JP5475236B2 - 食器洗浄機用洗浄剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は食器洗浄機で使用するための洗浄剤組成物に関するものである。特に業務用の食器洗浄機で使用するための洗浄剤組成物に関するものである。
食器洗浄機は汚れた皿、グラス、料理器具などの食器を洗浄する設備であり、家庭やレストラン、喫茶店などの厨房で使用されている。通常、食器洗浄は洗浄工程―濯ぎ工程の順で行われ、洗浄工程には手洗い用食器洗浄剤と異なる、無泡性或いは低泡性の食器洗浄機用洗浄剤が使用されている。さらに食器洗浄機用洗浄剤には茶渋、コーヒー等の変色した汚れに対して漂白性能を得るために、漂白剤が配合されることがある。
特許文献1にはアルカリ金属水酸化物、トリポリリン酸アルカリ金属塩、次亜塩素酸アルカリ金属塩、水溶性キレート剤及び水を特定比率で含有する洗浄力、漂白作用、仕上がり性及び貯蔵安定性に優れた自動洗浄機用液体洗浄剤組成物が記載されている。また、特許文献2には塩素系殺菌剤、固形の酸及び界面活性剤を特定比率で含有し特定のpHにある洗浄力、殺菌力が高く使いやすい硬質体用の固形殺菌洗浄剤が記載されている。更に、特許文献3にはアルカリ剤、特定分子量のポリアクリル酸又はマレイン酸系の高分子物質及び漂白剤を特定比率で含有する洗浄効果及び漂白効果に優れた自動食器洗浄機用洗浄剤組成物が記載されている。
特開2006−335908号公報 特開平11−148098号公報 特開平8−199194号公報
このように、自動食器洗浄機用洗剤を用いた洗浄において、一般には定期的に漂白剤を用いて浸漬洗浄を行っており、時間と手間がかかっているのが現状である。漂白剤入りの洗剤についても種々検討されているが、例えば、無リン配合系においては漂白成分の安定性について、使用条件を考慮した場合に問題が生じる。
すなわち、実際の洗浄剤の使用場面では、食器洗浄機用洗浄剤は、例えば粉体状態(袋詰めされた状態)、湿潤状態(ホッパー中で水と接触した状態)、溶液状態(洗浄用の希釈溶液とされた状態)といった様々の状態で保存、放置され、特許文献1〜3の技術では、これらに応じて優れた保存安定性を維持することが難しい。その結果、洗浄力や漂白力についても十分な効果が得られなかった。
従って、本発明の課題は、様々な形態で保存された場合でも保存安定性に優れ、自動食器洗浄機を用いた陶磁器、ガラス、プラスチックなどの食器の洗浄において、優れた洗浄性(洗浄力や漂白力)を示す食器洗浄機用洗浄剤組成物を提供することにある。
本発明は、(A)珪酸塩、炭酸塩及び硫酸塩からなる群より選ばれる1種以上の無機化合物〔以下、(A)成分という〕50〜90重量%、(B)塩素系漂白剤〔以下、(B)成分という〕0.1〜10重量%、(C)クエン酸及びその塩から選ばれる化合物〔以下、(C)成分という〕5〜50重量%、並びに(D)ノニオン性界面活性剤〔以下、(D)成分という〕0.1〜10重量%を含有し、(A)中の珪酸塩及び炭酸塩の合計が60重量%以上であり、(C)の含有量が全キレート剤中80重量%以上である食器洗浄機用洗浄剤組成物に関する。
本発明によれば、様々な形態で保存された場合でも保存安定性に優れ、自動食器洗浄機を用いた陶磁器、ガラス、プラスチックなどの食器の洗浄において、優れた洗浄性(洗浄力や漂白力)を示す食器洗浄機用洗浄剤組成物が提供される。
<(A)成分>
(A)成分としては、珪酸のアルカリ金属塩、炭酸のアルカリ金属塩、及び硫酸のアルカリ金属塩が好ましい。また、(B)成分の化合物は無水物が好ましい。具体的には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、硫酸ナトリウム等のアルカリ金属硫酸塩、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム等のアルカリ金属珪酸塩、及びこれらの無水物が挙げられる。(A)成分としては、無水炭酸ナトリウム、無水炭酸カリウム及び無水ケイ酸ナトリウムが好ましい。また、炭酸塩と珪酸塩の両方を含有することが好ましい。
<(B)成分>
(B)成分としては、ジクロロイソシアヌール酸、ジクロロイソシアヌール酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌール酸カリウム、トリジクロロイソシアヌール酸、サラシ粉、高度サラシ粉、亜塩素酸ナトリウム等の水系で次亜塩素酸又は亜塩素酸を発生しうるものを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(B)成分としては、ジクロロイソシアヌール酸ナトリウムが好ましい。
<(C)成分>
(C)成分のうち、クエン酸の塩としては、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。(C)成分としては、クエン酸ナトリウムが好ましい。
<(D)成分>
(D)成分としては、特に限定されないが、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンオキシエチレンオキシプロピレングリコールなどが挙げられる。
洗浄性の観点から、下記一般式(D1)で表されるノニオン性界面活性剤〔以下、(D1)成分という〕が好適に用いられる。
1−(AO)n−R2 (D1)
〔式中、R1、R2は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜24の炭化水素基である。nは平均付加モル数であり、1〜500の数である。AOは同一又は異なってオキシエチレン基、オキシプロピレン基、又はオキシブチレン基である。〕
(D1)成分の一般式(D1)中、R1、R2はそれぞれ独立して、好ましくは水素原子、又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜24のアルキル基、より好ましくは水素原子、又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数6〜18のアルキル基、特に好ましくは水素原子、又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8〜14のアルキル基である。また、一般式(D1)中、nは平均付加モル数であり、好ましくは1〜400、より好ましくは1〜350、更に好ましくは1〜200、特に好ましくは1〜100の数である。また、一般式(D1)中、AOは同一又は異なって、好ましくはエチレン基、プロピレン基である。
更に、洗浄性、無泡性や低泡性の観点から、下記一般式(D2−1)で表されるノニオン活性剤、及び一般式(D2−2)で表されるノニオン性界面活性剤から選ばれる1種以上のノニオン性界面活性剤〔以下、(D2)成分という〕が好ましい。
HO(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b(CH2CH2O)cH (D2−1)
HO(CH(CH3)CH2O)d(CH2CH2O)e(CH(CH3)CH2O)fH (D2−2)
〔式中、a、b、c、d、e及びfは平均付加モル数であり、それぞれ独立して、1〜350の数である。〕
一般式(D2−1)、(D2−2)において、a、b、c、d、e及びfは、エチレンオキシド(以下、EOと表記する)ないしプロピレンオキシド(以下、POと表記する)の平均付加モル数であり、それぞれ独立して、1〜350の数である。
(D2)成分は、何れも、EOとPOの合計中、EOを10モル%以上含むことが好ましく、これを満たすようにa、b、c、d、e及びfを選定することが好ましい。
また、(D2)成分の重量平均分子量は、1,000〜15,000が好ましく、より好ましくは1,500〜6,000である。(D2)成分は、「プルロニック」、「プルロニックR」の商品名でBASF社から入手可能である。(D2)成分としては、低泡性の観点から、式(D2−2)のノニオン性界面活性剤が好ましい。
又、仕上がり性の観点から、下記一般式(D3−1)で表されるノニオン活性剤、及び一般式(D3−2)で表されるノニオン性界面活性剤から選ばれる1種以上のノニオン性界面活性剤〔以下、(D3)成分という〕が好ましい。
3−O−(EO)p−(PO)q−(EO)r−H (D3−1)
〔式中、R3は炭素数8〜18の直鎖のアルキル基又は直鎖のアルケニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。p、q、rはそれぞれ平均付加モル数を表し、p=1〜10、q=0.5〜5、r=1〜10である。〕
4−O−(EO)s−(PO)t−H (D3−2)
〔式中、R4は炭素数8〜18の分岐鎖のアルキル基もしくは分岐鎖のアルケニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。s、tはそれぞれ平均付加モル数を表し、s=4〜10、t=2〜10であり、0.3≦(t/s)≦1.5である。〕
一般式(D3−1)において、R3は炭素数10〜14の直鎖のアルキル基又は直鎖のアルケニル基、更に炭素数10〜14の直鎖のアルキル基が好ましく、p=2〜8が好ましく、q=0.5〜4.5、更に1〜4.5、特に1〜2が好ましく、r=2〜8が好ましく、p+r=1〜30、更に2〜20、特に4〜15が好ましい。一般式(D3−1)の非イオン界面活性剤の具体例として、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(1.5)ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(1.5)ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(4.5)ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル等が挙げられる。ここで、当該化合物に関し( )内はエチレンオキシド又はプロピレンオキシドの平均付加モル数である(以下同様)。
一般式(D3−2)において、R4は炭素数10〜14の分岐鎖のアルキル基又は分岐鎖のアルケニル基、更に炭素数10〜14の分岐鎖のアルキル基が好ましい。また、R4の炭素数10〜14の分岐鎖のアルキル基又は分岐鎖のアルケニル基の中でも、炭素数10〜14の2級アルキル基又は2級アルケニル基が好ましい。一般式(D3−2)中、s=5〜9が好ましく、t=5〜10が好ましい。一般式(D3−2)の非イオン界面活性剤の具体例として、ポリオキシエチレン(7)ポリオキシプロピレン(8.5)−sec−ドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(7)ポリオキシプロピレン(8.5)−sec−トリデシルエーテル、ポリオキシエチレン(7)ポリオキシプロピレン(8.5)−sec−テトラデシルエーテル等が挙げられる。
また、一般式(D3−2)の化合物は、R4の分岐鎖(好ましくは2級)アルキル基又は分岐鎖(好ましくは2級)アルケニル基を有する分岐鎖(好ましくは2級)アルコールにEOを付加した後、POを付加することで合成できる。
また、(D3)成分の重量平均分子量は、200〜5,000が好ましく、より好ましくは200〜2,000である。(D3)成分の中で、一般式(D3−1)の化合物は「エマルゲン」の商品名で花王(株)から入手可能であり、一般式(D3−2)の化合物は「ソフタノール」の商品名で日本触媒(株)から入手可能である。(D3)成分としては、仕上がり性の観点から、一般式(D3−1)のノニオン性界面活性剤が好ましい。
本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は、ビルダーと称される化合物、特に有機化合物を含有することができる。ビルダーの作用機構としては、金属キレート作用、アルカリ緩衝作用、及び固体粒子分散作用が重要である。なかでも、キレート剤を含有することが好ましい。
キレート剤としては、無機系のキレート剤として、(A)成分以外のピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、オルソリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等のリン酸塩が知られている。
一方、キレート剤としては、有機系のキレート剤として、(イ)エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,2−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸及びその誘導体、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸などのホスホン酸の塩、(ロ)2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸などのホスホノカルボン酸の塩、(ハ)アスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸の塩、(ニ)ニトリロ三酢酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩などのアミノポリ酢酸塩、(ホ)ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、テトラヒドロフラン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、テトラヒドロフラン−2,2,5,5−テトラカルボン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、スルホコハク酸、リンゴ酸、グルコン酸などの、クエン酸以外の有機酸の塩、(ヘ)ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸/ポリマレイン酸共重合高分子化合物及びその塩などが挙げられる。
本発明では、好ましくはリンを含むキレート剤を含有しないことである。従って、本発明の組成物は、いわゆる無リン系の洗浄剤組成物であることが好ましい。
また、水素結合による吸水性を有する粉体の有機高分子化合物を含有することができる。具体的には、デキストリン、カラギーナン、キサンタンガム、グァーガム、ペクチン、ローカストビンガム、あるいはこれらの誘導体、加工デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの多糖類、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシドなどの合成高分子化合物などが挙げられる。これらの含有量は、保存安定性の観点から、本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物に対して、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜15重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。
その他、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、酵素、漂白剤、消泡剤、防錆剤、ハイドロトロープ剤、表面改質剤、香料などを含有することができる。
上記の成分は、国際公開第99/58633号パンフレットに記載されているものを参照できる。
<食器洗浄機用洗浄剤組成物>
本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は、(A)成分を、洗浄性の観点から、好ましくは50〜90重量%、より好ましくは50〜80重量%。更に好ましくは60〜70重量%含有する。
また、本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は、洗浄性の観点から、(A)成分中の珪酸塩及び炭酸塩の合計が60重量%以上であり、好ましくは65〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%、更に好ましくは80〜100重量%である。
本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は、(B)成分を、漂白性能の観点から、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは1〜10重量%。更に好ましくは1〜5重量%、より更に好ましくは2〜5重量%含有する。
本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は、(C)成分を、カルシウム捕捉能の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜50重量%。更に好ましくは20〜50重量%、より更に好ましくは30〜40重量%含有する。
本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は、洗浄性、イオン封鎖性、再汚染防止性の観点から、キレート剤を(C)成分を含めた合計で、10〜99.9重量%、更に20〜99重量%、より更に30〜95重量%含有することが好ましい。本発明では、(B)成分の安定性の観点から、組成物中の全キレート剤中、(C)成分の割合が80重量%以上であり、好ましくは90重量%以上、より好ましくは100重量%である。
また、キレート剤のうち、アミノポリ酢酸塩の含有量は、組成物中5重量%以下、更に3重量%以下が好ましく、より好ましくはキレート剤としてアミノポリ酢酸塩を含有しないことである。
また、本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物では、(B)成分と(C)成分の重量比は、有効塩素安定性の観点から、(B)/(C)=0.02〜2、更に0.05〜1、より更に0.1〜0.5であることが好ましい。
本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は、(D)成分を、洗浄性の観点から、好ましくは0.01〜50重量%、より好ましくは0.05〜30重量%。更に好ましくは0.1〜20重量%、より更に好ましくは0.5〜10重量%含有する。
また、本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物は、使用にあたっては水等で適当な濃度に希釈した洗浄液として用いられることが好ましく、例えば0.05〜0.5重量%に希釈して用いられる。
本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物を用いた業務用食器洗浄機による洗浄の際には、該組成物は、供給装置によって業務用食器洗浄機内部に一定量任意に移送され、適正な洗浄液の濃度が維持される。本発明の食器洗浄機用洗浄剤組成物の形態は保存安定性の観点から固体や粉末状であることが望ましい。使用方法としては業務用食器洗浄機専用ホッパーに食器洗浄機用洗浄剤組成物が充填されたプラスチック等の容器ごと決められた方向にセットして、或いはパウチ容器等に充填された食器洗浄機用洗浄剤組成物を業務用食器洗浄機専用ホッパーに移しかえて、水や温水をスプレーやシャワーなどで食器洗浄機用洗浄剤組成物に噴霧して、溶解した洗浄液を業務用食器洗浄機内部へ供給される。
業務用食器洗浄機では、食器を連続洗浄する場合、洗浄液はポンプで循環させて繰り返し使用し、洗浄している。本発明の組成物から調製された洗浄液は、保存安定性に優れ、有効塩素濃度の低下が少ないため、このような使用態様においても優れた洗浄効果を得ることができる。
業務用食器洗浄機により食器を連続洗浄する場合、食器による洗浄液の持ち出しや、洗浄槽への濯ぎ水のキャリーオーバーなどによって、洗浄回数とともに洗浄液の濃度が減少する。適切な洗浄液の濃度を維持するため、自動供給装置によって適正濃度となるように食器洗浄機用洗浄剤組成物が供給される。
食器洗浄機用洗浄剤組成物の自動供給装置としては、特に限定されるものではないが、洗浄液の濃度をセンシングし、シグナルを受信して、粉末若しくは固体の食器洗浄機用洗浄剤組成物に、水や温水をスプレーやシャワー状で噴霧して、必要量の食器洗浄機用洗浄剤組成物を供給する。
この自動供給装置は、1日の洗浄回数が非常に多い業務用には好適に用いられ、洗浄回数毎の手投入に比べ、格段に手間が省けるという利点があり、またそれ以外に、1日中(洗浄中)適正濃度を維持することが容易となる。
表1に示した配合組成の食器洗浄機用洗浄剤組成物を調製し、以下の方法で洗浄性と保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
〔1〕洗浄性評価
洗浄機として1ドアタイプの業務用食器洗浄機(三洋電機DW−230L型)を用い、複合モデル汚れ(蛋白質、油脂、デンプンの混合物)を1枚当り5g塗布し乾燥した磁性皿(直径200mm×高さ30mm)4枚について、洗浄温度60℃、洗浄剤組成物濃度0.2重量%、洗浄時間40秒、濯ぎ温度80℃、濯ぎ時間15秒の条件で洗浄し、乾燥後、磁性皿の外観を目視で観察し、下記の基準で洗浄性を判定した。
判定基準
◎:磁性皿が4枚とも完全に汚れが除去された
○:磁性皿が4枚とも殆ど汚れが除去された
△:磁性皿が4枚とも汚れの除去が不十分である
×:磁性皿が4枚とも殆ど汚れが除去されない
〔2〕保存安定性評価
(2−1)評価1
洗浄剤組成物を、袋状容器(材質 ナイロン/PET ラミネートフィルム)、形状(平袋、容量約3L)に約2kg充填し、密封した状態で、50℃で20日間保存した後の有効塩素濃度を測定し、保存前の有効塩素濃度から、保存後の有効塩素残存率を求めた。有効塩素残存率から、以下の基準で保存安定性を評価した。この評価は、パウチ詰め製品のような形態での保存を想定した保存安定性の評価である。この評価の結果は表中、「粉末保存」として示した。
判定基準
◎:有効塩素残存率が90%以上
○:有効塩素残存率が60%以上90%未満
△:有効塩素残存率が40%以上60%未満
×:有効塩素残存率が40%未満
(2−2)評価2
所定量(約2kg)の洗浄剤組成物を、業務用コンベア式食器洗浄機DW2000R/L(三洋電機)のホッパーに投入し、洗浄機を、洗浄液濃度が0.1重量%となるような設定で運転し、初期有効塩素濃度(保存前の有効塩素濃度)を測定する。さらにホッパー内の洗浄剤が十分湿潤した状態で、運転を停止する。洗浄剤がホッパー内で湿潤した状態で放置し、3日後に同様に装置運転を行い、その時の有効塩素濃度を測定し、有効塩素残存率を求めた。評価1と同様の判定基準で保存安定性を評価した。この評価は、実使用場面で、ホッパー内の洗浄剤に水が接触した状態で放置された場合を想定した保存安定性の評価である。この評価の結果は表中、「湿潤保存」として示した。
(2−3)評価3
洗浄剤組成物の0.1重量%水溶液を調製し、50℃で3時間静置後の有効塩素濃度を測定し、有効塩素残存率を求めた。評価1と同様の判定基準で保存安定性を評価した。この評価は、ホッパーから供給された洗浄剤から調製された洗浄液についての保存安定性の評価である。この評価の結果は表中、「溶液保存」として示した。
Figure 0005475236
(注)表中の成分は以下のものである。
・ノニオン性界面活性剤:PO・EO・POブロックポリマー、Pluronic RPE2520(BASF社製)
・NTA3Na:ニトリロ三酢酸三ナトリウム塩(ディゾルビン A−92 アクゾ ノーベル社製)
・EDTA4Na・2H2O:エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩・2水和物
・ポリマー分散剤:アクリル酸/マレイン酸共重合体、ナトリウム塩:Sokalan CP5 Granules(BASF社製)

Claims (4)

  1. (A)無水珪酸ナトリウム、無水炭酸ナトリウム、無水炭酸カリウム、及び無水硫酸ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上の無機化合物50〜60.5重量%、(B)塩素系漂白剤0.1〜10重量%、(C)クエン酸及びその塩から選ばれる化合物30〜40重量%、並びに(D)下記一般式(D2−1)で表されるノニオン性界面活性剤、及び一般式(D2−2)で表されるノニオン性界面活性剤から選ばれる1種以上のノニオン性界面活性剤0.1〜10重量%を含有し、(A)中の珪酸塩及び炭酸塩の合計が83.3重量%以上であり、(C)の含有量が全キレート剤中80重量%以上である食器洗浄機用洗浄剤組成物。
    HO(CH 2 CH 2 O) a (CH(CH 3 )CH 2 O) b (CH 2 CH 2 O) c H (D2−1)
    HO(CH(CH 3 )CH 2 O) d (CH 2 CH 2 O) e (CH(CH 3 )CH 2 O) f H (D2−2)
    〔式中、a、b、c、d、e及びfは平均付加モル数であり、それぞれ独立して、1〜350の数である。〕
  2. (B)塩素系漂白剤がジクロロイソシアヌール酸及びその塩から選ばれる化合物である請求項1記載の食器洗浄機用洗浄剤組成物。
  3. (B)と(C)の重量比が、(B)/(C)=0.02〜2である請求項1又は2記載の食器洗浄機用洗浄剤組成物。
  4. キレート剤としてリンを含むキレート剤を含有しない請求項1〜3の何れか1項記載の食器洗浄機用洗浄剤組成物。
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