JP5488188B2 - 含フッ素重合性重合体及びそれを用いた活性エネルギー線硬化型組成物 - Google Patents

含フッ素重合性重合体及びそれを用いた活性エネルギー線硬化型組成物 Download PDF

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Description

本発明は、防汚性を有する含フッ素重合性重合体に関する。また、該重合体を含有する活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
含フッ素化合物は、撥水性と撥油性とを兼ね備えており、物品の表面にコーティングすることで撥水性や撥油性を付与することができる。そのため、含フッ素化合物は、液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という。)やプラズマディスプレイの最表面のフィルム等で防汚性を付与する目的で利用されている。
例えば、液晶ディスプレイ用偏光板におけるトリアセチルセルロース(TAC)フィルム等の保護フィルムのコート材の分野では、フィルム表面に指紋や汚れに対する防汚性を付与するために、フッ素系界面活性剤等が添加された紫外線硬化型ハードコート材が該保護フィルム表面にコーティングされている。ところが、該保護フィルムは、ハードコート材を塗布した側の反対面に接着性向上を目的としてケン化処理(強アルカリ処理)を施され、この際にハードコート面へのケン化液の接触が避けられず、表面層中に存在するフッ素系界面活性剤等が強アルカリで分解され、防汚性が低下する問題があった。
また、最近では、LCDのカラーフィルターの製造において、従来のフォトリソグラフィー法と比較して、より低コスト化が図れる製造方法としてインクジェット法が開発されている。インクジェット法では、まず、基板上にブラックマトリックス(以下、「BM」という。)をフォトリソグラフィー法により形成した後、BMによって形成された凹部の枠内からインクが溢れないようにインクジェット法でインクを注入する。この際、BMの上面(基板と平行な面)にインクが付着しないように、すなわち枠内からインクが溢れないようにするため、BMにインクをはじく撥液性を付与することが必要となっている。しかしながら、BMをフォトリソグラフィー法で形成する際は、紫外線照射による硬化後、230℃×30分といった高温条件で熱セット処理が施されるために、表面からフッ素系界面活性剤の成分の一部が揮発し、表面の撥液性が低下したり、該揮発物によって他の部位や製造ラインが汚染されたりする問題が生じていた。
ここで、含フッ素化合物は、化合物中に存在するフッ素化アルキル基等の官能基が低表面張力の性質を有することから、フッ素化アルキル基等を有さない組成物に対して、表面改質剤として少量添加することによって、組成物をコーティングする過程においてフッ素化アルキル基が表面に移行し、防汚性を発揮させることができる。
この防汚性を発揮させるに有効な含フッ素化合物として、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)と、防汚性の持続性向上を目的として重合性基とを分子内に導入したフッ素化合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物が提案されている(例えば、特許文献1及び2を参照。)。特許文献1では、含フッ素化合物として、ポリイソシアネートに、水酸基を有するポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)、水酸基及びアクロイル基を有する単量体等を反応させたポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を有するウレタンアクリレートが提案されている。
また、特許文献2では、含フッ素化合物として、ジイソシアネートの3量体であるトリイソシアネートに、水酸基を有するポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)と、水酸基及びアクロイル基を有する単量体とを反応させたポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を有するウレタンアクリレートが提案されている。
しかしながら、前記特許文献1、2記載のポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を有するウレタンアクリレートは製造上、トリイソシアネート化合物に対して、水酸基を有するポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)と水酸基を有するアクリル系単量体とを適切な割合で反応させることが困難であることから、アクロイル基のみを有する化合物や、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖のみを有する化合物が副生成物として生じ、分子内にポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とアクロイル基の両方を有する化合物のみを得ることができない問題があった。
また、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖のみを有する化合物は高分子量となることが多く、活性エネルギー線硬化型組成物に用いた場合、他の成分との相溶性が低いため、該活性エネルギー線硬化型組成物を塗膜とした場合に白濁するなどの問題もあった。さらに、このようなポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を有するウレタンアクリレートは、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖のみ有する化合物とアクリロイル基のみ有する化合物との相溶性が低く、相分離を生じる等の問題も有していた。
特開2001−019736号公報 国際公開WO2003/002628号公報
本発明が解決しようとする課題は、他の成分との相溶性に優れ、硬化塗膜とした場合、その硬化塗膜が防汚性に優れ、ケン化処理しても防汚性の低下が抑制できる含フッ素重合性重合体を提供することである。さらには、該含フッ素重合性重合体を用いた防汚性に優れる硬化塗膜が得られる活性エネルギー線硬化型組成物、その硬化物及びその硬化塗膜を有する物品を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究した結果、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端にラジカル生成能を有する官能基を有する化合物の両末端に、特定の反応性基を有する重合性不飽和単量体を重合させて得られる重合体に対し、該反応性基と反応して結合を形成する特定の官能基及び重合性不飽和基を有する化合物を反応させて得られる含フッ素重合性重合体が、他の成分との相溶性に優れ、防汚性に優れる表面改質剤となることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端にラジカル生成能を有する官能基を有する化合物(A)の両末端に、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハロゲン化物及び酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1つの反応性基を有する重合性不飽和単量体(B)を必須とする単量体成分を重合させて得られる重合体(C)が有する前記反応性基の一部又は全部に対し、該反応性基と反応して結合を形成する水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハロゲン化物及び酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基及び重合性不飽和基を有する化合物(D)を反応することによって得られることを特徴とする含フッ素重合性重合体に関する。
また、本発明は、上記含フッ素重合性重合体を含有する活性エネルギー線硬化型組成物、その硬化物及び該樹脂組成物の硬化塗膜を有する物品に関する。
本発明の含フッ素重合性重合体は、含フッ素部分であるポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を有する前記化合物(A)が重合反応の開始剤として用いられるため、含フッ素モノマーを用いた重合反応とは異なり、含フッ素モノマーのみのホモポリマーが生成しないため、重合体中に他の成分と相溶性が低い成分を有さないことから、活性エネルギー線硬化型組成物に配合した際に、非常に良好な相溶性を有する。
また、本発明の含フッ素重合性重合体は、重合性不飽和基を有し硬化性を有するため、単独で基材に塗布して硬化塗膜とすることで、基材表面に防汚性を付与することができる。また、その硬化塗膜表面に付着した汚れを除去した後も安定性が高く優れた防汚性を発揮する。さらに、該含フッ素重合性重合体をフッ素系界面活性剤として配合した活性エネルギー線硬化型組成物は、基材に塗布した際に、フッ素原子の他の原子との極性の違いから、該含フッ素重合性重合体が塗膜表面に偏析し、塗膜表面のみを防汚性等を付与する表面改質が可能である。また、該含フッ素重合性重合体が硬化性を有するため、活性エネルギー線硬化型組成物中の他の硬化性を有する成分と重合が可能なため、硬化塗膜中に本発明の含フッ素硬化性樹脂が強固に固定化される。したがって、硬化塗膜に熱処理などを施しても硬化塗膜表面から含フッ素硬化性樹脂又はその分解物の揮発や脱離を防止することができるため、基材表面に耐久性が高く優れた防汚性を付与することができる。
さらに、本発明の含フッ素重合性重合体を用いた硬化塗膜は、ケン化処理に対する耐性が高く、ケン化処理されても防汚性の低下を抑制することができる。したがって、本発明の含フッ素重合性重合体を用いた活性エネルギー線硬化型組成物は、防汚性の付与が必要であり、かつアルカリによるケン化処理が施される液晶ディスプレイ用偏光板に用いられるTACフィルム用ハードコート材として極めて有用である。
図1は実施例1で製造した含フッ素重合性重合体のH−NMRスペクトルのチャート図である。 図2は実施例1で製造した含フッ素重合性重合体のGPCチャートのチャート図である。 図3は実施例2で製造した含フッ素重合性重合体のH−NMRスペクトルのチャート図である。 図4は実施例2で製造した含フッ素重合性重合体のGPCのチャート図である。
本発明の含フッ素重合性重合体は、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端にラジカル生成能を有する官能基を有する化合物(A)の両末端に、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハロゲン化物及び酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1つの反応性基を有する重合性不飽和単量体(B)を必須とする単量体成分を重合させて得られる重合体(C)が有する前記反応性基の一部又は全部に対し、該反応性基と反応して結合を形成する水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハロゲン化物及び酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基及び重合性不飽和基を有する化合物(D)を反応することによって得られるものである。
本発明の含フッ素重合性重合体の原料として用いるポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端にラジカル生成能を有する官能基を有する化合物(A)は、下記一般式(1)で表されるポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端にラジカル生成能を有する官能基を有する化合物である。
Figure 0005488188
(上記一般式(1)中、Xは下記式(a)〜(e)のいずれかであり、一般式(1)中のすべてのXが同一のものであってもよいし、複数のものがランダム状又はブロック状に存在していてもよい。なお、nは繰り返し単位を表す1以上の数である。)
Figure 0005488188
上記のように、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖は、炭素原子数1〜3の2価フッ化炭素基と酸素原子が交互に連結した構造を有する。炭素原子数1〜3の2価フッ化炭素基は、1種類であっても良いし複数種の混合であっても良い。
ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の中でも、特に防汚性に優れた塗膜が得られる点から前記式(a)で表されるパーフルオロメチレン構造と、前記式(b)で表されるパーフルオロエチレン構造とが共存するものが好ましい。この前記式(a)で表されるパーフルオロメチレン構造と、前記式(b)で表されるパーフルオロエチレン構造との存在比率は、モル比率(a)/(b)が1/10〜10/1となる割合であることが好ましい。また、前記一般式(1)中のnの値は3〜100の範囲であることが好ましく、6〜70の範囲であることがより好ましい。
さらに、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖は、汚れ拭き取り性と滑り性が優れる点と、非フッ素系硬化性樹脂組成物への溶解性を向上させやすい点から、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖1本に含まれるフッ素原子の合計が18〜200個の範囲であることが好ましく、25〜150個の範囲であることが特に好ましい。
前記化合物(A)が有するラジカル生成能を有する官能基としては、例えば、ハロゲン原子を有する有機基、アルキルテルル基を有する有機基、ジチオエステル基を有する有機基、パーオキシド基を有する有機基、アゾ基を有する有機基等が挙げられる。ここで、リビングラジカル重合によって、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端に重合開始能を有する官能基を有する化合物(A)の両末端に、前記単量体(B)必須とする単量体成分を重合させる場合は、前記ラジカル生成能を有する官能基としてハロゲン原子を有する有機基、アルキルテルル基を有する有機基、ジチオエステル基を有する有機基が用いることができ、特に合成の容易さ、重合制御の容易さ、適用できる重合性不飽和単量体の多様性からハロゲン原子を有する有機基を用いることが好ましい。
前記ハロゲン原子を有する有機基としては、例えば、2−ブロモ−2−メチルプロピオニルオキシ基、2−ブロモ−プロピオニルオキシ基、パラクロロスルホニルベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子を有する有機基をポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端に導入するには、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端に反応により結合を形成し得る官能基を有する化合物(a1)と、この官能基と反応して結合を形成し得る官能基とハロゲン原子を有する有機基とを有する化合物(a2)とを反応させる方法が挙げられる。具体的には、前記化合物(a1)の両末端の官能基としては、例えば、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハロゲン化物、酸無水物等が挙げられる。これらの官能基を両末端に有する前記化合物(a1)の具体的な例としては、下記の式(a1−1)〜(a1−6)が挙げられる。下記式(a1−1)〜(a1−6)の中でも、(a1−1)、(a1−3)、(a1−6)が、反応が容易である点から好ましい。なお、式中の「PFPE」は、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を表す。
Figure 0005488188
一方、前記化合物(a2)が有する前記化合物(a1)が両末端に有する官能基と反応して結合を形成し得る前記化合物(a2)が有する官能基としては、下記のものが挙げられる。
例えば、前記化合物(a1)の両末端の官能基が水酸基の場合は、前記化合物(a2)が有するハロゲン原子を有する有機基以外の官能基は、イソシアネート基又はカルボン酸ハロゲン化物が好ましい。また、他の方法として、まず、前記化合物(a1)の水酸基に酸無水物を反応させることでカルボキシル基を生成させ、そのカルボキシル基に対し、エポキシ基とハロゲン原子を有する有機基とを有する化合物を前記化合物(a2)として、さらに反応させることによって前記化合物(a1)の両末端にハロゲン原子を有する有機基を導入することも可能である。
前記化合物(a1)の両末端の官能基がイソシアネート基の場合は、前記化合物(a2)が有するハロゲン原子を有する有機基以外の官能基は、水酸基が好ましい。また、前記化合物(a1)の両末端の官能基がエポキシ基の場合は、前記化合物(a2)が有するハロゲン原子を有する有機基以外の官能基は、カルボキシル基が好ましい。
前記化合物(a1)の両末端の官能基がカルボキシル基の場合は、前記化合物(a2)が有するハロゲン原子を有する有機基以外の官能基は、エポキシ基が好ましい。また、前記化合物(a1)の両末端の官能基が酸無水物の場合は、前記化合物(a2)が有するハロゲン原子を有する有機基以外の官能基は、水酸基が好ましい。
上記の前記化合物(a1)の両末端の官能基と、前記化合物(a2)が有するハロゲン原子を有する有機基以外の官能基との組み合わせの中でも、前記化合物(a1)の両末端の官能基が水酸基であり、前記化合物(a2)が有するハロゲン原子を有する有機基以外の官能基がカルボン酸ハロゲン化物である組み合わせが、反応が容易な点から好ましい。この組み合わせの場合の反応条件としては、下記の条件が挙げられる。
前記ハロゲン原子を有する有機基をポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端に導入する具体的方法としては、前記化合物(a1)の両末端の官能基が水酸基であり、前記化合物(a2)がハロゲン基を有するカルボン酸の場合は、脱水エステル化条件下で反応を行うことで、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端に重合開始能を有する官能基を有する化合物を得ることができる。また、前記化合物(a1)の両末端の官能基が水酸基であり、前記化合物(a2)がハロゲン基を有するカルボン酸のハロゲン化物の場合は、トルエン、テトラヒドロフラン等の溶剤中、(a1)と(a2)とを反応させることにより同様に重合開始能を有する官能基を有する化合物を得ることができる。なお、この反応においては必要に応じて塩基性触媒を用いることができる。
また前記化合物(a1)の両末端官能基がイソシアネート基、前記化合物(a2)がハロゲン基と、該イソシアネート基と反応し得る官能基として水酸基を有する場合、オクチル酸スズのような触媒の存在下、(a1)と(a2)を反応させることにより重合開始能を有する官能基を有する化合物を得ることができる。
さらに前記化合物(a1)の両末端官能基がエポキシ基、前記化合物(a2)がハロゲン基と、該エポキシ基と反応し得る官能基としてカルボキシル基を有する場合、トリフェニルホスフィンや第3級アミンのような塩基性触媒の存在下、(a1)と(a2)を反応させることにより重合開始能を有する官能基を有する化合物を得ることができる。
前記化合物(a1)の両末端の官能基が水酸基であり、前記化合物(a2)が有するハロゲン原子を有する有機基以外の官能基がカルボン酸ハロゲン化物である組み合わせにより得られるポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端に重合開始能を有する官能基を有する化合物(A)の具体例としては、以下の式(A−1)〜(A−3)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0005488188
次に、本発明に用いる反応性基を有する重合性不飽和単量体(B)について説明する。前記単量体(B)が有する反応性基は、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハロゲン化物及び酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1つの反応性基である。また、前記単量体(B)が有する重合性不飽和基は、ラジカル重合性を有する炭素−炭素不飽和二重結合が好ましく、より具体的には、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、マレイミド基等が挙げられる。これらの中でも、後述する重合体(C)の製造が容易な点から、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
前記単量体(B)の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロルオロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、末端水酸基含有ラクトン変性(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エチルイソシアネート等のイソシアネート基を有する単量体;グリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する単量体;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有する単量体;(メタ)アクリル酸クロライド等のカルボン酸ハロゲン化物である単量体;無水マレイン酸等の酸無水物である単量体などが挙げられる。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、メタクリルとアクリルの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル」とは、メタクリロイルとアクリロイルの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいう。
上記に例示した重合性不飽和単量体(B)の中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、グリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸は、得られた重合体(C)に重合性不飽和基を効率よく導入できること、及び、得られた樹脂の硬化後の耐湿性、耐薬品性に優れることで好ましい。その中でも、メタクリル基含有の単量体は、リビングラジカル重合性が優れる点で特に好ましい。また、重合性不飽和単量体(B)は、単独で用いる以外に反応性に支障の無い組み合わせであれば2種以上併用することもできる。
また、前記重合体(C)の原料となる単量体には、前記単量体(B)以外に、この単量体と共重合し得るその他の単量体(E)を用いることができる。この単量体(E)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等の芳香族ビニル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド、3−(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート等のメトキシシリル基又はエトキシシリル基含有(メタ)アクリレート単量体、ポリジメチルシロキサン鎖等のシリコーン鎖含有(メタ)アクリレート単量体などが挙げられる。これらの単量体(a3)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
ここで、前記重合体(C)の製造方法としては、前記化合物(A)をラジカル重合開始剤として、前記単量体(B)及び必要に応じて前記単量体(E)を、リビングラジカル重合させる方法が挙げられる。一般にリビングラジカル重合においては、活性重合末端が原子又は原子団により保護されたドーマント種が可逆的にラジカルを発生させてモノマーと反応することにより、極めて分子量分布の狭い重合体を得ることができる。このようなリビングラジカル重合の例としては、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加−開裂型ラジカル重合(RAFT)、ニトロキシドを介するラジカル重合(NMP)、有機テルルを用いるラジカル重合(TERP)等が挙げられる。このリビングラジカル重合によって、前記重合体(C)を製造すると、分子量分布が非常に狭い共重合体が得られるため好ましい。これらのうちどの方法を使用するかは特に制約はないが、制御の容易さなどから前記ATRPが好ましい。ATRPは、有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤、遷移金属化合物と配位子からなる金属錯体を触媒として重合される。
前記ATRPで使用する遷移金属化合物は、Mn+で表されるものである。遷移金属であるMn+は、Cu、Cu2+、Fe2+、Fe3+、Ru2+、Ru3+、Cr2+、Cr3+、Mo、Mo、Mo2+、Mo3+、W2+、W3+、Rh3+、Rh4+、Co、Co2+、Re2+、Re3+、Ni、Ni、Mn3+、Mn4+、V2+、V3+、Zn、Zn2+、Au、Au2+、Ag及びAg2+からなる群から選択することができる。また、Xは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルコキシル基、(SO1/2、(PO1/3、(HPO1/2、(HPO)、トリフラート、ヘキサフルオロホスフェート、メタンスルホネート、アリールスルホネート(好ましくはベンゼンスルホネート又はトルエンスルホネート)、SeR、CN及びRCOOからなる群から選択することができる。ここで、Rは、アリール、直鎖状又は分岐状の炭素原子数1〜20(好ましくは炭素原子数1〜10)のアルキル基を表し、Rは、水素原子、ハロゲンで1〜5回(好適にはフッ素もしくは塩素で1〜3回)置換されていてもよい直鎖状又は分岐状の炭素原子数1〜6のアルキル基(好ましくはメチル基)を表す。さらに、nは、金属上の形式電荷を表し、0〜7の整数である。
前記遷移金属錯体としては、7、8、9、10、11族の遷移金属錯体が好ましく、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体がさらに好ましい。
前記の遷移金属と配位結合可能な配位子を有する化合物としては、遷移金属とσ結合を介して配位できる1つ以上の窒素原子、酸素原子、リン原子又は硫黄原子を含む配位子を有する化合物、遷移金属とπ結合を介して配位できる2つ以上の炭素原子を含む配位子を有する化合物、遷移金属とμ結合又はη結合を介して配位できる配位子を有する化合物が挙げられる。
前記配位子を有する化合物の具体例としては、例えば、中心金属が銅の場合は2,2’−ビピリジル及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等の配位子との錯体が挙げられる。また2価のルテニウム錯体としては、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリブチルホスフィン)ルテニウム、ジクロロ(シクロオクタジエン)ルテニウム、ジクロロベンゼンルテニウム、ジクロロp−シメンルテニウム、ジクロロ(ノルボルナジエン)ルテニウム、シス−ジクロロビス(2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロトリス(1,10−フェナントロリン)ルテニウム、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等が挙げられる。さらに2価の鉄錯体としては、ビストリフェニルホスフィン錯体、トリアザシクロノナン錯体等が挙げられる。
また、前記重合体(C)の製造では、溶媒を使用することが好ましい。使用する溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒;ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。また、上記の溶媒は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
また、前記重合体(C)製造の際の重合温度は、室温から100℃の範囲が好ましい。
前記重合体(C)中の前記単量体(B)及び前記単量体(E)から構成される共重合部分をブロック状とする場合は、前記単量体(B)又は前記単量体(E)を単独で、前記化合物(A)、遷移金属化合物、該遷移金属と配位結合可能な配位子を有する化合物及び溶媒の存在下でリビングラジカル重合させた後、先にリビングラジカル重合した単量体とは別の単量体を加えて、さらにリビングラジカル重合させることで得ることができる。
本発明の含フッ素重合性重合体を得るためには、上記の方法で製造された重合体(C)が有する前記反応性基の一部又は全部に、該反応性基と反応して結合を形成する水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハロゲン化物及び酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基及び重合性不飽和基を有する化合物(D)を用いて、重合体(C)に重合性不飽和基を導入する。なお、前記化合物(D)が有する前記官能基は、重合体(C)が有する反応性基に応じて選択できる。また、前記単量体(D)が有する重合性不飽和基は、ラジカル重合性を有する炭素−炭素不飽和二重結合が好ましく、より具体的には、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、マレイミド基等が挙げられる。これらの中でも、活性エネルギー線硬化型組成物に本発明の含フッ素重合性重合体を添加した際に、後述する重合性モノマー(F)、重合性樹脂(G)等との硬化性が高いことから、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
例えば、重合体(C)が有する反応性基が水酸基の場合は、前記化合物(D)が有する前記官能基は、イソシアネート基、カルボキシル基又はカルボン酸ハロゲン化物が好ましく、脱離物の除去が不要である理由でイソシアネート基がより好ましい。また、重合体(C)が有する反応性基が水酸基の場合、まず、重合体(C)が有する水酸基に酸無水物を反応させることでカルボキシル基を生成させ、そのカルボキシル基に対し、エポキシ基と重合性不飽和基とを有する化合物を化合物(B)として、さらに反応させることによって重合体(C)に重合性不飽和基を導入することも可能である。
重合体(C)の反応性基がイソシアネート基の場合は、前記化合物(D)が有する前記官能基は、水酸基が好ましい。
重合体(C)が有する反応性基がエポキシ基の場合は、前記化合物(D)が有する前記官能基は、カルボキシル基が好ましい。さらに、前記化合物(D)を反応した後に生成した2級水酸基に、イソシアネート基又はカルボン酸ハロゲン化物と重合性不飽和基とを有する化合物を反応させることによって重合体(C)に重合性不飽和基をさらに導入することも可能である。また、重合体(C)が有する反応性基がエポキシ基の場合、重合性不飽和基を有しない化合物であってもカルボキシル基等のエポキシ基への付加反応性を有する官能基を有する化合物であれば、重合体(C)が有するエポキシ基に反応させることで2級水酸基を生成させ、その水酸基に対し、イソシアネート基又はカルボン酸ハロゲン化物とラジカル重合性不飽和基とを有する化合物を前記化合物(D)として、さらに反応させることによって重合体(C)に重合性不飽和基を導入することも可能である。
重合体(C)が有する反応性基がカルボキシル基の場合は、前記化合物(D)が有する重合性不飽和基以外の官能基は、エポキシ基が好ましい。さらに、反応後に生成する2級水酸基にイソシアネート基又はカルボン酸ハロゲン化物と重合性不飽和基とを有する化合物を前記化合物(D)として、反応させることによって重合体(C)に重合性不飽和基をさらに導入することも可能である。また、重合体(C)が有する反応性基がカルボキシル基の場合、重合性不飽和基を有しない化合物であってもエポキシ基を有する化合物であれば、重合体(C)が有するカルボキシル基に反応させることで2級水酸基を生成させ、その水酸基に対し、イソシアネート基又はカルボン酸ハロゲン化物と重合性不飽和基とを有する化合物を前記化合物(D)として、さらに反応させることによって、重合体(C)に重合性不飽和基を導入することも可能である。
重合体(C)が有する反応性基が酸無水物の場合は、前記化合物(D)が有する前記官能基は、水酸基が好ましい。さらに、反応後に生成するカルボキシル基に対し、エポキシ基と重合性不飽和基とを有する化合物を前記化合物(D)として、さらに反応させることがより好ましい。また、重合体(C)が有する反応性基が酸無水物の場合、重合性不飽和基を有しない化合物であっても水酸基を有する化合物であれば、酸無水物に反応させることでカルボキシル基を生成させ、そのカルボキシル基に対し、エポキシ基と重合性不飽和基とを有する化合物を前記化合物(D)として、さらに反応させることによって重合体(C)に重合性不飽和基を導入することも可能である。
上記の重合体(C)の反応性基と前記化合物(D)が有する官能基との組み合わせは、反応に支障がない限り、複数の異なる種類の官能基の組み合わせとしても構わない。
前記化合物(D)は、前記単量体(B)と同様のものを用いることができる。また、組み合わせとしては、重合体(C)の反応性基が水酸基であるもの(原料の単量体(B)として水酸基を有するものを使用したもの)と、化合物(D)が有する重合性不飽和基以外の官能基がイソシアネート基であるものとの組み合わせが好ましい。特に、単量体(B)に2−ヒドロキシエチルメタクリレートを用いて製造した重合体(C)に、化合物(D)として2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを反応させることが好ましい。
また、前記化合物(D)の使用量は、前記重合体(C)の原料となった単量体(aB)1モルを基準として、0.5〜1.1とすることが好ましく、重合性基を多く導入できる点及び未反応の前記化合物(D)を残留させない点で0.9〜1.0モルとすることが特に好ましい。
重合体(C)の反応性基が水酸基であり、前記化合物(D)が有する重合性不飽和基以外の官能基がイソシアネート基である場合、これらの反応は、反応は無溶媒でも、溶媒を使用しても可能であるが溶媒を使用した方が反応液の流動性が良好となる点で好ましい。溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒;ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。これらの中でも、エステル系溶剤;ケトン系溶剤;エーテル系溶媒が好ましい。
また、重合体(C)と前記化合物(D)との反応を促進させるため、ウレタン化触媒の存在下で反応させることが好ましい。ウレタン化触媒としては、例えば、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等のアミン類;トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等のホスフィン類;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、オクタン酸錫等の有機錫化合物;オクタン酸亜鉛等の有機金属化合物などが挙げられる。また、有機錫化合物とアミン類を併用すると、ウレタン化反応が円滑に進行するため好ましい。
本発明の含フッ素重合性重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ともに3,000以上であることが好ましく、5,000〜200,000がより好ましい。含フッ素重合性ブロック共重合体の数平均分子量等がこの範囲であれば、撥水性及び撥油性が特に優れたものとなる。なお、これらの数平均分子量等は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という。)で測定したもので、測定条件は下記の通りである。
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテック製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン(THF)
流速 1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
東ソー株式会社製「F−550」
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、上記の含フッ素重合性重合体を含有する活性エネルギー線硬化型組成物である。含フッ素重合性重合体の配合量は、活性エネルギー線硬化型組成物の不揮発分中、0.01〜10質量%であることが好ましい。特に、被添加される樹脂組成物本来の塗膜硬度などの物性を損なわず、かつ効率的に塗膜表面を改質できることから、0.05〜3質量%であることが好ましい。
上記活性エネルギー線硬化型組成物の主成分としては、重合性モノマー(F)、重合性樹脂(G)が挙げられる。前記重合性モノマー(F)のうち単官能モノマーとしては、例えば、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、ビニルピリジン、アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチレンジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
前記重合性モノマー(F)のうち多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレンオキシド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリエチレンオキシド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリエピクロロヒドリン変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラエチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレンオキシド変性ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレンオキサイド変性ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサキス(メタクリロイルオキシエチル)シクロトリホスファゼン等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
前記重合性樹脂(G)としては、エポキシ基を複数有する化合物に(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシ(メタ)アクリレート、脂肪族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレートとを反応させたウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの重合性樹脂(G)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
前記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させたものが挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートの原料として用いる脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。
また、前記ウレタン(メタ)アクリレートの原料として用いる芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
一方、ウレタン(メタ)アクリレートの原料として用いる水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の3価のアルコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、あるいは、これらのアルコール性水酸基の一部をε−カプロラクトンで変性した水酸基を有するモノ及びジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の1分子中に1つの水酸基と3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、あるいは、この化合物の水酸基をε−カプロラクトンで変性した多官能(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレン−ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等のブロック構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のランダム構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
上記した脂肪族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応は、ウレタン化触媒の存在下、常法により行うことができる。ウレタン化触媒としては、例えば、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等のアミン類;トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等のホスフィン類;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、オクタン酸錫等の有機錫化合物;オクタン酸亜鉛等の有機金属化合物などが挙げられる。
これらのウレタン(メタ)アクリレート樹脂の中でも、特に脂肪族ポリイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応によって得られるものが、硬化塗膜の透明性に優れ、硬化性に優れる点から好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、活性エネルギー線を照射すると硬化する組成物をいう。この活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線をいう。この活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、活性エネルギー線硬化型組成物中に光重合開始剤(H)を添加する。また、必要であればさらに光増感剤を添加する。一方、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線を用いる場合には、光重合開始剤や光増感剤を用いなくても速やかに硬化するので、特にこれらを添加する必要はない。
前記光重合開始剤(H)としては、分子内開裂型光重合開始剤及び水素引き抜き型光重合開始剤が挙げられる。分子内開裂型光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル等が挙げられる。
一方、水素引き抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;ミヒラ−ケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が挙げられる。これらの光重合開始剤(E)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
また、前記光増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン類、o−トリルチオ尿素等の尿素類、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネート等の硫黄化合物等が挙げられる。
これらの光重合開始剤及び光増感剤の使用量は、活性エネルギー線硬化型組成物中の不揮発成分100質量部に対し、各々0.01〜20質量部が好ましく、より好ましくは0.3〜10質量部である。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、用途、特性等の目的に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、粘度や屈折率の調整、あるいは、塗膜の色調の調整やその他の塗料性状や塗膜物性の調整を目的に各種の配合材料として、例えば、各種有機溶剤、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油樹脂、フッ素樹脂等の各種樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリエチレン、カーボン、酸化チタン、アルミナ、銅、シリカ微粒子等の各種の有機又は無機粒子、重合開始剤、重合禁止剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、防錆剤、スリップ剤、ワックス、艶調整剤、離型剤、相溶化剤、導電調整剤、顔料、染料、分散剤、分散安定剤、シリコーン系、炭化水素系界面活性剤等を併用することができる。
上記の配合成分中の有機溶剤は、本発明の含フッ素重合性重合体を単独で用いる場合、該含フッ素重合性重合体を配合して活性エネルギー線硬化型組成物として用いる場合ともに、基材への塗工適性を付与するため、粘度調整用の希釈溶剤として用いることが有用である。希釈溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物をBMレジスト液として用いる場合は、黒色とするために着色剤を配合する。この着色剤としては、黒色であれば特に限定されるものではないが、カーボンブラック、金属酸化物、2種以上の金属酸化物からなる複合金属化合物等の顔料が好ましい。また、赤、青、緑、紫、黄、シアン、マゼンタの色相を有する顔料から選ばれる2種以上の有機顔料を混合し、混色により黒色とした組み合わせでも構わない。
前記カーボンブラックとしては、例えば、ランプブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等が挙げられる。前記金属酸化物としては、チタンの酸化又は二酸化チタンの還元により得られるチタンブラックが挙げられる。通常、チタンブラックは、Ti2m−1(mは1以上の数)で表される。また、金属酸化物として、銅、鉄、クロム、マンガン、コバルト等の金属酸化物も挙げられる。さらに、2種以上の金属酸化物からなる複合金属化合物としては、例えば、銅−クロムの酸化物、銅−クロム−マンガンの酸化物、銅−鉄−マンガンの酸化物又はコバルト−鉄−マンガンの酸化物等が挙げられる。
一方、有機顔料の例としては、赤の色相を有する顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ピロロ・ピロール系顔料、アントラキノン系顔料等が挙げられ、青の色相を有する顔料としては、フタロシアニン系顔料、インダンスレン系顔料等が挙げられ、緑の色相を有する顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料等が挙げられ、紫の色相を有する顔料としては、ジオキサジンバイオレット、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、インダンスレンブリリアントバイオレット等が挙げられ、黄の色相を有する色相を有する顔料としては、テトラクロロイソインドリノン系顔料、ハンザイエロー系顔料、ベンジジンイエロー系顔料、アゾ系顔料等が挙げられ、シアンの色相を有する顔料としては無金属フタロシアニン、メロシアニン等が挙げられ、マゼンタの色相を有する顔料としては、ジメチルキナクリドン、チオインジゴ等が挙げられる。
また、本発明の含フッ素重合性重合体は、重合性基を有するため、前記光重合開始剤(H)、有機溶剤等を適宜配合して、単独で活性エネルギー線硬化型樹脂として用いることもできる。
上記の本発明の含フッ素重合性重合体、あるいは該含フッ素重合性重合体を用いた活性エネルギー線硬化型組成物を塗布する基材としては、例えば、プラスチック基材;ガラス等のセラミック基材;鉄、アルミニウム等の金属基材等が挙げられ、特にプラスチック基材に有用である。プラスチック基材の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン−1等のポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ノルボルネン系樹脂、変性ノルボルネン系樹脂、環状オレフィン共重合体等が挙げられる。また、これらの樹脂からなる基材を2種以上貼り合わせたものであってもよい。これらのプラスチック基材は、フィルム状であってもシート状であってもよい。
本発明の含フッ素重合性重合体、あるいは該含フッ素重合性重合体を用いた活性エネルギー線硬化型組成物を基材に塗布する方法としては、例えば、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、かけ渡しコート、ディップコート、スピンナーコート、ホイーラーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート等が挙げられる。また、オフセット印刷、活版印刷等の印刷方式でもよい。これらの中でも、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、ワイヤーバーコート、フローコートは、より厚みが一定な塗膜が得られるため好ましい。
本発明の含フッ素重合性重合体、あるいは該含フッ素重合性重合体を用いた活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させる活性エネルギー線としては、光、電子線、放射線等の活性エネルギー線が挙げられる。具体的なエネルギー源又は硬化装置としては、例えば殺菌灯、紫外線用蛍光灯、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、自然光等を光源とする紫外線、又は走査型、カーテン型電子線加速器による電子線等が挙げられる。
これらの中でも特に活性エネルギー線が紫外線であることが好ましく、重合効率化の点で窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射することがより好ましい。また、必要に応じて熱をエネルギー源として併用し、活性エネルギー線を照射して硬化した後、熱処理を行ってもよい。
本発明の含フッ素重合性重合体の硬化塗膜は、優れた防汚性(撥インク性、耐指紋性等)、耐擦傷性等を有するため、物品の表面に塗布・硬化することで、物品の表面に防汚性、耐擦傷性等を付与することができる。また、本発明の含フッ素重合性重合体は、塗材にフッ素系界面活性剤として添加することで、その塗材にレベリング性を付与することもできるため、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、高いレベリング性を有する。
本発明の含フッ素重合性重合体又は活性エネルギー線硬化型組成物を用いて防汚性(撥インク性、耐指紋性等)を付与できる物品としては、TACフィルム等の液晶ディスプレイ(LCD)の偏光板用フィルム;プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ等の各種ディスプレイ画面;タッチパネル;携帯電話筐体又は携帯電話の画面;CD、DVD、ブルーレイディスク等の光学記録媒体;インサートモールド(IMD、IMF)用転写フィルム;コピー機、プリンター等のOA機器用ゴムローラー;コピー機、スキャナー等のOA機器の読み取り部のガラス面;カメラ、ビデオカメラ、メガネ等の光学レンズ;腕時計等の時計の風防、ガラス面;自動車、鉄道車輌等の各種車輌のウインドウ;化粧板等の各種建材;住宅の窓ガラス;家具等の木工材料、人工・合成皮革、家電の筐体等の各種プラスチック成形品、FRP浴槽などが挙げられる。これらの物品表面に本発明の含フッ素硬化性樹脂又は活性エネルギー線硬化型組成物を塗布し、紫外線等の活性エネルギー線を照射して硬化塗膜を形成することで、物品表面に防汚性を付与することができる。また、本発明の含フッ素硬化性樹脂を各物品に適した各種塗料に添加し、塗布・乾燥することで、物品表面に防汚性を付与することも可能である。
また、本発明の含フッ素硬化性樹脂を添加し、レベリング性を向上するとともに、塗膜に防汚性(撥インク性、耐指紋性等)を付与できる塗材としては、TACフィルム等のLCDの偏光板用フィルムのハードコート材、アンチグレア(AG:防眩)コート材又は反射防止(LR)コート材;プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ(PDP)等の各種ディスプレイ画面用ハードコート材;タッチパネル用ハードコート材;液晶ディスプレイ用カラーフィルター(以下、「CF」という。)に使用されるRGBの各画素を形成するためのカラーレジスト、印刷インク、インクジェットインク又は塗料;CFのブラックマトリックス用のブラックレジスト、印刷インク、インクジェットインク又は塗料;プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ等の画素隔壁用樹脂組成物;携帯電話筐体用塗料又はハードコート材;携帯電話の画面用ハードコート材;CD、DVD、ブルーレイディスク等の光学記録媒体用ハードコート材;インサートモールド(IMD、IMF)用転写フィルム用ハードコート材;コピー機、プリンター等のOA機器用ゴムローラー用コート材;コピー機、スキャナー等のOA機器の読み取り部のガラス用コート材;カメラ、ビデオカメラ、メガネ等の光学レンズ用コート材;腕時計等の時計の風防、ガラス用コート材;自動車、鉄道車輌等の各種車輌のウインドウ用コート材;化粧板等の各種建材用印刷インキ又は塗料;住宅の窓ガラス用コート材;家具等の木工用塗料;人工・合成皮革用コート材;家電の筐体等の各種プラスチック成形品用塗料又はコート材;FRP浴槽用塗料又はコート材などが挙げられる。
さらに、本発明の含フッ素硬化性樹脂又は活性エネルギー線硬化型組成物を用いて耐擦傷性(耐スクラッチ性)及び防汚性を付与できる物品としては、LCDのバックライト部材であるプリズムシート又は拡散シート等が挙げられる。また、プリズムシート又は拡散シート用コート材に本発明の含フッ素硬化性樹脂を添加することで、該コート材のレベリング性を向上するとともに、コート材の塗膜に耐擦傷性(耐スクラッチ性)及び防汚性を付与することができる。
また、本発明の含フッ素硬化性樹脂の硬化塗膜は低屈折率であるため、LCD等の各種ディスプレイ表面への蛍光灯等の映り込みを防止する反射防止層中の低屈折率層用塗材としても用いることができる。また、反射防止層用の塗材、特に反射防止層中の低屈折率層用塗材に本発明の含フッ素硬化性樹脂を添加することで、塗膜の低屈折率を維持しつつ、塗膜表面に防汚性を付与することもできる。
さらに、本発明の含フッ素硬化性樹脂又は活性エネルギー線硬化型組成物を用いることができるその他の用途として、光ファイバクラッド材、導波路、液晶パネルの封止材、各種光学用シール材、光学用接着剤等が挙げられる。
特に、LCD用偏光板の保護フィルム用コート材用途のうち、アンチグレアコート材として本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を用いる場合、上記した各組成のうち、シリカ微粒子、アクリル樹脂微粒子、ポリスチレン樹脂微粒子等の無機又は有機微粒子を、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物中の硬化成分の全質量の0.1〜0.5倍量となる割合で配合することで防眩性に優れたものとなるため好ましい。
また、本発明の含フッ素硬化性樹脂又は活性エネルギー線硬化型組成物を、LCD用偏光板の保護フィルム用アンチグレアコート材に用いる場合、コート材を硬化させる前に凹凸の表面形状の金型に接触させた後、金型と反対側から活性エネルギー線を照射して硬化し、コート層の表面をエンボス加工して防眩性を付与する転写法にも適用できる。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。なお、含フッ素重合性重合体のフッ素含有率は、用いた原料の合計量に対するフッ素原子の質量比率から算出したものである。
(合成例1)パーフルオロポリエーテルブロモイソ酪酸エステル誘導体の合成
反応容器に下記式(A’−1)で表されるパーフルオロポリエーテルのジアルコール29g、トリエチルアミン4.6g、ジイソプロピルエーテル(以下、「IPE」という。)15gを仕込んで撹拌し、均一な溶液とした。この溶液に2−ブロモイソ酪酸ブロマイド10gを、内温が30℃以上にならないように冷却しながら、75分かけて滴下した。室温下で3時間撹拌後、さらに40℃で15時間撹拌した。次いで、IPE89gで希釈した後、0.1M塩酸100gを加えて撹拌した。得られた反応溶液から、分液により分離した有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その後、得られた反応溶液をエバポレータで濃縮して、30.7gのパーフルオロポリエーテルブロモイソ酪酸エステル誘導体を得た。
Figure 0005488188
(式中、Xはパーフルオロメチレン基及びパーフルオロエチレン基であり、1分子あたり、パーフルオロメチレン基が平均7個、パーフルオロエチレン基が平均8個存在するものであり、フッ素原子の数が平均46である。また、GPCによる数平均分子量は1,500である。)
(実施例1)
窒素置換した反応容器に、メチルエチルケトン(以下、「MEK」という。)8.2g、2,2’−ビピリジル0.373g、塩化第一銅0.118gを加え、室温下で30分撹拌した。次いで、2−ヒドロキシエチルメタクリレート6.25g、合成例1で得たパーフルオロポリエーテルブロモイソ酪酸エステル誘導体1.98gを加え、窒素気流下、50℃で21時間反応させて重合体溶液を得た。得られた重合体溶液をメタノールで希釈し、水/メタノールで再沈殿精製を行い、白色固体を得た。この固体3.0gをMEK4.1gに溶解し、2−エチルヘキサン酸スズ溶液(0.2質量%MEK溶液)2.1gを加えて60℃に昇温した。液中に乾燥空気を導入しながら、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートのMEK溶液(50質量%)4.66gを滴下し、1時間反応、さらに80℃で4時間反応させた後、MEKで希釈して、含フッ素重合性重合体(1)の40質量%MEK溶液を得た。なお、この含フッ素重合性重合体(1)の分子量をGPCで測定したところ、数平均分子量9,100、重量平均分子量10,500であった。
実施例1で得られた含フッ素重合性重合体(1)のH−NMRスペクトルを図1に、GPCチャートを図2に示す。なお、H−NMRスペクトルの1.2ppm及び2.1ppm付近のピークは残留溶剤のものである。
(実施例2)
窒素置換した反応容器に、MEK7.6g、2,2’−ビピリジル0.559g、塩化第一銅0.177gを加え、室温下で30分撹拌した。次いで、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.72g、合成例1で得たパーフルオロポリエーテルブロモイソ酪酸エステル誘導体2.96gを加え、窒素気流下、50℃で21時間反応させて重合体溶液を得た。得られた重合体溶液をメタノールで希釈し、水/メタノールで再沈殿精製を行い、白色固体を得た。この固体3.0gをMEK4.0gに溶解させ、2−エチルヘキサン酸スズ溶液(0.2重量%MEK溶液)2.1gを加えて60℃に昇温した。液中に乾燥空気を導入しながら、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートのMEK溶液(50質量%)3.74gを滴下し、1時間反応、さらに80℃で4時間反応させ後、MEKで希釈して、含フッ素重合性重合体(2)の40質量%MEK溶液を得た。なお、この含フッ素重合性重合体(2)の分子量をGPCで測定したところ、数平均分子量6,200、重量平均分子量7,700であった。
実施例2で得られた含フッ素重合性重合体(2)のH−NMRスペクトルを図3に、GPCチャートを図4に示す。なお、H−NMRスペクトルの1.2ppm及び2.1ppm付近のピークは残留溶剤のものである。
(比較例1)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてメチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」という。)69質量部を仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら105℃に昇温した。次いで、下記式で表されるフッ素化アルキル基含有アクリレート40質量部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート28.8質量部とMIBK69質量部とを混合した単量体溶液137.8質量部、ラジカル重合開始剤(t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート)3.4質量部とMIBK22.5質量部とを混合した重合開始剤溶液25.9質量部の2種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を105℃に保ちながら同時に3時間かけて滴下した。滴下終了後、105℃で10時間攪拌し、重合体溶液232.7質量部を得た。
Figure 0005488188
次いで、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.1質量部、ウレタン化触媒としてオクチル酸スズ0.05質量部を仕込み、空気気流下で60℃を保ちながら2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート31.2質量部を1時間で滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌した後、80℃に昇温して10時間攪拌することにより反応を行った結果、IRスペクトル測定によりイソシアネート基の消失が確認された。次いで、溶媒の一部を減圧留去し、含フッ素重合性重合体(3)の40質量%MIBK溶液を得た。なお、含フッ素重合性重合体(3)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量3,000、重量平均分子量7,000、最大分子量40,000であった。
[数平均分子量及び重量平均分子量の測定]
本発明において、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分散度は、GPCによって、下記の条件により測定した。なお、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、標準ポリスチレン換算の値である。
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテック製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン(THF)
流速 1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
東ソー株式会社製「F−550」
[含フッ素重合性重合体を含有する活性エネルギー線硬化型組成物の調製]
(実施例3〜4、比較例2〜3)
5官能の無黄変型ウレタンアクリレート50質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50質量部、酢酸ブチル25質量部、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製「イルガキュア184」;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)5質量部、トルエン54質量部、2−プロパノール28質量部、酢酸エチル25質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル28質量部を均一に混合して、ベースとなる活性エネルギー線硬化型組成物を得た。次いで、このベースとなる活性エネルギー線硬化型組成物265質量部に対して、実施例1〜2及び比較例1で得られた含フッ素重合性重合体を40質量%含有する溶液2.5質量部を加えて均一に混合して、含フッ素重合性重合体を含有する活性エネルギー線硬化型組成物を得た。なお、実施例1〜2及び比較例1で得られた含フッ素重合性重合体を用いた活性エネルギー線硬化型組成物をそれぞれ実施例3〜4及び比較例3とし、含フッ素重合性重合体を加えずにベースの紫外線硬化型組成物のみのものも用意して比較例2とした。
[含フッ素重合性重合体の相溶性評価]
上記で得られた活性エネルギー線硬化型組成物の外観を目視で観察し、含フッ素重合性重合体の相溶性を評価した。
A:透明である。
B:濁りがある。
C:成分の分離が見られる。
[含フッ素ラジカル重合性重合体を含有する活性エネルギー線硬化型組成物の評価]
(評価用試料の作製)
上記で得られた含フッ素ラジカル重合性共重合体を含有する活性エネルギー線硬化型組成物をバーコーター(No.13)を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ188μm)に塗布した後、60℃の乾燥機に5分間入れて溶剤を揮発させ、紫外線硬化装置(窒素雰囲気下、高圧水銀灯、紫外線照射量2.0kJ/m)を用いて硬化させ、塗工フィルムを作製した。また、比較例2として、含フッ素重合性重合体を添加していない活性エネルギー線硬化型組成物についても同様に塗工フィルムを作製した。この塗工フィルムを1日室温で放置後、下記の接触角の測定及び評価、汚れ付着防止性の評価を行った。
得られた塗工フィルムの塗工表面に、フェルトペン(寺西化学工業株式会社製マジックインキ大型青色)で線を描き、その青色インクの付着状態を観察することで防汚性(汚れ付着防止性、汚れ拭き取り性)の評価を行った。
また、紫外線硬化後にフィルムを70℃の強アルカリ水溶液(2mol/lのKOH水溶液)に1分間浸漬処理した後、純水で洗浄し、100℃×3分で乾燥させた後、室温で放冷した塗工フィルムについても、フェルトペンを使用した防汚性(汚れ付着防止性、汚れ拭き取り性)の評価を行った。それらの評価結果を表1に示す。
Figure 0005488188
(汚れ付着防止性の評価基準)
AA:防汚性が最も良好で、インクが玉状にはじくもの。
A:インクが玉状にはじかず、線状のはじきが生じるもの(線幅がフェルトペンのペン先の幅の50%未満)。
B:インクの線状のはじきが生じ、線幅がフェルトペンのペン先の幅の50%以上100%未満であったもの。
C:インクがまったくはじかずに表面にきれいに描けてしまうもの。
(汚れ拭き取り性の評価基準)
「汚れ付着防止性」の試験後、荷重1kgにてティッシュペーパーで拭き取った際の様子を下記の基準にて評価した。
A:1回の拭き取りで完全にインクを除去できたもの。
B:2〜10回の拭き取りで完全にインクを除去できたもの。
C:10回の拭き取り操作で完全にはインクを除去できなかったもの。
表1に示した実施例3及び4の評価結果から、本発明の含フッ素重合性重合体(1)及び(2)を用いた活性エネルギー線硬化型組成物を塗工し、紫外線硬化したフィルム表面は、高い汚れ付着防止性及び汚れ拭き取り性を有することが分かった。また、これらの性能は、強アルカリ水で処理しても低下しないことも確認された。
一方、含フッ素重合性重合体を用いなかった比較例2では、活性エネルギー線硬化型組成物を塗工し、紫外線硬化したフィルム表面は、汚れ付着防止性及び汚れ拭き取り性が不十分であることが分かった。また、本発明の含フッ素重合性重合体とは異なる含フッ素重合性重合体(3)を用いた比較例3では、調製した活性エネルギー線硬化型組成物にわずかな濁りがあり相溶性が不十分であることが分かった。また、該活性エネルギー線硬化型組成物を塗工し、紫外線硬化したフィルム表面は、汚れ付着防止性は有していたが、汚れ拭き取り性は不十分であることが分かった。また、これらの性能は、強アルカリ水で処理すると低下することも確認された。

Claims (7)

  1. ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端にラジカル生成能を有する官能基を有する化合物(A)の両末端に、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハロゲン化物及び酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1つの反応性基を有する重合性不飽和単量体(B)を必須とする単量体成分を重合させて得られる重合体(C)が有する前記反応性基の一部又は全部に対し、該反応性基と反応して結合を形成する水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハロゲン化物及び酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基及び重合性不飽和基を有する化合物(D)を反応することによって得られることを特徴とする含フッ素重合性重合体。
  2. 前記化合物(A)が有するラジカル生成能を有する官能基が、ハロゲン原子を有する有機基、アルキルテルル基を有する有機基、ジチオエステル基を有する有機基、パーオキシド基を有する有機基又はアゾ基を有する有機基である請求項1記載の含フッ素重合性重合体。
  3. 前記化合物(A)が有するラジカル生成能を有する官能基が、ハロゲン原子を有する有機基、アルキルテルル基を有する有機基又はジチオエステル基を有する有機基であり、かつ前記化合物(A)に前記単量体(B)を必須の単量体成分として重合させる重合法が、リビングラジカル重合である請求項1記載の含フッ素重合性重合体。
  4. 前記リビングラジカル重合が、重合開始剤、遷移金属化合物及び該遷移金属と配位結合可能な配位子を有する化合物の存在下で行う原子移動型ラジカル重合である請求項3記載の含フッ素重合性重合体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の含フッ素重合性重合体を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物。
  6. 請求項5記載の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させたことを特徴とする硬化物。
  7. 請求項5記載の活性エネルギー線硬化型組成物の硬化塗膜を有することを特徴とする物品。
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