JP3871276B2 - 貼付剤 - Google Patents
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Description
以下に従来のパップ剤や硬膏剤等の貼付剤について、図面を参照しながら説明する。
図11は従来のパップ剤や硬膏剤等の貼付剤を示す斜視図である。図11において、11は従来のパップ剤や硬膏剤等の貼付剤、12は白色や肌色の不織布等からなる支持体、13は支持体12の一面の略全面に展着された薬物等が含有された膏体、14は膏体13の全面に貼着された極めて薄い柔軟性を有する透明な合成樹脂フィルム等からなる剥離シートである。
以上のように構成された従来のパップ剤や硬膏剤等の貼付剤について、以下その使用方法を説明する。図11に示すように、まず、支持体12の隅部を何度も爪で探って膏体13と剥離シート14とが剥がれやすいようにした後、剥離シート14を爪で剥ぎ、次いで、支持体12がよじれてシップ膏体同士が絡みつかないように注意しながら剥離シート14を剥離した後、支持体12を持って患部に貼付して用いられていた。
また、(特許文献1)のように、剥離シートに切断部や切れ目部を設け、この切断部や切れ目部より剥離を行うようにした貼付剤も開示されている。また、膏体より大面積の剥離シートを用いたもの、2枚の剥離シートを膏体の略中央部分で重ね合わせ、この膏体に接触しない重ね合わせ部分より剥離を行うようにしたもの等が提案されている。
(1)パップ剤や硬膏剤等の貼付剤が、支持体の一面の略全面に膏体を展着した後、この膏体の上面に剥離シートを貼着して得られた原反シートを角形状等に裁断して形成されるため、支持体や膏体,剥離シートの外周断面が、同一面化されているので、剥離シートを外側縁から剥がす際、剥がし始める手掛かりがなく、爪先を剥離シートの先端にかけてもうまく掛からず、剥離作業が困難で使用し難いという問題点を有していた。
(2)膏体には、皮膚等への増粘作用を付与するために増粘剤が含有されているため、膏体の粘着性が極めて強く、剥離シートが剥離し難いという問題点を有していた。
(3)湿布剤や硬膏剤等の殆どが、例えば、白色の支持体並びにこの支持体上に貼着された白色又は白色透明の膏体の表面に、極めて薄くて柔軟な剥離シートで覆っているため、剥離シートと膏体の区別がつき難く剥離位置が不明確なため、剥離シートが摘み難いという問題点を有していた。
(4)このため、患者がいざ患部に貼ろうとしても、剥離シートが剥ぎ取り難く剥離シートを剥ぎ取ることにいたずらに時間を浪費し、イライラすることも多く、剥離作業が困難で、使用上大変不便であるという問題点を有していた。
(5)特に、高齢者にとっては、指先が器用ではなく、しかも視力等も低下していることから、薄肉透明の剥離シートが膏体と同色化しかつ密着しているため、剥離が困難で膏体から剥離シートを剥ぎ取ることは大きな負担を強いるという問題点を有していた。
(6)また、剥離シートも支持体も共に柔軟なため支持体がよじれて膏体同士が絡み付き使用できないという問題点も有していた。
(7)(特許文献1)の剥離シートに切断部が設けられたものは、使用時以外に、剥離シートがこの切断部からめくれてしまい、このめくれた部分から膏体に含有された薬効成分が揮発してしまい、薬効効果が得られないという問題点を有していた。
(8)また、剥離シートに切れ目部が設けられたものでは、剥離シートの材質や切れ目部の間隔によっては剥離シートをきれいに分断することが困難という問題点を有していた。
(9)剥離シートが膏体よりも大きな面積で形成されている場合は、大面積の剥離シートを必要とするため、コストが高くなり、また、このパップ剤や硬膏剤等の貼付剤を製造する場合、原反シートを裁断した後、更にパップ剤や硬膏剤等の貼付剤の外縁部の支持体や膏体を切除する作業が必要で、作業性に欠けるとともにその分生産性に劣るという問題点を有していた。
(10)2枚の剥離シートを膏体の略中央部分で重ね合わせた場合は、多大の生産工数を要すと共に作業性に欠け製品得率を下げ生産性に欠けるという問題点を有していた。
(11)更に、パップ剤や硬膏剤等の貼付剤に使用される剥離シートは、通常凹凸等がなく形成されているものが多く、剥離シートを摘んだときすべり易く、剥離がし難いという問題点を有していた。
(12)また、パップ剤や硬膏剤等の貼付剤の製造時に、膏体上に剥離シートを貼着しようとしてもすべってうまく貼着できず、また裁断しようとしても裁断機に巻き込まれ、膏体上からずれ易く、製品得率が低いという問題点を有していた。
(13)更に、膏体やこの膏体と剥離シートの間に気泡を生じ易く、歩留りが低下するという問題点を有していた。
これにより、以下のような作用を有する。
(1)剥離シートと支持体等を左右に引張るだけで、剥離シートと支持体等との伸び率の違いを利用して、剥離シートのみを切れ目部で分断できる。
(2)分断時、剥離シートが弾性により分断された部位がめくれ上がるので、そのめくれ上がった剥離シートの各片を摘み取ることで、剥離シートを容易に剥ぎ取ることができる。
(3)剥離シートの各片を摘んだ際、膏体の露出した部分を患部に貼着するだけで手を汚すことなく貼着することができる。
(4)剥離シートがめくれ、膏体の一部が露出されるので、この膏体の露出部を患部にあて、次いで、めくれた剥離シートの各片をつまんで左右に引張るだけで、高齢者でも手間をかけずに、また手を汚すことなく、更にパップ剤や硬膏剤等の貼付剤にシワがよったりすることなくきれいに患部に貼着することができる。
(5)剥離シートに切れ目部を設けたので、剥離シートが分断されたとき、分断面が突出するので突出片を摘むことができ簡単に剥がすことができる。
(6)剥離シートの表面にエンボス加工部が形成されていることにより、剥離シートを分断するときや、パップ剤や硬膏剤等の貼付剤を製造するとき等、このエンボス加工部が指や膏体との摩擦抵抗を大とすることができ、剥離シートを手で摘み易くしたり、支持体上に展着された膏体上に剥離シートを貼着して原反シートを作成するときやこの原反シートを裁断するとき等、剥離シートを膏体上に密着させることができ、剥離シートが膏体からずれること等が防止できる。
(7)剥離シートが、剥離シートの表面に形成されたエンボス加工部を備えたので、支持体の隅部を爪で探る等の剥離開始作業を要することなく、ただこのパップ剤や硬膏剤等の貼付剤の剥離シートを支持体等とともに外側に引張るだけで、容易に剥離シートのみを切れ目部で分断することができる。
(8)剥離シートにエンボス加工部が形成されているので、剥離作業の際に滑ったりすることがなく、剥離シートの剥離を簡単にかつ円滑に行うことができる。
(9)剥離シートにエンボス加工部が形成されているので、パップ剤や硬膏剤等の貼付剤を製造するに際して、支持体の一面に展着された膏体上に剥離シートを積層する場合、剥離シートが膏体上を滑ってずれることがなく積層することができる。
(10)エンボス加工部の摩擦抵抗が大きいので原反シートを裁断する場合、刃具に原反シートが巻き込まれるのを防止し剥離シートがずれ込むことがなく、生産性を向上させることができる。
(11)膏体やこの膏体と剥離シートの間に気泡が生じた場合も、この気泡をエンボス加工部によって容易に排出することができるので、製品歩留りを飛躍的に向上させることができる。
剥離シートの引張り強度は、10g/cm〜140g/cm,好ましくは20g/cm〜100g/cm,更に好ましくは30g/cm〜60g/cmの範囲とするのが好ましい。切れ目部を有する剥離シートの引張り強度が30g/cmより小さくなるにつれ製造に際して、剥離シートが途中で切断してしまい、連続して膏体上に剥離シートを貼着することができなくなり、またパップ剤や硬膏剤等の貼付剤を包装袋の中に入れる場合にも、容易に剥離シートが分断され、更に歩留りが低下する傾向が現れやすいので好ましくない。引張り強度が60g/cmより大きくなるにつれ使用するに際して容易に剥離シートを分断することが困難となり、利便性が低下する傾向が現れだすので好ましくない。
剥離シートに形成される切れ目部は、連結部(a)とこの切れ目部(b)の長さの比が、a:b=1:5〜25,好ましくはa:b=1:8〜20,更に好ましくはa:b=1:8〜15とされるのが好ましい。切れ目部の長さが連結部の長さの8倍より小さくなるにつれ使用時以外でも分断し易くなり、薬効成分が揮発して薬効効果が低下したり、剥離シートが薄過ぎて摘み難くなり、信頼性や利便性が低下する傾向が現れだすので好ましくない。切れ目部の長さが連結部の長さの15倍より大きくなるにつれ剥離シートの分断が困難となり、製造に際して原反シートを切断することが困難となり、利便性や作業性等が低下する傾向が現れだすので、好ましくない。
切れ目部は、剥離シートの所定部に直線状,S字状,波形状,鋸刃形状等に形成される。特に、S字状,波形状,鋸刃形状等に形成されると、一定間隔を空けて形成された突出片を摘んで剥離シートの剥離をスムーズに行うことができ、剥離作業等の利便性を向上させることができる。
切れ目部からの薬効成分や水分の逃散は剥離シートの張力をかけることにより、切れ目部が重なり合うことによって防止される。
エンボス加工部の形状は、特に限定されるものではないが、滑ることなく手で摘み易くするものであれば、例えば、格子状,丸形状,角形状,星形状等その他種々の形状に形成されてもよい。
なお、この伸縮性の支持体は縦方向及び/又は横方向に10〜100%の伸縮率を有することが望ましい。これにより、支持体と剥離シートの伸び率等の差を利用して、支持体と共に剥離シートを引張るだけで、容易に剥離シートを分断して、剥離シートを膏体から剥がすことができる。
支持体は、厚さ,伸び,引張り強さ,作業性などの物理的性質や貼付時の感触、患部の密閉性,薬物の支持体への移行等を考慮して選択される。
その他必要に応じて、架橋剤や重合剤等を添加してもよい。膏体を強固にするとともに保水性を持たせることができる。この架橋剤や重合剤は、増粘剤等の種類に応じて適宜選択される。例えば、増粘剤にポリアクリル酸またはポリアクリル酸塩を適用した場合は、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物、Ca,Mg,Al等の塩酸塩,硫酸塩,リン酸塩,炭酸塩等の無機酸塩,クエン酸塩,酒石酸塩,グルコン酸塩,ステアリン酸塩等の有機酸塩,酸化亜鉛,無水珪酸等の酸化物,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム等の水酸化物等の多価金属化合物等が好適に用いられる。また、増粘剤にポリビニルアルコールを適用した場合は、アジピン酸,チオグリコール酸,エポキシ化合物(エピクロルヒドリン),アルデヒド類,N−メチロール化合物,Al,Ti,Zr,Sn,V,Cu,B,Cr等の化合物等の錯化物等が好適に用いられる。また、増粘剤にポリビニルピロリドンを適用した場合は、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体,ポリアシッド化合物またはそのアルカリ金属塩(ポリアクリル酸やタンニン酸およびその誘導体)等が好適に用いられる。また、増粘剤にポリエチレンオキサイドを適用した場合は、パーキオサイド,ポリスルホンアザイド等が好適に用いられる。また、増粘剤にメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体を適用した場合は、多官能ヒドロキシ化合物,ポリアミン,ヨウ素,ゼラチン,ポリビニルピロリドン,鉄,水銀,鉛塩等が好適に用いられる。増粘剤にゼラチンを適用した場合は、ホルムアルデヒド,グルタルアルデヒド,ジアルデヒドデンプン等のアルデヒド類、グリオキサール、ブタジエンオキシド等のジエポキシド類、ジビニルケトン等のジケトン類、ジイソシアネート類等が好適に用いられる。また、増粘剤にポリアクリル酸ナトリウムを適用した場合、架橋剤として、水酸化リチウム,水酸化亜鉛,水酸化アルミニウム,ほう酸ナトリウム等の多価金属塩が添加されるのが好ましい。特に、亜鉛塩,アルミニウム塩が好ましい。架橋反応が促進される。 架橋剤として添加される多価金属塩の濃度は、増粘剤(又は水溶性高分子)1当量に対し0.5〜1.5当量が好ましい。多価金属塩の濃度が0.5当量より小さくなるにつれ反応が遅すぎてゲル強度が低くなる傾向が現れだし、多価金属塩の濃度が1.5当量より大きくなるにつれ反応が速すぎてゲル化が不均一になり作業性が低下する傾向が現れだし、いずれも好ましくない。
また、硬膏剤等に適用する場合、この基材としては、アクリル系共重合体,A−B−A型ブロック共重合体,脂環族系石油樹脂,軟化剤を有するものが好適に用いられる。更にA−B型ブロック共重合体やその他のポリブテンゴム,ブチルゴム,シリコーンゴム,天然ゴム,スチレン−ブタジエンコポリマー,NBRポリイソブチレン,ポリアルキアクリレート,合成イソプレン等の熱可塑性弾性剤等や、テルペン系樹脂,石油系樹脂,ロジン,水添ロジン,ロジン・水添ロジンエステルなどの粘着性付与剤,流動パラフィン,オリーブ油,大豆油,牛脂,トン脂等の動植物油、ポリブテン,液状ポリイソブチレン,低級イソプレン,ワックスなどの接着力・保持力調整剤、酸化チタン,酸化亜鉛,メタケイ酸アルミニウム,硫酸カルシウム,リン酸カルシウムなどの充填剤等が配合される。A−B−A型ブロック共重合体やA−B型ブロック共重合体としては、モノビニル置換芳香族化合物Aと共役ジオレフィン共重合体Bとのブロック共重合体が好適に用いられる。具体的にはシェル化学社製のカリフレックスTR−1101,カリフレックスTR−1107,カリフレックスTR−1111等、フィリップペトロリアム製のソルプレン418やソルプレン311等であり、その配合量は膏体組成物中10〜40重量部であり、好ましくは15〜30重量部である。A−B型ブロック共重合体を15〜30重量部加えることにより、A−B−A型ブロック共重合体の薬効成分の相溶性や投錨力、粘着力を向上させるとともに油状成分による凝集力を改善することができ、この範囲よりも外れるに従い、これらの効果を減少させる傾向があるので好ましくない。
これにより、上記作用の他、以下の作用に優れた貼付剤を提供することができる。
(1)剥離シートと支持体等を左右に引張るだけで、剥離シートと支持体等との伸び率の違いを利用して、剥離シートのみを切れ目部で極めて容易に分断できる。
(2)分断時、剥離シートが弾性により分断された部位がめくれ上がるので、そのめくれ上がった剥離シートの各片を摘み取ることで、剥離シートを容易に剥ぎ取ることができる。
(3)剥離シートの各片を摘んだ際、膏体の露出した部分を患部に貼着するだけで手を汚すことなく貼着することができる。
(4)剥離シートがめくれ、膏体の一部が露出されるので、この膏体の露出部を患部にあて、次いで、めくれた剥離シートの各片をつまんで左右に引張るだけで、高齢者でも手間をかけずに、また手を汚すことなく、更にパップ剤や硬膏剤等の貼付剤にシワがよったりすることなくきれいに患部に貼着することができる。
本発明によれば、
(1)剥離シートと支持体等を左右に引張るだけで、剥離シートと支持体等との伸び率の違いを利用して、剥離シートのみを切れ目部で分断できる。
(2)分断時、剥離シートが弾性により分断された部位がめくれ上がるので、そのめくれ上がった剥離シートの各片を摘み取ることで、剥離シートを容易に剥ぎ取ることができる。
(3)剥離シートの各片を摘んだ際、膏体の露出した部分を患部に貼着するだけで手を汚すことなく貼着することができる。
(4)剥離シートがめくれ、膏体の一部が露出されるので、この膏体の露出部を患部にあて、次いで、めくれた剥離シートの各片をつまんで左右に引張るだけで、高齢者でも手間をかけずに、また手を汚すことなく、更にパップ剤や硬膏剤等の貼付剤にシワがよったりすることなくきれいに患部に貼着することができる。
(5)剥離シートに切れ目部を設けたので、剥離シートが分断されたとき、分断面が突出するので突出片を摘むことができ簡単に剥がすことができる。
(6)剥離シートの表面にエンボス加工部が形成されていることにより、剥離シートを分断するときや、パップ剤や硬膏剤等の貼付剤を製造するとき等、このエンボス加工部が指や膏体との摩擦抵抗を大とすることができ、剥離シートを手で摘み易くしたり、支持体上に展着された膏体上に剥離シートを貼着して原反シートを作成するときやこの原反シートを裁断するとき等、剥離シートを膏体上に密着させることができ、剥離シートが膏体からずれること等が防止できる。
(7)剥離シートが、剥離シートの表面に形成されたエンボス加工部を備えたので、支持体の隅部を爪で探る等の剥離開始作業を要することなく、ただこのパップ剤や硬膏剤等の貼付剤の剥離シートを支持体等とともに外側に引張るだけで、容易に剥離シートのみを切れ目部で分断することができる。
(8)剥離シートにエンボス加工部が形成されているので、剥離作業の際に滑ったりすることがなく、剥離シートの剥離を簡単にかつ円滑に行うことができる。
(9)剥離シートにエンボス加工部が形成されているので、パップ剤や硬膏剤等の貼付剤を製造するに際して、支持体の一面に展着された膏体上に剥離シートを積層する場合、剥離シートが膏体上を滑ってずれることがなく積層することができる。
(10)エンボス加工部の摩擦抵抗が大きいので原反シートを裁断する場合、刃具に原反シートが巻き込まれるのを防止し剥離シートがずれ込むことがなく、生産性を向上させることができる。
(11)膏体やこの膏体と剥離シートの間に気泡が生じた場合も、この気泡をエンボス加工部によって容易に排出することができるので、製品歩留りを飛躍的に向上させることができる。
(1)剥離シートと支持体等を左右に引張るだけで、剥離シートと支持体等との伸び率の違いを利用して、剥離シートのみを切れ目部で極めて容易に分断できる。
(2)分断時、剥離シートが弾性により分断された部位がめくれ上がるので、そのめくれ上がった剥離シートの各片を摘み取ることで、剥離シートを容易に剥ぎ取ることができる。
(3)剥離シートの各片を摘んだ際、膏体の露出した部分を患部に貼着するだけで手を汚すことなく貼着することができる。
(4)剥離シートがめくれ、膏体の一部が露出されるので、この膏体の露出部を患部にあて、次いで、めくれた剥離シートの各片をつまんで左右に引張るだけで、高齢者でも手間をかけずに、また手を汚すことなく、更にパップ剤や硬膏剤等の貼付剤にシワがよったりすることなくきれいに患部に貼着することができる。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における貼付剤を示す斜視図であり、図2はその正面図であり、図3はその要部断面図である。
図1乃至図3において、1aは本発明の実施の形態1におけるパップ剤や硬膏剤等の貼付剤、2は不織布等からなる伸縮性を有する支持体、3は支持体2の表面の略全面に展着されたポリアクリル酸ナトリウム等にサリチル酸メチル又はケトプロフェン等の薬物や水分等を含有させた膏体、4は膏体3の全面に貼着された厚み10μm〜75μmの無延伸ポリプロピレン等からなる剥離シート、4aは剥離シート4の端部、5aは剥離シート4の略中央部を横切って略直線状に形成された切れ目部、6は切れ目部5aと切れ目部5aとの間に形成された連結部、7aは剥離シート4の略全面に菱形状の凸部を持って形成されたエンボス加工部である。
尚、連結部6の長さ(a)と切れ目部5aの長さ(b)の比は、a:b=1:8〜25とされている。
また、切れ目部5aを持った剥離シート4の引張り強度は、10g/cm 〜140g/cmである。
図4は本発明の実施の形態1における貼付剤の剥離シートを分断する作業を示す側面図であり、図5は本発明の実施の形態1における貼付剤を患部に貼着する作業を示す側面図である。
まず、図4に示すように、パップ剤や硬膏剤等の貼付剤1aの両端部をつまみ、支持体2と共に剥離シート4を引っ張り切れ目部5aを少し折り曲げるだけで、剥離シート4を切れ目部5aに沿って左右に分断することができる。また、分断された剥離シート4は、切れ目部5aの部分を少し折り曲げるだけで剥離シート4の弾性によって分断された部分からめくれ上がり、膏体3が露出される。
次に、図5に示すように、この露出された膏体3を患部にあてながら、めくれた剥離シート4の各片を左右に引っ張って剥がしながら、患部にパップ剤や硬膏剤等の貼付剤1aを貼着する。これにより、手を汚すことなくまたパップ剤や硬膏剤等の貼付剤1aにシワがよったりすることはなくきれいに貼付剤1aを貼着することができる。
(1)剥離シート4が引張り強度に優れた材料からなり、またエンボス加工部7aで補強され腰が強化され、一方、支持体2が伸縮性に優れた材料からなるので、これら剥離シート4と支持体2の伸び率の違いを利用することにより、パップ剤や硬膏剤等の貼付剤1aの両端部を持って支持体2と共に剥離シート4を左右に引張るだけで、剥離シート4を切れ目部5aに沿って分断でき、かつ、分断された剥離シート4がその弾力でめくれ上がり膏体を露出することができ、手を汚すことなくまたパップ剤や硬膏剤等の貼付剤1aにシワがよったりすることなくきれいに患部に貼着することができる。
(2)片手でパップ剤や硬膏剤等の貼付剤1aの切れ目部5aを指でこするだけで、エンボス加工部7aの摩擦抵抗が高く指が掛かり易いので、剥離シート4をきれいに分断できる。
(3)分断された一方の剥離シート4片をめくり患部に貼付した後、他の剥離片を剥がすだけで貼付できる。
図6は本発明の実施の形態2における貼付剤の正面図である。4は剥離シート、4aは剥離シート4の端部、6は連結部であり、これらは実施の形態1と同様なものであり、同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態1と異なるのは、本実施の形態における貼付剤1bが、剥離シート4の略中央部を横切って略波線状に形成された切れ目部5bと、剥離シート4の略全面に丸形状の凸部を持って形成されたエンボス加工部7bと、を備えた点である。
以上のように本実施の形態によれば、パップ剤や硬膏剤等の貼付剤をわずかな力で左右に引張ったり、剥離シート4の表面のエンボス加工部7bをこすったりして切れ目部5bで容易に分断され、めくられた剥離シート4の山部は突出して突出片となるのでこの突出片を摘んで、膏体から容易に剥がすことができる。
図7は本発明の実施の形態3における貼付剤の要部正面図である。4は剥離シート、6は連結部であり、これらは実施の形態1と同様なものであり、同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態1と異なるのは、本実施の形態における貼付剤1cが、剥離シート4の略中央部を横切って略波形状に形成された切れ目部5cと、剥離シート4の略全面に三角形状の凸部を持って形成されたエンボス加工部7cと、を備えた点である。
図8は本発明の実施の形態4における貼付剤の要部正面図である。4は剥離シート、6は連結部であり、これらは実施の形態1と同様なものであり、同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態1と異なるのは、本実施の形態における貼付剤1dが、剥離シート4の略中央部を横切って略鋸刃形状に形成された切れ目部5dと、剥離シート4の略全面に星形状の凸部を持って形成されたエンボス加工部7dと、を備えた点である。
図9は本発明の実施の形態5における貼付剤を示す斜視図である。2は支持体、3は膏体、4は剥離シート、4aは剥離シート4の端部、6は連結部であり、これらは実施の形態1乃至実施の形態4と同様なものであり、同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態1と異なるのは、本実施の形態における貼付剤1eが、剥離シート4の一端部の側部を横切って略直線状に形成された切れ目部5eと、切れ目部5eの両側部に幅が10〜20mmに渡って菱形状の凸部を持って形成されたエンボス加工部を備えた点である。
図10は本発明の実施の形態6における貼付剤を示す斜視図である。2は支持体、3は膏体、4は剥離シート、4aは剥離シート4の端部、5aは切れ目部、6は連結部、7aはエンボス加工部であり、これらは実施の形態1と同様なものであり、同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態1と異なるのは、本実施の形態における貼付剤1fが、エンボス加工部7aに剥離位置等を印刷で解り易く表示した表示部8を備えた点である。
(実施例1)
長さ150mm,幅50mm,厚み30μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)製,延伸ポリプロピレン(OPP)製,ポリエチレンテレフタレート(PET)製の剥離シートを準備した。
次に、各剥離シートの略中央部に、連結部の長さ(a)と切れ目部の長さ(b)の比が、a:b=1:5の直線状の切れ目部を設けた。
実施例1と同様にして剥離シートを準備した。
次に、各剥離シートの略中央部に、連結部の長さ(a)と切れ目部の長さ(b)の比が、a:b=1:8の直線状の切れ目部を設けた。
実施例1と同様にして剥離シートを準備した。
次に、各剥離シートの略中央部に、連結部の長さ(a)と切れ目部の長さ(b)の比が、a:b=1:15の直線状の切れ目部を設けた。
各剥離シートを引張って、引き裂いたときの官能度を調べた。
評価方法は、各剥離シートの切れ目部を引き裂く際、非常に切れ易いと感じれば、「◎」とし、切れ易いと感じれば、「○」とし、切れ難いと感じれば、「×」として評価した。その結果を(表1)に示す。
引張り試験機(島津製作所製;AGS−100B)を用いて、切れ目部を形成した各剥離シートの引張り強度を測定した。
ここで、標点間距離100mmを持って剥離シートを幅50mmのチャックで挟持させ、100mm/分で引張り、破断時の荷重を測定した。この結果を(表1)に示す。
また、剥離シートの引っ張り強度は、連結部の長さと切れ目部の長さの比が、実施例3(a:b=1:15)のときは、40g/cm〜58g/cm、実施例2(a:b=1:8)のときは、69g/cm〜98g/cm、実施例1(a:b=1:5)のときは、156g/cm〜187g/cmであった。
2,12 支持体
3,13 膏体
4,14 剥離シート
4a 剥離シートの端部
5a,5b,5c,5d,5e 切れ目部
6 連結部
7a,7b,7c,7d,7e エンボス加工部
8 表示部
Claims (1)
- 伸縮性を有する支持体と、前記支持体の一面の略全面に展着された膏体と、前記膏体の全面に貼着された剥離シートと、前記剥離シートに形成され前記剥離シートと前記支持体との伸び率の違いを利用して両端部を持って左右に引張るだけで分断される切れ目部と、前記剥離シートに形成されたエンボス加工部と、を備えた貼付剤であって、
前記切れ目部が形成された剥離シートは、厚みが10μm〜75μm、引っ張り強度が10g/cm〜140g/cmであり、
前記切れ目部は、剥離シートの略中央部に点在状に所定間隔の連結部を持って形成される切断部であり、
前記剥離シートには、貼付剤を左右に引っ張ることにより剥離シートを分断するように引き裂き方法が明示された表示部が設けられ、
前記剥離シートの分断により剥離シートがめくれ上がり、膏体の一部が露出されて患部に貼着することができる、前記貼付剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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