JP2009277581A - 金属光沢のあるスモーク部材およびこれを用いた車両用灯具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、金属光沢色の外観のエクステンションの中にコントラストのある暗色部を、簡易な構成で実現する車両用灯具を提供する。
【解決手段】 プロジェクター型の前照灯の投影レンズ13、23の周囲を覆うように暗色部60を備えたエクステンション30を取り付けた車両用灯具とする。エクステンション30は樹脂材料により形成され、その表面に金属光沢膜41が蒸着により形成されている。その際に、エクステンション30の谷部32は後方に凹んでおり、その側面34には金属光沢膜41が形成されているない。この金属光沢膜41が形成されていない部分が暗部となって観視され、高コントラストの模様を設けた車両用灯具を得る。
【選択図】図2

Description

本発明は、スモーク色の見栄えを有する部材に関し、特に車両用灯具のエクステンション等の装飾部材に色彩のバリエーションのある金属光沢のあるスモーク色の着色膜を設けたスモーク部材およびこれを用いた車両用灯具に関する。
図4は従来の自動車用ヘッドランプを示した図である。詳細には、図4は特許文献1の図1に相当する図である。図4に示すように、従来の自動車用ヘッドランプ10は、ハウジング12と、ハウジング12の開口部に装着されたレンズ14とを有する。更に、ハウジング12とレンズ14とによって画定されたランプ室16の内部には、ランプ18と、ランプ金具20と、リフレクタ22と、エクステンション24とが配置されている。レンズ14は、非導電性の透明な樹脂材料から形成されている。
また、図4に示すように、ランプ室16の内部が透明なレンズ14を介して外部から見えないように、エクステンション24は、リフレクタ22とハウジング12との隙間を遮蔽している。エクステンション24の表面には、例えばアルミニウム蒸着、あるいは金属メッキ等によって導電性の膜が形成されている。エクステンション24の端部には、可撓性の突起26が形成されており、突起26の先端が金属製のリフレクタ22の表面に当接している。また、ランプ金具20は、リフレクタ22に当接すると共に、アース線28によってボデー30にアースされている。
図4に示したエクステンション24の表面には、上述したようにアルミニウム蒸着あるいは金属メッキ等によって膜が形成されているが、一般的に、自動車用ヘッドランプのエクステンションの表面には、アルミニウム蒸着が施され、その結果、エクステンションの表面は金属光沢を有している。一方で、エクステンションの表面は、光の反射や配光に関与しないため、高い反射率が求められない。それゆえ、エクステンションは、着色等を施されることにより、ヘッドランプにデザイン性を付加することができる部品であると言える。
近年、金属光沢のあるスモーク色(例えば黒色)の見栄えが自動車用ヘッドランプに求められる場合が多くなっている。
図5は金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する従来のヘッドランプのエクステンションの一部の断面図である。図5において、1は例えば樹脂により形成されたエクステンションの基材を示しており、2は基材1の表面に鏡面出しを施すために塗布されたアンダーコートを示している。3はアルミニウムを蒸着することによりアンダーコート2上に形成されたアルミニウム膜を示しており、4はアルミニウム膜3上に形成された保護膜を示している。5は保護膜4上に形成された黒色顔料層を示している。
図5に示す従来のエクステンションでは、アルミニウム膜3の表面において反射せしめられた反射光が、黒色顔料を含む黒色顔料層5を透過せしめられる。そのため、図5に示す従来のエクステンションは、金属光沢のあるスモーク色(黒色)の見栄えを有する。
ところが、図5に示す従来のエクステンションでは、黒色顔料が溶剤と混ぜられて保護膜4上に塗装されている。そのため、液垂れや液溜まりによって黒色顔料層5の厚さにムラが生じてしまうおそれがある。黒色顔料層5の厚さにムラが生じてしまうと、アルミニウム膜3の表面において反射せしめられた反射光の透過にムラが生じてしまう。詳細には、黒色顔料層5が厚い部分では、金属光沢が出にくくなってしまい、黒色顔料層5が薄い部分では、スモーク色(黒色)が弱くなってしまう。その結果、エクステンションが、全体的に濁った印象の見栄えを有してしまう。
また、図5に示す従来のエクステンションのように黒色顔料が用いられる場合には、黒色顔料の塗装時に有機溶剤が必ず用いられる。そのため、有機溶剤が環境を汚染しないようにするためのコストが嵩んでしまう。更に、アンダーコートの塗装工程、アルミニウムの真空蒸着工程、保護膜の真空蒸着工程、および黒色顔料の塗装工程を経て形成されるため、工程数が多くなってしまいコストが嵩んでしまう。
また、特許文献2では、アルミニウムの蒸着とC、Si、O、H原子を含むガスの蒸着とを同時に行うことで、工程数を低減して上記した問題点を解決することを開示しているが、アルミニウムの蒸着と同時に導入するヘキサメチルジシロキサンのガス流量またはC、Si、O、H原子を含むガスの流量を変化させることで、スモーク色の濃淡を調整するのみで、色彩のバリエーションに乏しいものであった。
また、塗料等を用いて作成するウエット膜でなく、塗料塗布等を行なわないドライ工程、例えば蒸着膜をエクステンション上に金属を成膜することを試みた。ドライ工程とすれば有機溶剤を使用するなど、環境や作業者に対する負荷を低減することができる、しかし、単純に金属を蒸着するのみでは耐熱性、耐アルカリ性等の信頼性に乏しいものであった。
特開2000−207908号公報 特開2006−291283号公報
本発明者らは前記問題点を解決するために鋭意研究を行った結果、特許文献1に記載された製造方法よりも工程数を低減し、製造コストを抑えることができる金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有するスモーク色部材を見出した。
また、色彩のバリエーションが豊富なスモーク色を提供することを見出した。
また、耐熱性等の信頼性に優れるスモーク色部材を提供できることを見出した。特に、金属光沢のあるスモーク色とした車両用灯具のエクステンションは、上記した問題点を解決し、ヘッドランプにデザイン性を付加した信頼性の高いエクステンションを提供する。
本発明は、上記した課題を解決するための具体的手段として、樹脂基材と、樹脂基材上に成膜されたチタン金属およびチタン金属以外の金属材料含む積層膜とを有し、前記積層膜は、基材と反対側から順に可視光線を透過可能な厚みとした窒化チタン層、可視光透過性の酸化チタン層および金属層からなる金属光沢のあるスモーク色部材を提供することで上記目的を達成するものである。
これにより、信頼性が高く、色彩バリエーションが豊富な金属光沢のあるスモーク色の膜を比較的低コストにて得ることができた。
請求項2の発明によれば、前記金属層はアルミニウム金属もしくはアルミニウム金属と他の金属の混合層である、ことを特徴とする請求項1に記載の金属光沢のあるスモーク色部材を提供することで上記目的を達成するものである。
この発明によれば、ベースとなる金属光沢のある色調をアルミニウム系金属層の色調とし、その色調をスモーク色とすることで、より金属光沢の印象の高い膜を得ることができる。
請求項3の発明によれば、光源と、前記光源から放射される光を反射するリフレクタと、前記リフレクタ近傍のエクステンションとを備えた車両用灯具であって、前記エクステンションは、黒色系樹脂基材と、樹脂基材上に成膜されたチタン金属およびチタン金属以外の金属材料含む積層膜とを有し、金属光沢のあるスモーク色を呈しており、前記積層膜は、基材と反対側から順に可視光線を透過可能な厚みとした窒化チタン層、可視光透過性の酸化チタン層および金属層からなり、前記窒化チタン層が3nmから15nmの範囲の厚みである、ことを特徴とする車両用灯具を提供することで上記目的を達成するものである。
この発明によれば、車両用灯具のリフレクタとの一体感に優れ、信頼性の高い、高級感のある車両用灯具を得ることができる。
請求項1乃至請求項2記載の発明によれば、信頼性が高く、色彩バリエーションが豊富な金属光沢のあるスモーク色の膜を比較的低コストにて得ることができる。
請求項3の発明によれば、信頼性が高く、色彩バリエーションが豊富な金属光沢のあるスモーク色の膜を設けたエクステンションを用いた車両用灯具を得ることができる。また、車両用灯具のリフレクタとの関係で、金属光沢による一体感に優れたエクステンションとすることができ、高級感のある意匠性向上に優れた効果を奏する。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は第1の実施形態の製造方法により製造された例えば自動車用ヘッドランプのエクステンション40の一部の断面図である。エクステンション40は、例えば、図3に示した自動車用ヘッドランプ10のリフレクタ22とレンズ14の間隙を遮蔽するようにリフレクタ22近傍に設置される。
図1において、1は例えば樹脂により形成されたエクステンションの基材を示しており、樹脂をベースとした基材が用いられる。6は金属アルミニウム層、7は金属アルミニウム層上に設けた酸化チタン層、8は酸化チタン層上に積層した窒化チタン層を示し、これら3層にて積層膜9をなしている。
本発明では、基材1の上に上記した積層膜9を形成することで金属光沢のあるスモーク色を得ている。このとき、窒化チタン層8は可視光線を透過可能な厚みとして形成されている。特に、金属アルミニウム層6の膜厚および窒化チタン層8の各々の厚みの組合せによりブラウン色からゴールド色までのスモークの着色膜を得ることができる。
ここで、「可視光線を透過可能な厚み」とは積層膜9を最上層である窒化チタン層8側から観視した際において、窒化チタン層の下にある金属アルミニウム層6の存在を確認できる程度の薄膜、例えばハーフミラーのように完全遮光性ではなく透過性も有する厚みを意味する。具体的には、3nmから15nmの範囲が実用的な厚み範囲である。15nmよりも厚い場合には樹脂基板との熱膨張率の差に起因して熱衝撃試験を実施すると微細なひびが生じエクステンション全体が目視観察において曇って観察されるものとなるからである。また、3nmより薄いと透過性が強くなりスモーク色感、すなわち懸濁した印象が乏しくなるからである。
また、本明細書において「スモーク」とは、燃焼又は熱分解の結果として生じるカ゛ス中の固体及び又は液体粒子の目に見える懸濁(K6900 フ゜ラスチック - 用語)をいい「スモーク色」とは、かかるスモークを通して観察した色調、すなわち懸濁して印象を与える色をいい、黒色系に限定されるものではない。
図2は、前記エクステンション40に対する成膜方法の例を説明するものである。真空槽51の側壁にカソードターゲット52,53を取り付けたバッチ式の直流マグネトロンスパッタ装置50を使用した。所定の形状に成型したエクステンション基材1を回転装置54の試料台55にセットした後に、真空槽51内を真空に排気し、所定の条件下でスパッタリングを行って上記した積層膜9を形成する。この装置50は回転装置54にて基材1を回転させながら成膜を行なうことで、エクステンション基材1の正面だけでなく側面にも均一に成膜することができる。なお、符号56はガス供給口、57は排気口である。
積層膜9は次のように成膜する。ターゲット52をアルミニウム金属、ターゲット53にチタン金属を夫々セットする。真空槽51内の試料台55にエクステンション基材1をセットした後、排気口57にて真空槽51内を排気する。次いで、回転装置54にて基材1を回転させるとともにガス供給口56から不活性ガスのアルゴンガスを導入する。所定の速度にて回転したまま、電界を加えて所定圧力としたアルゴンガス雰囲気下でアルミニウムターゲット52のスパッタリングを行なって金属アルミニウム層6を成膜する。次にアルゴンガスの代わりに酸素ガスを導入して所定の酸素ガス雰囲気下でチタンターゲット53をスパッタすることで、チタン金属を酸化する反応性スパッタリングを行なって酸化チタン層7を形成する。次に酸素ガスの供給を止め窒素ガスをガス供給口56から導入する。窒素ガス雰囲気下でチタンターゲット53をスパッタして反応性スパッタリングを行なって窒化チタン層8を成膜する。
本発明のアルミニウム金属は、90%以上の含有であれば、高純度アルミニウムもしくはアルミニウム合金の何れでも構わない。また、同様にチタン金属も、90%以上の含有であれば、高純度チタンもしくはチタン合金の何れでも構わない。
積層構造は3層であるが、使用するターゲットは2種類で良い。すなわち、第一層目のためのアルミニウムターゲット52と、第二層目および第三層目のためのチタンターゲット53である。夫々の層の成膜の間に時間差を設けてスパッタリングすることで、容易に連続して積層膜とすることができる。また、酸化チタン層および窒化チタン層を同一のターゲット53を用いて積層することができる。
更に、ガス供給口56から供給するガスは何れかの単独ガスに限るものではなく、混合ガスであっても良い。アルゴンガスの代わりに他の種類の不活性ガスを用いることもできる。これらの条件を調整することにより、スモーク色の色調を調整するバリエーションを広げることができる。2つのターゲットの同時スパッタを行なうことで、より一層色調調整のバリエーションを広げることができる。
次に実際に本発明者らが行なった実験および評価結果について説明する。なお、サンプル1からサンプル3が請求項1および請求項2の金属光沢のあるスモーク色部材に該当する。
<サンプル1>
図2に示したスパッタリング装置50を用い、ターゲット52には高純度アルミニウム金属プレート、ターゲット53には高純度チタン金属プレートを取り付けた。基材1にはポリブチレンテフタレート(PBT)−ポリエチレンテフタレート(PET)混合黒色樹脂を用いた。真空槽51内を4×10−3Paに排気後、アルゴンガスを200sccm導入し、アルミニウムスパッタを行なってアルミニウム層6を基材1上に成膜した。アルミニウムターゲット52に供給された電力は3KW、スパッタ時間は60秒とした。次に酸素ガスを100sccm追加導入してアルゴンガスと酸素ガスの共存雰囲気にて、チタンターゲット53をスパッタする反応性スパッタを行なって酸化チタン層7を成膜した。ターゲット53に供給した電力は3KW、スパッタ時間は240秒とした。その後、アルゴンガスと酸素ガスの供給を停止し、窒素ガスを200sccm導入し、窒素ガス雰囲気下にてチタンターゲット53をスパッタする反応性スパッタを行なって窒化チタン層8を成膜した。ターゲット53に供給した電力は3KW、スパッタ時間は480秒とした。なお、回転装置54による基材1の回転速度は10回転/分とした。
このようにして作成した積層膜9を形成した基材は、基材1側から順に50nm、10nm、15nmの厚みであり、ゴールド色が多少スモークかかった色あいであった。
<サンプル2>
サンプル1と同一のPBT−PET黒色樹脂基材を用いた。真空槽51内を4×10−3Paに排気後、アルゴンガスを200sccm導入し、アルミニウムとチタンの同時スパッタを行なってアルミニウム−チタン混合層6を基材1上に成膜した。アルミニウムターゲット52に供給された電力は1KW、チタンターゲット53に供給した電力も1KWとし、スパッタ時間を24秒とした。次に酸素ガスを100sccm追加導入してアルゴンガスと酸素ガスの共存雰囲気にて、チタンターゲット53をスパッタする反応性スパッタを行なって酸化チタン層7を成膜した。チタンターゲット53に供給した電力は3KW、スパッタ時間は120秒とした。その後、アルゴンガスと酸素ガスの供給を停止し、窒素ガスを200sccm導入し、窒素ガス雰囲気下にてチタンターゲット53をスパッタする反応性スパッタを行なって窒化チタン層8を成膜した。ターゲット53に供給した電力は1KW、スパッタ時間は180秒とした。なお、回転装置54による基材1の回転速度は10回転/分とした。
このようにして作成した積層膜9を形成した基材は、基材1側から順に10nm、4nm、6nmの厚みであり、ブラウンスモーク色であった。図3は、実施例2のブラウンスモーク色の積層膜9が形成された基材を積層膜9側から測定した分光反射率の測定結果である。Lab色度は、L:6.23、a:0.01、b:-0.85であった。
<サンプル3>
サンプル1と同一のPBT−PET黒色樹脂基材を用いた。真空槽51内を4×10−3Paに排気後、アルゴンガスを200sccm導入し、アルミニウムとチタンの同時スパッタを行なってアルミニウム−チタン混合層6を基材1上に成膜した。アルミニウムターゲット52に供給された電力は1KW、チタンターゲット53に供給した電力も1KWとし、スパッタ時間をアルミニウムターゲット52を24秒、チタンターゲット53を12秒とした。次に酸素ガスを100sccm追加導入してアルゴンガスと酸素ガスの共存雰囲気にて、チタンターゲット53をスパッタする反応性スパッタを行なって酸化チタン層7を成膜した。チタンターゲット53に供給した電力は3KW、スパッタ時間は120秒とした。その後、アルゴンガスと酸素ガスの供給を停止し、窒素ガスを200sccm導入し、窒素ガス雰囲気下にてチタンターゲット53をスパッタする反応性スパッタを行なって窒化チタン層8を成膜した。ターゲット53に供給した電力は1KW、スパッタ時間は120秒とした。なお、回転装置54による基材1の回転速度は10回転/分とした。
このようにして作成した積層膜9を形成した基材は、基材1側から順に7nm、5nm、4nmの厚みであり、濃いスモーク色であった。
<サンプル4>
サンプル1と比較して、酸化チタン層を設けない構造とした。同一のPBT−PET黒色樹脂基材を用いた。真空槽51内を4×10−3Paに排気後、アルゴンガスを200sccm導入し、アルミニウムスパッタを行なってアルミニウム層を基材1上に成膜した。アルミニウムターゲット52に供給された電力は3KW、スパッタ時間は60秒とした。その後、アルゴンガスの供給を停止し、窒素ガスを200sccm導入し、窒素ガス雰囲気下にてチタンターゲット53をスパッタする反応性スパッタを行なって窒化チタン層をアルミニウム層上に成膜した。ターゲット53に供給した電力は3KW、スパッタ時間は480秒とした。なお、回転装置54による基材1の回転速度は10回転/分とした。
このようにして作成した積層膜9を形成した基材は、基材1側から順に50nm、15nmの厚みであり、サンプル1と同様のゴールド色が多少スモークかかった色あいであった。
<サンプル5>
サンプル1と比較して、酸化チタン層をアルミニウム層と窒化チタン層の間に設けるのではなく、最上層に設けた。すなわち、同一のPBT−PET黒色樹脂基材を用い、真空槽51内を4×10−3Paに排気後、アルゴンガスを200sccm導入し、アルミニウムスパッタを行なってアルミニウム層を基材1上に成膜した。アルミニウムターゲット52に供給された電力は3KW、スパッタ時間は60秒とした。その後、アルゴンガスの供給を停止し、窒素ガスを200sccm導入し、窒素ガス雰囲気下にてチタンターゲット53をスパッタする反応性スパッタを行なって窒化チタン層をアルミニウム層上に成膜した。ターゲット53に供給した電力は3KW、スパッタ時間は480秒とした。
その後に、酸素ガスを100sccm追加導入してアルゴンガスと酸素ガスの共存雰囲気にて、チタンターゲット53をスパッタする反応性スパッタを行なって酸化チタン層を成膜した。ターゲット53に供給した電力は3KW、スパッタ時間は240秒とした。なお、回転装置54による基材1の回転速度は10回転/分とした。
このようにして作成した積層膜9を形成した基材は、基材1側から順に50nm、15nm、5nmの厚みであり、サンプル1と同様のゴールド色が多少スモークかかった色あいであった。
サンプル1からサンプル5について耐熱性、耐湿性、冷熱サイクルおよび耐アルカリ性の各試験を行なった。表1はこれらの試験の評価結果を示す。耐熱性試験は160℃雰囲気中に24時間放置する試験。耐湿性試験は50℃、湿度98%雰囲気中に240時間放置する試験。冷熱サイクル試験は常温、(−40℃)、80℃(湿度90%)の条件を8時間サイクルとし10回繰り返す試験。耐アルカリ性試験は1%水酸化カリウム溶液に10分浸し、その後水洗いする試験とした。それぞれの試験結果の評価は、試験を終えた試片を試験実施前の試片と対比し、異常なしのものには○を、異常が見られたものには×を付した。
Figure 2009277581
表1の評価結果からわかるように、サンプル1からサンプル3については、いずれの試験結果においても異常が見られなかった。サンプル4およびサンプル5については、一部の試験項目にて異常が見られた。サンプル1〜3とサンプル4の対比検討により、単に窒化チタン層を最上層にするのみでは不足であること、サンプル5と併せて考えると、窒化チタン層を最上層とし、その下に酸化チタン層を設けることが耐アルカリ性等の試験に対して良好な結果を呈することが判った。
また、サンプル1と同一条件にて窒化チタン層のスパッタ時間を変更して異なる厚みとする実験も実施し、色調を評価した。窒化チタン層の厚みを15nm以下として、半透過性を有する厚みとすることがスモーク色を表現するために重要であることが判る。また、サンプル1とサンプル2の対比から、積層膜の下層であるアルミニウム膜の色調を変えることで、より一層の色調のバリエーションを広げることができることが判る。
上記した検討結果より、本発明による金属光沢のあるスモーク色部材は、信頼性が高く、色彩バリエーションが豊富な金属光沢のあるスモーク色の膜を比較的低コストにて得ることができた。また、塗装工程を用いないのでゴミや埃の固着による外観品質の低下、色ムラも改善された。
次に、上記した樹脂部材としてサンプル1と同一のPBT−PET黒色樹脂基材を前記したエクステンションの形状に成型したものを用いて、図3の自動車用ヘッドランプを作成した。一般的に車両用灯具においては、リフレクタとエクステンションとを別体に作って組み立てるものが多い。図3に模式的に示したようにエクステンションとリフレクタとは近接しているので、両者の反射率と彩色とが全く異質の素材の質感を与えると一体感が乏しく高級感に乏しいものとなる。
本発明によれば、リフレクタの銀色系の金属光沢とエクステンションの金属光沢とが同一もしくは類似の素材質感を与えるものとなり一体感を醸し出す。また、一体感を有しながら、エクステンションのの色調を変えることもできる。それ故、本発明においては、銀色系のリフレクタと色調を変えることでデザイン的なアクセントを設けることができる。
尚、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、例えば、上記した実施の形態においては樹脂基材1の上に直接積層膜を成膜しているが、アンダーコートを設けて平滑性を向上させ、その上に積層膜を成膜するものとしてもよく、リフレクタと同一のトップコートを施す等の本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明 断面 本発明 装置 本発明 分光反射 特開2006−291283 図3 特開2006−291283 図4
符号の説明
1 エクステンション基材
2 アンダーコート
3 アルミニウム膜
4 保護膜
5 黒色顔料層
6 金属アルミニウム層
7 酸化チタン層
8 窒化チタン層
9 積層膜
10 自動車用ヘッドランプ
12 ハウジング12
14 レンズ
16 ランプ室
18 ランプ
20 ランプ金具
22 リフレクタ
24 エクステンション
28 アース線
30 ボデー
40 エクステンション
50 直流マグネトロンスパッタ装置
51 真空槽
52、53 カソードターゲット
54 回転装置
55 試料台

Claims (3)

  1. 樹脂基材と、
    樹脂基材上に成膜されたチタン金属およびチタン金属以外の金属材料含む積層膜とを有し、
    前記積層膜は、基材と反対側から順に可視光線を透過可能な厚みとした窒化チタン層、可視光透過性の酸化チタン層および金属層からなる金属光沢のあるスモーク色部材。
  2. 前記金属層はアルミニウム金属もしくはアルミニウム金属と他の金属の混合層である、ことを特徴とする請求項1に記載の金属光沢のあるスモーク色部材。
  3. 光源と、前記光源から放射される光を反射するリフレクタと、前記リフレクタ近傍のエクステンションとを備えた車両用灯具であって、
    前記エクステンションは、黒色系樹脂基材と、樹脂基材上に成膜されたチタン金属およびチタン金属以外の金属材料含む積層膜とを有し、金属光沢のあるスモーク色を呈しており、
    前記積層膜は、基材と反対側から順に可視光線を透過可能な厚みとした窒化チタン層、可視光透過性の酸化チタン層および金属層からなり、
    前記窒化チタン層が3nmから15nmの範囲の厚みである、ことを特徴とする車両用灯具。
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