JP5484572B2 - エレベーターのかご - Google Patents

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Description

この発明は、エレベーターのかご室の荷重を支える、かご枠に関するものである。
従来のエレベーターにおいては、かご室の荷重は、かご室を囲むかご枠によって支持されている。かご室の床下に設けた防振部材を介して、かご枠にはかご室の荷重が作用する。また防振部材は、かご室の傾きを抑制するために、かご室の四隅に配置され、かご枠側のかご床支持枠で防振部材が支持されている。そのため、かご室の重量が大きい場合、防振部材の取付位置では、かご室の荷重が集中して作用し、防振部材を取り付けているかご床支持枠の剛性強化が必要となる。さらに、かご室の奥行寸法が長い場合、かご床支持枠の奥行寸法も長くなり、かご床支持枠の先端で防振部材を支持しているため、かご床支持枠に大きな曲げ応力が発生する。そのため、かご床支持枠の剛性強化が必要となる。このように、かご室を支持しているかご床支持枠に対し、剛性強化に伴う重量増大と補強部品点数の増加によるコスト増大という問題が生じる。
この問題を解決する従来技術として、防振部材の取付位置の剛性を、塑性加工によって強化する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、別の従来技術として、かご室の荷重をかご枠の縦柱に負担させる構成が知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
特開2007−308243号公報 特開昭62−171884号公報 特開平1−98586号公報
特許文献1における従来のエレベーターのかご枠では、かご床下の防振部材を支持するかご床支持枠の梁断面を塑性変形加工により強化している。しかしながら、防振部材自体を介してかご床支持枠に伝わるかご室荷重は変化しないため、かご室を支えるかご枠全体構造には、依然として十分な強度が必要であり、大幅な軽量化を図ることができないという問題がある。
また、特許文献2における従来のエレベーターのかご枠では、かご床下の中央に配置された非常止め枠の上に防振部材を配置し、縦柱とかご床の間を斜め控えで連結した構成としている。この構成では、防振部材を支えるかご床支持枠が不要となるものの、かご室の偏心荷重に対して、かご室が大きく傾く問題がある。
さらに、特許文献3における従来のエレベーターのかご枠では、かご室の壁と縦柱を連結することにより、かご室の床にかかる荷重を、かご枠の一部である縦柱に壁を介して負担させる構成としている。これにより、斜め控えをなくすことができるが、かご室とかご枠が一体構造となるため、かご室の振動・騒音が無視できなくなるという問題がある。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、かご室の偏心荷重に対しても、かご室の傾きを抑制するとともに、かご室を支えるかご床下のかご床支持枠を簡素な構成とすることにより、かご枠全体の軽量化を実現することを目的とするものである。
この発明に係るエレベーターのかごにおいて、かごの側面に設けられた振れ止め取付部材と、かご枠の縦柱に設けられたストッパとを備え、通常時においては、前記振れ止め取付部材と前記ストッパとの間に隙間が形成され、非常時においては、前記振れ止め取付部材が前記ストッパに上下方向に接触して支持されるとともに水平方向に弾性支持され、前記ストッパは、上面にV字状の溝が形成され、前記振れ止め取付部材は、前記ストッパのV字状の溝に接触する構成とした。
この発明によれば、かご室荷重を縦柱への垂直荷重として効率的に分散させることにより、かご床支持枠に生じるかご室荷重を低減することができる。さらに、乗客の偏りにより発生するかごの大きな傾きを防止できるとともに、かご室の傾きの抑制により、四隅の防振部材を介して生じるかご室荷重を、かご床支持枠に均等に分散することができる。
この発明の実施の形態1におけるかごの構成図である。 従来のエレベーターにおける天井振れ止めの構成図である。 この発明の実施の形態1における天井振れ止めとストッパの構成図である。 この発明の実施の形態1におけるストッパの動作を表す説明図である。 偏心荷重を受けるかご室の振れ止め動作を示す説明図である。 偏心荷重を受けるかご室の傾きを示す説明図である。 この発明の実施の形態2におけるストッパの動作を表す説明図である。 従来のせり上げ式エレベーターにおけるかごの構成図である。 従来の上吊りエレベーターにおけるかごの構成図である。 従来のせり上げ式エレベーターにおけるかご枠の構成図である。
1 かご室、2 かご枠、3 縦柱、4 かご床支持枠、5 上枠、6、6a、6b 防振部材、7、7a、7b 斜め控え、8、8a、8b 振れ止め、9 吊り車、 10 ロープ、11a、11b ガイド装置、12 かご床、13 非常止め枠、20 ストッパ、21 振れ止め取付部材、22 ストッパ支持部材、23 ボルト、24 補強板、30 偏荷重。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1におけるエレベーターのかご構成を示す説明図、図8、図9、図10は、従来のエレベーターのかご構成を示す説明図である。
従来のかごの構成について、まず図8を用いて説明する。図8は、せり上げ式の2:1ローピングのエレベーターである。図8において、かご室1を支持するかご枠2は、縦柱3、かご床支持枠4、上枠5で構成される。かご室の荷重は、防振部材6a、6bを介して、かご床支持枠4に伝わる。かご床支持枠4と縦柱3は強固に連結されているため、かご室荷重を受けて、かご床支持枠4は曲げ変形を受ける。この曲げ変形を抑制するために、縦柱3とかご床支持枠4の間に、斜め控え7a、7bを設ける。このように、かご枠全体は、図10の斜視図で示す構成となっている。
また、かご室の倒れを抑制するために、かご室天井には振れ止め8a、8bを設けている。かごは、かご下に設けた吊り車9によってロープ10で駆動される。また、ガイドレールに沿って上下走行するように、ガイド装置11a、11bが縦柱3に設置されている。
図8の構成では、かご室に偏荷重が作用しても、かご室の四隅に配置された防振部材6により、かご室荷重が分散されるため、かご室の大きな傾きを抑えることができる。しかしながら、かご床支持枠4でかご室荷重を支持するため、かご床支持枠4を強固な剛性で構成する必要があり、かご枠の重量増大を招く。
また、かご床支持枠4に作用するかご室荷重の一部を、斜め控え7a、7bで縦柱3に分散しようとすると、斜め控え7に十分な強度が必要となり、斜め控えの重量増加を引き起こす。
さらに、斜め控え7は、縦柱3の中間部分で連結されるため、この連結点において縦柱3に水平方向の力が発生し、乗客の偏りにより斜め控え7a、7bに張力差が生じると、縦柱に曲げ変形が生じるとともに、縦柱の曲げ変形に追従してかご床支持枠も傾く。そのため、縦柱の曲げ変形を抑えるために、縦柱の強度を上げる必要があるという問題が生じる。
次に、吊り車が、かご上部に設置された場合のかご構成について、図9を用いて説明する。図9では、かご枠の上部に吊り車9が設置され、ロープ10で駆動する構成となっている。かご室1の下部を構成しているかご床12は、縦柱3の下部と強固に固定された非常止め枠13の上に設けた防振部材6a、6bによって支持されている。また、かご床12は、かご室全体の傾きを抑えるために、縦柱3と斜め控え7a、7bで連結されている。この場合、乗客の偏りによりかご室全体が傾くと、片側の斜め控えには引張力、反対側の斜め控えには圧縮力が作用する。
図9の構成では、図8に比べて、かご床支持枠4が不要となるため、かご枠全体の構造が簡素化できる。しかしながら、かご室荷重を非常止め枠13のみで支持するため、かご室荷重による曲げ変形を抑制するために非常止め枠の剛性を強化する必要がある。
また、かご室が、中央寄りの防振部材6a、6bのみで支持されているため、かご室の偏荷重で容易にかご室が傾く。この傾きを抑制するために、斜め控え7a、7bは図8に比べて、大幅に強度を上げて、斜め控え自体の引張・圧縮変形を抑制する必要がある。
さらに、かご室の傾きを抑制する振れ止め8a、8bにも大きな力が作用するため、剛性の高い防振材を使う必要があり、かご枠からの振動が振れ止め8を介してかご室に伝達し、かご室の振動・騒音を招く問題がある。
このように、図8や図9で示す従来のかごでは、かご室の傾きを抑えて支持するために、斜め控えやかご床支持枠、縦柱を強固な剛性を備えたものに設定しなければならず、かご枠の軽量化には、別のかご構造が必要である。
そこで、図8のかごから、図1のかごを導出する。図8との違いは、かご室1の天井に設けた振れ止め8a、8bの近傍に、追加でストッパ20を設けた点である。
ストッパ20の構成について、図2、図3を用いて説明する。図2は、従来のかごである図8に対応した振れ止め8a、8bの詳細図である。図2(a)はその詳細図の上面図、図2(b)は正面図である。かご室1の天井側面に固定された振れ止め取付部材21に、振れ止め8が設置されている。振れ止め8は、縦柱3の前後と左右の3方向に配置され、縦柱3と面接触している。
一方、図3は、本実施の形態のかごに対応した振れ止めの詳細図である。図3(a)はその詳細図の上面図、図3(b)は正面図、図3(c)は図3(b)のA−A断面図である。振れ止め取付部材21の下側に、新たにストッパ20とストッパ支持部材22が設置される。ストッパ支持部材22は、縦柱3と強固に結合されている。
次に、ストッパ20の動作について図4を用いて説明する。図4(a)、(b)は、図4(c)の矢印方向から見た平面図である。ストッパ20は、ストッパ支持部材22とボルト23で結合されている。ボルト23とストッパ20の上面には,すき間が設けられている。
図4(a)に示すように、振れ止め取付部材21は、ストッパ20の上面とは接触しておらず、隙間gが設けられている。ストッパ20は、振れ止め8a、8b、床下の防振部材6a、6bと同じ弾性体で構成している。非常止め動作や、バッファ衝突などのエレベーターの非常時における動作で、かご室に急激な減速度が作用することにより、かご室の慣性重量が増大した場合、かご室全体が、かご枠に対して下降するため、振れ止め取付部材21はストッパ20の上面と面接触し、ストッパ20が押し潰される。図4(b)で示すように、かご室全体の下降(同図中の矢印方向への移動)が更に継続する場合は、ストッパ20の過大な変形を抑えるために、ボルト23により振れ止め取付部材21の沈下が抑制され、かご室の下降が止まる。
このように、エレベーターの非常時における動作により増加するかご室の慣性重量を、振れ止めに設けたストッパで支持することにより、かご床支持枠4や、斜め控え7に生じるかご室荷重の一部(例えば20%)を負担することができ、かご床支持枠4、斜め控え7の軽量化を実現できる。
さらに、ストッパ20で受けるかご室荷重は、縦柱への垂直荷重のみであり、水平荷重は作用しないため、縦柱の曲げ変形を引き起こすことなく、縦柱のサイズを細くして曲げ剛性を下げることができる。また、通常時は、かご室と縦柱の上下方向が接触していない(図4(a)の隙間g)ことから、通常走行時において縦柱からかご室に伝わる振動・騒音の増大を招くことがなく、かご室の乗り心地は従来と変わらない。
なお、本実施例では、せり上げ式のかご枠について説明したが、図9の上吊り構造のかごでも同様の効果が得られる。また、ストッパ20は、かご室天井の振れ止め以外と接触しても良く、かご室側面の壁でも良い。この場合、ストッパ20の取付位置は縦柱の上部に限定されるものではなく、かご室中央の高さでも良い。さらに、ストッパ20を、縦柱3ではなく上枠5に設置して、かご室天井の変位を抑制する構成としても同様の効果が得られる。
また、上記の説明ではエレベーターの非常時のみストッパ20が作用するとしたが、通常時においてもストッパ20を作用させる(すなわち、図4(a)の隙間gが閉じた図4(d)の状態)ことにより、かご床支持枠4、斜め控え7に生じるかご室荷重の一部を、通常時においても縦柱で負担する構成としても良い。これにより、かご床支持枠4、斜め控え7の更なる軽量化を実現できる。
実施の形態2.
まず、かご室の偏荷重により、かご室全体が左右に傾いた場合のかごの動きについて、図5、図6で説明する。図5は、かごを上から見た図、図6は、かごを正面から見た図である。
図6(a)で示すように、かご室に偏荷重30が作用すると、かご室は偏荷重側に傾く。この時、図5(b)で示すように、傾いた方向と逆側の振れ止め8では、縦柱3とすき間dが発生する。この場合、図6(a)で示すように、かご室の倒れ込みを抑えるように、片側の振れ止めに荷重が集中して作用する。
しかしながら、かご枠からかご室に伝わる振動を遮断し、かご室の振動・騒音を防止するためには、振れ止めの剛性を大きくすることはできず、かご室の倒れを抑えるのに十分な剛性を確保できないことから、かご室全体は大きく傾き、偏心荷重が作用する床下防振部材に大きな荷重が作用する。
ここで、図6(b)で示すように、(a)図では作用していない反対側の振れ止めが、同時に、かご枠・かご室間に作用すれば、かご室全体の傾きを抑制することができる。これによって、(a)図で見られたような、床下防振部材の片側への集中的な負荷を回避することができる。
そこで、上記のようなかごを実現するために、図7で構成されるストッパ20を用いる。図7(b)、(c)、(d)は、(a)図の矢印方向から見た平面図である。図7(a)に示すように、ストッパ20の上面には、中央部分にV字状の溝が形成されている。溝は、図7(b)に示すように、下に向かって傾斜しているものとする。かご室に固定された振れ止め取付部材21は、図7(c)に示すように、この溝に収まるように溝の傾斜部を押し潰しながらストッパ20を圧縮する。
図7(d)に示すように、かご室の偏荷重により振れ止め取付部材21が水平方向に移動すると、ストッパの弾性変形を介して、縦柱3が水平方向に力を受ける。さらにかご室の傾きが増大し、振れ止め取付部材21が大きく水平変位しようとすると、ストッパ20に設けた補強板24により、ストッパの弾性変形が抑制され、振れ止め取付部材21の水平変位も抑制される。
これにより、かご室全体の傾きが抑制されるため、特定の床下防振部材への集中荷重を回避することができ、床下防振部材全体で、均一にかご室荷重を支持することができる。そのため、かご床支持枠4に対し、かご室の偏荷重を考慮して不必要に剛性を上げる必要がなくなるため、かご床支持枠4の軽量化を図ることができる。
なお、ストッパ20により、縦柱は水平方向の荷重を受けるため、斜め控えと同様に縦柱に曲げ変形が生じることが考えられる。しかしながら、ストッパの配置位置は、かご室の天井付近で、上側のガイド装置11bに近接しているため、ストッパからの水平荷重は縦柱の水平支持点に近く、縦柱に大きな曲げ変形が発生することはない。
また、本実施例では、左右方向のかご室の倒れについて説明したが、前後方向のかご室の倒れについても、同様の構成により抑制できる。

Claims (3)

  1. かごの側面に設けられた振れ止め取付部材と、
    かご枠の縦柱に設けられたストッパと
    を備え、
    通常時においては、前記振れ止め取付部材と前記ストッパとの間に隙間が形成され、
    非常時においては、前記振れ止め取付部材が前記ストッパに上下方向に接触して支持されるとともに水平方向に弾性支持され
    前記ストッパは、上面にV字状の溝が形成され、
    前記振れ止め取付部材は、前記ストッパの前記V字状の溝に接触することを特徴とするエレベーターのかご。
  2. 前記ストッパは、前記V字状の溝の外側に補強板を有していることを特徴とする請求項に記載のエレベーターのかご。
  3. 前記縦柱に結合され、前記ストッパを支持するストッパ支持部材と、
    前記ストッパを前記ストッパ支持部材に結合するボルトと
    をさらに備え、
    前記ボルトの上部は、前記ストッパの前記V字状の溝の底面と同じ高さとなっていることを特徴とする請求項または請求項に記載のエレベーターのかご。
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