JP2009224740A - 積層構造体とそれを用いたデバイス、デバイスの製造方法,液体吐出装置 - Google Patents

積層構造体とそれを用いたデバイス、デバイスの製造方法,液体吐出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】特殊なエッチング液等を用いることなく、μmオーダーの膜に対しても高精度且つ容易にパターニングが可能な積層構造体を提供する。
【解決手段】積層構造体は、基板10と、基板10上に成膜された、潮解性を有する無機物を主成分とする分離層30と、分離層30上に成膜された、機能性膜42を含む被剥離層40とレジストによるマスク50とを備え、分離層30が、被剥離層40の表面に水を接触させることにより、非パターン部分の被剥離層40と基板10との接合強度を低下させて、被剥離層40を基板10から剥離させるものである。機能性膜42としては、圧電体膜、焦電体膜、強誘電体膜、超伝導体膜、磁性体膜、半導体膜、導電体膜、絶縁体膜、誘電体膜、イオン交換膜、光学機能性膜等が挙げられる。
【選択図】図2e

Description

本発明は、高精度且つ容易にパターニングが可能な積層構造体及び該積層構造体を用いて得られたデバイス及びその製造方法に関するものである。
近年、各種電子デバイスの小型化や高密度集積化のニーズに伴って、電子デバイスを薄膜の積層構造とすることにより薄型化を図る試みがなされている。例えば、インクジェット式記録ヘッドにおいて高精細且つ高速な印刷を実現するためには、圧電素子の高密度化が必要である。そのため、圧電素子を薄膜の積層構造とするために、圧電素子に用いる圧電体の薄膜化に関する研究が進められている。
インクジェット式記録ヘッドでは、インクが貯留されるインク室及びインク室から外部にインクが吐出されるインク吐出口を有するインクノズルが備えられ、このインクノズルに振動板及び圧電素子が取り付けられた構造を基本としている。通常インク室は複数設けられ、圧電体膜や電極等は複数のインク室に応じた分離パターンで形成されている。
従来、PZT等の圧電体膜のパターニングは、一般に特許文献1に記載のようにドライエッチングにより行われているが、PZT等はエッチングされにくい材料であり、しかもnmオーダの電極等に比して厚いため、圧電膜のドライエッチングは電極等に比して難しい。そのため、圧電体膜をドライエッチングしてもパターニング後の各圧電体膜の側面はテーパ状となる傾向にある。圧電体膜毎に側面形状のばらつくと圧電特性が不均一になり、画質に与える影響が無視できなくなる可能性があるため、側面形状を安定的に略垂直形状とすることができるパターニング方法が好ましい。
特許文献2には、基板上にエッチングストッパ層と剥離層が順次形成され、その上に半導体薄膜を備えた積層体が開示されており、この積層体は、エッチングストッパ層まで貫通した溝をウエットエッチングにより形成し、該溝に剥離層に対して易エッチング性を有し、且つ、エッチングストッパ層及び半導体薄膜に対して難エッチング性を有するエッチング液により半導体膜を剥離可能であることが記載されている。
一方、電極や誘電体膜等のパターニング方法としては、リフトオフ法が知られている。特許文献3には、基板上に、結晶欠陥または欠損部の少なくともいずれかを含んだリフトオフ層と窒化物系半導体からなる層を順次設け、リフトオフ層に応力を加える事により基板と窒化物半導体からなる層とを分離する半導体発光素子の製造方法が開示されている。
特表2003-532289号公報 特開2005-19590号公報 特開2000-101139号公報
特許文献2に記載の積層体は、パターニングの際にエッチング液として硫酸過水やフッ酸等の特殊な液を用いる必要があるため耐溶剤性の特殊な設備が必要な上、剥離の際に剥離層の除去工程が必要となるため工程が複雑である。
また、特許文献3等のリフトオフ法では、剥離の際に欠陥を多く含むリフトオフ層に応力等を加えて欠陥から空隙を広げて剥離に至らせる。欠陥を多く含むリフトオフ層は脆弱であるため、応力を加えることでリフトオフ層から上層部がすべて剥離されてしまう。従って、選択的な剥離ができないため、パターニング等の用途には用いることができない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、特殊なエッチング液等を用いることなく、μmオーダーの膜に対しても高精度且つ容易にパターニングが可能な積層構造体及び該積層構造体を用いて得られたデバイス及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の積層構造体は、基板と、基板上に成膜された、潮解性を有する無機物を主成分とする分離層と、分離層上に成膜された、機能性膜を含む被剥離層とを備えたものであって、分離層が、被剥離層表面に水を接触させることにより、被剥離層と基板との接合強度を低下させて、被剥離層を前記基板から剥離させるものであることを特徴とするものである。
本明細書において、「水と接触させることにより、被剥離層と基板との接合強度を低下させて、被剥離層を基板から剥離させる」とは、水と接触させることにより、接合強度がゼロになって被剥離層を基板から剥離させること、及び、水と接触させることによりの被剥離層と基板との接合強度を低下させて、内部応力又はわずかな外力が加わることにより非パターン部分の被剥離層を基板から剥離させることの両方を含むものとする。
本明細書において、水の相構造は限定されず、気体、液体、固体のうちどの相であってもよいし、混合された相であってもよい。水は「水分子」であってもよいし、HとOH-イオンに解離した状態であってもよい。また、本発明では水と接触させることにより被剥離層を基板から剥離させるものであるので、接触させる水は、純水であってもよいし、水に任意の物質が混合又は溶解した液体等であっても、パターニングの際に積層構造体に悪影響を与えないものであれば構わない。
本発明の積層構造体において、被剥離層上に所定のパターンのマスク層を形成した後に、被剥離層表面の少なくともマスク層の非パターン部分に水を接触させた場合は、非パターン部分の被剥離層と基板との接合強度を低下させて、非パターン部分の被剥離層を基板から剥離させることができる。
本発明の積層構造体において、前記分離層は、ハロゲン化物又は岩塩型の酸化物を主成分とするものであることが好ましい。岩塩型の酸化物は、BaO,CaO,CdO,CoO,EuO,MgO,MnO,NbO,NiO,SrO,TaO,TiO,ZrOからなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化物を含むものであることが好ましい。また「岩塩型」とは、NaClに代表される結晶構造であり、面心立方格子系イオン結晶のうち八面体隙間の全てにイオンを入れた結晶構造を意味する。本明細書において、「主成分」とは、含量80モル%以上の成分と定義する。
本発明の積層構造体は、前記機能性膜が、圧電体膜である場合に好ましく用いることができ、更に強誘電体膜である場合に特に好ましく用いることができる。
本発明の積層構造体において、少なくとも前記機能性膜はエピタキシャル膜であることが好ましい。また、前記基板がシリコン単結晶基板であることが好ましい。
本発明の積層構造体の製造方法は、基板を用意する工程と、該基板上に分離層を形成する工程と、該分離層上に機能性膜を含む被剥離層を形成する工程と、該被剥離層上に所定のパターンのマスク層を形成する工程と、前記被剥離層の、前記マスク層の非パターン部分に水を接触させて該非パターン部分の被剥離層を前記基板から剥離する工程とを順次実施することを特徴とするものである。
本発明の機能性デバイスは、上記製造方法により製造された積層構造体の前記機能性膜に、該機能性膜に電界を印加する電極を備えたことを特徴とするものである。本発明の機能性デバイスとしては、前記機能性膜が圧電体膜である圧電素子が挙げられる。
本発明の液体吐出装置は、上記本発明の機能性デバイスからなる圧電素子と、
該圧電素子の基板に一体的にまたは別体として設けられた液体吐出部材とを備え、
該液体吐出部材は、液体が貯留される液体貯留室と、該液体貯留室から外部に前記液体が吐出される液体吐出口とを有するものであることを特徴とするものである。
本発明の積層構造体は、基板上に、潮解性を有する無機物を主成分とする分離層と、分離層上に成膜された、機能性膜を含む被剥離層とを備えたものである。かかる積層構造体では、分離層に水が接触することにより、被剥離層と基板との接合強度が低下するため、特殊なエッチング液を用いることなく被剥離層を基板から容易に剥離することができる。本発明の積層構造体では、分離層を、例えば水溶液化することにより、その分離層上の被剥離層を基板から剥離する。従って、被剥離層上に所定のパターンのマスク層を形成し、被剥離層表面の少なくともマスク層の非パターン部分に水を接触させた場合は、高精度且つ容易にパターニングすることができる。
また、本発明の積層構造体は、被剥離層がμmオーダの比較的厚みのある薄膜であっても良好に剥離することが可能であるため、デバイス特性上、数μm程度の膜厚が好ましいデバイスにも適用することができる。
更に、Si基板上にエピタキシャル成長により機能性膜を形成可能することができるため、本発明によれば、容易な加工プロセスにて素子特性の良好な機能性デバイスを得ることができる。
「積層構造体」
図1を参照して、本発明に係る一実施形態の積層構造体について説明する。図1は、積層構造体1の斜視図である。
図1に示されるように、本実施形態の積層構造体1は、基板10上に、潮解性を有する無機物を主成分とする分離層30と、下部電極層41と機能性膜42とからなる被剥離層40とが順次積層されたものである。
基板10としては特に制限されず、酸化物単結晶基板、半導体単結晶基板、セラミックス基板、ガラス基板、金属基板等が挙げられ、機能性膜42の材質及び用途に応じて適宜選択することができる。例えば、機能性膜42が圧電体膜である場合は、素子特性の良好なエピタキシャル膜が形成可能であり、耐熱性に優れる酸化物単結晶基板や半導体単結晶基板等が好ましく、加工性に優れるSi単結晶基板がより好ましい。
分離層30は基板10上に成膜されたものであるが、基板10上に直接成膜されていてもよいし、本実施形態のように絶縁膜20やその他密着層等を介して成膜されていてもよい。本実施形態では、分離層30は潮解性を有する無機物を主成分とするものであるが、水と接触することにより、分離層30上に直接成膜されている被剥離層40と、基板10との接合強度を低下させるものであれば、特に制限されない。潮解性を有する無機物としては、ハロゲン化物、岩塩型の酸化物等が挙げられる。
ハロゲン化物としては、F,Cl,Br,Iからなる群から選ばれる1種のハロゲン元素と、I族,II族,及び遷移金属元素との化合物等が挙げられる。
また、岩塩型の酸化物としては、BaO,CaO,CdO,CoO,EuO,MgO,MnO,NbO,NiO,SrO,TaO,TiO,ZrOからなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化物等が挙げられる。岩塩型の酸化物は、格子定数の範囲が広いため格子マッチングがとりやすく、多層膜をエピタキシャル成長させる際のバッファ層として好適な材料である。そのため、分離層30を岩塩型の酸化物とした場合、分離層30はバッファ層としての機能を兼ねることができ、更に機能性膜42をエピタキシャル膜とすることが可能である。
「背景技術」の項において述べたように、電子デバイスの小型化、高密度集積化の観点では、層構成はより少ない層数である方が好ましい。また、薄膜素子では、機能性膜が多結晶膜であるとI−V特性に限界があることから、機能性膜はエピタキシャル膜であることが好ましい。上記のように、分離層30を岩塩型の酸化物とした場合には、バッファ層としての機能を兼ねることができるので、デバイスの層数を増やすこともなく、機能性膜41をエピタキシャル膜とすることができ好ましい。
分離層30の膜厚は、被剥離層40が良好に基板10から分離される膜厚であれば特に制限されないが、加工速度及びコストの観点から薄い方が好ましい。積層構造体1では、分離層30が数nm程度の薄膜であっても良好に被剥離層40を基板10から剥離することができる。
本実施形態では、被剥離層40は下部電極層41と機能性膜42とにより構成されている。被剥離層40は、機能性膜42の用途に応じて適宜必要な層により構成すればよい。被剥離層40は、被剥離層40の上面に接触された水が透過して分離層30に到達可能な層であれば特に制限されない。
機能性膜42としては、圧電体膜、焦電体膜、強誘電体膜、超伝導体膜、磁性体膜、半導体膜、導電体膜、絶縁体膜、誘電体膜、イオン交換膜、光学機能性膜等が挙げられる。圧電体膜としては、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ジルコニウム酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムバリウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム、ビスマスフェライト等のペロブスカイト型酸化物を含む膜等が挙げられる。かかる酸化物は、強誘電体でもあり、焦電体でもある。また、超伝導体膜としては、YBa2Cu3O7-δやBi2Sr2Ca2Cu3O10等が挙げられる。
下部電極41の主成分としては特に制限なく、Au,Pt,Ir,IrO,RuO,LaNiO,及びSrRuO等の金属酸化物、及びこれらの組合せが挙げられる。下部電極41が金属電極である場合は、パターニングの際の水の透過を妨げないように膜厚等の条件を工夫すればよい。
被剥離層40の膜厚は、被剥離層40の表面に接触された水が、分離層30に到達可能な膜厚であれば特に制限されないが、パターニングの際に良好な加工精度を維持するためには、膜厚は10μm以下であることが好ましい。
積層構造体1は、水と接触させることにより、分離層30上に直接成膜されている被剥離層40と基板10との接合強度を低下させて被剥離層40を基板10から剥離することが可能である。従って、積層構造体1の被剥離層40の表面に、所定のパターンのマスク層を形成して水と接触させることにより、マスク層の非パターン領域の被剥離層40を基板10から剥離して、所定のパターンでパターニングすることができる。以下に、図2を参照して、積層構造体1をパターニングする工程の一例を説明する。
まず、基板10を用意し、その上に絶縁膜20,分離層30,下部電極41(被剥離層40),機能性膜42(被剥離層40)を順次成膜して積層構造体1を用意する(図2a)。次に積層構造体1の機能性膜42(被剥離層40)の表面に光硬化性樹脂等のレジストによりベタマスク層50Xを全面成膜し(図2b)、所定のパターンのマスクMを用いてマスク層50をパターン形成する(図2c,図2d)。本実施形態において積層構造体1の形成及び各層の成膜方法は特に限定されず、スパッタ法やパルスレーザデポジション法(PLD法)等の気相法やゾルゲル法等の液相法等を用いることができる。マスク層50のパターニング方法は特に制限なく、通常のフォトリソグラフィ技術等を用いることができる。
次いで、被剥離層40の表面の少なくともマスク層50の非パターン部分に水を接触させる(図2e)。マスク層50には水は接触していても、していなくてもよい。マスク層50の非パターン部分に接触した水は、被剥離層40の表面から下層に浸透して分離層30に到達する。本実施形態では、分離層30は潮解性を有する無機物を含むものであるので、水と接触することにより、水を取り込んで水溶液化していく。従って、分離層30に水が到達すると、非パターン部分の被剥離層40の基板10との接合強度が低下するため、非パターン部分の被剥離層40を基板10から剥離することができる(図2f)。
上記のパターニング後の積層構造体1pにおいて、不要部分が除去されて残った凸部の側面形状(切断面形状)は良好であり、またそのテーパ角θは略90°となる(後記実施例、図8cを参照)。従って、本実施形態の積層構造体1によれば、特殊なエッチング液を用いることなく、水により不要部分のみを簡易且つ高精度に除去することができる。
また、積層構造体1において、被剥離層40の表面にマスク等を配さずに水を接触させた場合は、基板10上に成膜された被剥離層40全体を基板10から剥離することが可能である。圧電体膜のように高特性を得るためには500℃を超える高温で成膜する必要があるような機能性膜は、成膜される基板の耐熱性が制限される。例えばフレキシブルデバイス等への適用を考えた場合は、基板の耐熱温度が150℃以下の樹脂基板が主となるため、成膜時に使用された基板を同時に加熱されるようなプロセスでは成膜することができない。積層構造体1は、水に接触させることにより被剥離層40を良好に基板10から剥離することができるので、剥離した被剥離層40を所望の基板に転写することができる。従って、耐熱温度の低い樹脂基板等に、高温成膜により得られた高特性な機能性膜42を備えた機能性デバイスを製造することも可能である。
本実施形態の積層構造体1は、以上のように構成されている。
積層構造体1は、基板10上に、潮解性を有する無機物を主成分とする分離層30と、分離層30上に成膜された、機能性膜42を含む被剥離層40とを備えたものである。積層構造体1では、分離層30に水が接触することにより、被剥離層40と基板10との接合強度が低下するため、特殊なエッチング液を用いることなく被剥離層40を基板10から容易に剥離することができる。積層構造体1では、分離層30を、例えば水溶液化することにより、分離層30上の被剥離層40を基板10から剥離する。従って、被剥離層40上に所定のパターンのマスク層50を形成し、被剥離層40の表面の少なくともマスク層50の非パターン部分に水を接触させた場合には、高精度且つ容易にパターニングすることができる。また、積層構造体1は、被剥離層40がμmオーダの比較的厚みのある薄膜であっても良好に剥離することが可能であるため、デバイス特性上、数μm程度の膜厚が好ましいデバイスにも適用することができる。
「機能性デバイス(強誘電体素子,圧電素子)、インクジェット式記録ヘッド」
図3及び図4を参照して、上記実施形態の積層構造体1を用いて得られた圧電素子(強誘電体素子,機能性デバイス)、及びこれを備えたインクジェット式記録ヘッド(液体吐出装置)について説明する。図3はインクジェット式記録ヘッドの要部断面図であり、図4は製造工程断面図である。視認しやすくするため、構成要素の縮尺は実際のものとは適宜異ならせてある。
図3に示されるように、本実施形態の圧電素子(強誘電体素子,機能性デバイス)2は、基板10上に、絶縁体層20を備え、その上に図示手前側から奥側に延びるライン状にパターニングされた、分離層30,下部電極41,強誘電体膜(圧電体膜)42と、上部電極60とが順次積層された素子であり、強誘電体膜42に対して、下部電極41と上部電極60とにより厚み方向に電界が印加されるようになっている。
強誘電体膜42としては、既に例示したチタン酸ジルコン酸鉛等のペロブスカイト型酸化物を含む圧電体膜等が挙げられる。上部電極60としては、上記した下部電極41と同様の材料、及びAl,Ta,Cr,及びCu等の一般的に半導体プロセスで用いられている電極材料、及びこれらの組合せが挙げられる。下部電極41と上部電極60の厚みは特に制限なく、例えば200nm程度である。強誘電体膜42の膜厚は特に制限なく、通常1μm以上であり、例えば1〜5μmである。強誘電体膜42の膜厚は3μm以上が好ましい。
強誘電体膜42のパターンは図示するものに限定されず、適宜設計される。強誘電体膜42は連続膜ではなく、互いに分離された構成としているので、個々の強誘電体膜42の伸縮がスムーズに起こるので、大きな変位量が得られる。
インクジェット式記録ヘッド(液体吐出装置)3は、概略、上記構成の圧電素子2の基板10の下面に、振動板70を介して、インクが貯留されるインク室(液体貯留室)81及びインク室81から外部にインクが吐出されるインク吐出口(液体吐出口)82を有するインクノズル(液体貯留吐出部材)80が取り付けられたものである。インク室81は、強誘電体膜42のパターンに対応して、複数設けられている。
インクジェット式記録ヘッド3では、圧電素子2の強誘電体膜42のパターンごとに増減させてこれを伸縮させ、これによってインク室81からのインクの吐出や吐出量の制御が行われる。
上記強誘電素子(圧電素子)2は、圧電体膜(機能性膜)42を含む被剥離層40を備えた積層構造体1を用意し、上記実施形態の積層構造体1のパターニングと同様の工程によりパターニングを行い(図4a〜図4e,説明は重複するため省略する。)、マスク層50を除去した後(図4f)に上部電極60を形成することにより製造することができる(図4g)。更に、得られた圧電素子2の裏面に、各圧電体膜42に対応したインク室81及びインク吐出口82を備えたインクノズル80を形成して本実施形態のインクジェット式記録ヘッド3を得る(図4h)。
基板10とは独立した部材の振動板70及びインクノズル80を取り付ける代わりに、基板10の一部を振動板70及びインクノズル80に加工してもよい。例えば、基板10がSOI基板等の積層基板からなる場合には、基板10を裏面側からエッチングしてインク室81を形成し、基板自体の加工により振動板70及びインクノズル80を形成することができる。
上記したように、強誘電体素子(圧電素子)2は、積層構造体1を用いてパターニングされたものであるので、分離された各強誘電体膜42は側面形状が良好であり、且つそのテーパ角θも略90°となっている。更に、Si基板上にエピタキシャル成長により強誘電体膜42を形成することができるため、圧電特性が良好であり且つ加工プロセスも容易である。従って、本実施形態によれば、均一性が高く、良好な圧電特性を有する強誘電体素子2及びそれを備えたインクジェット式記録ヘッド3を、容易な加工プロセスにて得ることができる。
(設計変更)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更可能である。
本発明に係る実施例について説明する。
(実施例1)
表面の自然酸化膜を除去したSi基板表面に、PLD法にてレーザ発振周波数10Hz(248nmエキシマレーザ使用)、レーザ光強度200mJ、基板温度750℃、酸素分圧1mTorrの条件で、絶縁膜としてイットリア安定化ジルコニア(YSZ)膜(膜厚約100nm)及びCeO膜(膜厚約100nm)を順次成膜し、次いでSrO分離層(膜厚約5nm)を成膜した。次に、酸素分圧を10mTorrとしてSrRuO(SRO)下部電極層(膜厚約100nm)を成膜し、更に基板温度を700℃としてBaTiO膜(BTO)(膜厚約1μm)を成膜し、図5に示される積層構造体を作製した。図中括弧内の数値は格子定数であり単位はÅである。
得られた試料についてXRDにより結晶構造解析を行ったところ、図6に示されるようにペロブスカイト単相膜であることが確認された。
また、RHEEDによる表面の観察からは、エピタキシャル成長を示すスポット像が観察された(図7)。次に、BTO膜表面にレジストをスピンコートにより塗布し、オーブンで加熱して余分な有機溶剤等を揮発させ、レジスト上にマスクを配してUV露光装置にてフォトリソグラフィによりマスク層を形成した。この積層構造体に、マスク層が配されたBTO膜表面から水を接触させたところ、マスク層の非パターン部分のSrOより上層(被剥離層)が、クラックが入るとともに基板から剥離された。
パターニングされた積層構造体のSEM像を図8a〜図8cに示す。図8aは積層構造体の上面SEM像、図8bは積層構造体を前面SEM像、図8cは積層構造体を斜め上方より観察した時のSEM像である。図8cより、パターニング後の不要部分が除去されて残った凸部の側面形状(切断面形状)は良好であり、またそのテーパ角θは略90°であることが確認された。
本発明の強誘電体膜は、インクジェット式記録ヘッド,磁気記録再生ヘッド,MEMS(Micro Electro-Mechanical Systems)デバイス,マイクロポンプ,超音波探触子等に搭載される圧電アクチュエータ、及び強誘電体メモリ等の強誘電体素子に好ましく利用できる。
本発明に係る実施形態の積層構造体の斜視図 本発明に係る実施形態の積層構造体のパターニング工程を示す図 本発明に係る実施形態の積層構造体のパターニング工程を示す図 本発明に係る実施形態の積層構造体のパターニング工程を示す図 本発明に係る実施形態の積層構造体のパターニング工程を示す図 本発明に係る実施形態の積層構造体のパターニング工程を示す図 本発明に係る実施形態の積層構造体のパターニング工程を示す図 本発明に係る実施形態の圧電素子及びこれを備えたインクジェット式記録ヘッド(液体吐出装置)の構造を示す要部断面図 図3に示す強誘電体素子(圧電素子)及びインクジェット式記録ヘッド(液体吐出装置)の製造工程を示す図 図3に示す強誘電体素子(圧電素子)及びインクジェット式記録ヘッド(液体吐出装置)の製造工程を示す図 図3に示す強誘電体素子(圧電素子)及びインクジェット式記録ヘッド(液体吐出装置)の製造工程を示す図 図3に示す強誘電体素子(圧電素子)及びインクジェット式記録ヘッド(液体吐出装置)の製造工程を示す図 図3に示す強誘電体素子(圧電素子)及びインクジェット式記録ヘッド(液体吐出装置)の製造工程を示す図 図3に示す強誘電体素子(圧電素子)及びインクジェット式記録ヘッド(液体吐出装置)の製造工程を示す図 図3に示す強誘電体素子(圧電素子)及びインクジェット式記録ヘッド(液体吐出装置)の製造工程を示す図 図3に示す強誘電体素子(圧電素子)及びインクジェット式記録ヘッド(液体吐出装置)の製造工程を示す図 実施例1の積層構造体の層構成を示す概略断面図 図5に示される実施例1の積層構造体のXRD測定結果を示す図 図5に示される実施例1の積層構造体のRHEED観察結果 実施例1でパターニングされた積層構造体のSEM写真 実施例1でパターニングされた積層構造体のSEM写真 実施例1でパターニングされた積層構造体のSEM写真
符号の説明
1 積層構造体
1p パターニング後の積層構造体
10 基板
30 分離層
40 被剥離層
41 機能性膜(強誘電体膜、圧電体膜)
42,60 電極
50 マスク層
2 機能性デバイス(強誘電体素子、圧電素子)

Claims (13)

  1. 基板と、
    該基板上に成膜された、潮解性を有する無機物を主成分とする分離層と、
    該分離層上に成膜された、機能性膜を含む被剥離層とを備えた積層構造体であって、
    前記分離層が、前記被剥離層表面に水を接触させることにより、前記被剥離層と前記基板との接合強度を低下させて、前記被剥離層を前記基板から剥離させるものであることを特徴とする積層構造体。
  2. 前記分離層が、前記被剥離層上に所定のパターンのマスク層を形成した後に、該被剥離層表面の、少なくとも前記マスク層の非パターン部分に水を接触させることにより、該非パターン部分の前記被剥離層と前記基板との接合強度を低下させて、前記非パターン部分の前記被剥離層を前記基板から剥離させるものであることを特徴とする請求項1に記載の積層構造体。
  3. 前記分離層が、ハロゲン化物を主成分とするものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層構造体。
  4. 前記分離層が、岩塩型の酸化物を主成分とするものであることを特徴とする請求項1又2に記載の積層構造体。
  5. 前記酸化物が、BaO,CaO,CdO,CoO,EuO,MgO,MnO,NbO,NiO,SrO,TaO,TiO,ZrOからなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化物を含むことを特徴とする請求項4に記載の積層構造体。
  6. 前記機能性膜が、圧電体膜であることを特徴とする請求項1〜5に記載の積層構造体。
  7. 前記圧電体膜が、強誘電体膜であることを特徴とする請求項6に記載の積層構造体。
  8. 少なくとも前記機能性膜がエピタキシャル膜であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層構造体。
  9. 前記基板がシリコン単結晶基板であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の積層構造体。
  10. 基板を用意する工程と、
    該基板上に分離層を形成する工程と、
    該分離層上に機能性膜を含む被剥離層を形成する工程と、
    該被剥離層上に所定のパターンのマスク層を形成する工程と、
    前記被剥離層の、前記マスク層の非パターン部分に水を接触させて該非パターン部分の被剥離層を前記基板から剥離する工程とを順次実施することを特徴とする積層構造体の製造方法。
  11. 請求項10に記載の製造方法により製造された積層構造体の前記機能性膜に、該機能性膜に電界を印加する電極を備えたことを特徴とする機能性デバイス。
  12. 前記機能性膜が圧電体膜であり、圧電素子であることを特徴とする請求項11に記載の機能性デバイス。
  13. 請求項11又は12に記載の機能性デバイスからなる圧電素子と、
    該圧電素子の基板に一体的にまたは別体として設けられた液体吐出部材とを備え、
    該液体吐出部材は、液体が貯留される液体貯留室と、該液体貯留室から外部に前記液体が吐出される液体吐出口とを有するものであることを特徴とする液体吐出装置。
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