JP5471465B2 - グラファイト層間化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、グラファイト層間化合物の製造方法に関し、より詳しくは、グラファイトの層間に金属ハロゲン化物が挿入された層間化合物の製造方法に関する。
グラファイトの層間に金属ハロゲン化物を挿入させたグラファイト層間化合物(以下、「GIC」と略す)は、高い導電性を示し、空気中において安定であることから導電材料や電池材料として注目されている。また、GICは、触媒や有機化グラファイトの中間原料としても有用である。
このようなGICは、従来、グラファイトと金属ハロゲン化物とを、ハロゲンガス雰囲気下において200℃以上の高温で反応させることによって合成されていた〔例えば、特開昭63−295412号公報(特許文献1)、特開平1−208308号公報(特許文献2)参照〕。しかしながら、このような合成方法は、ハロゲンガスを供給する必要があること、高温での反応であることなど、安全性の観点から工業的な製造には不向きであった。
また、特開昭63−277507号公報(特許文献3)には、塩素ガスを供給する代わりに塩素化合物を分解して塩素雰囲気を作りだし、GICを製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法も塩素ガス雰囲気下、高温でグラファイトと金属ハロゲン化物とを反応させることには変わらず、安全性の観点から未だ改良の余地があった。
一方、特開昭62−41706号公報(特許文献4)および特開平2−153812号公報(特許文献5)には、ハロゲンガスを使用せず、真空下でGICを製造する方法が開示されている。特許文献4に記載の方法では、ハロゲンガスを使用しないという点で安全ではあるものの、目的とする金属塩化物以外に他の金属塩化物を共存させるため、GICに目的とするに金属塩化物以外の金属塩化物が混入するおそれがあった。また、特許文献5に記載の方法は、2種類以上の金属ハロゲン化物を挿入することを目的とする方法である。
特開昭63−295412号公報 特開平1−208308号公報 特開昭63−277507号公報 特開昭62−41706号公報 特開平2−153812号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、グラファイトの層間に金属ハロゲン化物が挿入されたグラファイト層間化合物(GIC)を、ハロゲンガスを使用せず、200℃以下の温度で安全に製造することが可能な方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の有機溶媒中でグラファイトと金属ハロゲン化物を反応させることによって、ハロゲンガスを使用せず、200℃以下の温度で安全にGICを製造することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のグラファイト層間化合物の製造方法は、脂肪族ハロゲン化物、芳香族ハロゲン化物および芳香族ニトロ化物から選択される少なくとも1種の有機溶媒中で、ハロゲンガスを使用せずに、グラファイトと金属ハロゲン化物として塩化アルミニウムを反応させることを特徴とする方法である。
本発明のグラファイト層間化合物の製造方法においては、反応系の気相部分が不活性ガスで置換されていることが好ましい。本発明に用いられる有機溶媒としては、炭素数1〜10の脂肪族ハロゲン化物および炭素数6〜10の芳香族ハロゲン化物から選択される少なくとも1種の有機溶媒が好ましく、また、前記有機溶媒の25℃における前記塩化アルミニウムの飽和濃度は1g/L以上であることが好ましい
本発明のグラファイト層間化合物の製造方法において、グラファイトと塩化アルミニウムを反応させる際の温度は200℃以下であることが好ましい。
なお、本発明のGICの製造方法によって200℃以下の温度でグラファイトの層間に金属ハロゲン化物を挿入できる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明のGICの製造方法においては、有機溶媒に溶解した金属ハロゲン化物がグラファイトの層間に入り込むと推察される。この場合、溶解した金属ハロゲン化分子の周囲には有機溶媒分子が存在し、この有機溶媒分子がグラファイトと金属ハロゲン化物との反応を媒介するため、200℃以下の温度でもグラファイトの層間に金属ハロゲン化物を容易に挿入できると推察される。
また、本発明のGICの製造方法において特定の有機溶媒を用いることによってグラファイトの層間に金属ハロゲン化物を挿入できる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、グラファイトの層間に挿入される金属ハロゲン化物はルイス酸であり、層間挿入(インターカレーション)の駆動力は、ルイス酸である金属ハロゲン化物とグラファイトの芳香族間との間における電荷移動錯体形成であると推察される。また、グラファイトの層間に入り込む金属ハロゲン化物は有機溶媒に溶解した金属ハロゲン化物であると推察される。本発明に用いられる脂肪族ハロゲン化物、芳香族ハロゲン化物、芳香族ニトロ化物は、金属ハロゲン化物のルイス酸性を低下させることなく、金属ハロゲン化物を溶解させることが可能な溶媒であるため、上述したような電荷移動錯体が形成しやすく、金属ハロゲン化物がグラファイトの層間に容易に挿入されると推察される。
本発明によれば、グラファイトの層間に金属ハロゲン化物が挿入されたグラファイト層間化合物(GIC)を、ハロゲンガスを使用せず、200℃以下の温度で安全に製造することが可能となる。
本発明における金属ハロゲン化物−グラファイト層間化合物の生成過程を模式的に示す図である。 実施例1で得た塩化アルミニウム−グラファイト層間化合物のX線回折パターンを示すグラフである。 図2Aに示すX線回折パターンの2θ=20〜30°の範囲を拡大したグラフである。 実施例2で得た塩化アルミニウム−グラファイト層間化合物のX線回折パターンを示すグラフである。 図3Aに示すX線回折パターンの2θ=20〜30°の範囲を拡大したグラフである。 実施例3で得た塩化アルミニウム−グラファイト層間化合物のX線回折パターンを示すグラフである。 実施例4で得た塩化アルミニウム−グラファイト層間化合物のX線回折パターンを示すグラフである。 実施例5で得た塩化アルミニウム−グラファイト層間化合物のX線回折パターンを示すグラフである。 グラファイトのX線回折パターンを示すグラフである。 図7Aに示すX線回折パターンの2θ=20〜30°の範囲を拡大したグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明のGICの製造方法は、特定の有機溶媒中でグラファイトと金属ハロゲン化物を反応させることによって、グラファイトの層間に金属ハロゲン化物を挿入させる方法である。
本発明に用いられる金属ハロゲン化物を構成する金属原子としては、ハロゲン化物を形成するものであれば特に制限はないが、GICを形成できるという観点から、アルミニウム原子、カルシウム原子、クロム原子、マンガン原子、鉄原子、コバルト原子、ニッケル原子、銅原子、亜鉛原子、カドミウム原子、バリウム原子、タングステン原子などが好ましく、安価で適度なルイス酸性を有し、層間挿入後に重合開始能(カチオン重合、配位重合、酸化重合)を有するという観点から、アルミニウム原子が特に好ましい。
また、前記金属ハロゲン化物を構成するハロゲン原子としては特に制限はないが、金属ハロゲン化物の入手容易性と安定性の観点から、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
このような金属ハロゲン化物のうち、精製しやすく、安価で適度なルイス酸を有し、層間挿入後に重合開始能(カチオン重合、配位重合、酸化重合)を有するという観点から、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、塩化鉄、臭化鉄が好ましく、塩化アルミニウムが特に好ましい。
本発明のGICの製造方法においては、このような金属ハロゲン化物とグラファイトを、特定の有機溶媒中で反応させる。このような有機溶媒としては、脂肪族ハロゲン化物、芳香族ハロゲン化物、芳香族ニトロ化物が挙げられる。これらの有機溶媒は1種を単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。これらの有機溶媒のうち、グラファイトと金属ハロゲン化物との反応速度が速く、GICを高収率で製造でき、金属ハロゲン化物の溶解性が高いという観点から、脂肪族ハロゲン化物、芳香族ハロゲン化物が好ましく、脂肪族ハロゲン化物がより好ましい。
前記脂肪族ハロゲン化物としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクレン、クロロプロパン、ジクロロプロパン、クロロブタン、クロロペンタン、クロロヘキサンといった脂肪族塩化物;ブロモエタン、ブロモプロパン、ブロモヘキサンといった脂肪族臭化物;ヨードメタン、ヨードエタンといった脂肪族ヨウ化物などが挙げられる。中でも、金属ハロゲン化物との相互作用が強く、金属ハロゲン化物がグラファイトの層間に入り込みやすくなるという観点から、炭素数1〜10の脂肪族ハロゲン化物が好ましく、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンがより好ましい。
前記芳香族ハロゲン化物としては、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン(o−体、m−体、p−体、およびこれらの混合物)、トリクロロベンゼンといった芳香族塩化物;ブロモベンゼン、ジブロモベンゼンといった芳香族臭化物;ヨードベンゼンに代表される芳香族ヨウ化物などが挙げられる。中でも、金属ハロゲン化物との相互作用が強く、金属ハロゲン化物がグラファイトの層間に入り込みやすくなるという観点から、炭素数6〜10の芳香族ハロゲン化物が好ましく、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン(o−体、m−体、p−体、およびこれらの混合物)がより好ましい。
前記芳香族ニトロ化物としては、ニトロベンゼン、ニトロトルエン(o−体、m−体、p−体)などが挙げられる。中でも、工業的な入手のし易さ、精製のし易さ、融点という観点から、炭素数6の芳香族ニトロ化物が好ましく、ニトロベンゼン、ニトロトルエンがより好ましい。
また、本発明に用いられる有機溶媒においては、使用する金属ハロゲン化物の飽和濃度が25℃において1g/L以上であることが好ましく、10g/L以上であることがより好ましい。使用する金属ハロゲン化物の飽和濃度が前記下限未満になると、有機溶媒に溶解している金属ハロゲン化物の量が少なく、十分な量の金属酸化物をグラファイトの層間に挿入するのが困難となる傾向にある。このような25℃における金属ハロゲン化物の飽和濃度が1g/L以上の有機溶媒としては、クロロヘキサン、クロロブタン、クロロペンタン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、クロロベンゼンが挙げられ、10g/L以上の有機溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、クロロベンゼンが挙げられる。
さらに、本発明のGICの製造方法においては、金属ハロゲン化物との相互作用がより強くなり、金属ハロゲン化物がグラファイトの層間により挿入されやすくなるという観点から、挿入する金属ハロゲン化物のハロゲン原子と同じハロゲン原子を有する脂肪族ハロゲン化物および芳香族ハロゲン化物から選択される少なくとも1種の有機溶媒を使用することが特に好ましい。例えば、金属塩化物を挿入する場合には、脂肪族塩化物および芳香族塩化物から選択される少なくとも1種の有機溶媒を使用することが好ましい。
本発明のGICの製造方法においては、先ず、前記有機溶媒にグラファイトと金属ハロゲン化物を添加して混合物を調製する。グラファイトの添加量としては、有機溶媒1Lに対して0.1〜500gが好ましく、0.1〜100gがより好ましく、1〜10gが特に好ましい。グラファイトの添加量が前記下限未満になるとグラファイトと金属ハロゲン化物が反応しにくく、GICの収率が低下する傾向にある。他方、前記上限を超えると、撹拌が困難となるため、均一な反応が困難となる傾向にある。
また、金属ハロゲン化物の添加量としては、有機溶媒1Lに対して0.1〜500gが好ましく、0.1〜100gがより好ましく、0.1〜50gが特に好ましい。金属ハロゲン化物の添加量が前記下限未満になるとグラファイトと金属ハロゲン化物が反応しにくく、GICの収率が低下する傾向にある。他方、前記上限を超えると、撹拌が困難となるため、均一な反応が困難となる傾向にある。
次に、前記有機溶媒中においてグラファイトと金属ハロゲン化物を反応させる。反応温度としては、グラファイトと金属ハロゲン化物が反応する温度であれば特に制限はないが、安全性の観点から、200℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、100℃以下が特に好ましい。他方、反応温度の下限としては、−10℃以上が好ましく、0℃以上がより好ましく、20℃以上が特に好ましい。反応温度が前記下限未満になるとグラファイトと金属ハロゲン化物の反応が十分に進行せずGICの収率が低下する傾向にある。
本発明における反応時間としては、0.05〜10日間が好ましく、0.1〜5日間がより好ましく、1〜5日間が特に好ましい。反応時間が前記下限未満になるとグラファイトと金属ハロゲン化物の反応が十分に進行せず、GICの収率が低下する傾向にある。他方、前記上限を超えて反応させてもそれ以上の収率向上の効果が得られにくい傾向にある。
また、本発明においては、グラファイトと金属ハロゲン化物の反応は前記有機溶媒中で行われるが、反応容器の気相部分は、不活性ガスで置換されていることが好ましい。これにより、生成するGICの水、CO、Oによる分解を回避させることが可能となる。前記不活性ガスとしては特に制限はなく、窒素ガス、アルゴンガス、乾燥空気、ヘリウムなどが挙げられる。
このようなグラファイトと金属ハロゲン化物の反応により、金属ハロゲン化物はグラファイトの層間に挿入され、GICが形成される。このGICは、従来の高温気相法により製造されたGICと同じ構造を有するものであり、この構造は、X線回折測定により得られるX線回折パターンを比較することにより確認することができる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
塩化アルミニウムの飽和濃度(25℃)が60g/Lである1,2−ジクロロエタン7mlに塩化アルミニウム183mgとグラファイト40mgと添加して混合物を調製し、この混合物を、不活性ガス雰囲気下、耐圧反応器に密封し、80℃で加熱しながら3日間撹拌した。得られた固形分をガラス板上にキャストしてX線回折測定を行なった。その結果を図2Aおよび図2Bに示す。また、グラファイトのみのX線回折パターンを図7Aおよび図7Bに示す。
図7Aおよび図7Bに示したように、グラファイトのX線回折パターンにおいては2θ=27°付近に1本の回折ピークが観察されるのに対して、前記固形分のX線回折パターンにおいては、図2Aおよび図2Bに示したように複数の回折ピークが観察された。また、図2Aおよび図2Bに示したX線回折パターンは、従来の高温気相法(220℃)により合成された塩化アルミニウム−グラファイト層間化合物のX線回折パターン(Joint Committee on Powder Diffraction Standards(JDPDS):#7−34)と一致した。
このことから、1,2−ジクロロエタン中でグラファイトと塩化アルミニウムが反応し、グラファイトの層間に塩化アルミニウムが挿入された塩化アルミニウム−グラファイト層間化合物が形成されたことが確認された。また、グラファイトと塩化アルミニウムを、1,2−ジクロロエタン中、80℃で3日間撹拌して反応させると、全てのグラファイトを塩化アルミニウム−グラファイト層間化合物に変換できることが分かった。
(実施例2)
1,2−ジクロロエタンの代わりに塩化アルミニウムの飽和濃度(25℃)が110g/Lであるニトロベンゼン5mlを用いた以外は実施例1と同様にして塩化アルミニウムとグラファイトの混合物を撹拌した。得られた固形分のX線回折パターンを図3Aおよび図3Bに示す。
このX線回折パターンは前記JDPDS#7−34のX線回折パターンと一致した。このことから、ニトロベンゼン中においてもグラファイトと塩化アルミニウムが反応し、塩化アルミニウム−グラファイト層間化合物が形成されたことが確認された。ただし、ニトロベンゼン中においては、80℃で3日間撹拌しても未反応のグラファイトが一部残存し、塩化アルミニウム−グラファイト層間化合物は、未反応のグラファイトとの混合物として得られることが分かった。
(実施例3)
1,2−ジクロロエタンの代わりに塩化アルミニウムの飽和濃度(25℃)が60g/Lであるクロロホルム7mlを用い、撹拌時の温度を70℃に変更した以外は実施例1と同様にして塩化アルミニウムとグラファイトの混合物を撹拌した。得られた固形分のX線回折パターンを図4に示す。このX線回折パターンは前記JDPDS#7−34のX線回折パターンと一致した。このことから、クロロホルム中においてもグラファイトと塩化アルミニウムが反応し、塩化アルミニウム−グラファイト層間化合物が形成されたことが確認された。
(実施例4)
1,2−ジクロロエタンの代わりに塩化アルミニウムの飽和濃度(25℃)が13g/Lであるジクロロメタン7mlを用い、撹拌時の温度を50℃に変更した以外は実施例1と同様にして塩化アルミニウムとグラファイトの混合物を撹拌した。得られた固形分のX線回折パターンを図5に示す。このX線回折パターンは前記JDPDS#7−34のX線回折パターンと一致した。このことから、ジクロロメタン中においてもグラファイトと塩化アルミニウムが反応し、塩化アルミニウム−グラファイト層間化合物が形成されたことが確認された。
(実施例5)
1,2−ジクロロエタンの代わりに塩化アルミニウムの飽和濃度(25℃)が20g/Lであるクロロベンゼン7mlを用い、撹拌時の温度を50℃に変更した以外は実施例1と同様にして塩化アルミニウムとグラファイトの混合物を撹拌した。得られた固形分のX線回折パターンを図6に示す。
このX線回折パターンにおいては、2θ=10〜20°の範囲に不明な回折ピークが観察されたが、その他の範囲においては前記JDPDS#7−34のX線回折パターンと一致した。このことから、クロロベンゼン中においてもグラファイトと塩化アルミニウムが反応し、塩化アルミニウム−グラファイト層間化合物が形成されたことが確認された。なお、2θ=10〜20°の範囲の回折ピークから、前記固形分にはクロロベンゼンと塩化アルミニウムとの副反応物が含まれていることが示唆された。
(比較例1)
塩化アルミニウム183mgとグラファイト40mgを混合した。この混合物を、不活性ガス雰囲気下、耐圧反応器に密封し、80℃で加熱しながら3日間撹拌した。得られた固形分についてX線回折測定を行なったところ、X線回折パターンは図7Aおよび図7Bに示したグラファイトのX線回折パターンと一致し、塩化アルミニウム−グラファイト層間化合物の生成は認められなかった。このことから、不活性ガス雰囲気下、上記温度条件では、グラファイトと塩化アルミニウムは反応せず、塩化アルミニウムをグラファイトの層間に挿入できないことが分かった。
(比較例2)
1,2−ジクロロエタンの代わりに二硫化炭素7mlを用いた以外は実施例1と同様にして塩化アルミニウムとグラファイトの混合物を撹拌した。得られた固形分についてX線回折測定を行なったところ、X線回折パターンは図7Aおよび図7Bに示したグラファイトのX線回折パターンと一致し、塩化アルミニウム−グラファイト層間化合物の生成は認められなかった。このことから、二硫化炭素中では、グラファイトと塩化アルミニウムは反応せず、塩化アルミニウムをグラファイトの層間に挿入できないことが分かった。
以上説明したように、本発明によれば、グラファイトの層間に金属ハロゲン化物が挿入された金属ハロゲン化物−グラファイト層間化合物を、ハロゲンガスを使用せず、200℃以下の温度で安全に得ることができる。
したがって、本発明のグラファイト層間化合物の製造方法は、安全性に優れ、また液相反応であることからスケールアップも容易であるため、GICの大量生産に有用である。そして、本発明のグラファイト層間化合物の製造方法によってGICを大量に生産することが可能になると、GICを導電材料、電池材料、触媒、有機化グラファイトの中間原料など様々な用途に利用することが可能となるため、本発明のグラファイト層間化合物の製造方法は工業的に非常に有益な方法である。

Claims (5)

  1. 脂肪族ハロゲン化物、芳香族ハロゲン化物および芳香族ニトロ化物から選択される少なくとも1種の有機溶媒中で、ハロゲンガスを使用せずに、グラファイトと金属ハロゲン化物として塩化アルミニウムを反応させることを特徴とするグラファイト層間化合物の製造方法。
  2. 反応系の気相部分が不活性ガスで置換されていることを特徴とする請求項1に記載のグラファイト層間化合物の製造方法。
  3. 前記有機溶媒が炭素数1〜10の脂肪族ハロゲン化物および炭素数6〜10の芳香族ハロゲン化物から選択される少なくとも1種の有機溶媒であることを特徴とする請求項1または2に記載のグラファイト層間化合物の製造方法。
  4. 前記有機溶媒の25℃における前記塩化アルミニウムの飽和濃度が1g/L以上であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のグラファイト層間化合物の製造方法。
  5. グラファイトと塩化アルミニウムを反応させる際の温度が200℃以下であることを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか一項に記載のグラファイト層間化合物の製造方法。
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