JP5470340B2 - 車両の前部車体 - Google Patents
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特許文献1の前部車体によれば、車体前方から荷重(衝撃荷重)が入力した場合、入力した荷重を左右のフロントサイドフレームや左右のロードパス部材の2経路に分散させることが可能である。
また、左右のロードパス部材に分散された荷重で、左右のロードパス部材を変形させることにより、左右のロードパス部材で分散された荷重を吸収することができる。
しかし、特許文献1の車両の前部車体は、車体前方から入力した荷重を左右のフロントサイドフレームや左右のロードパス部材の2経路のみに分散させている。
このため、左右のフロントサイドフレームや左右のロードパス部材を長くする必要があり、そのことがエンジンルームの長さ寸法を小さく抑える妨げになっていた。
よって、枠体部の一部がロアメンバ部の下半部で構成されている。
また、枠体部にはフロントサイドフレームの前端部が連結されている。
さらに、枠体部からアンダロードパス手段を車体後方に向けて延出させた。
すなわち、ロアメンバ部、フロントサイドフレームの前端部およびアンダロードパス手段の前端部が枠体部で連結されている。
入力した荷重を3経路、すなわち多数の経路に分散させることで、各部材に伝えられる荷重を小さくできる。
ロアメンバ部、フロントサイドフレームおよびアンダロードパス手段の変形量を小さく抑えることで、エンジンルームの長さ寸法を小さく抑えることができる。
これにより、ロアメンバ部、フロントサイドフレームおよびアンダロードパス手段の変形量を小さく抑えても、分散された荷重をロアメンバ部、フロントサイドフレームおよびアンダロードパス手段で良好に吸収できる。
すなわち、車体前方から入力した荷重をロアメンバ部、フロントサイドフレームおよびアンダロードパス手段に分散させて良好に吸収することができる。
よって、ボックス部、ロードパス部材およびサブフレームの各部材の荷重吸収能力を最大限に発揮させることができる。
よって、荷重の吸収量を増すことができるので、ロアメンバ部、フロントサイドフレームおよびアンダロードパス手段の各部材の荷重吸収能力を抑えることができる。
これにより、各部材の変形量を小さく抑えることで、エンジンルームの長さ寸法を小さく抑えることができる。
よって、サブフレームに動力源を当てることで、後取付部を変形させて荷重を吸収することができる。
これにより、車体側の取付部を変形させることなく荷重を吸収できるので車室空間を好適に保つことができる。
後取付部およびサブフレーム本体の後部間に、凹型湾曲形状の湾曲部が介在されることで、サブフレーム本体の後部を後取付部から車体前方に所定量離すことができる。
よって、サブフレーム本体の後部および車体側の取付部間に空間(クリアランス)を確保できる。
これにより、サブフレーム本体の車体後方への移動量を十分に確保して荷重を吸収することができる。
これにより、サブフレーム本体の車体後方への移動量を一層確実に確保して荷重をさらに確実に吸収することができる。
図1、図2に示すように、車両の前部車体10は、車体前後方向に向けて延出された左右のフロントサイドフレーム(一対のフロントサイドフレーム)12と、左右のフロントサイドフレーム12の車幅方向外側(上方)に設けられた左右のフロントアッパメンバ(フロントアッパメンバ)13と、左右のフロントサイドフレーム12の前端部12a間に設けられたフロントバルクヘッド15とを備えている。
右フロントサイドフレーム12は、車両の前部右側に設けられている。
この左フロントサイドフレーム12は、車体前後方向に向けて延出されることにより、後端部12bが左フロアフレーム27に連結された骨材である。
左右のフロントサイドフレーム12には取付ブラケットを介して動力源67(エンジン68や変速機69)が搭載されている。
前端部12aにビード38を設けることで、左フロントサイドフレーム12に入力した荷重で前端部12aを圧縮変形(圧潰変形)させることができる。
さらに、左フロントサイドフレーム12は、補強部材29の車体後方側に第1折曲部位12eが設けられ、第1折曲部位12eの車体後方に第2折曲部位12fが設けられている。
また、第2折曲部位12fは、車幅方向内側に向けて突出するように折り曲げられている。
よって、左フロントサイドフレーム12に車体前方から荷重(衝撃荷重)が入力した際に、入力した荷重で、第1折曲部位12e、第2折曲部位12fおよび前折曲部位12dを車幅方向(すなわち、横方向)に折り曲げることができる。
クロスメンバ31は、車幅方向に延出され、左端部31aが左傾斜後端部12cに設けられ(図7も参照)、右端部31aが右傾斜後端部12cに設けられている。
ダッシュボード32は、左右のフロントサイドフレーム12の傾斜後端部12cから上方に立ち上げられている。ダッシュボード32を傾斜後端部12cから上方に立ち上げることにより、ダッシュボード32でエンジンルーム34および車室が仕切られる。
この左フロントアッパメンバ13は、左フロントピラー33から車体前方に向けて下り勾配に延出されたアッパメンバ部35と、アッパメンバ部35から車体下方に向けて延出されたロアメンバ部36とを有する。
このロアメンバ部36は、左フロントサイドフレーム12の前端部12aより車幅方向外側に設けられ、アッパメンバ部35から前下方に向けて湾曲状に形成されることで下半部36aが略鉛直状に設けられている。
以下、ロアメンバ部36の下半部36aをメンバ下半部36aと称す。
また、メンバ下半部36aは、フロントバルクヘッド15の左サイドステイ41に対して車幅方向に所定間隔をおいて設けられ、かつ、左サイドステイ41に対して略平行に設けられている。
よって、メンバ下半部36aに車体前方から荷重が入力した際に、入力した荷重でロアメンバ部36の中央部36dが変形してメンバ下半部36aが車体後方に移動する。
このフロントバルクヘッド15は、左フロントサイドフレーム12の前端部12aに設けられた左サイドステイ(サイドステイ)41と、右フロントサイドフレーム12の前端部12aに設けられた右サイドステイ(サイドステイ)41と、左右のサイドステイ41の上端部に架け渡されたアッパバルクメンバ42と、左右のサイドステイ41の下端部41aに架け渡されたロアバルクメンバ43とを備えている。
このラジエータは、エンジンの冷却水を外気(空気)で冷却するための熱交換器である。
コンデンサは、例えば、エアコン用の冷媒ガスを冷却して液化するものである。
この左サイドステイ41は、下端部41a、中央部41b、下端部41aおよび中央部41b間の部位41cでステイ下半部41dが形成されている。
このロアバルクメンバ43は、左端近傍部43aが左サイドステイ41の下端部41aに連結され、左端部43bがロアメンバ部36(メンバ下半部36a)の下端部36bに連結されている。
このロアバルクメンバ43は、左端近傍部43a、左端部43b、左端近傍部43aおよび左端部43b間の部位43cで左バルクメンバ部43dが形成されている。
この左バルクメンバ部43dは、左連結部材17の下方に配置され、左連結部材17に沿わせて略平行に設けられている。
すなわち、左連結部材17は、内端部17aが左フロントサイドフレーム12の前端部12aに連結され、外端部17bがメンバ下半部36aの上端部36cに連結されている。
さらに、左サイドステイ41の下端部41aおよびメンバ下半部36aの下端部36bが左バルクメンバ部43dで連結されている。
よって、枠体部21の一部位に荷重が入力した場合、入力した荷重は枠体部21の全域に分散される。
左アンダロードパス手段25は、枠体部21に設けられたボックス部46と、ボックス部46の車体後方に設けられたロードパス部材47と、ロードパス部材47の車体後方に設けられたサブフレーム48とを備えている。
なお、サブフレーム48は、右アンダロードパス手段25にも用いられている(兼用されている)部材である。
すなわち、左アンダロードパス手段25に車体前方から荷重が入力した場合、まず入力した荷重でボックス部46を変形させ、つぎにロードパス部材47を変形させ、ついでサブフレーム48を変形させるように各部材46,47,48の強度が設定されている。
よって、ボックス部46、ロードパス部材47およびサブフレーム48の各部材の荷重吸収能力を最大限に発揮させることができる。
ロードパス部材47の前端部47aは、取付ブラケット53にボルト54、ナットで取り付けられている。
取付ブラケット53は左バルクメンバ部43dに設けられている。
これにより、枠体部21の一部位に荷重が入力されて枠体部21の全域に分散された場合、分散された荷重の一部は、枠体部21および取付ブラケット53を経てロードパス部材47に伝えられる。
よって、ロードパス部材47に伝えられた荷重をサブフレーム48の左前端部48aに伝えることができる。
よって、ロードパス部材47に車体前方から荷重が入力した場合、ロードパス部材47は中央部47cが下方に折れ曲がるように変形する。
荷重受部材56は、ロードパス部材47の断面形状より大きく形成されている。
よって、車体前方から入力した荷重でボックス部46が後方に移動した際に、ボックス部46を荷重受部材56で確実に受けることができる。
これにより、ボックス部46に車体前方から入力した荷重は、荷重受部材56を介してロードパス部材47に確実に伝えられる。
左右の湾曲部65は、それぞれ凹型湾曲形状に形成された連結部位である。
よって、後部61aを左右の後取付部63から車体前方に所定量L1だけ離すことができる。
これにより、サブフレーム本体61の後部61aおよびクロスメンバ31間に空間(クリアランス)S1を(図8も参照)確保できる。
さらに、動力源67は、前述したように、左右のフロントサイドフレーム12に取付ブラケットを介して搭載されている。
前取付ブラケット73は、左フロントサイドフレーム12の底部12gに取り付けられている。
また、左後取付部63から張出部78が車幅方向外側に張り出されている。
張出部78は左アウトリガー28にボルト79、ナットで取り付けられている。ボルト79は左フロントサイドフレーム12の回り止めようのボルトである。
サブフレーム本体61およびクロスメンバ31より左後取付部63を脆弱に形成することで、左後取付部63を車体前方から入力した荷重で好適に変形させることができる。
これにより、クロスメンバ31を変形させることなく荷重を吸収できるので車室空間を好適に保つことができる。
よって、サブフレーム本体61が車体後方に向けて所定量だけ移動するまで、サブフレーム本体61がクロスメンバ31に干渉することを防止できる。
これにより、サブフレーム本体61の車体後方への移動量を一層確実に確保して荷重をさらに確実に吸収することができる。
さらに、枠体部21の一部はメンバ下半部36a(ロアメンバ部36)で形成されている。
入力した荷重を3経路、すなわち多数の経路に分散させることで、各部材36,12,25に伝える荷重を小さくできる。
ロアメンバ部36、左フロントサイドフレーム12およびアンダロードパス手段25の変形量を小さく抑えることで、エンジンルーム34の長さ寸法を小さく抑えることができる。
これにより、ロアメンバ部36、左フロントサイドフレーム12およびアンダロードパス手段25の変形量を小さく抑えても、分散された荷重をロアメンバ部36、左フロントサイドフレーム12およびアンダロードパス手段25で良好に吸収できる。
すなわち、車体前方から入力した荷重をロアメンバ部36、左フロントサイドフレーム12およびアンダロードパス手段25に分散させて良好に吸収することができる。
また、動力源67はトルクロッド71を介してサブフレーム48に連結されている。トルクロッド71は、車体前方から荷重が入力した際に動力源67の車体後方への移動を許容するように形成されている。
よって、ロアメンバ部36、左フロントサイドフレーム12およびアンダロードパス手段25が荷重で変形した際に、動力源67を車体後方に移動させることが可能である。
また、動力源67(エンジン68)は、サブフレーム本体61に対して車体前方に所定間隔L3だけ離して設けられている。
すなわち、左フロントサイドフレーム12、ロアメンバ部36およびロードパス部材47が車体前方からの荷重で変形する際に、各部材12,36,47の変形が完了する前に動力源67がサブフレーム本体61に当たるように所定間隔L2,L3が設定されている。
動力源67がサブフレーム本体61に当たることで、サブフレーム48(具体的には、左後取付部63)を変形させて荷重を吸収することができる。
なお、図9〜図14においては、枠体部21による荷重の分散を理解し易くするために、アンダロードパス手段25のボックス部46を回避した部位に荷重が入力した場合について説明する。
枠体部21は、ステイ下半部41d、メンバ下半部36a、左連結部材17および左バルクメンバ部43dで略矩形状の枠体に一体的に形成されている。
よって、枠体部21の一部位に入力した荷重F1は枠体部21の全域に分散される。
具体的には、左フロントサイドフレーム12に荷重F2が伝えられ、ロアメンバ部36に荷重F3が伝えられる。さらに、ロードパス部材47に荷重F4が伝えられる。
左フロントサイドフレーム12に荷重F2が伝えられることで、前端部12aを圧縮変形させる。
左フロントサイドフレーム12の前端部12aにはビード38(図2も参照)が設けられている。
第1折曲部位12eを折り曲げることで、第2折曲部位12fおよび前折曲部位12dが車幅方向に折り曲げられる。
このように、前端部12aを圧縮変形させ、さらに、第1折曲部位12e、第2折曲部位12fおよび前折曲部位12dを車幅方向に折り曲げることで荷重F2を吸収することができる。
ロアメンバ部36に荷重F3が伝えられることで、ロアメンバ部36の中央部36dが変形してメンバ下半部36aが車体後方に矢印Bの如く移動する。
ロードパス部材47に荷重F4が伝えられることで、ロードパス部材47の中央部47cが下方に向けて矢印Cの如く変形する。
ロードパス部材47を折り曲げることによりロードパス部材47で荷重F4を吸収することができる。
動力源67(エンジン68や変速機69)がサブフレーム本体61に当たることで、サブフレーム本体61に荷重F5が車体前方から入力する。
後部61aおよびクロスメンバ31間に空間(クリアランス)S1を確保することで、サブフレーム本体61を車体後方に向けて移動させることができる。
これにより、サブフレーム本体61の車体後方への移動量を十分に確保して荷重F5を吸収することができる。
よって、サブフレーム本体61に荷重F5が車体前方から入力することで、左後取付部63が変形してサブフレーム本体61が車体後方に向けて矢印Dの如く移動することを許容する。
よって、サブフレーム本体61が車体後方に向けて矢印Dの如く所定量だけ移動するまで、サブフレーム本体61がクロスメンバ31に干渉することを防止できる。
これにより、サブフレーム本体61の車体後方への所定量S2の移動を確実に確保して荷重F5を吸収することができる。
よって、車体前方から入力した荷重F1(図9参照)の吸収量を増すことができる。
したがって、各部材12,36,47の変形量を小さく抑えることで、エンジンルーム34の長さ寸法を小さく抑えることができる。
左フロントサイドフレーム12、ロアメンバ部36およびロードパス部材47の変形量を小さく抑えることで、エンジンルーム34の長さ寸法を小さく抑えることができる。
すなわち、ボックス部46に荷重が入力した場合には、入力した荷重で、まずボックス部46を変形させ、ボックス部46の変形後にロードパス部材47を変形させ、ロードパス部材47の変形後にサブフレーム48を変形させることができる。
よって、ボックス部46、ロードパス部材47およびサブフレーム48の各部材46,47,48の荷重吸収能力を最大限に発揮させることができる。
このように、各部材46,47,48の変形量を小さく抑えることで、エンジンルーム34の長さ寸法をさらに小さく抑えることができる。
例えば、前記実施例では、アンダロードパス手段25にボックス部46を設けた例について説明したが、これに限らないで、アンダロードパス手段25にボックス部46を設けない構成とすることも可能である。
Claims (6)
- 車体前後方向に一対のフロントサイドフレームが延出され、前記フロントサイドフレーム間に略矩形枠状のフロントバルクヘッドが設けられ、前記フロントバルクヘッドのサイドステイが前記フロントサイドフレームの前端部に交差するように略鉛直状に設けられ、前記フロントサイドフレームの車幅方向外側にフロントアッパメンバが設けられ、前記フロントアッパメンバのロアメンバ部が前記フロントサイドフレームの前端部を超えて前記フロントバルクヘッドのロアバルクメンバまで下方に向けて延出された車両の前部車体であって、
前記ロアメンバ部は、
前記フロントサイドフレームの前端部に連結された連結部材の外端部から前記フロントバルクヘッドのロアバルクメンバまで下方に向けて略鉛直状に延出される下半部を有し、
前記下半部の上端部および前記フロントサイドフレームの前端部が連結部材で連結され、
前記ロアバルクメンバは、
前記連結部材の下方に配置され、該連結部材に沿わせて略平行に設けられたバルクメンバ部を有し、
前記サイドステイの下端部および前記下半部の下端部が前記バルクメンバ部で連結され、
前記サイドステイ、前記下半部、前記連結部材および前記バルクメンバ部により枠体部が形成され、
前記枠体部から車体後方に向けてアンダロードパス手段が延出されたことを特徴とする車両の前部車体。 - 前記アンダロードパス手段は、
前記枠体部に設けられたボックス部と、
前記ボックス部の車体後方に設けられたロードパス部材と、
前記ロードパス部材の車体後方に設けられたサブフレームと、を備え、
車体前方から入力した荷重で、前記ボックス部を変形させ、前記ボックス部を変形させた後、前記ロードパス部材を変形させ、前記ロードパス部材を変形させた後、前記サブフレームを変形可能に、前記ボックス部、前記ロードパス部材および前記サブフレームの強度が設定されたことを特徴とする請求項1記載の車両の前部車体。 - 前記フロントサイドフレーム、前記ロアメンバ部および前記ロードパス部材の変形が完了する前に前記サブフレームに動力源が当たり、前記サブフレームを変形させて荷重を吸収することを特徴とする請求項2記載の車両の前部車体。
- 前記サブフレームは、
車体側の取付部に取り付けられた後取付部と、
前記後取付部に設けられたサブフレーム本体と、
を有し、
前記後取付部が前記サブフレーム本体および前記車体側の取付部より脆弱に形成されることで、前記後取付部を車体前方から入力した荷重で変形可能としたことを特徴とする請求項2または請求項3記載の車両の前部車体。 - 前記後取付部および前記サブフレーム本体の後部間に、凹型湾曲形状に形成された湾曲部が介在されたことを特徴とする請求項4記載の車両の前部車体。
- 前記後取付部が前記車体側の取付部より下方に設けられたことを特徴とする請求項5記載の車両の前部車体。
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