JP6444075B2 - 貼付剤 - Google Patents

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Description

本発明は、貼付剤の分野に関する。
薬剤(特に親水性薬剤)の経皮投与または局所投与のための貼付剤には、従来、粘着力を発揮させるために700〜1500g/m程度の厚みのある膏体が用いられていた。そのため、関節などの動作の多い部分に貼付すると、追従できないか、あるいは皮膚との擦れにより剥がれが生じるという問題、また、長時間貼付すると保水能力を失ってしまうという問題があった。また、この膏体の乾燥によって、(1)皮膚に対する粘着力の低下、(2)皮膚接着部(膏体と皮膚が接着している部分)の膏体が固化し皮膚への過度の接着が起こり、剥離時に痛みを与える、および、(3)皮膚に軽度の損傷(角層の剥離)を生じる、という問題が生じていた(特許文献1の背景技術参照)。
この従来の貼付剤によって生じる問題を解決するために、ポリアミドエラストマー及びポリエステルエラストマーから選ばれる軟質部と硬質部を共有するプラスチックから構成される繊維にポリアミドエラストマー及びポリエステルエラストマーから選ばれる軟質部と硬質部を共有するプラスチック樹脂を熱融着させた繊維フィルムから成る支持体と、150から500g/mである粘着剤層を含む水性貼付剤が開発された(特許文献1)。しかしながら、支持体の製造工程が複雑であり、依然として150から500g/mもの厚みのある粘着剤層が必要であり、また、貼付後の乾燥による粘着力の低下という問題があった。
薬剤(特に親水性薬剤)の経皮投与または局所投与のためには、通常、皮膚用粘着剤が使用される。皮膚用粘着剤としては、代表的には、SISゴムをベースにしたホットメルト型粘着剤とアクリル系溶剤型粘着剤が広く使われている。
ホットメルト型粘着剤を使用する場合、塗工時に液を高温(80℃〜90℃)で溶解させるため、使用可能である薬物や支持体が熱安定性の高いものに限定されるという欠点がある。特に、SIS系ホットメルト型粘着剤は無極性モノマーで構成されているので、ポリマーの疎水性が高く、疎水性薬物との相溶性は一般的に良好であるが、親水性薬物はほとんど溶けないという欠点がある。さらに水蒸気透過性が低いので適用にも限界があるという欠点がある。
溶剤型アクリル系粘着剤の場合、ポリマーの組成を変えることで任意の接着性能に設計が可能であるという利点がある。しかしながら、以下の問題がある:(1)生産時に揮発性有機化合物(VOC)が発生し、環境汚染を起こし得るという問題;(2)残存アクリルモノマー由来の皮膚刺激性や臭気の問題;(3)生産時に溶剤回収の工程が必要であるため、設備の増設に伴うコスト上昇の問題;および、(4)これらの解決策としてのエマルジョン化を用いた場合、使用する界面活性剤の安全性や薬物の溶解性が不十分であるという問題。
上記の皮膚用粘着剤は、親水性の活性成分とともに使用することは困難であるという問題もある。
例えば、親水性物質であるリドカインの場合、上記の問題を解決すべく水を使わない非水性貼付剤としてリドカインを膏体中に結晶として含有する製剤が報告されている(特許文献2〜4)。しかしながら、これらの代替技術はリドカインが溶解せずに結晶状態で存在するために皮下への浸透性が悪く、しかも高濃度のリドカインを使用するため心臓への悪影響や副作用としての発赤や重症の場合はショック等が懸念される。
上記のとおり貼付剤は、一定量の薬剤を一定期間皮膚の上にとどめ、皮膚を介して薬剤の経皮投与または局所投与を行うものであるが、薬剤を一定期間皮膚の上にとどめるために、非常に厚い膏体、および/または、厚い粘着剤(粘着剤層)が必要であった。しかしながら、非常に厚い膏体および厚い粘着剤は皮膚との密着性を損なうものであり、さらに、膏体および/または粘着剤は貼付後の乾燥などに弱く、長時間の貼付が困難になるという問題もあった。
特許第5292233号公報 特許第3159688号公報 特開平7−215850号公報 特開平9−315964号公報
親水性物資を含む多くの活性成分に適用可能であり、かつ、皮膚との密着性が高く、わずかの粘着力で貼付部位にとどまることができる貼付剤を提供することが、本願発明の課題である。
本発明の別の課題は、貼付用粘着剤を必要としない、貼付することによって活性成分の経皮投与または局所投与をするためのシートを提供することにある。
本発明者らは、ナノファイバーシートに活性成分を適用した貼付剤を作製することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。ナノファイバーシートへの活性成分の適用法は、特に限定されることはないが、好ましくは、インクジェット法によって行われる。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
ナノファイバーシートおよび組成物を含む貼付剤を製造する方法であって、以下:
(a)支持体上にナノファイバーシートを提供する工程;および
(b)該支持体と接していないナノファイバーシートの面に、組成物を適用する工程;
を包含する、方法。
(項目2)
項目1に記載の方法であって、ここで、前記組成物の適用がインクジェット法によって行われる、方法。
(項目3)
項目2に記載の方法であって、ここで、前記インクジェット法が、10μm〜100μmの内径のノズルを用いて行われる、方法。
(項目4)
項目1記載の方法であって、ここで、前記組成物の粘度が0〜1000mP・sであり、かつ、該組成物の表面張力が30〜70mNである、方法。
(項目5)
項目1記載の方法であって、ここで、前記組成物が、親水性の活性成分を含む、方法。
(項目6)
項目1に記載の方法であって、
(c)前記組成物が適用されたナノファイバーシート上に、カバーシートを形成する工程;
を包含する、方法。
(項目7)
項目6に記載の方法であって、前記カバーシートの形成が、インクジェット法によって行われる、方法。
(項目8)
ナノファイバーシートおよび組成物を含む貼付剤であって、ここで、該組成物が該ナノファイバーシートが貼付部位と接する面に適用されている、貼付剤。
(項目9)
項目8に記載の貼付剤であって、ここで、前記組成物の適用がインクジェット法によって行われる、貼付剤。
(項目10)
項目9に記載の貼付剤であって、ここで、前記インクジェット法が、10μm〜100μmの内径のノズルを用いて行われる、貼付剤。
(項目11)
項目8に記載の貼付剤であって、ここで、前記組成物の粘度が0〜1000mP・sであり、かつ、該組成物の表面張力が30〜70mNである、貼付剤。
(項目12)
項目8に記載の貼付剤であって、ここで、前記組成物が、親水性の活性成分を含む、貼付剤。
(項目13)
活性成分の経皮投与または局所投与のためのシートであって、
該シートは、支持体、ナノファイバーシート、および、カバーシートを含み、ここで、
該支持体は、該活性成分が投与される部位と接する該ナノファイバーシートの面の反対の面と接し、
該カバーシートは、該活性成分が投与される部位と接する該ナノファイバーシートの面と接し、
該活性成分は、該カバーシートと接する該ナノファイバーシートの面に適用されている、
シート。
(項目14)
項目13に記載のシートであって、ここで、前記活性成分の適用がインクジェット法によって行われる、シート。
(項目15)
項目14に記載のシートであって、ここで、前記インクジェット法が、10μm〜100μmの内径のノズルを用いて行われる、シート。
(項目16)
項目13に記載のシートであって、ここで、前記活性成分をナノファイバーシートに適用するために使用される組成物の粘度が0〜1000mP・sであり、かつ、該組成物の表面張力が30〜70mNである、シート。
(項目17)
項目13に記載のシートであって、ここで、前記活性成分が親水性である、シート。
(項目18)
項目13に記載のシートであって、ここで、前記カバーシートが、前記支持体と同じ材質からなる、シート。
(項目19)
項目13に記載のシートであって、ここで、前記カバーシートが、インクジェット法によって該ナノファイバーシート上に形成される、シート。
本発明によって、親水性物資を含む多くの活性成分に適用可能であり、かつ、皮膚との密着性が高く、わずかの粘着力で貼付部位にとどまることができる貼付剤が提供される。また、本発明によって、そのような貼付剤の製造方法が提供される。
本発明によって、そのような貼付剤と、これを挟む支持体およびカバーシートを備える活性成分を投与するためのシートが提供される。
好ましくは、本発明の貼付用シートは、貼付用粘着剤を必要としない。
本発明の貼付剤は、肌への密着性が高く、貼付後は貼付剤がほとんど目立たなくなる。はがすのは水を付けたタオルで軽くこすることではがすことが可能であるが、通常の動きでは剥がれ落ちることがない。
図1は、活性成分投与のためのシートの模式図である。活性成分投与のためのシート1は、支持体2、ナノファイバーシート4、および、カバーシート6を備える。活性成分は、ナノファイバーシート4に適用される。 本発明の化粧用積層体の断面図の一例である。 図3に示す化粧用積層体の製造方法の一例を示す説明図である。
以下、本発明を実施するための形態について記載する。
(ナノファイバーシート)
ナノファイバーシートは、限定されることはないが、例えば、電界紡糸法により作製されたナノファイバーシートが挙げられる。
ナノファイバーは、サブミクロンあるいはナノメートルオーダーの超微細繊維であり、通常、100μm以上の長さと30〜2000nm(特に50〜800nm)の範囲の繊維径を有している。本発明のナノファイバーシートは、好ましくは、繊維の直径が80〜800ナノメートルに紡糸されたナノファイバーを、不織布、フィルム、紙などの支持体上にシート状に形成したものである。
そのナノファイバーの繊維径は200〜500nmがさらに好ましく、最も好ましくは、100〜300nmである。ナノファイバーシートの密度は、限定されることはないが、好ましくは0.3〜2.0g/mであり、より好ましくは0.3〜1.0g/mである。
本発明のナノファイバーシートとしては、例えば、他の素材と熱ラミネート加工した複合的ナノファイバーを用いてもよい。例えば、PPスパンボンドやPPスパンレースと熱ラミネート加工して全体を厚くしたナノファイバーシートを用いてもよい。例えば、スパンボンドやスパンレースの部分を活性成分のリザーバーとして使用することができる。補強目的でスパンボンドやスパンレースを熱ラミネート加工する場合には、例えば、1g〜2g/mを使用するが、これに限定されない。
ナノファイバーシートの厚みは、限定されることはないが、典型的には5μm〜30μm、好ましくは5μm〜10μm(秤量で0.8g/m〜1.5g/m)である。ナノファイバーシート(または、複合的ナノファイバーシート)の厚みを調節することによって、貼付剤に含ませる組成物の量を調節することも可能である。また、ナノファイバーシートに適用された組成物は、長時間保存しても、その組成の変化が少ない(すなわち、乾燥による濃縮や、皮膚への浸透力低下が低減される)。
ナノファイバーシートに用いられる高分子化合物としては、限定されるものではないが、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリカ−ボネート、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、あるいはポリアクリル酸ブチル/イソプロピルアクリルアミド/ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体などのアクリル酸系ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、セルロース、ナイロン(例えば、ナイロン66、ナイロン46)、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸グリコール、ポリエチレン・ビニルアセテート、ポリエチレン・ビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンオキシド、コラーゲン等のタンパク質、プルラン、ヒアルロン酸、ポリ-γ-グルタミン酸、変性コーンスターチ、β-グルカン、グルコオリゴ糖などの多糖類、ポリエチレン・ビニルアルコール/ポリ乳酸ポリマーブレンド、ポリメタクリル酸メチル/アクリロニトリルポリマーブレンド、ポリアニリン/ポリエチレンオキシドポリマーブレンド、コラーゲン/ポリエチレンオキシドポリマーブレンド、シルク/ポリエチレンオキシドポリマーブレンド、ポリアニリン/ポリスチレンポリマーブレンドが挙げられるがこれらに限定されない。皮膚への適合性を考慮すると、特にポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリアクリル酸(PAA)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、コラーゲンなどのタンパク質、プルラン、ヒアルロン酸、ポリ-γ-グルタミン酸、変性コーンスターチ、β-グルカン、グルコオリゴ糖などの種々の多糖類が好ましい。
特に好ましい繊維の材質は、限定されることはない。例えば、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリエーテルスルフォン、ポリアミドなどのポリマーを単独または2種以上溶解・混合してナノファイバーシートを紡糸することができる。あるいは、キトサン、コラーゲン、プルラン、セルロース、ヒアルロン酸、アルギン酸、シルクプロテインなどの天然成分を単独または2種以上、溶解・混合してナノファイバーシートを紡糸することができる。
(支持体)
支持体は、限定されることはないが、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、キトサン、デンプン、ポリビニルアルコール若しくはポリ酢酸ビニル又はこれらの共重合体若しくは変性体等からなるシートを用いることができる。特に、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維、レーヨン繊維、その他の合成繊維製からなる不織布や、綿、絹、麻、パルプ(セルロース)繊維等が混合されて製造された不織布等が好ましい。これらの不織布のなかでも、レーヨン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維からなる不織布であるのが、特に好ましい。
支持体は、好ましくは、ポリプロピレン、レーヨンからなる不織布であり、熱処理(スパンボンド)したポリプロピレン、レーヨンからなる不織布が最も好ましい。本発明において使用する支持体は、薬剤を含んでも含まなくてもよいが、好ましくは、支持体は薬剤を含まない。
(ナノファイバーシートへの組成物の適用)
ナノファイバーシートに適用する組成物の量は、ナノファイバーシートの厚みに応じて、適宜、調整することが可能である。限定されることはないが、ナノファイバーシートに適用する組成物の量は、典型的には、5μmの厚みのナノファイバーの場合0.3g/m〜3.0g/mであり、好ましくは0.5g/m〜1.8g/mであり、より好ましくは0.8g/m〜1.5g/mであり、さらにより好ましくは0.8g/m〜1.2g/mであり、最も好ましくは0.8g/m〜1.0g/mである。この適用量は厚みの増加に比例して増加する。また、限定されることはないが、ナノファイバーシートに適用する組成物の量は、典型的には、1gのナノファイバーシートあたり、1.0g〜20gであり、好ましくは1.0g〜5.0gであり、より好ましくは0.5g〜2.5gであり、さらにより好ましくは0.5g〜2.0gであり、最も好ましくは0.5g〜1.0gである。(すなわち、1g/mのナノファイバーシートに対して、1.0g/m〜20g/mであり、好ましくは1.0g/m〜5.0g/mであり、より好ましくは0.5g/m〜2.5g/mであり、さらにより好ましくは0.5g/m〜2.0g/mであり、最も好ましくは0.5g/m〜1.0g/mである)。すなわち、本発明においては、薬剤が極めて薄いナノファイバー(フィルムや不織布)に非常に少量適用される。
ナノファイバーシートに適用する組成物は、粘着剤を含んでも含まなくてもよいが、好ましくは、粘着剤を含まない。貼付剤の基材として使用するナノファイバーは極めて薄く軽いことから、粘着剤を使用しなくでも、ナノファイバーに適用される水溶性高分子などの組成物によって生ずるわずかな粘着力で長時間の貼付が可能となる。また、そのために、貼付後の薬剤等の乾燥による変性が少ないという利点もある。
ナノファイバーシートへの組成物(例えば、活性成分を含む組成物)の適用は、任意の種々の方法によって行うことができる。例えば、スプレーによって、組成物をナノファイバーシートに適用することができる。好ましくは、ナノファイバーシートへの組成物(例えば、活性成分を含む組成物)の適用は、インクジェット法によって行われる。
インクジェット法は、従来法であるスプレー法と比較して、以下の特徴を有する:
インクジェット スプレー
原理 圧力で液を飛ばす 圧力で液を飛ばす
ノズル 5〜15μの正円の穴 形状はさまざま
液滴の大きさ 一定 大小さまざま
一滴の量 1〜10ピコリットル 連続的に変化可能
液性の因子 表面張力と粘度 粘度
ノズルと印刷体の距離 数ミリ 数センチ以上
液剤のロス 少ない 多い
空中への飛散 少ない 多い

上記のとおり、インクジェット法では1滴の量をピコリットル単位で調整でき、また、ノズルから印刷体までの距離を短くすることが可能であり、また、プリンター全体を囲うことも用意であるため、ミスト生成(空中への飛散)という問題を回避ないし低減できるという特徴がある。スプレー法ではミスト生成の回避は困難であるため、ミスト生成の回避ないし低減もまた、インクジェット法の利点である。
(インクジェット法)
本発明において使用するインクジェット法では、バブルジェット(登録商標)方式またはピエゾ方式のいずれも使用可能であるが、薬剤が熱変性を起こさないためにピエゾ式が好ましい。インクジェットプリンターは、任意のものを用いることができるが、高粘度のインクを利用できるもの(例えば、PulsInjector クラスターテクノロジー社製)が好ましい。インクジェットプリンターでは、好ましくは10μm〜100μmの内径のノズルを、より好ましくは60μmの内径のノズルを用いる。
わずかな粘着性がある溶液であれば、インクジェット法で適用される組成物(インク)として利用可能である。経皮投与または局所投与のために組成物を利用する場合、好ましくは、経皮吸収性または局所吸収性に優れた液剤を利用する。従来技術の貼付剤とは異なり、インクジェット法で適用される組成物(インク)は、皮膚貼付用の粘着剤を含む必要はない。
インクジェット法で適用される組成物(インク)の粘度は、0〜1000mP・s、より好ましくは20〜200mP・s、最も好ましく80〜100mP・sである。組成物(インク)の表面張力は、20〜70mN、好ましくは30〜70mN、より好ましくは50〜70mNである。
インクジェット法で適用される組成物(インク)は、必要に応じて、吸収促進剤、安定化剤、粘着付与剤、香料、および、増粘剤を含むことができる。例えば、以下が例示されるが、これらに限定されない:
・吸収促進剤としては、例えば、グリコール類、オレイン酸などの脂肪酸、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテートなどの脂肪酸エステル類が挙げられるがこれらに限定されない。
・安定化剤としては、例えば、アスコルビン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、酢酸トコフェロール、トコフェロール、没食子酸プロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられるがこれらに限定されない。
・粘着付与剤としては、例えば、エステルガム、グリセリン、水素添加ロジングリセリンエステル、石油樹脂、ロジン、ポリブテン等が挙げられる。香料としては、例えば、dl−メントール、オレンジ油、ハッカ油、レモン油、ローズ油等が挙げられるがこれらに限定されない。
・増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、ペクチン、カンテン等が挙げられるがこれらに限定されない。
組成物(インク)中には、任意の活性成分を含めることができる。好ましくは、活性成分は、塩基性の低分子であり、より好ましくは分子量が700以下の物質である。活性成分としては、例えば、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン等)、降圧剤(ジルチアゼム、ニカルジピン、メトプロロール、ビソプロロール、プロプラノロール、ペンブトロール等)、抗不整脈薬(メキシレチン等)、抗パーキンソン薬(ペルゴリド、ブロモクリプチン、ロピニロール、セレギリン、アマンタジン、ロチゴチン、ゾニサミド等)、気管支拡張剤(ツロブテロール、フェノテロール、プロカテロール、サルブタモール等)、抗アレルギー剤(ケトチフェン、アゼラスチン等)、局所麻酔剤(リドカイン、ジブカイン等)、麻薬系鎮痛剤(フェンタニル、モルヒネ等)、泌尿器官用剤(オキシブチニン、タムスロシン、トルテロジン等)、精神神経用剤(クロルプロマジン、ブプロピオン等)、抗うつ剤(フルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム、デュロキセチン、エスシクロプラム等)、抗痴呆薬(ドネペジル、リバスチグミン等)、去痰薬(アンブロキソール等)、抗不安薬(タンドスピロン等)、抗精神病薬(クエチアピン、アリピプラゾール、ペロスピロン等)、ADHD治療剤(メチルフェニデート、アモキセチン等)、骨粗鬆症治療薬(ラロキシフェン等)、乳がん予防薬(タモキシフェン等)、抗がん剤(イリノテカン、パクリタキセル等)、抗肥満薬(シブトラミン等)、不眠症改善薬(ゾルピデム等)、制吐剤(オンダンセトロン、パロノセトロン、ラモセトロン等)等が例示でき、これらは遊離塩基であってもよいし、その生理学的に許容される酸付加塩であってもよい。これらに限らないが、例えば、有機酸の付加塩としては、ギ酸塩、酢酸塩、乳酸塩、アジピン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩等が挙げられ、無機酸の付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等が挙げられるがこれらに限定されない。さらに、遊離塩基、またはその生理学的に許容される酸付加塩は、溶媒和物であってもよく、水和物及び非水和物であってもよい。
本発明の組成物(インク)は、活性成分として、化粧品成分を含んでもよい。化粧品成分としては保湿剤、美白剤、紫外線吸収剤等の効果を示すものを単独または合わせて配合することが可能である。例えば保湿剤としては、生体成分と同じか、類似の成分のアミノ酸、ピロリドンカルボン酸、乳酸などが用いられる。真皮層の保湿に関わりの深いヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などのムコ多糖は、肌になじみが良いため、必要に応じて、本発明の組成物(インク)に添加され得る。そのほか、保湿剤としては、従来からグリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビットなどの多価アルコール類が多く用いられている。これらは水分を保つ働きなどの機能を有する。さらには、可溶性コラーゲン、ユラスチン、ケラチンなどのたんぱく質加水分解物、牛胎盤エキスより抽出するプラセンターエキス、哺乳動物の胃粘膜、唾液腺で生産、分泌される糖たんぱく質のムチン、カニやエビの殻を主原科とするキチン・キトサン、ビフィズス菌代謝物、酵母発酵代謝産物、酵母抽出物など多くの物質が保湿剤として使用されている。また、美白剤としては、L−アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン及びその誘導体、ルシノール、エデト酸及びその誘導体、並びに胎盤抽出物、t−AMCHA、アセロラエキス、エイジツエキス、エラグ酸またはその誘導体、火辣エキス、カミツレエキス,カミツレ花エキス、尿素、キウイエキス、グルタチオン、トコトリエノール、フェルラ酸、ラズベリーケトン、ルシノール、ウワウルシエキス、ジパルミチン酸ピリドキシン、イオウ、コウジ酸またはその誘導体、グルコサミンまたはその誘導体、ヒドロキシケイヒ酸またはその誘導体、グルタチオン、アルニカエキス、オウゴンエキス、ソウハクヒエキス、サイコエキス、ボウフウエキス、マンネンタケ菌糸体培養物またはその抽出物、シナノキエキス、モモ葉エキス、エイジツエキス、クジンエキス、ジユエキス、トウキエキス、ヨクイニンエキス、カキ葉エキス、ダイオウエキス、ボタンピエキス、ハマメリスエキス、マロニエエキス、オトギリソウエキス、油溶性カンゾウエキス等が挙げられるがこれらに限定されない。紫外線吸収剤としてはフェルラ酸(HMC)、テトラヒドロキシベンゾフェノン(オキシベンゾン3,THB)、パラアミノ安息香酸エチル(エチルPABA,EAB)、ジヒドロキシベンゾフェノン(オキシベンゾン1,DHB)、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン(オキシベンゾン6,DHDMB)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾン3,HMB)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル(EBP)、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(BMB)、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(EMC)、サリチル酸オクチル(ESA)、2−シアノ−3,3−フェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルエステル(オクトクリレン,ECA)、ドロメトリゾールトリシロキサン(BPS)、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン(オクチルトリアゾン,TEAT)、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](MBP)、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルへキシル(EDB)、サリチル酸ホモメンチル(HS)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(PBS)、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸(オキシベンゾン4、OXB4)、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム(オキシベンゾン5,OXB5)、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム(オキシベンゾン9,OXB9)が挙げられるがこれらに限定されない。
(本発明の貼付剤)
従来技術の貼付剤は支持体と粘着剤および薬剤を合わせたものであり、一番軽いものでも膏体とフィルムを合わせると100mg、重いもので2g程度になる。薬剤の量は1mg〜20mg程度である。
本発明に従って、薬物が極めて薄いフィルムや不織布に薄く適用(例えば、塗布)され、皮膚との密着性が高く、わずかの粘着力で皮膚にとどまり、薬剤の乾燥などによる変性がなく、薬剤の皮膚透過性が担保できる貼付剤の支持体と製造法が提供されることによって、新規の優れた効果を奏する貼付剤が提供される。
従来の貼付剤に使用されているシートは綿やスパンボンドの不織布などであり重量は10〜60g/mが一般的である。これに対し、限定されることはないが、本発明の代表的なナノファイバーシート(例えば、ナイロンやキトサンのナノファイバー不織布)は、密度が0.3〜1.0g/mであり、従来技術の10分の1以下である。補強目的でスパンボンドやスパンレースを熱ラミする場合であっても1g〜2g/mである。仮に製剤の大きさが5x5cmであった場合、従来技術のシートの重量は25mg〜150mgであり、これに膏体30mg〜700mgを加えることとなるが、本発明のナノファイバーシートであれば0.75mg〜2.5mgであり、仮に、補強材を持ちいた場合であっても5mg〜10mg程度である。
本発明の貼付剤を作製するための組成物は、粘着剤を必要とせず、例えば、含まれる薬剤としては、活性成分(主薬)、プロピレングリコールなどの高級アルコール、アジピン酸イソプロピルなどの吸収促進剤、並びに溶剤としてエタノール、水を含み、必要に応じて、補強材としてカルボキシビニルポリマーなどを含む液剤である。
(本発明の活性成分投与のためのシートの作製)
本発明の活性成分投与のための貼付剤は、例えば、
(a)支持体上にナノファイバーシートを提供する工程;および
(b)支持体と接していないナノファイバーシートの面に、組成物を適用する工程;
を包含する方法によって作製することができる。例えば、支持体上に、電界紡糸法などによってナノファイバーシートを作製し、さらに、その上に、組成物(インク)を適用することによって(例えば、インクジェット法によって適用することによって)、貼付剤が作製できる。
組成物は、必ずしも1種類である必要はない。例えば、複数の異なる種類の組成物を順次積層した貼付剤を用いて組成物を投与した場合、積層した逆の順番で、組成物が経皮投与または局所投与等されることになる。あるいは、複数種類の異なる組成物を、ナノファイバーシートの異なる位置に適用した場合、適用された異なる組成物は、物理的に隔てられているため、投与前に相互に混合されることはないが、投与時ないし投与後に相互に混合することになる。このように、本発明では、複数種類の異なる組成物が投与される態様を調節することが可能である。
支持体上に作製された貼付剤は、使用時までの保護のために、必要に応じて、カバーシートで覆ってもよい。カバーシートは、支持体と同じ材質であっても、異なる材質であってもよい。あるいは、ナノファイバーシートに活性成分を含む組成物を適用(例えば、インクジェット法によって適用)した後、その上にさらにカバーシートを形成する組成物(インク)を適用(例えば、インクジェット法によって適用)することによって、ナノファイバーシートの上にカバーシートを形成してもよい。この方法によって、例えば、図1に示すような、支持体2、ナノファイバーシート4、および、カバーシート6を含む、活性成分の経皮投与または局所投与のためのシート1を作製することができる。
あるいは、ナノファイバーシートの貼付をより容易にするために、例えば、図2に示すような、支持体2、ナノファイバーシート4、および、カバーシート6に加えて、基材シート8および支持体用粘着剤層9を含む活性成分の経皮投与または局所投与のためのシート10を用いることもできる。
このシート10は、例えば、以下のようにして製造することができる:
・図3(A)に示すように、基材シート8の上に粘着剤を塗布して支持体用粘着剤層9を形成する。
ここで、図3(C)に示すように、基材シート8の両端部は、支持体用粘着剤層9が形成されない未塗布部16を形成しておく。
支持体2の表面に、エレクトロスピニング法によって、ナノファイバーを紡糸しナノファイバーシート4を形成する。ここで、支持体2は、予め親水化処理されているので、ナノファイバーシート4は支持体2上に剥離可能に設けられた状態である。このナノファイバーシート4の上に組成物(インク)を適用し(例えば、インクジェット法によって適用し)、さらに、その上に保護シート7を被覆する。
保護シート7としては、上記カバーシート6で用いたものと同じものを使用することができ、特に、レーヨン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維からなる不織布であるのが好ましい。特に好ましくは、カバーシートとして、ポリプロピレン、レーヨンからなる不織布であり、熱処理(スパンボンド)されたポリプロピレン、レーヨンからなる不織布である。
次に、図3(B)に示すように、支持体用粘着剤層9の付いた基材シート8、支持体2、ナノファイバーシート4および保護シート7を積層し、この活性成分投与のためのシート10の両端部を、切断刃12、12によって上方(表面側)から切断する。
ここで、切断刃12の刃先が支持体用粘着剤層9を通過せず、保護シート7、ナノファイバーシート4、支持体2を切断するようにする。
この切断後に、活性成分投与のためのシート10の切断された箇所から外側にある保護シート7、ナノファイバーシート4および支持体2を除去する。この除去によって、積層体の両端部には支持体用粘着剤層9が表面側に露出する。同時に、剥離装置によって活性成分投与のためのシート10の中央部にある保護シート7を除去する。
次に、図3(C)に示すように、シート10の表面を覆うよう該シート10にカバーシート6を被覆して、該カバーシート6の両端部を該支持体用粘着剤層9に貼り付ける。
このようにしてシート10が作製される。
得られたシート10の両端部は粘着剤層が形成されていない未塗布部16を有し、この部分からカバーシート6を容易に剥離することができ、ハンドリング性が良く、またナノファイバーシート4の表面をカバーシート6で覆っているのでナノファーバーシート4を汚れなどから保護することができる。
(本発明のシートの使用)
例えば、図1に示すような、支持体2、ナノファイバーシート4、および、カバーシート6を含む、活性成分の経皮投与または局所投与のためのシート1を使用する際には、カバーシート6をシート1から剥がし、支持体2に保持されたナノファイバーシート4を皮膚などの投与部位に適用し、支持体2の上から軽く抑え、その後、支持体2を剥がすことによって、ナノファイバーシート4を投与部位に使用することができる。
あるいは、図2に示すようなシート10の場合には、支持体用の粘着剤の付いていない端部からカバーシート6を取り除き、一番外側の基材シート8を手で持って皮膚の部分にナノファイバーシート4を押し付けることでナノファイバーシート4だけを皮膚に貼り付けることができる。
以下、本発明の例示のみのために、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によってのみ限定され、以下の実施例によって限定されることはない。
(実施例1:ケトプロフェン貼付剤)
(ケトプロフェン貼付剤の作製)
以下の組成で、1枚のナノファイバーシートにケトプロフェン20mgを含有する貼付剤1を作製した:
成分 重量(g)
ケトプロフェン 10
プロピレングリコール 10
アジピン酸イソプロピル 2
ジイソプロピルエタノールアミン 1
カルボキシビニルポリマー 0.1
d−リモネン 2
エタノール 45
水 29。
この溶液をインクジェットカートリッジにとり、60μmのノズルでナノファイバーの3cmx3cmの面積に200μlを均一に適用(印刷)して貼付剤1とした。使用したナノファイバーは20g/mのPPスパンボンドに電界紡糸法によってナイロンを1.0g/m紡糸したものである。この時のナノファイバーの繊維径は120〜150nmで厚みは約10μmであった。
(人への貼付試験)
6人のボランティアの背中に上記貼付剤1を1枚を貼り、対象として同じケトプロフェン貼付剤であるモーラステープ1枚(貼付剤2)を上記貼付剤1の横に貼付し、室温を25度程度に管理した室内で激しい運動をしないように指導して、12時間後に脱落の有無を見た。結果を以下の表1に示す。
本発明の貼付剤1は、粘着剤を使用していないにもかかわらず、12時間もの長時間の貼付が維持された。
(実施例2:リドカイン貼付剤)
リドカインの貼付剤は水性基材貼付剤として、主として帯状疱疹後神経疼痛の緩和療法に使用されている。水性基材の貼付剤は水分を多く含んでいるため膏体が厚くなり、皮膚へのなじみが悪く、粘着力がほとんどないことから長時間の貼付が難しく、水分の蒸散によって粘着力や物性の変化が発生するという問題がある。さらに水性基材は伸縮性の小さい支持体を使っているため、皮膚に貼付後はがれやすく、リドカインの皮膚への十分な放出を確保することが難しい。また筋肉までリドカインを浸透させるためにはリドカインを溶解させなければならず、そのために膏体中の水分が増え、肌への粘着力が低下するという悪循環を生んでいる。
この問題を解決すべく水を使わない非水性貼付剤としてリドカインを膏体中に結晶として含有する製剤がある(特許文献1〜3)。しかしながら、これらの従来技術はリドカインが溶解せずに結晶状態で存在するために皮下への浸透性が悪く、しかも高濃度のリドカインを使用するため心臓への悪影響や副作用としての発赤や重症の場合はショック等が懸念されている。
これに対して、本発明の貼付剤は、水性基材貼付剤に起因する上記の問題を生じない。
本実施例では、以下の組成のリドカイン貼付剤を作製した:
成分 重量(g)
リドカイン塩酸塩 9
プロピレングリコール 10
アジピン酸イソプロピル 2
ジイソプロピルエタノールアミン 1
カルボキシビニルポリマー 0.1
d−リモネン 2
エタノール 45
水(pH6.5) 30。
この溶液をインクジェットカートリッジにとり、60μmのノズルでナノファイバーの3cmx3cmの面積に200μlを均一に適用(印刷)して貼付剤3とした。使用したナノファイバーは10g/mのPPスパンレース上に電界紡糸法によってナイロンを1.0g/m紡糸した後に両者を加熱ローラによってラミネートしたものである。この時のナノファイバーの繊維径は120〜150nmで厚みは約20μmであった。
(溶出性試験)
溶出性試験は、日局一般試験法「溶出試験パドル法」に準じて行った。具体的には、18mgのリドカインを含む貼付剤に対して、試験液として水を用い(32℃、900ml)、25rpmの回転数で20分間回転する実験を3連で行ったところ、放出率(%)は、96.3±0.7%(平均±標準偏差)であった。
(人への貼付試験)
5人のボランティアの背中に上記貼付剤3を1枚を貼り、対象として同じリドカイン塩酸塩貼付剤であるペンレス18mg 1枚(貼付剤4)を上記貼付剤3の横に貼付し、室温を25度程度に管理した室内で激しい運動をしないように指導して、12時間後に脱落の有無を見た。結果を以下の表2に示す。
本発明の貼付剤3もまた、粘着剤を使用していないにもかかわらず、12時間もの長時間の貼付が維持された。
(薬剤残存量試験)
上記試験の後、ボランティアから回収した貼付剤についてその製剤中の残存量を測定し、貼付前の値を100として残存率を測定した。対照である貼付剤4は80%程度の残存量であり、これに対して、本発明の貼付剤3は70%の残存量であったことから、本発明の貼付剤が長時間貼付性がよく、かつ、薬剤の肌への放出性も優れていたことが示された。
したがってナノファイバーにインクジェットで印刷することによって調製されたリドカイン貼付剤は、粘着剤を使わなくても優れた貼付剤であることが実証された。
(実施例3:ツロブテロール貼付剤)
本実施例では、以下の組成のツロブテロール貼付剤を作製した:
成分 重量(g)
ツロブテロール塩酸塩 5
プロピレングリコール 10
アジピン酸イソプロピル 2
ジイソプロピルエタノールアミン 1
カルボキシビニルポリマー 0.1
d−リモネン 2
エタノール 45
水(pH6.5) 34。
この溶液をインクジェットカートリッジにとり、25μmのノズルでナノファイバーの1cmx2cmの面積に20μlを均一に適用(印刷)して貼付剤5とした。使用したナノファイバーは20g/mのPPスパンボンドに電界紡糸法によってナイロンを1.0g/m紡糸したものである。この時のナノファイバーの繊維径は120〜150nmで厚みは約10μmであった。
(溶出性試験)
溶出性試験は、日局一般試験法「溶出試験パドル法」に準じて行った。具体的には、以下の表3に示す量のツロブテロール塩酸塩を含む貼付剤に対して、試験液として水を用い(32℃、500ml)、50rpmの回転数で60分間回転する実験を3連で行った。
その結果、放出率(%)は、いずれも、90%以上であった。
(人への貼付試験)
5人のボランティアの背中に上記貼付剤5を1枚を貼り、対象として同じツロブテロール塩酸塩貼付剤であるツロブテロールテープ0.5「オーハラ」 1枚(貼付剤6)を上記貼付剤5の横に貼付し、室温を25度程度に管理した室内で激しい運動をしないように指導して、12時間後に脱落の有無を見た。結果を以下の表2に示す。
本発明の貼付剤5もまた、粘着剤を使用していないにもかかわらず、12時間もの長時間の貼付が維持された。
親水性物資を含む多くの活性成分に適用可能であり、かつ、皮膚との密着性が高く、わずかの粘着力で貼付部位にとどまることができる貼付剤を提供する。
また、貼付用粘着剤を必要としない、貼付することによって活性成分の経皮投与または局所投与をするためのシートを提供する。
1 活性成分投与のためのシート
2 支持体
4 ナノファイバーシート
6 カバーシート
7 保護シート
8 基材シート
9 支持体用粘着剤層
10 活性成分投与のためのシート
16 支持体用粘着剤の未塗布部

Claims (18)

  1. ナノファイバーシートおよび組成物を含む貼付剤を製造する方法であって、以下:
    (a)支持体上にナノファイバーシートを提供する工程;および
    (b)該支持体と接していないナノファイバーシートの面に、組成物を適用する工程;
    を包含する、方法であって、ここで、該組成物の適用がインクジェット法によって行われる、方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記支持体が予め親水化処理されている、方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記インクジェット法が、10μm〜100μmの内径のノズルを用いて行われる、方法。
  4. 請求項1記載の方法であって、ここで、前記組成物の粘度が0〜1000mPa・sであり、かつ、該組成物の表面張力が30〜70mNである、方法。
  5. 請求項1記載の方法であって、ここで、前記組成物が、親水性の活性成分を含む、方法。
  6. 請求項1に記載の方法であって、
    (c)前記組成物が適用されたナノファイバーシート上に、カバーシートを形成する工程;
    を包含する、方法。
  7. 請求項6に記載の方法であって、前記カバーシートの形成が、インクジェット法によって行われる、方法。
  8. ナノファイバーシートおよび組成物を含む貼付剤であって、ここで、該組成物がインクジェット法によって該ナノファイバーシートが貼付部位と接する面に適用されている、貼付剤。
  9. 請求項8に記載の貼付剤であって、ここで、前記インクジェット法が、10μm〜100μmの内径のノズルを用いて行われる、貼付剤。
  10. 請求項8に記載の貼付剤であって、ここで、前記組成物の粘度が0〜1000mPa・sであり、かつ、該組成物の表面張力が30〜70mNである、貼付剤。
  11. 請求項8に記載の貼付剤であって、ここで、前記組成物が、親水性の活性成分を含む、貼付剤。
  12. 活性成分の経皮投与または局所投与のためのシートであって、
    該シートは、支持体、ナノファイバーシート、および、カバーシートを含み、ここで、
    該支持体は、該活性成分が投与される部位と接する該ナノファイバーシートの面の反対の面と接し、
    該カバーシートは、該活性成分が投与される部位と接する該ナノファイバーシートの面と接し、
    該活性成分は、インクジェット法によって該カバーシートと接する該ナノファイバーシートの面に適用されている、
    シート。
  13. 請求項12に記載のシートであって、ここで、前記支持体が予め親水化処理されている、シート。
  14. 請求項12に記載のシートであって、ここで、前記インクジェット法が、10μm〜100μmの内径のノズルを用いて行われる、シート。
  15. 請求項12に記載のシートであって、ここで、前記活性成分をナノファイバーシートに適用するために使用される組成物の粘度が0〜1000mPa・sであり、かつ、該組成物の表面張力が30〜70mNである、シート。
  16. 請求項12に記載のシートであって、ここで、前記活性成分が親水性である、シート。
  17. 請求項12に記載のシートであって、ここで、前記カバーシートが、前記支持体と同じ材質からなる、シート。
  18. 請求項12に記載のシートであって、ここで、前記カバーシートが、インクジェット法によって該ナノファイバーシート上に形成される、シート。
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