JP5473718B2 - 曲げ圧壊性と耐食性に優れたアルミニウム合金押出材 - Google Patents

曲げ圧壊性と耐食性に優れたアルミニウム合金押出材 Download PDF

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Description

本発明は、曲げ圧壊性に優れたAl-Mg-Si系アルミニウム合金押出材およびその製造方法(以下、アルミニウムを単にAlとも言う)に関する。なお、本発明で言うアルミニウム合金押出材とは、熱間押出された押出材のことを言うが、後述する自動車車体補強材(エネルギー吸収部材)として組み付けられた後の部材も含む。以下、Al-Mg-Si系を6000系とも言う。
自動車車体には、周知の通り、多くの車体補強材(エネルギー吸収部材)が設けられている。例えば、自動車の車体の前端(フロント)および後端(リア)に取り付けられているバンパの内部には、周知の通り、強度補強材としてのバンパ補強材(バンパリインフォースメント、バンパアマチャアとも言う)が設けられている。このバンパ補強材は断面形状が略矩形であり、周知の通り、バンパと車体との間に、車体に対し略水平方向で車幅方向に対し平行に延在するように配置される。そして、バンパとその後方のステイまたはクラッシュボックスで、車体の衝突に対するエネルギー吸収部材を構成する。
このバンパ補強材の支持構造は、衝突面に対する背面から、断面形状が略矩形の中空構造のバンパステイなどの支持部材を介して、車体長さ方向に延在するフロントサイドメンバやリヤサイドメンバ等の車体フレームに連結、固定される。このような支持構造によって、バンパ補強材は、車体の衝突に対して、横方向に(断面方向、幅方向に)圧壊変形(横圧壊)して衝突エネルギーを吸収し、車体を保護する。即ち、バンパ補強材は、車体衝突時の大荷重付加時に、損壊、飛散などせずに、加わった衝突エネルギーを、自らの長手方向の曲げ変形や、断面のつぶれ変形(横圧壊)により、荷重エネルギーを吸収する性能が求められる。
このような機能や支持構造は、ドアーガードバー(ドアビーム、ドア補強材)など、他の自動車車体補強材でも基本的には同じである。このドアーガードバーは、車体側方から衝突された場合に、ドアの車室内への陥入を防止して乗員を保護するために、ドアの内部に設けられて、車体側方からの衝突に対し、横方向に(幅方向に)断面が圧壊変形(横圧壊)して衝突エネルギーを吸収する。
近年、これら補強材には、軽量化のために、従来使用されていた鋼材に代わって、6000系、7000系等の高強度アルミニウム合金押出材(長手方向に同一断面形状を有する押出形材、以下では押出形材とも言う)が使用されている。アルミニウム合金は、鋼などに比して、同じ補強材重量の場合には、前記したエネルギー吸収性能に優れる。また、長手方向に亙って同一の断面形状を有するアルミニウム合金押出材は、補強材としての強度や剛性に優れた略矩形の中空断面構造を、効率的に、かつ大量に製造することが可能である。このため、アルミニウム合金押出材は、車体用エネルギー吸収部材としての前記補強材に好適である。
ここで、前記した高強度アルミニウム合金の内、6000系アルミニウム合金を前記補強材として用いると、他のアルミニウム合金に比して色々な利点がある。6000系アルミニウム合金は、基本的には、Si、Mgのみを必須として含み、優れた時効硬化能を有している。このため、曲げ加工などの成形時には、低耐力化により成形性を確保するとともに、成形後の塗装焼付処理などの、比較的低温の人工時効( 硬化) 処理時の加熱により時効硬化して耐力が向上し、必要な強度を確保できるBH性 (ベークハード性、人工時効硬化能、塗装焼付硬化性) がある。
また、6000系アルミニウム合金は、Mg、Znなどの合金量が多い7000系アルミニウム合金などに比して、合金元素量が比較的少ない。このため、これら6000系アルミニウム合金のスクラップを、アルミニウム合金溶解材 (溶解原料) として再利用する際に、元の6000系アルミニウム合金鋳塊が得やすく、リサイクル性にも優れている。更に、フード、フェンダー、ドア、ルーフ、トランクリッドなどの自動車車体パネルには、前記した特性から6000系アルミニウム合金板が使用されることが多い。このため、自動車車体を解体してリサイクルする際には、本発明が対象とする補強材も、これら車体パネルと同種の6000系アルミニウム合金であれば、異種合金が混入するよりも、前記溶解原料として、選別、リサイクルがしやすい。
このような6000系アルミニウム合金押出材を前記補強材として用いるために、従来から、補強材としての横圧壊性の向上や、補強材への曲げ加工性を改善するため、種々の提案がなされてきた。
例えば、特許文献1では、6063などの6000系アルミニウム合金ビレットを均質化処理し、これを押出加工し、冷却後、時効処理を施してアルミニウム合金押出材を製造するにあたって、その機械的特性に関し0.2%耐力が120〜140MPa、伸びが12%以上となるように時効処理条件を設定することが提案されている。この方法では、曲げ加工に最適な0.2%耐力及び伸びを有し、曲げ加工精度や耐力値のバラツキが小さく、押し通しなどの曲げ加工においても座屈を生じないアルミニウム押出材を得ようとしている。
また、特許文献2では、6000系アルミニウム合金押出材の組織を等軸粒組織とすることで曲げ加工性を向上させることが提案されている。同特許文献では、等軸粒組織とするために、MgとSiとの含有量が化学量論的に当量であり、繊維状組織を促進するMn、Cr、Zrなどの遷移元素を実施例レベルでは合計量で0.1%以下と規制し、500℃以上の押出温度で押出して、押出直後に水焼入れ(強制冷却)を行って製造している。これによって、平均結晶粒径が100μm以下で、かつ結晶粒のアスペクト比(結晶粒の押出方向の長さと厚さ方向の長さの比)が2以下である等軸粒組織としている。
一方、特許文献3では、逆に、その組織を上記等軸粒組織ではなく、押出方向に長く伸長した繊維状結晶粒組織(繊維状組織)として、中空押出形材の曲げ加工性を向上させることが提案されている。この特許文献3では、Mn、Cr、Zrなどの遷移元素を実施例レベルでは合計量で0.45〜0.53%と比較的多量に含ませ、500℃以上の押出温度で押出して、押出直後に水焼入れ槽に浸漬する水焼入れ(強制冷却)を行って製造している。これにより実施例において294MPa以下の0.25耐力が得られている。
これに対して、サイドメンバやバンパステイなどの押出材の軸 (長手) 方向の圧壊特性(縦圧壊) が要求されるエネルギ吸収部材として、オイラー座屈(くの字状の折れ曲がり)を防止して、蛇腹状の変形形態として優れたものとするために、その組織を上記繊維状組織とすることも知られている (特許文献4,5参照) 。特許文献4では、化学量論的に平衡なMgとSiとからなる6000系アルミニウム合金押出材の組織を上記繊維状組織としている。MgとSiとが化学量論的に平衡であるために、再結晶組織となりやすい押出材を、同特許文献では、Mn、Cr、Zrなどの遷移元素を実施例レベルでは合計量で0.5%と比較的多量に含ませ、500℃以上の押出温度で押出して、押出直後に水焼入れを行って繊維状組織として製造している。
特許文献5では、押出材の組成を過剰Si型とし、かつ、Mn、Cr、Zrなどの遷移元素を実施例レベルでは合計量で0.25〜0.48%と比較的多量に含む6000系アルミニウム合金組成としている。そして、同特許文献では、押出を500℃の押出温度で行い、表面の再結晶層(GG層)の厚みと結晶粒径とを規制した繊維状組織としている。そして、押出材を、縦圧壊だけでなく、横圧壊にも優れたものとしている。
特開2001−316788号公報 特開2002−241880号公報 特開平5−171328号公報 特開平9−256096号公報 特開2003−183757号公報
実際に、6000系アルミニウム合金押出材が、バンパ補強材やドアーガードバーなどの車体補強材として使用された場合には、略水平方向からの衝突荷重が、補強材の衝突部に、より局部的に集中して加わる衝突形態が多い。このような衝突形態では、例え、特許文献3〜5のような繊維状組織であっても、また、特許文献2のような等軸粒組織であっても、6000系アルミニウム合金押出材は、横圧壊性向上のために重要な、曲げ圧壊性が不足しやすいという問題が依然ある。
このような衝突形態の典型としては、ポール衝突、オフセット衝突などが例示される。このような衝突形態の場合には、特に略水平方向からの衝突荷重が、補強材の局所に集中するために、バンパ補強材などの車体補強材が、衝突部(衝突荷重負荷部)より長手方向に折れ曲がり、車体に損傷を与えるような事態が生じやすい。
このように自動車の衝突条件が厳しくなった場合に対しては、6000系アルミニウム合金押出材の曲げ圧壊性をより高めることが必要である。しかし、前記した比較的強度が高い繊維状組織であっても、これに対応できる曲げ圧壊性向上には、大きな限界がある。これは、繊維状組織だけではなく、前記特許文献2のような等軸粒組織であっても、全く同様である。
一方で、補強材の曲げ圧壊性を高めるには、素材強度だけではなく、押出材(補強材)の断面形状の工夫も有効である。しかし、衝突荷重の大きさによっては、断面形状が口形の矩形中空断面だけではなく、断面形状が日形、あるいは目形、田形等の中リブを設けてより補強したタイプの矩形中空断面からなるバンパ補強材においても、横圧壊性向上に重要な曲げ圧壊性が不足する可能性が大いにある。
このため、実際にも、バンパ補強材やドアーガードバーなどの横圧壊する(横圧壊性が要求される)エネルギー吸収部材としては、6000系アルミニウム合金押出材よりも強度が高い、7000系アルミニウム合金押出材が未だ主流として使用されている。しかし、この7000系アルミニウム合金押出材は、合金成分が多いために、前記したリサイクルがしにくく、製造コストも高い。また6000系アルミニウム合金押出材よりも耐食性が劣る問題もある
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、自動車の衝突条件が厳しくなっても、自動車車体補強材(エネルギー吸収部材)として要求される、曲げ圧壊性と耐食性との両方に優れた6000系(Al−Mg−Si系)アルミニウム合金押出材およびその製造方法を提供しようとするものである。
この目的を達成するために、本発明の曲げ圧壊性と耐食性に優れたアルミニウム合金押出材の要旨は、肉厚が2〜7mmで略矩形中空断面を有し、押出方向と直角方向に荷重を受けて圧壊するエネルギー吸収部材に用いられるAl−Mg−Si系アルミニウム合金押出材であって、質量%で、Mg:0.60〜1.20%、Si:0.30〜0.95%、Fe:0.01〜0.40%、Mn:0.20〜0.45%、Cu:0.001〜0.65%、Ti:0.001〜0.10%、Zr:0.10〜0.20%を各々含み、MgとSiの含有量が、Mg(%)≦1.73×Si(%)+0.2、かつMg(%)≧1.73×Si(%)−0.2の関係を満たし、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、0.2%耐力が270〜330MPaであり、この押出材の厚み方向断面における組織が主として繊維状組織であり、表層部の再結晶組織の厚さが片側500μm以下であることを特徴とする。
上記組成及び組織形態をとることにより、本発明に係るアルミニウム合金押出材では、前記曲げ圧壊性として、JIS Z2248に規定された押し曲げ法による、板状採取試験片の曲げ線が押出方向となる180°曲げ試験にて、割れが発生しない限界曲げRが3.0mm以下の性能が得られる。また、前記耐食性として、ISO/DIS11846B法に規定された交互浸漬法による腐食試験にて粒界腐食が発生しない性能が得られる。前記アルミニウム合金押出材は、押出方向と直角方向に荷重を受けて圧壊するエネルギー吸収部材に用いられることが好ましい。
上記アルミニウム合金押出材は、上記組成を有するAl-Mg-Si系アルミニウム合金鋳造ビレットを、560℃以上の温度で均質化熱処理後に、100℃/hr以上の平均冷却速度で400℃以下の温度まで強制冷却し、更に、押出出口側の押出材温度が500℃以上の溶体化温度域になるように、前記鋳造ビレットを再加熱して5〜10m/分の押出速度で熱間押出を行い、この押出出口側の押出材を押出加工直後から16秒以内に100℃/秒以上の平均冷却速度で強制冷却し、その後、この押出材を更に時効処理して、0.2%耐力を270〜330MPaとすることにより製造できる。
本発明に係る6000系アルミニウム合金押出材は、高強度で、曲げ圧壊性に優れ、7000系アルミニウム合金押出材と同等に、バンパ補強材やドアーガードバーなどの横方向に荷重を受けて圧壊するエネルギー吸収部材に好適に用いることができる。また、耐食性は7000系アルミニウム合金押出材より優れる。
試験No.5の押出方向に平行な断面の光学顕微鏡写真である。
以下、本発明に係る6000系アルミニウム合金押出材の実施態様につき具体的に説明する。
(繊維状組織と表層部再結晶組織)
本発明で、Al−Mg−Si系アルミニウム合金押出材の組織を主として繊維状組織とし、表層部に生成する再結晶組織の層の厚さを片側500μm以下に限定するのは、高い0.2%耐力と優れた曲げ圧壊性を得るためである。本発明において主として繊維状組織とは、板厚の50%以上が繊維状組織であることを意味する。
(0.2%耐力)
本発明で、Al−Mg−Si系アルミニウム合金押出材の0.2%耐力を270〜330MPaの範囲に限定するのは、7000系アルミニウム合金押出材と同等の0.2%耐力と優れた曲げ圧壊性を同時に実現するためである。また、本発明の組成で、時効処理後の0.2%耐力が270MPa未満又は330MPa超の場合、曲げ圧壊性が低下する。
(化学成分組成)
本発明が対象とする6000系アルミニウム合金の化学成分組成について説明する。本発明が対象とする6000系アルミニウム合金は、前記した自動車車体補強材用の押出材として、優れた曲げ圧壊性や耐食性などの諸特性が要求される。
このような要求を満足するために、本発明が対象とする6000系アルミニウム合金押出材(あるいはその素材である鋳造ビレット)の組成は、質量%で、Mg:0.60〜1.20%、Si:0.30〜0.95%、Fe:0.01〜0.40%、Mn:0.20〜0.45%、Cu:0.001〜0.65%、Ti:0.001〜0.10%、Zr:0.10〜0.20%を各々含み、MgとSiの含有量が、Mg(%)≦1.73×Si(%)+0.2、かつMg(%)≧1.73×Si(%)−0.2の関係を満たし、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金とする。
これ以外のその他の元素は、基本的には不純物であり、AA乃至JIS規格などに沿った各不純物レベルの含有量 (許容量) とする。しかし、リサイクルの観点から、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、6000系合金やその他のアルミニウム合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解原料として多量に使用した場合には、不純物元素が混入される可能性が高い。そして、これら不純物元素を例えば検出限界以下に低減すること自体コストアップとなり、ある程度の含有の許容が必要となる。したがって、その他の元素は、各々AA乃至JIS規格などに沿った許容量の範囲での含有を許容する。
上記6000系アルミニウム合金における、各元素の好ましい含有範囲と意義、あるいは許容量について以下に説明する。
Si:
Mgとの前記量的関係を満足することを前提として、Si含有量は0.30〜0.95%の範囲とする。SiとMgのバランス合金とするための、Siの好ましい含有量範囲は0.30〜0.50%である。SiはMgとともに、固溶強化と、低温での人工時効処理時に、強度向上に寄与する時効析出物を結晶粒内に形成して、時効硬化能を発揮し、補強材として必要な270MPa以上の必要強度(耐力)を得るための必須の元素である。Si含有量が少なすぎると、人工時効処理時に前記化合物相を形成できず、前記時効硬化能や必要強度を満たすことができない。一方、Si含有量が多すぎると、前記したバランス合金とすることができない。また、曲げ加工性なども低下し、更に、溶接性も阻害される。
Mg:
Siとの前記量的関係を満足することを前提として、Mg含有量は0.60〜1.20%の範囲とする。前記したバランス合金とするための、Mgの好ましい含有量範囲は0.60〜1.0%である。Mgは、固溶強化と、前記人工時効処理時に、Siとともに強度向上に寄与する時効析出物を結晶粒内に形成して、時効硬化能を発揮し、補強材として必要な270MPa以上の必要強度(耐力)を得るための必須の元素である。Mg含有量が少なすぎると、人工時効処理時に前記化合物相を形成できず、前記時効硬化能や必要強度を満たすことができない。時効硬化能を発揮できない。一方、Mg含有量が多すぎると、前記したバランス合金とすることができない。また、曲げ加工性も低下する。
MgとSiのバランス
本発明では、MgとSiとの含有量が、Mg(%)≦1.73×Si(%)+0.2、かつMg(%)≧1.73×Si(%)−0.2の関係を満たすようにする。この関係規定は、本発明合金を、6000系アルミニウム合金の中でも、MgとSiとの含有量が互いに化学量論的にほぼ当量であるようなバランス合金とするためのものである。望ましくはMg(%)≦1.73×Si(%)+0.1、かつMg(%)≧1.73×Si(%)−0.1の関係を満たすようにする。
Mgの含有量が多すぎる過剰Mg型6000系アルミニウム合金押出材では、曲げ圧壊性が低下する。また、押出性が低下し、焼入れ感受性も高くなり、押出の生産性が低下するというデメリットもある。
Siの含有量が多すぎる過剰Si型6000系アルミニウム合金押出材では、Siに起因する粒界析出物が粗大化する。したがって、Siの含有量が上記関係を超えて多くなると、補強材としての押出材の、曲げ圧壊性や耐食性を向上させることができなくなる。
Fe:
Feは、Mn、Zrなどと同じ働きをして、分散粒子 (分散相) を生成し、再結晶後の粒界移動を妨げ、結晶粒の粗大化を防止するとともに、結晶粒を微細化させる効果がある。また、Feは溶解原料としてのスクラップなどから一定量(実質量)が必然的に混入しやすい元素である。このため、Feの含有量は0.01〜0.40%の範囲とする。Feの含有量が少な過ぎると、これらの効果が無い。一方、Feの含有量が多過ぎると、Al-Fe-Si晶出物などの粗大な晶出物を生成しやすくなり、これらの晶出物は破壊靱性および疲労特性などを劣化させる。より望ましい範囲は0.1〜0.3%である。
Mn:
押出材の組織を押出方向に伸長した繊維状組織とするために、Mnの含有量は0.20〜0.45%の範囲とする。Mnは、Zrと同じく遷移元素であり、結晶粒の粗大化を防止するために必要である。Mnは、均質化熱処理時およびその後の熱間押出加工時に、他の合金元素と選択的に結合したAl−Mn系などの金属間化合物からなる分散粒子 (分散相) を生成する。これらの分散粒子は、製造条件にもよるが、微細で高密度、均一に分散して、再結晶後の粒界移動を妨げる効果(ピン止め効果)があるため、結晶粒の粗大化を防止するとともに、結晶粒を微細化させる効果も高く、押出材の組織を繊維状組織化させる作用がある。Mnはマトリックスへの固溶による強度の増大も見込める。
Mnの含有量が少なすぎると、この効果が期待できず、表層部の再結晶層が厚く生成され、押出材の強度や靱性が低下する可能性がある。一方、Mnを過剰に含有すると強度が高くなりすぎ、補強材としての前記曲げ圧壊性や、押出材の曲げ加工性などを却って低下させる原因となる。
Cu:
Cuは固溶強化にて強度の向上に寄与する他、時効処理に際して、最終製品の時効硬化を著しく促進する効果も有する。したがって、0.001〜0.65%を含有させる。Cuの含有量が少な過ぎると、これらの効果が無い。一方、Cuの含有量が多過ぎると、押出材組織の応力腐食割れや粒界腐食の感受性を著しく高め、耐食性や耐久性を低下させる。したがって、Cuの含有量は前記範囲とする。より望ましい範囲は0.2〜0.5%である。
Ti:
Tiは、鋳塊の結晶粒を微細化し、押出材組織を微細な結晶粒とする効果がある。したがって、Tiは0.001〜0.10%の範囲で含有させる。また、Tiを含有させる際に混入しやすいBを含有する場合には、B:1〜300ppmの範囲とする。Tiの含有量が少な過ぎるとこの効果が発揮されない。しかし、Tiの含有量が多過ぎると、粗大な晶析出物を形成し、補強材としての前記曲げ圧壊性や耐食性などの要求特性や、押出材の曲げ加工性などを低下させる原因となる。したがってTiの含有量は前記範囲とする。
Zr:
Zrは、Mnと同じく、Al-Zr系などの金属間化合物からなる分散粒子 (分散相) を生成して、結晶粒の粗大化を防止するために有効(ピン止め効果)である。また、Zrを添加すると、Mnと同じく、押出材の組織が押出方向に伸長した繊維状組織となりやすくなる。したがって、Zrは0.10〜0.20%の範囲で含有させる。
(押出材断面形状)
Al−Mg−Si系アルミニウム合金押出材が軽量化と補強材としての曲げ圧壊性とを兼備するためには、断面形状が略矩形中空形状であることが好ましく、その代表的な(基本的な)形状は、断面形状が略口形の矩形中空断面であり、口形を構成する両フランジ(前壁、後壁)と両ウエブ(両フランジをつなぐ上下側壁)とからなる。この口形中空断面の基本形に対して、曲げ圧壊性を高めるに、更に中リブを設けて補強した、断面形状が日形(上下側壁と平行な1本の中リブを断面内の中央部に設ける)、あるいは目形(上下側壁と平行な2本の中リブを断面内に間隔を開けて設ける)、田形(十字の中リブを断面内に設ける)等の矩形中空断面としても良い。
また、前記フランジ両端の長さをウエブ間の幅よりも長くして、左右方向(あるいは上下方向)に張り出した形状、あるいは、各々のフランジとウエブを、直線状の他に、外方に膨らむか、内方に凹む円弧状としても良い。また、押出材(補強材)の長手方向に渡る断面形状は、必ずしも同一でなくとも部分的あるいは順次断面形状が変化するような中空形状が、補強材の設計側から自由に選択できる。
(押出材の肉厚)
押出材の肉厚は、上記した断面形状との関係で、自動車車体の補強材としての曲げ圧壊性を高めることができる肉厚が適宜選択される。ただ、本発明が対象とするのは、車体の衝突に対するエネルギーを吸収する補強材であり、補強材としての曲げ圧壊性を高めるためにも、前記した圧延薄板からなる車体パネルのように薄くはなく、厚みを厚くする必要がある。曲げ圧壊性を高めるためには、肉厚が厚い方が良いが、あまり厚くしても、重量が増加して、軽量化が図れない。この点、肉厚は2〜7mmの範囲から選択することが好ましい。この肉厚で板厚の50%以上が繊維状組織、再結晶組織の層の厚さが片側500μm以下であれば、高い0.2%耐力と優れた曲げ圧壊性が得られる。また、前記した各断面形状において、両フランジ、両ウエブ、中リブなどの肉厚を、全て同じとする必要はなく、フランジなど衝突する(荷重を受ける)側の壁を厚くし、その他を薄くするなどの工夫ができる。
(製造方法)
次ぎに、本発明に係る6000系アルミニウム合金押出材の製造方法について以下に説明する。本発明押出材は、熱間押出後に、焼入れ処理、及び人工時効硬化処理などの適宜の調質が施された押出材を言う。
本発明押出材の製造工程は、先ず、上記6000系成分組成のアルミニウム合金鋳塊をビレットに鋳造する。次いで、ビレットを均質化熱処理後、一旦、下記室温近傍の温度まで冷却する。そして、溶体化処理温度まで再加熱して熱間押出し、押出直後から室温近傍温度まで水冷によるオンラインにて強制冷却して、上記した所定の断面形状の押出材とする。この押出材は、これら一連の熱間押出工程によって、溶体化および焼入れ処理も行われたこととなる。その後、切断、矯正処理後に、押出材は、人工時効硬化処理が施される。なお、この人工時効硬化処理は、押出材の段階で予め行わず、自動車の補強材として自動車車体に組み付け後に、自動車車体塗装後の塗料の焼き付け硬化処理によって行っても良い。
溶解、鋳造:
溶解、鋳造工程では、上記6000系成分組成範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、連続鋳造法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。
均質化熱処理:
次いで、前記鋳造されたアルミニウム合金鋳塊(ビレット)に均質化熱処理を施す。均質化熱処理の温度は500〜570℃の温度範囲から選択される。この均質化熱処理(均熱処理)は、組織の均質化、すなわち、鋳塊組織中の結晶粒内の偏析をなくし、合金元素や粗大な化合物を十分に固溶させることを目的とする。本合金を500〜570℃で均質化熱処理することにより、添加したMn,Zrの析出が良好な状態で得られ、押出加工時の再結晶を抑制し、押出材の組織が押出方向に伸長した繊維状組織となりやすくなり、高い曲げ圧壊性が得られる。均質化熱処理の温度が500℃より低温であれば、Mn,Zrの析出が不十分であり、上記のような効果が得られない。また、結晶粒内の偏析を十分に無くすことができず、これが破壊の起点として作用するために、曲げ圧壊性や機械的な性質、曲げ加工性などが低下する。一方、570℃より高温であればMn,Zrの析出物は粗大となり、上記のような効果がなくなる。
この均熱処理後に、鋳造ビレットを、100℃/hr以上の平均冷却速度で、室温までを含む、400℃以下の温度まで、強制冷却する。この強制冷却の冷却速度は大きい(速い)方が好ましく、ファンか水冷かの強制冷却にて行う。均熱処理後の400℃以下の温度までの強制冷却を行えば、それ以降は、この温度で強制冷却を停止するか、この温度で強制冷却停止後は室温まで放冷するか、室温まで引き続き強制冷却するか、は自由に選択できる。なお、通常行われる放冷の場合には、均熱処理後の平均冷却速度は40℃/hr程度である。
熱間押出:
次に、押出出口側の押出材温度が500℃以上の溶体化温度域になるように、前記鋳造ビレットを再加熱し、5〜10m/分の押出速度で熱間押出を行い、この押出出口側の押出材を押出加工直後から100℃/秒以上の平均冷却速度で強制冷却し、T5の調質処理材とするか、あるいは、その後の人工の時効処理と併せてT6(時効)あるいはT7(過時効)の調質処理材とする。このT5の調質処理においては、押出出口側の押出材の温度を500℃以上の溶体化温度域の温度として、オンライン(押出加工)にて溶体化処理され、引き続き、押出直後から16秒以内に押出材を室温近傍の温度まで、オンライン(押出機出口側)にて強制冷却する焼入れ処理を行う。
熱間押出時の温度は、低温の方がビレットの加熱が短時間で済む利点がある。しかし、押出出口側の押出材の温度が、溶体化温度域より低い500℃未満となった場合には、粗大なMgとSiとの化合物(晶析出物)がマトリックス中に溶けずに残留して、破壊の起点となり、曲げ圧壊性を低下させる。したがって、これらの兼ね合いから、押出出口側の押出材の温度は500℃以上の溶体化温度域としつつも、この中で、より低い温度を選択することが好ましい。この際、鋳造ビレットの再加熱温度を、必ずしも500℃以上の溶体化温度域として押出加工せずとも良く、鋳造ビレットの再加熱温度を500℃未満としても、熱間押出時の加工発熱によって、押出出口側の押出材温度を500℃以上の溶体化温度域とすることができる。
なお、押出出口側の押出材の温度は、ダイス出口直後(出口からの距離0mm)における材料表面温度である。ダイス出口直後で測定することが困難な場合、ダイス出口からある距離(押出プレスによって温度測定ができる位置が異なる)において材料表面温度を接触式温度計で測定し、予め測定したおいた押出材の冷却曲線を用い、ダイス出口直後の温度を逆算して求めることができる。
また、押出直後の強制冷却は、押出機出口側のラインに、ミスト、水などのスプレイやシャワー、あるいは水槽、空冷ファンなどの強制冷却手段を設けたり、組み合わせて、オンラインにて行うことができる。これら強制冷却手段の場合の冷却速度は、設備の仕様にも勿論よるが、押出材を放冷する場合の5℃/秒以下の冷却速度レベルに比して、100℃/秒以上と速い。押出材をこの冷却速度で冷却することにより、MgSi析出粒子が粗大化するのを防止して、耐力及び曲げ圧壊性を向上させることができる。
この強制冷却は、押出材がダイス出口直後(出口からの距離0mm)の位置から、16秒以内に開始される。先に押出材断面形状及び押出材の肉厚に関して具体的に説明した略矩形中空断面で、肉厚が2〜7mmの中空押出材であれば、強制冷却開始までの自然冷却を考慮しても、押出後16秒以内に強制冷却を開始することにより、MgSi析出粒子の粗大化、及び耐力及び曲げ圧壊性の低下を防止することができる。
熱間押出の押出速度は5〜10m/分とされる。押出速度が5m/分以上であれば、一般的な押出機において、出口側に配置した前記強制冷却手段により、押出後16秒以内に強制冷却を開始することが可能である。しかし、押出速度が10m/分を超えると、中リブ等の形状が崩れ、断面形状の維持が困難になる。
このT5調質処理によって、押出工程後に、押出材を別途再加熱して溶体化および焼入れ処理を行う工程が省略できる。ただ、諸事情や都合により、このT5調質処理ではなく、熱間押出工程後に、押出材を別途500℃以上の溶体化温度域に再加熱して溶体化処理および焼入れ処理を行い、その後に人工時効処理を行うT6の調質処理材としても良い。
時効処理:
押出材は、所定の長さに切断あるいは矯正処理後に、人工時効硬化処理が施される。この人工時効硬化処理は、好ましくは150〜250℃の温度範囲に必要時間保持する。この保持時間によって、押出材の時効硬化は調節され、強度を最大にするピーク時効とする時間や、これより長時間として耐食性を向上させる過時効とする時間から適宜選択される。
次に、本発明の実施例を説明する。表1に示す各成分組成(いずれも残部はAl及び不可避的不純物)を有し、断面日型の6000系アルミニウム合金押出材を、表2に示す条件で製造し、表3に示すように、押出材の組織を調査し、また特性(機械的特性、曲げ圧壊性)を調査した。
より具体的には、押出材の製造は、表1に示す各成分組成の各アルミニウム合金溶湯から、各々ビレットを鋳造した。このビレットを表2に示す各温度で均質化熱処理後、ファンによる強制空冷により、一旦、室温まで冷却した。その冷却速度は、表2に示すように120℃/hrであった。
この均質化熱処理後のビレットを再加熱して、直ちに表2に示す押出速度(m/分)と押出出口温度(℃)にて熱間押出した。そして、ダイス出口直後(出口からの距離0mm)の位置から所定時間経過後の位置において、オンラインで強制冷却を開始し、室温近傍温度まで冷却して、断面日型の押出材とした。水冷手段は表2に示すように水スプレイであり、その平均冷却速度は500℃/秒程度である。この押出材に対し表2に示す条件で人工時効硬化処理を施した。
断面日型の押出材の外寸形状は、バンパ補強材用の大きさとし、各例とも共通して、各フランジ(前面壁、後面壁)の各長さ40mm、厚さ2.3mm、各ウエブ(側壁)や中リブの長さ40mm、各厚さ2.0mm、切断後の長さは1300mmとした。
これら人工時効硬化処理後の押出材のウエブ(側壁)部分から供試材(板状試験片)を切り出し、供試材の組織や特性を測定、評価した。これらの結果を表3に示す。
(供試材組織)
前記調質処理後15日間の室温放置後の供試材について、SEM(走査型電子顕微鏡)−EBSP(後方散乱電子回折像)を用いて、各供試材の結晶粒の平均アスペクト比を測定した。結晶粒の平均アスペクト比が5以下を再結晶組織、平均アスペクト比が5を超えるものを繊維状組織とし、表層部の再結晶組織の厚さ(両面の再結晶組織のうち厚い側)を求めた。表層部の再結晶組織以外は全て繊維状組織であった。図1に試験No.5の押出方向に平行な断面の光学顕微鏡写真を示す。
(供試材特性)
前記調質処理後30日間の室温放置後の供試材の特性として、0.2%耐力(As耐力: MPa)、伸び(%)を各々測定した。また、曲げ圧壊性および耐食性を測定、評価した。これらの結果も表3に示す。
引張試験:
引張試験は、前記供試材からJISZ2201の5号試験片(25mm幅×50mm長さ×押出材厚み)を採取し、室温引張りを行った。このときの試験片の採取、引張方向を押出方向とした。引張り速度は、0.2%耐力までは5mm/分、耐力以降は20mm/分とした。測定N数は5として、各機械的性質は、これらの平均値とした。
曲げ圧壊性(曲げ加工性)試験:
前記供試材(板状試験片)を、JIS Z2248に規定された押し曲げ法により、曲げ線が押出方向となるように(押出方向と直角方向に)180°曲げ試験し、曲げコーナーの外側(引張側部位)に割れが発生しない限界曲げR(mm)を求めた。この限界曲げRが3.0mm以下であれば、曲げ圧壊性に優れ、自動車用の補強材として使用可能である。
耐食性試験:
前記供試材を、ISO/DIS11846B法に規定された浸漬法により腐食試験を行った。試験条件は、押出材を、NaClを30g/lの濃度およびHClを10ml/lの濃度で各々溶解させた水溶液に、室温で24時間浸漬した後の、押出材の断面観察を行って腐食形態を調査し、粒界腐食割れ発生の有無を判定した。そして、粒界腐食割れが発生している場合を×、粒界腐食割れではないが、粒界腐食が発生している場合を△、粒界腐食割れや粒界腐食が発生していない場合(表面的な全面腐食が発生している場合を含む)を○として評価した。
表1,2に示す通り、試験No.1〜7は、前記したMgとSiとの含有量の関係を含めて本発明成分組成範囲内で、かつ、本発明に規定する条件範囲で、均質化熱処理(均熱温度、強制冷却)、熱間押出(押出出口温度、押出速度、押出直後からの強制水冷)及び時効硬化処理を行なっている。このため、表3に示す通り、表層部の再結晶層が500μm以下で、主として繊維状組織を有する。この結果、試験No.1〜7は、強度(0.2%耐力270MPa以上)、伸びなど機械的特性に優れ、同時に曲げ圧壊性と耐食性に優れている。これらの性能は、押出材が、補強材として、ポール衝突、オフセット衝突などの自動車の衝突条件が厳しくなった場合にでも対応できる、曲げ圧壊性を有していることを示している。また補強材として要求される耐食性にも優れていることを示している。
これに対して、試験No.8〜15は、表1の成分組成又は表2の製造条件が本発明の範囲を外れている。このため、耐力、曲げ圧壊性のいずれか又は両方が試験No.1〜7に比べて劣る。
試験No.8〜10は、表2の製造条件が本発明範囲内を外れている。試験No.8は、押出後の強制冷却開始までの時間が長すぎるため、析出物が粗大化して耐力が低く、また粗大な析出物が粒界にも密に析出し、曲げ圧壊性も劣る。試験No.9は、均熱処理温度が高すぎるため、Mn,Zrの析出物が粗大化して再結晶層の厚さが厚くなり、耐力が低く、曲げ圧壊性も劣る。試験No.10は、均熱処理温度が低すぎるため、Mn,Zrの析出不十分により再結晶層の厚さが厚くなり、耐力が低く、曲げ圧壊性も劣る。
一方、試験No.11〜15は、合金No.6〜10の成分組成が本発明範囲内を外れている。試験No.11は、合金No.6のMn含有量が少ないため、再結晶層の厚さが厚くなり、耐力が低い。試験No.12は、合金No.7のMn含有量が多いため、強度が高くなりすぎ、曲げ圧壊性が劣る。試験No.13は、合金No.8のZr含有量が少ないため、再結晶層の厚さが厚くなり、耐力が低い。試験No.14は、合金No.9のZr含有量が多いため、強度が高くなりすぎ、曲げ圧壊性が劣る。試験No.15は、合金No.10のMg含有量が多く、Mg,SiバランスがMg過剰であるため、強度が高くなりすぎ、曲げ圧壊性が劣る。

Claims (2)

  1. 肉厚が2〜7mmで略矩形中空断面を有し、押出方向と直角方向に荷重を受けて圧壊するエネルギー吸収部材に用いられるAl−Mg−Si系アルミニウム合金押出材であって、質量%で、Mg:0.60〜1.20%、Si:0.30〜0.95%、Fe:0.01〜0.40%、Mn:0.20〜0.45%、Cu:0.001〜0.65%、Ti:0.001〜0.10%、Zr:0.10〜0.20%を各々含み、MgとSiの含有量が、Mg(%)≦1.73×Si(%)+0.2、かつMg(%)≧1.73×Si(%)−0.2の関係を満たし、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、0.2%耐力が270〜330MPaであり、この押出材の厚み方向断面における組織が主として繊維状組織であり、表層部の再結晶組織の厚さが片側500μm以下であることを特徴とする曲げ圧壊性に優れたアルミニウム合金押出材。
  2. 質量%で、Mg:0.60〜1.20%、Si:0.30〜0.95%、Fe:0.01〜0.40%、Mn:0.20〜0.45%、Cu:0.001〜0.65%、Ti:0.001〜0.10%、Zr:0.10〜0.20%を各々含み、MgとSiの含有量が、Mg(%)≦1.73×Si(%)+0.2、かつMg(%)≧1.73×Si(%)−0.2の関係を満たし、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金ビレットを、500〜570℃の温度で均質化熱処理後に、100℃/hr以上の平均冷却速度で400℃以下の温度まで強制冷却し、更に、押出出口側の押出材温度が500℃以上の溶体化温度域になるように、前記鋳造ビレットを再加熱して5〜10m/分の押出速度で熱間押出を行い、この押出出口側の押出材を押出加工直後から16秒以内に100℃/秒以上の平均冷却速度で強制冷却し、その後、押出材を更に時効処理して0.2%耐力を270〜330MPaとすることを特徴とする請求項1に記載された曲げ圧壊性に優れたアルミニウム合金押出材の製造方法。
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