JP5481801B2 - 燃料電池システム、燃料電池システムに用いるプログラム、及び情報記録媒体。 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載されている燃料電池システムは、電極に析出したカーボンを除去するために、空気極と燃料極の間で電位印加を行う構成のものである。
一方、特許文献2に記載された燃料電池システムでは、酸化剤ガスの消耗によって、燃料利用率が悪く、また、酸化剤ガスの混入により電極が酸化しやすいという問題がある。
本発明においては、上記炭素析出検知センサによって検知した炭素析出量と判別基準情報に基づいて、当該炭素析出量に所定量の増加があるか否かを判別する炭素析出判別手段と、この炭素析出判別手段により、当該炭素析出量に所定量の増加があると判別したときには、上記流量調整部を介し、一方のガスの流量のみを燃料電池の出力の減少に対応した流量となるように低減させるガス流量調整手段とを有している。
本発明においては、上記炭素析出検知センサによって検知した炭素析出量と判別基準情報に基づいて、当該炭素析出量に所定量の増加があるか否かを判別する機能と、当該炭素析出量に所定量の増加があると判別したときには、上記流量調整部を介し、一方のガスの流量のみを燃料電池の出力の減少に対応した流量となるように低減させる機能を、燃料電池システムを統制するコンピュータに実現することを特徴としている。
なお、図3において、縦軸は電圧(V)、横軸は時間(t)をそれぞれ示している。
本実施形態における二種類のガスは、一方のガスが炭化水素燃料、他方のガスが空気である。
「プログラムを記憶若しくは記録している」ことには、所定の形式でデータ圧縮された状態で記録されているもの、自己解凍形式にして記録されているもの、実行可能にして記録されているものの等の他、当該プログラムのソースコードを記録していることも含む。
また、「情報記録媒体」としては、上記したハードディスク等に限るものではなく、フロッピィーディスク,コンパクトディスク,ディジタルビデオディスク,光磁気ディスク,可搬型ハードディスク,可搬型メモリ等のものが含まれる。すなわち、記録形式も磁気的なものに限らず、情報記録媒体の記録構造に合わせたものを含む。
判別基準情報は、定常運転モードにおける電圧の変化量ΔV(1)、予め設定した出力電圧の所要の変化量、本実施形態においては、析出カーボン処理モードに切り替えるための出力電圧の減少量ΔV(2)、析出カーボン処理モードにおける出力電圧の変化量ΔV(3)、定常運転モードに切り替える基準となる予め設定した出力電圧の所要の減少量ΔV(4)等を含んでいる。
この機能を「炭素析出判別手段30a」という。
本実施形態においては、上記燃料電池Bの出力電圧を検知する電圧計から出力された出力電圧の増減を判別している。
すなわち、空気の流入量を変えることなく、一方のガス(炭化水素燃料)の流量のみを増減調整する。
「流量を低減」させることには、一方のガス(炭化水素燃料)の流量を零にすること、換言すると、止めてしまうことの他、定常運転モード時よりも少ない所定の流量を流し続けることをも含む。
この場合、燃料電池の出力の減少に対応した流量となるように、一方のガスを低減するようにしてもよい。
本実施形態における「定常運転モード」とは、通常の発電を行うように炭化水素燃料(一方のガス)と空気(他方のガス)とを流通させている状態をいう。なお、図4には定常運転時と記載している。
また、「析出カーボン処理モード」とは、炭化水素燃料の燃料電池Bへの流入量を低減させ、かつ、空気を定常運転モード時と同様に流通させることにより、発電を継続して行っている状態をいう。
(a)CxHy → xC+yH (炭化水素燃料の熱分解反応)
(b)H2+O2− →H2O+2e
(c)C+O2−→CO2+2e
(d)CxHy+H2O→CO+H2
(e)CO+O2− →CO2+2e
この析出カーボンを完全に除去するために、炭化水素燃料の供給を停止又は低減し、かつ、空気を流通させ続ける。このようにして電流の取り出し、すなわち発電を継続すれば、酸素イオンが析出カーボンと電気化学酸化反応が起こりやすくなり、析出カーボンの除去ができるのである。
そして、析出カーボンを除去した後、通常運転モードに復帰させて、発電を継続するのである。
また、炭化水素をプレ改質するために加える水量を減らすことができ、水管理を容易に行うことができる。
図5は、第二の実施形態に係る燃料電池システムの全体構成を示すブロック図、図6(A)は定常運転モードから析出カーボン処理モードに切り替えるための判断基準情報の説明図、(B)は析出カーボン処理モードから定常運転モードに切り替えるための判断基準情報の説明図である。なお、上述した実施形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態において示す炭素析出検知センサ40は、燃料電池Bの出力として出力電流を検知する電流計である。
判別基準情報は、定常運転モードにおける電流値の変化量ΔI(1)、予め設定した出力電流の所要の変化量、具体的には、出力電流の減少量ΔI(2)、析出カーボン処理モードにおける出力電流値の変化量ΔI(3)、定常運転モードに切り替える基準となる予め設定した出力電流の所要の減少量ΔI(4)等である。
以上の構成によれば、第一の実施形態に係る燃料電池システムA1と同様の効果を得ることができる。
経過時間計測部45は時間カウンタであり、一方のガスの流通開始からの経過時間を計測する機能を有しており、計測された経過時間情報は、コントローラユニットCに出力されるようになっている。
コントローラユニットCの記憶部31には、図10に示すように、流量調整部20を開状態にしておく開時間t1と、その流量調整部20を閉状態にしておく閉時間t2とが記憶されている。
このような経過時間判別手段30cを用いた場合、ガス流量調整手段30bは、経過時間判別手段30cにより、上記開時間t1が経過したと判別したときには、上記流量調整部20を介し、出力の変化に応じて一方のガスの流量のみを低減する。
図11は、定常運転モードと析出カーボン処理モードとを切り替える処理を示すフローチャートである。
また、図14(A)は定常運転モードから析出カーボン処理モードに切り替えるための判断基準情報の説明図、(B)は析出カーボン処理モードから定常運転モードに切り替えるための判断基準情報の説明図である。図15は、再起動時、定常運転モード、及び析出カーボン処理モードにおける炭化水素燃料の供給状態を示す説明図である。
なお、上述した実施形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
判別基準情報は、再起動時における電圧値の変化量ΔV(1)、出力電圧の減少量ΔV(2)、通常発電時における出力電圧値の変化量ΔV(3)、析出カーボン処理モードに切り替える基準となる予め設定した出力電圧の所要の減少量ΔV(4)等を含んでいる。
・発電停止後に再起動されたか否かを判別する機能。この機能を「再起動判別手段30d」という。
再起動されたか否かは、燃料電池Bの温度や発電を停止してからの経過時間、若しくはそれらの組み合わせ等に基づくものであり、上記した記憶部31に予め記憶されている。
すなわち、図15に(イ)示すように、一方のガスを燃料電池Bに送給しない状態での発電を行うのである。
ステップS2:他方のガス(空気)を送給したまま、一方のガス(炭化水素燃料)の送給を停止してステップS3に進む。これにより、電極に析出したカーボンを除去することができる。図15においては(イ)で示している。
この温度調整機構50は、コントローラユニットCから送出される加熱開始信号の受信によって加熱を開始し、また、加熱停止信号の受信によって加熱を停止することができるようになっている。
本実施形態においては、上記燃料電池Bの出力電圧を検知する電圧計から出力された出力電圧の増減を判別している。
ステップS6:温度調整機構50により、燃料電池Bの加熱を停止して、ステップS1に戻る。
上述したように、上記の温度調整機構50を設けることにより、析出カーボン処理モードでの発電を行っているときに、発電量が少ないために熱自立が困難になることを防止することができる。
なお、上述した実施形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
流出側組成測定器60は、流出路13を流通する排出ガス(炭化水素燃料)の組成を測定するものであり、上記と同様のガスクロマトグラフィである。
この場合、ガス流量調整手段30bは、カーボンバランス算出手段30gで算出したカーボン量の比に基づき、上記流量調整部20を介し、一方のガスの流量のみを増減調整する。
ステップS2:燃料電池Bに流入する炭化水素燃料(一方のガス)の炭素析出量が所定値以上か否かを判定し、炭素析出量が所定値以上であると判定されればステップS4に進む。
なお、上述した実施形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態においては、コントローラユニットCが、燃料電池システムを統制するコンピュータである。
また、図示しない記憶部には、上記所要のブログラムの他、上記図6(A),(B)に示すものと同様の判別基準情報を記憶している。
本実施形態においても、各燃料電池において、空気の流入量を変えることなく、一方のガス(炭化水素燃料)の流量のみを増減調整している。
この場合、出力電流が減少した燃料電池B1(B2)の発電量を補うように、他の燃料電池B2(B1)の発電量を増加させるとよい。
・第七の実施形態において、二つの燃料電池を設けた構成のものを例として説明しているが、三つ以上の燃料電池を設けた構成のものに適用できることは勿論である。
・上述した各実施形態においては、コントローラユニットCに各機能手段を発揮させた例について説明したが、各機能を複数のコントローラユニットCに分散して発揮させてもよい。
20,20A,20B 流量調整部
30a 炭素析出判別手段
30b ガス流量調整手段
30c 経過時間判別手段
30d 再起動判別手段
30e 加熱開始手段
30f 加熱停止手段
31 情報記録媒体(記憶部)
55 流入側組成測定器
60 流出側組成測定器
45 経過時間計測部
50 温度調整機構
A1〜A7 燃料電池システム
B,B1,B2 燃料電池
Claims (11)
- 固体電解質型セルの燃料極と空気極とに、二種類のガスをそれぞれ流接させることによる発電を行う燃料電池と、それら二種類のガスのうち、燃料極に流接する一方のガスの流通量を増減調整するための流量調整部と、上記燃料極の炭素析出を検知する炭素析出検知センサと、通常の発電を行うように一方のガスと他方のガスとを流通させる定常運転モードから、一方のガスの燃料電池への流入量を低減させ、かつ、他方のガスを定常運転モード時と同様に流通させる析出カーボン処理モードに切り替えるための判別基準情報を記憶した記憶部とを有する燃料電池システムであって、
上記炭素析出検知センサによって検知した炭素析出量と判別基準情報に基づいて、当該炭素析出量に所定量の増加があるか否かを判別する炭素析出判別手段と、
この炭素析出判別手段により、当該炭素析出量に所定量の増加があると判別したときには、上記流量調整部を介し、一方のガスの流量のみを燃料電池の出力の減少に対応した流量となるように低減させるガス流量調整手段とを有することを特徴とする燃料電池システム。 - 炭素析出検知センサは、燃料電池の出力として出力電圧を検知する電圧計であるとともに、記憶部には、定常運転モードにおける電圧値の変化量、予め設定した出力電圧の減少量を判別基準情報として記憶されており、
炭素析出判別手段が、判別基準情報に基づいて、上記電圧計によって検知した燃料電池の出力電圧の増減を判別する出力判別手段であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 炭素析出検知センサは、燃料電池の出力として出力電流を検知する電流計であるとともに、記憶部には、定常運転モードにおける電流値の変化量、予め設定した出力電流の減少量を判別基準情報として記憶されており、
炭素析出判別手段が、判別基準情報に基づいて、上記電流計によって検知した燃料電池の出力電流の増減量を判別する出力判別手段であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 一方のガスが炭化水素燃料であり、
炭素析出検知センサに替えて、燃料電池に流入する炭化水素燃料の組成を測定する流入側組成測定器と、その燃料電池から流出する炭化水素燃料の組成を測定する流出側組成測定器とを配設しているとともに、
炭素析出判別手段は、燃料電池に流出入する炭化水素燃料の組成の相違に基づき、当該炭素析出量に所定量の増加があるか否かを判別することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 固体電解質型セルの燃料極と空気極とに、二種類のガスをそれぞれ流接させることによる発電を行う燃料電池、それら二種類のガスのうち、燃料極に流接する一方のガスの流通量を増減調整するための流量調整部、一方のガスの流通開始からの経過時間を計測する経過時間計測部、及び通常の発電を行うように一方のガスと他方のガスとを流通させる定常運転モードから、一方のガスの燃料電池への流入量を低減させ、かつ、他方のガスを定常運転モード時と同様に流通させる析出カーボン処理モードに切り替えるための判別基準情報を記憶した記憶部を設けた燃料電池システムであって、
上記記憶部には、流量調整部を開状態にしておく開時間と、その流量調整部を閉状態にしておく閉時間とを判別基準情報として記憶されており、
上記経過時間計測部によって所定の経過時間として上記開時間が経過したか否かを判別する経過時間判別手段と、
この経過時間判別手段により、上記開時間が経過したと判別したときには、上記記憶部に記憶されている閉時間だけ上記流量調整部を介し、一方のガスの流量のみを燃料電池の出力の減少に対応した流量となるように低減させるガス流量調整手段を設けたことを特徴とする燃料電池システム。 - 発電停止後に再起動されたか否かを判別する再起動判別手段を有しており、
上記再起動判別手段により、再起動したと判別されたときには、
ガス流量調整手段は、流量調整部を介して一方のガスの流量のみを停止することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 燃料電池を複数有しているとともに、それら各燃料電池に燃料極の炭素析出を検知する炭素析出検知センサと、上記炭素析出検知センサによって検知した炭素析出量の増減を判別する炭素析出判別手段とを設けておき、
上記炭素析出判別手段によって、上記各燃料電池のいずれかの炭素析出量に所定の増加があると判別したときには、
ガス流量調整手段により、当該燃料電池に配設した流量調整部を介し、一方のガスの流量を低減し、かつ、他の燃料電池に配設した流量調整部を介して、当該他の燃料電池に流入する一方のガスの流量を増加させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 発電停止後に再起動されたか否かを判別する再起動判別手段と、燃料電池の温度を調整するための温度調整機構とを設けているとともに、
再起動判別手段により、再起動したと判別されたときに、温度調整機構を介して燃料電池の加熱を開始する加熱開始手段を有することを特徴とする請求項7に記載の燃料電池システム。 - 炭素析出判別手段により、炭素析出量が減少したと判別したときには、温度調整機構による燃料電池の加熱を停止する加熱停止手段を有することを特徴とする請求項8に記載の燃料電池システム。
- 炭素析出検知センサによって検知した炭素析出量と判別基準情報に基づいて、当該炭素析出量に所定量の減少があるか否かを判別する炭素析出判別手段と、
この炭素析出判別手段により、当該炭素析出量に所定量の減少があると判別したときには、上記流量調整部を、一方のガスの流量を増加させるように開駆動して、一方のガスの流量を、定常運転モードにおける流量に戻すガス流量調整手段とを有していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 固体電解質型セルの燃料極と空気極とに、二種類のガスをそれぞれ流接させることによる発電を行う燃料電池と、それら二種類のガスのうち、燃料極に流接する一方のガスの流通量を増減調整するための流量調整部と、上記燃料極の炭素析出を検知する炭素析出検知センサと、通常の発電を行うように一方のガスと他方のガスとを流通させる定常運転モードから、一方のガスの燃料電池への流入量を低減させ、かつ、他方のガスを定常運転モード時と同様に流通させる析出カーボン処理モードに切り替えるための判別基準情報を記憶した記憶部とを有する燃料電池システムに用いるプログラムであって、
上記炭素析出検知センサによって検知した炭素析出量と判別基準情報に基づいて、当該炭素析出量に所定量の増加があるか否かを判別する機能と、
当該炭素析出量に所定量の増加があると判別したときには、上記流量調整部を介し、一方のガスの流量のみを燃料電池の出力の減少に対応した流量となるように低減させる機能とを、燃料電池システムを統制するコンピュータに実現することを特徴とする燃料電池システムに用いるプログラム。
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