JP4789700B2 - 親水性薄膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は親水性薄膜の製造方法に係り、特に、長期に亘って親水性を持続させることが可能な親水性薄膜の製造方法に関する。
酸化チタンなどの光触媒性材料から形成される薄膜は、紫外線が当たるとその表面が水になじみやすくなる性質(すなわち、親水性)を有している。この親水性により、薄膜(以下、親水性薄膜)の表面に付着した水滴は薄い水の層となり、水滴による光の乱反射が生じなくなることで曇りが防止される。また、親水性薄膜は、親水化された水により表面に付着した汚れを浮き上がらせて除去するセルフクリーニング作用を備えている。さらに、親水化された水は蒸発面積が大きいため、親水性薄膜は、自身と接触する物質から効率的に蒸発潜熱を奪いながら蒸発することで、その物質の温度を低下させる冷却作用も有している。
このような性質を有しているため、親水性薄膜は、自動車のサイドミラーや道路に設置されるミラー、ビルや家屋の外装建材、タイル、ブラインドなどの内装品といった幅広い分野に利用されている。
親水性薄膜に紫外線を照射すると、酸化チタンが励起されて親水性薄膜の表面が親水基(−OH)で覆われるため、親水性薄膜の表面と水がなじみやすくなり、表面に付着した水の接触角が小さくなることで親水化する。しかしながら、紫外線の照射を停止すると、一旦励起された酸化チタンが元の基底状態に戻るため、表面の親水基(−OH)が減少して水の接触角が次第に大きくなり、親水化状態から元の疎水化状態に戻ることが知られている(非特許文献1)。この疎水化状態では、防曇性やセルフクリーニング作用等をほとんど期待できない。このため、親水化状態から疎水化状態へ戻ることを抑制し、長期に亘って親水化状態を持続させる方法が研究されてきた。
従来、酸化チタン薄膜に水に対する吸着力が大きいシリカを組み合わせることで、親水化状態を長期に亘って持続できることが知られている(例えば、非特許文献2)。この文献には、酸化チタンに加えて水和性の高いシラノール基を有するシリカを組み合わせることで、光照射して親水化した後、光照射を停止してもすぐには疎水化せず、1週間程度は高い親水性を維持することが記載されている。
K HASHIMOTOほか2名、「TiO2 Photocatalysis: A Historical Overview and Future Prospects」、Japanese Journal of Applied Physics、2005年12月、Vol.44、No.12、p.8269−8285 「超親水・超撥水化技術」、技術情報協会、2000年1月、p.52−53
しかしながら、非特許文献1に記載の親水化方法では、親水性薄膜に紫外線を照射する必要があるため、親水化状態を維持するためには、常に紫外線を照射しなければならず、親水化状態を持続させるためのコストが高くなるという不都合があった。また、紫外線が常に照射される場所でしか使用できないため、親水性薄膜を使用できる場所が限定されるという不都合もあった。
また、非特許文献2に記載の親水化方法では、酸化チタンの表面にシリカをコーティングする必要があるため、親水性薄膜の形成にかかる工数や必要な材料が多くなり、製造コストが上昇するという不都合があった。
本発明の目的は、紫外線照射を行わなくても高い親水性を有するとともに、長期に亘って親水性を持続させることが可能な親水性薄膜を、安価な製造コストで製造することが可能な親水性薄膜の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、親水性薄膜を成膜する薄膜形成工程の前又は後若しくは前後において、基板に対してプラズマ処理を行うことで、形成される親水性薄膜が高い親水性を有するとともに、長期に亘って親水性を持続させることができるという新たな知見を得て、本発明を完成させた。
また、本発明の親水性薄膜の製造方法は、ガラス基体の表面に親水性の薄膜を形成する親水性薄膜の製造方法であって、前記ガラス基体に対して酸素ガスのプラズマによるプラズマ処理を行う前処理工程と、該前処理工程後の前記ガラス基体の表面に酸化チタンからなる薄膜を形成する薄膜形成工程と、前記薄膜の表面に酸素ガスのプラズマによるプラズマ処理を行う後処理工程と、を備え、前記前処理工程及び前記後処理工程は、前記酸素ガスの圧力を0.3〜0.6Paとしてわれることを特徴とする。
この場合、前記薄膜形成工程は、真空容器内の成膜プロセス領域内で、チタンをスパッタして前記ガラス基体の表面に膜原料物質を付着させるスパッタ工程と、前記真空容器内で前記成膜プロセス領域とは離間した位置に形成された反応プロセス領域内に前記ガラス基体を搬送する基体搬送工程と、前記反応プロセス領域内に少なくとも酸素ガスを導入した状態で該酸素ガスのプラズマを発生させて前記酸素ガスと前記膜原料物質とを反応させ、前記酸素ガスと前記膜原料物質の化合物又は不完全化合物を生成させる反応工程と、からなる一連の工程を複数回行い、前記プラズマ処理は、前記反応プロセス領域内で行われ、前記反応工程は、前記酸素ガスの圧力を0.3〜0.6Paとして行われることが好ましい。
また、前記反応プロセス領域内には、イオン消滅手段を備え、前記プラズマ処理は、前記イオン消滅手段によってイオンの一部を消滅させて行われると好ましい
本発明の親水性薄膜の製造方法によれば、紫外線照射を行わなくても高い親水性を有するとともに、長期に亘って親水性を持続させることが可能な親水性薄膜を、安価な製造コストで製造することが可能な親水性薄膜の製造方法を提供することができる。
以下に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は発明を具体化した一例であって本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
図1〜図8は本発明の親水性薄膜の製造方法に使用する薄膜形成装置について説明した図であり、図1は薄膜形成装置を上方から見た説明図、図2は図1の薄膜形成装置を側面から見た説明図、図3は図1の薄膜形成装置の成膜プロセス領域周辺を拡大して示した説明図、図4は図1の薄膜形成装置の反応プロセス領域周辺を拡大して示した説明図、図5は本発明の第一の参考形態に係る親水性薄膜の製造方法の流れを示したフローチャート、図6は本発明の第二の参考形態に係る親水性薄膜の製造方法の流れを示したフローチャート、図7は本発明の実施形態に係る親水性薄膜の製造方法の流れを示したフローチャート、図8は実施例1、参考例1,2及び比較例の製造方法で作成した親水性薄膜に対して親水性持続試験を行った結果を示すグラフである。
本実施形態では、スパッタの一例であるマグネトロンスパッタを行う薄膜形成装置を用いているが、マグネトロン放電を用いない2極スパッタ等の他の公知のスパッタを行う薄膜形成装置を用いることもできる。
本実施形態の薄膜形成装置では、目的の膜厚よりも相当程度薄い薄膜を基板Sの表面に付着するスパッタ工程と、この薄膜に対して酸化などの処理を行って薄膜の組成を変換する反応工程とにより基板Sの表面に中間薄膜を形成し、このスパッタ工程と反応工程を複数回繰り返すことで、中間薄膜を複数層積層して目的の膜厚を有する最終薄膜を基板Sの表面に形成している。
具体的には、スパッタ工程と反応工程によって組成変換後における膜厚の平均値が0.01〜1.5nm程度の中間薄膜を基板Sの表面に形成する工程を、回転ドラムの回転毎に繰り返すことにより、目的とする数nm〜数百nm程度の膜厚を有する最終薄膜を形成している。
以下、親水性薄膜の製造方法に使用する薄膜形成装置について説明する。
図1に示すように、本実施形態の薄膜形成装置1は、真空容器11と、回転ドラム13と、モータ17(図2参照)と、スパッタ手段20と、スパッタガス供給手段30と、プラズマ発生手段60と、反応性ガス供給手段70と、を主要な構成要素としている。
なお、図中では、スパッタ手段20及びプラズマ発生手段60は破線で、スパッタガス供給手段30及び反応性ガス供給手段70は一点鎖線で表示している。
本実施形態では、親水性薄膜として光触媒作用を有する酸化チタン(TiO)を成膜した例について説明する。
真空容器11は、公知の薄膜形成装置で通常用いられるようなステンレススチール製で、ほぼ直方体形状をした中空体である。真空容器11の内部は、開閉扉としての扉11Cによって薄膜形成室11Aとロードロック室11Bに分けられる。真空容器11の上方には扉11Cを収容する扉収納室(不図示)が接続されており、扉11Cは、真空容器11の内部と扉収納室の内部との間でスライドすることで開閉する。
真空容器11には、ロードロック室11Bと真空容器11の外部とを仕切るための扉11Dが設けられている。扉11Dはスライド又は回動することで開閉する。薄膜形成室11Aには排気用の配管16a−1が接続され、この配管16a−1には真空容器11の内部を排気するための真空ポンプ15aが接続されている。真空容器11の内部において配管16a−1には開口が形成されており、この開口は真空容器11の内部の成膜プロセス領域20Aと反応プロセス領域60Aとの間に位置している。これにより、成膜プロセス領域20Aで飛散した膜原料物質を真空ポンプ15aで吸引することが可能となり、成膜プロセス領域20Aから飛散した膜原料物質が反応プロセス領域60Aに侵入してプラズマ発生手段60を汚染したり、成膜プロセス領域20Aの外に位置する基板Sの表面に付着して汚染したりすることを防止している。
また、ロードロック室11Bには排気用の配管16bが接続され、この配管16bには真空容器11の内部を排気するための真空ポンプ15bが接続されている。
本実施形態の薄膜形成装置1は、このようなロードロック室11Bを備えているため、薄膜形成室11A内の真空状態を保持した状態で基板Sの搬入出を行うことが可能となる。従って、基板Sを搬出する毎に真空容器11の内部を脱気して真空状態にする手間を省くことが可能となり、高い作業効率で成膜処理を行うことができる。
なお、本実施形態の真空容器11は、ロードロック室11Bを備えるロードロック方式を採用しているが、ロードロック室11Bを設けないシングルチャンバ方式を採用することも可能である。また、複数の真空室を備え、それぞれの真空室で独立に薄膜形成を行うことが可能なマルチチャンバ方式を採用することも可能である。
回転ドラム13は、表面に薄膜を形成させる基板Sを真空容器11の内部で保持するための筒状の部材であり、基体保持手段としての機能を有する。図2に示すように、回転ドラム13は、複数の基板保持板13aと、フレーム13bと、基板保持板13a及びフレーム13bを締結する締結具13cと、を主要な構成要素としている。
基板保持板13aはステンレススチール製の平板状部材で、基板Sを保持するための複数の基板保持孔を、基板保持板13aの長手方向に沿って板面中央部に一列に備えている。基板Sは、基板保持板13aの基板保持孔に収納され、脱落しないようにネジ部材等を用いて基板保持板13aに固定されている。また、基板保持板13aの長手方向の両端部には、後述する締結具13cを挿通可能なネジ穴が板面に設けられている。
フレーム13bはステンレススチール製からなり、上下に配設された2つの環状部材で構成されている。フレーム13bのそれぞれの環状部材には、基板保持板13aのネジ穴と対応する位置にネジ穴が設けられている。基板保持板13aとフレーム13bはボルト及びナットからなる締結具13cを用いて固定される。具体的には、ボルトを基板保持板13a及びフレーム13bのネジ穴に挿通してナットで固定することにより固定される。
なお、本実施形態における回転ドラム13は、平板状の基板保持板13aを複数配置しているため横断面が多角形をした多角柱状をしているが、このような多角柱状のものに限定されず、円筒状や円錐状のものであってもよい。
基板Sは、本発明の基体に相当するものであり、ガラス等の材料で形成された部材である。本実施形態では、基板Sとして円板状のものを用いているが、本発明の基体の形状としてはこのような円板状のものに限定されず、表面に薄膜を形成できる他の形状、例えばレンズ形状、円筒状、円環状といった形状であってもよい。ここで、ガラス材料とは、酸化ケイ素(SiO)で形成された材料であり、具体的には、石英ガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスなどが挙げられる。
真空容器11の内部に設置された回転ドラム13は、図1に示す薄膜形成室11Aとロードロック室11Bとの間を移動できるように構成されている。本実施形態では、真空容器11の底面にレール(不図示)が設置されており、回転ドラム13はこのレールに沿って移動する。回転ドラム13は、円筒の筒方向の回転軸線Z(図2参照)が真空容器11の上下方向になるように真空容器11の内部に配設される。基板保持板13aをフレーム13bに取り付ける際やフレーム13bから取り外す際には、回転ドラム13はロードロック室11Bに搬送されて、このロードロック室11B内で基板保持板13aがフレーム13bに着脱される。一方、成膜中にあっては、回転ドラム13は薄膜形成室11Aに搬送されて、薄膜形成室11A内で回転可能な状態になっている。
図2に示すように、回転ドラム13の下面中心部はモータ回転軸17aの上面と係合する形状になっている。回転ドラム13とモータ回転軸17aとは、モータ回転軸17aの中心軸線と回転ドラム13の中心軸線とが一致するよう位置決めされ、両者が係合することにより連結されている。回転ドラム13下面のモータ回転軸17aと係合する面は絶縁部材で構成されている。これにより、基板Sの異常放電を防止することが可能となる。また、真空容器11とモータ回転軸17aとの間は、Oリングで気密が保たれている。
真空容器11の内部の真空状態を維持した状態で、真空容器11の下部に設けられたモータ17を駆動させることによってモータ回転軸17aが回転する。この回転に伴って、モータ回転軸17aに連結された回転ドラム13は回転軸線Zを中心に回転する。各基板Sは回転ドラム13上に保持されているため、回転ドラム13が回転することで回転軸線Zを公転軸として公転する。
回転ドラム13の上面にはドラム回転軸18が設けられており、回転ドラム13の回転に伴ってドラム回転軸18も回転するように構成されている。真空容器11の上壁面には孔部が形成されており、ドラム回転軸18はこの孔部を貫通して真空容器11の外部に通じている。孔部の内面には軸受が設けられており、回転ドラム13の回転をスムーズに行えるようにしている。また、真空容器11とドラム回転軸18との間は、Oリングで気密が保たれている。
次に、基板Sの表面に薄膜を形成する成膜プロセス領域20A、及び反応プロセス領域60Aについて説明する。図1に示すように、真空容器11の内壁には、回転ドラム13へ面した位置に仕切壁12と仕切壁14が立設されている。本実施形態における仕切壁12と仕切壁14は、いずれも真空容器11と同じステンレススチール製の部材である。仕切壁12と仕切壁14は、いずれも上下左右に一つずつ配設された平板部材により構成されており、真空容器11の内壁面から回転ドラム13に向けて四方を囲んだ状態となっている。これにより、成膜プロセス領域20A及び反応プロセス領域60Aが真空容器11の内部でそれぞれ区画される。
真空容器11の側壁は、外方に突出した横断面凸状をしており、突出した壁面にはスパッタ手段20が設けられている。成膜プロセス領域20Aは、真空容器11の内壁面と、仕切壁12と、回転ドラム13の外周面と、スパッタ手段20により囲繞された領域に形成されている。成膜プロセス領域20Aでは、基板Sの表面に膜原料物質を付着させるスパッタ処理が行われる。
また、成膜プロセス領域20Aから回転ドラム13の回転軸を中心として90°離間した真空容器11の側壁もまた、外方に突出した横断面凸状をしており、突出した壁面にはプラズマ発生手段60が設けられている。反応プロセス領域60Aは、真空容器11の内壁面と、仕切壁14と、回転ドラム13の外周面と、プラズマ発生手段60により囲繞された領域に形成されている。反応プロセス領域60Aでは、基板Sの表面に付着した膜原料物質と反応性ガスとの反応が行われる。
モータ17によって回転ドラム13が回転すると、回転ドラム13の外周面に保持された基板Sが公転して、成膜プロセス領域20Aに面する位置と反応プロセス領域60Aに面する位置との間を繰り返し移動することになる。そして、このように基板Sが公転することで、成膜プロセス領域20Aでのスパッタ処理と、反応プロセス領域60Aでの反応処理とが順次繰り返し行われて、基板Sの表面に薄膜が形成される。
(成膜プロセス領域20A)
以下に、成膜プロセス領域20Aについて説明する。
図3に示すように、成膜プロセス領域20Aにはスパッタ手段20が設置されている。
スパッタ手段20は、一対のターゲット22a,22bと、ターゲット22a,22bを保持する一対のマグネトロンスパッタ電極21a,21bと、マグネトロンスパッタ電極21a,21bに電力を供給する交流電源24と、交流電源24からの電力量を調整する電力制御手段としてのトランス23により構成される。
真空容器11の壁面は外方に突出しており、この突出部の内壁にマグネトロンスパッタ電極21a,21bが側壁を貫通した状態で配設されている。このマグネトロンスパッタ電極21a,21bは、接地電位にある真空容器11に不図示の絶縁部材を介して固定されている。
本実施形態のターゲット22a,22bは、膜原料物質を平板状に形成したものであり、後述するように回転ドラム13の側面に対向するようにマグネトロンスパッタ電極21a,21bにそれぞれ保持される。本実施形態では、ターゲット22a,22bとしてチタン(Ti)を用いているが、参考例として、酸化物が光により親水化される他の金属材料、例えば亜鉛(Zn)、若しくはチタン(Ti)と亜鉛(Zn)の合金が挙げられる
マグネトロンスパッタ電極21a,21bは、複数の磁石が所定の方向に配置された構造を有している。マグネトロンスパッタ電極21a,21bは、トランス23を介して交流電源24に接続され、両電極に1k〜100kHzの交番電界が印加できるように構成されている。マグネトロンスパッタ電極21a,21bには、ターゲット22a,22bがそれぞれ保持されている。ターゲット22a,22bの形状は平板状であり、図2に示されるように、ターゲット22a,22bの長手方向が回転ドラム13の回転軸線Zと平行になるように設置されている。
図3に示すように、成膜プロセス領域20Aの周辺にはアルゴン等のスパッタガスを供給するスパッタガス供給手段30が設けられている。スパッタガス供給手段30は、スパッタガス貯蔵手段としてのスパッタガスボンベ32と、スパッタガス供給路としての配管35a及び配管35cと、スパッタガスの流量を調整するスパッタガス流量調整手段としてのマスフローコントローラ31と、を主要な構成要素として具備している。
スパッタガスとしては、例えばアルゴンやヘリウム等の不活性ガスが挙げられる。本実施形態ではアルゴンガスを使用している。
スパッタガスボンベ32、マスフローコントローラ31はいずれも真空容器11の外部に設けられている。マスフローコントローラ31は、スパッタガスを貯蔵する単一のスパッタガスボンベ32に配管35cを介して接続されている。
マスフローコントローラ31は配管35aに接続されており、配管35aの一端は真空容器11の側壁を貫通して成膜プロセス領域20A内のターゲット22a,22bの近傍に延びている。図2に示すように、配管35aの先端部はターゲット22a,22bの下部中心付近に配設され、その先端にはターゲット22a,22bの前面中心方向に向けて導入口35bが開口している。
マスフローコントローラ31はガスの流量を調節する装置であり、スパッタガスボンベ32からのガスが流入する流入口と、スパッタガスを配管35aへ流出させる流出口と、ガスの質量流量を検出するセンサと、ガスの流量を調整するコントロールバルブと、流入口より流入したガスの質量流量を検出するセンサと、センサにより検出された流量に基づいてコントロールバルブの制御を行う電子回路と、を主要な構成要素として備えている(いずれも不図示)。電子回路には外部から所望の流量を設定することが可能となっている。
スパッタガスボンベ32からのスパッタガスは、マスフローコントローラ31により流量を調節されて配管35a内に導入される。配管35aに流入したスパッタガスは、導入口35bより成膜プロセス領域20Aに配置されたターゲット22a,22bの前面に導入される。
成膜プロセス領域20Aにスパッタガス供給手段30からスパッタガスが供給されて、ターゲット22a,22bの周辺が不活性ガス雰囲気になった状態で、マグネトロンスパッタ電極21a,21bに交流電源24から交番電極が印加されると、ターゲット22a,22b周辺のスパッタガスの一部は電子を放出してイオン化する。マグネトロンスパッタ電極21a,21bに配置された磁石によりターゲット22a,22bの表面に漏洩磁界が形成されるため、この電子はターゲット22a,22bの表面近傍に発生した磁界中を、トロイダル曲線を描きながら周回する。この電子の軌道に沿って強いプラズマが発生し、このプラズマに向けてスパッタガスのイオンが加速され、ターゲット22a,22bに衝突することでターゲット22a,22bの表面の原子や粒子(ターゲット22a,22bがチタンの場合はチタン原子やチタン粒子)が叩き出される。このチタン原子やチタン粒子は薄膜の原料である膜原料物質であり、基板Sの表面に付着して薄膜が形成される。
(反応プロセス領域60A)
続いて、反応プロセス領域60Aについて説明する。上述したように反応プロセス領域60Aでは、成膜プロセス領域20Aで基板Sの表面に付着した膜原料物質を反応処理して、膜原料物質の化合物又は不完全化合物からなる薄膜の形成を行う。
同時に、反応プロセス領域60Aでは、薄膜形成前の基板Sの表面にプラズマ処理を行う前処理工程や、薄膜形成後の基板Sの表面にプラズマ処理を行う後処理工程が行われる。
図4に示すように、反応プロセス領域60Aに対応する真空容器11の壁面には、プラズマ発生手段60を設置するための開口11aが形成されている。また、反応プロセス領域60Aには配管75aが接続されている。配管75aの一端にはマスフローコントローラ72が接続されており、このマスフローコントローラ72は更に酸素ガスボンベ71に接続されている。このため、反応プロセス領域60A内に酸素ガスボンベ71から酸素ガスを供給することが可能となっている。
反応プロセス領域60Aに面する側の仕切壁14の壁面には、熱分解窒化硼素(Pyrolytic Boron Nitride)からなる保護層が被覆されている。さらに、真空容器11の内壁面の反応プロセス領域60Aに面する部分にも熱分解窒化硼素からなる保護層が被覆されている。熱分解窒化硼素は、化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition)を利用した熱分解法によって仕切壁14や真空容器11の内壁面へ被覆される。このような保護層は、必要に応じて設けるようにすることが好ましい。
プラズマ発生手段60は、反応プロセス領域60Aに面して設けられている。本実施形態のプラズマ発生手段60は、ケース体61と、誘電体板62と、アンテナ63と、マッチングボックス64と、高周波電源65と、を有して構成されている。
ケース体61は、真空容器11の壁面に形成された開口11aを塞ぐ形状を備え、ボルト(不図示)で真空容器11の開口11aを塞ぐように固定されている。ケース体61が真空容器11の壁面に固定されることで、プラズマ発生手段60は真空容器11の壁面に取り付けられている。本実施形態において、ケース体61はステンレスで形成されている。
誘電体板62は、板状の誘電体で形成されている。本実施形態において、誘電体板62は石英で形成されているが、誘電体板62の材質としてはこのような石英だけではなく、Al等のセラミックス材料で形成されたものでもよい。誘電体板62は、図示しない固定枠でケース体61に固定されている。誘電体板62がケース体61に固定されることで、ケース体61と誘電体板62によって囲繞された領域にアンテナ収容室61Aが形成される。
ケース体61に固定された誘電体板62は、開口11aを介して真空容器11の内部(反応プロセス領域60A)に臨んで設けられている。このとき、アンテナ収容室61Aは、真空容器11の内部と分離している。すなわち、アンテナ収容室61Aと真空容器11の内部とは、誘電体板62で仕切られた状態で独立した空間を形成している。また、アンテナ収容室61Aと真空容器11の外部は、ケース体61で仕切られた状態で独立の空間を形成している。本実施形態では、このように独立の空間として形成されたアンテナ収容室61Aの中に、アンテナ63が設置されている。なお、アンテナ収容室61Aと真空容器11の内部、アンテナ収容室61Aと真空容器11の外部との間は、それぞれOリングで気密が保たれている。
本実施形態では、配管16a−1から配管16a−2が分岐している。この配管16a−2はアンテナ収容室61Aに接続されており、アンテナ収容室61Aの内部を排気して真空状態にする際の排気管としての役割を備えている。
配管16a−1には、真空ポンプ15aから真空容器11の内部に連通する位置にバルブV1、V2が設けられている。また、配管16a−2には、真空ポンプ15aからアンテナ収容室61Aの内部に連通する位置にバルブV3が設けられている。バルブV2,V3のいずれかを閉じることで、アンテナ収容室61Aの内部と真空容器11の内部との間での気体の移動は阻止される。真空容器11の内部の圧力や、アンテナ収容室61Aの内部の圧力は、真空計(不図示)で測定される。
本実施形態では、薄膜形成装置1に制御装置(不図示)を備えている。この制御装置には、真空計の出力が入力される。制御装置は、入力された真空計の測定値に基づいて、真空ポンプ15aによる排気を制御して、真空容器11の内部やアンテナ収容室61Aの内部の真空度を調整する機能を備える。本実施形態では、制御装置がバルブV1,V2,V3の開閉を制御することで、真空容器11の内部とアンテナ収容室61Aの内部を同時に、又は独立して排気できる。
アンテナ63は、高周波電源65から電力の供給を受けて真空容器11の内部(反応プロセス領域60A)に誘導電界を発生させ、反応プロセス領域60Aにプラズマを発生させる手段である。本実施形態のアンテナ63は、銅で形成された円管状の本体部と、本体部の表面を被覆する銀で形成された被覆層を備えている。すなわち、アンテナ63の本体部を安価で加工が容易な、しかも電気抵抗も低い銅で円管状に形成し、アンテナ63の表面を銅よりも電気抵抗の低い銀で被覆している。これにより、高周波に対するアンテナ63のインピーダンスを低減して、アンテナ63に電流を効率よく流すことによりプラズマを発生させる効率を高めている。
本実施形態の薄膜形成装置1では、高周波電源65からアンテナ63に周波数1〜27MHzの交流電圧を印加して、反応プロセス領域60Aに反応性ガスのプラズマを発生させるように構成されている。
アンテナ63は、マッチング回路を収容するマッチングボックス64を介して高周波電源65に接続されている。マッチングボックス64内には、図示しない可変コンデンサが設けられている。
アンテナ63は、導線部を介してマッチングボックス64に接続されている。導線部はアンテナ63と同様の素材からなる。ケース体61には、導線部を挿通するための挿通孔が形成されており、アンテナ収容室61A内側のアンテナ63と、アンテナ収容室61A外側のマッチングボックス64とは、挿通孔に挿通される導線部を介して接続される。導線部と挿通孔との間にはシール部材が設けられ、アンテナ収容室61Aの内外で気密が保たれる。
アンテナ63と回転ドラム13との間には、イオン消滅手段としてのグリッド66が設けられている。グリッド66は、アンテナ63で発生したイオンの一部や電子の一部を消滅させるためのものである。グリッド66は、導電体からなる中空部材であり、アースされている。中空部材からなるグリッド66の内部に冷却媒(例えば冷却水)を流すために、グリッド66の端部には冷却媒を供給するホース(不図示)が接続されている。
また、反応プロセス領域60Aの内部及びその周辺には反応性ガス供給手段70が設けられている。本実施形態では、反応性ガス供給手段70は、反応性ガスとしての酸素ガスを貯蔵する酸素ガスボンベ71と、酸素ガスボンベ71より供給される酸素ガスの流量を調整するマスフローコントローラ72と、酸素ガスを反応プロセス領域60Aに導入する配管75aを主要な構成要素として具備している。
なお、酸素ガスボンベ71及びマスフローコントローラ72は、成膜プロセス領域20Aのスパッタガスボンベ32及びマスフローコントローラ31と同様の装置を採用することが可能である。
また、反応性ガスとしては、酸素ガスが挙げられ参考例として、窒素ガス、フッ素ガス、オゾンガスなどが挙げられる
酸素ガスボンベ71から配管75aを通じて酸素ガスが反応プロセス領域60Aに導入された状態で、アンテナ63に高周波電源65から電力が供給されると、反応プロセス領域60A内のアンテナ63に面した領域にプラズマが発生し、基板Sの表面に形成された膜原料物質が反応処理されて膜原料物質の酸化物又は不完全酸化物となる。
具体的には、反応性ガス供給手段70から酸素ガスが導入され、膜原料物質であるチタン(Ti)が酸化されてチタンの完全酸化物である酸化チタン(TiO)又は不完全酸化物(TiO(ここで、0<x<2))が生成する。
本実施形態の薄膜形成装置1は、このようにスパッタによる膜原料物質の供給を行う成膜プロセス領域20Aと、膜原料物質と反応性ガスの反応を行う反応プロセス領域60Aが真空容器11内の離間した位置に分離した状態で形成されている点を特徴としている。
従来の一般的な反応性スパッタリング装置では、スパッタを行う成膜プロセス領域20A内で反応性ガスと膜原料物質との反応が行われているため、ターゲット22a,22bと反応性ガスが接触して反応することで、ターゲット22a,22bに異常放電が発生する不都合があった。このため、反応性ガスの供給量を少なくしたり、プラズマの発生密度を小さくしたりすることで、ターゲット22a,22bと反応性ガスの反応を抑制して異常放電の発生を防ぐ必要があった。この場合、基板Sに付着した膜原料物質と反応性ガスの反応が十分とはなりにくく、このため反応性を向上させるために基板Sの温度を高くする必要があった。
一方、本実施形態の薄膜形成装置1は、成膜プロセス領域20Aと反応プロセス領域60Aが離間した位置に分離した状態となっているため、ターゲット22a,22bと反応性ガスが反応して異常放電が発生することがない。このため、従来のように基板Sの温度を上昇させて反応性を向上させる必要が無く、低い温度で十分に反応を行うことが可能となる。これにより、耐熱性の低いガラス材料やプラスチック材料からなる基板Sなどに対しても、十分に反応を行うことが可能となり、膜質のよい親水性薄膜を形成することができる。
本実施形態の薄膜形成装置1は、基板Sの温度を制御するための温度制御手段を備えていないが、温度制御手段を備えていなくても上述した理由により基板Sの温度を上昇させる必要がないため、100℃以下の低温で成膜を行うことが可能となっている。
なお、基板Sの温度を制御する温度制御手段を設けて基板Sの温度を所定の温度とすることができるのはいうまでもない。この場合、基板Sの耐熱性温度より低い温度となるように温度制御手段を制御することが好ましい。具体的には、温度を上昇させる加熱手段と、温度を下降させる冷却手段の両方を設けると共に、基板Sの配置される位置に温度センサを設けて、この温度センサで検知した温度に基づいて温度制御手段をフィードバック制御すると好ましい。
次に、図5〜7に基づいて、基板Sの表面に酸化チタン(TiO)を材料とする親水性薄膜を形成する親水性薄膜の製造方法について説明する。以下に、本発明の参考形態及び実施形態について説明する。親水性薄膜を形成する薄膜形成工程の前、後、及び前と後の両方において基板Sに対してプラズマ処理を行う各参考形態及び実施形態について説明する。
(第一の参考形態)
図5を参照して、本発明の第一の参考形態に係る親水性薄膜の製造方法について説明する。この参考形態では、薄膜形成工程の前に前処理工程としてのプラズマ処理を行っている。
まず、真空容器11の外で回転ドラム13に基板Sをセットし、真空容器11のロードロック室11B内に収容する。そして、図示しないレールに沿って回転ドラム13を薄膜形成室11Aに移動させる。扉11C及び扉11Dを閉じた状態で真空容器11内を密閉し、真空ポンプ15aを用いて真空容器11内を10−1〜10−5Pa程度の高真空状態にする(真空化工程P1)。
続いて、反応プロセス領域60Aの内部に反応性ガス供給手段70から酸素ガスを導入した状態で、高周波電源65からアンテナ63に交流電圧を印加して、反応プロセス領域60Aの内部に酸素ガスのプラズマを発生させる。
次に、回転ドラム13を回転して基板Sを反応プロセス領域60Aに搬送する(基体搬送工程)。反応プロセス領域60Aの内部では、酸素ガスのプラズマが発生しているため、反応プロセス領域60Aに搬送された基板Sはプラズマ処理される(前処理工程P2)。前処理工程P2の時間は、製造後の親水性薄膜に要求される物理的・光学的特性に応じて1〜60分程度の範囲内で適切な時間とする。酸素ガスの流量についても同様に、70〜500sccm程度、高周波電源65から供給される電力も、1.0〜5.0kWの範囲内で適宜決定する。親水性の持続時間を向上させるため、反応プロセス領域60Aに導入される酸素ガスの圧力(成膜圧力)は、0.3〜0.6Pa程度が好ましい。酸素ガスの流量はマスフローコントローラ72で、高周波電源65から供給される電力はマッチングボックス64で、それぞれ調整することができる。
前処理工程P2では、反応プロセス領域60Aから成膜プロセス領域20Aに流入する酸素ガスによってターゲット22a,22bの表面が酸化されるのを防ぐため、成膜プロセス領域20A内にアルゴンガスを導入している。アルゴンガスの流量は、通常250〜1000sccm程度である。この前処理工程P2では、マグネトロンスパッタ電極21a,21bには交流電源24から電力を供給していないため、ターゲット22a,22bはスパッタされない。
前処理工程P2の終了後、成膜プロセス領域20A内にスパッタガス供給手段30からアルゴンガスを導入した状態で、交流電源24からマグネトロンスパッタ電極21a,21bに電力を供給して、ターゲット22a,22bをスパッタする。アルゴンガスの流量は、250〜1000sccm程度の範囲内で適切な流量を設定する。この状態で、回転ドラム13を回転して前処理工程P2の終了した基板Sを成膜プロセス領域20Aに搬送し、基板Sの表面に膜原料物質であるチタン(Ti)を堆積させる(スパッタ工程P3)。
なお、回転ドラム13とターゲット22a,22bとの間に移動式又は回転式の遮蔽板を設けて、スパッタ工程P3の開始及び停止を行ってもよい。この場合、スパッタ工程P3の開始前は、遮蔽板の位置を、ターゲット22a,22bから移動する膜原料物質が基板Sに到着しない遮断位置に配置し、スパッタ工程P3の開始時に、ターゲット22a,22bから移動する膜原料物質が基板Sに到着する非遮断位置に移動させる。
次に、回転ドラム13を回転して基板Sを反応プロセス領域60Aに搬送する。反応プロセス領域60Aの内部では、酸素ガスのプラズマが発生しているため、基板Sの表面に付着した膜原料物質のチタン(Ti)は、この酸素ガスと反応して中間薄膜である酸化チタン(TiO)となる(反応工程P4)。本参考形態では、反応工程P4におけるプラズマ処理は、前処理工程P2におけるプラズマ処理と同じ条件で行っている。
このようにすることで、前処理工程P2と反応工程P4とでプラズマ処理の条件を変更する必要がなく、親水性薄膜の形成に要する工程を簡略化できる。なお、前処理工程P2と反応工程P4でプラズマ処理の条件を異なるようにしてもよいことはいうまでもない。
また、前処理工程P2を行う場所と反応工程P4を行う場所を、真空容器11内の別の領域とせず、反応プロセス領域60Aと両者で共通の領域としている。このため、真空容器11の内部に前処理工程P2と反応工程P4を行う場所を2箇所設ける必要がない。したがって、薄膜形成装置1の装置構成を簡略化することが可能となり、成膜に要するコストを低減することが可能となる。
回転ドラム13を連続して回転して、スパッタ工程P3と反応工程P4を順次繰り返すことで中間薄膜を複数積層し、所望の厚さの最終薄膜を形成する。この工程は、本発明の薄膜形成工程(P3、P4)に該当する。
以上の工程が終了すると、回転ドラム13の回転を停止し、真空容器11の内部の真空状態を解除して、回転ドラム13を真空容器11から取り出す。基板保持板13aをフレーム13bから取り外して、基板Sを回収する。以上の工程により、本参考形態の親水性薄膜の製造方法が完了する。
(第二の参考形態)
次に、図6を参照して、本発明の第二の参考形態に係る親水性薄膜の製造方法について説明する。本参考形態では、第一の参考形態の場合と異なり、前処理工程P2を行わずに、薄膜形成工程の後にプラズマ処理を行う後処理工程を行っている点を特徴としている。
上述した第一の参考形態と同様に、まず真空化工程P1を行う。その後、第一の参考形態とは異なり、前処理工程P2を行わずに、スパッタ工程P3を行う。スパッタ工程P3の後に、反応工程P4を行う。スパッタ工程P3と反応工程P4は、第一の参考形態と同様の条件で行う。このスパッタ工程P3と反応工程P4を順次繰り返して、所望の膜厚となるように最終薄膜が形成される。
次に、回転ドラム13の回転を一旦停止し、交流電源24からの電力供給を停止してスパッタ処理を終了する。一方で、反応プロセス領域60Aではスパッタガス供給手段30による酸素ガスの供給及び交流電源24からの電力の供給を継続して、プラズマを発生させる。この状態で、回転ドラム13を再回転して基板Sを反応プロセス領域60Aに搬送する。基板Sは、反応プロセス領域60Aを通過する間にプラズマ処理される(後処理工程P5)。
(実施形態)
次に、図7を参照して、本発明の実施形態に係る親水性薄膜の製造方法について説明する。この実施形態では、薄膜形成工程の前と後の両方でプラズマ処理を行っている点を特徴としている。
まず、上述した第一の参考形態と同様に、真空化工程P1を行う。その後、前処理工程P2を行う。前処理工程P2の後に、スパッタ工程P3と反応工程P4からなる薄膜形勢工程(P3、P4)を行う。薄膜形成工程(P3、P4)の後で、第二の参考形態と同様に、後処理工程P5を行う。
上述した第一の参考形態と第二の参考形態でも、全くプラズマ処理を行わなかった場合と比較して親水性の持続時間が向上する。しかしながら、実施形態のように、前処理工程P2と後処理工程P5の両方を行った場合には、いずれか一方のみを行った場合と比較して、前処理工程P2と後処理工程P5の両方のプラズマ処理の相乗効果により親水性の持続時間が格段に長くなる。
本発明の親水性薄膜の製造方法は、製造された親水性薄膜の親水性持続時間が格段に長くなるため、長期に亘る親水能の持続性が要求される製品等の製造に好適に用いられる。このような親水性薄膜が表面に被覆された製品は、長期に亘って防曇性、セルフクリーニング性、冷却作用が持続する。本発明の親水性薄膜の製造方法が適用される製品としては、例えば自動車のサイドミラー、バックミラー、路面に設置される反射ミラーや看板、ビルや家屋などの建築物の外装建材、建築物の外壁や浴室に使用されるタイル、道路などの舗装用ブロック、屋外に設置されるテント、ブラインドなどの内装品などが挙げられる。
なお、薄膜形成工程(P3、P4)としては、上述したような上述のようなマグネトロンスパッタリング法に限定されず、他の成膜方法であってもよい。他の成膜方法としては、例えばECRスパッタリングなどの他のスパッタリング法や、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、イオンプレーティングなどの真空蒸着法であってもよい。
次に、本発明の親水性薄膜の製造方法により実際に親水性薄膜を形成した実施例及び参考例について説明する。
(実施例1及び参考例1,2
図1に示す薄膜形成装置1を用いて、基板Sの表面に酸化チタン(TiO)からなる親水性薄膜を形成した。基板Sとしてガラス性基板であるBK8を用いた。前処理工程P2、薄膜形成工程(P3、P4)、後処理工程P5のそれぞれの工程におけるガス流量などの各種条件は以下の通りである。
<前処理工程、薄膜形成工程、後処理工程条件>
ターゲット22a,22bに供給される電力量:5.0kW
高周波電源65からアンテナ63に供給される電力量:4.5kW
成膜プロセス領域20Aに導入されるアルゴンガスの流量:500sccm
反応プロセス領域60Aに導入される酸素ガスの流量:120sccm
前処理工程P2の時間:10分間
薄膜形成工程(P3、P4)の時間:30分間
後処理工程P5の時間:30分間
親水性薄膜の膜厚:440nm
上記条件で、実施例1及び参考例1,2及び比較例の製造方法により親水性薄膜の形成を行った。実施例1、参考例1,2及び比較例のいずれの例においても、上記条件で、膜厚440nmとなるように親水性薄膜の形成を行った。
参考例1:前処理工程P2のみ(図5に記載した製造方法)
参考例2:後処理工程P5のみ(図6に記載した製造方法)
実施例:前処理工程P2及び後処理工程P5の両方(図7に記載した製造方法)
比較例 :前処理工程P2、後処理工程P5のいずれも行わない
実施例1、参考例1,2及び比較例で作成した親水性薄膜の親水能の持続性を評価するため、基板Sに対して紫外線を照射し、所定時間経過後における基板Sの表面での水の接触角を測定した。
作成した親水性薄膜に対して、水の接触角の経時変化を調べた。水の接触角は、JIS R3257のぬれ性試験に準拠する方法で測定した。具体的には、試験台に基板Sを載置し、蒸留水を基板Sに滴下して静置した状態で水滴の接触角を光学的に測定する。
以下の表に、実施例1、参考例1,2及び比較例の親水性薄膜に対して親水性持続試験を行った結果を示す。また、図8に、この表のデータをプロットしたグラフを示す。横軸の測定時間は、成膜直後を基準(0時間)として、接触角の測定を行った時点での経過時間を示している。図中の点線(菱形の点)が比較例、破線(四角の点)が参考例1、一点鎖線(三角の点)が参考例2、実線(丸の点)が実施例の結果を示している。
Figure 0004789700
表1と図8から、実施例1、参考例1,2及び比較例のいずれの例においても、成膜直後に近い状態(0.5時間経過後)では、高い親水性を有していることがわかる。これは、前処理工程P2、反応工程P4、及び後処理工程P5において、反応プロセス領域60A内で基板Sに対してプラズマ処理が行われるが、このプラズマ中に含まれる紫外線領域の強い光により、親水性薄膜を形成する酸化チタン(TiO)が励起され、高い親水化状態となるためと推測される。
ところが、前処理工程P2と後処理工程P5のいずれも行っていない比較例では、成膜直後の状態から時間が経過するにつれて次第に親水性薄膜の表面における水の接触角が上昇して次第に疎水化していることがわかる。一方、少なくとも前処理工程P2と後処理工程P5のいずれか一方を行った実施例1、参考例1,2では、いずれの場合も比較例より水の接触角が上昇する程度が小さく、疎水化の程度が低下していることがわかる。このことから、少なくとも前処理工程P2と後処理工程P5のいずれかを行うことで、いずれの処理も行わなかった場合と比較して、親水性の持続時間が長くなることがわかった。
特に、実施例のように前処理工程P2と後処理工程P5の両方を行った場合では、成膜直後の状態から168時間を経過した後においても、水の接触角がほとんど増加しておらず、成膜直後の高い親水性がほぼそのまま持続している。このことから、前処理工程P2と後処理工程P5を行うことで、親水性薄膜の親水性の持続時間が格段に長くなることがわかった。これは、前処理工程P2と後処理工程P5の両方のプラズマ処理による相乗効果で、親水性薄膜の親水性が飛躍的に向上したためと推測される。
次に、反応プロセス領域60Aに導入される酸素ガスの圧力と得られる親水性薄膜の接触角の関係について評価を行った。
反応プロセス領域60Aに導入される酸素ガスの圧力を変えて前処理工程P2及び後処理工程P5を行い、得られた親水性薄膜の接触角を測定した。基板Sやターゲット22a,22bの種類、成膜プロセス領域20Aや反応プロセス領域60Aに導入するガスの種類や流量などの成膜条件は、上述した親水性薄膜の親水性持続試験と同じである。また、前処理工程P2、薄膜形成工程(P3、P4)及び後処理工程P5の条件についても、上述した親水性薄膜の親水性持続試験における条件と同じである。反応プロセス領域60Aに導入される酸素ガスの流量(成膜圧力)を2種類に変えて成膜を行い、得られた親水性薄膜の接触角を測定した。接触角の測定は、成膜直後の状態から0.5時間を経過した時点で行った。測定方法は、上述したJIS R3257に準拠する方法で行った。
以下に、得られた接触角の測定値を示す。
条件1:成膜圧力 0.15Pa、接触角 25.0度
条件2:成膜圧力 0.5Pa、接触角 10.4度
この結果からわかるように、反応プロセス領域60Aに導入される酸素ガスの圧力が高いほど(条件2)、得られる親水性薄膜の接触角が小さい(すなわち、親水性が高い)。このことから、成膜圧力を高く設定することで、得られる親水性薄膜の親水性を向上させることができる。
薄膜形成装置を上方から見た説明図である。 図1の薄膜形成装置を側面から見た説明図である。 図1の薄膜形成装置の成膜プロセス領域周辺を拡大して示した説明図である。 図1の薄膜形成装置の反応プロセス領域周辺を拡大して示した説明図である。 本発明の参考形態に係る親水性薄膜の製造方法の流れを示したフローチャートである。 本発明の参考形態に係る親水性薄膜の製造方法の流れを示したフローチャートである。 本発明の実施形態に係る親水性薄膜の製造方法の流れを示したフローチャートである。 実施例1、参考例1,2及び比較例の製造方法で作成した親水性薄膜に対して親水性持続試験を行った結果を示すグラフである。
符号の説明
1 薄膜形成装置
11 真空容器
11a 開口
11A 薄膜形成室
11B ロードロック室
11C 扉
11D 扉
12 仕切壁
13 回転ドラム
13a 基板保持板
13b フレーム
13c 締結具
14 仕切壁
15a 真空ポンプ
15b 真空ポンプ
16a−1 配管
16a−2 配管
16b 配管
17 モータ
17a モータ回転軸
18 ドラム回転軸
20 スパッタ手段
20A 成膜プロセス領域
21a マグネトロンスパッタ電極
21b マグネトロンスパッタ電極
22a ターゲット
22b ターゲット
23 トランス
24 交流電源
30 スパッタガス供給手段
31 マスフローコントローラ
32 スパッタガスボンベ
35a 配管
35b 導入口
35c 配管
60 プラズマ発生手段
60A 反応プロセス領域
61 ケース体
61A アンテナ収容室
62 誘電体板
63 アンテナ
64 マッチングボックス
65 高周波電源
66 グリッド
70 反応性ガス供給手段
71 酸素ガスボンベ
72 マスフローコントローラ
75a 配管
S 基板(基体)
V1 バルブ
V2 バルブ
V3 バルブ
Z 回転軸線
P1 真空化工程
P2 前処理工程
P3 スパッタ工程
P4 反応工程
P5 後処理工程

Claims (3)

  1. ガラス基体の表面に親水性の薄膜を形成する親水性薄膜の製造方法であって、
    前記ガラス基体に対して酸素ガスのプラズマによるプラズマ処理を行う前処理工程と、
    該前処理工程後の前記ガラス基体の表面に酸化チタンからなる薄膜を形成する薄膜形成工程と、
    前記薄膜の表面に酸素ガスのプラズマによるプラズマ処理を行う後処理工程と、を備え、
    前記前処理工程及び前記後処理工程は、前記酸素ガスの圧力を0.3〜0.6Paとしてわれることを特徴とする親水性薄膜の製造方法。
  2. 前記薄膜形成工程は、
    真空容器内の成膜プロセス領域内で、チタンをスパッタして前記ガラス基体の表面に膜原料物質を付着させるスパッタ工程と、
    前記真空容器内で前記成膜プロセス領域とは離間した位置に形成された反応プロセス領域内に前記ガラス基体を搬送する基体搬送工程と、
    前記反応プロセス領域内に少なくとも酸素ガスを導入した状態で該酸素ガスのプラズマを発生させて前記酸素ガスと前記膜原料物質とを反応させ、前記酸素ガスと前記膜原料物質の化合物又は不完全化合物を生成させる反応工程と、
    からなる一連の工程を複数回行い、
    前記プラズマ処理は、前記反応プロセス領域内で行われ、前記反応工程は、前記酸素ガスの圧力を0.3〜0.6Paとして行われることを特徴とする請求項1に記載の親水性薄膜の製造方法。
  3. 前記反応プロセス領域内には、イオン消滅手段を備え、
    前記プラズマ処理は、前記イオン消滅手段によってイオンの一部を消滅させて行われることを特徴とする請求項2に記載の親水性薄膜の製造方法。
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