基板の上面の溝に温水循環用配管を引き回した温調マットを床に敷設した床暖房構造が周知である。
この温水循環用配管を複数本引き回し、各温水循環用配管を温水が循環するように構成した温調マットが特開平9−269135号に記載されている。
第13図は、同号の図2に記載の温調マットの平面図であり、第14図(a)は同号のヘッダーの平面図、第14図(b),(c),(d)はそれぞれ第14図(a)のB−B線断面図、C−C線断面図及びD−D線断面図である。
この温調マット100は、略方形の基板101を有している。この基板101に2本の温水循環用配管(以下、温水配管と略す。)102a,102bが引き回されている。基板101には、3本の小根太103が配設されている。各小根太103は、基板101の一辺と略平行方向(第13図の上下方向)に延在している。小根太103同士は、各々の延在方向と直交方向(第13図の左右方向)に間隔をあけて略平行に配列されている。以下、上下方向及び左右方向とは、第13図の上下方向及び左右方向をいう。
基板101の左右方向の中央部に配置された小根太(以下、中央小根太という。)103は、上端を該基板101の上辺に揃えて配置され、その下端は該基板101の下辺から離隔している。この基板101の下辺の左右方向の中央部に、ヘッダー配置用スペース101a(同号では記載なし。)が設けられ、このヘッダー配置用スペース101aにヘッダー104が配置されている。このヘッダー配置用スペース101aと中央小根太103の下端との間は、配管引き回し用スペース101b(同号では記載なし。)となっている。
基板101の左端側及び右端側に配置された各小根太(以下、それぞれ左端側小根太及び右端側小根太という。)103は、下端を該基板101の下辺に揃えて配置され、その上端は該基板101の上辺から離隔している。この左端側及び右端側の各小根太103の上端と、基板101の上辺との間も、それぞれ配管引き回し用スペース101c,101d(同号では記載なし。)となっている。
温水配管102a,102bは、それぞれ、これらの配管引き回し用スペース101b,101c,101dを通って各小根太103を迂回しつつ、基板101の板面を周回するように引き回されている。中央小根太103と右端側小根太103との間、該右端側小根太103と基板101の右辺との間、中央小根太103と左端側小根太103との間、並びに左端側小根太103と基板101の左辺との間においては、各温水配管102a,102bは、互いに所定の間隔をおいて、それぞれ各小根太103と略平行に直線状に延在している。
各温水配管102a,102bの両端側は、それぞれヘッダー配置用スペース101aの左右両側から該ヘッダー配置用スペース101aに臨んでいる。各温水配管102a,102bは、このヘッダー配置用スペース101aの近傍部では基板101の下辺と略平行に左右方向に延在しており、このヘッダー配置用スペース101aから左方又は右方に離隔するにつれて基板101の上辺側に向うように湾曲し、各小根太103,103間においてこれらと略平行に上下方向に延在している。
第14図(a)〜(d)の通り、このヘッダー104は、ボディー部105と、外部温水循環路113の温水送給用の往管(往き側主配管)114及び温水返送用の戻り管(戻り側主配管)115がそれぞれ接続されるように該ボディー部105から突設された往管接続口(往き側主配管接続口)106及び戻り管接続口(戻り側主配管接続口)107と、各温水配管102a,102bの一端側がそれぞれ接続されるように該ボディー部105から突設された1対の往き側温水配管接続口(往き側副配管接続口)108,109と、各温水配管102a,102bの他端側がそれぞれ接続されるように該ボディー部105から突設された1対の戻り側温水配管接続口(戻り側副配管接続口)110,111とを備えている。
第14図(a)〜(d)の通り、ボディー部105は、1対の主板面105a,105bと、4側面105c,105d,105e,105fとを有した略方形盤状体である。
このボディー部105の一側面105c(第13図及び第14図(a)における下向き面)から前記往管接続口106及び戻り管接続口107が突設されている。また、この側面105cと直交する二側面105d,105fのうち、一方の側面105d(第13図及び第14図(a)における右向き面)から往き側温水配管接続口108及び戻り側温水配管接続口110が突設され、他方の側面105f(第13図及び第14図(a)における左向き面)から往き側温水配管接続口109及び戻り側温水配管接続口111が突設されている。ボディー部105を挟んで往き側温水配管接続口108と反対側には戻り側温水配管接続口111が配置されており、戻り側温水配管接続口110と反対側には往き側温水配管接続口109が配置されている。
ボディー部105内には、該往管接続口106と各往き側温水配管接続口108,109とを連通する往き側温水流路(往き側流体流路)120と、戻り管接続口107と各戻り側温水配管接続口110,111とを連通する戻り側温水流路(戻り側流体流路)121とが設けられている。
同号では、この往き側温水流路120は、往管接続口106と往き側温水配管接続口108とを連通した第1の往流路と、往管接続口106と往き側温水配管接続口109とを連通した第2の往流路とを備えている。
該第1の往流路は、一端側が往管接続口106に連通した大口径流路120aと、該大口径流路120aの他端側に連なる中口径流路120bと、該中口径流路120bに連なる小口径流路120cと、一端側が該小口径流路120cに連なり、他端側が往き側温水配管接続口108に連通した大口径流路120dとにより構成されている。この往管接続口106側の大口径流路120aの延在方向の途中部には、T字路を形成するように大口径流路120eの一端側が連なっており、この大口径流路120eの他端側が往き側温水配管接続口109に連通している。これらの大口径流路120a,120eにより、第2の往流路が構成されている。該中口径流路120b及び小口径流路120cは、大口径流路120a,120d,120eよりも口径の小さなものとなっている。
また、戻り側温水流路121は、戻り管接続口107と戻り側温水配管接続口111とを連通した第1の戻り流路と、戻り管接続口107と戻り側温水配管接続口110とを連通した第2の戻り流路とを備えている。
該第1の戻り流路は、一端側が戻り管接続口107に連通した大口径流路121aと、該大口径流路121aの他端側に連なる中口径流路121bと、該中口径流路121bに連なる小口径流路121cと、一端側が該小口径流路121cに連なり、他端側が戻り側温水配管接続口111に連通した大口径流路121dとにより構成されている。この戻り管接続口107側の大口径流路121aの延在方向の途中部には、T字路を形成するように大口径流路121eの一端側が連なっており、この大口径流路121eの他端側が戻り側温水配管接続口110に連通している。これらの大口径流路121a,121eにより、第2の戻り流路が構成されている。該中口径流路121b及び小口径流路121cは、大口径流路121a,121d,121eよりも口径の小さなものとなっている。
第13図の通り、このヘッダー104は、往き側温水配管接続口108及び戻り側温水配管接続口110がボディー部105から右方に突出し、往き側温水配管接続口109及び戻り側温水配管接続口111がボディー部105から左方に突出し、往管接続口106及び戻り管接続口107がボディー部105から下方に突出するように、前記ヘッダー配置用スペース101aに配置されている。
ヘッダー104の右側から温水配管102aの一端側が往き側温水配管接続口108に接続されると共に、温水配管102bの一端側が戻り側温水配管接続口110に接続されている。また、ヘッダー104の左側から温水配管102aの他端側が戻り側温水配管接続口110に接続されると共に、温水配管102bの他端側が往き側温水配管接続口109に接続されている。
この温調マット100が室の床上に敷設され、ヘッダー104の往管接続口106に外部温水循環路113の往管114が接続されると共に、戻り管接続口107に外部温水循環路113の戻り管115が接続され、この温調マット1上に床仕上げ材が敷設されることにより、暖房床が構築される。
この外部温水循環路113の該往管114及び戻り管115は、それぞれ熱源器116に連なっている。この熱源器116からの温水が該往管114を介してヘッダー104に送給され、各温水配管102a,102bに分配される。そして、各温水配管102a,102bを流れてヘッダー104に戻ってきた温水が戻り管115を介してヘッダー104から熱源器116に返送される。このようにして各温水配管102a,102bを温水が循環することにより、床暖房が行われる。
このような温調マットを建物の壁や天井に設置することも行われている。また、冷媒を流通させて冷房を行うこともある。
以下、第1図〜第11図を参照して実施の形態について説明する。
第1図は実施の形態に係るヘッダーアッセンブリにおけるヘッダーの斜視図である。第2図はこのヘッダーの各主配管接続口にエルボを接続してなるエルボ付きヘッダーの分解斜視図である。第3図はこのエルボ付きヘッダーを収容するトレー部材の斜視図であり、第4図(a)は第3図のIVA−IVA線に沿う断面図、第4図(b)図は第3図のIVB−IVB線に沿う断面図である。第5図はこのトレー部材に第2図のエルボ付きヘッダーを収容してなるヘッダーアッセンブリの第1の使用形態を示す斜視図であり、第6図はこのヘッダーアッセンブリの平面図、第7図は第6図のVII−VII線に沿う断面図である。第8図はこのヘッダーアッセンブリの第2の使用形態を示す斜視図であり、第9図はこのヘッダーアッセンブリの平面図である。第10図はこのヘッダーアッセンブリを備えた温調マットの平面図であり、第11図はこの温調マットのヘッダーアッセンブリ付近の拡大図である。
[ヘッダーの説明]
第1図のヘッダー1は、温調マットに用いられるものであり、ボディー部2と、それぞれ該ボディー部2から突設された往き側主配管接続口としての第1の主ノズル11、戻り側主配管接続口としての第2の主ノズル12、各副配管接続口としての第1〜第8の副ノズル21〜28を備えている。
該ボディー部2は、上面2a及び下面2bと4側面2c,2d,2e,2fとを有した略直方体形状となっている。ヘッダー1は、このボディー部2の下面2bを下向きにして後述のトレー部材50内に収容される。このボディー部2の対向する1対の側面2c,2eのうち、一方の側面2cから第1及び第2の主ノズル11,12が突設され、他方の側面2eから第1〜第8の副ノズル21〜28が突設されている。即ち、このヘッダー1にあっては、主ノズル11,12と副ノズル21〜28とは、ボディー部2から互いに反対方向へ突出しており、且つ全ての副ノズル21〜28は、ボディー部2から同一方向に突出している。
これらの側面2c,2eはそれぞれ横長の略長方形状であり、且つ互いに略平行に延在している。各主ノズル11,12及び副ノズル21〜28は、各々の軸心線方向を各側面2c,2eの延在方向と略直交方向として設けられている。各主ノズル11,12及び副ノズル21〜28は、各々の軸心線方向に貫通する内孔(符号略)を備えている。各主ノズル11,12及び副ノズル21〜24の外周面は、それぞれ、樹脂製の温水用配管が外嵌状に差し込まれるように筍状となっている。
第1の主ノズル11と第2の主ノズル12とは、側面2cの長手方向(横方向)に所定の間隔をおいて配設されている。また、第1〜第8の副ノズル21〜28同士も、この順に、側面2eの横方向に所定の間隔をおいて配設されている。
第1,2図の通り、この実施の形態では、第1の主ノズル11と第1、第3、第5、第7の副ノズル21,23,25,27とは、各側面2c,2eの上下方向の中間よりも上半側に配設されている。また、第2の主ノズル12と第2、第4、第6、第8の副ノズル22,24,26,28とは、各側面2c,2eの上下方向の中間よりも下半側に配設されている。なお、これとは逆に、第1の主ノズル11と第1、第3、第5、第7の副ノズル21,23,25,27とが各側面2c,2eの上下方向の中間よりも下半側に配設され、第2の主ノズル12と第2、第4、第6、第8の副ノズル22,24,26,28とが各側面2c,2eの上下方向の中間よりも上半側に配設されてもよい。
ボディー部2内には、第1の主ノズル11の内孔と第1、第3、第5、第7の副ノズル21,23,25,27の内孔とを連通した往き側流路孔としての第1の流路孔31(第7図)と、第2の主ノズル12の内孔と第2、第4、第6、第8の副ノズル22,24,26,28の内孔とを連通した戻り側流路孔としての第2の流路孔32(第7図)とが設けられている。
即ち、この実施の形態では、第1、第3、第5、第7の副ノズル21,23,25,27がそれぞれ往き側副配管接続口となっており、第2、第4、第6、第8の副ノズル22,24,26,28がそれぞれ戻り側副配管接続口となっている。なお、この実施の形態では、往き側配管接続口としての副ノズル21,23,25,27と戻り側配管接続口としての副ノズル22,24,26,28とが4個ずつ設けられているが、これらは1〜3個ずつ、又は5個以上ずつ設けられてもよい。
ボディー部2の上下方向の高さは10〜30mmであることが好ましく、該ボディー部2の側面2c,2eの横方向の幅は5〜24mm特に9〜12mmであることが好ましく、該ボディー部2の側面2d,2fの横方向の幅は30〜258mm特に35〜150mmであることが好ましい。
ヘッダー1を平面視した状態(ボディー部2の上面21a側又は下面21b側から見た状態)において、第1の主ノズルと第2の主ノズル12との間隔は15〜100mm特に18〜20mmであることが好ましく、第1〜第8の副ノズル21〜28同士の間隔は0〜20mm特に6〜18mmであることが好ましい。
第1の主ノズル11及び第1、第3、第5、第7の副ノズル21,23,25,27は、各々の軸心が側面2c,2eの上下方向の中間から上方へ5〜15mm特に9〜12mmに配置されていることが好ましい。また、第2の主ノズル12及び第2、第4、第6、第8の副ノズル22,24,26,28は、各々の軸心が側面2c,2eの上下方向の中間から下方へ5〜15mm特に9〜12mmに配置されていることが好ましい。第1の主ノズル11と第1、第3、第5、第7の副ノズル21,23,25,27とは、各々の軸心が略同高さに配置されていることが好ましい。また、第2の主ノズル12と第2、第4、第6、第8の副ノズル22,24,26,28とも、各々の軸心が略同高さに配置されていることが好ましい。
このように構成されたヘッダー1にあっては、全ての副ノズル21〜28がボディー部2の同一の側面2eから同一方向に突設されている。そのため、これらの副ノズル21〜28に接続された往き側副配管と戻り側副配管とを温調マットの基板の配管配設用の各溝内に引き回すに際しては、これらの副ノズル21〜28が基板側面の各溝の両端とそれぞれ対面するようにヘッダー1を設置し、これらの副ノズル21〜28に接続された各副配管同士の間隔が配管ピッチと同等となるように各副配管同士の間隔を広げたり狭めたりして各副配管を各溝内に引き回せばよい。これにより、配管ピッチが比較的狭い場合でも、各副配管を比較的緩やかに(即ち各副配管の最小曲げ半径以上の曲げ半径にて)湾曲させて各副ノズル21〜28から各溝内に引き回すことができる。
この実施の形態では、第1の主ノズル11と第1、第3、第5、第7の副ノズル21,23,25,27とがボディー部2の各側面2c,2eの上下方向の中間よりも上半側に配設され、第2の主ノズル12と第2、第4、第6、第8の副ノズル22,24,26,28とが各側面2c,2eの上下方向の中間よりも下半側に配設されている。そのため、該第1の主ノズル11と第1、第3、第5、第7の副ノズル21,23,25,27とを連通する第1の流路孔31と、第2の主ノズル12と第2、第4、第6、第8の副ノズル22,24,26,28とを連通する第2の流路孔32とをボディー部2に容易に形成することができる。また、流体循環系の往き側を構成する第1の主ノズル11及び第1、第3、第5、第7の副ノズル21,23,25,27と、戻り側を構成する第2の主ノズル12及び第2、第4、第6、第8の副ノズル22,24,26,28とを容易に区別することができる。
[エルボ付きヘッダーの説明]
この実施の形態では、第2図の通り、上記のヘッダー1の第1の主ノズル11に配管43を介して第1のエルボ41が接続され、第2の主ノズル12に配管44を介して第2のエルボ42が接続されることにより、エルボ付きヘッダーが構成されている。この第1のエルボ41が往き側エルボとなっており、第2のエルボ42が戻り側エルボとなっている。
この実施の形態では、第1のエルボ41及び第2のエルボ42は、それぞれ、略直方体形状のボディー部41a,42aと、該ボディー部41a,42aの直交する1対の側面のうちの一方の側面から突設された主配管接続ノズル41b,42bと、他方の側面から突設された配管接続ノズル41c,42cとを備えている。即ち、該主配管接続ノズル41b,42bと配管接続ノズル41c,42cとは、ボディー部41a,42aから互いに略直交方向に突出したものとなっている。
該主配管接続ノズル41b,42b及び配管接続ノズル41c,42cは、各々の軸心線方向に貫通する内孔(符号略)を備えている。配管接続ノズル41c,42cの外周面は、それぞれ、樹脂製の温水用配管が外嵌状に差し込まれるように筍状となっている。ボディー部41a,42a内には、それぞれ、主配管接続ノズル41b,42bの内孔と配管接続ノズル41c,42cの内孔とを連通する流路孔(図示略)が設けられている。
第2図の通り、ヘッダー1の第1の主ノズル11に配管43の一端側が接続され、この配管43の他端側が第1のエルボ41の配管接続ノズル41cに接続されると共に、第2の主ノズル12に配管44の一端側が接続され、この配管44の他端側が第2のエルボ42の配管接続ノズル42cに接続されている。各配管接続ノズル41c,42cは、それぞれ、配管43,44に対し回転可能に挿入されている。これにより、第1のエルボ41及び第2のエルボ42は、それぞれ、第5〜7図の通り主配管接続ノズル41b,42bがボディー部41a,42aから下方に突出した姿勢と、第8,9図の通り主配管接続ノズル41b,42bがボディー部41a,42aから側方に突出した姿勢とをとりうるようになっている。
なお、エルボ付きヘッダーの搬送時には、第8,9図の通り主配管接続ノズル41b,42bをボディー部41a,42aから側方に突出した姿勢とすることにより、このエルボ付きヘッダーを平たくすることができるので、搬送効率の向上を図ることが可能であると共に、搬送時のエルボ41,42等の破損も防止される。第5〜7図の通り主配管接続ノズル41b,42bをボディー部41a,42aから下方に突出した姿勢としてエルボ付きヘッダーを設置する必要がある場合には、施工時にエルボ41,42を回転させて主配管接続ノズル41b,42bを下向きにすればよい。
第1のエルボ41の主配管接続ノズル41bには、ボイラ(熱源器)等の流体源(図示略)に連なる往き側主配管(図示略)が接続され、第2のエルボ42の主配管接続ノズル42bには、該流体源に連なる戻り側主配管(図示略)が接続される。
[ヘッダーアッセンブリの説明]
上記のエルボ付きヘッダーを第3,4図のトレー部材50に収容することにより、第5〜9図のヘッダーアッセンブリが構成される。
このトレー部材50は、第3,4図の通り、底面部50aと、該底面部50aの周縁部から立設された側壁部50b,50c,50d,50eとを有した上開容器状となっている。このトレー部材50内は、一半側がヘッダー収容部51となっており、他半側がエルボ収容部52となっている。エルボ付きヘッダーは、ヘッダー1がこのヘッダー収容部51内に収容され、これに連なる配管43,44及び各エルボ41,42がエルボ収容部52内に収容されている。側壁部50b,50c,50d,50eの上端外周には、外向きの鍔部53が周設されている。鍔部53には、このトレー部材50を床や壁面等に固定するためのビス等の留付具が挿通される複数個の挿通孔53aが設けられている。
トレー部材50の底面部50aの上面から鍔部53の下面までの高さは、ヘッダー1のボディー部2の高さ+0.5〜+5mm特に+1〜+2mmであることが好ましい。鍔部53の厚さは、このヘッダーアッセンブリが組み込まれる温調マットの基板の厚さと同等程度であることが好ましい。具体的には、鍔部53の厚さは、該基板の厚さ+0〜−2mm特に+0〜−1mmであることが好ましい。
トレー部材50の底面部50aの上面のレベルは、鍔部53の下面よりも下位となっている。
エルボ収容部52に収容された各エルボ41,42の下方の底面部50aには、各エルボ41,42の主配管接続ノズル41b,42bがそれぞれ挿通される1対のノズル挿通部54a,54bが設けられている。また、各エルボ41,42の側方の側壁部50c,50eにも、それぞれ、各エルボ41,42の主配管接続ノズル41b,42bがそれぞれ挿通される1対のノズル挿通部54c,54dが設けられている。
該ノズル挿通部54a,54bは、それぞれ、底面部50aを上下方向に貫通してトレー部材50の下方に開放している。なお、第6,9図の通り、この実施の形態では、各ノズル挿通部54a,54bはそれぞれ円形の開口よりなるが、各ノズル挿通部54a,54bの形状はこれに限定されない。
ノズル挿通部54c,54dは、それぞれ、側壁部50c,50eを貫通してトレー部材50の側方に開放している。この実施の形態では、各ノズル挿通部54c,54dは、それぞれ、側壁部50c,50eの上端縁と、これに連なる鍔部53をその基端側から先端側まで切り欠くようにして形成されている。これにより、該側壁部50c,50eはそれぞれ上方にも開放したものとなっており、第8,9図の通り横向きにした各エルボ41,42の主配管接続ノズル41b,42bをノズル挿通部54c,54d内に上方から収容することができるようになっている。
ヘッダー収容部51内に収容されたヘッダー1の各副ノズル21〜28の延長方向の側壁部(即ちヘッダー収容部51のエルボ収容部52と反対側の側壁部)50bには、各副ノズル21〜28に接続された副配管がそれぞれ挿通される第1〜第8の副配管挿通部55a〜55hが設けられている。第6,9図の通り、第1〜第8の副配管挿通部55a〜55h同士の間隔は、ヘッダー1を平面視した状態における第1〜第8の副ノズル21〜28同士の間隔と略同等となっており、ヘッダー収容部51内において、第1〜第8の副ノズル21〜28はそれぞれ第1〜第8の副配管挿通部55a〜55hに対面している。各副配管挿通部55a〜55hの幅は、各副ノズル21〜28に接続される副配管の外径と同等かそれよりも若干大きなものとなっている。
これらの副配管挿通部55a〜55hは、それぞれ、側壁部50bを貫通してトレー部材50の外方に開放している。この実施の形態では、該副配管挿通部55a〜55hは、それぞれ、側壁部50bの上端縁と、これに連なる鍔部53をその基端側から先端側まで切り欠くようにして形成されている。これにより、該副配管挿通部55a〜55hはそれぞれ上方にも開放したものとなっており、各副ノズル21〜28に接続された副配管をそれぞれ各副配管挿通部55a〜55h内に上方から収容することができるようになっている。
なお、このエルボ付きヘッダーを収容したトレー部材50の上面に、ヘッダー収容部51及びエルボ収容部52を覆う蓋(図示略)が取り付けられてもよい。この場合、鍔部53の上面に、ヘッダー収容部51及びエルボ収容部52に臨む低段部(図示略)を形成しておき、この低段部に蓋の周縁部を係合させることにより、トレー部材50に取り付けられた蓋の上面が鍔部53の上面と同レベルか又はそれよりも低位となるように構成することが好ましい。
このトレー部材50の材質としては、床上荷重に十分に耐えうる強度を有するものであれば特に制限はないが、成形性やコストの面からPP、ABS、PPS等の合成樹脂が好適である。
このように構成されたトレー部材50を備えたヘッダーアッセンブリにあっては、該トレー部材50のエルボ収容部52内の各エルボ41,42の下側の底面部50aと、これらの側方の側壁部50c,50eとに、それぞれ、各エルボ41,42の主配管接続ノズル41b,42bを挿通するためのノズル挿通部54a〜54dが設けられている。そのため、この底面部50aのノズル挿通部54a,54bを介して各主配管接続ノズル41b,42bをトレー部材50の下方に延出させた状態(以下、この状態にて使用することを第1の使用形態という。)としたり、側壁部50c,50eのノズル挿通部54c,54dを介して各主配管接続ノズル41b,42bをトレー部材50の側方に延出させた状態(以下、この状態にて使用することを第2の使用形態という。)とすることができる。
この第1の使用形態とした場合には、流体源に連なる往き側主配管及び戻り側主配管を、床下地の下側を引き回して各主配管接続ノズル41b,42bに接続することができる。また、第2の使用形態とした場合には、往き側主配管及び戻り側主配管を、床下地の上側を引き回して各主配管接続ノズル41b,42bに接続することができる。
また、このトレー部材50にあっては、ヘッダー収容部51内のヘッダー1の各副ノズル21〜28の延長方向の側壁部50bに、これらの副ノズル21〜28とそれぞれ対向するように第1〜第8の副配管挿通部55a〜55hが設けられている。そのため、各副ノズル21〜28に接続された副配管を、それぞれ、過度に湾曲させることなく、スムーズに各副配管挿通部55a〜55hを介してトレー部材50の外側に引き出すことができる。
このトレー部材50の外周部には外向きの鍔部53が設けられているので、トレー部材50を設置する場合には、この鍔部53を床や壁、天井等の設置面に沿わせて固定することができる。なお、この実施の形態によると、ヘッダーボディ内の水路径を従来よりも大きくすることができ、圧力損失を小さく出来る効果も得られる。例えば、従来のヘッダーが厚み11mm、ボディ内水路径3.5mm程度であるのに対し、この実施の形態のヘッダーにあっては、厚み18mm、ボディ内水路径6mmとすることができる。
[温調マットの説明]
以下、第10,11図の温調マット60について説明する。なお、この実施の形態では、温調マット60は床暖房マットとして用いられているが、温調マット60の用途はこれに限定されない。
第10,11図の温調マット60は、複数枚の略長方形の基板61と、複数本の小根太62とが、各々の長手方向を平行方向として交互に配列され、各基板61の上面に形成された配管配設用の溝63(第11図)内に、副配管としての流体循環用配管(以下、配管と略す。)64が引き回された構成となっている。基板61の上面には、配管64を収容した溝63を塞ぐように均熱シート(図示略)が貼り付けられている。この均熱シートは、各基板61及び各小根太62の上面に連続して貼り付けられている。
この実施の形態では、各小根太62の一端側又は他端側あるいは長手方向の途中部に、隣り合う基板61,61同士を連結する連結スペース(符号略)が形成されており、溝63は、この連結スペースを通って隣り合う一方の基板61から他方の基板61に連続したものとなっている。この実施の形態では、各基板61の上面にそれぞれ4条の溝63の往路側と復路側とが延設されている。即ち、各基板61の上面には、それぞれ溝63が8列形成されている。これらの溝63は、各連結スペース及びその近傍部以外では、各基板61の短手方向に所定の間隔をあけて配列され、各基板61の長手方向と略平行方向に延在している。この溝63,63同士の間隔(軸心間距離)は20〜80mm特に22.5〜45mmであることが好ましい。この溝63,63同士の間隔が各基板61における配管ピッチとなる。なお、各基板61に形成される溝63の数はこれに限定されるものではなく、1〜7列又は9列以上の溝63が各基板61に形成されてもよい。
この実施の形態では、第10図の通り、温調マット60の隣り合う1対の辺縁同士(この実施の形態では、第10図における温調マット60の左辺と下辺)が交わるコーナー部にヘッダー設置用スペース65が形成されている。このヘッダー設置用スペース65に前述のヘッダーアッセンブリが設置されている。この実施の形態では、該ヘッダー設置用スペース65は、この温調マット60のコーナー部に臨む基板61の長手方向の一端側を所定長さだけカットした如き形状となっている。このヘッダー設置用スペース65に臨む基板61の端辺は、小根太62の延在方向と略直交方向となっている。なお、ヘッダー設置用スペース65の配置及び形状はこれに限定されない。
第11図の通り、このヘッダー設置用スペース65に臨む基板61の端辺に、各溝63の往路側及び復路側の両端が連なっている。第11図の通り、各溝63,63同士の間隔は、この基板61の端辺に近づくほど前述の配管ピッチから徐々に狭くなり、この基板61の端辺においては、各溝63の端部同士の間隔は、トレー部材50の副配管挿通部55a〜55h同士の間隔と略同等となっている。各溝63の端部からこのヘッダー設置用スペース65内に各配管64の往き側及び戻り側の両端側がそれぞれ引き出されている。
この実施の形態では、温調マット60は、建物の室の床下地上に敷設され、配管64にボイラ(図示略)からの温水が循環されることにより暖房を行う床暖房マットである。以下に、この温調マット60の施工方法について説明する。
この実施の形態では、床下地のうち、温調マット60を敷設したときにヘッダー設置用スペース65に露出する領域に、ヘッダーアッセンブリ設置用の開口(図示略)が形成され、この開口にヘッダーアッセンブリのトレー部材50が設置される。第11図の通り、トレー部材50は、このヘッダー設置用スペース65に臨む各溝63の端部に副配管挿通部55a〜55hがそれぞれ対向するように設置される。この際、トレー部材50のうちヘッダー収容部51とエルボ収容部52とがこの開口の内側に嵌め込まれ、鍔部53がこの開口の周囲の床下地の上面に重ね合わされ、各留付具挿通孔53aを介してビス等の留付具(図示略)が床下地に打ち込まれることにより、トレー部材50が床下地に固定される。
この実施の形態では、前記ボイラに連なる往き側主配管及び戻り側主配管(いずれも図示略)は、床下地の下側スペースを引き回されている。そのため、エルボ付きヘッダーは、各エルボ41,42の主配管接続ノズル41b,42bをそれぞれ下向きにしてトレー部材50の底面部50aの各ノズル挿通部54a,54bから該トレー部材50の下方(即ち床下地の下側スペース)に延出させた第1の使用形態にて、該トレー部材50内に収容される。床下地の下側スペースにおいて、第1のエルボ41の主配管接続ノズル41bに往き側主配管が接続され、第2のエルボ42の主配管接続ノズル42bに戻り側主配管が接続される。
なお、各主配管の配置はこれに限定されるものではなく、各主配管は床下地の上側を引き回されてもよい。この場合、エルボ付きヘッダーは、各エルボ41,42の主配管接続ノズル41b,42bをそれぞれ横向きにしてトレー部材50の側壁部50c,50eの各ノズル挿通部54c,54dから該トレー部材50の側方に延出させた第2の使用形態にて、該トレー部材50内に収容される。この場合、床下地の上側において、第1のエルボ41の主配管接続ノズル41bに往き側主配管が接続され、第2のエルボ42の主配管接続ノズル42bに戻り側主配管が接続される。
トレー部材50及び温調マット60を床下地上に設置した後、各溝63からヘッダー設置用スペース65内に引き出された各配管64の両端側をそれぞれヘッダー1の各副ノズル21〜28に接続する。この際、各配管64の一端側を往き側副配管接続口としての第1、第3、第5、第7の副ノズル21,23,25,27にそれぞれ接続し、他端側を戻り側副配管接続口としての第2、第4、第6、第8の副ノズル22,24,26,28にそれぞれ接続する。その後、各配管64を、各々が接続された各副ノズル21〜28と対向する副配管挿通部55a〜55hに挿通する。
その後、必要に応じ温調マット60の周囲にダミー材(図示略)を配設し、これらの温調マット60及びダミー材の上に床仕上げ材(図示略)を敷設する。これにより、温調マット60の施工が完了する。
この温調マット60にあっては、ヘッダー設置用スペース65に臨む基板61の端辺に各溝63の両端が臨んでおり、これらに副配管挿通部55a〜55hをそれぞれ対面させてヘッダーアッセンブリのトレー部材50が配置されているので、各副ノズル21〜28に接続された各配管64を各副配管挿通部55a〜55hからスムーズに基板61の各溝63に引き回すことができる。
この実施の形態では、床下地にヘッダーアッセンブリ設置用の開口を設け、トレー部材50をこの開口に嵌め込むようにして設置し、エルボ付きヘッダーを該トレー部材50内に収容している。このトレー部材50の底面部50aの上面のレベルは、床下地の上面よりも下位となる。そのため、仮にヘッダー1のボディー部2の高さが温調マット60の基板61の厚さよりも大きい場合でも、該ヘッダー1を基板61の上面から突出させることなく設置することができる。
なお、この実施の形態では、温調マット60を床暖房マットに適用して用いているが、本発明の温調マットは、壁や天井等に配置されてもよい。また、温水ではなく、冷水を配管に通水して冷房するようにしてもよい。水以外のオイル、不凍液等の熱媒体を流通させてもよい。
[エルボ付きヘッダーのその他の構成]
第12図は別の実施の形態に係るヘッダーアッセンブリにおけるエルボ付きヘッダーの斜視図である。
上記の実施の形態では、第1のエルボ41及び第2のエルボ42はそれぞれ配管43,44を介してヘッダー1の第1の主ノズル11及び第2の主ノズル12に接続されているが、この実施の形態では、ヘッダー1の第1の主ノズル11及び第2の主ノズル12にそれぞれ直接的に第1のエルボ41及び第2のエルボ42が接続されている。
この実施の形態では、第1のエルボ41及び第2のエルボ42のボディー部41a,42aにそれぞれ主ノズル挿入孔(図示略)が設けられており、これらの主ノズル挿入孔にそれぞれOリング等のシール部材を介して主ノズル11,12が回転可能に挿入されている。即ち、この実施の形態でも、各エルボ41,42を各主ノズル11,12の軸心回りに回転させることが可能であり、このエルボ付きヘッダーは、各エルボ41,42の主配管接続ノズル41b,42bを下向きにした第1の使用形態と、各エルボ41,42の主配管接続ノズル41b,42bを横向きにした第2の使用形態とをとりうるようになっている。
この実施の形態のその他の構成は、上記の実施の形態と同様であり、第12図において第1〜11図と同一符号は同一部分を示している。
この実施の形態にあっては、ヘッダー1の第1の主ノズル11及び第2の主ノズル12に直接的に第1のエルボ41及び第2のエルボ42が接続されているので、これらを配管43,44を介して接続した上記の実施の形態に比べてエルボ付きヘッダーをコンパクトに構成することができる。また、これにより、このエルボ付きヘッダーを収容するヘッダーアッセンブリのトレー部材50も小型のものとすることができる。
このエルボ付きヘッダーのその他の作用効果は、前述の実施の形態におけるエルボ付きヘッダーと同様である。
上記の各実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態とされてもよい。