以下図面を参考にして本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態である外用貼付剤20において、粘着テープAと粘着テープBによる基布と第3シート部分との粘着部の図示が省略された貼付剤の断面図であり、図2の切断面線I−Iから見た断面を示す。また図2は本実施形態の外用貼付剤20の斜視図である。なお、図1は図解を容易にするため、外用貼付剤20を厚み方向に拡大して示している。また、図2は図解を容易にするため、基布21、保護シート24、補助シート25および接合剤層26を分離した状態で示している。
本実施形態の外用貼付剤20は、基布21と、基布21の一表面21aに塗布される薬剤層22と、薬剤層22に剥離可能に貼着される剥離シート23とを含む。外用貼付剤20は可撓性を有しており、外用貼付剤20を構成する各部材も可撓性を有する材質から構成される。
前記剥離シート23は、薬剤層22の外部に露出する一表面22aに貼着される保護シート24と、保護シート24に接合される補助シート25と、保護シート24と補助シート25とを接合する接合剤層26とを含む。以下では、前記薬剤層22の外部に露出する一表面22aを貼着側表面22aということもある。
前記基布21は、短辺の長さL10が10cm、長辺の長さL1が14cm、厚みT1が1.2mmの矩形であり、通気性および伸縮性を有する不織布から形成される。基布21の厚み方向の一表面21aには、薬剤層22が塗布され、厚み方向の他表面21bは不織布が露出した状態に形成される。他表面21bは、外用貼付剤20を身体27に貼付する際に手指を接触させて押圧する側の表面である。
基布21の材質は、身体27に貼付された場合に蒸れるのを防止するために通気性を有し、身体27の動きに合わせて伸縮できる材質に限定されることはなく、たとえば不織布に代えて伸縮布や織布、編布、ビニール等を用いてもよい。
前記薬剤層22は、基布21の一表面21aに形成される粘着層であり、外用貼付剤20が身体27に貼付される際に身体27と直接接触する面である、貼着側表面22aを含む。薬剤層22は、厚みT2が1mmに形成される。薬剤層22は、基布21の一表面21aのほぼ全面に薬剤を展着して薬剤層22を形成した後、薬剤層22の基布21とは反対側に臨む一表面である、貼着側表面22aに後述する保護シート24を貼着させて得られた積層物としての外用貼付剤20の原反を、長方形などの角形状等に裁断して形成される。したがって、薬剤層22の形状は、基布21の形状と同形状に形成される。
薬剤層22は、有効成分である薬物や湿潤剤、増粘剤、などを含み、たとえば薬物の材質としては、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール等が挙げられ、潤滑剤の材質としては、グリセリン、プロピレングリコール等が挙げられ、増粘剤の材質としては、グァーガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
薬剤層22は、皮膚密着性がよく、有効成分の皮膚透過吸収性を高め、水分を可塑的に多く含有しており、常温やその周囲の温度でもだれず、剥がす際に痛くなく、粘着層が皮膚に残らず、べたつかないものであればよく、その用途によって公知の薬物や潤滑剤、増粘剤などを適宜添加することができる。
前記保護シート24は、前記薬剤層22の貼着側表面22aに貼着される第1シート部分28と、第1シート部分28の一側縁部28aに連なり、第1シート部分28上に前記一側縁部28aとは反対側の他側縁部28bにわたって積重される第2シート部分29と、第2シート部分29に連なる第3シート部分30とを含むシート状部材であり、プラスチックの弾性および復元性を利用する関係上薄く成型されたプラスチックフィルムが用いられる。保護シート24の厚みT3は、特に限定されることはないが、たとえば厚みT3は、0.01mm〜0.04mmの範囲内がよく、本実施形態では、厚みT3が0.02mmに形成される。
第1シート部分28は、薬剤層22の貼着側表面22aに貼着される保護シート24の一部分である。第1シート部分28は、薬剤層22の貼着側表面22aを覆うように形成される。第1シート部分28が貼着側表面22aを被覆しているので、身体27の任意の位置に外用貼付剤20を配置するまでは貼着側表面22aを露出させないようにすることができる。これによって、薬剤層22が乾燥するのを抑制することができるので、外用貼付剤20を長期間にわたって使用可能な状態を維持することができる。第1シート部分28の一側縁部28aから他側縁部28bまでの長さは、基布21の長辺の長さL1と同じ長さに形成される。
第2シート部分29は、保護シート24の一部分であり、反転部31と積重部分32とを含む。反転部31は、一側縁部31aにおいて第1シート部分28の一側縁部28aと連なり、他側縁部31bにおいて積重部分32の一側縁部32aと連なる。積重部分32は、一側縁部32aにおいて反転部31の他側縁部31bと連なり、他側縁部32bにおいて第3シート部分30の一側縁部30aと連なる。
反転部31は、積重部分32の一側縁部32aから第1シート部分28の一側縁部28aに向かって、180度反転して形成される。反転部31は、基布21の第1シート部分28の一側縁部28a側の一端面33から突出して形成される。反転部31の一端面33から最も離反する部分までの距離ΔLは、2mmである。積重部分32は、第1シート部分28と平行に形成され、第1シート部分28と同じ長さに形成される。
第3シート部分30は、一側縁部30aにおいて積重部分32の他側縁部32bと連なり、他側縁部30bは、遊端状に形成される。以下では他側縁部30bを遊端部30bと呼ぶこともある。第3シート部分30には、指掛け部35が設けられる。
第3シート部分30は、長辺方向Xにおいて基布21の前記一端面33と反対側の他端面34から突出して形成される。第3シート部分30は、保護シート24を薬剤層22から剥離する際に、手指で把持する部分であるので、手指で把持することのできる長さに形成される。具体的には、手指で掴んだ際の操作性、すなわち手指で掴んで薬剤層22から第1シート部分28を剥離するのに要する引張り力で引っ張っても、把持した手指の間から滑り抜けないようにしっかりと把持することができる程度の掴み代を考慮して、第3シート部分30の長さL2は、基布21の長さL1の0.3倍〜0.7倍の長さに形成され、具体的には40mm〜100mmの長さに形成される。
長さL2が40mm未満の場合には、後述する指挿入孔36を十分な大きさに形成することができない。また、長さL2が100mmを越える場合には、指挿入孔36に指を挿入して引っ張ると第3シート部分30にしわが生じ、薬剤層22同士が貼着してしまう。またL2が長すぎる場合には、材料が無駄になりコストが高くなってしまうという問題が生じる。
第3シート部分30には、紙、布、不織布、またはプラスチックフィルム等からなる補強材を第3シート部分30に積層して設けてもよい。補強材を設けることによって、指掛け部35の強度を向上させることができるので、第3シート部分30を補強材と共に強く引っ張った場合であっても、第3シート部分30が破れることを防ぐことができる。また引張り力を調整する必要がないので、操作性も向上させることができる。補強材は、両面粘着テープや接着剤、高周波等を用いて第3シート部分の表面に粘着、接着、溶着することによって形成される。前記補強材は、第3シート部分30の全面にわたって形成してもよく、第3シート部分30が長く形成される場合には、長辺方向Xにおいて遊端部30bから一側縁部30aに向かって40mm程度の範囲に形成してもよい。また、指挿入孔36の周辺部である指掛け部35のみに設けてもよい。このように補強材を設けることによって、指挿入孔36に指を挿入して第3シート部分30を引っ張る際に、指挿入孔36から第3シート部分30が破れることを防ぐことができる。
指掛け部35は、指挿入孔36を含んで形成される。指挿入孔36は保護シート24を薬剤層22から剥離する際に、指を挿入するための孔である。指挿入孔36が形成されることによって、手に障害があり第3シート部分30を掴んだり、摘んだりすることができない人であっても、指挿入孔36に指を挿入することによって第3シート部分30を剥離方向Aに引っ張ることができる。また、健常者であっても指挿入孔36が形成されることによって、保護シート24を薬剤層22からより容易に剥離することができる。
本実施形態において、指挿入孔36は円状に形成され、その内径Dは20mmである。指挿入孔36は、保護シート24、後述する接合剤層26および補助シート25を貫通して形成される。指挿入孔36は、遊端部30bから指挿入孔36の遊端部30b側の端部までの長さL3が10mmとなる位置に設けられる。
本実施形態では、指挿入孔36の形状は円状であるが、指挿入孔36の形状は指を挿入することができる形状であればその他の形状であってもよく、たとえば楕円状であってもよい。また、本実施形態では指挿入孔36は1つのみ形成されるが、複数個形成されてもよい。このようにすることによって複数本の指を挿入して第3シート部分30を長辺方向Xに沿う剥離方向Aに引っ張ることができるので、より容易に保護シート24を薬剤層22から剥離することができる。また、指掛け部35は指挿入孔36にかえて、指を引掛けることのできる亀裂を設ける構成としてもよい。
このように保護シート24が形成されることによって、第3シート部分30を剥離方向Aに引っ張ると引張り力F2が第2シート部分29の積重部分32を介して、反転部31に伝わる。反転部31が、積重部分32の一側縁部32aから第1シート部分28の一側縁部28aに向かって、180度反転して形成されるので、反転部31で薬剤層22から第1シート部分28を剥離する方向に引張り力F2の分力が発生する。したがって、第3シート部分30を剥離方向Aに引っ張ることで、第1シート部分28を薬剤層22から剥離することができる。
また、このように薬剤層22から保護シート24を剥離することができるので、基布21の他表面21bを手指で身体27に対して押圧し、押圧力F1を加えた状態であっても、保護シート24を剥離することができる。これによって、外用貼付剤20を薬剤層22が露出していない状態で身体27に押し付けても、第3シート部分30を引っ張ることで、薬剤層22を露出させ、身体27に貼付することができる。したがって、外用貼付剤20を患部に移動させる途中で、薬剤層22同士が貼着したり、衣服に貼着することを防ぐことができ、外用貼付剤20の使用者本人が所望の部位に容易に貼り付けることができる。
前記接合剤層26は、第2シート部分29の基布21とは反対側の一表面37および第2シート部分29の前記一表面37に連なる第3シート部分の一表面38と後述する補助シート25との間に設けられる接着剤が塗布された層である。接合剤層26の厚みT4は特に限定されることはないが、たとえば0.1mm〜1.0mmの間の厚さに形成される。
接着剤としては、公知のあらゆる接着剤を用いることができる。また接合剤層26は、接着剤を塗布して形成されたものに限らず、両面に粘着剤層を有するテープ等を用いて形成してもよい。
前記補助シート25は、身体27の貼付面39に当接される第4シート部分40と、第4シート部分40の一側縁部40aに連なり、第4シート部分40上に前記一側縁部40aとは反対側の他側縁部40bにわたって積重される第5シート部分41と、第5シート部分41に連なる第6シート部分42とを含むシート状部材から形成される。
補助シート25には、前記保護シート24と同様に、プラスチックの弾性および復元性を利用する関係上薄く成型されたプラスチックフィルムが用いられる。補助シート25の厚みT5は、特に限定されることはないが、たとえば厚みT5は、0.01mm〜0.04mmの範囲内がよく、本実施形態では、厚みT5が0.02mmに形成される。このような補助シート25が設けられることによって、外用貼付剤20の使用者が発汗している場合や、使用者が脂性の場合であっても、保護シート24が汗等によって肌に密着し剥離しにくくなることを防ぐことができる。したがって、外用貼付剤20を季節や体質などを問わず、常に外用貼付剤20の使用者が所望の部位に容易に貼り付けることができる。
第4シート部分40は、身体27の貼付面39に当接される補助シート25の一部分である。第4シート部分40は基布21の長辺L1と同じ長さに形成される。
第5シート部分41は、補助シート25の一部分であり、反転部43と積重部分44とを含む。反転部43は、一側縁部43aにおいて第4シート部分40の一側縁部40aと連なり、他側縁部43bにおいて積重部分44の一側縁部44aと連なる。積重部分44は、一側縁部44aにおいて反転部43の他側縁部43bと連なり、他側縁部44bにおいて第6シート部分42の一側縁部42aと連なる。
反転部43は、積重部分44の一側縁部44aから第4シート部分40の一側縁部40aに向かって、180度反転して形成される。反転部43は、基布21の第4シート部分40の一側縁部40a側の一端面33から突出して形成される。積重部分44は、第4シート部分40と平行に形成され、第4シート部分40と同じ長さに形成される。
第6シート部分42は、一側縁部42aにおいて積重部分44の他側縁部44bと連なり、他側縁部42bは、遊端状に形成される。以下では、前記他側縁部42bを遊端部42bと呼ぶこともある。第6シート部分42は、長辺方向Xにおいて基布21の前記一端面33の反対側の他端面34から突出して形成される。第6シート部分42は、保護シート24を薬剤層22から剥離する際に、手指で把持する部分であるので、手指で把持することのできる長さに形成される。具体的には、第3シート部分30の長さL3と同じ長さに形成される。
このように補助シート25が形成されることによって、第6シート部分42を剥離方向Aに引っ張ると引張り力F2が第5シート部分41の積重部分44を介して、反転部43に伝わる。反転部43が、積重部分44の一側縁部44aから第4シート部分40の一側縁部40aに向かって、180度反転して形成されるので、反転部43で身体27の貼付面39から第4シート部分40を剥離する方向に引張り力F2の分力が発生する。したがって、第6シート部分42を剥離方向Aに引っ張ることで、第4シート部分40を貼付面39から剥離することができる。
補助シート25の第5シート部分41の第4シート部分40とは反対側の一表面45、および第5シート部分41の前記一表面45に連なる第6シート部分の一表面46とは、前記接合剤層26を介して保護シート24の第2シート部分29の基布21とは反対側の一表面37および第2シート部分29の前記一表面37に連なる第3シート部分30の一表面38と接合される部分である。
本実施形態において、補助シート25は接合剤層26を挟んで保護シート24と対称に形成されるが、このような形状に限定されることはなく、たとえば本実施形態における第5シート部分41の積重部分44および第6シート部分42のみを有するシート状部材であってもよい。このような場合、補助シート25の材質は、プラスチックフィルム以外でもよく、たとえば吸液性を有する紙や布等であってもよい。補助シート25をこのような構成とすることより、外用貼付剤20の使用者が発汗している場合や、使用者が脂性の場合であっても、補助シート25は、汗や脂などを吸収するので、保護シート24が汗等によって肌に密着し剥離しにくくなることを防ぐことができる。したがって、外用貼付剤20を季節や体質などを問わず、常に外用貼付剤20の使用者が所望の部位に容易に貼り付けることができる。
また、本実施形態において反転部31の一端面33から最も離反する部分までの距離と反転部43の一端面33から最も離反する部分までの距離は共に距離ΔLに形成されるが、このような形態に限らず、たとえば反転部43の一端面33から最も離反する部分までの距離は、反転部31の一端面33から最も離反する部分までの距離よりも短くてもよい。換言すれば、補助シート25の反転部43は、保護シート24の反転部31よりも、一端面33から突出しないように形成してもよい。このように形成することによって、使用者の操作の不手際等によって保護シート24が薬剤層22から剥離された場合であっても、薬剤層22が補助シート25の反転部43に粘着してしまうことを防ぐことができ、所望の部位に貼り付ける行為に支障をきたすことを防止することができる。
本実施形態において、保護シート24の第1シート部分28と第2シート部分29との間には潤滑剤51が塗布される。このように前記第1シート部分28と第2シート部分29との間には、潤滑剤51が塗布されているので、両シート間に生じる摩擦力を低減することができる。これによって、基布21を身体27に対して押圧した状態でも、小さな引張り力で保護シート24を薬剤層22から剥離することができる。
また、本実施形態において、補助シート25の第4シート部分40と第5シート部分41との間には潤滑剤51が塗布される。このように第4シート部分40と第5シート部分41との間には、潤滑剤51が塗布されているので、両シート間に生じる摩擦力を低減することができる。これによって、基布21を身体27に対して押圧した状態でも、小さな引張り力で補助シート25を保護シート24と共に薬剤層22と身体27との間から剥離することができる。
潤滑剤51としては、潤滑性だけでなく、粘着性を有するシリコンオイルや合成油、鉱物油などを用いることができる。このように潤滑剤51が、潤滑性だけでなく粘着性を有することによって、保護シート24の第1シート部分28および第2シート部分29ならびに補助シート25の第4シート部分40および第5シート部分41とがばらけるのを防ぐことができる。これによって、外用貼付剤20をコンパクト化することができるので、梱包性および操作性を向上させることができる。
本実施形態において、一表面に粘着層を有する粘着テープを、基布21の他表面21bと第3シート部分30の一表面38とは反対側の一表面とにわたって、粘着してもよい。このように粘着テープを粘着することによって、保護シート24の第1シート部分28と第2シート部分29とがずれたりすることや、第1シート部分28が薬剤層22から不所望に剥離することを防ぐことができる。
また、一表面に粘着剤が塗布されている粘着部分と粘着剤が塗布されていない非粘着部分とを有する粘着テープ(以下、粘着テープAということもある)および一表面に粘着層を有する粘着テープ(以下、粘着テープBということもある)を用いて、保護シート24の第1シート部分28と第2シート部分29とがずれたりすることや、第1シート部分28が薬剤層22から不所望に剥離することを防ぐためには、粘着テープAの粘着部分を他表面21bの他端面34寄りの位置に粘着し、非粘着部分を基布21の一端面33から他端面34に折り返し、折り返された非粘着部分の一部および第3シート部分30の一表面38とは反対側の一表面を、粘着テープBで粘着する。このように形成することによって、剥離シート23を剥離方向Aに引張るだけで、粘着テープが基布21の他表面21bから剥離する。したがって、保護シート24の第1シート部分28と第2シート部分29とがずれたりすることや、第1シート部分28が薬剤層22から不所望に剥離するのを防ぐことができるとともに、剥離シート23を剥離方向Aに引張るだけで、貼付け可能な状態にすることができる。
また、保護シート24だけでなく補助シート25も同様の構成によって粘着してもよく、この場合には、第4シート部分40の貼付面39が基布21の他表面21bに該当し、第6シート部分42が第3シート部分30に該当する。このように、補助シート25を粘着テープで粘着することによって、補助シート25の各シート部分が剥離したり、ずれたりすることを防ぐことができるとともに、剥離シート23を剥離方向Aに引張るだけで、貼付け可能な状態にすることができる。
図3は、本発明の参考形態である外用貼付剤130の断面図である。なお、本参考形態における外用貼付剤130は、第1の実施形態に係る外用貼付剤20と略同一に構成されているので、対応する部分についてはそれぞれ同一の参照符を付し、重複する説明を省略する場合がある。
以下では、第1シート部分28の基布21の他端面34側の端面を端面131とし、長辺方向Xにおいて基布21の他端面34から基布21の一端面33に向かう方向を方向Bとする。また、第1シート部分28の表面のうち、第1シート部分28の薬剤層22の一表面22aに貼着される表面を一表面132とし、厚み方向において一表面132と反対側の表面を他表面133とする。
本参考形態では、図3に示すように、第1シート部分28の他側縁部28bを180度反転させて折り返し、保護シート24の第1シート部分28と第2シート部分29との間に挟み込む。より具体的には、長辺方向Xにおいて端面131から方向Bに向かって所定の距離L4だけ離れた箇所を基準として、他表面133同士が対向して接触するように折り返す。すなわち、一表面132の一部132aと第2シート部分29の基布21側の表面である他表面134とが対向する。他表面134は、厚み方向において第2シート部分29の一表面37とは反対側の表面である。距離L4は、3mm〜15mmの範囲内がよく、本参考形態では8mmに選ばれる。また、折り返された状態で第2シート部分29の他表面134と他表面134に対向する一表面132の一部132aとの間には、粘着性を有する粘着剤からなる粘着剤層135が形成され、両表面132a,134が対向した状態で粘着される。
このような構成を採用することによって、保護シート24の第1シート部分28と第2シート部分29との間には、一表面に粘着層を有する粘着テープを折り返したものを挟んだ場合と同様に、第1シート部分28と第2シート部分29とが不所望にずれたり、剥離したりするのを防ぐことができる。
本参考形態では、補助シートを含まない構成としているが、本発明のさらに他の参考形態では、外用貼付剤20と同様に補助シートを含む構成としてもよい。また、本実施形態では、粘着性を有する粘着剤からなる粘着剤層135によって両表面132a,134が対向した状態で粘着されているが、たとえば粘着剤層135に代えて、両表面に粘着層を有する両面粘着テープを用いて両表面132a,134が対向した状態で粘着するように構成されてもよい。
次に図4Aおよび図4Bを用いて、外用貼付剤20の貼り方について説明する。図4Aおよび図4Bは、外用貼付剤20を貼付する状態を表した図である。図4Aは、背部に外用貼付剤20を貼付する状態を表し、図4Bは、殿部に外用貼付剤20を貼付する状態を表す図である。
図4Aに示すように、たとえば両肩甲部の間の背部のように手が届きにくい場所であっても、一方の手47で基布21を任意の部位に押圧し、他方の手48で基布21から突出して形成される第3シート部分30および第6シート部分42を下方、すなわち長辺方向Xに沿う剥離方向Aに向かって引っ張ることで保護シート24を薬剤層22から剥離し、薬剤層22を任意の部位に貼着することができる。したがって、外用貼付剤20を患部に移動させる途中で薬剤層同士が貼着することなく、外用貼付剤20の使用者本人が所望の部位に容易に貼り付けることができる。
また外用添付剤20は、自己の身体の任意の部位に、自己の一方の手で押圧した状態とし、他方の手によって薬剤層22から保護シート24を剥離できるので、図4Bに示すように衣服49を着用した状態であっても、薬剤層22を外部に露出させずに患部へ挿入して、挿入途中で衣服49に薬剤層22を貼着することなく所望の部位に配置した後、保護シート24を剥離して薬剤層22を患部表面に臨んで露出させ、容易にかつ正確に患部に貼り付けることができる。また、衣服を着用したまま貼り付けることができるので、どのような部位に貼り付ける場合であっても外用貼付剤20の使用者のプライバシーを守ることができる。
図5は、本発明の他の実施形態である外用貼付剤50の斜視図である。なお、本実施形態における外用貼付剤50は、第1の実施形態に係る外用貼付剤20と略同一に構成されているので、外用貼付剤50において外用貼付剤20と対応する部分についてはそれぞれ同一の参照符を付し、重複する説明を省略する場合がある。また外用貼付剤50において同一の構成が複数ある場合には、対応する部分の参照符号として同一の数字に添字a,bまたはc,dを付す。
外用貼付剤50は、基布21と、基布21の一表面21aに塗布される薬剤層22と、薬剤層22に剥離可能に貼着される一対の剥離シート23a,23bとを含む。各剥離シート23a,23bは、前記薬剤層22の一表面22aの長辺方向X中央部から前記長辺方向X両端部にわたる貼着側表面22aa,22abに貼着される。外用貼付剤50においては、基布21の長辺方向X中央部から各剥離シート23a,23bの長辺方向Xの端部までの距離N1,N2は等しく形成される。
外用貼付剤50は、手指で基布21を身体27の方向に押圧して、各第3シート部分30c,30dと第6シート部分42c,42dとをそれぞれ長辺方向Xに沿う剥離方向A1、A2に引っ張ることによって各剥離シート23a,23bを剥離して、貼着側表面22aa,22abの各領域を個別に露出させ身体27の貼付面39に貼り付けることができる。
このように1枚の基布21の一表面21aに塗布される薬剤層22に対して、2枚の剥離シート23a,23bによって貼着側表面22aa,22abを保護する構成とすることによって、身体27の貼付面39が幅bに対して2〜5倍の長さa(a=2・b〜5・b)を有する一方向に細長い領域であっても、各剥離シート23a,23bを片側ずつ剥離することができるので、一方の剥離シート23aを剥離して身体27に貼り付けして外用貼付剤50を位置決めした後、他方の剥離シート23bを剥離して身体27に貼り付けることができる。したがって、貼付面39が一方向に細長い領域であっても容易かつ確実に外用貼付剤50を身体27の任意の位置に貼り付けることができる。
また、剥離シート23が剥離シート23a,23bに分割された構成であるので、各剥離シート23a,23bを薬剤層22の貼着側表面22aa,22abから剥離するために手を移動させる距離を短くすることができる。したがって、使用者は本人にとって負担となる姿勢をとることなく外用貼付剤50を身体の所望の部位に貼り付けることができる。
また外用貼付剤50には、指挿入孔36が短辺方向Yに沿って2つ形成される。このように指挿入孔36が2つ形成されるので、剥離方向A1およびA2に引っ張った場合であっても、第3シート部分30c,30dおよび第6シート部分42c,42dが短辺方向Yにおいて中央に寄ってしわになることを防ぐことができる。したがって、不所望に薬剤層22同士が貼着したり、衣服に薬剤層22が貼着することを防ぐことができる。
本実施形態において、基布21の長辺方向X中央部から各剥離シート23a,23bの長辺方向Xの端部までの距離N1,N2は等しく(N1:N2=1:1)形成されるが、距離N1およびN2の長さの比はこれに限らず、外用貼付剤50の用途や形状によって適宜変更して形成することができ、たとえばN1:N2=1:2でもよく、N1:N2=1:5であってもよい。
また、本実施形態において、各剥離シート23a,23bの剥離方向A1,A2は長辺方向Xに沿った方向となっているが、剥離方向A1,A2はこれに限らず、剥離方向A1,A2の一方を長辺方向Xに沿う方向とし、他方を短辺方向Yに沿う方向としてもよい。また剥離方向A1,A2を共に短辺方向Yに沿う方向としてもよい。
図6は、本発明の他の実施形態である外用貼付剤60の斜視図である。なお、本実施形態における外用貼付剤60は、第1の実施形態に係る外用貼付剤20と略同一に構成されているので、対応する部分についてはそれぞれ同一の参照符を付し、重複する説明を省略する場合がある。
図6に示すように、外用貼付剤60は基布21の他表面21b上に滑り止めテープ61を有して形成される。滑り止めテープ61は、紙や布等の一表面に粘着剤層が形成された粘着テープである。滑り止めテープ61は、基布21の一端面33寄りの位置に形成される。滑り止めテープ61が設けられることによって、薬剤層22から保護シート24を剥離する際に、滑り止めテープ61に手指を引掛けつつ押圧することができるので、手指と基布21との間に生じる摩擦力を増加させることができる。したがって、薬剤層22から保護シート24を剥離する際に、外用貼付剤60を剥離方向Aに引っ張ることによって、外用貼付剤60の使用者が所望の部位に貼り損ねることを防ぐことができる。
また滑り止めテープ61には、通気孔62が複数形成される。通気孔62が形成されることによって、滑り止めテープ61を設けたことによる外用貼付剤60の通気性の悪化を防ぐことができる。また通気孔62が形成されることによって、滑り止めテープ61と手指との間に生じる摩擦力を増加させることができるので、より外用貼付剤60を所望の部位に貼り損ねることを防ぐことができる。
本実施形態において滑り止めテープ61は、基布21の他表面21bの一部のみに形成されるが、他表面21bの全面にわたって形成されてもよい。このように滑り止めテープ61を設けることによって、基布21のどの部分を手指で押圧したとしても、外用貼付剤60を所望の部位に貼り損ねることを防ぐことができる。
図7は、本発明の他の実施形態である外用貼付剤70の斜視図である。なお、本実施形態における外用貼付剤70は、第1の実施形態に係る外用貼付剤20と略同一に構成されているので、対応する部分についてはそれぞれ同一の参照符を付し、重複する説明を省略する場合がある。
図7に示すように、外用貼付剤70は基布21の他表面21b上に滑り止め部材63が形成される。滑り止め部材63は、樹脂等を他表面21b上に塗布し、基布21の一表面21aから他表面21bの方向に樹脂等が突出するように形成される。滑り止め部材63は外用貼付剤70を他表面21b側から見た場合に、線状に形成されても点状に形成されてもよく、線状と点状とを組み合せて幾何学的模様に形成されていてもよい。また滑り止め部材63は、他表面21bの一部のみに形成されてもよく、全面にわたって形成されてもよい。
滑り止めテープ61や滑り止め部材63が他表面21b上の一部に設けられることによって、手指で触れることで外用貼付剤70の向きや位置を把握することができる。したがって、背部のように視覚で直接認識することのできない位置に外用貼付剤70を貼り付ける場合であっても、使用者が任意の部位に正確に貼ることができる。また、手指で触れることで外用貼付剤70の向きや位置を把握することができるので、外用貼付剤70の使用者が目の不自由な人であっても容易に所望の部位に外用貼付剤70を貼り付けることができる。
また滑り止めテープ61および滑り止め部材63には、基布21と異なる彩色を施してもよい。このようにすることによって、どの位置に滑り止めテープ61または滑り止め部材63があるのかを視覚を通じて容易に認識することができる。
図8は、本発明の他の実施形態であり、粘着テープAと粘着テープBによる基布と剥離シートとの粘着部の図示が省略された外用貼付剤80の断面図である。本実施形態における外用貼付剤80は、第1の実施形態に係る外用貼付剤20と略同一に構成されているので、対応する部分についてはそれぞれ同一の参照符を付し、重複する説明を省略する場合がある。
本実施形態の外用貼付剤80は、基布21と、基布21の一表面21aに塗布される薬剤層22と、薬剤層22に剥離可能に貼着される剥離シート23と、引手材81とを含み、剥離シート23は薬剤層22の外部に露出する一表面22aに貼着される保護シート24と、補助シート25とを含む。
引手材81は、プラスチックから成る矩形の板状部材であり、その一側縁部81aにおいて、保護シート24の第2シート部分29の反転部31の他側縁部31bと補助シート25の第5シート部分41の反転部43の他側縁部43bと接合される。また、引手材81の他側縁部81bは、基布21の他端面34から突出して形成される。このように引手材81を設けることによって、引手材81の他端面34から突出する部分を剥離方向Aに引っ張ることによって、保護シート24を薬剤層22から剥離することができる。また、引手材81には、保護シート24と補助シート25とを接合したものよりも、厚みがあり強度の高いプラスチック板を用いることができるので、剥離方向Aに引っ張った際に保護シート24および補助シート25が指挿入孔36から破れてしまうことを防ぐことができる。
本実施形態では、引手材81の材質としてプラスチックを用いているが、引手材81の材質はこれに限定されず紙や布等を用いることもできる。また本実施形態では、補助シート25を設けているが、補助シート25を設けず、引手材81の基布21側の一表面82と反対の他表面83が身体27に直接接触するようにしてもよい。
図9は、本発明の他の実施形態であり、粘着テープAと粘着テープBによる基布と剥離シートとの粘着部の図示が省略された外用貼付剤90の断面図である。また、本実施形態における外用貼付剤90は、第1の実施形態に係る外用貼付剤20と略同一に構成されているので、対応する部分についてはそれぞれ同一の参照符を付し、重複する説明を省略する場合がある。
本実施形態の外用貼付剤90は、基布21と、基布21の一表面21aに塗布される薬剤層22と、薬剤層22に剥離可能に貼着される剥離シート23と、基布側引手材91と、身体側引手材92とを含み、剥離シート23は薬剤層22の外部に露出する一表面22aに貼着される保護シート24と、補助シート25とを含む。
2つの引手材91,92は、プラスチックから成る矩形の板状部材である。本実施形態において、保護シート24の第2シート部分29の反転部31の他側縁部31bと、補助シート25の第5シート部分41の反転部43の他側縁部43bとは、基布側引手材91と身体側引手材92との間に挟まれて形成される。また、基布側引手材91と身体側引手材92とは、保護シート24の第2シート部分29の反転部31の他側縁部31bと補助シート25の第5シート部分41の反転部43の他側縁部43bとを両引手材91,92の間に挟み込んだ状態で接合される。
両引手材91,92の他側縁部91b,92bは、基布21の他端面34から突出して形成される。このように両引手材91,92を設けることで、両引手材91,92を剥離方向Aに引っ張ることによって、保護シート24を薬剤層22から剥離することができる。また、両引手材91,92には、保護シート24と補助シート25とを接合したものよりも、厚みのあるプラスチック板を用いることができるので、剥離方向Aに引っ張った際に保護シート24および補助シート25が指挿入孔36から破れてしまうことを防ぐことができる。
図10A〜図10Fは、本発明における外用貼付剤の形状を表す平面図である。外用貼付剤20,50,60,70,80,90の形状は、図10A〜図10Fに示すように、長辺方向Xにおいて基布21の一端面33側と他端面34側との中間部から、基布21の一端面33側に向かうにつれて先細状となるように形成してもよい。
このような形状とすることによって、薬剤層22から保護シート24を剥離する際の剥離開始時における、剥離しなければならない保護シート24の面積を小さくすることができる。したがって、薬剤層22から保護シート24を剥離し始めるのに必要な力を低減することができるので、小さな引張り力で薬剤層22から保護シート24を剥離することができる。
長辺方向Xにおいて基布21の一端面33側と他端面34側との中間部から、基布21の一端面33側に向かうにつれて先細状となるような形状として、たとえばハート形を挙げることができる。このように容易に保護シート24を薬剤層22から剥離することができ、かつ意匠上の美観が向上され、いわばお洒落な形状とすることによって、各外用貼付剤20,50,60,70,80,90を貼り付けることに抵抗のある女性であっても好適に用いることができる外用貼付剤を提供することができる。
基布21に硬化剤を噴霧、含浸、塗布等することによって、薬剤層22から保護シート24を剥離する際に、保護シート24を剥離しようとする力に基布21が引っ張られ、変形することを防ぐことができる。これによって、薬剤層22から保護シート24を剥離する際に、基布21が変形し、薬剤層22同士が貼り付くことを防ぐことができる。硬化剤は、基布21の全面に噴霧、含浸、塗布等されていてもよく、長辺方向Xにおける基布21の中央部から一端面33側の位置のみに噴霧、含浸、塗布等されていてもよい。
図11A〜図11Cは、本発明の他の実施形態である外用貼付剤100の斜視図である。本実施形態における外用貼付剤100は、第1の実施形態に係る外用貼付剤20と略同一に構成されているので、対応する部分についてはそれぞれ同一の参照符を付し、重複する説明を省略する場合がある。
図11Aに示すように、外用貼付剤100では、基布21の他端面34から突出して形成される剥離シート23は、基布21の他表面21b上に反転して折り返される。より具体的には、基布21の他端面34から突出して形成される保護シート24の第3シート部分30および補助シート25の第6シート部分42は、基布21の他表面21b上に反転して折り返される。この状態では、保護シート24の第3シート部分30が基布21の他表面21bに対向し、補助シート25の第6シート部分42は、外方に臨んで露出している。基布21の一端面33寄りの剥離シート23の端縁部101と、基布21の他表面21bのうち外方に露出する表面とにわたって、補助テープ102が粘着される。補助テープ102は、その一表面に粘着層を有する粘着テープである。本実施形態では、補助テープ102によって、基布21と剥離シート23とが留められているが、接着剤を用いて接着してもよい。
このように形成することによって、外用貼付剤100の長辺方向Xの長さを短くすることができるので、手が比較的小さな人であっても外用貼付剤100を持ちやすくすることができる。したがって、所望の貼付け部位に外用貼付剤100を移動させる際に、手から落としたりすることを防ぐことができ、操作性が向上する。また、外用貼付剤100の長辺方向Xの長さを短くすることができるので、外用貼付剤100を袋などで梱包する際の梱包性も向上することができる。
図11Bは、補助テープ102に換えて、非粘着部分を有する粘着テープ103が、剥離シート23の端縁部101と基布21の他表面21bのうち外方に露出する表面とにわたって粘着された状態を示す斜視図である。粘着テープ103は、粘着剤が塗布されていない非粘着性の把持部103aと粘着剤が塗布されている粘着部103bとを有する。粘着テープ103は、粘着部103bが、基布21の一端面33寄りの剥離シート23の端縁部101と基布21の他表面21bのうち外方に露出する表面とにわたって粘着され、把持部103aが、基布21の一端面33から他端面34に折り返されて形成される。
このように形成されることによって、把持部103aを手指で把持して、基布21の一端面33から他端面34に向かって引っ張ることによって、粘着部103bの一部が基布21の他表面21bから剥離し、粘着部103bの残余の部分が剥離シート23に粘着した状態で剥離シート23を基布21の他表面21b上に積重された状態から、他表面21bに対して離反した展開状態に反転させ、貼付け可能な状態にすることができる。
また、剥離シート23を基布21の他表面21b上に積重された状態から展開状態にする際に、把持部103aを引張る方向は、剥離シート23を薬剤層22から剥離する剥離方向Aと共通するので、把持部103aを剥離方向Aに引張るだけで、薬剤層22から剥離シート23を剥離し、任意の患部に貼付けることができる。
図11Cは、外用貼付剤100の基布21の他端面34から突出して形成される剥離シート23が、基布21の他表面21b上に反転して折り返され、さらに基布21の一端面33から他端面34に折り返された状態を示す斜視図である。より具体的には、まず基布21の他端面34から突出して形成される保護シート24の第3シート部分30および補助シート25の第6シート部分42は、基布21の他表面21b上に反転して折り返される。そして、基布21上に折り返された剥離シート23は、さらに基布21の一端面33から他端面34に向かって折り返される。この状態では、保護シート24の第3シート部分30の一部が基布21の他表面21bに対向し、保護シート24の第3シート部分30の残余の部分が外方に臨んで露出している。
本実施形態では、基布21の他端面34から突出して形成される剥離シート23が、基布21の他表面21bに対して接着剤によって接着されているが、接着方法はこれに限らず、たとえば、基布21の一端面33寄りの剥離シート23の反転部104と、基布21の他表面21bのうち外方に露出する表面とにわたって、補助テープが粘着されてもよい。
このように形成することにより、剥離シート23が、基布21の他端面34から突出して形成される部分の長さL2が長い場合であっても、外用貼付剤100の長辺方向Xの長さを短くすることができるので、手が比較的小さな人であっても外用貼付剤100を持ちやすくすることができる。したがって、所望の貼付け部位に外用貼付剤100を移動させる際に、手から落としたりすることを防ぐことができ、操作性が向上する。また、外用貼付剤100の長辺方向Xの長さを短くすることができるので、外用貼付剤100を袋などで梱包する際の梱包性も向上することができる。
図11Cに示す外用貼付剤100では、基布21の他表面21b上に反転して折り返され、さらに基布21の一端面33から他端面34に向かって折り返された剥離シート23は、長手方向Xにおいて他端面34から突出しないように形成されているが、たとえば保護シート24の第3シート部分30の残余の部分の一部が長手方向Xにおいて他端面34から3〜7mm程度突出するように形成してもよい。
このように形成することによって、長手方向Xにおいて他端面34から突出する第3シート部分30の残余の部分の一部を手指で把持して薬剤層22から剥離シート23を剥離できるので、薬剤層22から剥離シート23を容易に剥離することができる。
図12は、本発明の他の実施形態であり、粘着テープAと粘着テープBによる基布と剥離シートとの粘着部の図示が省略された外用貼付剤110の断面図である。なお、本実施形態における外用貼付剤110は、第1の実施形態に係る外用貼付剤20と略同一に構成されているので、対応する部分についてはそれぞれ同一の参照符を付し、重複する説明を省略する場合がある。本実施形態において、方向Cは長辺方向Xに沿う方向であって、基布21の一端面33から他端面34に向かう方向とする。また、方向Cは剥離方向Aに沿う方向となることもある。
本実施形態の外用貼付剤110は、基布21と、基布21の一表面21aに塗布される薬剤層22と、薬剤層22に剥離可能に貼着される保護シート24とを含み、保護シート24は、薬剤層22の貼着側表面22aに貼着される第1シート部分28と、第1シート部分28の一側縁部28aに連なり、第1シート部分28上に一側縁部28aとは反対側の他側縁部28bにわたって積重される第2シート部分29と、第2シート部分29の基布21とは反対側の一表面37に接合する第3シート部分30とを含む。
本実施形態では、基布21の他端面34と、第1シート部分28の端面131と、基布21の他端面34側の第2シート部分29の端面112とは、厚み方向に平行な仮想一平面上にそろうように形成される。また、第3シート部分30の長辺方向Xにおける両端面のうち、基布21の一端面33側の端面である一端面113は、基布21の一端面33と厚み方向に平行な仮想一平面上にそろうように形成される。また、第3シート部分30の長辺方向Xにおける両端面のうち、基布21の他端面34側の端面である他端面114を含む第3シート部分30の一部は、長辺方向Xにおいて剥離方向Aに沿う方向Cに向かって基布21の他端面34から突出するように形成される。長辺方向Xにおいて、基布21の他端面34から第3シート部分の他端面114までの距離L8は、たとえば40mm〜100mmに形成され、本実施形態では60mmに形成される。また、外用貼付剤20と同様に、第3シート部分30には、指掛け部35が設けられてもよい。
第1シート部分28の他表面133と第2シート部分29の他表面134との間には粘着性を有する粘着剤からなる粘着剤層117が形成される。粘着剤層117は、長辺方向Xにおいて、第1シート部分28の端面131および第2シート部分の端面112から、方向Bに向かって所定の距離L5の範囲に形成される。距離L5は、3mm〜10mmの範囲内がよく、本実施形態では6mmに選ばれる。厚み方向における粘着剤層117の厚みT6は、特に限定されることはないが、たとえば厚みT6は、0.01mm〜0.4mmの範囲内がよく、本実施形態では、厚みT6が0.1mmに形成される。粘着剤層117は、第1シート部分28の他表面133または第2シート部分29の他表面134のいずれの表面に塗布されていてもよいが、保護シート24を薬剤層22から剥離する際の剥離の容易性および確実性の観点から第2シート部分29の他表面134に塗布されるほうが好ましい。
第3シート部分30は、第3シート部分30の表面のうち、基布21側の他表面118において第2シート部分29の一表面37と接合される。第3シート部分30の他表面118と第2シート部分29の一表面37との間には、接着剤からなる接合剤層119が形成され、両表面37,118は接着剤によって接合される。接着剤としては、前記接合剤層26に用いられる接着剤と同様に、公知のあらゆる接着剤を用いることができる。
接合剤層119は、長辺方向Xにおいて、第3シート部分30の一端面113から、方向Cに向かって所定の距離L6の範囲に形成され、本実施形態では129mmに選ばれる。厚み方向における接合剤層119の厚みT7は、特に限定されることはないが、たとえば厚みT7は、0.01mm〜0.4mmの範囲内がよく、本実施形態では、厚みT7が0.1mmに形成される。また、長辺方向Xにおける基布21の一端面33側の粘着剤層117の端面117aと、長辺方向Xにおける基布21の他端面34側の接合剤層119の端面119aとは、長辺方向Xにおいて所定の距離L7離間して形成される。距離L7は、1mm〜10mmの範囲内がよく、本実施形態では5mmに形成される。
第1シート部分28と第2シート部分29とが粘着剤からなる粘着剤層117によって粘着されているので、外用貼付剤110を身体27に貼付する際に、基布21の他表面21bに手指を接触させて押圧した状態で、身体27上で外用貼付剤110の貼付位置の調整を行った場合であっても、第1シート部分28と第2シート部分29とが不所望にずれるのを防ぐことができる。したがって、身体27上で外用貼付剤110の位置を変更することができるので、外用貼付剤110を身体の所望の位置に正確に貼り付けることができる。
また、第2シート部分29と第3シート部分30とが接合剤からなる接合剤層119によって接合されているので、第3シート部分30を剥離方向Aに引っ張った際に生じる引張り力F2を確実に第2シート部分29に伝えることができ、第1シート部分28を薬剤層22から剥離する方向に引張り力F2の分力を確実に発生させることができる。また、第3シート部分30の他端面114を含む第3シート部分30の一部は、剥離方向Aに沿う方向Cに向かって基布21の他端面34から突出するように形成されているので、身体27のいずれの部位に外用貼付剤110を貼り付ける場合であっても、容易に第3シート部分30を手指で把持して、剥離方向Aに引っ張ることができる。
このように薬剤層22から保護シート24を剥離することができるので、基布21の他表面21bを手指で身体27に対して押圧し、押圧力F1を加えた状態であっても、保護シート24を剥離することができる。これによって、外用貼付剤110を薬剤層22が露出していない状態で身体27に押し付けても、第3シート部分30を引っ張ることで、薬剤層22を露出させ、身体27に貼付することができる。したがって、外用貼付剤110を患部に移動させる途中で、薬剤層22同士が貼着したり、衣服に貼着することを防ぐことができ、外用貼付剤110の使用者本人が所望の部位に容易に貼り付けることができる。
また、粘着剤層117は、長辺方向Xにおいて、第1シート部分28の端面131および第2シート部分の端面112から、方向Bに向かって所定の距離L5の範囲に形成され、接合剤層119は、第3シート部分30の一端面113から、長辺方向Xにおいて方向Cに向かって所定の距離L6の範囲に形成され、粘着剤層117の端面117aと接合剤層119の端面119aとは、所定の距離L7離間して形成されるので、引張り力F2を第1シート部分28の他側縁部28b側ではなく、一側縁部28a側に確実に伝えることができ、第1シート部分28の一側縁部28aに薬剤層22から剥離する方向に引張り力F2の分力を確実に作用させることができる。したがって、薬剤層22から第1シート部分28を剥離する際に、第1シート部分28の他側縁部28b側から、第1シート部分28が剥離するのを防ぐことができる。
また、保護シート24を薬剤層22から剥離する際に手指で把持し易いように、基布21の他端面34から突出して形成される第3シート部分30が、基布21、薬剤層22および第1シート部分28とは反対側の表面である第2シート部分29の一表面37に接合して形成される。したがって、外用貼付剤110を製造する際には、基布21、薬剤層22、第1シート部分28、第2シート部分29が形成された後に、第3シート部分30を第2シート部分29に接合することができるので、長辺方向Xにおいて基布21から突出する部分を有しているにもかかわらず製造を行いやすい。
粘着剤層117には、粘着剤に代えて両面粘着テープを用いてもよい。また、粘着剤層117を形成する代わりに、第1シート部分28の他表面133と第2シート部分29の他表面134とを溶着してもよい。また、接合剤層119は、接着剤からなるものに限らず、両面に粘着剤層を有する両面粘着テープを用いて形成してもよい。また、本実施形態の第3シート部分30の材質としては、薄く成型されたプラスチックフィルム以外でもよく、たとえば吸液性を有する紙や布等であってもよい。
本実施形態では、接合剤層119は、第3シート部分30の一端面113から方向Cに向かって所定の距離L6の範囲に形成されているが、このような形態には限られず、接合剤層119は、第3シート部分30の他表面118と第2シート部分29の一表面37とが対向する部分のうち、前記距離L5および距離L7を除いた全部分に形成されていればよい。たとえば、第3シート部分30の一端面113が、基布21の一端面33と厚み方向に平行な仮想一平面上にそろわず、第3シート部分30の一端面113が基布21の一端面33から方向Cに向かって所定の距離だけ離反した位置にある場合であれば、第3シート部分30の他表面118と第2シート部分29の一表面37とが対向する部分のうち、粘着剤層117の端面117aから長手方向Xにおいて方向Bに所定の距離L7離間した部分から第3シート部分30の一端面113までの全部分に接合剤層119が形成されていればよい。
図13は、本発明の他の実施形態であり、粘着テープAと粘着テープBによる基布と第3シート部分との粘着部の図示が省略された外用貼付剤120の断面図である。なお、本実施形態における外用貼付剤120は、第1の実施形態に係る外用貼付剤20および他の実施形態に係る外用貼付剤110と略同一に構成されているので、対応する部分についてはそれぞれ同一の参照符を付し、重複する説明を省略する場合がある。本実施形態において、方向Cは長辺方向Xに沿う方向であって、基布21の一端面33から他端面34に向かう方向とする。また、方向Cは剥離方向Aに沿う方向となることもある。
本実施形態の外用貼付剤120は、基布21と、基布21の一表面21aに塗布される薬剤層22と、薬剤層22に剥離可能に貼着される保護シート24と補助シート25とを含む。補助シート25以外の構成は、外用貼付剤110と同様に構成される。
補助シート25は、身体27の貼付面39に当接する第4シート部分40と第4シート部分40の一側縁部40aに連なり、第4シート部分40上に前記一側縁部40aとは反対側の他側縁部40bにわたって積重される第5シート部分41を含み、第5シート部分41は第3シート部分30に接合される。
本実施形態では、基布21の他端面34と、第1シート部分28の端面131と、第2シート部分29の基布21の他端面34側の端面112と、第4シート部分40の基布21の他端面34側の端面121と基布21の他端面34側の第5シート部分41の端面122とは、厚み方向に平行な仮想一平面上にそろうように形成される。
第4シート部分40の基布21側の表面である一表面123aと第5シート部分41の一表面45とは厚み方向反対側の他表面124との間には粘着性を有する粘着剤からなる粘着剤層125が形成される。第5シート部分41の他表面124は、厚み方向における第4シート部分40側の表面であり、第5シート部分41の一表面45は、厚み方向における基布21側の表面である。厚み方向において、第4シート部分40の一表面123aとは反対側の表面123bは、身体27の貼付面39に当接する表面である。
粘着剤層125は、長辺方向Xにおいて、第4シート部分40の端面121および第5シート部分41の端面122から、方向Bに向かって所定の距離L9の範囲に形成される。距離L9は、3mm〜10mmの範囲であればよく、本実施形態ではL5と同じ距離に形成される。厚み方向における粘着剤層125の厚みT8は、特に限定されることはないが、たとえば厚みT8は、0.01mm〜0.4mmの範囲内がよく、本実施形態では、粘着剤層117の厚みT6と同じ厚みに形成される。粘着剤層125は、第4シート部分40の一表面123aまたは第5シート部分41の他表面124のいずれの表面に塗布されていてもよいが、補助シート25を身体27の貼付面39から剥離する際の剥離の容易性および確実性の観点から第5シート部分41の他表面124に塗布されるほうが好ましい。
第5シート部分41は、第5シート部分41の一表面45において第3シート部分30の一表面38と接合される。第3シート部分の一表面38は、厚み方向において基布21と反対側の表面である。第5シート部分41の一表面45と第3シート部分30の一表面38との間には、接着剤からなる接合剤層126が形成され、両表面38,45は接着剤によって接合される。接着剤としては、前記接合剤層119に用いられる接着剤と同様に、公知のあらゆる接着剤を用いることができる。
接合剤層126は、長辺方向Xにおいて、第3シート部分30の一端面113から、長辺方向Xに沿う方向Cに向かって所定の距離L10の範囲に形成され、本実施形態では129mm、すなわち距離L6と同じ距離に形成される。厚み方向における接合剤層126の厚みT9は、特に限定されることはないが、たとえば厚みT9は、0.01mm〜0.4mmの範囲内がよく、本実施形態では、厚みT9が接合剤層119の厚みT7と同じ厚みに形成される。また、長辺方向Xにおける基布21の一端面33側の粘着剤層125の端面125aと、長辺方向Xにおける基布21の他端面34側の接合剤層126の端面126aとは、長辺方向Xにおいて所定の距離L11離間して形成される。距離L11は、1mm〜10mmの範囲内がよく、本実施形態ではL7と同じ距離に形成される。
本実施形態では、接合剤層126は、第3シート部分30の一端面113から方向Cに向かって所定の距離L10の範囲に形成されているが、このような形態には限られず、接合剤層126は、第3シート部分30の一表面38と第5シート部分41の一表面45とが対向する部分のうち、前記距離L9および距離L11を除いた全部分に形成されていればよい。たとえば、第3シート部分30の一端面113が、基布21の一端面33と厚み方向に平行な仮想一平面上にそろわず、第3シート部分30の一端面113が基布21の一端面33から方向Cに向かって所定の距離だけ離反した位置にある場合であれば、第3シート部分30の一表面38と第5シート部分41の一表面45とが対向する部分のうち、粘着剤層125の端面125aから長手方向Xにおいて方向Bに所定の距離L11離間した部分から第3シート部分30の一端面113までの全部分に接合剤層126が形成されていればよい。
このように、本実施形態では補助シート25と保護シート24の第1シート部分28および第2シート部分29とは、第3シート部分30を基準として、対称に形成される。このように形成されることによって、第3シート部分30を手指で把持して剥離方向Aに引っ張ることで、補助シート25を身体27の貼付面39から剥離するとともに保護シート24の第1シート部分28を薬剤層22から剥離することができる。
また、このように形成することによって、第3シート部30を手指で把持し、剥離方向Aに向かって引っ張った場合に、補助シート25および保護シート24の第1シート部分28と第2シート部分29とをほぼ均しい移動速度で剥離方向Aに向かって移動させることができ、補助シート25が先に剥離される、または保護シート24の第1シート部分28のみが先に剥離されるといったことを防ぐことができる。通常、補助シート25が先に剥離される、または保護シート24の第1シート部分28が先に剥離された場合には、薬剤層22が補助シート25や、身体27の不所望の部位に貼り付いてしまう。したがって、このように形成することによって、外用貼付剤120を貼付する際に、薬剤層22が補助シート25に貼り付いたり、身体27の不所望の部位に貼り付いたりするのを防ぐことができる。
本実施形態では、補助シート25と保護シート24の第1シート部分28および第2シート部分29とは、第3シート部分30を基準として、対称に形成されることによって、外用貼付剤120を貼付する際に、薬剤層22が補助シート25に貼り付いたり、身体27の不所望の部位に貼り付いたりするのを防ぐことができるが、このような形態に限らず、たとえば補助シート25の反転部43が保護シート24の反転部31よりも基布21の一端面33から突出しないように形成することによって同様の効果を達成することができる。
また、身体27の貼付面39に当接する補助シート25を含んで構成されるので、外用貼付剤120の使用者が発汗している場合や、使用者が脂性の場合であっても、保護シート25が汗等によって肌に密着し、剥離しにくくなることを防ぐことができる。したがって、季節や体質などを問わず、常に外用貼付剤120の使用者が所望の貼付け部位に自分で容易に貼り付けることができる。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は特許請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。