JP4917714B2 - 固形状の温度表示材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱で変色する示温顔料により、過熱されたか否かを簡便に確認することのできる固形状の温度表示材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
モーター等のように過熱を忌避すべき装置の過熱の検知や温度履歴の確認のために、熱で変色する示温顔料を含む液状の温度表示材が使用されている。
【0003】
また、鉄骨鋼材を何層もの溶接金属層で溶接するという多層溶接の際に、鉄骨鋼材や溶接金属が過熱されると、溶接強度の低下を引き起こす。これを回避するためには、新たな溶接金属層を形成する直前の溶接部近傍の温度、すなわちパス間温度を所定の温度以下にしてから次の溶接金属層を形成する必要がある。その際、示温顔料を含む液状の温度表示材が使用されている。この表示材による変色程度を確認しながら、パスの間に適切な冷却時間を設けてパス間温度を管理しつつ、溶接が施される。
【0004】
この液状の温度表示材は、モーター等の被検物へ刷毛で塗布された後に所定の温度以上に曝されると、顔料が構造変化や化学的変化を起こして変色する結果、表示材の変化した色調が目視できるようになるというものである。これを用いると、熱電対のような高価な装置を用いなくとも、明瞭な色調の変化で簡便に温度を表示することができる。
【0005】
しかし、液状の温度表示材は、塗布の際に液だれすると、被検物やその周辺を汚してしまうという問題がある。さらに、鋼材溶接のパス間温度管理の際、新たな箇所を溶接する毎に、頻繁に刷毛で塗布しなければならないのは面倒である。そのため、簡便に描線できる固形状の温度表示材が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の課題を解決するためなされたもので、固形状であって、明瞭な色調の変化により所定の温度に達したかを簡便に確認できる温度表示材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するためになされた本発明のパス間温度表示用の固形状の温度表示材は、熱により変色する少なくとも一種類の示温顔料と、固形状化させるためのものとしてパラフィンワックスおよび/または結着性の無機化合物とが夫々、2〜60重量%と35〜60重量%と0重量%との比、2〜60重量%と0重量%と0.5〜98重量%との比、又は3〜55重量と2〜20重量%と最大で10重量%との比で、混練されて含まれており、鋼材の多層溶接の溶接部位から検定線を引き描くためのものであり、溶接金属層を形成してからそこに新たな溶接金属層を形成する直前の前記溶接部位の温度であるパス間温度に応じた前記検定線の変色長さで、前記パス間温度を表示させるパス間温度表示用の固形状の温度表示材であって、
前記示温顔料が、式M ・gH O(式中、M はCr,Mn,Co,Ni,Cu,Mo,PbまたはBi、AはC ,OH,またはCO 、e,fは1〜3の数、g≧0の数)で表されるシュウ酸金属塩、金属水酸化物、塩基性炭酸金属塩、およびそれらの水和物と、式(NH )M (P )(式中、M はCr,Mn,Co,Ni,Cu,Mo,PbまたはBi。但し、前記シュウ酸金属塩の場合は、前記温度表示材中に前記結着性の無機化合物を含む場合に限る。)と、式M [M (NH ) (CO ) ] ・qH O(式中、M は水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、M はCr,Mn,Co,Ni,Cu,Mo,PbまたはBi、BはNO ,PO ,P またはC 、j,nは0〜1の数、kは1〜2の数、mは4〜6の数、o,pは1〜3の数、q≧0の数)で表わされるアンモニア錯塩およびその水和物との何れかからなる不可逆的な変色性の示温顔料であり、
変色点が最低でも200℃であるというものである
【0008】
パラフィンワックスや結着性の無機化合物は、表示材を固形状にするため用いられるものである。これらは加熱しても焦げないので、所定の温度に表示材が曝されたときの示温顔料の変色による色調の変化は、明瞭である。
【0009】
パラフィンワックスは、2〜60重量%含まれていることが好ましい。この範囲のパラフィンワックスが含まれた表示材は、使用時や輸送時に折れ難い十分な強度を有するうえ、パラフィンワックスの融点以上に予熱されている被検物に描線する際の書き味が特によい。
【0010】
パラフィンワックスの融点は、50℃以上であることが好ましく、温度表示材の十分な保存性と強度とを持たせるために55〜70℃であると一層好ましい。
【0011】
固形状の温度表示材には、鉱物ワックス、木蝋、密蝋および/または獣脂である固形状油脂と、動物油、植物油、鉱油および/または流動パラフィンである不揮発性油と、ペトロラタムである半固形状油脂とのうちの少なくとも1種類が、含まれていてもよい。固形状油脂として例えば、セレシンワックス、カルナバワックス、古々実生蝋、ライスワックス、牛脂が挙げられる。不揮発性油として例えばオリーブオイル、マシンオイル、大豆油、炭化水素、流動パラフィンが挙げられる。
【0012】
固形状の温度表示材は、被検物の表面の温度や平滑さに係わらず簡便に描線できる効果を有しており、固形状油脂と、不揮発性油および/または半固形状油脂とが共に含まれていると、この効果が一層優れたものとなる。
【0013】
固形状の温度表示材は、固形状油脂の1〜10重量%好ましくは1〜8重量%を含んでいることが好ましい。固形状油脂が1重量%未満であると、表示材は、パラフィンワックスの融点以上に予熱された被検物に対して描線できるが、その融点以下の被検物に対して描線し難くなってしまう。固形状油脂は、加熱し過ぎると焦げるので、10重量%より多いと示温顔料の変色を不明瞭にしてしまう。
【0014】
固形状の温度表示材は、不揮発性油および/または半固形状油脂を合わせて0.05〜2重量%好ましくは0.05〜1重量%を含んでいることが好ましい。これが0.05重量%未満であると、表示材は、パラフィンワックスの融点以上に予熱された被検物に対して描線できるが、その融点以下の被検物に対して描線し難くなってしまう。一方、2重量%を超えると油分等が滲み出てしまうので表示材の保存性が悪くなってしまう。
【0015】
示温顔料は、シュウ酸錯塩、シュウ酸金属塩、金属水酸化物、塩基性炭酸金属塩、リン酸金属塩、金属塩へのヘキサメチレンテトラミンの付加物、アンモニア錯塩、アンモニウム金属塩、テトラヨード水銀酸金属塩、これらの水和物、および有機顔料から選ばれるが、シュウ酸金属塩、金属水酸化物、塩基性炭酸金属塩、金属塩へのヘキサメチレンテトラミンの付加物、アンモニア錯塩、アンモニウム金属塩、これらの水和物であることが好ましい。
【0016】
シュウ酸錯塩およびその水和物は、
式 M [M (C)]・dHO(式中、Mは水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、MはCr,Mn,Co,Ni,Cu,Mo,PbまたはBi、a,b,cは1〜3の数、d≧0の数)で表される不可逆性の示温顔料である。具体的には、K[Co(C)]・3HO、KBa[Cr(C)]、K[Cu(C)]が挙げられる。
【0017】
シュウ酸金属塩、金属水酸化物、塩基性炭酸金属塩、リン酸金属塩、およびそれらの水和物は、
式 M ・gHO(式中、Mは前記Mと同じ、AはC,OH,COまたはPO、e,fは1〜3の数、g≧0の数)で表される不可逆性の示温顔料である。シュウ酸金属塩およびその水和物として具体的には、CoC・2HO、NiC・2HO、4NiC・CoC・10HO、CuC・1/2HO、PbC、Bi(C)・4HO、Bi(C)・7HOが挙げられる。金属水酸化物として具体的には、Cu(OH)が挙げられる。塩基性炭酸金属塩およびその水和物として具体的には、2CoCO・3Co(OH)が挙げられる。リン酸金属塩およびその水和物として具体的には、Co(PO)・8HOが挙げられる。
【0018】
アンモニウム金属塩は、
式 (NH)M(P)(式中、Mは前記Mと同じ)で表される不可逆性の示温顔料である。具体的には、NHMnPが挙げられる。
【0019】
アンモニア錯塩およびその水和物は、
式 M [M (NH)(CO)]・qHO(式中、Mは前記Mと同じ、Mは前記Mと同じ、BはNO,PO,PまたはC、j,nは0〜1の数、kは1〜2の数、mは4〜6の数、o,pは1〜3の数、q≧0の数)で表される不可逆性の示温顔料である。具体的には、[Co(NH)CO]NO、[Co(NH)](C)・4HO、[Co(NH)]HP、[Co(NH)]PO・4HO、[Co(NH)CO]NO・1/2HOが挙げられる。固形状の温度表示材にパラフィンワックス、固形状油脂、不揮発性油、および/または半固形状油脂を含んでいるときには、アンモニア錯塩およびその水和物が
式 w(NH)O・M ・zHO(式中、Mは前記Mと同じまたはAl、wは正の数、x,yは1〜3の数、z≧0の数)で表される不可逆性の示温顔料であってもよい。具体的には3(NH)O・Al・12MoO・19HOが挙げられる。
【0020】
金属塩へのヘキサメチレンテトラミンの付加物、およびその水和物は、
式 M ・t(CH)・uHO(式中、Mは前記Mと同じ、DはCl,Br,I,SO,NOまたはSCN、r,sは1〜3の数、tは2〜4の数、u≧0の数)で表される不可逆性の示温顔料である。具体的には、CoCl・2(CH)・10HO、4/5CoBr・1/5NiBr・2(CH)・10HO、CoI・2(CH)・10HO、Co(NO)・2(CH)・10HO、Co(SCN)・2(CH)・10HO、NiCl・2(CH)・10HO、[5/6Co(NO)・1/6Ni(NO)]・2(CH)・10HO、CoSO・2(CH)・9HOが挙げられる。
【0021】
テトラヨード水銀酸金属塩は、
式 AgCu2−vHgI(式中、2≧v≧0の数)で表される可逆性の示温顔料である。例えばAgHgI、Ag1.6Cu0.4HgI、Ag0.3Cu1.7HgI、CuHgIが挙げられる。
【0022】
有機顔料には、例えばフタロシアニンブルーが挙げられる。
【0023】
固形状の温度表示材が、所定の温度に曝されたときに変色するのは、これらの示温顔料は、その結晶構造が変化したり、含有する水和水が脱離したり、分解したりするからである。示温顔料の変色の程度は、加熱温度と加熱時間とに依存している。
【0024】
この示温顔料を適宜選択することにより、所望の温度で色調の変化する固体の温度表示材が得られ、モーター等の装置の過熱の検知や温度履歴の確認のために用いられる。示温顔料が不可逆性であると変化した色調のまま保存することができる。示温顔料が可逆性であると、表示材を繰り返して使用することができる。
【0025】
固形状の温度表示材を4秒間一定温度で加熱したときの変色開始温度、すなわち4秒変色点が200℃以上となるように示温顔料を選択した温度表示材は、鉄骨鋼材の溶接の際のパス間温度管理のためにも好適に用いることができる。図1は、裏当て金2を用いて、鉄骨鋼材1、3を多層溶接している途中を示す図である。溶接金属層4を連続して形成した場合、パス間温度は優に500℃を超えるので、溶接熱の影響を受けた鋼材の一部や溶接熱の影響を受けた溶接金属が、靭性の低下や、母材との冶金的な不連続を生じる結果、十分な溶接強度が得られない。そのため、所定のパス間温度に下げてから、次のパスすなわち溶接金属層形成作業を行う必要がある。所定のパス間温度を順守して溶接が施されパス間温度が適正に管理されたか、否かを判定するために、固形の温度表示材が使用される。具体的には、溶接部位から垂直に温度表示材で描線した検定線10は、パス間温度に応じて所定の長さLだけ変色するので、この長さLにより所定の温度で溶接されたかを確認するというものである。
【0026】
4秒変色点が200℃未満の温度表示材を用いると、パス間温度管理の有無に係わらず、描線した検定線の全長が変色してしまうので、溶接不良の確認が十分にできない。
【0027】
固形状の温度表示材は、予め加熱された被検物に描線し、それが所定の色調に変色するまでの時間を計測することによっても、被検物の温度を検知することができる。
【0028】
示温顔料としてシュウ酸錯塩、シュウ酸金属塩、またはこれらの水和物、中でもCoC・2HOやNiC・2HOを用いた温度表示材は、検定線10の変色域と未変色域との変色境界が鮮明となり、パス間温度管理の際に検定線10の変色した長さLを正確に測定できるので、確実なパス間温度管理ができる。
【0029】
結着性の無機化合物は、石膏、ベントナイトまたは水ガラスであることが好ましい。固形状の温度表示材は、結着性の無機化合物を含んでいると、被検物の表面の温度や平滑さに係わらず一層簡便に描線できるようになる。
【0030】
固形状の温度表示材には、さらに白色顔料、体質材が含まれていてもよい。
【0031】
白色顔料は、被検物の表面の色を隠蔽するので、示温顔料の変色前後の色調を明瞭に表示させことができるというものであり、例えば酸化亜鉛、酸化チタンが挙げられる。
【0032】
体質材は、主として増量を目的として加えられる無色または白色のものであり、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、アルミナ、二酸化硅素が挙げられる。
【0033】
パス間温度を管理する際に使用される温度表示材は、示温顔料の2〜60重量%好ましくは5〜50重量%と、パラフィンワックス35〜60重量%と、固形状油脂として鉱物ワックスや木蝋や蜜蝋や獣脂の1〜10重量%好ましくは1〜5重量%と、不揮発性油および/または半固形状油脂として動物油や植物油や鉱油や流動パラフィンやペトロラタムの0.05〜2重量%好ましくは0.05〜1重量%と、白色顔料および/または体質材の0〜62重量%とを含んでいるものである。示温顔料はCoC・2HOやNiC・2HOが特に好適に用いられる。この固形状の温度表示材は、固形状油脂と、不揮発性油および/または半固形状油脂とを含んでいるので、付着性と定着性とに優れ、常温の平滑な金属面に確実に検定線を描線することができ、書き味がよい。また、固形状油脂を上記の範囲に限定して使用すると、焦げの影響を受けず、変色境界は、鮮明である。
【0034】
別な態様の固体状の温度表示材は、示温顔料の2〜60重量%と、結着性の無機化合物の0.5〜98重量%と、白色顔料および/または体質材の0〜97.5重量%とを含んでいるものである。示温顔料はCoC・2HOやNiC・2HOが特に好適に用いられる。この固形状の温度表示材は、鋼材表面温度によらず確実に検定線を引くことができ、かつ変色境界が鮮明である。
【0035】
さらに別な態様の固体状の温度表示材は、示温顔料の3〜55重量%好ましくは5〜50重量%と、パラフィンワックス2〜20重量%と、結着性の無機化合物の0〜10重量%と、白色顔料および/または体質材の15〜95重量%とを含んでいるものである。示温顔料はCoC・2HOやNiC・2HOが特に好適に用いられる。この固形状の温度表示材は、大型の鋼材を溶接する場合にように60〜120℃に予熱された鋼材に対して、特に書き味がよい。また、肌触りがよく、手指を汚さない。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の固形状の温度表示材の実施例を詳細に説明する。
【0037】
実施例1〜10には、本発明を適用する固形状の温度表示材を試作した例を示し、比較例1〜2には、本発明を適用外の温度表示材を試作した例を示す。
【0038】
表1および表2に記載のパラフィンワックス、固形状油脂、結着性の無機化合物、不揮発性油、半固形状油脂、白色顔料および/または体質材と、示温顔料とを混練した。無機化合物を用いるときには必要に応じて水を添加した。それを圧搾し、または型に流し込んで、固形状の温度表示材を得た。
【0039】
【表1】
Figure 0004917714
【0040】
【表2】
Figure 0004917714
【0041】
試作した実施例1〜10および比較例1〜2の固形状の温度表示材の物性について調べた。
【0042】
先ず、夫々の温度表示材を50℃の恒温槽に入れ、2時間保存したときの固形状油脂や半固形状油脂等の溶融や滲み出しについて観察した。
【0043】
次に常温および80℃に加熱した2種類の平板な金属板に、別々に各固形状の温度表示材で描線したとき、その書き味が優れていたものを◎、良いものを○、悪いものを×とする3段階で評価した。
【0044】
次に描線された金属板を温度調整可能な加熱器に載せて加熱し、描線の色調の変化や焦げの有無を観察した。
【0045】
加熱器により一定温度で温度表示材を加熱したとき、4秒後に変色が開始する温度を、4秒変色点として測定した。
【0046】
次いで、鋼材同士を何層にもわたる溶接金属層により溶接する際のパス間温度管理用としての使用の適否について検討した。図1のように実際に溶接する鋼材上に、溶接部位と直交した検定線10を描線した。溶接部位から一定の距離R例えば10mmだけ離れた位置に設置された熱電対11により厳密にパス間温度を管理しながら溶接した場合と、パス間温度を管理することなく溶接した場合とにおける、検定線10の変色した長さLの差異が明確であるかについて観察した。さらに鋼材の表面温度を常温と80℃とにした鋼材に各々検定線10を描線した後に溶接したとき、変色領域と未変色領域の境界の明瞭さについて観察し、極めて明瞭であったものを◎、明瞭であったものを○、やや明瞭であったものを△、不明瞭であったものを×とする4段階で評価した。パス間温度管理用としての使用の適否は、この変色した長さの差異が明確であり、かつ変色の境界が明瞭であったものを適と評価し、それ以外を不適と評価した。
【0047】
表1に示すとおり、実施例1〜10の固形状の温度表示材はいずれも、書き味が良好であり、保存後にも溶融や滲み出しがなく、溶接の際に描いた検定線が明瞭に適切な長さ変色するものであった。したがって、これらの温度表示材は、過熱の検知や温度履歴の確認に使用することができる。特に実施例4〜10の温度表示材は、パス間温度を管理するために好適に使用することができる。
【0048】
一方、表2に示すとおり、比較例1の温度表示材は加熱により焦げついたため明確な変色を確認することができず、比較例2の温度表示材は保存後に油脂や油が滲み出していた。
【0049】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明の温度表示材は固形状であり、溶接される鋼材へ常温下であっても確実かつ簡便に描線することができる。この温度表示材は、塗料のように塗布して乾燥する煩雑な操作が必要ない。
【0050】
この温度表示材はモーター等のように過熱を忌避すべき装置の過熱の検知や温度履歴の確認が行われる際に使用される。さらに鋼材を溶接する際に、鋼材が所定のパス間温度に達したかを確認するために使用することもできる。
【0051】
温度表示材により描線された線は、所定の温度に曝されると明瞭に変色し、簡便かつ正確に温度を表示する。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼材の多層溶接の途中を示す図である。
【符号の説明】
1・3は鋼材、2は裏当て金、4は溶接金属層、5は溶接部位、10は検定線、11はパス間温度測定用の熱電対、Lは変色長さ、Rは溶接部位からの距離である。

Claims (5)

  1. 熱により変色する少なくとも一種類の示温顔料と、固形状化させるためのものとしてパラフィンワックスおよび/または結着性の無機化合物とが夫々、2〜60重量%と35〜60重量%と0重量%との比、2〜60重量%と0重量%と0.5〜98重量%との比、又は3〜55重量と2〜20重量%と最大で10重量%との比で、混練されて含まれており、鋼材の多層溶接の溶接部位から検定線を引き描くためのものであり、溶接金属層を形成してからそこに新たな溶接金属層を形成する直前の前記溶接部位の温度であるパス間温度に応じた前記検定線の変色長さで、前記パス間温度を表示させるパス間温度表示用の固形状の温度表示材であって、
    前記示温顔料が、式M ・gH O(式中、M はCr,Mn,Co,Ni,Cu,Mo,PbまたはBi、AはC ,OH,またはCO 、e,fは1〜3の数、g≧0の数)で表されるシュウ酸金属塩、金属水酸化物、塩基性炭酸金属塩、およびそれらの水和物と、式(NH )M (P )(式中、M はCr,Mn,Co,Ni,Cu,Mo,PbまたはBi。但し、前記シュウ酸金属塩の場合は、前記温度表示材中に前記結着性の無機化合物を含む場合に限る。)と、式M [M (NH ) (CO ) ] ・qH O(式中、M は水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、M はCr,Mn,Co,Ni,Cu,Mo,PbまたはBi、BはNO ,PO ,P またはC 、j,nは0〜1の数、kは1〜2の数、mは4〜6の数、o,pは1〜3の数、q≧0の数)で表わされるアンモニア錯塩およびその水和物との何れかからなる不可逆的な変色性の示温顔料であり、
    前記パス間温度を表示する変色点が最低でも200℃であることを特徴とするパス間温度表示用の固形状の温度表示材。
  2. 鉱物ワックス、木蝋、密蝋および/または獣脂である固形状油脂と、動物油、植物油、鉱油および/または流動パラフィンである不揮発性油と、ペトロラタムである半固形状油脂とのうちの少なくとも1種類が、含まれていることを特徴とする請求項1に記載の固形状の温度表示材。
  3. 前記固形状油脂1〜10重量%と、不揮発性油および半固形状油脂を合わせて0.05〜2重量%とが、含まれていることを特徴とする請求項2に記載の固形状の温度表示材。
  4. 前記示温顔料は、CoC ・2H O、NiC ・2H O、4NiC ・CoC ・10H O、CuC ・1/2H O、PbC 、Bi(C ) ・4H O、Bi (C ) ・7H Oから選ばれる何れかの前記シュウ酸金属塩およびその水和物;Cu(OH) からなる前記金属水酸化物およびその水和物;2CoCO ・3Co(OH) からなる前記塩基性炭酸金属塩およびその水和物;NH MnP からなる前記アンモニウム金属塩およびその水和物;[Co(NH ) CO ]NO 、[Co(NH ) ] (C ) ・4H O、[Co(NH ) ]HP 、[Co(NH ) ]PO ・4H O、[Co(NH ) CO ]NO ・1/2H Oから選ばれる何れかの前記アンモニア錯塩およびその水和物の何れかであることを特徴とする請求項1に記載の固形状の温度表示材。
  5. 前記結着性の無機化合物は石膏、ベントナイトまたは水ガラスであることを特徴とする請求項1に記載の固形状の温度表示材。
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