JP5468191B2 - 有色基材の製造方法および有色基材 - Google Patents

有色基材の製造方法および有色基材 Download PDF

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Description

本発明は有色基材の製造方法および有色基材に係り、特に、プラスチック樹脂からなる基体の表面に着色性薄膜が形成された有色基材の製造方法および有色基材に関する。
プラスチック樹脂からなる基体の表面に窒化チタンなどの着色性薄膜が形成された有色基材は、金色などの色調を有するため、自動車のドアノブ、バンパー、携帯電話の外装部品、時計の外装部品、サングラスのフレームといった各種部材の装飾用途に用いられている。特に基体が金属やガラスなどの場合と比較して、プラスチック樹脂の場合は、部材の軽量化を図ることができると共に、耐腐食性を有しているため、幅広い分野で装飾などの目的に使用されている。
従来から、プラスチック樹脂からなる基板(すなわち、基体)の表面に窒化チタンなどの着色性薄膜を形成する技術として、一般的な反応性スパッタリング法やPECVD(Plasma Enhanced CVD)法が用いられてきた。例えば一般的な反応性スパッタリング法では、ターゲットのスパッタによる膜原料物質の基板への供給と、反応ガスのプラズマ処理による膜原料物質と反応ガスの反応を、単一の成膜プロセス領域内で行っている(例えば、非特許文献1)。
従来の反応性スパッタリング法やPECVD法は、反応温度が300〜500℃程度と高いため、一般には、耐熱性の高いプラスチック樹脂からなる基板などに対して成膜する際に使用される。従来の反応性スパッタリング法を用いて、樹脂塗膜の表面に金属薄膜と化合物薄膜を積層した金色光輝材料を製造した例も知られている(例えば、特許文献1)。
P.Jedrzejowskiほか、「ジャーナル オブ バキューム サイエンス アンド テクノロジー A(Journal of Vacuum Science & Technology A)」、(米国)、2004年、Vol.22、No.3、p.725−733 特開2003−328112号公報(請求項1−10、段落0017−0048)
しかしながら、従来の反応性スパッタリング法では、ターゲットのスパッタによる膜原料物質の生成と、生成した膜原料物質と反応性ガスの反応を、単一の成膜プロセス領域内で同時に行っているため、ターゲットと反応性ガスが接触して反応することによりターゲットの表面で異常放電が生じ、これによりターゲットの一部が飛散して薄膜に欠陥が生じることがあった。このため、反応性ガスの供給量やプラズマの発生密度を低下させて、ターゲットと反応性ガスの反応を抑制しつつ成膜を行う必要があった。
このような条件では膜原料物質と反応ガスの反応が十分ではなく、膜原料物質の完全反応物を得ることは困難であり、反応を十分に行うために基板の温度を300℃以上の高温にしたり、成膜レートを低くして反応時間を長くしたりすることで、反応性を向上させる必要があった。しかし、基板の温度を高くして成膜を行うと、耐熱性の低いプラスチック樹脂からなる基板に成膜を行うことが困難であり、逆に、基板の温度を低温にして耐熱性の低いプラスチック樹脂からなる基板に成膜を行う場合には、成膜レートを低くする必要があるため、反応時間が長くなり、製品製造に要するタクトタイムが長くなるという不都合があった。
本発明の目的は、特に耐熱性の低いプラスチック樹脂からなる基体に対して、低い反応温度で、かつ高い成膜レートで有色基材を製造することが可能な有色基材の製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、耐熱性の低いプラスチック樹脂からなる基体に対して、低い反応温度で、かつ高い成膜レートで製造した有色基材を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、耐熱性の低いプラスチック樹脂からなる基体と着色性薄膜の密着性が向上した有色基材を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の有色基材の製造方法は、プラスチック樹脂からなる基体の表面に着色性薄膜が形成された有色基材の製造方法であって、真空容器内の中間層成膜プロセス領域内で金属からなるターゲットをスパッタして前記基体の表面に前記金属からなる中間層膜原料物質を付着させる中間層スパッタ工程と、前記真空容器内で前記中間層成膜プロセス領域とは離間した位置に形成された中間層反応プロセス領域内に前記基体を搬送する中間層基体搬送工程と、前記中間層反応プロセス領域内に少なくとも酸素ガスを導入した状態で、該酸素ガスのプラズマを発生させて前記酸素ガスと前記中間層膜原料物質とを反応させ、前記酸素ガスと前記中間層膜原料物質の化合物または不完全化合物を生成させる中間層プラズマ処理工程と、からなる一連の工程を複数回行って前記基体の表面に中間層を形成する中間層形成工程を行った後、前記真空容器内で前記中間層成膜プロセス領域と同一または異なる位置に形成された成膜プロセス領域内で、前記中間層スパッタ工程で用いた前記ターゲットと同じ前記金属からなるターゲットをスパッタして前記中間層の表面に前記金属からなる着色性薄膜原料物質を付着させるスパッタ工程と、前記真空容器内で前記成膜プロセス領域とは離間した位置に形成された反応プロセス領域内に前記基体を搬送する基体搬送工程と、前記反応プロセス領域内に少なくとも1種類の反応性ガスを導入した状態で、該反応性ガスのプラズマを発生させて前記反応性ガスと前記着色性薄膜原料物質とを反応させ、前記反応性ガスと前記着色性薄膜原料物質の化合物または不完全化合物を生成させるプラズマ処理工程と、からなる一連の工程を複数回行って前記着色性薄膜を形成する着色性薄膜形成工程を行うことを特徴とする。
このように、本発明の有色基材の製造方法によれば、スパッタを行う成膜プロセス領域と反応性ガスのプラズマを発生させる反応プロセス領域が真空容器内の離間した位置に形成されているため、従来の一般的な反応性スパッタリング装置を用いた場合のように、ターゲットと反応性ガスが反応して異常放電が起こるといった不都合が生じにくい。このため、反応プロセス領域内の反応性ガスの供給量を多くしたり、プラズマの発生密度を上昇させたりして、膜原料物質と反応性ガスの反応を促進させることができる。
したがって、従来のように基体の温度を上昇させて反応性を向上させる必要が無く、低い温度であっても十分に反応を行うことが可能となると共に、成膜レートも高く維持することができる。これにより、耐熱性の低いプラスチック樹脂からなる基体などに対しても、十分に反応を行うことが可能となり、従来の反応性スパッタリング法では実施不可能であった耐熱性の低いプラスチック樹脂からなる基体に対しても、膜質のよい有色基材を短いタクトタイムで製造することができる。
また、本発明の有色基材の製造方法によれば、基体の表面と着色性薄膜との間に中間層が介在しているため、両者の密着性を向上させることが可能となる。
また、中間層の膜原料物質を反応プロセス領域で反応させて膜原料物質の酸化物または不完全化合物(半酸化物)を生成させることができるため、従来の反応性スパッタリング法では得ることが困難であった金属の酸化物または不完全化合物(半酸化物)を中間層として用いることができる。このため、基体の表面と着色性薄膜の密着性を従来よりもさらに向上させることができる。
また、前記各工程は、温度制御下または非制御下で前記基体の温度が20〜300℃の範囲となるように行われることが好ましい。
このように、基体の温度が20〜300℃の範囲で各工程が行われるため、耐熱性が300℃以下のプラスチック樹脂からなる基体に対しても成膜を行うことができる。
また、前記中間層スパッタ工程では、チタン又はジルコニウムからなる前記ターゲットをスパッタして前記チタン又は前記ジルコニウムからなる前記中間層膜原料物質を付着させ、前記スパッタ工程では、前記チタン又は前記ジルコニウムであって、前記中間層スパッタ工程で用いた前記ターゲットと同じ前記金属からなる前記ターゲットをスパッタして前記チタン又は前記ジルコニウムからなる前記着色性薄膜原料物質を形成すると好適である。
このように、中間層がこれらの金属の酸化物または不完全化合物(半酸化物)で形成されることで、着色性薄膜の色調を適宜調整することができる。
上記課題は、本発明の有色基材によれば、プラスチック樹脂からなる基体と、該基体の表面に形成された着色性薄膜と、該着色性薄膜と前記基体との間に形成された中間層と、からなる有色基材であって、前記着色性薄膜及び前記中間層は、請求項1に記載の製造方法で形成されていることを特徴とする。
このように、本発明の有色基材によれば、低い温度であっても十分に反応を行うことが可能となると共に、成膜レートも高く維持することができる。これにより、耐熱性の低いプラスチック樹脂からなる基体などに対しても、十分に反応を行うことが可能となり、従来の反応性スパッタリング法では実施不可能であった耐熱性の低いプラスチック樹脂からなる基体に対しても、膜質のよい有色基材を提供することができる。また、短いタクトタイムで製造することができるため、製造コストの低い有色基材を提供することができる。
また、前記中間層の膜厚が200nm以上500nm以下の範囲内にあることが好ましい。
このように、中間層の膜厚が200nm以上500nm以下であるため、着色性薄膜の色調を調整することができる。また、例えば基体が透明である場合、上記膜厚を有する中間層が形成されることで、基体の裏側(着色性薄膜の形成される側とは反対側)から光が透過しにくくなり、この透過光による着色性薄膜の色調の変化を防止することができる。
また、前記基体は、ポリカーボネート,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体,ナイロン,ポリブチレンテレフタレート,ポリカーボネート−ポリエチレンテレフタレート共重合体,ポリカーボネート−ポリブチレンテレフタレート共重合体,アクリル,ポリスチレン,ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群から選択される1または2種類以上の樹脂材料、もしくはこれらの材料とガラス繊維および/またはカーボン繊維との混合物で形成されることが好ましい。
このように、本発明の有色基材の製造方法によれば、スパッタを行う成膜プロセス領域と反応性ガスのプラズマを発生させる反応プロセス領域が真空容器内の離間した位置に形成されているため、ターゲットの異常放電が生じにくく、基体の温度を高くする必要がない。このため、低い温度でかつ成膜レートを高く維持した状態で成膜を行うことが可能となり、従来の反応性スパッタリング法では実施不可能であった耐熱性の低いプラスチック樹脂からなる基体に対しても、膜質のよい有色基材を短いタクトタイムで製造することができる。
また、本発明の有色基材によれば、着色性薄膜が金属薄膜と反応性ガスとの化合物または不完全化合物で形成されるため、低い温度でかつ成膜レートを高く維持した状態で成膜を行うことが可能となり、膜質がよく低コストの有色基材を提供することができる。
さらに、本発明の有色基材によれば、中間層が金属薄膜と酸素ガスとの化合物または不完全化合物(半酸化物)で形成されるため、基体の表面と着色性薄膜との密着性をより向上させることが可能となる。したがって、有色基材の耐摩耗性を向上させることができる。
以下に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する部材,配置等は発明を具体化した一例であって本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
図1は本発明の一実施形態に係る有色基材の横断面形状を模式的に示した説明図である。なお、この図では、発明の理解を容易にするために、薄膜の膜厚を実際の厚さよりも厚く描いてある。
この図に示すように、本発明の有色基材Pは、基板Sの表面に着色性薄膜F1と中間層F2が形成されたものである。
基板Sは、本発明の基体に相当するものであり、プラスチック樹脂材料で形成された部材である。本実施形態では、基板Sとして円板状のものを用いているが、本発明の基体の形状としてはこのような円板状のものに限定されず、表面に薄膜を形成できる他の形状、例えばレンズ形状、円筒状、円環状といった形状であってもよい。
基板Sの材料は、プラスチック樹脂であり、例えば、ポリカーボネート,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体,ナイロン,ポリブチレンテレフタレート,ポリカーボネート−ポリエチレンテレフタレート共重合体,ポリカーボネート−ポリブチレンテレフタレート共重合体,アクリル,ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプロピレンなどの樹脂材料が挙げられる。また、基板Sの強度を向上させるために、これらの樹脂材料にガラス繊維やカーボン繊維もしくはこれらの混合物を混合させたものでもよい。
中間層F2は、基板Sの表面に形成された薄膜であり、着色性薄膜F1と基板Sとの間に介在している。中間層F2は、着色性薄膜F1と基板Sとの間の密着性を向上させるための層である。
本実施形態の中間層F2は、チタン(Ti)またはジルコニウム(Zr)からなる群から選択される1または2種類以上の金属薄膜、もしくはこれら金属薄膜の化合物(この場合は、酸化物)もしくは不完全化合物(この場合は、半酸化物)で形成されている。中間層F2は、金属薄膜であってもその完全・不完全反応物であってもよい。金属薄膜の酸化物は、中間層F2の全体にわたって金属が酸化反応により酸化した状態を意味している。また、半酸化物は、金属薄膜の表面側(すなわち、着色性薄膜F1側)のみが酸化して、基板Sの表面側はほとんど酸化されずに金属の状態であることを意味する。中間層F2の厚さとしては、1〜100nm程度である。
なお、中間層F2は密着性の向上のみならず、着色性薄膜F1の色調を変更させない目的で形成されてもよい。すなわち、基板Sが透明の場合、基板Sの裏面側(中間層F2や着色性薄膜F1が形成されていない側)からの光により着色性薄膜F1の色調が変わってしまうことがある。そこで、中間層F2を形成することで、着色性薄膜F1へ光を透過させないようにすることもできる。この場合、中間層F2としては、金属薄膜で形成されることが好ましい。また、その膜厚は、200〜500nm程度が好ましい。この膜厚が厚いほど、光が透過しにくくなり色調変化が少なくなるが、着色性薄膜の密着性等に問題が生じる。したがって、着色性薄膜の色調や密着性等を勘案して適宜設定することが好ましい。
着色性薄膜F1は、中間層F2の表面に形成され、金色などの色調を呈する薄膜である。本実施形態の着色性薄膜F1は、チタン(Ti)およびジルコニウム(Zr)からなる群から選択される1または2種類の金属の窒化物,炭化物,窒酸化物もしくは窒炭化物で形成されている。着色性薄膜F1の厚さとしては、0.001〜10μm程度である。
本実施形態の有色基材Pは、中間層F2を設けて着色性薄膜F1と基板Sの表面との密着性を向上させているが、中間層F2を設けずに基板Sの表面に着色性薄膜F1を直接成膜することも可能である。
本実施形態の有色基材Pは、自動車のドアノブ、ハンドル、バンパー、家屋のドアノブ、家具などの取手、携帯電話の外装部品、時計の外装部品、サングラスのフレーム、イヤリング、ブレスレット、ボタン、ネクタイピン、ネックレス、バックル、指輪などに好適に使用することができる。特に、本実施形態の有色基材Pは中間層F2を備えているため、耐剥離性が向上しており、このため外部からの接触頻度の高いこれらの用途へ特に好ましく使用できる。
次に、本発明の有色基材Pの製造方法について説明する。
本発明の有色基材Pは、以下に説明するスパッタを行う成膜プロセス領域とプラズマ処理を行う反応プロセス領域を分離した薄膜形成装置を用いて、反応性スパッタリングにより製造している。
一般的な反応性スパッタリングでは、スパッタを行う成膜プロセス領域内に酸素ガスや窒素ガス等の反応性ガスを導入して、ターゲットから飛散する金属粒子を反応性ガスと反応させ、金属と反応性ガスの化合物(すなわち、反応物)を基板Sの表面に付着させることで成膜を行っている。すなわち、スパッタリングによる膜原料物質の発生と、プラズマ処理による膜原料物質と反応性ガスとの反応を、単一の領域内で行っている。
このような一般的な反応性スパッタリングでは、ターゲットの表面の金属が反応性ガスと反応してターゲットの表面に金属と反応性ガスの化合物が形成され、これによりターゲットに高周波電圧を印加する際に異常放電が発生するといった不都合があった。
以下に説明する薄膜形成装置は、スパッタにより基板Sの表面に膜原料物質を付着させる成膜プロセス領域と、この膜原料物質をプラズマ処理する反応プロセス領域を分離している点を特徴としている。そして、成膜プロセス領域内には窒素ガスや酸素ガスなどの反応性ガスを導入しないように構成されている。このため、ターゲットの表面の金属が反応性ガスと反応することによる異常放電の発生を防止することが可能となる。
図2〜図5は本発明の有色基材を製造するための薄膜形成装置の説明図であり、図2は薄膜形成装置を上面から見た説明図、図3は図2の薄膜形成装置を側面から見た説明図、図4は図2の薄膜形成装置の成膜プロセス領域周辺を拡大して示した説明図、図5は図2の薄膜形成装置の反応プロセス領域周辺を拡大して示した説明図である。
本実施形態では、薄膜形成装置としてスパッタの一例であるマグネトロンスパッタを行う薄膜形成装置を用いているが、本発明の薄膜形成装置としては、このようなマグネトロンスパッタに限定されず、マグネトロン放電を用いない2極スパッタ等の他の公知のスパッタを行う薄膜形成装置を用いることもできる。
本実施形態の薄膜形成装置では、目的の膜厚よりも相当程度薄い薄膜を基板Sの表面に付着するスパッタ処理工程と、この薄膜に対して酸化などの処理を行って薄膜の組成を変換するプラズマ処理工程とにより基板Sの表面に中間薄膜を形成し、このスパッタ処理とプラズマ処理を複数回繰り返すことで、中間薄膜を複数層積層して目的の膜厚を有する最終薄膜を基板Sの表面に形成している。
具体的には、スパッタ処理とプラズマ処理によって組成変換後における膜厚の平均値が0.01〜1.5nm程度の中間薄膜を基板Sの表面に形成する工程を、回転ドラムの回転毎に繰り返すことにより、目的とする数nm〜数百nm程度の膜厚を有する最終薄膜を形成している。
以下、薄膜形成装置について説明する。
図2に示すように、本実施形態の薄膜形成装置1は、真空容器11と、回転ドラム13と、モータ17(図3参照)と、スパッタ手段20と、スパッタガス供給手段30と、プラズマ発生手段60と、反応性ガス供給手段70と、を主要な構成要素としている。
なお、図中では、スパッタ手段20およびプラズマ発生手段60は破線で、スパッタガス供給手段30および反応性ガス供給手段70は一点鎖線で表示している。
本実施形態では、中間層F2として酸化チタン(TiO)を成膜し、着色性薄膜F1として窒化チタン(TiN)を成膜した例について説明する。
真空容器11は、公知の薄膜形成装置で通常用いられるようなステンレススチール製で、ほぼ直方体形状をした中空体である。真空容器11の内部は、開閉扉としての扉11Cによって薄膜形成室11Aとロードロック室11Bに分けられる。真空容器11の上方には扉11Cを収容する扉収納室(不図示)が接続されており、扉11Cは、真空容器11の内部と扉収納室の内部との間でスライドすることで開閉する。
真空容器11には、ロードロック室11Bと真空容器11の外部とを仕切るための扉11Dが設けられている。扉11Dはスライドまたは回動することで開閉する。薄膜形成室11Aには排気用の配管16a−1が接続され、この配管16a−1には真空容器11の内部を排気するための真空ポンプ15aが接続されている。真空容器11の内部において配管16a−1には開口が形成されており、この開口は真空容器11の内部の成膜プロセス領域20Aと反応プロセス領域60Aとの間に位置している。これにより、成膜プロセス領域20Aで飛散した膜原料物質を真空ポンプ15aで吸引することが可能となり、成膜プロセス領域20Aから飛散した膜原料物質が反応プロセス領域60Aに侵入してプラズマ発生手段60を汚染したり、成膜プロセス領域20Aの外に位置する基板Sの表面に付着して汚染したりすることを防止している。
また、ロードロック室11Bには排気用の配管16bが接続され、この配管16bには真空容器11の内部を排気するための真空ポンプ15bが接続されている。
本実施形態の薄膜形成装置1は、このようなロードロック室11Bを備えているため、薄膜形成室11A内の真空状態を保持した状態で基板Sの搬入出を行うことが可能となる。従って、基板Sを搬出する毎に真空容器11の内部を脱気して真空状態にする手間を省くことが可能となり、高い作業効率で成膜処理を行うことができる。
なお、本実施形態の真空容器11は、ロードロック室11Bを備えるロードロック方式を採用しているが、ロードロック室11Bを設けないシングルチャンバ方式を採用することも可能である。また、複数の真空室を備え、それぞれの真空室で独立に薄膜形成を行うことが可能なマルチチャンバ方式を採用することも可能である。
回転ドラム13は、表面に薄膜を形成させる基板Sを真空容器11の内部で保持するための筒状の部材であり、基体保持手段としての機能を有する。図3に示すように、回転ドラム13は、複数の基板保持板13aと、フレーム13bと、基板保持板13aおよびフレーム13bを締結する締結具13cと、を主要な構成要素としている。
基板保持板13aはステンレススチール製の平板状部材で、基板Sを保持するための複数の基板保持孔を、基板保持板13aの長手方向に沿って板面中央部に一列に備えている。基板Sは、基板保持板13aの基板保持孔に収納され、脱落しないようにネジ部材等を用いて基板保持板13aに固定されている。また、基板保持板13aの長手方向の両端部には、後述する締結具13cを挿通可能なネジ穴が板面に設けられている。
フレーム13bはステンレススチール製からなり、上下に配設された2つの環状部材で構成されている。フレーム13bのそれぞれの環状部材には、基板保持板13aのネジ穴と対応する位置にネジ穴が設けられている。基板保持板13aとフレーム13bはボルトおよびナットからなる締結具13cを用いて固定される。具体的には、ボルトを基板保持板13aおよびフレーム13bのネジ穴に挿通してナットで固定することにより固定される。
なお、本実施形態における回転ドラム13は、平板状の基板保持板13aを複数配置しているため横断面が多角形をした多角柱状をしているが、このような多角柱状のものに限定されず、円筒状や円錐状のものであってもよい。
真空容器11の内部に設置された回転ドラム13は、図2に示す薄膜形成室11Aとロードロック室11Bとの間を移動できるように構成されている。本実施形態では、真空容器11の底面にレール(不図示)が設置されており、回転ドラム13はこのレールに沿って移動する。回転ドラム13は、円筒の筒方向の回転軸線Z(図3参照)が真空容器11の上下方向になるように真空容器11の内部に配設される。基板保持板13aをフレーム13bに取り付ける際やフレーム13bから取り外す際には、回転ドラム13はロードロック室11Bに搬送されて、このロードロック室11B内で基板保持板13aがフレーム13bに着脱される。一方、成膜中にあっては、回転ドラム13は薄膜形成室11Aに搬送されて、薄膜形成室11A内で回転可能な状態になっている。
図3に示すように、回転ドラム13の下面中心部はモータ回転軸17aの上面と係合する形状になっている。回転ドラム13とモータ回転軸17aとは、モータ回転軸17aの中心軸線と回転ドラム13の中心軸線とが一致するよう位置決めされ、両者が係合することにより連結されている。回転ドラム13下面のモータ回転軸17aと係合する面は絶縁部材で構成されている。これにより、基板Sの異常放電を防止することが可能となる。また、真空容器11とモータ回転軸17aとの間は、Oリングで気密が保たれている。
真空容器11の内部の真空状態を維持した状態で、真空容器11の下部に設けられたモータ17を駆動させることによってモータ回転軸17aが回転する。この回転に伴って、モータ回転軸17aに連結された回転ドラム13は回転軸線Zを中心に回転する。各基板Sは回転ドラム13上に保持されているため、回転ドラム13が回転することで回転軸線Zを公転軸として公転する。
回転ドラム13の上面にはドラム回転軸18が設けられており、回転ドラム13の回転に伴ってドラム回転軸18も回転するように構成されている。真空容器11の上壁面には孔部が形成されており、ドラム回転軸18はこの孔部を貫通して真空容器11の外部に通じている。孔部の内面には軸受が設けられており、回転ドラム13の回転をスムーズに行えるようにしている。また、真空容器11とドラム回転軸18との間は、Oリングで気密が保たれている。
次に、基板Sの表面に薄膜を形成する成膜プロセス領域20A、および反応プロセス領域60Aについて説明する。図2に示すように、真空容器11の内壁には、回転ドラム13へ面した位置に仕切壁12と仕切壁14が立設されている。本実施形態における仕切壁12と仕切壁14は、いずれも真空容器11と同じステンレススチール製の部材である。仕切壁12と仕切壁14は、いずれも上下左右に一つずつ配設された平板部材により構成されており、真空容器11の内壁面から回転ドラム13に向けて四方を囲んだ状態となっている。これにより、成膜プロセス領域20Aおよび反応プロセス領域60Aが真空容器11の内部でそれぞれ区画される。
真空容器11の側壁は、外方に突出した横断面凸状をしており、突出した壁面にはスパッタ手段20が設けられている。成膜プロセス領域20Aは、真空容器11の内壁面と、仕切壁12と、回転ドラム13の外周面と、スパッタ手段20により囲繞された領域に形成されている。成膜プロセス領域20Aでは、基板Sの表面に膜原料物質を付着させるスパッタ処理が行われる。
また、成膜プロセス領域20Aから回転ドラム13の回転軸を中心として90°離間した真空容器11の側壁もまた、外方に突出した横断面凸状をしており、突出した壁面にはプラズマ発生手段60が設けられている。反応プロセス領域60Aは、真空容器11の内壁面と、仕切壁14と、回転ドラム13の外周面と、プラズマ発生手段60により囲繞された領域に形成されている。反応プロセス領域60Aでは、基板Sの表面に付着した膜原料物質に対してプラズマ処理が行われる。
モータ17によって回転ドラム13が回転すると、回転ドラム13の外周面に保持された基板Sが公転して、成膜プロセス領域20Aに面する位置と反応プロセス領域60Aに面する位置との間を繰り返し移動することになる。そして、このように基板Sが公転することで、成膜プロセス領域20Aでのスパッタ処理と、反応プロセス領域60Aでのプラズマ処理とが順次繰り返し行われて、基板Sの表面に薄膜が形成される。
(成膜プロセス領域20A)
以下に、成膜プロセス領域20Aについて説明する。
図4に示すように、成膜プロセス領域20Aにはスパッタ手段20が設置されている。
スパッタ手段20は、一対のターゲット22a,22bと、ターゲット22a,22bを保持する一対のマグネトロンスパッタ電極21a,21bと、マグネトロンスパッタ電極21a,21bに電力を供給する交流電源24と、交流電源24からの電力量を調整する電力制御手段としてのトランス23により構成される。
真空容器11の壁面は外方に突出しており、この突出部の内壁にマグネトロンスパッタ電極21a,21bが側壁を貫通した状態で配設されている。このマグネトロンスパッタ電極21a,21bは、接地電位にある真空容器11に不図示の絶縁部材を介して固定されている。
本実施形態のターゲット22a,22bは、膜原料物質を平板状に形成したものであり、後述するように回転ドラム13の側面に対向するようにマグネトロンスパッタ電極21a,21bにそれぞれ保持される。ターゲット22a,22bの材質としては、中間層F2の成膜時および着色性薄膜F1の成膜時でそれぞれ形成される薄膜に求められる特性に応じて最適な材料を適宜選択して採用する。
中間層F2の成膜時には、ターゲット22a,22bの材料として、種々の材料の中から着色性薄膜F1と基板Sとの間の密着性を向上させるのに適した材料を選択して採用する。このような材料の具体例としては、例えば、チタン(Ti)またはジルコニウム(Zr)もしくはこれらの金属の合金などを採用することができる。
着色性薄膜F1の成膜時には、ターゲット22a,22bの材料として、最終的に得られる有色基材Pの色調、硬度、耐摩耗性などの特性に応じて、種々の材料の中から適当な材料を選択して採用する。このような材料の具体例としては、例えば、チタン(Ti)またはジルコニウム(Zr)もしくはこれらの金属の合金などを採用することができる。
本実施形態では、上述したように、中間層F2および着色性薄膜F1ともにチタン(Ti)の化合物または不完全化合物で形成されているため、中間層F2の成膜時および着色性薄膜F1の成膜時のいずれの場合もターゲット22a,22bとしてチタン(Ti)を用いている。
マグネトロンスパッタ電極21a,21bは、複数の磁石が所定の方向に配置された構造を有している。マグネトロンスパッタ電極21a,21bは、トランス23を介して交流電源24に接続され、両電極に1k〜100kHzの交番電界が印加できるように構成されている。マグネトロンスパッタ電極21a,21bには、ターゲット22a,22bがそれぞれ保持されている。ターゲット22a,22bの形状は平板状であり、図3に示されるように、ターゲット22a,22bの長手方向が回転ドラム13の回転軸線Zと平行になるように設置されている。
図4に示されるように、成膜プロセス領域20Aの周辺にはアルゴン等のスパッタガスを供給するスパッタガス供給手段30が設けられている。スパッタガス供給手段30は、スパッタガス貯蔵手段としてのスパッタガスボンベ32と、スパッタガス供給路としての配管35aおよび配管35cと、スパッタガスの流量を調整するスパッタガス流量調整手段としてのマスフローコントローラ31と、を主要な構成要素として具備している。
スパッタガスとしては、例えばアルゴンやヘリウム等の不活性ガスが挙げられる。本実施形態ではアルゴンガスを使用している。
スパッタガスボンベ32、マスフローコントローラ31はいずれも真空容器11の外部に設けられている。マスフローコントローラ31は、スパッタガスを貯蔵する単一のスパッタガスボンベ32に配管35cを介して接続されている。
マスフローコントローラ31は配管35aに接続されており、配管35aの一端は真空容器11の側壁を貫通して成膜プロセス領域20A内のターゲット22a,22bの近傍に延びている。配管35aの先端部には導入口35bが形成されており、図3に示されるように、配管35aの先端部はターゲット22a,22bの下部中心付近に配設され、その先端にはターゲット22a,22bの前面中心方向に向けて導入口35bが開口している。
マスフローコントローラ31はガスの流量を調節する装置であり、スパッタガスボンベ32からのガスが流入する流入口と、スパッタガスを配管35aへ流出させる流出口と、ガスの質量流量を検出するセンサと、ガスの流量を調整するコントロールバルブと、流入口より流入したガスの質量流量を検出するセンサと、センサにより検出された流量に基づいてコントロールバルブの制御を行う電子回路と、を主要な構成要素として備えている(いずれも不図示)。電子回路には外部から所望の流量を設定することが可能となっている。
スパッタガスボンベ32からのスパッタガスは、マスフローコントローラ31により流量を調節されて配管35a内に導入される。配管35aに流入したスパッタガスは、導入口35bより成膜プロセス領域20Aに配置されたターゲット22a,22bの前面に導入される。
成膜プロセス領域20Aにスパッタガス供給手段30からスパッタガスが供給されて、ターゲット22a,22bの周辺が不活性ガス雰囲気になった状態で、マグネトロンスパッタ電極21a,21bに交流電源24から交番電極が印加されると、ターゲット22a,22b周辺のスパッタガスの一部は電子を放出してイオン化する。マグネトロンスパッタ電極21a,21bに配置された磁石によりターゲット22a,22bの表面に漏洩磁界が形成されるため、この電子はターゲット22a,22bの表面近傍に発生した磁界中を、トロイダル曲線を描きながら周回する。この電子の軌道に沿って強いプラズマが発生し、このプラズマに向けてスパッタガスのイオンが加速され、ターゲット22a,22bに衝突することでターゲット22a,22bの表面の原子や粒子が叩き出される。
(反応プロセス領域60A)
続いて、反応プロセス領域60Aについて説明する。上述したように、反応プロセス領域60Aでは、成膜プロセス領域20Aで基板Sの表面に付着した膜原料物質をプラズマ処理して、膜原料物質の化合物または不完全化合物からなる薄膜の形成を行う。
図5に示すように、反応プロセス領域60Aに対応する真空容器11の壁面には、プラズマ発生手段60を設置するための開口が形成されている。また、反応プロセス領域60Aには、Y字型の配管75aが接続されており、この配管75aは真空容器11の外で分岐している。分岐した配管75aの一端にはマスフローコントローラ72が接続されており、このマスフローコントローラ72は更に窒素ガスボンベ71に接続されている。また、分岐した配管75aの他端にはマスフローコントローラ74が接続されており、このマスフローコントローラ74は更に酸素ガスボンベ73に接続されている。
このような構成を備えることで、反応プロセス領域60A内に、窒素ガスボンベ71から窒素ガスを、酸素ガスボンベ73から酸素ガスを供給することが可能となっている。
反応プロセス領域60Aに面する側の仕切壁14の壁面には、熱分解窒化硼素(Pyrolytic Boron Nitride)からなる保護層が被覆されている。更に、真空容器11の内壁面の反応プロセス領域60Aに面する部分にも熱分解窒化硼素からなる保護層が被覆されている。熱分解窒化硼素は、化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition)を利用した熱分解法によって仕切壁14や真空容器11の内壁面へ被覆される。このような保護層は、必要に応じて設けるようにすることが好ましい。
プラズマ発生手段60は、反応プロセス領域60Aに面して設けられている。本実施形態のプラズマ発生手段60は、ケース体61と、誘電体板62と、アンテナ63と、マッチングボックス64と、高周波電源65と、を有して構成されている。
ケース体61は、真空容器11の壁面に形成された開口11aを塞ぐ形状を備え、ボルト(不図示)で真空容器11の開口11aを塞ぐように固定されている。ケース体61が真空容器11の壁面に固定されることで、プラズマ発生手段60は真空容器11の壁面に取り付けられている。本実施形態において、ケース体61はステンレスで形成されている。
誘電体板62は、板状の誘電体で形成されている。本実施形態において、誘電体板62は石英で形成されているが、誘電体板62の材質としてはこのような石英だけではなく、Al等のセラミックス材料で形成されたものでもよい。誘電体板62は、図示しない固定枠でケース体61に固定されている。誘電体板62がケース体61に固定されることで、ケース体61と誘電体板62によって囲繞された領域にアンテナ収容室61Aが形成される。
ケース体61に固定された誘電体板62は、開口11aを介して真空容器11の内部(反応プロセス領域60A)に臨んで設けられている。このとき、アンテナ収容室61Aは、真空容器11の内部と分離している。すなわち、アンテナ収容室61Aと真空容器11の内部とは、誘電体板62で仕切られた状態で独立した空間を形成している。また、アンテナ収容室61Aと真空容器11の外部は、ケース体61で仕切られた状態で独立の空間を形成している。本実施形態では、このように独立の空間として形成されたアンテナ収容室61Aの中に、アンテナ63が設置されている。なお、アンテナ収容室61Aと真空容器11の内部、アンテナ収容室61Aと真空容器11の外部との間は、それぞれOリングで気密が保たれている。
本実施形態では、配管16a−1から配管16a−2が分岐している。この配管16a−2はアンテナ収容室61Aに接続されており、アンテナ収容室61Aの内部を排気して真空状態にする際の排気管としての役割を備えている。
配管16a−1には、真空ポンプ15aから真空容器11の内部に連通する位置にバルブV1、V2が設けられている。また、配管16a−2には、真空ポンプ15aからアンテナ収容室61Aの内部に連通する位置にバルブV3が設けられている。バルブV2,V3のいずれかを閉じることで、アンテナ収容室61Aの内部と真空容器11の内部との間での気体の移動は阻止される。真空容器11の内部の圧力や、アンテナ収容室61Aの内部の圧力は、真空計(不図示)で測定される。
本実施形態では、薄膜形成装置1に制御装置(不図示)を備えている。この制御装置には、真空計の出力が入力される。制御装置は、入力された真空計の測定値に基づいて、真空ポンプ15aによる排気を制御して、真空容器11の内部やアンテナ収容室61Aの内部の真空度を調整する機能を備える。本実施形態では、制御装置がバルブV1,V2,V3の開閉を制御することで、真空容器11の内部とアンテナ収容室61Aの内部を同時に、または独立して排気できる。
アンテナ63は、高周波電源65から電力の供給を受けて、真空容器11の内部(反応プロセス領域60A)に誘導電界を発生させ、反応プロセス領域60Aにプラズマを発生させるためのものである。本実施形態のアンテナ63は、銅で形成された円管状の本体部と、本体部の表面を被覆する銀で形成された被覆層を備えている。アンテナ63のインピーダンスを低下するためには、電気抵抗の低い材料でアンテナ63を形成するのが好ましい。そこで、高周波の電流がアンテナ63の表面に集中するという特性を利用して、アンテナ63の本体部を安価で加工が容易な、しかも電気抵抗も低い銅で円管状に形成し、アンテナ63の表面を銅よりも電気抵抗の低い銀で被覆している。このように構成することで、高周波に対するアンテナ63のインピーダンスを低減して、アンテナ63に電流を効率よく流すことによりプラズマを発生させる効率を高めている。
本実施形態の薄膜形成装置1では、高周波電源65からアンテナ63に周波数1〜27MHzの交流電圧を印加して、反応プロセス領域60Aに反応性ガスのプラズマを発生させるように構成されている。
アンテナ63は、マッチング回路を収容するマッチングボックス64を介して高周波電源65に接続されている。マッチングボックス64内には、図示しない可変コンデンサが設けられている。
アンテナ63は、導線部を介してマッチングボックス64に接続されている。導線部はアンテナ63と同様の素材からなる。ケース体61には、導線部を挿通するための挿通孔が形成されており、アンテナ収容室61A内側のアンテナ63と、アンテナ収容室61A外側のマッチングボックス64とは、挿通孔に挿通される導線部を介して接続される。導線部と挿通孔との間にはシール部材が設けられ、アンテナ収容室61Aの内外で気密が保たれる。
アンテナ63と回転ドラム13との間には、イオン消滅手段としてのグリッド66が設けられている。グリッド66は、アンテナ63で発生したイオンの一部や電子の一部を消滅させるためのものである。グリッド66は、導電体からなる中空部材であり、アースされている。中空部材からなるグリッド66の内部に冷却媒(例えば冷却水)を流すために、グリッド66の端部には冷却媒を供給するホース(不図示)が接続されている。なお、グリッド66の詳細な説明は、本発明の趣旨とは異なるため省略する。
また、反応プロセス領域60Aの周辺には反応性ガス供給手段70が設けられている。本実施形態では、反応性ガス供給手段70は、窒素ガスを貯蔵する窒素ガスボンベ71と、窒素ガスボンベ71より供給される窒素ガスの流量を調整するマスフローコントローラ72と、酸素ガスを貯蔵する酸素ガスボンベ73と、酸素ガスボンベ73より供給される酸素ガスの流量を調整するマスフローコントローラ74と、これらのガスを反応プロセス領域60Aに導入する配管75aを主要な構成要素として具備している。
なお、窒素ガスボンベ71と酸素ガスボンベ73は、成膜プロセス領域20Aのスパッタガスボンベ32と同様の装置とすることが可能である。また、マスフローコントローラ72とマスフローコントローラ74は、成膜プロセス領域20Aのマスフローコントローラ31と同様の装置を採用することが可能である。
窒素ガスボンベ71や酸素ガスボンベ73から配管75aを通じて窒素ガスや酸素ガスが反応プロセス領域60Aに導入された状態で、アンテナ63に高周波電源65から電力が供給されると、反応プロセス領域60A内のアンテナ63に面した領域にプラズマが発生し、基板Sの表面に形成された膜原料物質がプラズマ処理されて膜原料物質の化合物または不完全化合物となる。
具体的には、中間層F2の成膜時には、反応性ガス供給手段70から酸素ガスのみが導入され、膜原料物質であるチタン(Ti)が酸化されて酸化チタン(TiO)が生成する。一方、着色性薄膜F1の成膜時には、反応性ガス供給手段70から窒素ガスのみが導入され、膜原料物質であるチタン(Ti)が窒化されて窒化チタン(TiN)が生成する。
また、窒酸化物を形成する場合は、窒素ガスと酸素ガスの混合ガスを反応プロセス領域60A内に導入する。
なお、着色性薄膜F1を金属の炭化物とする場合は、窒素ガスに換えて一酸化炭素ガスを用いる。また、窒炭化物を形成する場合は、窒素ガスを供給する窒素ガスボンベと一酸化炭素を供給する一酸化炭素ガスボンベの2種類のガスボンベを設けて、これらのガスの混合ガスを反応プロセス領域60A内に導入する。
着色性薄膜F1は、薄膜中に含まれる金属化合物の組成比によって呈する色調が異なる。
本実施形態の薄膜形成装置1は、反応性ガス供給手段70から供給される反応性ガスの流量をマスフローコントローラ72にて調整することで、着色性薄膜F1が目的とする色調を呈するように調整することが可能となっている。
本実施形態の薄膜形成装置1は、このようにスパッタによる膜原料物質の供給を行う成膜プロセス領域20Aと、膜原料物質と反応性ガスの反応を行う反応プロセス領域60Aが真空容器11内の離間した位置に分離した状態で形成されているため、従来の一般的な反応性スパッタリング装置を用いた場合のように、ターゲット22a,22bと反応性ガスが反応して異常放電が起こるといった不都合が生じにくい。このため、反応プロセス領域60A内の反応性ガスの供給量を多くしたり、プラズマの発生密度を上昇させたりして、膜原料物質と反応性ガスの反応を促進させることができる。
したがって、従来のように基板Sの温度を上昇させて反応性を向上させる必要が無く、低い温度で十分に反応を行うことが可能となる。これにより、耐熱性の低いプラスチック樹脂からなる基板Sなどに対しても、十分に反応を行うことが可能となり、膜質のよい有色基材Pを提供することができる。
本実施形態の薄膜形成装置1は、基板Sの温度を制御するための温度制御手段を備えていないが、温度制御手段を備えていなくても上述した理由により基板Sの温度を上昇させる必要がないため、100℃以下の低温で成膜を行うことが可能となっている。
なお、基板Sの温度を制御する温度制御手段を設けて基板Sの温度を所定の温度とすることができるのはいうまでもない。この場合、基板Sの耐熱性温度より低い温度となるように温度制御手段を制御することが好ましい。具体的には、温度を上昇させる加熱手段と、温度を下降させる冷却手段の両方を設けると共に、基板Sの配置される位置に温度センサを設けて、この温度センサで検知した温度に基づいて温度制御手段をフィードバック制御すると好ましい。
次に、この薄膜形成装置1を用いて酸化チタン(TiO)を材料とする中間層F2と窒化チタン(TiN)を材料とする着色性薄膜F1が形成された有色基材Pを製造する場合について説明する。
まず、回転ドラム13に基板Sをセットし、真空容器11内に収容する。そして、真空容器11内を密閉した状態で、真空ポンプ15aを用いて真空容器11内を10−1〜10−5Pa程度の高真空状態にする。
続いて、中間層F2を形成する。まず、回転ドラム13を回転して基板Sを成膜プロセス領域20Aに移動させる。そして、成膜プロセス領域20Aでターゲット22a,22bをスパッタして基板Sの表面にチタン(Ti)を付着させる(第1スパッタ工程)。次に、回転ドラム13を回転して、基板Sを反応プロセス領域60Aに搬送する(第1基体搬送工程)。続いて、反応プロセス領域60Aに酸素ガスを導入する。そして、反応プロセス領域60Aにて酸素ガスのプラズマを発生させて基板Sの表面に付着したチタンを酸化チタン(TiO)に変換する(第1プラズマ処理工程)。この工程を所定の膜厚となるまで複数回繰り返して酸化チタン(TiO)からなる中間層F2を形成する(以上、中間層形成工程)。
続いて、回転ドラム13を停止して一旦成膜工程を停止し、反応プロセス領域60A内に酸素ガスに換えて窒素ガスを導入する(第2反応性ガス供給工程)。窒素ガスの流量が安定した後で、再度回転ドラム13の回転を開始して成膜工程を再開する。
まず、中間層F2が形成された基板Sを成膜プロセス領域20Aに再度搬送する。次に、成膜プロセス領域20Aでターゲット22a,22bをスパッタしてすでに基板S上に形成されている中間層F2の表面にチタン(Ti)を付着させる(第2スパッタ工程)。次に、回転ドラム13を回転して、基板Sを反応プロセス領域60Aに搬送する(第2基体搬送工程)。そして、反応プロセス領域60Aにて窒素ガスのプラズマを発生させてこのチタン(Ti)を化チタン(TiN)に変換する(第2プラズマ処理工程)。この工程を所定の膜厚となるまで複数回繰り返して化チタン(TiN)からなる着色性薄膜F1を形成する(以上、着色性薄膜形成工程)。以上の工程により、有色基材Pを製造する。
本実施形態の薄膜形成装置1は、成膜プロセス領域20Aと反応プロセス領域60Aをそれぞれ一つずつ設けて成膜をおこなうよう構成されているが、成膜プロセス領域20A以外の別の領域にもうひとつ成膜プロセス領域を更に設けて、2種類のターゲットを用いて成膜を行ってもよい。
また、中間層F2を金属薄膜で形成する場合は、上述した中間層プラズマ処理工程を行わないようにすればよい。
以下に、この薄膜形成装置について説明する。参考例では、中間層F2として酸化チタン(TiO )を、着色性薄膜F1として窒化アルミニウム(AlN)を成膜した例について説明する。
図6は薄膜形成装置を上面から見た説明図である。この図に示すように、回転ドラム13の回転軸を中心として成膜プロセス領域20A(第1成膜プロセス領域)と対称となる真空容器11の内部の領域には、第2成膜プロセス領域としての成膜プロセス領域40Aが形成されている。そして、成膜プロセス領域40Aには、第2スパッタ手段としてのスパッタ手段40、および第2スパッタガス供給手段としてのスパッタガス供給手段50が配設されている。
なお、スパッタ手段40は、第1スパッタ手段としてのスパッタ手段20と同様の構成であり、スパッタガス供給手段50は、第1スパッタガス供給手段としてのスパッタガス供給手段30と同様の構成であるため、詳細な説明はここでは省略する。
スパッタ手段40にはターゲット42a,42bが配設されている。ターゲット42a,42bは、第1スパッタ手段であるスパッタ手段20のターゲット22a,22bとは異なる材料、本参考例ではアルミニウム(Al)で形成されている。
この薄膜形成装置1を用いて有色基材Pを製造する場合は、ターゲット22a,22bとしてチタン(Ti)、ターゲット42a,42bとして上述のようにアルミニウム(Al)を用いる。そして、反応プロセス領域60Aには酸素ガスまたは窒素ガスを所定の流量比で供給する。
まず、成膜プロセス領域20Aでターゲット22a,22bをスパッタして基板Sの表面にチタン(Ti)を付着させ(中間層スパッタ工程)、次に基板Sを反応プロセス領域60A内に搬送し(中間層基体搬送工程)、反応プロセス領域60Aにて酸素ガスのプラズマを発生させてチタン(Ti)を酸化チタン(TiO )に変換する(中間層プラズマ処理工程)。この工程を所定の膜厚になるまで複数回繰り返して酸化チタン(TiO )からなる中間層F2を形成する(中間層形成工程)。
続いて、回転ドラム13を停止して一旦成膜工程を停止し、反応プロセス領域60A内に窒素ガスを所定の流量比で供給する。窒素ガスの流量が安定した後で、再度回転ドラム13の回転を開始して成膜工程を再開する。そして、今度は成膜プロセス領域40Aでターゲット42a,42bをスパッタして中間層F2の表面にアルミニウム(Al)を付着させ(着色性薄膜スパッタ工程)、次に基板Sを反応プロセス領域60A内に搬送し(着色性薄膜基体搬送工程)、続いて反応プロセス領域60Aにて窒素ガスのプラズマを発生させてアルミニウム(Al)を窒化アルミニウム(AlN)に変換する(着色性薄膜プラズマ処理工程)。この工程を所定の膜厚になるまで複数回繰り返して窒化アルミニウム(AlN)からなる着色性薄膜F1を形成する(着色性薄膜形成工程)。
このように、本参考例の薄膜形成装置は、異なる材料からなる膜原料物質を付着させる成膜プロセス領域20Aと成膜プロセス領域40Aを備えているため、中間層F2と着色性薄膜F1が異なる金属材料からなる場合であっても、真空容器11の真空状態を解除してターゲットを交換する必要が無い。このため、中間層F2と着色性薄膜F1を連続して成膜することが可能となり、したがって有色基材Pを製造するタクトタイムの短縮を図ることが可能となる。
次に、実際に有色基材Pを製造した実施例について説明する。
(実施例1〜8)
図1に示される薄膜形成装置を用いて、基板Sに各種のプラスチック樹脂材料からなる基板を使用して、中間層F2に酸化チタン(TiO)、着色性薄膜F1に窒化チタン(TiN)の成膜を行った。
光学リフレクタの製造は、真空容器11の内部に成膜プロセス領域20Aのみを備えた薄膜形成装置1を用いて行った(図2参照)。基板Sとして、直径30cm、厚さ1.0mmの円板状のプラスチック樹脂基板を使用した。プラスチック樹脂の種類は、各種の材料を用いた。
実施例1:ポリカーボネート(以下、PC)
実施例2:PC+ポリエチレンテレフタレート(以下、PET)
実施例3:ポリブチレンテレフタレート(以下、PBT)+PET
実施例4:PC+PBT
実施例5:PC+ポリエステル(以下、PE)
実施例6:PC+PBT+ガラス繊維
実施例7:PBT+ガラス繊維
実施例8:PC+アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(以下、ABS共重合体)+ガラス繊維
スパッタのターゲット22a,22bとしてチタン(Ti)を使用し、中間層F2の成膜時には反応プロセス領域60A内に酸素ガスを、着色性薄膜F1の成膜時には反応プロセス領域60A内に窒素ガスを導入した。成膜は温度無制御で行った。成膜時の温度は80℃であった。
中間層F2の成膜条件は以下のとおりである。なお、成膜レートは0.4nm/s、得られた膜厚は5nmであった。
<成膜プロセス領域20A>
スパッタ電力:4.0kW
周波数:40kHz
アルゴンガスの流量:300sccm
<反応プロセス領域60A>
アンテナに印加される電力:1.0kW
周波数:13.56MHz
酸素ガスの流量:100sccm
また、着色性薄膜F1の成膜条件は以下のとおりである。なお、成膜レートは0.5nm/s、膜厚は150nmであった。
<成膜プロセス領域20A>
スパッタ電力:5.0kW
周波数:40kHz
アルゴンガスの流量:150sccm
<反応プロセス領域60A>
アンテナに印加される電力:5.0kW
周波数:13.56MHz
窒素ガスの流量:70sccm
以下に、基板Sの材料(実施例1〜8)と、目視色、目視光沢、目視クラック、目視変形、テープテストの結果を記載した表を示す。なお、目視色、目視光沢、目視クラック、目視変形は、観測者が目視で確認して、色調や光沢の有無、クラックの有無、変形の有無を確認した。テープテストは、JIS−K5600−5−6に記載されたクロスカット法に準拠する方法で行った。また、成膜直後の状態(条件A)と、成膜後に温度60℃、湿度90%の環境下で162時間経過後の状態(条件B)の2種類について評価を行った。条件Bについては、日立製作所社製COSMOPIA(日立恒温槽・恒温恒湿槽、型式EC−15MHP)を用いて試験を行った。
Figure 0005468191
この結果から、着色性薄膜F1として窒化チタン(TiN)を成膜した場合は、得られた有色基材Pは光沢のある金色を呈すると共に、クラックや変形はほとんど見られなかった。また、60℃、90%湿度の環境下で162時間経過した後も、目視色、目視光沢にはほとんど変化が無く、また、クラックや変形も見られなかった。
さらに、テープテストの結果から、形成された着色性薄膜F1がほとんど剥がれていないことがわかる。これは、着色性薄膜F1が基板Sの表面に中間層F2を介して強固に付着していることを示している。また、60℃、90%湿度の環境下で162時間経過した後も、テープテストの結果、形成された着色性薄膜F1がほとんど剥がれていなかったことから、着色性薄膜F1が基板Sの表面に中間層F2を介して安定的に付着していることがわかる。
本発明の一実施形態に係る有色基材の横断面形状を模式的に示した説明図である。 薄膜形成装置を上面から見た説明図である。 図2の薄膜形成装置を側面から見た説明図である。 図2の薄膜形成装置の成膜プロセス領域周辺を拡大して示した説明図である。 図2の薄膜形成装置の反応プロセス領域周辺を拡大して示した説明図である。 他の実施形態の薄膜形成装置を上面から見た説明図である。
1 薄膜形成装置
11 真空容器
11a 開口
11A 薄膜形成室
11B ロードロック室
11C 扉
11D 扉
12 仕切壁
13 回転ドラム
13a 基板保持板
13b フレーム
13c 締結具
14 仕切壁
15a 真空ポンプ
15b 真空ポンプ
16a−1 配管
16a−2 配管
16b 配管
17 モータ
17a モータ回転軸
18 ドラム回転軸
20 スパッタ手段(第1スパッタ手段)
20A 成膜プロセス領域(第1成膜プロセス領域)
21a マグネトロンスパッタ電極
21b マグネトロンスパッタ電極
22a ターゲット
22b ターゲット
23 トランス
24 交流電源
30 スパッタガス供給手段(第1スパッタガス供給手段)
31 マスフローコントローラ
32 スパッタガスボンベ
35a 配管
35b 導入口
35c 配管
40 スパッタ手段(第2スパッタ手段)
40A 成膜プロセス領域(第2成膜プロセス領域)
42a ターゲット
42b ターゲット
50 スパッタガス供給手段(第2スパッタガス供給手段)
60 プラズマ発生手段
60A 反応プロセス領域
61 ケース体
61A アンテナ収容室
62 誘電体板
63 アンテナ
64 マッチングボックス
65 高周波電源
66 グリッド
70 反応性ガス供給手段
71 窒素ガスボンベ
72 マスフローコントローラ
73 酸素ガスボンベ
74 マスフローコントローラ
75a 配管
S 基板(基体)
V1 バルブ
V2 バルブ
V3 バルブ
Z 回転軸線
P 有色基材
F1 着色性薄膜
F2 中間層

Claims (6)

  1. プラスチック樹脂からなる基体の表面に着色性薄膜が形成された有色基材の製造方法であって、
    真空容器内の中間層成膜プロセス領域内で金属からなるターゲットをスパッタして前記基体の表面に前記金属からなる中間層膜原料物質を付着させる中間層スパッタ工程と、
    前記真空容器内で前記中間層成膜プロセス領域とは離間した位置に形成された中間層反応プロセス領域内に前記基体を搬送する中間層基体搬送工程と、
    前記中間層反応プロセス領域内に少なくとも酸素ガスを導入した状態で、該酸素ガスのプラズマを発生させて前記酸素ガスと前記中間層膜原料物質とを反応させ、前記酸素ガスと前記中間層膜原料物質の化合物または不完全化合物を生成させる中間層プラズマ処理工程と、
    からなる一連の工程を複数回行って前記基体の表面に中間層を形成する中間層形成工程を行った後、
    前記真空容器内で前記中間層成膜プロセス領域と同一または異なる位置に形成された成膜プロセス領域内で、前記中間層スパッタ工程で用いた前記ターゲットと同じ前記金属からなるターゲットをスパッタして前記中間層の表面に前記金属からなる着色性薄膜原料物質を付着させるスパッタ工程と、
    前記真空容器内で前記成膜プロセス領域とは離間した位置に形成された反応プロセス領域内に前記基体を搬送する基体搬送工程と、
    前記反応プロセス領域内に少なくとも1種類の反応性ガスを導入した状態で、該反応性ガスのプラズマを発生させて前記反応性ガスと前記着色性薄膜原料物質とを反応させ、前記反応性ガスと前記着色性薄膜原料物質の化合物または不完全化合物を生成させるプラズマ処理工程と、
    からなる一連の工程を複数回行って前記着色性薄膜を形成する着色性薄膜形成工程を行うことを特徴とする有色基材の製造方法。
  2. 前記各工程は、温度制御下または非制御下で前記基体の温度が20〜300℃の範囲となるように行われることを特徴とする請求項1記載の有色基材の製造方法。
  3. 前記中間層スパッタ工程では、チタン又はジルコニウムからなる前記ターゲットをスパッタして前記チタン又は前記ジルコニウムからなる前記中間層膜原料物質を付着させ
    前記スパッタ工程では、前記チタン又は前記ジルコニウムであって、前記中間層スパッタ工程で用いた前記ターゲットと同じ前記金属からなる前記ターゲットをスパッタして前記チタン又は前記ジルコニウムからなる前記着色性薄膜原料物質を付着させることを特徴とする請求項1又は2記載の有色基材の製造方法。
  4. プラスチック樹脂からなる基体と、該基体の表面に形成された着色性薄膜と、該着色性薄膜と前記基体との間に形成された中間層と、からなる有色基材であって、
    前記着色性薄膜及び前記中間層は、請求項1に記載の製造方法で形成されていることを特徴とする有色基材。
  5. 前記中間層の膜厚が200nm以上500nm以下の範囲内にあることを特徴とする請求項4記載の有色基材。
  6. 前記基体は、ポリカーボネート,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体,ナイロン,ポリブチレンテレフタレート,ポリカーボネート−ポリエチレンテレフタレート共重合体,ポリカーボネート−ポリブチレンテレフタレート共重合体,アクリル,ポリスチレン,ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群から選択される1または2種類以上の樹脂材料、もしくはこれらの材料とガラス繊維および/またはカーボン繊維との混合物で形成されることを特徴とする請求項4又は5記載の有色基材。
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