JP5859496B2 - 表面欠陥密度が少ないsos基板の製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、サファイア基板(ハンドル)の表面に単結晶シリコン層を形成してSOS基板を製造する方法であって、シリコン基板もしくは酸化膜付きシリコン基板にイオンを注入してイオン注入層を形成する工程、前記サファイア基板の前記表面、および、前記イオンを注入したシリコン基板もしくは酸化膜付きシリコン基板の前記表面の少なくとも一方の面に表面活性化処理を施す工程、前記シリコン基板もしくは酸化膜付きシリコン基板と前記サファイア基板とを貼り合わせた後に200℃以上350℃以下の熱処理を加え、接合体を得る工程、ならびに、前記接合体のサファイア基板側から前記シリコン基板もしくは酸化膜付きシリコン基板のイオン注入層に向けて可視光を照射して前記イオン注入層の界面を脆化し、シリコン薄膜をサファイア基板に転写する工程をこの順に含むSOS基板の製造方法である。
Secco(セコ)欠陥検出法および選択エッチング欠陥検出法は当業者に公知の検出技術であり、ここでは説明を割愛する。これらの検出法は、CMP研磨によって単結晶シリコン薄膜を所定の厚さにした後、行うのが一般的である。
単結晶シリコン薄膜の膜厚は、光干渉式膜厚計で測定され、測定ビーム光のスポット径である直径約1mm内において平均化された値である。厚さバラツキは、測定点を放射状に361点設け、平均値からの膜厚変位の二乗和の平方根によって定義される値である。
かかる半導体デバイスとしては、例えば、多くの演算処理機能を盛り込んだCPUやシステムチップ;誘電損失が少ないことが要求されるマイクロ波デバイス、ミリ波デバイス等の高周波デバイス;液晶装置等の電気工学装置用基板等が挙げられる。
以下、本発明にかかるSOS基板の製造方法について図1に基づいて詳細に説明する。
まず、半導体基板として、例えば、シリコン基板もしくは酸化膜付きシリコン基板1(以下、区別しない限り単にシリコンウェーハと称する)にイオンを注入してイオン注入層2を形成する。
イオン注入層2は、シリコンウエーハ中に形成する。この際、その表面から所望の深さにイオン注入層を形成できるような注入エネルギーで、所定の線量の水素イオン(H+)または水素分子イオン(H2 +)を注入する。このときの条件として、例えば、注入エネルギーは30〜100keVとできる。
注入イオンとして水素分子イオン(H2 +)を用いる場合、そのドーズ量は5.0×1015atoms/cm2〜5.0×1016atoms/cm2であることが好ましい。5.0×1015atoms/cm2未満であると、界面の脆化が起こらない場合があり、5.0×1016atoms/cm2を超えると、貼り合わせ後の熱処理中に気泡となり転写不良となる場合がある。より好ましいドーズ量は、2.5×1016atom/cm2である。
また、シリコンウエーハの表面にあらかじめ数nm〜500nm程度のシリコン酸化膜等の絶縁膜を形成しておき、それを通して水素イオンまたは水素分子イオンの注入を行えば、注入イオンのチャネリングを抑制する効果が得られる。
プラズマで処理をする場合、真空チャンバ中にRCA洗浄等の洗浄をしたシリコンウエーハ及び/又はサファイア基板を載置し、プラズマ用ガスを減圧下で導入した後、100W程度の高周波プラズマに5〜10秒程度さらし、表面をプラズマ処理する。プラズマ用ガスとしては、シリコンウエーハを処理する場合、表面を酸化する場合には酸素ガスのプラズマ、酸化しない場合には水素ガス、アルゴンガス、又はこれらの混合ガスあるいは水素ガスとヘリウムガスの混合ガスを用いることができる。サファイア基板を処理する場合はいずれのガスでもよい。
プラズマで処理することにより、シリコンウエーハおよび/又はサファイア基板の表面の有機物が酸化して除去され、さらに表面のOH基が増加し、活性化する。処理はシリコンウエーハのイオン注入した表面、および、サファイア基板の貼り合わせ面の両方について行うのがより好ましいが、いずれか一方だけ行ってもよい。
オゾンで処理をする場合は、純水中にオゾンガスを導入し、活性なオゾンでウェーハ表面を活性化することを特徴とする方法である。
UVオゾン処理をする場合、大気もしくは酸素ガスに短波長のUV光(波長195nm程度)を当て、活性なオゾンを発生させることで表面を活性化することを特徴とする。
イオンビーム処理をする場合、高真空中(<1x10−6Torr)でArなどのイオンビームをウェーハ表面に当てることで、活性度の高いダングリングボンドを露出させることで行う表面活性化である。
本発明においては、シリコンウエーハの厚さは、特に限定されないが、通常のSEMI/JEIDA規格近傍のものがハンドリングの関係から扱いやすい。
サファイア基板は、可視光領域(波長400nm〜700nm)の光が貼り合わせたシリコンウェーハのイオン注入層に到達するまでに、エネルギー損失が少ないものであることが望ましく、上記可視光領域の透過率が70%以上の基板であれば特に限定されないが、なかでも絶縁性・透明性にすぐれる点で、石英、ガラスまたはサファイアのいずれかであることが好ましい。
本発明においては、サファイア基板の厚さは、特に限定されないが、通常のSEMI/JEIDA規格近傍のものがハンドリングの関係から扱いやすい。
熱処理時間としては、温度にもある程度依存するが12時間〜72時間が好ましい。
本明細書において、「可視光」とは、400〜700nmの範囲に極大波長を有する光をいう。可視光は、コヒーレント光またはインコヒーレント光のいずれであってもよい。
光照射を高温下で行うことが望ましい理由は、本発明の技術的範囲を何ら制約するものではないが、以下のように説明が出来る。すなわち、高温で貼り合わせた基板は加熱し充分な結合強度が得られた後に室温に戻した際に、両基板の膨張率の差から基板が反ってしまう。この基板に光を照射すると薄膜転写の際に急激に応力が開放され、基板が平坦な状態に戻ろうとすることで、転写される半導体薄膜に欠陥が導入されることや、場合によっては基板そのものが破損してしまうことがあることが本発明者らの実験により判明したからである。
光照射を高温下で行うことにより、かかる基板破損を回避することができる。
基板を平坦な状態で光照射をするためには、貼り合わせ時と同じ温度近くまで加温するのが望ましい。重要な点は、照射時にウェーハが加熱されている点にある。
またシリコン基板1のごく一部(貼り合わせ界面9の近傍のシリコンのみ)を瞬間的に加熱することで、基板の割れ、冷却後の反りも生じないという特徴を有する。
レーザーの照射条件としては、出力50W〜100Wで発振周波数が25mJ@3kHzのものを用いる場合、面積当たりの照射エネルギーが、経験上5J/cm2〜30J/cm2であることが望ましい。5J/cm2未満であるとイオン注入界面での脆化が起こらない可能性があり、30J/cm2を超えると脆化が強すぎて基板が破損する可能性があるためである。照射はスポット状のレーザー光をウェーハ上で走査するために、時間で規定することは難しいが、処理後の照射エネルギーが上記の範囲に入っていることが望ましい。
なお、キセノンランプ光を用いる場合、可視光域外の光をカットする波長フィルタを介して照射を行ってもよい。また、単結晶シリコンでの吸収係数の高い、450nm以下の可視光を遮るフィルタなどもプロセスの安定化のために有効である。前述のブリスターの発生を抑えるためには、本キセノンランプ光で貼り合わせSOS基板全面の一括照射を行うことが望ましい。一括照射により、貼り合わせSOS基板の応力局在化を防ぎ、貼り合わせSOS基板の破壊を防ぐことが容易となる。よって、熱剥離を発生させない程度にキセノンランプ光を照射し、然る後に機械剥離を行うことが肝要である。或いは、キセノンランプ光の照射に先立ち、機械的衝撃を貼り合わせSOS基板の端部、貼り合わせ面近傍に与えておき、キセノンランプ光照射による熱の衝撃が端部の機械的衝撃の起点部から貼り合わせSOS基板全面にわたってイオン注入界面に破壊を生ぜしめることが肝要となる。
イオン注入層の界面に機械的衝撃を与えるためには、例えばガスや液体等の流体のジェットを接合したウエーハの側面から連続的または断続的に吹き付ければよいが、衝撃により機械的剥離が生じる方法であれば特に限定はされない。
上記剥離工程により、サファイア基板3上に単結晶シリコン薄膜4が形成された本発明のSOS基板8が得られる。
上記化学的なエッチングに用いるエッチング溶液としては、アンモニア過水、アンモニア、KOH、NaOH、CsOH、TMAH、EDPおよびヒドラジンからなる群より選択される1種または2種以上の組み合わせであることが好ましい。一般に有機溶剤はアルカリ溶液を比較するとエッチング速度が遅いので、正確なエッチング量制御が必要な際には適している。
CMP研磨は、表面を鏡面化するために行うので、通常は30nm以上の研磨を行うのが一般的である。
上記CMP研磨および鏡面仕上げ研磨の後、RCA洗浄やスピン洗浄等のウェットプロセスによる洗浄;および/または、UV/オゾン洗浄やHFベーパー洗浄等のドライプロセスによる洗浄を施してもよい。
入し、サファイア基板双方の表面にイオンビーム活性化処理を行い150℃で貼り合わせた。基板を225℃で24時間熱処理を行い仮接合をした後に、200℃でサファイア基板側から波長532 nmのグリーンレーザーを照射した。この時のレーザー条件は、20J/cm2である。基板全面を照射した後に、貼り合わせ界面に機械的衝撃を加え剥離をすることで、シリコン薄膜をサファイアに転写した。基板全面へのシリコン薄膜の転写が確認できた。この基板のシリコン層をCMP研磨で厚さを200nmとし、基板中心部および外周部についてセコ欠陥検出法・選択エッチング法で欠陥数をカウントしたところ、光学顕微鏡で確認できたピットは3x103個/cm2から5x103個/cm2程度であった。この方法で作製した貼り合わせSOSの外観写真を図2に示す。また剥離・転写はイオン注入界面で規定されるため、転写後の膜厚バラツキは抑えられ、5nm以下であった。鏡面仕上げ(CMP)後の膜厚バラツキは20nm以下であった。
入し、サファイア基板双方の表面にUVオゾン活性化処理を行い100℃で貼り合わせた。基板を225℃で24時間熱処理を行い仮接合をした後に、175℃でサファイア基板側からRTA処理を施した。昇温速度を50℃/秒とし、シリコン層が800℃に到達した時点で温度を降下させた。貼り合わせ界面に機械的衝撃を加え剥離をすることで、シリコン薄膜をサファイアに転写した。EDPとCMP研磨を行い、膜厚を250nm程度とした。剥離・転写はイオン注入界面で規定されるので、転写後の膜厚バラツキは抑えられ、5nm以下であった。鏡面仕上げ(CMP)後の膜厚バラツキは20nm以下であった。
[請求項1]サファイア基板上に単結晶シリコン薄膜を備え、Secco(セコ)欠陥検出法および選択エッチング欠陥検出法により測定される前記単結晶シリコン薄膜の表面の欠陥密度が、104個/cm2以下であるシリコン・オン・サファイア(SOS)基板。
[請求項2]前記単結晶シリコン薄膜の厚さが、100nmを超えることを特徴とする請求項1に記載のSOS基板。
[請求項3]前記単結晶シリコン薄膜と前記サファイア基板との間に、シリコン酸化膜が挟まれていることを特徴とする請求項1または2に記載のSOS基板。
[請求項4]前記単結晶シリコン薄膜の厚さバラツキが、20nm以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のSOS基板。
[請求項5]貼り合わせ法により得られたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のSOS基板。
[請求項6]サファイア基板の表面に半導体薄膜を備えた貼り合わせSOS基板であって、
前記サファイア基板と半導体基板を提供する工程と、
前記半導体基板の表面からイオンを注入してイオン注入層を形成する工程、
前記サファイア基板の前記表面、および、前記イオンを注入した半導体基板の前記表面の少なくとも一方の面に表面活性化処理を施す工程、
前記半導体基板の前記表面と前記サファイア基板の前記表面とを50℃以上350℃以下で貼り合わせる工程、
前記貼り合わせた基板に、最高温度として200℃以上350℃以下の熱処理を加え、接合体を得る工程、
前記接合体を前記貼り合わせ温度より高温状態に設置し、サファイア基板側または半導体基板側から前記半導体基板のイオン注入層に向けて可視光を照射して前記イオン注入層の界面を脆化し、前記半導体薄膜を転写する工程により得られた貼り合わせSOS基板。
[請求項7]前記表面活性化処理が、オゾン水処理、UVオゾン処理、イオンビーム処理、プラズマ処理のいずれか、または、これらの2種以上の組み合わせで行われることを特徴とする請求項6に記載の貼り合わせSOS基板。
[請求項8]前記可視光照射時の基板温度が、貼り合わせ時の温度よりも30℃から100℃高温であることを特徴とする請求項6または7に記載の貼り合わせSOS基板。
[請求項9]前記可視光照射の後、イオン注入層の界面に機械的衝撃を加え、該界面に沿って貼り合わせた基板を剥離する工程を含むことを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の貼り合わせSOS基板。
[請求項10]前記可視光照射に先立ち、前記接合体の終端部の貼り合わせ界面近傍に機械的衝撃を加える工程を含むことを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の貼り合わせSOS基板。
[請求項11]前記半導体基板が、単結晶シリコンもしくは酸化膜を成長させたシリコンであることを特徴とする請求項6ないし10のいずれかに記載の貼り合わせSOS基板。
[請求項12]前記可視光が、レーザー光であることを特徴とする請求項6ないし11のいずれかに記載の貼り合わせSOS基板。
[請求項13]前記可視光が、スパイクアニールを含むRTA(Rapid Thermal Anneal)であることを特徴とする請求項6ないし11のいずれかに記載の貼り合わせSOS基板。
[請求項14]前記可視光が、フラッシュランプ光であることを特徴とする請求項6ないし11のいずれかに記載の貼り合わせSOS基板。
[請求項15]前記注入イオンが、水素原子イオン(H+)であり、ドーズ量が1×1016atoms/cm2以上1×1017atoms/cm2以下であることを特徴とする請求項6ないし14のいずれかに記載の貼り合わせSOS基板。
[請求項16]前記注入イオンが、水素原分子イオン(H2 +)であり、ドーズ量が5×1015atoms/cm2以上5×1016atoms/cm2以下であることを特徴とする請求項6ないし14のいずれかに記載の貼り合わせSOS基板。
[請求項17]前記転写する工程の後、さらに前記半導体薄膜のケミカルエッチング、及び/又は、研磨を行う工程により得られた請求項6ないし16のいずれかに記載の貼り合わせSOS基板。
[請求項18]請求項1ないし17のいずれかに記載のSOS基板を含む半導体デバイス。
2 イオン注入層
3 サファイア基板
4 薄膜層
5 シリコンウエーハ
6 接合体
7 酸化膜
8 貼り合わせSOS基板
9 貼り合わせ界面
Claims (10)
- サファイア基板の表面に半導体薄膜を備えた貼り合わせSOS基板の製造方法であって、
前記サファイア基板と半導体基板を提供する工程と、
前記半導体基板の表面からイオンを注入してイオン注入層を形成する工程と、
前記サファイア基板の前記表面、および、前記イオンを注入した半導体基板の前記表面の少なくとも一方の面に表面活性化処理を施す工程と、
前記半導体基板の前記表面と前記サファイア基板の前記表面とを50℃以上350℃以下で貼り合わせる工程と、
前記貼り合わせた基板に、最高温度として200℃以上350℃以下の熱処理を加え、接合体を得る工程と、
前記接合体を前記貼り合わせ温度より高温状態に設置し、サファイア基板側または半導体基板側から前記半導体基板のイオン注入層に向けて可視光を照射して前記イオン注入層の界面を脆化し、前記半導体薄膜を転写する工程であって、前記可視光照射時の基板温度が、貼り合わせ時の温度よりも30℃から100℃高温である工程と、
前記転写する工程の後、さらに前記半導体薄膜のケミカルエッチング、及び/又は、研磨を行う工程と
を用いる貼り合わせSOS基板の製造方法。 - 前記表面活性化処理が、オゾン水処理、UVオゾン処理、イオンビーム処理、プラズマ処理のいずれか、または、これらの2種以上の組み合わせで行われることを特徴とする請求項1に記載の貼り合わせSOS基板の製造方法。
- 前記可視光照射の後、イオン注入層の界面に機械的衝撃を加え、該界面に沿って貼り合わせた基板を剥離する工程を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の貼り合わせSOS基板の製造方法。
- 前記可視光照射に先立ち、前記接合体の終端部の貼り合わせ界面近傍に機械的衝撃を加える工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の貼り合わせSOS基板の製造方法。
- 前記半導体基板が、単結晶シリコンもしくは酸化膜を成長させたシリコンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の貼り合わせSOS基板の製造方法。
- 前記可視光が、レーザー光であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の貼り合わせSOS基板の製造方法。
- 前記可視光が、スパイクアニールを含むRTA(Rapid Thermal Anneal)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の貼り合わせSOS基板の製造方法。
- 前記可視光が、フラッシュランプ光であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の貼り合わせSOS基板の製造方法。
- 前記注入イオンが、水素原子イオン(H+)であり、ドーズ量が1×1016atoms/cm2以上1×1017atoms/cm2以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の貼り合わせSOS基板の製造方法。
- 前記注入イオンが、水素原分子イオン(H2 +)であり、ドーズ量が5×1015atoms/cm2以上5×1016atoms/cm2以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の貼り合わせSOS基板の製造方法。
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