hGH)、Hisタグ付きhGHポリペプチド(his−hGH)、または6つの異なる位置のそれぞれに30kDaのPEGに共有結合的に連結された非天然アミノ酸p−フェニルアラニンを含んでいる、Hisタグ付きhGHポリペプチドは、WHO hGHおよび(his)−hGHと比較された。血漿試料は、定まった時間間隔に渡って取られ、かつ記載したような注入化合物についてアッセイされた。下記の表は、多様なhGHポリペプチドの単回投与についての薬物動態学的パラメーターの値を示している。濃度対時間曲線は、非区画分析(Pharsight, version 4.1)によって評価された。示されている値は、平均値(+/− 標準偏差)である。Cmax:最大濃度;ターミナル(terminal)t1/2:一期間の半減期;AUC0−inf:最大に推定された濃度−時間曲線の下にある面積;MRT:平均滞留時間;Cl/f:見かけの総血漿排除;Vz/f:末期における分布の見掛けの容積。30KPEG−pAF92 (his)hGHは、対照のhGHと比較して、循環が劇的に延長していること、血中半減期が増加していること、および生物学的利用性が増加していることを示した。
Figure 2009522275
(実施例25:薬力学研究)
下垂体を切除したオスのSDラットは、Charles River Laboratoriesから得られた。下垂体は、3−4週齢において外科的に除去された。動物を、体重が監視されている期間である3週間の期間、環境に慣れさせた。研究開始前の7日の期間に渡って0−8gの体重増加した動物は、処理群に含められ、かつ無作為化された。ラットは、大量瞬時投与または毎日の投与のいずれかにおいて皮下に投与された。研究を通して、ラットは、毎日かつ続けて体重測定され、麻酔され、採血され、かつ(適用可能な場合は)投与された。血液は、ヘパリン処理キャピラリーチューブを用いて眼窩洞(orbital sinus)から回収され、かつEDTA被覆マイクロチューブに収納された。血漿は遠心分離によって単離され、かつ分析まで−80℃に保存された。平均血漿濃度(+/−標準偏差)は時間間隔に対してプロットされた。
ペプチドIGF−1は、ソマトメジンまたはインシュリン様成長因子のファミリーの一員である。IGF−1濃度は、用意されたラット/マウスIGF−1標準(Diagnosic Systems Laboratories)に対する競合的な結合酵素免疫アッセイキットを用いて、測定された。下垂体を切除したラット。ラット(群ごとにn=5−7)は、単回投与または毎日の投与のいずれかにおいて、皮下に投与された。動物は、続けて体重が測定され、麻酔され、採血され、さらに(適用可能な場合は)毎日投与された。プラシーボ処理、野生型hGH(hGH)、hGH((his)hGH)、ならびに35位および92位において30kDaPEGと共有結合的に連結されたp−アセチル−フェニルアラニンを含んでいるhGHについて、体重の結果が取得された。30KPEG−pAF35(his)hGH化合物に関する9日における体重増加は、30KPEG−pAF92(his)hGHのものよりも、より大きいという点において、統計的に異なる(p<0.0005)ことが観察された。PEG化された非天然アミノ酸を含んでいるhGHポリペプチドの単回用量の投与後における、循環血漿IGF−1に対する影響は、両側分布、独立した、均等分散を用いたt−検定によって決定した。
(実施例26:非天然にコードされたアミノ酸を含んでいるPEG化hGH(ヘテロ環連結を介したPEG化)の、安全性および/または効率のヒトの臨床試験)
‐目的‐
非天然にコードされたアミノ酸を含んでいる、皮下に投与されたPEG化組み換えヒトhHGの安全性および薬物動態学的性質を、1つ以上の市販のhHG産物(例としては、Humatrope(登録商標)(Eli Lilly & Co.)、Nutropin(登録商標)(Genentech)、Norditropin(登録商標)(Novo-Nordisk)、Genotropin(登録商標)(Pfizer)およびSaizen/Serostim(登録商標)(Serono)が挙げられるが、これらに限定されない)と、比較すること。
‐患者‐
20−40歳の間の範囲および60−90kgの体重の範囲にある健康な18人の有志者が、研究に加えられた。被験者は、血液学または血液生化学検査に関して臨床的に有為な異常の検査値を有しておらず、かつ尿中毒素スクリーン、HIVスクリーン、およびB型肝炎表面抗原について陰性を有している。彼らは、以下のあらゆる徴候:高血圧症;あらゆる原発性の血液疾患の病歴;有為な肝疾患、腎疾患、心血管疾患、胃腸疾患、泌尿器疾患、代謝疾患、神経性疾患の病歴;貧血または発作の不調;細菌もしくはヒト由来産物、PEG、またはヒト血清アルブミンに対する公知の過敏症;カフェインを含む飲料の常習的消費者または大量消費者;他のあらゆる臨床試験への参加、または研究に入る30日以内の輸血もしくは献血;研究に入る3ヶ月以内のhGHに対する暴露;研究に入る7日以内の病気;ならびに研究前の健康診断、または研究に入る14日以内の臨床検査評価における有為な異常を有していない必要がある。すべての被験者は、安全に関して評価され、かつ薬物動態学的性質の分析用のすべての血液収集物は、予定されたように回収された。すべての研究は、所内倫理委員会の承認および患者の同意とともに実施される。
‐研究計画‐
これは、健康な男性の有志者における、第1相研究、単一施設研究、盲検研究、無作為化研究、2期クロスオーバー研究である。18の被験者は、2つの処置系列群(9被験者/群)の1つに無作為に割り当てられる。GHは、非天然アミノ酸を含んでいるPEG化hGHおよび選ばれた市販の製品の等量を用いて、太股の上部に大量瞬時の皮下注射として、別々の2回の投与期に渡って投与された。市販の製品の投与の用量および頻度は、包装の表示に指示されている通りである。所望されるように付加的な投薬、投薬の頻度、または他の要因は、被験者の付加的な群を組み込むことによって研究に加えられ得る。投薬期のそれぞれは2週間の洗い流し期によって分離される。被験者は、各2つの投与期間の前に少なくとも12時間、および各2つの投与期間の後に72時間、研究施設に拘束されるが、投与期間中は拘束されない。同様にPEG化hGHについて試験されるべき付加的な投薬、頻度、または他の要因がある場合には、付加的な被験者の群が加えられ得る。ヒトへの使用が認可されているGHの複数の製剤が本研究に使用され得る。Humatrope(登録商標) (Eli Lilly & Co.)、Nutropin(登録商標) (Genentech)、Norditropin(登録商標) (Novo-Nordisk)、Genotropin(登録商標) (Pfizer)およびSaizen/Serostim(登録商標) (Serono)は、ヒトへの使用が認可されている市販の製品である。hGHの実験的な製剤は、非天然にコードされたアミノ酸を含んでいるPEG化hGHである。
‐血液試料採取‐
血液の系列は、hGHの投与の前後に直接の静脈穿刺によって出される。血中GH濃度に関する静脈血試料(5ml)は、投与の約30、20および10分前(3つの基本試料)に、ならびに投薬後からおよそ以下の時間:30分、および1、2、5、8、12、15、24、30、36、48、60、および72時間に得られる。血清試料のそれぞれは2つの一定分量に分割される。すべての血清試料は−20℃に保存される。血清試料はドライアイス上に収められる。絶食臨床検査(血液学、血液生化学検査および尿分析)は、1日目における最初の投与の直前、4日目の朝、16日における投与の直前、および19日目の朝に実施される。
‐生物解析方法‐
ELISAキット手法(Diagnostic Systems Laboratory [DSL], Webster TX)が、血清GH濃度の決定に使用される。
‐安全性決定‐
生命徴候は、各投与(1日目および16日目)の直前、ならびに各投与後の6、24、48、および72時間後に記録される。安全性の決定は、有害事象の発生率および種類、ならびに基本からの臨床検査の変化に基づいている。その上に、研究前の生命徴候測定(例としては、血圧および健康診断の結果が挙げられる)からの変化が評価される。
‐データ解析‐
投与後の血清中濃度値は、投与後の値のそれぞれから、投与前の30、20、および10分に回収された3つの試料からGH濃度の平均して決定された基本GHレベルの平均を引くことによって、投与前の基本GH濃度に関して補正される。投与前の血清GH濃度は、アッセイの定量化レベル以下の場合には、平均値の計算に算入されない。薬物動態学的パラメーターは、基本GH濃度に関して補正された血清中濃度データから決定される。薬物動態学的パラメーターは、BIOAVLソフトウェアの最も後期の型を用いたDigital Equipment Corporation VAX 8600コンピュータシステムにおけるモデル依存的方法によって、算出される。以下の薬物動態学的パラメーター:最高点の血清中濃度(Cmax);最高点の血清中濃度までの時間(tmax);リニア台形法を使用して算出された、濃度−時間曲線の下にある面積(AUC)、時間0から最後の血液試料採取時までの濃度−時間曲線の下にある面積(AUC0−72);ならびに排除率定数から計算された一期間の排除半減期(t1/2)が決定される。排除率定数は、ログ−リニア濃度−時間プロットの一期間の直線領域における、連続的なデータ点の直線回帰によって評価される。薬物動態学的パラメーターの平均、標準偏差(SD)、および変動係数(CV)は、それぞれの処理に関して算出される。要因平均の割合(保護された製剤/非保護の製剤)が算出される。
‐安全性の結果‐
有害事象の発生率は、処理群に渡って等しく分布される。臨床的に有為な基本、または研究前の臨床検査、または血圧から変化がなく、かつ研究前の健康診断および生命徴候測定から顕著な変化がない。2つの処理群に関する安全性プロフィールは、同様に現れる。
‐薬物動態学的性質の結果‐
1つ以上の市販のhGH製品(例としては、Humatrope(登録商標) (Eli Lilly & Co.)、Nutropin(登録商標) (Genentech)、Norditropin(登録商標) (Novo-Nordisk)、Genotropin(登録商標) (Pfizer)およびSaizen/Serostim(登録商標) (Serono)が挙げられるが、これらに限定されない)の単回投与を受けた後の18の被験者における、GHの平均血清濃度−時間プロフィール(基本GHレベルに関して未補正)は、測定されたそれぞれの時点における非天然にコードされたアミノ酸を含んでいるPEG化hGHと比較される。すべての被験者は、正常な生理的範囲内にある投与前の基本GH濃度を有している。薬物動態学的パラメーターは、投与前の平均基本GH濃度に関して補正された血清データから決定され、かつCmaxおよびtmaxが決定される。選ばれた臨床的比較物(Humatrope(登録商標) (Eli Lilly & Co.)、Nutropin(登録商標) (Genentech)、Norditropin(登録商標) (Novo-Nordisk)、Genotropin(登録商標) (Pfizer)およびSaizen/Serostim(登録商標) (Serono))に関する平均tmaxは、非天然にコードされたアミノ酸を含んでいるPEG化hHGに関するtmaxよりも有為に短い。一期間の半減期の値は、非天然にコードされたアミノ酸を含んでいるPEG化hGHに関する一期間の半減期を比較して試験された、市販のhGH製品に関して有為に短い。
本研究は、健康な男性の被験者において実施されているが、同様の吸着特性および安全性プロフィールは、他の患者集団(例えば、癌もしくは慢性の腎不全の男性もしくは女性の患者、小児腎不全の患者、自家前貯蔵計画(autologous predeposit program)中の患者、または待機手術に予定されている患者)において予想される。
結論として、非天然にコードされたアミノ酸を含んでいるPEG化hGHの皮下に投与される単回投与は、安全であり、かつ健康な男性の被験者によって許容される。有害事象の比較的な発生率、臨床検査値、生命徴候、および身体検査の結果に基づいて、hGHの市販の形態、および非天然にコードされたアミノ酸を含んでいるPEG化hGHの安全性プロフィールは、等価である。非天然にコードされたアミノ酸を含んでいるPEG化hGHは、患者に対する大きな臨床的有用性、および保健医療提供物を、潜在的に提供する。
(実施例27:PEG化hGHと非PEG化hGHとの水溶性の比較)
野生型のタンパク質(WHO hGH)、Hisタグ付きhGHポリペプチド(his−hGH)、または30kDaのPEGと共有結合的に連結された非天然アミノ酸 p−アセチル−フェニルアラニンを92位に含んでいる、Hisタグ付きhGHポリペプチドの水溶性は、100μLの水に溶解可能なそれぞれのポリペプチドの量を決定することによって得られる。非天然アミノ酸ポリペプチドのそのPEG化が水溶性の向上を示す、PEG化hGHの量は、WHO hGHおよびhGHに関する量よりも大きい。
(実施例28:治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドのインビボにおける研究)
前立腺癌腫瘍異種移植片は、その後に2群に分けられるマウスに移植される。1群は、治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドを用いて毎日、処理され、他の群は、治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチドを用いて毎日、処理される。腫瘍の大きさは毎日、測定され、治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドを用いて処理される群に関して腫瘍の大きさの縮小によって指し示されるように、治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチドと比較して、向上した治療効率を有する。
(実施例29:治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドのインビボにおける研究)
前立腺癌腫瘍異種移植片は、その後に2群に分けられるマウスに移植される。1群は、治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドを用いて毎日、処理され、かつ他の群は、治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチドを用いて毎日、処理される。腫瘍の大きさは毎日、測定され、治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドを用いて処理される群に関して腫瘍の大きさの縮小によって指し示されるように、治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチドと比較して、向上した治療効率を有する。
以下の実施例は、治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドのインビトロおよびインビボにおける活性を、治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチドのインビトロおよびインビボにおける活性に対して、測定および比較する方法について説明する。
(実施例30:非天然アミノ酸ポリペプチドの活性および親和性の測定)
この実施例は、受容体、結合パートナー、またはリガンドに対する非天然アミノ酸ポリペプチドの、非天然アミノ酸ポリペプチド活性および親和性の測定を詳細に説明する。
非天然アミノ酸ポリペプチドの受容体、結合パートナー、またはリガンドに関するタンパク質は、通常の当業者に公知の方法に従って、発現および単離される。Biocore(登録商標)システムは、受容体に対する非天然アミノ酸ポリペプチドの結合を解析するために使用される。同様に、結合パートナーまたはリガンドは、このアッセイに使用され得る。
可溶性受容体のおよそ600−800RUは、取り扱い説明書に推奨されているように、標準のアミンカップリング手法を用いて、Biocore(登録商標) CM5チップ上に不動化される。HBS−EP緩衝液(Biacore(登録商標), Pharmacia)における多様な濃度の野生型の、または修飾の、または非修飾の非天然アミノ酸ポリペプチドは、40μl/分の流量において4−5分間、表面の上に注入され、分離が注入後の15分間、監視された。表面は4.5MのMgClの15秒のパルスによって再生される。結合親和性の最小の損失(1−5%)が、少なくとも100再生サイクルの後に観察される。不動化された受容体のない参照細胞は、あらゆるバッファーバルクエフェクト(buffer bulk effect)および非特異的結合を取り去るために使用される。
修飾または非修飾の非天然アミノ酸ポリペプチドの力価実験から得られた、動態的な結合データは、BiaEvaluation 4.1(BIACORE(登録商標))を用いて処理される。平行解離定数(Kd)は、個々の比率定数(Koff/Kon)の割合として算出される。
安定な細胞株は、非天然アミノ酸ポリペプチドに関する受容体、結合パートナー、またはリガンドの発現を確立される。細胞は、受容体、結合パートナー、またはリガンドのcDNAを含むコンストラクトを用いて、エレクトロポレーションされる。トランスフェクションされた細胞は、クローニング前に48時間、回復させられる。受容体、結合パートナー、またはリガンドを発現する形質移入体は、受容体に対する抗体を用いた表面染色によって同定され、かつFACS Array (BD Biosciences, San Diego, CA)において分析される。安定にトランスフェクションされた細胞のクローンは、所望の形質移入体の繰り返しサブクローニングのさらなる1巡りによって確立される。そのような細胞は、細胞結合アッセイに使用される。
2つ組の細胞(3×l0)は、多様な濃度の非標識の非天然アミノ酸ポリペプチドもしくは陰性対照ポリペプチド(容積:10μl)の存在もしくは非存在、および125I−(修飾)非天然アミノ酸ポリペプチド(約100,000cpmまたは1ng)の存在の下に、PBS/1% BSA(100μl)において、0℃において90分間、インキュベートされる(総容積:120μl)。それから、細胞は、再懸濁され、かつ350μlのプラスティックの遠心チューブにおいて、200μlの氷冷FCS上に層状にされ、かつ遠心分離(1000g;1分)される。ペレットは、チューブの末端を切除することによって回収され、かつペレットおよび上清は、ガンマカウンター(Packard)において別々に計算される。
特異的な結合(cpm)は、競合物の非存在下における総結合(2つ組みの平均値)から非特異的結合を引いたものとして決定される。非特異的結合は、使用された細胞種のそれぞれについて測定される。実験は、125I−(修飾)非天然アミノ酸ポリペプチドの同じ調製物を用いて別の日に実施され、かつ内部整合性を示す必要がある。125I−(修飾)非天然アミノ酸ポリペプチドは、受容体、結合タンパク質、またはリガンド産生細胞に対する結合を示した。当該結合は、非標識の天然アミノ酸ポリペプチドによって用量依存的に阻害されたが、陰性対照ポリペプチドによって阻害されなかった。
(実施例31:治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドのインビボにおける研究)
治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド、治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチド、および緩衝液溶液は、マウスまたはラットに投与される。その結果、治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチドと比較して、治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、優れた活性および延長された半減期を示す。
(実施例32:接合された修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドおよびそれらのバリアントと、非接合の修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドおよびそれらのバリアントのインビボにおける半減期の測定)
すべての動物実験は、実験動物管理公認協会に認可された設備において、かつセントルイス大学の所内動物実験委員会によって承認された手法の下に行われる。ラットは、12時間の明暗周期の室内において、別々にケージに収納される。動物は、認定されたピューリナげっ歯類固形試料 5001および水を自由に入手可能である。
(実施例33:薬物動態研究)
治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドのそれぞれの性質は、動物実験に入る前に、3回のアッセイによって評価される。治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドの純度は、非還元条件におけるMES SDSランニング緩衝液(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いた、4−12%のNuPAGE Bis−Trisゲルの実施によって調べられる。ゲルはクーマシーブルーにより染色される。治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドのバンドは、濃度測定スキャンに基づいて、95%以上の純度である。治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドのそれぞれにおけるエンドトキシンの濃度は、Charles River Laboratories (Wilmington, MA)から提供されるKTAキットを用いた、動的LALアッセイによって試験され、かつ用量ごとに5EU以下である。
治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド化合物の薬物動態学的性質は、Charles River Laboratoriesから得られたオスのSDラット(261−425g)において、互いに、かつ治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチドに対して、比較される。カテーテルは、血液回収のために、頚動脈に外科的に取り付けられる。カテーテルの取り付けが上手くいった後に、動物は、投与の前に処理群(1群ごとに3から6)に割り当てられる。動物は、約0.41から約0.55ml/kgの投与容積において約1mg/kgの化合物を用いて、皮下に投与される。血液試料は、体内に導入された留置カテーテルを介して種々の時点において、EDTA被覆マイクロチューブに回収される。血漿は、遠心分離後に回収され、かつ分析まで−80℃において保存される。化合物の濃度は、BioSource International (Camarillo, CA)またはDiagnostic Systems Laboratories (Webster, TX)のいずれかから提供される、抗体サンドイッチ成長ホルモンELISAキットを用いて測定される。濃度は、投与された類縁物に対応する標準を用いて算出される。薬物動態学的パラメーターは、モデリングプログラム WinNonlin (Pharsight, version 4.1)を用いて見積もられた。リニアアップ/ログダウン台形積分を用いた非区画分析が使用され、かつ濃度データが均一に加重する。それから、データは、プロットされて、Cmax:最大濃度;ターミナルt1/2:一期間の半減期;AUC0−inf:最大に推定された濃度−時間曲線の下にある面積;MRT:平均滞留時間;Cl/f:見かけの総血漿排除;Vz/f:末期における分布の見掛けの容積が得られる。
(実施例34:薬力学研究)
オスのSDラットは、Charles River Laboratoriesから得られる。動物を、非天然アミノ酸と関連する特性が監視されている期間である3週間の期間、環境に慣れさせる。条件を満たすレベルのこれらの生物学的特性の変化を有する動物は、処理群に含められ、かつ無作為化される。ラットは、大量瞬時投与または毎日の投与のいずれかにおいて皮下に投与される。研究を通して、ラットは、毎日かつ続けて体重測定され、麻酔され、採血され、投与され(適用可能な場合)、かつ相関する生物学的特性が測定される。血液は、ヘパリン処理キャピラリーチューブを用いて眼窩洞から回収され、かつEDTA被覆マイクロチューブに収納される。血漿は遠心分離によって単離され、かつ分析まで−80℃に保存される。ラットにおける単回皮下投与の後の血漿濃度が得られる。
(実施例35:治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドの、安全性および/または効率のヒトの臨床試験)
‐目的‐
皮下に投与された、治療活性を有する非天然アミノ酸ポリペプチドの安全性および薬物動態学的性質を、治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチドの安全性および薬物動態学的性質と、比較すること。
‐患者‐
20−40歳の間の範囲および60−90kgの体重の範囲にある健康な18人の有志者が、研究に加えられる。被験者は、血液学または血液生化学検査に関して臨床的に有為な異常の検査値を有しておらず、かつ尿中毒素スクリーン、HIVスクリーン、およびB型肝炎表面抗原について陰性を有している。彼らは、以下のあらゆる徴候:高血圧症;あらゆる原発性の血液疾患の病歴;有為な肝疾患、腎疾患、心血管疾患、胃腸疾患、泌尿器疾患、代謝疾患、神経性疾患の病歴;貧血または発作の不調;細菌もしくはヒト由来産物、PEG、またはヒト血清アルブミンに対する公知の過敏症;カフェインを含む飲料の常習的消費者または大量消費者;他のあらゆる臨床試験への参加、または研究に入る30日以内の輸血もしくは献血;研究に入る3ヶ月以内の治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチドに対するばくろ;研究に入る7日以内の病気;ならびに研究前の健康診断、または研究に入る14日以内の臨床検査評価における有為な異常を有していない必要がある。すべての被験者は、安全のために評価され、かつ薬物動態分析用のすべての血液収集物は、予定されたように回収される。すべての研究は、所内倫理委員会の承認および患者の同意とともに実施される。
‐研究計画‐
これは、健康な男性の有志者における、第1相研究、単一施設研究、盲検研究、無作為化研究、2期クロスオーバー研究である。18の被験者は、2つの処理系列群(9被験者/群)の1つに無作為に割り当てられる。治療活性を有する非天然アミノ酸ポリペプチドは、治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドの等量を用いて、太股の上部に大量瞬時の皮下注射として、別々の2回の投与期に渡って投与される。所望されるように付加的な投薬、投薬の頻度、または他の要因は、被験者の付加的な群を組み込むことによって研究に加えられ得る。投薬期のそれぞれは2週間の洗い流し期によって分離される。被験者は、各2つの投与期間の前に少なくとも12時間、および各2つの投与期間の後に72時間、研究施設に拘束されるが、投与期間中は拘束されない。同様にPEG化hGHについて試験されるべき付加的な投薬、頻度、または他の要因がある場合には、付加的な被験者の群が加えられ得る。
‐血液試料採取‐
血液の系列は、治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド、または治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチドの投与の前後に直接の静脈穿刺によって出される。血中治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド濃度、または治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチド濃度に関する静脈血試料(5ml)は、投与の約30、20および10分前(3つの基本試料)に、ならびに投薬後からおよそ以下の時間:30分、および1、2、5、8、12、15、24、30、36、48、60、および72時間に得られる。血清試料のそれぞれは2つの一定分量に分割される。すべての血清試料は−20℃に保存される。血清試料はドライアイス上に収められる。絶食臨床検査(血液学、血液生化学検査および尿分析)は、1日目における最初の投与の直前、4日目の朝、16日における投与の直前、および19日目の朝に実施される。
‐生物解析方法‐
ELISAキット手法(Diagnostic Systems Laboratory [DSL], Webster TX)が、血清中濃度の決定に使用される。
‐安全性の決定‐
生命徴候は、各投与(1日目および16日目)の直前、ならびに各投与後の6、24、48、および72時間後に記録される。安全性の決定は、有害事象の発生率および種類、ならびに基本からの臨床検査の変化に基づいている。その上に、研究前の生命徴候測定(例としては、血圧および健康診断の結果が挙げられる)からの変化が評価される。
‐データ解析‐
投与後の血清中濃度値は、投与後の値のそれぞれから、投与前の30、20、および10分に回収された3つの試料からGH濃度の平均して決定された基本GHレベルの平均を引くことによって、投与前の基本GH濃度に関して補正される。投与前の血清GH濃度は、アッセイの定量化レベル以下の場合には、平均値の計算に算入されない。薬物動態学的パラメーターは、基本濃度に関して補正された血清中濃度データから決定される。薬物動態学的パラメーターは、BIOAVLソフトウェアの最も後期の型を用いたDigital Equipment Corporation VAX 8600コンピュータシステムにおけるモデル依存的方法によって、算出される。以下の薬物動態学的パラメーターが決定される:最高点の血清中濃度(Cmax);最高点の血清中濃度までの時間(tmax);リニア台形法を使用して算出された、濃度−時間曲線の下にある面積(AUC)、時間0から最後の血液試料採取時までの濃度−時間曲線の下にある面積(AUC0−72);ならびに排除率定数から計算された一期間の排除半減期(t1/2)。排除率定数は、ログ−リニア濃度−時間プロットの一期間の直線領域における、連続的なデータ点の直線回帰によって評価される。薬物動態学的パラメーターの平均、標準偏差(SD)、および変動係数(CV)は、それぞれの処置に関して算出される。要因平均の割合(保護された製剤/非保護の製剤)が算出される。
‐安全性の結果‐
有害事象の発生率は、処理群に渡って等しく分布される。臨床的に有為な基本、または研究前の臨床検査、または血圧から変化がなく、かつ研究前の健康診断および生命徴候測定から顕著な変化がない。2つの処理群に関する安全性プロフィールは、同様に現れる。
‐薬物動態学的性質の結果‐
治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド、または治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチドの単回投与を受けた後の18の被験者における、治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド、または治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチドの平均血清濃度−時間プロフィール(基本レベルに関して未補正)は、測定されたそれぞれの時点において、比較される。すべての被験者は、正常な生理的範囲内にある投与前の基本GH濃度を有している。薬物動態学的パラメーターは、投与前の平均基本濃度に関して補正された血清データから決定され、かつCmaxおよびtmaxが決定される。治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチドに関する平均tmaxは、治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドに関するtmaxよりも有為に短い。一期間の半減期の値は、治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドに関する一期間の半減期を比較して試験された、治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチドに関して有為に短い。
本研究は、健康な男性の被験者において実施されているが、同様の吸着特性および安全性プロフィールは、他の患者集団(例えば、癌もしくは慢性の腎不全の男性もしくは女性の患者、小児腎不全の患者、自家前貯蔵計画中の患者、または待機手術に予定されている患者)において予想される。
結論として、治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドの皮下に投与される単回投与は、安全であり、かつ健康な男性の被験者によって許容される。有害事象の比較的な発生率、臨床検査値、生命徴候、および身体検査の結果に基づいて、治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチド、および治療活性を有する天然アミノ酸ポリペプチドの安全性プロフィールは、等価である。治療活性を有する修飾型非天然アミノ酸ポリペプチドは、患者に対する大きな臨床的有用性、および保健医療提供物を、潜在的に提供する。
本明細書に記載の実施例および実施形態が単に例示を目的としていること、さらにそれらの軽微な種々の改変または変更が、当業者に示唆されるとともに、本出願の精神および範囲、ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれることは、理解される。本明細書に引用された刊行物、特許および特許出願のすべては、参照によって、すべての目的に対してその全体が本明細書に組み込まれる。
Figure 2009522275
Figure 2009522275
Figure 2009522275
本明細書に記載の方法、組成物、戦略および技術のある態様の関係を示す非限定的な略図である。 本明細書に記載のジアミン含有非天然アミノ酸の様々な非限定的な具体例を示す図である。 本明細書に記載のジカルボニル含有非天然アミノ酸の様々な非限定的な具体例を示す図である。 本明細書に記載のケトアルキン含有非天然アミノ酸の様々な非限定的な具体例を示す図である。 本明細書に記載の非天然アミノ酸を作製するために用いられる合成方法の非限定的な具体例を示す図である。 本明細書に記載の非天然アミノ酸を作製するために用いられる合成方法の非限定的な具体例を示す図である。 本明細書に記載の非天然アミノ酸を作製するために用いられる合成方法の非限定的な具体例を示す図である。 本明細書に記載の非天然アミノ酸を作製するために用いられる合成方法の非限定的な具体例を示す図である。 修飾型ヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するための、ジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドとジカルボニル含有試薬との翻訳後修飾の非限定的な具体例を示す図である。 修飾型ヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するための、ジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドとジカルボニル含有試薬との翻訳後修飾の非限定的な具体例を示す図である。 Aは、本明細書に記載のヘテロ環連結の形成に関する非限定的な具体例を示す図であるり、Bは、本明細書に記載のマスクされたジカルボニル含有非天然アミノ酸、および脱保護によるヘテロ環連結の形成に関する非限定的な具体例を示す図である。 修飾型ヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するための、ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドとジアミン含有試薬との翻訳後修飾の非限定的な具体例を示す図である。 修飾型ヘテロ環含有非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するための、ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドとジアミン含有試薬との翻訳後修飾の非限定的な具体例を示す図である。 本明細書に記載の組成物、方法、技術、および戦略を用いた、タンパク質修飾の非限定的な具体例を示す図である。 本明細書に記載の組成物、方法、技術、および戦略を用いた、タンパク質修飾の非限定的な具体例を示す図である。 本明細書に記載の組成物、方法、技術、および戦略を用いた、タンパク質修飾の非限定的な具体例を示す図である。 本明細書に記載の組成物、方法、技術、および戦略を用いた、タンパク質のPEG化の非限定的な具体例を示す図である。 非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾して、PEGを含有するヘテロ環連結型非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するために使用することができる、PEG含有試薬の合成の非限定的な具体例を示す図である。 非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾して、PEGを含有するヘテロ環連結型非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するために使用することができる、PEG含有試薬の合成の非限定的な具体例を示す図である。 非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾して、PEGを含有するヘテロ環連結型非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するために使用することができる、2官能性PEG含有試薬の合成の非限定的な具体例を示す図である。 非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾して、ヘテロ環連結型非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するために使用することができる、2官能性リンカーの合成の非限定的な具体例を示す図である。 非天然アミノ酸ポリペプチドを修飾して、PEGを含有するヘテロ環連結型非天然アミノ酸ポリペプチドを形成するために使用することができる、3官能性PEG含有試薬の合成の非限定的な具体例を示す図である。 本明細書に記載の組成物、方法、技術、および戦略を用いて、非天然アミノ酸ポリペプチドをPEG基に連結することによって、タンパク質をPEG化することを示す非限定的な具体例である。 2官能性リンカー基の使用の非限定的な具体例を示す図である。 2官能性リンカー基の使用の非限定的な具体例を示す図である。 3官能性リンカー基の使用の非限定的な具体例を示す図である。 2官能性リンカー基の使用の非限定的な具体例を示す図である。 ピラゾール含有化合物の合成の非限定的な具体例を示す図である。 本明細書に記載の組成物、方法、技術、および戦略を用いることにより、PEG基に連結した非天然アミノ酸ポリペプチドの合成の非限定的な具体例を示す図である。

Claims (41)

  1. 構造1または2:
    Figure 2009522275
    を含んでいる化合物、あるいはその活性な代謝産物、塩、または薬学的に許容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物
    (Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
    Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
    は、結合またはCHであり;Tは、CHであり;
    任意の置換基のそれぞれは独立して、低級アルキル、置換低級アルキル、低級シクロアルキル、置換低級シクロアルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、アルキニル、低級ヘテロアルキル、置換低級ヘテロアルキル、低級ヘテロシクロアルキル、置換低級ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または置換アラルキルから選択され;
    は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
    は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
    およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成するか;
    または−A−B−ジアミン含有部分は、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、またはマスクされたジアミン基を含んでいる、2環式のシクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成するか;
    あるいは、−B−ジアミン含有部分は、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、またはマスクされたジアミン基を含んでいる、2環式または3環式の、シクロアルキル、シクロアリールもしくはヘテロシクロアルキルを一緒になって形成し;
    −A−B−ジアミン含有部分におけるアミン基の少なくとも1つは、任意に保護されたアミン基である)。
  2. 上記Aが、フェニレン、ピリジニレン、ピリミジニレンまたはチオフェニレンから成る群から選択される、置換もしくは非置換の低級アルキレン、または置換もしくは非置換のアリーレンである、請求項1に記載の化合物。
  3. 上記Bが、低級アルキレン、置換低級アルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、または−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−である、請求項1に記載の化合物。
  4. 上記Bが、−O(CH)−、−NHCH−、−C(O)−(CH)−、−CONH−(CH)−、−SCH−、−S(=O)CH−、または−S(O)CH−である、請求項3に記載の化合物。
  5. 上記Rが、H、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、N−アセチル、テトラフルオロアセチル(TFA)、またはベンジルオキシカルボニル(Cbz)である、請求項1に記載の化合物。
  6. 上記Rが、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドである、請求項1に記載の化合物。
  7. 上記Rが、OH、O−メチル、O−エチル、またはO−t−ブチルである、請求項1に記載の化合物。
  8. 上記Rが、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドである、請求項1に記載の化合物。
  9. 上記Rがポリヌクレオチドである、請求項8に記載の化合物。
  10. 上記Rがリボ核酸(RNA)である、請求項9に記載の化合物。
  11. 上記RがtRNAである、請求項10に記載の化合物。
  12. 上記tRNAがセレクターコドンを特異的に認識する、請求項11に記載の化合物。
  13. 上記セレクターコドンが、アンバーコドン、オーカーコドン、オパールコドン、ユニークコドン、レアコドン、非天然コドン、5塩基コドンおよび4塩基コドンから成る群から選択される、請求項12に記載の化合物。
  14. 上記RがサプレッサーtRNAである、請求項13に記載の化合物。
  15. 構造3または4:
    Figure 2009522275
    に対応する、請求項1に記載の化合物
    (Rのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’’)、−C(O)N(R’’)、−OR’’、および−S(O)R’’から成る群から選択され、kは1、2、または3であり、R’’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)。
  16. Figure 2009522275
    から成る群から選択される請求項15に記載の化合物、またはその塩、あるいは上記化合物の何れかを任意の位置に組み込んでいるポリペプチド。
  17. −B−ジアミン含有部分におけるアミン基の少なくとも1つが、保護されている、請求項16に記載の化合物。
  18. アミン保護基が、
    Figure 2009522275
    から成る群から選択される、請求項17に記載の化合物。
  19. Figure 2009522275
    から成る群から選択される、請求項18に記載の化合物、またはその塩、あるいは、上記化合物の何れかを任意の位置に組み込んでいるポリペプチド。
  20. 請求項1に記載の化合物の少なくとも1つを組み込んでいるポリペプチド。
  21. 上記ポリペプチドが、所望のポリペプチドから成る群から選択される治療タンパク質と相同なタンパク質である、請求項20に記載のポリペプチド。
  22. 上記化合物が、穏やかな条件下における水溶液中において、ジカルボニル含有剤と反応性である、請求項1に記載の化合物。
  23. 上記化合物と上記ジカルボニル含有剤との反応が、(i)約4から約10の範囲のpHにおいて起こるか、(ii)生物学的条件下において安定なヘテロ環連結を生成するか、(iii)部位特異的であるか、(iv)ポリペプチドの3次元構造を不可逆的に破壊しないか、(v)室温において迅速に起こるか、(vi)水性条件において迅速に起こるか、(vii)上記化合物と上記ジカルボニル含有剤との比が約1対1であるときに、迅速に起こるか、あるいは(viii)位置選択的および/または位置特異的であるという、特性の少なくとも1つを有する、請求項22に記載の化合物。
  24. 上記化合物と上記ジカルボニル含有剤との反応が、(i)約4から約10の範囲のpHにおいて起こるか、(ii)生物学的条件下において安定なヘテロ環連結を生成するか、(iii)部位特異的であるか、(iv)ポリペプチドの3次元構造を不可逆的に破壊しないか、(v)室温において迅速に起こるか、(vi)水性条件において迅速に起こるか、(vii)上記化合物と上記ジカルボニル含有剤との比が約1対1であるときに、迅速に起こるか、あるいは(viii)位置選択的および/または位置特異的であるという、特性の少なくとも4つを有する、請求項22に記載の化合物。
  25. 上記穏やかな条件が、約2から約10のpHである、請求項22に記載の化合物。
  26. 上記穏やかな条件が、約4から約9のpHである、請求項22に記載の化合物。
  27. 上記化合物が、水溶液中において少なくとも1ヶ月間安定である、請求項1に記載の化合物。
  28. 上記化合物が、約2から約10のpHにおいて安定である、請求項1に記載の化合物。
  29. 上記化合物が、約4から約9のpHにおいて安定である、請求項28に記載の化合物。
  30. 上記化合物が少なくとも2週間安定である、請求項27に記載の化合物。
  31. 上記化合物が少なくとも5日間安定である、請求項30に記載の化合物。
  32. 一般式(XXXVIII)または一般式(XXXIX):
    Figure 2009522275
    の構造を有する化合物、またはその活性な代謝産物、塩、薬学的に許容可能なプロドラッグ、または溶媒和物
    (Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
    Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
    は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
    は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
    およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成し;
    は、結合、CR、O、S、NR’、CR−CR、CR−O、O−CR、CR−S、S−CR、CR−NR’、NR’−CRであり;
    R’は、H,アルキル、または置換アルキルであり;
    は、結合、−C(O)−、−C(S)−、任意に置換されたC1−3アルキレン、任意に置換されたC1−3アルケニレン、および任意に置換されたヘテロアルキルから成る群から選択され;
    およびRのそれぞれは独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)から成る群から選択されるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または置換アラルキルである);
    または、隣接する任意の2つのR基は、任意に置換された5から8員環のヘテロ環、シクロアルキルまたはアリール環を一緒になって形成し;上記任意の置換基は、ハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、アリール、ハロアリール、およびヘテロアリールから選択され;
    上記ZとZとの環原子の総数は、3以下であり;
    は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)であるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキルである);
    または、RはL−Xである(Xは、所望の機能性基から成る群から選択され;
    Lは、任意であり、存在するときは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは、1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−O−N=CR’−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択されるリンカーであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである))。
  33. 一般式(XLI)または一般式(XLII):
    Figure 2009522275
    の構造を有する、請求項32に記載の化合物
    (Rは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)R’−、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’から成る群から選択され、kは1、2または3である)。
  34. Figure 2009522275
    の構造を有する、請求項33に記載の化合物。
  35. Figure 2009522275
    から成る群から選択される構造を有する化合物、またはその活性な代謝産物、塩、薬学的に許容可能なプロドラッグ、もしくは溶媒和物
    (Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
    Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
    は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
    は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
    およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成し;
    は、結合、CR、CR−CR、CR−O、O−CR、S−CR、NR−CR、CR−S、CR−NRであり;
    は、任意に置換されたC1−3アルキレン、任意に置換されたC1−3アルケニレン、および任意に置換されたヘテロアルキル、およびNから成る群から選択され;
    は、結合、任意に置換されたC1−4アルキレン、任意に置換されたC1−4アルケニレン、任意に置換されたヘテロアルキル、−O−、−S−、−C(O)−、−C(S)−、および−N(R’)−から成る群から選択され;少なくとも1つのZは結合ではなく;
    は、結合、C(R)(R)、O、またはSであり、Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;TはOまたはSである場合、Rはハロゲンではあり得ず;
    は独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)であるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または置換アラルキルである);
    上記ZとZとの環原子の総数は、3以下であり;
    は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)であるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキルである);
    または、RはL−Xであり(Xは、所望の機能性基から成る群から選択され;
    Lは、任意であり、存在するときは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは、1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−O−N=CR’−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択されるリンカーであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである))。
  36. Figure 2009522275
    から成る群から選択される、請求項35に記載の化合物
    (Rは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’から成る群から選択され、kは1、2または3である)。
  37. Figure 2009522275
    から成る群から選択される、請求項36に記載の化合物。
  38. Figure 2009522275
    から成る群から選択される化合物、またはその活性な代謝産物、塩、薬学的に許容可能なプロドラッグ、もしくは溶媒和物
    (Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
    Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
    は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
    は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
    およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成し
    は、結合、CR、CR−CR、CR−O、O−CR、S−CR、NR−CR、CR−S、CR−NRであり;
    は、結合、任意に置換されたC1−4アルキレン、任意に置換されたC1−4アルケニレン、任意に置換されたヘテロアルキル、−O−、−S−、−C(O)−、−C(S)−、および−N(R’)−から成る群から選択され;
    は、
    Figure 2009522275
    であり((a)は、B基に対する結合を示し、(b)は、ヘテロ環基内のそれぞれの位置に対する結合を示す);
    は、
    Figure 2009522275
    であり((a)は、B基に対する結合を示し、(b)は、ヘテロ環基内のそれぞれの位置に対する結合を示す);
    は、
    Figure 2009522275
    であり((a)は、B基に対する結合を示し、(b)は、ヘテロ環基内のそれぞれの位置に対する結合を示す);
    は、結合、C(R)(R)、O、またはSであり、Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
    は独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)であるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または置換アラルキルである);
    は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)であるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキルである);
    または、RはL−Xであり(Xは、所望の機能性基から成る群から選択され;
    Lは、任意であり、存在するときは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは、1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−O−N=CR’−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択されるリンカーであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである))。
  39. Figure 2009522275
    から成る群から選択される、請求項38に記載の化合物
    (Rは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)R’−、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’から成る群から選択され、kは1、2または3である)。
  40. Figure 2009522275
    から成る群から選択される化合物、またはその活性な代謝産物、塩、薬学的に許容可能なプロドラッグ、もしくは溶媒和物
    (Aは、任意であり、存在するときは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
    Bは、任意であり、存在するときは、1つの末端においてジアミン含有部分と連結されるリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)R’’−、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−(kは、1、2、または3である)、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−NR’’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CON(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、および−N(R’’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−から成る群から選択され(R’’のそれぞれは独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである);
    は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
    は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであり;
    およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、またはRおよびRもしくは2つのR基はシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成し;
    は独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)であるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または置換アラルキルである);
    は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−ON(R’’)、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)SR’’、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−(アリールもしくは置換アリール)、−C(O)R’’、−C(O)R’’、または−C(O)N(R’’)であるか(R’’のそれぞれは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキルである);
    または、RはL−Xである(Xは、所望の機能性基から成る群から選択され;
    Lは、任意であり、存在するときは、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(kは、1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−O−N=CR’−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−C(O)NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−、−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−S−S−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−から成る群から選択されるリンカーであり、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである))。
  41. Figure 2009522275
    から成る群から選択される、請求項40に記載の化合物
    (Rは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)R’、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’から成る群から選択され、kは1、2または3である)。
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