JP2007186734A - 溶鋼温度予測方法及び溶鋼温度予測装置 - Google Patents

溶鋼温度予測方法及び溶鋼温度予測装置 Download PDF

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Abstract

【課題】取鍋内の溶鋼の温度変化の予測精度を高めることができる。
【解決手段】溶鋼温度予測装置10は、少なくとも溶鋼処理のアーク加熱処理前における取鍋内の溶鋼の温度測定時からの経過時間と、アーク電力量とを含む基準量に、少なくとも取鍋の使用回数を含む補正量を乗じた式を含むモデル式を入力するモデル入力部11と、取鍋の測定温度を含む使用実績データを入力する実績データ入力部12と、前記実績データ入力部12で入力された使用実績データ用いて、前記モデル入力部11で入力されたモデル式に関する非線形最適化問題を解く非線形最適化求解部14と、前記非線形最適化求解部14で求められた解に基づいて、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測する温度変化予測部16とを備えている。
【選択図】図2

Description

本発明は、取鍋を使用してアーク加熱処理を含む溶鋼処理を施すときの該取鍋内の溶鋼の温度変化を予測する方法及びその装置に関するものである。
溶鋼処理における温度予測方法としては、従来、いくつかの方法が公知である。
例えば特許文献1の方法は、出鋼時の溶鋼温度を適正範囲に調整するために、出鋼時点からタンディッシュに至るまでの溶鋼の温度降下量を推定する方法であり、鋳込みの際のスループット量等の要因ごとの温度降下量の和として、全温度降下量を求めるものである。
また特許文献2の方法は、溶鋼処理中の温度降下を、操業変動要因に起因する各溶鋼温度降下から求めるものである。
特開平4−28467号公報 特開平7−97611号公報
上記従来方法では、いずれも取鍋の使用回数の増加につれて、取鍋内の耐火物が薄くなり放熱量が変化することや、取鍋の蓄熱量が変化することにより、単位時間当たりの各温度降下量が異なることが評価できず、その結果、取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度を精確に予測することができなかった。
本発明は以上のような従来技術における課題を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測精度を高めることのできる溶鋼温度予測方法及び溶鋼温度予測装置を提供するものである。
本発明は、取鍋を使用してアーク加熱処理を含む溶鋼処理を施すときの該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測する方法であって、少なくとも前記取鍋の使用回数を加味して該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測することを特徴とするものである。
請求項2記載の発明のように、さらに前記取鍋が空状態となる空鍋時間を加味して該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測することが好ましい。
請求項3記載の発明のように、前記溶鋼処理のアーク加熱処理前に、前記取鍋内の溶鋼の温度測定を行い、少なくとも前記取鍋内の溶鋼の温度測定時からの経過時間と、アーク電力量とを含む基準量に、少なくとも前記取鍋の使用回数を含む補正量を乗じた式を含むモデル式を用いて、該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測することが好ましい。
請求項4記載の発明のように、前記モデル式の補正量に、前記取鍋が空状態となる空鍋時間をさらに含めることが好ましい。
請求項5記載の発明のように、前記取鍋内のアーク加熱処理前における溶鋼の温度測定値に、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値を加えることにより、前記取鍋内のアーク加熱処理後における溶鋼の温度を予測することが好ましい。
請求項6記載の発明のように、前記取鍋内への合金投入前に前記取鍋内の溶鋼の温度測定を行うとともに、前記モデル式の基準量に合金投入量をさらに含めることが好ましい。
請求項7記載の発明のように、前記取鍋内への合金投入前における溶鋼の温度測定値に、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値を加えることにより、前記取鍋内への合金投入後における溶鋼の温度を予測することが好ましい。
請求項8記載の発明のように、前記取鍋の測定温度を含む使用実績データを用いて、前記モデル式に関する非線形最適化問題を解き、この解に基づいて、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測することが好ましい。
請求項9記載の発明のように、前記取鍋の測定温度を含む使用実績データを用いて、前記モデル式に関する非線形最適化問題に、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値の信頼率を評価するための制約条件を付加した制約付き非線形最適化問題を解き、この解に基づいて、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値のばらつきを含めて該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測することが好ましい。
請求項10記載の発明は、取鍋を使用してアーク加熱処理を含む溶鋼処理を施すときの該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測する装置であって、少なくとも前記溶鋼処理のアーク加熱処理前における前記取鍋内の溶鋼の温度測定時からの経過時間と、アーク電力量とを含む基準量に、少なくとも前記取鍋の使用回数を含む補正量を乗じた式を含むモデル式を入力するモデル入力部と、前記取鍋の測定温度を含む使用実績データを入力する実績データ入力部と、前記実績データ入力部で入力された使用実績データ用いて、前記モデル入力部で入力されたモデル式に関する非線形最適化問題を解く非線形最適化求解部と、前記非線形最適化求解部で求められた解に基づいて、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測する温度変化予測部とを備えたことを特徴とするものである。
請求項11記載の発明のように、前記取鍋の測定温度を含む使用実績データを用いて、前記モデル式に関する非線形最適化問題に、該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値の信頼率を評価するための制約条件を付加した制約付き非線形最適化問題を解く制約付き非線形最適化求解部をさらに備え、前記温度変化予測部は、前記制約付き非線形最適化求解部で求められた解に基づいて、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値のばらつきを含めて該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測することが好ましい。
本発明によれば、少なくとも前記取鍋の使用回数を加味して該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化が予測されるので、取鍋の使用回数の増加につれて、取鍋内の耐火物が薄くなり放熱量が変化することや、取鍋の蓄熱量が変化することにより、単位時間当たりの各温度降下量が異なることを評価することができ、その結果、取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測精度を高めることができる。
請求項2記載の発明によれば、さらに前記取鍋が空状態となる空鍋時間を加味して該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化が予測されるので、取鍋の空鍋時間の増加につれて、取鍋の熱容量が低下して、再度の使用時に温度変化が異なること等も評価することができ、その結果、取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測精度をより高めることができる。
請求項3記載の発明によれば、前記溶鋼処理のアーク加熱処理前に、前記取鍋内の溶鋼の温度測定が行われ、少なくとも前記取鍋内の溶鋼の温度測定時からの経過時間と、アーク電力量とを含む基準量に、少なくとも前記取鍋の使用回数を含む補正量を乗じた式を含むモデル式を用いて、該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化が予測されるので、基準量の全体に対して補正可能となり、取鍋の溶損現象を確実に反映できるようになる。すなわち、取鍋の繰り返し使用に伴う性状変化による温度降下量の変化を考慮して、温度降下量の予測精度を高めることができるようになる。
請求項4記載の発明によれば、前記モデル式の補正量に、前記取鍋が空状態となる空鍋時間がさらに含められたので、取鍋の空鍋時間の増加につれて、取鍋の熱容量が低下して、再度の使用時に温度変化が異なること等も評価することができ、その結果、取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測精度をより高めることができる。
請求項5記載の発明によれば、前記取鍋内のアーク加熱処理前における溶鋼の温度測定値に、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値を加えることにより、前記取鍋内のアーク加熱処理後における溶鋼の温度が予測されるので、取鍋内のアーク加熱処理後における溶鋼の温度測定が不要となるか、あるいは、アーク加熱電力量を適切に定めることができるようになる。又は、温度不足による再加熱が不要となる。
請求項6記載の発明によれば、前記取鍋内への合金投入前に前記取鍋内の溶鋼の温度測定が行われるとともに、前記モデル式の基準量に合金投入量がさらに含められたので、成分調整用の合金投入を考慮して、温度降下量の予測精度をより高めることができるようになる。
請求項7記載の発明によれば、前記取鍋内への合金投入前における溶鋼の温度測定値に、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値が加えられることにより、前記取鍋内への合金投入後における溶鋼の温度が予測されるので、前記取鍋内への合金投入後における溶鋼の温度測定が不要となるか、あるいは、アーク加熱電力量を適切に定めることができるようになる。又は、温度不足による再加熱が不要となる。
請求項8記載の発明によれば、前記取鍋の測定温度を含む使用実績データを用いて、前記モデル式に関する非線形最適化問題が解かれ、この解に基づいて、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化が予測されるので、温度予測の精度を定量的に評価しやすい。また、使用実績データをそのまま用いるので、使用実績に合った解が得られる。
請求項9記載の発明によれば、前記取鍋の測定温度を含む使用実績データを用いて、前記モデル式に関する非線形最適化問題に、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値の信頼率を評価するための制約条件を付加した制約付き非線形最適化問題が解かれ、この解に基づいて、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値のばらつきを含めて該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化が予測されるので、温度予測の精度を定量的に評価しやすい。また、信頼率を考慮した上下限幅を求めることで、予測値が幅を持ち、ガイダンスに適するものとなる。さらに、使用実績データをそのまま用いるので、使用実績に合った解が得られる。すなわち、溶鋼処理状態のばらつきを考慮して、所定の確率で入る温度範囲を求めることで、温度予測の精度を明確化することができるようになる。
請求項10記載の発明によれば、取鍋を使用してアーク加熱処理を含む溶鋼処理を施すときの該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測する装置であって、少なくとも前記溶鋼処理のアーク加熱処理前における前記取鍋内の溶鋼の温度測定時からの経過時間と、アーク電力量とを含む基準量に、少なくとも前記取鍋の使用回数を含む補正量を乗じた式を含むモデル式を入力するモデル入力部と、前記取鍋の測定温度を含む使用実績データを入力する実績データ入力部と、前記実績データ入力部で入力された使用実績データ用いて、前記モデル入力部で入力されたモデル式に関する非線形最適化問題を解く非線形最適化求解部と、前記非線形最適化求解部で求められた解に基づいて、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測する温度変化予測部とが備えられたので、前記溶鋼処理のアーク加熱処理前に、前記取鍋内の溶鋼の温度測定が行われ、少なくとも前記取鍋内の溶鋼の温度測定時からの経過時間と、アーク電力量とを含む基準量に、少なくとも前記取鍋の使用回数を含む補正量を乗じた式を含むモデル式を用いて、該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化が予測されることにより、基準量の全体に対して補正可能となり、取鍋の溶損現象を確実に反映できるようになる。すなわち、取鍋の繰り返し使用に伴う性状変化による温度降下量の変化を考慮して、温度降下量の予測精度を高めることができるようになる。また、前記取鍋の測定温度を含む使用実績データを用いて、前記モデル式に関する非線形最適化問題が解かれ、この解に基づいて、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化が予測されることにより、温度予測の精度を定量的に評価しやすくなる。さらに、使用実績データをそのまま用いるので、使用実績に合った解が得られる。
請求項11記載の発明によれば、前記取鍋の測定温度を含む使用実績データを用いて、前記モデル式に関する非線形最適化問題に、該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値の信頼率を評価するための制約条件を付加した制約付き非線形最適化問題を解く制約付き非線形最適化求解部がさらに備えられ、前記温度変化予測部により、前記制約付き非線形最適化求解部で求められた解に基づいて、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値のばらつきを含めて該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化が予測されるので、温度予測の精度を定量的に評価しやすい。また、信頼率を考慮した上下限幅を求めることで、予測値が幅を持ち、ガイダンスに適するものとなる。さらに、使用実績データをそのまま用いるので、使用実績に合った解が得られる。すなわち、溶鋼処理状態のばらつきを考慮して、所定の確率で入る温度範囲を求めることにより、温度予測の精度を明確化することができるようになる。
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る溶鋼処理の各工程(a)〜(e)を示す説明図である。
図1(a)に示すように、転炉1において精錬された溶鋼2は、取鍋3に注入され、さらに精錬される。ここでは、取鍋3内での精錬を溶鋼処理という。
この溶鋼処理においては、図1(b)〜(e)に示すように、成分調整や温度調整のため、アーク加熱、合金投入、脱ガス、アルゴン処理等が行われる。具体的には、前記図1(a)において、取鍋3に溶鋼2が注入された後、その取鍋3の開口部は、図1(b)に示すように、蓋3bで覆われる。そして、この蓋3bの注入口3aから温度計3cを取鍋3内に挿入することにより、温度計3cで溶鋼2の測温を行い、その測温が終了次第、温度計3cは外部に取り出される。ついで、図1(c)に示すように、再び蓋3bの注入口3aから取鍋3内に成分調整等用の合金3dが投入され、この投入された合金3dは高温の溶鋼2で溶融される。ついで、図1(d)に示すように、取鍋3の蓋3bには3本のアーク電極3eが装着され、アーク電極3eにより取鍋3内の溶鋼3がアーク加熱された後、図1(e)に示すように、取鍋3の蓋3bからアーク電極3eが脱着される。そして、必要に応じて図1(b)の工程に戻り、再度蓋3bの注入口3aから温度計3cを取鍋3内に挿入することにより、温度計3cで溶鋼2の測温を行った上で、図1(c)及び/又は図1(d)の工程を繰り返した後に、取鍋3内の溶鋼2は、図外の連続鋳造機のタンディッシュに注入される。すると、取鍋3内には溶鋼2が存在しない空鍋状態となり、その取鍋3は所定時間(空鍋時間)経過後に、再度図1(a)に戻って繰り返し使用されることとなる。なお、同図中の(*)印は、途中に溶融処理(アルゴン処理、脱ガス等)が入ることがあることを意味する。
ところで、次工程である連続鋳造機による鋳造において、鋳片の凝固時期は取鍋3内の溶鋼温度の影響を受けることから、特にタンディッシュに注入する直前(図1(e)の状態である。)の取鍋3内の溶鋼2の温度(溶鋼温度)を適切に管理することが必要とされる。しかしながら、その溶鋼温度は、図1(b)に示した取鍋3内の測温後の時間経過、合金投入、アーク加熱等によって変動する一方、溶鋼2の常時測温は困難である。このため、図1(b)に示した取鍋3内の測温後の時間経過に伴う溶鋼2の温度変化を予測することが不可欠となる。また、取鍋3の繰り返し使用に伴い、その取鍋3の性状が変化するが、この実施形態1は、かかる取鍋3の性状変化による上記取鍋3内の測温後の時間経過に伴う溶鋼2の温度変化の予測精度への影響を考慮してなされたものである。
図2は本発明の実施形態1に係る溶鋼温度予測装置10の構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、溶鋼温度予測装置10は、モデル式入力部11、実績データ入力部12、評価関数入力部13、非線形最適化求解部14、パラメータ出力部15、温度変化予測部16及び温度変化表示部17から構成されている。この溶鋼温度予測装置10は、図示しないメモリを備えたコンピュータで構成されており、各部11〜16は、このメモリに記憶された各種プログラムによって、コンピュータ内に構築されるものであって、そのコンピュータにはキーボード、マウス等の図示しない入力手段と、CRT、プリンタ等の図示しない出力手段とが、RS−232C等の図示しないインターフェースを介してそれぞれ接続されている。
この溶鋼温度予測装置10では、上記入力手段を用いて、モデル式入力部11で図1(b)に示す温度計3cによる前回測温(以下、単に「前回測温」という。)からの経過時間、アーク電力量及び合金投入量を含む基準量に、取鍋3の使用回数及び空鍋時間を含む補正量を乗じた式を含むモデル式を入力することができる。
このモデル式としての、前回測温からの時間経過に伴う溶鋼温度変化(以下、単に「溶鋼温度変化」という。)の予測式の一例を次式で示す。
y=(a×T+a×PARC+a×Walloy
×(1+a×Nusage+a×Tempty) ・・・(1)
ここで、yは溶鋼温度変化の予測値、a〜aは係数(パラメータ)、Tは前回測温時からの経過時間、PARCはアーク電力量、Walloyは投入合金量、Nusageは取鍋使用回数、Temptyは空鍋時間である。
データ数をNとする。使用実績データ(以下、単に「データ」という。)は、〔T、PARC、Walloy、Nusage、Tempty、y〕からなる。ここで、yは溶鋼温度変化の実績値である。
ついで、実績データ入力部12でデータを入力し、評価関数入力部13で評価関数を設定するようになっている。
この評価関数を次式で示す。
J=Σi=1 (y−yai ・・・(2)
ここで、yは第iデータの溶鋼温度変化の予測値、yaiは第iデータの溶鋼温度変化の実績値である。なお、第iデータの溶鋼温度変化の予測値yは、上記(1)式のyをyに置き換えることで求められ、第iデータの溶鋼温度変化の実績値yaiは、例えば図1(b)に示す取鍋3に挿入した温度計3cによる測温値と、図1(e)に示す取鍋3にテンポラリに挿入した図示しない温度計による測温値との差で求められる。
そして、最適化手法を用いて、上記(2)式の評価関数を最適化、すなわち、非線形最小2乗法により最適化する。この最適化には、公知の手法、例えばGauss−Newton法や、Levenberg−Marquardt法を用いればよい。すなわち、非線形最適化求解部14で非線形最小2乗法によりパラメータa〜aを求め、パラメータ出力部15で結果を出力するようになっている。
なお、上記出力手段を用いて、これらのパラメータa〜aを表示した後、あるいは、これらのパラメータa〜aを表示することなく、温度変化予測部16で、同パラメータa〜aを上記(1)式に代入した結果を演算し、温度変化表示部17で、その演算結果である溶鋼温度変化の予測値yを、例えば転炉1から取鍋3内に溶鋼2が注入されてからの時間の経過とともに、又は、前回測温からの時間の経過とともに表すようなグラフとなし、このグラフを上記出力手段で表示するようにしてもよい。また、前回の測温値に、溶鋼温度変化の予測値yを加えることにより、取鍋3内のアーク加熱処理後で、かつ、取鍋3内への合金投入後における溶鋼2の温度が予測されるので、図1(e)における測温が不要となるか、あるいは、アーク加熱電力量を適切に定めることができるようになる。又は、温度不足による再加熱が不要となる。
図3は溶鋼温度予測装置10の動作を示すフローチャートであって、この動作により本発明の溶鋼温度予測方法が具現化される。
図3に示すように、まず上記入力手段で入力することにより、モデル式入力部11で、前回測温からの経過時間T、アーク電力量PARC及び合金投入量Walloyを含む基準量に、取鍋3の使用回数Nusage及び空鍋時間Temptyを含む補正量を乗じた式を含むモデル式を決定する(ステップST1)。ついで、実績データ入力部12で、データ〔T、PARC、Walloy、Nusage、Tempty、y〕を入力し(ステップST2)、評価関数入力部13で、評価関数Jを設定し(ステップST3)、非線形最適化求解部14で、非線形最小2乗法によりパラメータa〜aを求め(ステップST4)、この求めたパラメータa〜aをパラメータ出力部15で出力し、上記出力手段で表示する(ステップST5)。なお、これらのパラメータa〜aを表示した後、あるいは、これらのパラメータa〜aを表示することなく、温度変化予測部16で、同パラメータa〜aを上記(1)式に代入し、温度表示部17で、その代入結果である溶鋼温度変化の予測値yをグラフ化し、上記出力手段で表示するようにしてもよい(ステップST6)。
図4は所定のモデル式のパラメータを求めるためのデータを示す図である。このデータは、上述したように、前回の測温時からの経過時間T〔min〕、アーク電力量PARC〔単位〕、合金投入量Walloy〔kg〕、取鍋使用回数Nusage〔回〕、空鍋時間Tempty〔min〕及び溶鋼温度変化の実績値y〔℃〕からなっている。データ数Nは15である。以下、この図4で示すデータを使用した例を示す。
ここでは、非線形最小2乗法により次のような各パラメータa〜aが得られた。
= −0.41 〔℃/min〕
= 0.0046 〔℃/アーク電力単位〕
= −0.013 〔℃/kg〕
= −0.0020 〔1/回〕
= 0.0037 〔1/min〕
これにより得られた各パラメータa〜aで予測した結果の一例を図5に示す。なお、図5(a)〜(c)中の縦軸はそれぞれアーク電力量PARC〔単位〕、合金投入量Walloy〔kg〕及び溶鋼温度変化y〔℃〕であって、横軸はいずれも例えば転炉1から取鍋3内に溶鋼2が注入されてからの時間time〔min〕である。また、取鍋3の使用回数Nusageは39回、空鍋時間Temptyは170分である。このときの、前回測温時からの経過時間Tによる温度降下は次式のようになる。
×(1+a×39+a×170)-= −0.64〔℃/min〕
この場合は、図5(c)に示すように、例えば転炉1から取鍋3内に溶鋼2が注入されてからの時間timeの経過とともに、その取鍋3内の溶鋼2の温度が低下し、さらに、図5(a)に示すようなアーク加熱時(time=50〜56,66,76〜83min)に温度が上昇し、図5(b)に示すような合金投入時(time=64min)に温度が低下する様子を図5(c)中の細線で示すように予測し、その表示ができる。なお、図5(c)中の●印は、実績値yであり、同図よりその予測値yに略一致していることがわかる。
図6は、別の例である。なお、図6(a)〜(c)中の縦軸はそれぞれアーク電力量PARC(単位)、合金投入量Walloy(kg)及び溶鋼温度変化y(℃)であって、横軸はいずれも例えば転炉1から取鍋3に溶鋼2が注入されてからの時間time(min)である。また、取鍋3の使用回数Nusageは14回、空鍋時間Temptyは90分である。このときの、前回測温時からの経過時間Tによる温度降下は、次式のようになる。
×(1+a×14+a×90)-= −0.54〔℃/min〕
この場合は、図6(c)に示すように、例えば転炉1から取鍋3内に溶鋼2が注入されてからの時間timeの経過とともに、その取鍋3内の溶鋼2の温度が低下し、さらに、図6(a)に示すようなアーク加熱時(time=33〜41,44〜52,58〜62min)に温度が上昇し、図6(b)に示すような合金投入時(time=67min)に温度が低下する様子を図6(c)中の細線で示すように予測し、その表示ができる。なお、図6(c)中の●印は、実績値yであり、同図よりその予測値yに略一致していることがわかる。このように、取鍋3の使用回数Nusageや空鍋時間Temptyによる温度降下の違いを反映することができる。
以上説明したように、実施形態1によれば、取鍋3の使用回数Nusageを加味して取鍋3内の溶鋼2の温度変化が予測されるので、取鍋3の使用回数Nusageの増加につれて、取鍋3内の耐火物が薄くなり放熱量が変化することや、取鍋3の蓄熱量が変化することにより、単位時間当たりの各温度降下量が異なることを評価することができ、その結果、取鍋3内の溶鋼2の温度の予測精度を高めることができる。さらに取鍋3が空状態となる空鍋時間Temptyを加味して取鍋3内の溶鋼2の温度変化が予測されるので、取鍋3の空鍋時間Temptyの増加につれて、取鍋の熱容量が低下して、再度の使用時に温度変化が異なること等も評価することができ、その結果、取鍋3内の時間経過に伴う溶鋼2の温度変化の予測精度をより高めることができる。
なお、特許文献1における従来の温度予測式(線形式)においては、独立した各温度降下の和を求める方法を採用しているため、各要素間での相互干渉が考慮されていないが、実施形態1では、前回の測温時からの経過時間T、アーク電力PARC及び合金投入量Walloyを含む基準量に、取鍋3の使用回数Nusage及び空鍋時間Temptyを含む補正量を乗じた式を含むモデル式に基づいて、取鍋3内の時間経過に伴う溶鋼2の温度変化が予測されるので、基準量の全体に対して補正可能となり、各要素間での相互干渉が考慮される結果、取鍋3の溶損現象を反映することができる。また、例えば従来の線形式では、定数項が必須であるため、経過時間がほぼ0である場合にも温度降下が存在し、たとえ経過時間が0のときに温度降下が0となるようにモデル式を決定したとしても、取鍋3の使用回数が温度降下率に及ぼす影響、すなわち、放熱等による温度変化が反映されない。これに対し、実施形態1によれば、取鍋3の蓄熱量を非線形で考慮する式とすることができ、取鍋3の繰り返し使用に伴う性状変化による温度降下量の変化を考慮して、温度降下量の予測精度を高めることができる。
(実施形態2)
ところで、モデル式である上記(1)式は、誤差を含む。すなわち、実際の溶鋼処理において、取鍋3の温度状態の違いや放熱の違いにより、溶鋼2の温度変化にばらつきがある。このため、溶鋼処理において、オペレータが参考にするガイダンスとして用いるためには、予測値と実績値との誤差が小さいだけではなく、将来のばらつきを予想できるように、予測値のばらつきの精度を表示することが望ましい。そこで、実施形態2では、取鍋3の溶鋼温度の予測値のばらつきを考慮して所定の確率をもってその溶鋼温度の予測をすることとした。
図7は本発明の実施形態2に係る溶鋼温度予測装置10aの構成を示す機能ブロック図である。図7に示すように、溶鋼温度予測装置10aは、モデル式入力部11、実績データ入力部12、評価関数入力部13、制約付き非線形最適化求解部14a、可解判断部14b、パラメータ出力部15、温度変化予測部16、温度変化表示部17、制約条件入力部18及び制約条件近似部19から構成されている。この溶鋼温度予測装置10aは、図示しないメモリを備えたコンピュータで構成されており、各部11〜19は、このメモリに記憶された各種プログラムによって、コンピュータ内に構築されるものであって、そのコンピュータにはキーボード、マウス等の図示しない入力手段と、CRT、プリンタ等の図示しない表示手段とが、RS−232C等の図示しないインターフェースを介してそれぞれ接続されている。なお、各部のうち、符号11〜13,15〜17については、上記実施形態1の溶鋼温度予測装置10のものと共通するものであるため、その詳細説明は省略する。
この溶鋼温度予測装置10aでは、制約条件付き最適化手法により上下限幅を決めるが、その評価関数は上記(2)式と同じである。そして、制約条件入力部18で制約条件を次のように設定するようになっている。これは、|y−y|<Tlimitを満たす確率、すなわち、|y−y|<Tlimitを満たすデータ数/全データ数Nが、P以上とするものである。
Prob(|y−y|<Tlimit)≧P ・・・(3)
ここで、yは溶鋼温度変化の予測値、yは溶鋼温度変化の実績値であり、Prob(・)は条件を満たす確率である。例えば、N個のデータのうち、|y−y|<Tlimitを満たすデータ数をnとすれば、Prob(|y−y|<Tlimit)=n/Nとなる。また、Tlimitは上下限温度幅、Pは指定する確率である。
ついで、制約付き非線形最適化求解部14aによる具体的な解法を以下に示す。
Prob((y−y)< Tlimit)≧0.5+0.5×P ・・・(4)
Prob((y−y)>−Tlimit)≧0.5+0.5×P ・・・(5)
ここで、右辺が0.5+0.5×Pとなっているのは、2つの制約条件に分けたためである。詳細には、1つの制約条件の確率が0.5+0.5×P以上であれば、2つの制約条件を満たす確率がP以上となるためである。例えば、P=75%のときには、0.5+0.5×P=87.5%である。
この制約条件付き非線形最適化問題の解法としては、公知の逐次2次計画法(Sequential Quadratic Programming Method:SQP)を使用することが望ましい。
ここで、SQPを適用するためには、評価関数および制約条件が微分可能なことが必要であるが、上記(4)(5)式は、離散的な値をとるため微分可能でない。そこで、近似的な解法として、非減少微分可能関数を用いて、近似的に解くこととした。まず、+∞で1、−∞で0であり、微分可能な関数を設定する。例えば、図8に示すような公知のシグモイド関数を次式で設定する。
sigmf(x,b)=1/(1+exp(−b・x)) ・・・(6)
xは変数であり、bはシグモイド関数のパラメータである。なお、+∞、−∞での各値の1,0は、大小の関係が同じであれば、別の値でもよい。また、非減少の微分可能な関数であれば、シグモイド関数に限られず、逆正接関数のような他の関数でもよい。
そして、制約条件近似部19で、上記関数を元の制約条件に適用したものを、近似した制約条件とするようになっている。
すなわち、上記(6)式における変数xを、(−(y−y)+Tlimit)に置き換え、さらにy,yをy,yaiにそれぞれ置き換えた上で、i=1〜Nの加算平均をとることで、上記(4)式は下記のように近似される。ここで、yは第iデータの溶鋼温度変化の予測値、yaiは第iデータの溶鋼温度変化の実績値、データ数はNである。なお、第iデータの溶鋼温度変化の予測値yは、上記(1)式のyをyに置き換えることで求められ、第iデータの溶鋼温度変化の実績値yaiは、例えば図1(b)に示す取鍋3に挿入した温度計3cによる測温値と、図1(e)に示す取鍋3にテンポラリに挿入した図示しない温度計による測温値との差で求められる。
Prob((y−y)< Tlimit
≒Σi=1 sigmf((−(y−yai)+Tlimit),b)/N
≧0.5+0.5×P ・・・(4a)
なお、もうひとつの制約条件(5)式についても同様に、下記のようになる。
Prob((y−y)>−Tlimit
≒Σi=1 sigmf(((y−yai)+Tlimit),b)/N
≧0.5+0.5×P ・・・(5a)
なお、SQP以外の制約条件付きの非線形最適化手法、例えば公知の乗数法を用いてもよい。ペナルティ関数を用いて、最急降下法、共役勾配法、ニュートン法を用いてもよい。
ここで、信頼率は、近似的信頼率となるが、シグモイド関数において、パラメータbとして十分大きな値を選べば、実用上の問題はない。
例えば、−1≦((y−y)>−Tlimit)≦1程度であれば、b=0.1〜10程度、−0.1≦((y−y)>−Tlimit)≦0.1程度であれば、b=1〜100程度とすればよい。今回は、b=0.9とした。
リミット値Tlimitを、0〔℃〕から順に1〔℃〕ずつ、解が得られるまで上げていき、解が得られた場合に、そのリミット値を上下限値とした。最適化問題が可解であるか否かを可解判断部14bで判断し、可解でない場合には、上下限値を増加し、可解とすることができる。
なお、温度偏差は、溶鋼処理の測温時間間隔により異なるため、30分基準に変換して求めた。すなわち、30分基準の温度偏差=X分の温度偏差×(30/X)で求めた。
図9は溶鋼温度予測装置10aの動作を示すフローチャートであって、この動作により本発明の溶鋼温度予測方法が具現化される。
図9に示すように、まずモデル式入力部11で、前回測温からの経過時間T、アーク電力量PARC及び合金投入量Walloyを含む基準量に、取鍋3の使用回数Nusage及び空鍋時間Temptyを含む補正量を乗じた式を含むモデル式を決定する(ステップST11)。ついで、実績データ入力部12で、データ〔T、PARC、Walloy、Nusage、Tempty、y〕を入力し(ステップST12)、評価関数入力部13で、評価関数Jを設定するとともに、制約条件入力部18で制約条件を入力し(ステップST13)、制約条件近似部19で制約条件を近似する(ステップST14)。ついで、制約付き非線形最適化求解部14a及び可解判断部14bで、非線形最小2乗法によりパラメータa〜aを求め(ステップST15)、この求めたパラメータa〜aをパラメータ出力部15で出力し、上記出力手段で表示する(ステップST16)。なお、これらのパラメータa〜aを表示した後、あるいは、これらのパラメータa〜aを表示することなく、温度変化予測部16で、同パラメータa〜aを上記(1)式に代入し、温度変化表示部17で、その代入結果である溶鋼温度変化の予測値yをグラフ化し、上記出力手段で表示するようにしてもよい(ステップST17)。
以下、上記図4で示したデータを使用した例を示す。
最適解としては、係数、上下限値について、下記のような値が得られた。
= −0.41 〔℃/min〕
= 0.0047 〔℃/アーク電力単位〕
= −0.013 〔℃/kg〕
= −0.0018 〔1/回〕
= 0.0035 〔1/min〕
上下限値Tlimitとして、12℃の結果が得られた。ここでは、温度偏差を30分基準にして求めているため、温度予測の幅は12〔℃〕/30〔分〕=0.4〔℃/分〕となる。すなわち、1分間で0.4(℃)ずつ広がっていき、30分間で±12(℃)の幅を持つことになる。確率75%の溶鋼温度変化としては、下記のようになる。
溶鋼温度変化予想中央値
=(a×前回測温時からの経過時間T+a×アーク電力量PARC+a×合金投入量Walloy)×(1+a×取鍋使用回数Nusage+a×空鍋時間Tempty
溶鋼温度変化予想上限値
=溶鋼温度変化予想中央値+0.4×前回測温時からの経過時間T
溶鋼温度変化予想下限値
=溶鋼温度変化予想中央値−0.4×前回測温時からの経過時間T
図10,図11は温度予測表示の例を示している。ここでは、上記図5,図6に示した予測値を太い実線で示す予測中央値(黒丸は実績値)としており、それに細い一点鎖線で示す予測上限値と、細い実線で示す予測下限値とが追加されることにより、溶鋼温度の予測値のばらつきを定量的に評価できるようになっている。
以上説明したように、実施形態2によれば、取鍋3の測定温度を含む使用実績データを用いて、取鍋3内の時間経過に伴う溶鋼2の温度変化の予測値に対する信頼率を評価するための制約付き非線形最適化問題が解かれ、この解に基づいて、取鍋3内の時間経過に伴う溶鋼2の温度変化の予測値のばらつきを含めて取鍋3内の時間経過に伴う溶鋼2の温度変化が予測されるので、温度予測の精度を定量的に評価しやすい。また、信頼率を考慮した上下限幅を求めることで、予測値が幅を持ち、ガイダンスに適するものとなる。さらに、使用実績データをそのまま用いるので、使用実績に合った解が得られる。すなわち、溶鋼処理状態のばらつきを考慮して、所定の確率で入る温度範囲を求めることで、温度予測の精度を明確化することができるようになる。
なお、上記実施形態1,2では、主にアーク加熱処理のみを含む溶鋼処理について説明したが、アルゴン処理や脱ガス等を含むような溶鋼処理であってもよい。このアルゴン処理や脱ガス等は、単なる経過時間による温度低下と考えることができるので、アーク加熱処理に加えてアルゴン処理や脱ガス等を含むような溶鋼処理であっても本発明がそのまま適用可能である。
また、上記実施形態1,2では、常時測温が困難であるため、溶鋼処理のうちのアーク加熱処理の前後で測温を行っているが、アーク加熱処理に加えてアルゴン処理や脱ガス等を含むような溶鋼処理の場合には、その状況に応じて測温を行えばよい。そのような測温により、例えば合金3dを追加した後の温度変化の予測精度を高めることで、アーク電力量PARCを決定することが可能となる。また、取鍋3からタンディッシュへ溶鋼2を注入するまでの時間に応じてアーク電力量PARCを決定することも可能となる。或いは、例えばアーク加熱処理を行った後の温度変化の予測精度を高めることで、合金投入量Walloyを決定することが可能となる。また、取鍋3からタンディッシュへ溶鋼2を注入するまでの時間に応じて合金投入量Walloyを決定することも可能となる。
また、上記実施形態1,2では、取鍋3の使用回数Nusage及び空鍋時間Temptyの両方を加味して、その取鍋3内の溶鋼2の温度変化を予測しているが、少なくとも取鍋3の使用回数Nusageを加味することだけでも、従来に比べて温度変化の予測精度を高めることができる。ただし、空鍋時間Temptyをも加味することで、その温度変化の予測精度をより高めることができるのはいうまでもない。
本発明の実施形態1に係る溶鋼処理の各工程(a)〜(e)を示す説明図である。 本発明の実施形態1に係る溶鋼温度予測装置の構成を示す機能ブロック図である。 本発明の実施形態1に係る溶鋼温度予測装置の動作を示すフローチャートである。 所定のモデル式のパラメータを求めるための使用実績データを示す図である。 非線形最適化により所定のモデル式のパラメータを求め、そのパラメータでの温度予測結果の一例を示す説明図である。 非線形最適化により所定のモデル式のパラメータを求め、そのパラメータでの温度予測結果の他の例を示す説明図である。 本発明の実施形態2に係る溶鋼温度予測装置の構成を示す機能ブロック図である。 シグモイド関数を示す図である。 本発明の実施形態2に係る溶鋼温度予測装置の動作を示すフローチャートである。 ばらつきを考慮し、制約条件付き非線形最適化により所定のモデル式のパラメータ求め、そのパラメータでの温度予測結果の一例を示す説明図である。 ばらつきを考慮し、制約条件付き非線形最適化により所定のモデル式のパラメータ求め、そのパラメータでの温度予測結果の他の例を示す説明図である。
符号の説明
1 転炉
2 溶鋼
3 取鍋
3a 注入口
3b 蓋
3c 温度計
3d 合金
3e アーク電極
10,10a 溶鋼温度予測装置
11 モデル式入力部
12 実績データ入力部
13 評価関数入力部
14 非線形最適化求解部
14a 制約付き非線形最適化求解部
14b 可解判断部
15 パラメータ出力部
16 温度変化予測部
17 温度変化表示部
18 制約条件入力部
19 制約条件近似部

Claims (11)

  1. 取鍋を使用してアーク加熱処理を含む溶鋼処理を施すときの該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測する方法であって、
    少なくとも前記取鍋の使用回数を加味して該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測することを特徴とする溶鋼温度予測方法。
  2. さらに前記取鍋が空状態となる空鍋時間を加味して該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測することを特徴とする請求項1記載の溶鋼温度予測方法。
  3. 前記溶鋼処理のアーク加熱処理前に、前記取鍋内の溶鋼の温度測定を行い、
    少なくとも前記取鍋内の溶鋼の温度測定時からの経過時間と、アーク電力量とを含む基準量に、少なくとも前記取鍋の使用回数を含む補正量を乗じた式を含むモデル式を用いて、該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測することを特徴とする請求項1記載の溶鋼温度予測方法。
  4. 前記モデル式の補正量に、前記取鍋が空状態となる空鍋時間をさらに含めたことを特徴とする請求項3記載の溶鋼温度予測方法。
  5. 前記取鍋内のアーク加熱処理前における溶鋼の温度測定値に、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値を加えることにより、前記取鍋内のアーク加熱処理後における溶鋼の温度を予測することを特徴とする請求項3又は4記載の溶鋼温度予測方法。
  6. 前記取鍋内への合金投入前に前記取鍋内の溶鋼の温度測定を行うとともに、前記モデル式の基準量に合金投入量をさらに含めたことを特徴とする請求項3又は4記載の溶鋼温度予測方法。
  7. 前記取鍋内への合金投入前における溶鋼の温度測定値に、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値を加えることにより、前記取鍋内への合金投入後における溶鋼の温度を予測することを特徴とする請求項6記載の溶鋼温度予測方法。
  8. 前記取鍋の測定温度を含む使用実績データを用いて、前記モデル式に関する非線形最適化問題を解き、この解に基づいて、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の溶鋼温度予測方法。
  9. 前記取鍋の測定温度を含む使用実績データを用いて、前記モデル式に関する非線形最適化問題に、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値の信頼率を評価するための制約条件を付加した制約付き非線形最適化問題を解き、この解に基づいて、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値のばらつきを含めて該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の溶鋼温度予測方法。
  10. 取鍋を使用してアーク加熱処理を含む溶鋼処理を施すときの該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測する装置であって、
    少なくとも前記溶鋼処理のアーク加熱処理前における前記取鍋内の溶鋼の温度測定時からの経過時間と、アーク電力量とを含む基準量に、少なくとも前記取鍋の使用回数を含む補正量を乗じた式を含むモデル式を入力するモデル入力部と、
    前記取鍋の測定温度を含む使用実績データを入力する実績データ入力部と、
    前記実績データ入力部で入力された使用実績データ用いて、前記モデル入力部で入力されたモデル式に関する非線形最適化問題を解く非線形最適化求解部と、
    前記非線形最適化求解部で求められた解に基づいて、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測する温度変化予測部とを備えたことを特徴とする溶鋼温度予測装置。
  11. 前記取鍋の測定温度を含む使用実績データを用いて、前記モデル式に関する非線形最適化問題に、該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値の信頼率を評価するための制約条件を付加した制約付き非線形最適化問題を解く制約付き非線形最適化求解部をさらに備え、
    前記温度変化予測部は、前記制約付き非線形最適化求解部で求められた解に基づいて、前記取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化の予測値のばらつきを含めて該取鍋内の時間経過に伴う溶鋼の温度変化を予測することを特徴とする請求項10記載の溶鋼温度予測装置。
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