JP5160930B2 - 曲げ圧壊性と耐食性に優れたアルミニウム合金押出材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
前記した通り、補強材としての曲げ圧壊性に対しては、6000系アルミニウム合金押出材の集合組織について、キューブ(Cube)方位を有する結晶粒の割合が多いほど向上する。また、塩水などの腐食環境に対応する粒界腐食性などの耐食性も、キューブ(Cube)方位を有する結晶粒の割合が多いほど向上する。
キューブ方位等の一つの方位を有する結晶粒の割合が大きい(多い)ほど、結晶粒の粒界の方位差が小さくなる。このため、曲げ荷重が負荷された際の(衝突荷重が負荷された際)の粒界への応力集中が緩和される。この結果、特に、バンパ補強材やドアガードバーなどのエネルギー吸収部材において、これを構成するアルミニウム合金押出材の押出方向と直角方向に、衝突荷重などの外部からの荷重(曲げ荷重)を受けて圧壊する(横圧壊とも言う)際の、曲げ圧壊性が向上する。
本発明では、キューブ方位を、この押出材の厚み方向断面(押出方向と直角方向の断面、直角断面)における最表面のグレングロス層を含めた厚み領域全域に亙る平均面積率と規定している。押出材の厚み方向断面において、通常、両方の最表面には、これら最表面が押出ダイスと接触することによって、必然的に、数百μmの厚みのグレングロス層(GG層、粗大再結晶粒組織層)が生じている。このような最表面のGG層では、ランダムな方位となりやすく、キューブ方位は発達せず、キューブ方位を有する結晶粒は殆ど無い。したがって、このような最表面のGG層の厚みが厚いほど、押出材の厚み方向内側の、キューブ方位が発達した、等軸再結晶粒組織の厚みは薄くなり、曲げ圧壊性向上効果が小さくなる。言い換えると、押出材断面の厚み方向全域に亙るキューブ方位の発達度合い、あるいはキューブ方位を有する結晶粒の割合が、押出材の補強材としての曲げ圧壊性を決定する。したがって、本発明では、特に、補強材としての曲げ圧壊性を向上させるために、この押出材の厚み方向断面における、最表面のグレングロス層を敢えて含めた、押出材の厚み領域全域に亙る平均面積率で、キューブ方位を規定する。
本発明で、押出材の組織を等軸再結晶粒組織とするのは、前記特許文献3〜6のような、結晶粒のアスペクト比が5を超える、押出方向に結晶粒が伸長したような繊維状組織では、キューブ方位が発達せず、キューブ方位を押出材断面の厚み方向全域に亙る平均面積率で15%以上とはできないからである。ここで、本発明で言う等軸再結晶粒組織とは、前提として、結晶粒の平均アスペクト比が3以下、押出方向に伸長したとしても平均アスペクト比が5未満の等軸粒組織である。また、この結晶粒のアスペクト比とは、長軸と短軸との比であり、通常は長軸が結晶粒の押出方向の長さで、短軸が厚さ方向の長さである。
キューブ方位を含めた、各結晶粒の方位(各結晶方位成分)の面積率(存在率)は、押出材の例えばフランジ(前面壁)の前記した断面を、走査型電子顕微鏡SEM( Scanning Electron Microscope )による、後方散乱電子回折像EBSP(Electron Backscatter Diffraction Pattern )を用いた結晶方位解析方法(SEM/EBSP法)により測定する。
なお、押出材のキューブ方位を含めた集合組織については、前記した通り、押出材の測定部位を板と見なして、圧延板における集合組織の規定や測定要領に準じる。
キューブ方位(Cube方位):{001}<100>
Goss方位:{011}<100>
CR方位:{001}<520>
RW方位:{001}<110>[Cube方位が(100)面で回転した方位]
Brass方位:{011}<211>
S方位:{123}<634>
Cu方位:{112}<111>
(若しくは、D方位:{4411}<11118>)
SB方位:{681}<112>
本発明では、6000系アルミニウム合金押出材の組織について、上記集合組織とともに、補強材としての曲げ圧壊性や耐食性を向上させるために、5000倍のTEMにより観察される重心直径が1μm以上のサイズを有する粒界析出物同士の平均間隔を3μm以上に大きくする。この粒界析出物同士の平均間隔は、好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上と、より大きな方が好ましい。
粒界析出物同士の平均間隔とサイズの測定は、前記した押出材の断面であって、前記集合組織観察とは違い、前記最表面のGG層を除き、押出材の厚み方向内側の、例えば厚み中心部のキューブ方位が発達した、等軸再結晶粒組織部分を測定対象とする。この等軸再結晶粒組織の試験片をTEM観察用に薄膜加工し、このように得られた試験片について、5000倍のTEMにより組織観察して測定する。
本発明が対象とする6000系アルミニウム合金の化学成分組成について説明する。本発明が対象とする6000系アルミニウム合金は、前記した自動車車体補強材用の押出材として、優れた曲げ圧壊性や耐食性などの諸特性が要求される。
以上のMgとの量的関係を満足することを前提として、Si含有量は0.30〜0.95%の範囲とする。前記したバランス合金とするための、Siの更に好ましい含有量範囲は0.30〜0.50%である。SiはMgとともに、固溶強化と、低温での人工時効処理時に、強度向上に寄与する時効析出物を結晶粒内に形成して、時効硬化能を発揮し、補強材として必要な200MPa以上の必要強度(耐力)を得るための必須の元素である。Si含有量が少なすぎると、人工時効処理時に前記化合物相を形成できず、前記時効硬化能や必要強度を満たすことができない。一方、Si含有量が多すぎると、前記したバランス合金とすることができず、本発明の集合組織とできない。また、曲げ加工性なども低下し、更に、溶接性も阻害される。
前記Siとの量的関係を満足することを前提として、Mg含有量は0.60〜1.20%の範囲とする。前記したバランス合金とするための、Mgの更に好ましい含有量範囲は0.60〜1.0%である。Mgは、固溶強化と、前記人工時効処理時に、Siとともに強度向上に寄与する時効析出物を結晶粒内に形成して、時効硬化能を発揮し、補強材として必要な200MPa以上の必要強度(耐力)を得るための必須の元素である。Mg含有量が少なすぎると、人工時効処理時に前記化合物相を形成できず、前記時効硬化能や必要強度を満たすことができない。時効硬化能を発揮できない。一方、Mg含有量が多すぎると、前記したバランス合金とすることができない。また、曲げ加工性も低下する。
ここで、6000系アルミニウム合金押出材を、キューブ方位を前記平均面積率で15%以上含む等軸再結晶粒組織とし、また、重心直径が1μm以上のサイズを有する粒界析出物同士の平均間隔を3μm以上とするためには、MgとSiとの含有量が、好ましくはMg(%)≧1.73×Si(%)−0.4、より好ましくはMg(%)≧1.73×Si(%)−0.2の関係を満たすようにする。この関係規定は、本発明合金を、6000系アルミニウム合金の中でも、MgとSiとの含有量が互いに化学量論的に当量であるようなバランス合金、あるいは過剰Si型組成の中でもSiの含有量が比較的少なめの合金とするためのものである。
Feは、Mn、Cr、Zrなどと同じ働きをして、分散粒子 (分散相) を生成し、再結晶後の粒界移動を妨げ、結晶粒の粗大化を防止するとともに、結晶粒を微細化させる効果がある。また、Feは溶解原料としてのスクラップなどから一定量(実質量)が必然的に混入しやすい元素である。このため、Feの含有量は0.01〜0.40%の範囲とする。Feの含有量が少な過ぎると、これらの効果が無い。一方、Feの含有量が多過ぎると、Al−Fe−Si晶出物などの粗大な晶出物を生成しやすくなり、これらの晶出物は、破壊靱性および疲労特性などを劣化させる。
Mnは、Cr、Zrと同じく遷移元素であり、結晶粒の粗大化を防止するために必要である。これらは、均質化熱処理時およびその後の熱間押出加工時に、他の合金元素と選択的に結合したAl−Mn系などの金属間化合物からなる分散粒子 (分散相) を生成する。これらの分散粒子は、製造条件にもよるが、微細で高密度、均一に分散して、再結晶後の粒界移動を妨げる効果があるため、結晶粒の粗大化を防止するとともに、結晶粒を微細化させる効果が高い。Mnの含有量が少なすぎると、これらの効果が期待できず、製造条件によっては、結晶粒が粗大化して、押出材の強度や靱性が低下する可能性がある。また、Mnはマトリックスへの固溶による強度の増大も見込める。
Cu、Znは固溶強化にて強度の向上に寄与する他、時効処理に際して、最終製品の時効硬化を著しく促進する効果も有する。したがって、Cu:0.001〜0.65%、Zn:0.001〜0.25%の一種または二種を含有させる。Cu、Znの含有量が少な過ぎると、これらの効果が無い。一方、Cu、Znの含有量が多過ぎると、押出材組織の応力腐食割れや粒界腐食の感受性を著しく高め、耐食性や耐久性を低下させる。したがって、選択的に含有させる場合のCu、Znの含有量は前記範囲とする。
Tiは、鋳塊の結晶粒を微細化し、押出材組織を微細な結晶粒とする効果がある。したがって、Tiは0.001〜0.10%の範囲で含有させる。また、Tiを含有させる際に混入しやすいBを含有する場合には、B:1〜300ppmの範囲とする。Tiの含有量が少な過ぎるとこの効果が発揮されない。しかし、Tiの含有量が多過ぎると、粗大な晶析出物を形成し、補強材としての前記曲げ圧壊性や耐食性などの要求特性や、押出材の曲げ加工性などを低下させる原因となる。したがってTiの含有量は前記範囲とする。
Cr、Zrの遷移元素は、Mnと同じく、Al−Cr系、Al−Zr系などの金属間化合物からなる分散粒子 (分散相) を生成して、結晶粒の粗大化を防止するために有効である。但し、これらの元素の過剰に含有すると、Mnと同じく、押出材の組織が押出方向に伸長した繊維状組織となりやすくする。したがって、これらの効果が必要な場合には、Cr:0.001〜0.18%、Zr:0.001〜0.18%の一種または二種を、合計量で0.30%以下の極力少ない量を選択的に含有させる。
6000系アルミニウム合金押出材の断面形状は、補強材としての曲げ圧壊性を高めることができる断面形状が、適宜選択される。軽量化と補強材としての曲げ圧壊性とを兼備するためには、断面形状が中空形状であることが好ましい。この中空断面形状の代表的な(基本的な)形状は、断面形状が略口形の矩形中空断面であり、口形を構成する両フランジ(前壁、後壁)と両ウエブ(両フランジをつなぐ上下側壁)とからなる。この口形中空断面の基本形に対して、曲げ圧壊性を高めるに、更に中リブを設けて補強した、断面形状が日形(上下側壁と平行な1本の中リブを断面内の中央部に設ける)、あるいは目形(上下側壁と平行な2本の中リブを断面内に間隔を開けて設ける)、田形(十字の中リブを断面内に設ける)等の矩形中空断面としても良い。
押出材の肉厚は、上記した断面形状との関係で、補強材としての曲げ圧壊性を高めることができる肉厚が適宜選択される。ただ、本発明が対象とするのは、車体の衝突に対するエネルギーを吸収する補強材であり、補強材としての曲げ圧壊性を高めるためにも、前記した圧延薄板からなる車体パネルのように薄くはなく、厚みを厚くする必要がある。曲げ圧壊性を高めるためには、肉厚が厚い方が良いが、あまり厚くしても、重量が増加して、軽量化が図れない。この点、肉厚は2〜7mmの範囲から選択することが好ましい。また、前記した各断面形状において、両フランジ、両ウエブ、中リブなどの肉厚を、全て同じとする必要はなく、フランジなど衝突する(荷重を受ける)側の壁を厚くし、その他を薄くするなどの工夫ができる。
次ぎに、本発明6000系アルミニウム合金押出材の製造方法について以下に説明する。本発明押出材は、熱間押出後に、焼入れ処理、あるいは人工時効硬化処理などの適宜の調質が施された押出材を言い、後述する集合組織の制御条件などを除けば、製造工程自体は常法あるいは公知の方法で行う。但し、本発明の範囲にCube方位の集合組織を制御するためには、下記均熱処理の際の冷却速度条件を制御する必要がある。
溶解、鋳造工程では、上記6000系成分組成範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、連続鋳造法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。
次いで、前記鋳造されたアルミニウム合金鋳塊(ビレット)に均質化熱処理を施す。均質化熱処理の温度自体は、常法通り、500℃以上で融点未満の均質化温度範囲、最適には500〜590℃の温度範囲から選択される。この均質化熱処理(均熱処理)は、組織の均質化、すなわち、鋳塊組織中の結晶粒内の偏析をなくし、合金元素や粗大な化合物を十分に固溶させることを目的とする。この均質化温度が低いと結晶粒内の偏析を十分に無くすことができず、これが破壊の起点として作用するために、曲げ圧壊性や機械的な性質、曲げ加工性などが低下する。
次に、押出出口側の押出材温度が500℃以上の溶体化温度域になるように、前記鋳造ビレットを再加熱して熱間押出を行い、この押出出口側の押出材を押出加工直後から100℃/分以上の平均冷却速度で強制冷却し、T5の調質処理材とするか、あるいは、その後の人工の時効処理と併せてT6(時効)あるいはT7(過時効)の調質処理材とすることが好ましい。このT5の調質処理においては、押出出口側の押出材の温度を500℃以上の溶体化温度域の温度として、オンライン(押出加工)にて溶体化処理され、引き続き、押出直後から押出材を室温近傍の温度まで、オンライン(押出機出口側)にて強制冷却する焼入れ処理を行う。
押出材は、所定の長さに切断あるいは矯正処理後に、人工時効硬化処理が施される。この人工時効硬化処理は、好ましくは150〜250℃の温度範囲に必要時間保持する。この保持時間によって、押出材の時効硬化は調節され、強度を最大にするピーク時効とする時間や、これより長時間として耐食性を向上させる過時効とする時間から適宜選択される。
キューブ方位の平均面積率:
前記調質処理後15日間の室温時効後の供試材の集合組織を、前記SEM−EBSPを用いて、測定・解析し、供試材の、最表面のグレングロス層を含めた、断面の厚み方向全域に亙るキューブ方位の平均面積率(%)を求めた。この際、キューブ方位以外の、Goss方位、CR方位、RW方位、Brass方位、S方位、Cu方位、SB方位などの他の方位の平均合計面積率は、100%からキューブ方位の平均面積率(%)を差し引いた残りの面積率である。
前記調質処理後30日間の室温時効後の供試材の厚み方向断面の組織を、前記した方法にて、5000倍のTEMにより組織観察して、重心直径が1μm以上のサイズを有する粒界析出物同士の平均間隔(μm)を測定した。これらの結果を表2に示す。
前記調質処理後30日間の室温時効後の供試材の特性として、0.2%耐力(As耐力: MPa)、伸び(%)を各々測定した。また、曲げ圧壊性、耐食性を測定、評価した。これらの結果も表3 に示す。
引張試験は、前記供試材からJISZ2201の5号試験片(25mm幅×50mm長さ×押出材厚み)を採取し、室温引張りを行った。このときの試験片の採取、引張方向を押出方向とした。引張り速度は、0.2%耐力までは5mm/分、耐力以降は20mm/分とした。測定N数は5として、各機械的性質は、これらの平均値とした。
前記供試材(板状試験片)を、JIS Z2248に規定された押し曲げ法により、曲げ線が押出方向となるように(押出方向と直角方向に)180°曲げ試験し、曲げコーナーの外側(引張側部位)に割れが発生しない限界曲げR(mm)を求めた。この限界曲げRが3.0mm以下で、曲げ圧壊性に優れ、自動車用の補強材として使用可能である。
前記供試材を、ISO/DIS 11846B法に規定された浸漬法により腐食試験を行った。試験条件は、押出材を、NaClを30g/lの濃度およびHCLを10ml/lの濃度にて各々溶解させた水溶液に、室温で24時間浸漬した後の、押出材の断面観察を行って腐食形態を調査し、粒界腐食割れ発生の有無を判定した。そして、粒界腐食割れが発生している場合を×、粒界腐食割れではないが、粒界腐食が発生している場合を△、粒界腐食割れや粒界腐食が発生していない場合 (表面的な全面腐食が発生している場合を含む) を○として評価した。
Claims (7)
- 質量%で、Mg:0.60〜1.20%、Si:0.30〜0.95%、Fe:0.01〜0.40%、Mn:0.001〜0.35%、Cu:0.001〜0.65%、Zn:0.001〜0.25%、Ti:0.001〜0.10%を各々含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金押出材であって、この押出材の厚み方向断面における組織を、5000倍のTEMにより観察される重心直径が1μm以上のサイズを有する粒界析出物同士の平均間隔が3μm以上である等軸再結晶粒組織とし、かつ、この押出材の厚み方向断面における最表面のグレングロス層を含めた厚み領域全域に亙るキューブ方位の平均面積率を15%以上としたことを特徴とする曲げ圧壊性と耐食性に優れたアルミニウム合金押出材。
- 前記アルミニウム合金押出材の等軸再結晶粒組織における前記キューブ方位の平均面積率が20%以上である請求項1に記載の曲げ圧壊性と耐食性に優れたアルミニウム合金押出材。
- 前記アルミニウム合金押出材が、更に、Cr:0.001〜0.18%、Zr:0.001〜0.18%の一種または二種を合計量で0.30%以下含む請求項1または2に記載の曲げ圧壊性と耐食性に優れたアルミニウム合金押出材。
- 前記アルミニウム合金押出材の前記曲げ圧壊性が、JIS Z2248に規定された押し曲げ法による、板状採取試験片の曲げ線が押出方向となる180°曲げ試験にて、割れが発生しない限界曲げRが3.0mm以下の性能であり、前記アルミニウム合金押出材の前記耐食性がISO/DIS 11846B法に規定された交互浸漬法による腐食試験にて粒界腐食が発生しない性能である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の曲げ圧壊性と耐食性に優れたアルミニウム合金押出材。
- 前記アルミニウム合金押出材が押出方向と直角方向に荷重を受けて圧壊するエネルギー吸収部材に用いられる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の曲げ圧壊性と耐食性に優れたアルミニウム合金押出材。
- 質量%で、Mg:0.60〜1.20%、Si:0.30〜0.95%、Fe:0.01〜0.40%、Mn:0.001〜0.35%、Cu:0.001〜0.65%、Zn:0.001〜0.25%、Ti:0.001〜0.10%を各々含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金鋳造ビレットを、500〜590℃の温度で均質化熱処理後に、100℃/hr以上の平均冷却速度で400℃以下の温度まで強制冷却し、更に、押出出口側の押出材温度が500℃以上の溶体化温度域になるように、前記鋳造ビレットを再加熱して熱間押出を行い、この押出出口側の押出材を押出加工直後から100℃/分以上の平均冷却速度で強制冷却し、その後、押出材を更に時効処理して、この押出材の0.2%耐力を240MPa以上とするとともに、この押出材の厚み方向断面における組織を、5000倍のTEMにより観察される重心直径が1μm以上のサイズを有する粒界析出物同士の平均間隔が3μm以上である等軸再結晶粒組織とし、かつ、この押出材の厚み方向断面における最表面のグレングロス層を含めた厚み領域全域に亙るキューブ方位の平均面積率を15%以上とすることを特徴とする曲げ圧壊性と耐食性に優れたアルミニウム合金押出材の製造方法。
- 前記Al−Mg−Si系アルミニウム合金鋳造ビレットが、更に、Cr:0.001〜0.18%、Zr:0.001〜0.18%の一種または二種を合計量で0.30%以下含む請求項6に記載の曲げ圧壊性と耐食性に優れたアルミニウム合金押出材の製造方法。
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