JP5496608B2 - Soi基板の作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、透明絶縁性基板をハンドル基板とするSOI基板の作製方法に関する。
従来、Silicon on Quartz(SOQ)、Silicon on Glass(SOG)、Silicon on Sapphire (SOS)と呼ばれるSOI基板が提案されており、ハンドル基板(石英、ガラス、サファイア)が有する絶縁性・透明性などからプロジェクター、高周波デバイスなどへの応用が期待されている。
貼り合わせに関するSOI製造技術には主に二種類の方法がある。
一つはSOITEC法であり、室温で予め水素イオン注入を施したシリコン基板(ドナー基板)と支持基板となる基板(ハンドル基板)を貼り合わせ、高温(500℃付近)で熱処理を施しイオン注入層の界面でマイクロキャビティと呼ばれる微小な気泡を多数発生させ剥離を行いシリコン薄膜をハンドル基板に転写するというものである。
もう一つはSiGen法と呼ばれる方法であり、同じく水素イオン注入を予め施したシリコン基板とハンドル基板双方にプラズマ処理で表面を活性化させた後に貼り合わせを行い、しかる後に機械的に水素イオン注入層の界面で剥離をするという方法である。
しかしながら、SOITEC法においては貼り合わせ後に高温の熱処理工程を経るために、シリコンと石英やサファイアに代表されるハンドル基板を貼り合わせる場合においては熱膨張係数の大きな差により基板が割れてしまうという欠点があった。
また、SiGen法においては、表面活性化処理により貼り合わせた時点でSOITEC法と比較し高い結合強度を有するとはいえ、基板の接合には200℃以上の温度の熱処理が必要であり、この結果、貼り合わせた基板の熱膨張率の違いにより基板が破損することや、転写されるシリコン薄膜に未転写部が導入されるといった問題が発生することがある。これは温度上昇とともに貼り合せ界面の結合強度が増すが、同時に異種基板を貼り合せていることによる反りが発生することにより剥がれ等が発生し、貼り合わせが面内均一に進行しないためである。
尚、シリコンの熱膨張率は、2.6x10−6/Kであり、一方石英、サファイアの熱膨張率はそれぞれ0.56x10−6/K、5.8x10−6/Kである。SOQの場合の熱膨張率の差(Δα=α(ドナー)−α(ハンドル))はΔα=2.04x10−6/Kであり、(シリコン側に圧縮応力が掛かる)、SOSの場合はΔα=−3.2x10−6/K(シリコン側に引っ張り応力が掛かる)となり、非常に大きいものである。これらの基板を貼り合せ後にそのまま高温処理を行うと、基板割れが発生するか、もしくは貼り合わせた基板が剥がれるという問題が発生し、従来のSOI基板に広く用いられているSOITEC法やSiGen法が採用できないという欠点がある。
本発明は上記現状に鑑み、貼り合わせ面の剥離や、基板の破損を生じることなく、イオン注入層の界面を効果的かつ効率的に脆化することができるSOI基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために以下のような作製法を考案した。
すなわち、本発明は、透明絶縁性基板の表面にSOI層を形成してSOI基板を製造する方法であって、シリコンウェーハもしくは酸化膜付きシリコンウェーハにイオンを注入してイオン注入層を形成する工程、前記透明絶縁性基板の前記表面、および、前記イオンを注入したシリコンウェーハもしくは酸化膜付きシリコンウェーハの前記表面の少なくとも一方の面に表面活性化処理を施す工程、前記シリコンウェーハもしくは酸化膜付きシリコンウェーハと前記透明絶縁性基板とを貼り合わせる工程、前記貼り合わせた基板に150℃以上350℃以下の熱処理を加え、接合体を得る工程、前記接合体の透明絶縁性基板側から前記シリコンウェーハもしくは酸化膜付きシリコンウェーハのイオン注入層に向けて可視光を照射して前記イオン注入層の界面を脆化し、シリコン薄膜を透明絶縁性基板に転写しSOI層を形成する工程をこの順に含むSOI基板の製造方法である。
本発明により、イオン注入層の界面を効果的かつ効率的に脆化することができ、透明絶縁性基板とシリコンウェーハとの熱膨張係数の差異に起因するウェーハの割れや欠け、貼り合わせ面の剥離等の発生を防止できる。
以下に本発明を図1および図2に基づいて詳細に説明する。
まず、シリコン基板もしくは酸化膜付きシリコン基板1(以下、区別しない限り単にシリコンウェーハと称する)にイオンを注入してイオン注入層2を形成する。
イオン注入層2は、シリコンウェーハ中に形成する。この際、その表面から所望の深さにイオン注入層を形成できるような注入エネルギーで、所定の線量の水素イオン(H)または水素分子イオン(H )を注入する。このときの条件として、例えば注入エネルギーは50〜100 keVとできる。
前記シリコンウェーハに注入する水素イオン(H)のドーズ量は、1.0×1016 atom/cm〜1.0×1017 atom/cmであることが好ましい。1.0×1016 atom/cm未満であると、界面の脆化が起こらない場合があり、1.0×1017 atom/cmを超えると、貼り合せ後の熱処理中に気泡となり転写不良となる場合がある。より好ましいドーズ量は、5.0×1016 atom/cmである。
注入イオンとして水素分子イオン(H )を用いる場合、そのドーズ量は5.0×1015 atoms/cm〜5.0×1016 atoms/cmであることが好ましい。5.0×1015 atoms/cm未満であると、界面の脆化が起こらない場合があり、5.0×1016 atoms/cmを超えると、貼り合せ後の熱処理中に気泡となり転写不良となる場合がある。より好ましいドーズ量は、2.5×1016 atom/cmである。
また、シリコンウェーハの表面にあらかじめ数nm〜500 nm程度のシリコン酸化膜等の絶縁膜を形成しておき、それを通して水素イオンまたは水素分子イオンの注入を行えば、注入イオンのチャネリングを抑制する効果が得られる。
次に、半導体基板(シリコンウェーハ1)の表面及び/又はハンドル基板(透明絶縁性基板3)の表面を活性化処理する。
表面活性化処理の方法としては、オゾン水処理、UVオゾン処理、イオンビーム処理、プラズマ処理等が挙げられる。表面活性化による結合力増加の機構は完全に解き明かされた訳ではないが、以下のように説明できる。オゾン水処理やUVオゾン処理などでは、表面の有機物をオゾンにより分解し、表面のOH基を増加させることで活性化を行う。一方、イオンビ−ム処理やプラズマ処理などは、ウェ−ハ表面の反応性の高い未結合手(ダングリングボンド)を露出させることで、もしくはその未結合手にOH基が付与されることで活性化を行う。表面活性化の確認には親水性の程度(濡れ性)を見ることで確認が出来る。具体的には、ウェ−ハ表面に水をたらし、その接触角(コンタクトアングル)を測ることで簡便に測定が出来る。
オゾン水で処理する場合には、オゾンを10 mg/L程度溶存した純水にウェーハを浸漬することで実現できる。
UVオゾンで処理をする場合は、オゾンガス、もしくは大気より生成したオゾンガスにUV光(例185 nm)を照射することで行うことが可能である。
イオンビームで処理する場合には、スパック法のように高真空下でウェ−ハ表面をアルゴンなどの不活性ガスのビームで処理することにより、表面の未結合手を露出させ、結合力を増すことが可能である。
プラズマで処理をする場合には、真空チャンバ中に半導体基板及び又はハンドル基板を載置し、プラズマ用ガスを減圧下で導入した後、100W程度の高周波プラズマに5〜10秒程度さらし、表面をプラズマ処理する。プラズマ用ガスとしては、半導体基板を処理する場合、表面を酸化する場合には酸素ガスのプラズマ、酸化しない場合には水素ガス、アルゴンガス、又はこれらの混合ガスあるいは水素ガスとヘリウムガスの混合ガスを用いることができる。ハンドル基板を処理する場合はいずれのガスでもよい。
この処理をすることにより、半導体基板及び又はハンドル基板の表面の有機物が酸化して除去され、さらに表面のOH基が増加し、活性化する。
上記四つの処理は半導体基板のイオン注入した表面、および、ハンドル基板の貼り合わせ面の両方について行うのがより好ましいが、いずれか一方だけ行ってもよい。
シリコンウェーハの表面活性化処理を行う表面は、イオン注入を行った表面であることが好ましい。
本発明においては、シリコンウェーハの厚さは、特に限定されないが、通常のSEMI/JEIDA規格近傍のものがハンドリングの関係から扱いやすい。
透明絶縁性基板は、可視光領域(波長400 nm〜700 nm)の光が貼り合わせたシリコンウェーハのイオン注入層に到達するまでに、エネルギー損失が少ないものであることが望ましく、上記可視光領域の透過率が70%以上の基板であれば特に限定されないが、なかでも絶縁性・透明性にすぐれる点で、石英、ガラスまたはサファイアのいずれかであることが好ましい。
本発明においては、透明絶縁性基板の厚さは、特に限定されないが、通常のSEMI/JEIDA規格近傍のものがハンドリングの関係から扱いやすい。
次に、このシリコンウェーハ1の表面および透明絶縁性基板3のオゾン水処理、UVオゾン処理、イオンビーム処理、プラズマ処理等で処理をした表面を接合面として貼り合わせる。
次いで、貼り合わせた基板に150 ℃以上350 ℃以下の熱処理を施し、接合体6を得る。熱処理を行う理由は、後工程の可視光照射で貼り合せ界面9が高温となった際に急激な温度上昇で貼り合せ界面9がずれることによる結晶欠陥導入を防ぐためである。温度を150 ℃以上350 ℃以下とする理由は、150 ℃未満では結合強度が上がらない為で、350 ℃を超えると貼り合わせた基板が破損する可能性が出るためである。本発明者らが実験検討した結果、透明絶縁性基板が石英もしくはガラスである場合の適切な温度は150 ℃以上350 ℃以下であり、サファイアの場合は150 ℃以上250 ℃以下であった。これらの温度域は基板により異なる。
熱処理時間としては、温度にもある程度依存するが12時間〜72時間が好ましい。
続いて、基板を室温まで冷却し、前記接合体6の透明絶縁性基板3側からシリコンウェーハ5のイオン注入層2に向けて可視光を照射し、アニールを施す。
本明細書において、「可視光」とは、400〜700 nmの範囲に極大波長を有する光をいう。可視光は、コヒーレント光またはインコヒーレント光のいずれであってもよい。
図1には、可視光の一例として、レーザー光を用いてアニールを行った場合を示している。この際、レーザー光は透明絶縁性基板3を通過しほとんど吸収されないので、透明絶縁性基板を熱すること無くシリコン基板に到達する。到達したレーザー光はシリコンの貼り合せ面近傍のみ(含:貼り合せ界面)、特に水素イオン注入によりアモルファス化した部分を選択的に加熱し、イオン注入箇所の脆化を促す。これはRTAなどのハロゲンランプを光源とするものや
500 nm近傍にピークを有するXeフラッシュランプなどでも同様である。
またシリコン基板のごく一部(貼り合せ界面近傍のシリコンのみ)を瞬間的に加熱することで、基板の割れ、冷却後の反りも生じないという特徴を有する。
ここで用いるレーザーの波長であるが、シリコンに比較的吸収されやすい波長であって(700 nm以下)、且つ、水素イオン注入によりアモルファス化した部分を選択的に加熱することができるように、アモルファスシリコンに吸収され、単結晶シリコン部分に吸収されにくい波長であることが望ましい。アモルファスシリコンと単結晶シリコンの吸収係数をそれぞれ図3に、アモルファスシリコンと単結晶シリコンとの吸収係数の比(アモルファスシリコン/単結晶シリコン)を図4に示す。これらの図に用いられている値はEdward D. Palik “Handbook of Optical Constants of Solids”、Extended Abstracts of the 2001 International Conference on Solid State Devices and Materials, Tokyo, 2001, pp.182−183.からの抜粋である。図3と4から、適した波長領域は400 nm以上700 nm以下程度であり、望ましくは500 nm以上600 nm以下、より望ましくは500 nm以上550 nm以下であることが分かる。この波長域に合致するレーザーとしては、Nd:YAGレーザーの第二次高調波(波長=532 nm)、YVOレーザーの第二次高調波(波長=532 nm)などがあるが、限定されるものではない。
ここで気をつけなければならないことはレーザーの照射によりイオン注入部分を加熱しすぎると、部分的に熱剥離が発生し、ブリスターと呼ばれる膨れ欠陥が発生する。これは、貼り合わせ基板の透明基板側より目視で観察される。このブリスターによって一度剥離が始まると、貼り合わせ基板に応力が局在化し、貼り合わせ基板の破壊を生じる。よって、熱剥離を発生させない程度にレーザーを照射し、然る後に機械剥離を行うことが肝要である。或いは、レーザーの照射に先立ち、貼り合わせ基板の端部、貼り合わせ面近傍に機械的衝撃を与えておき、レーザー照射による熱の衝撃が端部の機械的衝撃の起点部から貼り合わせ基板全面にわたってイオン注入界面の破壊を生ぜしめることが肝要となる。
レーザーの照射条件としては、出力50 W〜100 Wで発振周波数が25 mJ@3kHzのものを用いる場合、面積当たりの照射エネルギーが、経験上0.4 J/cm〜1.6 J/cmであることが望ましい。0.4 J/cm未満であるとイオン注入界面での脆化が起こらない可能性があり、1.6 J/cmを超えると脆化が強すぎて基板が破損する可能性があるためである。照射はスポット状のレーザー光をウェーハ上で走査するために、時間で規定することは難しいが、処理後の照射エネルギーが上記の範囲に入っていることが望ましい。
可視光照射の方法としては、半導体プロセスなどに用いられるRTAなども有用な方法である。RTAは50〜150 ℃/秒という素早い昇温・降温が可能であり、基板全体を温める前にプロセスを終了することが出来る優れた方法である。この際にはイオン注入界面近傍のみを、熱剥隊が生じない程度に過熱することが重要である。通常のRTAに用いられる熱源はハロゲンランプなので、可視光照射源としては適している。
また図2に示すように、上述のようなレーザーニール・RTAに代えてフラッシュランプアニールを施すことも可能である。ここで用いるフラッシュランプの波長としては、ランプである以上、ある程度の波長域があるのは避けられないが、400 nm以上700 nm以下の波長域で(シリコンに効率よく吸収される波長域)ピーク強度を有するものが望ましい。400 nm未満では単結晶シリコンでも高い吸収係数を有することと、700 nmを超えると、アモルファスシリコンでも吸収係数が低くなってしまうためである。図3と4から、適した波長領域は400 nm以上700 nm以下程度であることが分かる。この波長域に合致するランプ光源としては、キセノンランプによる加熱が一般的である。キセノンランプのピーク強度(700 nm以下で)は500 nm近傍であり、本発明の目的に合致している。
なお、キセノンランプ光を用いる場合、可視光域外の光をカットする波長フィルタを介して照射を行ってもよい。また、単結晶シリコンでの吸収係数の高い、450 nm以下の可視光を遮るフィルタなどもプロセスの安定化のために有効である。前述のブリスターの発生を抑えるためには、本キセノンランプ光で貼り合せ基板全面の一括照射を行うことが望ましい。一括照射により、貼り合せ基板の応力局在化を防ぎ、貼り合せ基板の破壊を防ぐことが容易となる。よって、熱剥離を発生させない程度にキセノンランプ光を照射し、然る後に機械剥離を行うことが肝要である。或いは、キセノンランプ光の照射に先立ち、機械的衝撃を貼り合せ基板の端部、貼り合せ面近傍に与えておき、キセノンランプ光照射による熱の衝撃が端部の機械的衝撃の起点部から貼り合せ基板全面にわたってイオン注入界面に破壊を生ぜしめることが肝要となる。
レーザー光照射、RTA処理、またはフラッシュランプ照射後に、シリコン薄膜の透明絶縁性基板への転写が目視で確認できない場合は、イオン注入層の界面に機械的衝撃を与えることで剥離を行い、シリコン薄膜を透明絶縁性基板に転写する薄膜転写を行ってもよい。
イオン注入層に機械的衝墜を与えるためには、例えば、ガスや液体等の流体のジェットを接合したウェーハの側面から連続的または断続的に吹き付けたり、剥離器具を用いてもよく、衝撃により機械的剥離が生じる方法であれば特に限定はされない。剥離器具は、150 ℃以上350 ℃以下の温度で熱処理された接合体6の水素イオン注入層の側面から機械的衝撃を付与できるものであり、好ましくは、水素イオン注入層の側面に当たる部分が尖り、イオン注入層に沿って移動可能なものであり、好ましくは、ハサミ等の鋭角な道具やハサミ等の鋭角な刃を備える装置を用い、その材質としてはプラスチック(例えばポリエーテルエーテルケトン)やジルコニア、シリコン、ダイヤモンド等を用いることができ、汚染にこだわらないので金属等を用いることも出来る。汚染にこだわる場合には、プラスチックを用いればよい。また、楔状の鋭角な道具として、ハサミ等の刃を用いてもよい。
上記剥離工程により、透明絶縁性基板3上にSOI層4が形成されたSOI基板8が得られる。
本発明に係るSOI基板の製造方法により得られたSOI基板は、透明絶縁性基板の上にSOI層が形成されているものであるので、液晶装置等の電気光学装置用基板の作成用に特に適する。
予め酸化膜を200 nm成長させた直径150 mmのシリコン基板(厚さ625 um)に水素イオンを注入し、石英基板との双方の表面にオゾン水処理、UVオゾン処理、イオンビーム処理、プラズマ処理を行い、計4種類のサンプルを作製した。
250℃ 24時間の熱処理を施し接合体を得た後に、グリ−ンレーザー(波長532 nm)で透明基板側(石英基板側)より照射を行った。照射後に貼り合わせ界面にPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)製の楔をあて、軽く機械的衝撃を与えることでシリコンの薄膜を石英基板に転写することができた。この時転写されたシリコンの厚さは400 nmであった。
4種類のサンプルを目視で観察したが、欠陥等は特に発見されず、4種類のサンプルの同等の品質を持つことが確認でき、表面活性化の種類には大きく依存しないことが確認できた。
予め酸化膜を200 nm成長させた直径150 mmのシリコン基板(厚さ625 um)に水素イオンを注入し、石英基板との双方の表面にイオンビーム処理を施し、表面活性化を行った。この後、両基板を貼り合せた。
250℃ 24時間の熱処理を施し接合体を得た後に、グリ−ンレーザー(波長532 nm)、RTA、フラッシュランプで透明基板側(石英基板側)より可視光照射を行った。この時のレーザー照射条件は、出力75 Wで発振周波数が25 mJ@3kHzであった。基板全面を1.2 J/cmとなるように照射した。
RTAの場合は、温度はパイロメーターで石英基板より貼り合せ界面を観察する方向で配置した。この時、貼り合せ界面近傍の温度を観察できることとなる。50 ℃/秒の昇温速度で、350℃ (パイロメーター読み)まで昇温し、到達と同時にパワーをカットし、基板を冷却した。
フラッシュランプの場合は、パルス幅1 m(ミリ)秒として照射を行った。
実施例1と同様に、照射後に貼り合わせ界面に軽く機械的衝撃を与えることでシリコンの薄膜を石英基板に転写することができた。この時転写されたシリコンの厚さは400 nmであった。3種類のサンプルを目視で観察したが、欠陥等は特に発見されず、3種類のサンプルは、同等の品質持つことが確認でき、上記3種類の照射の種類には大きく依存しないことを確認することができた。
予め酸化膜を200 nm成長させた直径150 mmのシリコン基板(厚さ625 um)水素イオンを注入し、サファイア基板と双方の表面にイオンビーム活性化処理を施し、表面活性化を行った。この後、両基板を貼り合わせた。
基板を225 ℃で24時間熱処理を行い接合した後に、サファイア基板側から波長532 nmの緑色レーザー(YVO(SHG) レーザー)を照射した。この時のレーザー照射条件は、出力75 Wで発振周波数が25 mJ@3kHzであった。基板全面を1.2 J/cmとなるように照射した後に、貼り合せ界面に実施例1及び2と同様に機械的衝撃を加え、剥離をすることで、シリコン薄膜をサファイアに転写した。基板全面へのシリコン薄膜の転写が確認できた。
(比較例1)
予め酸化膜を200 nm成長させた直径150 mmのシリコン基板(厚さ625 um)水素イオンを注入し、石英基板と双方の表面にUVオゾン活性化処理を施し、表面活性化を行った。この後、両基板を貼り合わせた。このとき熱処理を施さずに石英基板側から波長532nm の緑色レーザー(YVO(SHG) レーザー)を照射した。この時のレーザー照射条件は、出力75Wで発振周波数が5 mJ@3kHzであった。
基板全面を照射した後に貼り合せ界面に機械的衝撃を加え剥離を行うことで、シリコン薄膜を石英に転写した。しかし、転写された膜を光学顕微鏡で観察すると、um単位の未転写部が散見された。これにより、貼り合せ後の熱処理が必須であることが判明した。
予め酸化膜を200 nm成長させた直径150 mmのシリコン基板(厚さ625 um)水素イオンを注入し、サファイア基板と双方の表面にプラズマ活性化処理を施し、表面活性化を行った。この後、両基板を貼り合わせた。基板を225 ℃で24 時間熱処理を行い接合をした後に、サファイア基板側からキセノンフラッシュランプを照射した。この持の照射条件は、パルス幅1 m(ミリ)秒であった。基板全面を照射した後に、貼り合せ界面に機械的衝撃を加え剥離をすることで、シリコン薄膜をサファイアに転写した。基板全面へのシリコン薄膜の転写が確認できた。
予め酸化膜を200 nm成長させた直径150 mmのシリコン基板(厚さ625 um)水素イオンを注入し、サファイア基板と双方の表面にオゾン水活性化処理を施し、表面活性化を行った。この後、両基板を貼り合わせた。基板を225 ℃で24 時間熱処理を行い、接合したウェーハをRTA内に入れた。温度はパイロメーターでサファイア側より貼り合せ界面を観察する方向で配置した。
この時、貼り合せ界面近傍の温度を観察できることとなる。250℃に保持したのちに50 ℃/秒の昇温速度で、350 ℃(パイロメ−ター読み)まで昇温し、到達と同時にパワーをカットし、基板を冷却した。基板全面を照射した後に、貼り合せ界面に機械的衝撃を加え、剥離することで、シリコン薄膜をサファイアに転写した。基板全面へのシリコン薄膜の転写が確認できた。
予め酸化膜を200 nm成長させた直径150 mmのシリコン基板(厚さ625 um)水素イオンを注入し、石英基板双方の表面にプラズマ活性化処理を行い貼り合わせた。基板を225 ℃で24 時間熱処理を行い、接合をした後に、石英基板側からキセノンフラッシュランプを照射した。この時の照射条件は、パルス幅1 m(ミリ)秒であった。基板全面を照射した後に貼り合せ界面に機械的衝撃を加え剥離を行うことで、シリコン薄膜を石英に転写した。基板全面へのシリコン薄膜の転写が確認できた。
本発明にかかるSOI基板の製造工程の一態様を示す模式図である。 本発明にかかるSOI基板の製造工程の他の態様を示す模式図である。 アモルファスシリコンと単結晶シリコンの吸収係数の波長スペクトルを示すグラフである。 アモルファスシリコンと単結晶シリコンとの吸収係数の比(アモルファスシリコン/単結晶シリコン)を示すグラフである。
1 シリコン基板(ドナー基板)
2 イオン注入界面
3 透明絶縁性基板(ハンドル基板)
4 SOI層
5 シリコンウェーハ
6 接合体
7 酸化膜
8 SOI基板
9 貼り合わせ面

Claims (13)

  1. 透明絶縁性基板の表面にSOI層を形成してSOI基板を製造する方法であって、
    シリコンウェーハもしくは酸化膜付きシリコンウェーハの表面からイオンを注入してイオン注入層を形成する工程、
    前記透明絶縁性基板の前記表面、および、前記イオンを注入したシリコンウェーハもしくは酸化膜付きシリコンウェーハの前記表面の少なくとも一方の面に表面活性化処理を施す工程、
    前記シリコンウェーハもしくは酸化膜付きシリコンウェーハと前記透明絶縁性基板とを貼り合わせる工程、
    前記貼り合わせた基板に、150℃以上350℃以下の熱処理を加え、接合体を得る工程、
    前記接合体の透明絶縁性基板側から前記シリコンウェーハもしくは酸化膜付きシリコンウェーハのイオン注入層に向けて可視光を照射して前記イオン注入層の界面を脆化し、シリコン薄膜を透明絶縁性基板に転写しSOI層を形成する工程をこの順に含み、
    前記転写の際に、前記接合体の水素イオン注入層の側面に機械的衝撃が付与されることを特徴とするSOI基板の製造方法。
  2. 透明絶縁性基板の表面にSOI層を形成してSOI基板を製造する方法であって、
    シリコンウェーハもしくは酸化膜付きシリコンウェーハの表面からイオンを注入してイオン注入層を形成する工程、
    前記透明絶縁性基板の前記表面、および、前記イオンを注入したシリコンウェーハもしくは酸化膜付きシリコンウェーハの前記表面の少なくとも一方の面に表面活性化処理を施す工程、
    前記シリコンウェーハもしくは酸化膜付きシリコンウェーハと前記透明絶縁性基板とを貼り合わせる工程、
    前記貼り合わせた基板に、150℃以上350℃以下の熱処理を加え、接合体を得る工程、
    前記接合体の透明絶縁性基板側から前記シリコンウェーハもしくは酸化膜付きシリコンウェーハのイオン注入層に向けて可視光を照射して前記イオン注入層の界面を脆化し、シリコン薄膜を透明絶縁性基板に転写しSOI層を形成する工程をこの順に含み、
    前記可視光照射の後、イオン注入層の界面に機械的衝撃を加え、該界面に沿って貼り合わせた基板を剥離転写する工程を含むことを特徴とするSOI基板の製造方法。
  3. 透明絶縁性基板の表面にSOI層を形成してSOI基板を製造する方法であって、
    シリコンウェーハもしくは酸化膜付きシリコンウェーハの表面からイオンを注入してイオン注入層を形成する工程、
    前記透明絶縁性基板の前記表面、および、前記イオンを注入したシリコンウェーハもしくは酸化膜付きシリコンウェーハの前記表面の少なくとも一方の面に表面活性化処理を施す工程、
    前記シリコンウェーハもしくは酸化膜付きシリコンウェーハと前記透明絶縁性基板とを貼り合わせる工程、
    前記貼り合わせた基板に、150℃以上350℃以下の熱処理を加え、接合体を得る工程、
    前記接合体の透明絶縁性基板側から前記シリコンウェーハもしくは酸化膜付きシリコンウェーハのイオン注入層に向けて可視光を照射して前記イオン注入層の界面を脆化し、シリコン薄膜を透明絶縁性基板に転写しSOI層を形成する工程をこの順に含み、
    前記可視光照射に先立ち、前記接合体の終端部の貼り合せ界面近傍に機械的衝撃を加える工程を含むことを特徴とするSOI基板の製造方法。
  4. 上記表面活性化処理が、オゾン水処理、UVオゾン処理、イオンビーム処理及びプラズマ処理からなる群から選ばれる1以上の処理であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のSOI基板の製造方法。
  5. 前記可視光が、波長500nm〜550nmのレーザー光であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のSOI基板の製造方法。
  6. 前記可視光が、YVOレーザーの第二次高調波であり、波長が532nmであることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のSOI基板の製造方法。
  7. 前記可視光が、スパイクアニールを含むRTA(RapidThermalAnneal)であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のSOI基板の製造方法。
  8. 前記可視光が、キセノンフラッシュランプ光であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のSOI基板の製造方法。
  9. 前記透明絶縁性基板が、ガラス、石英、または、サファイアであることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のSOI基板の製造方法。
  10. 前記透明絶縁性基板が、サファイアであり、熱処理の温度が150℃以上、250℃以下であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のSOI基板の製造方法。
  11. 前記透明絶縁性基板が、ガラスもしくは石英であり、熱処理の温度が150度以上、350℃以下であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のSOI基板の製造方法。
  12. 前記注入イオンが、水素原子イオン(H)であり、ドーズ量が、1.0×1016atoms/cm以上1.0×1017atoms/cm以下であることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のSOI基板の製造方法。
  13. 前記注入イオンが、水素分子イオン(H )であり、ドーズ量が、5.0×1015atoms/cm以上5.0×1016atoms/cm以下であることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のSOI基板の製造方法。
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