JP5485494B2 - 重合体、その重合体の製造方法およびその重合体を用いたセメント混和剤 - Google Patents

重合体、その重合体の製造方法およびその重合体を用いたセメント混和剤 Download PDF

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本発明は、重合体、その重合体の製造方法およびその重合体を用いたセメント混和剤に関する。
ポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位を有する重合体は、特許文献1や特許文献2に開示されているように、セメントのような無機粉体の分散剤として広く使用されている。しかしながら、従来の重合体は分子量分布が広く無機粉体を凝集させる高分子量部分や、分散性能にあまり寄与しない低分子量部分が多く含まれていた。
特に、セメント分散剤においては、通常、建築物外壁材・建築物構造体などでは、セメントに水を添加したセメントペーストやセメントペーストに細骨材である砂を混合したモルタル、モルタルに粗骨材である石を混合させたコンクリートなどにセメント混和剤を加えて加工することで、セメント硬化物の強度や耐久性を高めている。上記セメント混和剤には、セメント組成物の含水量(減水)を低下させても十分な分散性・流動性・施工性を確保できると共に、減水によって耐久性や強度を向上できることが要求される。したがって、少量の添加量で高い減水性能を有するセメント混和剤が求められている。
上記セメント混和剤の中でもポリカルボン酸系のセメント混和剤は、ナフタレン系などの他のセメント混和剤と比べてセメント組成物に高い分散性を付与できることから、好適に用いられている。例えば、特許文献1には、特定の不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体からなる共重合体を含むセメント混和剤が開示されている。また、特許文献2には、特定の不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体と不飽和モノカルボン酸である(メタ)アクリル酸系単量体や不飽和ジカルボン酸であるマレイン酸系単量体からなる共重合体を含むセメント混和剤が開示されている。しかし、上記セメント混和剤でも減水性の点で若干不十分であった。
特開平9−86990号公報 特開2001−220417号公報
上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、ポリアルキレングリコール鎖とカルボキシル基を有するポリマーでありながら、従来の共重合体とは異なる分子量分布の非常に狭い重合体、ならびにそれらを用いた分散性がより高いセメント混和剤を提供することにある。
本発明者らは、特許文献1、2に記載のような従来の分子量分布が広いポリマーであっても、比較的高いセメント分散性能を示すものの、高分子量部分はセメント粒子を凝集させる効果を有するためセメント分散性能を阻害し、低分子量部分はセメント粒子分散性能が低いため分散性能に寄与しないと考えた。そこで分散性能に寄与しない高分子量部分と低分子量部分を低減した分子量分布が狭いポリマーであればさらにセメント分散性能が向上すると考えて分子量分布が狭いポリマーを作成し、その分散性能を検討した。その結果、得られた結果を基にしてパラメーターを作成し、該パラメーターの値が特定の範囲内にあるポリマーを含むセメント混和剤を用いて得られたセメント組成物では、分散性が非常に優れていることを見出した。その際、ポリオキシアルキレン鎖を有する不飽和単量体を含む単量体をリビング重合することにより容易にパラメーターを満たす重合体を製造できることを見出し、本発明に至った。
<i>本発明の重合体は、ポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位を含む重合体(P)であって、下記数式(1)により定義されるPD値の範囲を満たすことを特徴とする重合体。
1<PD<MD (1)
[式中、PD=Mw/Mn、MD=G(n)×Mw+H(n)、G(n)×Mwは下記数式(2)
G(n)×Mw={−0.985×ln(n)+5.802}×10−5×Mw (2)
により定義され、(nは重合体(P)のオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、Mw、Mnはそれぞれ重合体(P)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された重量平均分子量、数平均分子量を表す。)
H(n)は下記数式(3)
H(n)=4.513×10−5×n−6.041×10−3×n+1.351(3)
により定義される(nは重合体(P)のオキシアルキレン基の平均付加モル数を表す。)。]
<ii>また、上記重合体は、前記ポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位を含む重合体(P)がポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位とカルボキシル基由来の部位を有する構成単位を必須として含むことを特徴としている。
<iii>また、前記重合体のポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位が、下記化学式(1)
[式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、AOは同一または異なって、炭素数2以上のオキシアルキレン基の1種または2種以上(2種以上の場合はブロック状に付加していてもランダム状に付加していても良い)を表し、xは0〜2の整数を表し、yは0または1を表し、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数であり、Rは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す]
で表される構成単位(I)を含んでなる<i>または<ii>に記載の重合体であることを特徴としている。
<iv>また、前記カルボキシル基由来の部位を有する構成単位が、下記化学式(2)
[式中、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子またはメチル基、−(CH)zCOOM(−(CH)zCOOMは、−COOMまたはその他の−(CH)zCOOMと無水物を形成していても良い)を表し、Zは0〜2の整数を表し、MおよびMは同一または異なって、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基または有機アミン基を表す]
で表される構成単位(II)を含んでなる<ii>に記載の重合体であることを特徴としている。
<v>また、ポリオキシアルキレン鎖を有する不飽和単量体(I−M)を含む不飽和単量体(M)をリビング重合することを特徴とすることにより、前記ポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位を含む重合体(P)を好適に製造できる。
<vi>その際、不飽和単量体(M)にカルボキシル基由来の部位を有する不飽和単量体(II−M)を含むことも好ましい。
<vii>また、前記ポリオキシアルキレン鎖を有する不飽和単量体(I−M)は下記化学式(3)
[式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、AOは同一または異なって、炭素数2以上のオキシアルキレン基の1種または2種以上(2種以上の場合はブロック状に付加していてもランダム状に付加していても良い)を表し、xは0〜2の整数を表し、yは0または1を表し、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数であり、Rは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す]
で示される不飽和単量体である<v>に記載の製造方法であることが好ましい。
<viii>また、前記カルボキシル基由来の部位を有する不飽和単量体(II−M)は、下記化学式(4)
[式中、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子またはメチル基、−(CH)zCOOM(−(CH)zCOOMは、−COOMまたはその他の−(CH)zCOOMと無水物を形成していても良い)を表し、Zは0〜2の整数を表し、MおよびMは同一または異なって、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基または有機アミン基、炭素数3〜18の炭化水素基を持つシリル基を表す]
で示される不飽和単量体である<vi>に記載の製造方法であることが好ましい。
本発明の重合体およびセメント混和剤用ポリカルボン酸系ポリマーは、無機粉体を凝集させる高分子量側ポリマーとセメント分散性にあまり寄与しない低分子量側のポリマーを低減し、分子量分布がある特定のパラメーターでの限られた範囲内に限定しているため、非常に分子量分布がシャープであり、該重合体を無機粉体の分散剤に用いることにより分散性能を向上することができる。特に、無機粉体としてセメントを用いた場合では優れた分散性能を発現することができる。
本発明の重合体は、ポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位を含む重合体(P)であって、下記数式(1)
1<PD<MD (1)
[式中、PD=Mw/Mn、MD=G(n)×Mw+H(n)、G(n)×Mwは下記数式(2)
G(n)×Mw={−0.985×ln(n)+5.802}×10−5×Mw (2)
により定義され、(nは重合体(P)のオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、Mw、Mnはそれぞれ重合体(P)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された重量平均分子量、数平均分子量を表す。)
H(n)は下記数式(3)
H(n)=4.513×10−5×n−6.041×10−3×n+1.351(3)
により定義される(nは重合体(P)のオキシアルキレン基の平均付加モル数を表す。)。]
により定義されるPD値の範囲を満たすことを特徴としている。上記MD値は下記の方法で求めることができる。
<<パラメーターの算出方法>>
(1)前記ポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位を含む重合体(P)の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定する。
(2)前記ポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位を含む重合体(P)のオキシアルキレン鎖の平均付加モル数(n)が不明の場合はNMR等で平均付加モル数(n)を測定する。
(3)(1)、(2)で求められた重量平均分子量(Mw)及びオキシアルキレン鎖の平均付加モル数(n)の値を数式(1)〜数式(3)に代入しMD値を求める。
上記MD値は、ポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位を含む重合体の分子量分布(分散度)を表すパラメーターである。以下に本願のMD値について説明する。
Mw/MnはMwと強い相関がある。ポリマーがアルキレングリコールのように長い側鎖を持つ時は、側鎖長(n)もMw/Mnに影響する。またコポリマーの場合は、ポリマーの組成も分子量分布に影響する。よって長い側鎖を持つコポリマーの分子量分布は下記数式(4)
Mw/Mn=F(Mw,n,組成) (4)
で示される分子量、側鎖の大きさ、組成の関数として表せる。
GPCは原理的に相対値を測定するので、数式(4)はあるGPC条件で固有の式となり、一定条件で様々なポリマーを測定した結果から矛盾の無いように導出しなければならない。後述のGPC条件での数式(4)の導出は下記のような手順で行った。
Mw、n、組成を様々に変えた多数のポリマーを測定した結果、測定するポリマーがGPCカラムに吸着しない場合、組成は測定結果への影響が小さいので無視することができ、分子量分布パラメーター値(MD値)は下記数式(5)
MD=G(n)×Mw+H(n) (5)
で表せることができる。
右辺第1項は主にMw/Mnに対するMwの影響、右辺第2項はMw/Mnに対するポリオキシアルキレン鎖長nの影響を表す。
一定のオキシアルキレン鎖長nでMwの異なるポリマーについて、X軸にMw、Y軸にMw/Mnをとると、両者の関係は1次関数で表され、傾きからその側鎖長におけるG(n)の値、切片からそのnにおけるH(n)の値が算出された。別のオキシアルキレン鎖長nを有するポリマーについても、同様の手順でG(n)、H(n)の値を算出した。
次いでX軸にn、Y軸にG(n)をとると、両者の関係は下記数式(6)
G(n)={a1×ln(n)+a2}×10−5 (6)
で示される自然対数でよく近似された。但し、a1、a2は測定結果より求まる定数であり、a1=−0.985、a2=5.802であった。
更にX軸にn、Y軸にH(n)をとると、両者の関係は下記数式(7)
H(n)=b1×n+b2×n+b3 (7)
で示される2次式でよく近似された。但し、b1、b2、b3は測定結果より求まる定数であり、b1=4.513×10−5、b2=−6.041×10−3、b3=1.351であった。よって数式(6)は下記数式(8)
MD={−0.985×ln(n)+5.802}×10−5×Mw+4.513×10−5×n−6.041×10−3×n+1.351 (8)
で示される。
本発明のポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位を含む重合体(P)のパラメーターの範囲は、上記の数式から得られた分子量分布(分散度)パラメーター値(MD値)をもちいて、1<PD<MDの範囲である。
例えば、(a)重量平均分子量30,000、オキシアルキレン鎖の平均付加モル数25の重合体であれば、G(n)×Mw=0.789、H(n)=1.226となり、分子量分布パラメーター値はMD=0.789+1.226=2.015となる。また、(b)重量平均分子量40,000、オキシアルキレン鎖の平均付加モル数50の重合体であれば、G(n)×Mw=0.779、H(n)=1.160となり、分子量分布パラメーター値はMD=0.779+1.160=1.939となる。したがって、(a)重量平均分子量30,000、オキシアルキレン鎖の平均付加モル数25の重合体であれば、PD<2.015を満たすPD値を有する重合体が本発明の重合体(P)であり、また、(b)重量平均分子量40,000、オキシアルキレン鎖の平均付加モル数50の重合体であれば、PD<1.939を満たすPD値を有する重合体が本発明の重合体(P)となる。
また、上記の分子量分布パラメーター値(MD値)は重合体の分散度(Mw/Mn)を表すパラメーターであり、その値が大きければ分散度が大きく重合体の分子量分布が広いことを表し、その値が小さければ分散度が小さく重合体の分子量分布が狭いことを表している。本発明の重合体(P)は上記の分子量パラメーター値(MD値)未満のPD値の範囲を有するものであり、分子量分布は非常に狭いものであることを意味している。
上記パラメーターPDの値は1<PD<MDの関係であれば特に制限はないが、分子量分布(分散度)が狭いほど無機粉体の分散性能を向上させる観点からは、PD<MD−0.1、さらに好ましくはPD<MD−0.15、さらに好ましくはPD<MD−0.2、さらに好ましくはPD<MD−0.25、さらに好ましくはPD<MD−0.3、さらに好ましくはPD<MD−0.35である。また、重合体の製造の観点からは、1<PDが好ましく、さらに好ましくは1.05<PD、さらに好ましくは1.1<PD、さらに好ましくは1.15<PD、さらに好ましくは1.2<PD、さらに好ましくは1.25<PD、さらに好ましくは1.3<PDである。
<ポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位を含む重合体>
本発明のポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位を含む重合体(P)は、重合体中にポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位を含んでいれば特に制限されないが、ポリオキシアルキレン鎖は重合体主鎖にグラフトされている構造が好ましい。ポリオキシアルキレン鎖の由来の構成単位は重合体中2〜98質量%含んでいることが好ましく、さらに50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上含むことが好ましい。ただし、質量%の計算において、重合体の構成単位が酸や塩基など塩を形成しうる官能基を有する場合は、塩を形成していない状態で質量を計算する(例えば、カルボン酸塩ならカルボン酸に換算、アミン塩ならアミンに換算する)ものとし、以下でも同様とする。
また、オキシアルキレン鎖は構成するオキシアルキレン基の種類および平均付加モル数は特に制限されないが、炭素数2〜18のオキシアルキレン基が好ましい、さらに好ましくは炭素数2〜8のオキシアルキレン基が好ましい。また、水を媒体とした無機粉体の分散性能の観点からは、オキシアルキレン基の親水性を高める必要があり、炭素数2のオキシエチレン基が主体を占めることが好ましい。このとき、炭素数3以上のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の比率としては、50モル%以上、好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
また、オキシアルキレン鎖の平均付加モル数は特に制限されないが、オキシアルキレン鎖は平均付加モル数は1〜300モルが好ましく、無機粉体の分散性能向上の観点からは2モル以上が好ましく、さらに好ましくは4モル以上、さらに好ましくは6モル以上、さらに好ましくは10モル以上、さらに好ましくは15モル以上、さらに好ましくは20モル以上である。オキシアルキレン鎖の製造の観点からは、オキシアルキレン鎖の上限は300モルが好ましく、さらに好ましくは250モル、さらに好ましくは200モル、さらに好ましくは150モルである。
上記重合体(P)はポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位とさらにカルボキシル基由来の構成単位を有するものが好ましく、カルボキシル基を有する構成単位は重合体中2〜90質量%含んでいることが好ましく、無機粉体への吸着性能の観点から2質量%以上、好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7.5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは12.5質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上である。しかしながら、カルボキシル基を有する構成単位が多くなりすぎると、無機粉体を分散させる機能を有する構成単位の導入量が少なくなることからその上限は、90質量%、好ましくは80質量%、さらに好ましくは60質量%、さらに好ましくは50質量%、さらに好ましくは40質量%、さらに好ましくは35質量%、さらに好ましくは30質量%である。
上記のポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位は、下記化学式(1)
[式中、RおよびRは互いに独立して水素原子またはメチル基を表し、AOは互いに独立して炭素数2以上のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物(2種以上の場合はブロック状に付加していてもランダム状に付加していても良い)を表し、xは0〜2の整数を表し、yは0または1を表し、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数であり、Rは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す]
で表される構成単位(I)を2〜98質量%含んでいることが好ましい。オキシアルキレン鎖は立体反発効果によりセメント粒子のような無機粉体を分散させる機能を有し、2〜98質量%含むことでセメント粒子を十分に分散させることができるため好ましい。上記化学式(1)では、RおよびRは同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、AOは同一または異なって、炭素数2以上のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物(2種以上の場合はブロック状に付加していてもランダム状に付加していても良い)を表し、xは0〜2の整数を表し、yは0または1を表し、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数であり、Rは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
上記構成単位(I)は、上記の無機粉体分散効果を得るためには、ポリマー中に2質量%以上(好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上)含むことが好ましい。しかし、上記構成単位(I)の含有量が多くなると、セメントのような無機粉体粒子に吸着する機能を有する構成単位(II)の含有量が少なくなるため多量の混和剤を添加しなければ十分な流動性を有する組成物が得られない。そのため含有率の上限は98質量%(好ましくは95質量%、さらに好ましくは90質量%、さらに好ましくは85質量%、さらに好ましくは80質量%)とする。
特に上記AOで表されるオキシアルキレン基は、炭素数2〜18のオキシアルキレン基が好ましく、水を媒体とした無機粉体の分散性能の向上の観点からはオキシアルキレン基の親水性を高める必要があり、炭素数2のオキシアルキレン基であるオキシエチレン基が主体を占めることが好ましい。このとき、構成単位(I)中での炭素数3以上のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の比率としては、モル比で50モル%以上、好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
また、構成単位(I)中のオキシアルキレン鎖に炭素数3以上のオキシアルキレン基を導入し、ある程度の疎水性を付与することでセメント粒子に若干の構造(ネットワーク)をもたらすことにより、本発明の重合体を用いて製造されたコンクリートの状態を改善する(コンクリートの粘性やこわばりを低減できるなど)こともできる。しかし、炭素数3以上のオキシアルキレン基を導入しすぎると、得られたポリマーの疎水性が高くなりすぎることから、セメントを分散させる性能が低下することがある。構成単位(I)中の炭素数3以上のオキシアルキレン基の比率は、疎水性を付与する観点から、好ましくは1モル%以上、より好ましくは3モル%以上、さらに好ましくは5モル%以上であり、また、セメント分散性能の観点から、好ましくは50モル%以下、より好ましくは40モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下である。
炭素数3以上のオキシアルキレン基としては導入のしやすさ、セメントとの親和性の観点から、炭素数3〜8のオキシアルキレン基、さらには炭素数3〜4のオキシプロピレン基やオキシブチレン基が好ましい。
オキシアルキレン鎖の平均付加モル数は1〜300モルが好ましく、無機粉体の分散性能向上の観点からは2モル以上が好ましく、さらに好ましくは4モル以上、さらに好ましくは6モル以上、さらに好ましくは10モル以上、さらに好ましくは15モル以上、さらに好ましくは20モル以上である。オキシアルキレン鎖の製造の観点からは、オキシアルキレン鎖の上限は300モルが好ましく、さらに好ましくは250モル、さらに好ましくは200モル、さらに好ましくは150モルである。
オキシアルキレン鎖の末端基Rは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基[炭素数1〜20のアルキル基(脂肪族アルキル基または脂環式アルキル基)、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアルキニル基、炭素数6〜20のフェニル基、アルキルフェニル基、ナフチル基などのベンゼン環を有する芳香族基などが挙げられる]であるが、水を媒体とした無機粉体(セメント組成物等)を分散させる観点から疎水性が低いことが好ましく、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基等が挙げられる)、さらには水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基等が挙げられる)、さらには水素原子または炭素数1〜3の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる)が好ましい。
上記のカルボキシル基由来の部位を有する構成単位は、下記化学式(2)
[式中、R、RおよびRは互いに独立して水素原子またはメチル基、−(CH)zCOOM(−(CH)zCOOMは、−COOMまたはその他の−(CH)zCOOMと無水物を形成していても良い)を表し、zは0〜2の整数を表し、MおよびMは互いに独立して水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基または有機アミン基を表す]
で表される構成単位(II)を2〜90質量%含んでなることが好ましい。
上記化学式(2)ではR、RおよびRは同一または異なって、水素原子またはメチル基、−(CH)zCOOM(−(CH)zCOOMは、−COOMまたはその他の−(CH)zCOOMと無水物を形成していても良い)を表し、Zは0〜2の整数を表し、MおよびMは同一または異なって、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類原子、アンモニウム基または有機アミン基を表している。
上記構成単位(II)は、セメントのような無機粉体に吸着作用を及ぼす部分であり、無機粉体に対する吸着性を十分に付与する観点から、重合体中に2質量%以上(好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7.5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは12.5質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上)含まれていることが好ましい。しかし含有率が多すぎれば、無機粉体を分散させる機能を有する構成単位(I)の重合体中の含有量が少なくなるため混和剤を多量に添加しなければ十分な流動性を有する組成物を得ることができない。そのため、含有率の上限は90質量%(好ましくは80質量%、さらに好ましくは60質量%、さらに好ましくは50質量%、さらに好ましくは40質量%、さらに好ましくは35質量%、さらに好ましくは30質量%)とする。
上記重合体(P)は、上記必須の構成単位(繰り返し単位)を有することを特徴とし、後述の単量体(III−M)に由来する構成単位(III)をさらに有するものであっても良い。これらの構成単位はそれぞれ1種であってもよく、2種以上であっても良い。
上記重合体(P)を構成する各構成単位の比率としては、質量比で、構成単位(I)/構成単位(II)/構成単位(III)=2〜98質量%/2〜90質量%/0〜50質量%(好ましくは50〜95質量%/5〜80質量%/0〜40質量%、より好ましくは60〜90質量%/7.5〜60質量%/0〜30質量%)で用いることが好ましい。
<ポリオキシアルキレン基由来の構成単位を含む重合体(P)を得るための単量体>
前記構成単位(I)を与える単量体としては、下記化学式(3)
[式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、AOは同一または異なって、炭素数2以上のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物(2種以上の場合はブロック状に付加していてもランダム状に付加していても良い)を表し、xは0〜2の整数を表し、yは0または1を表し、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数であり、Rは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す]
で示される単量体を含む不飽和単量体成分(以下「I−M」とも称する)で表される。
不飽和単量体成分(I−M)としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ノニルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの炭素数1〜20の飽和脂肪族アルコール類、アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコール、オレイルアルコールなどの炭素数3〜20の不飽和脂肪族アルコール類、シクロヘキサノールなどの炭素数3〜20の脂環式アルコール類、フェノール、フェニルメタノール(ベンジルアルコール)、メチルフェノール(クレゾール)、p−エチルフェノール、ジメチルフェノール(キシレノール)、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、フェニルフェノール、ナフトールなどの炭素数6〜20の芳香族アルコール類のいずれかに炭素数2〜18のアルキレンオキシドを付加することによって得られるアルコキシポリアルキレングリコール類、炭素数2〜18のアルキレンオキシドを重合したポリアルキレングリコール類と(メタ)アクリル酸、クロトン酸とのエステル化物を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸のアルコキシポリアルキレングリコール類のエステルが好ましい。さらにビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、2−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−1−オールなどの不飽和アルコールにアルキレンオキシドを1〜300モル付加した化合物を挙げることができ、これら1種または2種以上を用いることができる。これらの単量体の中でも特に(メタ)アリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オールを用いた化合物が好ましい。なお上記の不飽和エステル類および不飽和エーテル類は、アルキレンオキシドとしては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドなどの炭素数2〜18のアルキレンオキシドの中から選ばれる任意の1種、あるいは2種以上のアルキレンオキシドを付加させてもよい。2種以上を付加させる場合、ランダム付加、ブロック付加、交互付加などのいずれであってもよい。
前記構成単位(II)を与える単量体としては、下記化学式(4)
[式中、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子またはメチル基、−(CH)zCOOM(−(CH)zCOOMは、−COOMまたはその他の−(CH)zCOOMと無水物を形成していても良い)を表し、Zは0〜2の整数を表し、MおよびMは同一または異なって、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類原子、アンモニウム基または有機アミン基、炭素数3〜18の炭化水素基を持つシリル基を表す]
で示される単量体を含む不飽和単量体成分(以下「II−M」とも称する)で表される。
II−Mで示される不飽和単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸系単量体、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのジカルボン酸系単量体、またこれらの無水物もしくはその塩(例えば、一価金属、二価金属、三価金属、アンモニウムまたは有機アミノ酸の塩)である。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸(中でもアクリル酸、メタクリル酸が好ましい)およびこれらの塩が重合性の観点から好ましい。また、これらの単量体は2種以上併用してもよい。
上記I−MやII−Mとは異なる成分であり、かつI−MやII−Mと共重合可能な不飽和単量体(III−M)をさらに用いることも好ましい。不飽和単量体III−Mとして、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜20のアルキルアルコール、炭素数2〜18のグリコールもしくはこれらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールおよび炭素数1〜20のアルキルアルコールに炭素数2〜18のアルキレンオキシドもしくはアルキレンオキシドの付加モル数2〜300のアルコキシポリアルキレンオキシドとのモノエステル類、ジエステル類、またこれら酸と炭素数1〜20のアルキルアミンおよび炭素数2〜18のグリコールの片末端アミノ化物、もしくはこれらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールの片末端アミノ化物とのモノアミド、ジアミド類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸類と炭素数1〜20のアルキルアルコール、炭素数2〜18のグリコールもしくはこれらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールおよび炭素数1〜20のアルキルアルコールに炭素数2〜18のアルキレンオキシドもしくはアルキレンオキシドの付加モル数2〜300のアルコキシポリアルキレングリコールとのエステル類、またこれらの酸と炭素数1〜20のアルキルアミンおよび炭素数2〜18のグリコールの片末端アミノ化物、もしくはこれらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールの片末端アミノ化物とのアミド類;スルホエチル(メタ)アクリレート、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸などの不飽和スルホン酸類、ならびにこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミドなどの不飽和アミド類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和アミノ化合物類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどの炭素数3〜20のアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;スチレンなどの芳香族ビニル類などを挙げることができ、これら1種または2種以上を用いることができる。
不飽和単量体(I−M)、不飽和単量体(II−M)および不飽和単量体(III−M)を共重合してポリマーを得るには、これら不飽和単量体の使用割合は、合計量を100質量%として、不飽和単量体(I−M)/不飽和単量体(II−M)/不飽和単量体(III−M)=2〜98質量%/2〜90質量%/0〜50質量%(好ましくは50〜95質量%/5〜80質量%/0〜40質量%、より好ましくは60〜90質量%/7.5〜60質量%/0〜30質量%)で用いることが好ましい。
重合体(P)の重量平均分子量Mwは、目的に合わせて適宜調整することができる。例えば、重合体(P)を無機粉体の分散剤として使用するには、分散したい無機粉体の種類や粒径などによって適切に重合体(P)のMwを調整すればよい。重合体(P)をセメント分散剤として用いる場合には、セメント粒子へ重合体(P)を吸着させて、セメント粒子を十分に分散させる観点から、重合体(P)のMwは1,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、10,000以上がさらに好ましく、15,000以上がさらに好ましく、20,000以上がさらに好ましく、25,000以上がさらに好ましい。また、セメント粒子の凝集を防ぐ観点から、重合体(P)のMwは500,000以下が好ましく、200,000以下がより好ましく、100,000以下がさらに好ましく、80,000以下がさらに好ましく、60,000以下がさらに好ましく、40,000以下がさらに好ましい。ただし、上記Mwの値は、本明細書に記載のGPC条件で測定した場合のものである。
<ポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位を含む重合体(P)の製造>
本発明のポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位を含む重合体(P)は、前記の本発明のパラメーター値(PD値)を有するものであり、特に分子量分布が狭いことを特徴とする重合体である。本発明のパラメーター値(PD値)を有する重合体の製造方法として次のような形態を挙げることができる。
(1)公知の重合方法で得られたポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位を有する重合体をゲルマーミエーションクロマトグラフィー(GPC)や濾過膜等を用いて分画する方法、溶解度の差による分別、あるいは透析する方法。
(2)ポリオキシアルキレン鎖を有する不飽和単量体を含む単量体をリビング重合する方法。リビング重合の中でもリビングラジカル重合が好ましい。以下にリビングラジカル重合法の一形態をしめす。
リビングラジカル法には多くの手法が知られている。例えばTEMPO(2,2,6,6−Tetramethyl−1−piperidinyloxy)などの窒素酸化物を用いる方法、遷移金属触媒を用いた重合方法(ATRP(Atom Transfer Radical Polymerization)法と称されることもある)、RAFT(Reversible Addition−Fragmentation chain Transfer)法などがある。
リビングラジカル重合の一形態として遷移元素触媒を用いた重合方法であるが、新規触媒系を用いることにより、特に(メタ)アクリル系モノマーやポリアルキレングリコール側鎖を持つモノマーのように高極性のモノマーを、バルクもしくは高極性溶媒中で重合する方法がある。新規触媒系は下記化学式(5)
(M)a(L)b(X)c (5)
[式中、Mは第4周期に属する遷移元素、Lは下記化学式(6)
(AI)d(AO)e(AS)f (6)
で表され、AIはアルキレンイミン、AOはアルキレンオキシド、ASはアルキレンスルフィド、Xはハロゲンを表し、a、b、c、d、e、fはそれぞれ独立に0以上の数を表す]
で表される有機金属化合物と下記化学式(7)
[式中、R、R、R、R10はそれぞれ独立に水素、炭化水素基、あるいはハロゲンを表すが、炭化水素基には1個以上のハロゲンやヘテロ元素が含まれていてもよい]
で表される有機ハロゲン化合物の混合物である。
上記触媒系は化学式(5)で示される化合物の1種または2種以上の化合物および、化学式(7)で示される化合物の1種または2種以上の化合物により構成される。
化学式(5)中のLとしては一般的にビピリジン系化合物、トリフェニルホスフィン系化合物といった複素環や芳香環を持つ化合物が使用されているが、モノマーや溶媒との溶解性に限界があり、特に高極性溶媒や高極性モノマーを用いた場合に重合が進行しないなどの欠点があった。一方、化学式(6)の化合物を用いた化学式(5)の化合物は、炭素原子に比較して電気陰性度の大きい窒素原子、酸素原子、硫黄原子を多数含むことにより、高極性溶媒中においても安定性、溶解性が向上し、また(メタ)アクリル系モノマーやポリアルキレングリコール側鎖を持つモノマーのような高極性モノマーに対する親和性が大きくなった。その結果、高極性溶媒中であっても高極性モノマーのリビングラジカル重合が可能となり、分子量分布の小さなポリマーを高収率で得ることが出来た。またリビングラジカル重合であるので、従来のラジカル重合とは異なり、ランダムポリマーだけでなくブロックポリマーを合成することも可能となった。
化学式(5)の化合物は1種類で用いても化学式(5)を満たす複数種の化合物の混合物で用いても良い。化学式(5)の化合物は、重合速度を向上させるために異なる2種類以上のMを含有することが好ましく、正電荷数の異なる2種類のMを含有することがより好ましい。この場合、正電荷数をg、h(g<h)とすると、Mg+に対するMh+のモル比(Mh+/Mg+)は、特に限定されるものではないが、分子量分布の観点から、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは1モル%以上、さらに好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上であり、また、重合速度の観点から、好ましくは1,000モル%以下、より好ましくは200モル%以下、さらに好ましくは100モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下である。
また、モノマーに対するMの合計量のモル比は、必要とする重合体の分子量に依存するが、重合速度の観点から、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.1モル%以上、さらに好ましくは0.5モル%以上、さらに1モル%以上であり、また、分子量分布の観点から、好ましくは1,000モル%以下、より好ましくは100モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下である。
Mは1種であっても2種以上の異なる電荷および/または異なる元素の組合せであってもよいが、第4周期の遷移元素が好ましく、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅がより好ましく用いられる。
化学式(7)の化合物は1個以上のハロゲン原子を含有していなければならない。また化学式(7)の化合物は1種類で用いても化学式(7)を満たす複数種の化合物の混合物で用いても良い。化学式(7)のような有機ハロゲン化合物としては、例えば、テトラクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロメタン、モノクロロエタン、トリクロロフェニルメタン、ジクロロジフェニルメタン等のハロゲン化炭化水素化合物、2,2,2−トリクロロアセトン、2,2−ジクロロアセトフェノン等のα−ハロゲノカルボニル化合物、2,2,2−トリクロロ酢酸メチル、2,2−ジクロロ酢酸メチル、2−クロロプロパン酸メチル、2−ブロモ−2−メチルプロパン酸エチル、2−ヨード−2−メチルプロパン酸エチル、2−ブロモ−プロパン酸エチル、2−ヨード−プロパン酸エチル、2−クロロ−2,4,4−トリメチルグルタル酸ジメチル、1,2−ビス(2’−ブロモ−2’−メチルプロピオニルオキシ)エタン、1,2−ビス(2’−ブロモプロピオニルオキシ)エタン、2−(2’−ブロモ−2’−メチルプロピオニルオキシ)エチルアルコール等のα−ハロゲノカルボン酸エステルを挙げることができる。これらは1種または2種以上で使用できるが、これらの中でも、α−ハロゲノカルボニル化合物やα−ハロゲノカルボン酸エステルが好ましく、具体的には、2,2−ジクロロアセトフェノン、2−クロロ−2,4,4−トリメチルグルタル酸ジメチル、2−ブロモ−2−メチルプロパン酸エチル、2−ヨード−2−メチルプロパン酸エチルがより好ましく用いられる。
単量体に対する化学式(7)で示される有機ハロゲン化合物のモル比は、必要とする重合体の分子量に依存するが、重合速度の観点から、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.1モル%以上、さらに好ましくは0.5モル%以上、さらに好ましくは1モル%以上であり、また、分子量分布の観点から、好ましくは1,000モル%以下、より好ましくは100モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下である。化学式(5)の化合物および化学式(7)の化合物の含有割合については、必ずしも限定されるものではないが、化学式(5)化合物に含有される遷移元素分の化学式(7)の有機ハロゲン化合物に対する配合モル比率は、特に限定されるものではないが、化学式(5)における遷移元素が少なすぎると重合速度が遅くなる傾向にあるので、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは10モル%以上である。逆に、多すぎると副反応が生じやすくなり得られる重合体の分子量分布が広くなる傾向があるので、好ましくは1,000モル%以下、より好ましくは200モル%以下、さらに好ましくは100モル%以下である。
化学式(6)で示される化合物、すなわちアルキレンイミン、アルキレンオキシド、アルキレンスルフィドを(共)重合してなる(共)重合体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、AI、AO、ASの各々も、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
化学式(6)で示される化合物において、d、e、fはそれぞれAI、AO、ASの繰り返し単位数を表す。dは、遷移金属元素の安定化の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは4以上、さらに好ましくは6以上、さらに好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上であり、また、製造の観点から、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは50以下、さらにこのましくは20以下である。eは、上記化学式(1)で示される化合物の溶解性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上、さらに好ましくは7以上、さらに好ましくは10以上であり、また、製造の観点から、好ましくは500以下、より好ましくは300以下、さらに好ましくは200以下、さらに好ましくは100以下、さらに好ましくは50以下である。fは、遷移金属元素の安定化の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは4以上、さらに好ましくは6以上、さらに好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上であり、また、製造の観点から、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは50以下、さらに好ましくは20以下である。
化学式(6)で示される化合物は、化学式(5)で示される化合物の安定性と溶解性とを両立するために、AI、AO、ASのうち2種類以上を含有することが好ましく、AIとAOとを両方含有することが好ましく、AIとAOとのみからなることがさらに好ましい。AI、AO、ASの結合順は、ランダム構造でもブロック構造でもよいが、副反応を低減するには、ブロック構造が好ましい。ポリAIの活性水素にAOを付加したものが、上記化学式(1)で示される化合物の安定性、溶解性、反応性に優れ、より好ましい。
AIとしては、反応性、遷移金属元素の安定化の観点から、エチレンイミンが好ましい。AOとしては、反応性、溶解性の観点から、炭素数18以下のアルキレンオキシドが好ましく、炭素数8以下のアルキレンオキシドがより好ましく、炭素数4以下のアルキレンオキシドがさらに好ましく、炭素数3以下のアルキレンオキシドがさらに好ましく、炭素数2のアルキレンオキシドがさらに好ましい。ASとしては、反応性、遷移金属元素の安定化の観点から、エチレンスルフィドが好ましい。
本発明の重合体は、上述の方法によって得られるポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位を必須成分とする重合体であるが、特に、本発明の重合体をセメント混和剤用重合体として用いる場合、以下の形態が好ましい。
セメント混和剤用重合体として用いる場合、取り扱い上、水溶液の形態が好ましく、また、他の添加剤を本発明のセメント混和剤に含有していても良いし、あるいは、本混和剤をセメントと混合する際に、添加することもできる。他の添加剤としては、公知のセメント添加剤を用いることができ、例えば、
(ア)水溶性高分子物質:ポリアクリル酸(ナトリウム)、ポリメタクリル酸(ナトリウム)、ポリマレイン酸(ナトリウム)、アクリル酸・マレイン酸共重合物のナトリウム塩等の不飽和カルボン酸重合物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオキシエチレンあるいはポリオキシプロピレンのポリマー又はそれらのコポリマー;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1,3グルカン類(直鎖状、分岐鎖状の何れでも良く、一例を挙げれば、カードラン、パラミロン、バキマン、スクレログルカン、ラミナラン等)等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコール;デンプン;デンプンリン酸エステル;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;分子内にアミノ基を有するアクリル酸のコポリマー及びその四級化合物等。
(イ)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物等。
(ウ)遅延剤:グルコン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸又はクエン酸、及び、これらの、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等の無機塩又は有機塩等のオキシカルボン酸並びにその塩;グルコース、フラクトース、ガラクトース、サッカロース、キシロース、アピオース、リボース、異性化糖等の単糖類や、二糖、三糖等のオリゴ糖、又はデキストリン等のオリゴ糖、又はデキストラン等の多糖類、これらを含む糖蜜類等の糖類;ソルビトール等の糖アルコール;珪弗化マグネシウム;リン酸並びにその塩又はホウ酸エステル類;アミノカルボン酸とその塩;アルカリ可溶タンパク質;フミン酸;タンニン酸;フェノール;グリセリン等の多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のホスホン酸及びその誘導体等。
(エ)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
(オ)鉱油系消泡剤:燈油、流動パラフィン等。
(カ)油脂系消泡剤:動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(キ)脂肪酸系消泡剤:オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(ク)脂肪酸エステル系消泡剤:グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等。
(ケ)オキシアルキレン系消泡剤:(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等。
(コ)アルコール系消泡剤:オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等。
(サ)アミド系消泡剤:アクリレートポリアミン等。
(シ)リン酸エステル系消泡剤:リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等。
(ス)金属石鹸系消泡剤:アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等。
(セ)シリコーン系消泡剤:ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等。
(ソ)AE剤:樹脂石鹸、飽和あるいは不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、蛋白質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等。
(ナ)その他界面活性剤:オクタデシルアルコールやステアリルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂肪族1価アルコール、アビエチルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂環式1価アルコール、ドデシルメルカプタン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する1価メルカプタン、ノニルフェノール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアルキルフェノール、ドデシルアミン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアミン、ラウリン酸やステアリン酸等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するカルボン酸に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを10モル以上付加させたポリアルキレンオキシド誘導体類;アルキル基又はアルコキシル基を置換基として有しても良い、スルホン基を有する2個のフェニル基がエーテル結合した、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類;各種アニオン性界面活性剤;アルキルアミンアセテート、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤等。
(ニ)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
(ヌ)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
(ネ)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル類;2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のアルカンジオール類等。
(ノ)膨張材:エトリンガイト系、石炭系等。
その他の公知のセメント添加剤(材)としては、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石膏等を挙げることができる。これら公知のセメント添加剤(材)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらには、本発明のセメント混和剤には、公知のセメント分散剤を併用することができ、例えば、以下のものが使用できる。
リグニンスルホン酸塩;ポリオール誘導体;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリスチレンスルホン酸塩;特開平1−113419号公報に記載の如くアミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系;特開平7−267705号公報に記載の如く(a)成分として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系化合物と(メタ)アクリル酸系化合物との共重合体及び/又はその塩と、(b)成分として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系化合物と無水マレイン酸との共重合体及び/若しくはその加水分解物、並びに/又は、その塩と、(c)成分として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系化合物と、ポリアルキレングリコール系化合物のマレイン酸エステルとの共重合体及び/又はその塩とを含むセメント分散剤;特許第2508113号明細書に記載の如くA成分として、(メタ)アクリル酸のポリアルキレングリコールエステルと(メタ)アクリル酸(塩)との共重合体、B成分として、特定のポリエチレングリコールポリプロピレングリコール系化合物、C成分として、特定の界面活性剤からなるコンクリート混和剤;特開昭62−216950号公報に記載の如く(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル若しくはポリエチレン(プロピレン)グリコールモノ(メタ)アリルエーテル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、並びに、(メタ)アクリル酸(塩)からなる共重合体。特開平1−226757号公報に記載の如く(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、及び、(メタ)アクリル酸(塩)からなる共重合体;特公平5−36377号公報に記載の如く(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)若しくはp−(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)、並びに、(メタ)アクリル酸(塩)からなる共重合体;特開平4−149056号公報に記載の如くポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルとマレイン酸(塩)との共重合体;特開平5−170501号公報に記載の如く(メタ)アクリル酸のポリエチレングリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)、アルカンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及び、分子中にアミド基を有するα,β−不飽和単量体からなる共重合体;特開平6−191918号公報に記載の如くポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸(塩)、並びに、(メタ)アリルスルホン酸(塩)若しくはp−(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)からなる共重合体;特開平5−43288号公報に記載の如くアルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体、若しくは、その加水分解物、又は、その塩;特公昭58−38380号公報に記載の如くポリエチレングリコールモノアリルエーテル、マレイン酸、及び、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体、若しくは、その塩、又は、そのエステル。
特公昭59−18338号公報に記載の如くポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、及び、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体;特開昭62−119147号公報に記載の如くスルホン酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び必要によりこれと共重合可能な単量体からなる共重合体、又は、その塩;特開平6−271347号公報に記載の如くアルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体と、末端にアルケニル基を有するポリオキシアルキレン誘導体とのエステル化反応物;特開平6−298555号公報に記載の如くアルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体と、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン誘導体とのエステル化反応物;特開昭62−68806号公報に記載の如く3−メチル−3ブテン−1−オール等の特定の不飽和アルコールにエチレンオキシド等を付加したアルケニルエーテル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、及び、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体、又は、その塩等のポリカルボン酸(塩)。これらセメント分散剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他の公知のセメント添加剤(材)としては、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤等を挙げることができる。これら公知のセメント添加剤(材)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記セメント組成物において、セメント及び水以外の成分についての特に好適な実施形態としては、次の(1)〜(7)が挙げられる。
(1)<1>本発明のセメント混和剤と<2>オキシアルキレン系消泡剤との2成分を必須とする組み合わせ。オキシアルキレン系消泡剤としては、ポリオキシアルキレン類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアセチレンエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類等が使用可能であるが、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類が特に好適である。尚、<2>のオキシアルキレン系消泡剤の配合質量比としては、<1>のセメント混和剤に対して0.01〜20質量%の範囲が好ましい。
(2)<1>本発明のセメント混和剤、<2>オキシアルキレン系消泡剤及び<3>AE剤の3成分を必須とする組み合わせ。オキシアルキレン系消泡剤としては、ポリオキシアルキレン類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアセチレンエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類等が使用可能であるが、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類が特に好適である。一方、AE剤としては、樹脂酸石鹸、アルキル硫酸エステル類、アルキルリン酸エステル類が特に好適である。尚、<1>のセメント混和剤と<2>の消泡剤の配合質量比としては、<1>のセメント混和剤に対して0.01〜20質量%が好ましい。一方、<3>のAE剤の配合質量比としては、セメントに対して0.001〜2質量%が好ましい。
(3)<1>本発明のセメント混和剤、<2>炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、(メタ)アクリル酸系単量体及びこれらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体(特公昭59−18338号公報、特開平7−223852号公報、特開平9−241056号公報等に記載)、及び、<3>オキシアルキレン系消泡剤の3成分を必須とする組み合わせ。尚、<1>のセメント混和剤と<2>の共重合体との配合質量比としては、5/95〜95/5の範囲が好ましく、10/90〜90/10の範囲がより好ましい。<3>のオキシアルキレン系消泡剤の配合質量比としては、<1>のセメント混和剤と<2>の共重合体との合計量に対して0.01〜20質量%の範囲が好ましい。
(4)<1>本発明のセメント混和剤と<2>遅延剤との2成分を必須とする組み合わせ。遅延剤としては、グルコン酸(塩)、クエン酸(塩)等のオキシカルボン酸類、グルコース等の糖類、ソルビトール等の糖アルコール類、アミノトリ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類等が使用可能である。尚、<1>のセメント混和剤と<2>の遅延剤との配合比としては、共重合体(A)及び/又は共重合体(B)と<2>の遅延剤との質量比で、50/50〜99.9/0.1の範囲が好ましく、70/30〜99/1の範囲がより好ましい。
(5)<1>本発明のセメント混和剤と<2>促進剤との2成分を必須とする組み合わせ。促進剤としては、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム等の可溶性カルシウム塩類、塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物類、チオ硫酸塩、ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩類等が使用可能である。尚、<1>のセメント混和剤と<2>の促進剤との配合質量比としては、10/90〜99.9/0.1が好ましく、20/80〜99/1がより好ましい。
(6)<1>本発明のセメント混和剤と<2>材料分離低減剤との2成分を必須とする組み合わせ。材料分離低減剤としては、非イオン性セルロースエーテル類等の各種増粘剤、部分構造として炭素原子数4〜30の炭化水素鎖からなる疎水性置換基と炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖とを有する化合物等が使用可能である。尚、<1>のセメント混和剤と<2>の材料分離低減剤との配合質量比としては、10/90〜99.99/0.01が好ましく、50/50〜99.9/0.1がより好ましい。この組み合わせのセメント組成物は、高流動コンクリート、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材として好適である。
(7)<1>本発明のセメント混和剤と<2>分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤との2成分を必須とする組み合わせ。スルホン酸系分散剤としては、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系の分散剤等が使用可能である。尚、<1>のセメント混和剤と<2>の分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤との配合比としては、<1>のセメント混和剤と<2>の分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤との質量比で、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。
本発明のセメント混和剤は、公知のセメント混和剤と同様に、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物に加えて用いることができる。また、超高強度コンクリートにも用いることができる。上記セメント組成物としては、セメント、水、細骨材、粗骨材等を含む通常用いられるものが好適である。また、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカヒューム、石灰石等の微粉体を添加したものであってもよい。なお、超高強度コンクリートとは、セメント組成物の分野で一般的にそのように称されているもの、すなわち従来のコンクリートに比べて水/セメント比を小さくしてもその硬化物が従来と同等又はより高い強度となるようなコンクリートを意味し、例えば、水/セメント比が25質量%以下、更に20質量%以下、特に18質量%以下、特に14質量%以下、特に12質量%程度であっても通常の使用に支障をきたすことのない作業性を有するコンクリートとなり、その硬化物が60N/mm以上、更に80N/mm以上、より更に100N/mm以上、特に120N/mm以上、特に160N/mm以上、特に200N/mm以上の圧縮強度を示すことになるものである。
上記セメントとしては、普通、早強、超早強、中庸熱、白色等のポルトランドセメント;アルミナセメント、フライアッシュセメント、高炉セメント、シリカセメント等の混合ポルトランドセメントが好適である。上記セメントのコンクリート1m当たりの配合量及び単位水量としては、例えば、高耐久性・高強度のコンクリートを製造するためには、単位水量100〜185kg/m、水/セメント比=10〜70%とすることが好ましい。より好ましくは、単位水量120〜175kg/m、水/セメント比=20〜65%である。
本発明のセメント混和剤のセメント組成物中の添加量割合としては、本発明の必須成分であるポリカルボン酸系重合体(A)およびポリカルボン酸系重合体(B)の合計質量が、セメント質量の全量100質量%に対して、0.01質量%以上となるようにすることが好ましく、10質量%以下となるようにすることが好ましい。0.01質量%未満であると、性能的に不充分となるおそれがあり、10質量%を超えると、経済性が劣ることとなる。より好ましくは、0.05質量%以上であり、8質量%以下であり、さらに好ましくは、0.1質量%以上であり、5質量%以下である。なお、上記質量%は、固形分換算の値である。
<共重合体の分子量および分子量分布測定条件>
装置: Waters Alliance(2695)
解析ソフト:Waters社製 Empowerプロフェッショナル+GPCオプション
カラム: TSKgel ガードカラム(内径6.0×40mm)+G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL(各内径7.8×300mm)
検出器: 示差屈折率計(RI)検出器(Waters 2414)、多波長可視紫外(PDA)検出器(Waters 2996)
溶離液: アセトニトリル6001g、水10999gの溶液に酢酸ナトリウム3水和物115.6gを溶解し、さらに酢酸でpH6.0に調整したもの
流量: 1.0mL/分
カラム・測定温度: 40℃
測定時間: 45分
試料液注入量: 100μL(試料濃度0.2−0.5wt%の溶離液溶液)
GPC標準サンプル: GLサイエンス製ポリエチレングリコール Mp=272500、219300、107000、50000、24000、11840、6450、4250、1470の9点を使用
検量線: 上記ポリエチレングリコールのMp値を用いて3次式で作成
解析法: 得られたRIクロマトグラムにおいて、ポリマー溶出直前・溶出直後のベースラインにおいて平らに安定している部分を直線で結び、ポリマーを検出・解析した。ただしモノマーピークがポリマーピークに重なって測定された場合、モノマーとポリマーの重なり部分の最凹部において垂直分割してポリマー部とモノマー部を分離し、ポリマー部のみの分子量・分子量分布を測定した。ダイマー以上のオリゴマーが検出された場合はポリマー部に含めた。
<共重合体のGPC分画分取条件>
分取装置: 東ソー(株)製 HLC−8070
カラム: 東ソー(株)製 TSKgel α−M+α−2500 (内径1インチ、カラム長30cm)
検出器: 紫外検出器、254nm
溶離液: 50mM蟻酸アンモニウムイオン交換水溶液/アセトニトリル=85/15wt%の混合物に30%水酸化ナトリウムを加えてpH8.0に調整したもの
流量: 5mL/分
カラム・測定温度: 40℃
試料液注入量: 3mL(試料濃度2wt%の溶離液溶液、18.4mg/mL)
GPC標準サンプル: 東ソー(株)製ポリエチレングリコール Mp=272500、219300、107000、50000、24000、11840、6450、4250、1470の9点を使用
検量線: 上記ポリエチレングリコールのMp値を用いて3次式で作成。
<製造例1:比較重合体1−1の合成>
温度計、高さ2.5cm幅11cmの羽根を備えた撹拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えた内径16cmの3Lガラス製反応装置に水420gを仕込み、200rpmで攪拌下に反応装置内を100mL/分で窒素置換しながら、80℃まで加温した。続いて同条件のまま、反応装置内にメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)450.319g、メタクリル酸89.681g、3−メルカプトプロピオン酸(MPA)4.511g、水135gを混合した水溶液を4時間、過硫酸アンモニウム6.21gに水を加えて合計105gに調整した水溶液を5時間かけて、それぞれ反応装置内に均一速度で滴下した。すべての滴下終了後更に1時間80℃を維持して重合反応を完結させ、冷却して比較重合体1−1を得た。得られたポリマーはMw=24225、Mw/Mn=1.928であった。
<製造例2〜4:比較重合体1−2〜1−4の合成>
製造例1と同様の手順で、連鎖移動剤(MPA)の量のみを変えてMwの異なる比較重合体を得た。得られた重合体の物性を、それぞれ表1に示した。
<製造例5:比較重合体2−1の合成>
温度計、高さ2.5cm幅11cmの羽根を備えた撹拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えた内径16cmの3Lガラス製反応装置に、3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド付加物(エチレンオキシドの平均付加モル数50)484.502g、アクリル酸0.875g、水250.043gを仕込み、200rpmで攪拌下に反応装置内を100mL/分で窒素置換しながら、58℃まで加温した。続いて同条件のまま、反応装置内に30%過酸化水素水2.541gに水を加えて合計38.112gに調整した水溶液を添加し、58℃まで加温した。続いて同条件のまま、アクリル酸64.623gと水61.845gの混合水溶液を3時間、L−アスコルビン酸0.967gと3−メルカプトプロピオン酸(MPA)2.141gに水を加えて合計100gに調整した水溶液を3.5時間かけて、それぞれ反応装置内に均一速度で滴下した。ただし、加温開始から滴下開始までの時間は2時間以内とした。すべての滴下終了後更に1時間58℃を維持して重合反応を完結させ、冷却して比較重合体2−1を得た。得られたポリマーはMw=36606、Mw/Mn=1.978であった。
<製造例6〜8:比較重合体2−2〜2−4の合成>
製造例5と同様の手順で、連鎖移動剤(MPA)の量のみを変えてMwの異なる比較重合体を得た。得られた重合体の物性を、それぞれ表2に示した。
<製造例9:比較重合体3−1の合成>
温度計、高さ2.5cm幅11cmの羽根を備えた撹拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えた内径16cmの3Lガラス製反応装置に、3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド付加物(エチレンオキシドの平均付加モル数50)517.826g、アクリル酸0.935g、水267.241gを仕込み、200rpmで攪拌下に反応装置内を100mL/分で窒素置換しながら、58℃まで加温した。続いて同条件のまま、反応装置内に30%過酸化水素水1.525gに水を加えて合計22.879gに調整した水溶液を添加し、58℃まで加温した。続いて同条件のまま、アクリル酸31.238gと水59.880gの混合水溶液を3時間、L−アスコルビン酸0.592gと3−メルカプトプロピオン酸(MPA)1.107gに水を加えて合計100gに調整した水溶液を3.5時間かけて、それぞれ反応装置内に均一速度で滴下した。ただし、加温開始から滴下開始までの時間は2時間以内とした。すべての滴下終了後更に1時間58℃を維持して重合反応を完結させ、冷却して比較重合体3−1を得た。得られた重合体はMw=34965、Mw/Mn=1.864であった。
<製造例10〜11:比較重合体3−2〜3−3の合成>
製造例9と同様の手順で、連鎖移動剤(MPA)の量のみを変えてMwの異なる比較重合体を得た。得られた重合体の物性を、それぞれ表3に示した。
<製造例12〜18:本発明の重合体1−1〜1−7>
製造例1で合成した比較重合体1−1を用いて、所要量の重合体が得られるまで前述の条件でGPC分画分取を行った。得られた7分画を、20mmHgの減圧下50℃でエバポレートして約10wt%に濃縮した。濃縮液を脱塩処理後、20mmHgの減圧下50℃でエバポレートして約10wt%に濃縮し、前述の方法で分子量および分子量分布を測定した。分取条件と得られた重合体の物性値を表4に記載した。
<製造例19〜25:本発明の重合体2−1〜2−7>
本発明の重合体1−1〜1−7を得る方法と同様の手順で、製造例5で合成した比較重合体2−1をGPC分画分取して、本発明の重合体2−1〜2−7を得た。分取条件と得られた重合体の物性値を表5に記載した。
<製造例26〜32:本発明の重合体3−1〜3−7>
本発明の重合体1−1〜1−7を得る方法と同様の手順で、製造例9で合成した比較重合体3−1をGPC分画分取して、本発明の重合体3−1〜3−7を得た。分取条件と得られた重合体の物性値を表6に記載した。
<製造例33:触媒Aの合成>
ポリエチレンイミン(分子量300)のそれぞれの活性水素にエチレンオキシドを8当量ずつ付加した化合物(以下PEIEOと略、Mw2814)を公知の方法で合成した。PEIEO(50.84g、1当量)をイオン交換水50.8gに溶解し、撹拌しながら25℃100mmHgで減圧脱気した後、系内を窒素置換して常圧に戻した。窒素雰囲気下でCuBr(4.146g、1.6当量)を加え、1時間撹拌して触媒水溶液Aを得た。
<製造例34:触媒Bの合成>
PEIEO(45.34g、1当量)をイオン交換水45.3gに溶解し、撹拌しながら25℃100mmHgで減圧脱気した後、系内を窒素置換して常圧に戻した。窒素雰囲気下でCuBr2(4.678g、1.3当量)を加え、1時間撹拌して触媒水溶液Bを得た。
<製造例35:本発明の重合体4の合成>
製造例33で調製した触媒水溶液A(1.171g)、製造例34で調製した触媒水溶液B(0.364g)、2−ブロモイソ酪酸エチル(0.234g)、イオン交換水(18.829g)の混合溶液を撹拌しながら25℃100mmHgで減圧脱気した後、系内を窒素置換して常圧に戻し、触媒水溶液Cを得た。メタクリル酸(2.492g)、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(平均EO付加モル数75)(12.508g)、イオン交換水(5g)の混合水溶液を撹拌しながら25℃100mmHgで減圧脱気した後、系内を窒素置換して常圧に戻し、モノマー水溶液を得た。モノマー水溶液を窒素雰囲気下で50℃に加温した後、50℃に加温した触媒水溶液Cを加えて重合反応を開始し、撹拌下24時間50℃に保持して重合反応を完結させ本発明の重合体4を得た。得られた重合体はMw=35700、Mw/Mn=1.40であった。
<製造例36:本発明の重合体5の合成>
製造例33で調製した触媒水溶液A(0.878g)、製造例34で調製した触媒水溶液B(0.728g)、2−ブロモイソ酪酸エチル(0.117g)、イオン交換水(19.122g)の混合溶液を撹拌しながら25℃100mmHgで減圧脱気した後、系内を窒素置換して常圧に戻し、触媒水溶液Cを得た。メタクリル酸(2.492g)、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(平均EO付加モル数75)(12.508g)、イオン交換水(5g)の混合水溶液を撹拌しながら25℃100mmHgで減圧脱気した後、系内を窒素置換して常圧に戻し、モノマー水溶液を得た。モノマー水溶液を窒素雰囲気下で50℃に加温した後、50℃に加温した触媒水溶液Cを加えて重合反応を開始し、撹拌下24時間50℃に保持して重合反応を完結させ本発明の重合体5を得た。得られた重合体はMw=30500、Mw/Mn=1.36であった。
<製造例37:比較重合体4の合成>
温度計、高さ2.5cm幅11cmの羽根を備えた撹拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えた内径16cmの3Lガラス製反応装置に水400gを仕込み、200rpmで攪拌下に反応装置内を100mL/分で窒素置換しながら、80℃まで加温した。続いて反応装置内を80℃に保ったまま、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数75)166.785g、メタクリル酸33.215g、3−メルカプトプロピオン酸1.592gにイオン交換水を加えて500gに調整した混合水溶液を4時間、過硫酸アンモニウム2.292gにイオン交換水を加えて合計100gに調整した水溶液を5時間かけて、それぞれ反応装置内に均一速度で滴下した。すべての滴下終了後更に1時間80℃を維持して重合反応を完結させ比較重合体4を得た。得られた重合体はMw=36400、Mw/Mn=1.74であった。
<モルタル試験>
(モルタル配合)
モルタル配合はC/S/W=600/600/210(g)とした。ただし、
C: 普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
S: 豊浦標準砂
W: 試料のイオン交換水溶液
(モルタル実験環境)
実験環境は、温度20℃±1℃、相対湿度60%±10%とした。
(モルタル混練手順)
所定量のポリマー水溶液を量り採り、消泡剤MA−404(ポゾリス物産製)を有姿でポリマー分に対して10wt%加え、更にイオン交換水を加えて210gとし、十分に均一溶解させた。
HOBART社製N−50ミキサーにステンレス製ビーター(撹拌羽根)を取り付け、混練容器に所定量のセメント(C)、砂(S)を仕込んだ。1速で15秒混練したのち、混練しながら15秒かけて等速度で試料水溶液(W)を投入した。続いて2速で30秒混練後、混練停止して15秒間容器壁に付いたモルタルを掻き落し、45秒静置した。2速で90秒混練して混練終了とし、モルタルを混練容器からポリエチレン製1L容器に移した。
(モルタルフロー測定手順)
練りあがったモルタルを直ちにスパチュラで20回撹拌した後、SUS304製の平滑な板状に置いた内径55mm高さ50mmのSUS304製フローコーンの中に均一に詰め、表面を均した。フローコーンを垂直に引き上げ、モルタルの流動が止まってから、広がったモルタルの直径を縦横2点計測し、平均値をフロー値とした。ただし混練開始からフロー値測定までは5分30秒以内に収まるようにした。
(モルタル空気量測定手順)
モルタルを500mLパイレックス(登録商標)製メスシリンダーに約200mL詰め、径8mmの丸棒で突いて粗い気泡を抜いた。さらにモルタルを約200mL加えて同様に気泡を抜いた後、体積と質量を測定し、質量と各材料の密度から空気量を計算した。
<モルタル試験結果>
本発明の重合体と比較重合体のモルタル試験結果を表7〜10に示した。
表7にポリアルキレングリコールがエステル結合で主鎖に結合した重合体のモルタル試験結果を示した。比較重合体1−1〜1−4と同程度の重量平均分子量(Mw)を有する本発明の重合体1−3〜1−5の添加量0.1質量%でのモルタルフロー値を比較すると、比較重合体が148mm〜165mmであるのに対して、本発明の重合体では207mm〜220mmであり、本発明の重合体の方がセメント分散性能に優れていることがわかる。これは、比較重合体の分散度(Mw/Mn)が1.61〜1.93であるのに対して、本発明の重合体の分散度が1.36〜1.38と非常に狭くなっていることに起因するものであると推察される。
表8にポリアルキレングリコール鎖がエーテル結合で主鎖に結合した重合体のモルタル試験結果を示した。比較重合体2−1〜2−4と同程度の重量平均分子量(Mw)を有する本発明の重合体2−3〜2−5の添加量0.1質量%でのモルタルフロー値を比較すると、比較重合体が158mm〜170mmであるのに対して、本発明の重合体では185mm〜214mmであり、本発明の重合体の方がセメント分散性能に優れていることがわかる。これは、比較重合体の分散度(Mw/Mn)が1.61〜1.93であるのに対して、本発明の重合体の分散度が1.31〜1.35と非常に狭くなっていることに起因するものであると推察される。この結果は、表7に示した、ポリアルキレングリコール鎖がエステル結合で主鎖に結合した重合体の結果と同じであった。
表9に上記と同様のポリアルキレングリコール鎖がエーテル結合で主鎖に結合した重合体のモルタル試験結果を示した。上記の結果と同様に分散度が1.64〜1.78の比較重合体のモルタルフロー値は154mm〜177mmであるのに対して、分散度が1.35〜1.41の本発明の重合体のモルタルフロー値は186mm〜219mmと分子量分布が狭い本発明の重合体の方がセメント分散性能に優れる。
表10にリビングラジカル重合で得られた本発明の重合体4と従来のラジカル重合で得られた比較重合体4のモルタル試験結果を示した。同一添加量でモルタルフロー値を比較すると従来のラジカル重合で得られた比較重合体4のモルタルフロー値が170mmであるのに対して、リビングラジカル重合で得られた本発明の重合体4では222mmであり、リビングラジカル重合で得られた本発明の重合体の方がセメント分散性能に優れていることがわかる。また、分散度を比較すると本発明の重合体が1.40、比較重合体が1.74であり、本発明の重合体の方が分子量分布が狭くなっており、これが分散性能に起因していると推察している。
<製造例38:本発明の重合体6の合成>
製造例33で調製した触媒水溶液A(1.098g)、製造例34で調製した触媒水溶液B(0.910g)、2−ブロモイソ酪酸エチル(0.146g)、イオン交換水(17.062g)の混合溶液を攪拌しながら25℃、100mmHgで減圧脱気した後系内を窒素置換して常圧に戻し、触媒水溶液Cを得た。メタクリル酸(2.30g)、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(平均EO付加モル数25)(20.20g)、イオン交換水(7.70g)の混合水溶液を攪拌しながら25℃、100mmHgで減圧脱気した後、系内を窒素置換して常圧に戻し、モノマー水溶液を得た。モノマー水溶液を窒素雰囲気下24時間50℃に加温した後、50℃に加温した触媒水溶液Cを加えて重合反応を開始し、攪拌下24時間50℃に保持して重合反応を完結させ本発明の重合体6を得た。得られた重合体はMw=26700、Mw/Mn=1.64であった。
<製造例39:本発明の重合体7の合成>
製造例33で調製した触媒水溶液A(0.878g)、製造例34で調製した触媒水溶液B(0.273g)、2−ブロモイソ酪酸エチル(0.176g)、イオン交換水(9.90g)の混合溶液を攪拌しながら25℃、100mmHgで減圧脱気した後系内を窒素置換して常圧に戻し、触媒水溶液Cを得た。メタクリル酸(2.24g)、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(平均EO付加モル数25)(11.26g)、イオン交換水(4.69g)の混合水溶液を攪拌しながら25℃、100mmHgで減圧脱気した後、系内を窒素置換して常圧に戻し、モノマー水溶液を得た。モノマー水溶液を窒素雰囲気下で50℃に加温した後、50℃に加温した触媒水溶液Cを加えて重合反応を開始し、攪拌下24時間50℃に保持して重合反応を完結させ本発明の重合体7を得た。得られた重合体はMw=19000、Mw/Mn=1.55であった。
<製造例40:比較重合体5の合成>
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管および還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に水1698gを仕込み、200rpmで攪拌下に反応装置内を100mL/分で窒素置換しながら、80℃まで加温した。続いて反応装置内を80℃に保ったまま、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)1796g、メタクリル酸204g、3−メルカプトプロピオン酸16.7gにイオン交換水500gを加えた混合水溶液を4時間、10%過硫酸アンモニウム水溶液230gを5時間かけて、それぞれ反応装置内に均一速度で滴下した。すべての滴下終了後更に1時間80℃を維持して重合反応を完結させ比較重合体5を得た。得られた重合体はMw=22500、Mw/Mn=1.76であった。
<製造例41:比較重合体6の合成>
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に水1700gを仕込み、200rpmで攪拌下に反応装置内を100mL/分で窒素置換しながら、80℃まで加温した。続いて反応装置内を80℃に保ったまま、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)1580g、メタクリル酸420g、3−メルカプトプロピオン酸14.5gにイオン交換水500gを加えた混合水溶液を4時間、10%過硫酸アンモニウム水溶液230gを5時間かけて、それぞれ反応装置内に均一速度で滴下した。すべての滴下終了後更に1時間80℃を維持して重合反応を完結させ比較重合体6を得た。得られた重合体はMw=25200、Mw/Mn=1.89であった。
<モルタル試験>
(モルタル配合)
モルタル配合はC/S/W=550/1350/220(g)とした。ただし、
C:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
S:ISO標準砂(日本セメント協会製)
W:試料のイオン交換水溶液
(モルタル実験環境)
実験環境は、温度20℃±1℃、相対湿度60%±10%とした。
(モルタル混練、フロー値測定)
所定量のポリマー水溶液を量り採り、消泡剤MA−404(ポゾリス物産製)を有姿でポリマー分に対して10wt%加え、更にイオン交換水を加えて220gとし、十分に均一溶解させた。
モルタルの混練には、HOBART社製N−50ミキサーにステンレス製ビーター(攪拌羽根)を取り付けたものを用い、混練とモルタルフロー値の測定手順はJIS R5201(1997)に準拠した。ただし、混練開始からフロー値測定までは6分30秒以内に収まるようにした。
(モルタル空気量の測定)
モルタルを500mLガラス製メスシリンダーに約200mL詰め、径8mmの丸棒で突いた後容器に振動を加え、粗い気泡を抜いた。さらにモルタルを約200mL加えて同様に気泡を抜いた後、体積と質量を測定し、質量と各材料の密度から空気量を計算した。
<モルタル試験結果>
本発明の重合体と比較重合体のモルタル試験結果を表11〜12に示した。
リビングラジカル重合で得られた本発明の重合体6と従来のラジカル重合で得られた比較重合体5のモルタルフロー値を比較すると、本発明の重合体6が添加量0.14質量%でフロー値が245mmであるのに対して、比較重合体5では223mmである。さらに、比較重合体5と同等のフロー値を得るための必要添加量は0.12質量%であり、比較重合体5の14%減の添加量で良い。以上のように、本発明のリビングラジカル重合で得られた重合体の方がセメント分散性能に優れていることがわかる。また、本発明の重合体6と比較重合体5の分散度(Mw/Mn)を比較してみると、本発明の重合体6が1.64であるのに対して、比較重合体5が1.75であり、本発明の重合体6の方が分子量分布が狭いことがわかる。本発明の重合体6は分子量分布が狭く、セメントを凝集させる高分子量部分およびセメント分散性能に寄与しない低分子量部分が少なくなっており、セメント分散性能に寄与する分子量部分が比較重合体5よりも多くなっていることからセメント分散性能が向上したと考えられる。
リビングラジカル重合で得られた本発明の重合体7と従来のラジカル重合で得られた比較重合体6のモルタルフロー値を比較すると、本発明の重合体7が添加量0.1質量%でフロー値が252mmであるのに対して、比較重合体6では210mmである。さらに、比較重合体6と同等のフロー値を得るための必要添加量は0.08質量%であり、比較重合体6の20%減の添加量で良い。以上のように、本発明のリビングラジカル重合で得られた重合体の方がセメント分散性能に優れていることがわかる。また、本発明の重合体7と比較重合体6の分散度(Mw/Mn)を比較してみると、本発明の重合体7が1.55であるのに対して、比較重合体6が1.89であり、本発明の重合体7の方が分子量分布が狭いことがわかる。本発明の重合体7は分子量分布が狭く、セメントを凝集させる高分子量部分およびセメント分散性能に寄与しない低分子量部分が少なくなっており、セメント分散性能に寄与する分子量部分が比較重合体6よりも多くなっていることからセメント分散性能が向上したと考えられる。

Claims (11)

  1. ポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位と、カルボキシル基由来の部位を有する構成単位を含む重合体(P)であって、下記数式(1):
    1<PD<MD−0.2(1)
    [式中、PD=Mw/Mn、MD=G(n)×Mw+H(n)、G(n)×Mwは下記数式(2):
    G(n)×Mw={−0.985×ln(n)+5.802}×10-5×Mw(2)
    により定義され(nは重合体(P)のオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、Mw、Mnはそれぞれ重合体(P)のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定された重量平均分子量、数平均分子量を表す)、
    H(n)は下記数式(3):
    H(n)=4.513×10-5×n2−6.041×10-3×n+1.351(3)により定義される(nは重合体(P)のオキシアルキレン基の平均付加モル数を表す)]により定義されるPD値の範囲を満たすと共に、
    前記重量平均分子量Mw:10,000〜100,000、
    前記重合体(P)に含まれる炭素数3以上のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の比率が90モル%以上であり、
    前記ポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位が下記化学式(1):

    [式中、R1およびRは互いに独立して水素原子またはメチル基を表し、AOは互いに独立して炭素数2以上のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物(2種以上の場合はブロック状に付加していてもランダム状に付加していても良い)を表し、xは0〜2の整数を表し、yは0または1を表し、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表
    し、1〜300の数であり、R3は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す]で示される構成単位(I)を含むと共に、
    前記ポリオキシアルキレン鎖由来の構成単位は、重合体の全質量に対して60質量%以上であり、
    前記カルボキシル基由来の部位を有する構成単位が下記化学式(2):

    [式中、R4、R5およびR6は互いに独立して水素原子またはメチル基、−(CH2)zCOOM2(−(CH2)zCOOM2は、−COOM1またはその他の−(CH2)zCOOM2と無水物を形成していても良い)を表し、zは0〜2の整数を表し、M1およびM2は互いに独立して水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基または有機アミン基を表す]で示される構成単位(II)を含む重合体。
  2. 前記PD値は1.64以下である請求項1に記載の重合体。
  3. 上記重合体(P)であって、下記式(5)で示される有機金属化合物と、有機ハロゲン化合物との混合物を用いて、不飽和ポリアルキレングリコール系単量体(I−M)を含む不飽和単量体(M)を重合して得られる重合体であって、かつ上記数式(1)により定義されるPD値の範囲を満たす請求項1または2に記載の重合体。
    (M)a(L)b(X)c (5)
    [式中、Mは第4周期に属する遷移元素、Lは下記化学式(6):
    (AI)d(AO)e(AS)f (6)
    で表され、AIはアルキレンイミン、AOはアルキレンオキシド、ASはアルキレンスルフィド、Xはハロゲンを表し、aは0超の数、b、c、d、eおよびfは互いに独立して0以上の数を表す。但し、少なくとも前記d、e、およびfよりなる群から選択される少なくとも一つと、bは1以上の数を表す]
  4. 前記カルボキシル基由来の部位を有する構成単位は、重合体の全質量に対して40質量%以下である請求項1または2に記載の重合体。
  5. 請求項1または2に記載の重合体(P)の製造方法であって、不飽和ポリアルキレングリコール系単量体(I−M)を含む不飽和単量体(M)をリビング重合する製造方法。
  6. 下記式(5)で示される有機金属化合物と、有機ハロゲン化合物との混合物を用いて、不飽和ポリアルキレングリコール系単量体(I−M)を含む不飽和単量体(M)をリビング重合する請求項に記載の製造方法。
    (M)a(L)b(X)c (5)
    [式中、Mは第4周期に属する遷移元素、Lは下記化学式(6):
    (AI)d(AO)e(AS)f (6)
    で表され、AIはアルキレンイミン、AOはアルキレンオキシド、ASはアルキレンスルフィド、Xはハロゲンを表し、aは0超の数、b、c、d、eおよびfは互いに独立して0以上の数を表す。但し、少なくとも前記d、e、およびfよりなる群から選択される少なくとも一つと、bは1以上の数を表す]
  7. 前記単量体(M)がカルボキシル基由来の部位を有する不飽和単量体(II−M)を含む請求項またはに記載の製造方法。
  8. 前記不飽和ポリアルキレングリコール系単量体(I−M)が下記化学式(3):

    [式中、R1およびR2は互いに独立して水素原子またはメチル基を表し、AOは互いに独立して炭素数2以上のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物(2種以上の場合はブロック状に付加していてもランダム状に付加していても良い)を表し、xは0〜2の整数を表し、yは0または1を表し、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数であり、R3は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す]で示される不飽和単量体である請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記カルボキシル基由来の部位を有する不飽和単量体(II−M)が下記化学式(4):

    [式中、R4、R5およびR6は互いに独立して水素原子またはメチル基、−(CH2)zCOOM2(−(CH2)zCOOM2は、−COOM1またはその他の−(CH2)zCOOM2と無水物を形成していても良い)を表し、zは0〜2の整数を表し、M1およびM2は互いに独立して水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基または有機アミン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数3〜18の炭化水素基を有するシリル基を表す]
    で示される不飽和単量体である請求項に記載の製造方法。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の重合体を必須成分として含むセメント混和剤。
  11. 請求項のいずれか1項に記載の製造方法で製造された重合体(P)を必須成分として含むセメント混和剤。
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