JP5507323B2 - 力覚センサの温度補償方法および力覚センサ - Google Patents

力覚センサの温度補償方法および力覚センサ Download PDF

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Description

本発明は、抵抗素子を用いて外力を測定する力覚センサの温度補償方法および力覚センサに関する。
工作機械やロボット等の自動作業機械では、その作業動作上で、作業対象物に対して力を加えたり、外部から力の作用を受けたりする。この場合、自動作業機械では、自身に加わる外部からの力やモーメント(力のモーメント)を検出し、当該力やモーメントに対応した制御を行うことが要求される。このような力やモーメントに対応する制御を高精度で行うためには、外部から加わる力(以下、外力という)とモーメントを正確に検出することが必要となる。
そこで従来から、各種の力覚センサが提案されている。力覚センサは、原理的な構造として、外力に応じて弾性変形する起歪体の変形部分に複数の歪検出用抵抗素子を設けた構造を有するものが知られている。力覚センサの起歪体に外力が加わると、起歪体の変形度合い(応力)に応じた電気信号が複数の歪検出用抵抗素子から出力される。そして、これらの電気信号に基づいて、起歪体に加わった2成分以上の力等を検出することができる。
力覚センサの一種としては、6軸力覚センサが知られている。6軸力覚センサは、印加された外力を直交座標系の3軸(X軸、Y軸、Z軸)の各軸方向の応力成分(力:Fx,Fy,Fz)と、各軸方向のトルク成分(モーメント:Mx,My,Mz)とに分け、6軸成分として検出するものである。
このような力覚センサは、外力の印加によって歪検出用抵抗素子が変形してその抵抗値が変化するという性質を利用し、当該歪検出用抵抗素子の抵抗値の変化から出力電圧の変化を検出し、力またはモーメントの大きさを測定する。ここで、力覚センサで用いられる歪検出用抵抗素子は、環境温度によって抵抗値が変化する温度依存性を有している。従って、力覚センサの動作中に環境温度が変化すると、外力が印加されていないにも関わらず、出力電圧(出力値)が変動して正確な測定ができないという問題があった。
そこで、特許文献1に係るセンサの温度補償回路は、環境温度に応じて抵抗値が変化する温度センサと、温度センサが検出した環境温度に応じたオフセット補正用の補正値を出力するオフセット補正用回路と、温度センサが検出した環境温度に応じた感度補正用の補正値を出力する感度補正用回路と、を備え、センサ出力値をオフセット補正用の補正値および感度補正用の補正値で補正することで、主にハードウェア処理によって環境温度の影響を除去した出力値を求める構成とした。
特許3352006号公報(請求項1参照)
しかしながら、特許文献1に係るセンサの温度補償回路は、センサの出力が安定した定常領域においては環境温度の影響を除去できるが、センサの出力が不安定な過渡領域においては環境温度の影響を除去できないという問題があった。すなわち、図19(a)に示すように、センサ通電直後において温度センサの温度が急上昇した場合、同図(b)に示すように、センサに高温物体が接触して温度センサの温度が急上昇した場合、同図(c)に示すように、センサに低温物体が接触して温度センサの温度が急冷却した場合、等の過渡領域においては、環境温度を検出するための温度センサ(ハードウェア)の出力自体が不安定となるため、温度補償を行うことは困難であった。
本発明は、前記した問題点に鑑み創案されたものであり、力覚センサの出力が安定した定常領域のみならず出力が不安定な過渡領域においても温度補償が可能な力覚センサの温度補償方法および力覚センサを提供することを課題とする。
前記課題を解決するために本発明に係る力覚センサの温度補償方法は、出力が不安定な過渡領域または前記出力が安定な定常領域における力覚センサの出力値を示すセンサ出力値から、環境温度の影響を除去して温度補償を行う力覚センサの温度補償方法であって、前記力覚センサによる外力の測定前において、前記過渡領域における前記環境温度の変動パターンを求める準備工程と、前記力覚センサによる前記外力の測定中において、当該測定中における前記環境温度から前記変動パターンを推定し、当該変動パターンに基づく補正値によって前記センサ出力値を補正する補正工程と、を行う。そして、前記力覚センサの温度補償方法において、前記準備工程は、モニタ出力値検出手段によって、前記環境温度を示すモニタ出力値を所定のサンプリング間隔で検出する第1モニタ出力値検出工程と、モニタ抵抗変化算出手段によって、前記過渡領域の立ち上がりまたは立ち下り部分におけるサンプリング時間に対する前記モニタ出力値の傾きを算出し、閾値としてメモリ手段に格納する閾値格納工程と、前記モニタ抵抗変化算出手段によって、前記過渡領域における前記モニタ出力値の時間的変化を示す関数を前記変動パターンとして算出し、前記閾値と関連付けて前記メモリ手段に格納する関数格納工程と、を行い、前記補正工程は、センサ出力値検出手段によって、前記過渡領域または前記定常領域における前記センサ出力値を前記所定のサンプリング間隔で検出するセンサ出力値検出工程と、前記モニタ出力値検出手段によって、前記過渡領域または前記定常領域における前記モニタ出力値を前記所定のサンプリング間隔で検出する第2モニタ出力値検出工程と、前記モニタ抵抗変化算出手段によって、前記サンプリング時間に対する前記モニタ出力値の傾きを算出する傾き算出工程と、過渡変動判定手段によって、前記閾値格納工程で格納した前記閾値と、前記傾き算出工程で算出した傾きと、を比較する傾き比較工程と、過渡補正手段によって、前記傾き比較工程における比較結果に基づいて、前記閾値と関連付けられた前記関数に前記サンプリング時間を代入し、得られた補正値を前記センサ出力値に加算または減算することで、前記センサ出力値を補正するセンサ出力値補正工程と、を行うこととする。
このような構成を備える力覚センサの温度補償方法は、過渡領域における環境温度の変化に基づいたセンサ出力の変動パターンを予め求めることで、外力測定中における力覚センサの出力が過渡領域にあるか否かを判定することができる。そして、仮に過渡領域にある場合は、力覚センサの環境温度から変動パターンを推定することができ、かつ、当該変動パターンに基づく補正値によってセンサ出力値を補正することができる。
そして、このような構成を備える力覚センサの温度補償方法は、準備工程において、温度補償手段によって予め過渡領域におけるモニタ出力値のパターンを閾値および関数として求めてメモリ手段に保持する。そして、補正工程において、予め求めた閾値とモニタ出力値とを比較して、力覚センサの出力(モニタ出力値)が過渡領域にあるか否かを判定する。そして、力覚センサの出力が過渡領域にあると判定した場合は、閾値と関連付けた関数にサンプリング時間を代入して補正量を求め、当該補正量をセンサ出力値に加算あるいは減算することで、センサ出力値を補正する。
前記課題を解決するために本発明に係る力覚センサは、外力を測定するための力覚センサであって、前記外力の大きさに応じた歪検出用抵抗素子の抵抗値の変化によって前記外力を検出する力覚センサ用チップと、出力が不安定な過渡領域または前記出力が安定な定常領域における力覚センサの出力値を示すセンサ出力値から、環境温度の影響を除去して温度補償を行う温度補償手段と、を備え、前記力覚センサ用チップは、前記外力が印加される作用部と、前記作用部を周囲から支持する枠状の支持部と、前記作用部と前記支持部とを連結する連結部とからなるベース部材と、前記作用部と前記連結部との接続部分に形成された複数の前記歪検出用抵抗素子と、前記歪検出用抵抗素子の近傍に配置され、前記過渡領域または前記定常領域における前記環境温度を示すモニタ出力値を所定のサンプリング間隔で検出するモニタ用抵抗素子と、を備え、前記温度補償手段は、前記力覚センサによる前記外力の測定前に、前記過渡領域の立ち上がりまたは立ち下り部分における前記傾きを閾値として予めメモリ手段に格納するとともに、前記過渡領域における前記モニタ出力値の時間的変化を示す関数を算出して前記閾値と関連付けて予め前記メモリ手段に格納し、前記力覚センサによる前記外力の測定中に、前記過渡領域または前記定常領域におけるサンプリング時間に対する前記モニタ出力値の傾きを算出するモニタ抵抗変化算出手段と、前記力覚センサによる前記外力の測定前に前記メモリ手段に予め格納した前記閾値と、前記力覚センサによる前記外力の測定中に算出した前記傾きと、を比較する過渡変動判定手段と、前記過渡変動判定手段による比較結果に基づいて、前記閾値と関連付けられた前記関数に前記サンプリング時間を代入し、得られた補正値を前記センサ出力値に加算または減算することで、前記センサ出力値を補正する過渡補正手段と、を備える構成とする。
このような構成を備える力覚センサは、過渡領域における環境温度の変動パターンを予め求めることで、外力測定中における力覚センサの出力が過渡領域にあるか否かを判定することができる。そして、仮に過渡領域にある場合は、力覚センサの環境温度から変動パターンを推定することができ、かつ、当該変動パターンに基づく補正値によってセンサ出力値を補正することができる。
そして、このような構成を備える力覚センサは、力覚センサによる外力の測定前に、温度補償手段によって予め過渡領域におけるモニタ出力値のパターンを閾値および関数として求めてメモリ手段に保持する。そして、力覚センサによる外力の測定中に、予め求めた閾値とモニタ出力値とを比較して、力覚センサの出力(モニタ出力値)が過渡領域にあるか否かを判定する。そして、力覚センサの出力が過渡領域にあると判定した場合は、閾値と関連付けた関数にサンプリング時間を代入して補正量を求め、当該補正量をセンサ出力値に加算あるいは減算することで、センサ出力値を補正する。
また、本発明に係る力覚センサは、前記連結部が、弾性部と橋梁部とから構成されたT字梁状の領域を備え、前記T字梁状の領域が、前記作用部の中心に対して4回対称となるように形成されることが好ましい。
このような構成を備える力覚センサは、作用部を中心として4回対称となるように弾性部と橋梁部とから構成されたT字梁状の領域を形成することで、支持部によって作用部を4方向からバランス良く支持することができる。
また、本発明に係る力覚センサは、前記作用部と前記支持部と前記連結部とが、第1貫通孔によって機能的に分離されていることが好ましい。
このような構成を備える力覚センサは、作用部と支持部とを貫通孔で分離することにより、作用部に印加された外力を支持部等に分散させずに、歪検出用抵抗素子に集中させることができる。従って、作用部に印加された外力をより正確に検出することができる。
また、本発明に係る力覚センサ用チップは、前記弾性部が、前記橋梁部よりも剛性が高いことが好ましい。
このような構成を備える力覚センサ用チップは、作用部に外力が印加された際に、剛性の低い領域である弾性部が剛性の高い領域である橋梁部にかかる余分な歪みを吸収し、一方向への力またはモーメントの印加による力覚センサ用チップ全体の歪みの発生を抑制することができる。従って、特定の方向の力またはモーメントに対応する歪検出用抵抗素子に選択的に歪みを発生させることができ、他軸干渉を大幅に抑制することができる。
また、本発明に係る力覚センサは、前記剛性の高い領域と前記剛性の低い領域とが、第2貫通孔によって機能的に分離されていることが好ましい。
このような構成を備える力覚センサは、剛性の高い領域と剛性の低い領域とを貫通孔で分離することにより、作用部に印加された外力を支持部等に分散させずに、歪検出用抵抗素子に集中させることができる。従って、作用部に印加された外力をより正確に検出することができる。
本発明に係る力覚センサの温度補償方法および力覚センサによれば、モニタ出力値の変化を予め予測してセンサ出力値を補正することにより、定常領域のみならず過渡領域においても、環境温度によるセンサ出力値の変動を適切に補償することができる。従って、力覚センサによる外力の測定精度を向上させることができる。
実施形態に係る力覚センサの概略構成を説明するための斜視図であり、(a)は外観を示す斜視図、(b)は断面をとって内部構造を示した斜視図である。 外力が減衰されて力覚センサ用チップに伝達される様子を模式的に示した断面斜視図である。 実施形態に係る力覚センサ用チップの概略構成を説明するための平面図である。 実施形態に係る力覚センサ用チップの詳細を説明するための要部を示す平面図である。 実施形態に係る力覚センサの温度補償手段の詳細を示すブロック図である。 実施形態に係る力覚センサ用チップにおいて、LPFおよびADコンバータをチップ内部に設けた場合の電気接続関係を示す回路図である。 実施形態に係る力覚センサ用チップにおいて、LPFおよびADコンバータをチップ外部に設けた場合の電気接続関係を示す回路図である。 ADコンバータの具体的構成を示す概略図である。 外力が加えられた場合の減衰装置の挙動を示す斜視図である。 X軸方向の外力Fxが作用部に伝達された場合の歪み抵抗素子の変形の様子を説明するための模式図であり、(a)は平面図であり、(b)は歪み抵抗素子の変形の様子を示す平面図である。 Z軸方向の外力Fzが作用部に伝達された場合の歪み抵抗素子の変形の様子を説明するための模式図であり、(a)は平面図であり、(b)は歪み抵抗素子の変形の様子を示す断面図である。 Y軸回りのモーメントMyが作用する場合の歪み抵抗素子の変形の様子を説明するための模式図であり、(a)は平面図であり、(b)は歪み抵抗素子の変形の様子を示す断面図である。 Z軸回りのモーメントMzが作用する場合の歪み抵抗素子の変形の様子を説明するための模式図であり、(a)は平面図であり、(b)は歪み抵抗素子の変形の様子を示す平面図である。 実施形態に係る力覚センサの温度補償方法の具体例を示すフローチャートである。 他の実施形態に係る力覚センサ用チップにおける前段のハードウェア処理による温度補償を説明するための図であり、(a)は、温度に対するセンサ出力値V1sの変化を示すグラフ、(b)は、温度に対するモニタ出力値Vmの変化を示すグラフ、(c)は、モニタ出力値Vmに対するセンサ出力値V1sの変化を示すグラフ、である。 他の実施形態の変形例に係る力覚センサ用チップにおいて、LPFおよびADコンバータをチップ内部に設けた場合の電気接続関係を示す回路図であり、バッファアンプを追加した回路を示す図である。 他の実施形態の変形例に係る力覚センサ用チップにおいて、LPFおよびADコンバータをチップ外部に設けた場合の電気接続関係を示す回路図であり、バッファアンプを追加した回路を示す図である。 温度補償手段を備える加速度センサ用チップの全体構成を示す平面図である。 歪検出用抵抗素子を備える力覚センサの出力特性グラフを示す図であり、(a)は、センサの通電直後における力覚センサの出力特 性を示すグラフ、(b)は、センサの急加熱時における力覚センサの出力特性を示すグラフ、(c)は、センサの急冷却時における力覚センサの出力特性を示すグラフ、である。
以下、本発明の実施形態に係る力覚センサの温度補償方法および力覚センサについて、図面を適宜参照しながら説明する。まず、実施形態に係る力覚センサの全体構成について、図1および図2を参照しながら詳細に説明する。なお、これから参照する図において、説明の便宜上、減衰装置やガラスビーム等は単純化して表わすため、形状や位置関係等は模式的に概念化して示す場合がある。また、歪みの程度等においても誇張して表わす場合がある。
力覚センサ1は、図1(a)に示すように、外観において入力部30が突出した円盤状の形状に構成され、伝達された外力Fの6軸成分を検出する力覚センサ用チップ2と(図1(b)参照)、外力Fを減衰して力覚センサ用チップ2に伝達する減衰装置3と、を備えている。力覚センサ1が備える力覚センサ用チップ2と減衰装置3とは、図1(b)に示すように、ガラス部材10を介して接合されている。
ここで、実施形態に係る力覚センサ1は、外力Fを6軸成分について力およびモーメントを検出できる6軸の力覚センサ1を例として説明する。具体的には、力の成分は、直交するX軸、Y軸、Z軸方向について、それぞれFx,Fy,Fzとする。そして、モーメントの成分は、X軸、Y軸、Z軸の回りについて、それぞれMx,My,Mzとする。
なお、本実施形態においては、6軸の力覚センサ1を例として説明するが、本発明は特に力覚センサ1の検出軸数や外力Fの大きさ等に制限されるものではない。
力覚センサ用チップ2は、直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)の各々についての外力Fとモーメントを検出する力覚センサ1のセンサ機能を担うチップである。力覚センサ用チップ2は、図1(b)に示すように、外力Fが減衰装置3の伝達部31から減衰されて伝達される作用部21と、作用部21を支持する支持部22と、作用部21と支持部22とを連結する連結部23と、からなるベース部材20(図3参照)を備えている。なお、力覚センサ用チップ2の詳細については、後記する。
減衰装置3は、外力Fを適切な大きさに減衰して力覚センサ用チップ2に伝達するための装置である。減衰装置3は、図1(a)に示すように、力覚センサ1の外装として機能し、外力Fが入力される入力部30と、入力部30に加えられた外力Fを減衰して力覚センサ用チップ2の作用部21に伝達する伝達部31と、入力部30および伝達部31の周囲に設けられるとともに、力覚センサ1の実際の使用時において工作機械やロボット等の自動作業機械に固定される固定部32と、固定部32と入力部30とを連結している円板部34と、を備えている。
減衰装置3の入力部30周囲の円盤部34には、図1(a)に示すように、平面視で円弧状の長穴形状に形成された緩衝穴33が設けられている。この緩衝穴33は、図1(a)に示すように、入力部30に加えられた外力Fの垂直方向以外の成分を逃がして外力Fを減衰させるためのものである。
減衰装置3は、このように連結部23と入力部30とを連結する円板部34を設けたことで、入力部30に加えられた外力Fが、図2に示すように主として固定部32で受け止められて外部へ伝達される。また、円板部34に緩衝穴33を設けたことで、入力部30が外力Fの作用する方向に変形し、外力Fは減衰されてその一部が入力部30から伝達部31を介して力覚センサ用チップ2の作用部21に伝達される。従って、外力Fが繰り返し印加されること等による力覚センサ用チップ2に破損を防止することができる。なお、減衰装置3は、例えばステンレス鋼材、アルミニウム(合金)、炭素鋼等の金属材料で構成することができる。
ガラス部材10は、力覚センサ用チップ2と減衰装置3とを絶縁するための部材である。ガラス部材10は、図1および図2に示すように、全体として円盤形状であり、減衰装置3の連結部23の下面側および伝達部31の下面に接合されている。そして、力覚センサ用チップ2は、ガラス部材10を介して減衰装置3の下面に固定されている。力覚センサ1は、力覚センサ用チップ2と減衰装置3との間にガラス部材10を備えることで、電源リーク等の電気的な障害や、力覚センサ用チップ2と減衰装置3の熱膨張係数の相違による接合部の剥がれ、熱歪み等を防止することができる。
次に、力覚センサ用チップ2の構成について、図3および図4を参照しながら詳細に説明する。力覚センサ用チップ2は、図3に示すように、平面視で略正方形のベース部材20上に構成されている。そして、当該ベース部材20は、図3に示すように、外力F(図1参照)が伝達される作用部21と、連結部23を介して作用部21を支持する支持部22と、作用部21と支持部22とを連結する連結部23と、を備えている。
また、ベース部材20上の所定位置には、図3に示すように、外力Fの大きさや方向を検出する歪検出用抵抗素子Sと、歪検出用抵抗素子Sの温度補償を行う温度補償用抵抗素子24と、チップ温度を取得するモニタ用抵抗素子24aと、が配置されている。歪検出用抵抗素子S、温度補償用抵抗素子24およびモニタ用抵抗素子24aは、図4に示すように、配線28を介して信号電極パッド25およびGND電極パッド26と接続され、定電圧が印加されるように構成されている。
ベース部材20は、力覚センサ用チップ2の土台となる部材である。ベース部材20は、図3に示すように、作用部21と、作用部21から延出する延出部21aと、支持部22と、連結部23と、を有している。また、ベース部材20には、図3に示すように、貫通孔A,B,C,D,K,L,M,Nが形成されている。ベース部材20は、例えば、シリコン等の半導体基板で構成することができる。
作用部21は、外力Fが印加される領域である。作用部21は、図3に示すように、力覚センサ用チップ2の中央部に正方形状に形成されている。また作用部21は、前記したように、断面視するとガラス部材10を介して減衰装置3の伝達部31と接合されている(図1(b)参照)。
延出部21aは、図3に示すように、作用部21の端部から鉤状に形成された貫通孔K,L,M,Nに延出した領域である。延出部21aは、図3に示すように、一端側が作用部21と連続するものの、他端側が貫通孔K,L,M,Nに面しているため、支持部22や連結部23と連続していない。従って、延出部21は、外力Fが印加されて作用部21が変位した場合が連続する作用部21とともに変位するが、支持部23や連結部24とは連続していないため、歪みが生じない自由端となっている。
支持部22は、連結部23を介して作用部21を支持する領域である。支持部22は、図3に示すように、力覚センサ用チップ2の周縁部に形成され、四角枠状をなしている。また支持部22は、前記したように、その全部または一部がガラス部材10を介して減衰装置3の連結部23と接合されている(図1(b)参照)。なお、支持部22の形状は、作用部21を支持できる形状であれば四角枠状に限られず、例えば円形枠状とすることもできる。
連結部23は、作用部21と支持部22とを連結する領域である。連結部23は、図3に示すように、作用部21と支持部22の間に形成されている。また連結部23は、前記したように、ガラス部材10を介して減衰装置3の連結部23と接合されている(図1(b)参照)。また、連結部23には、後記するように、細長いスリット状の貫通孔A,B,C,D,K,L,M,Nが所定の箇所に形成されている。
連結部23は、図3に示すように、弾性部23a1,23b1,23c1,23d1と、橋梁部23a2,23b2,23c2,23d2と、からなるT字梁状の領域23a,23b,23c,23dを備えている。弾性部23a1,23b1,23c1,23d1は、図3に示すように、長さ方向における両端部が支持部22の内周と接続され、中心部がそれぞれに対応する橋梁部23a2,23b2,23c2,23d2の一方の端部と接続されている。また、橋梁部23a2,23b2,23c2,23d2は、図3に示すように、長さ方向における一方の端部がそれぞれに対応する弾性部23a1,23b1,23c1,23d1と接続され、他方の端部が作用部21と接続されている。
T字梁状の領域23a,23b,23c,23dは、図3に示すように、作用部21の中心に対して4回対称となるように、力覚センサ用チップ2の四辺に対応して形成することが好ましい。このように、作用部21を中心として4回対称となるようにT字梁状の領域23a,23b,23c,23dを形成することで、支持部22が4方向からバランス良く作用部21を支持することができる。
また、弾性部23a1,23b1,23c1,23d1は、それぞれ橋梁部23a2,23b2,23c2,23d2よりも剛性が高くなるように構成することが好ましい。
このように、T字梁状の領域23a,23b,23c,23dを剛性の低い領域と剛性の高い領域とに分けて形成することで、作用部21に外力Fが印加された際に、弾性部23a1,23b1,23c1,23d1が、橋梁部23a2,23b2,23c2,23d2にかかる余分な歪みを吸収し、一方向への力またはモーメントの印加による力覚センサ用チップ2全体の歪みの発生を抑制することができる。従って、特定の方向の力またはモーメントに対応する歪検出用抵抗素子Sに選択的に歪みを発生させることができ、他軸干渉を大幅に抑制することができる。
なお、他軸干渉とは、単一成分の力の入力があった際に、その他の成分の力の入力が「0」であるにも関わらず、ノイズ等の外乱によって測定結果が「0」とならない現象、すなわち、力またはモーメントの測定値が他軸の力またはモーメントによって変動する現象のことを指している。
貫通孔(第1貫通孔)A,B,C,Dは、図3に示すように、ベース部材20の厚さ方向に貫通して形成された略直線状のスリット孔である。貫通孔A,B,C,Dは、前記した作用部21と支持部22と連結部23とを機能的に分離する役割を果たしている。力覚センサ用チップ2は、このような貫通孔A,B,C,Dを有することにより、作用部21に印加された外力Fを支持部22等に分散させずに、後記する歪検出用抵抗素子Sに集中させることができ、作用部21に印加された外力Fをより正確に検出することができる。
貫通孔(第2貫通孔)K,L,M,Nは、図3に示すように、作用部21の端部から形成されるとともに、ベース部材20の厚さ方向に貫通して形成された鉤状のスリット孔である。貫通孔K,L,M,Nは、前記した剛性の低い領域とした弾性部23a1,23b1,23c1,23d1と、剛性の高い領域とした橋梁部23a2,23b2,23c2,23d2と、を機能的に分離する役割を果たしている。力覚センサ用チップ2は、このような貫通孔K,L,M,Nを有することにより、作用部21に印加された外力Fを支持部22等に分散させずに、後記する歪検出用抵抗素子Sに集中させることができ、作用部21に印加された外力Fをより正確に検出することができる。
歪検出用抵抗素子Sは、力覚センサ用チップ2において、外力Fの大きさや方向を検出するための素子である。歪検出用抵抗素子Sは、変形に比例して抵抗値が変化する物質であるピエゾ抵抗素子で構成されており、外力Fの印加による歪みを抵抗値の変化として検出する。歪検出用抵抗素子Sは、例えば、半導体製造工程においてベース部材20にボロン等の不純物をイオン注入することで形成することができる。
歪検出用抵抗素子Sは、図3に示すように、ベース部材20上に形成されるとともに、作用部21と連結部23との接続部分にあたる変形発生部に複数形成されている。ここで変形発生部とは、図3に示すように、作用部21に印加される外力Fによる歪みが最も発生する作用部21と橋梁部23a2,23b2,23c2,23d2との接続部分近傍のことを指している。歪検出用抵抗素子Sは、図3に示すように、橋梁部23a2,23b2,23c2,23d2の長軸方向に対して各々が平行となるように形成されている。
歪検出用抵抗素子Sは、図4に示すように、配線28を介して信号電極パッド25およびGND電極パッド26と接続されている。また、歪検出用抵抗素子Sは、後記するように、温度補償用抵抗素子24と、外付抵抗R1,R2とでブリッジ回路を形成しており、歪検出用抵抗素子Sおよび温度補償用抵抗素子24の抵抗値変化がADコンバータ40に入力され、センサ出力値Vsが出力されるように構成されている。この歪検出用抵抗素子Sが形成するブリッジ回路は、力覚センサ1の出力が不安定な過渡領域または力覚センサ1の出力が安定な定常領域において、センサ出力値Vsを所定のサンプリング間隔で検出するためのセンサ出力値検出手段11として機能する(図5参照)。
ここで、本実施形態におけるセンサ出力値Vsとは、歪検出用抵抗素子Sが検出した歪に対応した抵抗値の変化を、前記したADコンバータ40によって電圧値として算出した値のことを指している。また、センサ出力値Vsは、より具体的には、前記した歪検出用抵抗素子Sが形成するブリッジ回路における差動出力値である(図6参照)。なお、歪検出用抵抗素子Sは、前記したように環境温度によって抵抗値が変化する温度依存性を有しているため、外力Fの印加と、環境温度の変化と、の2つの要因により歪みが生じる。そして、実施形態に係る力覚センサ1では、後記するように、温度補償手段4を用いてこの2つの要因から環境温度の変化を除去して温度補償を行うことで、純粋な力とモーメントを測定する。
温度補償用抵抗素子24は、歪検出用抵抗素子Sの温度補償を行うための素子である。温度補償用抵抗素子24は、ピエゾ抵抗素子で構成されており、環境温度の変化を抵抗値の変化として検出する。温度補償用抵抗素子24は、例えば、半導体製造工程においてベース部材20にボロン等の不純物をイオン注入することで形成することができる。
温度補償用抵抗素子24は、歪検出用抵抗素子Sと同じ特性を有する素子で構成されている。また、温度補償用抵抗素子24は、図3に示すように、ベース部材20上に形成されるとともに、ベース部材20上の12個の歪検出用抵抗素子Sと対応させて、歪検出用抵抗素子Sの近傍の延出部21aに12個配置されている。
温度補償用抵抗素子24は、図3に示すように、印加される外力Fによる歪みの影響を受けない場所に配置されている。すなわち、温度補償用抵抗素子24のそれぞれは、図3に示すように、対応する歪検出用抵抗素子Sの近傍であって、自由端となっている貫通孔K,L,M,Nの内側周縁部の近くの延出部21aに配置されている。力覚センサ用チップ2は、このように外力Fの影響を受けない場所に温度補償用抵抗素子24を配置することで、素子の物性として備えている温度特性を相殺した出力を得ることができる。
モニタ用抵抗素子24aは、チップ温度(センサ組み立て後の温度も)を取得するための素子である。モニタ用抵抗素子24aは、ピエゾ抵抗素子で構成されており、チップ温度、すなわち環境温度の変化を抵抗値の変化として検出する。モニタ用抵抗素子24aは、例えば、半導体製造工程においてベース部材20にボロン等の不純物をイオン注入することで形成することができる。
モニタ用抵抗素子24aは、歪検出用抵抗素子Sと同じ特性を有する素子で構成されている。また、モニタ用抵抗素子24aは、図3に示すように、ベース部材20上に形成されるとともに、歪検出用抵抗素子Sの近傍の延出部21aに配置されている。なお、前記したように、温度補償用抵抗素子24はベース部材10上に歪検出用抵抗素子Sごとに設けられ、当該歪検出用抵抗素子Sとブリッジ回路を構成しているが、モニタ用抵抗素子24aは、チップ単位で設けられている。そして、モニタ用抵抗素子24aとブリッジ回路を構成する他の抵抗素子R3,R4,R5は、チップ外部の図示しないアナログ基板上に設けられている(図6および図7参照)。
モニタ用抵抗素子24aは、図3に示すように、印加される外力Fによる歪みの影響を受けない場所に配置されている。すなわち、モニタ用抵抗素子24aのそれぞれは、前記したように、対応する温度補償用抵抗素子24の近傍であって、自由端となっている貫通孔Lの内側周縁部の近くの延出部21aに配置されている。力覚センサ用チップ2は、このように外力Fの影響を受けない場所にモニタ用抵抗素子24aを配置することで、力覚センサ用チップ2のチップ温度を取得できるように構成されている。
モニタ用抵抗素子24aは、図4に示すように、配線28を介して信号電極パッド25およびGND電極パッド26と接続されている。また、モニタ用抵抗素子24aは、前記したように、外付抵抗R3,R4,R5とブリッジ回路を形成しており、モニタ用抵抗素子24aの抵抗値変化がADコンバータ40に入力され、モニタ出力値Vmが出力されるように構成されている。このモニタ用抵抗素子24aが形成するブリッジ回路は、力覚センサ1の出力が不安定な過渡領域または力覚センサ1の出力が安定な定常領域において、モニタ出力値Vmを所定のサンプリング間隔で検出するためのモニタ出力値検出手段12として機能する(図5参照)。
ここで、本実施形態におけるモニタ出力値Vmとは、モニタ用抵抗素子24aが検出した歪に対応した抵抗値の変化を、前記したADコンバータ40によって電圧値として算出した値のことを指している。また、モニタ出力値Vmは、より具体的には、前記したモニタ用抵抗素子24aが形成するブリッジ回路における差動出力値である(図6参照)。なお、モニタ用抵抗素子24aは、歪検出用抵抗素子Sと同様に、環境温度によって抵抗値が変化する温度依存性を有しているが、前記したように印加される外力Fによる歪みの影響を受けない場所に配置されているため、環境温度の変化のみによって歪みが生じる。
なお、モニタ用抵抗素子24aが形成するブリッジ回路は、後記するように、力覚センサ1による外力Fの測定前と、力覚センサ1による外力Fの測定中と、の2つの時点でモニタ出力値Vmを検出するが、外力Fの測定前にモニタ出力値Vmを検出する場合は、力覚センサ1を起動する、急加熱する、あるいは急冷却する等により、出力が不安定な過渡領域を人為的に再現して検出する。
信号電極パッド25およびGND電極パッド26は、歪検出用抵抗素子S、温度補償用抵抗素子24およびモニタ用抵抗素子24aに対して電圧を印加するための電極パッドである。信号電極パッド25およびGND電極パッド26は、図4に示すように、配線28を介して、それぞれの歪検出用抵抗素子S、温度補償用抵抗素子24およびモニタ用抵抗素子24aと接続されている。
配線28は、図4に示すように、歪検出用抵抗素子S、温度補償用抵抗素子24およびモニタ用抵抗素子24aと、信号電極パッド25、GND電極パッド26と、を接続するための配線である。配線28は、歪検出用抵抗素子Sと温度補償用抵抗素子24とが後記するようなブリッジ回路を形成できるように、ベース部材20上で両者を接続している。
次に、実施形態に係る力覚センサ1が備える温度補償手段4について、図5を参照しながら詳細に説明する。ここで、実施形態に係る力覚センサ1は、この温度補償手段4を備えることによって、力覚センサ1の出力が安定な定常領域のみならず、力覚センサ1の出力が不安定な過渡領域においても、環境温度の影響を除去して温度補償を行うことができる点を特徴としている。
ここで、定常領域(定常状態、定常時)とは、前記した図19(a)、(b)、(c)の破線右側に示すように、力覚センサ1の出力がサンプリング時間tに対して一定で出力が安定した領域(状態)のことを指している。また、力覚センサ1の過渡領域(過渡状態、過渡時)とは、前記した図19(a)、(b)、(c)の破線左側に示すように、力覚センサ1の出力がサンプリング時間tに対して一定ではなく出力が不安定な領域(状態)のことを指している。
温度補償手段4は、前記した歪検出用抵抗素子Sが形成するブリッジ回路、すなわちセンサ出力値検出手段11から入力されたセンサ出力値Vsから環境温度の影響を除去し、センサ出力値Vsの温度補償を行うための手段である。温度補償手段4は、具体的には、力覚センサ用チップ2外部のマイコン等である。なお、温度補償手段4は、センサ出力値Vsを適切に温度補償できる構成であれば、力覚センサ用チップ2内部に設けてもよい。
温度補償手段4には、図5に示すように、センサ出力値検出手段11が検出したセンサ出力値Vsおよびそのサンプリング時間tが入力される。このセンサ出力値Vsは、前記したように、外力Fのみならず環境温度の影響が含まれると想定される値である。
また、温度補償手段4には、図5に示すように、前記したモニタ用抵抗素子24aが形成するブリッジ回路、すなわちモニタ出力値検出手段12が検出したモニタ出力値Vmおよびそのサンプリング時間tが入力される。なお、センサ出力値検出手段11およびモニタ出力値検出手段12は出力値を同じタイミングで検出しているため、それぞれの手段から温度補償手段4に入力されるサンプリング時間tは、同じ値となる。
また、温度補償手段4は、図5に示すように、センサ出力値検出手段11およびモニタ出力値検出手段12から入力されたセンサ出力値Vs、モニタ出力値Vmおよびサンプリング時間tを用いてセンサ出力値Vsの補正を行い、センサ出力値Vs’を出力する。そして、当該センサ出力値Vs’は、図示しない外力解析装置に入力され、当該外力解析装置によって外力Fの大きさやモーメントが算出される。
温度補償手段4は、図5に示すように、モニタ抵抗変化算出手段5と、メモリ手段6と、過渡変動判定手段7と、過渡補正手段8と、を主な構成として備えており、センサ出力値Vs、モニタ出力値Vmおよびそれぞれのサンプリング時間tが、各手段によってソフトウェア処理されるように構成されている。以下、各手段について、図5を参照しながら詳細に説明する。
モニタ抵抗変化算出手段5は、過渡領域または定常領域におけるサンプリング時間tに対するモニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tを算出する手段である。モニタ抵抗変化算出手段5には、図5に示すように、モニタ出力値検出手段12が検出したモニタ出力値Vmおよびそのサンプリング時間tが入力される。なお、モニタ抵抗変化算出手段5には、力覚センサ1による外力Fの測定前と、力覚センサ1による外力Fの測定中と、の2つの時点において、モニタ出力値Vmおよびそのサンプリング時間tが入力される。
すなわち、モニタ抵抗変化算出手段5は、力覚センサ1による外力Fの測定前においては、入力されたモニタ出力値Vmおよびサンプリング時間tのうち、過渡領域の立ち上がりまたは立ち下り部分におけるサンプリング時間tに対するモニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tを算出する。そして、当該傾き△Vm/△tを閾値として設定した上で、図5の下方向に延びる矢印で示すように、当該閾値をメモリ手段6に予め格納する。なお、このように力覚センサ1による外力Fの測定前にモニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tを求める場合は、前記したように、力覚センサ1を起動する、急加熱する、あるいは急冷却する等により、出力が不安定な過渡領域を人為的に再現して行う。
ここで、過渡領域の立ち上がりまたは立ち下がり部分とは、例えば、図19の各図において破線で丸く囲った部分のことを指している。この過渡領域の立ち上がりまたは立ち下がり部分は、それぞれの過渡領域に特有の傾き△Vm/△tを有している。従って、この傾き△Vm/△tを予め算出してメモリ手段6にデータとして保持することで、後記するように、力覚センサ1による外力Fの測定中にモニタ出力値検出手段12が検出したモニタ出力値Vmが過渡領域にあるか否かを容易に判定することができる。なお、過渡領域の詳しい判定手順については、後記する。
また、モニタ抵抗変化算出手段5は、力覚センサ1による外力Fの測定前においては、入力されたモニタ出力値Vmおよびサンプリング時間tから過渡領域におけるモニタ出力値Vmの時間的変化を示す関数を算出する。そして、当該関数を、図5の下方向に延びる矢印で示すように、メモリ手段6に予め格納する。
ここで、前記した関数とは、過渡領域におけるモニタ出力値Vmのサンプリング時間tに対する変化を表す関数のことであり、例えば、図19(a)、(b)、(c)の破線左側に示す過渡領域における出力値Vの曲線を関数化したものである。関数の具体例としては、例えばf(x)=ax+bx+cx+dx+ex+f等の多項式からなる関数が挙げられる。また、この関数におけるxは、サンプリング時間tの変数であり、このxにサンプリング時間tを代入することで、関数の具体的な値を求めることができる。なお、このように関数の変数xにサンプリング時間tを代入することで得られた具体的な値は、後記するように、当該サンプリング時間tにおけるモニタ出力値Vmを補正するための補正値として用いられる。なお、このような過渡領域におけるモニタ出力値Vmの関数は、過渡領域における力覚センサ1の環境温度の変動パターンを示している。
また、モニタ抵抗変化算出手段5は、力覚センサ1による外力Fの測定中においては、過渡領域または定常領域の区別なく、サンプリング時間tに対するモニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tを算出する。そして、当該傾き△Vm/△tを、図5の右方向に延びる矢印で示すように、過渡変動判定手段7に出力する。
メモリ手段6は、前記したように、モニタ抵抗変化算出手段5で算出した閾値および関数を格納する手段である。メモリ手段6は、図5に示すように、入力された閾値および関数を関連付けて保持するとともに、後記する過渡変動判定手段7に対しては閾値を出力し、過渡補正手段8に対しては当該閾値と関連付けた関数を出力する。なお、メモリ手段6は、閾値および関数を関連付けて保持する場合は、例えばテーブル方式で保持することができる。
過渡変動判定手段7は、力覚センサ1による外力Fの測定前にメモリ手段6に予め格納した閾値と、外力Fの測定中に算出したモニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tと、を比較して力覚センサ1の出力が過渡領域にあるか否かを判定する手段である。過渡変動判定手段7には、図5に示すように、メモリ手段6からは閾値が、モニタ抵抗変化算出手段5からはモニタ出力値Vmのサンプリング時間tに対する傾き△Vm/△tが入力される。そして、過渡変動判定手段7は、当該傾き△Vm/△tが閾値よりも大きいか、小さいか、あるいは同じであるかを比較し、図5に示すようにその比較結果を過渡補正手段8に出力する。
ここで、メモリ手段6に予め格納した閾値は、前記したように、過渡領域の立ち上がりまたは立ち下がり部分におけるモニタ出力値Vmのサンプリング時間tに対する傾き△Vm/△tである。従って、過渡変動判定手段7によって、当該閾値と外力Fの測定中におけるモニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tとを比較することで、力覚センサ1の出力が過渡領域にあるか否かを容易に判定することができる。
例えば、図19(a)、(b)に示すように過渡領域の立ち上がり部分における傾き△Vm/△tを閾値とした場合において、外力Fの測定中におけるモニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tが当該閾値よりも大きければ、過渡変動判定手段7は、力覚センサ1の出力が図19(a)に示す起動直後、あるいは図19(b)に示す急加熱状態にあると判定することができる。
一方、図19(c)に示すような、過渡領域の立ち下がり部分における傾き△Vm/△tを閾値とした場合において、外力Fの測定中におけるモニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tが当該閾値よりも小さければ、過渡変動判定手段7は、力覚センサ1の出力が図19(c)に示す急冷却状態にあると判定することができる。
過渡補正手段8は、過渡変動判定手段7による比較結果に基づいて、前記した関数によってセンサ出力値Vsを補正する手段である。過渡補正手段8には、図5に示すように、力覚センサ用チップ2のモニタ出力値検出手段12が検出したモニタ出力値Vmおよびそのサンプリング時間tが入力される。また、過渡補正手段8には、図5に示すように、過渡変動判定手段7からは閾値と傾き△Vm/△tとの比較結果が、メモリ手段6からは関数が入力される。
そして、過渡補正手段8は、過渡変動判定手段7からモニタ出力値Vmが過渡領域である旨の比較結果が入力された場合、判定に用いられた閾値と関連付けたれた関数にサンプリング時間を代入して補正値を生成する。なお、ここでのサンプリング時間tは、補正を行う対象となるセンサ出力値Vsのサンプリング時間tである。このように、予め求めた関数の変数部分(前記したx)にサンプリング時間tを代入することで、当該サンプリング時間tの時点における補正値を算出することができる。そして、過渡補正手段8は、サンプリング時間tごとの補正値を算出するとともに、当該補正値を過渡領域が終了するまでセンサ出力値Vsに加算または減算しながら補正を行う。
具体的には、例えば過渡領域の立ち上がり部分における傾き△Vm/△tを閾値とした場合において、力覚センサ1のモニタ出力値Vmが図19(a)に示す起動直後、あるいは図19(b)に示す急加熱状態にあると過渡変動判定手段7によって判定された場合は、関数の変数部分にサンプリング時間tを代入し、得られた補正値をセンサ出力値Vsから減算して補正を行う。
一方、過渡領域の立ち下がり部分における傾き△Vm/△tを閾値とした場合において、力覚センサ1の出力が図19(c)に示す急冷却状態にあると過渡変動判定手段7によって判定された場合は、関数の変数部分にサンプリング時間tを代入し、得られた補正値をセンサ出力値Vsに加算して補正を行う。
次に、温度補償手段4による温度補償の流れについて、図5を参照しながら簡単に説明する。まず、力覚センサ1による外力Fの測定前において、当該力覚センサ1を起動する、急加熱する、あるいは急冷却することにより、人為的に過渡領域を再現する。そして、モニタ出力値検出手段12が、当該過渡領域における環境温度を示すモニタ出力値Vmを所定のサンプリング間隔で検出し、当該モニタ出力値Vmをそのサンプリング時間tとともにモニタ抵抗変化算出手段5に出力する。
次に、モニタ抵抗変化算出手段5が、過渡領域の立ち上がりまたは立ち下り部分におけるサンプリング時間tに対するモニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tを算出し、閾値としてメモリ手段6に格納する。また、モニタ抵抗変化算出手段5が、過渡領域におけるモニタ出力値Vmの時間的変化を示す関数を算出し、前記した閾値と関連付けてメモリ手段6に格納する。
次に、力覚センサ1による外力Fの測定を開始する。そして、モニタ出力値検出手段12が、過渡領域または定常領域におけるモニタ出力値Vmを所定のサンプリング間隔で検出し、当該モニタ出力値Vmをそのサンプリング時間tとともにモニタ抵抗変化算出手段5に出力する。
次に、モニタ抵抗変化算出手段5が、サンプリング時間tに対するモニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tを算出する。そして、過渡変動判定手段7が、外力Fの測定前に予めメモリ手段6に格納した閾値と、外力Fの測定中に算出した傾き△Vm/△tと、を比較し、その比較結果を過渡補正手段8に出力する。
次に、過渡補正手段8が、過渡変動判定手段7による比較結果に基づいて、判定に用いられた閾値と関連付けられた関数をメモリ手段6から入手する。そして、当該関数にサンプリング時間tを代入して補正値を得る。そして、当該補正値をセンサ出力値Vsに加算または減算してセンサ出力値Vsを補正し、センサ出力値Vs’として図示しない外力解析装置に出力する。
このように、実施形態に係る力覚センサ1は、力覚センサ1による外力Fの測定前に、温度補償手段4によって予め過渡領域におけるモニタ出力値Vmのパターンを閾値および関数として求めてメモリ手段6に保持する。そして、力覚センサ1による外力Fの測定中に、予め求めた閾値とモニタ出力値Vmとを比較して、力覚センサ1の出力(モニタ出力値Vm)が過渡領域にあるか否かを判定する。そして、力覚センサ1の出力が過渡領域である場合は、閾値と関連付けた関数にサンプリング時間tを代入して補正量を求め、当該補正量をセンサ出力値Vsに加算あるいは減算することで、センサ出力値Vsを補正する。
すなわち、実施形態に係る力覚センサ1は、外力Fの測定中において、予め保持する閾値によって、モニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tから過渡領域にあるか否かを判定し、かつ、予め閾値と関連付けて保持する関数によって、過渡領域の具体的なパターンおよび補正量を予測することで、センサ出力値Vsを補正することができる。従って、実施形態に係る力覚センサ1は、定常領域のみならず過渡領域においても、ソフトウェア処理によってセンサ出力値Vsから環境温度の影響を除去することができ、純粋な外力Fを測定することができる。
次に、実施形態に係る力覚センサ用チップ2における各素子と温度補償手段4の電気接続関係について、図6を参照しながら簡単に説明する。なお、図6において破線で囲った領域は力覚センサ用チップ2内部を、その他の領域は力覚センサ用チップ2外部を示している。
力覚センサ用チップ2では、図6に示すように、チップ内部に設けられた歪検出用抵抗素子Sと温度補償用抵抗素子24とが、チップ外部の外付抵抗R1,R2とブリッジ回路BC1を構成している。このブリッジ回路BC1は、前記したセンサ出力値検出手段11に相当する。なお、ブリッジ回路BC1は、ここでは、外付抵抗R1,R2がチップ外部に形成されたハーフブリッジ回路である。
また、力覚センサ用チップ2では、図6に示すように、チップ内部に設けられたモニタ用抵抗素子24aは、チップ外部の外付抵抗R3,R4,R5とブリッジ回路BC1を構成している。このブリッジ回路BC1は、前記したセンサ出力値検出手段11に相当する。
歪検出用抵抗素子Sが形成するブリッジ回路BC1において、歪検出用抵抗素子Sおよび温度補償用抵抗素子24の一端側(本図上の下側)は、図6に示すように、相互に連結されるとともに、グラウンド電位GNDに接続されている。また、歪検出用抵抗素子Sおよび温度補償用抵抗素子24の他端側(本図上の上側)は、それぞれ信号電極パッド25と接続されている。また、信号電極パッド25は、力覚センサ用チップ2外部の外付抵抗R1,R2とそれぞれ接続されている。
ブリッジ回路BC1において、歪検出用抵抗素子Sおよび温度補償用抵抗素子24は、図6に示すように、センサ内部に設けられたLPF(ローパスフィルタ)41およびADコンバータ40と接続され、歪検出用抵抗素子Sおよび温度補償用抵抗素子24によって生成される歪検出信号が、当該ADコンバータ40に出力されるように構成されている。また、歪検出用抵抗素子Sおよび温度補償用抵抗素子24は、図7に示すように、チップ外部の図示しないアナログ基板に配置されたLPF(ローパスフィルタ)41およびADコンバータ40と接続され、歪検出用抵抗素子Sおよび温度補償用抵抗素子24によって生成される歪検出信号が当該ADコンバータ40に入力されるように構成されていてもよい。
ここで、ADコンバータ40は、具体的には図8に示すように、歪検出信号をAD変換するΔΣADコンバータ(デルタシグマADコンバータ)40aと、2つの歪検出信号の差をとるPGA(Programmable Gain Amplifier)40bと、リファレンス電圧を印加するRef.(Reference)40cと、AD変換のタイミングパルスを発振するOSC(Oscillator)40dと、インターフェイスであるI/F(Interface)40eと、を備えている。
また、ΔΣADコンバータ40aとは、アナログ信号をデジタル信号に変換するコンバータであって、通常のADコンバータよりも低消費電力かつ高速クロック動作および高SNR(signal-to-noise ratio:信号対雑音比)を実現可能なコンバータのことを指している。なお、ΔΣADコンバータ40aを始めとするADコンバータ40の各構成はいずれも周知の構成であるため、その詳しい機能・動作等の説明は省略する。
このようなブリッジ回路BC1においては、ADコンバータ40によって歪検出用抵抗素子Sと温度補償用抵抗素子24の差動出力値、すなわち、歪検出用抵抗素子Sの物性として備えている温度特性を相殺した出力であるセンサ出力値Vsを算出し、当該センサ出力値Vsをチップ外部の温度補償手段4に出力する。
一方、モニタ用抵抗素子24aが形成するブリッジ回路BC2においては、モニタ用抵抗素子24aは、図6に示すように、チップ外部に設けられたLPF(ローパスフィルタ)41およびADコンバータ40と接続され、モニタ用抵抗素子24aによって生成される歪検出信号が当該ADコンバータ40に出力されるように構成されている。
そして、ブリッジ回路BC2においては、ADコンバータ40によって力覚センサ2の環境温度を示すモニタ出力値Vmを算出し、当該モニタ出力値Vmをチップ外部の温度補償手段4に出力する。
温度補償手段4は、このようにして入力されたセンサ出力値Vsとモニタ出力値Vmとを前記した手順によってソフトウェア処理し、センサ出力値Vsから環境温度の影響を除去した値を算出する。
なお、力覚センサ用チップ2では、図6に示す外付抵抗R1,R2を力覚センサ用チップ2内部に設けて、フルブリッジ回路を構成してもよい。力覚センサ用チップ2は、このようにフルブリッジ回路で構成することで、歪検出用抵抗素子Sの抵抗値の変化から、温度変化による抵抗値の変化をキャンセルし、歪検出用抵抗素子Sにおける外力による抵抗値の変化のみを適切に取り出すことができる。従って、作用部21に印加された外力をより正確に検出することができる。
次に、実施形態に係る力覚センサ1の動作について、図9〜図13を参照しながら詳細に説明する。種々の軸成分の外力Fが入力された場合の減衰装置3の挙動について、図12を参照しながら説明する。
例えば、図9(a)に示すように、X軸方向の外力Fxが入力部30に入力された場合には、入力部30が極めて微小ながらX軸方向に移動する。同様にして、Z軸方向の外力Fzが入力された場合には、図9(b)に示すように、入力部30がZ軸方向に移動する。そして、Y軸回りのモーメントMyが入力された場合には、図9(c)に示すように、入力部30がY軸回りに回転し、Z軸回りのモーメントMzが入力された場合には、図9(d)に示すように、入力部30がZ軸回りに回転する。なお、他の軸成分についても同様であるので、その説明は省略する。
図10〜図13を参照しながら、外力Fx,Fz、モーメントMy,Mzが印加された際の力覚センサ用チップ2に生じる歪みの状態について説明する。
図10(a)に示すように、外力Fxの印加により作用部21がX方向に移動しようとし、これに伴って橋梁部23a2,23c2においてたわみが顕著に生じる。このとき、図10(b)に示すように、たわみの外側の歪検出用抵抗素子Sya1,Syb3には引張力が作用し、抵抗値が増加する。一方、たわみの内側の歪検出用抵抗素子Sya3,Syb1には圧縮力が作用し、抵抗値が減少する。歪検出用抵抗素子Sxa1〜Sxa3,Sxb1〜Sxb3は、外力Fxの影響を受けない。
図11(b)に示すように、外力Fzの印加により作用部21がZ方向に移動しようとし、これに伴って橋梁部23a2,23b2,23c2,23d2においてたわみが顕著に生じる。このとき、各歪検出用抵抗素子Sxa1〜Sxa3,Sxb1〜Sxb3,Sya1〜Sya3,Syb1〜Syb3は、ベース部材20の表面(上層部)に形成されているから、すべての歪検出用抵抗素子Sxa1〜Sxa3,Sxb1〜Sxb3,Sya1〜Sya3,Syb1〜Syb3に引張力が作用し、抵抗値が増加する。
図12(b)に示すように、モーメントMyの印加によりX軸方向の橋梁部23b2,23d2には、それぞれモーメントMyによるたわみが生じ、歪検出用抵抗素子Sxa1〜Sxa3には圧縮力が作用し、抵抗値が減少する。一方、歪検出用抵抗素子Sxb1〜Sxb3には引張力が作用し、抵抗値が増加する。ただし、Y軸方向の橋梁部23a2,23c2では、ほとんど引張力も圧縮力も作用せず、抵抗値は変化しない。
図13(b)に示すように、モーメントMzの印加により各橋梁部23a2,23b2,23c2,23d2には、それぞれモーメントMzによるたわみが生じ、たわみの外側に配置された歪検出用抵抗素子Sya3,Sxa3,Syb3,Sxb3には引張力が作用し、抵抗値が増加する。一方、たわみの内側に配置された歪検出用抵抗素子Sya1,Sxa1,Syb1,Sxb1には圧縮力が作用し、抵抗値が減少する。ただし、たわみの中心に位置する歪検出用抵抗素子Sxa2,Sxb2,Sya2,Syb2には、ほとんど引張力も圧縮力も作用しないため、抵抗値は変化しない。
以上、代表的な4つの軸力を例として、概念的に簡略化して外力Fに含まれる各成分(力またはモーメント)と歪検出用抵抗素子Sに作用する力との関係を説明した。そして、歪検出用抵抗素子Sに圧縮力または引張力が作用すると抵抗値が減少または増加するため、この抵抗値の変化率(抵抗変化率)をブリッジ回路BC1(図6参照)により検出している。
この抵抗変化率に基づいて、6軸の力覚センサ1から最終的に出力される信号は、各単一の成分(Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mz)に対応する演算抵抗変化率Sig1〜Sig6である。すなわち、演算抵抗変化率Sig1〜Sig6は、できるだけ他軸干渉の影響を排除して、それぞれ外力Fに含まれる各成分(Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mz)に対応させて、抵抗変化率から以下のように定められる。なお、抵抗変化率は、例えば、Sya1のように表すが、これはSya1の抵抗変化率を示すものである。
Sig1=((Sya1−Sya3)+(Syb3−Syb1))/4
Sig2=((Sxa3−Sxa1)+(Sxb1−Sxb3))/4
Sig3=(Sxa2+Sya2+Sxb2+Sy2)/4
Sig4=(Sya2−Syb2)/2
Sig5=(Sba2−Sxa2)/2
Sig6=((Sxa3−Sxa1)+(Sya3−Sya1)
+(Sxb3−Sxb1)+(Syb3−Syb1))/8
6軸成分(Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mz)と演算抵抗変化率Sig1〜Sig6との関係について説明する。力覚センサ1の出力信号である演算抵抗変化率Sig1〜Sig6に基づいて印加された外力Fの各成分を算出するためには、予め、単一成分の外力を力覚センサ用チップ2に印加して、このときの出力信号Sig1〜Sig6を求めておく。これによって、6軸成分(Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mz)と演算抵抗変化率Sig1〜Sig6との関係が把握される。
具体的には、例えば外力Fxを力覚センサ用チップ2に印加すると、実際上モーメントMyも印加されるが、力覚センサ用チップ2の形状や歪検出用抵抗素子S等の配置が4回対象に設けられているため、他軸干渉の影響はできるだけ排除され、Sig1は、FxとMyとの一次式として表される。同様にして、Fyを力覚センサ用チップ2に印加すると、Sig2は、FyとMxとの一次式として表される。Sig3は、主としてFzの一次式で表すことができる(他の軸成分を無視できる程度まで抑えることも可能)。
モーメントについても同様に、Mxを力覚センサ用チップ2に印加すると、Sig4は、MxとFyとの一次式として表される。また、Myを力覚センサ用チップ2に印加すると、Sig5は、MyとFxとの一次式として表される。Sig6は、Mzの一次式で表すことができる(他の軸成分を無視できる程度まで抑えることが可能)。
以上のような実験により、演算抵抗変化率Sig1〜Sig6は、他軸干渉の影響をできるだけ排除して、6軸成分(Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mz)の一次式で表すことができる。この一次式(行列式)から逆行列を求めることで、6軸成分(Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mz)を演算抵抗変化率Sig1〜Sig6の一次式で表すことができる。このようにして、6軸成分(Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mz)は、演算抵抗変化率Sig1〜Sig6から求めることができる。
ここで、前記したような力覚センサ1による外力Fの測定中においては、歪検出用抵抗素子Sが環境温度によって抵抗値が変化する温度依存性を有しているため、外力Fの測定中に環境温度が変化すると、外力Fが印加されていないにも関わらず、外力Fが誤って検出される可能性がある。しかし、実施形態に係る力覚センサ1は、前記したように、外力Fの測定中において、予め保持する閾値によってモニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tから過渡領域にあるか否かを判定し、かつ、予め閾値と関連付けて保持する関数によって過渡領域の具体的なパターンおよび補正量を予測することで、センサ出力値Vsを補正することができる。従って、実施形態に係る力覚センサ1は、定常領域のみならず過渡領域においても、ソフトウェア処理によってセンサ出力値Vsから環境温度の影響を除去することができ、純粋な外力Fを測定することができる。
次に、実施形態に係る力覚センサ1の温度補償方法について、図5を適宜参照しながら詳細に説明する。力覚センサ1の温度補償方法は、温度補償手段4を用いることによって、力覚センサ1の出力が安定な定常領域のみならず、力覚センサ1の出力が不安定な過渡領域においても、環境温度の影響を除去して温度補償を行うことができる点を特徴としている。
力覚センサ1の温度補償方法は、力覚センサ1による外力Fの測定前において、過渡領域における力覚センサ1の環境温度の変動パターンを求める準備工程と、力覚センサ1による外力Fの測定中において、変動パターンに基づく補正値によってセンサ出力値Vsを補正する補正工程と、に大別される。
また、準備工程は、第1モニタ出力値検出工程と、閾値格納工程と、関数格納工程と、を行い、補正工程は、センサ出力値検出工程と、第2モニタ出力値検出工程と、傾き算出工程と、傾き比較工程と、センサ出力値補正工程と、を行う。以下、各工程について詳細に説明する。
第1モニタ出力値検出工程は、モニタ出力値検出手段12によって、過渡領域における環境温度を示すモニタ出力値Vmを所定のサンプリング間隔で検出する工程である。すなわち、本工程では、力覚センサ1による外力Fの測定前に、予め過渡領域におけるモニタ出力値Vmを検出する。なお、準備工程においては、力覚センサ1を起動する、急加熱する、あるいは急冷却することにより、過渡領域を人為的に再現する。
閾値格納工程は、モニタ抵抗変化算出手段5によって、過渡領域の立ち上がりまたは立ち下り部分におけるサンプリング時間tに対するモニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tを算出し、閾値としてメモリ手段6に格納する工程である。ここで、過渡領域の立ち上がりまたは立ち下がり部分は、前記したように、それぞれの過渡領域に特有の傾き△Vm/△tを有している。従って、その傾き△Vm/△tを予め算出してメモリ手段6にデータとして保持することで、後記するように、力覚センサ1による外力Fの測定中において、モニタ出力値検出手段12が検出したモニタ出力値Vmが過渡領域にあるか否かを容易に判定することができる。
関数格納工程は、モニタ抵抗変化算出手段5によって、過渡領域におけるモニタ出力値Vmの時間的変化を示す関数を算出し、閾値と関連付けてメモリ手段6に格納する工程である。ここで、この関数は、前記したように過渡領域におけるモニタ出力値Vmのサンプリング時間tに対する変化を表すものであり、変数xにサンプリング時間tを代入することで、当該サンプリング時間tにおけるセンサ出力値Vsを補正するための補正値を算出することができる。なお、このような過渡領域におけるモニタ出力値Vmの関数は、過渡領域における力覚センサ1の環境温度の変動パターンを示している。
センサ出力値検出工程は、センサ出力値検出手段11によって、過渡領域または定常領域におけるセンサ出力値Vsを所定のサンプリング間隔で検出する工程である。ここで、センサ出力値検出手段11は、前記したように環境温度によって抵抗値が変化する温度依存性を有しているため、当該手段によって検出されたセンサ出力値Vsには、外力Fの印加による影響に加えて、環境温度による影響が含まれている可能性がある。従って、後記する各工程によって、本工程で検出したセンサ出力値Vsから環境温度の影響を除去することになる。
第2モニタ出力値検出工程は、モニタ出力値検出手段12によって、過渡領域または定常領域におけるモニタ出力値Vmを所定のサンプリング間隔で検出する工程である。すなわち、本工程では、力覚センサ1による外力Fの測定中に、過渡領域または定常領域におけるモニタ出力値Vmを検出し、外力Fの測定中における環境温度の影響をモニタする。なお、本工程は、前記したセンサ出力値検出工程と同時行われるため、サンプリング間隔もセンサ出力値検出工程と同じである。
傾き算出工程は、モニタ抵抗変化算出手段5によって、サンプリング時間tに対するモニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tを算出する工程である。本工程において算出したモニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tは、後記する傾き比較工程において閾値と比較され、力覚センサ1のモニタ出力値Vmが過渡領域にあるか否かが判定される。
傾き比較工程は、過渡変動判定手段7によって、閾値格納工程で格納した閾値と、傾き算出工程で算出した傾き△Vm/△tと、を比較する工程である。ここで、当該閾値は、前記したように過渡領域の立ち上がりまたは立ち下がり部分におけるモニタ出力値Vmのサンプリング時間tに対する傾き△Vm/△tである。従って、本工程によって当該閾値と外力Fの測定中におけるモニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tとを比較することで、力覚センサ1の出力が過渡領域にあるか否かを容易に判定することができる。
センサ出力値補正工程は、過渡補正手段8によって、傾き比較工程における比較結果に基づいて、閾値と関連付けられた関数にサンプリング時間tを代入し、得られた値をセンサ出力値Vsに加算または減算することで、センサ出力値Vsを補正する工程である。本工程では、傾き比較工程において、力覚センサ1の出力が過渡領域にある旨の比較結果が出されると、前記した閾値と関連付けられた関数にサンプリング時間tを代入して補正値を生成する。なお、ここでのサンプリング時間tは、補正を行う時点におけるセンサ出力値Vsのサンプリング時間tである。このように、予め求めた関数の変数部分(前記したx)にサンプリング時間tを代入することで、当該サンプリング時間tの時点における補正値を算出することができる。そして、センサ出力値補正工程では、算出した補正値をセンサ出力値Vsに加算または減算することで、センサ出力値Vsから環境温度の影響を除去する。
次に、実施形態に係る力覚センサ1の温度補償方法の具体例について、図14を参照しながら詳細に説明する。以下の具体例においては、前記した準備工程における処理は省略する。但し、準備工程の閾値格納工程において、−30mV/secおよび30mV/secの2つの閾値を設定するとともに、関数格納工程において、f(x)およびg(x)の関数を算出し、それぞれを関連付けてメモリ手段6に格納したものとする。なお、閾値−30mV/secは、図19(c)に示す急冷却状態における過渡領域の立ち下がり部分の傾き△Vm/△tを想定したものであり、閾値30mV/secは、図19(b)に示す急加熱状態における過渡領域の立ち上がり部分の傾き△Vm/△tを想定したものである。
まず、力覚センサ1による外力Fの測定が開始すると、ステップS1において、センサ出力値検出手段11が検出したセンサ出力値Vsと、モニタ出力値検出手段12が検出したモニタ出力値Vmと、が温度補償手段4に入力される。次に、ステップS2において、温度補償手段4のモニタ抵抗変化算出手段5によって、モニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tが算出される。
次に、ステップS3において、モニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tが−30mV/sec以下なのか、30mV/sec以上なのか、あるいは−30mV/sec超かつ30mV/sec未満なのか、が判定される。
そして、モニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tが−30mV/sec以下である場合(ステップS3で下方向の矢印)、力覚センサ1の出力が急冷却による過渡領域にあることが分かるため、ステップS4に進み、センサ出力値Vsに対して関数f(x)を加算して温度補償を行うとともに、センサ出力値Vs’を出力する。なおその際、関数f(x)の変数xには、補正を行う時点におけるセンサ出力値Vsのサンプリング時間tが代入される。
また、モニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tが30mV/sec以上である場合(ステップS3で右方向の矢印)、力覚センサ1の出力が急加熱による過渡領域にあることが分かるため、ステップS5に進み、センサ出力値Vsに対して関数g(x)を減算して温度補償を行うとともに、センサ出力値Vs’を出力する。なおその際、関数g(x)の変数xには、補正を行う時点におけるセンサ出力値Vsのサンプリング時間tが代入される。
また、モニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tが−30mV/sec超かつ30mV/sec未満(ステップS3で下方向の矢印)、力覚センサ1の出力が安定した定常状態にあることが分かるため、ステップS6に進み、温度補償を行うことなくセンサ出力値Vsそのまま出力する。
次に、実施形態に係る力覚センサ1の変形例について、説明する。変形例に係る力覚センサは、温度補償手段4において、前記したソフトウェア処理に先立って、ハードウェア処理によっても温度補償を行うことを特徴としている。変形例に係る力覚センサおよび力覚センサ用チップは、温度補償手段4以外は、前記した力覚センサ1および力覚センサ用チップ2と同様の構成を備えているため、各構成の詳細な説明は省略する。
変形例に係る力覚センサでは、前段のハードウェア処理による温度補償を以下のような手順で行う。
まず力覚センサによる外力Fの測定前に、外力Fを印加せずにチップ温度、すなわち環境温度のみを変化させた場合における歪検出用抵抗素子Sのセンサ出力値V1sを予め測定する。センサ出力値V1sは、前記した図5または図6に示すように、ブリッジ回路BC1における歪検出用抵抗素子Sと温度補償用抵抗素子24の抵抗値変化がLPF41を経てADコンバータ40に入力されることで算出される値である。また、センサ出力値V1sは、環境温度の変化に対応した歪検出用抵抗素子Sの出力値であり、チップ温度との関係は、例えば図15(a)に示すようなものとなる。
また同時に、力覚センサによる外力Fの測定前に、チップ温度、すなわち環境温度のみを変化させた場合におけるモニタ用抵抗素子24aのモニタ出力値Vmを予め測定する。モニタ出力値Vmは、前記した図5または図6に示すように、ブリッジ回路BC2におけるモニタ用抵抗素子24aの抵抗値変化がLPF41を経てADコンバータ40に入力されることで算出される値である。また、モニタ出力値Vmは、環境温度の変化に対応したモニタ用抵抗素子24aの出力値であり、環境温度との関係は、例えば図15(b)に示すようなものとなる。
そして、変形例に係る力覚センサでは、前記したセンサ出力値V1sと、モニタ出力値Vmを図15(c)に示すように関数化し、その関数(例えば、y=f(m))を前記した温度補償手段4の、例えばメモリ手段6に予め格納する。この関数におけるmは、モニタ出力値Vmの変数であり、このmにモニタ出力値Vmを代入することで、関数の具体的な値であるセンサ出力値V1sを求めることができる。このように関数の変数mにモニタ出力値Vmを代入することで得られる具体的な値は、後記するように、当該モニタ出力値Vmと同じサンプリング時間tに検出されたセンサ出力値Vsを温度補償するための補正値として用いられる。なお、このようなセンサ出力値V1sとモニタ出力値Vmの関数は、環境温度の変動によるセンサ出力値の変動パターンを示している。
変形例に係る力覚センサでは、外力Fの測定を開始すると、前記したように、ブリッジ回路BC1から、歪検出用抵抗素子Sおよび温度補償用抵抗素子24の抵抗値変化がLPF41を経てADコンバータ40に入力され、センサ出力値Vsが算出される。このセンサ出力値Vsは、外力Fのみならず、環境温度の影響も含まれる出力値である。なお、この環境温度の影響とは、例えばセンサとして組み上げた後に新たに入る温度外乱で発生するチップ温度の変動等が挙げられる。
そして、変形例に係る力覚センサでは、当該センサ出力値Vsと同じサンプリング時間tで算出したモニタ出力値Vmを、前記した関数のmに代入し、補正値となるセンサ出力値V1sを算出する。そして、センサ出力値Vsからセンサ出力値V1sを差し引くことで、温度補償を行う。このように、外力Fと環境温度の両方の影響が含まれたセンサ出力値Vsから、環境温度の影響のみが含まれたセンサ出力値V1sを差し引くことで、外力Fの影響のみが含まれるセンサ出力値V2s(図示せず)を算出することができる。
但し、このセンサ出力値V2sは、前記した図19(a)、(b)、(c)の破線右側に示す定常領域においては、温度補償が可能であるが、同図(a)、(b)、(c)の破線左側に示す過渡領域においては、算出が困難な場合がある。そのため、変形例に係る力覚センサでは、前段の温度補償としてこのようなハードウェア処理による温度補償を行うと同時に、後段の温度補償として前記したソフトウェア処理による温度補償(図5参照)を行う。従って、変形例に係る力覚センサは、前段と後段との2段階で温度補償を行うことができ、定常領域および過渡領域において、環境温度によるセンサ出力値Vsの変動をより適切に補償することができる。
次に、前記した力覚センサ用チップ2の変形例について、図16および図17に示す回路図を参照しながら説明する。変形例に係る力覚センサ用チップは、図16および図17の回路図に示すように、図6および図7の回路図を構成する力覚センサ用チップ2に、バッファアンプ42を追加したものである。従って、前記した図6および図7に示す回路図と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。なお、図16は、ADコンバータ40、LPF41、バッファアンプ42をチップ内部に設けた場合を示し、図17は、ADコンバータ40、LPF41、バッファアンプ42をチップ外部に設けた場合を示している。
バッファアンプ42は、歪検出信号のハイ・インピーダンスをロー・インピーダンスに変換することにより、ノイズの影響を抑制するものである。バッファアンプ42は、図16および図17に示すように、歪検出用抵抗素子Sおよび温度補償用抵抗素子24と、ΔΣADコンバータ40との間に接続される。力覚センサ用チップ2は、このようなバッファアンプ42を備えることにより、ノイズの影響を抑え、作用部21に印加された外力Fをより正確に検出することができる。
また、これまで説明した力覚センサ用チップ2は、いずれもセンサの表面側に歪検出用抵抗素子S等を配置して構成しているが、これらを裏面側にも積層し、両面の歪検出用抵抗素子Sで外力Fを検出する構成としてもよい。この場合、センサの裏面側における歪検出用抵抗素子S等構成は、図3および図4と同様となる。このように、力覚センサ用チップ2の両面に歪検出用抵抗素子S等を設けることにより、両面に印加された外力Fを検出することができる。
次に、図18を参照しながら、温度補償手段4を備える加速度センサ用チップ200について、詳細に説明する。ここで、加速度センサは、抵抗素子を用いて直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)の各々についての加速度を測定するセンサであり、加速度センサ用チップ200は、そのセンサ機能を担うチップである。
加速度センサ用チップ200は、図18に示すように、作用部21に重錘部50を備えること以外は、前記した力覚センサ用チップ2と同様の構成を備えている。従って、前記した力覚センサ用チップ2と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、加速度センサ用チップ200は、前記した力覚センサ用チップ2と、歪検出用抵抗素子とその配線状態(図4)、電気接続関係を示す回路図(図6)が同じであるため、これらについても説明を省略する。
重錘部50は、作用部21を加速度によって変位させるためのものである。重錘部50は、図16に示すように、作用部21の中央に配置され、正方形状をなしている。重錘部50の具体的な配置場所は、作用部21を所定加速度で変位可能であれば限定されず、例えば作用部21(図3参照)の底部に配置することができる。重錘部50は、例えば、ガラス等の平板で構成することができる。
このような構成を備える加速度センサ用チップ200の作用部21に加速度を伴った外力Fが印加されると、歪検出用抵抗素子Sが所定の加速度で変形して抵抗値が変化する。この抵抗値の変化から歪検出用抵抗素子Sの出力電圧の変化を検出し、加速度の大きさを測定する。
ここで、加速度センサ用チップ200は、前記した力覚センサ用チップ2と同様に、温度補償手段4を備えている(図5参照)。従って、このような加速度センサ用チップ200を備える加速度センサは、加速度の測定前に温度補償手段4によって予め過渡領域におけるモニタ出力値Vmのパターンを閾値および関数として求めて保持する。そして、加速度センサによる外力Fの測定中に、予め求めた閾値とモニタ出力値Vmとを比較して、当該モニタ出力値Vmが過渡領域にあるか否かを判定する。そして、過渡領域であると判定された場合は、閾値と関連付けた関数にサンプリング時間tを代入して補正量を求め、当該補正量をセンサ出力値Vsに加算あるいは減算してセンサ出力値Vsを補正する。
すなわち、加速度センサ用チップ200を備える加速度センサは、加速度の測定中に、予め保持する閾値によってモニタ出力値Vmの傾き△Vm/△tから過渡領域にあるか否かを判定し、かつ、予め閾値と関連付けて保持する関数によって過渡領域の具体的なパターンおよび補正量を予測することで、センサ出力値Vsを補正することができる。従って、加速度センサ用チップ200を備える加速度センサは、定常領域のみならず過渡領域においても、ソフトウェア処理によってセンサ出力値Vsから環境温度の影響を除去することができ、純粋な加速度を測定することができる。
1 力覚センサ
2 力覚センサ用チップ
3 減衰装置
4 温度補償手段
5 モニタ抵抗変化算出手段
6 メモリ手段
7 過渡変動判定手段
8 過渡補正手段
10 ガラス部材
11 センサ出力値検出手段
12 モニタ出力値検出手段
20 ベース部材
21 作用部
21a 延出部
22 支持部
23 連結部
23a,23b,23c,23d T字梁状の領域
23a1,23b1,23c1,23d1 弾性部
23a2,23b2,23c2,23d2 橋梁部
24 温度補償用抵抗素子
24a モニタ用抵抗素子
25 信号電極パッド
26 GND電極パッド
27 ブリッジ用抵抗素子
28 配線
30 入力部
31 伝達部
32 連結部23
33 緩衝穴
34 円板部
40 ADコンバータ
40a ΔΣADコンバータ(デルタシグマADコンバータ)
40b PGA(Programmable Gain Amplifier)
40c Ref.(Reference)
40d OSC(Oscillator)
40e I/F(Interface)
41 LPF(ローパスフィルタ)
42 バッファアンプ
50 重錘部
200 加速度センサ用チップ
A,B,C,D 貫通孔(第1貫通孔)
K,L,M,N 貫通孔(第2貫通孔)
BG1 歪検出用抵抗素子が形成するブリッジ回路
BG2 モニタ用抵抗素子が形成するブリッジ回路
F,Fx,Fy,Fz 外力
GND グラウンド電位
Mx,My,Mz モーメント
R1,R2 外付抵抗
S,Sxa1,Sxa2,Sxa3,Sxa4,Sxb1,Sxb2,Sxb3,Sxb4,Sya1,Sya2,Sya3,Sya4,Syb1,Syb2,Syb3,Syb4 歪検出用抵抗素子
t サンプリング時間
VE 電源電圧
Vm モニタ出力値
Vs センサ出力値
△Vm/△t 傾き

Claims (6)

  1. 出力が不安定な過渡領域または前記出力が安定な定常領域における力覚センサの出力値を示すセンサ出力値から、環境温度の影響を除去して温度補償を行う力覚センサの温度補償方法であって、
    前記力覚センサによる外力の測定前において、前記過渡領域における前記環境温度の変動パターンを求める準備工程と、
    前記力覚センサによる前記外力の測定中において、当該測定中における前記環境温度から前記変動パターンを推定し、当該変動パターンに基づく補正値によって前記センサ出力値を補正する補正工程と、を行い、
    前記準備工程は、
    モニタ出力値検出手段によって、前記環境温度を示すモニタ出力値を所定のサンプリング間隔で検出する第1モニタ出力値検出工程と、
    モニタ抵抗変化算出手段によって、前記過渡領域の立ち上がりまたは立ち下り部分におけるサンプリング時間に対する前記モニタ出力値の傾きを算出し、閾値としてメモリ手段に格納する閾値格納工程と、
    前記モニタ抵抗変化算出手段によって、前記過渡領域における前記モニタ出力値の時間的変化を示す関数を前記変動パターンとして算出し、前記閾値と関連付けて前記メモリ手段に格納する関数格納工程と、を行い、
    前記補正工程は、
    センサ出力値検出手段によって、前記過渡領域または前記定常領域における前記センサ出力値を前記所定のサンプリング間隔で検出するセンサ出力値検出工程と、
    前記モニタ出力値検出手段によって、前記過渡領域または前記定常領域における前記モニタ出力値を前記所定のサンプリング間隔で検出する第2モニタ出力値検出工程と、
    前記モニタ抵抗変化算出手段によって、前記サンプリング時間に対する前記モニタ出力値の傾きを算出する傾き算出工程と、
    過渡変動判定手段によって、前記閾値格納工程で格納した前記閾値と、前記傾き算出工程で算出した傾きと、を比較する傾き比較工程と、
    過渡補正手段によって、前記傾き比較工程における比較結果に基づいて、前記閾値と関連付けられた前記関数に前記サンプリング時間を代入し、得られた補正値を前記センサ出力値に加算または減算することで、前記センサ出力値を補正するセンサ出力値補正工程と、
    を行うことを特徴とする力覚センサの温度補償方法。
  2. 外力を測定するための力覚センサであって、
    前記外力の大きさに応じた歪検出用抵抗素子の抵抗値の変化によって前記外力を検出する力覚センサ用チップと、
    出力が不安定な過渡領域または前記出力が安定な定常領域における力覚センサの出力値を示すセンサ出力値から、環境温度の影響を除去して温度補償を行う温度補償手段と、を備え、
    前記力覚センサ用チップは、
    前記外力が印加される作用部と、
    前記作用部を周囲から支持する枠状の支持部と、
    前記作用部と前記支持部とを連結する連結部とからなるベース部材と、
    前記作用部と前記連結部との接続部分に形成された複数の前記歪検出用抵抗素子と、
    前記歪検出用抵抗素子の近傍に配置され、前記過渡領域または前記定常領域における前記環境温度を示すモニタ出力値を所定のサンプリング間隔で検出するモニタ用抵抗素子と、を備え、
    前記温度補償手段は、
    前記力覚センサによる前記外力の測定前に、前記過渡領域の立ち上がりまたは立ち下り部分における前記傾きを閾値として予めメモリ手段に格納するとともに、前記過渡領域における前記モニタ出力値の時間的変化を示す関数を算出して前記閾値と関連付けて予め前記メモリ手段に格納し、
    前記力覚センサによる前記外力の測定中に、前記過渡領域または前記定常領域におけるサンプリング時間に対する前記モニタ出力値の傾きを算出するモニタ抵抗変化算出手段と、
    前記力覚センサによる前記外力の測定前に前記メモリ手段に予め格納した前記閾値と、前記力覚センサによる前記外力の測定中に算出した前記傾きと、を比較する過渡変動判定手段と、
    前記過渡変動判定手段による比較結果に基づいて、前記閾値と関連付けられた前記関数に前記サンプリング時間を代入し、得られた補正値を前記センサ出力値に加算または減算することで、前記センサ出力値を補正する過渡補正手段と、を備えることを特徴とする力覚センサ。
  3. 前記連結部は、弾性部と橋梁部とから構成されたT字梁状の領域を備え、
    前記T字梁状の領域は、前記作用部の中心に対して4回対称となるように形成されることを特徴とする請求項に記載の力覚センサ。
  4. 前記作用部と前記支持部と前記連結部とは、第1貫通孔によって機能的に分離されていることを特徴とする請求項または請求項に記載の力覚センサ。
  5. 前記弾性部は、前記橋梁部よりも剛性が高いことを特徴とする請求項から請求項のいずれか一項に記載の力覚センサ。
  6. 前記剛性の高い領域と前記剛性の低い領域とは、第2貫通孔によって機能的に分離されていることを特徴とする請求項から請求項のいずれか一項に記載の力覚センサ。
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