JP5860995B1 - パイプ接合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明のパイプ接合体の製造方法は、第1金属パイプ(10)の側面外方に対して第2金属パイプ(20)が接合されているパイプ接合体の製造方法であって、貫通孔(12)と「貫通孔(12)を囲うように形成され、かつ、傾斜外面を有し、かつ、第1金属パイプ(10)側面から外側に向かって突出する」突出部とを備える第1金属パイプ(10)と、内面端部を備える第2金属パイプ(20)とを準備する第1工程と、突出部と内面端部との間に圧力を掛けながら、通電により各金属パイプを固相拡散接合する第2工程とをこの順序で含むことで、接合部に圧縮応力が残留するパイプ接合体を製造できるため、製造したパイプ接合体の腐食に対する耐久性及び金属疲労に対する耐久性を高くすることが可能となり、かつ、製造したパイプ接合体の強度低下を抑制することが可能となり、かつ、生産性を高くすることが可能となる。

Description

本発明は、パイプ接合体の製造方法に関する。
本明細書において、「パイプ接合体」とは「第1金属パイプの側面外方に対して第2金属パイプが所定の接続軸に沿って接合され、かつ、第1金属パイプの内部空間と第2金属パイプの内部空間とが連結されているもの」のことをいう。代表例として、後述する実施形態に示すように、第1金属パイプと第2金属パイプとをT字型に接合したもの(図1参照。)を挙げることができる。
上記したパイプ接合体は、主に流体を分流又は合流させるため、配管の一部として様々な分野で用いられている。具体例としては、主に自動車に用いられるエアバッグシステムを挙げることができる。
自動車の安全技術の1つとして、衝突事故発生時に乗員の被害を軽減することを目的とするパッシブセーフティー技術がある。上記したエアバッグシステムは、シートベルトともにパッシブセーフティー技術の中核をなす技術である。エアバッグの種類としては、前方衝突に対応する運転席及び助手席エアバッグの他、側面衝突に対応するサイドエアバッグ及びカーテンシールドエアバッグや、下肢部を保護するニーエアバッグ、後席の乗員のための後席エアバッグ、追突に対応するリアウィンドーカーテンシールドエアバッグ等があり、その進歩は目覚しいものがある。
エアバッグシステム作動時には、インフレーター(充填機、エアポンプの一種)で火薬を燃焼させてガスを発生させ、当該ガスによりエアバッグを0.05秒単位で膨らませる。したがって、ガスによる高い圧力に耐えるため、エアバッグシステムに用いる配管には高い強度が要求される。
配管に用いるパイプを高い強度で接合するための方法としては、例えば、固相拡散接合を用いるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、当該方法はある金属パイプの側面外方に他の金属パイプを接合することは想定していないため、当該方法を用いて本明細書でいうパイプ接合体を製造することは困難である。
そこで、従来、パイプ接合体の製造方法として、溶融溶接を用いる方法や炉中ロウ付けを用いる方法が広く用いられている。
図13及び図14は、従来のパイプ接合体の製造方法を説明するために示す図である。図13(a)及び図13(b)は溶融溶接を用いる方法の各工程図であり、図14(a)及び図14(b)は炉中ロウ付けを用いる方法の各工程図である。
溶融溶接を用いるパイプ接合体の製造方法は、図13に示すように、第1金属パイプ910側面に形成された貫通孔912を備える第1金属パイプ910(例えば、炭素鋼からなるもの)と、貫通孔912近辺の形状に対応した接続端部922を備える第2金属パイプ920(例えば、炭素鋼からなるからなるもの)とを準備する工程と(図13(a)参照。)、第2金属パイプ920を所定の接続軸(図13においては、第2金属パイプ920の軸ax2と同じ。)に沿うように第1金属パイプ910と組み合わせた後、溶融溶接により第1金属パイプ910及び第2金属パイプ920を接合する工程(図13(b)参照。)とをこの順序で含み、パイプ接合体900を製造する。なお、図13(b)の符号930で示すのは、溶融溶接を行った部分である。
炉中ロウ付けを用いるパイプ接合体の製造方法は、図14に示すように、第1金属パイプ910側面に形成された貫通孔912を備える第1金属パイプ910と、貫通孔912近辺の形状に対応した接続端部922を備える第2金属パイプ920と、ロウ付け用の金属リング940(例えば、純銅からなるもの)を準備する工程(図14(a)参照。)と、第2金属パイプ920及び金属リング940を所定の接続軸(図14においても、第2金属パイプ920の軸ax2と同じ。)に沿うように第1金属パイプ910と組み合わせた後、炉中で加熱することにより金属リング940を熔かし、第1金属パイプ910及び第2金属パイプ920を接合する工程とをこの順序で含み、パイプ接合体902を製造する。なお、図14(b)の符号942で示すのは、ロウ付け用の金属からなる部分である。
従来のパイプ接合体の製造方法によれば、第1金属パイプの側面外方に第2金属パイプを接合することにより、流体を分流又は合流させるパイプ接合体を製造することが可能となる。
特許第4440229号公報
しかし、従来のパイプ接合体の製造方法には、以下のような問題がある。
まず、溶融溶接を用いるパイプ接合体の製造方法では、溶融溶接の際に各金属パイプを構成する金属材料を溶融させることに起因して、溶融溶接を行った部分の金属組織が溶融凝固相といわれる不均質な組織(一種の鋳造組織)となってしまう。このため、溶融溶接を用いるパイプ接合体の製造方法には、機械的性質の劣化により、製造したパイプ接合体の腐食に対する耐久性及び金属疲労に対する耐久性が低くなってしまうという問題がある。
また、溶融溶接を用いるパイプ接合体の製造方法では、溶融溶接を行った部分に引張応力が残留するため、この観点からも、製造したパイプ接合体の腐食に対する耐久性及び金属疲労に対する耐久性が低くなってしまうという問題がある。パイプ接合体を、自動車部品のように長期間の振動及び応力にさらされる過酷な環境下で、かつ、高度な安全性を要求される分野に用いる場合、上記の問題は一層深刻となる。
次に、炉中ロウ付けを用いるパイプ接合体の製造方法では、ロウ付け用の金属を熔かすために各金属パイプの全体を長時間高温にさらす必要がある。具体的には、ロウ付け用の金属が銅である場合には、ロウ付雰囲気温度を1120℃とし、工程時間合計を40分とすることを例示できる。1120℃という温度は、鉄鋼材料のオーステナイト化温度(約800℃)よりも高い温度であり、当該温度に保持された後ゆっくり冷却された場合には各金属パイプを構成する金属材料が焼き鈍し状態となってしまい、製造したパイプ接合体における強度低下の懸念があるという問題がある。
また、炉中ロウ付けを用いるパイプ接合体の製造方法では、第1金属パイプと第2金属パイプとの間にロウ付け用の金属をセットした状態で炉に投入するが、ロウ付け前にディグ溶接等の方法で金属パイプを仮接合することが多い。このため、炉中ロウ付けを用いるパイプ接合体の製造方法には、加工工数が多くなってしまい、工程数の観点及びコストの観点から、生産性が低下するという問題もある。パイプ接合体は大量生産(例えば、月に数万点以上生産)するものであるため、上記の問題は深刻である。
そこで、本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、従来のパイプ接合体の製造方法と比較して、製造したパイプ接合体における腐食に対する耐久性及び金属疲労に対する耐久性を高くすることが可能となり、かつ、製造したパイプ接合体における強度低下を抑制することが可能となり、かつ、生産性を高くすることが可能なパイプ接合体の製造方法を提供することを目的とする。また、上記製造方法により製造されたパイプ接合体を提供することを目的とする。
[1]本発明のパイプ接合体の製造方法は、第1金属パイプの側面外方に第2金属パイプが所定の接続軸に沿って接合され、かつ、前記第1金属パイプの内部空間と前記第2金属パイプの内部空間とが連結されているパイプ接合体の製造方法であって、前記第1金属パイプ側面に形成された貫通孔と、「前記貫通孔を囲うように形成され、かつ、前記所定の接続軸に対して所定の角度で傾斜する傾斜外面を有し、かつ、前記第1金属パイプ側面から外側に向かって突出する」突出部とを備える前記第1金属パイプと、前記第1金属パイプと前記第2金属パイプとを組み合わせたとき前記突出部の前記傾斜外面に接する内面端部を備える前記第2金属パイプとを準備する第1工程と、前記第1金属パイプと前記第2金属パイプとを前記所定の接続軸に沿って組み合わせた後、前記突出部と前記内面端部との間に圧力を掛けながら、通電による電気抵抗発熱をエネルギー源とする固相拡散接合により前記第1金属パイプ及び前記第2金属パイプを接合する第2工程とをこの順序で含むことを特徴とする。
本発明のパイプ接合体の製造方法によれば、従来のパイプ接合体の製造方法と同様に、第1金属パイプの側面外方に対して第2金属パイプを接合することにより、流体を分流又は合流させるパイプ接合体を製造することが可能となる。
また、本発明のパイプ接合体の製造方法によれば、溶融接合ではなく通電による電気抵抗発熱をエネルギー源とする固相拡散接合を用いてパイプ接合体を製造するため、溶融凝固相が発生せず機械的性質の劣化を防止できることから、溶融接合を用いるパイプ接合体の製造方法と比較して、製造したパイプ接合体における腐食に対する耐久性及び金属疲労に対する耐久性を高くすることが可能となる。
また、本発明のパイプ接合体の製造方法によれば、上記固相拡散接合を用いてパイプ接合体を製造するため、接合部には圧縮応力が残留することとなり(後述する実験例参照。)、この観点からも、溶融接合を用いるパイプ接合体の製造方法と比較して、製造したパイプ接合体における腐食に対する耐久性及び金属疲労に対する耐久性を高くすることが可能となる。
また、本発明のパイプ接合体の製造方法によれば、上記固相拡散接合を用いてパイプ接合体を製造するため、各金属パイプを長時間高温にさらす必要がなく、各金属パイプを構成する金属材料が焼き鈍し状態となることを防止できることから、炉中ロウ付けを用いるパイプ接合体の製造方法と比較して、製造したパイプ接合体における強度低下を抑制することが可能となる。
また、本発明のパイプ接合体の製造方法によれば、ロウ付け用の金属の準備や金属パイプの仮接合の必要がないため、炉中ロウ付けを用いるパイプ接合体と比較して、工程数の観点及びコストの観点から、生産性を高くすることが可能となる。
このため、本発明のパイプ接合体の製造方法は、従来のパイプ接合体の製造方法と比較して、製造したパイプ接合体における腐食に対する耐久性及び金属疲労に対する耐久性を高くすることが可能となり、かつ、製造したパイプ接合体における強度低下を抑制することが可能となり、かつ、生産性を高くすることが可能なパイプ接合体の製造方法となる。
また、本発明のパイプ接合体の製造方法によれば、突出部を備える第1金属パイプを用いるため、第1金属パイプと第2金属パイプとを組み合わせるときに容易に位置合わせすることが可能となり、かつ、所定の接続軸と直交する方向の力に対して比較的強いパイプ接合体を製造することが可能となる。
ところで、固相拡散接合においては、接合面の清浄さが接合の良否を左右する。本発明のパイプ接合体の製造方法によれば、突出部と内面端部との間に圧力を掛けるため、突出部表面及び内面端部表面の不純物質層を削って接合面を清浄化できることから、良好な条件で固相拡散接合を行うことが可能となる。
以上の効果により、本発明のパイプ接合体の製造方法は、自動車部品(エアバッグシステムの配管)のように、長期間の振動及び応力にさらされる過酷な環境下で、かつ、高度な安全性を要求される分野に用いる部品(パイプ接合体)の製造に適する方法となる。
本明細書における「側面」とは、第1金属パイプの中心軸が直線であるとしたとき、第1金属パイプの開口部がある側を正面とした場合における「側面」のことをいう(後述する図1参照。)。第1金属パイプの中心軸が直線でない場合には、第1金属パイプと第2金属パイプとの接合部又はこれから接合部となるべき場所に最も近い第1金属パイプの中心軸の接線を基準として「側面」を考える。
本明細書における「所定の接続軸」とは、第2金属パイプの中心軸が直線であるとしたときの第2金属パイプの取り付け軸のことをいう。第2金属パイプの中心軸が直線でない場合には、内面端部に最も近い第2金属パイプの中心軸の接線を基準として「所定の接続軸」を考える。
本明細書における「突出部」は、貫通孔を囲うように形成されているため、特に貫通孔が円形又は円形に近い形(例えば、楕円形)からなる場合には、「環状突出部」ということもできる。
「前記第1金属パイプ側面に形成された貫通孔と、『前記貫通孔を囲うように形成され、かつ、前記所定の接続軸に対して所定の角度で傾斜する傾斜外面を有し、かつ、前記第1金属パイプ側面から外側に向かって突出する』突出部とを備える前記第1金属パイプ」は、「『前記第1金属パイプの側面に開口された貫通孔を囲うように形成され、かつ、前記所定の接続軸に対して所定の角度で傾斜する傾斜外面を有し、かつ、前記第1金属パイプ側面から外側に向かって突出する』突出部を備える前記第1金属パイプ」と表現することもできる。
「電気抵抗発熱」は、「ジュール熱」と同じ意味である。
「エネルギー源」は、「熱源」と同じ意味である。
第1金属パイプ及び第2金属パイプを構成する金属材料としては、通電による電気抵抗発熱をエネルギー源とする固相拡散接合が可能であれば、任意の金属材料を用いることができる。
第1金属パイプ及び第2金属パイプとしては、中心軸が直線であるものを好適に用いることができるが、中心軸が直線でないもの(中心軸が曲線や折れ線等になっているもの)を用いることもできる。
第1金属パイプ及び第2金属パイプとしては、断面形状が円形のものを好適に用いることができるが、適切な形状の突出部を形成することが可能であれば、断面形状が円形以外のもの(断面形状が楕円形や多角形等のもの)にも本発明を適用することができる。
所定の接続軸は、第1金属パイプの中心軸と直交していてもよいし、斜めに交わっていてもよいし、交わっていなくてもよい。
本発明のパイプ接合体の製造方法は、1本の第1金属パイプと1本の第2金属パイプとを準備して実施してもよい(後述する実施形態参照。)。また、1本の第1金属パイプと複数の第2金属パイプとを準備して実施してもよいし(一例として、後述する変形例1及び図11参照。)、複数の第1金属パイプと1本の第1金属パイプとを準備して実施してもよいし、複数の第1金属パイプと複数の第2金属パイプとを準備して実施してもよい。
第1金属パイプ及び第2金属パイプの一方又は両方が複数である場合には、3本以上の金属パイプの接合を一度に(つまり、1回の第2工程で)行うことによりパイプ接合体を製造してもよい。しかし、当該場合には、接合の確実性の観点から、1本の第1金属パイプと1本の第2金属パイプとの接合を順次(つまり、合計n本の第1金属パイプ及び第2金属パイプがある場合には、本発明をn−1回繰り返して)行うことによりパイプ接合体を製造することが好ましい。
本発明のパイプ接合体の製造方法においては、第2工程は、第1金属パイプと第2金属パイプとを所定の接続軸に沿って組み合わせた後であって固相拡散接合を行う前に、「固相拡散接合を行うときに突出部と内面端部との間に掛ける圧力」(本加圧圧力)よりも小さい圧力(予圧圧力)を突出部と内面端部との間に掛ける(予圧する)ことが一層好ましい。このような方法とすることにより、第1金属パイプと第2金属パイプとを一層安定して組み合わせることが可能となる。
予圧圧力は、用いる金属パイプの種類等により任意の圧力とすることができる。
[2]本発明のパイプ接合体の製造方法においては、前記第2工程では、通電時間を1秒以下とすることが好ましい。
このような方法とすることにより、加熱時間を十分に短くして、突出部及び内面端部を構成する金属材料が焼き鈍し状態となることも防止でき、その結果、接合部付近の強度低下を十分に抑制することが可能となる。
[3]本発明のパイプ接合体の製造方法においては、前記第2工程においては、前記固相拡散接合のための通電の直前に初期加圧を行い、前記初期加圧から加圧を継続したまま前記固相拡散接合により前記第1金属パイプ及び前記第2金属パイプを接合することが好ましい。
このような方法とすることにより、固相拡散接合を行う前に突出部と内面端部との接触を良好な状態とし、突出部及び内面端部に均一な電流を流すことが可能となる。
初期加圧で掛ける圧力(初期加圧圧力)は、例えば、「固相拡散接合を行うときに突出部と内面端部との間に掛ける圧力」(本加圧圧力)と同様とすることができる。
具体的には、初期加圧圧力は、「初期加圧を行うときには突出部表面及び内面端部表面の不純物質層の削れが実質的に発生せず、通電後に突出部表面及び内面端部表面の不純物質層の削れが発生する」とすることが好ましい。このような方法とすることにより、初期加圧圧力の掛けすぎによる各金属パイプの損傷を抑制することが可能となり、かつ、十分に良好な条件で固相拡散接合を行うことが可能となる。
[4]本発明のパイプ接合体の製造方法においては、前記傾斜外面は、前記所定の接続軸に対する傾斜角度が5〜80°の範囲内にあることが好ましい。
このような方法とすることにより、傾斜外面と内面端部との接触角度を適切なものとして、突出部及び内面端部の表面の不純物質層の削れを促進し、接合面を一層清浄化できることから、一層良好な条件で固相拡散接合を行うことが可能となる。
なお、傾斜外面について、所定の接続軸に対する傾斜角度が5〜80°の範囲内にあることとしたのは、以下の理由による。すなわち、傾斜外面について、所定の接続軸に対する傾斜角度が5°よりも小さい場合には突出部と内面端部との接触角が小さすぎ、接合面をうまく清浄化できない場合があるためである。また、傾斜外面について、所定の接続軸に対する傾斜角度が80°よりも大きい場合には突出部と内面端部との接触角が大きすぎ、やはり接合面をうまく清浄化できない場合があるためである。上記傾斜角度の下限は10°であることがより一層好ましく、15°であることがさらに好ましい。また、上記傾斜角度の上限は50°であることがより一層好ましく、30°であることがさらに好ましい。
なお、詳細の記載はしないが、これらの数値は本発明の発明者の実験により導き出されたものである。
[5]本発明のパイプ接合体の製造方法においては、前記所定の接続軸は、前記貫通孔がある位置の第1金属パイプの中心軸と直交することが好ましい。
このような方法とすることにより、第1金属パイプと第2金属パイプとを比較的容易にかつしっかりと組み合わせ、安定した圧力を掛けることが可能となる。
[6]本発明のパイプ接合体の製造方法においては、前記第1工程は、前記第1金属パイプの素材となる素材パイプを準備する工程と、前記素材パイプに前記貫通孔を形成する工程と、前記素材パイプの内部から外部に向けてバーリング加工を行うことにより、前記貫通孔の周囲に前記突出部の元となる壁状部を形成する工程と、前記壁状部の外面に前記傾斜外面を形成して、前記壁状部を前記突出部とする工程とをこの順序で含むことが好ましい。
このような方法とすることにより、任意の金属パイプに突出部を形成し、第1金属パイプを準備することが可能となる。
バーリング加工としては、金属パイプに適用可能である限り、種々の加工法を用いることができる。例を挙げると、貫通孔を形成した金属パイプの一方の開口部から内径に合った傾斜付き治具を差し込み、他方の開口部から貫通孔よりも大きい球を入れ、当該球を棒状体で圧入して貫通孔の周囲を押し上げるように加工する方法や、貫通孔を形成した金属パイプの一方の開口部から内径に合った傾斜付き治具を差し込み、他方の開口部から先端部が屈曲可能な棒状体を圧入して貫通孔の周囲を押し上げるように加工する方法や、貫通孔から差し入れた棒状体に貫通孔よりも大きい加工具を結合し、棒状体ごと加工具を引き上げて加工する方法や、金型を用いて形成する方法を挙げることができる。
「壁状部の外面に傾斜外面を形成して、壁状部を突出部とする工程」には、傾斜外面を形成可能である限り、種々の加工法を用いることができる。例を挙げると、金型を用いるプレス加工、切削加工、ローリング加工を挙げることができる。なお、大量生産を考慮した場合、加工の精度と加工コストの低減の関係から、上記工程にはプレス加工を用いることが好ましい。
本明細書における「壁状部」は、「貫通孔を囲うように形成され、かつ、第1金属パイプ側面から外側に向かって突出する」ものである。つまり、壁状部は、突出部が備える要件のうち傾斜外面を有しないものである。
形成する突出部については、突出部と内面端部とが接触すべき部分が同一平面上にあることが好ましい。このような方法とすることにより、第2金属パイプの内面端部を第1金属パイプの側面に合わせて加工する手間を省くことが可能となる。
[7]本発明のパイプ接合体の製造方法においては、前記第2工程は、前記第1金属パイプ及び前記第2金属パイプを組み合わせて前記突出部と前記内面端部との間に圧力を掛けることが可能な加圧装置を用いて行うことが好ましい。
このような方法とすることにより、第1金属パイプと第2金属パイプとの間に圧力を掛けた状態を安定に保ったまま固相拡散接合を行うことが可能となる。
加圧装置としては、例えば、押圧装置としてサーボモーター駆動のボールネジ又はエアーシリンダーを備えるものを好適に用いることができる。
[8]本発明のパイプ接合体の製造方法においては、前記第2工程は、前記加圧装置として、前記固相拡散接合を行うための電極を備える加圧装置を用いて行うことが好ましい。
このような方法とすることにより、電極を別途用意することなく固相拡散接合を行うことが可能となる。
[9]本発明のパイプ接合体の製造方法においては、前記加圧装置は、筐体と、電源装置と、押圧装置と、前記電源装置と接続された一対の電極と、前記筐体に固定され、前記一対の電極のうち一方の電極に接続された下部プラテンと、前記一対の電極のうち他方の電極に接続され、前記押圧装置により前記下部プラテンに向けて押し下げ可能な上部プラテンとを備え、前記一方の電極は前記第1金属パイプを固定する機能を有し、前記他方の電極は前記第2金属パイプを固定する機能を有することが好ましい。
このような方法とすることにより、第2工程を連続的に、かつ、安定して実施することが可能となり、その結果、パイプ接合体の生産性を一層高くすることが可能となる。
[10]本発明のパイプ接合体の製造方法においては、前記他方の電極により、前記第2金属パイプを全周に渡って均一に固定することが好ましい。
このような方法とすることにより、第2金属パイプを安定して固定し、かつ、第2金属パイプ全体に比較的均一な電流を流し、一層安定した固相拡散接合を行うことが可能となる。
第2金属パイプを全周に渡って均一に固定するために、加圧装置は、例えば、コレットチャック状の他方の電極又は金型状の他方の電極(分割可能な本体の内面側に、第2金属パイプの外周に相当する凹部が設けられているもの)を備えることが好ましい。
上記[10]においては、一方の電極により、第1金属パイプのうち突出部が存在するよりも外端の部分を全周に渡って均一に固定することが好ましい。
このような方法とすることにより、第1金属パイプも安定して固定し、かつ、第1金属パイプ全体に比較的均一な電流を流し、より一層安定した固相拡散接合を行うことが可能となる。
第1金属パイプのうち突出部が存在するよりも外端の部分を全周に渡って均一に固定するため、加圧装置は、例えば、コレットチャック状の一方の電極(第1金属パイプの両端を把持するため、2個一対となっていることが好ましい。)又は金型状の一方の電極(分割可能な本体の内面側に、第1金属パイプの外周に相当する凹部が設けられているもの)を備えることが好ましい。
[11]本発明のパイプ接合体は、本発明のパイプ接合体の製造方法により製造されたパイプ接合体であって、第1金属パイプの側面外方に第2金属パイプが所定の接続軸に沿って接合され、かつ、前記第1金属パイプの内部空間と前記第2金属パイプの内部空間とが連結されており、前記第1金属パイプと前記第2金属パイプとの接合部に残留する応力が圧縮応力であることを特徴とする。
本発明のパイプ接合体は、本発明のパイプ接合体の製造方法により製造されたパイプ接合体であるため、従来のパイプ接合体と比較して、腐食に対する耐久性及び金属疲労に対する耐久性を高くすることが可能となり、かつ、強度低下を抑制することが可能となり、かつ、生産性を高くすることが可能なパイプ接合体となる。
上記の効果により、本発明のパイプ接合体は、自動車部品のように、長期間の振動及び応力にさらされる過酷な環境下で、かつ、高度な安全性を要求される分野に用いる部品に適するものとなる。
[12]本発明のパイプ接合体においては、前記接合部の引張強度が、前記第1金属パイプ及び前記第2金属パイプの母材の引張強度よりも大きく、かつ、前記接合部の変形強度が、前記第1金属パイプ及び前記第2金属パイプの母材の変形強度よりも大きいことが好ましい。
このような構成とすることにより、長期間の振動及び応力にさらされる過酷な環境下での信頼性を十分に高くすることが可能となる。
本明細書における「引張強度」とは、ある物体を一次元的に(パイプ接合体の場合には第1金属パイプと第2金属パイプとを引き離す方向に)引っ張ったときの強度である。
本明細書における「変形強度」とは、衝撃等の外力に対する変形のしにくさである。
実施形態に係るパイプ接合体100を示す図である。 実施形態における第1金属パイプ10を示す図である。 実施形態における第2金属パイプ20を示す図である。 実施形態における第2工程を説明するために示す図である。 実施形態における第2工程を説明するために示す図である。 実施形態における第2工程を説明するために示す図である。 実験例に係るパイプ接合体100aを示す写真である。 実験例に係るパイプ接合体100aの接合部の様子を説明するために示す図である。 実験例に係るパイプ接合体100aの引張強度に関する実験を行った結果を説明するために示す図である。 実験例に係るパイプ接合体100aの接合部付近における残留応力に関する実験を行った結果を説明するために示す図である。 変形例1に係るパイプ接合体102の図である。 変形例2に係るパイプ接合体104を説明するために示す図である。 従来のパイプ接合体の製造方法を説明するために示す図である。 従来のパイプ接合体の製造方法を説明するために示す図である。
以下、本発明に係るパイプ接合体の製造方法及びパイプ接合体の実施形態について説明する。
[実施形態]
まず、実施形態に係るパイプ接合体100について説明する。
図1は、実施形態に係るパイプ接合体100を示す図である。図1(a)はパイプ接合体100の斜視図であり、図1(b)はパイプ接合体100の上面図であり、図1(c)は図1(b)のA1−A1断面図であり、図1(d)は図1(b)のA2−A2断面図である。
図1においては、第1金属パイプ10の中心軸ax1と平行な軸をx軸とし、x軸と垂直な一方の軸をy軸とし、x軸及びy軸と垂直な軸をz軸として表示している。実施形態においては、第1金属パイプ10の中心軸ax1は第2金属パイプ20の中心軸ax2と垂直に交わるため、z軸は中心軸ax2と平行な軸であるともいえる。x軸、y軸及びz軸の表示をする他の図面においても、各軸は図1の対応する各軸と同様のものである。
実施形態に係るパイプ接合体100は、後述する「実施形態に係るパイプ接合体の製造方法」により製造されたものである。
パイプ接合体100は、図1に示すように、第1金属パイプ10の側面外方に対して第2金属パイプ20が所定の接続軸に沿って接合され、かつ、第1金属パイプ10の内部空間10iと第2金属パイプ20の内部空間20iとが連結されており、第1金属パイプ10と第2金属パイプ20との接合部に残留する応力が圧縮応力(後述する実験例参照。)である。
また、パイプ接合体100は、接合部の引張強度が、第1金属パイプ10及び第2金属パイプ20の母材の引張強度よりも大きく、かつ、接合部の変形強度が、第1金属パイプ10及び第2金属パイプ20の母材の変形強度よりも大きい(後述する実験例参照。)。
パイプ接合体100は、自動車部品のように、長期間の振動及び応力にさらされる過酷な環境下で、かつ、高度な安全性を要求される分野に用いる部品に適するものである。
次に、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法について説明する。
図2は、実施形態における第1金属パイプ10を示す図である。図2(a)は第1金属パイプ10の斜視図であり、図2(b)は第1金属パイプ10の図1(c)に対応する断面図であり、図2(c)は第2金属パイプ20の図1(d)に対応する断面図である。
図3は、実施形態における第2金属パイプ20を示す図である。図3(a)は第2金属パイプ20の斜視図であり、図3(b)は第2金属パイプ20の図1(c)に対応する断面図である。
図4〜図6は、実施形態における第2工程を説明するために示す図である。なお、図4〜図6は、符号Wで示す線を境界として、左半分は側面図、右半分は断面図として示している。また、図4〜図6では、本発明との関係性が薄い一般的な構成要素については図示をしていない。
実施形態に係るパイプ接合体の製造方法は、第1金属パイプ10の側面外方に対して第2金属パイプ20が所定の接続軸axに沿って接合され、かつ、第1金属パイプ10の内部空間10iと第2金属パイプ20の内部空間20iとが連結されているパイプ接合体100を製造するための方法である。
実施形態に係るパイプ接合体の製造方法は、第1工程S1及び第2工程S2をこの順序で含む。以下、各工程について説明する。
まず、第1工程S1について説明する。
第1工程S1は、第1金属パイプ10と第2金属パイプ20とを準備する工程である。実施形態に係るパイプ接合体の製造方法においては、1本の第1金属パイプ10と1本の第2金属パイプ20とを準備する。
第1工程S1は、図示は省略するが、第1金属パイプ10の素材となる素材パイプを準備する工程と、素材パイプに貫通孔12を形成する工程と、素材パイプの内部から外部に向けてバーリング加工を行うことにより、貫通孔12の周囲に突出部14の元となる壁状部を形成する工程と、壁状部の外面に傾斜外面16を形成して、壁状部を突出部14とする工程とをこの順序で含む。
バーリング加工としては、金属パイプに適用可能である限り、種々の加工法を用いることができる。
「壁状部の外面に傾斜外面を形成して、壁状部を突出部とする工程」には、傾斜外面を形成可能である限り、種々の加工法を用いることができる。なお、大量生産を考慮した場合、加工の精度と加工コストの低減の関係から、上記工程にはプレス加工を用いることが好ましい。
第1金属パイプ10は、図2に示すように、貫通孔12と突出部14とを備える。第1金属パイプ10は、中心軸ax1が直線であり、断面が円形のパイプである。
所定の接続軸axは、第1金属パイプ10の中心軸ax1と直交する。
第1金属パイプ10を構成する金属材料としては、例えば、炭素鋼のような鉄鋼材料を用いることができるが、通電による電気抵抗発熱をエネルギー源とする固相拡散接合が可能であれば、任意の金属材料を用いることができる。
貫通孔12は、第1金属パイプ10側面に形成された孔である。
突出部14は、貫通孔12を囲うように形成され、かつ、所定の接続軸axに対して所定の角度で傾斜する傾斜外面16を有し、かつ、第1金属パイプ10側面から外側に向かって突出する。突出部14と後述する内面端部22とが接触すべき部分は、同一平面上にある。
傾斜外面16は、所定の接続軸axに対する傾斜角度が5〜80°の範囲内にあり、例えば、22°である。
第2金属パイプ20は、図3に示すように、第1金属パイプ10と第2金属パイプ20とを組み合わせたとき突出部14の傾斜外面16に接する内面端部22を備える。第2金属パイプ20は、中心軸ax2が直線であり、断面が円形のパイプである。
第2金属パイプ20を構成する金属材料としては、例えば、炭素鋼のような鉄鋼材料を用いることができるが、通電による電気抵抗発熱をエネルギー源とする固相拡散接合が可能であれば、任意の金属材料を用いることができる。
次に、第2工程S2について説明する。
第2工程S2は、加圧装置1000を用いて行う。
ここで、加圧装置1000について簡単に説明する。
加圧装置1000は、第1金属パイプ10及び第2金属パイプ20のそれぞれを固定すること(図4参照。)、及び、第1金属パイプ10及び第2金属パイプ20を組み合わせて突出部14と内面端部22との間に圧力を掛けること(図5参照。)が可能である。また、加圧装置1000は、固相拡散接合を行うための電極を備える。
さらにいえば、加圧装置1000は、筐体(図示せず。)と、電源装置(図示せず。)と、押圧装置(図示せず。)と、電源装置と接続された一対の電極1010,1012と、筐体に固定され、一対の電極1010,1012のうち一方の電極1010に接続された下部プラテン1020と、一対の電極1010,1012のうち他方の電極1012に接続され、押圧装置により下部プラテン1020に向けて押し下げ可能な上部プラテン1022とを備える。一方の電極1010は、第1金属パイプ10を固定する機能を有し、他方の電極1012は第2金属パイプ20を固定する機能を有する。
加圧装置1000は、一方の電極1010として、金型状の一方の電極(分割可能な本体の内面側に、第1金属パイプの外周に相当する凹部が設けられているもの)を備える。また、加圧装置1000は、他方の電極1012として、コレットチャック状の他方の電極を備える。
加圧装置1000は、押圧装置として、サーボモーター駆動のボールネジ又はエアーシリンダーを備える。
以下、加圧装置1000を用いる第2工程S2について説明する。
第2工程S2は、図4〜図6に示すように、第2金属パイプ20を所定の接続軸axに沿うように第1金属パイプ10と組み合わせた後、突出部14と内面端部22との間に圧力を掛けながら、通電による電気抵抗発熱をエネルギー源とする固相拡散接合により第1金属パイプ10及び第2金属パイプ20を接合する工程である。
第2工程S2をさらに詳しく説明すると、以下のようになる。
第2工程S2においては、まず、一方の電極1010に第1金属パイプ10を固定し、他方の電極1012に第2金属パイプ20を固定する(図4参照。)。次に、押圧装置により上部プラテン1022ごと第2金属パイプ20及び他方の電極1012を押し下げ、第2金属パイプ20を第1金属パイプ10と組み合わせる(図5参照)。次に、「固相拡散接合を行うときに突出部14と内面端部22との間に掛ける圧力」(本加圧圧力)よりも小さい圧力(予圧圧力)を突出部と内面端部との間に掛ける(予圧する)。次に、固相拡散接合のための通電の直前に初期加圧を行う。その後、初期加圧から加圧を継続したまま、通電による電気抵抗発熱をエネルギー源とする固相拡散接合により第1金属パイプ10及び第2金属パイプ20を接合する。
実施形態1においては、一方の電極1010により、第1金属パイプ10のうち突出部14が存在するよりも外端の部分を全周に渡って均一に固定し、また、他方の電極1012により、第2金属パイプ20の全周に渡って均一に固定する。
予圧圧力は、用いる金属パイプの種類等により任意の圧力とすることができるが、例えば、本加圧圧力の1/3〜1/4程度とすることができる。
初期加圧で掛ける圧力(初期加圧圧力)は、例えば、本加圧圧力と同様とすることができる。
具体的には、初期加圧圧力は、「初期加圧を行うときには突出部14表面及び内面端部22表面の不純物質層の削れが実質的に発生せず、通電後に突出部14表面及び内面端部22表面の不純物質層の削れが発生する」圧力とする。
初期加圧の時間は、例えば、0.5秒程度とすることができる。
第2工程S2では、通電時間を1秒以下とする。具体例として、通電時間を0.25秒とすることができる。
第2工程S2の完了により、パイプ接合体100を製造することができる。
以下、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法及びパイプ接合体の効果を説明する。
実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、従来のパイプ接合体の製造方法と同様に、第1金属パイプの側面外方に対して第2金属パイプを接合することにより、流体を分流又は合流させるパイプ接合体を製造することが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、溶融接合ではなく通電による電気抵抗発熱をエネルギー源とする固相拡散接合を用いてパイプ接合体100を製造するため、溶融凝固相が発生せず機械的性質の劣化を防止できることから、溶融接合を用いるパイプ接合体の製造方法と比較して、製造したパイプ接合体における腐食に対する耐久性及び金属疲労に対する耐久性を高くすることが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、上記固相拡散接合を用いてパイプ接合体100を製造するため、接合部には圧縮応力が残留することとなり(後述する実験例参照。)、この観点からも、溶融接合を用いるパイプ接合体の製造方法と比較して、製造したパイプ接合体における腐食に対する耐久性及び金属疲労に対する耐久性を高くすることが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、上記固相拡散接合を用いてパイプ接合体100を製造するため、各金属パイプを長時間高温にさらす必要がなく、各金属パイプを構成する金属材料が焼き鈍し状態となることを防止できることから、炉中ロウ付けを用いるパイプ接合体の製造方法と比較して、製造したパイプ接合体における強度低下を抑制することが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、ロウ付け用の金属の準備や金属パイプの仮接合の必要がないため、炉中ロウ付けを用いるパイプ接合体と比較して、工程数の観点及びコストの観点から、生産性を高くすることが可能となる。
このため、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法は、従来のパイプ接合体の製造方法と比較して、製造したパイプ接合体における腐食に対する耐久性及び金属疲労に対する耐久性を高くすることが可能となり、かつ、製造したパイプ接合体における強度低下を抑制することが可能となり、かつ、生産性を高くすることが可能なパイプ接合体の製造方法となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、突出部14を備える第1金属パイプ10を用いるため、第1金属パイプと第2金属パイプとを組み合わせるときに容易に位置合わせすることが可能となり、かつ、所定の接続軸と直交する方向の力に対して比較的強いパイプ接合体を製造することが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、突出部14と内面端部22との間に圧力を掛けるため、突出部表面及び内面端部表面の不純物質層を削って接合面を清浄化できることから、良好な条件で固相拡散接合を行うことが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法においては、第2工程S2は、第1金属パイプ10と第2金属パイプ20とを所定の接続軸axに沿って組み合わせた後であって固相拡散接合を行う前に、予圧圧力を突出部14と内面端部22との間に掛ける(予圧する)ため、第1金属パイプと第2金属パイプとを一層安定して組み合わせることが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、第2工程S2では、通電時間を1秒以下とするため、加熱時間を十分に短くして、突出部及び内面端部を構成する金属材料が焼き鈍し状態となることも防止でき、その結果、接合部付近の強度低下を十分に抑制することが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、第2工程S2においては、固相拡散接合のための通電の直前に初期加圧を行い、初期加圧から加圧を継続したまま固相拡散接合により第1金属パイプ10及び第2金属パイプ20を接合するため、固相拡散接合を行う前に突出部と内面端部との接触を良好な状態とし、突出部及び内面端部に均一な電流を流すことが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、初期加圧圧力を「初期加圧を行うときには突出部14表面及び内面端部22表面の不純物質層の削れが実質的に発生せず、通電後に突出部14表面及び内面端部22表面の不純物質層の削れが発生する」圧力とするため、初期加圧圧力の掛けすぎによる各金属パイプの損傷を抑制することが可能となり、かつ、十分に良好な条件で固相拡散接合を行うことが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、傾斜外面16は、所定の接続軸axに対する傾斜角度が5〜80°の範囲内にあるため、傾斜外面と内面端部との接触角度を適切なものとして、突出部及び内面端部の表面の不純物質層の削れを促進し、接合面を一層清浄化できることから、一層良好な条件で固相拡散接合を行うことが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、所定の接続軸axは、貫通孔12がある位置の第1金属パイプ10の中心軸ax1と直交するため、第1金属パイプと第2金属パイプとを比較的容易にかつしっかりと組み合わせ、安定した圧力を掛けることが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、第1工程S1は、第1金属パイプ10の素材となる素材パイプを準備する工程と、素材パイプに貫通孔12を形成する工程と、素材パイプの内部から外部に向けてバーリング加工を行うことにより、貫通孔12の周囲に突出部14の元となる壁状部を形成する工程と、壁状部の外面に傾斜外面16を形成して、壁状部を突出部14とする工程とをこの順序で含むため、任意の金属パイプに突出部を形成し、第1金属パイプを準備することが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合方法によれば、形成する突出部14について、突出部14と内面端部22とが接触すべき部分が同一平面上にあるため、第2金属パイプの内面端部を第1金属パイプの側面に合わせて加工する手間を省くことが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、第2工程S2は、第1金属パイプ10及び第2金属パイプ20を組み合わせて突出部14と内面端部22との間に圧力を掛けることが可能な加圧装置1000を用いて行うため、第1金属パイプと第2金属パイプとの間に圧力を掛ける状態を安定に保ったまま固相拡散接合を行うことが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、第2工程S2は、加圧装置1000として、固相拡散接合を行うための電極を備える加圧装置を用いて行うため、電極を別途用意することなく固相拡散接合を行うことが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、加圧装置1000は、筐体と、電源装置と、押圧装置と、一対の電極1010,1012と、下部プラテンと、上部プラテンとを備え、一方の電極1010は第1金属パイプ10を固定する機能を有し、他方の電極1012は第2金属パイプ20を固定する機能を有するため、第2工程を連続的に、かつ、安定して実施することが可能となり、その結果、パイプ接合体の生産性を一層高くすることが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、他方の電極1012により、第2金属パイプ20を全周に渡って均一に固定するため、第2金属パイプを安定して固定し、かつ、第2金属パイプ全体に比較的均一な電流を流し、一層安定した固相拡散接合を行うことが可能となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法によれば、一方の電極1010により、第1金属パイプ10のうち突出部14が存在するよりも外端の部分を全周に渡って均一に固定するため、第1金属パイプも安定して固定し、かつ、第1金属パイプ全体に比較的均一な電流を流し、より一層安定した固相拡散接合を行うことが可能となる。
以上の効果により、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法は、自動車部品(エアバッグシステムの配管)のように、長期間の振動及び応力にさらされる過酷な環境下で、かつ、高度な安全性を要求される分野に用いる部品(パイプ接合体)の製造に適する方法となる。
実施形態に係るパイプ接合体100は、実施形態に係るパイプ接合体の製造方法により製造されたパイプ接合体であって、第1金属パイプ10と第2金属パイプ20との接合部に残留する応力が圧縮応力であるため、従来のパイプ接合体と比較して、腐食に対する耐久性及び金属疲労に対する耐久性を高くすることが可能となり、かつ、強度低下を抑制することが可能となり、かつ、生産性を高くすることが可能なパイプ接合体となる。
また、実施形態に係るパイプ接合体100によれば、接合部の引張強度が、第1金属パイプ10及び第2金属パイプ20の母材の引張強度よりも大きく、接合部の変形強度が、第1金属パイプ10及び第2金属パイプ20の母材の変形強度よりも大きいため、長期間の振動及び応力にさらされる過酷な環境下での信頼性を十分に高くすることが可能となる。
上記の効果により、実施形態に係るパイプ接合体100は、自動車部品のように、長期間の振動及び応力にさらされる過酷な環境下で、かつ、高度な安全性を要求される分野に用いる部品に適するものとなる。
[実験例]
図7は、実験例に係るパイプ接合体100aを示す写真である。図7(a)はパイプ接合体100aを側面側から写した写真であり、図7(b)はパイプ接合体100aを斜めから写した写真である。
図8は、実験例に係るパイプ接合体100aの接合部の様子を説明するために示す図である。図8(a)はパイプ接合体100aを切断し、その結合部付近を写した写真であり、図8(b)は図8(a)の符号Aで示す範囲内の一部を拡大して示す写真であり、図8(c)は図8(b)を説明するために示す断面図である。なお、図8(a)の結合部にある黒点は、結合界面の目印としてパイプ接合体100aの切断後に付けた印である。また、図8(b)は複数枚の写真を結合して作成した写真である。
図9は、実験例に係るパイプ接合体100aの引張強度に関する実験を行った結果を説明するために示す図である。図9(a)は引張試験の後のパイプ接合体100aの写真であり、図9(b)は引張試験の結果を示すグラフ(応力歪線図)である。図9(b)に示すグラフの縦軸は引張荷重(単位:kN)を示し、横軸は変位(単位:mm)を示す。
図10は、実験例に係るパイプ接合体100aの残留応力に関する実験を行った結果を説明するために示す図である。図10(a)は残留応力の測定方法について説明するための図であり、図10(b)は残留応力試験の結果を示すグラフである。図10(b)に示すグラフの縦軸は残留応力(単位:MPa)を示し、横軸は測定位置を示す。
実験例においては、本発明のパイプ接合体の製造方法により本発明のパイプ接合体(実験例に係るパイプ接合体100a)を実際に製造し、本発明の効果を確認した。
まず、実験例に係るパイプ接合体の製造方法について説明する。
実験例に係るパイプ接合体の製造方法は、基本的には実施形態に係るパイプ接合体の製造方法と同様である。このため、実験例においては、具体的な事項についてのみ記載する。
実施例に係るパイプ接合体100a(符号を図示せず。図7参照。)は、第1金属パイプ10a及び第2金属パイプ20aから製造した。
第1金属パイプ10a及び第2金属パイプ20aを構成する金属材料としては、STKM−12を用いた。
第1金属パイプ10aの元となった金属パイプ(素材パイプ)及び第2金属パイプ20aとしては、外直径が18.0mm、内直径が14.8mmのものを用いた。第1金属パイプ10aにおける突出部の最大直径は17.4mmであり、傾斜外面の所定の接続軸に対する傾斜角度は22°とした。
なお、各金属パイプの長さについては、今回の実験においては重要ではないため厳密には揃えていないが、第1金属パイプ10aについては200mm程度、第2金属パイプ20aについては60mm程度とした。
実験例においては、実施形態における加圧装置1000に準じる加圧装置を用いてパイプ接合体100aを製造した。
初期加圧圧力及び本加圧圧力は、3.92kNとした。予圧圧力は本加圧圧力の1/3とした。
初期加圧の時間は0.5秒とした。
通電による電気抵抗発熱をエネルギー源とする固相拡散接合においては、溶接電流を15kAとし、通電時間を0.25秒(60Hzでの15サイクル)とした。
このようにすることで、図7に示すように、実験例に係るパイプ接合体100aを得た。
まず、接合界面の様子を光学的に観察するため、パイプ接合体100aを切断して観察を行った。当該切断は、ちょうど図1(c)に示す断面のようになるようにして行った。切断面は定法により研磨した後、5%硝酸エタノール(ナイタル液)でエッチングし(図8(a)参照。なお、符号12aで示すのは貫通孔である。)、その後、顕微鏡で拡大して観察を行った。その結果、図8(b)に示すように、第1金属パイプ10aと第2金属パイプ20aとが一体化し、突出部と内面端部とが接していた部分(図8(b)中符号Cで示す部分)の接合界面が消失していることが観察できた。当該観察により、本発明のパイプ接合体の製造方法でパイプ接合体を製造することができることが確認できた。なお、図8(b)に写っている微細間隙(図8(b)の符号B及び符号D参照。)は、第1金属パイプ10aと第2金属パイプ20aとを組み立てたときに突出部と内面端部とが接していなかった場所(もともと接合を企図していない場所。図8(c)の符号B及び符号D参照。)に残った間隙である。このため、当該微細間隙によって接合部の強度等が損なわれることはない。
次に、引張強度に関する実験を行った。当該実験は、引張圧縮試験機(オートグラフ)であるSDW−9103(株式会社今田製作所製。最大荷重100kN。)を用いて行った。
当該実験には、接合界面の様子を観察したパイプ接合体100aの同ロット品を用い、第1金属パイプ10aと第2金属パイプ20aとを引き離す方向に荷重を掛けた。その結果、接合部が破断することはなかった。また、接合部よりも各金属パイプの母材からなる部分の方が引張による伸びが大きいことを目視により確認できた(図9(a)参照。実験後のため、パイプ接合体100aの一部が変形している。)。応力歪線図は、図9(b)のグラフに示す通りである。当該実験により、接合部の引張強度が母材よりも大きいことが確認できた。なお、変形強度についても引張強度と同じ傾向が存在するため、上記実験結果から、接合部の変形強度が母材よりも大きいことも確認できた。
次に、残留応力に関する実験を行った。当該実験は、X線応力測定装置であるiXRD(プロトマニュファクチュアリング株式会社製)を用いて行った。
当該実験は、接合界面の様子を観察したパイプ接合体100aから採取したサンプルを用いて行った。図10(a)の写真の上に示す十字線の交点を基準点(接合界面上の点。さらにいえば、接合前に突出部と内面端部とが接していたと考えられる点。)として、所定の接続軸に沿う方向(紙面上下方向)に0.5mm間隔で測定位置を設定した。なお、基準点よりも第2金属パイプ側(上側)を正、第1金属パイプ側(下側)を負として座標系を設定した。その結果、図10(b)に示すように、第1金属パイプ側では第2金属パイプ側向きの応力が残留しており、第2金属パイプ側では第1金属パイプ側向きの応力が残存していることが確認できた。つまり、パイプ接合体100a(本発明に係るパイプ接合体)の接合部に残留する応力が圧縮応力であることが確認できた。
以上、本発明を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態及び実験例に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の様態において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
(1)上記実施形態及び実験例において記載し、各図面において図示した各構成要素の寸法、個数、材質及び形状は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
(2)上記実施形態においては、1本の第1金属パイプ10と1本の第2金属パイプ20とを準備して実施してパイプ接合体の製造方法を実施したが、本発明はこれに限定されるものではない。図11は、変形例1に係るパイプ接合体102の図である。図11(a)はパイプ接合体102の斜視図であり、図11(b)はパイプ接合体102の図1(d)に対応する断面図である。例えば、図11に示すように、1本の第1金属パイプ(変形例1では第1金属パイプ10)と複数の第2金属パイプ(変形例2では第2金属パイプ20,40)とを準備してパイプ接合体の製造方法を実施してもよい。また、複数の第1金属パイプと1本の第1金属パイプとを準備して実施してもよいし、複数の第1金属パイプと複数の第2金属パイプとを準備して実施してもよい。
第1金属パイプ及び第2金属パイプの一方又は両方が複数である場合には、3本以上の金属パイプの接合を一度に(つまり、1回の第2工程で)行うことによりパイプ接合体を製造してもよい。しかし、当該場合には、接合の確実性の観点から、1本の第1金属パイプと1本の第2金属パイプとの接合を順次(つまり、合計n本の第1金属パイプ及び第2金属パイプがある場合には、本発明をn−1回繰り返して)行うことによりパイプ接合体を製造することが好ましい。
(3)本発明に係るパイプ接合体の製造方法は、以下に示す変形例2のようにしてもよい。図12は、変形例2に係るパイプ接合体104を説明するために示す図である。図12(a)はパイプ接合体104の斜視図であり、図12(b)はパイプ接合体104の図1(d)に相当する断面図であり、図12(c)は第1金属パイプ50の斜視図であり、図12(d)は第1金属パイプ50の図1(d)に相当する断面図である。変形例2に係るパイプ接合体の製造方法は、基本的には実施形態に係るパイプ接合体の製造方法と同様であるが、準備工程で準備する第1金属パイプの構成が異なる。変形例2における第1金属パイプ50は、図12(c)及び(d)に示すように、第2金属パイプ20の内面端部22がある側の端面を受ける受け面58を備える。なお、符号50iで示すのは第1金属パイプ50の内部空間であり、符号52で示すのは貫通孔であり、符号54で示すのは突出部であり、符号56で示すのは傾斜外面である。受け面58は、第1金属パイプ50と第2金属パイプ20とを組み合わせたときに受け面58と第2金属パイプ20の端面との間に間隙ができ、固相拡散接合を行った後に受け面58と当該端面とが接する位置に形成されている。このような方法とすることにより、第1金属パイプと第2金属パイプとの間に生じる溝を無くし、製造するパイプ接合体の外観を一層よくすることが可能となる。なお、固相拡散接合が同じ条件で行われている場合には、受け面の有無に関わらず、パイプ接合体の接合部の特徴(残留する応力や強度等)に変わりは無い。
10,10a,30,50…第1金属パイプ、10i,30i,50i…第1金属パイプの内部空間、12,12a,32,52…貫通孔、14,54…突出部、16,56…傾斜外面、20,20a,40…第2金属パイプ、20i,40i…第2金属パイプの内部空間、22…内面端部、58…受け面、100,102,104…パイプ接合体、1000…加圧装置、1010…一方の電極、1012…他方の電極、1020…下部プラテン、1022…上部プラテン、ax…所定の接続軸、ax1…第1金属パイプの中心軸、ax2…第2金属パイプの中心軸

Claims (7)

  1. 第1金属パイプの側面外方に第2金属パイプが所定の接続軸に沿って接合され、かつ、前記第1金属パイプの内部空間と前記第2金属パイプの内部空間とが連結されているパイプ接合体の製造方法であって、
    前記第1金属パイプ側面に形成された貫通孔と、「前記貫通孔を囲うように形成され、かつ、前記所定の接続軸に対して所定の角度で傾斜する傾斜外面を有し、かつ、前記第1金属パイプ側面から外側に向かって突出する」突出部とを備える前記第1金属パイプと、前記第1金属パイプと前記第2金属パイプとを組み合わせたとき前記突出部の前記傾斜外面に接する内面端部を備える前記第2金属パイプとを準備する第1工程と、
    前記第1金属パイプと前記第2金属パイプとを前記所定の接続軸に沿って組み合わせた後、前記突出部と前記内面端部との間に圧力を掛けながら、通電による電気抵抗発熱をエネルギー源とする固相拡散接合により前記第1金属パイプ及び前記第2金属パイプを接合する第2工程とをこの順序で含み、
    前記第2工程は、前記第1金属パイプ及び前記第2金属パイプを組み合わせて前記突出部と前記内面端部との間に圧力を掛けることが可能な加圧装置を用いて行い、
    前記加圧装置は、
    筐体と、電源装置と、押圧装置と、前記固相拡散接合を行うための電極であって前記電源装置と接続された一対の電極と、前記筐体に固定され、前記一対の電極のうち一方の電極に接続された下部プラテンと、前記一対の電極のうち他方の電極に接続され、前記押圧装置により前記下部プラテンに向けて押し下げ可能な上部プラテンとを備え、
    前記一方の電極は前記第1金属パイプを固定する機能を有し、
    前記他方の電極は前記第2金属パイプを固定する機能を有することを特徴とするパイプ接合体の製造方法。
  2. 請求項1に記載のパイプ接合体の製造方法において、
    前記第2工程では、通電時間を1秒以下とすることを特徴とするパイプ接合体の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のパイプ接合体の製造方法において、
    前記第2工程においては、前記固相拡散接合のための通電の直前に初期加圧を行い、前記初期加圧から加圧を継続したまま前記固相拡散接合により前記第1金属パイプ及び前記第2金属パイプを接合することを特徴とするパイプ接合体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のパイプ接合体の製造方法において、
    前記傾斜外面は、前記所定の接続軸に対する傾斜角度が5〜80°の範囲内にあることを特徴とするパイプ接合体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のパイプ接合体の製造方法において、
    前記所定の接続軸は、前記貫通孔がある位置の前記第1金属パイプの中心軸と直交することを特徴とするパイプ接合体の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のパイプ接合体の製造方法において、
    前記第1工程は、
    前記第1金属パイプの素材となる素材パイプを準備する工程と、
    前記素材パイプに前記貫通孔を形成する工程と、
    前記素材パイプの内部から外部に向けてバーリング加工を行うことにより、前記貫通孔の周囲に前記突出部の元となる壁状部を形成する工程と、
    前記壁状部の外面に前記傾斜外面を形成して、前記壁状部を前記突出部とする工程とをこの順序で含むことを特徴とするパイプ接合体の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のパイプ接合体の製造方法において、
    前記他方の電極により、前記第2金属パイプの全周に渡って均一に固定することを特徴とするパイプ接合体の製造方法。
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