JP5499397B2 - 誘電体構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems(微小電気機械システム))、MST(Micro System Technology)、マイクロマシン、ナノテクノロジー、メカトロニクス、電気電子機器、情報通信機器等の主要構成部品である電子回路基板に適用される強誘電体膜、より具体的には、センサ、アクチュエータ、キャパシタ、コントローラ(出力制御器)、メモリ、小型電力源、フィルタ−、導波路等の機能性トランスデュ−サ(エネルギ−変換)の電子回路基板上に成膜された誘電体構造体の製造方法に関するものである。
誘電体は、強誘電性、誘電性、焦電性、圧電性、電気光学性、光起電力性、電歪、光歪等の有用な特性を有しており、コンデンサやメモリ等の電子デバイス、センサやアクチュエータ等の駆動及び検知デバイス、光スイッチ、SHG(第2高調波)素子、光導波路等の光デバイスに用いられている。
このような小型デバイスへの応用に際しては、誘電体への印加電圧を低くし、基板等への集積及び実装を容易にするために、バルク単結晶やセラミックスではなく、基板上に成膜した膜構造体として用いることが望ましい。特に、強誘電体構造体は、電気機械結合定数が高く、また入出力特性の線形性により、消費電力が小さく、熱的な影響が小さいため小型化に適した駆動・検知方式が実現可能であり、これらの材料をMEMS等の小型デバイスの構成要素として適用する利点は多い。
従来、このような誘電体膜は、例えばゾルゲル法、MOD(Metal Organic Deposition)法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、レーザ蒸着法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によって作製されていた。この際、成膜基板として主として用いられてきたのは、シリコン若しくはシリコン上に酸化膜や下地電極等を形成したもの、又は酸化マグネシウムやサファイア等の耐熱性の基板材料であった。特に電気・機械特性を有する誘電体膜は、このような耐熱性の基板上に形成されていた。
ところで、上記の技術分野においては、低コスト化・軽量化・高成形性等の優位性を確保するために、今後はシリコン基板に加えて樹脂製の基板材料も広く用いられることが予想される。通常、誘電体薄膜の結晶化には600℃以上の成膜基板温度とアニーリングが必要であり、熱処理を施す基板として、エポキシ樹脂等の低融点材料を使用することは困難であった。
現在、既に一部の電子回路基板において誘電体膜をコンデンサ等の受動素子として利用されているが、実用的な手法によって達成できる比誘電率は50程度である。ところで、今後のエレクトロニクスや実装技術の技術動向を俯瞰すると、高い電気・機械特性を持つ誘電体膜を、プリント基板や樹脂基板上に形成するための技術開発の重要性は非常に高まることが予想されるが、これに適した製造技術並びに製造装置などの技術基盤が確立されていないのが現状である。
一方、カンチレバーや光スキャナ等のMEMSデバイスにおいては、誘電体も成膜に加えて、半導体のプロセスを多用するために、高コスト化することとなる。そこで、今後の量産化技術を確立するためには、原材料の最小化・低コスト化、製造プロセスの簡素化、廃棄物や温室効果ガスの削減・最小化等の検討が要請される。
図20は、従来技術に係るデバイスの製造方法の一例(Pt/Ti/PZT/Pt/Ti/SiO/Si多層構造の微細加工)を示す図である。
この製造方法では、図20(a)から(f)に示したように、誘電体膜(Pt/Ti/PZT/Pt/Ti)を基板(SiO/Si)全面に塗布した後に、リソグラフィーによるリフトオフプロセスにより微細構造やパターニングを形成している。この製造方法は、後工程であるエッチングにより、基板及び膜の双方ともに除去する箇所が多く存在するため原材料の無駄な使用が多く、また、ドライエッチングやウェットエッチングに際しては、温室効果ガスや有毒物質を使用するために、半導体プロセスを多用した既存の製造技術手法の改良が望まれている。このような状況を踏まえて以下の技術が提案されている。
特許文献1には、球形の無機酸化物粒子を分散させた有機・無機酸化物混合体薄膜を用いてコンデンサ用の電子基板を作製する技術が記載されている。
また、特許文献2は、層間絶縁膜及び導電体層を積層させた基板上に、エアロゾル化した誘電体を堆積させることによって、キャパシタを形成する技術が記載されている。
また、特許文献3には、導電性ペーストを付着した可とう性金属基板上に、厚膜誘電体ペーストを塗布・焼成した後に、有機基板上へ付着することで転写させる技術が記載されている。
また、非特許文献1には、スクリーン印刷によりサファイア基板上に形成したPZT厚膜を裏面よりエキシマレーザ照射することにより、シリコン上へ移植する技術が示されている。
特許文献4、5には、ナノインプリント技術により型パターンを基板に形成するための技術、具体的にはロール状の側面へのパターン形成方法とその転写技術とが示されている。
特開2005−56935公報 特開2005−5645公報 特開2001−160672公報 特開2007−50462公報 特開2007−76358公報
B.Xu et al. Appl.Phys.Lett.87(2005)192902.
しかしながら、特許文献1で得られる有機・無機酸化物混合体薄膜の比誘電率はせいぜい50程度である。また、この薄膜を得る方法では形成過程における体積収縮が大きく、膜厚等の寸法の制御が困難であるとともに、表面の凹凸も他の薄膜形成技術に比べて大きい問題点もある。これらの問題点は、誘電体構造体の小型化及び精密化を実現する上で障害となることがある。
また、特許文献2で得られる回路基板においては、成膜を安定して持続させるための技術開発が必要であり、また、微粒子汚染問題の対処が付加的に必要になる。さらに微粒子のアンカーリングによる基板の損傷に関しても課題が残っている。また、この回路基板を得る手法では、焼成した微粒子を用いるために、形成される誘電体膜はランダム配向膜となり、最高レベルの誘電体性能を実現することは難しい場合が多い。
また、特許文献3の方法で得られる誘電体の比誘電率も50程度であり、高い誘電率の膜を作製することは実現されていない。また、特許文献1の手法と同様に寸法制御と表面凹凸の発生に関して課題が残っている。さらに、この手法による転写方法は誘電体ペーストを用いる方法であり、薄膜技術を用いる方法による作製されたものより、1桁以下小さな比誘電率のものしか作成することができない場合が多い。
また、非特許文献1の方法では、焼成時に1200℃程度の高温プロセスが必要であり、また特殊なレーザ装置や技術が必要である。したがって、より簡素な技術開発が必要とされる。
このような問題点を解決するために、既存の高い配向性薄膜形成手法を用いて一旦耐熱性の基板上に、高い配向性を有する誘電体膜を形成し、その後、この耐熱性の基板上から、形成した誘電体膜を剥離し、非耐熱性の基板上へ転写することが考えられる。しかし、通常、耐熱性の基板上に形成された高誘電率特性を有する誘電体膜は、基板との付着力が非常に強く、剥離することが困難となる場合が多い。これに対処するために、レーザを用いて基板の裏面から高エネルギービームを照射して、この誘電体膜を剥離することを容易化する方法があるが、これには特殊な設備を要し、またハロゲンの有毒ガスを用いなければならない難点がある。さらに、上記の特殊な設備の導入することで、誘電体構造体を製造する際に製造コストが割高となるという問題点もある。
本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、低コストで高誘電率を有する誘電体構造体の製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、次のような手段を採用した。
第1の手段は、第1の基板上に第1の電極を形成する工程と、第2の基板の表面を構成する酸化シリコン層の直上に、前記酸化シリコン層と接する第2の電極を白金で形成する工程と、前記第2の電極上にペロブスカイト構造をした誘電体であるPZT膜を形成する工程と、前記PZT膜と、前記第1の電極とを向き合わせて、導電性接着部を介して圧着する工程と、前記PZT膜と、前記第1の電極とを圧着した後、前記第2の電極を前記酸化シリコン層から剥離する工程と、を含むことを特徴とする誘電体構造体の製造方法である。
上記の手段であれば、第1の電極、導電性接着部、誘電体であるPZT膜、第2の電極を含む誘電体構造体を第1の基板上に形成することができる。これにより、従来の課題であった、誘電体構造体を製造する際に特殊な設備等を用いることなく、圧着の手法と剥離の手法とを用いることで容易にそれを形成することができる。
第2の手段は、第1の手段において、前記PZT膜と、前記第1の電極とを圧着する前に、前記PZT膜上に前記導電性接着部を形成する工程をさらに含むことを特徴とする誘電体構造体の製造方法である。
上記の手段であれば、誘電体であるPZT膜上に導電性接着部を形成しなかった場合と比較して、容易に誘電体構造体を形成することができる。
第3の手段は、第1の手段または第2の手段において、前記PZT膜を、ゾルゲル法、MOD法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、レーザ蒸着法、MOCVD法、CVD法の群から選択される1つの方法を用いて形成し、前記第2の電極を形成する工程では、前記第2の電極を、前記PZT膜を構成する材料が当該第2の電極内に浸透する最大深さ以上の厚さに形成することを特徴とする誘電体構造体の製造方法である。
上記の手段であれば、さらに容易に第2の電極を第2の基板から剥離させることができる。
第4の手段は、第3の手段において、前記第2の電極を形成する工程では、前記PZT膜を、前記第2の電極の厚み以下の厚さに形成することを特徴とする誘電体構造体の製造方法である。
上記の手段であれば、厚みを最小限に抑えた誘電体構造体を製造することができる。
第5の手段は、第1の手段から第4の手段のいずれか一つの手段において、前第2の電極の厚みを1000nmとするとともに、前記PZT膜の厚みを150nmとすることを特徴とする誘電体構造体の製造方法である。
上記の手段であれば、最も確実に第2の電極を第2の基板から剥離させることができる。
なお、上記の第1から第5の手段は、その一実施形態として、本明細書の第4の実施形態で例示している。
第6の手段は、第1の手段から第5の手段のいずれか一つの手段において、前記PZT膜と、前記第1の電極とを向き合わせて、前記導電性接着部を介して圧着する工程は、第1のワークガイドに載置された、前記第1の基板上に形成された第1の電極を、第1の開口部を有する第1の固定プレートを介して第1の固定手段によって固定保持する第1の保持手段と、第2のワークガイドに載置された、前記第2の基板上に第2の電極、PZT膜、導電性接着部、の順に形成された当該接着部を、第2の開口部を有する第2の固定プレートを介して第2の固定手段によって固定保持する第2の保持手段と、を有し、前記第1の開口部と前記第2の開口部とが向き合うように、前記第1の保持手段上に前記第2の保持手段を重ね合わせた後、前記第1の保持手段に対して前記第2の保持手段を加圧する工程をさらに含むことを特徴とする誘電体構造体の製造方法である。
上記の手段であれば、第1の保持手段及び第2の保持手段を用いない場合と比較して、第1の電極と誘電体であるPZT膜とを、接着部を介して容易に圧着することができる。
第7の手段は、第6の手段において、前記第1の保持手段は、前記第1のワークガイドと前記第1の固定プレートとを貫通する第3の開口部をさらに有し、前記第2の保持手段は、前記第2のワークガイドと前記第2の固定プレートとを貫通する第4の開口部をさらに有し、前記第1の保持手段と前記第2の保持手段とを重ね合わせる時、前記第3の開口部に前記第2の固定手段の凸部を嵌入するとともに、前記第4の開口部に前記第1の固定手段の凸部を嵌入することを特徴とする誘電体構造体の製造方法である。
上記の手段あれば、第3の開口部に第2の固定手段の凸部を嵌入せず、さらに第4の開口部に第1の固定手段の凸部を嵌入しない場合と比較して、第1の電極と誘電体膜との位置の精度が高まるとともに、容易に圧着することができる。
なお、上記の第6及び第7の手段は、その一実施形態として、本明細書の第3の実施形態と第4の実施形態とで例示している。
第8の手段は、第1の手段から第7の手段のいずれか一つの手段において、前記第1の基板は、耐熱性の絶縁性基板及び非耐熱性の絶縁性基板のいずれか一方とし、前記第2の基板は、耐熱性の基板とすることを特徴とする誘電体構造体の製造方法である。
上記の手段であれば、第2の電極上に、高い誘電率を有する誘電体を形成することができるとともに、平坦化した表面を有する誘電体を形成することができる。この誘電体を、接着部を介して第1の電極上に積層させることができるため、高い誘電率を示す誘電体構造体を製造することができる。
そこで、本発明によれば、誘電体膜を形成する耐熱性基板上の下地電極にあらかじめ剥離性の高い積層構造を導入し、その後、形成した誘電体膜を転写することにより、例えば、耐熱性基板上で結晶化した誘電体を、非耐熱性基板上やシリコンデバイス上に、特殊な装置等を用いることなく簡便な方法で転写することができ、非耐熱性基板やシリコンデバイス上に高誘電率を有する誘電体を形成することが可能となる。また、耐熱性基板を繰りかえし使用することが可能であることに加えて、不要な成膜箇所とその除去のプロセスが不要であるオンデマンド製造技術として活用することができる。
また、本発明によれば、例えば、今後の受動素子内蔵型回路基板に必要とされる高い容量密度のキャパシタを含む多層回路基板及び誘電体を用いるMEMSデバイスに特に有効である。
さらに、本発明によれば、圧着転写方法や保持構造を用いることにより、被転写体への転写体の転写を繰り返し精度よく、且つ確実性を高めて行うことができる。
第1の実施形態の発明に係る誘電体構造体の構成を示す図である。 第1の実施形態の発明に係る誘電体構造体の製造工程を示す図である。 第1の実施形態の発明に係る誘電体構造体の誘電体のX線回析を示す図である。 第2の実施形態の発明に係る誘電体構造体(カンチレバー)の構成を示す図である。 第2の実施形態の発明に係る誘電体構造体(カンチレバー)の製造工程を示す図である。 第3の実施形態の発明に係る圧着の際に適用可能なナノインプリント装置(加圧装置)を示す図である。 第3の実施形態の発明に係る誘電体構造体の製造工程において使用される保持構造を示す図である。 第3の実施形態の発明に係る誘電体構造体の製造工程を示す図である。 第3の実施形態の発明に係る誘電体構造体の製造工程を示す図である。 第4の実施形態の発明に係る誘電体構造体の構成を示す図である。 第4の実施形態の発明に係る誘電体構造体の製造工程を示す図である。 白金膜とPZT膜との膜厚相関を調べる際に使用するサンプルの作成工程を示すフローチャートである。 剥離転写工程において、PZT膜等が引き剥がされる様子を示す図である。 剥離転写工程における、白金膜の膜厚とPZT膜の膜厚との相関関係を示す図である。 上部電極膜の固着のメカニズムを示す図である。 PZT膜の表面形状を示すSEM画像である。 PZT膜等の断面形状を示すSEM画像である。 PZT膜のXRDパターンの熱分解温度依存性を示す図である。 熱分解温度を250℃及び350℃とした場合におけるPZT膜の膜厚依存性を示す図である。 従来技術に係るデバイスの製造方法の一例(Pt/Ti/PZT/Pt/Ti/SiO/Si多層構造の微細加工)を示す図である。
本発明の第1の実施形態を図1ないし図3を用いて説明する。
図1は、本実施形態の発明に係る誘電体構造体の構成を示す図である。
同図において、1はポリイミド樹脂等からなる非耐熱性基板、2は銀ペーストからなる下部電極(第1の電極)、3は配向性PZT膜からなる誘電体、4は白金膜からなる上部電極(第2の電極)、5は貫通穴に充填された金属ペーストあるいは半田である。
なお、誘電体3としては、鉛含有誘電体または非鉛含有誘電体が使用される。さらに、鉛含有誘電体または非鉛含有誘電体は、多結晶体または単結晶体であって、単独もしくは複数の化合物から成る母材材料が単独で使用されているもの、または前記母材材料に微量添加物を1種もしくは2種以上加えたものである。
上記鉛含有誘電体としては、PLZT、PZT、PMN、PbTiO3、PbTiO−La(Zn2/3Nb1/3)O、PbTiO−Pb(Mg1/21/2)OまたはPbNb、CdNb、Pb(Ni1/3Nb2/3)Oが用いられる。
また、上記非鉛含有誘電体としては、BaTiO、BaSrTiO、BaTiZrO、BaTi、BaTi20、Ba(Mg1/3Ta2/3)O、Ba(Zn1/3Ta2/3)、Ba(Zn1/3Nb2/3)、ZrSnTiO、LiNbO、KNbO、TaNbO、ZnO、SbSI、RbZnBr、TGS、PVDF、GaP、La、 Gd、D、CuPsBr、Bi12SiO20、Bi12GeO20、Bi12TiO20、Te、SiO、HgS、または(Ba、Ca)TiO タンタル酸ビスマスストロチウム、タンタル酸ビスマス、AlNが用いられる。
また、上記微量添加物としては、タングステン、タンタル、ニオブ、鉄、銅、マグネシウム、ビスマス、イットリウム、モリブデン、バナジウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、マンガン、ニッケル、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、ケイ素、錫、セレン、ネオジム、エルビウム、ツリウム、ホルミウム、プラセオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロビウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、リチウム、スカンジウム、バリウム、ランタン、アクチニウム、セリウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、パラジウム、銀、カドミウム、ホウ素、ガリウム、ゲルマニウム、リン、ヒ素、アンチモン、フッ素、テルル、ルテチウム及びイッテルビウムからなる群から選択された1又は2以上のものが用いられる。
次に、上記誘電体構造体の製造方法について説明する。
図2は、上記誘電体構造体の製造工程を示す図である。
同図において、6は例えば膜厚が400μmからなる(100)面のシリコン基板からなる耐熱性基板、7は例えば酸化シリコンからなる絶縁膜、8aは例えば白金膜からなる上部電極膜、9aは例えば配向性PZT膜からなる誘電体膜である。なお、その他の構成は図1に示した同符号の構成に対応する。
まず、図2(a)の工程において、耐熱性基板6であるシリコン基板を熱酸化炉中で20時間1200℃で酸化させ、表面に約1.8ミクロンの酸化シリコンからなる絶縁膜7を形成した。この絶縁膜7上にRFスパッタリング方法により、上部電極用金属をスパッタして、500nmの厚みを有する上部電極膜8aを形成した。この際の背圧の真空度は5×10−6Torr程度であり、アルゴンガスの流量は25sccm、スパッタ時の圧力は1.5mTorr、出力は100WのDCモードを用いた。上部電極膜8aの成膜に要する時間は5分間であった。またスパッタリング時の耐熱性基板6の温度は200℃とした。通常は上部電極膜8aとして用いた白金と絶縁膜7として用いた酸化シリコン層との間には、密着層としてチタン層を形成するが、本発明では後の剥離工程のために特にこの層を形成することはしない。しかし、このチタン層がない場合でも、上述した上部電極膜8aや後述する誘電体膜の形成時に自発的な剥離などは起きないことを実験により確認している。
次に、上部電極膜8a上にMOD法により配向性PZT膜を塗布した。前駆体溶液は市販のPZT(52/48)溶液を用い、鉛の過剰添加量は10%のものを用いた。この前駆体溶液をスピンコータの上の真空チャックに固定した上部電極膜8a上に滴下し、スピンコータの回転により均一に塗布を行った。塗布の際、回転数及び回転時間は、700rpmで10秒間、2700rpmで10秒間、4000rpmで40秒間とした。その後、溶液を塗布した耐熱性基板6を高速焼成炉中で熱処理した。この際の熱処理温度及び熱処理時間は、120℃で2分間、250℃で5分間、650℃で2分間とし、各温度における目的は順に前駆体溶液の乾燥、前駆体形成、結晶化である。これによって、500nmの厚みを有した、配向性PZT膜からなる誘電体膜9aが形成された。
次に、図2(b)の工程において、誘電体膜9a及び上部電極膜8aをパターニングすることで、誘電体9b及び上部電極8bを形成した。
次に、図2(c)の工程において、あらかじめ貫通穴5を備えたポリイミド樹脂からなる非耐熱性基板1上に銀の金属ペーストからなる下部電極2を設けた。なお、、この下部電極2は、銀の金属ペーストをパターニングすることで形成された。または、薄膜形成方法により作製した電極上にペーストを塗布してもよい。
この非耐熱性基板1上に形成された下部電極2に、先に、図2(b)の工程で作製された耐熱性基板6上に形成された誘電体9bを圧着した。
次に、図2(d)の工程において、耐熱性基板6と非耐熱性基板1間を剥離操作すると、絶縁膜7と上部電極8bとの間が剥離し、非耐熱性基板1側に上部電極8bと誘電体9bとが一体に転写される。剥離工程に際しては、さらに、超音波加振等の付加的な操作を行うことにより転写精度を向上させることができる。
ここで、作製した誘電体9bの比誘電率をインピーダンスアナライザを用いて1kHzの周波数で計測評価したところ、900であった。この数値は、通常の薄膜形成方法による比誘電率が1000程度であることを考慮するとほぼ最高性能を実現していることが分かる。
図3は、作成した誘電体9bのX線回析を示す図である。同図に示すように、この誘電体9bは、典型的なペロブスカイト構造を形成しており、高い誘電率を示す材料に必要な結晶構造を形成していることが確認できる。
次に、本発明の第2の実施形態を図4及び図5を用いて説明する。
図4は、本実施形態の発明に係る誘電体構造体(カンチレバー)の構成を示す図である。
同図において、10はシリコンからなる耐熱性基体、11は酸化シリコンからなる絶縁膜、12は白金からなる下部電極(第1の電極)、13は配向性PZT膜からなる誘電体、14は白金からなる上部電極(第2の電極)である。
なお、誘電体13としては、鉛含有誘電体または非鉛含有誘電体が使用され、鉛含有誘電体または非鉛含有誘電体は、多結晶体または単結晶体であって、単独もしくは複数の化合物から成る母材材料が単独で使用されているもの、または前記母材材料に微量添加物を1種もしくは2種以上加えたものである。なお、上記鉛含有誘電体、上記非鉛含有誘電体、及び上記微量添加物には、第1の実施形態において具体的に開示したものと同様のものが用いられる。
次に、本実施形態の発明に係る誘電体構造体(カンチレバー)の製造方法について説明する。
図5は上記誘電体構造体(カンチレバー)の製造工程を示す図である。
同図において、15は例えば膜厚が400μmからなる(100)面のシリコンからなる耐熱性基板、16,17は例えば酸化シリコンからなる絶縁膜である。なお、その他の構成は図4に示した同符号の構成に対応する。
まず、図5(a)の工程において、シリコンからなる耐熱性基板15を熱酸化炉中で20時間1200℃で酸化させ表面に約1.8ミクロンの酸化シリコンからなる絶縁膜16、17を形成した。
次に、図5(b)の工程において、絶縁膜17上にRFスパッタリング方法により、例えば白金をスパッタし、その後、スパッタされた白金をパターニングすることにより、絶縁膜17上に下部電極12を形成した。
次に、図5(c)の工程において、別途、第1の実施形態の図2(c)と図2(d)と同様の工程により白金からなる上部電極14及び配向性PZT膜からなる誘電体13を取得しておいて、誘電体13を下面とし下部電極12を上面として、誘電体13と下部電極12を圧着し、誘電体13を耐熱性基板15側に移植した。
次に、図5(d)の工程において、下部電極12に相応する耐熱性基板15上の絶縁膜17の領域を除いて、絶縁膜17を反応性イオンエッチングにより除去した。
次に、図5(e)の工程において、耐熱性基板15の裏側から、絶縁膜17及び耐熱性基板15の所定の領域(耐熱性基体10)を除く耐熱性基板15を反応性イオンエッチングにより除去して、図4に示した耐熱性基体10上であって耐熱性基体10を超える領域に、絶縁膜11、下部電極12、誘電体13、及び上部電極14の順に形成された片持ち梁の誘電体構造体(カンチレバー)を得た。
この製造方法によれば、従来法に比べてプロセス工程の簡素化が可能となり、同時に必要最小限のPZT膜の使用によりデバイス作製することが可能となり、PZT除去プロセスが不要となる。これにより、誘電体膜を使用した製造プロセスの改善が可能となる。
本発明の第3の実施形態を図6ないし図9を用いて説明する。
図6は、本発明の圧着の際に適用可能なナノインプリント装置(加圧装置)を示す図である。
同図に示すように、このナノインプリント装置において、加圧ヘッド21と金型ホルダ22とにより金型23が固定されている。加圧ヘッド21を下へ押し下げることにより、基板ホルダ25に固定されている転写基板24に微細なパターンが形成される。以上が通常のナノインプリント装置による微細なパターンの形成方法である。
上記のナノインプリント装置(加圧装置)を使用して、非耐熱性基板からなる被転写体(下部電極)上に、耐熱性基板上に形成され転写体(誘電体及び上部電極)を転写するためには被転写体や転写体をそれぞれ保持するための保持構造が必要である。
図7は、ナノインプリント装置(加圧装置)利用して、本発明における圧着工程の際に使用される、非耐熱性基板からなる被転写体(下部電極)及び耐熱性基板上に形成され転写体(誘電体及び下部電極)を保持するための保持構造を示す図である。
具体的には、この保持構造は、図7(a)に示すように、第1のワークガイド31に載置される、例えば、不図示の非耐熱性基板からなる被転写体(下部電極)を第1の開口部33を有する第1の固定プレート32を介して、固定板35及び低頭ボルト36からなる第1の固定手段によって固定保持する第1の保持手段34と、図7(b)に示すように、第2のワークガイド37に載置される、例えば、不図示の耐熱性基板上に形成され転写体(誘電体及び上部電極)を第2の開口部39を有する第2の固定プレート38を介して固定板41及び低頭ボルト42からなる第2の固定手段によって固定保持する第2の保持手段40とから構成される。
さらに、図7(c)に示すように、第1の保持手段34は、第1のワークガイド31と第1の固定プレート32とを貫通する第3の開口部43を有し、第2の保持手段40は、第2のワークガイド37と第2の固定プレート38とを貫通する第4の開口部44を有する。そのため、第1の開口部33と第2の開口部39とが向き合うように、第1の保持手段34上に第2の保持手段40を重ね合わされたとき、第3の開口部43に固定板41及び低頭ボルト42からなる凸状の第2の固定手段が嵌入し、第4の開口部44に固定板35及び低頭ボルト36からなる凸状の第1の固定手段が嵌入される。その結果、第1の保持手段34の第1の固定プレート32の表面と第2の保持手段40の第2の固定プレート38の表面とは略隙間なく配置することができる。
次に、図6に示した加圧装置及び図7(c)に示した保持構造を用いた誘電体構造体の製造工程について図8及び図9を用いて説明する。
まず、図8(a)に示すように、耐熱性基板51上に形成され転写体(誘電体54及び上部電極53)を用意する。具体的には、耐熱性基板51上に形成され転写体は、20mm角で400μm厚シリコン51上に酸化膜52を形成したもので、白金とチタンをスパッタにより形成された上部電極53とからなるPt/Ti/SiO/Si基板であり、配向性PZT膜からなる誘電体54は第1の実施例の場合と同様の条件により製作されたものである。
次に、図8(b)に示すように、図8(a)で用意した耐熱性基板51上に形成された転写体(誘電体54及び上部電極53)を、図7(a)において説明した第1のワークガイド31に載置し、第1の開口部33を有する第1の固定プレート32を介して、固定板35及び低頭ボルト36からなる第1の固定手段によって第1の保持手段34に固定保持する。固定保持後、第1の保持手段34を、図6に示した加圧装置の加圧ヘッド21と金型ホルダ22とに固定する。
次に、図8(c)に示すように、予め非耐熱性基板55上に形成された被転写体(下部電極56)を用意する。具体的には、20mm角で120μmのポリイミドとこれを3層積層した400μmのポリイミドからなる非耐熱性基板55上に白金とチタンをスパッタして下部電極56を形成する。この非耐熱性基板55上に形成された被転写体(下部電極56)を、図7(b)において説明したように、第2のワークガイド37に載置し、第2の開口部39を有する第2の固定プレート38を介して固定板41及び低頭ボルト42からなる第2の固定手段によって第2の保持手段40に固定保持する。固定保持後、図6に示した加圧装置の基板ホルダ25に固定する。ここで、圧着して転着が確実に行われるようにするために、非耐熱性基板55上に形成された被転写体の厚みを第2の固定プレート38の厚みよりわずかに厚くする。具体的には、120ミクロンと400ミクロンの非耐熱性基板55上に形成された被転写体を用いるときは、第2の固定プレートの厚みはそれぞれ80ミクロンと300ミクロンである。
次に、図8(d)に示すように、図8(c)において用意した非耐熱性基板55上に形成された被転写体(下部電極56)を保持固定した第2の保持手段40をさらに加圧装置の基板ホルダ25に固定保持したものの上に、図8(b)において用意した耐熱性基板51上に形成された転写体(誘電体54及び上部電極53)を保持固定した第1の保持手段34をさらに加圧装置の加圧ヘッド21と金型ホルダ22に固定保持したものを載せ、加圧装置を動作させて加圧する。加圧時の条件は、温度は室温、印加力は400N、印加時間は30秒間である。
その後、図9(e)に示すように、加圧を解除し、図8(c)で用意したものを、図8(b)で用意したものから離すと、非耐熱性基板55上に形成された被転写体(下部電極56)上に、耐熱性基板51上の転写体(誘電体54及び上部電極53)が圧着転着され、耐熱性基板51側から転写体(誘電体54及び上部電極53)が剥離され、非耐熱性基板55に形成されている下部電極56上に、誘電体54及び上部電極53の順に配列された誘電体構造体を得ることができた。
なお、上記に記載したごとく、転写基板側構造が耐熱性基板(シリコン+絶縁膜)+第2の電極+誘電体とし、被転写基板側構造が第1の電極+被耐熱性基板とする他に、転写基板側構造が耐熱性基板(シリコン+絶縁膜)+第2の電極+誘電体+第1電極とし、被転写基板側構造が被耐熱性基板とすることも可能である。また、上記の第1の電極として、薄膜で形成する他に、導電性ペーストを用いることも可能である。
次に、本発明の第4の実施形態を図10及び図11を用いて説明する。
図10は、本実施形態の発明に係る、導電性接着部を含む誘電体構造体100の構成を示す図である。図10(a)は誘電体構造体100の平面図であり、図10(b)は誘電体構造体100を図10(a)中で示したX10―X′10で切断した際の断面図である。
同図において、60は例えばポリイミド樹脂等からなる非耐熱性基板、61bは例えば白金膜からなる下部電極(第1の電極)、62bは例えば導電性を有する材料からなる導電性接着部、63bは例えば配向性PZT膜からなる誘電体、64bは例えば白金膜からなる上部電極(第2の電極)である。
次に、誘電体構造体100の製造方法について説明する。
図11は、誘電体構造体100の製造工程を示す図である。
第4の実施形態においても、第1の実施形態で示した酸化膜形成工程、電極膜形成工程、及び誘電体膜形成工程(即ち、図2(a)の工程)と同様の工程を経て、上部電極膜64a、絶縁膜65、及び誘電体膜63aが耐熱性基板66上に形成された。
つまり、まず、図11(a)の工程において、耐熱性基板66であるシリコン基板を熱酸化炉中で20時間1200℃で酸化させ、表面に約1.8ミクロンの酸化シリコンからなる絶縁膜65を形成した。次に、この絶縁膜65上にRFスパッタリング方法により、例えば白金膜からなる上部電極膜64aを500nmの厚みで形成した。この際の背圧の真空度は5×10−6Torr程度であり、アルゴンガスの流量は25sccm、スパッタ時の圧力は1.5mTorr、出力は100WのDCモードを用いた。上部電極膜64aの成膜に要する時間は5分間であった。またスパッタリング時の耐熱性基板66の温度は200℃とした。通常は上部電極膜64aと絶縁膜65との間には、密着層としてチタン層を形成するが、本発明では後の剥離工程のために、特にこの層を形成することはしない。しかし、このチタン層がない場合でも、上述した上部電極膜64aや後述する誘電体膜63a、及び導電性接着膜62aの形成時に自発的な上部電極膜64aの剥離などは起きないことを実験により確認している。
次に、誘電体膜63aとして、例えばMOD法を用いて配向性PZT膜を上部電極膜64a上に塗布した。前駆体溶液は市販のPZT(52/48)溶液を用い、鉛の過剰添加量は10%のものを用いた。この前駆体溶液をスピンコータの上の真空チャックに固定した上部電極膜64a上に滴下し、スピンコータの回転により均一に塗布を行った。塗布の際の回転数及び回転時間は、700rpmで10秒間、2700rpmで10秒間、4000rpmで40秒間とした。その後、溶液を塗布した耐熱性基板66を高速焼成炉中で熱処理した。この際の熱処理温度及び熱処理時間は、120℃で2分間、250℃で5分間、650℃で2分間であり、各温度における目的は順に前駆体溶液の乾燥、前駆体形成、結晶化である。これによって、500nmの厚みを有した配向性PZT膜からなる誘電体膜63aが形成された。
次に、誘電体膜63a上に導電性を有する材料からなる導電性接着膜62aを形成する。この接着膜膜62aは、例えば導電性の粒子を含んだ樹脂で形成したものであってもいいし、導電性のテープであってもいいし、半田バンプであってもいい。つまり、導電性を有し、且つ、誘電体膜63aと後述する下部電極61bとを接着することができる材料であれば、これを接着膜(または接着部)として使用できる。
次に、図11(b)の工程において、この導電性接着膜62aをパターニングして、導電性接着部62bを形成した。
次に、図11(c)の工程において、例えば絶縁性を有するポリイミド樹脂からなる非耐熱性基板60上にRFスパッタリング方法により、下部電極膜61aを500nmの厚みで形成した。ここで、下部電極膜61aの形成工程は、上記した上部電極膜64aの形成工程と同じである。なお、下部電極膜61aは、例えば白金膜である。
その後、下部電極膜61aをパターニングして、下部電極61bを形成した(図11(d)参照)。この下部電極61bと、先に、図11(b)の工程で形成した導電性接着部62bとを対向させた(図11(e)参照)。そして、下部電極61bと導電性接着部62bとを圧着(即ち、圧力をかけて、下部電極61bと誘電体膜63aとを導電性接着部62bを介して接合)した(図11(f)参照)。
次に、図11(g)の工程において、耐熱性基板66と非耐熱性基板60間を剥離操作する(即ち、耐熱性基板66と非耐熱性基板60とを互いに異なる方向に引っ張る)と、絶縁膜65と上部電極64との間が剥離し、非耐熱性基板60側に上部電極膜64aの一部(即ち、上部電極64b)と誘電体膜63aの一部(即ち、誘電体63b)と導電性接着部62bとが一体に転写される(図11(h)参照)。こうして、図10(b)に示した誘電体構造体100が製造される。なお、剥離工程に際しては、超音波加振等の付加的な操作を行うことにより転写精度を向上させることができる。
なお、図11(h)の工程で形成された誘電体構造体100全体を絶縁膜67でコートしても構わない(図11(i)参照)。これにより、絶縁体67中に誘電体構造体100が埋め込まれた受動素子内蔵基板を形成することができる。
さらに、本実施形態では、下部電極膜61aを支持する基板として、絶縁性を有する非耐熱性基板を用いた場合について説明したが、絶縁性を有する耐熱性基板であっても構わない。
また、本実施形態は、本明細書に記載した第3の実施形態とともに実施しても構わない。 例えば、誘電体構造体100の製造方法であって、誘電体63bと、第1の電極61bとを向き合わせて、導電性接着部62bを介して圧着する工程は、第1のワークガイド31に載置された、第1の基板60上に形成された第1の電極61bを、第1の開口部33を有する第1の固定プレート32を介して第1の固定手段によって固定保持する第1の保持手段34と、第2のワークガイド37に載置された、第2の基板66上に第2の電極64b、誘電体63b、導電性接着部62b、の順に形成された接着部62bを、第2の開口部39を有する第2の固定プレート38を介して第2の固定手段によって固定保持する第2の保持手段40と、を有し、第1の開口部33と第2の開口部39とが向き合うように、第1の保持手段34上に第2の保持手段40を重ね合わせた後、第1の保持手段34に対して第2の保持手段40を加圧する工程であっても構わない。
ところで、本発明者が行った実験により、上記の剥離工程における誘電体の剥離特性に関して、上部電極膜64aの膜厚と誘電体膜63aの膜厚との間に相関関係があることがわかった。
まず、この膜厚相関を求める方法について説明する。
図12は、上記の膜厚相関を調べる際に使用したサンプルの作成工程を示すフローチャートである。
まず、図11(a)の工程と同様にしてシリコンウェハを酸化し、絶縁膜を形成した(ステップS1)。その後、その絶縁膜上に、上部電極膜として白金で形成された金属膜を形成した(ステップS2)。このシリコンウェハを、ダイシングソーを使用して20mm角に切断した(ステップS3)。切断したウェハは、HO、アセトン及びイソプロピルアルコールを用いて洗浄した(ステップS4)。
この実験で、上部電極膜の厚みは、成膜時間を変えることで50、150、500、1000、2000nmとした。
また、誘電体キャパシタとなる配向性PZT膜は、化学溶液堆積(CDS)法を用いて上部電極膜上に堆積させ(ステップS5)、その後、アニーリングを行った(ステップS6)。このアニーリングは、堆積させたPZTを、まず120℃で乾燥させ、次いで設定した温度で熱分解させた。最後に700℃で結晶化させることで誘電体膜を形成した。本実験では、このステップS5とステップS6の工程を複数回繰り返すことで、多層のPZT層(即ち、誘電体層)を形成した。なお、この繰り返し回数を変えることで、積層数を変えることができ、今回はPZT膜の膜厚が150、300、450、1050、1500nmとなるようにした。
剥離方法は、PZT膜の上部に両面テープを貼り付けで引き剥がす方法により行った。ここで、図13は基板からPZT膜等を引き剥がす様子を示す図であり、図13(a)は引き剥がし前を示す図であり、図13(b)は引き剥がしの途中を示す図である。この引き剥がしの結果を図14に示す。
図14の縦軸はPZT膜の厚みを示し、横軸は上部電極膜の厚みを示す。なお、本実験では上部電極膜として白金膜を用いた。同図から、領域Aが引きはがし不可能な膜厚領域、領域Bが引きはがし可能な膜厚領域であることがわかった。図中の○、△、×は引きはがし実験の結果であり、○は残膜なく剥離可能、△は一部残膜有、×は剥離不可との結果を示すものである。
上部電極膜の膜厚が100nmの際には、PZT膜の膜厚は100nm以下のものしか剥離することができず、300nmのものは剥離できなかった。一方、上部電極膜の膜厚が10000nm以上の場合は、PZT膜の膜厚が1500nmであっても剥離することができていた。
このことから、上部電極膜の膜厚は厚いことが剥離・転写プロセスとしては適切であることがわかった。しかし、薄膜コンデンサとして使用される膜厚は通常100nmの場合が想定されることから、上記のことは実際には大きな課題とはならないと思われ、このことを図14により確認できたことになる。
上部電極膜の膜厚が薄い場合であり、且つPZT層の積層数が少ない場合(即ち、PZT層の膜厚が薄い場合)には剥離ができない、あるいは不完全にしか剥離できない。この原因としては、PZT膜の原料材料の浸透が考えられる。すなわち、スピンコートした溶液材料の一部は上部電極膜中にある微細な欠陥内をわずかに浸透して、絶縁膜(即ち、酸化シリコン)と上部電極膜の界面に到達する(図15参照)。この溶液が前駆体形成および結晶化の熱処理プロセスにより、上部電極膜を絶縁膜に固着させることがその原因であると思われる。つまり、上部電極膜を厚くすることで剥離が可能となるのは、PZT膜の原料材料の浸透が酸化シリコン表面まで達していないことによるものと考えられる。
また、本発明者は、サンプルの表面形状及び断面形状の観察も行った。このサンプルの表面形状及び断面形状の観察には、走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いた。その結果を図16及び図17にそれぞれ示す。
図16に示したSEM画像から、作成されたサンプルのPZT膜表面には、大きな表面欠陥(例えば、大きな亀裂や凹凸等)等がないことがわかった。また、図17に示したSEM画像から、作成されたサンプルは均一な積層構造体であることがわかった。
次に、形成されたPZT膜のXRD(X−ray diffraction;X線回折)パターンの熱分解温度依存性を図18に示す。この図から、PZT膜は、250℃の分解温度でペロブスカイト(100)に配向し、350℃でペロブスカイト(111)に配向していることがわかる。
図19は、熱分解温度が250℃と350℃とにおける、PZT膜の膜厚依存性を示す。この実験では、PZT膜の積層数を1層または15層とした。なお、この「積層数」から、膜厚を換算することは可能である。この図から、厚いPZT膜は、薄いPZT膜と同じように無秩序な配向をしていることがわかった。
また、図6に示したナノインプリント装置と専用のホルダを用いて剥離する際に、あらかじめ導電性接着膜を加圧して十分に下部電極膜と接着する必要がある。そこで、本発明者は、剥離の際に必要な力を定量的に評価した。
実験の構成は、例えば、第3の実施例と同様である。また、工程図は図11(e)から図11(h)と同様である。
まず、樹脂製基板(今回の場合はポリイミド)の上に白金をスパッタすることにより、下部電極膜を作成した。その後、導電性接着膜を介したキャパシタ構造体等をその直上に設置し、ナノインプリント装置で種々の荷重下において接着を試みた。その後、キャパシタ構造体等が形成されていたシリコン基板を剥離する。この際に、接着力が弱いとシリコン基板の引き剥がしができないことが予想されるために、印加に必要な力を定量的に評価する必要があった。
この実験に際しては、白金膜の厚みが2000nmの上部電極膜の材料を用意した。その結果、印加力としては160N以上の力を印加して接着を行えば、引き剥がしが可能であることを確認することができた。
1 非耐熱性基板
2 下部電極(第1の電極)
3 誘電体
4 上部電極(第2の電極)
5 貫通穴に充填された金属ペーストあるいは半田
6 耐熱性基板
7 絶縁膜
8a 上部電極膜
8b 上部電極
9a 誘電体膜
9b 誘電体
10 耐熱性基体
11 絶縁膜
12 下部電極(第1の電極)
13 誘電体
14 上部電極(第2の電極)
15 耐熱性基板
16 絶縁膜
17 絶縁膜
21 加圧ヘッド
22 金型ホルダ
23 金型
24 転写基板
25 基板ホルダ
31 第1のワークガイド
32 第1の固定プレート
33 第1の開口部
34 第1の保持手段
35 固定板
36 低頭ボルト
37 第2のワークガイド
38 第2の固定プレート
39 第2の開口部
40 第2の保持手段
41 固定板
42 低頭ボルト
43 開口部
44 開口部
51 耐熱性基板
52 酸化膜
53 上部電極
54 誘電体
55 非耐熱性基板
56 下部電極
60 非耐熱性基板
61a 下部電極膜(第1の電極)
61b 下部電極(第1の電極)
62a 導電性接着膜
62b 導電性接着部
63a 誘電体膜
63b 誘電体
64a 上部電極膜(第2の電極)
64b 上部電極(第2の電極)
65 絶縁膜
66 耐熱性基板
67 絶縁膜

Claims (8)

  1. 第1の基板上に第1の電極を形成する工程と、
    第2の基板の表面を構成する酸化シリコン層の直上に、前記酸化シリコン層と接する第2の電極を白金で形成する工程と、
    前記第2の電極上にペロブスカイト構造をした誘電体であるPZT膜を形成する工程と、
    前記PZT膜と、前記第1の電極とを向き合わせて、導電性接着部を介して圧着する工程と、
    前記PZT膜と、前記第1の電極とを圧着した後、前記第2の電極を前記酸化シリコン層から剥離する工程と、
    を含むことを特徴とする誘電体構造体の製造方法。
  2. 前記PZT膜と、前記第1の電極とを圧着する前に、
    前記PZT膜上に前記導電性接着部を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の誘電体構造体の製造方法。
  3. 前記PZT膜を、ゾルゲル法、MOD法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、レーザ蒸着法、MOCVD法、CVD法の群から選択される1つの方法を用いて形成し、
    前記第2の電極を形成する工程では、前記第2の電極を、前記PZT膜を構成する材料が当該第2の電極内に浸透する最大深さ以上の厚さに形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の誘電体構造体の製造方法。
  4. 前記第2の電極を形成する工程では、前記PZT膜を、前記第2の電極の厚み以下の厚さに形成することを特徴とする請求項3に記載の誘電体構造体の製造方法。
  5. 前記第2の電極の厚みを1000nmとするとともに、
    前記PZT膜の厚みを150nmとすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の誘電体構造体の製造方法。
  6. 前記PZT膜と、前記第1の電極とを向き合わせて、前記導電性接着部を介して圧着する工程は、
    第1のワークガイドに載置された、前記第1の基板上に形成された第1の電極を、第1の開口部を有する第1の固定プレートを介して第1の固定手段によって固定保持する第1の保持手段と、
    第2のワークガイドに載置された、前記第2の基板上に第2の電極、PZT膜、導電性接着部、の順に形成された当該接着部を、第2の開口部を有する第2の固定プレートを介して第2の固定手段によって固定保持する第2の保持手段と、を有し、
    前記第1の開口部と前記第2の開口部とが向き合うように、前記第1の保持手段上に前記第2の保持手段を重ね合わせた後、前記第1の保持手段に対して前記第2の保持手段を加圧する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の誘電体構造体の製造方法。
  7. 前記第1の保持手段は、前記第1のワークガイドと前記第1の固定プレートとを貫通する第3の開口部をさらに有し、
    前記第2の保持手段は、前記第2のワークガイドと前記第2の固定プレートとを貫通する第4の開口部をさらに有し、
    前記第1の保持手段と前記第2の保持手段とを重ね合わせる時、前記第3の開口部に前記第2の固定手段の凸部を嵌入するとともに、前記第4の開口部に前記第1の固定手段の凸部を嵌入することを特徴とする請求項6に記載の誘電体構造体の製造方法。
  8. 前記第1の基板は、耐熱性の絶縁性基板及び非耐熱性の絶縁性基板のいずれか一方とし、
    前記第2の基板は、耐熱性の基板とすることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の誘電体構造体の製造方法。
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