JP5487705B2 - ワイドバンドギャップ半導体素子 - Google Patents

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本発明は、主電流の流れる活性領域とこの活性領域を取り巻く終端構造部から構成される半導体素子であって、とりわけ、深いウェル領域を選択的に形成することが困難な、たとえば、炭化珪素半導体あるいはIII族窒化物半導体のようなワイドバンドギャップ半導体材料を用いた電力用半導体素子の終端構造部に関するものである。
炭化珪素半導体(以後、SiCともいう)あるいはIII族窒化物半導体(以後、AlGaN等ともいう)などのワイドバンドギャップ半導体を用いて高耐圧パワーデバイスを作製すると、オン抵抗を大幅に低減できる可能性がある。SiCを用いた耐圧1〜1.2kV級のMISFETによって、5mΩcm2以下のオン抵抗が得られており、これは、同じ耐圧クラスのSi製IGBTと比較しても、オン抵抗が半分以下である。今後、コスト低下と性能向上が進めば、インバーター部品としてシリコン製IGBTの大半を置き換える可能性も考えられる。SiCやAlGaN等を用いることでオン抵抗を大幅に低減できるのは、SiCやAlGaN等が高い絶縁破壊電界を有するので、同じ耐圧を実現するために必要な耐圧層を薄くでき、また耐圧層のドーピング量を高くすることができ、その結果、耐圧層の抵抗をSi半導体(以降Siともいう)に比べて2桁以上低減できるからである。
MISFET、IGBTなどは、第1導電型をn型、第2導電型をp型とした場合、n型耐圧層とp型ボディー領域との間のpn主接合によって耐圧を維持している。MISFETやIGBTにおいては、p型ボディー領域のドーピングは、耐圧よりも、チャネル移動度や閾値電圧に大きく影響する。p型ボディー領域のドーピングが高すぎると、閾値電圧が不必要に高くなるとともに、チャネル移動度が著しく低下するので、好ましくない。この点からは、p型ボディー領域のドーピングをあまり高くすることができない。
一方、n型耐圧層のドーピングに関しては、同じ耐圧であれば、SiCやAlGaN等のほうが、Siよりも1〜2桁高くできる。したがって、Siに比べて特にSiCやAlGaN等の場合、耐圧層だけでなく、p型ボディー領域にも空乏層が伸びやすい。ところで、前記MISFET、IGBTを設計する場合、よく知られたトレンチゲート構造を採用すれば、いわゆるJFET抵抗を除去できるとともにチャネル密度を高くできる利点がある。しかし、トレンチゲート構造の場合に、チャネル抵抗を小さくするためにチャネル長(主電流の流れる方向の距離)を短くし過ぎると、p型ボディー領域の厚さが薄くなり、オフ時にp型ボディー領域がすべて空乏化することがある。この場合、いわゆるパンチスルー状態となり、SiCやAlGaN等の有する高い絶縁破壊電界から期待される高耐圧を実現できなくなる。そこまで極端でなくても、p型ボディー領域を薄くすると、チャネル長が短くなるので、いわゆる短チャネル効果によって閾値電圧が低下するという不都合が生じる。したがって、少なくともトレンチゲート構造を有する前記MISFET、IGBTなどのような半導体素子の場合には、p型ボディー領域は一定以上の厚さが必要となる。
さらにまた、前記トレンチゲート構造を有する半導体素子の場合には、p型ボディー領域の表面層に選択的に形成されるn+型ソース領域と、トレンチ内にゲート絶縁膜を介して形成されるゲート電極とを対向させる必要があることから、当該工程の作製余裕を確保するために、n+型ソース領域にも一定の厚さが必要となり、その分だけp型ボディー領域をさらに厚くする必要がある。このような厚いp型ボディー領域は、従来のSi半導体においては、熱拡散法またはイオン注入と熱拡散法の組み合わせによって容易に実現可能であった。ところが、SiCやAlGaN等のワイドバンドギャップ半導体の場合には、不純物の拡散定数が著しく小さいので、熱拡散法は工業的には非現実的である。また、選択エピタキシャル成長はSiCの場合には、まだ研究段階であって工業的な実用性が小さい。そこで、n型耐圧層の上に全面ドープドエピタキシャル成長によりp型層を成膜しすることが行われてきた。そして、終端構造部は、エッチングにより活性領域と素子終端部とを分ける環状分離溝をp型層表面からpn主接合を超える深さに形成し、環状分離溝中にメサ状に露出するpn主接合表面を絶縁膜などのパッシベーション膜で被覆して保護し、接合表面近傍に起因する耐圧低下を防ぐ終端構造部とすることが従来行われてきた。しかし、前述のように単にエッチングで環状分離溝を形成しただけでは、所要の設計耐圧を達成しないこともある。そこで、耐圧を向上させるために、終端構造部に複数の前記環状分離溝を設ける方法、または、当該複数の環状分離溝の底面に露出するn型耐圧層の表面にさらに電界緩和用のp型領域あるいはn型耐圧層とショットキー接触する金属電極を設ける終端構造部などが発表されている(特許文献1、2)。たとえば、炭化珪素半導体装置の主接合部の周囲を取り囲む周辺耐圧構造分に複数のトレンチを形成し、各トレンチの底部にショットキー接合を形成させるための導電層を設ける終端構造部が公開されている。この終端構造部によれば、ショットキー接合の電界効果によって電界を緩和し耐圧層内に空乏層を拡がり易くし、耐圧が向上する(特許文献3)。
特開2008−270681号公報(要約、解決手段、0007段落) 特開2008−118011号公報(図2) 特開平11−87698号公報(要約、0010段落、図9)
しかしながら、前述のメサ状のpn接合表面を有する環状分離溝を設けた終端構造部を採用すると、素子をオンウェハで、あるいはアセンブリした後に試験する際に、耐圧が不安定になる現象が見られた。また、突発的に極端に耐圧の低いロットが生じる場合があった。検討の結果、試験雰囲気やアセンブリ工程中に飛来する帯電物、保護絶縁膜中および/または保護絶縁膜と半導体との界面の固定電荷、保護絶縁膜と半導体との界面の深い準位に捕らえられたキャリア等(まとめて、外乱電荷という)が、終端構造部内の電界分布を定常的、あるいは一時的に乱している結果、耐圧が低下し、あるいは不安定になる疑いが強いことが判明した。表面に凹凸、とりわけ凹部のない形状であれば、飛来して付着した前記帯電物を洗い流し吹き飛ばして除去することは比較的容易であり、保護絶縁膜を形成する工程においても、前記固定電荷や界面準位を突発的に生じないように管理することは比較的容易である。しかし、終端構造部に環状分離溝を設ける場合、本質的に表面に凹凸形状を生じるから、飛来して付着した前記帯電物が凹部に残留し易くなる。その結果、保護絶縁膜を形成する工程において前記帯電物が取り込まれる結果、前記固定電荷や界面準位を突発的に生じ易くなると考えられる。
特許文献3の図9あるいは図8のような様態であっても、pn接合面・ショットキー接触が半導体表面に露出した接合表面に絶縁膜が接していたり、あるいは何も保護されずに露出していたりする限り、保護絶縁膜を形成する工程で前記帯電物が取り込まれる結果として固定電荷や界面準位を突発的に生じやすい、あるいは試験・アセンブリの際に外来電荷が飛来して付着しやすいという状況は、同じであるので、前記のように、極端に耐圧の低いロットを生じたり、耐圧が不安定になったりする問題点を抱えている。
本発明は、以上説明した点に鑑みなされたものである。本発明の目的は、深いウェル領域を選択的に形成することが現実的ではない半導体材料を用いる場合に、外乱電荷の影響を受け難くするとともに、耐圧の向上と耐圧の信頼性の高い終端構造部を備えるワイドバンドギャップ半導体素子を提供することである。
本発明は、従来の、絶縁膜で保護されるpn接合表面を有する環状分離溝を設けた終端構造部を備える半導体素子が前述の外乱電荷により耐圧低下や耐圧の信頼性低下を生じ易いことを考慮してなされたものである。そこで、前記外乱電荷による悪影響を無くすために、複数の環状分離溝に露出する半導体層の接合表面を、従来のように絶縁膜による保護ではなく、すべて金属電極で覆うことにしたのである。飛来して付着した前記帯電物は金属電極により遮蔽される。そもそも絶縁物と半導体界面がないので、固定電荷や界面準位により電界分布が乱れることもないから、従来のような外乱の電荷の影響は最小限に抑えられる。ただし、前記金属電極は、半導体素子の高電位部と低電位部との間に短絡経路を与えない構造でなければならない。また、前記金属電極はその内部に実質的な電位差をもつことができないので、単一の金属電極は、実質的に単一の電位しかとることはできない。そのような構成を有する本発明のワイドバンドギャップ半導体素子は次のとおりである。
以下、第1導電型をn型、第2導電型をp型とし、半導体素子としてダイオードを用いて説明する。図1、6にダイオードの終端構造部の断面図および終端構造部の拡大平面図に示すように、このダイオードはn型高不純物濃度の基板1上にn型耐圧層3と、このn型耐圧層3上に積層されるp型半導体層5とを備える。このダイオードは、中心部の主電流の流れる活性領域A1と、この活性領域A1となるp型半導体層5を取り囲む終端構造部E1を備える。この終端構造部E1は表面から前記p型半導体層5を貫いてn型耐圧層3に達する深さを有する複数の環状分離溝31を有する。さらに、これらの各環状分離溝31の少なくとも内部にそれぞれ配設され、各環状分離溝31の内面に露出するp型半導体層5表面およびn型耐圧層3表面のいずれともショットキー接触する金属電極33を有する。これらの金属電極33を有する複数の前記環状分離溝31は相互に絶縁され、前記金属電極33は電位的にはフローティング状態である。
以上の説明ではダイオードとして、本発明の構成を説明したが、活性領域A1の内部構造は、図1、2、7に示すpn接合ダイオードに限らず、図3、4に示すMOSFETや、ショットキーバリアダイオードまたはIGBTなどの構成をとることができる。また、ショットキー接触する前記金属電極33の上面は、p型半導体層5の表面と必ずしも面一になっていなくてもよい。その結果、本発明のワイドバンドギャップ半導体素子によれば、複数の前記金属電極33のそれぞれは、相互に絶縁されているので、電流経路とはならず、それぞれの金属電極33は独自のフローティング電位をとることができる。そして何よりも、この終端構造部E1では、環状分離溝31の内面はすべて前記金属電極33で覆われているから、前述のように、外乱の電荷の影響は最小限に抑えられる(請求項1)。
また、デバイスシミュレーションの結果によれば、このような終端構造部E1を有する半導体素子のpn主接合に逆電圧が印加された場合、最も活性領域A1に近い(以後、最も内側ともいう)環状分離溝31の内面に露出するp型半導体層5のうち活性領域A1側(以後、内側ともいう)のp型半導体層5と金属電極33との間のショットキー接触(以後、最も内側のショットキー接触ともいう)が、まずは印加電圧の大半を支える。n型耐圧層3内に延びる空乏層は、環状分離溝31の深さにほぼ関係なく、最も内側の環状分離溝31で終端するような形状で止まり、それよりも活性領域A1から遠い側(以後、外側ともいう)の環状分離溝31には接触しない。次に、最も内側のショットキー接触が降伏電圧近くに達すると、2番目に活性領域A1に近い(以後、2番目に内側ともいう。以下同様)環状分離溝31の内側内面に露出するp型半導体層5と金属電極33との間のショットキー接触(以後、2番目に内側のショットキー接触ともいう。以下同様)が、それ以降の印加電圧の一部を次第に支えるようになる。n型耐圧層3内の空乏層は、環状分離溝31の深さにほぼ関係なく、2番目に内側の環状分離溝31で終端するような形状で止まり、それよりも外側の環状分離溝31には接触しない。以下同様にして、内側のショットキー接触から順に降伏する(または降伏状態に近づく)ことで、印加電圧を支える。ここで、前記各ショットキー接触の降伏電圧の和が、活性領域A1においてアバランシェ降伏が生じる電圧よりも高ければ、活性領域A1におけるアバランシェ降伏電圧で耐圧が決まるので、終端構造部により素子全体の耐圧が低下することはない。なお、ここでショットキー接触が降伏するのは、p型半導体層5内でのアバランシェ降伏によるものであっても、トンネル現象によるリーク電流の増大によるものであってもよい(請求項2)。
また、デバイスシミュレーションによれば、実際には、最も内側の環状分離溝31よりもやや内側で、素子内部の電界は最大となり、この部分により素子の耐圧が決まる。半導体素子の終端構造部E1の表面には保護絶縁膜39が設けられる。図7に示すpn接合ダイオードでは、p型半導体層5が一般にn型耐圧層3よりも高ドープであるので、外乱の電荷の影響を受けにくいが、それでも製造上の不具合により、前記界面に高密度の固定電荷が生じることがある。また同様に非常に多くの帯電物が付着するような事態になる場合もある。このような場合、p型半導体層5の表面近くで電界分布が大きく変化し、最悪の場合にはp型半導体層5の表面付近のみがすべて空乏化して、いわゆるパンチスルー状態となることがある。この種のパンチスルーを生じると、終端構造部E4の降伏電圧が活性領域A4におけるアバランシェ降伏電圧よりも低下することがある。この結果、この低下した終端構造部E4の降伏電圧にまで、素子の耐圧が低下する危険性がある。
このような事態が想定される場合、たとえば図1、2に示すように、p型半導体層5の表面の一部に、このp型半導体層5よりも高ドープであるp+型環状半導体領域37または37aを設けると、p+型環状半導体領域37または37aが高ドープであるので、外乱の電荷による電界分布の変化が抑えられ、耐圧の低下を抑制できる。なお、p+型環状半導体領域37、37aは、隣接する環状分離溝31に挟まれたp型半導体層5の表面の一部だけでなく、最も内側の環状分離溝31と活性領域A1との間のp型半導体層5の表面の一部にも設けるのが好ましい。ショットキー接触による空乏層は、環状分離溝31から活性領域A1側に向かって伸びるためである(請求項3および4)。
本発明によれば、SiCのように、選択的に深いウェル領域を形成することが現実的ではない半導体材料を用いる場合にも、外乱の電荷の影響を受けにくい終端構造部を提供することができる(請求項5)。
金属電極33は、n型耐圧層3よりも、特にp型半導体層5に対して、リークが少なく、安定なショットキー接触となる必要がある。したがって、第1導電型がn型であって、第2導電型がp型である場合には、仕事関数の比較的小さい金属が適している。半導体材料がSiCである場合、たとえばチタンが適している(請求項6)。
本発明によれば、深いウェル領域を選択的に形成することが現実的ではない半導体材料を用いる場合に、外乱電荷の影響を受け難くするとともに、耐圧の向上と耐圧の信頼性の高い終端構造部を備えるワイドバンドギャップ半導体素子を提供することができる。
実施例1にかかるpn接合ダイオードの終端構造部の断面図である。 実施例2にかかるpn接合ダイオードの終端構造部の断面図である。 実施例3にかかるMOSFETの終端構造部の断面図である。 実施例3にかかるMOSFETの変形例の終端構造部の断面図である。 実施例1にかかるダイオードの活性領域とこの活性領域を取り巻く終端構造部の要部平面図である。 図5の終端構造部Eの拡大平面図である。 本発明にかかるpn接合ダイオードの終端構造部の断面図である。
以下、本発明にかかるワイドバンドギャップ半導体素子の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する実施例の記載に限定されるものではない。
実施例1では、図1、図5、図6に、この順に終端構造部の断面図、活性領域を取り巻く終端構造部の要部平面図、図5の終端構造部E部分の拡大平面図としてそれぞれ示すpn接合ダイオードについて説明する。図1に示すように、高ドープ(不純物濃度)のn型である4H−SiC(000−1)c面8度オフの基板1の、第1の主面(以後、おもて面という)の上に、低ドープのn型であるn型耐圧層3、p型半導体層5が、この順に積層される。基板1のもう一方の主面(以後、裏面という)には、カソード電極22がオーム性接触している。活性領域A1では、p型半導体層5の表面に、高ドープのp型であるアノードコンタクト領域7が形成され、アノードコンタクト領域7にはアノード電極23がオーム性接触している。前記活性領域A1を取り巻く終端構造部E1では、p型半導体層5を貫いてn型耐圧層3に達する複数の環状分離溝31が形成され、それぞれの環状分離溝31の内面に露出するp型半導体層5とn型耐圧層3の各表面には、金属電極33がショットキー接触している。金属電極33の上端は、鋭角部分が、半導体領域(p型半導体層5ならびにn型耐圧層3)とは直接接しないように保護絶縁膜39で隔てられている。隣接する環状分離溝31の間および環状分離溝31と活性領域A1の間のp型半導体層5の表面層には、p型半導体層5よりも高ドープのp型であるp+リング領域(p+型環状半導体領域)37がそれぞれ設けられる。終端構造部E1の表面は、保護絶縁膜39に覆われている。各構成要素の数、サイズ、ドーピング濃度、材質等は、耐圧その他所望の特性によって適宜設計すべきものである。不純物のドーピング濃度は、図1の上下方向(表面から深さ方向)に沿って、必ずしも均一でなくてもよい。たとえば、設計耐圧1kVの場合、n型耐圧層3は不純物のドーピング濃度がたとえば1×1016cm-3で厚さがたとえば10μm、p型半導体層5は不純物のドーピング濃度がたとえば1.5×1017cm-3で厚さがたとえば2μmとなる。なお、図1、図5では、描画の都合上、各部分寸法の比率は正確ではない。以降の図も同様である。また、図5の一点鎖線で示す環状はそれ以上の外側領域を省略した切り欠き線を示す。アノードコンタクト領域7の不純物のドーピング濃度は、良好なオーム性接触を得るためには高いほうが好ましいが、イオン注入で形成する場合には、不純物のドーピング濃度が高すぎると耐圧歩留まりが低下することがあるので、たとえば3×1019cm-3以下とする。深さは、イオン注入の加速電圧に依存するが、たとえば最大加速電圧300kVの場合には、0.4μm程度となる。本実施例1では、p+リング領域37はアノードコンタクト領域7と同時に形成するので、不純物のドーピング濃度と深さはともにアノードコンタクト領域7と同じとなるが、異なる不純物のドーピング濃度と深さとすることを排除するものではない。また、図1では、カソード電極22とアノード電極23は単一の材料でできているように描いてあるが、実際には複数の材料からなる積層膜であってもよい。カソード電極22は、たとえば、基板1に近い側から、ニッケルとチタンの積層膜とSiC表面との反応層にさらにチタンとニッケルと金を積層した積層膜である。アノード電極23は、たとえば、アノードコンタクト領域7に近い側から、ニッケルとチタンの積層膜とSiC表面との反応層にさらにチタンとアルミニウムを積層した積層膜である。同様に、金属電極33も、一つの材料でできている必要はなく、たとえば、p型半導体層5ならびにn型耐圧層3と接触する部分はチタンであり、それよりも内部の金属電極33の材料はアルミニウムが好ましい。また、金属電極33の内部には、スが残っていても差し支えない。本実施例1では、保護絶縁膜39は、全体がシリコン酸化膜であるが、異種材料を含んだ構成とすることを排除するものではない。p型半導体層5と金属電極33からなるショットキー接触の降伏電圧は、環状分離溝31の形状および内面の平坦性と金属電極33の上端付近の形状に依存するが、たとえば70V程度である。製造誤差等を考えて、たとえば環状分離溝31を25本設けることにすると、終端構造部E1は最大で1750V程度の印加電圧を維持することができるので、活性領域A1がアバランシェ降伏する電圧(約1700V)よりも高い。実際の素子耐圧は、環状分離溝31の深さに敏感であり、p型半導体層5を確実に貫く限り、なるべく浅いほうが、耐圧が高くなる。たとえば、環状分離溝31の深さを3μm(環状分離溝31の先端までが3μmという意味である)とする。環状分離溝31の幅の絶対値は、素子耐圧への影響は小さいが、環状分離溝31底部の曲率は、素子耐圧への影響があり、曲率半径が大きいほど、耐圧は高くなる。環状分離溝31底部の曲率半径の最大値は、環状分離溝31の幅のほぼ半分となるため、環状分離溝31の幅は、たとえば1μmとする。ショットキー接触により金属電極33からp型半導体層5へ伸びる空乏層の伸張長さ(図1、図5では左右方向の長さをいう)は、降伏時でも1μmに満たないので、環状分離溝31とp+リング領域37の間隔は、製造誤差を見込んでも、たとえば3μmもあれば十分である。p+リング領域37の幅は、本実施例1の場合は、製造工程中のLOCOS酸化に似た工程でなくなってしまわないように、たとえば2μmとする。以上により、環状分離溝31のピッチ(環状分離溝31の中心線の間隔)は9μmとなり、終端構造部E1全体の長さ(図1、図5で左右方向の長さをいう)は9μm×25本=225μmとなる。実際には、活性領域A1と終端構造部E1の境界付近で内部電界が最大となり、耐圧は1100V程度となるので、環状分離溝31は16〜17本設ければ1100V以上となるので、25本あれば充分であり、全体の素子耐圧への影響はほとんどないと思われる。
このpn接合ダイオードの製造方法を、順を追って説明する。高ドープのn型である4H−SiC(000−1)c面8度オフのウェハを用意する。このウェハを、基板1(図1)とする。以降、ウェハという場合は、基板1に順次加えられるプロセスを経た後のそれぞれの基板状態を表すこととする。次に、この基板1のおもて面全面に、ドープドSiCエピタキシャル成長により、n型耐圧層3とp型半導体層5をこの順に成膜する。次に、ウェハのおもて面全面に、シリコン酸化膜(図示せず)を成膜する。膜厚は、p型半導体層5の表面のSiCを選択エッチングするためのマスクとして十分耐えられる膜厚であればよく、たとえば2μmとする。なお、成膜方法は、熱CVDでもプラズマCVDでもよい。以下、特記しない限り同様である。シリコンプロセスと同様にシリコン酸化膜をパターニングして、環状分離溝31と、図1に図示しないマスク合わせ用マーカーパターンとなるべき部分が開口された第一マスク酸化膜(図示せず)を形成する。
次に、第一マスク酸化膜をマスクとして、SiCを異方性エッチングして、p型半導体層5を貫いてn型耐圧層3に達する環状分離溝部(エッチング直後で内面形状の改善処理前の状態)を形成する。同時に、マスク合わせ用マーカーパターン(図示せず)も形成される。その後、第一マスク酸化膜を除去する。たとえば、フッ酸に浸漬すればよい。次に、ウェハのおもて面全面に、再度シリコン酸化膜(図示せず)を成膜する。膜厚は、この後、アノードコンタクト領域を形成するためのアルミニウムをイオン注入するときに突き抜けないマスク効果を有する膜厚であればよく、たとえば2μmとする。
シリコンプロセスと同様に、このシリコン酸化膜をパターニングして、アノードコンタクト領域7とp+リング領域37を形成する部分が開口された第二マスク酸化膜(図示せず)とする。続いて、ウェハのおもて面全面に、スクリーン酸化膜を、たとえば、膜厚50nm成膜する。その後、ウェハをたとえば500℃に保った状態で、選択的にアルミニウムを最大加速電圧300kVで注入して、アルミニウム原子密度が3×1019cm-3のボックスプロファイルを形成する。その後、前記第二マスク酸化膜を除去する。たとえば、フッ酸に浸漬すればよい。次に、前記環状分離溝部の内面形状の改善のためにアニール熱処理を行う。同時に、注入したアルミニウムイオンの活性化も行われる。このアニール熱処理により、前記環状分離溝部の内面形状は、エッチング直後の角ばった形状から、内面および上端部が滑らかな形状に変化して耐圧の観点から好ましい環状分離溝31となる。
続いて、たとえば1200℃のドライ酸素雰囲気で熱酸化を行い、前記ウェハのおもて面に膜厚数十nmの熱酸化膜(以降パッシベーション酸化膜という)を形成する。次に、たとえば熱CVD法により、ウェハのおもて面にシリコン窒化膜(以降バリア窒化膜という)を成膜する。このバリア窒化膜は、この後の熱酸化工程で、バリア窒化膜で保護された部分のSiC面の酸化を実質的に進行させないために十分な緻密さと厚さを必要とする。続いて、シリコンプロセスでいわゆるトレンチMOSFETのゲート電極を形成するのと同様に、リンを高濃度にドープしたポリシリコンを成膜およびエッチバックして、前記環状分離溝31の内部にポリシリコン(埋め込みポリシリコンという)を埋め込む。
その後、熱酸化を行って、前記埋め込みポリシリコンの表面にシリコン酸化膜を形成する。次に、前記バリア窒化膜をパターニングして、アノードコンタクト領域7とp+リング領域37、およびそれらの周辺部(マスク合わせ精度等、製造誤差に対する余裕分をいう)のみを残す。このとき、環状分離溝31の内部には前記埋め込みポリシリコンが存在するから、パターニングの際に、環状分離溝31の上端部の一部と内面には、バリア窒化膜が残る。その後、前記埋め込みポリシリコンと表面に露出した前記パッシベーション酸化膜を除去する。
次に、たとえば1200℃で3時間のパイロジェニック酸化を行って、露出したSiCの表面を酸化すると、シリコンプロセスにおけるLOCOS酸化工程と同様に、バリア窒化膜が存在しない部分にのみ、1.2μm程度の厚いシリコン酸化膜(LOCOS酸化膜という)が形成される。
このとき、おもて面が概ね(000−1)c面である(ここで概ねとは、エピタキシャル成長を行うために設けられた、たとえば0〜8.5度のオフ角を含むという意である)ので、LOCOS酸化膜が十分厚くなるのは、正確に(000−1)c面である面から、たとえば20〜30度程度以内の面が露出した領域に限られる。したがって、環状分離溝31の上端のごく一部を除いては、環状分離溝31の上端部には、たとえバリア窒化膜が存在しなくても、LOCOS酸化膜が極端に厚く成長することはない。したがって、酸化温度が高すぎることや酸化時間が長すぎることなどがない限り、環状分離溝31が塞がる心配はない。
また、この工程でのバーズビーク長は、たとえば1.4μmである。p+リング領域37の幅は、バーズビーク長の2倍よりも小さいから、その表面は部分的に酸化されており、表層部の一部が失われる。しかし、保護絶縁膜39の下に少しでも高ドープ領域があれば、p+リング領域37として機能する。
次に、バリア窒化膜を除去する。アノード電極23を設けるべきアノードコンタクト領域7の部分を開口したレジストパターンを形成した後、バッファードフッ酸に浸漬して、当該アノードコンタクト領域7の部分の上のパッシベーション酸化膜を除去する。レジストパターンを除去した後、ニッケルとチタンを、たとえば60nmずつ、おもて面に順次スパッタ成膜して、パターニングする。
次に、裏面の堆積物を適宜除去した後、裏面にもニッケルとチタンを、たとえば60nmずつ、順次スパッタ成膜する。その後、たとえばアルゴンのような不活性ガス中で、たとえば1000℃で熱処理を行って、アノードコンタクト領域7とアノード電極23の間、および基板1の裏面とカソード電極22の間に、オーム性接触を得る。
次に、終端構造部E1のみを開口したレジストパターンを形成した後、バッファードフッ酸に短時間浸漬して、環状分離溝31の内面のパッシベーション酸化膜を除去する。p+リング領域37の表面は、LOCOS酸化膜のバーズビークにより、酸化膜厚が厚くなっているので、LOCOS酸化膜が形成されている他の部分と同様に、この工程の後に酸化膜が残るようにすることができる。その後、レジストパターンを除去する。
次に、チタンをたとえば100nmスパッタ成膜した後、純アルミニウムをたとえば3μm成膜する。リン硝酢酸を用いて、アノード電極23となるべき部分を残してアルミニウムを適宜パターニングして、アノード電極23を形成するとともに、環状分離溝31の中にアルミニウムを埋め込む。続いて、温めたアンモニアと過酸化水素の混合水溶液中に浸漬して、表面に露出したチタンを除去する。
次に、おもて面にポリイミドを塗布した後、パターニングと焼成をして、保護絶縁膜39の残りの部分とする。最後に、Si半導体装置の金属電極形成プロセスと同様に、裏面にチタンとニッケルと金を順次成膜すると、図1、図5に示すpn接合ダイオードが完成する。
作製したpn接合ダイオードは、耐圧1100Vを達成した。試験中に耐圧が不安定になる現象はほとんど見られなくなり、極端に耐圧の低いロットが発生する頻度も低くなった。以上のように、本実施例によれば、終端構造部E1に存在する、印加電圧を有効に支えている凹部に露出する半導体表面をすべて金属で覆っているので、外乱の電荷による影響を受け難くすることができる。
実施例2では、図2に終端構造部の断面図を示すpn接合ダイオードについて説明する。構成要素は実施例1とほとんど同様であるから、同一の構成要素には同一の番号を付し、重複する説明を省略する。本実施例2においては、アノードコンタクト領域7aとp+リング領域37aは全面のエピタキシャル成長により形成される(実施例1では選択的イオン注入)。耐圧歩留まりの点から、好ましいドーピングが3×1019cm-3以下であった実施例1と違って、実施例2ではアノードコンタクト領域7のドーピングを任意に高くすることができるので、アノードコンタクト領域7とアノード電極23との接触抵抗を下げることができる。実施例1と同様の1kVの耐圧設計とするならば、n型耐圧層3はドーピングがたとえば1×1016cm-3で厚さがたとえば10μm、p型半導体層5はドーピングがたとえば1.5×1017cm-3で厚さがたとえば1.6μm、アノードコンタクト領域7はドーピングがたとえば1.5×1020cm-3で厚さがたとえば0.4μmとする。アノードコンタクト領域7の厚さは、実施例1と同様のLOCOS酸化に似た、シリコン窒化膜をマスクとして酸化する工程によりアノードコンタクト領域7が全部酸化されてなくなる程度にとどめる必要がある。
この実施例2のpn接合ダイオードの製造方法を、順を追って説明する。工程のほとんどは実施例1と同様であるから、実施例1との違いを中心に説明する。まず、実施例1と同様に、高ドープのn型である4H−SiC(000−1)c面8度オフのウェハを用意する(図2)。このウェハを、基板1とする。
次に、ウェハのおもて面全面に、実施例1と同様にドープドエピタキシャル成長により、n型耐圧層3、p型半導体層5および実施例1にはないアノードコンタクト層を順に成膜する。アノードコンタクト層のドーピングと厚さは、前記実施例1のイオン注入によるアノードコンタクト領域7と同程度にする。
次に、実施例1と同様に、異方性エッチングにより終端構造部E2の環状分離溝31とマスク合わせ用マーカーパターン(図示せず)を形成する。続いて、実施例1のアルミニウムイオン注入工程(アノードコンタクト領域形成工程)を省略して、環状分離溝部の内面形状の改善のためのアニール熱処理以降の工程を続ける。
ここで、前記全面に形成したアノードコンタクト層のうち、活性領域A2のアノードコンタクト領域7aと終端構造部E2のp+リング領域37aとなる部分およびそれらの周辺部のみを残すようにパターニングされたバリア窒化膜をマスクとして、LOCOS工程と同様の工程で、1200℃で3時間のパイロジェニック酸化を行なう。この酸化により露出したSiCの表面が酸化され、バリア窒化膜が存在しない部分ではアノードコンタクト層はすべて酸化されてなくなり、バリア窒化膜下で残った部分がアノードコンタクト領域7aおよびp+リング領域37aとなるようにする必要がある。
以上により、図2に示すpn接合ダイオードが完成する。作製したpn接合ダイオードは、実施例1と同様に、耐圧1100Vを達成した。試験中に耐圧が不安定になる現象はほとんど見られなくなり、極端に耐圧の低いロットが発生する頻度も低くなった。
以上説明したように、本実施例2によれば、終端構造部E2に存在する、印加電圧を有効に支えている環状分離溝31の内部に露出する半導体表面をすべて金属で覆っているので、外乱の電荷による影響を受け難くすることができる。実施例1と違って、この実施例2では、アノードコンタクト領域7aのドーピングを任意に高くすることができるので、アノードコンタクト領域7aとアノード電極23との接触抵抗を下げることができる利点がある。
実施例3では、図3、図4に終端構造部の断面図を示すMOSFETについて説明する。終端構造部E3の構成要素は実施例1とほとんど同様であるから、同一の構成要素には同一の番号を付し、重複する説明を省略する。活性領域A3では、p型半導体層5の表面に、高ドープのp+型ボディーコンタクト領域7bとn型ソース領域6が形成される。本実施例3では、n型ソース領域6は、表面近くが高ドープのn+型ソースコンタクト領域6aと、その下に存在するn型ソース拡張領域6bからなるが、必ずしもこのとおりである必要はない。n型ソース領域6とp型半導体層5を貫いて、n型耐圧層3に達するゲート形成用トレンチ10が形成される。トレンチ10の内面には、ゲート絶縁膜11を介してゲート電極12が埋め込まれる。n型ソース領域6とp+型ボディーコンタクト領域7bには、ソース電極23aがオーム性接触している。ソース電極23aはトレンチ10の上を覆っており、ゲート電極12とは層間絶縁膜21により絶縁されている。なお、本実施例3では、裏面にオーム性接触する電極はドレイン電極22aと呼ぶが、実質的には実施例1におけるカソード電極22と同じものである。実施例1と同様の耐圧設計とするならば、n型耐圧層3は不純物のドーピング濃度がたとえば1×1016cm-3で厚さがたとえば10μm、p型半導体層5は不純物のドーピング濃度がたとえば1.5×1017cm-3で厚さがたとえば2.5μmとなる。n型ソース拡張領域6bの深さは、後でゲート電極12を形成する場合のエッチバック余裕を考慮して、たとえば窒素を最大加速電圧700keV(一般的な400keVイオン注入装置では、2価のイオンを加速電圧350keVで注入することとする)で注入することにより、たとえば0.9μm程度の深さとする。n+型ソースコンタクト領域6aおよびp+型ボディーコンタクト領域7bは、良好なオーム性接触を得るために、それぞれたとえばリンおよびアルミニウムをたとえば0.4μmまでの深さにイオン注入することで、高ドープ(たとえば1×1020cm-3)とするが、n型ソース拡張領域6bはイオン注入により耐圧歩留まりを低下させるような欠陥を生じないように、3×1019cm-3以下、より好ましくは5×1018cm-3とする。トレンチ10の幅と深さは、製造誤差にもよるが、たとえば幅が1μm、深さが3.5μmとする。終端構造部E3における環状分離溝31aは、本実施例3においては製造上の都合で、たとえば幅が2μm、深さが4μmとする。環状分離溝31aの本数は、実施例1と同様に、たとえば25本である。環状分離溝31aのピッチはたとえば10μmとなり、終端構造部E3の長さはたとえば250μmとなる。
なお、図3の構造のままでは、トレンチ10の底部に電界集中により過剰な電界が印加され、破壊する問題が知られている。この対策としては、たとえば図4のようにトレンチ10の底部に埋め込みp+型領域8を設ける構造が好ましい。
このMOSFETの製造方法を、順を追って説明する。図3に示す終端構造部E3の製造方法は実施例1とほぼ同様であるから、両者との違いを中心に説明する。まず、実施例1と同様に、高ドープのn型である4H−SiC(000−1)c面8度オフのウェハを用意する。このウェハを、基板1とする。次に、ウェハのおもて面全面に、エピタキシャル成長により、n型耐圧層3とp型半導体層5を順に成膜する。次に、実施例1と同様に、環状分離溝31aとマスク合わせ用マーカーパターン(図示せず)を形成する。続いて、p+型ボディーコンタクト領域7b、n型ソース拡張領域6b、n+型ソースコンタクト領域6aをイオン注入で形成する。注入したイオンの活性化のためのアニール熱処理を、実施例1の環状分離溝31の内面形状の改善のためのアニール熱処理と同様の条件とすることにより、環状分離溝31aの内面形状の改善と平滑化が行われる。
続いて、シリコン酸化膜を形成し、パターニングによりゲート形成用トレンチ10を形成するためのマスクを形成し、異方性エッチングにより活性領域A3内にトレンチ10を形成する。さらに図4のように、耐圧改善のためにトレンチ10の底面下に埋め込みp+型領域8を設ける場合には、この時点でイオン注入する。その後、トレンチ10形成時のマスクを除去し、再度トレンチ内面形状を改善するためのアニール熱処理を行う。このとき、前記トレンチ10の内面の形状改善と平滑化が行われるとともに、環状分離溝31aの内面の形状はさらに丸みを帯び、さらに平滑化が進むが差し支えない。続いて、おもて面(トレンチ10と環状分離溝31aとの内面を含む)にゲート酸化膜11を形成する。終端構造部E3では、ゲート酸化膜11は、前記実施例1におけるパッシベーション酸化膜の代用となる。その後、リンを高濃度にドープした多結晶シリコンを成膜し、エッチバックする。このとき、多結晶シリコンの膜厚をうまく選ぶと、トレンチ10は完全に埋め込まれるが、環状分離溝31aは完全には埋め込まれずに溝が残るような多結晶シリコンの成膜条件および環状分離溝31aの幅にすることが好ましい。そこで、等方性の成分を持つ方法でエッチバックすると、トレンチ10の内部にはゲート電極12として多結晶シリコンが埋め込まれるが、環状分離溝31a内の多結晶シリコンは完全に埋まらず残っていた溝の隙間のためにエッチングされ、最終的に環状分離溝31a内部には多結晶シリコンが残らないようにすることができる。
次に、シリコン窒化膜(エッチストップ膜という)を成膜する。このエッチストップ膜は、前記実施例1のバリア窒化膜とは違って、その主たる役割は、層間絶縁膜21をエッチバックする際のエッチストップ膜であるが、バリア窒化膜の一部(または活性領域A3の表面上と環状分離溝31a内部では同等物)ともなる。活性領域A3の部分のみエッチストップ膜を開口した後、シリコン酸化膜(適宜、リンまたはホウ素等がドープされていてもよい)を主成分とする層間絶縁膜21を成膜する。活性領域A3の部分を残すようにレジストで保護した後、エッチバックを行って、活性領域A3の上だけでなく、環状分離溝31a内にも層間絶縁膜を残す。続いて、さらにシリコン窒化膜(上層バリア窒化膜という)を成膜する。終端構造部E3の表面上では、前記エッチストップ膜と前記上層バリア窒化膜とにより、バリア窒化膜が形成される。活性領域A3の表面では上層バリア窒化膜、環状分離溝31a内部ではエッチストップ膜がそれぞれバリア窒化膜の代用となる。前記実施例1と同様に、バリア窒化膜をパターニングして、活性領域A3のp+型ボディーコンタクト領域7bとp+リング領域37およびそれらの周辺部を残す。このとき、環状分離溝31aには層間絶縁膜21が埋め込まれているので、環状分離溝31aの上端部の一部と内面にはバリア窒化膜が残ることになる。その後、終端構造部E3の表面に露出したゲート酸化膜11と、環状分離溝31a内に埋め込まれた層間絶縁膜21を除去する。次に、前記実施例1と同様にLOCOS酸化を行うと、実施例1と同様に、バリア窒化膜が存在しない部分にのみ、LOCOS酸化膜が形成される。なお、LOCOS酸化膜は、ゲートパッド(図3および図4には図示せず)下に設けられる厚い絶縁膜としても用いることができる。その後、バリア窒化膜を除去する。続いて、活性領域A3に残った層間絶縁膜21に、ソースコンタクト領域6aおよびp+型ボディーコンタクト領域7bに対するコンタクトホール(図3および図4には図示せず)を設け、ソース電極23aおよびドレイン電極22aのSiC表面との接触部を形成する。
次に、前記実施例1と同様に、環状分離溝31aの内面のゲート酸化膜11を除去する。おもて面にチタンを成膜した後、層間絶縁膜21に、ゲートパッドに対するコンタクトホール(図3および図4には図示せず)を形成する。このとき、コンタクトホールを形成すべき部分に成膜されているチタンは、層間絶縁膜21のエッチングに先立って、エッチングで除去する。その後、前記実施例1と同様におもて面にアルミニウムを成膜する。アルミニウムを適宜パターニングした後、表面に露出したチタンを実施例1と同様に除去する。おもて面にポリイミドを塗布した後、パターニングと焼成をして、保護絶縁膜39の残りの部分とする。最後に、Siデバイスの金属電極工程と同様に、裏面にチタン、ニッケル、金を順次成膜して、図3(または図4)のMOSFETが完成する。このようにして作製したMOSFETは、実施例1と同様に、耐圧1100Vを達成した。試験中に耐圧が不安定になる現象はほとんど見られなくなり、極端に耐圧の低いロットが発生する頻度も低くなった。
以上の説明のように、本実施例3によれば、終端構造部E3に存在し、印加電圧を有効に支えている環状分離溝31aの内面に露出する半導体表面をすべて金属で覆っているので、外乱の電荷による影響を受けにくい利点が、前述のpn接合ダイオードだけでなく、MOSFETでも得られる。なお、本実施例3で取り上げた以外の活性領域A3の構造およびその製造方法を有するものであっても、ゲート周辺の構造を先に作ってからLOCOS酸化する製造方法は、多くの場合に適用可能であり、それらに適用するための変形は、当業者にとって容易である。
1 基板
3 n型耐圧層
5 p型半導体層
6 n型ソース領域
6a n+型ソースコンタクト領域
6b n型ソース拡張領域
7、7a アノードコンタクト領域
7b p+型ボディーコンタクト領域
8 埋め込みp+型領域
10 トレンチ
11 ゲート絶縁膜
12 ゲート電極
21 層間絶縁膜
22 カソード電極
22a ドレイン電極
23 アノード電極
23a ソース電極
31、31a 環状分離溝
33 金属電極
37、37a p+型環状半導体領域、p+リング領域
39 保護絶縁膜
E1、E2、E3 終端構造部
A1、A2、A3 活性領域

Claims (6)

  1. 第1導電型耐圧層上に積層される第2導電型半導体層を有する半導体基板が、主電流の流れる活性領域と該活性領域を取り巻く終端構造部とを備え、前記活性領域は前記第1導電型耐圧層と前記第2導電型半導体層との間のpn主接合を有し、前記終端構造部は、表面から前記第2導電型半導体層を貫いて前記第1導電型耐圧層に達する深さを有して少なくとも前記活性領域と終端構造とを分離する環状分離溝を含む複数の環状分離溝を有するとともに、該複数の環状分離溝の内面すべてを覆い、前記複数の環状分離溝の内面にそれぞれ露出する前記第2導電型半導体層表面と前記第1導電型耐圧層表面とにショットキー接触し、前記複数の環状分離溝間では相互に絶縁される金属電極を備えることを特徴とするワイドバンドギャップ半導体素子。
  2. 前記複数の環状分離溝の内面すべてを覆う金属電極と、前記複数の環状分離溝の内面に露出する前記第2導電型半導体層表面のうち前記活性領域側の表面部分とのショットキー接触の降伏電圧を、前記複数の環状分離溝の数だけ加算した電圧が、前記活性領域の前記pn主接合によるアバランシェ降伏電圧よりも高いことを特徴とする請求項1に記載のワイドバンドギャップ半導体素子。
  3. 前記複数の環状分離溝間に位置する前記第2導電型半導体層の表面または表面層に、該第2導電型半導体層よりも高ドープの第2導電型環状半導体領域を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のワイドバンドギャップ半導体素子。
  4. 前記複数の環状分離溝のうち、最も前記活性領域に近い環状分離溝と前記活性領域との間に位置する前記第2導電型半導体層の表面または表面層に、前記第2導電型半導体層よりも高ドープの第2導電型環状半導体領域を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のワイドバンドギャップ半導体素子。
  5. 前記第1導電型耐圧層および前記第2導電型半導体層が、炭化珪素半導体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のワイドバンドギャップ半導体素子。
  6. 前記第1導電型がn型であり、前記第2導電型がp型であって、前記ショットキー接触を構成する金属電極がチタンであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のワイドバンドギャップ半導体素子。
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