JP2010257714A - 車両用灯具、車両用灯具のレンズ、および、その製造方法 - Google Patents

車両用灯具、車両用灯具のレンズ、および、その製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レンズの内側面に密着性に優れたハーフミラーと防曇コートとを備えた車両用灯具を提供する。
【解決手段】樹脂製のレンズ2の光源側の表面に、第1の酸化チタン層3、ハーフミラー層4、第2の酸化チタン層5および防曇コート層6が順に積層されている。第1の酸化チタン層3は、厚さが1nm以上であり、第1および第2の酸化チタン層3,5の合計膜厚が30nm未満である。第1および第2の酸化チタン層3,5をハーフミラー層4の両側に配置することにより、樹脂製のレンズ2とハーフミラー層4との密着性、ハーフミラー層4と防曇コート層6との密着性を高めることができ、ハーフミラー層4の上に防曇コート層6を形成することが可能になる。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両用灯具に関かわり、特に、レンズ面にハーフミラーを備えた車両用灯具に関する。
車両用灯具において、ポリカーボネート製レンズの内面に、ハーフミラー(アルミニウム薄膜)を成膜し、斬新な見映えを創出した仕様のものが知られている。このレンズは、昼間の外光では、アルミニウム膜で光が反射して鏡面に見え、夜間は光源からの光がミラーを透過し、必要な光を外部に出射する。
車両用灯具では使用環境の変化により、ポリカーボネート製レンズの内面に水滴が結露、曇りを生じることがある。これを防ぐため、水が結露しても曇りを生じない防曇コートがレンズの内面に形成されている。車両用灯具の一般的な防曇コートとしては、1以上の樹脂材料に添加物としての界面活性剤等を混合した防曇塗料が用いられる。
一方、特許文献1には、反射鏡に防曇性を付与する技術として、光触媒性を有するチタニア(二酸化チタン)層を反射鏡の表面に形成することが開示されている。
特許文献2には、照明装置の傘の内側に形成された反射面の表面に酸化チタン層を形成することにより、反射面の耐久性が向上することが開示されている。
特許文献3には、ハロゲン電球を用いた照明の赤外光出射を低減するために、金属酸化物被膜を酸化チタン被膜で挟んだ金属被膜体を、ハロゲン電球の表面や前面ガラスに配置する構成が開示されている。
特開2001−152418号公報 特開2007−242409号公報 特開平10−268129号公報
ポリカーボネート製レンズの内面にハーフミラー(アルミニウム薄膜)を備えた仕様の車両用灯具においても、ハーフミラー表面の結露や曇りを防止するため、防曇コート層を形成することが必要である。
しかしながら、ハーフミラーの機能を発揮させるために蒸着法によって形成されるアルミニウム薄膜は、樹脂材料を用いた防曇コート層との密着力が悪く、防曇コート層を形成しても膜剥がれが生じやすい。
また、ポリカーボネート製のレンズとハーフミラーとの密着性は、ハーフミラーのみを形成する場合には問題が生じないが、ハーフミラーの上に防曇コートを積層した場合にはアルミニウムとポリカーボネート層間の密着力が低下するという問題が生じる。このため、レンズ内面にハーフミラーを備えた仕様の車両用灯具に防曇コート層を形成すると、灯具としての性能を満足しなくなる。
本発明の目的は、レンズの内側面に密着性に優れたハーフミラーと防曇コートとを備えた車両用灯具を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では以下のような車両用灯具が提供される。すなわち、光源と、光源からの光を透過して外部に出射するためのレンズとを有する車両用灯具であって、レンズは、樹脂製であり、レンズの光源側の表面には、第1の酸化チタン層、ハーフミラー層、第2の酸化チタン層および防曇コート層が順に積層されている。第1および第2の酸化チタン層は、いずれも厚さが1nm以上であり、第1および第2の酸化チタン層の合計膜厚が30nm未満である。このように第1および第2の酸化チタン層をハーフミラー層の両側に配置することにより、樹脂製のレンズとハーフミラー層との密着性、ハーフミラー層と防曇コート層との密着性を高めることができ、ハーフミラー層の上に防曇コート層を形成することが可能になる。
第1の酸化チタン層は、15nm以下の膜厚であることが望ましい。ハーフミラー層の青色光の反射率が低下するためである。
ハーフミラー層としては、例えばアルミニウム層を用いる。
レンズは、例えばポリカーボネート製のものを用いる。
防曇コート層は、例えば主成分が樹脂のものを用いる。
また、本発明によれば、以下のような車両用灯具のレンズが提供される。すなわち、樹脂製の基材レンズと、基材レンズの一方の面に順に積層された、第1の酸化チタン層、ハーフミラー層、第2の酸化チタン層および防曇コート層とを有する車両用灯具のレンズであり、第1および第2の酸化チタン層は、いずれも厚さが1nm以上であり、第1および第2の酸化チタン層の合計膜厚が30nm未満である。
さらに、本発明によれば、車両用灯具のレンズ製造方法が提供される。すなわち、樹脂製のレンズの片面に第1の酸化チタン層、ハーフミラー層、第2の酸化チタン層、および、防曇コート層を積層する成膜工程と有する車両用灯具のレンズ製造方法であって、成膜工程は、2種類のターゲットを備えたスパッタ装置を用いて、第1の酸化チタン層、ハーフミラー層、第2の酸化チタン層を連続して成膜する。
本実施形態の車両用灯具の断面図。 図1の車両用灯具のレンズ30の層構成を示す断面図。 図2のレンズ30の製造工程を示す説明図。 図3の製造工程において、第1および第2の酸化チタン層3,5とアルミニウム層4の連続成膜に用いるスパッタ装置のブロック図。 実施例において測定したアルミニウム層の膜厚と透過率との関係を示すグラフ。 実施例において測定した酸化チタン層の膜厚を変えて、その時のアルミニウム層の反射率(波長550nm、480nm)を測定したグラフ。
本発明の一実施形態の車両用灯具について説明する。
本実施形態の車両用灯具は、その全体の構成を図1に示したように、LED発光装置等の光源10と、光源10からの光を反射する反射鏡20と、反射鏡20で反射された光を通過させて外部に出射させるレンズ30とを備えている。
レンズ30の層構成を図2を用いて詳しく説明する。レンズ30は、ポリカーボネート製基材レンズ2の外部側の面にハードコート層1を備えている。内部側の面には、第1の酸化チタン(TiO2)層3、アルミニウム(Al)層4、第2の酸化チタン(TiO2)層5、防曇コート層6がこの順に積層されている。
ハードコード層1は、ポリカーボネート製基材レンズ2の外部側表面を保護するために配置されている。ハードコート層1の材質は、車両用灯具として一般的なものを用いる。
アルミニウム層4は、ハーフミラーとして機能するように膜厚を設定されている。例えば、アルミニウム層4の膜厚は、5nm以上25nm以下程度であることがハーフミラーとして機能するのに好適である。アルミニウム層4を構成する材料は、高純度アルミであってもアルミ合金であってもよいが、アルミニウムの含有率が90%以上であることが望ましい。
アルミニウム層4のハーフミラー作用により、昼間の外光ではアルミニウム膜の光が反射してレンズ30が鏡面に見え、夜間は光源10からの光がアルミニウム層4を透過し、外部に光を出射するため、斬新な見映えを創出することができる。
第1の酸化チタン層3は、ポリカーボネート製基材レンズ2とアルミニウム層4との密着性を高めるために配置されている。第1の酸化チタン層3を配置することにより、アルミニウム層4の上に防曇コート層6を形成した場合であっても、アルミニウム層4がポリカーボネート製レンズ2から剥がれを生じない。
第2の酸化チタン層5は、アルミニウム層4と防曇コート層6との密着性を高め、アルミニウム層4の上に防曇コート層6を形成することを可能にする。
第1の酸化チタン層3および第2の酸化チタン層5の膜厚は、いずれも1nm以上であることが望ましい。膜厚1nm未満の場合には密着性を十分に高めることができないためである。一方、膜厚が15nmを超える場合にはアルミニウム4の青色光の反射率が低下し、昼間の外光の反射光が黄色みを帯びて好ましくないため、第1の酸化チタン層5の膜厚は、15nm以下であることが望ましい。
第1の酸化チタン層3および第2の酸化チタン層5の膜厚は、合計で30nm未満であることが望ましい。酸化チタン層は硬度が高いため、第1および第2の酸化チタン層3,5の合計膜厚が30nm以上の厚膜になると、ポリカーボネート製レンズ2に微小なひび割れを生じさせる可能性があるためである。
第1および第2の酸化チタン層3,5を構成する材料は、高純度チタンであってもチタン合金であってもよいが、チタンの含有率が90%以上であることが望ましい。
また、第1および第2の酸化チタン層3,5は、光触媒性を有していないことが望ましく、そのため第1および第2の酸化チタン層3,5は、光触媒性の弱いアモルファスであることが望ましい。1nm以上30nm未満の膜厚の第1および第2の酸化チタン層3,5は薄いため光触媒性は無視できるほど小さい。特に、後述する製造工程のように、反応性スパッタリングにより、基材レンズ2を加熱せずに低温(50℃以下)を維持して成膜することにより、光触媒性を有さないアモルファスの酸化チタン層を容易に形成することができる。
防曇コート層6は、使用環境の変化等によりレンズ30の内側に生じる曇りや結露を防止するための層である。車両用の防曇コート層として一般的に用いられている樹脂製防曇塗料を塗布し、乾燥させることにより形成することができる。たとえば、親水性ポリマーを含む樹脂と疎水性ポリマーを含む樹脂を主成分とし、反応性の界面活性剤を添加剤とした防曇塗料を用いることが可能である。防曇コート層6の膜厚は、防曇性能を発揮できる膜厚であればよく、例えば1μm以上8μm以下程度に設定する。
このように、本実施形態では、ポリカーボネート製レンズ2とアルミニウム層4との間に第1の酸化チタン層3を、アルミニウム層4と防曇コート層6との間に第2の酸化チタン層5を、それぞれ配置することにより、ポリカーボネート製レンズ2の内側にハーフミラーとしてのアルミニウム層4と防曇コート層6を積層可能となる。これにより、本実施形態の車両用灯具のレンズ30は、アルミニウム層4および防曇コート層6の付着性、防曇性、耐熱性、耐湿性、耐冷熱サイクル性の各項目が、車両用灯具として要求される水準をクリアできる。
よって、ハーフミラーをレンズ30の内側に備えた、斬新な仕様の車両用灯具であって、防曇性も兼ね備えた実用レベルの車両用灯具を提供することができる。
つぎに、本実施形態の車両用灯具の製造方法について説明する。
レンズ30は、図3の工程により製造する。まず、ステップ101において基材レンズ2をポリカーボネート樹脂で射出成形する。次のステップ102では基材レンズ2の表面(外部側)にハードコート層1を形成する。例えば、一般的に知られた、樹脂を主成分とするハードコート塗料を塗布し、所定の方法で硬化させることにより形成する。
酸化チタン層3、アルミニウム層4、酸化チタン層5を順に形成する(ステップ103〜105)。これらのステップでは、基材レンズ2の表面側をマスキングし、図4に示したように、真空容器45の内側の側面に2種類のターゲット41,42を対極に対向配置することができるバッチ式の直流マグネトロンスパッタリング真空成膜装置を使用する。基板ホルダー43は、対向配置されたターゲット41,42の間に配置され、回転軸8より回転可能な構成である。
ターゲット41としてチタン(Ti)ターゲットを、ターゲット42としてアルミ(Al)ターゲットを配置する。ターゲット41,42は、それぞれ直流電源51,52のカソードに電気的に接続される。基板ホルダー43には、基材レンズ2の裏面側を外周面側に向けて搭載する。
ステップ103では、真空容器45内を排気したのち、アルゴンガスと酸素ガスを導入し、直流電源51から直流電圧をチタンターゲット41に印加してスパッタリングする。この間、基板ホルダー43を所定の速度で回転させる。これにより、チタン金属が酸化され、酸化チタンとなってポリカーボネート製基材レンズ2の裏面上に堆積され、成膜される。この皮膜は透明である。これにより、所定の膜厚範囲の第1の酸化チタン層3が形成される。
ステップ104では、チタンターゲット41のスパッタリングを停止し、真空容器45への酸素ガスの導入も停止する。アルゴンガスを導入したまま対極に配置したアルミニウムターゲット42に電源52から直流電圧を印加し、スパッタリングを行う。この間、基板ホルダー43を所定の速度で回転させる。これにより、金属アルミニウム層4が第1の酸化チタン層3の上に成膜される。
ステップ105では、アルミニウムターゲット42のスパッタリングを停止し、アルゴンガスを導入したまま再び酸素ガスを導入して、再びチタンターゲット41をスパッタリングする。この間、基板ホルダー43を所定の速度で回転させる。これにより、金属アルミニウム層4の上に所定の膜厚の第2の酸化チタン層5が成膜される。この皮膜は透明である。これにより、所定の膜厚範囲の第2の酸化チタン層5が形成される。
次に、図4のスパッタリング真空成膜装置から裏面に3つの層3,4,5が積層された基材レンズ2を取り出し、ステップ106において、防曇塗料を第2の酸化チタン層5の上に塗布し、乾燥させることにより防曇コート層6を形成する。
以上の工程により、車両用灯具としで性能試験を満足する防曇コート付きハーフミラー仕様の図2の構造のレンズ30を得ることができる。
このレンズ30と、別途製造しておいた光源10と反射鏡20等とを組み立て、図1の構造の車両用灯具を完成させる。
本実施形態では、酸化チタン層3,5によりアルミニウム層4を両面から挟んだことにより防曇コート層6を積層でき、信頼性(付着性、耐久性)の高い防曇機能を有するハーフミラー付きレンズを実現することが可能である。これにより、斬新なデザインでかつ灯具内曇りのない車両用灯具を提供できる。
また、本実施形態のレンズ30の製造方法によれば、ハーフミラー(アルミニウム層4)を形成する成膜装置のなかで、連続して同時に付着性強化のための成膜処理(第1および第2の酸化チタン層3,5の成膜)をすることができるため、低コストでレンズ30を製造することができる。
本発明の実施例及び比較例として以下の実験例1〜9の条件で車両用灯具のレンズを製造した。実験例1,5は本発明の実施例であり、実験例2〜4,6〜9は比較例である。
(実験例1)
実験例1として、図2の構造の車両用灯具のレンズ30を製造した。
透明なポリカーボネート樹脂を用い、射出成形機にて厚み約3mmの基材レンズ2を成形した。その表面に、無黄変性多官能ウレタンアクリレートを主成分とし、光重合開始剤、紫外線吸収剤などの添加剤を有するハードコート塗料を膜厚が約10μmとなるようスプレー塗装し、高圧水銀灯を照射し塗膜を硬化させ、ハードコート層1を形成した。
次に、表面側のハードコート層1をマスキングし、図4に示した回転型バッチ式スパッタ装置の回転式基板ホルダー43に、基材レンズ2の裏面側をターゲット41に向ける位置でレンズを取り付けた。ターゲット41とレンズ2の距離は、約200mmであった。
直流電源51のカソードにはチタンターゲット41が、直流電源52のカソードにはアルミニウムターゲット42が取り付けてある。基板ホルダー43にポリカーボネート製基材レンズ2を取り付け、回転軸8を10rpmで回転させた。
真空容器45内を4×10−3Paに排気後、酸素ガスを300sccm、Arガスを100sccm導入し、まずチタンターゲット41のスパッタを行った。チタンターゲット41に供給した電力は7KWで、スパッタ時間は30秒間であった。このとき成膜された第1の酸化チタン層3の膜厚は、1nmであった。
その後、酸素ガスの供給を停止し、Arガスを200sccm導入し、アルミニウムターゲット42を3KWで30秒スパッタし、金属アルミニウム層4を成膜した。このとき成膜されたアルミニウムの膜厚は、15nmであった。その後酸素ガスを300sccm導入し、Arガスを100sccm導入して、再びチタンターゲット41を7KWで30秒スパッタし、第2の酸化チタン層5を成膜した。このとき形成された第2の酸化チタン層5の膜厚は、1nmであった。
次に、真空容器45からレンズ2を取り出し、第2の酸化チタン層5の表面に防曇塗料を膜厚が2μmとなるようスプレー塗装し、110℃で15分乾燥させた。防曇塗料は、親水性ポリマーを有するアクリル樹脂と疎水性ポリマーを有するアクリル樹脂を主成分とし、反応性の界面活性剤を添加剤とするものを用いた。
(実験例2)
実験例1の製造工程から第1の酸化チタン層3の成膜工程のみを省き、他の工程は同様にして実験例2のレンズを製造した。
(実験例3)
実験例1の製造工程から第2の酸化チタン層5の成膜工程のみを省き、他の工程は同様にして実験例3のレンズを製造した。
(実験例4)
実験例1の製造工程において、第1の酸化チタン層3の成膜工程のスパッタリング条件を、3.5KW、30秒に変更し、第1の酸化チタン層3の膜厚を0.5nmとした。他の工程は実験例1と同様にして実験例4のレンズを製造した。
(実験例5)
実験例1の製造工程において、第1の酸化チタン層3の成膜工程のスパッタリング条件を、7.0KW、450秒に変更し、第1の酸化チタン層3の膜厚を15nmとした。他の工程は実験例1と同様にして実験例5のレンズを製造した。
(実験例6)
実験例1の製造工程において、第1の酸化チタン層3の成膜工程および第2の酸化チタン層5の成膜工程のスパッタリング条件を、7.0KW、450秒に変更し、第1および第3の酸化チタン層3、5の膜厚をそれぞれ15nmとした。他の工程は実験例1と同様にして実験例6のレンズを製造した。
表1に、実験例1〜6の製造条件をまとめて示す。
Figure 2010257714
(実験例1〜6の付着性と耐熱性評価)
実験例1〜6で得たレンズ試料について、JIS K 5600 付着性(クロスカット法)に基づく付着性試験と、120℃×24時間の耐熱試験を施し、評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2010257714
表2のように、第1の酸化チタン層3と第2の酸化チタン層5のうち一方を備えていない実験例2および3のレンズ試料は、ポリカーボネート製基材レンズ2とアルミニウム層4との間で大きな膜剥がれが生じた。また、第1および第2の酸化チタン層3,5を両方備えているが、第1の酸化チタン層3の膜厚が1nmよりも薄い実験例4のレンズ試料も、ポリカーボネート製基材レンズ2とアルミニウム層4との間で大きな膜剥がれが生じた。この結果から第1および第3の酸化チタン3,5の膜厚は、1nm以上である場合に、ポリカーボネート製基材レンズ2とアルミニウム層4の付着性、アルミニウム層4と防曇コート層6の付着性を、それぞれ著しく向上させることがわかった。
また耐熱試験の結果から、第1の酸化チタン層3の膜厚、および、第2の酸化チタン層5の膜厚は、合計膜厚が30nmに達すると、ポリカーボネート製基材レンズ2にクレージングが発生した。これは、酸化チタン層が硬い皮膜であるために発生したと考えられる。この結果から、第1および第2の酸化チタン層5の合計膜厚は30nm未満であることが望ましいことがわかった。
(実験例7)
実験例7として、実験例1の膜厚1nmの第1および第2の酸化チタン層3,5の代わりに、膜厚1nmの第1および第2の酸化アルミニウム層を配置したレンズ試料を製造した。具体的には、図4のスパッタ装置のチタンターゲット41を配置せず、実験例1のチタンターゲットのスパッタ工程の代わりに、アルミニウムターゲット42をスパッタした。酸素ガスおよびArガスは、実験例1と同様に供給した。これにより、表3に示したように基材レンズ2上に1nmの第1の酸化アルミニウム層、15nmのアルミニウム層4、1nmの第2のアルミニウム層を積層した。
Figure 2010257714
(実験例8)
実験例8として、実験例1の膜厚1nmの第1および第2の酸化チタン層3,5の代わりに、膜厚5nmの第1および第2の酸化ケイ素層を配置したレンズ試料を製造した。具体的には、図4のスパッタ装置のチタンターゲット41の代わりにステンレス製の電極板を、直流電源51の代わりにRF電源を用い、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を10sccm導入し、0.9KWでプラズマ重合させた。重合時間は60秒であった。
これにより、表3に示したように基材レンズ2上に5nmの第1の酸化ケイ素層、15nmのアルミニウム層4、5nmの第2の酸化ケイ素層を積層した。
(実験例7,8の付着性評価)
実験例7,8で得たレンズ試料についても、実施例1〜6同様にクロスカット法に基づく付着性試験を行った。その結果は表3に示した通りである。実験例2〜4の試料の付着性試験結果と比較すると、酸化アルミニウム層の実験例7、および、酸化ケイ素層の実験例8の試料は、いずれも付着性の改善効果がみられるが、車両用灯具のレンズとしては十分ではなく、実験例1の酸化チタン層を用いた試料の方が優れている。
(実験例9)
実験例9として、酸化チタン層、酸化アルミニウム層、酸化ケイ素層のうちから異なる2つの層を選び、アルミニウム層4の両側に配置し、他の工程は実験例1と同様にしてレンズ試料を製造した。
これらのレンズ試料について、クロスカット法に基づく付着試験を行ったところ、膜剥がれが生じ、車両用灯具のレンズとしては十分な密着性は得られなかった。
(実験例1のレンズ試料の性能評価)
次に、実験例1で製造したレンズ30の性能を評価する試験を行った。試験項目は、付着性、曇り発生、耐熱性、耐湿性、耐冷熱サイクル性の5項目であり、試験方法と、その評価結果は表4に示した通りである。
Figure 2010257714
表4から明らかなように、実験例1で製造したレンズ30の表面のアルミニウム層4および防曇コート層6は、付着性試験としてクロスカット法を実施しても膜剥がれが生じず、防曇性能試験でスチームにあてても曇りの発生が生じない。
また、耐熱試験として120℃で24時間加熱後、外観、防曇性能、付着性を確認したところ、外観に異常なく、曇りは生じず、膜剥がれも生じなかった。耐湿性試験として50℃98%雰囲気中に240時間放置した後、外観、防曇性能、付着性を確認したところ、外観に異常なく、曇りは生じず、膜剥がれも生じなかった。耐冷熱サイクル性試験として、80℃2時間、常温2時間、−40℃2時間、常温2時間を1サイクルとして、10サイクル繰り返した後、外観、防曇性能、付着性を確認したところ、外観に異常なく、曇りは生じず、膜剥がれも生じなかった。
以上のことから、実験例1で製造したレンズ30は、ハーフミラーであるアルミニウム層4と防曇コート層6を兼ね備えた構成であり、かつ、付着性、防曇性、耐熱性、耐湿性、耐冷熱サイクル性のいずれも優れていることが確認された。
(実験例10)
実験例1の製造工程において、アルミニウム層4の成膜工程で膜厚を2nmから42nmの4種類に異ならせた試料を製造し、アルミニウム層4の透過率を調べた。その結果を図5のグラフに示す。図5のグラフのように、目視でハーフミラーに見える範囲である透過率5%以上40%以下の範囲は、アルミニウム層4の膜厚5nm以上25nm以下で達成されることがわかった。よって、アルミニウム層4の膜厚は、5nm以上25nm以下であることが望ましい。
(実験例11)
実験例1の製造工程において、アルミニウム層4の成膜工程で膜厚を15nmとし、第1の酸化チタン層3の膜厚を0〜30nmまで3種類に異ならせたレンズ試料を製造し、外部側からレンズに入射する光の反射率を測定した。その結果を図6のグラフに示す。
図6から明らかなように、外部側から入射する光が波長550nmの緑色光である場合には、第1の酸化チタン層3の膜厚が30nmと厚くなっても、アルミニウム層4の反射率は、第1の酸化チタン層3の膜厚ゼロの場合の反射率に対して1割程度しか低減しないが、波長480nmの青色光である場合には、第1の酸化チタン層3の膜厚が30nmと厚い場合には、反射率が膜厚ゼロの場合の50%程度にまで低下する。青色光の反射率が低下すると、反射光は黄色味が強くなり、昼間の鏡面に見える車両用灯具としての見映えの良さが低減する。
よって、第1の酸化チタン層3は、青色光の反射率が2割程度しか低減しない15nm以下であることが望ましい。
1…ハードコート層、2…ポリカーボネート製基材レンズ、3…第1の酸化チタン層、4…アルミニウム層、5…第2の酸化チタン層、6…防曇コート層、41…チタンターゲット、42…アルミニウムターゲット、43…基板ホルダー、45…真空容器、51,52…直流電源。

Claims (7)

  1. 光源と、該光源からの光を透過して外部に出射するためのレンズとを有し、
    当該レンズは、樹脂製であり、該レンズの前記光源側の表面には、第1の酸化チタン層、ハーフミラー層、第2の酸化チタン層および防曇コート層が順に積層され、
    前記第1および第2の酸化チタン層は、いずれも厚さが1nm以上であり、前記第1および第2の酸化チタン層の合計膜厚が30nm未満であることを特徴とする車両用灯具。
  2. 請求項1に記載の車両用灯具において、前記第1の酸化チタン層は、15nm以下の膜厚であることを特徴とする車両用灯具。
  3. 請求項1または2に記載の車両用灯具において、前記ハーフミラー層は、アルミニウム層であることを特徴とする車両用灯具。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両用灯具において、前記レンズは、ポリカーボネート製であることを特徴とする車両用灯具。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両用灯具において、前記防曇コート層は、主成分が樹脂であることを特徴とする車両用灯具。
  6. 車両用灯具のレンズであって、
    樹脂製の基材レンズと、該基材レンズの一方の面に順に積層された、第1の酸化チタン層、ハーフミラー層、第2の酸化チタン層および防曇コート層とを有し、
    前記第1および第2の酸化チタン層は、いずれも厚さが1nm以上であり、前記第1および第2の酸化チタン層の合計膜厚が30nm未満であることを特徴とする車両用灯具のレンズ。
  7. 樹脂製の基材レンズの片面に第1の酸化チタン層、ハーフミラー層、第2の酸化チタン層、および、防曇コート層を積層する成膜工程と有する車両用灯具のレンズ製造方法であって、
    前記成膜工程は、2種類のターゲットを備えたスパッタ装置を用いて、前記第1の酸化チタン層、ハーフミラー層、第2の酸化チタン層を連続して成膜することを特徴とする車両用灯具のレンズ製造方法。
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