JP2004089657A - 貼付け剤用貼付け具 - Google Patents
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Abstract
【課題】肩、腰、肘など直接視認しにくい、あるいは、両手を使わないと貼れない患部に1人で容易に、しかも、的確に貼付けることのできる携帯に便利な貼付け剤用貼付け具を提供する。
【解決手段】概矩形の基板1の表面1aに使用する貼付け剤8を一時的に剥離可能に保持する仮止め手段2と、貼付け剤8の薬剤面10が皮膚に貼付かないよう薬剤面10を一時的に剥離可能に保護する保護材4を備え、基板1の裏面1bには、片手で貼付け操作ができるようハンドリング部3を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】概矩形の基板1の表面1aに使用する貼付け剤8を一時的に剥離可能に保持する仮止め手段2と、貼付け剤8の薬剤面10が皮膚に貼付かないよう薬剤面10を一時的に剥離可能に保護する保護材4を備え、基板1の裏面1bには、片手で貼付け操作ができるようハンドリング部3を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、貼付け剤を肩、腰、肘等の貼付けしにくい部位に貼付ける際に使用する貼付け剤用貼付け具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
肩こり、腰痛、筋肉痛、関節痛など貼付け剤を用いて治療する場合、貼付け剤は身体のどんな部位にでも貼付けることができるよう、又、貼付けた後身体を動かしても剥がれないよう柔軟性や伸縮性を持たせてある。そのため、貼付け剤を患部の皮膚に貼付けるには、貼付け剤がたるんで薬剤面同士が貼付いたり、貼付け剤にシワが寄ったり皮膚との間に空気溜りができないようにするため、貼付け剤の両端部を両手で摘まんで押し広げながら貼付けるのが一般的な方法である。そのため、肩、腰、肘など両手が使いにくい患部や手の届きにくい患部、目で直接見にくい患部等に貼付け剤を1人で貼付けることは困難であった。
【0003】
そこで、肩、腰、背中など両手が使えず、手の届きにくい患部等に他人の手を借りず1人で貼付け剤を貼る治具が種々提案されている。
例えば、「実願平9−9545」は金属や木など硬い平板状の基板に設けた仮止め手段に薬剤面を露出した状態で貼付け剤をセットし、裏面に設けた握り部を把持するか、もしくは、脱着自在な壁面固定具を用いて貼付け具を壁面に固定し、腰や背中などに貼付け剤を貼付ける方法である。
【0004】
「特開2001−061894」は形状弾性を有する基板上の外周に同じく形状弾性を有するスペーサーが矩形リング状に囲うように設けられており、スペーサー内の基板には仮止め手段を備えている。又、基板の背面には指を挿入して貼付け具を患部まで運ぶハンドル部を備えている。当該貼付け具の特徴は、スペーサーの皮膚に接する感触によって貼付け者自身が患部の位置を決めることができ、薬剤面を露出し仮止め手段にセットした貼付け剤はスペーサーの持つ高さによって皮膚に直接触れず、ハンドル部を皮膚に押付けることによって基板とスペーサーが変形し貼付け剤を皮膚に貼付ける方法である。
【0005】
「特開2002−35139」は不織布や多孔性からなるシートの一面に仮止め手段を設け、背面に指や手の甲が入る係止部を備えた貼付け具で、薬剤面を露出し付着手段にセットした貼付け剤を基板の背面に設けた係止部に手を差込んで患部に運び貼付ける方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上いろいろな提案がなされているが、「実願平9−9545」は基板の柔軟性が乏しいため、肩などの曲面に使用することは困難であり、しかも、貼付け具にセットした貼付け剤の薬剤面が全面露出しているので、貼付け具を皮膚に接触させると貼付け剤は直ちに貼付いてしまい、本人の納得のいく貼付け位置に貼付け剤を貼付けることが難しいという欠点がある。
【0007】
「特開2001−061894」も基板を囲うスペーサーが肩などの曲面に合わせて変形することが困難なため、前述の「実願平9−9545」と同様、身体の曲面部位に使用することは難しい。又、本提案に於けるスペーサーは枠体であるため、患部に直接触れて位置を決めることができず、予め手などで患部を押さえ、その位置(範囲)を記憶した状態で患部と思われる周囲をスペーサーによって判断するため、必ずしも正確で満足のいく貼付け位置になるとは限らない。更に、背中や肩甲骨付近の患部に当該貼付け具を自身の手で押付けて貼付け剤を貼付けるには、背面であることを考えると、かなりの腕力が必要となり、1人で貼付けることの困難さが伺える。
上記2件の提案はこの他、構成が複雑で嵩張るため携帯しづらくコスト高となる欠点もある。
【0008】
「特開2002−35139」は前記「実願平9−9545」と同様貼付け具にセットした貼付け剤の薬剤面が全面露出しているので、患部に対し自身の手で正確に貼付け剤を貼付けることが困難であるという欠点がある。
以上のことから、提案されている貼付け具にはそれぞれ問題点があり、1人で貼付け剤を患部に的確に貼付けるには難点があった。
本発明は上記問題点を解決し、貼付け剤を肩、腰、肘など直接視認しにくい、あるいは、両手を使わないと貼れない患部に1人で容易に、しかも、的確に貼付けることのできる携帯に便利な貼付け剤用貼付け具の提供を目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、柔軟性を有する基板の一面(以下表面と称す)に、使用する貼付け剤の基材面を一時的に剥離可能に保持する仮止め手段と、当該貼付け剤の薬剤面が直接皮膚に貼付かないよう薬剤面を一時的に剥離可能に保護する柔軟性を有する保護材を備え、基板の他面(以下裏面と称す)には手で基板を保持し操作するハンドリング部を備えたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明は主に基板1、仮止め手段2、ハンドリング部3、保護材4によって構成される。以下、各構成要素の実施例を詳細に説明する。
【0011】
基板1は表面1aに仮止め手段2、保護材4を、裏面1bにはハンドリング部3を設けたものである。
【0012】
基板1の材質は、貼付け剤8が折れ曲がったり、たるんだりして薬剤面10同士が貼付かない程度の支持機能を有し、繰返し使用しても破損しない程度の強度を有し、且つ、肩、肘等の曲面や身体の凹凸面に合わせて変形し復元する柔軟性と形状弾性(力を加えると変形し、力を抜くと元の形状に戻る性質)を有するものが好ましく、素材としては、例えば、プラスチック、ゴム、紙シートにプラスチックをラミネート加工したもの、金属箔にプラスチックをラミネート加工したもの等を用いることが好ましい。
【0013】
基板1の大きさは、一般的に使用されている大判サイズの貼付け剤(以下大サイズの貼付け剤8aと称す)約10cm×14cmがセットでき、後述の保護材4を基板1の一方の短辺端(以下後端gと称す)側に取付けることができる程度であれば特に限定しない。しかし、できるなら本発明を貼付け剤8と共に携帯できるよう、基板1を貼付け剤8の薬効を維持するために収納する包装袋、もしくは、当該包装袋を更に収納する化粧箱等の中に収納できる大きさにすることが望ましい。
【0014】
尚、基板1が包装袋や化粧箱以上の大きさになる場合は、図5に示すよう基板1に折り目1cを設け、折りたたんで収納できるようにしても良い。
【0015】
基板1の形状は、一般的に使用されている貼付け剤8が矩形であること、貼付け剤8を収納する包装袋や化粧箱が矩形であることなどから概矩形であることが好ましい。
【0016】
次に、仮止め手段2は貼付け剤8を基板1に一時的に剥離可能に保持しておくものである。
【0017】
貼付け剤8は図15に示すように、基材9、薬剤面10、剥離フィルム11から構成されており、仮止め手段2は貼付け剤8の基材9を保持するものである。しかし、基材9には不織布を用いるものと織布を用いるものがある。従って、基材9を確実に保持し、何回も使用することのできる仮止め手段2をそれぞれの基材9に合わせて選択することが好ましい。
【0018】
例えば、不織布を用いた基材9にはフック構造の面ファスナー等を仮止め手段2として用いると良く、織布を用いた基材9には、プラスチック、紙、ゴムなどの柔軟な薄板上に粘着剤、例えば、アクリル酸エステル系粘着剤、シリコンポリマー系粘着剤等を塗布したものを仮止め手段2として用いると良い。
【0019】
仮止め手段2は、大サイズの貼付け剤8aと同程度の大きさのものを基板1の表面1aに設けても良いが、例えば、図6、7に示すように、貼付け剤8にシワが寄らず、しかも、基板1ごと下向きにしても剥がれずに保持できる程度の小片にした仮止め手段2を基板1に分散して設けても良い。
小片の大きさは1〜20cm2程度が好ましく、形状、及び、分散の仕方は特に限定しない。
【0020】
仮止め手段2を小片にして基板1に分散して設けると、その貼付き力が貼付け剤8の皮膚への貼付き力より面積が小さい分弱くなるので、本発明を貼付け剤8から容易に引き剥がすことができる。
【0021】
仮止め手段2を基板1に設ける際、図8に示すよう、大サイズの貼付け剤8aの任意の短辺を基板1の他方の短辺端(以下先端fと称す)側に概ね合致させて配置した時に、基板1の先端f、及び、後端gの各短辺側に位置する仮止め手段2が大サイズの貼付け剤8aの両短辺外周部より少し内側になるように設けると更に良い。具体的には約1〜2cm程度それぞれ内側が好ましい。
【0022】
こうすることで、後の使用方法で詳しく述べるが、皮膚に貼付けた貼付け剤8から本発明を取外す際、貼付け剤8ごと皮膚から引き剥がしてしまう不具合を防ぎ、本発明のみを確実に取外すことができる。
【0023】
次に、ハンドリング部3は基板1の裏面1bに設けることで、貼付け剤8をセットした本発明を患部に運んだり、皮膚に貼付けた貼付け剤8から本発明を引き剥がす操作を片手で行えるようにするものである。
【0024】
そこで、基板1の先端f付近と後端g付近の2カ所に、リングを形成するハンドリング部3を設けた実施例を図3、11に基づき説明する。
【0025】
先端f側のハンドリング部3は図11に示すよう、実施例の一つとして、手の指部分を差込んで操作するもので、人差指から小指を適度な余裕を持って差込める大きさのリングとなるよう、ハンドリング部3の両端を基板1の先端f付近の両長辺端部分に固定すると良い。
【0026】
これにより、本発明を貼付け部位に運ぶ過程で基板1の先端f側が手から離れ垂れ下がるのを防止し、又、貼付け終了時に指を持ち上げる動きに追従して基板1が引き上げられるので、皮膚に貼付いた貼付け剤8から本発明を取外すことができる。
【0027】
次に、後端g側のハンドリング部3は手の甲部分を差込んで、先端f側ハンドリング部3と同様の操作を行うものであるが、手の大きさによってリングの大きさにかなりの差が生じるので、リングの大きさを自由に調節することができるよう、リングを2つに切り離し、適度な重なり幅を持たせたハンドリング部3a、3bに分け、調節手段5を設けると良い。
【0028】
調節手段5として、例えば、面ファスナー、剥離可能な粘着剤、肩掛けバッグやズボン等のバンドに用いる調節具、ボタン等を利用することができる。
【0029】
後端g側のハンドリング部3を基板1へ設けるには、例えば、図11で示すように、基板1の先端f付近に指先が来るように手を基板1の裏面1bに置いた時、親指と人差指間の叉付近の手の甲を覆うことのできる位置が良い。
こうすると先端f側のハンドリング部3と同じ働きをすることができ、更に、親指と人差指の叉で後端g側ハンドリング部3を挟み付けて運ぶことができるので、どのような向きに本発明を傾けても手から外れ落ちることはない。
【0030】
尚、先端f側のハンドリング部3は手の大きさに個人差があっても、差込んだ指を広げたり中指や薬指を外すことによってリングの大きさを調節することができるものであれば、調節手段5を備えなくても良い。
【0031】
ハンドリング部3の素材は貼付け操作を繰返し実施することに耐える強度と貼付け剤8を収納する包装袋もしくは、化粧箱に嵩張らないよう変形させて収納できる柔軟性を有するものであれば特に限定されず、例えば、布、ゴム、布とゴムを組合わせたもの(織ゴム)、プラスチック、紙シートにプラスチックをラミネート加工したもの、金属箔にプラスチックをラミネート加工したもの等を使用することが好ましい。
【0032】
リングを形成しない他の実施例としては、例えば、図10に示すように、概矩形の薄板に折り目3’を設け、基板裏面1bに接着剤等を用いて複数取付け、使用する際は基板1から折り立て、これに指を挟んで操作できるようにしたハンドリング部3でも同様の操作を行うことができる。薄板の素材は例えば、プラスチック、紙、ゴム、紙にプラスチックをラミネート加工したもの、金属箔にプラスチックをラミネート加工したもの等を使用すると良い。
【0033】
その他のハンドリング部3の例としては、基板1に直接コの字形の切込みを入れ、使用時に折り立て前記同様指を挟んで使用する方法でも良い。
何れにしても、本発明が片手で操作できれば、又、包装袋等に収納できればハンドリング部3の形状や取付け数等に拘るものではない。
【0034】
次に、保護材4は薬剤面10を被って一時的に剥離可能に貼付き、貼付け操作時の貼付け位置を探る過程で薬剤面10が直接皮膚に触れて貼付くことを防止するものである。
【0035】
従って、保護材4には、貼付け位置決定後の貼付け剤8の位置がズレないよう本発明を患部の皮膚に留めた状態で、薬剤面10から当該保護材4を取外すことのできる機能を持たせなければならない。
【0036】
そこで、本発明に於ける好適な保護材4の例を図1、2に基づき説明する。
保護材4は基板1の短辺とほぼ同じ幅を有し、基板1の長辺に対し少なくとも2倍以上の長さを有し、一方の短辺端部分を基板1の後端gの短辺端部分に固定し、他方の短辺部分は指で摘み易く、引張る力が薬剤面10との貼付き境界部分に均等に掛かり易くなるよう短辺中央に向け細く絞り込んだ形状の引張り部4’を形成したものである。
【0037】
更に、保護材4は引張り部4’が基板1の後端gの後方に位置するよう基板1の先端f付近から基板1の後端g方向に向け折返しておく。
折返す位置は基板1の先端fからおおよそ1〜2cm下がった位置が好ましい。こうすると、後述で詳しく説明するが保護材4の取外しを確実に行うことができる。
【0038】
以上のことから、保護材4は薬剤面10を被い保護するので、貼付け剤8を皮膚に接触させても貼付くことはなく、しかも、保護材4の引張り部4’を引張ることにより保護材4が薬剤面10から引き剥がされるので、貼付け剤8を皮膚に貼付けることができる。
【0039】
保護材4は、柔軟性と引張っても伸びたり切れたりしない程度の強度を有するシート状が好ましく、素材としては例えば、プラスチック、紙シートにプラスチックをラミネート加工したもの、金属箔にプラスチックをラミネート加工したもの等を使用することが望ましい。又、薬剤面10との貼付き力を弱めるため保護材4の面に凸凹(エンボス加工)を施すと更に良い。
【0040】
以上、保護材4の一例を示したが、薬剤面10を被って一時的に剥離可能に貼付き、貼付け位置決定後に貼付け剤8の位置がズレないよう本発明を患部に軽く押当てた状態のままスムーズに保護材4を薬剤面10から剥がすことができるのであれば、保護材4は引張り部4’を含めその大きさや形状に拘るものではない。
【0041】
更に、図12で示すように、本発明に保護材4の折返された部分を基板1の表面1aに添うように相対させて保持し、引張り部4’を必ず基板1の後方に位置させるため、基板1の表面1aの両長辺後端g付近に、基板1の内側に向けて鉤型に突出させた保持部6を備えることが好ましい。
【0042】
保持部6は基板1と一体成形したものでも良いが、図13に示すように保護材4の折返された部分が容易に抜き差しできるよう、基板1の両長辺後端g付近に、両端を基板1に固定しリングを形成するようにした、柔軟性を有する紐もしくは帯状の保持部6でも良い。
保持部6の素材には、例えば、より糸、布、ゴム、織ゴム、プラスチック、紙シートにプラスチックをラミネート加工したもの、金属箔にプラスチックをラミネート加工したもの等を用いると良い。
【0043】
これにより、折返された部分の保護材4を、鉤型の保持部6に差し込むか、あるいは、基板1に渡設された紐もしくは帯状の保持部6に差し通すことによって、折返された部分の保護材4は基板1に添うように保持され、且つ、引張り部4’を本発明の後方に位置するよう確実に制御することができる。
【0044】
又、図14に示すように、基板1に取付けたり外したりできる脱着部7aを一方の端に設け、他方の端に把持部7bを設けた取っ手7を基板1の任意の一辺に組付けて用いると、手の届かない貼付け部位に対して貼付け剤8を貼付けることができる。
【0045】
取っ手7の素材は本発明を患部の皮膚に運ぶ際、たわんだり、折れたりしない強度を有する、例えば、プラスチック、木、紙、ゴム、金属等を用いることが好ましい。
【0046】
次に、本発明の使用方法を説明する。
【0047】
本発明に貼付け剤8をセットする際、大サイズの貼付け剤8aを用いる場合は図4、8に示すように任意の一辺を基板1の先端f短辺に概ね合わせることが肝要であり、小サイズの貼付け剤8bの場合には、図9に示すように任意の一辺を大サイズの貼付け剤8aと同様基板1の先端fに合わせ、且つ、基板1の先端fから後端gに向う仮止め手段2に係るようにセットすることが肝要である。
【0048】
先ず、基板1の仮止め手段2に貼付け剤8の基材9面をシワ無く押し広げた状態でセットする。これにより、貼付け時に薬剤面10同士が貼付いたり、薬剤面10と患部の皮膚との間にシワや空気溜りが生じること等により、貼付け剤8を破棄したり薬効を損なう不具合を確実に防ぐことができる。
【0049】
次に、貼付け剤8の薬剤面10に予め貼付けてある剥離フィルム11を剥がし、代りに保護材4を薬剤面10に被せ貼付ける。
そして、手の大きさに合わせハンドリング部3を調節して、本発明を患部の皮膚近くまで運び、基板1の上から貼付け剤8を指で皮膚に押付け痛みを感じる患部を探りだす。
【0050】
このように本発明を用いると、使用者自身が肩や腰など視認しにくい患部に貼付け剤8を片手で運ぶことができ、しかも、薬剤面10は保護材4によって被われているので、基板1の上から指で貼付け剤8を皮膚に押付けても貼付け剤8が貼付くことはなく、的確に患部を探り当て本人の納得のいく貼付け位置を決めることができるのである。
【0051】
尚、図4で示すように、保護材4の折返し位置が基板1の先端fより内側にあり、基板1の先端fに合わせてセットした貼付け剤8の先端部分のおおよそ1〜2cmは薬剤面10が露出した状態となるが、指で当該部分の基板1を皮膚に押付けない限り薬剤面を露出させた部分10’が皮膚に貼付くことはない。
【0052】
貼付け位置を決めた後、図16、17で示すように、薬剤面を露出させた部分10’を基板1の上から指で皮膚12に押付けて貼付け、指で当該部分10’を押さえたまま、もう一方の手で保護材4の引張り部4’を引張る。こうすると、保護材4の先端は薬剤面を露出させた部分10’より内側にあり、指で押さえられていないので薬剤面10に貼付いた保護材4を容易に引き剥がすことができる。
【0053】
次に、貼付け剤8を患部の皮膚12に密着させるため、基板1を手で押し撫でる。この時、貼付け剤8は予め仮止め手段2にシワなく押し広げて保持されており、しかも、基板1が患部の皮膚12の凸凹や曲面に合わせて変形するので、如何なる機械装置よりも優れた指や掌の操作によって、基板1の上から貼付け剤8を隅々まで押し撫でることができ、シワや空気溜りを生ずることなく患部の皮膚12にしっかりと貼付け剤8を密着させることができる。
【0054】
そして、ハンドリング部3に差込んだ手を、例えば、図18、19に示すよう、指先から手首に向けて順次持上げると、基板1は手の動きに合わせ順序よく持上げられ、皮膚12に貼付いた貼付け剤8を仮止め手段2から引き剥がし、本発明を取外すことができる。
【0055】
つまり、本発明を指先、もしくは手首側から持上げると、仮止め手段2は貼付け剤8を皮膚12から引き剥がそうとするが、仮止め手段2が貼付け剤8の先端、もしくは、後端より内側にあるので、貼付け剤8の先端、もしくは、後端付近の皮膚12への貼付き力によって阻止され、貼付け剤8ごと皮膚12から引き剥がしてしまう不具合を防ぐことができ、その結果、本発明を貼付け剤8から確実に取外すことができるのである。
【0056】
尚、両手で貼付け操作のできない肘などの場合は、予め視覚で貼付け位置を確認できるので、保護材4を薬剤面10に貼付けず、基板1の後端gより後方にフリーな状態にしておき、薬剤面10全面を露出した状態で貼付け操作を行えば、片手で貼付け剤8をシワなく容易に貼付けることができる。
【0057】
又、背中、特に肩甲骨付近に貼付け剤8を貼付ける場合は、ハンドリング部3に手を通さず、基板1の先端f側を一方の手で摘まんで本発明を肩甲骨上部まで運び、他方の手で患部を探り貼付け位置を決め、摘まんでいた手を薬剤面を露出させた部分10’に押付け、他方の手で保護材4の引張り部4’を下方に引張ることにより、手や腕の動きに無理を与えず貼付け剤8を患部に貼付けることができる。
【0058】
このようにして、本発明は背中や腰などの比較的平坦な患部に対して、肩の尾根から肩甲骨付近にかけての大きな曲面を有する患部に対して、あるいは、肘等の凸凹した患部に対してシワや空気溜りを生ずることなく、しかも、本人の納得のいく貼付け位置に1人で貼付け剤8を貼付けることができる。
【0059】
又、基板1後端g付近に保持部6を備え、これに保護材4を保持させることにより、保護材4の引張り部4’を確実に基板1の後方に配置させることができるので、本発明を患部に運ぶ際、シート状の保護材4がまくれ上がり引張り部4’の位置がズレ、貼付け操作をやり直したり、引張り部4’を目で捜したりする煩わしさを防ぐことができる。
【0060】
更に、脱着可能な取っ手7を本発明に組付け用いることにより、手の届かない背中の患部に対しても貼付け剤8を貼付けることが可能となる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、保護材を設けることにより肩、背中、腰等視認しにくい部位でも、貼付け剤を使用する本人の手が直接患部全体を押し撫でる感触によって確実に納得のいく貼付け範囲を決めることができる。
しかも、貼付け剤を患部に運ぶ途中で薬剤面同士が貼付いたり、貼付け剤にシワや空気溜まりなど薬効を損なう不具合を生ずることなく1人で貼付け剤を貼付けることができる。
そして、肩、首、腕など曲面の患部、背中や腰など比較的平坦な患部、肘や肩甲骨周辺の凸凹した患部等あらゆる身体の部位に対しても、1人で容易に貼付け剤を貼付けることができる。
又、柔軟で薄型な部材で構成されているので貼付け剤を納める包装袋、もしくは、化粧箱に本発明を収納でき携帯にも便利である。
更に、本発明は構造が簡単なため安価に提供でき、販売促進用品としても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の斜視図である。
【図2】本発明の側面図である。
【図3】本発明の裏斜視図である。
【図4】本発明に貼付け剤をセットした側面図である。
【図5】本発明の基板の他の実施例を示す斜視図である。
【図6】本発明の仮止め手段の実施例を示す斜視図である。
【図7】本発明の仮止め手段の他の実施例を示す平面図である。
【図8】本発明の仮止め手段に貼付け剤をセットした透視平面図である。
【図9】本発明の仮止め手段に貼付け剤をセットした他の例を示す透視平面図である。
【図10】本発明のハンドリング部の他の実施例を示す斜視図である。
【図11】本発明のハンドリング部と手の位置関係を示す斜視図である。
【図12】本発明の保持部の実施例を示す斜視図である。
【図13】本発明の保持部の他の実施例を示す斜視図である。
【図14】本発明の取っ手の実施例を示す斜視図である。
【図15】一般的に使用される貼付け剤の構成を示す一部断面図である。
【図16】本発明を用いて肩の患部に貼付け操作を行っている図である。
【図17】本発明の保護材が貼付け剤から剥がされる様子を示す先端部の拡大図である。
【図18】皮膚に貼付けた貼付け剤から本発明を取外す操作を行っている図である。
【図19】本発明を貼付け剤から取り外す様子を示す先端部の拡大図である。
【符号の説明】
1: 基板
2: 仮止め手段
3: ハンドリング部
4: 保護材
4’: 引張り部
5: 調節手段
6: 保持部
7: 取っ手
8: 貼付け剤
9: 基材
10: 薬剤面
10’: 薬剤面を露出させた部分
11: 剥離フィルム
12: 皮膚
【発明の属する技術分野】
本発明は、貼付け剤を肩、腰、肘等の貼付けしにくい部位に貼付ける際に使用する貼付け剤用貼付け具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
肩こり、腰痛、筋肉痛、関節痛など貼付け剤を用いて治療する場合、貼付け剤は身体のどんな部位にでも貼付けることができるよう、又、貼付けた後身体を動かしても剥がれないよう柔軟性や伸縮性を持たせてある。そのため、貼付け剤を患部の皮膚に貼付けるには、貼付け剤がたるんで薬剤面同士が貼付いたり、貼付け剤にシワが寄ったり皮膚との間に空気溜りができないようにするため、貼付け剤の両端部を両手で摘まんで押し広げながら貼付けるのが一般的な方法である。そのため、肩、腰、肘など両手が使いにくい患部や手の届きにくい患部、目で直接見にくい患部等に貼付け剤を1人で貼付けることは困難であった。
【0003】
そこで、肩、腰、背中など両手が使えず、手の届きにくい患部等に他人の手を借りず1人で貼付け剤を貼る治具が種々提案されている。
例えば、「実願平9−9545」は金属や木など硬い平板状の基板に設けた仮止め手段に薬剤面を露出した状態で貼付け剤をセットし、裏面に設けた握り部を把持するか、もしくは、脱着自在な壁面固定具を用いて貼付け具を壁面に固定し、腰や背中などに貼付け剤を貼付ける方法である。
【0004】
「特開2001−061894」は形状弾性を有する基板上の外周に同じく形状弾性を有するスペーサーが矩形リング状に囲うように設けられており、スペーサー内の基板には仮止め手段を備えている。又、基板の背面には指を挿入して貼付け具を患部まで運ぶハンドル部を備えている。当該貼付け具の特徴は、スペーサーの皮膚に接する感触によって貼付け者自身が患部の位置を決めることができ、薬剤面を露出し仮止め手段にセットした貼付け剤はスペーサーの持つ高さによって皮膚に直接触れず、ハンドル部を皮膚に押付けることによって基板とスペーサーが変形し貼付け剤を皮膚に貼付ける方法である。
【0005】
「特開2002−35139」は不織布や多孔性からなるシートの一面に仮止め手段を設け、背面に指や手の甲が入る係止部を備えた貼付け具で、薬剤面を露出し付着手段にセットした貼付け剤を基板の背面に設けた係止部に手を差込んで患部に運び貼付ける方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上いろいろな提案がなされているが、「実願平9−9545」は基板の柔軟性が乏しいため、肩などの曲面に使用することは困難であり、しかも、貼付け具にセットした貼付け剤の薬剤面が全面露出しているので、貼付け具を皮膚に接触させると貼付け剤は直ちに貼付いてしまい、本人の納得のいく貼付け位置に貼付け剤を貼付けることが難しいという欠点がある。
【0007】
「特開2001−061894」も基板を囲うスペーサーが肩などの曲面に合わせて変形することが困難なため、前述の「実願平9−9545」と同様、身体の曲面部位に使用することは難しい。又、本提案に於けるスペーサーは枠体であるため、患部に直接触れて位置を決めることができず、予め手などで患部を押さえ、その位置(範囲)を記憶した状態で患部と思われる周囲をスペーサーによって判断するため、必ずしも正確で満足のいく貼付け位置になるとは限らない。更に、背中や肩甲骨付近の患部に当該貼付け具を自身の手で押付けて貼付け剤を貼付けるには、背面であることを考えると、かなりの腕力が必要となり、1人で貼付けることの困難さが伺える。
上記2件の提案はこの他、構成が複雑で嵩張るため携帯しづらくコスト高となる欠点もある。
【0008】
「特開2002−35139」は前記「実願平9−9545」と同様貼付け具にセットした貼付け剤の薬剤面が全面露出しているので、患部に対し自身の手で正確に貼付け剤を貼付けることが困難であるという欠点がある。
以上のことから、提案されている貼付け具にはそれぞれ問題点があり、1人で貼付け剤を患部に的確に貼付けるには難点があった。
本発明は上記問題点を解決し、貼付け剤を肩、腰、肘など直接視認しにくい、あるいは、両手を使わないと貼れない患部に1人で容易に、しかも、的確に貼付けることのできる携帯に便利な貼付け剤用貼付け具の提供を目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、柔軟性を有する基板の一面(以下表面と称す)に、使用する貼付け剤の基材面を一時的に剥離可能に保持する仮止め手段と、当該貼付け剤の薬剤面が直接皮膚に貼付かないよう薬剤面を一時的に剥離可能に保護する柔軟性を有する保護材を備え、基板の他面(以下裏面と称す)には手で基板を保持し操作するハンドリング部を備えたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明は主に基板1、仮止め手段2、ハンドリング部3、保護材4によって構成される。以下、各構成要素の実施例を詳細に説明する。
【0011】
基板1は表面1aに仮止め手段2、保護材4を、裏面1bにはハンドリング部3を設けたものである。
【0012】
基板1の材質は、貼付け剤8が折れ曲がったり、たるんだりして薬剤面10同士が貼付かない程度の支持機能を有し、繰返し使用しても破損しない程度の強度を有し、且つ、肩、肘等の曲面や身体の凹凸面に合わせて変形し復元する柔軟性と形状弾性(力を加えると変形し、力を抜くと元の形状に戻る性質)を有するものが好ましく、素材としては、例えば、プラスチック、ゴム、紙シートにプラスチックをラミネート加工したもの、金属箔にプラスチックをラミネート加工したもの等を用いることが好ましい。
【0013】
基板1の大きさは、一般的に使用されている大判サイズの貼付け剤(以下大サイズの貼付け剤8aと称す)約10cm×14cmがセットでき、後述の保護材4を基板1の一方の短辺端(以下後端gと称す)側に取付けることができる程度であれば特に限定しない。しかし、できるなら本発明を貼付け剤8と共に携帯できるよう、基板1を貼付け剤8の薬効を維持するために収納する包装袋、もしくは、当該包装袋を更に収納する化粧箱等の中に収納できる大きさにすることが望ましい。
【0014】
尚、基板1が包装袋や化粧箱以上の大きさになる場合は、図5に示すよう基板1に折り目1cを設け、折りたたんで収納できるようにしても良い。
【0015】
基板1の形状は、一般的に使用されている貼付け剤8が矩形であること、貼付け剤8を収納する包装袋や化粧箱が矩形であることなどから概矩形であることが好ましい。
【0016】
次に、仮止め手段2は貼付け剤8を基板1に一時的に剥離可能に保持しておくものである。
【0017】
貼付け剤8は図15に示すように、基材9、薬剤面10、剥離フィルム11から構成されており、仮止め手段2は貼付け剤8の基材9を保持するものである。しかし、基材9には不織布を用いるものと織布を用いるものがある。従って、基材9を確実に保持し、何回も使用することのできる仮止め手段2をそれぞれの基材9に合わせて選択することが好ましい。
【0018】
例えば、不織布を用いた基材9にはフック構造の面ファスナー等を仮止め手段2として用いると良く、織布を用いた基材9には、プラスチック、紙、ゴムなどの柔軟な薄板上に粘着剤、例えば、アクリル酸エステル系粘着剤、シリコンポリマー系粘着剤等を塗布したものを仮止め手段2として用いると良い。
【0019】
仮止め手段2は、大サイズの貼付け剤8aと同程度の大きさのものを基板1の表面1aに設けても良いが、例えば、図6、7に示すように、貼付け剤8にシワが寄らず、しかも、基板1ごと下向きにしても剥がれずに保持できる程度の小片にした仮止め手段2を基板1に分散して設けても良い。
小片の大きさは1〜20cm2程度が好ましく、形状、及び、分散の仕方は特に限定しない。
【0020】
仮止め手段2を小片にして基板1に分散して設けると、その貼付き力が貼付け剤8の皮膚への貼付き力より面積が小さい分弱くなるので、本発明を貼付け剤8から容易に引き剥がすことができる。
【0021】
仮止め手段2を基板1に設ける際、図8に示すよう、大サイズの貼付け剤8aの任意の短辺を基板1の他方の短辺端(以下先端fと称す)側に概ね合致させて配置した時に、基板1の先端f、及び、後端gの各短辺側に位置する仮止め手段2が大サイズの貼付け剤8aの両短辺外周部より少し内側になるように設けると更に良い。具体的には約1〜2cm程度それぞれ内側が好ましい。
【0022】
こうすることで、後の使用方法で詳しく述べるが、皮膚に貼付けた貼付け剤8から本発明を取外す際、貼付け剤8ごと皮膚から引き剥がしてしまう不具合を防ぎ、本発明のみを確実に取外すことができる。
【0023】
次に、ハンドリング部3は基板1の裏面1bに設けることで、貼付け剤8をセットした本発明を患部に運んだり、皮膚に貼付けた貼付け剤8から本発明を引き剥がす操作を片手で行えるようにするものである。
【0024】
そこで、基板1の先端f付近と後端g付近の2カ所に、リングを形成するハンドリング部3を設けた実施例を図3、11に基づき説明する。
【0025】
先端f側のハンドリング部3は図11に示すよう、実施例の一つとして、手の指部分を差込んで操作するもので、人差指から小指を適度な余裕を持って差込める大きさのリングとなるよう、ハンドリング部3の両端を基板1の先端f付近の両長辺端部分に固定すると良い。
【0026】
これにより、本発明を貼付け部位に運ぶ過程で基板1の先端f側が手から離れ垂れ下がるのを防止し、又、貼付け終了時に指を持ち上げる動きに追従して基板1が引き上げられるので、皮膚に貼付いた貼付け剤8から本発明を取外すことができる。
【0027】
次に、後端g側のハンドリング部3は手の甲部分を差込んで、先端f側ハンドリング部3と同様の操作を行うものであるが、手の大きさによってリングの大きさにかなりの差が生じるので、リングの大きさを自由に調節することができるよう、リングを2つに切り離し、適度な重なり幅を持たせたハンドリング部3a、3bに分け、調節手段5を設けると良い。
【0028】
調節手段5として、例えば、面ファスナー、剥離可能な粘着剤、肩掛けバッグやズボン等のバンドに用いる調節具、ボタン等を利用することができる。
【0029】
後端g側のハンドリング部3を基板1へ設けるには、例えば、図11で示すように、基板1の先端f付近に指先が来るように手を基板1の裏面1bに置いた時、親指と人差指間の叉付近の手の甲を覆うことのできる位置が良い。
こうすると先端f側のハンドリング部3と同じ働きをすることができ、更に、親指と人差指の叉で後端g側ハンドリング部3を挟み付けて運ぶことができるので、どのような向きに本発明を傾けても手から外れ落ちることはない。
【0030】
尚、先端f側のハンドリング部3は手の大きさに個人差があっても、差込んだ指を広げたり中指や薬指を外すことによってリングの大きさを調節することができるものであれば、調節手段5を備えなくても良い。
【0031】
ハンドリング部3の素材は貼付け操作を繰返し実施することに耐える強度と貼付け剤8を収納する包装袋もしくは、化粧箱に嵩張らないよう変形させて収納できる柔軟性を有するものであれば特に限定されず、例えば、布、ゴム、布とゴムを組合わせたもの(織ゴム)、プラスチック、紙シートにプラスチックをラミネート加工したもの、金属箔にプラスチックをラミネート加工したもの等を使用することが好ましい。
【0032】
リングを形成しない他の実施例としては、例えば、図10に示すように、概矩形の薄板に折り目3’を設け、基板裏面1bに接着剤等を用いて複数取付け、使用する際は基板1から折り立て、これに指を挟んで操作できるようにしたハンドリング部3でも同様の操作を行うことができる。薄板の素材は例えば、プラスチック、紙、ゴム、紙にプラスチックをラミネート加工したもの、金属箔にプラスチックをラミネート加工したもの等を使用すると良い。
【0033】
その他のハンドリング部3の例としては、基板1に直接コの字形の切込みを入れ、使用時に折り立て前記同様指を挟んで使用する方法でも良い。
何れにしても、本発明が片手で操作できれば、又、包装袋等に収納できればハンドリング部3の形状や取付け数等に拘るものではない。
【0034】
次に、保護材4は薬剤面10を被って一時的に剥離可能に貼付き、貼付け操作時の貼付け位置を探る過程で薬剤面10が直接皮膚に触れて貼付くことを防止するものである。
【0035】
従って、保護材4には、貼付け位置決定後の貼付け剤8の位置がズレないよう本発明を患部の皮膚に留めた状態で、薬剤面10から当該保護材4を取外すことのできる機能を持たせなければならない。
【0036】
そこで、本発明に於ける好適な保護材4の例を図1、2に基づき説明する。
保護材4は基板1の短辺とほぼ同じ幅を有し、基板1の長辺に対し少なくとも2倍以上の長さを有し、一方の短辺端部分を基板1の後端gの短辺端部分に固定し、他方の短辺部分は指で摘み易く、引張る力が薬剤面10との貼付き境界部分に均等に掛かり易くなるよう短辺中央に向け細く絞り込んだ形状の引張り部4’を形成したものである。
【0037】
更に、保護材4は引張り部4’が基板1の後端gの後方に位置するよう基板1の先端f付近から基板1の後端g方向に向け折返しておく。
折返す位置は基板1の先端fからおおよそ1〜2cm下がった位置が好ましい。こうすると、後述で詳しく説明するが保護材4の取外しを確実に行うことができる。
【0038】
以上のことから、保護材4は薬剤面10を被い保護するので、貼付け剤8を皮膚に接触させても貼付くことはなく、しかも、保護材4の引張り部4’を引張ることにより保護材4が薬剤面10から引き剥がされるので、貼付け剤8を皮膚に貼付けることができる。
【0039】
保護材4は、柔軟性と引張っても伸びたり切れたりしない程度の強度を有するシート状が好ましく、素材としては例えば、プラスチック、紙シートにプラスチックをラミネート加工したもの、金属箔にプラスチックをラミネート加工したもの等を使用することが望ましい。又、薬剤面10との貼付き力を弱めるため保護材4の面に凸凹(エンボス加工)を施すと更に良い。
【0040】
以上、保護材4の一例を示したが、薬剤面10を被って一時的に剥離可能に貼付き、貼付け位置決定後に貼付け剤8の位置がズレないよう本発明を患部に軽く押当てた状態のままスムーズに保護材4を薬剤面10から剥がすことができるのであれば、保護材4は引張り部4’を含めその大きさや形状に拘るものではない。
【0041】
更に、図12で示すように、本発明に保護材4の折返された部分を基板1の表面1aに添うように相対させて保持し、引張り部4’を必ず基板1の後方に位置させるため、基板1の表面1aの両長辺後端g付近に、基板1の内側に向けて鉤型に突出させた保持部6を備えることが好ましい。
【0042】
保持部6は基板1と一体成形したものでも良いが、図13に示すように保護材4の折返された部分が容易に抜き差しできるよう、基板1の両長辺後端g付近に、両端を基板1に固定しリングを形成するようにした、柔軟性を有する紐もしくは帯状の保持部6でも良い。
保持部6の素材には、例えば、より糸、布、ゴム、織ゴム、プラスチック、紙シートにプラスチックをラミネート加工したもの、金属箔にプラスチックをラミネート加工したもの等を用いると良い。
【0043】
これにより、折返された部分の保護材4を、鉤型の保持部6に差し込むか、あるいは、基板1に渡設された紐もしくは帯状の保持部6に差し通すことによって、折返された部分の保護材4は基板1に添うように保持され、且つ、引張り部4’を本発明の後方に位置するよう確実に制御することができる。
【0044】
又、図14に示すように、基板1に取付けたり外したりできる脱着部7aを一方の端に設け、他方の端に把持部7bを設けた取っ手7を基板1の任意の一辺に組付けて用いると、手の届かない貼付け部位に対して貼付け剤8を貼付けることができる。
【0045】
取っ手7の素材は本発明を患部の皮膚に運ぶ際、たわんだり、折れたりしない強度を有する、例えば、プラスチック、木、紙、ゴム、金属等を用いることが好ましい。
【0046】
次に、本発明の使用方法を説明する。
【0047】
本発明に貼付け剤8をセットする際、大サイズの貼付け剤8aを用いる場合は図4、8に示すように任意の一辺を基板1の先端f短辺に概ね合わせることが肝要であり、小サイズの貼付け剤8bの場合には、図9に示すように任意の一辺を大サイズの貼付け剤8aと同様基板1の先端fに合わせ、且つ、基板1の先端fから後端gに向う仮止め手段2に係るようにセットすることが肝要である。
【0048】
先ず、基板1の仮止め手段2に貼付け剤8の基材9面をシワ無く押し広げた状態でセットする。これにより、貼付け時に薬剤面10同士が貼付いたり、薬剤面10と患部の皮膚との間にシワや空気溜りが生じること等により、貼付け剤8を破棄したり薬効を損なう不具合を確実に防ぐことができる。
【0049】
次に、貼付け剤8の薬剤面10に予め貼付けてある剥離フィルム11を剥がし、代りに保護材4を薬剤面10に被せ貼付ける。
そして、手の大きさに合わせハンドリング部3を調節して、本発明を患部の皮膚近くまで運び、基板1の上から貼付け剤8を指で皮膚に押付け痛みを感じる患部を探りだす。
【0050】
このように本発明を用いると、使用者自身が肩や腰など視認しにくい患部に貼付け剤8を片手で運ぶことができ、しかも、薬剤面10は保護材4によって被われているので、基板1の上から指で貼付け剤8を皮膚に押付けても貼付け剤8が貼付くことはなく、的確に患部を探り当て本人の納得のいく貼付け位置を決めることができるのである。
【0051】
尚、図4で示すように、保護材4の折返し位置が基板1の先端fより内側にあり、基板1の先端fに合わせてセットした貼付け剤8の先端部分のおおよそ1〜2cmは薬剤面10が露出した状態となるが、指で当該部分の基板1を皮膚に押付けない限り薬剤面を露出させた部分10’が皮膚に貼付くことはない。
【0052】
貼付け位置を決めた後、図16、17で示すように、薬剤面を露出させた部分10’を基板1の上から指で皮膚12に押付けて貼付け、指で当該部分10’を押さえたまま、もう一方の手で保護材4の引張り部4’を引張る。こうすると、保護材4の先端は薬剤面を露出させた部分10’より内側にあり、指で押さえられていないので薬剤面10に貼付いた保護材4を容易に引き剥がすことができる。
【0053】
次に、貼付け剤8を患部の皮膚12に密着させるため、基板1を手で押し撫でる。この時、貼付け剤8は予め仮止め手段2にシワなく押し広げて保持されており、しかも、基板1が患部の皮膚12の凸凹や曲面に合わせて変形するので、如何なる機械装置よりも優れた指や掌の操作によって、基板1の上から貼付け剤8を隅々まで押し撫でることができ、シワや空気溜りを生ずることなく患部の皮膚12にしっかりと貼付け剤8を密着させることができる。
【0054】
そして、ハンドリング部3に差込んだ手を、例えば、図18、19に示すよう、指先から手首に向けて順次持上げると、基板1は手の動きに合わせ順序よく持上げられ、皮膚12に貼付いた貼付け剤8を仮止め手段2から引き剥がし、本発明を取外すことができる。
【0055】
つまり、本発明を指先、もしくは手首側から持上げると、仮止め手段2は貼付け剤8を皮膚12から引き剥がそうとするが、仮止め手段2が貼付け剤8の先端、もしくは、後端より内側にあるので、貼付け剤8の先端、もしくは、後端付近の皮膚12への貼付き力によって阻止され、貼付け剤8ごと皮膚12から引き剥がしてしまう不具合を防ぐことができ、その結果、本発明を貼付け剤8から確実に取外すことができるのである。
【0056】
尚、両手で貼付け操作のできない肘などの場合は、予め視覚で貼付け位置を確認できるので、保護材4を薬剤面10に貼付けず、基板1の後端gより後方にフリーな状態にしておき、薬剤面10全面を露出した状態で貼付け操作を行えば、片手で貼付け剤8をシワなく容易に貼付けることができる。
【0057】
又、背中、特に肩甲骨付近に貼付け剤8を貼付ける場合は、ハンドリング部3に手を通さず、基板1の先端f側を一方の手で摘まんで本発明を肩甲骨上部まで運び、他方の手で患部を探り貼付け位置を決め、摘まんでいた手を薬剤面を露出させた部分10’に押付け、他方の手で保護材4の引張り部4’を下方に引張ることにより、手や腕の動きに無理を与えず貼付け剤8を患部に貼付けることができる。
【0058】
このようにして、本発明は背中や腰などの比較的平坦な患部に対して、肩の尾根から肩甲骨付近にかけての大きな曲面を有する患部に対して、あるいは、肘等の凸凹した患部に対してシワや空気溜りを生ずることなく、しかも、本人の納得のいく貼付け位置に1人で貼付け剤8を貼付けることができる。
【0059】
又、基板1後端g付近に保持部6を備え、これに保護材4を保持させることにより、保護材4の引張り部4’を確実に基板1の後方に配置させることができるので、本発明を患部に運ぶ際、シート状の保護材4がまくれ上がり引張り部4’の位置がズレ、貼付け操作をやり直したり、引張り部4’を目で捜したりする煩わしさを防ぐことができる。
【0060】
更に、脱着可能な取っ手7を本発明に組付け用いることにより、手の届かない背中の患部に対しても貼付け剤8を貼付けることが可能となる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、保護材を設けることにより肩、背中、腰等視認しにくい部位でも、貼付け剤を使用する本人の手が直接患部全体を押し撫でる感触によって確実に納得のいく貼付け範囲を決めることができる。
しかも、貼付け剤を患部に運ぶ途中で薬剤面同士が貼付いたり、貼付け剤にシワや空気溜まりなど薬効を損なう不具合を生ずることなく1人で貼付け剤を貼付けることができる。
そして、肩、首、腕など曲面の患部、背中や腰など比較的平坦な患部、肘や肩甲骨周辺の凸凹した患部等あらゆる身体の部位に対しても、1人で容易に貼付け剤を貼付けることができる。
又、柔軟で薄型な部材で構成されているので貼付け剤を納める包装袋、もしくは、化粧箱に本発明を収納でき携帯にも便利である。
更に、本発明は構造が簡単なため安価に提供でき、販売促進用品としても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の斜視図である。
【図2】本発明の側面図である。
【図3】本発明の裏斜視図である。
【図4】本発明に貼付け剤をセットした側面図である。
【図5】本発明の基板の他の実施例を示す斜視図である。
【図6】本発明の仮止め手段の実施例を示す斜視図である。
【図7】本発明の仮止め手段の他の実施例を示す平面図である。
【図8】本発明の仮止め手段に貼付け剤をセットした透視平面図である。
【図9】本発明の仮止め手段に貼付け剤をセットした他の例を示す透視平面図である。
【図10】本発明のハンドリング部の他の実施例を示す斜視図である。
【図11】本発明のハンドリング部と手の位置関係を示す斜視図である。
【図12】本発明の保持部の実施例を示す斜視図である。
【図13】本発明の保持部の他の実施例を示す斜視図である。
【図14】本発明の取っ手の実施例を示す斜視図である。
【図15】一般的に使用される貼付け剤の構成を示す一部断面図である。
【図16】本発明を用いて肩の患部に貼付け操作を行っている図である。
【図17】本発明の保護材が貼付け剤から剥がされる様子を示す先端部の拡大図である。
【図18】皮膚に貼付けた貼付け剤から本発明を取外す操作を行っている図である。
【図19】本発明を貼付け剤から取り外す様子を示す先端部の拡大図である。
【符号の説明】
1: 基板
2: 仮止め手段
3: ハンドリング部
4: 保護材
4’: 引張り部
5: 調節手段
6: 保持部
7: 取っ手
8: 貼付け剤
9: 基材
10: 薬剤面
10’: 薬剤面を露出させた部分
11: 剥離フィルム
12: 皮膚
Claims (7)
- 基板(1)の一面(1a)に、使用する貼付け剤の基材面を一時的に剥離可能に保持する仮止め手段(2)を備え、当該基板(1)に貼付け剤の薬剤面が皮膚に貼付かないよう薬剤面を一時的に剥離可能に保護する保護材(4)を備えたことを特徴とする貼付け剤用貼付け具。
- 保護材(4)が引張り部(4’)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の貼付け剤用貼付け具。
- 基板(1)の端部(g)付近に、保護材(4)を基板(1)に保持する保持部(6)を備えていることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の貼付け剤用貼付け具。
- 基板(1)にハンドリング部(3)を備えていることを特徴とする請求項1あるいは2あるいは3記載の貼付け剤用貼付け具。
- 基板(1)が柔軟性を有していることを特徴とする請求項1あるいは2あるいは3あるいは4記載の貼付け剤用貼付け具。
- 保護材(4)が柔軟性を有していることを特徴とする請求項1あるいは2あるいは3あるいは4あるいは5記載の貼付け剤用貼付け具。
- 基板(1)に脱着可能な取っ手(7)を備えたことを特徴とする請求項1あるいは2あるいは3あるいは4あるいは5あるいは6記載の貼付け剤用貼付け具。
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