JP2007186762A - 鉄鋼の製造プロセスの操業方法及びそれに用いられる操業装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点から鋳型への注湯開始時点までの温度降下幅ΔTdを予測する。前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅ΔTdu及び低温側最大バラツキ幅ΔTddを予測する。前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度としての処理終了温度Th1が下記式(1)及び(2)を同時に満足するように溶鋼処理設備を操業する。
Th1≦Tcmax+ΔTd(t)−ΔTdu(t)・・・(1)
Th1≧Tcmin+ΔTd(t)+ΔTdd(t)・・・(2)
ただし、Tcmaxは溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲としての注湯温度範囲の上限値であり、Tcminは前記注湯温度範囲の下限値である。
【選択図】図3
Description
第2は、前記注湯温度が、溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲(以下、単に注湯温度範囲)の上限値を上回らないことである。
第3は、前記注湯温度が、前記注湯温度範囲の下限値を下回らないことである。
なお、前記注湯温度範囲は例えば1550〜1570[℃]とされており、極めて狭小なものとなっている。
仮に、前記注湯温度が前記注湯温度範囲の上限値を上回ってしまったとする。
この場合、凝固殻(以下、単にシェルとも称する。)が、所定の厚みとなるまで成長する前に鋳型から引き抜かれてしまう恐れがある。これは、例えば鋳片の表面品質の劣化や所謂ブレークアウトなどの種々の不具合の原因となる。なお、ブレークアウトとは、連鋳機が備える鋳片搬送用のロールによる押し付け力などによりシェルが局所的に破け、シェル内の、未だ凝固していない溶鋼が当該シェルの外部へ漏洩してしまう不具合のことである。
上記の事情により、前記注湯温度に対して適宜の上限値が設けられており、当該注湯温度を当該上限値以下とすることが重要とされているのである。
一方、仮に、前記注湯温度が前記注湯温度範囲の下限値を下回ってしまったとする。
この場合、連鋳機の備えるタンディッシュ内で、又は、当該タンディッシュから鋳型へ溶鋼をスムーズに注湯する注湯案内手段としての浸漬ノズル内で、溶鋼が凝固し、その凝固物が当該浸漬ノズルに詰まってしまうなどの種々の不具合の原因となる。
上記の事情により、前記注湯温度に対して適宜の下限値が設けられており、当該注湯温度を当該下限値以上とすることが重要とされているのである。
即ち、取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点から鋳型への注湯開始時点までの温度降下幅を予測し、前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度(以下、単に処理終了温度とも称する。)が、予測された前記温度降下幅(以下、単に予測温度降下幅とも称する。)に上記第1の鋳造条件に係る所定の温度を加えた温度となるように溶鋼処理が行われていた。
・取鍋の及びタンディッシュの耐火物の温度変化、使用に伴い溶損する当該耐火物の形状の変化、及び、当該耐火物の物性値など。
・取鍋の搬送スケジュールや取鍋の及びタンディッシュの処理スケジュールであって、例えば当該取鍋の空状態の時間、適宜の加熱手段による当該空の取鍋の加熱時間、及び、溶鋼処理終了時点から鋳型への注湯開始時点までの時間など。
・取鍋内の溶鋼及びスラグの成分であって、例えば炭素含有量や各種合金含有量など。
・前記溶鋼処理装置による溶鋼の処理条件であって、例えば溶鋼の昇温量、処理時間、攪拌方法、及び、溶鋼に対する冷却効果を有するスクラップの投入量など。
・溶鋼温度の測定値であって、例えば転炉からの出鋼時や溶鋼処理中におけるものなど。
・取鍋内壁に付着している地金の量など。
その他にも、経験上、既に得られた情報に基づいて作成された上記各要因と前記温度降下幅との対応表(所謂テーブル)を参照しながら予測されることもある。
即ち、溶鋼温度を上げるためには、溶鋼処理中の溶鋼にAlを投入する所謂Al昇温が実施される。
一方、溶鋼温度を下げるためには、同じく溶鋼にスクラップを投入する所謂スクラップ冷却が実施される。
具体的には、前記注湯温度が前記注湯温度範囲の上限値を上回っていた場合には、結果的に生産性を悪化させてしまうこととなるが、その上回っていた程度に応じて、鋳造速度を低下させたり、もし連鋳機の運転始動時であればその運転始動を遅らせたりすることにより対応していた。
一方、前記注湯温度が前記注湯温度範囲の下限値を下回っていた場合には、その下回っていた程度に応じて、鋳造速度を上昇させたり、もしタンディッシュに適宜の溶鋼加熱手段があれば当該溶鋼加熱手段により溶鋼を昇温させたりすることにより対応していた。
また、短時間で急遽に鋳造速度などの操業方法を変更すると、鋳片の表面品質に悪い影響を与えてしまうことが知られている。
即ち、参考試験1〜3のようにバラツキのある注湯温度が、所定温度(1)において最も高い頻度となることは必ずしも必要ではなく、それよりも、当該注湯温度が常に前記注湯温度範囲内であることが重要であることが言える(観点Aより)。
また、参考試験1のように前記予測温度降下幅の精度を極力良好とする、換言すれば、注湯温度のバラツキを極力狭小とすることも重要ではあるが、当該予測温度降下幅のバラツキを的確に(定量的に)把握することがより重要であることが言える(観点Bより)。
そして、当該予測温度降下幅のバラツキが考慮された上でなお前記注湯温度が前記注湯温度範囲内とすることが重要であると言える(観点Cより)。
本図に示す通り、バラツキのある前記注湯温度のうち最も頻度の高い注湯温度を必ずしも前記所定温度に合わせることはせずに、適宜に昇降させることで、前記予測温度降下幅の精度は向上することはないが、前記注湯温度をほぼ常に前記注湯温度範囲内とすることができる(試験10〜12)。
前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅(ΔTdu:[℃])及び低温側最大バラツキ幅(ΔTdd:[℃])を予測する。
前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度としての処理終了温度(Th1:[℃])が下記式(1)及び(2)を同時に満足するように溶鋼処理設備を操業する。
Th1≦Tcmax+ΔTd(t)−ΔTdu(t)・・・(1)
Th1≧Tcmin+ΔTd(t)+ΔTdd(t)・・・(2)
ただし、Tcmax[℃]は溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲としての注湯温度範囲の上限値であり、Tcmin[℃]は前記注湯温度範囲の下限値であり、tは時刻を表し、そのとり得る範囲は、前記取鍋内の溶鋼が鋳型へ注湯され始めた時点から、注湯され終わる時点までとする。
前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅(ΔTdu:[℃])及び低温側最大バラツキ幅(ΔTdd:[℃])を予測する。
下記式(1)及び(2)を同時に満足する、前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度としての処理終了温度(Th1:[℃])が存在しない場合は、前記処理終了温度が下記式(3)を満足するように溶鋼処理設備を操業する。
Th1≦Tcmax+ΔTd(t)−ΔTdu(t)・・・(1)
Th1≧Tcmin+ΔTd(t)+ΔTdd(t)・・・(2)
Th1=Tcmin+ΔTd(t)+ΔTdd(t)・・・(3)
ただし、Tcmax[℃]は溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲としての注湯温度範囲の上限値であり、Tcmin[℃]は前記注湯温度範囲の下限値であり、tは時刻を表し、そのとり得る範囲は、前記取鍋内の溶鋼が鋳型へ注湯され始めた時点から、注湯され終わる時点までとする。
前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅(ΔTdu:[℃])及び低温側最大バラツキ幅(ΔTdd:[℃])を予測する。
下記式(1)及び(2)を同時に満足する、前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度としての処理終了温度(Th1:[℃])が存在しない場合であって、取鍋内の溶鋼を、適宜の溶鋼加熱手段を備えるタンディッシュを介して鋳型へ注湯する場合は、前記処理終了温度が下記式(4)を満足するように溶鋼処理設備を操業する。
Th1≦Tcmax+ΔTd(t)−ΔTdu(t)・・・(1)
Th1≧Tcmin+ΔTd(t)+ΔTdd(t)・・・(2)
Th1=Tcmax+ΔTd(t)−ΔTdu(t)・・・(4)
ただし、Tcmax[℃]は溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲としての注湯温度範囲の上限値であり、Tcmin[℃]は前記注湯温度範囲の下限値であり、tは時刻を表し、そのとり得る範囲は、前記取鍋内の溶鋼が鋳型へ注湯され始めた時点から、注湯され終わる時点までとする。
前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅(ΔTdu:[℃])及び低温側最大バラツキ幅(ΔTdd:[℃])を予測する。
下記式(1)及び(2)を同時に満足する、前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度としての処理終了温度(Th1[℃])が存在しない場合は、前記処理終了温度が下記式(5)を満足するように溶鋼処理設備を操業する。
Th1≦Tcmax+ΔTd(t)−ΔTdu(t)・・・(1)
Th1≧Tcmin+ΔTd(t)+ΔTdd(t)・・・(2)
MAX(Th1−ΔTd(t)+ΔTdu(t)−Tcmax)−
MAX(Tcmin−(Th1−ΔTd(t)−ΔTdd(t)))=0・・・(5)
ただし、Tcmax[℃]は溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲としての注湯温度範囲の上限値であり、Tcmin[℃]は前記注湯温度範囲の下限値であり、tは時刻を表し、そのとり得る範囲は、前記取鍋内の溶鋼が鋳型へ注湯され始めた時点から、注湯され終わる時点までとし、MAX(x(t))はx(t)の最大値を表すものとする。
なお、上記「事前に報知する、」の「事前に」とは、具体的には、「少なくとも該当するチャージの溶鋼が鋳型へ注湯される前に」を意味し、特記ない限り、以下本明細書内において同様とする。
なお、「注湯開始時刻」とは、連続鋳造を始動させる際に最初に溶鋼を鋳型に注湯し始める時刻のことである。
そこで、上記の如く前記溶鋼処理操業者が前記連鋳操業者に対して事前に適切な連続鋳造速度又は注湯開始時刻を指示することにより、前記連鋳操業者はこれらを余裕を持って変更することができる。
そこで、上記の如く前記溶鋼処理操業者が前記連鋳操業者に対して事前に適切な連続鋳造速度又は注湯開始時刻、前記溶鋼加熱手段の溶鋼に対する加熱条件を指示することにより、前記連鋳操業者はこれらを余裕を持って変更することができる。
前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点から鋳型への注湯開始時点までの温度降下幅(ΔTd:[℃])を予測する。
前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅(ΔTdu:[℃])及び低温側最大バラツキ幅(ΔTdd:[℃])を予測する。
下記式(6)又は(7)のうち少なくとも何れか一方が満足されない場合は、溶鋼処理設備の操業者としての溶鋼処理操業者は、連続鋳造設備の操業者としての連鋳操業者に対して、前記連続鋳造設備の操業条件を事前に指示する。
Th1−ΔTd(t)+ΔTdu(t)≦Tcmax・・・(6)
Th1−ΔTd(t)−ΔTdu(t)≧Tcmin・・・(7)
ただし、Tcmax[℃]は溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲としての注湯温度範囲の上限値であり、Tcmin[℃]は前記注湯温度範囲の下限値であり、tは時刻を表し、そのとり得る範囲は、前記取鍋内の溶鋼が鋳型へ注湯され始めた時点から、注湯され終わる時点までとする。
そこで、上記の如く前記溶鋼処理操業者が前記連鋳操業者に対して事前に適切な前記連続鋳造設備の操業条件を指示することにより、前記連鋳操業者はこれを余裕を持って変更することができる。
そこで、上記の如く前記溶鋼処理操業者が前記連鋳操業者に対して事前に適切な連続鋳造速度や注湯開始時刻を指示することにより、前記連鋳操業者はこれらを余裕を持って変更することができる。
そこで、上記の如く前記溶鋼処理操業者が前記連鋳操業者に対して事前に適切な連続鋳造速度や注湯開始時刻、前記溶鋼加熱手段の溶鋼に対する加熱条件を指示することにより、前記連鋳操業者はこれらを余裕を持って変更することができる。
即ち、鉄鋼の製造プロセスの操業条件に基づいて、取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点から鋳型への注湯開始時点までの温度降下幅(ΔTd(t):[℃])を予測可能な第1予測手段を備える。
鉄鋼の製造プロセスの操業条件に基づいて、前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅(ΔTdu(t):[℃])及び低温側最大バラツキ幅(ΔTdd(t):[℃])を予測可能な第2予測手段を備える。
溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲としての注湯温度範囲の上限値及び下限値と、
未だ溶鋼処理中の取鍋に関しては、
前記高温側最大バラツキ幅を加味しても、溶鋼の、鋳型へ注湯される際の温度としての注湯温度が前記上限値を上回らない、前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度としての処理終了温度(Th1:[℃])の上限許容値と、
前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、前記処理終了温度を前記上限許容値としたときの前記注湯温度の上限値と、
前記低温側最大バラツキ幅を加味しても、前記注湯温度が前記下限値を下回らない、前記処理終了温度の下限許容値と、
前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、前記処理終了温度を前記下限許容値としたときの前記注湯温度の下限値と、を同一の画面に表示する表示手段を備える。
鉄鋼の製造プロセスの操業条件に基づいて、取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点から鋳型への注湯開始時点までの温度降下幅(ΔTd(t):[℃])を予測可能な第1予測手段を備える。
鉄鋼の製造プロセスの操業条件に基づいて、前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅(ΔTdu(t):[℃])及び低温側最大バラツキ幅(ΔTdd(t):[℃])を予測可能な第2予測手段を備える。
溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲としての注湯温度範囲の上限値及び下限値と、
既に搬送中の取鍋に関しては、
測定した、前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度としての処理終了温度(Th1:[℃])に基づいて前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、溶鋼の、鋳型へ注湯される際の温度としての注湯温度の上限値及び下限値と、
を同一の画面に表示する表示手段を備え、当該画面に表示される内容は適宜の時間ごとに更新される。
従って、例えば、前記注湯温度が前記注湯温度範囲の上限値を上回ってしまう恐れ及び/又はその下限値を下回ってしまう恐れがあるときは、溶鋼処理設備の操業者としての溶鋼処理操業者は、連続鋳造設備の操業者としての連鋳操業者に対して、その旨及び必要とされる操業条件の変更を事前に報知することができる。
鉄鋼の製造プロセスの操業条件に基づいて、取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点から鋳型への注湯開始時点までの温度降下幅(ΔTd(t):[℃])を予測可能な第1予測手段を備える。
鉄鋼の製造プロセスの操業条件に基づいて、前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅(ΔTdu(t):[℃])及び低温側最大バラツキ幅(ΔTdd(t):[℃])とを予測可能な第2予測手段を備える。
溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲としての注湯温度範囲の上限値及び下限値と、
未だ溶鋼処理中の取鍋に関しては、
前記高温側最大バラツキ幅を加味しても、溶鋼の、鋳型へ注湯される際の温度としての注湯温度が前記上限値を上回らない、前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度としての処理終了温度(Th1:[℃])の上限許容値と、
前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、前記処理終了温度を前記上限許容値としたときの前記注湯温度の上限値と、
前記低温側最大バラツキ幅を加味しても、前記注湯温度が前記下限値を下回らない、前記処理終了温度の下限許容値と、
前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、前記処理終了温度を前記下限許容値としたときの前記注湯温度の下限値と、
前記取鍋に先行して溶鋼処理され、既に搬送中の取鍋に関しては、
測定した、前記処理終了温度(Th1:[℃])に基づいて前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、溶鋼の、鋳型へ注湯される際の温度としての注湯温度の上限値及び下限値と、
を同一の画面に表示する表示手段を備え、当該画面に表示される内容は適宜の時間ごとに更新される。
なお、本実施形態において前記第1予測手段及び前記第2予測手段は、共に前記の温度予測機のことである。
なおまた、これら温度降下幅ΔTd(t)などの具体的な予測方法に関しては、後述する。
また、当該座標軸1には、予め前記キーボードなどを介して前記操業管理装置の記憶部に入力/記憶されている前記注湯温度範囲の上限値Tcmax及び下限値Tcminが同時に表示される。
a1=MIN(Tcmax+ΔTd(t)−ΔTdu(t))
ただし、MIN(x)は、xの最小値を表す。
なお、当該上限許容値a1は、点で表示される代わりに、数値として前記ディスプレイの画面内の任意の場所に表示されてもよい。
a2(t)=Th1−ΔTd(t)+ΔTdu(t)
a3=MAX(Tcmin+ΔTd1(t)+ΔTdd(t))
ただし、MAX(x)は、xの最大値を表す。
なお、当該下限許容値a3も、点で表示される代わりに、数値として前記ディスプレイの画面内の任意の場所に表示されてもよい。
a4(t)=Th1−ΔTd(t)−ΔTdd(t)
換言すれば、前記の温度降下幅ΔTd(t)と、当該温度降下幅ΔTd(t)の高温側最大バラツキ幅ΔTdu及び低温側最大バラツキ幅ΔTddと、を予測し、処理終了温度Th1が下記式(1)及び(2)を同時に満足するように溶鋼処理設備を操業するのである。
Th1≦Tcmax+ΔTd(t)−ΔTdu(t)・・・(1)
Th1≧Tcmin+ΔTd(t)+ΔTdd(t)・・・(2)
b2(t)(又はc2(t))=Th1−ΔTd(t)+ΔTdu(t)
b4(t)(又はc4(t))=Th1−ΔTd(t)−ΔTdd(t)
なお、上記2式により求められる上限値b2・c2及び下限値b4・c4は、操業条件の変更に伴って変化するものなので、適宜の時間ごと(例えば、1〜5分ごと)に更新することが好ましい。また、操業を管理するコンピュータが状態の変更を認識した時点、またはコンピュータが操業指令を変更した時点に即座に、このシステムに指令を出して更新するのが望ましい。「更新する」とは、前記第1予測手段及び第2予測手段に、少なくとも前記注湯温度の上限値b2・c2及び下限値b4・c4を再度求めさせ、前記のディスプレイの表示内容に当該演算結果を反映させることである。
勿論、前記の上限値b2・c2及び下限値b4・c4に限らず、前記上限許容値a1などの画面に表示されているすべての内容が適宜の時間ごとに更新されるように構成されていてもよい。
当該点で表示される注湯温度の実測値c5は、勿論、実測時点と同一時刻に表示されることが好ましい。
また、前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅(ΔTdu:[℃])及び低温側最大バラツキ幅(ΔTdd:[℃])を予測する。
そして、前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度としての処理終了温度(Th1:[℃])が下記式(1)及び(2)を同時に満足するように溶鋼処理設備を操業する。
Th1≦Tcmax+ΔTd(t)−ΔTdu(t)・・・(1)
Th1≧Tcmin+ΔTd(t)+ΔTdd(t)・・・(2)
また、適宜の表示手段としてのディスプレイを備える。
当該ディスプレイの画面には、注湯温度範囲の上限値Tcmax及び下限値Tcminが表示される。
また、未だ溶鋼処理中の取鍋Aに関しては、以下の内容が前記画面に表示される。
即ち、前記高温側最大バラツキ幅ΔTdu(t)を加味しても、注湯温度が前記上限値Tcmaxを上回らない、処理終了温度Th1の上限許容値a1が表示される。
また、前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、前記処理終了温度Th1を前記上限許容値a1としたときの前記注湯温度の上限値a2が表示される。
また、前記低温側最大バラツキ幅ΔTdd(t)を加味しても、注湯温度が前記下限値Tcminを下回らない、処理終了温度Th1の下限許容値a3が表示される。
また、前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、前記処理終了温度Th1を前記下限許容値a3としたときの前記注湯温度の下限値a4が表示される。
また、適宜の表示手段としてのディスプレイを備える。
当該ディスプレイの画面には、注湯温度範囲の上限値Tcmax及び下限値Tcminが表示される。
また、前記取鍋Aに先行して溶鋼処理され、既に搬送中の取鍋B・Cに関しては、以下の内容が前記画面に表示される。
測定した、前記処理終了温度Th1に基づいて前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、前記注湯温度の上限値b2・c2及び下限値b4・c4が表示される。
当該画面に表示される内容(少なくとも前記の上限値b2・c2及び/又は下限値b4・c4)は、適宜の時間ごとに更新される。
従って、例えば、前記注湯温度が前記注湯温度範囲の上限値Tcmaxを上回ってしまう恐れ及び/又はその下限値を下回ってしまう恐れがあるときは、前記溶鋼処理操業者は前記連鋳操業者に対して、その旨及び必要とされる操業条件の変更を事前に報知することができる。
また、適宜の表示手段としてのディスプレイを備える。
当該ディスプレイの画面には、注湯温度範囲の上限値Tcmax及び下限値Tcminが表示される。
また、未だ溶鋼処理中の取鍋Aに関しては、以下の内容が前記画面に表示される。
即ち、前記高温側最大バラツキ幅ΔTdu(t)を加味しても、注湯温度が前記上限値Tcmaxを上回らない、処理終了温度Th1の上限許容値a1が表示される。
また、前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、前記処理終了温度Th1を前記上限許容値a1としたときの前記注湯温度の上限値a2が表示される。
また、前記低温側最大バラツキ幅ΔTdd(t)を加味しても、注湯温度が前記下限値Tcminを下回らない、処理終了温度Th1の下限許容値a3が表示される。
また、前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、前記処理終了温度Th1を前記下限許容値a3としたときの前記注湯温度の下限値a4が表示される。
また、前記取鍋Aに先行して溶鋼処理され、既に搬送中の取鍋B・Cに関しては、以下の内容が前記画面に表示される。
測定した、前記処理終了温度Th1に基づいて前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、前記注湯温度の上限値b2・c2及び下限値b4・c4が表示される。
当該画面に表示される内容(少なくとも前記の上限値b2・c2及び/又は下限値b4・c4)は、適宜の時間ごとに更新される。
Th1=Tcmin+ΔTd(t)+ΔTdd(t)・・・(3)
要するに、前記注湯温度が前記注湯温度範囲の上限値Tcmaxを上回ってしまうのは妥協し、一方で、その下限値Tcminを下回ってしまうのは確実に防止するのである。
このように操業すれば、前記注湯温度が前記注湯温度範囲の上限値Tcmaxを上回る恐れのある最大の温度幅を極力抑えつつ、当該注湯温度が前記注湯温度範囲の下限値Tcminを下回ることを確実に回避できる。
従って、連続鋳造を問題なく継続できる。
Th1=Tcmax+ΔTd(t)−ΔTdu(t)・・・(4)
要するに、前記注湯温度が前記注湯温度範囲の上限値Tcmaxを上回ってしまうのは確実に防止し、一方で、その下限値Tcminを下回ってしまうのは妥協するのである。
このように操業すれば、前記注湯温度が前記注湯温度範囲の上限値Tcmaxを上回ることは確実に回避でき、一方で、当該注湯温度が前記注湯温度範囲の下限値Tcminを下回らない点は前記溶鋼加熱手段により補償できる。
具体的には、注湯温度が当該下限値Tcminを下回りそうになった場合は、前記溶鋼加熱手段を用いて、タンディッシュ内の溶鋼を昇温せしめるのである。
従って、連続鋳造を問題なく継続できる。
MAX(Th1−ΔTd(t)+ΔTdu(t)−Tcmax)−
MAX(Tcmin−(Th1−ΔTd(t)−ΔTdd(t)))=0・・・(5)
要するに、注湯温度が前記注湯温度範囲の上限値を上回る恐れのある最大の温度幅と、同じく下限値を下回る恐れのある最大の温度幅と、を略一致するように溶鋼処理設備を操業するのである。
これにより、注湯温度が前記注湯温度範囲内となる確率を極力向上できる。
即ち、上記3つの方法(上記式(3)〜(5)参照)によって操業される際には、溶鋼処理操業者は連鋳操業者に対して、前記処理終了温度Th1と、前記注湯温度範囲の上限値Tcmaxを上回る恐れのある最大の温度幅及び/又は下限値Tcminを下回る恐れのある最大の温度幅と、を事前に報知するとよい。
なお、前述した通り、上記「事前に報知する、」の「事前に」とは、具体的には、「該当するチャージの溶鋼が鋳型へ注湯される前に」を意味する。
これによれば、連鋳操業者は、溶鋼の温度に関する上記各情報を事前に把握できるので、前記連鋳操業者は、鋳造条件を変更したり注湯開始時刻を前後させたりする必要があると判断した場合に、余裕を持って問題なく対処できる。
なお、「注湯開始時刻」とは、連続鋳造を始動させる際に最初に溶鋼を鋳型(又はタンディッシュ)に注湯し始める時刻のことである。
なお、本実施形態において溶鋼処理操業者は、例えば、操業管理装置が備えるテレフォンを通じて連鋳操業者と連絡をとりあうとされるが、通信手段は勿論これに限定されない。
即ち、溶鋼処理操業者は連鋳操業者に対して、連続鋳造速度と、注湯開始時刻と、のうち少なくとも何れか一方を事前に指示するとよい。
要するに、単に処理終了温度Th1などの数値データを報知するのではなく、具体的な連鋳機の操業方法を指示するのである。
前述した通り、操業上の事情により、事前に指示がない限り、前記連鋳操業者は連続鋳造速度や注湯開始時刻を短時間で変更ことは困難である。
そこで、上記の如く前記溶鋼処理操業者が前記連鋳操業者に対して事前に適切な連続鋳造速度又は注湯開始時刻を指示することにより、前記連鋳操業者はこれらを余裕を持って変更することができるのである。
即ち、溶鋼処理操業者は連鋳操業者に対して、連続鋳造速度と、注湯開始時刻と、タンディッシュの前記溶鋼加熱手段の加熱条件と、のうち少なくとも何れか一を事前に指示するとよい。
要するに、単に処理終了温度Th1などの数値データを報知するのではなく、具体的な連鋳機の操業方法を指示するのである。
前述した通り、操業上の事情により、事前に指示がない限り、前記連鋳操業者は連続鋳造速度や注湯開始時刻、前記溶鋼加熱手段の加熱条件を短時間で変更ことは困難である。
そこで、上記の如く前記溶鋼処理操業者が前記連鋳操業者に対して事前に適切な連続鋳造速度又は注湯開始時刻、前記溶鋼加熱手段の加熱条件を指示することにより、前記連鋳操業者はこれらを余裕を持って変更することができるのである。
なお、前記溶鋼加熱手段とは、例えば、プラズマ加熱装置や誘導加熱装置などであって、前記加熱条件とは、例えば、当該加熱装置において設定する印加電圧などである。
Th1−ΔTd(t)+ΔTdu(t)≦Tcmax・・・(6)
Th1−ΔTd(t)−ΔTdu(t)≧Tcmin・・・(7)
そこで、上記の如く前記溶鋼処理操業者が前記連鋳操業者に対して事前に適切な前記連続鋳造設備の操業条件を指示することにより、前記連鋳操業者はこれを余裕を持って変更することができる。
そこで、上記の如く前記溶鋼処理操業者が前記連鋳操業者に対して事前に適切な連続鋳造速度や注湯開始時刻を指示することにより、前記連鋳操業者はこれらを余裕を持って変更することができる。
そこで、上記の如く前記溶鋼処理操業者が前記連鋳操業者に対して事前に適切な連続鋳造速度や注湯開始時刻、前記溶鋼加熱手段の溶鋼に対する加熱条件を指示することにより、前記連鋳操業者はこれらを余裕を持って変更することができる。
ここでは、最初に、『前記取鍋内の溶鋼が、前記連鋳機の備える鋳型に、直接的に注湯される場合』に関して説明し、次に、『前記取鍋内の溶鋼が、前記連鋳機の備える鋳型に、タンディッシュを介して注湯される場合』に関して説明する。
本実施形態において前記の第1予測手段及び第2予測手段としての前記温度予測機は、上記温度降下幅ΔTd(t)及びその高温側最大バラツキ幅ΔTdu(t)、低温側最大バラツキ幅ΔTdd(t)を予測可能に構成されている。
ここで、「出鋼温度の時間変化の標準値」とは、下記式の如く、前記処理終了温度Th1から温度降下幅ΔTd(t)を引いたものである。
(出鋼温度の時間変化の標準値)=Th1−ΔTd(t)
また、「出鋼温度の時間変化の上限値」とは、下記式の如く、前記「出鋼温度の時間変化の標準値」へその高温側最大バラツキ幅ΔTdu(t)を加えたものである。
(出鋼温度の時間変化の上限値)=Th1−ΔTd(t)+ΔTdu(t)
また、「出鋼温度の時間変化の下限値」は、下記式の如く、前記「出鋼温度の時間変化の標準値」からその低温側最大バラツキ幅ΔTdd(t)を引いたものである。
(出鋼温度の時間変化の下限値)=Th1−ΔTd(t)−ΔTdd(t)
そして、前記の温度予測機は、前記取鍋からの出鋼温度の時間変化の標準値及び上限値、下限値を予測することによって、前記温度降下幅ΔTd(t)及びその高温側最大バラツキ幅ΔTdu(t)、低温側最大バラツキ幅ΔTdd(t)を併せて予測できるものである。
そして、これにより、前記の操業管理装置は、例えば、前記溶鋼処理装置が備える熱電対(センサ機器)などを介して溶鋼処理終了時点における取鍋内の溶鋼温度を測定/把握できるように構成されている。なお、溶鋼処理終了時点において前記溶鋼温度は、取鍋内において略均一であるとされる。同様に、前記の操業管理装置は、取鍋内のスラグ温度も測定/把握できるように構成されている。
なお、溶鋼処理や鋳造処理の操業スケジュールとは、具体的には、溶鋼処理の終了時刻や、連続鋳造設備が備える連続鋳造機への出鋼開始時刻及び出鋼終了時刻などである。
本実施形態において前記非定常伝熱計算は、図4に示す如く、前記取鍋(取鍋蓋を含む。)の耐火物を以下のように要素(又はブロック)分割して実行される。
・前記取鍋の蓋は、鉛直方向に沿って4つに要素分割される。
・前記取鍋の側壁は、半径方向に沿って7つに要素分割され、かつ、鉛直方向に沿って3つにブロック分割される。
・前記取鍋の底盤は、鉛直方向に沿って8つに要素分割される。
そして、前述した初期耐火物温度の標準値及び上限値、下限値は、上記各要素ごとに個別に算出され、設定されるものとする(後記の図8参照)。
なお、前記取鍋の初期耐火物温度は、現在の操業(種々の操業パラメタ:後記の表1参照)の如何により影響を受けやすいとされる(後記の図6及び図7参照)。
従って、本実施形態において前記取鍋の側壁及び底盤の初期耐火物温度は、適宜の基準初期耐火物温度(表2参照:後記の図5参照)を、現在の及び過去の操業に基づいて適宜に補正する(端的に言えば、図8=図5+図6+図7)ことにより求めるものとする。
表2には、溶鋼処理の処理方法ごとに、かつ、前記の取鍋蓋・側壁・底盤の各要素ごとに予め用意されている前記基準初期耐火物温度テーブルが示されている。当該表2も、前記温度予測機の記憶部に予め入力/記憶されている。なお、取鍋の側壁に関する当該基準初期耐火物温度は、例えば図5の如くである。
まず、本サブルーチンで使用される各定数を設定する。
・「雰囲気温度」とは、外気温のことである。
・「内面仮想厚み」とは、下記式で定義されるものである。
(内面仮想厚み)=(耐火物の熱伝導率)/(付着物の熱伝導率)×(付着物の厚み)
即ち、耐火物の内側と溶鋼との間には、残存スラグ・地金・変質した耐火物などの付着物が存在するため熱伝導が低下する。そこで、上記内面仮想厚みとは、これら残存スラグなどの付着物による影響を、耐火物の厚みが内面側へ増加したものとして置き換えることにより、考慮しようとするものである。
・「外面仮想厚み」とは、下記式で定義されるものである。
(外側仮想厚み)=(耐火物の熱伝導率)/(鉄皮などの熱伝導率)×(鉄皮などの厚み)
即ち、耐火物の外側と大気との間には、鉄皮や種々の付着物が存在するため熱伝導が低下する。そこで、上記外面仮想厚みとは、これら鉄皮などによる影響を、耐火物の厚みが外面側へ増加したものとして置き換えることにより、考慮しようとするものである。
本実施形態において前記取鍋蓋の各要素の初期耐火物温度は、上記表2の如く予め用意されている前記の基準初期耐火物温度を読み込んでそのまま使用するものとする。なお、当該取鍋蓋の初期耐火物温度の標準値及び上限値、下限値は、計算開始時点に限って言えば、いずれも同一の値とする。
次に、前記操業管理装置から、現在の操業(種々の操業パラメタ)を取得/受信する。
なお、当該操業管理装置から直接的に取得できない操業パラメタは、取得できる操業パラメタに基づいて温度予測機内で適宜に算出することとする。例えば、本図パラメタ(7)「取鍋の保熱終了時点から、転炉からの出鋼終了時点までの時間」は、前記操業管理装置から保熱終了時刻と転炉出鋼終了時刻とを取得し、これらの差を求めることで算出され得る。
次に、上記(S304)で得られた現在の操業パラメタに異常がないか検証する。
具体的には、例えば、パラメタ(1)を前記操業管理装置から何らかの原因で取得/受信できなかった場合は、そのままでは計算上不具合を生じてしまうので、表1に示す操業パラメタ修正テーブルのデフォルト値を代わりに使用することとする。
また、例えば、前記操業管理装置から取得/受信されたパラメタ(2)が何らかの原因で異常に大きな値であった場合は、操業パラメタ修正テーブルの上限値を代わりに使用することとする。
そして、前記温度補正係数(標準値及び上限値、下限値)を、(必要に応じて適宜に修正された)現在の操業(操業パラメタ)と、過去の操業(前記温度補正係数算出テーブルの各係数)と、に基づいて算出する。
次に、前記取鍋の側壁の初期耐火物温度(標準値及び上限値、下限値)を計算する。
前述の通り前記取鍋の側壁は、半径方向及び鉛直方向に沿って複数の要素に分割されている。溶鋼処理終了時点では取鍋内の溶鋼の温度は均一とされるので、当該溶鋼処理終了時点において前記初期耐火物温度は、半径方向にのみ温度差を有するものとし、鉛直方向には温度差を有さないものとする。
従って、まず、前記取鍋の側壁の鉛直方向最下端の要素群に関してのみ初期耐火物温度を求め、当該要素群の鉛直方向上方の他の要素群には、当該要素群の初期耐火物温度と同一の値を代入するものとする。
まず、本図に示す如く、前記の雰囲気温度と、側壁基準温度の内面の値と、に基づいて内面補正基準温度を定義する。外面補正基準温度も同様に定義する。なお、これら内面補正基準温度などは、計算において便宜上使用するものである。また、前記「側壁基準温度の内面の値(テーブル値)」とは、側壁耐火物の溶鋼に接する要素の温度であり、表2の要素番号1の耐火物温度を示す。
まず、先に求めた温度補正係数を使用して、内面放熱補正値を求める。なお、前記温度補正係数には前述の如く標準値及び上限値、下限値が含まれているので、当該内面放熱補正値も同様にその標準及び上限、下限が求められる(図6参照)。
同様に、外面放熱補正値も求める(図7参照)。
そして、前記基準初期耐火物温度(図5)と内面放熱補正値(図6)と外面放熱補正値(図7)とを足し合わせることによって、取鍋の側壁の初期耐火物温度(図8参照)を求める。
また、上記の如く求められた初期耐火物温度を、鉛直方向上方の他の要素群の初期耐火物温度に代入する。
前記取鍋の底盤の初期耐火物温度の計算方法は、上述した側壁の初期耐火物温度の計算方法と略同様である。
例えば、溶鋼処理の過去の操業を統計処理して求めたり、または、溶鋼処理設備の操業者の経験に基づいて求めたり、または、公知の伝熱計算をして求めたり、あるいは、これらを組み合わせて求めたりすることもできる。
なお、前記温度予測機は、当該非定常伝熱計算を実行する際に、予め前記操業管理装置から、溶鋼処理終了時点における取鍋内の溶鋼温度及びスラグ温度や、溶鋼処理及び鋳造処理の操業スケジュールを取得/受信する。なぜなら、当該非定常伝熱計算は、初期耐火物温度のみならず、前記溶鋼温度及びスラグ温度、操業スケジュールにも基づいて実行されるものだからである。
本実施形態において前記取鍋から溶鋼が出鋼するための出鋼孔は、図16に示す如く、当該取鍋の底盤の中心から側壁へ向かって所定の距離、離れて設けられている。
そして、図4に示す如く、取鍋内の溶鋼及びスラグは、適宜の大きさのブロックに分割されて取り扱われる。そして、本実施形態において前記非定常伝熱計算は、微視的に見れば、各ブロック間における非定常1次元差分伝熱計算となっている。各ブロック間における熱移動は、後述する熱対流及び/又は溶鋼流動に伴って発生するものとする。
なお、本実施形態における前記非定常伝熱計算は、前記取鍋内の溶鋼の当該取鍋(側壁/底盤)による抜熱量が一定であるとみなして実行される。また、取鍋(側壁/底盤)の形状に関しても同様である。
本実施形態において前記溶鋼は、図4に示す如く、鉛直方向に少なくとも2以上(本実施形態では3つ)のブロック群(下部ブロック及び中央ブロック、上部ブロック)に分割される。そして、当該ブロック群のうち、鉛直方向最も下方に位置するブロックとしての下部ブロックは、更に水平方向に、前記出鋼孔側の下部孔ブロックと、他方側の下部滞留ブロックとに分割される。
なお、前記下部滞留ブロックは、図16に示す溶鋼流動の澱みが発生する箇所と対応関係にある。また、本実施形態において当該溶鋼に浮設される(浮いた状態で設けられる)スラグは鉛直方向に2つのブロックに分割される。
図17に示す如く、取鍋の搬送中においては、前記下部滞留ブロック及び下部孔ブロック、前記中央ブロックから前記上部ブロックへ向かって所定の熱量が移動するものとする。これにより、取鍋の搬送中における溶鋼の自然熱対流を、当該非定常伝熱計算に反映することができる。
前述の如く出鋼中における溶鋼流動には、その出鋼孔から遠い地点において澱みが発生する(図16参照)。そして、この澱んでいる溶鋼は、図16に示すようなシミュレーションによれば、例え取鍋の下部に位置しているとしても、より上部側の溶鋼より先には出鋼しないことが明らかとなっている。
そこで、本実施形態においては、取鍋内の溶鋼の総量が前記下部ブロックで表される溶鋼量を上回っている限り、当該下部滞留ブロック内の溶鋼は、隣接する他のブロックとの境界を越えて溶鋼流動しないものとし(図18(a)参照)、一方、当該取鍋内の溶鋼の総量が、前記下部ブロックで表される溶鋼量を下回ったときに限り、当該下部滞留ブロック内の溶鋼は、隣接する他のブロックとの境界を越えて溶鋼流動するものとする(図18(b)参照)。要するに、取鍋内の総溶鋼量によって各ブロック間の溶鋼流動/熱移動を切り替えるように構成されているのである。
以上説明した非定常伝熱計算により求められた出鋼温度の時間変化を、図19に示す。本図に示す如く、本実施形態における温度予測機によれば、前記出鋼温度の時間変化の標準値及び上限値、下限値を求めることができる。
また、図19に示される前記出鋼温度の時間変化の標準値(予測値)とその実測値とを、図20に併せて示す。本図によれば、上述した非定常伝熱計算が、前記出鋼温度の時間変化を定性的に且つ定量的に良好に再現できることが判る。
次に、前記取鍋内の溶鋼が、前記連鋳機の備える鋳型に、タンディッシュを介して注湯される場合における、前記の温度降下幅ΔTd(t)及びその高温側最大バラツキ幅ΔTdu(t)、低温側最大バラツキ幅ΔTdd(t)の具体的な予測方法に関して説明する。
この場合も、前記の温度予測機は、前記タンディッシュからの出鋼温度の時間変化の標準値及び上限値、下限値を予測可能に構成されている。
ここで、「タンディッシュからの出鋼温度の時間変化の標準値」は、下記式の如く、前記処理終了温度Th1から温度降下幅ΔTd(t)を引いたものとなる。
(タンディッシュからの出鋼温度の時間変化の標準値)=Th1−ΔTd(t)
また、「タンディッシュからの出鋼温度の時間変化の上限値」は、下記式の如く、前記「タンディッシュからの出鋼温度の時間変化の標準値」へその高温側最大バラツキ幅ΔTdu(t)を加えたものとなる。
(タンディッシュからの出鋼温度の時間変化の上限値)=Th1−ΔTd(t)+ΔTdu(t)
また、「タンディッシュからの出鋼温度の時間変化の下限値」は、下記式の如く、前記「タンディッシュからの出鋼温度の時間変化の標準値」からその低温側最大バラツキ幅ΔTdd(t)を引いたものとなる。
(タンディッシュからの出鋼温度の時間変化の下限値)=Th1−ΔTd(t)−ΔTdd(t)
そして、前記の温度予測機は、前記タンディッシュからの出鋼温度の時間変化の標準値及び上限値、下限値を予測することによって、前記温度降下幅ΔTd(t)及びその高温側最大バラツキ幅ΔTdu(t)、低温側最大バラツキ幅ΔTdd(t)を併せて予測できるものである。
なお、前記取鍋からの出鋼温度の時間変化の標準値及び上限値、下限値の具体的な予測方法は、前述した通りである。
また、前記タンディッシュ内における溶鋼の非定常伝熱計算も前記取鍋内における溶鋼のそれと略同様である。
従って、以下、前記タンディッシュの初期耐火物温度の算出方法を中心に説明することとする。
具体的には、前記取鍋の初期耐火物温度としてその標準値を用いる場合は、前記タンディッシュの初期耐火物温度としてその標準値を用いることとする。
また、前記取鍋の初期耐火物温度としてその上限値を用いる場合は、前記タンディッシュの初期耐火物温度としてその上限値を用いることとする。
また、前記取鍋の初期耐火物温度としてその下限値を用いる場合は、前記タンディッシュの初期耐火物温度としてその下限値を用いることとする。
表4には、処理工程ごとに、かつ、前記のタンディッシュの蓋・側壁(溶鋼面)・側壁(非溶鋼面)・底盤の各要素ごとに予め用意されている前記基準初期耐火物温度テーブルが示されている。当該表4も、前記温度予測機の記憶部に予め入力/記憶されている。
なお、本図に示されるサブルーチンは、図9に示されるサブルーチン(前記取鍋の初期耐火物温度の算出に係るもの)より前に実行されてもよいし、後に実行されてもよい。
まず、本サブルーチンで使用される各定数を設定する。
次に、前記操業管理装置から、現在の操業(タンディッシュの使用状態及び溶鋼に対する加熱の有無)を取得/受信する。なお、当該操業管理装置は、前記連続鋳造設備の連鋳機が備えるタンディッシュと電気的に接続されており、操業管理装置は当該タンディッシュから適宜のデータ等を取得できるように構成されている。
そして、処理工程を、下記の如く場合分けする(表4も併せて参照)。
・処理工程が「新品加熱」である、とは、タンディッシュの修理回数が一度以下であって、かつ、前記加熱がある場合である。
・処理工程が「新品無加熱」である、とは、タンディッシュの修理回数が一度以下であって、かつ、前記加熱がない場合である。
・処理工程が「加熱再利用」である、とは、タンディッシュが連続的に再利用されており且つ前記加熱がある場合、または、タンディッシュが連続的ではないが再利用されており且つ前記加熱がある場合である。
・処理工程が「無加熱再利用」である、とは、タンディッシュが連続的に再利用されており且つ前記加熱がない場合、または、タンディッシュが連続的ではないが再利用されており且つ前記加熱がない場合である。
なお、前記加熱がある場合は、図略の変数「加熱フラグ(デフォルトはfalse)」にtrueを代入しておく。
本実施形態において前記タンディッシュ蓋の各要素の初期耐火物温度は、上記表4の如く予め用意されている前記の基準初期耐火物温度を読み込んでそのまま使用するものとする。なお、当該タンディッシュ蓋の初期耐火物温度の標準値及び上限値、下限値は、計算開始時点に限って言えば、いずれも同一の値とする。
次に、前記操業管理装置から、現在の操業(種々の操業パラメタ)を取得/受信する。
次に、上記(S314)で得られた現在の操業パラメタに異常がないか検証する。
次に、前記タンディッシュの側壁(溶鋼面)の初期耐火物温度(標準値及び上限値、下限値)を計算する。
なお、「側壁:溶鋼面」とは、側壁のうち、溶鋼に直接的に接触しているもののことである。
次に、前記タンディッシュの側壁(非溶鋼面)の初期耐火物温度(標準値及び上限値、下限値)を計算する。
なお、「側壁:非溶鋼面」とは、側壁のうち、溶鋼に接触していないもののことである。
次に、前記タンディッシュの底盤の初期耐火物温度(標準値及び上限値、下限値)を計算する。
例えば、溶鋼処理の過去の操業を統計処理して求めたり、または、溶鋼処理設備の操業者の経験に基づいて求めたり、または、公知の伝熱計算をして求めたり、あるいは、これらを組み合わせて求めたりすることもできる。
A チャージ
a1 処理終了温度の上限許容値
a2 注湯温度の上限値
a3 処理終了温度の下限許容値
a4 注湯温度の下限値
Tcmax 注湯温度範囲の上限値
Tcmin 注湯温度範囲の下限値
Claims (14)
- 取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点から鋳型への注湯開始時点までの温度降下幅(ΔTd:[℃])を予測し、
前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅(ΔTdu:[℃])及び低温側最大バラツキ幅(ΔTdd:[℃])を予測し、
前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度としての処理終了温度(Th1:[℃])が下記式(1)及び(2)を同時に満足するように溶鋼処理設備を操業する、ことを特徴とする鉄鋼の製造プロセスの操業方法。
Th1≦Tcmax+ΔTd(t)−ΔTdu(t)・・・(1)
Th1≧Tcmin+ΔTd(t)+ΔTdd(t)・・・(2)
ただし、
Tcmax[℃]は溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲としての注湯温度範囲の上限値であり、
Tcmin[℃]は前記注湯温度範囲の下限値であり、
tは時刻を表し、そのとり得る範囲は、前記取鍋内の溶鋼が鋳型へ注湯され始めた時点から、注湯され終わる時点までとする。 - 取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点から鋳型への注湯開始時点までの温度降下幅(ΔTd:[℃])を予測し、
前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅(ΔTdu:[℃])及び低温側最大バラツキ幅(ΔTdd:[℃])を予測し、
下記式(1)及び(2)を同時に満足する、前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度としての処理終了温度(Th1:[℃])が存在しない場合は、
前記処理終了温度が下記式(3)を満足するように溶鋼処理設備を操業する、ことを特徴とする鉄鋼の製造プロセスの操業方法。
Th1≦Tcmax+ΔTd(t)−ΔTdu(t)・・・(1)
Th1≧Tcmin+ΔTd(t)+ΔTdd(t)・・・(2)
Th1=Tcmin+ΔTd(t)+ΔTdd(t)・・・(3)
ただし、
Tcmax[℃]は溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲としての注湯温度範囲の上限値であり、
Tcmin[℃]は前記注湯温度範囲の下限値であり、
tは時刻を表し、そのとり得る範囲は、前記取鍋内の溶鋼が鋳型へ注湯され始めた時点から、注湯され終わる時点までとする。 - 取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点から鋳型への注湯開始時点までの温度降下幅(ΔTd:[℃])を予測し、
前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅(ΔTdu:[℃])及び低温側最大バラツキ幅(ΔTdd:[℃])を予測し、
下記式(1)及び(2)を同時に満足する、前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度としての処理終了温度(Th1:[℃])が存在しない場合であって、
取鍋内の溶鋼を、適宜の溶鋼加熱手段を備えるタンディッシュを介して鋳型へ注湯する場合は、
前記処理終了温度が下記式(4)を満足するように溶鋼処理設備を操業する、ことを特徴とする鉄鋼の製造プロセスの操業方法。
Th1≦Tcmax+ΔTd(t)−ΔTdu(t)・・・(1)
Th1≧Tcmin+ΔTd(t)+ΔTdd(t)・・・(2)
Th1=Tcmax+ΔTd(t)−ΔTdu(t)・・・(4)
ただし、
Tcmax[℃]は溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲としての注湯温度範囲の上限値であり、
Tcmin[℃]は前記注湯温度範囲の下限値であり、
tは時刻を表し、そのとり得る範囲は、前記取鍋内の溶鋼が鋳型へ注湯され始めた時点から、注湯され終わる時点までとする。 - 取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点から鋳型への注湯開始時点までの温度降下幅(ΔTd:[℃])を予測し、
前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅(ΔTdu:[℃])及び低温側最大バラツキ幅(ΔTdd:[℃])を予測し、
下記式(1)及び(2)を同時に満足する、前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度としての処理終了温度(Th1[℃])が存在しない場合は、
前記処理終了温度が下記式(5)を満足するように溶鋼処理設備を操業する、ことを特徴とする鉄鋼の製造プロセスの操業方法。
Th1≦Tcmax+ΔTd(t)−ΔTdu(t)・・・(1)
Th1≧Tcmin+ΔTd(t)+ΔTdd(t)・・・(2)
MAX(Th1−ΔTd(t)+ΔTdu(t)−Tcmax)−
MAX(Tcmin−(Th1−ΔTd(t)−ΔTdd(t)))=0・・・(5)
ただし、
Tcmax[℃]は溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲としての注湯温度範囲の上限値であり、
Tcmin[℃]は前記注湯温度範囲の下限値であり、
tは時刻を表し、そのとり得る範囲は、前記取鍋内の溶鋼が鋳型へ注湯され始めた時点から、注湯され終わる時点までとし、
MAX(x(t))はx(t)の最大値を表すものとする。 - 溶鋼処理設備の操業者としての溶鋼処理操業者は、連続鋳造設備の操業者としての連鋳操業者に対して、前記処理終了温度と、前記注湯温度範囲の上限値を上回る恐れのある最大の温度幅及び/又は下限値を下回る恐れのある最大の温度幅と、を事前に報知する、ことを特徴とする請求項2〜4の何れか記載の鉄鋼の製造プロセスの操業方法。
- 溶鋼処理設備の操業者としての溶鋼処理操業者は、連続鋳造設備の操業者としての連鋳操業者に対して、連続鋳造速度と、連続鋳造を始動させる際に最初に溶鋼を鋳型に注湯し始める時刻としての注湯開始時刻と、のうち少なくとも何れか一方を事前に指示する、ことを特徴とする請求項2に記載の鉄鋼の製造プロセスの操業方法。
- 溶鋼処理設備の操業者としての溶鋼処理操業者は、連続鋳造設備の操業者としての連鋳操業者に対して、連続鋳造速度と、連続鋳造を始動させる際に最初に溶鋼を鋳型に注湯し始める時刻としての注湯開始時刻と、前記溶鋼加熱手段の溶鋼に対する加熱条件と、のうち少なくとも何れか一を事前に指示する、ことを特徴とする請求項3に記載の鉄鋼の製造プロセスの操業方法。
- 取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度としての処理終了温度(Th1:[℃])を測定し、
前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点から鋳型への注湯開始時点までの温度降下幅(ΔTd:[℃])を予測し、
前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅(ΔTdu:[℃])及び低温側最大バラツキ幅(ΔTdd:[℃])を予測し、
下記式(6)又は(7)のうち少なくとも何れか一方が満足されない場合は、
溶鋼処理設備の操業者としての溶鋼処理操業者は、連続鋳造設備の操業者としての連鋳操業者に対して、前記連続鋳造設備の操業条件を事前に指示する、ことを特徴とする鉄鋼の製造プロセスの操業方法。
Th1−ΔTd(t)+ΔTdu(t)≦Tcmax・・・(6)
Th1−ΔTd(t)−ΔTdu(t)≧Tcmin・・・(7)
ただし、
Tcmax[℃]は溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲としての注湯温度範囲の上限値であり、
Tcmin[℃]は前記注湯温度範囲の下限値であり、
tは時刻を表し、そのとり得る範囲は、前記取鍋内の溶鋼が鋳型へ注湯され始めた時点から、注湯され終わる時点までとする。 - 前記溶鋼処理操業者が前記連鋳操業者に対して事前に指示する前記連続鋳造設備の操業条件は、連続鋳造速度と、連続鋳造を始動させる際に最初に溶鋼を鋳型に注湯し始める時刻としての注湯開始時刻と、のうち少なくとも何れか一方とする、ことを特徴とする請求項8に記載の鉄鋼の製造プロセスの操業方法。
- 前記式(7)が満足されない場合であって、
前記取鍋内の溶鋼が適宜の溶鋼加熱手段を備えるタンディッシュを介して鋳型へ注湯される場合は、
前記溶鋼処理操業者が前記連鋳操業者に対して事前に指示する前記連続鋳造設備の操業条件は、連続鋳造速度と、連続鋳造を始動させる際に最初に溶鋼を鋳型に注湯し始める時間としての注湯開始時刻と、前記溶鋼加熱手段の溶鋼に対する加熱条件と、のうち少なくとも何れか一とする、ことを特徴とする請求項8に記載の鉄鋼の製造プロセスの操業方法。 - 鉄鋼の製造プロセスの操業条件に基づいて、取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点から鋳型への注湯開始時点までの温度降下幅(ΔTd(t):[℃])を予測可能な第1予測手段を備え、
鉄鋼の製造プロセスの操業条件に基づいて、前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅(ΔTdu(t):[℃])及び低温側最大バラツキ幅(ΔTdd(t):[℃])を予測可能な第2予測手段を備え、
溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲としての注湯温度範囲の上限値及び下限値と、
未だ溶鋼処理中の取鍋に関しては、
前記高温側最大バラツキ幅を加味しても、溶鋼の、鋳型へ注湯される際の温度としての注湯温度が前記上限値を上回らない、前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度としての処理終了温度(Th1:[℃])の上限許容値と、
前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、前記処理終了温度を前記上限許容値としたときの前記注湯温度の上限値と、
前記低温側最大バラツキ幅を加味しても、前記注湯温度が前記下限値を下回らない、前記処理終了温度の下限許容値と、
前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、前記処理終了温度を前記下限許容値としたときの前記注湯温度の下限値と、
を同一の画面に表示する表示手段を備える、ことを特徴とする鉄鋼の製造プロセスに用いられる操業装置。 - 鉄鋼の製造プロセスの操業条件に基づいて、取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点から鋳型への注湯開始時点までの温度降下幅(ΔTd(t):[℃])を予測可能な第1予測手段を備え、
鉄鋼の製造プロセスの操業条件に基づいて、前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅(ΔTdu(t):[℃])及び低温側最大バラツキ幅(ΔTdd(t):[℃])を予測可能な第2予測手段を備え、
溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲としての注湯温度範囲の上限値及び下限値と、
既に搬送中の取鍋に関しては、
測定した、前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度としての処理終了温度(Th1:[℃])に基づいて前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、溶鋼の、鋳型へ注湯される際の温度としての注湯温度の上限値及び下限値と、
を同一の画面に表示する表示手段を備え、
当該画面に表示される内容は適宜の時間ごとに更新される、ことを特徴とする鉄鋼の製造プロセスに用いられる操業装置。 - 鉄鋼の製造プロセスの操業条件に基づいて、取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点から鋳型への注湯開始時点までの温度降下幅(ΔTd(t):[℃])を予測可能な第1予測手段を備え、
鉄鋼の製造プロセスの操業条件に基づいて、前記温度降下幅の高温側最大バラツキ幅(ΔTdu(t):[℃])及び低温側最大バラツキ幅(ΔTdd(t):[℃])とを予測可能な第2予測手段を備え、
溶鋼の、鋳型へ注湯される際の好適な温度の範囲としての注湯温度範囲の上限値及び下限値と、
未だ溶鋼処理中の取鍋に関しては、
前記高温側最大バラツキ幅を加味しても、溶鋼の、鋳型へ注湯される際の温度としての注湯温度が前記上限値を上回らない、前記取鍋内の溶鋼の、溶鋼処理終了時点における溶鋼温度としての処理終了温度(Th1:[℃])の上限許容値と、
前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、前記処理終了温度を前記上限許容値としたときの前記注湯温度の上限値と、
前記低温側最大バラツキ幅を加味しても、前記注湯温度が前記下限値を下回らない、前記処理終了温度の下限許容値と、
前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、前記処理終了温度を前記下限許容値としたときの前記注湯温度の下限値と、
前記取鍋に先行して溶鋼処理され、既に搬送中の取鍋に関しては、
測定した、前記処理終了温度(Th1:[℃])に基づいて前記第1予測手段及び前記第2予測手段によって求められる、溶鋼の、鋳型へ注湯される際の温度としての注湯温度の上限値及び下限値と、
を同一の画面に表示する表示手段を備え、
当該画面に表示される内容は適宜の時間ごとに更新される、ことを特徴とする鉄鋼の製造プロセスに用いられる操業装置。 - 請求項12又は請求項13に記載の前記表示手段は、
前記注湯温度の測定値も前記画面に表示する、ことを特徴とする鉄鋼の製造プロセスに用いられる操業装置。
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