JP5480974B2 - 疲労強度の高い接合部品の接合方法 - Google Patents

疲労強度の高い接合部品の接合方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属製要素部品に係り、疲労強度の高い接合部品の接合方法に関する。
一般的な溶接方法において、溶接部などに熱が加えられると、多くの物体は膨張しようとする。このように、熱は物体を変形させる外力と同じような働きをする。ここで、物体が一様に加熱されるときには、物体は自由に膨張しその変形は等方的である。しかし、溶接のように接合する部分のみが局部的に加熱されるような場合には、その膨張が周囲の材料によって妨げられ、このため物体内に熱応力が生じこれが残留応力をもたらす原因となる。
通常、鋼溶接部では溶接部近傍のみが加熱・冷却されるが、それによって生じる膨張・収縮の熱変形が周りの母材によって拘束され、鋼材は温度とともに降伏応力は小さくなり、加熱途中で材料に圧縮の塑性変形が生じることになる。
この圧縮の塑性歪により、冷却された後では溶接部のみ(棒モデル)長さが短くなるが、溶接部と母材は接合されているため、周りの母材に引っ張られる結果、鋼溶接部近傍には引張りの残留応力が生じることになる。
特許文献1には高圧用油圧配管及びその接合方法について、抵抗溶接を用いた接合方法が記載されており、また特許文献2には、軸部材と板部材との溶接構造について、プロジェクション溶接を用いたことが記載されている。
図11は、一般的な溶融接合の場合の残留応力分布図を示したものである。この溶融接合では、接合部を中心として広範囲に引張残留応力の分布が見られる。このような接合部における引張りの残留応力は、その程度にもよるが疲労強度を低下させるという大きな弱点を有する。
さらに溶接部はブローホールなどの内質欠陥、切欠きなどの形状的欠陥など様々な欠陥が存在することもあり、重要な溶接部品にはX線透過試験、超音波探傷試験などの品質試験が不可欠である。
このような状況から、重要な製品には大きな安全係数を考慮して、製品設計をするとか、溶接部を含まない設計をする必要があった。いずれにしても、機械製品、自動車部品などの製造においてはこれらに含まれる溶接部は製品設計だけでなく、製造部門の品質保証においても非常に大きな注意が払われているのが現状である。
また、従来、焼入れは金属材料を高温度に加熱し、水中または油中で急冷するものである。鋼の場合、鋼をオースティナイト組織の状態に加熱した後に急冷することによって、マルテンサイト組織の状態に変化させ、きわめてかたい状態にするものである。
鋼の焼入れでマルテンサイト組織が得られるためには、一定以上の炭素当量を有し、臨界冷却速度以上で冷却することが必要である。
鋼製品の疲労強度を高める方法としては、浸炭焼入れ、高周波焼入れ、軟窒化法などのように表面にマルテンサイト変態を起こして表面に圧縮残留応力を発生させる熱処理などの方法が良く知られている。しかしながら、このような熱処理は溶接部品には使用することができない。これは溶接部には溶接欠陥が含まれることがあるため、溶接部の表面を硬化させることは溶接部の信頼性をさらに低下させる恐れがあるためである。このため、溶接部を含む部品を浸炭処理するような場合には、溶接部が浸炭されないように防炭処理をしてから浸炭処理をするのが一般的である。
ここで、本件出願人は、先に特許文献3において、圧入接合方法を開示した。これは電極などの冶具を用い、圧入接合により板体(孔部が穿設)に軸体を固相接合するものである。
特開平7−1150号公報 特開平8−174234号公報 特開2004−114146
しかしながら、上記一般的な溶接方法では、上記図11に示すように、溶接部に相当する部材が一定の温度まで加熱し冷却されるときには、加熱過程で圧縮の応力と塑性歪が生じ、冷却過程で引張応力へと変わり最終的に引張残留応力が生じることになる。
このため、溶接部に相当する部材が一定の温度まで加熱し冷却されるときには、加熱過程で圧縮の応力と塑性歪が生じ、冷却過程で引張応力へと変わって、最終的に引張残留応力が生じることになる。このため、溶接接合部品は一体品と比べて疲労強度が低下することになる。
また、上記従来の焼入れにおいては、材料を高温度に加熱し、これを水中或いは油中で急冷する必要があり、またこれらの工程を構成するためには、炉などの加熱装置が必要となりまた高温時の温度の管理、また冷却時の温度の管理が必要となり、多くの手間を要するといった問題がある。
また、所謂通常の熱処理法では、鋼材内質部を焼入れ硬化するのは技術的に困難であるといった問題がある。
高周波焼入れにおける冷却方法は、一般的に水をかけて急速冷却する。この高周波焼入れは、高周波電流の表皮効果を利用するため、特定の位置を正確にかつ安価に焼入れできるという特徴があるが、炭素量0.25%以上の鋼材を使用する部品に限定されるという制約もある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、接合部の信頼性が高く、優れた疲労強度を有し経済性にも優れた接合部品の接合方法を提供することを目的とする。
以上の技術的課題を解決するため、本発明に係る疲労強度の高い接合部品の接合方法は、図1,2等に示すように、孔部22が垂直方向に形成された第一の部材20と、一定の断面の挿入部分を有する第二の部材24とを接合する接合方法であって、上記第一の部材の孔部に対する上記第二の部材の挿入部分に圧入代を設け、内部に冷却回路34が形成された受け電極4、及びこの受け電極の上方に移動可能に配置された加圧電極8を用い、上記第一の部材及び第二の部材の一方又は両方にマルテンサイト変態を生じる鋼材を用い、上記冷却回路に冷却水を給水し、上記受け電極の上面部に上記第一の部材を載置する一方、上記加圧電極に上記第二の部材を保持させ、加圧力を伴って上記加圧電極を降下し、上記第二の部材を上記第一の部材の孔部に係合させるとともに、電源から上記受け電極と加圧電極に通電を開始し、上記両部材間の接合部を通電による抵抗熱により急速加熱して軟化させ、上記加圧電極の加圧力により上記第二の部材の挿入部分を上記第一の部材の孔部に侵入させ、上記第二の部材と上記孔部の内壁面部とを固相拡散接合とし、上記接合終了後は、上記受け電極により上記両部材を熱伝導により急速冷却し、上記急速冷却により、上記接合部に焼入れを行なうとともに圧縮残留応力を発生させる構成である。
ここで、上記固相拡散接合とは、固相状態の拡散接合を表す。
また、上記軟化による圧入の進行は、電気抵抗の急激な低下による電気抵抗発熱の急激な減少により自動的に停止する。そして、この圧入の停止後、通電を遮断する。この場合、圧入の停止後は直ちに通電を遮断することが望ましい。これにより、電極による冷却が迅速に行えて、接合部の十分な焼入れ効果が得られ、必要な圧縮残留応力が得られまた接合強度も優れたものが得られる。
本発明に係る疲労強度の高い接合部品の接合方法は、上記第一の部材20及び第二の部材24の一方又は両方に、炭素当量が0.15%以上の鋼材(合金鋼を含む)を用いた構成である。
本発明に係る疲労強度の高い接合部品の接合方法は、上記第一の部材20及び第二の部材24の一方又は両方に、浸炭処理をした鋼材、又は軟窒化処理をした鋼材を用いた構成である。
本発明に係る疲労強度の高い接合部品の接合方法は、図5等に示すように、孔部22が垂直方向に形成された第一の部材20と、一定の断面の挿入部分を有する第二の部材24とを接合する接合方法であって、上記第一の部材の孔部に対する上記第二の部材の挿入部分に圧入代を設け、内部に冷却回路が形成された受け電極4、及びこの受け電極の上方に移動可能に配置された加圧電極8を用い、上記第一の部材及び第二の部材の両方に鋼材を用い、上記冷却回路に冷却水を給水し、上記受け電極の上面部の一部に環状に膨出形成された放熱電極部36の上面接触部37に、上記第一の部材の孔部を上記放熱電極部の穴部に合わせて載置する一方、上記加圧電極に上記第二の部材を保持させ、加圧力を伴って上記加圧電極を降下させ、上記第二の部材を上記第一の部材の孔部に係合させるとともに、電源から上記受け電極と加圧電極に通電を開始し、上記両部材間の接合部を通電による抵抗熱により急速加熱して軟化させ、上記加圧電極の加圧力により上記第二の部材の挿入部分を上記第一の部材の孔部に侵入させ、上記第二の部材と上記孔部の内壁面部とを固相拡散接合とし、上記接合終了後は、上記放熱電極部に接する上記接合部を熱伝導により急速冷却し、上記接合部の急速冷却により、この接合部に圧縮残留応力を発生させる構成である。
本発明に係る疲労強度の高い接合部品の接合方法は、上記放熱電極部36の上面接触部37の接触幅を3mm以上とした構成である。
本発明に係る疲労強度の高い接合部品の接合方法は、上記上面接触部37の接触幅を、上記第一の部材20の孔部22に侵入する上記第二の部材24の挿入部分の圧入深さの5倍以下とした構成である。
本発明に係る疲労強度の高い接合部品の接合方法によれば、第一の部材及び第二の部材の一方又は両方にマルテンサイト変態を生じる鋼材を用い、内部に冷却回路が形成された受け電極、及び加圧電極を用い、第一の部材と第二の部材とを固相拡散接合とし、接合終了後は、受け電極により両部材を熱伝導により急速冷却し、接合部に焼入れを行なう構成を採用したから、第一の部材と第二の部材との接合部に圧縮残留応力が発生し、疲労強度の高い接合部品が得られ、加えて接合部の信頼性も高く、また迅速かつ効率的に接合部品が得られることから経済性にも優れるという効果を奏する。
本発明に係る疲労強度の高い接合部品の接合方法によれば、第一の部材及び第二の部材の両方に鋼材を用い、内部に冷却回路が形成された受け電極、及び加圧電極を用い、受け電極の上面部の一部に環状に膨出形成された放熱電極部の上面接触部に、第一の部材を載置する一方、加圧電極に第二の部材を保持させ、第一の部材と第二の部材とを固相拡散接合とし、放熱電極部に接する接合部を熱伝導により急速冷却する構成を採用したから、第一の部材と第二の部材との接合部に圧縮残留応力が発生し、疲労強度の高い接合部品が得られ、さらに殆んどマルテンサイト組織を生じない鋼材を用いた場合であっても圧縮残留応力が発生するという優れた効果が得られ、加えて接合部の信頼性も高く、また迅速かつ効率的に接合部品が得られることから経済性にも優れるという効果がある。
本発明の第一の実施の形態に係り、接合装置における電極機構の冷却系統図である。 第一の実施の形態に係り、ワークを電極に保持させた状態を示す図である。 第一の実施の形態に係り、接合状態を示す図である。 第一の実施の形態に係り、接合部の残留応力の測定結果を示す図(a)(b)(c)である(測定には、株式会社リガク製の微少部X線応力測定装置を使用)。 接合部品の接合部に焼戻し処理を行った場合と、焼戻し処理を行わなかった場合との接合部の残留応力の測定結果を示す図である。 第二の実施の形態に係り、接合装置における電極機構の冷却系統図である。 第二の実施の形態に係る受け電極を示す図である。 第二の実施の形態に係り、ワークを電極に保持させた状態を示す図である。 第二の実施の形態に係り、接合状態を示す図である。 第二の実施の形態に係り、接合部の残留応力の測定結果を示す図である。(測定には、株式会社リガク製の微少部X線応力測定装置を使用)。 一般的な溶融接合部の残留応力分布図(溶接線方向の残留応力の大きさと引張り残留応力の広がりの支配因子)である。
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
先ず、第一の実施の形態に係る接合方法について説明する。
図1は、実施の形態に係り、疲労強度の高い接合部品の接合方法を行うための接合装置の電極機構の冷却系統図を示したものである。
この電極機構は、受け電極4、この受け電極4を保持する下部プラテン6、加圧電極8、この加圧電極8を保持する上部プラテン10、電源供給用の電源トランス12(TR)、及び電極に対して電源の供給遮断等の制御を行うサイリスタ14(SCR)等を有している。また、上記接合装置は他に、位置決め機構及び加圧機構(図示せず)などを有している。
図2に示すように、上記接合装置により接合される接合部品は、金属製要素部品からなるものであり、孔部22が設けられた板体20、及びこの板体の孔部22に接合される軸体24からなる。
上記受け電極4及び加圧電極8は、何れもクローム銅製であり、また上記下部プラテン6及び上部プラテン10は何れも真鍮製である。
上記受け電極4は、円柱形状で、上面部30の中央には所定の深さの円形の穴部32(或いは貫通孔部)が形成されている。この穴部32は、ワークとして上記軸体24を上記板体20に圧入接合したときに、板体20の孔部22の周辺が圧入方向に変形するのでこの逃げを形成するために設けたものである。
上記穴部32の穴の大きさ(D:直径)は、軸体24よりも少し大きく形成する。これは、軸体24が受け電極4の穴部32に接触しないようにするためである。また、穴部32の穴の大きさ(D:直径)は、上記板体20の孔部22の内径より少し大きめとするのが望ましい。
また上記受け電極4の内部には、冷却水が通過する冷却回路34が形成されている。この冷却回路34は、受け電極4を上から見た場合に、上記穴部32を囲む状態でコの字状に形成され、また受け電極4の上下間の上部寄りの位置に水平状に形成されている。
上記下部プラテン6は、上面部に受け電極4を載置し保持する保持部40、及びこの保持部40から延設される導通部42を有している。この導通部42は、電源トランス12の出力端子と電気的に接続されている。また、保持部40の下面部は接合装置の支持部に載置固定されている。
そして、この下部プラテン6の内部には、冷却水が通過する冷却回路44が形成されている。この冷却回路44は、導通部42から保持部40に至り、この保持部40をコの字状に廻って導通部42に戻る形状に形成されている。この下部プラテン6は、受け電極4の冷却にも寄与する。
上記加圧電極8は、円柱形状であり、下面部の中央には所定の深さの円形の保持穴部46が形成されている。
また、加圧電極8の内部には、冷却水が通過する冷却回路48が形成されている。この冷却回路48は、加圧電極8を上から見た場合に、上記保持穴部46を囲む状態でコの字状に形成され、また加圧電極8の上下間の中央部に水平状に形成されている。
この加圧電極8の保持穴部46は、ワークとしての上記軸体24を保持する。加圧電極の形態は他にも、軸体を挟持する2個或は多数の電極片に分割された保持電極部、及び軸体を加圧する加圧電極部からなる形態などがある。
上記上部プラテン10は、下面部に加圧電極8を取り付ける加圧保持部50、及びこの加圧保持部50から延設される導通部52を有している。この導通部52は、電源トランス12の出力端子と電気的に接続されている。
また上部プラテン10の内部には、冷却水が通過する冷却回路54が形成されている。この冷却回路54は、導通部52から加圧保持部50に至り、この加圧保持部50をコの字状に廻って導通部52に戻る形状に形成されている。この上部プラテン10は、加圧電極8の冷却にも寄与する。
また、加圧保持部50の上面部は、接合装置のプレス機構(油圧式など)のアクチュエータ部に固定されており、このアクチュエータ部は制御部からの指示で加圧保持部50を上下に移動させ、一定の加圧力を伴って降下移動する。
さて、上記各冷却回路は、一方の端部が冷却水の流入口、他方の端部は冷却水の流出口となっている。各冷却回路は、直列に連結され、給水装置から給水バルブ56を通過した冷却水は、順に加圧電極8の冷却回路48、上部プラテン10の冷却回路54、受け電極4の冷却回路34、及び下部プラテン6の冷却回路44を通過して各部を冷却し、排水バルブ58を通過して排水される。また、電源トランス12及びサイリスタ14についても、上記冷却水が内部に形成された冷却回路を通過して各部を冷却する。
上記受け電極4及び加圧電極8を冷却することで、ワーク(板体20及び軸体24)を冷却し併せて電極自体の過熱を防止している。また、下部プラテン6及び上部プラテン10を冷却することで、それぞれ受け電極4及び加圧電極8の冷却を促進させ、また各プラテン自体の過熱を防止している。
上記通電に用いる電源は、直流、交流、或いは大容量のコンデンサーを利用した直流電流等を用いることができる。また、制御部(図示せず)からの制御により、上記プレス機構の加圧力の加減調整、電源トランス12からの受け電極4及び加圧電極8に対する通電の開始停止制御(サイリスタ14による)、及び冷却回路の冷却水の流量の調節及び開閉制御等を行うことができる。
上記板体20は所定の厚さを有し、この板体20に設けられた孔部22は断面の直径が一定の円形であり、板体20の板面から垂直方向に孔部22の内壁面部が形成されている。
ここでは板体20の板厚を3.2mmとし、孔部22の内径を11.7mmとしている。
この板体20の板厚は、1mm以上が適当であり、また板厚の上限は孔部22の内径(軸体24の太さ)或いは電源トランス12の容量などに依存する。
上記軸体24は断面が一定の円柱状(又は円筒状)であり、平坦な上面部及び下面部を有している。また、軸体24の下面部の周囲は角部が切除されて面取部26が形成されている。
ここでは軸体24は、外径が12.0mmである。この軸体24の外径は、板体20の板厚の2倍以上が適当である。
上記軸体24の挿入部分25の外径(直径)は、板体20の孔部22の内径より僅かに大きく、圧入代はこれらの差となる。この圧入代により、軸体24の挿入部分25の外周部位が、板体20の孔部22の内壁面部と接して擦られて接合界面を形成し、全周に及ぶ圧入接合が行われる。
また、板体20の孔部22の上縁部、及び軸体24の下面部の縁部の何れか或いは両方に面取り加工を施している。
圧入の条件として所定の圧入代(d)と、圧入深さ(h)を設定する。この圧入代(d)は直径に対するものであり、ここでd=軸体24の外径(D2)−板体20の孔部22の内径(D1)となる。また、圧入深さ(h)はh=軸体24の挿入部分の圧入(侵入)の深さとなる。
この実施の形態では、圧入代(d)は、0.3mm(12.0−11.7mm)としている。圧入代は、圧入が可能な範囲であれば良い。圧入代の範囲は0.1mm〜0.7mmが実用的であるが、0.1mm〜0.5mmの範囲であればバリも少なくて良好である。
また、圧入深さ(又は板体の板厚)は1mm〜6mmの範囲が実用的で良好であり、また孔部22の内径(略軸体24の外径)は4mm〜50mmの範囲が電源の容量等からして好ましい。
他に、ワークとして、上記板体20に替えて、孔部22が垂直方向に穿設された部材(直方体等種々の形状)を用いることができる。また、上記軸体24として他に挿入部分が、多角柱状、円柱の側面を切除(断面半円等)した柱状、或いは周囲が歯形状(断面)の軸材などを用いることができる。軸体は平坦な上面部及び下面部を有しているのが好ましいが、軸体の下面部は、板体の接合予定部の面形状に合わせた曲面形状をしていても良く、上面部も通電ができる形状であれば、平面以外の形状でも良い。
また上記軸体24(挿入部分)は、上記孔部22とは断面を相似形状とした場合には全周が接合される形態となるが、相似形状としない軸体を採用することも可能である。何れにしても、孔部22と軸体24との間(全周或いは一部)に上記圧入代は必要である。
ここで、この実施の形態に関する社内試験により、上記板体20及び軸体24について、その材料を下記に示す種々の炭素当量の鋼材を用い、また材料の一部に鋼材を浸炭した浸炭材等を用いた試験を行なったので、それらの結果を比較検討する。
この試験では、上記板体20及び軸体24として以下の炭素当量の鋼材、及び浸炭材を用いた。
第一の材料として、板体及び軸体ともに、炭素当量0.06%、炭素当量0.20%、及び炭素当量0.35%の三種類の材料を用いた。
第二の材料として、板体20に炭素当量0.06%の材料、軸体24に炭素当量0.35%の材料を用いた。
第三の材料として、板体20に炭素当量0.06%の材料、軸体24に浸炭材の材料を用いた。
なお、ここでの接合方法は、上記何れの材料を用いた場合であっても同じである。
ここで、上記接合方法に係る工程を説明する。
接合工程に際しては、予め接合装置(制御部)に対して、接合条件を設定する。この接合条件として、加圧力、加圧時間、電流値、通電時間、及び電流の通電パターンなどがある。
この実施の形態では、上記加圧力を4000Nとしている。この加圧力は、通電前に加圧したとき圧入が生じない加圧力を最大とし、また通電開始直後に短絡による火花放電を起さない加圧力を最小とする。このため、最適な加圧力は上記最大の加圧力の60%〜90%が適切である。
また、上記通電電流を17kA、また通電時間は0.25秒としている。この通電時間は、接合条件などにより最適値が決められる。通電時間は、通常1秒以内に設定されるが、これは0.1秒〜0.5秒の範囲が最適である。また、通電電流は5kA以上が望ましい。
また、接合工程の開始前に、制御部からの指示に基づき給水バルブ56及び排水バルブ58を開いて給水装置から各冷却回路に送る冷却水の給水を開始する。この冷却水の流通により、上記加圧電極8、上部プラテン10、受け電極4、及び下部プラテン6が各冷却回路により冷却される。
そして、図2に示すように、ワーククランプの工程として、各電極に、それぞれ板体20と軸体24を保持させる。受け電極4に対しては、その上面部30に板体20を載置する。このとき、受け電極4の穴部32の中心に、板体20の孔部22の中心が位置するように位置決めをして配置する。この際、板体20が所定の位置に収まるよう、位置決め部材などを用いてもよい。
また、加圧電極8には軸体24を保持させる。この軸体24を、加圧電極8の保持穴部46に差し込み物理的に狭持保持させる。このように、保持穴部46で軸体24を狭持することで、軸体24自体の電気抵抗の影響を軽減する。
次に、プレス機構による加圧の工程に移る。このプレス機構による加圧力は常に一定している。上記プレス機構により、軸体24は、加圧電極8に保持された状態で上部プラテン10により所定の位置決め位置に移動させる。そして、プレス機構は上部プラテン10を押圧し、加圧電極8に保持された軸体24を加圧力とともに降下させ、やがて軸体24は板体20の孔部22と係合する。
このように、軸体24を板体20の孔部22の上部に係合させ、1秒程度のタイムラグをとって両者を合致させる。この際、軸体24の面取部26により軸体24と板体20の孔部22とが正確に合致する。
またプレス機構により、軸体24は板体20の孔部22に対して一定の加圧力を伴った状態が維持される。
そして、制御部からの指示により、サイリスタ14が作動(電源供給)し上部プラテン10及び下部プラテン6を介して加圧電極8と受け電極4間に通電が開始される。
これにより、図3に示すように、軸体24と板体20の孔部22との接合部23に大容量の電流が流れ、電気抵抗熱の発生とともに接合部23が軟化し軸体24の圧入が開始され、軸体24の挿入部25が板体20の孔部22内を降下移動する。
この場合、軸体24が板体20の孔部22に圧入され、このとき両部材の接合界面にしごきの作用が生じ圧入接合が行われる。これは、上記接合界面には板体20と軸体24との各壁面同士の間が滑り方向の移動によりしごかれ、これにより表面の不純物質層が削られて表面が清浄化され、この清浄な組織に固相状態の拡散接合(固相拡散接合)が行われる。
上記接合方法では、上述したように一定の加圧力による圧入接合が行われ、瞬時に接合部が発熱され短時間で軸体24の先端部は板体20の孔部22に圧入され接合を完了する。
上記通電の開始から所定時間経過後、制御部からの指示により通電が停止される。この通電開始から通電の停止までの通電時間は、上記板体の孔部に対する軸体の圧入接合が完了するまでの時間より少し長く(但し、0.2秒以内が好ましい)設定される。ここでは、上記通電時間を0.25秒としている。
またこの場合、圧入(一定の加圧力)の進行によって生じる接合部23の急激な増加と、それに伴う接合部23の電気抵抗の急激な低下による電気抵抗発熱の急激な減少により、接合部23の軟化現象も同時に止まり、自動的に圧入の進行が停止する。この圧入(進行)の開始から停止までは通常0.5秒以内である。
この後、制御部からの指示により、加圧電極8と受け電極4間の通電を停止する。この場合、圧入の停止後は直ちに通電を遮断することが望ましい。これにより、電極による冷却が迅速に行えて、接合部の十分な焼入れ効果が得られ、必要な圧縮残留応力が得られまた接合強度も優れたものが得られる。
上記圧入直後は、ワークとして板体20の孔部22と軸体24との接合部23の温度は高くなっている。一方、上記受け電極4は冷却回路34により常時冷却されている。このため受け電極4により、ワーク及び板体と軸体との接合部23は急速冷却される。
また、これと併せて、冷却された加圧電極8により軸体24を介した接合部23の冷却も行われる。さらには、下部プラテン6の冷却により受け電極4が冷却され、また上部プラテン110により加圧電極8が冷却され効果的な冷却が行われる。
上記通電の停止後、ワークの冷却期間としては0.5秒〜2秒確保する。この冷却により、接合部23に焼入れが行われる。なお、この焼入れ深さは0.2mm以上(接断面写真で確認)に形成されている。
このように上記接合方法では、極めて短時間で、局部的な電気抵抗発熱と水冷電極による通電というプロセスを採用していることから、加熱される部分は接合部23近傍の極めて狭い範囲となり、冷却時にはこの接合部23に近接する部分は接合時の熱が伝熱されていないため、冷却媒体として接合部23の冷却に寄与する。このため、水冷却された受け電極4等による冷却(熱伝導)と、接合部23の近傍の材料(常温)を介した冷却作用(熱伝導)とによる二重の冷却効果により冷却が行われることになる。
上記ワークの接合部23は大電流を短時間流して軟化接合に至るまでに急速加熱し、一方通電停止後は、上記冷却回路により冷却された電極で急冷するため、後述するように炭素当量0.15%以上の鋼材の場合、接合部23における接合界面近傍にマルテンサイト変態を生じる。
上記接合後は、加圧機構による加圧を除荷し、さらにワーク(板体と軸体との接合部品)を各電極から取り外す。
なお、上記接合方法の場合、上記接合部付近に一般の溶融接合のような組織の明確な変化が生じないため、接合部の範囲を明確に特定することができない。このため上記接合部については、その範囲を残留応力の分布の変化が見られる範囲等から判断して次のように扱う。
この接合部の範囲として、マルテンサイト変態を生ずる材料の場合は、接合界面を中心として、マルテンサイト変態が残存する部分までの範囲とする。また、マルテンサイト変態を生じない材料の場合、接合による硬度の分布は接合界面(略最高)から遠ざかるに従って次第に低下することから、接合部の範囲は、平均的な硬さ即ち接合境界を中心として最高の硬度の1/2の硬度の部分までの範囲とする。
この実施の形態に係り、図4は、ワークとして上記各材料を用いた接合部品(板体に軸体を接合)に関し、接合部の残留応力を測定した結果を示したものである。
ここで、図4(a)は上記第一の材料を用いた接合部品、図4(b)は上記第二の材料を用いた接合部品、図4(c)は上記第三の材料を用いた接合部品に関する。
また、図4は、接合部の残留応力分布を示したものであり、横軸は接合位置(mm)を示すものであり、0.0が接合の中心位置を示し、この右側が軸体24を、左側が板体20を示す。また、縦軸は残留応力(MPa)を示すものであり中心位置を0としてプラス側は引張りの残留応力(引張残留応力)の発生を、マイナス側は圧縮の残留応力(圧縮残留応力)の発生をそれぞれ示す。
まず、図4(a)の第一の材料を用いた接合部品の測定結果によれば、ワークとして板体及び軸体の炭素当量が0.06%の場合は、接合部23に発生する残留応力は、接合部の一部(0位置からプラス0.3mm及びマイナス0.3mm)については、残留応力が少し引張残留応力(プラス側)となっている。
一方、ワークの炭素当量が0.20%の場合は、接合部23近傍に発生する残留応力は圧縮残留応力側(マイナス側)に分布している。また、炭素当量が0.35%の場合には、接合部23近傍に発生する残留応力は大きく圧縮残留応力側(マイナス側)に分布している。
これから、上記ワークの炭素当量が0.20%以上あれば、鋼材(接合部23)にマルテンサイト変態が生じこれにより十分な圧縮残留応力が得られたものと考えられる。また、炭素当量が0.06%の場合には引張残留応力が発生していることからすれば、炭素当量が0.15%程度以上であれば、鋼材(接合部23)にマルテンサイト変態が生じることが推測され、接合部23の近傍には圧縮残留応力が発生すると考えられる。
上記圧縮残留応力を有する部材は、疲労強度が高いことは広く知られている。
この実施の形態において、上記炭素当量0.15%以上の鋼材を用い、またここでは極めて短い短時間加熱と、極めて狭い範囲の局部的な電気抵抗加熱を採用していることから、加熱される部分は接合部近傍の極めて狭い範囲となり、冷却時にはこの接合部に近接する部分の冷却の効果と水冷電極の冷却という二重の冷却効果を有するプロセスを採用しているため、高周波焼入れと同等以上の焼入れの効果が得られている。
次に、図4(b)の第二の材料を用いた接合部品の測定結果によれば、接合部23近傍に発生する残留応力は圧縮残留応力側(マイナス側)に分布している。このため、板体20の炭素当量が0.06%であっても、軸体24の炭素当量が0.35%であれば、この軸体24の炭素当量の特性(図4(a)の炭素当量0.35%)に引かれるように、接合部23近傍に発生する残留応力は圧縮残留応力側に変化している。
これからすれば、板体或いは軸体のどちらか一方の炭素当量が0.15%程度以上であれば、接合部23の近傍には圧縮残留応力が発生すると考えられる。
また、図4(c)の第三の材料を用いた接合部品の測定結果によれば、接合部23近傍に発生する残留応力は圧縮残留応力側(マイナス側)に分布している。このため、板体20の炭素当量が0.06%であっても、軸体24に浸炭材を用いた場合には、接合部23近傍に発生する残留応力は圧縮残留応力側に分布している。
これからすれば、板体或いは軸体のどちらか一方に浸炭材を用いた場合には、接合部23の近傍には圧縮残留応力が発生すると考えられる。
上記社内試験により、出願人らは、種々の接合材料を用いて上記接合方法により得られた接合部品の残留応力を測定したところ、高炭素当量の鋼材を使用したものほど接合部に高い圧縮残留応力を有しているという結果が得られた。これは、一般的な溶接による接合部における残留応力(引張り残留応力)の結果(上記背景技術で説明)とは全く異なる(逆の)結果であり、この実施の形態に係る接合方法の特徴的な作用効果である。
引張残留応力の発生を防ぎ、疲労強度の高い接合部品を創るためには、接合部に生じる引張残留応力を小さくするか、或いは圧縮残留応力を生じさせることが必要である。
このための手段として、体積が膨張するマルテンサイト変態を利用することを出願人らは思いつき、上記接合方法を開発したものである。この接合方法によれば、通電による板体と軸体との接合部の急速な加熱、及び水冷却された電極による急速な冷却により、接合界面及び接合部近傍にマルテンサイト変態を生じさせたものである。
このように、鋼材の表面ではなく、接合部という鋼材部品の内部に圧縮残留応力を発生させることが、この接合方法の特徴である。この圧縮残留応力により、板体と軸体との接合部品の疲労強度が高くなる。
上記鋼材にマルテンサイト変態を生じるとこの部分が膨張するため、接合の局部的高温加熱によって生じる接合部の収縮による引張残留応力を打ち消す働きを生じる。上記試験により、接合部に、圧縮残留応力を発生させる量のマルテンサイト変態を起こす炭素鋼材の炭素当量の効果が確認できた。
また、炭素当量が異なる材料の接合の場合でも、いずれかの側にマルテンサイト変態を生ずる材料を使用すれば、同じように接合部には圧縮残留応力が発生すること、また浸炭焼入れ材、後述する軟窒化処理などのように、材料表面に硬化層を生じ、圧縮残留応力を生じる表面改質処理を施した素材を使用した場合も、同様に圧縮残留応力を発生させることが確認できた。
次に、この実施の形態に係る接合方法を用いた接合部品の疲労強度の確認試験(社内試験)について説明する。
ここで、接合条件として、板体20は板厚3.2mm×幅25mm×長さ100mmのものを用い、軸体24は外径12mm×長さ50mmのものを用いた。また、圧入代は0.3mmとした(板体20の孔部22の内径は11.7mm)。
疲労試験として、試験モードは片振り捩り試験を、試験条件は、捩り破壊トルクの1/3を負荷し、1000万回まで連続試験で破壊するかどうかを判定した。試験速度として、12回/秒の片振りトルクを負荷させた。
接合部品(板体と軸体の接合)の材料(鋼材)は以下の通りである。
第一の接合部品は、板体に炭素当量0.06%の鋼材、軸体に炭素当量0.35%の鋼材を用いた(この炭素当量は上記第二の材料と同じ)。
第二の接合部品は、板体に炭素当量0.06%の鋼材、軸体に浸炭材の鋼材を用いた(この炭素当量などは上記第三の材料と同じ)。
第三の接合部品は、板体は炭素当量0.06%の鋼材、軸体は軟窒化材の鋼材を用いた。
また、比較の為、MIG溶接(アーク溶接)を行ない、この溶接部品は上記第一の接合部品と同じ鋼材を用いた。
この試験結果は以下の通りである。なお、試験は同じトルク値で行った。
第一の接合部品では、1000万回で破断なしであった。
また、疲労強度を確認するため、上記試験品を反転して、反対側から片振り捩り試験を追加で行ったところ、さらに627万回で破断した。また、接合部が亀裂の発生起点ではなく、亀裂は板体と軸体に同時に発生した。
第二の接合部品では、1000万回で破断なしであった。
第三の接合部品では、1000万回で破断なしであった。
MIG溶接による溶接部品では、331万回で溶接部を起点として破断した。
これら試験結果より、この実施の形態に係る接合方法によれば疲労強度が高いことが確認できた。これは、上記一般的なMIG溶接品の疲労強度との比較の上でも証明された。
これから、上記接合方法による接合部品は、接合部に圧縮残留応力が発生しこれにより疲労強度が高いことが確認できた。
また、上記第三の接合部品に関する軟窒化材の鋼材に関しても、上記試験結果からして十分な疲労強度が得られていることから、その接合部品に圧縮残留応力が生じていることは容易に推測できる。
ここで、上記接合方法による接合後、焼戻し処理(靭性の回復)を行った場合の残留応力への影響について説明する。図5は、上記接合後、接合部品の接合部に焼戻し処理を行った場合と焼戻し処理を行わなかった場合との各接合部の残留応力の分布を示したものである。尚ここでは、接合部品を構成する板体には炭素当量0.06%の鋼材を、また軸体には炭素当量0.20%の鋼材を使用した。
上記図5に示すように、接合後に焼戻し処理を行った場合には、焼戻し処理を行わない場合と比べて圧縮残留応力は多少低下し一部で引張応力の発生が見られるが、この引張応力は微弱でありまた圧縮残留応力も残存していることから、依然として高い疲労強度が得られることに変わりはない。
このように上記接合方法によれば、上記焼戻し処理を行った場合であってもなおも接合部に圧縮残留応力が残存しており、このような特性は一般の溶融接合(広範囲に引張応力発生)とは全く異なるものでありこの接合方法の特長である。
上記接合方法は、自動車、オートバイ、産業用機械などの要素部品等の製造に用いることができ、例えばトランスミッションのコントロールレバーコンポーネント、シフトレバーコンポーネント等、板体に軸体を接合した形態の部品、或いはエンジンの部品等の製造に好適である。
従って、第一の実施の形態に係る接合方法によれば、板体と軸体との接合部に圧縮残留応力が発生することから、疲労強度の高い接合部品が得られ、加えて接合部の信頼性も高く、また迅速かつ効率的に接合部品が得られることから経済性にも優れるという効果が得られた。
次に、第二の実施の形態に係る接合方法について説明する。
図6は、実施の形態に係り、疲労強度の高い接合部品の接合方法を行うための接合装置の電極機構の冷却系統図を示したものである。
ここで、この実施の形態に係る治具、部材などにおいて、上記第一の実施の形態に係る治具、部材と同じものは同一の符号を付してここでの詳細な説明は省略する。
この電極機構は、受け電極4、この受け電極4を保持する下部プラテン6、加圧電極8、この加圧電極8を保持する上部プラテン10、電源供給用の電源トランス12(TR)、及び電極に対して電源の供給遮断等の制御を行うサイリスタ14(SCR)等を有している。また、上記接合装置は他に、位置決め機構及び加圧機構(図示せず)などを有している。
上記接合装置により接合される接合部品は、金属製要素部品からなるものであり、孔部22が設けられた板体20、及びこの板体の孔部22に接合される軸体24からなる。
上記受け電極4及び加圧電極8は、何れもクローム銅製であり、また上記下部プラテン6及び上部プラテン10は何れも真鍮製である。
図7に示すように、上記受け電極4は全体が円柱形状で、上面部30の中央には放熱電極部36(中央に穴部38)が形成されている。また、受け電極4の内部には、冷却水が通過する冷却回路34が形成されている。この冷却回路34は、受け電極4を上から見た場合に、上記穴部38を囲む状態でコの字状に形成され、また受け電極4の上下間の上部寄りの位置に水平状に形成されている。
上記放熱電極部36は、受け電極4の上面部30の中央に環状(円環)に膨出形成され、また放熱電極部36の中央には断面円形の穴部38(或いは貫通孔部)が形成されている。この放熱電極部36の上面には、平坦な環状(円環)の上面接触部37が形成されている。また、上記穴部38は同一内径のまま下方に向けて延設されている。
上記穴部38は、ワークとして上記軸体24を上記板体20(孔部22)に圧入接合したときに、板体20の孔部22の周辺が圧入方向に変形するのでこの逃げを形成するために設けたものである。
図8に示すように、上記穴部38の穴の大きさ(D:直径)は、軸体24よりも少し大きく形成する。これは、軸体24が受け電極4の穴部38に接触しないようにするためである。
上記下部プラテン6は、上面部に受け電極4を載置し保持する保持部40、及びこの保持部40から延設される導通部42を有している。そして、この下部プラテン6の内部には、冷却水が通過する冷却回路44が形成されている。
上記加圧電極8は、円柱形状であり、下面部の中央には所定の深さの円形の保持穴部46が形成されている。また、加圧電極8の内部には、冷却水が通過する冷却回路48が形成されている。この加圧電極8の保持穴部46は、ワークとして上記軸体24を保持する。
上記上部プラテン10は、下面部に加圧電極8を取り付ける加圧保持部50、及びこの加圧保持部50から延設される導通部52を有している。この上部プラテン10の内部には、冷却水が通過する冷却回路54が形成されている。また、加圧保持部50の上面部は、接合装置の油圧式などのプレス機構のアクチュエータ部に固定されており、一定の加圧力を伴って降下移動する。
上記各冷却回路は、直列に連結され、給水装置から給水バルブ56を通過した冷却水は、順に加圧電極8の冷却回路48、上部プラテン10の冷却回路54、受け電極4の冷却回路34、及び下部プラテン6の冷却回路44を通過して各部を冷却し、排水バルブ58を通過して排水される。
上記通電に用いる電源は、直流、交流、或いは大容量のコンデンサーを利用した直流電流等を用いることができる。また、制御部(図示せず)からの制御により、上記加圧力の加減調整、電源トランス12からの受け電極4及び加圧電極8に対する通電の開始停止制御(サイリスタ14による)、及び冷却回路の冷却水の流量の調節及び開閉制御を行うことができる。
上記板体20は所定の厚さを有し、この板体20に設けられた孔部22は断面の直径が一定の円形であり、板体20の板面から垂直方向に孔部22の内壁面部が形成されている。
ここでは板体20の板厚を3.2mmとし、孔部22の内径を11.7mmとしている。この板体20の板厚は、1mm以上が適当であり、また板厚の上限は孔部22の内径(軸体24の太さ)などに依存する。
上記軸体24は断面が一定の円柱状であり、平坦な上面部及び下面部を有している。また、軸体24の下面部の周囲は角部が切除されて面取部26が形成されている。
ここでは軸体24は、外径が12.0mmである。この軸体24の外径は、板体20の板厚の2倍以上が適当である。また、この軸体24の外径の上限は、電源トランス12の容量などに依存する。
また、上記板体20及び軸体24の材料は、何れも炭素当量が0.06%の鋼材を用いた。なお、この炭素当量0.06%の鋼材では、殆んどマルテンサイト組織を生じない。
この軸体24の挿入部分25の外径は、板体20の孔部22の内径より僅かに大きく、圧入代はこれらの差となる。この圧入代により、軸体24の挿入部25の外周部位が、板体20の孔部22の内壁面部と接して擦られて接合界面を形成し、全周に及ぶ圧入接合が行われる。
また、板体20の孔部の上縁部、及び軸体24の下面部の縁部の何れか或いは両方に面取り加工を施している。他に、ワークとして、所定の形状の孔部が穿設された部材(直方体等種々の形状)に、断面が上記孔部と相似形状(又は否相似形状)の軸体を用いることができる。
圧入の条件として所定の圧入代(d)と、圧入深さ(h)を設定する。この圧入代(d)は直径に対するものであり、ここでd=軸体24の外径(D2)−板体20の孔部22の内径(D1)となる。また、圧入深さ(h)はh=軸体24の圧入の深さとなる。
この実施の形態では、圧入代(d)は、0.3mm(12.0−11.7mm)としている。圧入代は、圧入が可能な範囲であれば良い。圧入代の範囲は0.1mm〜1.0mmが実用的であるが、0.1mm〜0.5mmmの範囲であればバリも少なくて良好である。
その他、圧入深さ、孔部22の内径などの範囲、ワークとして板体20及び軸体24の他の形態については第一の実施の形態で説明したのと同様である。
さらに、この実施の形態においては、上記受け電極4を利用してワークとして板体20と軸体24との接合部23を集中的に冷却する構成を採用している。これは、受け電極4及び加圧電極8は電気を導通させ易く、また熱も伝導させ易いという特性を利用したものである。
上記接合部23の冷却は、最も温度が高くなった部分である接合部23と熱の影響を受ける部分との間に生じる温度勾配が小さくなるように接合部23を積極的に冷却することにより、引張残留応力を問題のない程度に軽減し、さらに圧縮残留応力を付加させることを意図したものである。
このように接合部23を積極的に冷却するため、ここでは上記放熱電極部36を利用して、板体20の孔部22周辺を電極の接合部近辺にのみ接触させ、その他の部分は接触させないか、或いは絶縁断熱物質で覆うようにする。
また、上記受け電極4の放熱電極部36における上面接触部37の接触幅(W)(環体の幅)については以下の条件を満たすことが好ましい。
図7に示すように、上記接触幅は、加圧力で電極が変形しない幅を有し、かつ接合部23のみが積極的に冷却されるように接触幅を適度に狭くする必要がある。出願人らは、接触幅の効果的なサイズを実験的に追求した結果、最低の接触幅(W)を3mmとし、最大の接触幅を圧入深さ(通常は板体20の板厚と同じ)の5倍以下とすることとした。
上記最低の接触幅を3mmとしたのは、電極としての強度を確保するためであり、また、最大の接触幅を接合厚さの5倍以下としたのは、この実施の形態に係る接合方法を採用したとき、最大の電気抵抗部は接合部であり、この部分より接触幅を大きくしないと、この接触部において抵抗熱による発熱を生じるからである。
この実施の形態においては、この接触幅(W)を10mmとしている。
ここで、上記接合方法に係る工程を説明する。
接合工程に際しては、予め接合装置(制御部)に対して、接合条件を設定する。この接合条件として、加圧力、加圧時間、電流値、通電時間、及び電流の通電パターンなどがある。
この実施の形態では、上記加圧力を4000Nとしている。
また、上記通電電流を17kA、また通電時間は0.25秒としている。この通電時間は、接合条件などにより最適値が決められる。通電時間は、1秒以内に設定されるが、これは0.1秒〜0.5秒の範囲が最適である。
また、接合工程の開始に伴い、制御装置からの指示に基づき給水バルブ56及び排水バルブ58を開いて給水装置から各冷却回路に送る冷却水の給水を開始する。冷却水の流通により、上記加圧電極8、上部プラテン10、受け電極4、及び下部プラテン6が各冷却回路により冷却される。
そして図8に示すように、ワーククランプの工程として、各電極に、それぞれ板体20と軸体24を保持させる。受け電極4に対しては、環状の放熱電極部36の上面接触部37に板体20を載置する。このとき、放熱電極部36の穴部38の中心に、板体20の孔部22の中心が位置するように位置決めをして配置する。この際、板体20が所定の位置に収まるよう、位置決め部材などを用いてもよい。
これにより、板体20の孔部22の中心は、受け電極4の放熱電極部36の中心と一致し、板体20の孔部22と放熱電極部36の穴部38とが重合した状態となり、板体20の孔部22の周辺部位が、受け電極4の上面接触部37と接する。
また、加圧電極8には軸体24を保持させる。この軸体24を、加圧電極8の保持穴部46に差し込み物理的に狭持保持させる。このように、保持穴部46で軸体24を狭持することで、軸体24自体の電気抵抗の影響を軽減する。
次に、プレス機構による加圧の工程に移る。このプレス機構による加圧力は常に一定している。上記プレス機構により、軸体24は、加圧電極8に保持された状態で上部プラテン10により所定の位置決め位置に移動させる。そして、プレス機構は上部プラテン10を押圧し、軸体24を加圧力とともに降下させ、やがて軸体24は板体20の孔部22と係合する。
このように、軸体24を板体20の孔部22の上部に係合させ、1秒程度のタイムラグをとって両者を合致させる。これにより、軸体24の面取部により軸体24と板体20の孔部22とが正確に合致する。
またプレス機構により、軸体24は板体20の孔部22に対して一定の加圧力を伴った状態が維持される。
そして、制御部からの指示により、加圧電極8と受け電極4間に通電が開始される。これにより図9に示すように、軸体24と板体20の孔部22との接合部23に大容量の電流が流れ、電気抵抗熱の発生とともに接合部23が軟化し軸体24の圧入が開始され、軸体24の挿入部25が板体20の孔部22内を降下移動する。
この場合、軸体24が板体20の孔部22に圧入され、このとき両部材の接合界面にしごきの作用が生じ圧入接合が行われる。このしごきにより表面の不純物質層が削られて表面が清浄化され、この清浄な組織に固相拡散接合が行われる。
上記接合方法では、上述したように一定の加圧力で圧入が行われ、瞬時に接合部が発熱され短時間で軸体24の先端部は板体20の孔部22に圧入され接合を完了する。
上記通電の開始から所定時間経過後、制御部からの指示により通電が停止される。この通電開始から通電の停止までの通電時間は、上記板体の孔部に対する軸体の圧入接合が完了するまでの時間より少し長く設定される。ここでは、上記通電時間を0.25秒としている。
またこの場合、圧入の進行による電気抵抗発熱の急激な減少により、接合部23の軟化現象も同時に止まり圧入の進行が停止する。この後、加圧電極8と受け電極4間の通電を停止する。
上記圧入直後は、ワークとして板体20の孔部22と軸体24との接合部23の温度は高くなっている。
一方、上記受け電極4は冷却回路34により常時冷却されている。このため、板体20が載置されている放熱電極部36も冷却されており、この放熱電極部36の上面接触部37に接する板体20の軸体24との接合部23が集中的に冷却される。
また、これと併せて、冷却された加圧電極8により軸体24を介した接合部23の冷却も行われる。さらには、下部プラテン6の冷却により受け電極4が冷却され、また上部プラテン110により加圧電極8が冷却され効果的な冷却が行われる。
この結果、上記接合部23近傍の温度分布は周辺部より低くなる。また、接合部23の冷却により接合部の母材の硬さが回復して強く接合する。
ここで、出願人らは上記第二の実施の形態に係る接合方法とは別に、上記第一の実施の形態と同様な(放熱電極部36が設けられていない)、表面が平坦な受け電極を用いた他の実施の形態に係る接合方法を実施した。これらの実施の形態は、何れも社内試験によるものである。
この第二の実施の形態に係る接合方法は図9に示される形態を用いるものであり、上記他の実施の形態に係る接合方法は図3に示される形態を用いるものである。
この他の実施の形態に係る接合方法は、受け電極4の形態が異なる点以外については、電極、上部下部プラテン、加圧電極、冷却回路、板体20、軸体24、その他、ワークの形状、接合条件等は全て同じである。
図10は、上記各接合方法を用いた接合部品(板体に軸体を接合)に関し、接合部23の残留応力を測定した結果を示したものである。図中、実線(a)は上記第二の実施の形態に係る接合方法による結果を、点線(b)は上記他の実施の形態に係る接合方法による結果を示す。
この図10は、接合部の残留応力分布に関し、横軸は接合位置(mm)を示すものであり、0.0が接合の中心位置を示し、この右側が軸体24側を、左側が板体20側を示す。また、縦軸は残留応力(MPa)を示すものであり中心位置を0としてプラス側は引張りの残留応力(引張残留応力)の発生を、マイナス側は圧縮の残留応力(圧縮残留応力)の発生をそれぞれ示す。
上記測定結果によれば、上記第二の実施の形態に係る接合方法(a)では、接合部23(横軸の位置が0の近傍)に発生する残留応力が圧縮残留応力側(マイナス側)に分布していることがわかる。
この第二の実施の形態に係る接合方法のように、接合部に圧縮の残留応力が発生する場合には、疲労強度が高いという優れた特性を有するものとなる。
一方、上記他の実施の形態に係る接合方法では、接合部23に発生する残留応力は、接合部の一部(0位置からプラス0.5mm及びマイナス0.5mm)については、残留応力が引張残留応力側(プラス側)に分布している。
この結果からすれば(同一のワークを用い同一の接合条件下において)、第二の実施の形態に係る受け電極4の放熱電極部36によるワークの接合部23の集中冷却による効果として、圧縮残留応力が発生することが確認された。
このため、ワークとして板体20及び軸体24に、殆んどマルテンサイト組織を生じない炭素当量が0.06%の鋼材を用いた場合であっても、上記接合部23を集中的に冷却することにより圧縮残留応力が発生するという格別の効果が得られることが確認できた。また、この結果はマルテンサイト組織を発生する材料でも同様の結果が得られることはいうまでもない。
上記引張残留応力の発生を防ぎ、疲労強度の高い接合部品を創るためには、接合部に生じる引張残留応力を可能な限り小さくするか、或いは圧縮残留応力を生じさせることが必要である。
このためには、溶接部と母材部で、両者をほぼ同一温度に保ちながら冷却するか、溶接部をいち早く常温に冷却する方法によって、引張残留応力の発生をできるだけ小さくするか、圧縮残留応力を発生させるようにする必要がある。
出願人らは、上記圧縮残留応力を発生させるための方法として、この接合方法の適用が有効であることを試験的に確認した。そして、特にワークの接合部を集中的に冷却することにより、残留圧縮応力が発生するという格別な効果を得ることに至った。
また、鋼材の表面ではなく、接合界面という鋼材の内部に圧縮残留応力が発生することが、この接合方法の特徴である。この圧縮残留応力により、板体と軸体との接合部品の疲労強度が高くなる。
なお、上記第一の実施の形態に係る第一から第三の材料を用いて、この第二の実施の形態に係る受け電極を利用した接合方法によれば、さらに圧縮残留応力が高く疲労強度の高い接合部品が得られることは容易に推測される。
この接合方法は、自動車、オートバイ、産業用機械などの要素部品等の製造に用いることができ、板体に軸体を接合した形態の部品、或いはエンジンの部品等の製造に好適である。
従って、第二の実施の形態によれば、板体と軸体との接合部に圧縮残留応力が発生することから、疲労強度の高い接合部品が得られ、加えて接合部の信頼性も高く、また迅速かつ効率的に接合部品が得られることから経済性にも優れるという効果が得られた。
なお、この実施の形態においても第一の実施の形態でも説明したように、接合部の靭性を回復させるため、接合後に焼戻し処理を行なうことが効果的である。
4 受け電極
8 加圧電極
20 第一の部材(板体)
22 孔部
23 接合部
24 第二の部材(軸体)
34 冷却回路
36 放熱電極部
37 上面接触部

Claims (6)

  1. 孔部が垂直方向に形成された第一の部材と、一定の断面の挿入部分を有する第二の部材とを接合する接合方法であって、
    上記第一の部材の孔部に対する上記第二の部材の挿入部分に圧入代を設け、
    内部に冷却回路が形成された受け電極、及びこの受け電極の上方に移動可能に配置された加圧電極を用い、
    上記第一の部材及び第二の部材の一方又は両方にマルテンサイト変態を生じる鋼材を用い、
    上記冷却回路に冷却水を給水し、
    上記受け電極の上面部に上記第一の部材を載置する一方、上記加圧電極に上記第二の部材を保持させ、
    加圧力を伴って上記加圧電極を降下し、上記第二の部材を上記第一の部材の孔部に係合させるとともに、
    電源から上記受け電極と加圧電極に通電を開始し、上記両部材間の接合部を通電による抵抗熱により急速加熱して軟化させ、上記加圧電極の加圧力により上記第二の部材の挿入部分を上記第一の部材の孔部に侵入させ、上記第二の部材と上記孔部の内壁面部とを固相拡散接合とし、
    上記接合終了後は、上記受け電極により上記両部材を熱伝導により急速冷却し、
    上記急速冷却により、上記接合部に焼入れを行なうとともに圧縮残留応力を発生させることを特徴とする疲労強度の高い接合部品の接合方法。
  2. 上記第一の部材及び第二の部材の一方又は両方に、炭素当量が0.15%以上の鋼材を用いたことを特徴とする請求項1記載の疲労強度の高い接合部品の接合方法。
  3. 上記第一の部材及び第二の部材の一方又は両方に、浸炭処理をした鋼材、又は軟窒化処理をした鋼材を用いたことを特徴とする請求項1記載の疲労強度の高い接合部品の接合方法。
  4. 孔部が垂直方向に形成された第一の部材と、一定の断面の挿入部分を有する第二の部材とを接合する接合方法であって、
    上記第一の部材の孔部に対する上記第二の部材の挿入部分に圧入代を設け、
    内部に冷却回路が形成された受け電極、及びこの受け電極の上方に移動可能に配置された加圧電極を用い、
    上記第一の部材及び第二の部材の両方に鋼材を用い、
    上記冷却回路に冷却水を給水し、
    上記受け電極の上面部の一部に環状に膨出形成された放熱電極部の上面接触部に、上記第一の部材の孔部を上記放熱電極部の穴部に合わせて載置する一方、上記加圧電極に上記第二の部材を保持させ、
    加圧力を伴って上記加圧電極を降下させ、上記第二の部材を上記第一の部材の孔部に係合させるとともに、
    電源から上記受け電極と加圧電極に通電を開始し、上記両部材間の接合部を通電による抵抗熱により急速加熱して軟化させ、上記加圧電極の加圧力により上記第二の部材の挿入部分を上記第一の部材の孔部に侵入させ、上記第二の部材と上記孔部の内壁面部とを固相拡散接合とし、
    上記接合終了後は、上記放熱電極部に接する上記接合部を熱伝導により急速冷却し、
    上記接合部の急速冷却により、この接合部に圧縮残留応力を発生させることを特徴とする疲労強度の高い接合部品の接合方法。
  5. 上記放熱電極部の上面接触部の接触幅を3mm以上としたことを特徴とする請求項4記載の疲労強度の高い接合部品の接合方法。
  6. 上記上面接触部の接触幅を、上記第一の部材の孔部に侵入する上記第二の部材の挿入部分の圧入深さの5倍以下としたことを特徴とする請求項4又は5記載の疲労強度の高い接合部品の接合方法。
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