JP5465493B2 - 耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤、耐熱性好酸性菌の増殖抑制方法、及び容器詰め酸性飲食品の製造方法 - Google Patents

耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤、耐熱性好酸性菌の増殖抑制方法、及び容器詰め酸性飲食品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤、耐熱性好酸性菌の増殖抑制方法、及び容器詰め酸性飲食品の製造方法に関する。
各種飲食品の製造時において、その鮮度の保持や安全性の確保を目的として、飲食品の加熱殺菌が行なわれている。この加熱殺菌の条件は、対象となる飲食品のpHによって区分されており、一般に微生物は酸性領域では生育し難いことから、pHの低い酸性飲食品に対してはpHの高い飲食品よりも比較的緩やかな条件が設定されている。例えば、食品衛生法による清涼飲料の製造基準では、pH4.0未満の場合には65℃で10分間の加熱殺菌又は同等以上の殺菌を、pH4.0以上の場合には85℃で30分間の加熱殺菌又は同等以上の殺菌(pH4.6以上で、かつ水分活性が0.94を超えるものは除く)を行なうことが定められている。
ところで、近年、酸性かつ高温条件下において生育可能な性状を示す耐熱性好酸性菌の存在が知られている。この耐熱性好酸性菌は、従来行われてきた加熱殺菌の条件下においても死滅することがなく、酸性条件下でも生育可能であるために、耐熱性好酸性菌による飲食品の汚染が危惧されている。とくに、耐熱性好酸性菌の一種であるアリサイクロバチルス・アシドテレストリス(Alicyclobacillus acidterrestris)は、飲食品に含まれるバニリン等を代謝してグアイアコールという異臭物質を産生するため、飲食品の品質を劣化させる原因となり得る。
耐熱性好酸性菌を死滅させるためには、各種飲食品の製造時の加熱殺菌処理において、従来よりも高温かつ長時間の過酷な条件での加熱殺菌を行なう必要がある。しかしながら、高温かつ長時間の条件で加熱殺菌を行なった場合には、飲食品(とくに、野菜汁及び果汁を含む飲食品)の風味・香味が著しく低下するという問題が生じる。そこで、加熱殺菌による殺菌処理ではなく、耐熱性好酸性菌の増殖を抑制する増殖抑制剤を飲食品中に配合させる方法が提案されている。たとえば、特許文献1には、紫ニンジン汁を有効成分とする耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤が開示されている。また、特許文献2には、ローズマリー、グアバ葉、又はバナバから得られる抽出物を酸性飲料に添加することにより、耐熱性好酸性菌の増殖が抑制されることが開示されている。
一方、トウダイグサ科オオバギ属に属するオオバギ(大葉木)の抽出物は抗菌作用を発揮することが知られている(特許文献3参照)。
特開2009−072165号公報 特開2006−075107号公報 特開2007−045754号公報
本発明は、本研究者らによる鋭意研究の結果、オオバギ抽出物が耐熱性好酸性菌に対して増殖抑制作用を発揮することを見出すことに基づいてなされたものである。本発明の目的は、耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤、耐熱性好酸性菌の増殖抑制方法、及び容器詰め酸性飲食品の製造方法を提供することにある。
ところで、特定の菌に対する抗菌効果が知られている抗菌物質であっても、対象となる菌の種類が異なる場合には、その抗菌効果がどの程度であるか、そもそも抗菌効果を示すのかという点について容易に予測することはできない。以下、この点について説明する。
一般的に抗菌物質は、微生物の構成物質及び生理作用に及ぼす作用によって、例えば細胞構造を破壊又は損傷するもの、エネルギー供給代謝を阻害するもの、及び生合成又は発育を阻害するものに分類される。したがって、抗菌物質の抗菌効果は、細菌の種類によって大きく異なる。抗菌物質がいかなる微生物種又は群に対して抗菌作用を有するかを示す抗菌スペクトルは、抗菌物質によって大きく異なることが知られている。一般的に、抗菌物質の抗菌スペクトルは狭いものが多い。オオバギ抽出物の抗菌作用は十分に解明されていないため、抗菌スペクトルも十分に把握されていない。
また、抗菌物質の具体的な活性成分は、例えばタンパク型、無機化合物型というように多様であり、その使用環境(例えば培地組成、温度、水素イオン濃度)によっても抗菌効果がそれぞれ異なることが知られている。とくに、酸性条件下においては抗菌物質の変性が起こりやすく、その抗菌効果が損なわれる可能性が比較的高い。例えば、食品用保存剤として使用されているプロタミンは耐熱性芽胞菌に対する増殖抑制作用を有しているが、その抗菌効果は塩基性条件下にて発揮されるものであり、酸性条件下ではその効果が大きく低下することが知られている。このように、抗菌物質の抗菌効果はその使用環境のpHに大きく影響されうるものであり、オオバギ抽出物の抗菌効果が酸性条件下においても発揮されるか否かという点について上記特許文献1及び2から予測することは不可能であった。
上記の目的を達成するために請求項1に記載の耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤は、オオバギ抽出物を有効成分として含有し、耐熱性好酸性菌の増殖を抑制する耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤であって、前記耐熱性好酸性菌は、アリサイクロバチルス(Alicyclobacillus)属に含まれる耐熱性好酸性菌であり、前記オオバギ抽出物は、少なくとも有機溶媒を含む抽出溶媒を用いて抽出されてなり、ニムフェオール−A、ニムフェオール−B、及びニムフェオール−Cを含有することを特徴とする
請求項に記載の耐熱性好酸性菌の増殖抑制方法は、pHが3.0〜4.2である酸性飲食品に、請求項1に記載の耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤を配合することを特徴とする。
請求項3に記載の耐熱性好酸性菌の増殖抑制方法は、請求項2に記載の発明において、前記酸性飲食品に対する前記増殖抑制剤の配合量を、ニムフェオールA、ニムフェオールB、及びニムフェオールCからなるニムフェオール類を50質量%含有する前記増殖抑制剤の配合量に換算した換算値で10ppm以上とすることを特徴とする。
請求項4に記載の容器詰め酸性飲食品の製造方法は、pHが3.0〜4.2である酸性飲食品に対して、請求項1に記載の耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤を添加するとともに、前記増殖抑制剤の配合量を、ニムフェオールA、ニムフェオールB、及びニムフェオールCからなるニムフェオール類を50質量%含有する前記増殖抑制剤の配合量に換算した換算値で10ppm以上とし、前記増殖抑制剤を添加した前記当該酸性飲食品を容器内に充填して密封し、加熱殺菌処理することにより、容器内における耐熱性好酸性菌の増殖を抑制することを特徴とする。
本発明の耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤、耐熱性好酸性菌の増殖抑制方法、及び容器詰め酸性飲食品の製造方法によれば、耐熱性好酸性菌の増殖を抑制することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤は、オオバギ抽出物を有効成分として含有する。オオバギ抽出物の原料であるオオバギ抽出物の原料であるオオバギ(大葉木)は、マカランガ・タナリウス(Macaranga tanarius)とも呼ばれる植物であって、トウダイグサ科オオバギ属に属する常緑広葉樹(雌雄異株)である。オオバギは、沖縄、台湾、中国南部、マレー半島、フィリピン、マレーシア、インドネシア、タイなどの東南アジア、オーストラリア北部などに生育している。また、オオバギは、樹木の中でも成長が極めて早く、荒廃地における成長も可能である。
オオバギ抽出物の原料としては、オオバギの各器官やそれらの構成成分を用いることができる。原料としては、単独の器官又は構成成分を用いてもよいし、二種以上の器官や構成成分を混合して用いてもよい。オオバギの器官やその構成成分としては、例えば果実、種子、花、根、幹、茎の先端部、葉身、及び分泌物(ワックス等)が挙げられる。また、オオバギの全体に対して各器官が占める割合を比較すると、幹、根、及び葉の占める割合は高い。このため、オオバギの葉身をオオバギ抽出物の原料として用いることは、原料確保が容易であるという観点から、工業的に好適である。
こうした原料は、採取したままの状態、採取後に破砕、粉砕若しくはすり潰した状態、採取・乾燥後に粉砕、破砕若しくはすり潰した状態、又は、採取後に粉砕、破砕若しくはすり潰した後に乾燥させた状態として、抽出操作を行うことができる。抽出操作を効率的に行うべく、破砕した原料を用いることが好ましい。こうした破砕には、例えばカッター、裁断機、クラッシャー等を用いることができる。また、粉砕した原料を調製する際には、例えばミル、クラッシャー、グラインダー等を用いることができる。すり潰した原料を調製する際には、ニーダー、乳鉢等を用いることができる。
上述した原料からオオバギ抽出物を抽出するための抽出溶媒としては、水、有機溶媒、及び同有機溶媒と水との混合溶媒を用いることができるが、オオバギに含まれる有効成分を効率的に抽出できることから、少なくとも有機溶媒を含む抽出溶媒を用いることが好ましい。上記有機溶媒としては、例えば低級アルコール、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン、グリセリン、及びプロピレングリコールが挙げられる。低級アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールが挙げられる。また、有機溶媒としては、単独種を用いてもよいし、複数種を混合した混合溶媒を用いてもよい。抽出溶媒として水と有機溶媒の混合溶媒を用いる場合には、混合溶媒中における有機溶媒の含有量は、好ましくは50体積%以上、より好ましくは80体積%以上である。なお、有機溶媒としては、低級アルコールが好ましく、エタノールがより好ましい。
なお、抽出溶媒中に、有機塩、無機塩、緩衝剤、乳化剤、デキストリン等を溶解させてもよい。
抽出操作としては、抽出溶媒中に上記原料を所定時間浸漬させる。こうした抽出操作においては、抽出効率を高めるべく、必要に応じて攪拌操作、加温、加圧等を行ってもよい。抽出操作の後には固液分離操作が行われることで、オオバギ抽出液と原料の残渣とを分離する。こうした固液分離操作の分離法としては、例えばろ過、遠心分離等の公知の分離法を利用することができる。得られたオオバギ抽出液は、必要に応じて濃縮してもよい。
また、オオバギ抽出液に含まれる抽出溶媒を必要に応じて除去することにより、固体状のオオバギ抽出物を得ることができる。こうした溶媒の除去は、例えば減圧下で加熱することにより行ってもよいし、凍結乾燥により行ってもよい。
上記抽出処理を経て得られたオオバギ抽出物には、ニムフェオール類が主要な成分として含有されていることから、こうしたニムフェオール類が耐熱性好酸性菌の増殖抑制作用に寄与しているものと推測される。なお、ニムフェオール類としては、ニムフェオール−A、ニムフェオール−B、及びニムフェオール−Cか挙げられる。ニムフェオール−A(nymphaeol−A)は、5,7,3´,4´−テトラヒドロキシ−6−ゲラニルフラバノン(5,7,3´,4´−tetrahydroxy−6−geranylflavanone)である。ニムフェオール−B(nymphaeol−B)は、5,7,3´,4´−テトラヒドロキシ−2´−ゲラニルフラバノン(5,7,3´,4´−tetrahydroxy−2´−geranylflavanone)である。ニムフェオール−C(nymphaeol−C)は、5,7,3´,4´−テトラヒドロキシ−6−(3´´´,3´´´−ジメチルアリル)−2´−ゲラニルフラバノン(5,7,3´,4´−tetrahydroxy−6−(3´´´,3´´´−dimethylallyl)−2´−geranylflavanone)である。
耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤には、その増殖抑制作用を損なわない範囲でオオバギ抽出物以外の成分を含有させてもよい。オオバギ抽出物以外の成分としては、例えば賦形剤、基剤、乳化剤、安定剤、及び香料が挙げられる。耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤は、液状であってもよいし、固体状であってもよい。剤形としては、特に限定されないが、例えば散剤、粉剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、及び液剤が挙げられる。
耐熱性好酸性菌は、酸性環境下かつ高温領域(例えば、35〜65℃の温度領域)で生育可能な性状を示す芽胞形成細菌であり、芽胞形成時はより高温領域(例えば、80〜100℃の温度領域)でも生存可能な菌である。耐熱性好酸性菌としては、例えばアリサイクロバチルス(Alicyclobacillus)属に含まれる耐熱性好酸性菌が知られている。アリサイクロバチルス属に含まれる耐熱性好酸性菌としては、例えばアリサイクロバチルス・アシドテレストリス(A.acidoterrestris)、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウス(A.acidocaldarius)、アリサイクロバチルス・サイクロヘプタニカス(A.cycloheptanicus)、アリサイクロバチルス・アシディフィラス(A.acidiphilus)、アリサイクロバチルス・ハーバリウス(A.herbarius)、及びアリサイクロバチルス・ヘスペリダム(A.hesperidum)が挙げられる。
耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤は、耐熱性好酸性菌による汚染が危惧される飲食品に配合して使用することができる。なお、耐熱性好酸性菌は、酸性飲食品中において増殖しやすいことから、耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤は酸性飲食品に好適に適用することができる。酸性飲食品とは、そのpHが4.6未満である飲食品であり、好ましくはpHが3.0〜4.2の飲食品である。上記酸性飲食品としては、例えば、天然果汁、野菜汁、クエン酸、酢成分、及び乳酸菌のいずれかを配合する各種飲料品(果汁飲料、清涼飲料、茶飲料、乳性飲料、酒飲料、嗜好飲料、機能性飲料等)、炭酸飲料、並びに天然果汁、野菜汁、クエン酸、酢成分、及び乳酸菌のいずれかを配合する各種食品(ゼリー、缶詰、ヨーグルト、ジャム、ドレッシング、スープ、調味料等)が挙げられる。また、耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤は、長期保存を目的として加熱殺菌処理される飲食品、例えば缶飲料、ペットボトル飲料及びレトルト食品に適用した場合に有用な効果を発揮する。具体的には、容器詰め酸性飲食品を製造する際に、酸性飲食品に対して加熱殺菌処理した後に耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤を添加し、当該酸性飲食品を容器内に充填して密封することにより、容器内における耐熱性好酸性菌の増殖を抑制することができる。なお、飲食品を容器に充填・密封する方法については、公知の方法を利用することができる。
耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤を飲食品に配合して使用する場合の同剤の配合量(質量比)は、10〜200ppm、好ましくは10〜100ppm、より好ましくは15〜50ppmである。耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤の配合量が10ppm未満である場合には、耐熱性好酸性菌の増殖抑制効果を十分に発揮できない場合がある。また、耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤の配合量が200ppmを超えると、オオバギ抽出物由来の味や色味等が飲食品に表れるおそれがある。なお、上記配合量は、ニムフェオールA、ニムフェオールB、及びニムフェオールCからなるニムフェオール類を50質量%含有する耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤の配合量に換算した場合の数値である。
次に本実施形態における作用効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態の耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤は、オオバギ抽出物を有効成分として含有する。これにより、耐熱性好酸性菌の増殖を抑制することができる。よって、風味・香味を著しく低下させない程度の条件で加熱殺菌処理された飲食品であっても、本実施形態の耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤を配合することにより、耐熱性好酸性菌の増殖を効果的に抑制することができる。
(2)本実施形態の耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤は、アリサイクロバチルス属に含まれる耐熱性好酸性菌の増殖を抑制することができる。
(3)好ましくは、酸性飲食品に対するオオバギ抽出物の配合量を、ニムフェオールA、ニムフェオールB、及びニムフェオールCからなるニムフェオール類を50質量%含有するオオバギ抽出物の配合量に換算した換算値で10〜200ppmとする。この場合、耐熱性好酸性菌を効果的に殺菌する効果を得ることができる。
次に、各試験例を挙げて上記実施形態をさらに具体的に説明する。
<耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤の調製>
沖縄県で採集して冷凍したオオバギの生葉を解凍した後に、はさみでその生葉を細かくカットした。カットした生葉1kgに対し、90体積%エタノール水溶液20Lを加え、室温で2週間浸漬させて溶媒抽出を行った後、ろ過、濃縮、及び凍結乾燥の各操作を順に行うことで、粉末状のオオバギ抽出物を調製した。なお、オオバギ抽出物に含まれるニムフェオール類の濃度は、以下に示されるHPLC条件で分析した結果、50質量%であった。なお、このニムフェオール類の濃度は、ニムフェオールA、ニムフェオールB、及びニムフェオール−Cを合計した濃度を示している。なお、オオバギ抽出物の濃度は、ニムフェオール類の濃度を指標として示すことができる。
(HPLC条件)
システム :PDA−HPLCシステム(島津製作所:LC10ADvp)
カラム :Intact製 CadenzaCD−C18 (4.6×250mm)
カラム温度:40℃
溶媒 :A:5%酢酸水溶液、B:メタノール
溶出条件 :0−20min
(グラジエント溶出;A:B=80:20→A:B=30:70)
20−50min
(グラジエント溶出;A:B=30:70→A:B=0:100)
50−60min(A:B=0:100)
流速 :0.6ml/min
PDA検出:UV190−370nm
注入量 :20μl
次に、得られた粉末状のオオバギ抽出物を99.5体積%のエタノール水溶液に溶解することにより、2質量%のオオバギ抽出物の溶液(試験溶液)を調製した。この溶液を用いて、耐熱性好酸性菌に対する増殖抑制の試験を行なった。
<耐熱性好酸性菌に対する増殖抑制試験>
上記試験溶液を添加したNB(Nutrient Broth)培地を酒石酸溶液にて所定のpHに調整した後、同培地を10mlずつ試験管に分注し、オートクレーブによる滅菌処理(121℃、15分)を行なった。なお、オオバギ抽出物は、所定のpHに調整した後、その終濃度が5、10、15ppmとなるように、同じく所定のpH調整されたNB培地中に予め(オートクレーブ前に)添加されている。また、コントロールとして、pH調整のみを行なった上記試験溶液未添加のNB培地も同様に準備した。次に、芽胞状態のアリサイクロバチルス・アシドカルダリウス(NBRC15310)又はアリサイクロバチルス・アシドテレストリス(ATCC49025)を各試験管の培地に接種し、湯浴中(80℃)で10分間の加熱処理を行なった。各試験管中の培地を下記培養温度まで冷却した後、同温度にて培養を開始した。なお、本試験は、飲食品の保存時における耐熱性好酸性菌の増殖を想定した試験であり、培養開始前の加熱処理は、飲食品に対して行なわれる一般的な加熱殺菌に対応する処理である。また、該加熱処理は、耐熱性好酸性菌の芽胞の休眠を打破するヒートショックの役割も兼備える。そして、培養開始時、培養開始から1週間後、及び同2週間後に、各試験管中の培養液を少量ずつ採取し、それぞれの菌数を測定した。その結果を表1〜3に示す。なお、1週間後の測定時において、開始時の菌数と比較して菌数が増加したものについては測定を終了とし、表中には「−」として示した。
Figure 0005465493
Figure 0005465493
Figure 0005465493
表1〜3に示されるように、オオバギ抽出物が添加された培地ではいずれの培養条件下においても、コントロール(オオバギ抽出物未添加)と比較して1週間後における耐熱性好酸性菌の菌数が少なくなることが確認された。この結果から、オオバギ抽出物が耐熱性好酸性菌の増殖を抑制する作用を有していることが分かる。また、各培養条件下において、培地中におけるオオバギ抽出物の濃度を15ppmとした場合には、1週間後又は2週間後の耐熱性好酸性菌の菌数が10CFU/ml未満まで減少することが確認された。
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について記載する。
(イ) 前記オオバギ抽出物は、ニムフェオールA、ニムフェオールB、及びニムフェオールCから選ばれる少なくとも一種を含有する耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤。
(ロ) 前記酸性飲食品に対する前記オオバギ抽出物の配合量を、ニムフェオールA、ニムフェオールB、及びニムフェオールCからなるニムフェオール類を50質量%含有するオオバギ抽出物の配合量に換算した換算値で10〜200ppmとすることを特徴とする耐熱性好酸性菌の増殖抑制方法。

Claims (4)

  1. オオバギ抽出物を有効成分として含有し、耐熱性好酸性菌の増殖を抑制する耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤であって、
    前記耐熱性好酸性菌は、アリサイクロバチルス(Alicyclobacillus)属に含まれる耐熱性好酸性菌であり、
    前記オオバギ抽出物は、少なくとも有機溶媒を含む抽出溶媒を用いて抽出されてなり、ニムフェオール−A、ニムフェオール−B、及びニムフェオール−Cを含有することを特徴とする耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤。
  2. pHが3.0〜4.2である酸性飲食品に、請求項1に記載の耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤を配合することを特徴とする耐熱性好酸性菌の増殖抑制方法。
  3. 前記酸性飲食品に対する前記増殖抑制剤の配合量を、ニムフェオールA、ニムフェオールB、及びニムフェオールCからなるニムフェオール類を50質量%含有する前記増殖抑制剤の配合量に換算した換算値で10ppm以上とすることを特徴とする請求項2に記載の耐熱性好酸性菌の増殖抑制方法。
  4. pHが3.0〜4.2である酸性飲食品に対して、請求項1に記載の耐熱性好酸性菌の増殖抑制剤を添加するとともに、前記増殖抑制剤の配合量を、ニムフェオールA、ニムフェオールB、及びニムフェオールCからなるニムフェオール類を50質量%含有する前記増殖抑制剤の配合量に換算した換算値で10ppm以上とし、
    前記増殖抑制剤を添加した前記酸性飲食品を容器内に充填して密封し、加熱殺菌処理することにより、容器内における耐熱性好酸性菌の増殖を抑制することを特徴とする容器詰め酸性飲食品の製造方法。
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