JP5493980B2 - 固体撮像素子、およびカメラシステム - Google Patents
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Description
CCD画素はその製造に専用プロセスを必要とし、また、その動作には複数の電源電圧が必要であり、さらに複数の周辺ICを組み合わせて動作させる必要がある。
これに対して、CMOSイメージセンサは、このシステムが非常に複雑化するといった処々の問題を、CMOSイメージセンサが克服しているからである。
このようにCMOSイメージセンサは、周辺ICの数を減らすことができるといった、大きなメリットを複数持ち合わせている。
これに対して、CMOSイメージセンサは各画素毎にFDアンプを持ち合わせており、その出力は、画素アレイの中のある一行を選択し、それらを同時に列方向へと読み出すような列並列出力型が主流である。
これは、画素内に配置されたFDアンプでは十分な駆動能力を得ることは難しく、したがってデータレートを下げることが必要で、並列処理が有利とされているからである。
また、固体撮像素子10においては、画素部11の信号を順次読み出すための制御回路を有する。その制御回路として、内部クロックを生成するタイミング制御回路14、行アドレスや行走査を制御する垂直走査回路12、そして列アドレスや列走査を制御する水平転送走査回路13が配置される。
ADC群15は、比較器15−1に加え、比較器15−1の比較時間をカウントするカウンタ15−2と、カウント結果を保持するラッチ(メモリ装置)15−3とからなるADCが複数列配列されている。
ADC群15は、nビットデジタル信号変換機能を有し、垂直信号線(列線)毎に配置され、列並列ADCブロックが構成される。
各ラッチ15−3の出力は、たとえばnビット幅の水平転送線19に接続されている。
そして、水平転送線19に対応したn個のセンス回路17、および信号処理回路18が配置される。
その入力部に当たるトランジスタNT1,NT2のゲート端子には直列に容量素子C1,C2が接続され、入力信号はDC成分を除去した形で入力される。
また、初期動作電圧設定のためのリセットスイッチSW1、SW2が存在している。
この動作により、各画素のリセットレベルのバラツキ、および比較器自身のオフセット電圧を容量素子C1,C2へと記憶、吸収することができる。
次に(t10)、DAC16により参照電圧RAMP(Vslop)を時間変化させたスロープ状の波形を入力し,任意の列線Hxの電圧との比較を比較器15−1にて行う。
スロープ波入力と並行して同時並列的に、カウンタ15−2で1回目のカウントが行われる。このとき、カウンタ15−2は、ダウンカウントを行う。
参照電圧RAMPと列線Hxの電圧が等しくなったとき比較器15−1の出力は反転し、カウンタ15−2に比較期間に応じたカウントが保持される。
1回目の変換は、画素のリセットレベルの変換なので、信号の取りうる範囲はかなり限定されるため、2回目と比べて変換時間は短くて済む。
2回目の読み出しは,単位画素PXLから入射光量に応じた信号成分を読み出し、1回目の読み出しと同様の動作を行い変換するが、このときカウンタ15−2はアップカウントを行う。
参照電圧RAMPと列線Hxの電圧が等しくなったとき比較器15−1の出力は再び反転するが(t22)、このときカウンタ内では、1回目のリセットレベルの変換結果との差分が保持されていることになる。
これによりCDSが行われることがこの従来例の大きな特徴である。
メモリ15−3内のデータは、その裏で水平転送走査回路13により順に選択され、センス回路17を用いて読み出される。
図4は、図3のリセット成分変換部を拡大して抜き出したものである。
カウンタが1カウント行うのに必要な時間をカウントサイクルとすると、その間に参照電圧RAMPが変化した量が、AD変換器の分解能(1LSBの大きさ)ということになる。
実線で示したように、傾きが急な場合は1LSBの幅は大きくなり、破線で示したように、傾きがなだらかな場合には、1LSBの幅は小さくなる。
傾きを変えて1LSBの幅を制御することは、すなわち読み出しゲインを制御していることと等価である。
この方式では、AD変換前に信号PSETにより比較器15−1のリセットを行い、画素のリセットレベルのバラツキと、比較器15−1のオフセット電圧を除去しているが、この段階ですべてのバラツキを除去できる訳ではない。
<1>PSETパルスOFF時のKTCノイズ、
<2>PSETパルスOFF時のフィードスルーノイズ、
<3>比較器15−1の反転スピードの列間バラツキ、
<4>画素出力のノイズ、
等がある。
これらのバラツキ成分は、ウエハプロセスばらつきの影響や、電源電圧、温度などの環境要因の影響を受ける。
図6において、横軸に変換結果[LSB]、縦軸に各LSB毎の出力頻度を取っている。
図3で示したように、画素リセット出力の変換は、画素信号成分変換時よりもカウント数を短く抑えているため横軸の取りうる範囲が狭くなるが、もちろんその狭い範囲に全ての変換結果が入っていなければ、正しくAD変換されているとは言えない。
図7の信号PSETは図3のそれと対応するものである。
このときの参照電圧RAMPの電位を調整すると、図8のようにヒストグラムの中央値を制御することができる。
この参照電圧RAMPの電位調整は段階的に行うものなので、便宜上各設定をROF=0,ROF=1,・・・・ROF=nと記す。
このため、すぐに比較器が反転してしまい、図8のROF=0の状態のように、ヒストグラムの半分程度がAD変換出力の0LSBの所に張り付いてしまい正しくAD変換されないことが予想される。
このROFの調整はレジスタ設定等で行われるのが最も容易で一般的な方法だが、前述したように画素リセットレベル変換結果に現れるバラツキ成分(特にその中央値)は、ウエハプロセス依存性や電源電圧、温度依存性を持つ。
このため、図9に示すように、ある条件では問題なくAD変換できているものの、ある条件では中央値の変化からヒストグラムの裾が横軸のAD変換出力範囲をはみ出してしまい、正しくAD変換できないといった状況が発生しうる。
このため、チップ毎に個体調整が必要になってしまうなど試験コストが非常に高くつく結果となるため現実的ではなく、また電源電圧や温度変化には結局追従できないのでそもそもレジスタ設定の調整だけでは解決できない。
よって、それらの変動要因を含めて十分マージンが取れる所にROFを設定しなければいけないということになるが、図4で示したように高ゲイン設定になるとそもそもヒストグラム自体が幅広くなってくる。
このため、図10に示すように横軸のAD変換結果の出力範囲に対して、ROFを適切な位置に設定すること自体が難しくなってくる。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.CMOSイメージセンサの全体構成
2.ADCの変換レンジの入力オフセット値の調整法の概要
3.ADCの変換レンジの入力オフセット値の調整の基本的アルゴリズム
4.高速引き込みモードのアルゴリズム
5.低速引き込みモードのアルゴリズム
6.ADCが画素リセットレベル変換結果を出力する方法
7.ROF更新条件
8.統計処理
9.信号処理系の回路例
10.信号処理系の他の回路例
11.カメラシステムの構成例
図11は、本発明の実施形態に係る列並列ADC搭載固体撮像素子(CMOSイメージセンサ)の構成例を示すブロック図である。
固体撮像素子100は、画素信号読み出し部としてのADC群150、DAC(デジタル−アナログ変換装置)160、センス回路(S/A)170、信号処理回路180、および水平転送線190を有する。
なお、ADC群150、DAC160、センス回路(S/A)170、信号処理回路180、および水平転送線190により画素信号読み出し部が形成される。
画素回路110Aは、この1個の光電変換素子としてのフォトダイオード111を有する。
画素回路110Aは、1個のフォトダイオード111に対し転送素子としての転送トランジスタ112、リセット素子としてのリセットトランジスタ113、増幅トランジスタ114、および選択トランジスタ115の4つのトランジスタを能動素子として有する。
転送トランジスタ112は、フォトダイオード111と出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFD(Floating Diffusion)との間に接続されている。
転送トランジスタ112は、転送制御線LTxを通じてそのゲート(転送ゲート)に駆動信号TGが与えられることで、フォトダイオード111で光電変換された電子をフローティングディフュージョンFDに転送する。
リセットトランジスタ113は、リセット制御線LRSTを通してそのゲートにリセット信号RSTが与えられることで、フローティングディフュージョンFDの電位を電源ラインLVDDの電位にリセットする。
そして、選択制御線LSELを通して制御信号(アドレス信号またはセレクト信号)SELが選択トランジスタ115のゲートに与えられ、選択トランジスタ115がオンする。
選択トランジスタ115がオンすると、増幅トランジスタ114はフローティングディフュージョンFDの電位を増幅してその電位に応じた電圧を垂直信号線116に出力する。垂直信号線116を通じて、各画素から出力された電圧は、画素信号読み出し部としてのカラム(列並列型)ADC群150に出力される。
これらの動作は、たとえば転送トランジスタ112、リセットトランジスタ113、および選択トランジスタ115の各ゲートが行単位で接続されていることから、1行分の各画素について同時に行われる。
これらのリセット制御線LRST、転送制御線LTx、および選択制御線LSELは、画素駆動部としての垂直走査回路120により駆動される。
ADC群150は、この比較器151と、比較器151の比較時間をカウントするカウンタ152と、カウント結果を保持するラッチ(メモリ)153とからなるADCが複数列配列されている。
ADC群150は、nビットデジタル信号変換機能を有し、各垂直信号線(列線)116毎に配置され、列並列ADCブロックが構成される。
各ラッチ153の出力は、たとえばnビット幅の水平転送線190に接続されている。
そして、水平転送線190に対応したn個のセンス回路170、および信号処理回路180が配置される。
ADC群150においては、垂直信号線116に読み出されたアナログ信号(電位VSL)は列毎に配置された比較器151である傾きを持った線形に変化するスロープ波形である参照電圧RAMP(Vslop)と比較される。
このとき、比較器151と同様に列毎に配置されたカウンタ152が動作しており、ランプ波形のある参照電圧Vslopとカウンタ値が一対一対応を取りながら変化することで垂直信号線116の電位(アナログ信号)VSLをデジタル信号に変換する。
参照電圧RAMPの変化は電圧の変化を時間の変化に変換するものであり、その時間をある周期(クロック)で数えることでデジタル値に変換するものである。
そしてアナログ電気信号の電位VSLと参照電圧Vslopが交わったとき、比較器151の出力が反転し、カウンタ152の入力クロックを停止し、または、入力を停止していたクロックをカウンタ152に入力し、AD変換を完了させる。
以上のAD変換期間終了後、水平転送走査回路130により、ラッチ153に保持されたデータが、水平転送線190に転送され、センス回路170を経て信号処理回路180に入力され、所定の信号処理により2次元画像が生成される。
これにより、サンプルのばらつき特性や温度、電圧変化に影響を受けず、常に最適な画素リセットレベル変換結果が得られるようになる。
この列並列型ADC群150における特徴的な信号処理系について、以下に詳述する。
本実施形態においては、固体撮像素子100の信号処理系で、列並列型ADC群150を用いており、画素リセットレベルのAD変換結果の平均値のみを複数画素にわたって求める。
そして、信号処理系において、画素リセットレベルの平均値がAD変換レンジに対して適切な位置にくるように、ADCの変換レンジの入力オフセット値を自動的に調整する。
固体撮像素子100においては、出力画像の中に画素リセットレベルのAD変換結果を出力する専用領域が含まれており、信号処理系では、その専用領域と、その他の領域で、用いているADCの変換レンジのオフセット値が異なる値で制御される。
本実施形態における自動的な調整とは、目標値に対するアップダウン制御を用いて行われ、かつ不感帯を持たないことを特徴としている。
固体撮像素子100における信号処理系では、アップダウン制御の履歴を任意の期間記録し、その履歴から最適なADCの変換レンジの入力オフセット値を所定の計算式で算出可能に構成されている。
本実施形態の固体撮像素子100は、自動的な調整の収束時間が異なる2つ以上のモードを有している。
そして、信号処理系は、収束時間の違いを、専用領域の大きさの違いによって制御する。
本実施形態の固体撮像素子100に係る出力信号処理系では、アナログのCDS回路と列並列型ADCを用いている。
そして、信号処理系において、画素出力信号値の黒レベルがAD変換レンジに対して適切な位置にくるように、ADCの変換レンジの入力オフセット値を自動的に調整する。
本実施形態では、出力画像の中に黒レベルの平均値を検出するための専用領域が含まれており、かつ専用領域と、その他の領域で、用いているADCの変換レンジのオフセット値が異なる値で制御される。
図13は、本発明の実施形態に係る基本的アルゴリズムを示すフローチャートである。
次に、自動的かつ高速にROF値の最適値を検出して設定するROF高速引き込みモードに入る(ST3)。
ここでは、主に電源投入・スタンバイ設定解除の状態で画素リセットレベルのAD変換結果を検出し、ウエハプロセスの出来上がりに応じて最適なROF値の設定を行う。
高速引き込みモードでROF値確定後、次に低速引き込みモードに入る(ST4)。
ここでは、通常の画像出力を行いながら、継続的に画素リセットレベルのAD変換結果を監視し、電源電圧や温度変化など、環境要因の変化による最適なROF値の変化に追従してROF値を更新していく。
特に、読み出しモード等の変更が無い限り、この低速引き込みモードを連続的に繰り返す(ST5)。
図14は、図13にサブルーチンとして定義したROF高速引き込みモードのアルゴリズムを示すフローチャートである。
ROFd値とは、画素リセットレベル変換結果を出力するエリアに対してAD変換する際に用いられるROF値のことを示している。
有効画素エリアで用いるROF値と、画素リセットレベル出力エリア中で用いるROF値を別個の値として持つことが本発明の実施形態の1つのポイントである。
ROF初期値はROFd値にもセットする(ST302)。
次に、ADCを、画素リセットレベル変換結果が出力される状態に設定して画素リセットレベルを1行分出力し(ST303)、その平均値を算出する(ST304)。
ADCが画素リセットレベル変換結果を出力する方法については後述する。
得られた平均値を目標値と比較し(ST305)、目標値より大きければROFd値をマイナス1(ST307)、目標値より小さければROFd値をプラス1する(ST306)。
これで1回の統計処理が終了する。次に統計回数が決められた回数に達したかどうかを確認する(ST308)。
決められた統計回数に達した場合は、過去の統計結果からROF値更新条件を満たしているかどうかを判断し(ST309)、満たしていればROF値を更新する(ST310)。
決められた統計回数に達していない場合、またはROF値更新条件を満たしていない場合、かつ1フレームがまだ終了していない場合は(ST311)、行アドレスをインクリメントして(ST312)、画素リセットレベル変換結果出力から同様の処理を繰り返す。
ROF更新条件については後述する。
以上の処理を1フレームが終了する間繰り返す。
1フレーム用いてROF値の引き込みを行うため、高速にROF値を引き込むことが可能な代わりに、このフレームは有効画像データが出力されないため無効フレーム扱いとなる。
よって高速引き込みモードは電源投入・スタンバイ解除後やモード変更時の1フレームのみ用いることを想定している。
次に、もうひとつのサブルーチンとして定義している低速引き込みモードのアルゴリズムを図16に関連付けて説明する。
図16は、図13にサブルーチンとして定義している低速引き込みモードのアルゴリズムを示すフローチャートである。
高速引き込みモードの時と同様に、その出力結果の平均値を算出した後(ST403)、目標値と比較を行い(ST404)、目標値より大きければROFd値をマイナス1(ST405)、目標値より小さければROFd値をプラス1する(ST406)。
これで1回の統計処理が終了する。
次に、統計回数が決められた回数に達したかどうかを確認し(ST407)、達した場合は、過去の統計結果からROF値更新条件を満たしているかどうかを判断し(ST408)、満たしていればROF値を更新する(ST409)。
そして、統計回数が決められた回数に達していない場合、またはROF値更新条件を満たしていない場合は、以前のROF値をロードして(ST410)、有効エリアの読み出しに入る。
ROF更新条件については高速引き込みモードも低速引き込みモードも変らないので合わせて後述する。
次に、ROF値をロードして(ST410)、ADCを通常のCDS後の結果が出力される状態に設定して、フレームの最後まで有効画素エリアの読み出しを行って(ST411)、低速引き込みモードが終了する。
ただし、図13に示したように、モード変更が無ければ再び低速引き込みモードを開始するため、この処理自体がループになって続いていく。
VOB、HOBの配置に関してはあくまで例であり、図17の配置に限定するものではない。
次に、ADCが画素リセットレベル変換結果を出力する方法を説明する。
たとえば、図3に示したタイミングチャートに従ってAD変換を行うと、出力されるのはCDS処理がされた変換結果であり、画素リセットレベルだけの変換結果を直接出力することができない。
図18は、本実施形態における画素リセットレベルだけの変換結果を直接出力する方法を説明するための図である。
ROFd値をロードし、画素リセットレベル変換結果を出力する場合においては、このようにカウンタクロックとカウンタ動作を変更することで画素リセットレベルのAD変換結果が直接出力できる。
次に、ROF更新条件について説明する。
図19は、本実施形態におけるROF引き込み中の動作イメージを示す図である。
図19において、横軸が画素リセットレベル変換出力値を、縦軸が画素リセットレベル変換結果出力頻度を、それぞれ示している。
目標値よりも大きくなればデクリメントする。
目標値との差分情報等は扱わず、単純に目標値より大きいか小さいかの情報だけで単純なアップダウン制御になるため、最終的には目標値を挟んでアップダウンの発振状態になる。
単純なアップダウン制御を用い、画素リセットレベル検出時に発振状態を許容することは本発明の実施形態の特徴のひとつである。
ただし、発振状態を許容しているため、この状態から最適なROFd値を有効画素エリアで用いるROF値として選択する必要がある。
そのために、過去のアップダウン制御の履歴を用いて統計処理を行う。
図20は、本実施形態における統計処理のイメージを示す図である。
例として目標値から少し離れたROFd=22からスタートするものとする。
目標値に対して低い値を出力しているため、しばらくはROFd値のインクリメントが続く。
ROFd値が27になった所で目標値を超え、初めてデクリメントが発生する。その後はROFd=26と27でアップダウンを繰り返す。
決められた統計回数分だけ、過去のアップダウン信号の履歴を記録する。
図20では16回が規定の統計回数の場合を例として示す。16回の制御が終ったところで、ROFdのインクリメント(図20の+マーク)が発生した回数をROFd値毎に統計を取る。
この回数を更新条件に当てはめて、どのROFd値が最適かどうかを判定する。更新条件には以下の2つを用いる。
<1>インクリメント(+)がA回以上発生したROFd値
<2>現在使用しているROF値のインクリメント(+)回数がB回以下だった場合の、最多インクリメント(+)発生ROFd値
A、Bの値については、規定統計回数に合わせて任意の値を設定するものとする。
<2>の条件は、現在値と目標値が遠く離れていた場合、規定の統計回数では条件<1>を満たす所まで行かなかった場合に、再度ROF=22から開始してしまうといつまでたっても収束できないため、その状態を防ぐために補助的に設けている。
インクリメントの回数ではなく、デクリメントの回数の統計を取ることで、目標値の1つ手前ではなく1つ先のROFd値で収束させることもできる。
目標値の1つ手前か、先かはAD変換器の特性に応じて決めればよい。
図19の例では、目標値を比較的画素リセットレベル変換結果が大きい所に置いているため、はみ出し防止のために1個手前に収束させるようにしている。
完全に中央部に目標値を設定するよりも、多少大きめの所に設定したほうが、RAMPや画素出力信号のセトリング時間をわずかだが長めに確保できるという利点がある。
図21は、本実施形態に係るアルゴリズムを実現する信号処理系の回路の一例を示す図である。
信号処理系200は、セレクタ209、加算器群210、閾値判定回路211、キャッシュメモリ212、およびセレクタ213を有する。
単位画素202で、図12の単位画素110Aに相当する。
比較器203は、ADCを構成するアナログのコンパレータで、図11の比較器151に相当する。
カウンタ152は、ADCを構成するカウンタ回路で、図11のカウンタ152に相当する。
センス回路205は、AD変換後のデータ転送系のセンス回路で、図11のセンス回路170に相当する。
平均値回路206は、画素リセットレベル変換結果の平均値を算出する機能を有し、通常は加算器で構成される。
比較器207は、平均値算出結果とROF引き込みの目標値を比較するデジタルの比較器で、比較結果に応じてアップ(Up)/ダウン(down)の信号を出力する。
アップダウンカウンタ208は、比較器207の出力をカウントする。
また、比較器207のインクリメント信号をROFd値毎に統計をとる回路がセレクタ209と加算器群210により構成される。
統計結果は、閾値判定回路211で判定される。
キャッシュメモリ212は、有効画素エリアで使用されるROF値を格納しているキャッシュメモリで、セレクタ213がROFd値を用いるかROF値を用いるかをタイミング信号に応じて選択する。
まず始めにROF値の初期値をロードする。
これは図21のキャッシュメモリ212に格納される。
次に、同じ初期値をROFdの初期値としてセットする。これは図21のアップダウンカウンタ208に格納される。
次に、画素リセットレベル変換結果を出力する。
このとき、RAMP波生成DAC201にはアップダウンカウンタ208に格納したROFd値の方が渡されるようにセレクタ213が制御される。変換結果は平均値回路206に入力されて平均値が算出される。
次に、デジタルの比較器207によって目標値と比較され、アップ/ダウン信号がアップダウンカウンタ208へと入力される。
ここでROFd値がインクリメント/デクリメントされる。比較器207からアップ信号が発生した場合はセレクタ209を介してその時のROFd値に応じた加算器群210で統計処理をする。
統計回数に達したら、閾値判定回路211によって判定を行い、もし更新条件を満たしたら新しいROF値がキャッシュメモリ212に格納され、有効画素エリア変換時に使用される。
高速引き込みモードと低速引き込みモードの違いは、セレクタ213を選択するタイミングのみで切り替えることができることである。
高速引き込みモードにおいては、図15に示したように1画面全てを画素リセットレベル変換結果の検波領域として使用することを想定している。
したがって、仮に画素リセットレベル出力画像に垂直方向のシェーディングが存在していたとしても、それを含めた上での平均値を精度よく求めることができる。
ただし有効画像が出力できないので、これはスタンバイ解除時や電源投入時の最初の1フレームだけを想定しており、その後は低速引き込みモードに移行する。
低速引き込みモードでは、図17に示すように、画素リセットレベル変換結果の検波領域は、たとえばVOBの上1行〜数行程度と、画角やフレームレートに影響を与えない範囲程度の少ない領域しか用いることができない。
したがって、もし画素リセットレベル変換出力画像に垂直方向のシェーディングが存在していたとしてもそれを検出する事はできず、ROFの最適値調整に誤差を与える結果となってしまう懸念がある。
図22は、ROFの最適値調整に誤差を与えることを解決する方法を説明するための図である。
図22の横軸は時間の流れを行アクセス時間単位で低速引き込みモード時のフレーム先頭から終わりまでを示している。縦軸はその時に選択している行のV方向アドレスを示している。
ただし、必ずしも物理的にフレームの先頭行の画素にアクセスしている訳ではなく、フレーム中の任意の行を選択できるようにし、かつそのVアドレスがフレーム毎に1行ずつインクリメントするように制御している。
画素リセットレベル変換結果出力部のVアドレスは、フレーム毎に1行ずつインクリメントしていき、複数フレームかかって、フレーム全体を検波できることがわかる。
このため、このような変則的なVアドレス制御を行うと、たとえば画素リセットレベル変換結果出力部でアクセスした行を実際有効部で再度読み出す時に、その行だけ蓄積時間がずれてしまうという問題がある。
これに対して、本実施形態の場合、画素リセットレベル変換結果出力部で読み出しているのは画素のリセットレベルだけであり、画素のリセット動作だけを行えばよいので、その後の画素信号読み出しを行わないことで非破壊読み出しにすることができる。
よって、このような変則的なアクセス方法を有効画素エリアに影響を与えることなく行うことができる。
図24は、アナログのCDS回路を有している場合の信号処理系の回路の構成例を示す図である。
アナログCDSを備えたことで、アナログコンパレータに渡される信号は、画素リセット信号レベルと、画素信号出力レベルの差分信号になる。
したがって、アナログ比較器203以降のADCではその差分信号を1回だけAD変換すればよいので、アナログ比較器203に入力される参照信号RAMPは、図25に示すように、シングルスロープ形式になる。
信号PSETはアナログCDS回路214のリセットレベルをサンプリングすることになる。
この場合、ROF値で調整されるのは、画素リセットレベルのAD変換値のオフセットではなくて、アナログCDS後のAD変換値のオフセット量ということになる。
つまり、アナログCDS回路を備えている場合は、本発明の実施形態を応用することでセンサ出力の黒レベル調整を行うことができる。
図15で示した高速引き込みモードの場合は、VOPB領域を連続して1フレーム分読み出すか、HOPB領域だけを平均値検出エリアとするなどの方法が考えられる。
図17で示した低速引き込みモードの場合は、画素リセットレベル変換出力領域は不要で、VOPB領域を平均値検出対象領域とすればよい。
すなわち、本実施形態によれば、電源電圧、温度等の環境条件や、ウエハのプロセスバラツキ条件等の影響を受けることなく、常に最適な画素リセットレベルの変換結果を得ることができる。
また、自動調整を行うフィードバック回路の安定性に関わらず、有効領域では安定した画素リセットレベル変換結果を得ることができるようになる。
自動調整のための制御回路は最も単純なアップダウン制御で構成することができるため、フィードバック回路のループゲインに影響を受けず回路を構成することが可能で、設計の簡略化が図れると共に、回路の流用性を高めることが可能となる。
単純なアップダウン制御であり不感帯制御のような複雑な制御を行わずに、最も安定した画素変換レベルのリセットレベルを求めることが可能となる。
電源投入時やモード変更時など、安定性よりも追従速度が求められる場合と、通常の動画撮影時のような、追従速度よりも安定性が求められる場合の、両方の場合に対応することが可能になる。
追従速度と安定性の切り替えを画素リセットレベルのAD変換結果を出力する専用領域の大きさだけで行うことができるため、それぞれのモードに応じた専用の自動調整回路を設ける必要がなく、回路規模の削減及び設計の単純化を図ることが可能になる。
画素リセットレベルの変換結果が画面内で垂直方向のシェーディングを持っていたとしても、最適な画素リセットレベル変換結果が得られるように自動調整を行うことが可能になる。
上記に示した効果をそのままセンサの黒レベル調整として展開することができる。
図26は、本発明の実施形態に係る固体撮像素子が適用されるカメラシステムの構成の一例を示す図である。
カメラシステム300は、この撮像デバイス310の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系、たとえば入射光(像光)を撮像面上に結像させるレンズ320を有する。
カメラシステム300は、撮像デバイス310を駆動する駆動回路(DRV)330と、撮像デバイス310の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)340と、を有する。
信号処理回路340で処理された画像信号は、たとえばメモリなどの記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像情報は、プリンタなどによってハードコピーされる。また、信号処理回路340で処理された画像信号を液晶ディスプレイ等からなるモニターに動画として映し出される。
Claims (11)
- 光電変換を行う複数の画素が行列状に配列された画素部と、
上記画素部から複数の画素単位で画素信号の読み出しを行う画素信号読み出し部と、を有し、
上記画素信号読み出し部は、
複数のアナログデジタル変換器(ADC)により形成され、画素リセットレベルのAD変換を行う機能を含む列並列型ADCと、
信号処理系と、を有し、
上記信号処理系は、
画素リセットレベルのAD変換結果の平均値のみを複数画素にわたって求め、画素リセットレベルの平均値がAD変換レンジに対して適切な位置にくるように、ADCの変換レンジの入力オフセット値を自動的に調整する機能およびアップダウン制御の履歴を任意の期間記録し、その履歴から最適なADCの変換レンジの入力オフセット値を取得する機能を含み、
上記自動的な調整では、上記平均値の目標値に対する大小に応じて上記オフセット値のアップダウン制御を行い、その履歴である統計回数が決められた回数に達すると、過去の統計結果から上記オフセット値の更新条件を満たしている場合にオフセット値を更新する
固体撮像素子。 - 出力画像の中に画素リセットレベルのAD変換結果を出力する専用領域が含まれており、
上記信号処理系は、
上記専用領域と、その他の領域で、用いているADCの変換レンジのオフセット値を異なる値で制御する
請求項1記載の固体撮像素子。 - 上記自動的な調整では、目標値に対するアップダウン制御を用いて行われ、かつ不感帯を持たない
請求項1または2記載の固体撮像素子。 - 上記自動的な調整の収束時間が異なる2つ以上のモードを有し、
上記信号処理系は、
収束時間の短いモードでは、状態が変更される時の1フレームに対して適用され、
収束時間の長いモードでは、最初の1行だけ画素リセットレベル変換結果を出力し、その後は通常の有効画素エリアを出力する
請求項1から3のいずれか一に記載の固体撮像素子。 - 上記信号処理系は、
収束時間の短いモードでは、決められた統計回数に達していない場合、または値更新条件を満たしていない場合、かつ1フレームがまだ終了していない場合は、行を代えて、画素リセットレベル変換結果出力からの処理を繰り返し、
収束時間の長いモードでは、統計回数が決められた回数に達していない場合、または値更新条件を満たしていない場合は、以前のオフセット値をロードして、有効エリアの読み出しに入る
請求項4記載の固体撮像素子。 - 上記信号処理系は、
上記収束時間の違いを、出力画像の中に画素リセットレベルのAD変換結果を出力する専用領域の大きさの違いによって制御する
請求項4または5記載の固体撮像素子。 - 出力画像の中に画素リセットレベルのAD変換結果を出力する専用領域が含まれており、当該専用領域で読み出される画素の物理的な位置がフレーム毎に変化する
請求項1から6のいずれか一に記載の固体撮像素子。 - 上記画素信号読み出し部は、
アナログCDS回路を含み、
上記信号処理系は、
画素出力信号値の黒レベルがAD変換レンジに対して適切な位置にくるように、ADCの変換レンジの入力オフセット値を自動的に調整する機能を含む
請求項7記載の固体撮像素子。 - 出力画像の中に黒レベルの平均値を検出するための専用領域が含まれており、
上記信号処理系は、
上記専用領域と、その他の領域で、用いているADCの変換レンジのオフセット値を異なる値で制御する
請求項8記載の固体撮像素子。 - 上記各ADCは、
画素の列配列に対応して配置され、読み出し信号電位と参照電圧とを比較判定し、その判定信号を出力する比較器と、
上記比較器の出力により動作が制御され、対応する上記比較器の比較時間をカウントするカウンタと、を含み、
上記信号処理系は、
画素リセットレベル変換結果を出力する場合においては、上記カウンタのカウンタクロックとカウンタ動作を変更することで画素リセットレベルのAD変換結果が直接出力する
請求項1から9のいずれか一に記載の固体撮像素子。 - 固体撮像素子と、
上記固体撮像素子に被写体像を結像する光学系と、を有し、
上記固体撮像素子は、
光電変換を行う複数の画素が行列状に配列された画素部と、
上記画素部から複数の画素単位で画素信号の読み出しを行う画素信号読み出し部と、を有し、
上記画素信号読み出し部は、
複数のアナログデジタル変換器(ADC)により形成され、画素リセットレベルのAD変換を行う機能を含む列並列型ADCと、
信号処理系と、を有し、
上記信号処理系は、
上記信号処理系は、
画素リセットレベルのAD変換結果の平均値のみを複数画素にわたって求め、画素リセットレベルの平均値がAD変換レンジに対して適切な位置にくるように、ADCの変換レンジの入力オフセット値を自動的に調整する機能およびアップダウン制御の履歴を任意の期間記録し、その履歴から最適なADCの変換レンジの入力オフセット値を取得する機能を含み、
上記自動的な調整では、上記平均値の目標値に対する大小に応じて上記オフセット値のアップダウン制御を行い、その履歴である統計回数が決められた回数に達すると、過去の統計結果から上記オフセット値の更新条件を満たしている場合にオフセット値を更新する
カメラシステム。
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