JP5465847B2 - 可逆性示温材の製造方法およびそれを用いた温度管理用インジケータ - Google Patents

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Description

本発明は、特定の温度に達したかを可逆的な色調変化によって表示する可逆性の示温材、それで形成された可逆性示温層と不可逆的な色調変化を示す不可逆性示温部材とを組み合わせた温度管理用インジケータ、およびその可逆性の示温材の製造方法に関するものである。
機械、設備、定温保存品の温度管理のために、示温顔料や示温材料を含むことにより温度に応じて可逆的に変色する示温ペイントや示温インキのような示温材、その示温インキで形成された示温層を有する温度管理用インジケータが汎用されている。
温度管理用インジケータとして、例えば特許文献1及び2に、電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性有機化合物との示温材料をマイクロカプセルに内包させ、紫外線吸収剤を含有させたり光遮蔽性顔料含有層を積層させたりして、耐光性を向上させつつ可逆的に変色させた熱可逆性記録シートや可逆熱変色性積層体が開示されている。一般に、有機化合物は経時的に光によって分解し易いため、有機化合物の示温材料をマイクロカプセルで内包したり、光遮蔽性顔料含有層で被覆したりしたインジケータであっても、耐久性、特に耐光性が未だに不十分である。
また非特許文献1に、長年使用されている代表的な示温顔料である四ヨウ化水銀(II)錯体が、開示されている。主に屋外で使用され45〜50℃付近で可逆的に変色する温度管理用インジケータのための示温顔料として、AgHgIで示される四ヨウ化水銀(II)酸銀錯体が、現在まで広く使用されている。このような四ヨウ化水銀(II)酸銀錯体は、温度の上昇または下降により、変色温度で、黄色と橙色との間の暖色同士の色調変化を示すものであるから、色調変化前後での色差が少ないせいで視認し難く、誤認を生じ易いという問題があった。
しかも、四ヨウ化水銀(II)酸銀錯体の耐光性が低いせいで、それを示温顔料として用いた温度管理用インジケータは、光、特に紫外線を含む太陽光により一時的に、劣化して暗黄色へ異常変色してしまうという問題があった。この光による暗黄色への異常変色は、温度変化による黄色と橙色との間の色調変化に類似しているため、温度管理または温度測定を行っている使用者にとっては、被検物が温度上昇していないのに温度上昇したと誤認してしまうという問題があった。
また、示温顔料である四ヨウ化水銀(II)酸銀錯体は、その1分子中に、貴金属である銀原子を2原子有するものであるから、金属相場の上昇に伴う原料の銀含有試薬の高騰のせいで、その示温顔料自体も高価となっているという問題がある。
可逆性示温顔料であるAgCu2−XHgIの別な製造方法として、例えば特許文献3に、KHgI溶液へ、銀塩及び第1銅混合液を加え、又は銀塩及び第2銅混合液を加えて亜硫酸ガスで還元し、生成する沈殿を母液と共に加熱する方法が、開示されている。このような湿式の製造方法では、溶液中で化学反応させるために有害な水銀含有廃液が多量に発生したり、還元のために有毒な亜硫酸ガスを用いたりするため、環境保全上好ましくなく、無毒化のための面倒な工程を必要とするという問題があった。
また、可逆性示温顔料であるAgHgIの別な製造方法として、例えば非特許文献2に、AgIとHgIとを粉砕しながら60℃で約1週間、加熱する方法が、開示されている。このような乾式の製造方法では、面倒な工程と長期の製造時間とを要し手間がかかり製造効率が悪いうえ、高い製造コストがかかってしまうという問題があった。
特開平5−32045号公報 特開2003−118044号公報 特公昭36−7626号公報 島 健太郎著、「クロミック材料の開発」、株式会社シーエムシー、2000年11月15日、p.98 「サーモケミカ アクタ(Thermochimica Acta)」1988年、131巻、p.191−210
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、耐久性、特に耐光性に優れ、50℃付近の温度域を可逆的な変色によって明瞭に表示できるという優れた視認性を有し、簡易な組成であって安価な可逆性示温材、および有毒な試薬を用いずまた有害な廃液を排出することなく、安全かつ簡便にその可逆性示温材を製造する方法を提供することを目的とする。
また、前記可逆性示温材を用いて形成され50℃付近の温度域を可逆的な変色によって表示できる可逆性示温層と、必要に応じて特定の温度に達したかを不可逆的な変色によって表示できる不可逆性示温層とを、有する簡易な構造で、安価に製造できる温度管理用インジケータを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲の請求項1に記載の可逆性示温材の製造方法は、ヨウ化銀、ヨウ化銅およびヨウ化水銀と、バインダーおよび/または溶媒を含む媒体とを、混合し、非加熱下で混練することによって、サーモクロミズムを示して温度の上昇又は下降の際に検知すべき温度で可逆的に変色する下記化学式
Ag Cu 2−X HgI
(式中、X=0.5〜0.8)
で示されるヨウ化水銀(II)金属錯塩を、該媒体中に、含有させることを特徴とする。
請求項2に記載の可逆性示温材の製造方法は、請求項1に記載されたもので、前記ヨウ化水銀(II)金属錯塩が、そのカチオン金属として銀(I)及び銅(I)を有していることを特徴とする。
請求項3に記載の可逆性示温材の製造方法は、請求項1に記載されたもので、前記バインダーが、ブチルゴム、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸ビニル、塩化ビニル、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ナイロン、合成樹脂、天然樹脂、アルキッド系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ケトン樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ユリア樹脂、ポリオール樹脂、エポキシポリエステル系樹脂、アルキット変性シリコーン、アルキット樹脂メラミン樹脂混合、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、及び酢酸ビニルメタアクリル酸メチル共重合体樹脂から選ばれる少なくとも何れかであり、前記溶媒が、水、メタノール、エタノール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸イソアミル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、ジエチルベンゼン、トルエン、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、シクロヘキサノン、イソプロピルアルコール、セロソルブアセテート、イソホロン、およびミネラルスピリットから選ばれる少なくとも何れかであることを特徴とする。
請求項4に記載の温度管理用インジケータは、請求項に記載の可逆性示温材の製造方法で得られた可逆性示温材を有することにより前記検知すべき温度で前記変色することを特徴とする。
請求項5に記載の温度管理用インジケータは、請求項に記載されたもので、インジケータ基材上に、前記可逆性示温材で層状に付されて形成された可逆性示温層を有していることを特徴とする。
請求項6に記載の温度管理用インジケータは、請求項5に記載されたもので、
前記可逆性示温層と、
測定すべき温度で溶融する固体状の熱溶融性物質を付しており、熱溶融状態でそれを不可逆的に吸収させることにより露出する熱溶融性物質吸収性層、測定すべき温度で溶融する固体状の着色した熱溶融性物質を覆っており熱溶融状態でそれを不可逆的に浸透させることにより着色して変色する不透明または半透明の熱溶融性物質浸透層、および測定すべき温度で不可逆的に反応して変色する感温変色性物質を含有する層のいずれかからなる不可逆性示温部材とが、
前記インジケータ基材上で並べて付され、または一部重ねられていることを特徴とする。
請求項7に記載の温度管理用インジケータは、請求項6に記載されたもので、前記可逆性示温層と前記不可逆性示温部材とが、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリアセテートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、セロファンフィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリオレフィンフィルム、およびポリ酢酸ビニルフィルムから選ばれる何れかの高分子フィルムで被覆されていることを特徴とする。
請求項8に記載の検知方法は、ヨウ化銀、ヨウ化銅およびヨウ化水銀と、バインダーおよび/または溶媒を含む媒体とを、混合し、非加熱下で混練することによって、サーモクロミズムを示して温度の上昇又は下降の際に検知すべき温度で可逆的に変色する下記化学式
Ag Cu 2−X HgI
(式中、X=0.5〜0.8)
で示されるヨウ化水銀(II)金属錯塩を、該媒体中に、含有させた可逆性示温材が、温度を確認すべき環境に据え置き又は被験物に貼付けられ、検知すべき温度で可逆的に変色し、目視により判別可能な色調の変化で表示することを特徴とする。
本発明を適用する可逆性示温材は、50℃近辺の温度の管理や測定、やけど防止表示等のために、その温度を明瞭な色調の変化で、簡便かつ正確に表示するのに用いることができるものである。しかもこの可逆性示温材は、耐久性、とりわけ耐光性に優れている。
この可逆性示温材は、簡易な組成であるため、安価である。それの製造方法によれば、有毒なガスを用いずまた有害で危険な水銀廃液を排出することなく、簡便な短工程の手法によって、短時間で効率よく、大量の可逆性示温材を安全に製造することが可能である。
この可逆性示温材を有する温度管理用インジケータは、検知すべき温度で可逆的に変色し、その温度を目視により判別可能な明瞭な色調の変化で簡便かつ正確に表示することができるものである。しかも、この温度管理用インジケータは、所定の温度でのみ特異的に変色し、その温度以外の曝露、例えば光、特に直射日光下での紫外線曝露によって、異常変色を引き起こさないから、使用中に温度を誤認してしまう恐れが、無い。この温度管理用インジケータは、屋外に設置されても日差しや風雨によって劣化せず、温度によってのみ変色するから、長期間安定して使用し続けることができる。したがって、温度管理用インジケータは、耐候性に優れ堅牢であるため、使用期間が長い。
温度管理用インジケータは、50℃近辺の温度で特異的に可逆性示温材が変色することによって、温度を可逆的に表示して、温度管理できるものである。
この50℃近辺の温度管理は、我々の生活環境の中で大変有用である。この温度管理用インジケータは、35度程度の夏場の大気温でも変色しないが、人体が熱いと感じる約40〜43℃の温度より幾分高温であって機械が異常発熱し始める約40〜50℃の異常時の初期温度で変色するものである。このような温度域は、やけど防止を促す表示をしたり、機械の異常を早期に発見するために表示したりしなければならない重要な温度管理領域である。
この温度管理用インジケータは、50℃付近の温度域を可逆的な変色によって表示できる可逆性示温層と、特定の温度に達したかを不可逆的な変色によって表示できる不可逆性示温部材とを、同時に有する簡便な構造である。そのため、アルコール温度計や高価なデジタル温度測定器等を複数用いたり随所に併設したりする必要がない。
さらに、温度管理用インジケータは簡易な構造であり簡便に製造でき、安価である。
発明を実施するための好ましい形態
以下、本発明の形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明を適用する可逆性示温材は、AgCu2−XHgIで示されるヨウ化水銀(II)金属錯塩と、バインダーおよび溶媒を含有したインキ成分である媒体とが、含まれたものである。
可逆性示温材は、ヨウ化銀、ヨウ化銅(I)およびヨウ化水銀(II)と、バインダー0.01〜1,000重量部および溶媒0.01〜1,000を含む媒体と、必要に応じて添加剤0.01〜10重量部とを、ボールミル中で、混練して、ヨウ化水銀(II)金属錯塩1〜10重量部を、媒体中に、含有させることによって、調製される。
このようにしてヨウ化水銀(II)金属錯塩を調製しつつ一挙に可逆性示温材を製造することが好ましいが、特許文献3のように、KHgI溶液へ、銀塩及び第1銅混合液を加え、又は銀塩及び第2銅混合液を加えて亜硫酸ガスで還元し、生成する沈殿を母液と共に加熱して先ず錯塩を調製してもよく、非特許文献2のように、ヨウ化銀とヨウ化水銀(II)とを混合し60℃で一週間加熱反応させて先ず錯塩を調製してもよい。このような可逆性示温材は、示温顔料1〜10重量部、添加剤0.01〜10重量部、バインダー0.01〜1,000重量部、および溶媒0.01〜1,000をボールミル中で、混練して、調製される。
可逆性示温材は、液状であって、温度を検知すべき被検物に直接塗布したり噴霧したりペイントであってもよく、被検物に貼付するインジケータを作製するのに用いられるインキであってもよい。可逆性示温材は、固体状であって、温度を検知すべき被検物に直接描画する棒状であってもよい。
本発明を適用する温度管理用インジケータ1について、実施例に対応する図1を参照しながら説明する。
温度管理用インジケータ1は、インジケータ基材12とその上で可逆性示温材により形成された可逆性示温層13とが積層された可逆性示温基材14の中央部に、不可逆性示温層17と熱溶融性物質吸収性層16とが積層された不可逆性示温部材18が、粘着層15で貼付され、可逆性示温基材14の可逆性示温層13と、不可逆性示温部材18の不可逆性示温層17とが、ポリエステルフィルムである高分子フィルムで被覆されたものである。
温度管理用インジケータ1は、以下のようにして製造される。
インジケータ基材12の表面側へ、この可逆性示温材を印刷して塗布することにより、その可逆性示温層13が積層された可逆性示温基材14を形成する。
次いで、熱溶融性物質20、バインダー、および溶剤を混練し、不可逆性示温層用インキを調製する。熱溶融性物質吸収性層16の表面側へ、この不可逆性示温層用インキを印刷して塗布し、その不可逆性示温層17と熱溶融性物質吸収性層16とからなる不可逆性示温部材18を形成する。可逆性示温基材14上の全面に粘着剤15を付し、その上の一部に、熱溶融性物質吸収性層16の裏面を、貼付する。
最後に、可逆性示温基材14の可逆性示温層13上で露出している粘着剤15を介して、可逆性示温基材14の可逆性示温層13と、不可逆性示温部材18の不可逆性示温層17とを、高分子フィルム19で被覆すると、温度管理用インジケータ1が得られる。
温度管理用インジケータ1は、温度を確認すべき、環境に据置かれ、または被検物に貼付される。それの可逆性示温層13は、50℃付近の検知すべき温度以上に曝された時に可逆的に変色し、不可逆性示温層17は、それの熱溶融性物質の融点以上に曝された時に不可逆的に変色し、夫々温度を、色調によって表示する。
この可逆性示温材に用いられるヨウ化水銀(II)金属錯塩は、AgCu2−XHgI(0<X<2)である。X値は、0.5〜0.8であることが好ましく、0.6〜0.75であると一層好ましい。
可逆性示温部材14が呈色する機構は以下の通りである。それの可逆的示温層13中のヨウ化水銀(II)金属錯塩は、熱エネルギーによる結晶転移のような結晶構造の変化に付随して、50℃付近でそのヨウ化水銀(II)金属錯塩に固有の温度域で変色するサーモクロミズムを示す。
前記ヨウ化水銀(II)金属錯塩と印刷用バインダーまたは溶媒とを混合した可逆性示温材13は、インキとしてインジケータ基材12に印刷により塗布されることで、簡便に温度管理、温度測定、やけど防止表示等ができる温度管理用インジケータとして用いることができる。
一方、不可逆性示温部材18が呈色する機構は以下の通りである。当初の低温時、固体状例えば粉末状または粒状である熱溶融性物質20が乱反射したり光透過を阻害したりしているので、不可逆性示温層17が熱溶融性物質吸収性層16を隠蔽している。低温から、所定の温度まで上昇すると、熱溶融性物質20が溶融し、熱溶融性物質吸収性層16に不可逆的に吸収される結果、熱溶融性物質吸収性層16が露呈して現れ目視できるようになり、不可逆性示温部材18の色調の変化として観察される。その後、温度が低下し熱溶融性物質20が凝固しても、不可逆性示温部材18は元の色調に戻らない。
不可逆性示温部材18は、色調が変色したまま退色しないので温度上昇履歴の記録として保存できる。
なお、可逆性示温材は、インジケータ基板12に印刷される例を示したが、液状ペイントタイプにして、刷毛やスプレー等で直接、被検に塗布してもよい。
温度管理用インジケータ1は、インジケータ基材12の裏面側に、剥離紙10付きの粘着剤層11が設けられていてもよい。
図2に示すように、熱溶融性物質吸収性層16は、所期の温度に達した温度履歴を経たことを示す文字や図柄が印刷されていてもよい。不可逆性示部材18は、低温時に同図(a)のとおり熱溶融性物質吸収性層16の文字が隠蔽されており、所期の温度以上例えば60℃に達すると同図(b)のとおりそのことを示す熱溶融性物質吸収性層16の文字「60」が不可逆的に表示されることにより、変色する。
図3に示すように、異なる融点の熱溶融性物質を、夫々不可逆性示温部材18(1)、18(2)、18(3)に用いることにより、異なる温度で別々に不可逆的に呈色するものであってもよい。
また、インジケータ基材に、可逆性示温材を塗布して一部を可逆性示温基材とし、インジケータ基材上の別な位置に、不可逆性示温層を有する熱溶融性物質吸収性層の裏面側を貼付して不可逆性示温基材としたものであってもよい。インジケータ基材を兼ねる熱溶融性物質吸収性層上の不可逆性示温層へ、可逆性示温材を塗布したものであってもよい。熱溶融性物質吸収性層が、溶融状態の熱溶融性物質を吸収しつつ拡散させるインキビヒクルを含有した樹脂層であってもよい。熱溶融性物質が、粉末状または粒状の有色であって多孔質基材に練り込まれたり刷り込まれたりしており、溶融して熱溶融性物質吸収性層に拡散して呈色を示すものであってもよい。
不可逆性示温部材は、測定すべき温度で溶融する固体状の着色した熱溶融性物質が含有された不可逆性示温材で塗布された熱溶融性物質含有層を、不透明または半透明の熱溶融性物質浸透材で覆って隠蔽した構造であってもよい。この構造の温度管理用インジケータは、熱溶融状態の該物質が熱溶融性物質浸透層に吸収され、拡散してそれを着色することにより、不可逆的に変色する。
また、不可逆性示温材は、測定すべき温度で不可逆に分解反応のような反応を引き起こして変色する感温変色性物質が含有された不可逆性示温層で、インジケータ基材に塗布された構造であってもよい。この構造の温度管理用インジケータは、化学変化により、不可逆的に変色する。
添加剤は、インキ適性を向上させる材料が使用でき、ワックス、ドライヤ、分散剤、湿潤剤、増粘剤、ゲル化剤、チキソトロピー付与剤が挙げられる。例えば市販品ではカープレックス((株)塩野義製薬:商品名)、Span20(東京化成工業(株)製)、Tween20(和光純薬工業(株)製)などが挙げられる。
高分子フィルムは、例えばポリイミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、セロファン、ナイロン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、またはポリ酢酸ビニルで膜状に形成されたものである。高分子フィルムは、これらを単独でまたは複合して形成されたものであってもよく、共重合させて形成されたものであってもよい。また、紫外線吸収剤を含有させたり紫外線遮蔽層をコーティングしたりする紫外線カット処理がされていてもよい。高分子フィルムは、5〜200μmの厚さであることが好ましい。中でもポリイミドフィルムは、耐熱性に優れているもので、カプトン(東レ・デュポン(株)製:商品名)が挙げられる。
可逆性示温材に用いられるバインダーは、ブチルゴム、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸ビニル、塩化ビニル、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ナイロン、合成樹脂、天然樹脂、アルキッド系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ケトン樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ユリア樹脂、ポリオール樹脂、エポキシポリエステル系樹脂、アルキット変性シリコーン、アルキット樹脂メラミン樹脂混合、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニルメタアクリル酸メチル共重合体樹脂などが挙げられる。
インキビヒクル例えば市販のPAS800メジウム(十条ケミカル(株)製:商品名)、ハイセットマットメジウム((株)ミノグループ製:商品名)、フジロンメジウム((株)永瀬スクリーン研究所製:商品名)、スレコート(日本特殊塗料(株):商品名)であってもよい。
可逆性示温材に用いられる溶媒は、例えば水、メタノール、エタノール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸イソアミル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、ジエチルベンゼン、トルエン、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、シクロヘキサノン、イソプロピルアルコール、セロソルブアセテート、イソホロン、ミネラルスピリットが挙げられる。
不可逆性示温部材の構成物質は、具体的には以下のとおりである。
熱溶融性物質は、脂肪酸誘導体、アルコール誘導体、エーテル誘導体、アルデヒド誘導体、ケトン誘導体、アミン誘導体、アミド誘導体、ニトリル誘導体、炭化水素誘導体、チオール誘導体、スルフィド誘導体が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、複数混合して用いられてもよい。
熱溶融性物質として脂肪酸誘導体は、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、アラキジン酸、アジピン酸、スベリン酸、イタコン酸、オクタン酸、トリコサン酸、テトラトリアコンタン酸、2,3−ジメチルノナン酸、リグノセリン酸、2−ヘキセン酸、ブラシン酸、2−メチル−2−ドデセン酸、β−エレオステアリン酸、ベヘノール酸、cis−9,10−メチレンオクタデカン酸、ショールムーグリン酸、3,3’−チオジプロピオン酸−n−ドデシル、トリラウリン、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸亜鉛、サリチル酸アニリド、N−アセチル−L−グルタミン酸、カプロン酸−β−ナフチルアミド、エナント酸フェニルヒドラジド、アラキン酸−p−クロルフェナシル、ギ酸コレステリル、1−アセト−2,3−ジステアリン、チオラウリン酸−n−ペンタデシル、ステアリン酸塩化物、無水パルミチン酸、ステアリン酸−酢酸無水物、コハク酸、セバシン酸ベンジルアンモニウム塩、2−ブロム吉草酸、α−スルホステアリン酸メチルナトリウム塩、2−フルオルアラキン酸が挙げられる。
同じくアルコール誘導体は、オクタデシルアルコール、コレステリン、D−マンニット、ガラクチトール、ヘプタトリアコンタノール、ヘキサデカン−2−オール、1−trans−2−オクタデセノール、β−エレオステアリルアルコール、シクロエイコサノール、d(+)セロビオース、p,p’−ビフェノール、リボフラビン、4−クロロ−2−メチルフェノール、2−ブロモ−1−インダノールが挙げられる。
同じくエーテル誘導体は、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、シチジン、アデノシン、フェノキシ酢酸ナトリウム、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、アルミニウムトリエトキシドが挙げられる。
同じくアルデヒド誘導体は、ステアリンアルデヒド、パララウリルアルデヒド、パラステアリンアルデヒド、ナフトアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、フタルアルデヒド、4−ニトロベンズアルデヒドが挙げられる。
同じくケトン誘導体は、ステアロン、ドコサン−2−オン、フェニルヘプタデシルケトン、シクロノナデカン、ビニルヘプタデシルケトン、4,4−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、ビス(2,4−ペンタンジオナイト)カルシウム、1−クロロアントラキノンが挙げられる。
同じくアミン誘導体は、トリコシルアミン、ジオクタデシルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、ヘプタデカメチレンイミン、ナフチルアミン、p−アミノ安息香酸エチル、o−トリチオ尿素、スルファメタジン、硝酸グアニジン、p−クロロアニリン、プロピルアミン塩酸塩が挙げられる。
同じくアミド誘導体は、ヘキシルアミド、オクタコシルアミド、N−メチルドデシルアミド、N−メチルヘプタコシルアミド、α−シアノアセトアミド、サリチルアミド、ジシアンジアミド、2−ニトロベンズアミド、N−ブロモアセトアミドが挙げられる。
同じくニトリル誘導体は、ペンタデカンニトリル、マルガロニトリル、2−ナフトニトリル、o−ニトロフェノキシ酢酸、3−ブロモベンゾニトリル、3−シアンピリジン、4−シアノフェノールが挙げられる。
同じく炭化水素誘導体は、ヘキサデカン、1−ノナトリアコンテン、trans−n−2−オクタデセン、ヘキサトリアコンチルベンゼン、2−メチルナフタレン、ビセン、塩化シアヌル、1−フルオロノナデカン、1−クロロエイコサン、1−ヨードペンタデカン、1−ブロモヘプタデカン、1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチル)ベンゼンが挙げられる。また、天然ワックス、合成ワックス、石油ワックス、動植物ワックス、鉱物ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ノルマルパラフィン、シクロパラフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、配合ワックス、酸化ワックス、水素化ワックスも挙げられる。
同じくチオール誘導体は、ペンタデカンチオール、エイコサンチオール、2−ナフタレンチオール、2−メルカプトエチルエーテル、2−ニトロベンゼンスルフェニルクロリドが挙げられる。
同じくスルフィド誘導体は、1,3−ジアチン、2,11−ジチア(3,3)パラシクロファン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、4,4−ジピリジルスルフィド、4−メチルメルカプトフェノールが挙げられる。
不可逆性示温材のバインダーと溶媒とは、可逆性示温材と同様なものが、用いられる。
感温変色性物質は、熱変色性化合物、有機染料と有機酸とが混合され所定の温度で反応して変色する感温変色性混合物、または感熱紙であってもよい。
熱変色性化合物は、コバルト−ヘキサメチレンテトラミン塩、ニッケル−ヘキサメチレンテトラミン塩、リン酸コバルト・八水和物、コバルトシュウ酸・カリウム・三水和物、水酸化銅が挙げられる。
有機染料と有機酸との感温変色性混合物中、有機染料は、電子供与性化合物の有機染料と同様なものが挙げられ、有機酸は、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸が挙げられる。
熱溶融性物質吸収性層は、ろ紙のような紙、不織布、布帛が挙げられる。
インジケータ基材は、熱溶融性物質吸収性層と同様なものの他、セルロース、セルロース誘導体、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリスチレン、塩酸ゴム、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリブテン、ポリビニルブチラール、ポリエチレンオキサイド、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシエチルセルロース、ポリイミドのいずれかの樹脂シートが挙げられる。
以下に示す実施例は、本発明を適用する可逆性示温材、およびそれを用いた温度管理用インジケータを試作した例である。
(実施例1)
可逆性示温材である温度管理用ペイントを作製するのに先立ち、以下のようにして、示温顔料を、水溶液中での反応により調製した。
まず第1溶液として、50L容器に15Lのイオン交換水(イオン交換装置は、オルガノ東京株式会社 MODEL BB−5Aを使用した。以下同様)を入れ、80〜90℃に加熱した。その中に塩化水銀(II)(和光純薬工業(株)製)1,000gを加えて撹拌し溶解した。
第2溶液として、10L容器に5Lのイオン交換水を入れ、ヨウ化カリウム(和光純薬工業(株)製、以下同様)1,235gを加えて撹拌し溶解した。
第1溶液を撹拌しながら、第2溶液を加えヨウ化水銀(II)(和光純薬工業(株)製)を析出させた。これを室温まで冷却した後、上澄み液を除去した。これを第3溶液とした。
第4溶液として、10L容器に7.5Lのイオン交換水を入れ、ヨウ化カリウム1,235gを加えて撹拌し溶解した。
第3溶液に、第4溶液に加えて撹拌し、四ヨウ化水銀(II)酸カリウム錯体溶液を作製した。これを第5溶液とした。
第6溶液として、50L容器に11.5Lのイオン交換水を入れ、50〜60℃に加熱した。その中に硝酸銀(和光純薬工業(株)製)438gおよび硝酸銅(II)三水和物(和光純薬工業(株)製)1,156gを加えて撹拌し溶解した。
第5溶液を撹拌しながら亜硫酸ガスを吹き込み、第6溶液を徐々に加えると生成物が析出した。亜硫酸ガスの吹き込みをやめ、溶液中の過剰な亜硫酸ガスを揮発させ、室温まで冷却した。
生成物をろ過し乾燥した。これにより化学式Ag0.7Cu1.3HgIで示されるもので、50℃近辺で可逆的に変色する黄味赤色の示温顔料を得た。
50℃近辺で可逆的に変色する市販の示温顔料の殆どが、化学式AgHgIで示される黄色の示温顔料である。従来の市販品は、示温顔料1モルに対する示温顔料中の銀原子のモル比が高い。前記のようにして調製した示温顔料は、従来の市販品に比べ、単位重量あたり約40%コストダウンすることができた。
次いで、この示温顔料を用いた可逆性示温材である温度管理用ペイントを、以下のようにして、調製した。前記の示温顔料100g、添加剤として硫酸バリウム(和光純薬工業(株)製)30g、カープレックス((株)塩野義製薬:商品名)3g、Span20(東京化成工業(株)製)1gをボールミルに加えた。
さらに、予めブチルゴム(日本ブチル(株)製)30gをキシレン(岩井化学薬品(株)製)240g、酢酸エチル(岩井化学薬品(株)製)80gで溶解させたビヒクル350gを、ボールミルに加えて2昼夜混練した。
混練後、ボールミルから溶液を取り出すと、黄味赤色の温度管理用ペイントが得られた。
実験室レベルで温度上昇した変色状態を確認するために、この温度管理用ペイントをステンレス板(大きさ50mm×125mm、厚み2mm)に塗布した。
塗布したステンレス板を加熱すると、明るい黄味赤から暗い茶紫に変色した。この時の加熱温度を接触型の熱電対温度測定器(DIGITAL SURFACE THERMOMETER HFT−50:安立計器(株)製、以下同様)で温度測定したとき、50℃であった。
さらに、塗布したステンレス板を自然冷却し室温(約25℃)に戻すと、明るい黄味赤に復色した。この加熱/冷却を10回繰り返したが、同様に温度の上昇および下降によって可逆的に変色した。
(実施例2)
温度管理用インジケータを作製するのに先立ち、以下のようにして、段階的に可逆性示温材である可逆性示温インキを調製した。
実施例2の温度管理用インジケータに使用する示温顔料は、実施例1と同様にして調製したものを用いた。
予め、バインダーとしてブチルゴム20g、溶媒としてミネラルスピリッツ150gを溶解したビヒクル170gを調製する。示温顔料100g、ビヒクルの順でボールポットに入れ、これらを3昼夜以上混練してから、ボールポットから取り出すと、可逆性示温インキが得られた。
裏面側に粘着剤が付されたポリエステルフィルムに、この可逆性示温インキを塗布し、溶媒を乾燥させ、その可逆性示温インキ層を含む明るい黄味赤の可逆性示温基材を作成した。これに、粘着剤付きラミネートフィルムを貼り付け、直径18mmで抜き取り温度管理用インジケータを得た。
この温度管理用インジケータをステンレス板(大きさ50mm×125mm、厚み2mm)に貼付し、ステンレス板を加熱すると明るい黄味赤から暗い茶紫に変色した。この時の加熱温度を熱電対温度測定器で温度測定すると50℃であった。
さらに、貼付したステンレス板を自然冷却し室温(約25℃)に戻すと、明るい黄味赤に復色した。この加熱/冷却を10回繰り返したが、同様に温度の上昇および下降によって可逆的に変色した。
(比較例1)
従来から使用されている市販の示温顔料(化学式:AgHgI)を用いた50℃近辺で可逆的に変色する温度管理用インジケータは、黄色からオレンジ色の同系色に変色した。
実施例2と比較例1との比較から明らかなように、実施例2の温度管理用インジケータは、比較例1のものよりも、温度の上昇および下降による変色が明確で、視認性が高い。
(実施例3)
以下のようにして、原料から一挙に可逆性示温材である可逆性示温インキを調製し、温度管理用インジケータを作製した。
まず、可逆性示温インキの調製として、ボールポットにヨウ化水銀(II)(関東化学(株)製)56.8g、ヨウ化銀(I)(小島化学薬品(株)製)20.5g、ヨウ化銅(I)(関東化学(株)製)30.9gを入れた。予めバインダーとしてブチルゴム20g、溶媒としてミネラルスピリッツ150gを溶解したビヒクル170gを、さらにボールポットに入れた。
これを3昼夜以上混練し、ボールポットから取り出し、可逆性示温インキを得た。
裏面側に粘着剤が付されたポリエステルフィルムに、このインキを塗布し、溶媒を乾燥させ、そのインキ層からなる縦15mm横30mmの可逆性示温部材を形成した。
熱溶融性物質として融点が約60℃のパルミチン酸100gと、バインダーとしてエチルセルロース10gと、溶媒としてトルエン160gとを、混練し、不可逆性示温材用インキを調製した。熱溶融性物質吸収性層である縦6mm横12mmで『60』の文字が予め印刷された印刷用紙の表面側へ、このインキを印刷し、そのインキ層を有する不可逆性示温部材を形成した。その裏側面を、可逆性示温基材の一部に、粘着剤を介して貼付した。
可逆性示温基材と不可逆性示部材とに、接着剤を介してポリエステルフィルムで被覆すると、温度管理用インジケータが得られた。
実験室レベルで擬似的に温度上昇した状態を作るために、この温度管理用インジケータをステンレス板(大きさ50mm×125mm、厚み2mm)に貼付した。
ステンレス板を加熱すると明るい黄味赤から暗い茶紫に変色した。この時の加熱温度を熱電対温度測定器で温度測定すると50℃であった。
また、この温度管理用インジケータには、不可逆性示温材も有しているため、60℃の加熱では、パルミチン酸が溶融して紙へ吸収され、それに印刷された『60』の文字が浮き上がって、人間の視覚的にも温度が上昇した履歴があることを観察できた。
さらに、貼付したステンレス板を自然冷却し室温(約25℃)に戻すと、可逆性示温部は明るい黄味赤に復色したが、不可逆性示温部材は、印刷された『60』の文字がそのまま残り、温度上昇の履歴として確認できた。
また、実施例3で得られた温度管理用インジケータと、本発明を適用外のヨウ化水銀(II)銀錯塩を含有した可逆性示温材である市販のサーモテープTR−50(製品名:日油技研工業(株)製)とを用いて、夫々の可逆性示温部材について、太陽光に対する耐光性比較試験を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0005465847
本発明を適用外の市販品は、太陽光照射後、1〜3日間暗黄色に光によって異常変色し、7日後には元の黄色に複色した。本発明を適用する温度管理用インジケータは黄味赤を保ったままで、異常変色は起こさなかった。
この感光現象の相異の原因は明確ではないが、以下のように推察される。この市販品に使用されている黄色の示温顔料は化学式がAgHgIであり、分子内に銀原子を高い比率で保有する。そのため、光によって銀原子とヨウ素原子が反応し、温度以外の外的要因で異常変色すると考えられる。一方、本発明の温度管理用インジケータに使用される黄味赤の示温顔料は、同様に50℃近辺の温度変化で可逆的に変色するが、例えば化学式Ag0.7Cu1.3HgIのように、分子内の銀原子の割合が少ないため、銀原子とヨウ素原子の光による反応が抑えられ、優れた耐光性を発現していると、推察される。このように本発明の温度管理用インジケータは、耐光性が極めて大きいものである。
本発明を適用する可逆性示温材および温度管理用インジケータは、機械設備の温度管理、配電設備の過熱事故防止、定温保存品の温度履歴確認のために用いられる。
また、本発明の可逆性示温材の製造方法は、温度管理用インジケータを作製するのに有用である。
本発明を適用する温度管理用インジケータの模式断面図である。 本発明を適用する温度管理用インジケータの使用途中を示す平面図である。 本発明を適用する別な温度管理用インジケータの模式断面図である。
符号の説明
1は温度管理用インジケータ、10は剥離紙、11は粘着層、12はインジケータ基材、13は可逆性示温材、14は可逆性示温基材、15は粘着層、16は熱溶融性物質吸収性層、17は不可逆性示温層、18・18(1)・18(2)・18(3)は不可逆性示温部材、19は高分子フィルム、20は熱溶融性物質である。

Claims (8)

  1. ヨウ化銀、ヨウ化銅およびヨウ化水銀と、バインダーおよび/または溶媒を含む媒体とを、混合し、非加熱下で混練することによって、サーモクロミズムを示して温度の上昇又は下降の際に検知すべき温度で可逆的に変色する下記化学式
    Ag Cu 2−X HgI
    (式中、X=0.5〜0.8)
    で示されるヨウ化水銀(II)金属錯塩を、該媒体中に、含有させることを特徴とする可逆性示温材の製造方法
  2. 前記ヨウ化水銀(II)金属錯塩が、そのカチオン金属として銀(I)及び銅(I)を有していることを特徴とする請求項1に記載の可逆性示温材の製造方法
  3. 前記バインダーが、ブチルゴム、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸ビニル、塩化ビニル、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ナイロン、合成樹脂、天然樹脂、アルキッド系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ケトン樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ユリア樹脂、ポリオール樹脂、エポキシポリエステル系樹脂、アルキット変性シリコーン、アルキット樹脂メラミン樹脂混合、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、及び酢酸ビニルメタアクリル酸メチル共重合体樹脂から選ばれる少なくとも何れかであり、
    前記溶媒が、水、メタノール、エタノール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸イソアミル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、ジエチルベンゼン、トルエン、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、シクロヘキサノン、イソプロピルアルコール、セロソルブアセテート、イソホロン、およびミネラルスピリットから選ばれる少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1〜2に記載の可逆性示温材の製造方法。
  4. 請求項1に記載の可逆性示温材の製造方法で得られた可逆性示温材を有することにより前記検知すべき温度で前記変色することを特徴とする温度管理用インジケータ。
  5. インジケータ基材上に、前記可逆性示温材で層状に付されて形成された可逆性示温層を有していることを特徴とする請求項に記載の温度管理用インジケータ。
  6. 前記可逆性示温層と、
    測定すべき温度で溶融する固体状の熱溶融性物質を付しており、熱溶融状態でそれを不可逆的に吸収させることにより露出する熱溶融性物質吸収性層、測定すべき温度で溶融する固体状の着色した熱溶融性物質を覆っており熱溶融状態でそれを不可逆的に浸透させることにより着色して変色する不透明または半透明の熱溶融性物質浸透層、および測定すべき温度で不可逆的に反応して変色する感温変色性物質を含有する層のいずれかからなる不可逆性示温部材とが、
    前記インジケータ基材上で並べて付され、または一部重ねられていることを特徴とする請求項5に記載の温度管理用インジケータ。
  7. 前記可逆性示温層と前記不可逆性示温部材とが、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリアセテートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、セロファンフィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリオレフィンフィルム、およびポリ酢酸ビニルフィルムから選ばれる何れかの高分子フィルムで被覆されていることを特徴とする請求項6に記載の温度管理用インジケータ。
  8. ヨウ化銀、ヨウ化銅およびヨウ化水銀と、バインダーおよび/または溶媒を含む媒体とを、混合し、非加熱下で混練することによって、サーモクロミズムを示して温度の上昇又は下降の際に検知すべき温度で可逆的に変色する下記化学式
    Ag Cu 2−X HgI
    (式中、X=0.5〜0.8)
    で示されるヨウ化水銀(II)金属錯塩を、該媒体中に、含有させた可逆性示温材が、温度を確認すべき環境に据え置き又は被験物に貼付けられ、検知すべき温度で可逆的に変色し、目視により判別可能な色調の変化で表示することを特徴とする検知方法。
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