JP5499532B2 - リチウムイオン二次電池用電極の製造方法及び複合粒子 - Google Patents
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(1)体積平均粒径が0.02μm〜0.1μmの導電剤及び、バインダーとからなる複合粒子と、電極活物質とを混合して混合粉体とし、前記混合粉体を集電体上に供給し、加圧成形するリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
(2)前記導電剤と前記バインダーとの配合質量比が0.5:10〜1.5:10である前記(1)に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
(3)前記複合粒子は、前記導電剤と前記バインダーを構成する重合性単量体とを混合して単量体組成物を得、これを水系媒体中にて重合して得られる前記(1)または(2)に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
(4)導電剤とバインダーとからなり、前記導電剤の体積平均粒径が0.02μm〜0.1μmであり、前記導電剤と前記バインダーとの配合質量比が0.5:10〜1.5:10である複合粒子。
本発明に用いられる導電剤は、電極層、電極又は電気化学素子の内部抵抗(或いはインピーダンス)を低下させるものであればよく、具体的には、導電性カーボン(例えば、コンダクティブファーネスブラック、スーパーコンダクティブファーネスブラック、エクストラコンダクティブファーネスブラックなどのファーネスブラック;コンダクティブチャンネルブラック;アセチレンブラックなど)、導電性グラファイト、粉末又は繊維状の金属、粉末又は繊維状の金属酸化物などが挙げられる。これらのうち導電性カーボンが好適である。導電性カーボンには市販されているものが多数あり、例えば、コンチネックスCF(コンチネタルカーボン社製コンダクティブファーネスブラック)、ケッチェンブラックEC(ケッチェンブラックインターナショナル社製コンダクティブファーネスブラック)、バルカンC(キヤボット社製コンダクティブファーネスブラック)、BLACKPEARLS2000(キヤボット社製コンダクティブファーネスブラック)、デンカアセチレンブラック(電気化学工業社製アセチレンブラック)などが挙げられる。導電剤は、その比表面積が、通常5m2/g以上、好ましくは10m2/g以上、さらに好ましくは20m2/g以上のものである。
本発明に用いられる導電剤の体積平均粒径は、0.02μm〜0.1μmであり、好ましくは0.03μm〜0.08μm、より好ましくは0.04μm〜0.06μmである。導電剤の体積平均粒径を上記範囲とすることにより、複合粒子中での導電剤のネットワークが良好に形成され、高い導電性を示すことができる。導電剤の体積平均粒径が、上記範囲よりも小さくなると、複合粒子の作製が困難になり、逆に導電剤の体積平均粒径が上記範囲よりも大きくなると、複合粒子中の導電剤の接触点が減少し導電性の低下につながる。
本発明に用いられるバインダーは、電極活物質及び導電剤を結着して電極層を形成し、後述の集電体に積層させたときに該電極層が剥がれ落ちないようにするためのものである。
本発明に用いられる混合粉体を構成する複合粒子は、上述した導電剤がバインダー中に内填されているものである。導電剤とバインダーとの配合質量比が0.1:10〜3:10であることが好ましく、更には0.3:10〜2:10が好ましく、最も好ましくは0.5:10〜1.5:10である。複合粒子における導電剤とバインダーとの配合質量比を前記範囲とすることで、極板の成型性と導電性を両立することができる。
本発明に用いられる混合粉体を構成する電極活物質は、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4などのリチウム含有複合金属酸化物;TiS2、TiS3、非晶質MoS3などの遷移金属硫化物;Cu2V2O3、非晶質V2O−P2O5、MoO3、V2O5、V6O13などの遷移金属酸化物;ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレンなどの導電性高分子;が挙げられる。リチウムイオン二次電池正極の場合、導電剤の量は混合粉体(固形分)100質量部のうち、通常1〜20質量部、好ましくは2〜10質量部である。電極活物質100質量部に対して導電材が通常0.5〜20質量部、好ましくは1〜10質量部である。
本発明に用いられる集電体は、導電性を有しかつ電気化学的に耐久性のある材料であれば特に制限されないが、耐熱性を有するとの観点から、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼、金、白金などの金属材料が好ましく、アルミニウムおよび白金が特に好ましい。集電体の形状は特に制限されないが、通常、厚さ5〜500μm、好ましくは10〜50μm程度のシート状、フィルム状、または網状のものを用いることができる。また、カーボン繊維織物、マット、導電ゴムシートおよびこれらの積層物も集電体として用いることができる。中でも金属箔が好ましく、アルミニウム箔が特に好ましい。
<粉体成型性>
複合粒子及び活物質を混合して得られた粉体混合物を、アルミ集電体上に4.5g供給し、4cm×6cmの金型に仕込み50MPaの圧力で120℃、10分間加圧成型し電極シートを作製する。得られた電極シートを幅2.5cm×長さ10cmの矩形に切って試験片とし、電極活物質層面を上にして固定する。試験片の電極活物質層表面にセロハンテープを貼り付けた後、試験片の一端からセロハンテープを50mm/分の速度で180°方向に引き剥がしたときの応力を測定した。測定を10回行い、その平均値を求めてこれをピール強度(N/m)とし、これをピール強度の評価基準とし、以下の基準で評価する。ピール強度が大きいほど、粉体成型性に優れる。
A:15N/m以上
B:10N/m以上〜15N/m未満
C:5.0N/m以上〜10N/m未満
D:5.0N/m未満
10セルのハーフセルコイン型電池を0.1Cの定電流法によって4.3Vまで充電しその後0.1Cにて3.0Vまで放電し、0.1C放電容量aを求める。その後10Cにて4.3Vまで充電しその後10Cにて3.0Vまで放電し、10C放電容量bを求める。10セルの平均値を測定値とし、10C放電容量bと0.1C放電容量aの電気容量の比(b/a(%))で表される容量保持率を求め、これを出力特性の評価基準とし、以下の基準で評価する。この値が高いほど出力特性に優れている。
A:70%以上
B:60%以上70%未満
C:40%以上60%未満
D:40%未満
(複合粒子の作製)
スチレン80部と、導電剤としてアセチレンブラック(HS−100 電気化学工業 体積平均粒径0.05μm)10部との混合物を分散機(エバラマイルダー:荏原製作所)を用いて混練した。次いで、プラネタリーミキサーで上記混練物に更にアゾイソブチロニトリル3部、ブチルアクリレート20部を加えて均一に分散させた。この分散物をイオン交換水300部、ポリビニルアルコール2部、ラウリル硫酸ソーダ0.2部を溶解させた水溶液中に添加し、ホモジナイザーを用いて微分散させた。この微分散液を攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器に仕込み、窒素気流下、80℃で8時間重合を行って体積平均粒径5μmの重合体粒子(複合粒子1)の分散液を得た。なお、重合体粒子の体積平均粒径は、マルチサイザー(コールター社製)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、媒体;イソトンII(商品名;コールター社製電解液);濃度;10%;測定粒子数;50000個;の条件で行った。また、得られた重合体(バインダー)のガラス転移温度(Tg)は、60℃であった。
得られた複合粒子2部と、正極用活物質とLiMn2O4 100部とをヘンシェルミキサーにて1500rpm、10分間の条件にて粉体混合物を得た。その後、アルミ箔集電体(20μm)上に粉体のまま4.5部供給し、4cm×6cmの金型に仕込み50MPaの圧力で120℃、10分間加圧成型し正極極板を得た。作製した極板の膜厚は50μm、密度は2.5g/cm3であった。作製した極板を用いて粉体成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
前記正極極板を直径16mmの円盤状に切り抜き、この正極の活物質層面側に直径18mm、厚さ25μmの円盤状のポリプロピレン製多孔膜からなるセパレータ、負極として用いる金属リチウム、エキスパンドメタルを順に積層し、これをポリプロピレン製パッキンを設置したステンレス鋼製のコイン型外装容器(直径20mm、高さ1.8mm、ステンレス鋼厚さ0.25mm)中に収納した。この容器中に電解液を空気が残らないように注入し、ポリプロピレン製パッキンを介して外装容器に厚さ0.2mmのステンレス鋼のキャップをかぶせて固定し、電池缶を封止して、直径20mm、厚さ約2mmのリチウムイオンコイン電池を作製した。
なお、電解液としてはエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とをEC:DEC=1:2(20℃での容積比)で混合してなる混合溶媒にLiPF6を1モル/リットルの濃度で溶解させた溶液を用いた。この電池を用いて出力特性を評価した。その結果を表1に示す。
実施例1において、重合体粒子を調製する際、アセチレンブラックとして、体積平均粒径が0.03μmのものを用いた他は、実施例1と同様にして重合体粒子(複合粒子2)の分散液を得た。複合粒子2の体積平均粒径は5μmであった。
実施例1において、複合粒子として、前記複合粒子2を用いた他は、実施例1と同様にして粉体混合物、極板、及び電池の作製を行い、成型性、出力特性の評価を行った。その結果を表1に示す。なお、作製した極板の膜厚は52μm、密度は2.5g/cm3であった。
実施例1において、重合体粒子を調製する際、アセチレンブラックとして、体積平均粒径が0.09μmのものを用いた他は、実施例1と同様にして重合体粒子(複合粒子3)の分散液を得た。複合粒子3の体積平均粒径は5μmであった。
実施例1において、複合粒子として、前記複合粒子3を用いた他は、実施例1と同様にして粉体混合物、極板、及び電池の作製を行い、成型性、出力特性の評価を行った。その結果を表1に示す。なお、作製した極板の膜厚は51μm、密度は2.5g/cm3であった。
実施例1において、重合体粒子を調製する際、アセチレンブラックの量を4部に変えた他は、実施例1と同様にして重合体粒子(複合粒子4)の分散液を得た。複合粒子4の体積平均粒径は5μmであった。
実施例1において、複合粒子として、前記複合粒子4を用いた他は、実施例1と同様にして粉体混合物、極板、及び電池の作製を行い、成型性、出力特性の評価を行った。その結果を表1に示す。なお、作製した極板の膜厚は51μm、密度は2.5g/cm3であった。
実施例1において、重合体粒子を調製する際、アセチレンブラックの量を2部に変えた他は、実施例1と同様にして重合体粒子(複合粒子5)の分散液を得た。複合粒子5の体積平均粒径は5μmであった。
実施例1において、複合粒子として、前記複合粒子5を用いた他は、実施例1と同様にして粉体混合物、極板、及び電池の作製を行い、成型性、出力特性の評価を行った。その結果を表1に示す。なお、作製した極板の膜厚は52μm、密度は2.5g/cm3であった。
実施例1において、重合体粒子を調製する際、アセチレンブラックとして、体積平均粒径が0.15μmのものを用いた他は、実施例1と同様にして重合体粒子(複合粒子6)の分散液を得た。複合粒子6の体積平均粒径は5μmであった。
実施例1において、複合粒子として、前記複合粒子6を用いた他は、実施例1と同様にして粉体混合物、極板、及び電池の作製を行い、成型性、出力特性の評価を行った。その結果を表1に示す。
なお、作製した極板の膜厚は53μm、密度は2.4g/cm3であった。
Claims (5)
- 体積平均粒径が0.02μm〜0.1μmの導電剤及び、バインダーとからなり、前記導電剤と前記バインダーとの配合質量比が0.3:10〜1.5:10である複合粒子と、電極活物質とを混合して混合粉体とし、前記混合粉体を集電体上に供給し、加圧成形するリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
- 前記導電剤と前記バインダーとの配合質量比が0.5:10〜1.5:10である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
- 前記複合粒子は、前記導電剤と前記バインダーを構成する重合性単量体とを混合して単量体組成物を得、これを水系媒体中にて重合して得られる請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
- 加圧成形により形成される電極層の密度が、1.5g/cm 3 〜5.0g/cm 3 である請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
- 導電剤とバインダーとからなり、
前記導電剤の体積平均粒径が0.02μm〜0.1μmであり、前記導電剤と前記バインダーとの配合質量比が0.3:10〜1.5:10である複合粒子。
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