JP2015175045A - 構造材用アルミニウム合金板 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度と成形性、耐食性とを兼備した構造材用7000系アルミニウム合金板を提供する。【解決手段】常法により製造される、特定組成の7000系アルミニウム合金板のZn量を抑制しつつ、Mg量とのバランスで、高強度を保持し、かつ、製造後の板を室温時効させた際の粒界析出物のZnとMgとの平均組成比と、この板を更に人工時効硬化処理した後の板の粒内析出物のZnとMgとの平均組成比とを制御して、構造材に要求される高強度と成形性、耐食性を兼備させる。【選択図】なし

Description

本発明は加工性を向上させ、耐食性にも優れた高強度な構造材用アルミニウム合金板に関するものである。本発明のアルミニウム合金板とは、圧延板であって、圧延によって製造された板を溶体化および焼入れ処理後に2週間以上室温時効した後の板であって、構造材への成形加工前および人工時効硬化処理前の板のことを言う。また、本発明でいう室温時効させた板の組織とは、前記溶体化および焼入れ処理後に2週間以上室温時効した後の板の組織を言う。
近年、地球環境などへの配慮から、自動車車体の軽量化の社会的要求はますます高まってきている。かかる要求に答えるべく、自動車車体のうち、パネル(フード、ドア、ルーフなどのアウタパネル、インナパネル)や、バンパリーンフォース(バンパーR/F)やドアビームなどの補強材などを、部分的に鋼板等の鉄鋼材料に代えて、アルミニウム合金材料を適用することが行われている。
ただ、自動車車体のより軽量化のためには、自動車部材のうちでも特に軽量化に寄与する、フレーム、ピラーなどの自動車構造部材にも、アルミニウム合金材料の適用を拡大することが必要となる。ただ、これら自動車構造部材は、要求される0.2%耐力が350MPa以上であるなど、前記自動車パネルに比べて、高強度化が必要である。この点で、前記自動車パネルに使用されている、成形性や強度、耐食性、そして低合金組成でリサイクル性に優れた、JIS乃至AA6000系アルミニウム合金板では、組成や調質(溶体化処理および焼入れ処理、更には人工時効硬化処理)を制御しても、前記高強度化を達成するにはほど遠い。
したがって、このような高強度な自動車構造部材には、同じような高強度が要求される前記補強材として使用されているJIS乃至AA 7000系アルミニウム合金板を用いる必要がある。しかし、Al−Zn−Mg系アルミニウム合金である、7000系アルミニウム合金は、一般耐食性が劣る。また、Zn及びMgからなる析出物MgZnを高密度に分布させることで高強度を達成する合金であるため、応力腐食割れ(以下、SCC)を起こす危険性がある。これを防止するため、やむを得ず過時効処理を行って、0.2%耐力が300MPa程度で使用されているのが実情であり、高強度合金としての特徴が薄れている。
このため、強度と耐SCC性の両方に優れた7000系アルミニウム合金押出材の組成制御や、析出物などの組織制御が、従来から種々提案されている。これに対して、7000系アルミニウム合金板における、従来の組成制御や析出物などの組織制御例は、板での実用化の少なさに応じて、きわめて少ない。
このうち、特許文献1には、溶湯を急冷凝固後に冷間圧延し、更に人工時効硬化処理後の7000系アルミニウム合金板の結晶粒内における晶析出物について、400倍の光学顕微鏡での測定によって、大きさ(面積が等価な円相当径に換算)を3.0μm以下とし、平均面積分率を4.5%以下として、強度や伸びを向上させている。
また、特許文献2、3では、構造材用の7000系板の高強度化、高耐SCC性化を図るために、鋳塊を鍛造後に、温間加工域にて繰り返して圧延して、組織を細かくしている。これは、組織を細かくすることによって、耐SCC性低下の原因となる粒界と粒内との電位差の要因となる、方位差が20°以上の大傾角粒界を抑制して、3〜10°の小傾角粒界が25%以上である集合組織を得るためである。ただ、このような温間圧延の繰り返しは、常法の熱間圧延、冷間圧延の方式では、このような小傾角粒界が25%以上である集合組織を得ることができないために行われている。したがって、常法とは大きく工程が異なるために、板をつくるために実用的な方法とは言い難い。
特開2009−144190号公報 特開2001−335874号公報 特開2002−241882号公報
このように、強度と耐SCC性の両方に優れた7000系アルミニウム合金の組成制御や析出物、あるいは集合組織などの組織制御などの提案は、従来から押出材の分野については種々されている。ただ、鋳塊を均熱処理後に熱間圧延および冷間圧延するような、常法によって製造される圧延板については、前記クラッド板、急冷凝固法、温間圧延などの特殊な圧延あるいは製法以外には、あまり提案がないのが実状である。
そして、押出材は、前記圧延板とは、その熱間加工工程などの製造過程が全く異なり、出来上がる結晶粒や析出物などの組織も、例えば結晶粒が押出方向に伸長した繊維状であるなど、結晶粒が基本的に等軸粒の圧延板とは大きく異なる。このため、前記押出材での組成制御や析出物などの組織制御などの提案が、7000系アルミニウム合金板にも、そして、この7000系アルミニウム合金板からなる自動車構造部材にも、そのまま適用でき、強度と耐SCC性の両方の向上に果たして有効であるかどうかは不明である。すなわち、実際に確認しない限りは、あくまで予想の域を出ない。
したがって、前記常法によって製造される7000系アルミニウム合金板の、強度と耐SCC性の両方に優れた組織制御技術については、未だ有効な手段がなく、不明な点が多く解明の余地があるというのが現状である。また、一般耐食性に関してはZn添加による電位の卑化が関与しているため、強度と耐食性の観点からZn添加量を下げる必要がある。しかしながら、Zn含有量を下げると耐食性は改善するものの、前記構造部材での必要特性である曲げ性などの成形加工性は向上する反面、強度が低下するという、高強度化と矛盾して技術的に困難な課題となる。
以上述べた課題に鑑み、本発明の目的は、前記常法によって製造される圧延板として、室温時効後であっても、強度と成形加工性とを兼備し、耐食性にも優れた、自動車部材などの構造材用7000系アルミニウム合金板を提供することである。
この目的を達成するために、本発明構造材用アルミニウム合金板の要旨は、質量%で、Zn:3.0〜6.0%、Mg:2.5〜4.5%、Cu:0.05〜0.5%を各々含み、かつZnの含有量[Zn]とMgの含有量[Mg]とが [Zn]≧−0.3[Mg]+4.5を満足する関係にあり、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成のAl−Zn−Mg系アルミニウム合金板であって、この板を溶体化および焼入れ処理後に室温時効させた組織において、60000倍の透過型電子顕微鏡にて観察される粒界析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)が0.5〜3.0の範囲であり、前記溶体化および焼入れ処理後に室温時効させた板を、30℃/分の昇温速度で90℃まで加熱して3時間保持後、更に30℃/分の昇温速度で140℃まで加熱して8時間保持する2段階での人工時効硬化処理した後の板の組織において、60000倍の透過型電子顕微鏡にて観察される粒内析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)が1.5〜3.5の範囲であることとする。
本発明者らは、耐食性向上のためにZn含有量を抑える一方で、強度や成形性を確保するためにMg含有量を増やした組成の7000系アルミニウム合金板につき、室温時効した板組織の粒界と粒内の析出物に注目し、これら析出物の組成が特性に及ぼす影響について解析した。
その結果、製造後の板の室温時効により生成する粒界析出物中のZn含有量(Zn組成比)を減らすと、この粒界析出物に(無駄に)消費されるZn量を低下させ、マトリックス中のZn固溶量を確保できることを知見した。そして、このように、マトリックス中のZn固溶量を確保できれば、合金組成としてのZn含有量を下げたとしても、その後の人工時効処理時の人工時効析出物(粒内析出物)の形成に必要なZn量を最大化させられ、強度と成形性のバランスやBH性を最大化できることにつながる。
また、人工時効処理時に形成される時効析出物である、粒内析出物中のZn含有量(Zn組成比)を減らすと、人工時効処理時に生成する粒内析出物(量)の形成に必要なZn量が少なくて済むことを知見した。このため、合金組成としてのZn含有量を下げても、人工時効処理時の、強化に寄与する時効析出物の析出量を最大化させられ、強度と成形性のバランスやBH性を最大化することができる。
このような析出物の組成制御によって、本発明は、Zn含有量を抑えた7000系アルミニウム合金板であっても、強度と延性(成形性)のバランスやBH性を向上させることができ、常法によって製造される圧延板として、強度と成形性(以下、成形加工性あるいは加工性とも言う)とを兼備し、耐SCC性などの耐食性にも優れた構造用7000系アルミニウム合金板を提供できる。
本発明では、このように室温時効により生成する粒界析出物組成を規定するため、前記TEMによる組織の測定を、前記調質処理直後の室温時効していない板の状態ではなく、目安として2週間以上室温時効(室温放置)した後の板であって、構造材への成形加工前および人工時効硬化処理前の板に対して行う。
以下に、本発明の実施の形態につき、要件ごとに具体的に説明する。
本発明で言うアルミニウム合金板とは、圧延によって製造された板であって、鋳塊を均熱処理後に熱間圧延され、更に冷間圧延されて冷延板とされ、更に溶体化および焼入れ処理などの調質処理(質別記号でT4)が施された、常法によって製造された7000系アルミニウム合金板のことを言う。言い換えると、前記特許文献5、6の鋳塊を鍛造した上で温間圧延を繰り返すような特殊な圧延方法や、双ロールなどの熱延を省いた薄板連鋳法などにより、製造される板を含まない。
更に、本発明で言うアルミニウム合金板とは、上記のように製造された7000系アルミニウム合金板の室温時効した組織を規定し、かつ素材アルミニウム合金板として用途の構造材に成形加工されるものである。このため、上記のように製造された板を、室温時効(室温放置)した後の板であって、用途としての構造材への成形加工前および人工時効硬化処理前の板のことを言う。以下、人工時効硬化を単に人工時効、人工時効硬化処理を単に人工時効処理とも言う。
(アルミニウム合金組成)
先ず、本発明アルミニウム合金板の化学成分組成について、各元素の限定理由を含めて、以下に説明する。なお、各元素の含有量の%表示は全て質量%の意味である。
本発明アルミニウム合金板の化学成分組成は、常法によって製造される圧延板として、本発明で意図する自動車部材などの構造材用としての要求特性である、強度と成形加工性とを兼備し、耐食性も満足させる前提条件となる。このため、本発明におけるAl−Zn−Mg−Cu系の7000系アルミニウム合金組成は、耐食性向上のためにZn含有量を抑える一方で、強度を確保するためにMg含有量を増やした組成とする。
この観点から、本発明アルミニウム合金板の化学成分組成は、質量%で、Zn:3.0〜6.0%、Mg:2.5〜4.5%、Cu:0.05〜0.5%を各々含み、かつZnの含有量[Zn]とMgの含有量[Mg]とが [Zn]≧−0.3[Mg]+4.5を満足する関係にあり、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものとする。この組成に、更に加えて、遷移元素として、Zr:0.05〜0.3%、Mn:0.1〜1.5%、Cr:0.05〜0.3%、Sc:0.05〜0.3%の1種又は2種以上を選択的に含んでも良い。また、これらの遷移元素に加えて、あるいは代えて、更に、Ag:0.01〜0.2%を選択的に含んでも良い。
Zn:3.0〜6.0%
必須の合金元素であるZnは、Mgとともに、製造された調質後の板の室温時効時にクラスタを形成して加工硬化特性を向上させ、構造材への成形加工性を向上させる。また、構造材への成形加工後の人工時効処理時に、時効析出物を形成して強度を向上させる。Zn含有量が3.0%未満では人工時効処理後の強度が不足する。但し、Zn含有量が多くなって6.0%を超えると、粒界析出物MgZnが増えて粒界腐食が起こりやすくなり、耐食性が劣化する。従って、Zn含有量は比較的少なめに抑制する。このため、Zn含有量は3.0〜6.0%、好ましくは3.4〜4.6%の各範囲とする。
Mg:2.5〜4.5%
必須の合金元素であるMgは、Znとともに、製造された調質後の板の室温時効時にクラスタを形成して加工硬化特性を向上させ、成形性を向上させる。また、構造材への成形加工後の人工時効処理時に時効析出物を形成して強度を向上させる。本発明では、Zn含有量を比較的低めに抑制するため、逆に、成形性や強度向上のために、Mg含有量を比較的多めにする。Mg含有量が2.5質量%未満では強度が不足し、加工硬化特性が低下する。但し、4.5質量%を超えると、板の圧延性が低下し、SCC感受性も強くなる。従って、Mg含有量は2.5〜4.5%の各範囲とする。
ZnとMgとのバランス式
本発明では、成形性と高強度化、そして耐食性を確保するために、前記した通り、Zn含有量を比較的低めに抑制するとともに、Mg含有量を比較的多めにする。このために、Znの含有量[Zn](質量%)と、Mgの含有量[Mg] (質量%)とが、[Zn]≧−0.3[Mg]+4.5のバランス式、好ましくは[Zn]≧−0.5[Mg]+5.75のバランス式を満たすようにする。
この[Zn]≧−0.3[Mg]+4.5を満足することによって、後述する好ましい製造方法との組み合わせで、人工時効処理後の構造材の0.2%耐力を350MPa以上とすることが可能となる。また、 好ましくは、[Zn]≧−0.5[Mg]+5.75を満足することによって、後述する好ましい製造方法との組み合わせで、人工時効処理後の構造材の0.2%耐力を400MPa以上とすることが可能となる。
ZnとMgの各含有量が、[Zn]<−0.3[Mg]+4.5では、Zn含有量を比較的低めに抑制した場合には、ZnとMgの各含有量が規定範囲内であっても、あるいは後述する好ましい製造方法によっても、人工時効処理後の構造材の0.2%耐力を350MPa以上とできなくなる可能性がある。また、Znの含有量とMgの含有量とが [Zn]<−0.5[Mg]+5.75では、同様に人工時効処理後の構造材の0.2%耐力を400MPa以上とできなくなる可能性がある。
Cu:0.05〜0.5%
Cuは、Al−Zn−Mg系合金のSCC感受性を抑え、耐SCC性を向上させる作用がある。また、一般耐食性も向上させる。Cu含有量が0.05%未満では、耐SCC性や一般耐食性の向上効果が小さい。一方、Cu含有量が0.5%を超えると、圧延性及び溶接性などの諸特性を却って低下させる。従って、Cu含有量は0.05〜0.5%、好ましくは0.05〜0.4%の各範囲とする。
Zr:0.05〜0.3%、Mn:0.1〜1.5%、Cr:0.05〜0.3%、Sc:0.05〜0.3%の1種又は2種以上
Zr、Mn、Cr、Scの遷移元素は、鋳塊及び最終製品の結晶粒を微細化して強度向上に寄与するので、必要な場合には選択的に含有させる。これらをいずれか一種、或いは二種以上を含有する場合、Zr、Mn、Cr、Scの含有量がいずれも下限未満では、含有量が不足して、強度が低下する。一方、Zr、Mn、Cr、Scの含有量がそれぞれの上限を超えた場合には、粗大晶出物を形成するため伸びが低下する。従って、これらを含有させる場合の含有量は、Zr:0.05〜0.3%、Mn:0.1〜1.5%、Cr:0.05〜0.3%、Sc:0.05〜0.3%の各範囲、好ましくはZr:0.08〜0.2%、Mn:0.2〜1.0%、Cr:0.1〜0.2%、Sc:0.1〜0.2%の各範囲とする。
Ag:0.01〜0.2%、Sn:0.001〜0.1%の1種又は2種
Ag及びSnは、構造材への成形加工後の人工時効処理によって強度向上に寄与する時効析出物を微細に析出させ、高強度化を促進する効果があるので、必要に応じて選択的に含有させる。これらをいずれか一方又は両方含有する場合、Sn含有量が0.001%未満、Ag含有量が0.01%未満では、強度向上効果が小さい。一方、SnやAg含有量が多すぎると、圧延性及び溶接性などの諸特性を却って低下させる。また、強度向上効果も飽和し、Agに関しては高価となるだけである。従って、Ag:0.01〜0.2%、Sn:0.001〜0.1%の範囲とする。
その他の元素
これら以外のその他の元素は基本的に不可避的不純物である。溶解原料として、純アルミニウム地金以外に、アルミニウム合金スクラップの使用による、これら不純物元素の混入なども想定(許容)して、7000系合金のJIS規格で規定する範囲での各々の含有を許容する。例えば、Ti、Bは、圧延板としては不純物であるが、鋳塊の結晶粒を微細化する効果もあるので、Tiの上限は0.2%、好ましくは0.1%、Bの上限は0.05%、好ましくは0.03%とする。Fe、Siは、Fe:0.5%以下、Si:0.5%以下であれば、本発明に係るアルミニウム合金圧延板の特性に影響せず、含有が許容される。
(組織)
以上の合金組成を前提として、本発明の7000系アルミニウム合金板組織を、製造された調質後、2週間以上室温時効させた後の冷延板にて規定する。このため、この冷延板を溶体化および焼入れ処理後に、2週間以上室温時効させた(調質T4の)組織とした上で、この組織の、60000倍の透過型電子顕微鏡にて観察される粒界析出物(室温時効析出物)のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)を規定する。また、同時に、前記溶体化および焼入れ処理後に2週間以上室温時効させた板を、更に30℃/分の昇温速度で90℃まで加熱して3時間保持後、更に30℃/分の昇温速度で140℃まで加熱して8時間保持する2段階での人工時効硬化処理した(調質T6の)組織とした上で、この組織の、60000倍の透過型電子顕微鏡にて観察される粒内析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)を規定する。
粒界析出物の組成
本発明では、前記調質T4の板の組織の、60000倍の透過型電子顕微鏡にて観察される粒界析出物(室温時効析出物)のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)を0.5〜3.0の範囲とする。
室温時効析出物としての粒界析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)を、この数値範囲とすることによって、粒界析出物(室温時効析出物)中のZn含有量(Zn組成比)を減らす一方で、相対的にMgを増やすことができる。これによって、合金組成のZn含有量を下げても、この粒界析出物として(無駄に)消費されるZn量を低下させ、マトリックス中のZn固溶量を増やし、確保することができる。これによって、その後の人工時効処理時の時効析出物の形成に必要なZn量を最大化させられ、強度と成形性のバランスやBH性を最大化できる。
本発明では、このように室温時効により生成する粒界析出物組成を規定するため、TEMによる組織の測定を、溶体化焼入れ処理などの調質処理直後の、室温時効していない板の状態ではなく、目安として、2週間以上室温時効(室温放置)した後の板であって、構造材への成形加工前および人工時効処理前の板に対して行う。調質処理後2週間以上室温時効(室温放置)した後の板であれば、その後の時間経過による室温時効によっても、粒界析出物の組成比の経時変化は無視できるほど小さい。
粒界析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)が上限値3.0を超えて、前記規定範囲を高めに外れると、従来技術におけるZn量が多い粒界析出物(室温時効析出物)組成と大差なくなる。このため、合金組成としてのZn含有量を下げた場合には、粒界析出物中のZn含有量(Zn組成比)が多いので、この粒界析出物に無駄に消費されるZn量が増して、マトリックス中のZn固溶量が減りすぎ、必要固溶量を確保できなくなる。この結果、その後の人工時効処理時の時効析出物の形成に必要なZn量が減り、強度と成形性のバランスが低下する。
一方、粒界析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)が下限値0.5未満で、前記規定範囲を低めに外れると、板の組成としてのZn含有量自体が不足していることを意味し、BH性が低下して、7000系アルミニウム合金とする意味自体が失われる。
粒内析出物の組成
本発明では、前記粒界析出物と同時に、製造された調質後の冷延板のBH性を保証するために、前記調質後2週間以上室温時効後の板に、特定条件の人工時効処理を施した後の組織として、人工時効析出物の組成を規定する。このため、前記調質T4の板を、30℃/分の昇温速度で90℃まで加熱して3時間保持後、更に30℃/分の昇温速度で140℃まで加熱して8時間保持する2段階での人工時効処理した(調質T6の)板の組織とした上で、この組織の、60000倍の透過型電子顕微鏡にて観察される粒内析出物(人工時効析出物)のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)が1.5〜3.5の範囲であるものとする。
人工時効析出物としての粒内析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)をこの数値範囲とすることによって、人工時効析出物としての粒内析出物中のZn含有量を減らすことができる。これによって、合金組成としてのZn含有量を下げても、粒内析出物中のZn含有量(Zn組成比)を減らすことができ、人工時効析出物(量)の形成に必要なZn量が少なくて済む。この結果、より少ないZn含有量の合金組成でも、人工時効処理時の、強化に寄与する時効析出物の析出量を最大化させられ、強度と成形性のバランスやBH性を最大化できる。
この粒内析出物は、板製造後(調質後の)の時間経過による室温時効によって、組成比の経時変化が大きくなるので、前記粒内析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)の測定は、再現性の点で、前記粒界析出物を測定したのと同じ板(調質処理後に室温時効させた板)を前記特定条件の人工時効硬化処理をした板を対象として行う。なお、この人工時効処理条件によっても、当然ながら、粒内析出物の数密度やZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)は大きく変化するので、測定の再現性の点で、本発明では、ワンポイントである30℃/分の昇温速度で90℃まで加熱して3時間保持後、更に30℃/分の昇温速度で140℃まで加熱して8時間保持する2段階での人工時効硬化処理条件と規定している。
これに対して、前記粒内析出物のZnとMgとの平均組成比が上限値3.5を超えて、前記規定範囲を高めに外れると、従来技術における、Znが多い粒内析出物の組成と大差なくなる。このため、合金組成としてのZn含有量を下げた場合には、粒内析出物中のZn含有量(Zn組成比)が多いので、人工時効処理時の時効析出物(量)の形成に必要なZn量が多くなり、粒内析出物形成にZnがより多く消費される。このため、より少ないZn含有量の合金組成では、人工時効処理時の、強化に寄与する時効析出物の析出量が低下して、強度と成形性のバランスやBH性が低くなる。
一方、粒内析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)が下限値1.5未満で、前記規定範囲を低めに外れると、板の組成としてのZn含有量自体が不足していることを意味し、人工時効析出物である粒内析出物が減少し、BH性が低下して、7000系アルミニウム合金とする意味自体が失われる。
以上の粒界および粒内の析出物の規定によって、Zn含有量を抑えた7000系アルミニウム合金板であっても、強度と延性(成形性)のバランスを向上させることができ、常法によって製造される圧延板として、350MPa以上、好ましくは400MPa以上の0.2%耐力(BH性)と、プレス成形加工性とを兼備し、耐SCC性などの耐食性にも優れた構造用7000系アルミニウム合金板を提供できる。
粒界析出物と粒内析出物の組成の測定
本発明において、60000倍のTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察される粒界析出物とは、結晶の粒界上に、点々と並んで観察される不定形の析出物で、前記TEMにて観察可能で、TEM−EDXで、そのZnとMgとの平均組成比が定量分析可能な、個々の円相当径が10〜200nm程度の大きさの析出物である。ちなみに、その円相当径とは、不定形である化合物と同じ面積を有する円の直径であり、化合物の大きさを正確に、かつ再現性良く測定あるいは規定する方法として、従来から汎用されている。
また、60000倍のTEMにて観察される粒内析出物とは、結晶の粒内に点在する不定形の析出物で、前記TEMにて観察可能で、TEM−EDXで、そのZnとMgとの平均組成比が定量分析可能な、個々の円相当径が1〜50nm程度の大きさの析出物である。
なお、円相当径が前記した大きさを超えるような粗大な粒界あるいは粒内析出物は、板の基本的な機械的特性や品質を著しく阻害する。このため、通常の板の製法や品質管理では、極力、このように粗大な析出物を存在させないように製造しており、TEMによる測定範囲として意味が無いので、測定対象から外す。また、円相当径が前記した大きさ未満の粒界あるいは粒内析出物は、TEMの検出限界になるとともに、微小すぎてEDXでのZnとMgとの組成比の分析の誤差となりやすいので、測定対象から外す。
ここで、TEM−EDXとは、本発明で用いるTEMに通常付属しているX線分光装置であり、エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)による分析装置として周知で、通常EDXと称される。このX線分光装置は、TEMによって観察される化合物(析出物)の組成などの同定や定量分析に汎用される。本発明でも、このX線分光装置を用いて、前記TEMにより観察される粒界と粒内の各析出物のZnとMgとの平均組成比を算出する。
また、規定する粒界と粒内の各析出物のZnとMgとの平均組成比とは、測定対象なる供試板の表面から板厚方向1/4部の任意の点、10箇所について行い(試料を10個採取し)、これらの測定結果を平均化して算出するという意味である。より具体的には、供試板の板厚方向の直角断面につき、表面から板厚方向1/4部の任意の点を通り、板表面に平行な面について、60000倍のTEM(透過型電子顕微鏡)を用いて測定する。試料は、上記部位から10個サンプリングした板断面試料表面を機械研磨して、板表面から約0.25mmを機械研磨により削り落とし、更に、バフ研磨を行なって表面を調整した試料を用意する。次に、反射電子像を利用し、自動解析装置により、視野内の測定対象となる前記粒界と粒内の各析出物を特定した上で、これら析出物のZnとMgとの平均組成比を測定して、その平均値を算出する。測定部位は試料研磨表面、1試料あたりの測定領域は240μm×180μmとする。
(製造方法)
本発明における7000系アルミニウム合金板の製造方法について、以下に具体的に説明する。
本発明では、7000系アルミニウム合金板の通常の製造工程による製造方法で製造可能である。即ち、鋳造(DC鋳造法や連続鋳造法)、均質化熱処理、熱間圧延の通常の各製造工程を経て製造され、板厚が1.5〜5.0mmであるアルミニウム合金熱延板とされる。次いで、冷間圧延されて板厚が3mm以下の冷延板とされる。この際、冷間圧延の中途において1回または2回以上の中間焼鈍を選択的に行なっても良い。
(溶解、鋳造冷却速度)
先ず、溶解、鋳造工程では、上記7000系成分組成範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、連続鋳造法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。
(均質化熱処理)
次いで、前記鋳造されたアルミニウム合金鋳塊に、熱間圧延に先立って、均質化熱処理を施す。この均質化熱処理(均熱処理)は、組織の均質化、すなわち、鋳塊組織中の結晶粒内の偏析をなくすことを目的とする。
但し、本発明では、製造する板の組織を、前記TEMにより観察される粒界と粒内の各析出物のZnとMgとの平均組成比として、構造材への成形加工性及び成形加工後の人工時効処理後の強度をともに向上させることが必要である。このために、均熱処理を2段或いは2回均熱工程で行うことが好ましい。通常の1回あるいは1段の均熱では、前記調質処理後に室温時効した後の板組織を、本発明で規定する粒界と粒内の各析出物のZnとMgとの平均組成比範囲内としにくくなる。
2段均熱とは、1回目の均熱後に冷却はするものの、200℃以下までは冷却せず、より高温で冷却を停止した上で、その温度で維持した後に、そのままの温度か、より高温に再加熱した上で熱延を開始する。これに対して、2回均熱とは、1回目の均熱後に、一旦室温を含む200℃以下の温度まで冷却し、更に、再加熱し、その温度で一定時間維持した後に、熱延を開始する。
これら2段或いは2回均熱工程における1段目或いは1回目の均熱工程においては、Zn系化合物や遷移元素系の化合物を微細分散させて、構造材への成形性に影響する化合物の微細化を狙い、2段目或いは2回目の均熱工程においては、Zn、Mg、Cuの固溶を促進する。これによって、前記TEMにより観察される粒界と粒内の各析出物のZnとMgとの平均組成比とする。
このために、1段目或いは1回目の均熱温度を400〜450℃、好ましくは400〜440℃に制御する。この温度範囲に鋳塊を加熱、保持する。この均熱温度が400℃未満では前記化合物の十分な微細化効果が得られない。また、一方で450℃を超えると、前記化合物が粗大化してしまう。これら1段目或いは1回目の均熱処理の保持時間は1〜8時間程度で良い。
また、2段目或いは2回目の均熱処理温度を450℃〜固相線温度、好ましくは470℃〜固相線温度に制御する。この温度範囲に鋳塊を加熱、保持することによって、前記化合物の固溶を促進させることができる。この均熱温度が450℃未満では、これらの元素の固溶が十分に得られない。また、一方で固相線温度を超えると、部分溶融が起こり、機械的特性が劣化するので、上限は固相線温度以下とする。これら2段目或いは2回目の均熱時の保持時間は1〜8時間程度で良い。
(熱間圧延)
熱間圧延は、熱延開始温度が固相線温度を超える条件では、バーニングが起こるため熱延自体が困難となる。また、熱延開始温度が350℃未満では熱延時の荷重が高くなりすぎ、熱延自体が困難となる。したがって、熱延開始温度は350℃〜固相線温度の範囲から選択して熱間圧延し、2〜7mm程度の板厚の熱延板とする。この熱延板の冷間圧延前の焼鈍 (荒鈍) の必要はない。
(冷間圧延)
冷間圧延では、上記熱延板を圧延して、1〜3mm程度の所望の最終板厚の冷延板 (コイルも含む) に製作する。冷間圧延パス間で中間焼鈍を行っても良い。
(溶体化処理)
冷間圧延後は調質として溶体化処理を行う。これによって、前記TEMにより観察される、特に粒界析出物(室温時効析出物)のZnとMgとの平均組成比とする。この溶体化処理については、通常の連続熱処理ラインによる加熱,冷却でよく、特に限定はされない。ただ、各元素の十分な固溶量を得ることや結晶粒の微細化のためには、450℃〜固相線温度以下、好ましくは480〜550℃の溶体化処理温度で、保持時間は所定の溶体化処理温度に到達後、2秒か3秒以上、30分以下の範囲で行う。
溶体化処理後の平均冷却(降温)速度は、前記TEMにより観察される、特に粒界析出物(室温時効析出物)のZnとMgとの平均組成比とするために、10℃/s以上、好ましくは30℃/s以上、より好ましくは40℃/s以上の、できるだけ速い冷却速度にて行う。溶体化処理後の平均冷却(降温)速度が遅いと、粗大な粒界析出物が形成される結果、前記TEMにより観察される、特に粒界析出物(室温時効析出物)のZnとMgとの平均組成比とはなりにくい。
このため、溶体化処理後の冷却には、ファンなどの空冷、ミスト、スプレー、浸漬等の水冷手段など、強制的な冷却手段を選択あるいは組み合わせて用いるか、室温〜100℃までの温湯に焼き入れる。ちなみに、溶体化処理は基本的に1回のみであるが、室温時効硬化が進みすぎた場合などには、自動車部材への成形性の確保のため、溶体化処理や復元処理を前記好ましい条件にて再度施して、この進みすぎた室温時効硬化を一旦キャンセルしても良い。
そして、本発明のアルミニウム合金板は、素材として、自動車部材に成形加工され、自動車部材として組み立てられる。また、自動車部材に成形加工された後で、別途人工時効処理されて、自動車部材あるいは自動車車体とされる。
人工時効硬化処理:
本発明の7000系アルミニウム合金板は、構造材への成形加工後に人工時効硬化処理(以下、単に人工時効処理あるいは時効処理とも言う)によって、前記TEMにより観察される、特に粒内析出物(人工時効析出物)のZnとMgとの平均組成比とされ、自動車部材などの構造材としての所望の強度、0.2%耐力で350MPa以上、好ましくは400MPa以上とされる。
この人工時効処理を行う時点は、素材7000系アルミニウム合金板の自動車部材への成形加工後が好ましい。人工時効処理後の7000系アルミニウム合金板は、強度は高くなるものの、成形性は低下しており、自動車部材の形状の複雑化によっては成形できない場合も生じるからである。
この人工時効処理の温度や時間の条件は、所望の強度や素材の7000系アルミニウム合金板の強度、あるいは室温時効の進行程度などから、一般的な人工時効条件(T6、T7)の範囲で決定される。ちなみに、人工時効処理の条件を例示すると、1段の時効処理であれば、100〜150℃での時効処理を12〜36時間(過時効領域を含む)行う。また、2段の工程においては、1段目の熱処理温度が70〜100℃の範囲で2時間以上、2段目の熱処理温度が100〜170℃の範囲で5時間以上の範囲(過時効領域を含む)から選択する。
ただ、この人工時効処理条件の範囲の中でも、前記TEMにより観察される、特に粒内析出物(人工時効析出物)のZnとMgとの平均組成比として、BH後の強度を、構造材として必要な380MPa以上、好ましくは400MPa以上に保証できる好ましい条件がある。この条件とは、前記1段の人工時効工程では人工時効処理時の昇温速度、あるいは2段の人工時効処理では1段目の人工時効処理時の昇温速度を、30℃/分以下の、できるだけ遅い昇温速度で行うことである。これによって、生成する粒内析出物(人工時効析出物)のZn含有量を低減できる一方で、マトリックス中のZn量を確保でき、規定するZnとMgとの平均組成比とすることができる。なお、上記2段目の昇温速度はBH後の強度に影響せず、30℃/分以上の効率的な昇温速度が選択される。なお、2段目の再加熱は、1段目の加熱温度での保持後、一旦室温まで冷却してから再加熱しても、保持している温度から連続的に再加熱しても、強度への影響に差はなく、どちらでも良い。
ここで、本発明において規定する、粒内析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)における人工時効硬化処理の条件は、30℃/分の昇温速度で90℃まで加熱して3時間保持後、更に30℃/分の昇温速度で140℃まで加熱して8時間保持する2段階の特定条件としている。これは、素材7000系アルミニウム合金板の自動車部材への成形加工後の実際の人工時効処理において生成する、強度に影響する粒内析出物のZnとMgとの平均組成比との相関を図るためである。
なお、素材7000系アルミニウム合金板の自動車部材への成形加工後の実際の人工時効処理の条件は、勿論種々異なる。しかし、前記1段のみの場合や、2段の場合の1段目の、各昇温速度さえ、30℃/分以下としてやれば、前記した好ましい範囲内の人工時効処理条件であれば、強度に影響する粒内析出物の生成量やZnとMgとの平均組成比に大差は無い。
しかも、本発明において規定する、粒内析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)における人工時効硬化処理条件における、30℃/分の昇温速度は、構造材として必要な380MPa以上の所望の強度を得る、最低の条件である。すなわち、前記した好ましい範囲内の人工時効処理条件であれば、この昇温速度が30℃/分未満と遅いほど、強度が高くなり、実際の自動車部材への成形加工後の人工時効処理において生成する粒内析出物のZnとMgとの平均組成比との相関が図れる。
下記表1に示すAl−Zn−Mg−Cu系成分組成の7000系アルミニウム合金冷延板を、規定する粒界と粒内の各析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)を種々変えて製造した。これら製造した冷延板について、この板を溶体化および焼入れ処理後に2週間室温時効させた際(T4)の、粒界析出物のZnとMgとの平均組成比や、加工硬化指数n値(10〜15%)、強度、伸びなどの機械的特性を測定した。また、この2週間室温時効させた板を、更に人工時効硬化処理(T6)を行った後の、粒内析出物のZnとMgとの平均組成比や、強度などの機械的な特性と一般耐食性についても評価した。これらの結果を下記表2、3に示す。
板の前記粒界と粒内の各析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)は、表1に示す成分組成とともに、表2、3に示す、鋳塊の均熱処理条件と、冷延板の溶体化処理後の平均冷却速度とを種々変えて制御した。
具体的には、各例とも共通して、下記表1に示す各成分組成の7000系アルミニウム合金溶湯をDC鋳造し、45mm厚み×220mm幅×145mm長さの鋳塊を得た。この鋳塊を表2の条件で2段均熱あるいは2回均熱を行った。2段均熱は1回目の均熱後に250℃まで冷却し、その温度で冷却を一旦停止した上で、2段目の均熱温度に再加熱および保持し、熱延開始温度まで冷却した上で熱延を開始した。2回均熱は、1回目の均熱後に、一旦室温まで冷却した上で、2回目の均熱温度に再加熱および保持し、熱延開始温度まで冷却した上で熱延を開始した。表2の1回のみの均熱処理は、一旦冷却した上での2回目の再加熱は行わず、通常通り、その均熱温度と時間保持した上で、熱延開始温度まで冷却して熱延を開始した。
これらの均熱処理後に、表2に示す開始温度で熱間圧延を行い、板厚5mmtの熱延板を製造した。この熱延板を、荒鈍処理を施さずに、2mmtまで冷間圧延を行った。この冷延板を、各例とも共通して500℃×1分の溶体化処理を施し、この溶体化処理後に強制空冷の仕方を変えて、平均冷却速度を種々変えて室温まで冷却し、T4調質材を得た。この溶体化処理後のアルミニウム合金板を、各例とも共通して2週間室温時効させた板から、板状試験片を採取して、前記粒界の析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)の測定と、加工硬化指数n値の測定、強度、伸びなどの機械的特性を以下の要領にて調査した。
また、自動車部材への成形加工後の人工時効硬化処理を模擬して、前記2週間室温時効後のアルミニウム合金板を、T6処理として、更に30℃/分の昇温速度で90℃まで加熱して3時間保持後、この保持している90℃から連続的に再加熱して30℃/分の昇温速度で140℃まで加熱して8時間保持する2段階での人工時効硬化処理を行った。
なお、発明例の一部は、T6条件の違いによる影響を見るために、T6条件のみを敢えて変えた熱処理条件で行った。具体的には、表2の発明例18は、1段目は30℃/分の昇温速度で90℃まで加熱して3時間保持する条件で行った後、2段目を、30℃/分の昇温速度であるが、130℃まで加熱して12時間保持する条件で行った。また、表2の発明例19は、1段のみの人工時効処理で、昇温速度は30℃/分で行い、120℃まで加熱して24時間保持する条件で行った。
この人工時効硬化処理後のアルミニウム合金板の中央部から板状試験片を採取して、粒内の各析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)、機械的特性や耐食性も、以下の要領にて調査した。これらの結果を各々表2、3に示す。
(粒界析出物と粒内析出物の組成の測定)
60000倍のTEM−EDXを用い、前記した各要領にて、粒界析出物と粒内析出物とのZnとMgとの平均組成比を各々測定した。
(機械的特性)
各例とも機械的特性は、共通して、各板状試験片の圧延直角方向の室温引張試験を行い、0.2%耐力(MPa)、全伸び(%)を測定した。室温引張り試験はJIS2241(1980)に基づき、室温20℃で試験を行った。引張り速度は5mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行った。
(n値)
加工硬化指数n値は、前記人工時効硬化処理後の板状試験片を、JIS5号引張試験片(標点間距離50mm)として、圧延直角方向の室温引張試験を行い測定した。そして、降伏伸びの終点から真応力と真歪みを計算し、横軸を歪み、縦軸を応力とした対数目盛上にプロットし、測定点が表す直線の勾配を、公称ひずみ10%、15%の2点で計算して、n値(10〜15%)とした。
(粒界腐食感受性)
一般的な耐食性評価のために、旧JIS-W1103 の規定に準じた粒界腐食感受性試験を、前記人工時効硬化処理後の板状試験片(試験片3個)に対して行った。試験条件は、試験片を硝酸水溶液(30質量%)に室温で1分間浸漬した後、水酸化ナトリウム水溶液(5質量%)に40℃で20秒浸漬した後、硝酸水溶液(30質量%)に室温で1分間浸漬することによって試験片の表面を洗浄した。その後、塩化ナトリウム水溶液(5質量%)に浸漬した状態で、1mA/cm2の電流密度の電流を24時間流した後、試料を引き上げ、その後、試験片の断面を切断・研磨し、光学顕微鏡を用いて、試料表面からの腐食深さを測定した。倍率は×100 とし、腐食深さが200μm 以下までを軽微な腐食として「○」と評価した。また、200μm を超える場合を大きな腐食として「×」と評価した。
表1、2から明らかなように、各発明例1〜19は、本発明アルミニウム合金組成範囲内であり、前記した好ましい製造条件の範囲内で製造されている。
この結果、この板を溶体化および焼入れ処理後に室温時効させた(調質T4)の組織において、60000倍の透過型電子顕微鏡にて観察される粒界析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)が0.5〜3.0の範囲である。また、前記調質T4の板を更に前記2段階での人工時効硬化処理した(調質T6)の板の組織において、60000倍の透過型電子顕微鏡にて観察される粒内析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)が1.5〜3.5の範囲であり、本発明の組織規定を満たしている。
このため、2週間の室温時効後であっても、成形性として必要な加工硬化指数n値0.22以上を満たし、延性に優れ、構造材への成形加工性に優れている。これと同時に、室温時効後であってもBH性に優れており、強度が高い。組成が[Zn]≧−0.3[Mg]+4.5を満足する発明例は、人工時効硬化処理後の(調質T6の)0.2%耐力が構造材として必要な380MPa以上であり、 [Zn]≧−0.5[Mg]+5.75を満足する場合には、人工時効硬化処理後の0.2%耐力がより高くなって430MPa以上である。
ちなみに、T6条件の違いによる影響を見るためにT6条件のみを変えた、発明例5、18、19同士の比較では、組織や特性において細かい数値の違いはあるものの、粒内析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)が1.5〜3.5の範囲である。また、人工時効硬化処理後の0.2%耐力が同じ420MPaレベルであり、耐食性が良いことに変わりはない。したがって、段落0067で記載した、人工時効処理の温度や時間の好適な範囲の意義が裏付けられる。
これに対して、表2の比較例20〜32は、合金組成が、表1の番号で17〜29であり、本発明範囲から外れている。
表2の比較例20、21は、合金組成が表1の番号で17、18であり、[Zn]、[Mg]は各々規定範囲内であるが、ZnとMgとのバランス式である、[Zn]≧−0.3[Mg]+4.5や[Zn]≧−0.5[Mg]+5.75の関係を両方満足していない。このため、好ましい製造条件内で製造されているものの、前記析出物組成比を満たさず、室温時効後の加工硬化指数n値(10〜15%)は0.21〜0.22レベルだが、人工時効硬化処理後の0.2%耐力が高くても329MPa程度と低すぎ、成形加工性と強度とを兼備できていない。
表2の発明例のうちでも、ZnとMgとのバランス式のうち、[Zn]≧−0.3[Mg]+4.5は満たすが、[Zn]≧−0.5[Mg]+5.75の方を満たさない、合金組成が表1の番号で1〜4、6、8の、発明例1〜5、7、9のT6での0.2%耐力は391〜429MPaレベルである。これは、これらバランス式を両方満足する他の発明例の、T6での0.2%耐力が431〜459MPaレベルであるのに比して、相対的に低い。したがって、これらの例から、Zn含有量を低めに抑制するとともに、Mg含有量を多めにする、前記バランス式の意義が裏付けられる。
表2の比較例22〜24は合金組成が表1の番号で19〜21であり、Mgが下限を外れて少なすぎる。このため、前記ZnとMgとのバランス式を満足し、好ましい製造条件内で製造されていても、特に粒内析出物の組成比Zn/Mgが下限を外れ、室温時効後の加工硬化指数n値は0.21レベルだが、人工時効硬化処理後の0.2%耐力が高くても349MPa程度と低すぎ、成形加工性と強度とを兼備できていない。
比較例25〜28は合金組成が表1の番号で22〜25であり、Mgが上限を外れて多すぎる。このため、前記ZnとMgとのバランス式を満足し、好ましい製造条件内で製造されていても、特に粒内析出物の組成比Zn/Mgが下限を外れ、室温時効後の加工硬化指数n値(10〜15%)は0.22〜0.23レベルだが、人工時効硬化処理後の0.2%耐力が高くても369MPa程度と低すぎ、成形加工性と強度とを兼備できていない。
比較例29、30は合金組成が表1の番号で26、27であり、Znが上限を外れて多すぎる。このため、前記ZnとMgとのバランス式を満足し、好ましい製造条件内で製造されていても、特に粒内析出物の組成比Zn/Mgが下限を外れ、室温時効後の加工硬化指数n値(10〜15%)は0.22〜0.23レベルだが、人工時効硬化処理後の0.2%耐力が高くても362MPa程度と低すぎ、成形加工性と強度とを兼備できていない。また、耐食性も劣る。
比較例31は合金組成が表1の番号で28であり、Cuが下限を外れる。このため、前記ZnとMgとのバランス式を満足し、好ましい製造条件内で製造され、前記析出物組成比を満たし、室温時効後の加工硬化指数n値(10〜15%)も0.23レベルで、人工時効硬化処理後の0.2%耐力も448MPaレベルで、成形加工性と強度とを兼備できている。しかし、致命的には耐食性が劣る。
比較例32は合金組成が表1の番号で29であり、Cuが上限を外れる。このため、前記ZnとMgとのバランス式を満足し、好ましい製造条件内で製造され、前記析出物組成比を満たすが、室温時効後の加工硬化指数n値(10〜15%)が0.209と低く、人工時効硬化処理後の0.2%耐力は456MPaレベルだが、成形加工性と強度とを兼備できていない。
表2の比較例33〜37は、表1の合金番号1の発明例アルミニウム合金を用いているものの、好ましい製造条件範囲から外れて製造されている。
比較例33は1回目の均熱温度が低すぎる。
比較例34は2回目の均熱温度が低すぎる。
比較例35は溶体化処理後の平均冷却速度が遅すぎる。
比較例36、37は1回のみの均熱処理である。
このため、これら均熱処理条件が好ましい範囲から外れた比較例は、粒界析出物の組成比Zn/Mgか、粒内析出物の組成比Zn/Mgかを満たさず、室温時効後の加工硬化指数n値(10〜15%)が0.22未満となって延性や構造材への成形加工性が劣るか、人工時効硬化処理後の0.2%耐力も330MPa未満かと低くなって、成形加工性と強度とを兼備できていない。
以上の結果から、本発明アルミニウム合金板が高強度と高延性(成形性)そして耐SCC性を兼備するための本発明各要件の臨界的な意義が裏付けられる。
Figure 2015175045
Figure 2015175045
Figure 2015175045
以上説明したように、本発明は、室温時効後であっても、強度と成形性、耐食性とを兼備した自動車部材用7000系アルミニウム合金板を提供できる。したがって、本発明は車体軽量化に寄与する、フレーム、ピラーなどの自動車構造材や、これ以外の他の用途の構造材などにも好適である。

Claims (4)

  1. 質量%で、Zn:3.0〜6.0%、Mg:2.5〜4.5%、Cu:0.05〜0.5%を各々含み、かつZnの含有量[Zn]とMgの含有量[Mg]とが [Zn]≧−0.3[Mg]+4.5を満足する関係にあり、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成のAl−Zn−Mg系アルミニウム合金板であって、この板を溶体化および焼入れ処理後に室温時効させた組織において、60000倍の透過型電子顕微鏡にて観察される粒界析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)が0.5〜3.0の範囲であり、前記溶体化および焼入れ処理後に室温時効させた板を、30℃/分の昇温速度で90℃まで加熱して3時間保持後、更に30℃/分の昇温速度で140℃まで加熱して8時間保持する2段階での人工時効硬化処理した後の板の組織において、60000倍の透過型電子顕微鏡にて観察される粒内析出物のZnとMgとの平均組成比(Zn/Mg)が1.5〜3.5の範囲であることを特徴とする構造材用アルミニウム合金板。
  2. 前記アルミニウム合金板が、更に、質量%で、Zr:0.05〜0.3%、Mn:0.1〜1.5%、Cr:0.05〜0.3%、Sc:0.05〜0.3%の1種又は2種以上を含む請求項1に記載の構造材用アルミニウム合金板。
  3. 前記アルミニウム合金板が、更に、質量%で、Ag:0.01〜0.2%、Sn:0.001〜0.1%の1種又は2種を含む請求項1または2に記載の構造材用アルミニウム合金板。
  4. 前記アルミニウム合金板のZnの含有量[Zn]とMgの含有量[Mg]とが [Zn]≧−0.5[Mg]+5.75を満足する関係にあり、前記人工時効硬化処理後の0.2%耐力が400MPa以上である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の構造材用アルミニウム合金板。
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