JP5508669B2 - 発泡性顆粒 - Google Patents

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本発明は発泡性顆粒に関し、さらに詳細には、発泡力が強く香り立ちに優れるとともに、保存安定性が高い発泡性顆粒に関するものである。
従来より入浴剤や洗浄剤では、有機酸と炭酸塩との反応により炭酸ガスを発生させる錠剤やブリケット、顆粒などの形態のものが利用されている。この炭酸ガスの発泡力を高めることにより、入浴剤では香料の拡散による香り立ちを向上させたり、洗浄剤では洗浄力を強化することができるが、炭酸ガスの発泡力を高めるためには、錠剤やブリケットよりも粒子径が小さく表面積の大きい顆粒が有利である。また、顆粒の組成において、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム等の無機塩や、ポリエチレングリコール等の滑沢剤などの含有量を減らし、できるだけ有機酸や炭酸塩の含有量を高めて反応性を高めることが有利である。
しかしながら、粒子径の小さい顆粒において有機酸や炭酸塩の含有量を高めると保存中にこれらの成分が反応してしまい、包装容器が炭酸ガスで膨張したり、使用時の発泡力が低下するという問題があった。このため、有機酸と炭酸塩とをそれぞれ別個に造粒し、これらを同一の包装容器に充填する技術が提案されているが、この方法では製造コストが高くなってしまうという問題があった(特許文献1)。
一方、有機酸と炭酸塩を同一の顆粒に造粒する技術も提案されているが、この顆粒は粒子径が大きいものであるため、十分な発泡力を有するものではなかった(特許文献2)。
また、有機酸と炭酸塩とを含む造粒物の表面に色素等を付着させた顆粒状浴用剤が開示されているが、これはポリエチレングリコールを多く含有し、加熱造粒により製造するものであるため、発泡力が不十分なものであった(特許文献3)。
特開2004−18436号公報 特開2001−139454号公報 特開2000−319164号公報
したがって、優れた発泡性と保存安定性とを兼ね備えた発泡性顆粒の開発が望まれており、本発明はそのような発泡性顆粒を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の含有量で油性成分を配合して一定の平均粒子径範囲の顆粒とすることにより、発泡性に優れるとともに、その保存安定性が著しく向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
次の成分(A)ないし(C);
(A)有機酸 30〜79質量%
(B)炭酸塩 20〜69質量%
(C)油性成分 1〜 5質量%
を含有し、平均粒子径が150〜1500μmであることを特徴とする発泡性顆粒である。
本発明の発泡性顆粒は、発泡力に優れるものであるため、香料を配合した入浴剤として利用した場合には、香料が速やかに拡散し香り立ちが良好であり、洗浄剤として利用した場合には優れた気泡力を発揮するものである。また、この発泡性顆粒は、長期間保存していても有機酸と無機塩との反応が生じにくいため、保存安定性にも優れるものである。
本発明の発泡性顆粒には、成分(A)の有機酸を必須成分として用いる。この有機酸としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マロン酸、ピロリドンカルボン酸、コハク酸、フマル酸、クエン酸一ナトリウム、コハク酸一ナトリウム、フマル酸一ナトリウム等が挙げられるが、その中でもクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸が炭酸塩との反応性に優れるため好ましい。
成分(A)の含有量は発泡性顆粒中30〜79質量%(以下、単に「%」で示す)であり、好ましくは30〜60%である。成分(A)の含有量が30%未満であると十分な発泡力が得られない。
また本発明の発泡性顆粒には、成分(B)の炭酸塩を必須成分として配合する。この炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム等が挙げられるが、その中でも、有機酸との反応性という点から炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが好ましく用いられる。
成分(B)の炭酸塩の含有量は、発泡性顆粒中20〜69%であり、好ましくは、40〜60%である。成分(B)の含有量が20%未満であると、炭酸ガス発生量が少ないため好ましくなく、一方69%よりも高いと顆粒の溶解性が悪化するために好ましくない。
また、十分な発泡性を得るには、上記成分(A)および(B)の合計の含有量は、発泡性顆粒全体に対し、70〜99%であることが好ましく、さらに好ましくは、85〜99%であり、特に90〜99%が好ましい。70〜99%の範囲であると、十分な発泡性を得ることができる。
本発明の発泡性顆粒は、さらに必須成分として成分(C)の油性成分を含有する。この油性成分としては特に限定されるものではなく、例えば、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素類;パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン等の脂肪酸エステル;ラウリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルドデカノール等の高級アルコール;レモン油、ゆず油、ばら油、ベルガモット油、ショウブ油、ラベンダー油、オレンジ油、グレープフルーツ油、マンダリン油、ゼラニウム油、セージ油、ユーカリ油、ネロリ油、パチュリ油、クローブ油、ナツメグ油、セダーウッド油、ペパーミント油、スペアミント油、ジュニパベリー油、アルモアーズ油、カモミール油、エレミ油、ベチバー油、ショウノウ油、ライム油、ハッカ油、ジャスミン油、ヒノキ油、テレビン油、ヒバ油、ラバンジン油、クローブ油、タイム油、ローズマリー油、パイン油、などの天然香料;α−ピネン、β−ピネン、d−リモネン、カンフェン、テルピネン、などのテルペン系香料;青葉アルコール、サンダロール、エバノール、アンブリノール、アンバーコア、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、テトラヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、エチルリナロール、イソプレゴール、メントール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、ファルネソール、サンタロール、ベチベロール、β−フェニルエチルアルコール、バクダノール、などのアルコール系香料;等のアルコール系香料アルデヒドC−8、アルデヒドC−9、アルデヒドC−10、アルデヒドC−11、アルデヒドC−12、青葉アルデヒド、シトロネラール、シトラール、α−メチレンシトロネラール、イソシクロシトラール、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、ヘリオナール、cis−ジャスモン、ジヒドロジャスモン、ネクタリル、ダマスコン、ヨノン、イソ・イー・スーパー、カロン、l−カルボン、メントン、などのアルデヒド・ケトン系香料等の合成香料;前記天然香料および合成香料を任意に組み合わせた調合香料などが例示でき、これらの1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明に用いる成分(C)の油性成分には、上記天然香料、合成香料、調合香料などの香料を含有することが好ましい。香料を含有することにより、発泡時に優れた香り立ちが発揮される。
また成分(C)の油性成分は、水付加試験による水添加量が50mL以下であることが好ましく、さらに30mL以下であることが好ましい。水添加量が50mLより高いと十分な安定性が得られない場合がある。なお、本明細書において水付加試験による水添加量とは、下記の試験方法に基づく水添加量を意味する。
(水付加試験方法)
油性成分2gにエタノール(99.5%)50mLを加え混合した溶液にビュレットで精製水を添加していき、白濁するまでに添加した精製水の量を水添加量(mL)とする。
上記水付加試験による水添加量が50mL以下である成分としては、例えば、ホホバ油(水添加量:0.2mL)、パルミチン酸オクチル(4.9mL)、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン(9.1mL)、軽質流動イソパラフィン(9.1mL)、アルデヒドC−10(7.5mL)、バクダノール(50.0mL)、ヘキシルドデカノール(30.3mL)などが例示でき、これらの成分を好適に用いることができる。一方、単独では水添加量が50mLより高い油性成分を使用する場合には、これらの水添加量が50mL以下である成分を併用し、油性成分全体の水添加量が50mL以下となるように調整して用いることが好ましい。
成分(C)の含有量は、発泡性顆粒中、1〜5%であり、好ましくは、2〜4%である。含有量が1%未満であると十分な安定性が得られず、5%よりも多いと顆粒の強度不足により製造時に顆粒の収量が低下する。
本発明の発泡性顆粒には、上記必須成分(A)〜(C)に加え、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で更に任意成分を配合することができる。この任意成分としては、無機塩、滑沢剤、水溶性高分子、保湿剤等が挙げられる。
無機塩としては、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸鉄リン酸ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、硫酸アルミニウム、チオ硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硫化カリウム、ミョウバン、メタケイ酸、無水ケイ酸等が挙げられるが、コンパクティング時における成型性に優れるため、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等が好ましい。この無機塩の含有量は、発泡性顆粒中1〜10%が好ましい。10%よりも多く配合すると発泡力が不十分なものとなる場合がある。
また、滑沢剤としては、カオリン、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸マグネシウム、シリコン油、油性成分、澱粉等が挙げられるが、良好な湯面の溶解状態を得られるため、少量で滑沢効果のある、ポリエチレングリコールおよびタルクが好ましい。この滑沢剤の含有量は発泡性顆粒中、0.1〜2%が好ましい。2%よりも多く配合する湯面の溶解状態が悪化したり発泡力が不十分なものとなる場合がある。
本発明の発泡性顆粒の製造は、上記必須成分(A)ないし(C)と、必要に応じ任意成分を常法に従って混合し、これを圧縮造粒法、押し出し造粒法、転動造粒法等の公知の造粒方法に従って造粒することにより行われるが、このうち、得られる顆粒の安定性に優れるため圧縮造粒法を用いることが好ましい。
得られた造粒物は必要に応じて解砕され、篩い分け等の手段によって整粒される。本発明の発泡性顆粒の粒子径は、平均粒子径が150〜1500μmであり、好ましくは500〜1200μmである。平均粒子径が150μm未満であると保存安定性が低下し、1500μmよりも大きいと十分な発泡力が得られない。なお、本明細書において平均粒子径とは、以下の方法で測定した平均粒子径とする。
(平均粒子径の測定方法)
電磁式ふるい振とう機(機種名A−3 PRO型)を用いて分級する。篩いは上限と下限の間を一定比率で分割できるように6〜7段の篩いを用い分級する。篩い後の各篩い上の試料の重量を測定した後、積算重量値50%の粒度を平均分子径とする。積算重量値50%になる粒度は、その上下段の篩いの目開きと積算重量値からの線形補間により算出する。
かくして得られた本発明の発泡性顆粒は、水や湯に投入すると顆粒内部に速やかに水などが浸透し即時に強い発泡を行うものであるため、香料が速やかに拡散し優れた香り立ちが得られる。
また、この発泡性顆粒は、有機酸および炭酸塩を主成分として含有し、粒子径が小さいにも拘わらず、保存中にこれらが反応して包装容器が膨張したり発泡性が低下することがなく安定性にも優れるものである。このように保存安定性が向上する理由としては、油性成分の存在によって、顆粒中の有機酸と炭酸塩の反応が緩和になるためであると考えられる。
本発明の発泡性顆粒は、そのまま入浴剤や洗浄剤として利用することもできるが、さらにその他の成分を配合して入浴剤組成物や洗浄剤組成物として使用することもでき、例えば、入浴剤組成物であれば、無機塩、界面活性剤、水溶性高分子、油性成分、保湿剤、着色剤、着香剤等の成分を配合することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらによりなんら制限されるものではない。
実施例1〜3および比較例1
発泡性顆粒の調製:
下記表1に示す組成の発泡性顆粒を、下記製造方法に従って調製した。得られた発泡性顆粒について、下記測定方法により平均粒子径を測定し、また下記評価方法により保存安定性および香り立ちを評価した。その結果を併せて表1に示す。
Figure 0005508669
(製造方法)
各成分を秤量し、万能混合攪拌機(5DM―r;ダルトン製)で混合し調合した。調合物をコンパクティングマシーン(TF−MINI;フロイント産業社製)を用い、圧縮成型法によりフレーク状の圧縮成型物を得た。その成型物を破砕整粒機(TF−MINIラボ;フロイント産業社製)を用いて解砕した後、目開き1700μmおよび250μmの篩で分級し、顆粒を得た。
(平均粒子径の測定方法)
電磁式ふるい振とう機(機種名A−3PRO型)を用いて分級する(振幅1mm、振動時間5分)。篩いは、1700μm、1400μm、1000μm、710μm、500μm、250μm、150μmの7段を用い完全に分級し、上記記載の方法で50%粒度を平均粒子径として測定する。
(保存安定性評価)
得られた顆粒をアルミ分包に入れて密封し、50℃で2週間保存した。保存後の顆粒10gを200Lの41℃の湯中ほぼ1箇所に溶解させた際の発泡状態を観察し、下記基準に基づき保存安定性を評価した。
<判定基準>
◎:表面で音を立てて発泡
○:発泡が弱くなっているが表面で発泡し、小さな音を立てて発泡
△:発泡力が弱くなり発泡しないもしくは判らない
×:アルミ分包が膨らむ。浴湯に溶解しても全く発泡しない
(香り立ち評価)
香り立ちは調香師が官能評価し、保存後の顆粒と保存前の顆粒とを下記基準により対比して評価した。
(判定基準)
○:投入直後の香り立ちが経時的な変化なし
△:投入直後の香り立ちがやや経時的に弱くなる
×:投入直後の香り立ちが弱い
表1より明らかなように、油性成分を配合しない比較例1では、発泡力が経時的に低下した。
実施例4〜10および比較例2
発泡性顆粒の調製:
下記表2に示す処方の発泡性顆粒を上記製造方法により調製した。得られた顆粒について、上記と同様の方法により平均粒子径を測定し、また上記と同様の方法で香り立ちおよび保存安定性を評価した。結果を表3に併せて示す。
Figure 0005508669
表2から明らかなように、実施例4〜10の顆粒はいずれも保存安定性および香り立ちが良好なものであった。また油性成分の水付加試験が50mL以下であると保存安定性および香り立ちがより優れたものとなった。
実施例11および比較例3〜4
発泡性顆粒の調製:
下記表3に示す処方の発泡性顆粒を上記製造方法により調製した。得られた顆粒を、上記と同様の方法により平均粒子径を測定し(比較例3の篩いは355μm、250μm、150μm、106μm、75μm、45μmの目開き6段、比較例4は5.6mm、4.0mm、2.8mm、2.0mm、1.4mm、1.0mmの目開き6段)、また上記と同様の方法により香り立ちおよび保存安定性を評価した。結果を表3に併せて示す。
Figure 0005508669
表3から明らかなように平均粒子径150μm以下では保存安定性が悪く、平均粒子径1500μm以上では発泡力が十分でなく、香り立ちに劣るものであった。
実施例12
発泡性顆粒の調製:
下記処方の発泡性顆粒を上記方法に従って調製した。
(成分) (%)
炭酸水素ナトリウム 13
炭酸ナトリウム 35
DL−リンゴ酸 43
ポリエチレングリコール6000 0.6
硫酸ナトリウム 5.4
香料(ゆず)※3 3.0
※3 水付加試験による水添加量 12.6mL
得られた発泡性顆粒は、経時的に安定で香り立ちのよい顆粒であった。
実施例13〜18
入浴剤組成物の調製:
下記表4の処方の入浴剤組成物を下記製造方法により調製した。
Figure 0005508669
(製造方法)
2〜5、8、9、14を一次混合して均一にする。これに6、7、10〜13を添加し、万能混合攪拌機(5DM―r;ダルトン製)で混合し、その後1を添加し混合する。
得られた入浴剤組成物は、経時的に安定であり香り立ちが良く、さらに温熱効果の高いものであった。
本発明の発泡性顆粒は、迅速で強い発泡性を有するとともに、保存安定性にも優れるものである。したがって、入浴剤や身体用、トイレ用、配管用の洗浄剤などに好適に利用できるものである。

Claims (4)

  1. 次の成分(A)ないし(C);
    (A)有機酸 30〜79質量%
    (B)炭酸塩 20〜69質量%
    (C)水付加試験による水添加量が50mL以下である油性成分 質量%
    を含有し、平均粒子径が150〜1500μmであることを特徴とする発泡性顆粒。
  2. 圧縮造粒法により製造されるものである請求項1に記載の発泡性顆粒。
  3. 入浴剤である請求項1または2に記載の発泡性顆粒。
  4. 請求項1ないしのいずれかの項に記載の発泡性顆粒を含有することを特徴とする入浴剤組成物。
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