JP5473499B2 - エレベータの救出運転システム - Google Patents

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Description

本発明は、建物内で火災等の災害が発生したときに、各号機のエレベータを用いて救出運転を行うエレベータの救出運転システムに関する。
近年の建物の高層化に伴い、エレベータは建物の縦の移動手段として欠くことのできない役割を果たしている。また、車いすの利用者などの身体に障害を持つ人が建物の各階を移動するためにも、エレベータは重要な役割を果たす。
ここで、火災が発生した場合に、現在、エレベータを避難階へ走行後、運転を休止するといった運用がなされており、法令上の制限はないが、エレベータを避難手段として積極的に利用していないのが現状である。このため、建物に残っている人は階段を利用して避難階まで移動しなければならず、避難するまでに時間がかかり、また、階段で転ぶなどして怪我をする危険性もある。
そこで、近年では、火災発生時にエレベータを避難手段として積極的に利用する要求が高まってきている。例えば特許文献1では、火災発生時にエレベータの運転を行い、その際に車いす利用者の滞在階床に乗りかごを優先的に配車する方法を開示している。
特開2005−335893号公報
火災が発生した場合に、エレベータの乗りかごをできるだけ多く周回(折り返し運転)させて、各階床にいる在館者を少しでも早く避難させる必要がある。この場合、車いす利用者などの災害弱者は途中で階段を使用して避難することが困難であるため、避難階(通常、1階)まで運ぶ必要がある。しかしながら、乗りかごを避難階まで運転していると、周回に時間を要してしまうため、各階床にいる在館者の救出に遅れが生じてしまう問題がある。
なお、上記特許文献1では、各階床の乗場の状況(待ち人数や車いす利用者の有無)に応じて乗りかごの配車を制御しているが、その後の運転方法については特に言及されていない。
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、一般の利用者をできるだけ早く安全な階へ運ぶと共に、車いす利用者などの災害弱者については避難階まで運ぶことで、各階床にいる在館者を効率良く救出することのできるエレベータの救出運転システムを提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも1台の車いす号機を含む複数号機のエレベータが並設された建物に用いられるエレベータの救出運転システムにおいて、上記建物内で災害が発生したときに、その発生場所を検出する災害検出手段と、各階の乗場にて一般呼びまたは車いす呼びを登録する乗場呼び登録手段と、災害発生時に上記乗場呼び登録手段によって上記一般呼びが登録された場合には上記車いす号機以外の一般号機に上記一般呼びを割り当て、上記車いす呼びが登録された場合には上記車いす号機を含む上記各号機の中で所定の条件を満たす号機に上記車いす呼びを割り当てる割当制御手段と、この割当制御手段によって上記車いす呼びに応答した号機を予め設定された避難階まで直通運転し、上記一般呼びに応答した号機については、その号機に既に上記車いす呼びが登録済みであるか否かを判断し、上記車いす呼びが登録されていなければ、当該号機を上記災害検出手段によって検出された災害発生場所よりも下の安全な階まで運転し、上記車いす呼びが登録済みであれば、当該号機を上記避難階まで直通運転する救出運転手段とを具備したことを特徴とする。
本発明によれば、車いす呼びに応答した号機を避難階まで直通運転し、一般呼びに応答した号機を火災発生場所よりも下の安全な階まで運転する。これにより、一般の利用者をできるだけ早く安全な階へ運ぶと共に、車いす利用者などの災害弱者については避難階まで運ぶことができ、各階床にいる在館者を効率良く救出することができる。
図1は本発明の一実施形態に係るエレベータの救出運転システムの構成を示すブロック図である。 図2は同実施形態におけるエレベータの乗りかごの構成を示す図である。 図3は同実施形態におけるエレベータの乗場の構成を示す図である。 図4は同実施形態における救出運転モード時の各号機の運転状態を示す図である。 図5は同実施形態における管理制御装置の一般呼びと車いす呼びの割当制御に関する処理動作を示すフローチャートである。 図6は同実施形態における管理制御装置の各号機の運転制御に関する処理動作を示すフローチャートである。 図7は同実施形態におけるエレベータの乗場の表示器に表示されるメッセージの一例を示す図である。 図8は同実施形態におけるエレベータの乗りかご内の表示器に表示されるメッセージの一例を示す図である。 図9は同実施形態におけるエレベータの乗りかご内の表示器に表示されるメッセージの一例を示す図である。 図10は同実施形態におけるエレベータの乗りかご内の表示器に表示されるメッセージの一例を示す図である。 図11は同実施形態におけるエレベータの乗りかご内の表示器に表示されるメッセージの一例を示す図である。 図12は同実施形態におけるエレベータの乗りかご内の表示器に表示されるメッセージの一例を示す図である。 図13は同実施形態における管理制御装置の各号機の運転制御に関する他の処理動作を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るエレベータの救出運転システムの構成を示すブロック図である。
本システムは、群管理制御装置11と、火災検出装置12と、報知装置13と、単体制御装置14a,14b,14c…と、エレベータの乗りかご15a,15b,15c…と、一般呼びボタン16a,16b,16c…と、車いす呼びボタン17a,17b,17c…と、荷重センサ18a,18b,18c…とを有する。
群管理制御装置11は、建物に並設された複数号機のエレベータを群管理制御する。この群管理制御装置11は、コンピュータによって構成される。火災検出装置12は、建物の各階床に設置されており、火災の発生を検知して、その発生場所を群管理制御装置11に通知する。報知装置13は、火災検出装置12によって火災の発生が検知されたときに避難警告等を報知する。
単体制御装置14a,14b,14c…は、例えばかご呼びの登録やドアの開閉など、各号機のエレベータの運転を個別に制御するものである。この単体制御装置14a,14b,14c…についても、群管理制御装置11と同様にコンピュータによって構成される。乗りかご15a,15b,15c…は、図示せぬ巻上機の駆動により昇降路内を昇降動作し、乗客を乗せて各階床間を移動する。
乗りかご15a,15b,15c…には、それぞれに積載荷重を検出するための荷重センサ18a,18b,18c…が設置されており、これらの荷重センサ18a,18b,18c…によって検出された積載荷重の信号が単体制御装置14a,14b,14c…を介して群管理制御装置11に与えられる。
また、一般呼びボタン16a,16b,16c…と車いす呼びボタン17a,17b,17c…は、乗場呼びボタンとして各階床の乗場に設置されている。一般呼びボタン16a,16b,16c…は、一般の利用者が乗場呼びを登録するための操作ボタンである。これに対し、車いす呼びボタン17a,17b,17c…は、車いすの利用者が乗場呼びを登録するための操作ボタンであり、車いすの高さに合わせて、一般呼びボタン16a,16b,16c…よりも低い位置に設置されているのが一般的である。
一般呼びボタン16a,16b,16c…または車いす呼びボタン17a,17b,17c…の操作により、当該乗場の階床と行先方向を示す情報、一般呼び/車いすを示す属性情報を含んだ乗場呼びの信号が群管理制御装置11に送られる。
これにより、群管理制御装置11では、各号機のエレベータの運転状態に基づいて当該乗場呼びを割り当てるべきエレベータを選出して応答させる。この場合、通常の運転時であれば、一般呼びは車いす号機を含む各号機のいずれかに割り当てられ、車いす呼びは車いす号機に割り当てられる。これに対し、火災発生時には、一般呼びは車いす号機以外の号機(つまり一般号機)に割り当てられ、車いす呼びは所定の条件の下で車いす号機または一般号機に割り当てられる(図5参照)。
ここで、本実施形態において、群管理制御装置11には、火災発生時に関する機能構成として、制御部21と記憶部22が設けられている。
制御部21は、各号機のエレベータの運転制御に関わる処理を行うものであり、ここでは割当制御部21a、救出運転部21b、通知部21cを有する。
割当制御部21aは、火災発生時に一般呼びが登録された場合には車いす号機以外の一般号機に一般呼びを割り当て、車いす呼びが登録された場合には車いす号機を含む各号機の中で所定の条件を満たす号機に車いす呼びを割り当てる。
「所定の条件」とは、乗りかごの積載率と応答時間である。すなわち、割当制御部21aは、一般号機の中で所定の積載率以下の号機が存在するか否かを判断し、該当する号機がなかった場合には車いす号機に車いす呼びを割り当て、該当する号機が存在した場合にはその一般号機と車いす号機のうちの応答の早い号機に車いす呼びを割り当てる。
救出運転部21bは、割当制御部21aによって車いす呼びに応答した号機を予め設定された避難階まで直通運転し、一般呼びに応答した号機を火災検出装置12によって検出された火災発生場所よりも下の安全な階まで運転する。また、この救出運転部21bは、車いす呼びが既に割り当てられた号機に一般呼びの割り当てが追加された場合に、その号機を避難階まで直通運転する。
通知部21cは、救出運転時における各種メッセージを通知するものであり、例えば既に車いす呼びが既に割り当てられた号機が一般呼びに応答したときに、その号機を避難階まで直通運転する旨を通知する。
記憶部22は、制御部21の運転制御に必要な各種情報として、各階床で登録された乗場呼びの情報やその乗場呼びを割り当てた号機などの情報を記憶している。
図2はエレベータの乗りかごの構成を示す図である。
乗りかご15の正面には、かごドア31が開閉自在に設けられており、そのかごドア31の横に各種操作ボタンが配設された操作パネル32が設けられている。この操作パネル32には、乗客が行先階を指定するための行先階指定ボタン33の他、戸開ボタン34a、戸閉ボタン34bなどが設けられている。
また、この乗りかご15内には、メッセージを表示するための表示器35と音声アナウンスを行うためのスピーカ36が設置されている。
さらに、車いす号機であれば、乗りかご15内の側面に車いす利用者用の操作パネル37が設けられている。この操作パネル37は、車いす利用者が操作可能な位置に設置されており、上記操作パネル32と同様に行先階指定ボタン38、戸開ボタン39a、戸閉ボタン39bなどを有する。
図3はエレベータの乗場の構成を示す図である。
エレベータの乗場19には、乗場ドア41が開閉自在に設けられている。乗場ドア41は、乗りかご15が着床したときにかごドア31に係合して開閉する。この乗場ドア41の近傍に一般呼びボタン16が設けられている。
一般呼びボタン16は、一般の利用者が乗場呼びを登録するための操作ボタンであり、具体的には行先方向を指定するための上方向指定ボタンと下方向指定ボタンからなる。この乗場呼びボタン16とは別に車いす利用者専用の車いす呼びボタン15が設けられている。この車いす呼びボタン15は、車いす利用者が操作可能な位置に設置されており、一般呼びボタン16aと同様に上方向指定ボタンと下方向指定ボタンを有する。
また、乗場ドア41の上に現在のかご位置などを表示するためのインジケータ43が設けられている。さらに、乗場ドア41付近に、メッセージを表示するための表示器44と音声アナウンスを行うためのスピーカ45が設置されている。
次に、本システムの動作について説明する。
今、図4に示すように、1F〜20Fの建物に4台のエレベータが並設されたシステム想定する。以下では、4台のエレベータをそれぞれA号機,B号機,C号機,D号機と称し、これらのエレベータの乗りかごを乗りかご15a,15b,15c,15dと記述する。また、A号機,B号機,C号機は一般号機、D号機は車いす号機として予め設定されており、1Fが火災発生時の避難階とする。
(a)割当制御
図5は本システムにおける管理制御装置11の一般呼びと車いす呼びの割当制御に関する処理動作を示すフローチャートである。なお、このフローチャートで示される処理は、コンピュータである群管理制御装置11が所定のプログラムを読み込むことにより実行される。
建物内で火災が発生すると(ステップS11のYes)、火災検出装置12によって火災発生場所(火災が発生した階床)が検出され、その検出信号が群管理制御装置11に与えられる。これにより、群管理制御装置11に設けられた制御部21は、通常の運転モードから救出運転モードに切り替えて(ステップS12)、まず、現在登録されているUP方向(上方向)の乗場呼びをすべてキャンセルすることにより、在館者が上方向へ移動することを禁止する(ステップS13)。
なお、上記「乗場呼び」には、一般呼びボタン16の操作により登録される一般呼びと車いす呼びボタン17の操作により登録される車いす呼びが含まれる。
また、救出運転モードに切り替わったときに、その旨をかご内および乗場に通知することが望ましい。表示にて通知する場合には、図2に示した表示器35、図3に示した表示器44を用いる。音声にて通知する場合には、図2に示したスピーカ36、図3に示したスピーカ45を用いる。
ある階床にて下方向の一般呼びが新たに登録されると(ステップS14のYes)、群管理制御装置11は、車いす号機以外の号機つまり一般号機に対して当該一般呼びを割り当てる(ステップS15)。
なお、上記ステップS15において、一般号機が多数存在する場合には、一般的な評価関数式を用いて各号機の中から最適な号機を選出し、その号機に当該一般呼びを割り当てる。図4の例では、D号機が車いす号機であるので、一般号機であるA号機,B号機,C号機のいずれかに割り当てられることになる。
一方、下方向の車いす呼びが新たに登録された場合には(ステップS16のYes)、以下のような割当制御が実行される。
すなわち、群管理制御装置11は、車いす号機と、所定の積載率以下の一般号機を候補として選出する(ステップS17)。「所定の積載率以下」とは、具体的には定格荷重の50%以下であり、これは車いすの重さなどを考慮して予め決められる。つまり、一般号機については、車いす利用者が乗車可能なスペースを十分に有する号機が候補対象となる。なお、各号機の積載荷重の値は図1に示した荷重センサ18a,18b,18c…によって検出される。
該当する一般号機が存在しなかった場合には(ステップS18のNo)、群管理制御装置11は、車いす号機に対して当該車いす呼びを割り当てる(ステップS19)。
なお、上記ステップS19において、車いす号機が多数存在する場合には、一般的な評価関数式を用いて各号機の中から最適な号機を選出し、その号機に当該車いす呼びを割り当てる。図4の例では、D号機だけが車いす号機であるので、D号機に割り当てられることになる。
また、該当する一般号機が存在した場合には(ステップS18のYes)、群管理制御装置11は、車いす号機とその一般号機のうち、応答の早い号機に当該車いす呼びを割り当てる(ステップS20)。例えば、図4において、C号機が積載条件を満たす一般号機であり、19Fでの車いす呼びに対してD号機よりも早く応答できる場合には、C号機に割り当てられることになる。
なお、車いす号機の積載率が例えば80%を超えていた場合、つまり、乗りかご内に車いす利用者が乗車するためのスペースが少ない場合には、積載条件を満たす一般号機を優先するものとする。
ここで、一般号機に車いす呼びが割り当てられた場合には(ステップS21のYes)、後述するように、その一般号機は車いす号機として扱われ、避難階まで直通運転されることになる(図6のS34参照)。したがって、当該号機が到着したときに車いす利用者の乗車を優先させるために、群管理制御装置11は、図7に示すようなメッセージをその呼び登録階の乗場19に設置された表示器44に表示する(ステップS22)。
このようなメッセージの表示により、車いす呼びの登録に対して一般号機が応答した際に、一般の利用者に乗車を遠慮してもらうことを期待できる。なお、同様のメッセージをスピーカ45を通じて音声出力することでもよい。
このようにして、一般呼びまたは車いす呼びが各号機の中の適切な号機に割り当てられると、その結果を示す割当情報が群管理制御装置11の記憶部22に記憶される。
(b)運転制御
図6は本システムにおける管理制御装置11の各号機の運転制御に関する処理動作を示すフローチャートである。なお、図5と同様に、このフローチャートで示される処理についても、コンピュータである群管理制御装置11が所定のプログラムを読み込むことにより実行される。
ある号機が呼び登録階に到着すると、群管理制御装置11は、記憶部22を参照して、車いす呼びに応答したものであるか否かを判断する(ステップS31)。車いす呼びに応答した号機の場合には(ステップS31のYes)、群管理制御装置11は、その号機に対して避難階のかご呼びを自動登録する(ステップS32)。
そして、群管理制御装置11は、図8に示すようなメッセージを当該号機のかご内に設置された表示器35に表示して、乗客に火災発生のために避難階へ直通運転する旨を通知して(ステップS33)、当該号機を避難階へ直通運転する(ステップS34)。なお、同様のメッセージをスピーカ36を通じて音声出力することでもよい。
直通運転中は、利用者によるかご呼びの操作が禁止される。また、その途中の階で乗場呼び(一般呼びまたは車いす呼び)が登録された場合には適宜応答可能である。ただし、乗場呼びに応答して停止回数が増えると、周回時間がさらに遅くなるため、火災発生階より下の階では一般呼びの登録を禁止して、車いす呼びのみに応答させることが好ましい。
一方、一般呼びに応答した号機の場合には(ステップS35のYes)、群管理制御装置11は、まず、その号機に既に車いす呼びが登録されているか否かを判断する(ステップS36)。
ここで、一般呼びは車いす号機以外つまり一般号機のみに割り当てられる(図5のステップS14〜S15参照)。ところが、一般号機には、条件によって車いす呼びが割り当てられることがある(図5のステップS16〜S20参照)。
したがって、一般号機が一般呼びに応答したときに、既に車いす呼びが登録されていることがある(ステップS36のYes)。この場合、群管理制御装置11は、図8に示すようなメッセージを当該号機のかご内に設置された表示器35に表示して、乗客に火災発生のために避難階へ直通運転する旨を通知して(ステップS37)、当該号機を避難階へ直通運転する(ステップS38)。なお、同様のメッセージをスピーカ36を通じて音声出力することでもよい。
また、一般号機が一般呼びに応答したときに、避難階のかご呼びが登録されていなければ(ステップS36のNo)、群管理制御装置11は、できるだけ早く折り返し運転するべく、火災発生階よりもの下の階を安全階として定め、その安全階のかご呼びを自動登録する(ステップS39)。
そして、群管理制御装置11は、図9に示すようなメッセージを当該号機のかご内に設置された表示器35に表示して、乗客に火災発生のために途中の安全な階で停止する旨を通知して(ステップS40)、当該号機をその安全階まで運転する(ステップS41)。なお、同様のメッセージをスピーカ36を通じて音声出力することでもよい。
ここで、上記「安全階」とは、例えば火災発生階よりも少なくもと2階床分の下の階であるとする。これは、火災発生階のすぐ下の階は危険性が高いことによる。当然のことながら、2階床よりも、もっと下の階を安全階として定めることでもよい。
図4の例では、15Fで火災が発生し、その2階床だけ下の13Fを安全階として定めている。したがって、例えばC号機が15Fより上の階で一般呼びに応答した際に、車いす呼びが登録されていなければ、そこから13Fの安全階まで運転し、そこで戸開して乗客を降ろした後、上方向へ折り返し運転することになる。
このように本システムによれば、火災が発生した際に、車いす呼びに応答した号機については避難階まで直通運転することで、車いす利用者などの災害弱者を優先的に避難させることができる。一方、一般呼びのみに応答した号機については途中の安全な階まで運転することで、周回時間を短縮化して、一般の利用者を少しでも早く安全な階まで運んで避難させることができる。
なお、避難運転モードに切り替わったときに、その旨の表示を行った場合には、避難運転が終わったときに消灯するものとする。避難運転モードの終了、例えば群管理制御装置11に避難運転を終了するためのボタンを設け、エレベータ管理者がそのボタンを操作することにより行う。
また、乗場での車いす利用者優先の旨の表示は、該当する乗りかごが応答後、戸閉したときに消灯するものとする。具体的には、図6のステップS33の後に、車椅子呼びに応答したのが一般号機だった場合に消灯する処理を加えることで実現できる。
また、かご内における号機の行先階(安全な階/避難階)の表示は、その行先階に到着したときに消灯する。なお、行先階に到着してから戸閉するまでの間は、乗客に降車を促す旨の表示あるいは音声にて通知することが好ましい。
例えば、安全な階に到着するときで、避難階のかご呼びがない場合であれば、図10に示すように、「ドアが開いたら降りてください。この先は、階段をご利用ください。」といったようなメッセージをかご内の表示器35に表示する。
また、安全な階に到着するときで、避難階にもかご呼びがある場合であれば、図11に示すように、「ドアが開いたら降りてください。この先は、階段をご利用ください。階段を利用できない方は、ご乗車のままお待ちください。」といったようなメッセージをかご内の表示器35に表示する。
また、避難階に到着するときには、図12に示すように、「避難階です。ドアが開いたら降りてください。」といったようなメッセージをかご内の表示器35に表示する。
また、本システムでは、割当を行う順序によっては、かごの行先階に安全な階と避難階の両方が設定される場合がある。その際、避難階へ行くことが決まった時点で安全な階へのかご呼びをキャンセルするようにすれば、降車のための停止回数を減らせるので、運行効率を高めることができる。
具体的には、図13に示すように、車いす呼びに応答した場合に、安全な階にかご呼びがあるか否かを判断し(ステップA11)、ある場合には、その安全な階のかご呼びをキャンセルする(ステップA12)を加えることで実現できる。
なお、上記実施形態では、火災が発生した場合の救出運転を想定して説明したが、本発明は建物内で火災以外の何らかの災害が発生した場合でも同様に適用可能である。
要するに、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
11…群管理制御装置、12…火災検出装置、13…報知装置、14a,14b,14c…単体制御装置、15,15a,15b,15c,15d…乗りかご、16,16a,16b,16c…乗場呼びボタン、17,17a,17b,17c…車いす呼びボタン、18a,18b,18c…荷重センサ、19…乗場、21…制御部、21a…割当制御部、21b…救出運転部、21c…通知部、22…記憶部、31…かごドア、32…操作パネル、33…行先階指定ボタン、34a…戸開ボタン、34b…戸閉ボタン、35…表示器、36…スピーカ、37…操作パネル、38…行先階指定ボタン、39a…戸開ボタン、39b…戸閉ボタン、41…乗場ドア、43…インジケータ、44…表示器、45…スピーカ。

Claims (7)

  1. 少なくとも1台の車いす号機を含む複数号機のエレベータが並設された建物に用いられるエレベータの救出運転システムにおいて、
    上記建物内で災害が発生したときに、その発生場所を検出する災害検出手段と、
    各階の乗場にて一般呼びまたは車いす呼びを登録する乗場呼び登録手段と、
    災害発生時に上記乗場呼び登録手段によって上記一般呼びが登録された場合には上記車いす号機以外の一般号機に上記一般呼びを割り当て、上記車いす呼びが登録された場合には上記車いす号機を含む上記各号機の中で所定の条件を満たす号機に上記車いす呼びを割り当てる割当制御手段と、
    この割当制御手段によって上記車いす呼びに応答した号機を予め設定された避難階まで直通運転し、上記一般呼びに応答した号機については、その号機に既に上記車いす呼びが登録済みであるか否かを判断し、上記車いす呼びが登録されていなければ、当該号機を上記災害検出手段によって検出された災害発生場所よりも下の安全な階まで運転し、上記車いす呼びが登録済みであれば、当該号機を上記避難階まで直通運転する救出運転手段と
    を具備したことを特徴とするエレベータの救出運転システム。
  2. 上記割当制御手段は、上記車いす呼びが登録された場合に上記一般号機の中で所定の積載率以下の号機が存在するか否かを判断し、該当する号機がなかった場合には上記車いす号機に上記車いす呼びを割り当て、該当する号機が存在した場合にはその一般号機と上記車いす号機のうちの応答の早い号機に上記車いす呼びを割り当てることを特徴とする請求項1記載のエレベータの救出運転システム。
  3. 上記割当制御手段によって上記一般号機に上記車いす呼びが割り当てられた場合に、その呼び登録階の乗場に車いす利用者の乗車を優先させるための通知を行う通知手段を具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータの救出運転システム。
  4. 上記救出運転手段は、上記災害検出手段によって検出された災害発生場所よりも少なくとも2階床分だけ下の階を安全階として定め、上記一般呼びに応答した号機をその安全階まで運転することを特徴とする請求項1記載のエレベータの救出運転システム。
  5. 上記救出運転手段によって上記避難階まで直通運転する号機に対して、その旨を通知する通知手段を具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータの救出運転システム。
  6. 上記救出運転手段によって上記災害発生場所よりも下の安全な階まで運転する号機に対して、その旨を通知する通知手段を具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータの救出運転システム。
  7. 上記災害検出手段は、上記建物内で火災が発生したときに、その発生場所を検出することを特徴とする請求項1記載のエレベータの救出運転システム。
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